トリコ「巨人を食ってやる」(183)

※トリコと進撃の巨人のクロス
※細かいことは気にしないで


――IGO本部


マンサム「おぉ、トリコに小僧か。よく来たな」

小松「こんにちは」

トリコ「こっちは修行食材の捕獲に忙しいんだ。急に呼び出したりして、一体何の用だ?」

マンサム「こっちも修行食材の話だ。とある食材を最優先で捕獲するよう、会長から指示があった」

小松「どんな食材ですか?」

マンサム「…巨人だ」

トリコ「……は?」

小松「きょ、巨人って…、でっかい人間ですか?」

マンサム「そうだ」

トリコ「おいおい、人間を食えって言うのかよ」


マンサム「巨人といっても人間とは異なる生命体らしいからな。食っても共食いにはならん。安心しろ」

トリコ「だが巨人の生息情報なんて噂ですら聞いたことねぇ」

小松「…まさかグルメ界の奥地に生息してるんですか?」

マンサム「いや。…この世界には巨人はいない」

トリコ「へ?」

小松「じゃ、じゃあ、どこにいるっていうんですか?」

マンサム「異世界だ」

トリコ「…酒の飲みすぎか?」

小松「いい感じにできあがってますもんね、マンサム所長」

マンサム「冗談ではない。お前らの目の前にある機械はIGOが最先端技術を集結して作った転送装置だ」

小松「…転送装置」

トリコ「…うさんくせぇ」


マンサム「元々はグルメ界へひとっ飛びする目的で開発した装置なんだが……失敗してな」

トリコ「別の場所へ転送されるのか?」

マンサム「そうだ。どういうわけか別の次元へ送られてしまうんだ。はっはっはっ、いやぁまいった」ペシペシ

小松「…笑い事じゃないですよ」

マンサム「面白いからIGO所属の美食家を何人か転送してみたんだが、困ったことに誰一人戻ってこなくてな」

小松「ぜんぜん面白くないですよっ」

マンサム「で、先日、興味を持った会長が自ら異世界へ飛んだんだ」

トリコ「どうせ、じじぃは無傷で戻ってきたんだろ?」

マンサム「そうだ。会長によると異世界には巨人と呼ばれる素っ裸の大男がうようよしてるらしい」

小松「…嫌な世界ですね」

トリコ「…じじぃは巨人を食ったのか?」

マンサム「ああ。……この上なく美味だった、と言っていたな。ゴッドに勝るとも劣らないと…」

小松「えっ!?本当に食べちゃったんですか!?…ってトリコさん?震えてますよ?」

トリコ「」フルフル

トリコ「俺もその肉食いてぇーーーー!!!」ドーン


マンサム「はっはっはっ、お前なら必ずそう言うと思っていた。ならば冒険の準備をしてこい。明日、転送してやる」

小松「あ、あの…僕は遠慮しときます…」

トリコ「何言ってるんだ、小松。巨人だぞ?新発見の食材を調理したいと思わないのか?」

小松「新しい食材…」

トリコ「どんな味がするんだろうなぁ。小松の腕にかかればどんなゲテモノでもウマくなるから今から楽しみだぜ」ニッ

小松「は、はいっ。頑張ります!!」

マンサム「ちなみに向こうの世界は食糧事情が非常に厳しいらしいから、明日までに可能な限り食没しとけよ」

トリコ「分かったぜ。じゃあ、また明日な」



――翌日


マンサム「準備はいいか?」

トリコ「おう、ばっちりだぜ。3ヵ月ぐらい何も食べなくても平気なぐらい体にエネルギーを蓄えて来た」

小松「おかげで僕はヘロヘロです」フラフラ

マンサム「いいか。向こうへ行ったらまずは訓練兵団という所の門をくぐれ。巨人との戦い方を教えてくれる場所らしい」

トリコ「OK。訓練兵団だな」

小松「あ、あの…、どうやったらこっちの世界に戻って来れるんですか?」

マンサム「簡単だ。巨人を食えばいい。会長は巨人を口にした途端、勝手にこっち側に戻されたらしいからな」

トリコ「了解だ。じゃあ飛ばしてくれ。小松、しっかり俺に捕まってろよ」

小松「はいっ!」ガシッ

マンサム「では、健闘を祈る」ポチッ


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――847年 ウォールローゼ南方面駐屯地


エレン(…とんでもなくでかいヤツがいる)チラッ

ミカサ(…青い髪。本当に人間なのかしら)チラッ

アルミン(…オレンジ色のつなぎを着てる。制服のサイズが無かったのかな)チラッ


キース「き、き、貴様は何者だ!?」(なんだこいつは!?2mはゆうに超えてるぞ)

トリコ「IGO所属、美食家トリコだ」

キース「き、貴様は何をしにここに来た!?」(な、何を言っているのか分からん…)

トリコ「俺は巨人を食いに来た」ニヤリ

キース「なっ…!?」


ザワザワ ザワザワ


ジャン(…おいおい、冗談だろ?)

サシャ(巨人って食べれるんですかね…)ムシャムシャ


キース「も、もういい。次だ…」スタスタ

キース「貴様は何者だ!?」

小松「え、えっと…、小松といいまして…、ホテルグルメでシェフをさせて頂いてます…」ビクビク

キース「貴様は何をしにここに来た!?」

小松「そ、その…、巨人を料理しに来ました…」オドオド

キース「…」


マルコ(…比喩的表現?巨人を倒したいってことかな…)

コニー(なんだ。俺より頭悪そうなのが二人もいて安心したぜ)


キース「貴様、ふざけてるのか!?」ガシッ グイッ

小松「い、いたたたたっ!!ふ、ふざけてなんかいませんっ」ミシミシ


トリコ「…おい、その手を離せ」ギロッ


キース「なんだ?貴様は教官に対する口の利き方がなってないようだな」ギリギリ

小松「あででででで!!と、トリコさん、助けてっ」ミシミシ


トリコ「その手を離せと言っているんだ。今すぐにだ」ゴゴゴゴゴ…


エレン(な、なんだあれは!?あいつの背中から悪魔みたいな影がでてきたぞ!!)

ミカサ(…やはり人間ではない)

アルミン(うわぁ…。赤鬼が教官の手を掴んだよ…。怖いなぁ)


キース「ひっ!?」パッ

小松「あっ、てて…」ドサッ

トリコ「大丈夫か?小松」スッ 

小松「は、はい。なんとか。ありがとうございます、トリコさん」ギュッ ドッコイショ

トリコ「お前は必ず俺が守ってやるからな」ニッ

小松「トリコさん…///」


ベルトルト(…ホモップル?)

ライナー(…やめてくれ。これ以上、マッチョにホモのイメージを付けるんじゃねぇ)


小松「あの…キース教官」

キース「…なんだ」

小松「僕は戦闘には向いてないので、訓練する代わりに食堂の調理員としてここに置いてもらえませんでしょうか?」

キース「ならん。兵士になる気の無い人間は開拓地送りだ……ひっ!?」

トリコ「」ゴゴゴゴゴゴ…

小松「もうっ、トリコさんってば僕が絡むとすぐ鬼を出すんだから。早くしまって下さいよ。他の人が恐がってます」

キース「し、仕方ない…。調理員も必要かもしれん。…好きにするがいい」

小松「ありがとうございます」ペコリ


※ ※ 食堂 ※ ※

ザワザワ ガヤガヤ

エレン「ふーん、本当に巨人を料理して食うつもりなのか。…変わってるな、お前ら」

小松「トリコさん。ややこしくなるので異世界から来た事は内緒にしておきましょうね」ヒソヒソ

トリコ「そうだな」ヒソヒソ

アルミン「けど、どうして巨人なんて食べようと思ったの?」

トリコ「めちゃくちゃウマいらしいぜ。巨人の肉ってのは」ジュルリ

アルミン「本当に?」

トリコ「ああ。実際に食ったって人間が言ってたから間違いねぇ。俺が捕獲したらお前らにも食わせてやるよ」

アルミン「ぼ、僕は遠慮しとくよ」

エレン「俺も絶対ぇ食わねぇ」

トリコ「そんなこと言うなよ。小松に料理させれば間違いなくうめぇから」


ミカサ「…コマツは料理が得意なの?」

小松「はいっ。僕の本職は料理人です。明日からはみなさんにおいしいご飯を作らせてもらいますね」

アルミン「本職って…、ここに来る前は仕事してたんだ」

エレン「…お前ら一体いくつだよ」

トリコ&小松「「25歳」」

一同「「!?」」

ミカサ「予想外…」

エレン「トリコは分かるけど…」

アルミン「コマツは…僕と同い年ぐらいだと思ってた…」

小松「いやいや。君たちみたいにピチピチしてないから」ブンブン

トリコ「ははっ、確かに小松からはノネナール臭がするしな」クンクンッ

小松「ちょっ、腋の下の匂いを嗅ぐのやめて下さいよっ」

ミカサ「…ノネナールって?」

トリコ「不飽和アルデヒドの一種だ。まぁ、いわゆる加齢臭ってやつ。おっさんの体臭の原因だ」


アルミン「へぇ。トリコって物知りなんだね」

トリコ「まぁな。伊達に歳は食ってないぜ」

小松「それにトリコさんはすごく鼻が良いんだよ。常人の一万倍以上の嗅覚をしてるんだ」

トリコ「お前らはケトン臭ぇな。程よく甘酸っぱい臭いがするぜ」クンクンッ

エレン「うぉっ!?やめろっ!首筋の匂いを嗅ぐなっ」ゾクゾクッ

ミカサ「」ガタッ

アルミン「まぁまぁ、ミカサ落ち着いて。ケトンってなに?」

トリコ「身体の脂肪をエネルギーに変える時に生じる物質だ。普通にメシ食ってたらまずこの臭いはしねぇ」

小松「十分な栄養が取れてないんだね。本当に食糧事情は厳しいみたいだ…」

エレン「そうか?俺には全然分からないぞ?」クンクンッ

ミカサ「ひゃっ!?え、エレン、いけない。突然女の子の匂いを嗅いだりしては…///」


アルミン「本当にトリコは鼻が良いんだね」

エレン「けどさ、それってなんかメリットあるのか?」

トリコ「あるある。生物の体臭を察知することでその生物の居場所や体調、精神状態まで把握できるんだぜ。便利だろ」

アルミン「それはすごいね。壁外調査に出れば間違いなく役に立つ能力だよ」

小松「壁外調査って?」

アルミン「えっ?知らないの?調査兵団が壁の外に出て巨人の生態を調べてるんだ」

エレン「今はウォールマリア奪還に向けた下準備が主な任務みたいだけどな」

トリコ「…ちょっと待て。巨人っていうのはあの巨大な壁の外にいるのか?」

アルミン「えっ…、そうだけど…」

エレン「人類の常識じゃねぇか。お前らそんなことも知らないで巨人を食いてぇとか言ってたのか」

小松「ご、ごめんね。すっごい山奥に住んでたから、世間の事情に疎くって…」アセアセ


トリコ「壁の外へは誰でも出れるのか?」

ミカサ「壁門が開くのは調査兵団が壁外調査に出立する時だけよ。それ以外は決して開くことは無い」

トリコ「マジかよ。じゃあ、巨人を食うためには調査兵団に入るしかねぇのか?」

アルミン「そうなるね」

エレン「よし、トリコ。俺と一緒に調査兵を目指そうぜ」

小松「エレンさんは調査兵団?に入りたいんだ」

エレン「ああ。巨人を一匹残らず駆逐するのが俺の目標だ」

トリコ「しょうがねぇ。俺も調査兵とやらになってやるか。で、どうやったらなれるんだ?」

アルミン「今から3年間の訓練に耐えて無事訓練兵団を卒業することが、調査兵団への入団条件だよ」

トリコ「さ、3年もかかるのかよっ!?」

小松「まずいですね…。トリコさんは3ヵ月分しかエネルギーを蓄えてきてないのに…」

トリコ「やべぇな。何か手を考えないと…」ウーム


――翌日 食堂

ザワザワ ガヤガヤ

コニー「やっべ、まじで超うめぇんだけど、このスープ!!」ズズズッ

サシャ「芋って丸ごと蒸すだけじゃないんですね!!なんですか、この料理。初めて食べました。最高ですっ!!」モグッ

小松「それはマッシュポテトって言って、ジャガイモを茹でて潰して味付けしたものだよ」

トリコ「相変わらず小松の料理は絶品だな」ムシャムシャ

小松「あっちの世界から調味料だけは大量に持参してますから」ヒソヒソ

トリコ「なるほどな。けど、これっぽっちの量じゃちっとも腹の足しになんねぇ」

小松「すみません。用意されてる食材が本当に少ないんですよ。200人以上に均等に配分したら、これぐらいの量に…」

トリコ「分かった。食材の調達は俺に任せろ。近くに林もあることだし。訓練の合間をぬって何かとってきてやる」

サシャ「あっ、私もお手伝いします。私もここの食事の量ではぜんぜん満足できないので」

コニー「俺も手伝うぜ。なんか面白そうだし」

トリコ「よっしゃ。じゃあ休憩時間はみんなでキノコ狩りするぞ!」

コニサシャ「「おーー!!」」

小松「ははっ、お願いします」


ザワザワ ザワザワ
ナンダナンダ!!  オイ!オマエ カラダガ ヒカッテルゾ!!


