旅人「……」(45)
ーーーその生き方しか出来ない。
いや、その生き方しかしらない。
山賊「ゆ、許してくれっ!なぁ!」
「……」
ーーー脅し、奪う
山賊「しょ、食料はあんたがいった通り渡す!ほら!」ドサッ
「……」パシッ
ーーーもし
「……」スタスタ…
山賊「…なぁんてな!かかれ!野郎共!!」バッ!
子分達「「「オラァ!」」
ーーー逆らう奴がいるなら
「……」シャリン…
ーーー叩き斬れ。
ーーーとある町
男「ふぃぃ、疲れた疲れた」ドスン
友「よ、男。調子はどうよ!」
男「んん?友じゃねぇか、どうしたこんな時間に」
友「いや、ちと近くを通ったもんだからよ!この炎天下刀鍛冶なんかやってる友人にこいつを持ってきたのさ」ストンッ
男「おお、酒か!気が利くな!」
男「ぷはぁ!生き返るわー」グビグビ
友「お前あせびっしょりだな、まぁいつものことか、ハハッ」
友「そういや、お前あの話聞いたか?」
男「ん?あの話?」
友「ほら、山賊共が大量に切り捨てられてたって奴よ」
男「……あぁ、それのことか」
友「なんでもあれ、たった一人がやったんじゃねぇかって噂だぜ」
男「そうなのか?」
友「あぁ」
友「乱戦にしては場が荒れてなかったらしい」グビグビ
男「あっ、てめぇそれ俺のだろ!」
友「俺の金だ馬鹿」
友「まぁとにかく、相当の手練れがやったんじゃねぇかって同心のなかじゃ噂だぜ」
男「遊郭通いの不良同心の癖にそんな情報はしってんだな?」
友「うっせ」
友「ま、現場が近いし一応お前にも……な」
男「あぁ、わかってる。」
男「もしその刀に出くわしたら、お前に知らせる
友「頼んだぜぇ?稀代の刀鍛冶さんよ!」
男「ったく調子がいいな」
友「さて、俺はそろそろ行くとするか!」
男「遊郭にか?」
友「あたぼーよ!」
男「とんだ不良同心だなお前はほんとに……」
ーーー通り
旅人「……」スタスタ…
商人「おや?そちらのかた!」
旅人「……なんだ」
商人「みたところ旅のお方かな?このまちははじめてで?」
旅人「……ああ」
商人「そうですかそうですか!これはこのまちの名物桜団子です!いかがですか!」
旅人「……いらん」
商人「そう言わず!おいしいですよ!ほらほら!」
旅人「…るぞ…」
商人「んん?なんと?」
旅人「失せろ、切り捨てるぞ…!」ギラッ
商人「ひ!ひいっ!すいません!!」ズザァッ!
商人「す!すいません!本当に申し訳ございません!」
友「おんや?商人ちゃんどうしたんだこの騒ぎ?」
旅人「……!」
商人「と、友どの!!そ、それがこの旅人が私を斬ると脅しまして!」
友「嘘こけ、おおかたいつも通りしつこく商品進めたんだろお前は」
商人「ギクッ」
友「はいはいすまんね旅のかた~っと。あいつも悪いやつじゃあないが少々しつこいところがあってねぇ!」クルッ
友「…ってあれ?居ねぇや…?どこいったかね?」
商人「あ、あいつ友どのが来たら血相変えて何処かいきおった……もしかして罪人なのでは!?」
友「はいはいお前は黙ってなっての」
友「……まぁいいか!さぁて待っててね女ちゃーんっと♪
旅人「……」スタスタ…
旅人「……逃げ切れた、か」トスッ
男「ふぃー♪ションベンションベン~♪」
旅人「!」ガチャッ!
男「うぉわ!!っと、人かよ!びびらせんな!」
旅人「……すまん」
男「あ、ああ、いやこっちもいきなり大声出してすまなかった」
旅人「……」
男「んむ?あんた、旅人か?」
旅人「……ああ」
男「どおりで見ない顔だと思ったぜ、このまちに腰に刀さしてるやつでみたことないやつはいないからな!」
旅人「……そうか」
男「おいおい冷静だねあんた、冷静なのもいいけど損することもあるぜー?」
旅人「……」
男「俺は男。このまちで刀鍛冶をしてる。」
男「あんたもみたところ腰に立派なもん下げてるみたいだからな、何かあったら贔屓にしてくれよ?」
旅人「……」スタスタ
男「あっ、おい」
男「……行っちまったか」ハァ
男「こちとら最近仕事からっきしでいい商売できると思ったが、世の中甘くないね」
男「おっとションベンションベン!」
ーーー夜
友「ふぃー♪気持ちよかった♪やっぱ女ちゃーんはかわいいなぁー♪」
「う、うわぁぁぁぁ!!」
友「!」
友「悲鳴!?何事だ!」ダダッ
町人「あぁ、あっぐぁ……!」ガクッ
友「あんた!大丈夫…なわけねーよな!生きてるか!?……ぐ、遅かったか…!」
?「……」シャラッ
友「おい、てめぇ、刀を納めろ」ギリッ
?「……」サッ
友「なんだ、やるってのか?」サッ
?「……叩き潰す…」ダンッ
友「!!!!」キーンッ!
