【咲安価】京太郎奇怪綺譚:拾壱巻目【都市伝説】 (1000)

                                 ,.ー-‐.、
                               ヽ、   ヽ  __
                               /,..-ニ‐- '"_,..)
       _,.‐-、                      ' ´/  , _ 、´
        ' 、 .ノ                    ,. ''" ,. -‐/ _  ̄\
       r   ヽ                , ',. -一' ./..'/     .}
        !    l               / ,. '′  ,..,.  ,/    ./
.       !     !                / /    {  \ヽ      i'
       l      !              ー'´        `´\ ヽヽ   !
      └! .i! .!┘   _   _             ,.'⌒   `,. l   !  ー"ヽ  ヽ
        l !l .!    .l l  //.           ! ゝ-‐'´ /l  .!  `ー-、   }
       l .l ! l    .| |//          __. \  /  }  .}    ヽ/
        l .! l .!    l  、 ヽ   、-、 ,.-, ,' r‐、ヽ   `ヽヽ  j  ノ
    __r' 」 l、゙、__| |ヽ ヽ_ヽ.∨ /__.ゝ ー’ノ___ ゙、`'   / ___
     ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄〉 ./ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ }   ./  ̄ ̄ ̄
                        / ./.              ヽノ
                          ̄

・咲-saki-の安価スレです
・原作とは違う性格付け・設定付けをされたキャラが登場する可能性があります
・現実に実在する人物、団体とは一切関係がありません。ここ重要
・色んな意味で広い目で見てください
・何かおかしい事があればそれはフリーメイソンってやつの仕業なんだ


前スレ

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1362662504


まず向かうのは本邸ではない。

この屋敷で寝泊まりに使える施設は全部で三つ。

本邸と、従業員用の寮と、離れの屋敷だ。
離れは今は使われていないが、国広一に会いに行くのであれば従業員用の寮である。


しかし、おかしい。

その点に真っ先に気付いたのは、京太郎だった。



京太郎「(警備員が一人も巡回してない。誰か見つけたら透華さんに一報ぐらいは頼もうと思ってたのに)」

京太郎「(それどころか、使用人も誰一人として見かけない。この屋敷にはけっこう人がいたんだが)」

京太郎「(……ってか、何故か毎度毎度ハギヨシさんがいつの間にか居たんだよな。あの人すげぇわ)」



誰も居ない。
誰にも会えない。
人の気配はするのに、人が生きている気配がない。

不気味な静寂が、彼の肌を泡立たせる。


音の無い世界が、彼の意識に恐ろしい程大きな警鐘を鳴らしている。



怜「あれ、それさっきも言わんかった?」

穏乃「あれ、そうだっけ」

姫子「はー、広ぅ場所ん住んどるんやね」

小蒔「……ん? ? あれ……?」

京太郎「とりあえず寮に行こう。何か怪しくなってきたというか、ここからだと一番近いし」



違和感がある。
だけど、その違和感が分からない。

気を抜けば飲まれてしまいそうな、チリチリとした肌に感じる危険。



だけれども、彼に逃げるという選択肢は選べない。

寮の入り口から入る。

何の変哲もない、どこかの高校にでも有りそうな寮だ。

だが内部の設備は優秀かつ秀逸であり、こんな所にまで金を回す龍門渕の財力の恐ろしさが垣間見える。



姫子「はー、広ぅ場所ん住んどるんやね」

京太郎「従業員用はついでって前に聞きましたけど、それでこれですからね」

怜「姫子、それさっきも言っとらんかった?」

姫子「……あれ? そうやっと?」

穏乃「ボケですか先輩?」

姫子「そこまでん歳やなか!」

小蒔「? ? ……んんん?」

怜「さっき何の話してたんやっけ? そや、確かバトスピが……」

穏乃「それ前の前の話じゃ?」

怜「あら?」



靴を脱ぎ、廊下を歩き階段へ。
国広一の部屋は三階にある。

何度か来た覚えがある彼にとっては、迷い無く進める道だ。


……だが、彼にはどうにもこの場所が自分のよく知る道に思えない。


痛烈な、余計な物が混ざっているような、そんな違和感がある。




小蒔「……注意して下さい。何か、何か分からないんですけど……『おかしい』です!」

京太郎「……ええ。なんか、分からんけど、ヤバイ気はします」

おかしい。


怜「……あれ? ここどこやっけ?」

穏乃「ボケたの? ここには国広先輩に会いに……って、なんでそれでここにいるんだっけ」

姫子「綺麗な廊下やね。それに広ぅ建物や。ここに住んどっとんかな」



おかしい。



小蒔「あれ……? あれ、なんか変。何が変……?」

怜「どしたん? 変て、なんや?」

姫子「……あれ、ここどこと?」

穏乃「ボケですか先輩?」

姫子「そこまでん歳やなか!」

小蒔「? ? ……?」



何がおかしいって?



穏乃「……あれ、さっきまで門の前に居なかったっけ?」

怜「ボケたん?」

姫子「ボケたん?」

穏乃「ボケてない!」

小蒔「な、なにかおかしいです! 何がおかしいのかわかりませんけど!」



仲間が、おかしい。



怜「あら?」

姫子「ん?」

穏乃「なんか、この会話さっきも……」

小蒔「えっと、えっと、あれ……?」

京太郎「お前らどうした!? 何かおかしいぞ!?」



この会話に、違和感しか無い。

おかしい。この屋敷もおかしいが、この屋敷に足を踏み入れた、自分達までおかしくなっている。


誰がどう見ても、俺以外の四人は正常な精神状態を保てていない。

「耐性の差だな。正確には、対抗神話としての強度の差だ」

「記憶の段階は四つに別れる。『銘記』『保持』『想起』『忘却』」

「そいつらはこの屋敷に足を踏み入れてからの記憶を『想起』する事を妨害されている」

「忘却しているわけじゃないが、綺麗に思い出せるのは十数秒前が限界だろうな」


京太郎「……誰だ」



響く声。
その声を聞いた瞬間、意味も無く吐き気がした。
その理由もさっぱり分からないままに、その声の主が現れる。



「誰か? そんな事は今のお前にはどうでもいい事だ」

「問題なのは、この屋敷の住民はお前達以外はみな精神崩壊直前まで行ってるということだ」

「お前が格納すれば、多少マシにはなるがな」

「助けないのか?」


京太郎「お前に言われなくたってするさ。余計なお世話だ」



その顔は黒いフードに包まれて、よく見えない。
だが、おぞましい。気持ち悪い。吐き気がする。
もしも素顔を見ていたら、俺は果たしてどうなるのか。
どうなってしまうのか。
想像すらもしたくないほどに、悪寒と危機感が湧き上がる。



「あの赤マントとの戦いの結末から、お前の後ろにいる数人は対抗神話としての属性を多少獲得している」

「巫女やお前は語るべくもないな。……いや、お前自身は知らんのだから別枠か」

「だが焼け石に水だ。お前以外は、その内発狂まで行くだろうよ」

「さっさと運び出してやった方がいいんじゃないか?」


京太郎「余計なお世話だって言ってんだろ!!」



否定したい。
この眼の前の存在を、否定したい。
俺の存在意義にかけて、否定したい。
この存在を肯定する事は、俺にとって世界そのものの否定と同義だ。


俺は己の生命と存在の全てをかけて、コイツを完膚なきまでに否定しなければならない。


そう、確信した。



「おいおい、俺は善意で言ってんだぜ?」



京太郎「……ふざけんなッ!!」

普通ならこのまま発狂を待ってもいいのにわざわざ来てアドバイスする黒フードさん
でもなぜだか嫌われるの

なにげに黒フードと初遭遇?

殴りかかる。

我も忘れて、彼は目の前の敵に殴りかかった。

人を助ける事も、それが一刻も争う事も忘れて。

背後からかかる、仲間の制止の声も無視して。

全身全霊を込めて、彼は殴りかかった。



『これを否定しなければ、これを倒さなければ』

『自分の存在意義が、全て否定される』



そんな魂の叫びを込めて、彼は殴りかかった。



「おお、怖い怖い」



だがその拳は、その敵が盾にしたものの前で静止した。

……盾にした者の前で、静止した。

盾のごとく物扱いされたようにも見える『仲間』の前で、静止した。



盾にされた意識の無い、『国広一』の前で、静止した。



京太郎「……テメェ。テメェ……ッ!!」

「良かったな。誰か格納してたりもう少し熱くなってたら殴ってたかも知れないぞ」

「だが、お前は止められるだろうと思ったよ」

京太郎「……ブッ殺すッ!!」



もはや彼の頭には血が昇り切っている。
何が彼を怒らせているのかは分からない。


事前の黒フードの情報から彼が原因だと察した?
仲間を盾にされたから?
街を今まで荒らした張本人だから?