小松「なんだか騒がしいですね」キョロキョロ

サシャ「あっちの隅のテーブルですね」

トリコ「様子を見に行ってみるか」ガタッ




ダズ「ひぃぃぃぃ!!お、俺の体、どうなっちまったんだ!?」ピカピカ

ジャン「うぉっ、眩しい!!めっちゃ金色に輝いてるし…」

マルコ「お、落ち着くんだ、ダズ。苦しくないか?どこか痛むところは?」

ダズ「ぜ、ぜんぜん平気だ。むしろ最高の気分だ。今までに感じたことが無いくらい力がみなぎってくる…」ピカピカ


小松「だ、大丈夫ですか!?ダズさん」タッタッタッ

トリコ「…細胞が進化してやがる。…おい、ダズ。お前なんか変なもん食ったか?」スタスタ


ジャン「おっ、トリコとコマツ」

ダズ「へ、変なもんなんか食ってねぇよ」ピカピカ

マルコ「夕食のスープを一口飲んだ途端、ダズの体が光り出したんだ」

小松「スープ…」

ジャン「このメシを作ったのはコマツだよな。てめぇ、なんかおかしなもの入れたんじゃねぇだろうな!?」

小松「とんでもないっ!僕は用意されてる食材を使っただけで、他には何も…」ブンブンッ

トリコ「ダズ、このスープの中に今日初めて食べる食材はあるか?」

ダズ「はっ?…っと、ジャガイモにニンジンに玉ねぎにキャベツ……ぜ、全部食ったことあるしっ」ピカピカ

トリコ「おかしいな…、一体何がダズに適合したんだ?」


小松「…あっ!?」

トリコ「どうした、小松」

小松「スープの味付けに少しだけ‘おしりしお’を使ったんです!!もしかしたら…」

トリコ「なるほど。小松、今すぐ‘おしりしお’を持って来い」

小松「はいっ」タタタタッ

マルコ「…おしりしお?」

ジャン「なんだそりゃ」

トリコ「一粒一粒がおしりの形をした塩だ」

ダズ「なっ!?やっぱり変なもん食わせてんじゃねぇかっ!!」ピカピカ

トリコ「馬鹿野郎!!人間も食材も見た目で判断するな!食わず嫌いは人生を損するぞ」



小松「‘おしりしお’持って来ましたー」タタタッ


トリコ「サンキュ。じゃあダズ、一つまみ舐めてみろ」

ダズ「直接かよ!?」ピカピカ

マルコ「パッと見は普通の塩だね…」

小松「はい。かなり拡大して見ないとおしりの形には見えません」

トリコ「見た目はアレだが、塩気の中に甘さのある上品な味わいの調味料だ。いいから舐めてみろ」

ダズ「うぅぅ……、えいっ!!」パクッ


ピカーンッ!! キラキラキラキラ…


ジャン「ぐぉっ!!ますます輝きが強まった!!」マブシー

マルコ「ダズがまるで太陽みたいだ!!」

トリコ「間違いねぇ。‘おしりしお’はダズの適合食材だったんだ」


小松「け、けど…、食材で細胞が進化するのはグルメ細胞所有者だけじゃ…」ヒソヒソ

トリコ「この世界は俺たちのいた世界とは違うんだ。体の作り自体が俺たちとは違うのかもしれねぇ」ヒソヒソ

小松「というと…?」ヒソヒソ

トリコ「生まれながらにして、こいつらはグルメ細胞を持っている可能性もあるだろ?」ヒソヒソ

ダズ「お、おいっ、コソコソ話してねぇで、俺の体を何とかしてくれよっ!!」ギラギラ

トリコ「大丈夫だ。光ってるのは長くてもせいぜい1日だ。明日には元に戻る」

ダズ「そ、そうか…」ホッ

マルコ「けど、このおかしな現象を説明してもらわないことには納得できないよ」

ジャン「そうだぜ。気持悪くてコマツの飯なんか食う気になれねぇ」


トリコ「それもそうだな。…よし、ここにいる全員に説明してやろう」スゥー

トリコ「おーい!!お前らー!!俺がすげぇいい話を教えてやるぜ!!」


ザワザワ ナンダナンダ?


トリコ「ダズを見てみろ!!体が光ってるだろ?これは細胞が進化してパワーアップした証拠だ!!」

トリコ「ここにいるダズは昨日までのダズじゃねぇ。細胞の進化によって身体能力が飛躍的に向上してるはずだ!!」


マルコ「…本当かな。ダズ、ジャンと腕相撲してみなよ」

ダズ「えっ!?や、やだよ。昨日の夜やって俺がボロ負けしたじゃないか…」ギラギラ

ジャン「いいからやろうぜ。本当に強くなってるかどうか確かめてやる。ほら、腕出せよ」グイッ

ダズ「お、おう…」ガシッ

マルコ「用意はいい?…レディ……ファイッ!!」パッ


ズダーンッッ!!


ジャン「ぐぉっ!!!?」

マルコ「じゃ、ジャン大丈夫かっ!?思いっきりテーブルに叩きつけられたけど…」

ジャン「っってぇ…!!くそっ、信じらんねぇ。なんだそのパワーは。昨日とはまるで別人じゃねぇかよっ」ブンッブンッ

ダズ「う、うそ…!?俺、そんなに力を入れたつもりねぇのに…」ギラギラ


トリコ「見ての通りだ!!ダズは細胞の進化によって圧倒的な力を手に入れた!!」


ライナー「マジかよ…!?」

ベルトルト「あんなに光ってるんだ…。普通じゃないことは確かだね…」


トリコ「お前らも強くなりたくねぇか!?」


オォォォォォ!!

コニー「もちろん強くなりてぇー!!」

エレン「俺も巨人を倒す力が欲しいぜ!!」


トリコ「ならば、これから俺が言うことをよく聞けよ!!」

トリコ「細胞を進化させるには自分に合った食材を食べる必要がある!!それを俺たちは適合食材って呼んでる!!」

トリコ「偶然ダズはスープに使用されていた‘おしりしお’が適合食材だった。まったく運の良い野郎だぜ!!」

トリコ「強くなりたいなら、好き嫌いせず残さず食え!!もちろん食べ物への感謝の気持を忘れるなよ!!」


アルミン「…お母さんみたいなこと言ってる」

ミカサ「…当然のことじゃない。それで強くなれるんだったら誰も苦労しない…」


トリコ「いいか?口に入れば何でも食材だ。その辺に生えてる草だろうが虫だろうが、目に付くもんは片っ端から食え!」

トリコ「どの食材が自分に適合するかは食ってみなけりゃ分からねぇ!!好き嫌いするなってのはそういうことだ!!」


アニ「…虫とかありえない」ゾゾッ

ミーナ「…別にそこまでして強くなりたいと思わないし」


トリコ「力が欲しいならガツガツ食え!!食って、食って、食いまくれ!!」


ウォォォォ…!!


サシャ「はいっ!!食べるのは大の得意ですっ!!」

エレン「よし!何でも食ってやるぜ!!」

コニー「俺も負けねぇぞ!!」


トリコ「ははっ、誰が一番多く適合食材を見つけられるか競争だな」


――数日後 調理場

グツグツ トントン…

小松「トリコさん、巨人を倒す方法が分かったって昨日言ってましたね…」

小松「巨人の項を削ぐとかなんとか…。よく分からないけど、トリコさんならレッグナイフで瞬殺ですね」

小松「ふふっ、立体機動がめちゃくちゃ楽しいって子どもみたいにはしゃいでて。ここの生活が気に入ったみたい」

小松「トリコさん達がたくさん食材を取ってきてくれるおかげで、最近は食事の量が増えましたねー。素晴らしいです」

小松「みんな育ち盛りだからしっかり食べてもらわなきゃ」

小松「よしっ、今日の晩御飯の準備はできた。山盛りきのこのクリームシチューと山菜のマリネ。あー、いい匂い」クンクン

小松「みんなが訓練から戻ってくるまで、僕も自分の仕事に取り掛かろうかな…」ゴソゴソ

小松「ふふふっ、あっちの世界からポイズンポテトをたくさん持って来てて良かった」ゴトッ

小松「向こうでは忙しくて、なかなか毒抜きに挑戦する時間がとれないからね…」

小松「よーし!こっちの世界にいる間にポイズンポテトの毒抜きを成功させるぞー!」


―― 訓練後 演習場の林

ザワザワ ガヤガヤ

トリコ「ふぅー、背負い籠いっぱいにキノコが採れたな」

サシャ「はいっ。トリコについて行けば間違いありませんね」

ミカサ「本当に犬みたい。匂いで食材の場所が分かるなんて」

トリコ「便利だろ?教えてやったキノコの見分け方しっかり覚えとけよ。エグイ毒を持ったキノコも生えてるからな」

サシャ「はいっ!キノコマスター目指して頑張りますっ!!」

ミカサ「私たちは籠を調理場に運びましょう。もう一杯で入らない」

サシャ「そうですね」

ミカサ「トリコは……、エレンがおかしなものを口にしないか監視して欲しい」

トリコ「いいぜ。野郎どもは強くなろうと必死だからな。食中毒で死なないように見張っといてやる」

ミカサ「では、お願い」ヨイショ スタスタ

サシャ「あっ、待ってくださーい」ヨイショ スタスタ


エレン「見ろ!アルミン!今まで出会ったことのねぇ草が生えてるぞ」ガサガサ プチッ

アルミン「本当だ。シガンシナでは見たことないね」

エレン「よし。アルミンにも分けてやる…」ポイッ

アルミン「……やっぱり食べるんだね」キャッチ

エレン「ああ。強くなるならアルミンと一緒だ」ニッ

アルミン「うん。じゃあ……いくよ」

エレン「せーの……パクッ」ムシャ

アルミン「…パクッ」ムシャ

エレアル「「っっ~~~~~!?」」

エレアル「「にっげぇぇぇぇぇ!!」」

エレン「おぇっ、やばいぐらいまずい…」ペッペッ

アルミン「…やっぱり体は光らないね」ガックリ

エレン「くそっ、次行くぞ、次」


マルコ「…それは人としてどうかと思うよ…」ドンビキ

ジャン「うっせぇ!!対人格闘でダズにコテンパンにやられたんだ。あいつ鼻で笑いやがってよ。すげぇムカツク」

マルコ「けど、いくら強くなりたいからって……昆虫を生でいくのはやめようよ。変な病気になりそうだ」

ジャン「…足だけだ。さすがに腹は俺も無理」

マルコ「で、指でつまんでるそのバッタ君の足を今から齧る気なの?かわいそうだ。バッタだって生きているのに」

ジャン「はっ、俺たちが普段食ってるもんもみんな生きてるだろうが。植物は良くって動物は駄目って矛盾してるだろ」

マルコ「だから、無益な殺生はやめようって言ってるんだ。食堂で出される食事だけで僕たちは十分だよ」

ジャン「それじゃあ、強くなれねぇだろっ!」

マルコ「人間性を捨ててまで強くなる必要はないよっ!」

ジャン「ちっ、マルコはいいのかよ。このまま他の連中が適合食材を見つけて、どんどん強くなっても」

マルコ「ああ。みんなが強くなるのは良い事だ。僕達は兵士だからね


ジャン「けど、俺たちは10位以内に入れないかもしれねぇ。憲兵団になれねぇんだぞっ!」

マルコ「それでもいいよ。虫を食べるぐらいだったら、遠回りになるけど駐屯兵団から憲兵団を目指したほうがマシだ」

ジャン「お前…」

マルコ「ジャン、努力も無しに強くなって嬉しいかい?」

ジャン「そりゃ、楽して強くなれれば万々歳じゃねぇか」

マルコ「僕はそうは思わない。人は努力するから美しいんだ。結果より過程が大事なんだ」

マルコ「ジャンはズルして力を手に入れるような卑怯な人間じゃないだろう?」

ジャン「くっ…、あーあ、憲兵団に入れなかったらお前のせいだからな」ポイッ

マルコ「ああ。ジャンが正しい人間でいてくれるなら、いくらでも罵ってくれてかまわない」ニコ



コニー「うぉぉぉぉ!!やった!!光った!!」ピカピカ

ライナー「おいおい、マジかよ!?コニーがパワーアップしやがった!!」

ベルトルト「い、一体何を食べたの!?」

コニー「そのへんにいたアリンコだ!!口の中がめっちゃ酸っぱいけどな!!」ピカピカ

ライナー「アリンコ…」

ベルトルト「よく食べたね…」



ジャン「」ワナワナ

マルコ「…他人は他人、自分は自分だよ」

ジャン「やっぱり俺もバッタ食ってやるっ!!」ガサガサッ

マルコ「やめるんだ、ジャンっ!!」ガシッ


――調理場

ガチャッ

サシャ「おじゃましまーす」テクテク

ミカサ「…コマツがいない」キョロキョロ

サシャ「どっかで休憩中ですかね。とりあえず籠をこの辺に降ろしましょうか」ヨイショ ドサッ

ミカサ「そうね」ヨイショ ドサッ

サシャ「くぅー、良い匂いがしますねー。お腹ぺこぺこですよ。今日の夕飯はなんでしょう?」

ミカサ「…クリームシチューみたい」パカッ

サシャ「ひ、一口味見しませんか?」

ミカサ「駄目。サシャの一口は一皿分だから」

サシャ「そ、そんなことないですよっ。舐めるだけでいいですから、ね、少しだけ…」

ミカサ「だーめ!!」


サシャ「うぅ…、ミカサはケチですね…。…ん?この小鍋の中は何でしょう?」スタスタ

ミカサ「…紫色の…芋?」

サシャ「へぇー、初めて見るお芋です。どんな味なんでしょうね?」

ミカサ「さぁ…。けどコマツの作る料理はどれも美味しいので、きっとこのお芋もまずくはないと思う」

サシャ「…いい感じに一口大に切って茹でてありますね…」ウズウズ

ミカサ「つまみ食いは禁止」

サシャ「け、けど…、冷めると元も子も無いですよ」ウズウズ

ミカサ「そんなに食べたいなら、コマツに確認してから…」


サシャ「えーい!!そんなの待てませんっ!!」ヒョイッ パクッ

ミカサ「ちょっと!!勝手なことをしては、モガッ!?」ゴクンッ

サシャ「ふふふ、ミカサも食べました。これで同罪です」モグモグ ゴックン

ミカサ「ゲホッ、ゲホッ、突然口に放り込まないで!喉に詰まったらどうするの!?」ギロッ

サシャ「す、すみません………ぐっ!?」ブルブル…

ミカサ「さ、サシャ、大丈夫!?……うっ!!?」ガクッ

サシャ「く、苦しい…で…す…。…意識が…朦朧…と……」バタンッ!!

ミカサ「…か…らだ…が…痺れ…る…、エ…レン……た…すけ…て…」バタッ!!


