昴「オレのスライダーが打てるかな!真先輩!」
真「今度こそ…今度こそ打ってみせる!」
雪歩「真ちゃーん!頑張ってー!」
千鶴「永吉さん…ちゃんとサイン通り投げてくださいまし!あなたの球は速すぎて取りにくいんでございますのよ!」
ワーワーキャーキャー
グリP「暑いのに皆よく野球なんてやるよなぁ…まぁこの仕事を立ち上げたのは俺なんだけどさ」
まつり「本当なのです、まつりは暑くてダルダルなのです。プロデューサー、冷たい紅茶を今すぐ用意するのです!」
グリP「…俺の記憶が正しければ、徳川さんは昴チームの外野手だからこんなとこにいるのはおかしいと思うんだが。」
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まつり「今日の昴の球はキレキレでぜっこーちょーなのです。流石の真でも打てないのです。」
グリP「徳川さんは野球初心者じゃなかったっけ?よくそんな事がわかるんだね…不思議だねぇ?」
まつり「ほ?まつりは姫なのでプロデューサーが何を仰りたいのかわからないのです」
カキーン!
グリP「はいはい…って球がコッチに飛んできた!危ない!」
パシィ!
まつり「ほ、偶然グローブに収まったのです。まつりのないすぷれーが出ましたのです。」
グリP「な、なんじゃそりゃ?」(俺の目の錯覚じゃなければ見事な動きでキャッチしたように見えたぞ…)
シュルシュル
まつり「プロデューサー、これですりーあうとちぇんじなのです。さっさと紅茶が飲みたいのです。ね?」
グリP「?!まつり!あぶない!折れたバットが!」
まつり「ほ?」
ゴッ!
グリP「ま、まつり!大丈夫か?おい、しっかりしろ!」
まつり(ぷ、ぷろでゅーさー…もう、だめなので…す…意識が…)
グリP「まつりー!」
<2時間後 都内の病院にて>
真「プロデューサー、まつりは大丈夫なんでしょうか?もし、彼女に何かあったら僕、僕…」
グリP「今、精密検査を受けているが今のところ問題は無いみたいだな。だからいつまでもめそめそすんな!」
真「でも、頭に当たって…倒れて…」
グリP「プレー中あそこで遊んでた奴が悪いだけだ、ちゃんとプレーしてれば起こらない事故だ。それだけだ…」
グリP「いや、違う…俺の責任だ。俺がプレーを中断してでもまつりを定位置に戻すべきだったんだ!」
真「プロデューサー?」
グリP「クソ!クソ!このくそったれが!何がプロデューサーだ!アイドル一人守れない俺なんかプロデューサー失格だ!しんじまえ!死んでわびろ!!」
真「プロデューサー!落ち着いてください!」
グリP「はぁ、はぁ」
ガチャ
ドクター「精密検査の結果が出ました」
グリP「先生!どうでしたか?」
ドクター「頭や骨には異常がありませんでした」
真「よ、よかった…」
ドクター「…」
グリP「…」
真「え?どうしたんですか?プロデューサー?先生?」
グリP「…つまり、頭や骨以外に異常が?」
ドクター「はい…」
真「え?」
<765プロ事務所>
昴「そんで、どーなったんだよ!」
ジュリア「頭以外って、まさか目とかか?」
真「それが…どうやら記憶障害みたいなんだ」
千鶴「記憶障害…一時的、あるいは一部分の記憶喪失の事ですわね」
真「ああ、今プロデューサーが付いて回復の糸口を探ってるよ…全然効果無いみたいだけど」
昴「記憶喪失とかなんかカッコいいな…ってゴメン!そういうのはよくないな…」
ジュリア「そんなマンガみたいな事あるんだな…」
ガチャ
グリP「おぉ、なんだかにぎやかだな…、まつりを部屋に入れたいんだがいいか?」
真「も、もちろん!」
千鶴「どうですの?記憶喪失の方は?」
グリP「事務所を案内してるがダメっぽいんだ、もしかしたら同僚との会話からもとにもどるかもしれん」
ジュリア「なんだか大変だなぁ、まぁ、協力するぜ!」
昴「俺も協力するぜ!」
グリP「そうか、みんなありがとう…おーい…徳川さーん」!