それだけではない。

彼の中にはもっと根本的な、根源的な怒りがある。

それらが全て、ベクトルが曲がりも歪みもせず目の前の男へと向かっている。

自分自身の事なのに、その理由を何一つとして、少年は理解していない。

ちょっとPC再起動してきます。ううむ、何から何まで重い・・・

さいかーい


もうちょっでキリがいいとこまで行くんだからPCにも根性を出して欲しかった

「いいのか? もうそろそろ間に合わなくなるぞ」

「屋敷の人間が発狂するまで、あと十分も無いな」



京太郎が、その言葉に足を止めハッとする。

昇り切った血は戻り、煮えていた頭は一瞬で冷める。
背筋は寒くなり、彼は失った理性をそれを切欠に取り戻した。

途端に、彼は自己嫌悪から歯を食いしばる。


『守る』事より、訳の分からない私情で『倒す』事を優先してしまった自身に対して。



「まあ、若い時はよくあることだ。気にするなよ」

京太郎「てめぇが何を……いや、今はテメェなんかにかまってる暇は無いんだよ」

「ほーぅ」



冷静になれば分かる。
その言葉に吐気がする事に変わりは無いが、その口調が煽るような馬鹿にするようなものであるから効力が増しているのだ。


そして、彼は。
その言葉の一つ一つに、ありったけの侮蔑が込められている。
その口調の一つ一つに、ありったけの否定が込められている。
その言葉の一つ一つに、ありったけの嫌悪が込められている。
その事実に気が付いた。


二人は、共に同種の感情をぶつけ合っている。


『これを否定しなければならない』という感情に、支配されている。


その事にだけは終ぞ、気付きはしなかったが。




京太郎は自分より身長が10cmは高い黒フードを無視するように、その横を走り抜けていった。

気を失った一と小蒔を抱え、三人を格納し、一時屋敷の外へ。

風の様に、これ以上その姿を見ている事が耐えられないとでも言うかのように、去って行った。



「……吐き気がするな。本当に、気分が悪い」



そして男は携帯を取り出し、どこかへかけ始めた。
その表情も、気持ちも、考えている事も、誰にも察せない。

彼はそれら全てを、他人に対して隠しているのだから。

それを知る者は、この世でフリーメイソンの頂点に座す彼の者……ただ一人。



「あ、もしもし。どうだい調子は。……そりゃ良かった」

「ああ、出番って訳じゃない。ただ準備はしといてくれ」

「なんかあったって訳じゃないがな。すこし計画を早める」





「頼んだ、『口裂け女』」

仲間を運び、穏乃のみを格納したまま再び屋敷へ。


彼が支障なくネクサスシフト出来るのは33秒が限界だ。
それ以上は直接的肉体の負担となり、一分もすれば激痛で気絶する。
元々が無茶な格納である上に、格納に参加する四人の『容量』自体も大きくなってしまったのが大きい。

だからこそ、一人づつの格納が主であるという事は以前と変わらない。


穏乃を格納し、急いで屋敷の住人全員を運ぶ。

効果範囲が今の時点で『屋敷の敷地内』でしか無いことは、記憶への干渉の時点で明らかだ。

そうして全員を運び、119番、一人づつの格納による応急処置に移る。

全てが終わる頃には、すでに日が落ちきる直前だった。




京太郎「……これで、全員?」

一「……あ、うん。たぶん……」

京太郎「まだ全快って訳じゃないです。救急車呼びましたから、荒川病院で大人しくしてて下さい」

一「……うん。ありがとね。助けてくれて」

京太郎「そんなに何かしたわけじゃないですよ。運んで、応急処置しただけです」

一「そうじゃ、なくてさ」



真っ先に気が付いた一は、屋敷の人達に漏れがないかどうかという面で彼を助けた。

彼女は、目が覚めた時点で気が付いていた。

この光景に近い光景を、彼女は見た事があるゆえに、気が付いた。


彼は屋敷を見て回って救助をしていた。

だから、どうしても見付からないその人物に真っ先に気が付いた。

この光景に近い光景を、彼は見た事があるゆえに、思い出した。


この場には、『一人だけ足りない』。

それに気が付いて、その上で、彼らは会話している。



一「ありがとう。僕の家族を助けてくれて」

一「……だから、さ。結構図々しいけど、もう一つ頼まれてくれるかな」


壁によりかかり、弱々しくこちらの手を握り、縋るような目をした女の子の頼みを、誰が断れるだろうか。



そんな風に彼は思い、その想いを受け取り、重い決意を更に固めた。

はやり「ねぇ、わたし綺麗かな☆」

>>65
京太郎「年考えてください」

>>65
すこやん「やっと潰す口実が出来た」

病院の待合室。

救急車に付き合った比較的元気な彼等は、ここまでの見送りには付き合った。

ここからだ。
彼等がすべき事は、ここから始まる。


すでにこの街に夜は降り、日はその姿を見せていない。

都市伝説の時間帯だ。
普段なら、この夜が明ける前に決着を付けるのが彼等の常。


……しかし。

『決着を付けるのは明日の夜になる』と、京太郎は確信していた。

何故ならば。



京太郎「……明日は、満月だしな」


そうだ。
あの日も、満月だった。
あの夜も満月で、あの日に彼等は出会った。

思えば、『彼女』が能力の効果範囲を屋敷の中だけに留めたのは、あの日の再現に他ならない。


あの日、今日と同じく。

だけど、今日よりも残酷に。

暴走した『彼女』の力が、人の心を侵した尽くそうとした日。



———お前に、お前なんかに———


———血の繋がらない家族が居ないお前に、お前なんかに———


———この気持ちが、分かって———



京太郎「……衣」



彼の心に、かつて刺さった言葉の刃。

その刃を抜く事も、彼女の傷を癒す事もせず。

彼女に向けられる言葉も思いつかないまま、ただ時間が解決する事に期待した。

……そうやって、逃げてきた。



京太郎「……俺に、アイツの気持ちは……」



ただ強く握りしめられた彼の拳が、彼の形容しがたい内心を表していた。

>>血の繋がらない家族が居ないお前に、お前なんかに
・・・すこやんは?

本日の投下はこれにて終了。でも前編は終わりではなく
明日前編の続きやります。探索までいけたらベネ


産んでくれた家族がいねー奴が血の繋がった家族失った奴の悲しみが分かるのか?という話
「お前なんかに」は当時の彼のトラウマ。ゆえに衣の涙は彼の天敵

何故なら衣は「涙を拭えなかった唯一の人」という意味で彼の特別な人だからです


は大体そういうこと


レス返ししていきます

そういえば都市伝説一つにつき一人にしか発現しないわけじゃなかったよね

つまり須賀とだれかで技のTさん力のTさんを名乗る可能性がうんたらかんたら

とーか・衣・京太郎はポケモンの御三家のような力関係


>>26
仕方ないね

>>32
初遭遇です。避けてたのは黒フードさんですが

>>65
歳を考え・・・ハッ

>>66-67
何これワロス

>>74
京太郎は小鍛治家の世帯主に扶養されている被後見未成年って立場です。小鍛治家が後見人

>>86
俺とお前で、ダブルTさんだからな・・・



では、今夜はこれにて。最近忙しいですが寝る時間さえあれば問題は無し

あすの夜、同じ時間から開始しますー

では、おやすみなさいませ

一番怖いのは口裂け女がカムフラージュだった場合だな
口裂け女の情報集めてたら、ぜんぜん違う都市伝説だったってパターン

>>95
戦闘能力じゃなくて精神的な力関係じゃないの?
衣は京太郎の天敵ってことで衣>京太郎、これに三竦みになるように透華が混ざるから
京太郎>透華>衣>京太郎、になるんじゃないかと思う

京太郎が黒フードのドッペルゲンガー説・・・
そういえば怜回のBGMが・・・

>>106
透華が対人最強なのは分かってるから普通に力関係の話で
透華>京太郎>衣>透華じゃね?

それにしても対人最強の都市伝説って一体なんなんだろうな
西尾的なアレで最後まで明かされなかったりして

透華は都市伝説三つ持ってるから複合で最強なのか、
それとも特化したのを一つ持っているのか

こんばん湾岸ミッドナイト


なんだか最近前編の前編〜後編の後編と一話四部構成になりかけている気ががが
・・・まあ、うん。短く纏められないと文がグダりますけど気にしない!
好きなキャラには無意識で尺割いたりクオリティ上がったりしてる気がしますし!

と、いうわけで今夜21:30開始ですよぅ



>>107
生まれた意味(意味深)

>>109
>>111
実は前回の冒頭で彼女の能力について書こうかなーと思っていたらついつい忘れてしまっていまして・・・ワハハ
書きたい話があってもその時の話の流れに沿わないと不自然になっちゃうんですよね、残念な事に
と、いうわけで今夜ちゃんと明かされますよ>>とーかの能力



最近投下前に「これ書こう」と思っていて投下後に「あ、アレ書くの忘れてた」ってことが度々
ポケが始まったのか、それとももしや自分も作中のアレと同種の攻撃を・・・!?
肝心な部分を書き忘れやしないかとちと不安ではあります。おぉ、ダニー・ボーイ・・・



赤マントの話でヤマアラシのジレンマを匂わせたのも実は後書きの部分で
「そんなハリネズミやヤマアラシ達は交尾をこうやるんだよ!」

http://www.youtube.com/watch?v=QTZhwPnCIWE

「オスが弱い腹を晒して近付いて、傷付きながらもメスに触れようとして暖かさと愛を伝えるんだ!メスがそれを受け入れて初めて完成するんだよ!」
ってエロギャグで〆ようと思ってたことを今さっき思い出しました。まー些細な事ですよね!

地味にクトゥルーについての解説を待ってる

つまり宥さんの濡れ場を期待してもよろしいと!