ガチャッ


小松「ふぅー、すっきりすっきり。今日も快便だったねー」テクテク

小松「…あっ!!人が倒れてるっ!!」ダダッ

小松「ミカサさんとサシャさんだ。おーい!大丈夫?聞こえますかー!?」ユサユサ

小松「意識がない。痙攣してるし…、はっ!?まさか…!?」スクッ

小松「やっぱり!ポイズンポテトが少し減ってる!!うわっ、どうしよう、食べちゃったんだ…」アセアセ

小松「ト、ト、ト、トリコすわぁぁぁぁん!!!」ダダダダダッ


――数分後 調理場

ザワザワ ザワザワ

トリコ「やべぇな。ポイズンポテトを食っちまったのか…」ポリポリ

小松「はい。僕の責任ですっ!!僕がこんな危険な食材を放置してたせいで、お二人は…」グスッ


エレン「ミカサっ、しっかりしろっ!!」ユサユサッ

ミカサ「」ガクガクッ

アルミン「そ、そんなに激しく揺すっちゃ、ミカサの頭が取れちゃうよっ」

クリスタ「サシャ!!大丈夫!?こんなに震えて…」

コニー「お、俺、毛布とってきてやるっ」ダダッ


ユミル「おーおー、何かしんねぇけどエライことになってんな。……トリコ、この2人は死ぬのか?」 

トリコ「このまま放っときゃ1時間以内に確実に死ぬな」

ジャン「てめぇっ!!死ぬな、じゃねぇよっ!何とかしやがれっ!!」ガシッ

マルコ「ジャン、落ち着いてっ!まずは状況を整理しよう。二人が食べてしまった毒物の解毒方法は無いの?」

小松「…はい。お二人が食してしまったポイズンポテトには、ネオソラニンという新種の猛毒が含まれてまして…」

トリコ「ソラニンっつーのは、じゃがいもの芽に含まれる天然の毒素だ」

小松「ネオソラニンはソラニンの4万倍もの毒性があって…、まだ誰も解毒に成功して無いんです…」

トリコ「致死量はたったの0.01㎎。ちなみに俺はポイズンポテトが適合食材だから、いくら食っても平気だ」ヒョイ パクッ

ジャン「んなことは、どうでもいいんだよっ!!助けられるのか助けられねぇのか、どっちだ!?」


エレン「お前ら、もしミカサがこのまま死んだりしたら…、二人まとめて駆逐してやるっ…!!」ギリッ

トリコ「まぁまぁ、そんなに怖い顔して睨むなよ。助かる方法が無ぇとは言ってないだろ?」

アルミン「早くその方法を教えてよっ!!」

トリコ「今すぐ二人に適合食材を食わせるんだ。細胞が進化する時、肉体は一時的に再生能力が飛躍的に高まる」

小松「トリコさんは以前、お腹にでっかい穴が開いて死にかけたんですけど、適合食材を食べた途端一瞬で塞がったそうです」

トリコ「猛毒を上回る超回復。これしか手は無ぇ」

マルコ「け、けど…、二人とも何か食べれるような状態じゃないよ。完全に意識が無いし…」

アルミン「それに今から適合食材を探すなんて…時間がなさすぎるっ!!」ガシガシッ

エレン「そう、時間がねぇんだ。アルミン、行くぞっ!!」

アルミン「エレン…」

エレン「俺は絶対ぇ、あきらめねぇ!!必ずミカサを助けてやるっ!!」

ジャン「お、俺も食材探しに行くぜっ!!」


トリコ「あっ!そうだ。お前らに良い事を教えてやるぜ」

エレン「何だよ、時間がねぇんだ。早くしてくれ!!」

トリコ「俺のダチになかなか可愛い妹がいるんだが…、そいつの適合食材は俺の唾液だ」ニヤリ

一同「「!?」」

アルミン「だ、唾液って…つばだよね?」

トリコ「そうだ」

マルコ「つ、つばって食材なのかな?」

トリコ「口に入れば何でも食いもんだ」

ジャン「ど、どうやって…その…唾液なんて食わせるんだよ…」カァァ

トリコ「お前が想像してる通りだ。熱いキッスだよ、キッス」

一同「「…」」カオマッカ


小松「と、トリコさんっ、いたいけな少年達にそんなことけし掛けちゃダメですっ!!」アタフタ

トリコ「だってそれが一番手っ取り早いだろ。こんだけ訓練兵がいるんだ。誰か1人ぐらい適合するだろ」スットボケ

エレン「…ちょっと待て。俺たち全員でミカサとサシャに、その、あれだ、キ…キスとか…しろって言うのか?」カァァ

トリコ「そういうことだな。しかもベロチュウしねぇと唾液は送り込めねぇなぁ」ニヤリ

一同(…べ、ベロチュウ)ドキドキ

小松「もうっ!トリコさんっ!変なこと教えないで下さいっ!!」アタフタ


ジャン「し、仕方ねぇな…。じゃあ俺から…///」スタスタ

エレン「待てよっ!」ガシッ

ジャン「止めんな、バカ!!時間が無ぇんだろうがっ!!」

エレン「ああ、時間が無ぇから、お前はサシャからいけよっ!!」

ジャン「はぁ?なんでてめぇに指図されなきゃなんねぇんだよっ!!」

ライナー「おいおい、喧嘩してる場合じゃねぇだろ。お前らがいかねぇんだったら、お、俺が…」カァァ

エレジャン「「すっこんでろ!!ホモゴリラ!!」」ガァッ!!

ライナー「誰がホモだ!!撤回しろっ!!」

アルミン「もうっ!!みんな落ち着いて!!」


ベルトルト「その…、トリコと友人の妹さんっていうのはどういう関係なの?」

トリコ「あ?まったくの無関係だ。あいつが一方的に俺に迫ってくるだけ」

マルコ「なるほど。好きな相手じゃないと適合しないってわけかな…?」

トリコ「それはあんまり関係ねぇかもな。俺は小松のあらゆる体液を食してるが、1つも適合しなかったし」

小松「と、トリコさんっ。そんなことここで暴露しないで下さいっ」カァァ

一同(…うわぁ。リアルホモだ)ドンビキ

アルミン「とにかく、ミカサを助けられる可能性が一番あるのはエレンだ」

ジャン「なんでだよっ。好き嫌いは関係ねぇっつっただろ?」

アルミン「…ジャン、意識が無い間に勝手にキスなんてされるミカサの気持を考えてあげてよ」ポンッ

ジャン「ぐっ…」


マルコ「そうと決まれば、エレン早くっ!ミカサの脈がどんどん弱くなってるよ」

エレン「け、けど…、ここですんのかよっ…」カァァ

ライナー「何を躊躇ってるんだっ!本当にミカサが死ぬぞ!」

エレン「でも…、みんなの前でとか……俺には無理だっ!!」ガシガシッ

ジャン「ちっ、やっぱり俺がいくしかねぇ」バキッ!!「ふぐっ…!!」バタッ 

エレン「てめぇはひっこんでろよっ!!」

アルミン「エレン、早く!!照れてる場合じゃないんだっ!!」

エレン「あ゛ーーーー!!もうっ!!!」ヨイショッ ダダダッ

アルミン「えっ…!?エレン、ミカサを抱えてどこ行くんだよっ!!」

エレン「どこでもいいだろっ!!絶対ぇ付いてくんなよっ!!」ダダッ

トリコ「おーい!!体液なら何でも適合する可能性があるからなー!!ガンバレよー!!」

エレン「///」ダダッ

小松「トリコさんっ!!下品ですよっ!!」


アルミン「あーあ、行っちゃった…」

マルコ「ま、まぁ、ミカサはエレンに任せて…。問題はサシャだ…」

ベルトルト「サシャって…好きな人いたりするのかな…?」

アニ「さぁ、そんな話、聞いたことないね」

ユミル「もっぱら芋が恋人だな」

コニー「けど、芋は適合食材じゃねぇって分かってるしよ…」

ライナー「や、やはり…ここは全員でキスするしか…」ドキドキ


クリスタ「分かった。私からいくよ」

ユミル「ク、クリスタ!?お前はそんなことしなくてもいいって」アセアセ

クリスタ「だってサシャを助けなきゃ!!それに…女の子から試したほうがサシャは傷つかないと思う…」

アニ「…確かに。意識が無い間に勝手にライナーなんかにキスされたら…。私だったら間違いなく首を吊るね」

ライナー「…死ぬほどイヤなのかっ!?」

クリスタ「とにかく時間がないから。…ごめん、サシャ。私も初めてだから許して…」スッ


――チュッ


男子一同(…やっべぇ…。なんか妙に興奮する…)ドキドキ


クリスタ「ん……っ」チュパッ

アニ「…駄目みたいだね。まったく体が光る気配がない」

クリスタ「ハァ…ハァ…、サシャ…助けてあげれなくてごめんね…」グスッ

ライナー(…クリスタとキス、クリスタとキス、クリスタとキス、クリスタとキス、クリスタとキス…)ブツブツ

ユミル「じゃ、次は私の番だね」(クリスタの後は誰にも譲らないよ)

コニー「お、おう。頼む、助けてやってくれ」

ユミル「サシャ、もう水汲み押し付けたりしねぇから、いい加減目を覚ましてくれよ」スッ


――チュッ


男子一同(うほっ!?し、舌がめちゃくちゃ口の中這い回ってる…!ユミル、エロっ!!)ドキドキ


ユミル「…プハッ」(よしっ、これでクリスタの唾液は全部舐め取れたはず…。間接キス、ごちそう様♪)

アニ「…やっぱり反応が無いね」

クリスタ「サシャ…」グスッ


小松「あっ!そうだ!!サシャさんって芋が何より好きなんですよね!?」

コニー「ああ、常に芋を隠し持ってるぐらいだ」

小松「…だったらいけるかもしれない」ダダッ カパッ

トリコ「どうした?小松。何か思いついたのか?」

小松「はいっ!!サンサングラミーを捕獲した時のことを思い出したんですっ!!」アチチッ

トリコ「サンサングラミー…?」


マルコ「手に持っているのは…蒸した芋?」

小松「そうです。ホカホカの蒸したてのお芋さんです」アチッ

アルミン「けど、芋は…」

小松「もちろんこのままじゃ意味がありません。少し手を加えます…」ゴソゴソ「あった」

ベルトルト「小さな小瓶…。中身は金色の粉…?」

小松「これをですね、芋に少量振りかけます」パラパラ

ユミル「おぉ!芋が金色に輝いた」

小松「そして、ひとかけらつまんで……、サシャさんの口の中に放り込みます」ポイッ


ピカッ!! キラキラキラキラ…


クリスタ「きゃっ!眩しい!!」

マルコ「て、適合したんだ…」

コニー「やったぜ!!これでサシャは助かるんだな!?」

アルミン「けど…今までさんざん食べてきた芋なのに…どうして適合したの?」

小松「この瓶の中の粉は‘メルクの星屑’っていう、一種の旨味調味料なんだけど…」

小松「以前、サンサングラミーって魚を獲った時、ある人は単体で食べても適合しなかったんだけど…」

トリコ「メルクの星屑を振りかけることによって適合したケースがあるんだ。…よく思い出したな、小松」ヨシヨシ

小松「はいっ。けどもっと早く思い出しとけば…女の子同士でキスなんてさせなくて済んだのに…。すみません」ペコリ

トリコ「気にすんな。少年たちは堪能してたみたいだしよ。…前屈みになってな」ニヤッ

アルミン「そ、そんなことはないよっ」カァァ

ベルトルト「へ、変な言い掛かりはよしてよ」カァァ

ライナー(…クリスタとキス、クリスタとキス、クリスタとキス、クリスタとキス、クリスタとキス…)ブツブツ


マルコ「ゴホンッ、とにかくサシャは回復の見込みが立った。あとはエレンを待つだけだね」

ユミル「なかなか帰って来ないし…。あいつら、どこまで行ったんだよ」

トリコ「ホントになぁ。あいつら、どこまでいってんだろうなぁ」♪~

小松「トリコさん、おっさん臭いですよ…」


ライナー(…クリスタとキス、クリスタとキス、クリスタとキス、クリスタとキス、クリスタとキス…)ヒョイ パクッ


コニー「はっ!?おいっ…ライナー、今お前が食ったのって…」

ライナー「」モグモグ ゴクンッ

ベルトルト「ライナー!なんでポイズンポテト食べるんだよっ!!せっかく解決に向かってたのにっ!!」

ライナー「…ぐっ…、か、勝手にポテトが口へ…、く、クリスタ…た、たすけ…て…」バタッ!!


アニ「…何が勝手に口へ、だよ。バカ過ぎて頭が痛い」ハァ…

クリスタ「え、えっと…、私が助けるべき…なのかな?指名されたし…」

ユミル「放っとけ。下心丸出しで芋食ったんだ。こんな奴、死んでも誰も困らねぇ」

ベルトルト「い、いや…、死んだら困るよ…」アセアセ


サシャ「う…ううん…、あれ…みなさんお揃いで…?」パチッ


コニー「おっ、やっと気付いたか。気分はどうだ?」

サシャ「…なんでしょう。すこぶる快調です。体が燃え滾ってますよ」フンッ

小松「良かったー!無事で何よりですっ!!」


アルミン「サシャは全快したね」

マルコ「…ジャンはエレンにノックアウトされたままだ。…おい、ジャン、大丈夫か?」ユサユサ

ユミル「マルコ、待て。まだ起こすな」

マルコ「えっ?どうして?」

ユミル「意識の無い人間同士だったら問題ないだろう?」ニヤリ

マルコ「…まさか」

ユミル「ベルトルさんはライナーを助けたいんだよな?」

ベルトルト「う、うん…」

ユミル「だったらジャンを運ぶぞ。頭側持って。私は足のほうを持つから」ヨイショ

ベルトルト「…ジャンが適合するとは思えないけど」ヨイショ

クリスタ「そうだよ。さすがにジャンが可哀想だからやめてあげてよっ」


ユミル「けど、ライナーを助けるために、最終的には男連中は全員キスすることになるんだぜ?」ウンショ

コニー「はぁ?なんでだよっ」

ユミル「まずはお前らから犠牲になるのが当然だろ?とりあえず一番バッターがジャンってことで」ヨイショ ドサッ

ベルトルト「…ライナーの上にうつ伏せで乗せれたね」

アルミン「ジャンが適合しないかな…」

コニー「ああ。そしたら俺たちは犠牲にならなくてすむ。…頼むぜ、ジャン」

ユミル「ベルトルさん、ライナーの口を軽く開いて固定しててくれ」

ベルトルト「う、うん」カパッ ガシッ

ユミル「よしっ!じゃあ行くぞ!」

マルコ「ちょ、ちょっと待ってよ!芋を食べたライナーは自業自得だけど、ジャンはやっぱり可哀想だよ!」

ユミル「はぁ?まだそんなこと言ってんのか。だったらマルコからいくか?」

マルコ「ぐっ……。分かった…。僕からでいいよ…」ギリッ


アルミン「マルコ!?気は確かかい?ライナーがファーストキスの相手になるんだよ?」

マルコ「…必要なのは唾液のみ。…なにもキスなんてする必要はないんだ」ツカツカ

アニ「あっ…言われてみれば確かにそうだね」

マルコ「…ベルトルト、そのままライナーの口を開いて固定しててね」ニコ

ベルトルト「わ、分かった」(笑顔が怖い…)