まつり「失礼いたします…」
一同「!?」
まつり「この方達が私の同僚でございますか?」
グリP「どうだ?何か思い出したか?」
まつり「いえ…残念ですが…」
グリP「そうか…まあ焦るな、ゆっくりいこう。」
一同「…」
ジュリア「すげーな、すっかり別人みたいじゃないか」
千鶴「というか別人ですわ」
昴「まあ、普段が普段だしなぁ」
まつり「すいません皆さん、まったく思い出せないんですの」
真(記憶を失ったらキャラが変わったというか)
グリP(本来はこういうキャラだったのかもな…)
亜美「ほ?真美、ご機嫌うるわしゅうですの!ところで亜美のケーキはまだですの?」
真美「ほ!ほ!亜美のケーキは真美が頂きましたのです!お腹がすいていたのです…ね?」
まつり「クスクス…面白い方々ですね」
亜美真美『いやいや、まつりねーちゃんが普段こんな感じなんだよ!』
まつり「まぁ!それは大変失礼いたしました…」
亜美「なんだかなぁ」
真美「調子狂うなぁ…」
まつり「ここが765プロライブシアターですか?」
グリP「ああ、みんなで何もない所から1から作った思い出の場所だ。どうだ?何か感じないか?」
まつり「いえ、やはり何も…しかしすごいですね。765プロのアイドルが作ったのですか?」
グリP「社長がアイドルを大量募集したのはいいが、ライブする場所も金も何もなかったからな…ならいっそのこと作っちゃおう!ってなって今に至る」
昴「今思い出したけど、まつりは何もせず真ん中に机と椅子並べて紅茶飲んでただけだったな…」
まつり「も、申し訳ありません」
グリP(…というかまつりはいつの間にか765プロシアターに居たんだよな…、何でいるのか、いつから居るのか、俺も音無さんも、律子も社長でさえも知らないんだよな)
小鳥「プロデューサーさんも、人使いがあらいピヨ」ガサゴソ
律子「それにしても確かにおかしいわ…、徳川まつりの履歴書、労働契約書、身元保証書、どこにも無い…」ガサゴソ
小鳥「お給料は手渡しだったから銀行口座書類も無いのよねー」ガサゴソ
律子「え?今どき手渡しなんですか?」
小鳥「貴音ちゃんとまつりちゃんは手渡しのハズです」ガサゴソガサゴソ
律子『というわけで、事務所をひっくり返して探したんですが徳川まつりの個人情報はありませんでした』
グリP「ご苦労だった…お疲れ様だ、律子」
律子『でもどうします?こうなるとお家に連絡もできないし、住所もわからないから今夜泊まる所も無いですよね?』
グリP「それなら大丈夫みたいだ…」
真美「わーい!お泊まりだお泊まりだー」
亜美「んっふっふー、今日はまつりねーちゃんを寝かさないよー」
昴「あ、もしもし、今日オレ事務所の皆と合宿していくから!…パジャマパーティーだよ、女の子らしいだろ?」
ジュリア「なぁプロデューサー?このあたりに銭湯とか無いのか?さすがにシャワー無しはきついぜ」
エミリー「仕掛け人さま…エミリーは寝間着を用意していません。皆様同様練習着を着用いたしますがはしたなくないでしょうか?」
ヤイノヤイノヤイノヤイノヤイノヤイノ
亜美「最悪だよ、に→ちゃん…」
真美「よりによって鬼軍曹連れてくるなんて…」
律子「お黙り!大体、未成年の女性アイドルだけで、セキュリティの無い場所に泊めるなんてできるわけないでしょう…」
亜美「に→ちゃんがいるじゃーん」
真美「じゃーん」
ジュリア「いいじゃねーか…このみさんや莉緒さんやあずささんもいるんだぜ」
律子「あの3人はさっそく酒盛り始めて使い物になりません。」
まつり「律子さん、皆さん、私のためにこんな迷惑かけて…申し訳ありません」シクシク
律子「ち、ちょっとまつり、泣かないでよ、ね?ちゃんと涙拭いて。それに皆便乗して騒いでるだけだもの、気にしないで。」
まつり「は、はい、ありがとうございます。律子さんはやさしいですね…」
律子「よ、よしてよ、なんだか照れくさいわ」
亜美(まつりつとは新しい…)
真美(此処にキマシタワーを建てよう…)
グリP「一応警備員も呼んだから…律子、後は頼んだぞ。」
律子「プロデューサー殿はどうするんです?」
グリP「事務所を片付けしつつ、もう一度書類を探してみるよ。いくら社長が適当だからって、審査書類まで無いなんてやっぱりおかしい。」
律子「その事なんですけど、プロデューサー殿。ちょっと気になる事があります。」
グリP「気になる事?」