そういえば、このテレパシー能力ってやばいよな
もし恋愛要素の強い話だったらみんな勝利宣言として、京太郎とのあれこれを見せ付けようとするだろ

このスレで修羅場あっても最終的にコアラのマーチ派かチロルチョコ派かの戦争になって乱入してきた小枝派を協力して倒す王道シナリオにしかならん気がする

具体的には前にあった戦隊VS仮面ライダーの劇場版みたいな

>>117
このスレでは、すでに久によってきのこたけのこ戦争が引き起こされてる

仮面ライダーも作品によっては都市伝説の域を出ないよね
ウルトラマンとかでもネクサスは最終回ギリギリでも都市伝説ですらないし

黒フードの正体の候補で京太郎版ジョン・タイターってありかな?
これなら正体知ったら宥も協力せざるおえないって言うのも当てはまるし・・・

都市伝説は使い捨てるもの(至言)

>>114
四章か五章で戦う機会あると思いますよ。咏ちゃん回とすこやん回やるなら避けて通れませんし

>>115
ノーウェイ

>>119
職業仮面ライダーの方達がむしろ特例ですしねぇ

>>123
そこまで都市伝説の在庫は無い(迫真)



http://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/20111024_485996.html

これ、20万くらいなら悩んだ末に買ってしまいそうです



投下はっじまーるよー

怜「あー、えっらい目におうたわ」

一「あはは、大変だったね」



救急車数台による大搬送。
ここ最近騒動が続いていたこの街においても、目が覚めるほどの大事件だ。
いずれは警察も動くだろう。


既に搬送が終わり時間のたった今はもう、空は満天の星空である。

その中心に座す月は満月ではなく、待宵月。

明日の夜には輝く真円の月が見られるのだろうと、誰にでも容易に推測できる。



格納と同時に彼女達への干渉は解け、その精神は正気に戻った。
『想起』が出来無い事以外は通常の記憶プロセスと同義であった以上、彼女達は屋敷の中であった事を全て覚えている。
本人達からすれば、黒歴史以外の何物でもないのだろうが。



怜「心配かけたんやし、今後は気をつけーな?」

一「うん、気を付けるよ」

怜「んー、なんとも不安になるなぁ。気迫がこもっとらん」

一「えぇ……どうしろって言うのさ」

怜「言うだけなら猿でも出来るんや! もっと気合をやなー?」

一「まあ、確かにそうだよね。実際に気を引き締めないと」

一「言うだけなら猿にでも……ん? うん?」

一「言えないよ! 出来ないよ! 何言ってんの!?」



未だ龍門渕邸の住民は、一を除いて目覚めない。

それはあの屋敷の中でただ一人、全く干渉を受けなかった少年に関わっているのだが……その理由を、彼女達が知る由はない。

その結果、怜は話を聞いたり様子を見る相手が一しか存在せず。
相棒は一人にして欲しそうな雰囲気だった、と気を利かせ。



その結果、園城寺怜は普段積極的に話すというわけでもない仲間との会話に勤しんでいたのであった。

前に誰かが言ってたが文章に「一」がたくさん混ざるとちょっと読みづらいな

伸ばし棒と見間違えるんだよなあ…

怜「な、な、ちょっと質問してええ?」

一「何? ボクが知ってる範囲なら、出来る限り答えるけど」

怜「あ、難しい事やないで。うちの質問は二つやけど、そっちの答えは一つで足りるはずや」

一「?」


回転する椅子を前後逆に、背もたれの方に顎を乗せながら。
警戒心を抱かせない、まったりとした口調で彼女は問う。



怜「『衣ちゃん、どこ行ったん?』」

怜「『やった奴に心当たり、あるんとちゃう?』」



前者は、あの場に居た者で周囲に気を配る冷静さがあれば誰にでも気づけた事。
後者は、一の表情と様子から彼女が読み取った事。



一「……あー。やっぱり分かる?」

怜「隠しとるつもりでも、そこそこ付き合いあれば分かるっちゅーねん」

一「こういう時は、『友達』って厄介だよね。お節介だし、頼りになっちゃうんだもん」

怜「めんどくさくとも、ええもんやで」

一「あははっ」

怜「にしし」



二人の顔には、いつしか笑顔が浮かんでいた。
意識せずとも、自然に浮かんだ心からの笑み。

それを引き出した怜の洞察力は、何も彼女の生来の才能だったり、付き合いの長さだけで生まれたものではない。


あの人は今何を見てるのか。
あの人は今何を気にしているのか。
あの人は今何を視界に入れているのか。

人と話す時どこに注意を割くか。
どんな物を視るのが好きか。
何から何を感じ取っているのか。


時には彼の隣だったり、時には彼の中だったり。


とある探偵業を本業とする少年の視線の先を、いつも気にしていた結果。


いつの間にか盗んでいた、彼の気遣いの技術の一つだったりする。

そういう能力は手品師である一ちゃんも高そうだよね

一「……ま、隠してても仕方ないよね」


観念したように首を振り、彼女は怜に事実を語りだす。

その言葉の節々に、どこか寂しさを滲ませながら。


一「お察しの通り、これやったのは衣だろうね。間違いないと思う」

怜「んー、なんや、やったら落ち着いとるな。ふつービックリしたり取り乱したりするもんやと思うんやけど」

一「前にもあったからね。同じ様な事。……今回はまるで、その時の繰り返しみたい」

怜「前にも? なんや、衣ちゃんはしょっちゅうこんな事やっとるんか」

一「いやいやいや!! んなわけ無いでしょ!?」



まだ二回目、されど二回目だ。
二度ある事は三度無いと祈るとしよう。



一「話を戻すよ? あのお屋敷には、ボクを含めて何人か『いざという時に衣を止める』ってお役目」

一「それを言いつけられてるようなのが居るんだ。ボクとか、ともきーとか、純くんとか」


ハギヨシとか。
警備員も含めて、この屋敷にそういう役目を負った人は少なくない。
しかし、怜もバカではない。聞き逃してはいけない点には、当然気付く。


怜「それは『どういう意味で』や?」

怜「その意味によっては、『うちら』は衣ちゃんの側に付かなあかんかもな」


もしも、もしもだ。
『止める』という言葉の意味が、最悪のそれであるのなら。
怜が付いて行く少年は、迷わず衣に付くだろう。

これは、その辺りの忠告も含めた確認だ。
一にだってそれはちゃんと分かっている。



一「……基本的には、身内で隠密に処理するって点で意見は固まってるよ」

一「ただ、当主様は『生死問わず』で、透華は『衣の未来に禍根を残さないように』で、微妙に違ったりするんだ」

一「ボク個人としては君が想像してるような手段は、取りたくないと思ってる」



だが、一とて衣をちゃんと掛け替えの無い家族の一人だと思っている。
いつかの日に透華がそれを危惧したほどに、一は家族を大事に思っている。

それは家族の暖かさも、それを失う痛みも知ればこそ。

だから彼女が、衣を見捨てることはない。

彼女が仕える主、透華が億に一つ。兆に一つ、苦渋の果てに衣を見捨てなければならなくなったとしても。

彼女は、衣(かぞく)を見捨てないだろう。



怜「……んー、嘘をついとるかなんてうちにゃ分からんしな」

怜「汗舐める気もあらへんし。ま、信じたる」


一「……ありがとね」

怜「で、そないに凄いん? 衣ちゃん」



ふと、怜が素で思った疑問を口にする。
確かに今回の事件は不意を突かれたが、正面からなら今の京太郎と愉快な仲間達は最強に近い。
少なくとも、怜はそう思っている。


全力全開の赤マントと戦い、勝利した。

ホシガミ、九面、その他魔物との戦いを生き残った。

昨今始めた模擬戦もどきの組手でも、ネクサスを維持さえしていれば地球補正付きのホシガミ・九面の姫とも互角に戦えているのだ。

それは怜だけでなく、一とて分かっている。

そして、その上で断言する。



「凄いよ」

「衣がその気になってないだけで、その気になれば7日で作られた世界だって一晩で滅ぼせる」

「少なくとも、ボクはそう思ってる」



魔物は一分野に特化した能力である事が多い。
例えば、ひたすら己を高め他人を封殺する淡。
例えば、ギャンブル性こそあるものの最も多様性と爆発力に長ける小蒔。
例えば、他人を拒絶し己の中で完結する宥。

魔物には能力そのものに優劣はない。
個人の心の有り様で出力が上下するものの、基本は相性なのだ。



「『支配力』と『出力』に関してなら、衣は間違い無く人類の頂点に立ってるよ」

「あれは小さな女王なんだ。月から見下ろす、無慈悲な女王」

「月の満ち欠けによって力の出力に差異があるらしいけど、そんなの問題じゃない」

「それは大怪獣の大きさが100mだろうと200mだろうと、人から見れば大差なく脅威であるのと似てる」



だがそれを加味した上で、一は断言する。

衣はそういう物差しで測るべきじゃない、と。




「人の精神に干渉して、狂わせ、操り、支配する」

「『満月の夜には人が狂う』」

「衣の都市伝説は、シンプルだけどハイエンドだ」

くねくねの上位互換か

>>136
くねくねはさらに特化した存在ってだけの話じゃない?
操ったり支配したりはできないけど、狂わせる条件が相手が見るだけですむんだし

【満月の夜には人が狂う】



満月から降り注ぐ光が、人の心を狂気に奔らせるという都市伝説。


世界中で、古今東西この世界のいたる場所で、人々が月へ『なんとなく』抱いていた共通の印象。


月は美しい。
だが、その美しさゆえにどこか見る者の心を不安にさせる。
人の心を昂らせ、その心を震わせる。

ただ恐怖を煽るだけの新月とは、まるで対極だ。



近年になって警察やFBI、研究機関等が満月と犯罪件数の増加についての因果関係を調査したが、その結果は判然としなかった。

満月の夜は犯罪件数が増える。
いや、ただの偏りだ。

そのどちらであるとも言えず、どちらでないとも言えない結果となってしまったのだ。


月の引力が人の体に作用する。
月の光が人の視神経を通し、脳に作用する。
月が満ち欠けが脳内麻薬の分泌を加速させる。


理由が生まれ、否定され、けれど満月が人を狂わせるという伝説のみが最後に残る。



月の光が人を狂わせるのであれば、心せねばならない。


見えないだけで、昼間の地の上にだって、月の光は降り注いでいるのだから。



海に映る月、姿が目には見えたとしてもその本質までは掴めぬ月、『鏡花水月』。

人を狂わせる、天より目に見えぬ光が目に見えぬ心を狂わせる月、『狂化水月』。

あれ?ここまで一体いつから錯覚していた?がない・・・だと・・・

>>143
そら今回の話で衣が言うんだろからみんな空気を呼んだんだよ

光は、闇の中にも微量ではあるが存在する。

ただ微量であるから人の目には感知できないだけであって、確かにそこにあるのだ。


例えば、密閉された鉄の箱を用意したとする。
光を完全に遮断するのであれば、これしかないと。

しかし溶接の必要がある以上、箱には開かれていた期間があり、その間隙に箱の中に月の光は降り注ぐ。
その後に溶接して密閉したとして、いかほどの意味があろうか。


宇宙服?
長期間ずっと呼吸しないつもりか?
呼吸穴はどうする?