マルコ「ライナー、君の浅はかな行動がすべて悪いんだよ。………ペッ」

ライナー「」ゴクッ

一同(うわあ…。本当にライナーの口の中に唾吐きやがった…)ゾゾッ

マルコ「…変化無し。予想通りだね。じゃあ、この調子でどんどんライナーに唾を吐いてみようか」ニコ

トリコ「…なんだろう、この黒さ。誰かに似てる気がするぜ…」ウーン

小松「…ココさんですね。柔らかな物腰とは裏腹に毒を吐きまくるこの感じは、間違いなくココさんです…」


――数分後


ユミル「良かったな。ライナーがちゃんと光って」

サシャ「はい!私たちにまで順番が回って来なくて、ホッとしました」ヤレヤレ

クリスタ「ふふっ、眩しいよ、ライナー」

アニ「…ベルトルト。いい加減メソメソするのはやめなよ」

ベルトルト「うぅ…、なんで僕の唾が適合するんだよっ…。いい加減にしろよ、ライナー…」グスッ

トリコ「まぁ、お前ら二人からは、なんとなく俺と同じ匂いを感じていたが…」

小松「ベルトルトさん、大丈夫です。ホモは悪いことじゃないですから。堂々と胸を張って生きていきましょうよ!」

ベルトルト「ホモじゃないよっ!君たちと一緒にしないでっ!」



ガラッ


エレン「よ、よう…」スタスタ

アルミン「あっ、エレンが戻ってきた」

クリスタ「ミカサは?無事なの?」

ジャン「…はっ!ミカサっ!!」ガバッ

マルコ「あっ、ジャンが起きた」

ジャン「エレン!ミカサはどうなった?どこにいんだよっ!!」


ミカサ「…私は大丈夫」ギラギラ スタスタ


ユミル「うわっ!!今までで一番光ってんじゃねぇか?」

クリスタ「うんっ。眩しくて目が開けてられないよっ」

トリコ「ほう。こりゃまた、これ以上無いっつーぐらいぴったり適合したもんだな」


小松「て、適合食材は…その…やっぱり…」

ジャン「だぁぁぁぁぁぁ!!黙れ!聞きたくねぇ!」

小松「ご、ごめん。そうだよね、好きな女の子のキスの話なんて聞きたくないよね」

ジャン「だから、黙れよっ!!」ムキー

アルミン「と、とにかく良かったよ。みんな無事でさ」

コニー「しかもパワーアップできたし。一石二鳥っていうやつか?」

マルコ「違うよ。こういう場合は棚からぼた餅って言うんだ」


エレン「…なんか…ほんと悪かった…」ヒソヒソ

ミカサ「…気にしないで。おかげで私は助かった…」ヒソヒソ


小松「あっ、ミカサさん、喉渇いてませんか?コップにお水入れてきますね」

ミカサ「ええ、お願い。さっきからしつこく喉に絡まって…」ゲホッ ゲホッ


男子(…適合したのそっちかよっ!!)

>>1です
レスありがとう。トリコを読んでる層がここにいるかどうか不明だが、こんな感じで最後まで書くよ


――数日後 演習場 対人格闘訓練

ワイワイ ガヤガヤ

エレン「ぐぁっ…!!」ドサッ

ライナー「どうした、エレン。いつもの勢いがねぇな」パキパキッ

エレン「くそっ、ライナーが強くなりすぎだ。ずりぃぞ、俺はまだ適合食材を食ってねぇっていうのに…」ヨイショ

ライナー「確かに、細胞の進化っつーのは恐ろしいもんだな。一瞬で肉体改造されたみたいだ」コキッ コキッ

エレン「なぁ、今ならアニに勝てるんじゃねぇか?」

ライナー「そういや、あいつもまだ適合食材を食ってなかったな…」フム

エレン「試してみようぜ。えーっと、アニは…」キョロキョロ

ライナー「あそこだ。相変わらずさぼってフラフラしてやがる」

エレン「おーい!!アニ!!ちょっとこっち来いよ」


――数分後

ライナー「ぐはっ…!!」ドサッ!!