友「同心を、なめんなよ!!!」キーンッ!
?「……邪魔を」
友「あ?」
?「邪魔を……するなぁぁぁぁ!!!!!!」ギャインッ!!
友「(こいつ…!やりやがる…!)」ギチギチ
友「ダァァッ!!」パーンッ!!
?「殺す……」ユラッ
友「(くそ、マジでやべぇな……こうなったら……)」
友「逃げるが勝ちよ!!」ダダッ!!
?「!!!!」
友「あばよッ!」ボンッ!
?「!!煙幕か……!!」
ーーー翌朝
友「っつーわけなんだ」
男「んな、お前怪我してねぇのか!?」
友「ああ、俺を誰だと思ってやがんだ」
友「ま、それはともかくこいつを見てくれ」トスッ
男「これは、お前の十手か」
友「少しだが、奴の刀と打ち合った……なにかわかるか?」
男「……」シンッ…
男「……!」ガタッ
友「なにかわかったか?」
男「ああ……臭いがした」
友「臭い……?」
男「……それ以外はなにもわからないな」
友「そうか……」
おとこ
友「俺さ、あの山賊の件と同じやつなんじゃないかって思ってんだ」
男「この辻斬りがか?」
友「そいつ、かなり強かった、多分俺よりな」
男「お前よりって……相当のやりてじゃねーか?」
友「た」
友「俺さ、あの山賊の件と同じやつなんじゃないかって思ってんだ」
男「この辻斬りがか?」
友「そいつ、かなり強かった、多分俺よりな」
男「お前よりって……相当のやりてじゃねーか?」
友「多分。あれならそこらのゴロツキいくら積んでも負けないだろうな」
友「あれほどの使い手がそうそう居るとは思わない。多分、同一人物だ。」
男「ふむ……」
ーーー町外れ
旅人「……居る……」
旅人「間違い無い……」カサッ
旅人「このまちに間違い無く奴は居る……」
旅人「……」スタスタ…
旅人「叩き斬る……」ギラッ……
ーーー通り
ガヤガヤガヤガヤ
茶屋娘「んー?これはなんの騒ぎだい?」
着物屋「なんでも辻斬りの人相がきだそうだぞ」
茶屋娘「んまー、辻斬り!?怖いわね……」
風呂屋「はは、こりゃ夜遊びもできねーな」
八百屋「まぁ暫くは早くかえって嫁さん大事にしろってことだな」
茶屋娘「でも、この人相がきって意味あるのかしら……」
着物屋「うーん、すこし汚れた着物に顔をおおう型の笠を被った絵を見せられても、って感じだよなぁ」
風呂屋「ま、気を付けとけってことなんじゃねーの?」
ガヤガヤガヤガヤ……
男「おーい茶屋娘ちゃんよーい」タタッ
茶屋娘「あら?どうしたの男さん」
男「君のお父さんの刀の調整が終わったから持ってきたんだよ」
茶屋娘「あら、わざわざありがとうございます!」
茶屋娘「どうぞ店の中へ、喉がお乾きでしょう?」
男「ああ、有難いな。走ってきたからカラカラでさ」
茶屋娘「ふふ、どうぞ」トン
男「ハハ、じゃ、ご遠慮なく」
茶屋「うむ……」チャキン
茶屋「……」ジッ…
男「どうですか?ご希望通りになってるといいですが……」
茶屋「……」カチンッ
茶屋「やはり、いい腕だ」
男「ありがとうございます」
茶屋「親父さん譲りの腕じゃな、君は」
男「へへ、そりゃ幼い頃からしごかれてましたから」
茶屋「また何かあったら頼むよ」
男「ええ、ではまた」
茶屋娘「あ、男さん!」
男「ん?」
茶屋娘「このあとお暇ですか?」
男「うん、特に予定はないよ」
茶屋娘「そうですか、では、私のお買い物に付き合って貰ってもいいですか?」
男「えっ、別にいいけど……なんで」
茶屋娘「あら、荷物持ちって知ってる?」
男「つまりは荷物もちか……」
茶屋娘「で?いいの?ダメなの?」
男「はいはい喜んでお嬢さん……やれやれ」フゥ
ーーー数刻後
男「ず、随分買ったね……茶屋娘ちゃん……」ドッサリ
茶屋娘「せっかく荷物もちがいるんだもの、たくさん買わなきゃね!」
男「トホホ……」ドンッ
男「と!うわ!ぶつかった!」
男「す、すいません……ってあれ、お前は……」
旅人「……」
茶屋娘「あら?お知り合いですか?」
男「あ、ああ昨日ちょっとね。奇遇だな」
旅人「……」スタスタ…
茶屋娘「あ、行っちゃった……」
男「やれやれ、相変わらず冷静だn……!」
男「(今の臭い……もしや……!)」
男「ごめん茶屋娘ちゃん!俺用事ができた!」ドンッ
茶屋娘「えっ!?って荷物おもっ!」ズシッ!!