サングラス?
ただの飾りだ。

シェルター?
鉄の箱と変わらない。

地球の外?
大真面目に、太陽系外にでも出るのが鉄板の対策だ。



「この地上において、月の光が降り注げない場所なんて無い」

「月の引力が無害だって確証も無いしね。確かめた事無いし」



一回目より、二回目。
二回目の今回、衣は狂気の度合いも、方向性も、効果範囲も制御していた。
一回目には出来ていなかった事を、難なくこなしていた。
確実に、成長している。

それは喜ぶべきか、嘆くべきか。



「明日、晩。衣が何考えてるかなんて、だいたい分かるよ」

「その時、『彼』がどういう選択を選ぶかで……結末は、変わる」

「世界崩壊なんて結末も、ボクは無いと断言できないな」



明日、満月の夜。

その時刻を過ぎて人類が精神と知慧という財産を持ち続ける事が許されるのか。


その未来の責任は、とある少年の両肩に乗せられている。

そういえば、実際は満月の夜に犯罪係数や死ぬ人が多くなる理由は
お給料が関係してるんだと。

お金持ちがたくさんうろついてるからカモにしやすいし、
給料をもらった人は気が緩んで車の操作を誤ったり…

きくたけ「素晴らしい世界だな」

今回、京太郎が「おれ自身が都市伝説になることだ!」をやって
力を失ったあと、自分のルーツを知る旅に出ることに・・・

怜「……対人、最強」

一「?」

怜「そや、思い出した。相棒がゆっとった、『人類史上ただ一人の三種技能』」

一「うちのお嬢様だね。透華がどうしたの?」

怜「対人最強の人じゃどうにもならなかったん?」

一「どうにもならなかったんだよ。これは相性と、手加減出来ないってのが理由だけど」

怜「手加減?」

一「透華が全力を出すって事は、文字通りの必殺になるからね。それが家族に対してでも」

怜「なにそれこわい」



園城寺怜が、須賀京太郎に聞いていた龍門渕透華についての事柄は三つ。

一つ。俺には絶対に勝てる気がしない人が二人いて、その一人だということ。

一つ。人類史上ただ一人の三種技能保有者であるということ。

一つ。絵に描いたようなお嬢様で、良い人だということ。


それだけだ。

会った事もあるし、少しなら話した事もある。

だが実際に、どういう能力を持っているかまでは知らない。

その程度の関係でしか無いのだ。



怜「な、なんか聞きたいような怖いような……」

一「あー、なんというかね。流石衣の従姉妹って感じだよ。透華は」

怜「うっへぇ」

一「透華に会った事はあったよね? 透華が首から下げてたネックレス、見た事ある?」

怜「おっきな青い宝石が付いてたやつやろ? 見た見た」

一「あれ、『ウラン』なんだよ」

怜「……えっ」



怜「えっ」



一「透華の一つ目の都市伝説は、『青いネックレス』って言うんだ」

【青いネックレス】



1987年9月、ブラジルのゴイアニアで起きたウラン流出事件をモデルにして広がった都市伝説。


死のネックレス、不幸のネックレスなどとも呼ばれる。

いくつかのバリエーションが存在するが、基本的な話の流れは変わらない。


誰かが青く美しい宝石を見付け、お守りだと肌身離さず身に付ける。

しかし時が経つにつれ、それを身に着けていた物が痩せ細り、肌はボロボロになっていく。

周囲の人間が見かねてその宝石を取り上げ、その者と宝石を医者に連れて行く。

そこで、驚くべき事実を知らされるのだ。

青い宝石だと思っていたのは『ウランの結晶』であり、付けていた本人は放射線障害である、と。

患者は既に手遅れであり、やがて放射能にその生命を奪われた。


ほとんどの話は、ここで結末。終わりとなる。



実際のモデルになった事件も、死者四名被爆者250名という大惨事であった。


それだけの絶大な破壊力と逸話を持つ、『放射能』の都市伝説。

怜「え?え? それでお嬢様大丈夫なん? 死なないん?」

一「そこで二つ目の都市伝説。ってか、これが肝だね」



枕元においてあったペンを器用にクルクルと回し、一は怜に対しての説明を続ける。

ベッドに寝転んでいるという事実を除けば、健康な状態に見えなくもない。

それほど、敬愛する主を語る彼女は自慢げだ。

いや、実際自慢だろう。



一「『Radithor』って知ってる?」

怜「や、全然」

一「一時期さ。放射能って『健康食品扱いだったんだよね』」



怜「……えっ?」



一「天然温泉なんかに放射性物質とかが混じってたりしてたからね。今じゃ信じられないけど」

怜「え?え? マジ話なん?」

一「勿論。昔、『放射能は身体に良い』っていう都市伝説は、確かにあったんだよ」

一「『Radithor』っていうのは当時売られてた、放射能入りの水って売り文句の健康食品の名前」

怜「……見えてきた。これは、確かにアカン……」



一「放射能と放射線が武器。そりゃ、人間じゃ勝てないし手加減も出来ないよ」

一「放射能を振りまいて殺し尽くすのに、本人には効かないんだもん」

一「放射能を散布すればするほど透華は強くなるし、生物は死に絶えて行く」

怜「……ゴジラ?」

一「あながち間違ってないような、根本的に間違ってるような……ま、とにかく」




一「『Radithor』。透華は、カッコイイからってこっちの呼び方を使ってるね」

なにこの無敵コンボこええ

あ、放射能を水で制するから「治水」なのか

京太郎の言っていた都市伝説の強さを数値化した奴のゴジラって透華のこと?

【放射能は体に良い】



1950年台に流行した、放射能健康食品ブームと同時に定着した都市伝説。


放射能入り歯磨き粉。
放射能入りチョコレート。
子供用放射能実験キット。
放射能入り腕時計。
放射能入り座薬。
放射能入りクルミパン。
そして、放射能入り飲料水こと『Radithor』。


恐ろしい事に、当時は飛ぶように売れていたりしたのである。

無知、噂、デマが恐ろしい現実を生み出したのだ。

しかし、そのブームもやがて去る。



それらの健康食品に使われていた放射性物質の極めて強い毒性の発表。

同時に、『Radithor』を愛飲して憚らなかった有名人の入院と手術。

肌も内蔵も溶け爛れ、下顎がボトリとゴミのように落ちた元プレイボーイの姿を見て、人々は一瞬で正気を取り戻した。




『放射能』を制する水の、都市伝説。

ちょっと電話中座

怜「……うわぁ。うわぁ」



やや、ドン引きである。
ちょっと……いや、かなり彼女の想像以上にエグい能力であった。


一「無論、これは殆ど使わないよ。透華が人殺しになっちゃうし」

怜「そんなん、宝の持ち腐れやな。普段何もしないん?」

一「や、透華は三つ目だけでも強いし」

怜「あー、そやった、まだ一つあったんやっけ……」



怜の背中がげっそりして見えるのは、決して気のせいではないだろう。

それは話されている内容のせいか、一の誇らしげな途切れぬトークのせいか。

それとも、両方か。



一「大型冷凍庫に人が閉じ込められて死ぬって、ドラマとかであるよね」

怜「あるなー、アレは寒そうや」

一「あれってさ、実際そんな事滅多に無いらしいよ」

怜「ほう?」

一「内側から開けるボタン、鍵錠、分解用工具なんかも沢山用意してあるんだってさ」

怜「ほな、冷凍庫で人が死ぬっちゅー事自体都市伝説……ああ、なーる」

一「ま、そういう事」

怜「優秀やなー、氷タイプは」

一「透華がポケモン扱いされてる!?」

金銀版の御三家はワニノコが「れいとうパンチ」を覚えてパワーバランス崩すからな・・・

【冷凍庫殺人】



何故かミステリー界などで流行った、殺人方法。
あるいは、各ジャンルで扱われている死に至る事故。

実際、冷凍庫で死に至る事故例はほとんど無いと言っていい。


管理が適当だった時代にも死者が出ていないのに、管理体制の整った現代であるならば尚更だ。


なのに何故か、『冷凍庫で凍死』という都市伝説だけが独り歩きしていたりする。


日本人の凍死率ナンバーワンは冬のホームレスで、次が登山中の事故であるにもかかわらず、だ。


Xファイルなどに登場した、『アイスマン』などの存在も影響しているのだと考えられる。

『デイ・アフター・トゥモロー』を始めとして、人は生きたまま氷漬けにされる事に格別の恐怖を覚えるらしい。

その恐怖が生み出した、都市伝説の一種。



人と氷と冷気の都市伝説。

一「ま、この三つだねー」

怜「相棒が『能力の相互の相性もいい』って言うとったけど?」

一「まず、一つ目と二つ目は語るべくもなく」

怜「ふんふむ」

一「『水』と『氷』が相性悪くないってのも、まあ当然だよね」

怜「せやな」

一「ちなみに、氷は軽度の放射線被曝の治療によく用いられます」

怜「噛み合っとるなぁ」



放射能、水、氷。
三位一体の、相互に高め合う能力。

一が側にいる場合、透華は放射能は使えない。
だから一が見る透華は、いつも氷を使っている。
ゆえに一が透華の能力を総称する場合、冷たい透華だのなんだのと呼ばれる。


だが衣が呼ぶ場合、それは透華の三位一体の能力の本質をつく。
すなわち、力を水で制御し、飲み込み、放つ。
その流れは、衣によって『治水』と総称される。



一「基本的に、透華の能力は三位一体、確殺。だけど……手加減出来ない」

怜「先手必勝で『殺す気』ならどうにかなっても、それ以外やと……って感じかいな」



だから、透華は絶対に衣に勝つ事が出来ない。
戦う機会自体が稀だが、この二人の相性は家族愛が前提の、最悪の相性である。




怜「衣ちゃん、何考えとんのやろなー」

怜「こないなことして、何か変わるんやろか。何か欲しいんやろか」

怜「……家族傷付けてまで、何がしたいんやろか」



その言葉によって、悲痛な顔を浮かべる一。
ただ事ではない。普段から平常心を保つ彼女が、ここまで狼狽することはただ事ではない。

一は知っている。だから京太郎に託したのだ。

衣が、こうした理由を知っている。
何を心に決めたのかを、知っている。

家族だから分かるのだ。
それがいいのか、悪いのかは別にして。




一「衣は、さ。きっと、明日———」

この透華を弱体化させる予定だった都市伝説ってなんだよ!?