エレン「…マジ!?」

アニ「…あんたもやるんだろ?」スッ

エレン「い、いや、俺は今日はいい」ブンブンッ

アニ「そう。じゃ行っていい?」

エレン「いや、1つ聞かせてくれ。格段に強くなったライナーをなんで簡単に投げ飛ばせるんだよ」

ライナー「アニも密かに適合食材を食ってたりしてな」イテテ

アニ「そんなもん食べてないよ。ライナーが強くなったのは力だけ。技術が向上したわけじゃない」

ライナー「なるほどな。お前の技は相手の力を利用するから、俺が強くなればなるほど反動がでかいってわけか」


エレン「細胞が進化したからって、確実に強くなるってわけじゃねぇんだな…」ウーム

アニ「強くはなってるんじゃない?けどそんなチート能力に、何年も努力して得た技術が負けたら悲しいじゃない」

ライナー「技術と力、両方揃わないと意味がねぇってことか…」

エレン「適合食材を食ってもやっぱり真面目に訓練はしなきゃなんねぇんだな」ウンウン

アニ「見なよ。ついこの前までは適当に格闘訓練を流してた連中が、眼の色を変えて必死に取り組んでる」クイッ

エレン「…本当だ。ジャンの野郎、この訓練で汗なんてかいたことねぇのに…」

ライナー「逆に細胞が進化した連中はサボり出したな。無駄に心に余裕が生まれちまってる」

エレン「ミカサはトリコに指一本で遊ばれてるけどな。トリコ、どんだけ強ぇんだよ…」


アニ「おもしろいじゃないか。チート能力者VS努力を続けた人間。最終的にはどっちが勝つんだろうね 」

ライナー「そりゃあ、努力を続けたチート能力者が一番強ぇだろ。最後に笑うのは俺だな」ニヤリ

エレン「まぁ、巨人もある意味チート能力だしな。努力を続けた人間が勝つべきだ」ウンウン

ライナー「そうだな…」

アニ「…」

エレン「俺も適合食材を必死に探してたけど…、やっぱ食わなくてもいいや。俺自身の力で強くなってやる」

ライナー「ああ…、頑張れよ」


アニ「…そういえば、あんたは、その…、ミカサが適合しなかったの…?」

エレン「へっ?」

ライナー「そうそう、俺も気になってたんだ。…お前、どこまでやったんだ?正直に答えやがれ」

エレン「な、何もしてねぇしっ。それにそういうことは人前でベラベラしゃべることじゃねぇだろっ」カァァ

アニ「…ふーん、やっぱり適合しなかったんだ」

エレン「あのなぁ、適合するも何も俺はミカサに…ほとんど触れてないっつーか…た、体液とか…そんなの…」マッカ

ライナー「はっ?キスしなかったのか?」

エレン「してねぇよっ!その…勝手にそんなことしたらミカサに悪ぃだろ?…だから、すべて遠隔式で…」ゴニョゴニョ

ライナー「遠隔式?なんだそりゃ」

アニ「…ライナー方式ってことね」


エレン「もういいだろっ!この話題には触れるなよっ」

ライナー「へいへい。けど、いいのか?ミカサにキスするだけでパワーアップするかもしれねぇんだぞ?」

エレン「強くなりてぇから…キ、キスするとか…よ…。なんかちげぇと思うし…」ガシガシ

アニ「ぷっ、あんたって不器用なんだね。そんなの割り切っちゃえばいいのにさ」クスクス

エレン「うっせぇ」

アニ「けど…あんたのそういうとこ嫌いじゃないよ」クスッ

エレン「へっ?」

アニ「じゃ、私はもういくわ」スタスタ…


ライナー「…珍しいな。アニが笑うのは」

エレン「…笑うとけっこう可愛いのな」

ライナー「…ミカサにチクるぞ」

エレン「…それだけは勘弁して」


※  ※  ※  ※

トリコ「ノッキング!!」シュビッ

ダズ「ぐっ…」プルプル


アルミン「おお!本当にダズの動きが止まった。すごいよ、トリコ」パチパチ

マルコ「こんな技術があるなんて知らなかったよ。さすがトリコだね」パチパチ

ミカサ「これがノッキング…!!」

トリコ「運動を司る神経組織を刺激して一時的な麻痺状態にする技術だ。通常は獲物を捕獲する際に使用する技だが…」

トリコ「見てのとおり、人間相手にも利用できる」

ジャン「これってダズの意識はあるのかよ?」

トリコ「ああ、体が動かせないのと口が利けないこと以外は普段通りだ」

アルミン「本当かな…」


ジャン「試しにくすぐってやる」コチョコチョ

ダズ「っっ~~~~!?」プルプル

マルコ「もうやめろよ。顔を真っ赤にして涙を流してるじゃないか」

アルミン「本当に辛そうだ。感覚はしっかり残ってるんだね」

ミカサ「動けない時間はどれくらいなの?」

トリコ「ノッキングの深さによるな。今回はごく浅めに打ったから10分ってとこか」

ジャン「俺にも習得できるのか?ノッキングってやつは…」

トリコ「んー、素手じゃ無理だろうな。俺は指でできるが、一般的にはノッキングガンっていう専用の道具を使う」

アルミン「ノッキングガン?」

トリコ「これだ。一個だけポケットに入ってた」カチャ


マルコ「へー、初めて見る道具だ。こんなのどこで売ってるの?」

トリコ「えっ?さ、さぁ…、忘れちまったなぁー」♪~

アルミン「なんだろう、この材質。鉄じゃないし、銀でもない…。本当にどこで手に入れたの?」

トリコ「だぁぁぁ、もうっ、細けぇことは気にすんな。いわゆる大人のおもちゃみてぇなもんだ」

ジャン「お、大人のおもちゃ…」ゴクッ

トリコ「悪ぃけど、ガキのお前らにはどこに売ってるかは教えられねぇ」ニヤリ

アルミン「そ、そうなんだ。じゃあ仕方ないよね…ははは…」カァァ

マルコ「お、おもちゃっていうより犯罪を助長させる危険な道具だよ、それは」

トリコ「まあな。危ねぇ野郎が手にしたら世の中性犯罪だらけだ。けど、お前らは悪ぃことはしねぇだろ?」

ミカサ「ええ、もちろん」

トリコ「つーわけで、これ、お前らにやるよ」ポイッ

アルミン「えっ?いいの?」パシッ

トリコ「ああ。俺には必要ねぇし。それに針が残り5本しか入って無ぇから、使用できるのはたった5回だ」


ジャン「アルミン、俺に寄こせよ。俺が管理してやる」グイッ

アルミン「駄目だよ。ジャンはきっとよからぬことに使うだろ?僕が持っとくよ」グイッ

マルコ「それより、本当にその道具でノッキングできるか試してみようよ」

ミカサ「そうね。正しい使用方法を教えてもらはなくては…」

トリコ「分かった。じゃ、被験者がいねぇとな…」キョロキョロ


ダズ「ぶはっ…ハァ…ハァ…、ひでぇよ、トリコ!!急に何すんだよっ!!」


マルコ「あっ、ダズのノッキングが解けた」

ジャン「ちょうどいいんじゃねぇの?」

トリコ「だな。ダズならミスって大怪我させても‘おしりしお’で回復できるし」

ミカサ「適合食材って食べる度にパワーアップするの?」

トリコ「いや、細胞が進化するのは初回だけ。それ以降は、再生能力が一時的に高まるだけだ」

ダズ「な、なんの話してるんだよっ。もうやめてくれよ。動けねぇってのは結構しんどいんだからなっ!!」


トリコ「すまん、ダズ。…ノッキング!」カチッ

ダズ「んぐっ!?」プルプル


アルミン「おぉー!!ノッキングガンでもちゃんと動きが止まったね」

トリコ「いいか、ダズの耳の後ろをよく見てみろ。針を刺した後が小さく残ってるだろ?」

ミカサ「…本当。赤い小さな点がある」

トリコ「そこが人間のノッキングポイントだ。運動を司る小脳に細い針を刺し一時的に麻痺させる」

マルコ「脳に針なんて刺して大丈夫なの?」

トリコ「その針は生分解性ポリマーでできた特殊なもんだ。時間が経てば溶けて体に吸収されるから問題無ぇ」

アルミン「世の中には僕の知らないことがまだまだたくさんあるんだね。トリコの話は面白いよ。もっと聞きたい」

トリコ「いいぜ。って、やべっ、教官がきた」


ジャン「ダズ固まったままじゃん。いつノッキング解けるんだよっ」

トリコ「このノッキングガンは30分だ」

マルコ「まずいよ、それ。教官の問いかけに無反応じゃ、ダズが営倉行きになる」アセアセ


キース「貴様ら!!訓練をさぼって何を」カチッ「ぐっ…!?」プルプル


アルミン「ちょ、ちょっとトリコ、教官をノッキングしちゃダメだよ」ヒソヒソ

トリコ「仕方ねぇだろ。とりあえずこの場を離れよう」ヒソヒソ スタスタ

マルコ「ダズは?」ヒソヒソ スタスタ

トリコ「置いてくしかねぇだろ。悪ぃが30分間、教官とお見合いしててくれ」ヒソヒソ スタスタ


※  ※  ※  ※

ジャン「くくっ、ダズと教官、まだ向かい合って立ち尽くしてるぜ」ゲラゲラ

マルコ「ダズの心中を思うと笑えないよ…」

トリコ「ほら、ノッキングガン。残りの針が3本になっちまった。悪ぃな」ポイッ

アルミン「構わないよ。今のところ使用目的があるってわけじゃないから」パシッ

マルコ「ねぇ、みんな。この道具の存在は他の人には伏せといたほうがいいと思うんだ」

ミカサ「そうね…。悪いことに使おうとする人が出てくるかもしれない」

ジャン「俺も賛成だ。確実に奪い合いになって血が流れる」

マルコ「その中心にはジャンがいそうだけどね」

ジャン「てめっ」

アルミン「まあまあ。…そうだね。みんなには内緒にしとこう。トラブルの原因は作らないほうがいいね」


ミカサ「ねぇ、トリコ」

トリコ「なんだ?」

ミカサ「巨人もノッキングできるのかしら?」

トリコ「奴らに脳みそがありゃ理論上は可能だが…。すまん、まだ巨人を見たことねぇから何とも言えねぇ」

マルコ「トリコも巨人を見たことないんだ。僕と同じだね」

ジャン「俺も実物に会ったことはねぇな」

ミカサ「…あんなの会わないほうがいい」ギリッ

アルミン「僕もできれば二度とお目にかかりたくないよ…」グッ

マルコ「ごめん、ミカサとアルミンはシガンシナ区出身だったね…」

トリコ「シガンシナ?なんだそりゃ」

ジャン「バカッ、巨人の襲撃を受けた最前線の街だ」


トリコ「なるほどな…。よし、今度の休日にみんなで巨人を見学しに行くぞ」

アルミン「えっ?見学って…どうやって?」

トリコ「壁の向こう側には巨人がうようよしてるんだろ?」

マルコ「けど、門は開かないし…、許可がないと壁の上には登らせてくれないよ」

トリコ「許可なんかいらねぇよ。立体機動装置を使って勝手に登りゃいいだろ」

ジャン「おいおい、機動装置の無断使用は厳罰だぞ」

トリコ「休日に自主トレしたいとか、整備したいとか、持ち出す理由はいくらでもあるだろ」

ミカサ「けど…」


トリコ「ミカサ、アルミン。俺が巨人なんて大したことねぇって証明してやるよ」ニッ

アルミン「トリコ…」

トリコ「ノッキングできるかどうかも試してみてぇしな。ついでに肉も確保できりゃ万々歳だ」

ミカサ「分かった。私も行こう」

アルミン「ぼ、僕も。エレンも誘っていいかな?」

トリコ「もちろんだ。お前らはどうする?俺の鼻は次の休日はピクニック日和だって言ってるが」クンクンッ

ジャン「ちっ、しょうがねぇな。俺も行ってやるか。小松の弁当は付くんだろうな?」

トリコ「当然だ。スペシャル弁当を作ってもらおうぜ」

マルコ「僕も行くよ。敵の姿を知らずに訓練したって実感がわかないから…」

トリコ「よし!決まりだな!」ニッ


――訓練後 調理場

グツグツ グツグツ

サシャ「じゃーん!!コマツの依頼どおり、教官専用の食料庫からハムをくすねて来ましたよ♪」ドサッ

小松「うわっ、すごい大きな塊だね。教官たちはこんな良い肉隠してたんだ。大人ってずるいねぇ」

コニー「本当だぜ。俺たちは馬かっていうぐらい野菜ばっかりなのによ、不公平だ」

小松「とにかくありがとう、サシャさん、コニーさん。あっ、けど後でまた食料庫にこのハムは返してもらうけど…」

サシャ「ふぇっ?食べさせてくれるんじゃないんですか!?」

小松「もちろん食べさせてあげるよ。ちょっと待っててね。…まな板の上にハムをのせて…」ウンショ

小松「蘇生包丁を用意…」シュルッ

コニー「いっつも使ってる変な形の包丁じゃねぇんだな」

小松「うん。今日はこの包丁を使うんだ」

小松(向こうの世界では禁止されている闇の技術だけど…。こっちの世界は食糧不足なんだ。使うしかないよね…)


小松「」スッ……トンッ 

サシャ「ハムを4分の1ほどカットしましたね…」

コニー「…んん!?切ったところが膨らんできたぞ!!?な、なんだこれっ???」

サシャ「ハ、ハムが生き物みたいに勝手に大きくなっていきますっ!!」

コニー「お、おい…、切られたはずのハムが元通りの大きさに戻ったぞ…!?信じらんねぇ」

小松「ふぅー、成功だね」ヤレヤレ

サシャ「一体ハムの身に何が起こったんですか!?」

小松「うーん…、一種の手品みたいなもんだと思ってよ」トンッ


コニー「はぁ?納得できるかよっ」

小松「まあまあ、はい、ご褒美のハム。あと、この事はみんなには内緒にしてて欲しいんだけど」

サシャ「きゃー、こ、こんなに大きな塊を頂いちゃっていいんですか!?」フルフル

コニー「お、俺、一度でいいからこんな厚切りのハム、食ってみたかったんだよ」フルフル

小松「遠慮しないで食べなよ。黙っててくれるなら、もう一枚切ってあげるよ」ニコ

サシャ「はいっ!秘密ですね、了解です!!」ガブリッ

コニー「手品でいいや。難しい説明されても、俺分からねぇし」ガブッ

小松「よし…、どんどん増やすぞ…」


――1時間後


サシャ「ハムの山ーーー!!」

コニー「うぉぉぉぉ!!この山に飛び込みてぇぇぇ!!」

小松「ふぅー、これだけあれば、しばらくは毎日お肉が食べれるね」

サシャ「本当ですかっ!?コマツは私の神様ですっ」

小松「か、神様だなんて、よしてよ」テレテレ

コニー「俺さ、訓練兵になってよかったって今初めて思ったぜ。実家じゃ、ほとんど肉なんて食わしてもらえねぇから」

小松「そっか…。みんな好きで兵士になってるわけじゃないんだよね…。厳しい世界だなぁ…」

サシャ「それより、コマツにお願いがあります」

小松「なぁに?」

サシャ「さっきの無限にハムを増やす技術、ぜひ私にも教えてください」

コニー「ああ、俺も習いてぇ。あの技を覚えれば一生食い物に困ることは無ぇ」


小松「うーん…、教えてあげたいのはやまやまだけど…、食材に真剣に向き合った人のみが習得できる技なんだ」

サシャ「食材と向き合う?」

小松「うん。長年、料理人をしてると、食材の気持ちが分かるっていうか…、食材の声が聞こえるようになるんだ」

コニー「食材がしゃべるのかよ」

小松「もちろん、実際にはしゃべらないよ。けど心に直接訴えかけてくるんだ」

小松「もし、君たちが食材の声を聞くことができたら…、この技を覚えられるかもしれない」

サシャ「…私、聞いたことありますよ」

小松「えっ!?」

コニー「マジ!?」

サシャ「はい。芋限定ですけど。焼いて欲しいって言ってくる芋と、蒸して欲しいって言ってくる芋がいます」

コニー「それ…、単なるお前のその日の気分じゃねぇか」

小松「いや…、そうとは言い切れないかもしれないよ…。サシャさんのお芋への愛情は本物みたいだから」

サシャ「はい。相思相愛です」


小松「ちょっと切ってみません?」ゴソゴソ ゴトッ

サシャ「芋を、ですか?」

小松「はいっ。ここに用意しました。包丁はこれを使って下さい」スッ

コニー「さっきコマツがハムを増やしてた包丁か…」

サシャ「け、けど…、今まで芋を切って増えたことなんて無いですよ?」ニギッ

小松「この包丁は蘇生包丁といって特殊な鉱物で作られたものなんだ。これを使用しないと食材は再生しない」

コニー「手品のタネはその包丁だったのか」

小松「もちろん技術も必要だよ。けど食材の声が聞こえるんだったら…」

サシャ「分かりました。芋にどこを切って欲しいか聞いてみます…」

コニー「はぁ?お前大丈夫か?」

小松「しっ!コニーさん静かに」

コニー「お、おう」


――数分後


サシャ「」スッ

小松(あっ、瞑想していたサシャさんが包丁を握った)

コニー(芋の声が聞こえたのか!?)

サシャ「」スパンッ

小松(躊躇無く刃を入れた…。まるで包丁がその場所に吸い寄せられるように…)

