結衣「私とあかりの気持ち」 (47)

-結衣の家-

ピンポーン

結衣(ん、あかりかな?)タッ

今日はあかりの宿題を手伝う約束をしている

ついでに昼ご飯にも誘った

結衣「はい」

あかり『ゆーいちゃん!』

あかり『えへへ、来たよぉー』

結衣「わかった、今開けに行くね」

あかり『うんっ』



あかり「お邪魔しまーすっ」

結衣「いらっしゃい」

あかり「わぁー、涼しいー!」

結衣「寒くない?」

あかり「大丈夫だよぉ」

結衣「そっか、良かった」

結衣「先に宿題進める? それともご飯にする?」

結衣(…なんか新婚さんみたいだ…)

結衣(それとも私? …ふふっ、なんちゃって)

あかり「…結衣ちゃん」

結衣「…!」ドキッ

あかり「…の作ったオムライスが食べたいなぁ」

結衣「あ、うん、オムライスね、オムライス…」ドキドキ

あかり「? どうしたの?」

結衣「いやっ、どうもしてないよ!」

あかり「そっかぁ」

結衣「じゃあ作ってくるから待ってて!」

あかり「うんっ!」


-キッチン-

結衣(…それにしても驚いたな…)

結衣(心が読まれたかと思った…)

あかり「結衣ちゃん」

結衣「あかりっ!?」

あかり「わわっ!」ビクッ

結衣「ご、ごめん…」

あかり「ううん、いきなり話かけたのはあかりの方だから…」

結衣「そう…」

結衣「…ところで、私に何か用でもあった?」

あかり「結衣ちゃんのお料理のお手伝いしてみたいんだけど…だめかな…?」

結衣「本当に? 全然いいよ!」

あかり「やったぁ! えへへ、よろしくお願いします!」

あかり「結衣先生っ!」

結衣(結衣先生!?)

結衣「な、なんか照れるな…」

あかり「今から結衣ちゃんは、あかりのお料理の先生だもん!」

結衣(だからって、そんな呼び方されたら…)

結衣「ふ、普通でいいから! いつも通りで…」

あかり「いいと思うんだけどなぁ…結衣先生…」

結衣(抱きしめたい…!)

あかり「でも結衣ちゃんが言うならそうするよぉ」

結衣「…うん」

結衣(ガマンだ、ガマン…)



あかり「よい…しょっ」

結衣「…はい、これで完成」

あかり「ふぅー、あかり頑張ったよぉ」

結衣「手伝ってくれてありがとね、おかげで早く作れたよ」

あかり「えへへ」

結衣「じゃあ早速持っていこうか」

あかり「はーい!」


-リビング-

結衣「いただきます」

あかり「いただきまーす!」パクッ

結衣「どう?」

あかり「おいしいっ!」

結衣「良かった」

結衣(…あかりに、あーんしてあげたい…)

あかり「あかり、結衣ちゃん……」

結衣(してもらいたい…)

あかり「……だぁいすき!」

結衣(…ん?)

結衣(え…!?)

結衣(今あかり…私の事、大好きって言わなかったか…!?)

結衣「そ、それってほんと!?」

あかり「うん!」

あかり「あかり、結衣ちゃんの作ったオムライス大好きだよっ!」

結衣「お、オム…?」

結衣(……)

結衣(聞き逃してただけ、か…)

あかり「結衣ちゃん? な、なんか元気無くなってない?」

あかり「もしかしてあかり、変な事言っちゃった!?」

結衣「いや、ありがとう…嬉しいよ…」

結衣(…そうだ!)

結衣「あかり!」

あかり「ど、どうしたの?」

結衣「…その、オムライス…」

結衣「おいしそうだね!」

あかり「……」

あかり「えっと…結衣ちゃんのと同じ、だと思うけど…」

結衣(…しまった)

結衣(これじゃ『結衣ちゃんも一口食べる? あーん』なんてなる訳が…)

あかり(あかりの分も食べたいのかな…?)

あかり「結衣ちゃん、良かったら一口食べる?」

結衣「! ほんとにっ!?」

あかり「うん、いいよぉ」スッ

あかりはオムライスを差し出してくれた


皿ごと

結衣「あ…」

あかり「…結衣ちゃん? 食べないの?」

結衣「た、食べる食べる」パクッ

結衣(素直に言えない私が悪いんだけどね…)

あかり「おいしいね、結衣ちゃん!」

結衣「うん、おいしい」

結衣(…まぁ、これでもいいか…)



あかり「ごちそうさまでした!」

結衣「お皿、片付けておくよ」

あかり「うんっ」

結衣「あかりは先に宿題の準備しておいて」

あかり「わかったよぉ」



結衣「お待たせ、早速始めよっか」

結衣「分からないところがあったら、何でも聞いてね」

あかり「はーい」

あかり「…あれ、結衣ちゃんも宿題?」

結衣「うん、あと少し残ってるから」

あかり「そうなんだぁ」

結衣「あ、でも全然気を遣わなくていいからね」

あかり「わかったよぉ」

あかり「……」カキカキ

結衣「……」

あかり「……」カキカキ

結衣「……」

あかり「……」カキカキ

あかり「……」

あかり(うーん…難しいなぁ…)