本日の投下はここまで。お付き合い頂き感謝・・・って、アレ?

なんか本編がほとんど進んでいないような・・・あ、アレ?

なんだか冷やしとーかの能力説明用短編みたいになってる!主人公も今話のヒロインも全く出てない!
どうしてこうなった!どうしてこうなった!

あ、明日続きを書いて前編はちゃんと終わらせるから(震え声)



とーかとたかみーはそのうちどっかで能力詳細出すと過去に言ってしまったので、これでマニフェスト半分達成?

とーかは相手が人間非人間のどちらかによって性能が変化する、バフとデバフを使う氷使いの仲間になってた可能性がありました
宝石の放射能を自分で吸収し、ターンごとに性能アップ! が弱体化後の彼女を格納した場合の性能


なんだかものっそく眠いので、レス返信を明日に回して今は寝ます

朝起きたら山積みのワーク軍団が居なくなっていますように・・・おやすみなさいませー

お疲れッス

おつー
確かに今日はけっこうグダグダだったなwww

たかみーは木に関する都市伝説か?

俺が知ってるのだと『ゴミを木に変える能力』か…?


え、違うって?

>>188
たかみーの都市伝説って『サーウィン』とかじゃね?

DB的に考えたら次は53万辺りだな

>>193
すこやんの戦闘力から言ってそれはない

イッチー、pixivに新しい支援絵が来てたでー

クラスメート四人組カップリングだと本当に強いな

こんばん渡良瀬準


今夜で前編終わるといいなぁと思います。スタートは21:30

あ、投下開始の直前に安価取ります。この話に影響あるわけじゃないですけど
後で出て来る黒フードのについての話に影響がある程度の安価ですー



>>128
>>129
しかし解消のしようがないという。参りましたね・・・

>>147
な、なんだってー

>>148
お帰り下さい

>>156
いえす

>>157
そういうわけでもないです。ものの例えというか・・・

>>168
水タイプの強さと炎タイプの冷遇という都市伝説

>>182
大変申し訳無いと>>1も思っており

>>199
なん・・・だと・・・?
ちょっと探してきます!



某アニメで

「エレクのバカ! 何よ意気地なしっ!」

「人で立てないのをEDのせいにして・・・EDはちゃんと治ってるわ!」

「エレクの甘えん坊! 恐がり! 意気地なし!」

「どうしてできないのよ! そんな事じゃ一生立てないわ!」

「それでもいいの? エレクの意気地なし!」

「あたしもう知らない! エレクなんかもう知らない!」


「立った! エレクが立った!」


みたいになる神展開が来る日はあるんでしょうかねー

玉無くなったら立たなくなるの?
砕かれた経験ないから分からん

平行世界からやってきたキョウタネイトの可能性も・・・

>>206
薬で一応どうにかなります。棒さえ残っていれば



当方に投下の用意あり!



 覚 悟 完 了



投下はっじめーるよー

あれ?安価は?

【あんかー】


次の内三つからお選び下さい

主人公勢には一切影響がありません。あるのは黒フードに対してのみ

物語自体に大きな影響はないかもしれませんが、あるかもしれません。


『選択肢』
・国広一
・龍門渕透華
・渋谷尭深

の内から一つ選んでください


>>220

龍門渕透華

とうか

まあ、黒フードに影響があるらしいし、そいつが透華はキツイって言ってたしな

うい、連投無効ではじめちゃんで

>>1としてはたかみーが裏処理的に面倒でなかったと思っていたり

病院の屋上。


昼間はある程度動ける患者で賑わうものの、この時刻では静かなものだ。

そんな屋上、月と満天の星空の下。


屋上に佇む少年と、その少年に近寄る男性の姿があった。



「おい、京太郎」

京太郎「……ん、おやっさんか」



フェンスによっかかり、夜空を背にして向きあう少年。
缶コーヒーを両の手に、片方を少年に差し出す男性。

男同士の、無言の挨拶がそこにはあった。



京太郎「病院に来たのは、聞き込みか?」

姉帯「まあ、またお前ら絡みだったしな。俺が先行してきた」

京太郎「そりゃご苦労なこって……って、これマックスコーヒーかよ。甘っ」

姉帯「文句あんなら返せ」

京太郎「もう飲んじまったんだから返せないっての。無茶言うな」

姉帯「つっても、お前が飲めるコーヒーなんてそんなもんだろ」

京太郎「いつの話だよ……ガキの頃の話じゃねえか」

姉帯「まだまだ俺から見りゃ、お前はガキだよ」

京太郎「……そうかよ」

姉帯「そうだよ」

京太郎「言ってろ。すぐ追い付いてやる」

姉帯「おう、楽しみにしとく」



コーヒーを飲む二人の顔は、やけに対照的だった。

姉帯「まあ、実際シケた面してても何か変わるわけじゃねーだろってな」

姉帯「それじゃ女の子にもモテないだろうしよ。違うか?」



空き缶を無造作に放り投げ、ゴミ箱へとシュートする刑事。

外れればトボトボと取りに行かなければならない。
ゆえに外すとものすごく恥ずかしい。ましてや人前である。

そんな心配をよそに、空き缶は綺麗な弧を描きゴミ箱の中へと入っていった。



姉帯「俺が教えたトーク術も生かせないだろ?」

京太郎「トーク術、ってもしや……あれか? クイズの」

姉帯「そうそう」



京太郎「『濡れたら入る、変形する棒状のものはなーんだ』とか」

姉帯「傘だな」


京太郎「『エッチになるほど硬くなるものなーんだ』とか」

姉帯「鉛筆だな」


京太郎「『好きな女の子と二人っきりだとすぐたつものなーんだ』とか」

姉帯「時間だな」


京太郎「『人によって長さが違う、三文字で最後がぽのぶらぶらするものなーんだ』とか」

姉帯「散歩だな」


京太郎「『白いものを出して、毛むくじゃらの棒を出し入れすることなーんだ』とか」

姉帯「歯磨きだな」




京太郎「全っ部セクハラクイズじゃねーか! 使えるか!!」

姉帯「なんだ実践はしなかったのか。つまらん」

京太郎「娘にチクるぞ」

姉帯「やめろ」

炭酸コーヒーよりは飲みやすいだろうが!!

京太郎「はぁ……仕事しろよ」

姉帯「良いのか? 仕事しても」



先の男性と同じように、少年もゴミ箱へと空き缶をシュートする。

しかし、外れた。

はぁ、と溜息一つつき、空き缶を拾いにゴミ箱へと向かっていく。
上手く行きそうで上手く行かない彼の現実は、ここにも現れていた。



姉帯「俺が仕事するって事は、お前に天江衣について洗いざらい吐かせるって事だぞ」



空き缶を拾い、直接ゴミ箱へ。
カラン、という音がどこか虚しく響く。

振り返った少年の顔は、どこか歳相応の寂寥を浮かべていた。



京太郎「いいさ、別に支障は無いし。だけど明日には終わってると思うぜ?」

姉帯「ん? 何か心当たりがあるのか?」

京太郎「まーな」



フェンスを片手で掴み、強く握り締める。

白く変色した彼の手と軋むフェンスの音は、まるで少年の心中を表しているかのようだ。



京太郎「なんでか、俺には衣の力が効かないらしい」

京太郎「理由は分からんけど、つまり」

京太郎「衣が本気で何かをする時、この街でそれを止められるのは俺だけだって事だ」

京太郎「その事だけは、今日まで透華さん達に耳タコに聞かされてた」



彼女の力は、直接的な本人の戦闘力に作用するものではない。
その分広範囲であり、強力。それが天江衣の特性だ。


だがそれは、強力な『対抗神話』であれば相殺できる。
無防備な精神に作用するからこそ強力なのであって、作用する能力自体は広範囲に拡散する以上比較的強大ではない。
くねくねのように、狭い範囲で叩きつける能力とはまた違うのだ。