コニー「お、おい…!!芋が…、切られた芋が…」アワアワ

小松「うん。再生を始めた。すごいよ、サシャさん!!一発で成功するなんて!!君は料理の天才だよ!!」

サシャ「ふぅ…、ちょっと切るだけなのに、めちゃくちゃ疲れました…」グッタリ

小松「ははっ、食材と会話するには集中力が必要だから」

サシャ「こんなに疲れるのに…コマツはすごいです。休むことなくハムを増やしてましたから」

小松「慣れだよ。サシャさんも慣れれば楽になるよ。蘇生包丁を使いたい時はいつでも言ってね」

サシャ「はい、今日はもう無理なので、また今度貸してください…」ヘロヘロ

小松(この世界にもいるんだね。食材に愛される人間が…。ふふっ、なんだか嬉しいな)ニコニコ

>>1です
予想以上にレスがあった。バンザイ!感謝です
続きはまた後日で


――休日 ウォールローゼ南地区 城壁付近

パカラッ パカラッ パカラッ…

トリコ「うぉーうぉー釘パンチー♪うぉーうぉー連発でー♪」パカラッ

エレン「おいっ、トリコ、どこまで行く気だ」パカラッ

アルミン「う、馬なんて乗ってきちゃったけど…これはさすがに教官にバレるんじゃ…」パカラッ

トリコ「心配すんな。教官連中は今朝全員ノッキングしてきたから。明日の朝まで動けやしねぇよ」パカラッ

ジャン「ひでぇ…」パカラッ

マルコ「やりたい放題だね…」パカラッ

ミカサ「…トリコの馬、苦しそう。もう舌が出てる」パカラッ

トリコ「俺は230㎏前後あるからな…。よし、この辺りで止まるか」グイッ ヨイショ スタン

トリコ「悪ぃな、俺なんか乗っちまって。しばらくゆっくり休憩してろ」ナデナデ


アルミン「くぅー、気持いいね。天気もいいし、そよ風が吹いてて…」

ミカサ「広々とした草原ね。民家の影もここからは見えない。…後ろは巨大な壁だけど」

ジャン「おっ、いい感じの水場があるじゃねぇか」

マルコ「うん。あそこの近くの木に馬を繋ごうか」

エレン「だな」

アルミン「今日はコマツは一緒じゃないんだね」グルグル ギュッ

トリコ「ああ、今日は下見だけだしな。それにあいつサシャに料理を教えるって張り切ってたし」グルグル ギュッ

エレン「サシャに?」

ミカサ「そういえばコマツのおかげで芋が増やせるようになったってはしゃいでた」

ジャン「なんだそりゃ?」

マルコ「農業でも始めるのかな…」ウーン


トリコ「この世界の食の未来はサシャにかかってるんだとさ。…じゃ、そろそろ壁を登るか。機動装置を装備しろ」

アルミン「う、うん」ガサガサ

ミカサ「…ブレードは持ってきてないけど……いいの?」カチャカチャ

トリコ「お前らは壁の上から見学するだけだろ?俺は降りるけどな」カチッ

エレン「お前、丸腰で巨人の相手をする気かよっ。死ぬぞ!?」カチャ

トリコ「心配すんな。武器はちゃんとある」

ジャン「どこに?」

トリコ「これだ。俺の両腕と両脚」ニヤリ

マルコ「す、素手で挑むの!?無茶だよっ!!」

トリコ「まあまあ、見てなって。よし、みんな小松の弁当忘れず持ったか?」

一同「「おう!!」」

トリコ「じゃあ、巨人に挨拶しに行くぞ!!」バシュッ


――数分後 壁上

ビョォォォォォ…

アルミン「うわっ、思ってた以上に高いね…。恐くて下が見れないや…」ブルブル

エレン「すげぇ見晴らしがいいな。あっ、俺たちの訓練所見っけ」

マルコ「…すごく遠いけど内地が見えるね」

ジャン「…ああ、あそこで暮らしてぇもんだな」

ミカサ「…シガンシナ区への壁門がうっすらと見える」

エレン「マジ!?どこだ!!」グルッ

ミカサ「あそこ」スッ

アルミン「…うん。方角的に間違いないね。あれが…僕たちの故郷の入口だ…」ジワッ

ミカサ「…こんなに近いのに、目に見えてるのに……遠すぎて帰れない……」グスッ

エレン「泣くな!俺が必ず巨人を駆逐してやるから。絶対ぇ3人で帰ろうな」ガシッ

アルミン「うん…、僕も頑張るよ」

ミカサ「…私もエレンの力になろう」

ジャン(くっ…、3人で肩なんか組みやがって…。ちくしょっ、幼馴染うらやましいぜ)ギリギリ


トリコ「…なるほど。あれが巨人か…。不細工だな、おい」ククッ

マルコ「ここから見ると小さいけど…、実際はすごく大きいんだよね…」ゴクッ

ジャン「3mから15mだっけ?サイズぐらい統一しとけってんだ」

トリコ「目に付く範囲で…10体か。1番近いヤツで100m先だな。もっと近くに集まって来ねぇかな」

アルミン「人間のいる所に集まる習性があるらしいから…。僕達がここに居れば寄って来るんじゃない?」

トリコ「よしっ、弁当にするか。のんびり食ってりゃ、巨人も集まって来るだろ」


――数分後

アルミン「おいしいね!僕こんなに立派なお弁当食べるの初めてだよ」モグモグ

エレン「俺らの弁当って、堅い黒パンをそのまま紙袋に入れて持ってくだけだもんな」ムシャムシャ

ジャン「そうそう。とりあえず腹が満たせればいいって感じで」モグモグ

マルコ「食べ物に美味しさなんて求めてる余裕は無いからね。その日の食料を確保するだけで精一杯だ」モグモグ

トリコ「はぁー、お前らは夢がねぇな。もっと食い物に関心を持てよ。見てみろ、ミカサを。幸せそうだぜ?」


ミカサ「ゆで卵のスライスに薄切りハムが何枚も重なって…なんて贅沢なサンドイッチ…」ウットリ


アルミン「…本当だ」モグモグ

エレン「へぇ、ミカサは食い物に興味あったのか。知らなかった」ムシャムシャ

マルコ「女の子は何事も量より質を重視するよね…」モグモグ

ジャン「…頬をピンクに染めやがって…、可愛いじゃねぇか、くそっ///」パクッ


トリコ「お前ら覚えとけよ。いいか、女ってのはウマい食いもんご馳走してやるっつったら、大体付いて来るもんだ」

ジャン「マジ!?」

トリコ「ああ。気になる女を誘う時は食い物で釣れ。俺自身の統計では8割がた成功する」

アルミン「食事に誘うのか…。メモっとこう…」ゴソゴソ カキカキ

トリコ「で、散々奢らされた後は8割がた連絡が取れなくなる」ヤレヤレ

アルミン「…メモる必要無かったね」ケシケシッ

トリコ「女ってのは薄情だよな。恩をすぐに忘れやがる。その点、男は受けた恩義はきっちり返そうとするだろ?」

エレン「まあな。貸しを作ったままってのも気持悪ぃし」

マルコ「恩返しは人として当然だよね」

トリコ「だろ?お前らも騙されて泣く前に女なんかやめて男にしとけって」

ジャン「結局、ホモの勧誘かよっ!!」

トリコ「とりあえず男は1回ケツ貸してくれる。女と違って律儀なもんだ」

エレン「俺は絶対ぇ貸さねぇしっ!!」

アルミン「真面目に聞いてた僕がバカみたいだ…」


トリコ「ミカサぁ、サンドイッチもうめぇけど、このマフィンも最高だぜ?」ポイッ

ミカサ「あっ…とと…。…食べ物は粗末に扱わないで」キャッチ

トリコ「いいから食ってみな。そのマフィンは虹の実ジャムが練り込んである。ビビるぐれぇうめぇぞ」

ミカサ「虹の実…?聞いたことのない食べ物…」

ミカサ「」パクッ モグモグ…

ミカサ「」ゴクンッ

ミカサ「」

ミカサ「」ツー…

エレン「おいっ、なんでマフィン食って泣いてんだよっ!?」

ジャン「どうした!?また変な毒でも入ってたか!?」

マルコ「毒だったら問題無いね。ここにエレンがいるし」

エレン「い、いや…」カァァ

ジャン「がぁぁぁぁ!!照れてんじゃねぇよっ!マジむかつくっ!」


アルミン「本当にどうしたの?ミカサ?」

ミカサ「甘いの…、すごく甘くて…幸福感に包まれて…、涙が止まらない…」ツー…

トリコ「美味い食いもんは人を感動させる力がある。こんな殺伐とした世界なんだ。せめて食うことぐらい楽しめよ」

エレン「ずりぃ、トリコの弁当だけマフィンが付いてて」

トリコ「当然だろ?俺、愛されてるし」

ジャン「つーか、10個以上抱えてんじゃねぇか。1つぐらいよこせよ」

トリコ「虹の実ジャムは少ししか持ってきてねぇって言ってたが……、いいぜ、お前らにもやるよ」ホレ

アルミン「わーい、ありがとう」

マルコ「嬉しいな。甘い食べ物なんて本当に久しぶりだよ」

トリコ「食い物はみんなで分け合ったほうがよりうめぇからな。どんどん食え」


エレン「じゃ、遠慮なく」パクッ モグモグ

エレン「」フルフル

エレン「…んっめぇぇぇぇぇ!!!」

ジャン「やべぇっ、マジやべぇ、なんだコレ!?ウマすぎて叫びたくなるぜっ!!うぉぉぉぉぉ!!!」

アルミン「虹の実ってナニ!?噛む度に味が変わるんだけど!?でも最高に美味しいよっ!!」モグモグ

マルコ「柑橘系のさわやかな味と香りに包まれたかと思うと、次の瞬間には濃厚な栗のような甘さが襲ってくる…」

マルコ「かと思えば摘み立てのベリーのごとき芳香が鼻の奥に広がり、瑞々しい甘酸っぱさが広がっていく…」

マルコ「時折、洋なしを思わせる芳醇でねっとりと絡みつくような甘さが顔を出し、存在感を主張する…」

マルコ「あぁ…、この小さなマフィンにこの世の全ての甘味が詰まっているようだ…、イタっっ!!」バシッ

ジャン「感想が長ぇよっ!」

マルコ「ひどいな、なにも叩かなくても…」イテテ


トリコ「…マルコは向こうの世界にいたら味覚マスターになれたかもな」

マルコ「…味覚マスター?なにそれ?」

トリコ「なんでもねぇ、単なる独り言だ。巨人君も集まってきたみてぇだし、俺はそろそろ行くぜ」スクッ

エレン「本当だ。壁の真下に3体もいる…」ヒョコッ

アルミン「ほ、本当に行くの?素手で…」

トリコ「ああ。お前らはそこで見学してろよ」スタスタ 

ミカサ「…無謀」

トリコ「無謀かどうかはその目で確認しな」バシュッ ヒュンッ

ジャン「マジで行きやがった…」

マルコ「よ、様子を見なきゃ…」スクッ スタスタ


―――壁面 

ビョォォォォォ…
ブラーン…

トリコ「さてと…、3体か…。巨人の捕獲レベルは不明だしな。まとめて相手するのはしんどいか…」ウーム

トリコ「もう少し近寄るか…アンカーを下の方にも打って…」バシュッ 

トリコ「少しずつワイヤーを巻き取りながら降りていくっと…」ギュルギュル… トンッ トンッ



トリコ「おーおー、あいつらがジャンプしたら手が届きそうな距離だな。…だがさっきから漂うこの匂い…」

トリコ「くっせぇーな、おい。今まで嗅いだ事のねぇ匂いがしやがる。何の成分だ、これ?」クンクンッ

トリコ「いや、待てよ…。うっすらとだがこの匂いどこかで嗅いだような…」ウーン…

トリコ「…あっ!?思い出した。あいつらだ…」ポンッ

トリコ「けどなんであいつらから巨人の匂いがすんだ…???」


トリコ「まぁいい。今は目の前の獲物を狩ることだけに集中しねぇとな…」

トリコ「大きさは6m級1体に13m級2体…。トロルコングとヘビークリフってとこか」

トリコ「面倒くせぇから、とりあえず動きを止めるか…」スッ

トリコ「フライングフォーク!!」ビュッ!!


6m級「ぐぁぁぁっ!!」ザクッ!!


トリコ「よし、足を地面に縫い付けてやったぜ!これであいつは動けねぇ。他のヤツも固定するか」

トリコ「フライングフォーク!フライングフォーク!フライングフォーク!フライングフォォァック!!」ビュッ!ビュッ!

トリコ「これで安全だな。…地上に降りるぜっ」バシュッ


――壁上

ビュゥゥゥゥ…

エレン「な、何が起きたんだ!?トリコの腕が光って…」

アルミン「腕を振ったら、フォーク?みたいな形をした光の塊が飛んでった…」

ミカサ「それが巨人の足に突き刺さってる…」

ジャン「あいつ…まさか、魔法が使えるのか!?」

マルコ「…ジャン、本気で言ってるの?」

エレン「おっ、地面に降りたぜ」

アルミン「うわぁ…。あいつら足を動かせなくてもトリコを捕まえようと必死だね…」


ミカサ「…次は何をする気かしら?」

ジャン「巨人の背後に回って…、なっ!?今度は右足が光った!!」

マルコ「何も無い地面を蹴って……脚から何かが飛んだっ!!」

エレン「…すげぇっ!!光の刃が巨人の項を削いだ!!」

アルミン「ほ、本当に素手で倒しちゃった…!!」

ミカサ「…もう一体も続けて倒した。巨人に近寄ることなく確実に項を削げるなんて…!!」

ジャン「残りはでっけぇの1体か…」

マルコ「ノッキングを試すのかな…」


――地上

トリコ「俺は食べる目的以外で生き物の命を奪わないことにしてる…」

トリコ「安心しろ。お前らまとめて全部たいらげてやるからよ」ニッ

トリコ「さて…、残ったお前は悪ぃんだが、俺のノッキング練習にちょっとだけ付き合ってくれ」

トリコ「巨人のノッキングポイントか…。人体と同じ構造なら耳の後ろの辺りだが…」

トリコ「ここはサニーに教わった‘直観’に頼ってみるか…」

トリコ「」ボー

トリコ「」ホジホジ ボー

トリコ「」フラフラ

トリコ「」バシュッ ビュンッ

トリコ「ここだっ!!ノッキング!!」ズブッ!! ズボッ!!


巨人「うがっ……!?」プルプル


トリコ「ふぃー、何とか成功だな。なるほど、巨人のノッキングポイントは盆の窪か…」

トリコ「かなり深くまで腕を差し込まなきゃ運動中枢を刺激できねぇな…。エレンたちにも後で教えてやるか」

トリコ「にしても、近距離だと鼻が曲がりそうだ。マジでこの匂いナニ?生理的に受けつけねぇ」オエッ


ドドドドドドド…


トリコ「ん?向こう側から1体猛ダッシュでこっちに来るな。やべっ、俺ってモテモテじゃん」

トリコ「くくっ、腹の出た全裸のおっさんがオカマ走りすんなっ」ゲラゲラ

トリコ「こいつらには項以外の攻撃は無効だっつってたが…粉砕しても再生すんのか…?」

トリコ「試してやるぜ。ほら、早くこっちに来いよ」クイッ


巨人「ぐぁぁぁぁ!!」


トリコ「いくぜっ!」バシュッ ビュンッ

トリコ「スゥ……50連釘パァンチッ!!」ドゴォッ!!


巨人「っ…!!?」ダンッ!! ダンッ!! ダンッ!! ダンッ!!…

トリコ「うおっ!?早くアンカー抜かないと俺まで一緒に吹っ飛ばされるっ!!」シュビッ スタッ!!


――壁上

ビュゥゥゥ…

エレン「きょ、巨人がパンチで吹っ飛ばされた…!?」

アルミン「信じられない…。人間にそんなパワーがあるなんて…」

ミカサ「…巨人がカクカクしながら宙を飛んでく。…青い空に浮かぶ巨人。シュールね」

ジャン「はは、どこまで飛んでくんだろうな。このまま雲の上まで行ったりしてな」

マルコ「…あっ…弾けた…!!」

エレン「しゃぼん玉みてぇだな…」シンミリ

アルミン「…うん。壊れて消えたね」フフ

ミカサ「…ふふっ、地上に赤い雨が降り注いでる」

ジャン「ああ…巨人の涙かもしんねぇな」

マルコ(…みんな現実逃避してるよ)


――地上

トリコ「ここまで粉々にすれば再生は不可能か。まぁ、項の部分も粉砕したしな…」

トリコ「よし!!邪魔者がいなくなったところで実食といくかっ!!」クルッ

トリコ「さすがに生は俺でもひくな。火でも起こしてぇところだが…」テクテク

トリコ「んん!?な、な、なんじゃこりゃあ!!?」ダダッ

トリコ「えっ……えっ!?さっき倒したばっかりなのになんでもう腐って溶けてんだよっ!?」アタフタ

トリコ「…溶ける?違うな。体から発せられる大量の蒸気…。こいつら死んだら気化すんのかっ!?」

トリコ「くそっ、そんな話聞いてねぇぞ。最初に教えろよ、眼鏡教官っ!」ガシガシッ

トリコ「…そうか。生きながらにして肉を削げばいいのか」ポンッ

トリコ「ノッキングしたあいつの太ももの肉を少し頂くとするか…」スタスタ


――壁上

ビュゥゥゥゥ…

アルミン「おかえりなさいっ!すごいよ、トリコ!たった1人で4体も相手にするなんて」

ミカサ「あなたは規格外ね、トリコ」

エレン「カッコ良かったぜ!!俺にもあの技教えてくれよ。なんか飛ばすヤツ」

ジャン「つーか、トリコ1人で巨人を全滅できるんじゃね?」

マルコ「…どうしたんだい?元気が無いね」

トリコ「うぅぅ…、せっかく獲ってきた巨人のもも肉が…」グスッ

アルミン「えっ?お肉!?どこにあるの?」

トリコ「壁を登ってる途中で消えて無くなっちまった!どうやったら食えんだよっ!巨人の肉!!」

>>1です
レスありがとう。トリコ好き?がいて良かった
トリコって子ども向けっていうより、キン肉マンが好きだったおっさん世代向けに感じる


――翌日 調理場

グツグツ グツグツ

小松「なるほど…。巨人の肉は特殊調理食材なんですね」

トリコ「ああ。死んだ途端、組織が気化し始める。生きた状態で肉を削いでも消失は防げなかった」

小松「…直接、巨人に齧りつくしかないんですかねぇ…」

トリコ「踊り食いか…」

小松「はい、少し残酷な気もしますけど…」

トリコ「うーん、駄目だろうな。肉が本体から離れた時点で、組織が即座に死滅するんだ…」

トリコ「齧っても口の中で瞬時に朽ちていくだろう。それじゃあ巨人本来の味が分からねぇ」


小松「…要は細胞が死んだと悟らなければいいんですね」

トリコ「あっ…!!」

小松「次は僕も連れてって下さい。きっとお役に立てると思いますから」ニコッ

トリコ「だな。やっぱ小松が一緒じゃねぇと俺は何にもできねぇな」ニシシ

小松「そ、そんなことはないですよっ。僕はいつもトリコさんに助けてもらってばかりで…」アセアセ

トリコ「当然だろ?俺たちはコンビだ」

小松「はいっ!二人で力を合わせれば捕獲できない食材なんてありませんよ」


――食堂

ワイワイ ガヤガヤ

ライナー「お、おい…、トリコ、やめてくれ、あ…っ」カァァ

トリコ「いいじゃねぇか。少しぐらいよ…」クンクンッ

ベルトルト(うわぁ…、目の前でマッチョ同士が絡んでる…)

アニ(…なんで頬を染めてんのさ。喜んでるようにしか見えない…)

ライナー「…ひ、人前でよしてくれ…、恥ずかしいだろ……ひゃぁんっ」カァァ

ユミル「ぎゃはははは!なに変な声出してんだよ、ライナー。お前、首筋が弱いのか?」ゲラゲラ

クリスタ「…人前じゃなかったらいいのかな?」

ライナー「ち、違うぞ、クリスタ!!人前でも、2人きりでもこんなことっ……はぅん…っ」カァァ ヘナヘナ

トリコ(…やっぱり微かに匂うんだよな。こいつから巨人の体臭が…)クンクンッ

ユミル「ぶっ、思いっきり感じてるじゃねぇか。お前、真性ホモ確定だな」ゲラゲラ

ライナー「勝手に確定するなっ!!」


トリコ「悪かったな、ライナー。もういいや」スクッ

ライナー「あ、ああ…。お前の行動は意味が分からん」

トリコ「次は…ベルトルトだな」ニヤリ

ベルトルト「…へっ?」

トリコ「捕獲!!」ガバッ

ベルトルト「ぎゃあっ!!やめてくれよっ」ジタバタ

トリコ「ちょっとだけ、ちょっとだけでいいから。痛くしねぇから大人しくしててくれ」ガシッ クンクンッ

アニ(…本物の変態って初めて見た)

ライナー「人の匂いを嗅ぎまくって、本当にトリコは何がしてぇんだよ」

トリコ(…ベルトルトからも同じ匂いがする。…これは全員確かめたほうがよさそうだな)クンクンッ


ベルトルト「もう!いい加減離せよっ!!」ジタバタ

トリコ「すまん、すまん。じゃあ、次はクリスタいってみようか」ニッ

クリスタ「ふぇっ?」

ユミル「ちょっ!?お前、男専門じゃねぇのかよっ!!」

トリコ「心外だな。…小松専門だ」ユラッ

ユミル「んなことはどうでもいいんだよっ。クリスタにだけは近づくな!!変態ホモ野郎!!」

トリコ「ならユミル、お前からだっ!!」ガバッ

ユミル「ぎゃぁぁぁぁっ!!助けてっ!!!」ジタバタ

クリスタ「ゆ、ユミルを離してっ!!」ポカポカ


――調理場

ガチャガチャ ガチャガチャ

小松「さてと、夕食時間も終わったし、後片付けしなきゃ」

小松「相変わらずすごいお皿の量だね…。けど食義を極めた僕には、これぐらい朝飯前だ」


ガチャ!!