男「ご!ごめん!」ダダッ!!
ーーー
男「おい!まて!」
旅人「……」ピタッ
旅人「……何のようだ」
男「なぁアンタ、ちょっとアンタのさしてるソイツ。その刀、見せてくれよ」
旅人「……何故」
男「なぁに、ただ刀鍛冶として気になったのさ……」
旅人「……断る」
男「いや!一瞬!一瞬でいいんだ!なんなら少し触れさせてもらえるだけでいい!な?」
旅人「……断る」
男「ちっ、簡単にはいかなそうな感じだな……しゃあねぇ!ちからづくだ!」ザッ!
旅人「!」ザァッ!!
男「!!!!」
男「(このみのこなし……!それだけでもどれだけの強さかはっきりわかる……!)」
男「(こいつ……強い……!しかも……[そうそういない程のレベル]で強い……!)」
旅人「……馬鹿の相手はしてられん……!」ダダッ!!
男「んあっ!!てめぇ逃げんじゃねぇ!!」ダッ!
旅人「……」ズザッ
旅人「……ここまでくれば……」
男「俺をまけるとでも思ったか?」ヌッ!!
旅人「!!」ズザァ!!
旅人「……(こいつ……いつの間に俺の後ろに……!)」
男「あんたなんでそこまで必死こいて逃げんだ?俺はただ刀を見せてくれと言っただけだぜ?」
旅人「……」チャキッ
男「お、おいおい、丸腰の奴相手に刀まで抜くかね!?」
旅人「退け……退かねば……叩き斬るのみだ……!!」ギラッ!!
男「(こいつは何をそんなに嫌がっている……?)」
男「(こいつは、俺のことを知らないはず……いや)」
男「(俺を知ってたとしても、あの事を知ってるのは友だけだ……)」
旅人「……」カチャッ
男「って、そんなこと考えてたらホントに切り捨てられそうだなこりゃ……」ジリッ
旅人「……退け」ギラギラ
男「あ、ああわかったよ……わかったからそうギラギラと睨むなよ……」
旅人「……フン……」スッ スタスタ…
男「……行っちまったか……
男「しかし……あいつ……一応目はつけておいた方が良さそうだ」
男「(臭いに、あの刀捌き、旅人……今回の騒動と関係があるだろう……多分な)」
ーーー夜
同心1「おーい、そっちはどうだ?」
同心2「問題なーし!」
友「くっそー……夜の見回り強化って、俺の女ちゃんとの邪魔としか思えねぇぜ……」
同心3「ほらほら友!シャキッとしろよ!」
友「うっせぇ本当なら今頃かわいこちゃんとお楽しみだったってのにやる気なんてでるかい!
同心1「まさにヤる気削がれたってところか?」
同心2「ぷっ、ちがいねぇな!」
ダハハハ!!
友「ぶっ殺すぞてめーら……」ワナワナ
「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
同心1「!……今のはまさか……!?」
同心2「おっさんの悲鳴……!?いくぞ!!」ダダッ!!