今日まで衣の能力も日々成長し、少し前の京太郎であったなら即座に廃人することも可能だっただろう。

だが、彼も成長したのだ。それも劇的に。

右手の腕輪がその証。今の彼ならば、この街でただ一人衣の月の下でも正気を保つ事が出来るだろう。

もっとも、そのプロセスを知る者はそういない。

彼本人ですら知らないのだから、知っている方が不自然というものだ。



京太郎以外の人間が彼女を止めようとするのであれば、月か太陽を砕く以外に方法は無い。



京太郎「(……後回しにしてただけで、こういう日が来るってのは、分かってたんだけどな……)」



そして、彼が仰いだ空の月は、否応無く彼に現実を突きつける。

京太郎「攻撃するのは……月だ!!」

>>243
健夜「私の出番だね」

京太郎「アイツと会ったのは、いつだったかな……一さんに会いに行った、そんな何でもない日だった気がする」



屋上のベンチに並んで座り、少年から男性へと語られる思い出の一幕。

ある日、少年が月の姫と出会った日の事。

それは月の出た夜ではなく、日が照りつける昼にあった出来事。



京太郎「ああ、そうだ思い出した。蒸し暑い夏で、セミがやたらうるさい日だった」

京太郎「日がジリジリと肌を焼いて、半袖のシャツをパタパタさせて」

京太郎「いつもみたいに、龍門淵のお屋敷に入って行こうとしたんだ」



国広一と出会い、彼が初めて彼女の住む屋敷へと赴いた日。

奇しくもその日は、新たな友と宿命との出会いとなった。



京太郎「その時は、直後の光景に気を取られて気付けなかったけど、屋敷の人達が皆倒れてたらしい」

京太郎「……今日と、同じく。精神を狂わせるスピードは衣の任意なんだってさ」

京太郎「その時も、今日も、屋敷の人達は一瞬でその意識を刈り取られた」



初めて屋敷に訪れた彼は異変に気付かず、事前に教えられた道順でお屋敷へ。

今日と同じく誰とも会わず、邸宅へと辿り着いた。



京太郎「俺は不思議に思いながらも進んで、そこで見たんだ」

京太郎「三階のバルコニーで、その高欄の上に悠然と立つ」



彼は、見上げるように。
彼女は、見下ろすように。

互いに同時に、その存在を認識した。



京太郎「昼間のはずなのに、夜空に輝く月みたいに目を引く、その金の長い髪をなびかせた」



その姿に、何を感じ取ったのか。それは二人にしか分からない。

他の誰にも、理解できないだろう。それはそういう出会いだった。




京太郎「天江衣の、その姿を」

京太郎「……なんでだか、既視感があったんだ」

京太郎「今思えば、似たような雰囲気を持ってる人に何度か会った事があったからなんだろうと思う」



幼馴染であったり。
出会った友であったり。
彼が抱いた既視感は、同種という意味で間違ってはいない。

抱いた胸の内の空虚、その寂しさは一人一人が違う物であるが。

『一人で居る事に痛みを感じる』という点に、変わりはないのだから。



京太郎「寂しそうで」

京太郎「だけどそれ以上に。危うかった」

京太郎「放っておけば、そのまま死んでしまいそうな、そんな……」



その瞳は死の向こう側、そこにある何かに魅入られていて。

この世界の何も、この世界の誰も、自分自身も含めた何も見ていないようで。

吸い込まれそうな虚無が、その瞳の奥にはあった。



京太郎「そう思ったら、急に怖くなった」

京太郎「風に吹かれて落ちたら、三階のバルコニーから落ちたら、その高さから落ちたら、彼女は……」

京太郎「そう考え終わる前に、俺は走り出してた」



階段を登って、三階に上がって、バルコニーへ。

事前に考えていた挨拶だとか、初めて上る人の家にだとか、そんな常識は吹き飛んでいた。

その時の彼の意識は、隅から隅までその少女で占められていた。



そして、その部屋で……須賀京太郎と天江衣は、相対した。



姉帯「……それで、どうなったんだ?」

京太郎「分からん」

姉帯「は?」


京太郎「分かんねえんだよ。なんか話したりしたような気はするんだけど」



嘘半分、事実半分。



京太郎「それから一週間ぐらい、俺は病院で寝込んでたんだ」



彼がその時の事を覚えていないのと、一週間寝込むハメになったのは本当だが。

京太郎嘘ついたな、その角度なら目を引くのはパンツのはずだ

その日の事を覚えているのは、彼女だけだ。

あの日、彼女は思いとどまり。

この日、その続きが再開される。


配役を変えず、名題も変わらず、その舞台は再び幕を上げる。




「かつて、この国にキリスト教の宣教師が来訪した際」

「宣教師は語って聞かせたそうだ。『神の教えを信じ、守れば、天国という楽園に行ける』と」

「その言葉に、この国の民はこう返した。『神の教えを知らなければ、その場所には行けないのか』と」

「宣教師は微笑み、説いて聞かせる。『はい、それは神の僕への祝福なれば』」

「だが、帰って来た言葉は神の使徒の望む答えではなかった」



この屋敷には、今は彼女ただ一人。
その屋根の上で空を見上げ、彼女はその時を待つ。

その人を、待つ。



「『なら、私はそれを受け入れる事は出来ない』」

「『私の両親は、その教えを知らなかったのだから。きっと地獄に行っている』」

「『たとえ辛くとも、苦しくとも、救われないのだとしても』」

「『それなら私は、地獄が良い。あの人達の隣が良い』」

「『あの人達に、また会えるのなら』」



「……素敵な話だ」

「この話を母君から聞いた夜、衣はこの国に生まれた事が少しだけ誇らしくなった」



「そうだ、幸せは刹那の中にある」

「幸せは大切な人の隣にある。当然の事だ」

「……人は死ぬ。故にその人生は刹那であり、その中に幸福はある」

「人が死ぬ事は避けられない。だからこそ、人の生は良き物なのだ」

「そんな事は、分かっている」





「だけど」

探索フェイズとかで緊張して、考えがまとまらなかったらマジで死んでしまうもん

「父君の、頼りになる背中を覚えてる」

「母君の、料理の味を覚えている」

「撫でてくれてた手の、暖かさを覚えている」

「抱きしめてくれたその懐の、安らぎを覚えている」

「笑顔を見た時の、嬉しさを覚えている」

「包み込まれるような、優しさを覚えている」

「いつだって注いでくれた、その愛を覚えている」

「二人が好きだった食べ物を、覚えている」

「何をしたら喜んでくれるかを、覚えている」

「家族で見に行った映画の楽しさを、覚えている」

「その帰りに寄ったレストランのエビフライの美味しさを、覚えている」

「誕生日にプレゼントを貰った事を、覚えている」

「手を繋いで歩いた帰り道の光景を、覚えている」

「家族で旅行に行ったその美しい風景を、覚えている」

「その思い出を、記憶を、過去を、覚えている」

「忘れない。忘れられない。忘れるものか」

「忘れる事なんて、出来るはずがない」

「代わりなんて、見つかるはずがない」

「料理を見る度に、似たような風景を見る度に、思い出す」

「何を見ても、思い出して、泣き出したくなるんだ」

「だけど、それを必死に堪えて、今日まで、六年間、生きてきた」

「この世界には、還らない思い出が多過ぎる」



「……頑張ったって」



「何も、戻りはしないのに」

病院の屋上。



姉帯「お前らが思ってるほど、大人は子供の上を行ってる訳じゃねーよ」

姉帯「強いて言うなら、お前らより失敗して、頑張ってきた時間の差だ」

京太郎「そうなのか?」

姉帯「そうなんだよ」



20年以上先に生まれ、長く生きてきた先人達。

大人は、子供を導く者だ。

それが己の子であっても、そうでなくとも。



姉帯「大人と子供の差は、歩んできた道のりの差だ」

姉帯「だから、懸命に走る子供は……いつか、大人に追いつく日が来る」

姉帯「大人は、その日を楽しみに待っている」

姉帯「自分が進むのを諦めた道を、ただただ全力で走っていく子供の背中を見送る日を」

姉帯「ただ、楽しみに待っている」



親が子に抱く、期待と夢。

子供の健やかな成長を願う、大人の愛。

いつの日か、子が自分を超えた時、その背中を笑顔で見送るために。



姉帯「俺だって、豊音がいる。天江の両親の気持ちは分かるさ」

姉帯「例え自分が死んでしまったとしても、子が生きてくれるのなら、それだけで嬉しいもんだ」

姉帯「悪餓鬼だったり、生意気だったり、反抗期だったとしてもな」

姉帯「元気に生きてくれているのなら、それだけで嬉しいもんだ」

姉帯「……だが、だがな。お前の天江衣の評を聞いて、俺にも分かったぞ」

姉帯「天江衣の目的」

姉帯「それはダメだ。他人の気持ちを勝手に語るなんざ柄じゃねーが、一人の親として言わせてもらう」





姉帯「そんなものは、天江の両親が生きていれば絶対に許さない」

黒フードが衣のことをかぐや姫って言ってたけど、あれに出てくる不死の薬って
穢れを落とす薬⇒思い出も何もかもから解き放たれる死の薬って説も有ったよな

病院の一室と、屋上。

奇しくも二箇所で、それぞれの話題はシンクロした。

それが偶然か、運命かは別として。



一「その日、京太郎の奴は暴走した衣を本人の意志を問わずに『格納』した」

一「経緯は知らないけどね。だけど、命を賭けるに値する何かを衣の中に見つけたんだと思う」

怜「無茶すんなぁ……」

一「その結果、内部で暴れる衣の力を浴び続けて……精神崩壊、植物人間一歩手前まで行った」

怜「……それで、どないなったん? 普通に元気な相棒じゃのうて、衣ちゃんの方」

一「僕達の知らない出会った時の会話か、彼の中か」

一「それとも、衣のために命を投げ出して目覚めない彼の姿か、どれかはわからないけれど」

一「何か感じ入ることがあったのか、衣はその日から大人しくなったよ」

怜「……あれ? 衣ちゃん、結局その日なんでそんな騒動起こしたん?」

怜「なんか、よーわからんというか、無茶苦茶というか……」

一「……その日も、今日も、たぶん理由は一緒だよ」



一「衣の目的は、一貫して——」





京太郎「まあ、分かるよな」

京太郎「屋敷に力の範囲を制限したのは、あの日の再現というメッセージ」

京太郎「『記憶を思い出す』事への干渉は、『思い出す事が辛い』っていうメッセージ」

京太郎「……両方共、俺に対するメッセージ」

京太郎「俺に対する、挑戦状だ」

姉帯「……どういう選択をするかは、お前を信じて任せておく」

京太郎「ありがとな」



京太郎「あの日、バルコニーの高欄の上に居た理由は、身を投げるため」

京太郎「今日、ここまで状況を整えたのは」

京太郎「『自分は殺されなければ、絶対に止まらない』」

京太郎「『お前が私を殺さなければ、代わりに世界を狂わせる』」

京太郎「そういう、俺が逃げる事も誤魔化す事もできない状況に持って行くため」

京太郎「衣を確実に殺せる者を、確実に呼び寄せるために」

京太郎「……そう言えば、淡がいつかなんか言ってたな。それが関係あるかは分からんが」



京太郎「衣の目的は、一貫して———」




「誰にも邪魔されず、死ぬこと」


