洋榎「……は？」

由子「代行、もう少し私たちに分かる言葉で喋って欲しいのよー」

郁乃「そのまんまの意味やで？」

漫「ぜ、絶頂って……」

絹恵「いやいや、そのまんまやったらなおさらわかりませんって」

郁乃「まぁ信じるか信じないか、押すか押さないかはアンタらの自由やけどな～」

ｺﾄ

郁乃「ほな、今から会議あるからあとよろしく～」

ｶﾞﾗｶﾞﾗｯ ﾊﾟﾀﾝ

洋榎「前からおかしいおかしい思っとったけど、とうとう頭がアカンようになってまった……」

由子「きっと代行のことだから、どこかに監視カメラでも仕掛けて私たちがスイッチを押すところを見ようとしてるのよー」

絹恵「あ、ありえますね」

漫「なるほど、そういうことやったら納得できます」

洋榎「恭子がきたらチクっとかんといかんな」

絹恵「先輩ならもうすぐ来ると思うわ」

漫「でも、その……先輩が絶頂するスイッチ、なんてこと言いにくいんとちゃいます？」

洋榎「なんや漫、その程度のことで恥ずかしがってどないすんねん」

由子「洋榎はそういうことを気にしなさすぎなのよー」

絹恵「せやで、お姉ちゃんはもっと恥じらいをもたんと」

洋榎「世間一般の女子高生なんてこんなもんやろ」

漫「……主将、もしもこのスイッチ、本物やったらどないします？」

洋榎「は？」

漫「だ、だって今までだってなんだかんだで変なこと言ったとき、本当にそれが起こってたやないですか！」

由子「あぁ、そういえば漫ちゃんは“見た”言うてたなぁ」

絹恵「あの霊視ゴーグルとかいう胡散臭いメガネの時のことですか？」

漫「いや！ ほんまに見えたんですって！ ちっこい園城寺さんが清水谷さんの周りを飛んでんの！」

洋榎「漫ー、うちの部活から逮捕者はださんといてや？」

漫「クスリやないですって！ ホンマに！」

洋榎「そうやなぁ、もしこのスイッチが本物やったら……」

漫「……」ｺﾞｸﾘ

洋榎「連打一択やな」

由子「鬼畜なのよー」

絹恵「それはいくらなんでもひどいやろ……」

洋榎「いやいや、せやかてあの恭子やで？ 見てみたいと思わん？」

由子「えー……」

洋榎「いつもクールぶってて、しかもウチが主将になった途端に態度変えよるし……」

絹恵（お姉ちゃん、まだ根に持ってたんや……）

洋榎「そんな恭子が人目をはばからず悶えてアヘ顔晒すところ、正直言って皆見てみたいやろ？」

由子「別になのよー」

絹恵「いやぁ……」

漫「……」

ｶﾞﾗﾗｯ

恭子「すみません、遅れました」ﾌﾗﾌﾗ

漫「せ、先輩……なんですかその荷物？」

恭子「牌譜のデータが紙しかなくってなぁ、むっちゃ重いんやけど、手伝ってくれへん？」ｸﾞﾗｸﾞﾗ

由子「私が持ってあげるのよー」

絹恵「あ、先輩、私がやります！」

ﾄﾞﾝ

恭子「あ゛」

ﾄﾞｻｻｻｻｯ

恭子「いったた……」

絹恵「す、すみません先輩……」

由子「気にしなくていいのよー」

絹恵「書類、今拾い集めますんで……」

ﾎﾟﾁ

恭子「いひゃぁあ！？」ﾋﾞﾋﾞｸﾝ

一同「「！？」」

恭子「な……んぁ……ん」ﾋﾞｸ

洋榎「きょ、恭子？ 大丈夫なんか？」

恭子「あ、はい……大丈夫、です」ﾊｧﾊｧ

