アニ「……よく考えなよ、ライナー。悪い話じゃない」
ライナー「そうだな……」
アニ「あんたが私とアルミンの仲をとりもって、私があんたとクリスタの仲をとりもつ。お互いにデメリットなんかないと思うけど?」
ライナー「……それもそうだな!よし、その話乗ったぜアニ!!それで、俺は何をすればいい?」
アニ「ふふっ……まあ落ち着きなよ。まずは――」
???「……ねえ」
ライアニ「「!?」」
???「君たち、何してるの…………?」
ライアニ「「あっ、ベルベルト!」」
ベルベルト「……また微妙に間違えてるし…………。長い付き合いなんだし、いい加減、名前くらい覚えてもらえないかなぁ……。」
ライナー「ああ、悪い悪い……。その……たまによくわかんなくなってな……」
ベルベルト「……まあいいや。それで……二人は今、何やってたの?」
ライナー「聞いてたならわかるだろ、ベルモット?俺たちは互いの恋愛成就のために同盟を組んだんだよ!」
アニ「そう。私たちは忙しいんだ。用がないなら少し席を外してくれない?」
ベルモット「……いや、なんでそんなラブコメみたいな会話してんのかってことなんだけど」
ライアニ「「えっ……」」
ベルモット「二人とも…………最近、自分たちの立場を忘れてないかい?」
アニ「……な、なに言ってんのさ、ベルマーク」
ライナー「そ、そうだ。俺たちだって、やるべき任務はちゃんとやってる。その上で何をしようが俺たちの勝手だ、違うか?」
ベルマーク「いやいやいや、最近おかしいよ。例えば昨日だって、君たち二人が調査兵団に囚われた巨人――ソニーとビーンを殺す手筈になってたはずだけど……なんでやらなかったの?」
ライナー「ああ、それは…………スマン、完全に忘れてた。昨日はエレンとジャンの喧嘩止めるので忙しかったから……」
アニ「私は急に104期の女子会に出ることになったからね。この先、憲兵団に行けばみんなとしばらく会う機会もないし、出来るだけたくさん話しておきたかったのさ。」
ライナー「っていうか、巨人の暗殺は身代わり用の立体起動装置がないと無理だろ。検査でバレちゃうしな」
ベルマーク「いや、それもマルコから奪うことになってたじゃないか!?今まで黙ってたけど、なんでそもそもマルコがまだ生きてるの!?」
ライナー「そんなこと言ったって、マルコは俺たちの友人だぞ?あんなに優しいやつを殺して立体起動装置を奪うなんて、どうかしてる」
アニ「ベルメゾン…………あんた、冷たいね」
ベルメゾン「」
ベルメゾン「……き、君たちが“兵士”としての生活にすっかり馴染んでしまったのは、ある意味仕方のないことかもしれない。こっちの方が楽しいっていう気持ちもわかる。でも、僕たちには“戦士”としての使命が――」
アニ「……あのさぁ、ベルセルク。そのことなんだけど…………」
ベルセルク「?」
アニ「戦士とか故郷とか、もうそういうのやめにしない……?」
ベルセルク「……はあっ!?」
ライナー「……ああ。俺もそう思ってたところだ。正直、クリスタとかいう天使がいる以上、全人類を敵に回してまでやることでもないだろ。」
ベルセルク「えっ……ちょっと、なにそれ、どういうこt」
アニ「私も。アルミンやエレンや、他のみんなを裏切れない。どうしてもって言うなら……これからはあんたが一人でやんなよ、ベルサイユ。」
ベルサイユ「」
ベルサイユ「ふ、二人とも、なに急にいい子ぶってるんだよ!?僕たちは巨人だ!!!人類の敵なんだよ!?」
アニ「だからその、『人類の敵』になるのをやめようって話してるんじゃないか。あんたも飲み込みが悪いね。」
ベルサイユ「で、でも!ずっと、このまま正体を隠してるわけにはいかないだろ!?もしいつか正体がバレたらどうなると思う!?」
ライナー「?」
ベルサイユ「僕たちは囚われて、拷問にあって、そして――」
ライナー「――いや、たぶん大丈夫だろ」
ベルサイユ「えっ…………」
ライナー「確かに俺たちがやっちまったことは、人類に対する重大な反逆行為だ。でもさ、べるぜバブ……」
ライナー「本気で謝れば、俺たちもなんだかんだでエレンみたいなポジションになれるんじゃねえのかな……」
アニ「うん、ピクシス司令あたりがなんとかしてくれそうな気がする」
べるぜバブ「」
べるぜバブ(ダメだ……二人とも、考えることを放棄してる……考えるのが、怖いんだ……………………)