「あの日遠い所に行ってしまった両親に、もう一度会うこと」


「つまり、自殺だ」

テロで死んだ両親に遭うために殺し屋を雇い、
なおかつ自殺にならないようにボディーガードも雇ったあの娘を思い出したな・・・

今ある家族も、友も、知人も、その命すら投げ捨てて。

遠い場所、手の届かぬ場所へと旅立とうとする。

かつての居場所へ、彼女が帰りたいと願うその場所へ。

何を捨てたとしても、何を失うとしても、帰ろうとする。

死の向こう側へ。彼岸の向こう側へ。此世の向こう側へ。



それはまるで、御伽話の輝夜姫のように。

輝夜姫は家族に引き止められても、愛してくれる者達に引き止められても、帝に引き止められても帰ろうとする事をやめなかった。

かつて彼女が生きた場所、彼女が本当に愛した場所は此処ではなかったから。

彼女の中に彼女が望む過去がある以上、その場所以外の場所に彼女の望む未来は無い。

だからこそ、今在る心も捨て、今の家族も捨て、今の彼女が持つ全てを捨てて。

輝夜姫は、かつての場所に帰って行った。

新たに得た彼女の家族も、絆も、彼女を繋ぎ止める事は出来なかったのだ。



月に帰ろうとする輝夜姫。

死の向こうへと向かう天江衣。


遠い場所へと向かう者を引き止められないのであれば、悲しき別れを受け入れるしか無い。

そこには、楽な道も楽な手段も無い。

繋ぎ止めるのであれば、生半可な覚悟では至れない。


現に、輝夜姫が遠い場所へと旅立つ事を、誰も止められなかったのだから。



だが、竹取物語にはただ一つ、例外が存在する。

研究者が考える、輝夜姫を引き止めることが出来た唯一の可能性。



『五つの難題』だ。
輝夜姫は物語の中で、難題を乗り越えたと偽った者と祝言を上げようとした事がある。
本当に難題を乗り越え、彼女を射止める事が出来た者が居たのなら、彼女を引き止めることが出来たかもしれない。

可能性の話だ。

だが、『輝夜姫を月に返さない』という六つ目の難題の答えとしては、これ以上に相応しい物はないだろう。


輝夜姫が帰ろうとしない、天江衣を死なせない、そのために必要な答え。


彼女を助けたいのであれば、乗り越えなければならないのだ。この——



京太郎「……月が、綺麗だよな」

京太郎「お前も、見てるのか? ……衣」



——六つ目の、難題を。



END.
第十三話前編:Moon is a Harsh Mistress/月は無慈悲な夜の女王
START.
第十三話後編:Mote in God's Eyes/神の目の小さなゴミ

そうか、今回の勝利条件は衣と結婚することか・・・

本日の投下はこれにて終了。お付き合い頂き、ありがとうございましたー

体力尽きてきた気がしましたが、気力で持たせてなんとか前編終了。流石に四回に分けるのは、ちょっとあれでしたし


後追い自殺って、けっこうメジャーな自殺の理由だと思います

原作の衣も、負けるまで本当の意味で龍門渕ファミリーを家族と思って居なかったのではないでしょうか、という一個人の考え

麻雀がなかった結果、執着の方向性が集約して・・・この惨状

六年前だところたんは小二?ですね。7〜8歳 

年齢一桁の頃が、親の死に一番ダメージ受ける年頃だと思います。りつべマジ鬼畜




すみません、意識飛ぶ前に寝ます。WBCおめでとー、イバタ、いいバッターだったよー


おやすみなさいませ、皆さんも良い夢をー

お疲れッス

前編で京太郎が淡が言ってたとかなんか伏線あったかなーと思ってたら淡回の後編冒頭で淡が言ってたわ


>淡「止めるにしろ、戦うにしろ、[ピーーー]にしろ」
>淡「すがっちは、友達なら『大好きだから』って理由でしてくれるでしょ?」
>淡「私なら、そういう向き合い方をしてくれる素敵なヤツなら……」
>淡「そんな最高にイケてるヤツなら、嫌いにはなれないと思うな」
>淡「人生。病気や老衰で死ぬよりか、そんな人に殺されて終わる方がロマンチックじゃない?」


ヒロインの気持ちが重い

とりあえず、淡が京太郎に振られたら
スーパーマン理論で地球の自転を逆転させて時間を逆流させると思う

小ネタでいいから、十二話りゅーか、セーラsideで見てみたい
京怜に嫉妬したり、京太郎に惚れかけて、怜のために一歩引いてみたりな感じで

俺も恋愛的な話見たいけど最終的にバキオチになる気がしてならない

こんばんワルキュリアOFX-2

TeamR-typeの続編を楽しみにしてた時代、そんな日々もありました



本日21:30から投下開始します。後編ですねー


今回の衣編は衣編一ちゃんルートみたいな構成
選ばれた仲間が透華だったり、尭深だったりすればまた違った話になったかもしれませんね
特に透華は



>>336
友情だよ!よ!

>>339
それはもはやゆで理論や!

>>341
・・・んー、埋めネタが切れたら埋めネタでその辺りやりましょうか

>>347-350
熱い風評被害



なんだか昔卒業したネトゲの終身刑が軽くなっていると聞いて微妙な気持ちに
フリトレで昔高かったアイドルがスタドリ数個で叩き売られてて微妙な気持ちに

何にせよ、時代の流れは寂しくなるものです

http://wiki.ffo.jp/html/17547.html

>>1の好きなキャラを贔屓したいのに話の整合性という強敵のせいで自由にならないでごわす




      //ア    /  / イ   :ト、    \      \        \   \
.     // /     /  /  |    | \    \      \       \   \
.      /′i    /  /i   |    │  \      `ヽ      `ー- 、      Y⌒ヽ}
     {  |  ,:イ   :ハ`¨´`T´   |  、  \ト、  ヽ `ー- 、    \_   }
        |  | |  ト、ハ≫=zzz、   !   `¨´`¨´`¨´`¨´   |  |\    ヽ`ヽノ\
.      人  | |  |  代 {  __} \|    ィ=- ..,,__\ト、 j │ \    }     \
        \! 〉、 !  :. 乂_フ     ´下¨¨“_卞ゝ  jイ  ノ    ヽ  ノ      i
          /  ヽ ハ             弋  `フ ノ  j/`ヽ    j/       |  ……ダル
.           / /   / :.    ,      `¨¨´        ノ      ト、   ト、  }
         i  |  i :从                       /  ト、   | ヽ.  ; } /
         l 人  ト、  ト、    _          rー-イ  イ ! \ !   } / j/
         ∨  \! ∨V .>   `       イ {ス人jヽノ jノ    jノ  j/
               /.:.:/:.:.:./‐/ >、 _ ... イ     ゝ   ヽ
                 l.:.: ′:.:.|‐|    λ´            ` < _
.               人::|:.:.:/::|‐|     `ヽ   ィ´        / 7:.:.:. ’,
                Y:.:.:.';:.:/:.:.:|‐|                     / /:.:.:.:.:.:.:.:
             }.:.:.:.�.:.:.:.|‐|                    , ' ソ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:
               λ.:.::´:/.:.:}‐{                !   / , ':.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: }
              /.:.:..:; ':.:.:.:.:. l‐l     ,  ´         / ,:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. 从
.           /.:.:.::.:,:.:.:.:.:.:.ハ ',    /        ヽ V  ';.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∧
          , ':.:.:.:.:.:,:.:.:.:.:.:.; ':.:.:.:./., , '            ゝ!.::.: V:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/
.         /.:.:.:.:.:.:/:.:.:.:.:.: / .:.:.:.:.:./.乂        ≦ x<:.:.:. ';.:.:.:.:.�:.:.:.:.:.:.:.:/
.      ′:.:.:.::.′:.:.:.:.:.′:.:.:.:.:.圦 /ァ -=≦ } .:<:l:.:.:.:.:.:.:.:. l:.:.:.:.:.�:.:.:.:.:.:λ

       l:.:.:.:.:.:.:.l:.:.:.:.:.:.:.l:.:.:.:.:.:.:.:.:.; ゞ==-≦::.:.:.:.:.:. |:.:.:.:.:.:.:.:.:| :.:.:.:.:l:.:.:.:.:.:.:.:.:.:
.        ';.:.:.:.:.:. |:.:.:.:.:.:.:.!:.:.:.:.:.:.:.: |:.:.:.:.:.:.:.:.:{:.:.:.:.:.:.:.:.:.l:.:.:.:.:.:.:.:.:l:.:.:.:.:.:|:.:.:.:.:.:.:.:.:.从
.       入:.:.:.:. ';.:.:.:.:.:.:.;:.:.:.:.:.:.:.::.l:.:.:.:.:.:.:.:.:!:.:.:.:.:.:.:.:. |:.:.:.:.:.:.:.: |:.:.:.:.:.:l:.:.:.:.:.:.:. /
          丶:.::.. V:.:.:.:.:.:';.:.:.:.:.:.二ニ=-:. 〈:.:.:.:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:.:.:.;:.:.:.:.: ∧:.:.:.:.:.:/
            >=- ≠=.::.:.:≦.:.:.:’,:.:.:.:.:.:.}:.:.:.:.:.:.:.:.:l:.:.:.:.:.:.:.:;:.:.:.:.:./:.:.:.:.:.:.:.:′
              入.:./:.:.:.:.:.:.:.:丶:.:.:. |:.:.:.:.:.:.:.:;′:.:.:.:.:/:.:. /:.:.:.:.:.:.:.: {