ーーー
商人「……」
友「!!商人ちゃん!!」
商人「……」
同心2「死んでやがる……」
同心3「これは……物取りか……?」
友「くそっ商人ちゃん……」
同心1「友、恐らくこれはこいつを商人だと知ってる者の犯行だ。みろ、金目のもんがまったく残ってねぇ」
友「ああ、いつもこいつが後生大事につけてやがった金の指輪もねぇ……」
同心2「んじゃあ、これは物取り目的ってことで間違いなさそうだな……」
友「だが商人ちゃんが商人で金持ちなんて、このまちじゃ常識だぜ……?」
同心1「ふむ……」
ーーー翌朝
友「ってわけでよ……商人ちゃん殺られちまった……すまねぇ……」
男「そうか……なに、お前が気に病むことじゃねーよ」
友「……」
男「……それよりもな、気になったことがあるんだ」
友「……辻斬りのことか……?」
男「ああ、少なくとも辻斬り犯との関係性は何かある」
男「ある旅人に会ったんだ」
友「旅人……?」
男「……そいつ、同じような臭いがした。あのお前と斬り合った野郎とな 」
友「んな!?それって……!」
男「しかもかなりの手練れだ。みのこなしが半端じゃなかった」
友「そいつの刀には触れたのか!?」
男「いや、拒まれたよ。それも異常なくらいに。危うく斬られる所だった」
友「!!そういえば!」
友「この間、商人ちゃんともめてた旅人がいた!」
男「なんだと」
友「まぁ十中八九商人ちゃんがワルいんだろうが、斬ると脅されたらしい」
友「そいつは確か少しくたびれた着物と腰に刀、ボサボサの髪の毛を束ねてたな」
男「……多分だが、俺の知ってる旅人ってのと同一人物かもしれん」
友「ってーことはもう決まったも同然じゃねーか!」
友「動機も証拠も揃ってる……そいつが辻斬り犯だ!」
男「まて、落ち着けよ友。まだそうと決まった訳じゃない。俺達の勘違いかも知れないんだぞ?」
友「うるせぇ!こちとら友人一人殺されてんだよ!落ち着いてられっかよ!探しに行ってくる!」ダダッ!!
男「お!おい!待てよ友!」
ーーー町外れ
「……」
「……同心に目をつけられたか……」
「……」
「……構わん……」
「……邪魔するなら……」
「……叩き潰すだけだ……!」ギラッ!!
ーーー通り
ガヤガヤガヤガヤ
着物屋「おいおい今日はなんの騒ぎだい?」
茶屋娘「あっ、着物屋さん……それが……」
風呂屋「なんでも商人のやつが殺られたらしい」
着物屋「辻斬りか」
八百屋「まぁ、いたらいたで鬱陶しい奴だったが……いないといないで少し悲しいもんがあるな」
反物屋「それよりも商人ちゃんからの商品の経路が無くなったことの方が痛いわぁ」
着物屋「反物屋の奥さんか、あんたはなかなかサバサバした性格なんだな」
反物屋「あら?商売は商売、人付き合いは人付き合いですもの。とにかく暫くは満足に仕入れはできそうにないわねぇ」
八百屋「確かになぁ……しかし、本当に夜は出歩かない方が良さそうだ」
ガヤガヤガヤガヤ…
ーーー
男「おいまてよ友!」
友「くそっ、アイツどこにいやがるんだ……」
男「闇雲に探したって見つかるわけないだろ?それにそいつが犯人って確定したわけでもない」
友「だが疑いが持てるのはたしかだ!手を打っといて損はねぇ!」
男「と、とにかく!一度冷静になれ!」
友「くそっ……」
男「な?一回冷静にd……」
旅人「……」スタスタ…
男「あ」
友「!!」
友「みつけた!!」
友「おい止まれ!」ザッ!
旅人「……なんだ」
友「俺は奉行所のもんだ、あんたにちいとばかし用があんだ」
男「よ、よう」
旅人「チッ……またお前か……」ギラッ
男「に、睨むなって!」
友「とにかく、お前、こいつに刀を触らせろ
旅人「またその話か……嫌だと言った筈だ……」ギリッ
友「うるせぇ!これは奉行所命令だ!従わないならお縄につくことになるぜ!!