アニ「っていうか、ライナーはともかく、私はまだ巨人としては何もやってないし」
ライナー「オイ、ずるいぞアニ!!」
べるぜバブ(……ここは二人のためにも、少しきつく言っておいたほうがいいのかもしれない…………)
べるぜバブ「……アニ、それじゃあ質問するよ。例えばもしもアルミンが、君が巨人だという事実を知ったとして……それでも君のことを好きになってくれるという確証はあるのかい?」
アニ「!? そ、それは…………」
べるぜバブ「君が巨人だとわかれば、彼は君を蔑んだ目で見るかもしれないよ?それでもいいの?」
アニ「…………。」
ライナー「おいベオウルフ!!!お前、そんな言い方ねえだろ!!!」
ベオウルフ「ライナーもライナーだ!!」
ベオウルフ「君の場合は……巨人どうこうの問題じゃなく、普通にクリスタとなんか付き合えるわけがないよ!いい加減現実を見た方がいい!!」
ライナー「なんだと、この野郎!クリスタは毎日俺“だけ”に微笑みかけてくれてるんだぞ!!どう考えても脈ありだろ!!!」
ベオウルフ「クリスタはみんなに優しく接してるだけだよ!……ライナー、今まで君のことを二重人格かと思ってたけど…………本当はただの妄想癖ゴリラだったみたいだね!!」
ライナー「!? ベラルーシ、てめえ……」
アニ「あんた、先から黙って聞いてれば……!!」
ベラルーシ「もうこの際だから言わせてもらうけどね!ライナー、君には陰でホモ疑惑があるんだよ!!」
ベラルーシ「アニだって……ついこの間まではいかつい顔してて、そんな恋愛なんてするキャラじゃなかったはずだろ!!!」
ライナー「……もう許さねえぞベギラゴン!!一発殴らないと気がすまん!!!」ダッ
アニ「私ももう限界だ……!!あんたはおかしいよ、ベニクラゲ!!」ダッ
ベニクラゲ「何を!!おかしいのは君たちのほうだろ!?いい加減にしろよ!!」
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ライナー「ハァ、ハァ…………久しぶりだな、3人で殴りあったのは……。」
アニ「……そうだね」
ベニクラゲ「ハァ、ハァ…………もうなんだか、バカらしくなってきちゃったよ」
アニ「ベヨネッタ……?」
ベヨネッタ「……僕も、やめる。」
ライアニ「「えっ…………」」
ベヨネッタ「君たちと喧嘩しててわかったんだ。“戦士”になって僕が本当にやりたかったことは、故郷に帰って、これまでと変わらない、何気ない日常を取り戻すことだった……。」
ベヨネッタ「でもさ、もうそんなことしなくても、君たちさえいてくれれば、僕はそれでいいかなって思えたんだ…………」
ライナー「ベムスター、お前…………」
ベムスター「それに僕だって、出来ればみんなを殺したくない!これ以上人類を裏切りたくない!!だから……ライナー!アニ!これからは僕も、君たちと一緒に、人類の味方として――」
ライナー「……いや、お前は無理だろ」
ベムスター「えっ………………」
ライナー「“超大型巨人”はもう人類にとって恐怖の象徴みたいなもんだぞ?それが今さら…………」
アニ「確かに。ライナーはギリセーフかもしれないけど、あんたは難しいだろうね」
ベムスター「…………ブチッ」
ライナー「……それじゃあ、俺たちはさっきの作戦会議の続きやるから、またあとでな、ベイブレード!」
ベイブレード「…………ブチブチッ」
アニ「わかってると思うけど、くれぐれもアルミンとクリスタには内密に頼むよ、ベイスターズ!」
ベイスターズ「…………ブチブチブチッ」
ライアニ「「……ベジたべる?」」
ベジたべる「ああああああああ!!!!!!くっそおぉぉぉ!!!人類なんて皆殺しにしてやる!!!とりあえず、クリスタとアルミンだけは絶対殺してやる!!!!!」
ライアニ「「!?」」
ベジたべる「……っていうか、僕の名前は……………………!!!」ガリッ
超大型巨人「ベ … ト … ト ガアアアアアアアアアアア!!!!!!!!」
ライナー「な!?ふざけんなベトベトン!クリスタは俺が命に代えても守ってみせる!!!」ガリッ
アニ「その汚い足でアルミンを踏みつぶすなんて、絶対させないよ!ベロリンガ!!」ガリッ
――この日、なんだかんだで超大型巨人は捕獲された。
完
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