ジャン「…コマツ、例のもの取っておいてくれてるか?」スタスタ

小松「あっ、ジャンさん。はい、ミカサさんが返却したトレイは、そのままそこの机の上に残してるよ」

ジャン「サンキュ、コマツ」

小松「…そんなもの一体どうするの?」


ジャン「…俺はやっぱり強くなりてぇ。ズルしてでも力が欲しいんだ」スッ カチャッ

小松「スプーンを手に取った…。はっ!?まさかっ!!」

ジャン「軽蔑するならすればいいさ。だが俺は……このスプーンを舐めなきゃなんねぇんだっ!!」アーン…

小松「早まっちゃ駄目だっ!!」ガシッ

ジャン「止めるな、コマツ!!これが俺の生き様だっ!!」ググッ

小松「ば、バカ野郎っ!!」ボグシャァ!!

ジャン「ふぐっっ!!」ドスンッ!!

小松「あっ、ご、ごめんねっ…。思わず手が出ちゃった…」オロオロ

ジャン「プッ…、くそっ、口の中が切れたじゃねぇか…」ゴシゴシ


小松「ほ、本当にごめんなさいっ!!…けど、そんなことしたら絶対に後悔するから…」

ジャン「うるせぇ。適合して強くなれりゃ、それでいいんだ。後悔なんかしねぇよ」

小松「だって適合しない可能性のほうが高いよ」

ジャン「それでもいい。少しでも可能性があるなら試す価値があるだろ?」

小松「だったら…ミカサさんのスプーンだけじゃなく全員のスプーンを舐めるべきだよ」

ジャン「い、いや…、それはちょっと…」

小松「強くなりたいんでしょ?明日、全員のスプーンを洗わずにジャンさんが来るのを待つよ」

ジャン「ぐっ…、そんなことはしなくてもいい…」

小松「あのさ…、僕もジャンさんの気持ち分かるんだよ…」

ジャン「コマツ…?」


小松「子どもの頃…僕もこっそり舐めたことあるんだ…。好きな子のリコーダーを…」テヘ

ジャン「…リコーダーってなんだ?」

小松「えっと…、縦笛って言ったら分かるかな?」

ジャン「はいはい、笛ね。…………お前、相当キモいな」ドンビキ

小松「ちょっ、ジャンさんだって同じことしようとしてるじゃないかっ」

ジャン「いや、違ぇ。スプーンは俺が舐めた後、キレイに洗うだろ?笛は舐めっぱなしじゃねぇか、このド変態」

小松「そ、そんな屁理屈…」


ジャン「だが……やっぱやめとくわ」

小松「ジャンさん…」

ジャン「コマツの話聞いて心の底から気持悪ぃって思った。人の振り見て我が振り直せってやつだ」

小松「はは…、ひどい言われようだけど、分かってくれたんならいいや」

ジャン「…皿洗い手伝うぜ」

小松「ありがとう。じゃあ僕が洗うからジャンさんは拭いてって」

ジャン「了解だ。…その代わり、俺がスプーンを舐めようとした事は口外すんなよ」

小松「もちろん」


――数十分後


小松「手伝ってくれてありがとう。ジャンさんのおかげで早く片付いたよ」

ジャン「どうってことねぇよ。じゃあ、俺は寮に帰るわ」

ガチャッ!!

サシャ「すみませーん、蘇生包丁貸して下さい」

小松「あっ、サシャさん。どうぞどうぞ」スッ

ジャン「蘇生包丁?なんだそりゃ?」

サシャ「えっへん、見てて下さいよ」ゴトッ

ジャン「まな板に芋を置いた…。切るのか?」

サシャ「そうです。ちょっと静かにしてて下さいね」

サシャ「…………」

サシャ「」ストン


ジャン「…普通に芋を切っただけじゃねぇか」

サシャ「まぁまぁ、焦らないでじっくり切り口を観察してて下さい」

ジャン「……なっ、なっ、なんだこれ!?芋が元通りの大きさに戻っていく…!!」

サシャ「コマツに教わった私の必殺技です」

小松「すごいよ、サシャさん。あっという間に楽に食材と会話できるようになったね」

サシャ「けど、どんなに耳を澄ませてもお芋の声しか聞こえないんです。何がいけないんでしょうか?」シュン

小松「そうですね…。お芋と同じぐらいの愛情を他の食材にも向けることですかね。お芋以外に好きな食べ物は?」

サシャ「そうですね…、パンとか…」

小松「じゃあ次の目標はパンの声を聞くことにしよう。焦らなくても大丈夫。1つずつクリアしていこうね」

サシャ「はいっ」


ジャン「…よく分かんねぇけど…、その包丁で切ったら食いもんが増えるのか?」

小松「増えるというか…再生するんだ。極めれば、食材だけでなく人間の治療にも応用できる」

サシャ「えっ、そうなんですか?初耳です」

ジャン「すげぇな。例えば失っちまった腕とか、もう一度再生することができるのか?」

小松「うん。蘇生包丁で施術した後に、栄養価の高い食べ物を摂取する必要があるけど。適合食材だったらベストかな」

ジャン「…死んだ人間の蘇生は?」

小松「残念ながらすでに失われた命は蘇生することはできないんだ」

サシャ「そうですよね。世の中そんなに甘くないです」

ジャン「けどサシャがその技術を極めたら、すげぇ役に立つじゃねぇか。お前、衛生兵目指せば?」

サシャ「無理ですよ。衛生兵は頭が良くないとなれないんですから」

ジャン「そうだった。お前がバカだってことすっかり忘れてた」

サシャ「バカじゃないですよっ!ちょっとだけ座学が苦手なだけです…」ゴニョゴニョ


※  ※  ※  ※

小松「よし、明日の朝食の仕込みもできたし、寮に戻ろうかな」


ガチャ!!


トリコ「小松ぅー、腹減った。なんか食うもんねぇ?」スタスタ

小松「トリコさん…、またエライひっかき傷だらけですね…。どうしたんですか?それ」

トリコ「これか?女どもの体の臭い嗅ごうとしたら必死の抵抗にあっちまった」ヤレヤレ

小松「…なにやってんですか。軽犯罪で捕まりますよ」

トリコ「それより食いもん」ガタッ ストン

小松「はいはい。じゃがいものパンケーキでいいですか?」

トリコ「おう、頼むわ」


小松「けど何で女の子たちの匂いを嗅ごうとしたんですか?」ゴトッ シュルッ シュルッ

トリコ「んー?ちょっと気になる事があってな」

小松「気になる事って?」シュルッ シュルッ

トリコ「昨日、巨人を直接嗅いだんだが…、今まで嗅いだことの無い匂いがしたんだ。俺の知らない未知の匂い成分だ」

小松「まぁ…違う次元に来てるわけですから、知らない物質があっても不思議じゃないですよね」シャッシャッシャッ…

トリコ「だが、その巨人の匂いと同じ匂いをさせてる奴がこの訓練所にいるんだ」

小松「…そうですか」シャッシャッシャッ…

トリコ「そうですかって…、誰か聞きたくねぇのか?」

小松「おかしな先入観を持ちたくありませんから。それにトリコさんは鼻が良すぎるんです」コンッ カパッ 

小松「ここには過去に巨人と遭遇した子たちもいるだろうし…、その時の残り香かもしれませんよ」カッカッカッ…

トリコ「俺も最初はそう考えた。だが巨人に襲われた地区に住んでいたエレンたちからはなぜか匂わねぇんだ」


小松「でもですよ、巨人の匂いがするからどうだっていうんです?」ツー パチパチッ

トリコ「…どうもしねぇな」

小松「じゃあ黙ってて下さい。彼らには絶対に話しちゃダメですよ」ドロッ ジュゥッ

トリコ「しゃべらねぇよ。無駄に不信感煽るだけだしな」

小松「そうですよ。せっかく仲間同士、信頼関係ができつつあるのに、ひびを入れてはいけません」ジュゥゥゥ…

トリコ「へいへい。けどなーんか引っ掛かるんだよな。胸騒ぎがするっつーか…」

小松「それより、巨人って強いんですか?」ポンッ クルッ

トリコ「俺にとっちゃ敵じゃねぇが…、ここにいる連中には脅威だろうな」

小松「けど適合食材を食べた子たちもいるじゃないですか。ミカサさんとか相当強いって聞きましたよ」ジュゥゥゥ…

トリコ「圧倒的な捕食者の前じゃ、人間の尺度で測った力の差なんてほとんど意味がねぇ」

トリコ「俺らにとっちゃアリもバッタも殺すのは同じぐらい簡単だろ?」

トリコ「巨人にとって人間の強さの差なんて、所詮その程度でしか無ぇんだよ」


小松「じゃあ、なんで適合食材の話を彼らにしたんですか?黙ってればよかったのに。はい、できましたよ」ゴトッ!!

トリコ「…なんか機嫌悪くね?」

小松「…適合食材で強くなることに気をとられて、自分を見失ってしまう子もいるんです」

トリコ「そりゃ悪かったな。けど、どっちにしたってお前の起こした毒芋騒ぎで話すことになっただろ?」モグモグ

小松「そうですけど…」

トリコ「…アリだって10万匹ぐれぇ集まれば人間を殺せるだろうな。器官に詰まるとかしてよ」モグモグ

小松「…へ?」

トリコ「バッタはどうだ。1万匹いたら相当キモいな。サニーだったらそれだけでショック死するかもしんねぇ」

小松「…」

トリコ「スズメバチに至っては、たった1匹で人間を殺せる。が、1匹だと殺られるのも簡単だ」モグモグ

トリコ「だがスズメバチが100匹集まってたらどうだ?近寄りたくねぇだろ。普通の人間はまず勝てねぇ」ゴクンッ

小松「…適合食材を食べてスズメバチになれと」

トリコ「まぁ、そういうこった。ふぅー、ごちそうさん」カチャ


小松「僕はてっきりトリコさんが面白がって適合食材のことを話したんだと思ってました」

トリコ「半分はそうだな。特に唾液の件に関しては」

小松「…やっぱり」

トリコ「まぁ、いいじゃねぇか。それより、小松。明日、ここを卒業するぞ」

小松「卒業って…。ここに来てまだ3ヶ月しか経ってませんよ」

トリコ「キース教官に掛け合えば何とかなるだろう。で、壁外調査に同行させてもらおうぜ」

小松「巨人の肉を食べるだけなら、また勝手に壁を越えれば済むと思うんですが…」

トリコ「せっかくこの世界にきたんだ。エレンの憧れる調査兵団とやらを見学してから帰ろうぜ」


――翌日 演習場

ザワザワ ガヤガヤ


トリコ「36連ツイン釘パァンチ!!!」ドゴッ!!


ゴゴゴゴゴ……ガラガラガラガラ…


キース「な…、な…!!?」ポカーン

コニー「うっひょー!!崖が崩れた!!」スゲェ

サシャ「崖というか…山ごと粉々に崩れちゃいましたよっ!?」

ユミル「あーあー、これじゃあ崖登り訓練できないねぇ」ニシシ

クリスタ「あ、あんなことできる人、初めて見たよ。世の中は広いんだね…」ボーゼン


小松「トリコさんっ!やりすぎですよっ!!演習場を破壊する気ですか」

トリコ「悪ぃ悪ぃ。手加減したんだがよ。…で、教官、これでも卒業させねぇって言うのか?」

キース「くっ…、しかし規則を破るわけにはいかん。3年間訓練に耐えた者のみが卒業資格を得られる」

トリコ「じゃあ、卒業しなくてもいいからさ。次の壁外調査に同行できるよう、話をつけてくんねぇかな」

キース「貴様、壁外調査に出たいのか…?」

トリコ「おう。巨人を食いてぇんだ」

小松「教官は調査兵団の元団長だと伺いました。便宜を図っては頂けないでしょうか」

キース「しかし…トリコはともかく、コマツ、貴様は足手まといにしかならん。そんな輩の同行を許すわけには…」

トリコ「勝手に足手まといって決め付けんな。小松、お前の力を見せてやれ」

小松「は、はいっ」ゴソゴソ シュルシュル


ミカサ「…あれはいつもコマツが使ってる包丁…」

アルミン「…何をする気かな?」



小松「えっと…建物の無い方角は…こっちだね…」クルッ

小松「い、いきますっ!!」ビュンッ!!


ズバババババババッ!!