由子「どこか打ったなら保健室……いや、救急車を……」

絹恵「せ、先輩、すみません！」

恭子「や、そういうことやない、んやけど……」ﾊｧﾊｧ

漫「……」

漫（いま絹ちゃんが踏んだのは……代行が持ってきた……）

漫（そんで、その直後……ちゃう、ほぼ同時に末原先輩が……）

漫（これは……まさか…………）ｺﾞｸﾘ

恭子「ほ、ホンマに大丈夫ですって……」

洋榎「大丈夫なわけあるかい！ あないな声出しといて……ええからとりあえず保健室行くで！」

漫「……」ｿｰ

ﾎﾟﾁ

恭子「！？ んああぁぁああ！！」ﾋﾞﾋﾞｸﾝ

洋榎「きょ、恭子！？ おい大丈夫なんか、恭子！」

恭子「あっ……はぁっ……」ｶﾞｸｶﾞｸ

絹恵「あ、あぁ……」ｶﾞｸｶﾞｸ

由子「い、急いで救急車を！」

漫「ま、待ってください！」

洋榎「なんや！？」

ぽんぽん痛い
ちょっとトイレ

漫「ちょ、ちょっと私の話を聞いてください……」

由子「悪いけど、いまそれどころじゃな 漫「コレ、さっき絹ちゃんが踏んだモンです」

絹恵「……え？」

漫「で、そしたら先輩がこう……アレに……」

洋榎「おい漫、冗談も体外にせえへんとぶっとばすで？」

漫「主将、末原先輩の顔見てください……おかしいと思いませんか？」

洋榎「ん？…………ぅ」

恭子「あっ……ぅ……」ﾊｧﾊｧ

洋榎（な、なんやこの色っぽい顔は…………明らかに誘っとる雌の顔やで……）ｺﾞｸﾘ

絹恵「も、もしかして、それ……」

漫「うん、本物…………みたいや」

◇　◇　◇　◇　◇　◇　◇　◇　◇　◇

――愛宕家――


洋榎「緊急会議や」ﾓｸﾞﾓｸﾞ

絹恵「お姉ちゃん、唐揚げ食べながらしゃべんのやめぇや」

漫「結局あのあと先輩はどうなったんですか？」

由子「私が家まで送り届けてきたのよー」

洋榎「んぐっ……で、コレが本物やとわかった以上、そのまんまにしとく事もできひんやろ」

由子「コレをどうするか……それがこの集まりの本題やね」

絹恵「処分しかないと思いますけど」

漫「……」

洋榎「せやな……ほなウチが責任もって処分しとくわ」ｽｯ

漫「待ってください」ｶﾞｼ

洋榎「……なんや漫」

漫「連打するとか言ってた危険人物にコレを預けるのはどうかと」

洋榎「おい、先輩を信用できへんのか？」

漫「はい」

洋榎「……」ｺﾞｺﾞｺﾞ

漫「……」ｺﾞｺﾞｺﾞ

「「……」」ｺﾞｺﾞｺﾞｺﾞｺﾞｺﾞｺﾞ

由子「じゃあここは私が」

「「ダメや（です）」」ｶﾞｼｯ

由子「……私は二人と違って、やましいことは何も考えてないのよー」

洋榎「目が笑ってないように見えるんは気のせいなんかなー？」

由子「気のせいなのよー」


ｺﾞｺﾞｺﾞｺﾞｺﾞｺﾞｺﾞｺﾞ


絹恵「じゃ、じゃあ麻雀！ 麻雀やって1位だった人が処分すればええやん！ 私ら麻雀部やし！」

洋榎「ナイスアイデアや、絹」

漫「なるほど、主将、ボロ負けしてもイチャモンつけんといてくださいね」

洋榎「あ゛ぁ゛？」

由子「ふっ……頭に血が昇ってる相手ほど、やりやすい相手はいないのよー」

絹恵（アカン、選択肢間違えたかも……）

>>22

① 洋榎
② 漫
③ 由子
④ 絹恵
⑤ 勝負つかず