律子「実は小鳥さん情報なんですけど、シアターメンバーを大量採用した後、事務員の応募があったそうなんです。」
グリP「事務員?」
律子「小鳥さんもうろ覚えらしいんですけど、今の記憶を失ったまつりと口調が似ていたそうです。」
律子「結局、面接には現れなかったそうですが…」
グリP「…律子はそいつが徳川まつりだったと思うんだな?何らかの事故か何かで、記憶を失っていて、今のまつりが本来の人格かもしれない…と」
律子「はい、確証は無いですけど…」
グリP「わかった…だが律子、真実がどうであれ、今のまつりは765プロのアイドルだ。」
律子「ええ、それはわかっています」
グリP「だから、俺はあの以前のまつりを取り戻したい。ただのわがままかもしれないがな。」
<事務所>
グリP「ふぅ…やっぱり見つからないか。」
グリP「何か、手がかりとか、メモや何かあるんじゃないかと思ったんだがなぁ」
まつり「プロデューサーさん」
グリP「ひゃあ!び、びっくりしたぁ。まつり?どうしたんだ?一人できたのか?」
まつり「はい、プロデューサーさんとお話がしたくて。」
グリP「話?」
まつり「私、多分ですけど記憶が戻ったら、もう私じゃ無くなる気がするんです。」
グリP「…いいよ、続けて」
まつり「亜美ちゃんや真美ちゃんやみんなの話を聴いていると、なんだか不安になるんです。」
まつり「今の私と、皆が知っている『徳川まつり』は別人じゃないかって。だから、記憶が戻ったらきっと今の私は塵のように跡形もなく消えてしまうんじゃないかって…」
まつり「だから、怖いんです。記憶が戻る事が。」
グリP「まつり…」
まつり「だ、だから、眠るのも、怖くて…ヒック、嫌だ…私、消えたくない…消えたくないよぉ」
グリP「消えるもんか!」ダキッ
まつり「キャ!プ、プロデューサーさん?」
グリP「安心しろ、まつり…お前は消えたりなんかしない」
まつり「プロデューサーさん…」
グリP「皆、まつりが変わったって思ってるかもしれないが、俺は違う。以前と同じだ、変わってなんか無い!」
まつり「でも、だって…」
グリP「でももヘチマもあるか!俺がそうだって言ったらそうなんだよ!プロデューサーを信じろ!」
まつり「プロデューサー…さん」
グリP「まつり…」
社長「ウォッホン!君達、あまり年寄りに見せつけないでくれたまえ…」
グリP「ひゃあああ!し、社長!いつからそこに!」
社長「丁度君が徳川君を包容するところからだな。いやー奥手だと思っていたんだが、なかなかやるじゃないか。」
まつり「…ほ?」
グリP「ほ?」
まつり「…まつり…思い出したのです!全てを思い出したのです!」
グリP「まつり?記憶が?」
まつり「全ての元凶はこの男なのです!」
社長「ええええ!わ、私かね?一体何なのかね?」
<翌日>
律子「じゃあなんですか?社長が事務員面接にきた娘を、勝手にアイドル面接と勘違いしたと。それでその場で採用したと」
小鳥「道理でアイドル面接書類が無いわけですよ」
社長「いやースマンスマン。書類は後で用意しようと思っていたのだがすっかり忘れていたよ」
律子「だからといって、面接した事まで忘れないで下さい!」
社長「そうは言うがね秋月くん、一度に30人以上採用すると一つくらい忘れるものではないかね?ね?」
律子「自業自得です!」
グリP「あの丁寧口調のまつりは面接用だったんだな?偶然記憶喪失がその時点に重なっただけで」
まつり「はいなのです!やはり事務員になるなら丁寧語じゃないとだめなのです。でも、社長とおしゃべりするうちに、まつりの天職はこれだと思ったのです。みんなの姫になるのです!」
社長「うむ。あの時ティンときたからな。やはり私のカンも捨てたものでは無いな。ハッハッハ!」
小鳥「社長、まつりちゃんの書類は社長が作成してくださいね。」
まつり「プロデューサーさん」
グリP「何だ?どうかしたか?」
まつり「えへへ、まつりは消えたりしませんから…だから、ずっと姫のナイトでいてくださいね」
グリP「まつり?その口調…」
まつり「ほ?プロデューサーさん!大変なのです!早くしないと試合に間に合わないのです!急ぐのです!」
グリP「あ、ああ、そうだな…」(げ、幻聴なのか?)
まつり(やっと見つけたのです。まつりだけのナイトを。ね…)
おしまい なのです!
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