旅人「断る……何故そんなことをせねばならんのだ……」
友「チッ!しゃらくせぇ!はっきりいってやるよ!」
友「俺はお前が最近ここいらで騒ぎを起こしてる辻斬りじゃねーかと疑ってんだよ!」
旅人「……」ピクッ
旅人「辻斬り……だと?」
友「ああ!もう二人も斬られてる!俺の友人……あんたがこの前通りで揉めてた商人ってやつも殺られた!」
旅人「……」
友「それに丁度辻斬りが始まったのは俺があんたをこのまちで初めて見た日からだ!」
旅人「……だからなんだと言うのだ」
友「あーーーー!とにかく今一番怪しいのはてめぇなんだよ!!だからさっさとこいつに刀を見せろ!」
男「えーっと、まぁそういうわけなんだけども……」
旅人「意味がわからん、俺が疑われているのはわかった。だからといって何故刀を見せる必要がある……」
男「あー、それはだな……」ポリポリ…
男「(正直に話してもいいが、流石にここで本当のこと言っても信じてもらえなさそうだな……)」
男「……俺さ、鍛冶屋だから刀を見れば刃こぼれとかでいつ人を斬ったとか判別できるんだよ」
友「……そういうことだ。はやくこいつに刀を見せろ!」ドンッ
旅人「……」
旅人「……断る」
友「なっ!!てめぇ!つまり認めるってんだな!?」
旅人「認めん、だが、こいつに見せる義理もない」
旅人「どうしてもと言うなら……」シャラッ
旅人「ちからづくで従わせるんだな……!」ザッ
男「お、おいおい!」
友「てめぇ……!」
友「もう前置きはなしだ!てめぇを無理矢理にもとっちめて聞き出してやるよ!!」ギリッ!
男「お前も落ち着け友!」
旅人「……」ギラッ
友「あぁぁぁぁぁ!!!」ザンッ!
旅人「フンッッ!」キーン!
旅人「ハァッ!!」ブンッ!
友「しゃらくせえ!!」キーン!
男「おい!二人ともやめろって!おい!」
友「だらぁぁぁ!!!」ブンッ!
旅人「はっ!」バキンッ!
男「くそっ…!聞いてねぇか……!!」
男「しかたない……!」
男「やめろって……言ってんだろうがッッ!!!」キィィーン!
旅人「なっ!?」
友「!!」
男「はぁ……お前ら落ち着けよ」
旅人「(こいつ……小刀で俺の攻撃をいなした……!?)」
旅人「(しかもあの同心の十手も同時に……!!!!)」
友「なんでとめた!!男!!」
男「馬鹿野郎!決まってもないのに命懸けてどうすんだよ!!」
友「ぐっ…だ、だけどなぁ!」
旅人「……貴様……何者だ」ギロッ!
男「えっ」ビクッ
旅人「今の動き……ただ武芸をこなしていた位のものの動きではなかった……」
旅人「例えるなら、忍……!」
男「あー……」
旅人「何者だ……お前は」ギロッ
男「忍、ね。ま、確かにその記憶はあるのかもな」
旅人「記憶、だと?」
男「おっと、これ以上は打ち止めだぜ」
男「それと友、こいつは犯人じゃないようだぞ」
友「!?」
男「つーことだ、あんたはさっさとどっかいきな。これ以上騒がれてもこまるからな」
旅人「……」
友「男。見たのか、あれの記憶」
男「ああ、見た。っても触れてる時間が短かったから断片的にしか見えなかったけどな」
男「しかし、少し俺はあいつに興味が出てきたぜ」
友「なに……?」
男「別になぁんでもねぇよ、気にすんな」
友「お前がそう言う時はだいたい何かある時だろうが、しかも、でけぇことが」
友「あの時も、そうだっただろうが」
男「……ま、とにかく気にすんな、俺個人としての……まぁ同じ愚者に対する哀れみみたいなもんだ」
友「はぁ?なにいってんだお前は?」
男「にっししし、気にすんな気にすんなー」
---町外れ
旅人「……」
旅人「……」ジッ
旅人「……いない…か……」
男「だーれを探してんだ?」ヒョコッ
旅人「……また貴様か」ギリッ…
男「おおっとそんなに睨むなよ」
旅人「…なんのようだ」ギッ
男「……復讐なんてしてもいいことなんかなにもないぞ」
旅人「!!」
旅人「だれに!誰に聞いた!!」ギロッ!
男「……そいつに聞いたのさ」スッ
旅人「貴様!!俺を馬鹿にしているのか!?」
旅人「刀がどうやって口を聞く!!言ってみろ!!」
旅人「ガキも誤魔化せない嘘をしゃあしゃあとつくんじゃない!!」
男「……嘘じゃあねぇよ。俺は教えてもらったのさ。そいつの、記憶を」
旅人「記憶だと!?なんの話だ!!」
男「……物の記憶、思念だ」
男「俺は刀の記憶、思念を感じ取ることができる」
旅人「なん……だと……?」
男「九十九神ってのを聞いたことがあるか?」
男「物が九十九年使われると魂が宿る……って話だ」
旅人「ッッ!!そんなもの迷信じゃないか!!」
男「ま、これが迷信かどうかなんてどうでもいい。刀にも思念や記憶がある、そう理解してもらえればいい」
男「そして、俺がその思念や記憶を読み取ることができる人間だと言うこともな」
旅人「……」ギリッ
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