キース「ふぉっ!!?」


エレン「うぉっ!!地面に亀裂がはしった!!!」

アルミン「ほ、包丁を振っただけだよね…!?」

ミカサ「…ある意味、トリコのパワーより衝撃的…」


小松「す、すみませんっ!!大事な演習場の地面を傷つけてしまって…」アセアセ

トリコ「なっ?小松はむしろ戦力になるだろ?」

キース「…これ以上演習場を荒らされたら適わんな。…仕方ない、次の壁外調査に連れて行くよう話をつけてやる」

トリコ「やったぜ!教官サンキュ」

キース「ただし、だ。同行する以上、必ず成果を残せ!死に物狂いで人類の反撃の役に立て!」

トリコ「おうっ!!」


――壁外調査当日

トリコ「じゃあな、行ってくるぜ」

エレン「お前らだけずりぃ。俺だって壁外調査行きてぇのによ」

トリコ「ははっ、悪ぃな。年功序列だ。おっさんから先に行かせてくれ」

アルミン「武勇伝、期待してるからね」

トリコ「…ああ。…お前らもしっかり訓練しろよ」

ミカサ「いつもの勢いがない…。調子でも悪いの?トリコ」

トリコ「いや…、そんなことはねぇぜ」

トリコ(今日でこの世界ともお別れだ。巨人臭ぇあいつらのことを伝えるべきか…)ウーン

トリコ(やっぱりやめとこう。巨人臭いからなんだって話だしな…)

アルミン「どうしたの?考え込んでさ」

トリコ「なんでもねぇよ。お前らはしっかり食って大きくなれ。強くなるのはそれからだ」


小松「サシャさん」

サシャ「はい、なんでしょう」

小松「この包丁、サシャさんにプレゼントするよ」スッ

サシャ「…蘇生包丁。いいんですか?貴重な包丁なんじゃ…」

小松「いいんだよ。僕はまた手に入るから…」

サシャ「そうですか。では遠慮なく頂きます」

小松「…調味料とか調理場にそのまま置いてるから…、サシャさんがみんなをお腹一杯にしてあげてね」

サシャ「あっ、そうでした。コマツも壁外調査に行くんでした。残念です。今日はコマツのご飯が食べれないなんて」

小松「大丈夫。食材に感謝する気持ちを忘れなければ、サシャさんにも美味しい料理が作れるはずだから」

サシャ「分かりました。今日1日、調理員を代行しますよ」

小松「ごめんね。訓練で忙しいのに…」

サシャ「師匠の穴を埋めるのは弟子として当然ですよ」ニコ

小松「…ありがとう、サシャさん。君は僕にはもったいないくらい優秀な弟子だよ」

サシャ「おみやげは巨人のお肉がいいです」

小松「…はは、持って帰れたらいいなぁ…」グスッ ゴシゴシ


――ウォールマリア内 市街地

パカラッ パカラッ パカラッ

ハンジ「訓練兵が同行するっていうからさ、どんな若い子が来るのかと思ったら…」パカラッ

リヴァイ「意外と歳くってたな…」パカラッ

トリコ「人のこと言えねぇだろ?そっちは30越えてるくせに」クンクンッ パカラッ

ハンジ「な、なんで分かるの?」

トリコ「匂いだ。歳いくと代謝が悪くなるからな。体に溜まった老廃物が発する匂いで大体検討がつく」

リヴァイ「ミケみてぇな野郎だな」

ハンジ「よかった。見た目で判断されたわけじゃないのね」ホッ

リヴァイ「…で、てめぇの後ろにくっついてるソレはなんだ?」

トリコ「こいつは俺のコンビの小松。料理人だ」

小松「よ、よろしくお願いします」(こ、怖そうな人だな…)

リヴァイ「…料理人だかなんだかしらんが、ついて来た以上、兵士として扱うからな」

小松「は、はいっ」ビクビク



エルヴィン「全軍止まれっ!!ここからは散開して各班ごとに巨人の討伐にうつれ!!」


ハンジ「じゃあね、リヴァイ。その子たちの面倒ちゃんとみてあげるんだよ」パカラッ

リヴァイ「ちっ、面倒くせぇ」

トリコ「よっしゃ!じゃあ行くぜ!!」バシュッ ヒュンッ

リヴァイ「お、おいっ!てめぇ勝手に行動してんじゃねぇ!!」

トリコ「俺のことは放っておいていいから、小松のこと頼むわ!!」ヒュンッ

リヴァイ「なっ!?」

小松「…す、すみません。勝手な人で…」


リヴァイ「…てめぇ、立体機動装置はどうした?」

小松「そ、そんなもの持ってませんよ。…僕はただの調理員ですから」

リヴァイ「……」

小松「……」テヘ

リヴァイ「…馬から降りろ」

小松「は、はい」ウンショッ タンッ

リヴァイ「…来い!!」グイッ

小松「ひぃぃぃ!!すみません、すみませんっ!!そんなに強く引っ張らないで下さいっ」ズルズル


ガチャッ!!


リヴァイ「ぎゃーぎゃーうるせぇ」ブンッ

小松「うわぁぁっ!!」ドシンッ

リヴァイ「いいか?死にたくなければ、この建物の奥で息を潜めてじっとしてろ!!」


バタンッ!!


小松「…は、はい…」


※  ※  ※  ※


トリコ「うっひゃー!!いるいる!!巨人だらけじゃん!!」

トリコ「しかもこの場所は建物が密集してるから戦いやすそうだ」

トリコ「だが…巨人といえど、食う以外の目的で殺すわけにはいかねぇな…」ウーン

トリコ「仕方ねぇ、片っ端からノッキングしてやるぜっ!!」バシュッ ヒュンッ


※  ※  ※  ※


ハンジ「うそ…。次々に巨人の動きが止まっていく…」キョロキョロ

モブリット「あのトリコとかいう訓練兵が巨人の後頭部で何らかの作業を行っているようです」

ハンジ「すごく興味深いね…。巨人の後頭部にいったい何があるっていうの?」ハァハァ…

モブリット「興奮してないで、指示を出して下さい…」

ハンジ「ああ、そうだった。この好機を逃す手はないね。後でたっぷりと詮索すればいい…」クイッ

ハンジ「班員に告ぐ!!2人1組で停止中の巨人の項を片っ端から削ぎおとせ!!」


※  ※  ※  ※


リヴァイ「なんだあいつは…!?素手で巨人の攻撃をはねのけたぞ…!!」バシュッ ヒュンッ


トリコ「ノッキングッ!!」ズボッ

巨人「うがぁっ……」プルプル


リヴァイ「…ノッキング?なんだそりゃ」スタッ 

リヴァイ「…うぇ…汚ねぇな。腕を巨人の後ろ頭に突っ込むとかよ…」ゾゾゾ

リヴァイ「…つーか、突っ込めねぇよな、普通。巨人の後頭部ってそんなヤワじゃねぇだろ」

リヴァイ「」

リヴァイ「ちっ…今日はあいつのせいでヒマだな、おい」


※  ※  ※  ※


トリコ「おーい!!小松ぅー!!どこだー?」バシュッ ヒュンッ


ガチャッ!!


小松「トリコさぁぁぁん、ここですーーっ!!」ブンブンッ


トリコ「おっ、見っけ」ヒュンッ スタッ

小松「大丈夫ですか?怪我してませんか?」

トリコ「ぜんぜん平気だ。それより行くぞ。小松の出番だ」ガシッ ヒョイッ

小松「えっ!?う、う、うわぁぁぁっ!!」

トリコ「どうした?」バシュッ ヒュンッ

小松「に、に、荷物のように抱えたまま、飛ばないで下さいっ!!めちゃくちゃ怖いですっっ!!」

トリコ「悪ぃ。けど急がねぇと、せっかくノッキングした巨人の項が全部削がれちまう」バシュッ


※  ※  ※  ※

ハンジ「フフフ…残り一体だね。…実験用に連れて帰れないかな、この子」

エルヴィン「15m級だぞ?トロスト区までかなり距離があるのに運ぶのは無理だろう」

ハンジ「残念だなぁ。身動き1つしないイイコなのに」

リヴァイ「小刻みに震えてるぜ?動けなくて苦しそうだな。早く楽にしてやれよ」

ハンジ「はいはい。仕方ないね。じゃあ、いきますか」バシュ


トリコ「ちょっと待ったーーー!!!」ヒュンッ 


ハンジ「あっ、トリコ。そうそう、君に聞きたいことが山ほどあるんだけど」

トリコ「そういうのは全部あと」スタッ

小松「ゼェ…ゼェ…し、死ぬかと思った…」ハァ…ハァ…


リヴァイ「…てめぇがとどめを刺すのか?」

トリコ「いいや、俺は肉を食いに来ただけだ」

リヴァイ「は?…肉?」

トリコ「そうだ、目の前のこいつのな」

ハンジ「おお!その発想は無かったよ。なんで今まで思いつかなかったんだろう。素晴らしいアイディアだよ!!」

リヴァイ「…どこがだ、気色悪ぃ。巨人の肉だぞ?」

トリコ「なるほど、そうやって好き嫌いしてるから大きくなれなかったんだな」ウンウン

リヴァイ「」イラッ

トリコ「じゃあ、小松頼むぜ!!」

小松「はいっ、頑張ります!!……けど失敗しても怒らないで下さいね」スタスタ


リヴァイ「おい、ただの調理員は引っ込んでろ」

ハンジ「そうだよ。今は停止してるけど動き出したら危ないよ」


小松「すみません。ちょっとだけ僕に時間を下さい」ペコペコ


リヴァイ「時間って…、ヤツは何をする気だ?」

トリコ「あ?料理するに決まってるだろ」

ハンジ「料理する…?まさか巨人を?」

トリコ「そうだ。巨人をさばけるのは、この世界では小松しかいねぇ。まぁ黙って見てなって」


小松(食義の繊細でスピーディーな包丁さばきを使えば、食材自身がさばかれたことに気付かない…)スッ

小松(それは以前、フグ鯨の毒袋を抜いた時に実証済みだ…)

小松(食義の達人ともなると、さばかれた生物が死んでいることに気付かず骨だけで生き続けるという…)

小松(…そのレベルまで達すれば、巨人の肉も本体から切り取られたことを認識せず、気化しないはずだ…)

小松(…集中しろ。食材への感謝の気持を最大限まで高めるんだ…)スゥー…

小松(………………)フゥー…

小松「」カッ!!


スパッ!!スパッ!!スパッ!!スパッ!!…


エルヴィン「なっ…なんという早業だ…!!」

ハンジ「早すぎて手の動きが見えないっ!!」

リヴァイ「…ただの調理員の動きじゃねぇな。…一体あいつは何者だ?」

トリコ「最高の料理人だ」

リヴァイ「…答えになってねぇ」

エルヴィン「…巨人の下半身の肉が一瞬にして全部削がれてしまった…」

ハンジ「すげぇっ!!巨人の骨格標本じゃん!!下半身だけだけど」

リヴァイ「きめぇな。足だけ骨ってのは…」

ハンジ「けど、待って。おかしいでしょ。削がれた部分が少しも再生しようとしない…」

エルヴィン「本当だな…。切り取られた肉からも蒸気が上がる気配がない…」

リヴァイ「…おい、どういうことだ?」

トリコ「そういうさばき方をしてんだよ、あいつは。まぁ、細けぇことは気にすんな」



小松「トリコさぁぁぁん!!成功しましたぁぁぁ!!」


トリコ「よっしゃ!!巨人の肉を食うぜ!!お前らも一緒にどうだ?」ニッ

ハンジ「食べる食べるー♪」

エルヴィン「私は遠慮しとこう。責任のある身だからな。軽々しく得体の知れないものを口にするわけにはいかん」

リヴァイ「俺もパスだ。…あれを食うところを想像しただけで吐きそうだ」ウプッ


※  ※  ※  ※


小松「すみませんっ。生のままで。本当は火にかけたいところなんですが、下手にいじると気化しそうで…」

トリコ「まっ、しょうがねぇよ。巨人肉のユッケとでも思えばいいさ」

ハンジ「すごいねー。こんなに薄くスライスして。向こう側が透けて見えるよ」プラーン

小松「はい。できるだけ食べやすいようにテッサ風にしてみました」

トリコ「味付けは?」

小松「必要ですか?」

トリコ「いらねぇな。まずは巨人本来の味を楽しむとするか」

小松「では…」



トリコ「この世のすべての食材に感謝を込めて…いただきます」


パクッ モグモグ…


リヴァイ「うげっ…マジで食いやがった…」オエッ

エルヴィン「どんな味なんだろうな…、巨人肉ってのは…」

モブリット「ハンジ分隊長…、お腹壊さないで下さいよ…」ハラハラ



トリコ「っっ~~~~~~!!!」ブワッ!!

トリコ「う、う、う、…うんめぇぇぇぇぇぇっ!!」ピカピカピカ…

小松「ああ……、口に入れた瞬間に溶けました。喉を通ったのは固体ではなく極上の旨味成分を含んだ液体です」

ハンジ「おいしーっ!!やっばい、ナニコレ!?旨味と同時に甘さまで感じるよっ!!」

トリコ「肉は飲み物だったのか!?おいっ、俺の今までの認識を覆しやがっ」ヒュンッ!!

小松「えっ、と、トリコさん!?急にどこ」ヒュンッ!!

ハンジ「き、消えた…!?ちょ、ちょっと何が起こっ」ヒュンッ!!


シーーーーン…


エルヴィン「お、おいっ!!3人とも消えたぞ!?」

リヴァイ「くそっ…手間かけさせやがって。各班!!手分けして付近を捜索するぞ!!」スタスタ

モブリット「ぶ、分隊長ーーー!!や、やっぱりこの肉のせいで消えたんでしょうかっ!?」

エルヴィン「…それしか理由が見当たらないな」

モブリット「うぅぅ……待ってて下さい、分隊長!!」ダダッ

モブリット「すぐに私もいきますっ!!」アーン…

エルヴィン「は、早まるんじゃないっ!!モブリット!!」ガシッ

モブリット「止めないで下さいっ!!危なっかしくて、あの人を1人になんてさせられませんっ!!」ジタバタ

エルヴィン「落ち着け!!とりあえず待つんだ!その辺にいるかもしれないだろう?」

モブリット「くっ…、分隊長、いったいどこへ…」ギリッ

>>1です
レスありがとう。続きは後日で

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2014年01月19日 (日) 00:06:49   ID: Yq64HehM

ハンジそっちの世界に行ったらヤバイよー(○゚д゚)ャバィカモ・・・

2 :  SS好きの774さん   2014年01月19日 (日) 10:51:06   ID: Yq64HehM

続きが気になるーーー

3 :  SS好きの774さん   2014年01月19日 (日) 21:56:31   ID: Yq64HehM

早く書いてくれー

4 :  SS好きの774さん   2014年01月20日 (月) 16:15:07   ID: RoSxQBRs

まさか書くのやめちゃってる?
せめて完結させてー

5 :  SS好きの774さん   2014年01月20日 (月) 16:16:30   ID: RoSxQBRs

1 2 3 4は全部僕です

6 :  SS好きの774さん   2014年01月21日 (火) 22:25:09   ID: -en8CVpA

続きぃぃぃぃぃぃぃ

7 :  SS好きの774さん   2014年01月22日 (水) 15:31:52   ID: n9Gp8yMm

お願いします
帰ってきてぇぇぇぇぇぇぇぇ

8 :  SS好きの774さん   2014年02月19日 (水) 17:18:30   ID: Wa3El4JA

続きー

9 :  SS好きの774さん   2014年03月24日 (月) 21:40:23   ID: TyRaXeS4

zzzzz

10 :  SS好きの774さん   2014年03月28日 (金) 14:44:08   ID: hXtxFDaO

続きはいつですか?

11 :  SS好きの774さん   2014年04月12日 (土) 13:56:52   ID: oQYYXZGk

続きを~

12 :  SS好きの774さん   2014年04月12日 (土) 16:20:52   ID: JrPFB-0y

はーやーくー

13 :  SS好きの774さん   2014年04月12日 (土) 16:22:49   ID: JrPFB-0y

俺の妄想で書いてみたい

14 :  SS好きの774さん   2014年05月05日 (月) 22:07:29   ID: TidPueI2

グーグーすやすや.......うーむにゃむにゃ....まだかなまだかな....

15 :  SS好きの774さん   2014年11月05日 (水) 22:41:45   ID: lqT7wZQs

トミーロッドの虫たちに殺されるんだろうな、こいつら

16 :  SS好きの774さん   2016年02月05日 (金) 22:44:45   ID: 90sjRuwa

まだかな、、、、zzz

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