結衣「……」ソワソワ

あかり「…? 結衣ちゃん、どうしたの?」

結衣「な、なんでもないよ!」

結衣「それより分からないところとか大丈夫?」

あかり「この問題なんだけど…」

結衣「! どれ!?」

あかり「ゆ、結衣ちゃん…?」

結衣「あっ…ど、どれかな?」

あかり「えっと…この問題だよぉ」

結衣「んー…」

結衣「…ちょっと隣いってもいいかな?」

あかり「うん、いいよぉ」

結衣(よしっ! 自然な流れで…)ガッ

コトッ

バシャ

結衣「あっ!」

あかり「わわっ! ジュースが!」

結衣「あかり、宿題どけて!」

あかり「う、うん!」



結衣「本当にごめん!」

あかり「大丈夫だよぉ」

結衣「でも…」

あかり「あかりは全然気にしてないから、結衣ちゃんも気にしないで!」

結衣「…わかった」

あかり「それより、さっきの続きなんだけど…」

結衣「ああ、そうだったね」

結衣「えっと、この問題の解き方は…」



結衣「ふぁー…」

結衣(少し眠くなってきたな…)

結衣(…あれ?)

あかり「…すぅー…」

結衣(寝てる…)

結衣(…ふふっ、かわいいな)ナデナデ

あかり「ん…」

結衣(っと…起こしちゃったか…?)

あかり「…すぅ…」

結衣(…大丈夫だった)

結衣(……)

結衣(今なら寝てるし…キス、とか…)

結衣(…いやいや、だめだろ!)

結衣(…誰も見てないし、いいんじゃないか…?)

結衣(でも起こしちゃったらまずいし…)

結衣(ううぅー……)

結衣(……)

結衣(ほ、ほっぺたぐらいだったら…いいよね…?)

結衣(……よし)スッ

あかり「くー…」

結衣(……)ドキドキ

あかり「…すぅ」

結衣(あと…ちょっと…)ドキドキ

ピリリリリ…

結衣「うおっ!?」バッ

あかり「…ん…」

結衣(…切れた…誰だろ)

あかり「…あれ、あかり寝ちゃってたんだ…」

結衣「ご、ごめんね、起こしちゃった?」

あかり「平気だよぉ」

ピローン

結衣「ん、メールだ」

結衣(…京子から?)

『ごめんごめん!
 間違えて電話かけちった☆』

結衣(……)

あかり「どうしたの?」

結衣「いや、なんでもない…」

結衣(今は…4時か)

結衣「あかり、宿題で疲れただろうし散歩でも行く?」

あかり「うん、行きたーい!」

結衣「じゃあ、行こうか」


-公園-

あかり「まだちょっと暑いねぇ」

結衣「そうだね」

結衣「……」

結衣「あ、あのさ、あかり…」

結衣(『手を繋がない?』か『手、繋ごっか』…)

結衣(どっちがいいかな…)

結衣(いや、でも何も言わずに手を握るのも…)

あかり「…結衣ちゃん?」

結衣「え? あっ、えーっと…」

結衣「…まだ少し暑いね!」

あかり「……」

あかり「あかり、さっきそれ言ったよぉ」

結衣「あ、あはは、そうだったっけ」

あかり「もぉ~、結衣ちゃんってばー」

結衣「ごめんごめん…」

結衣「…そうだ、少しベンチで休憩していこっか」

あかり「うんっ」



それから、私とあかりはベンチに座っていろんな話をした

部活の話、クラスの話、休みの日の話…

そんな取り留めの無い話の中で、私は幸せを感じていた


―私はあかりが好きなんだ


改めてそれを実感させてくれた

私はあかりがくれる笑顔に、いつしか惹かれていた

あかりは私の気持ちに気付いていないのかも知れない

でも、それでもいい

こんな日々がずっと…

いつまでも続いてくれたらいいなって、思うんだ

あかり「綺麗な夕日だねぇ…」

結衣「うん」

あかり「昔、よくこの公園で一緒に遊んだよね」

結衣「遊んだね」

あかり「小さい頃から結衣ちゃんは、ずっとあかりの憧れなんだぁ」

あかり「お勉強だって、運動だって、お料理だって…」

あかり「何でも出来ちゃうだもんっ」

あかり「結衣ちゃんはカンペキさんだよぉ」

結衣「…そんな事ないよ」

結衣「私、本当は一人暮らしで寂しい時もあるけど…」

結衣「あかり達が居てくれる」

結衣「それだけで、私の支えになってくれてるんだ」

結衣「いつもありがとう」

あかり「えへへ、なんだか照れるなぁ…」

あかり「…あのね、結衣ちゃん」

結衣「どうしたの?」

あかり「あかり…その…」

あかり「……」

あかり「…やっぱり、なんでもない!」

結衣「…そう」

結衣「暗くなる前に、そろそろ戻ろっか」

あかり「…うん」

そして、私はベンチから立ち上がった

少し遅れてあかりも立ち上がる

それを確認し、私は歩き出した

その時


あかり「結衣ちゃん」


後ろからあかりに呼ばれ、振り返った

 
すると不意に、私の影に

あかりの少し背伸びをした影が

重ねられた


数秒後、また影が二つに分かれる


あかり「えへへ…」

あかり「結衣ちゃん、大好きだよっ!」

 
そっか

気付いてないのは、私の方だったんだ


あかりは気持ちを伝えてくれた

今度は私が伝える番



結衣「私も大好きだよ」

結衣「あかり」


そして、今度は私から

影を重ねた


終わり

ありがとでした

『何かにつけて密着や間接キスを狙おうと張り切るも空回りする結衣さん』
ってネタ頂きました

無理矢理でキャラ壊してごめん…

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