投下はっじめーるよー

翌日。

その日が落ちれば、天蓋に座す主が満ちる日がやってきた。

しかし太陽は未だ天頂にあり、夜の世界へ至るにはまだまだ時間がある。


ありていに言えば、今現在は平日でかつ昼休みだ。



京太郎「かな五十音でさ、ら行ってあるだろ?」

泉「あるな」

和「ありますね」

京太郎「や行とわ行の間に、なんでら行置いたんだろうな。発案者」

泉「三文字行に挟まれるアレはある意味イジメやな」

和「いろは順のような理由もないですし、あの位置は本当に意味不明ですよね」

京太郎「濁点つける行、三文字の行で揃えても良かったと思うんだよ。覚えやすいし」

泉「母音子音で揃えとるから行ズラしとっても問題あらへんしな」

和「どうでもいいですけどわ行のえ段の文字は人間が発音できるものの五十音に割り振られていない唯一の文字だそうです」

京太郎「豆知識だな」

泉「ふん、ちょっとばかし頭いいからっていい気にならん事やな。原村」

和「?」

京太郎「しかし久々に購買のパン買ったが、やっぱ美味いな」



生徒会室にて、一年生の食事風景。

人はパンのみにて生きるにあらずとか偉い人が言っていたので、この三人は楽しく話しながら食事をしているのだ!

……なんて、事もなく。

事件の最中であっても、日常を崩さない。

非日常に日常を崩される事は、彼が最も嫌う事だからだ。

泉「で、なんか知らんが食い終わったらどっか行くと。節操ないやっちゃな」

京太郎「悪いな、事前準備は俺の命綱なんだ」

和「また、戦いの準備ですか?」

京太郎「んー、そうなるとは思わないんだよな」

泉「?」

和「?」



パンの袋二つを丸めて、残り一つの袋の中に詰める。
そのまま、彼はその袋を生徒会室のゴミ箱に向けてシュート。

放り投げられた袋は綺麗な弧を描き、そして。

ゴミ箱に届かず、手前で落ちた。


二人はそそくさと、いやトボトボとゴミを拾いに行く彼の背中に、哀愁と羞恥心を見た。



京太郎「……あー、あれだ。詳しい事は省くけど、今度の奴は直接的な戦闘力が無いんだよ」

泉「(あ、誤魔化した)」

和「(誤魔化しましたね)」

京太郎「そんなんだから、具体的にそいつの目の前まで辿り着く事だけ考えればいいんだ」

泉「そうなん?」

京太郎「正門を抜けてからなら『あの場所』まで300mくらい、だったかな」

和「辿り着くだけなら、簡単なのでは?」

京太郎「次はアイツも本気で来るだろうし、それに何より」


京太郎「本当の意味で俺だけしかアイツを止められないんだ。本気で拒絶するアイツと、本気でアイツに手を伸ばす俺」


京太郎「辿り着けるか、辿り着けないか。そういう向き合い方になると思う」


京太郎「誰かを格納すんのは無効化のリソースを余計に割く可能性もある。だから、普通の格納は今回お休みだな」


京太郎「第一無効化の理屈もよく分かってないんだ。結局は俺一人の戦いになる」


京太郎「まずは輝夜姫に触れられる場所まで、手を伸ばせば触れられる場所まで近付かねえと」


京太郎「……お話にならねぇんだよなぁ」

【天江衣/狂化水月】


HP:20


ATK:10
DEF:10


『輝夜姫』
月の江より降りし天女の衣。
美しき月、狂おしき月、見下ろす月。
指定した対象に「狂化」の状態異常を付加する。
「狂化」した対象の操作権を得る。

【今回の戦闘について】


今回は敵が直接的な戦闘力を持たず、かつ戦闘力以上に厄介な能力を保有しています。


よって通常の戦闘は成り立ちません。
人と人なら戦闘の駆け引きがあっても、人と要塞なら戦闘ではなく破壊活動になるように。

戦闘は、規模や状況によって形が変わります。



今回は、正門から直線距離換算で300m先に居る天江衣に触れる事が出来れば勝利扱いとなります。


一ターンにおける可能移動距離は、その際の判定コンマ数値そのまま。
コンマが『99』だった場合、99m進めるという事です。


しかし、可能行動ターンは京太郎の中の『何か』が彼を守っている間のみ。
彼の中の『何か』の力が尽きた瞬間、ゲームオーバーとなります。


現状、彼の残機は四。
四人分で、四つです。
一ターン毎にこの残機は一つづつ減少し、残機が零になった時点で終了。


さらに道中の行動選択肢により、ショートカットや遠回りになる可能性もあります。
ショートカットしようとしてかえって時間がかかったり、その遅れを取り戻すため博打に出るなどという考えもあるでしょう。


現状のままでも行けるかもしれませんが、それだと非常にリスクが高くなります。
運試しになりますからね。


なので今回の探索パートにて、その勝利の鍵を掴んで下さい。


事前準備、大事。

京太郎「(月の光を軽減する方法、あるいは一気に接近する方法)」

京太郎「(もしくはやせ我慢でも、耐える方法)」

京太郎「(敷地内の進み方……今の所思いつくのは、こんぐらいか)」



京太郎「何にせよ、決戦は夜」

京太郎「満月の夜、全力のアイツに向き合って、受け止めてやらないと」

京太郎「……誰も、前に進めない」



京太郎「あの日の事は全部覚えてるわけじゃないけど」

京太郎「……ぶつけられた言葉と、完全に否定された事だけは、覚えてる」

京太郎「心に刺さってる楔を抜かないといけないのは……衣だけじゃ、ない」

京太郎「……他人事じゃないんだよな、俺も」




京太郎「さて、どうするか」

【移動可能先】


・一年A組

人物:原村和(メイン)、宮永咲etc…

オカルトとは関係のない知識面からのアプローチ。


・一年B組

人物:新子憧(メイン)、高鴨穏乃、園城寺怜etc…

街に流れる噂の情報。


・生徒会室

人物:花田煌、二条泉、船久保浩子、原村和etc…

有用な情報、あるいはヒントの提示。


・園芸部温室

人物:松実宥(メイン)、宮永咲、松実玄etc…

学外における情報、ほぼ確実にイベントが発生するヒント。
また、サポートアイテムの入手が可能。


・家庭科室

人物:清水谷竜華(メイン)、園城寺怜etc…

人脈からくる広範囲の情報。ヒントの提示。時々ステータスアップ


・図書室

人物:宮永咲etc…

都市伝説の種類に関して確定で一つ情報ピースを入手可能。


・事務所支部部室

人物:今まで登場した人物全て(メイン)、今まで登場した事の無い人物

全ての人物が居る可能性有り。何でも起きる可能性有り。何でも手に入る可能性有り。

【移動可能先】


・一年A組

人物:原村和(メイン)、宮永咲etc…

オカルトとは関係のない知識面からのアプローチ。


・一年B組

人物:新子憧(メイン)、高鴨穏乃、園城寺怜etc…

街に流れる噂の情報。


・生徒会室

人物:花田煌、二条泉、船久保浩子、原村和etc…

有用な情報、あるいはヒントの提示。


・園芸部温室

人物:松実宥(メイン)、宮永咲、松実玄etc…

学外における情報、ほぼ確実にイベントが発生するヒント。
また、サポートアイテムの入手が可能。


・天文学部

人物:大星淡etc…

夜間の街の情報。都市伝説に関する有用なヒント。


・家庭科室

人物:清水谷竜華(メイン)、園城寺怜etc…

人脈からくる広範囲の情報。ヒントの提示。時々ステータスアップ


・図書室

人物:宮永咲etc…

都市伝説の種類に関して確定で一つ情報ピースを入手可能。


・事務所支部部室

人物:今まで登場した人物全て(メイン)、今まで登場した事の無い人物

全ての人物が居る可能性有り。何でも起きる可能性有り。何でも手に入る可能性有り。

【調査目的:麗しき月にゲンコツを】


【移動先指定可能回数:残り三回】



京太郎「どこに行くべきか」



移動先を指定して下さい


>>395

天文学部

【天文学部】



淡「や、無理だから」

京太郎「あ、やっぱり?」

淡「前の私なら出来たかもだけど、最近の私弱っちいいからね」

淡「『月の光を遮断』ってのは、難しいかなー」

淡「それに精神干渉系とか無効化系、私の天敵だし」

京太郎「ですよねー」

京太郎「どーすっかなー」

淡「33秒なら、私も格納できるんだよね?」

京太郎「ん? まあな」

京太郎「容量増えたって言っても、お前くらいデカイのが入ると他の奴が入れなくなるけどな」

淡「ふむふむ」

京太郎「だからあの四人の方がバランスは……何か、考えついたのか?」

淡「まーねー。名付けて、『南斗人間砲弾作戦』!」

京太郎「露骨に嫌な予感しかしねぇ!」


淡「一階から入ると時間がかかるなら、屋上から入れば良いって事なんだよ? ふふん」

京太郎「ああ、なるほどな……多少入り組んでるけど、それなら直線距離換算で100mくらいはショートカットできる」


淡「どうよ? どうよ? 私冴えてない?」

京太郎「ああ、全くだ。流石淡」

淡「褒めてくれてもいいのよ?」

京太郎「頭を撫でてやろう」

淡「えっへへー」





【戦闘開始前にイベントフラグ:必須距離が300mから200mに】

【調査目的:麗しき月にゲンコツを】


【移動先指定可能回数:残り二回】



京太郎「どこに行くべきか」



移動先を指定して下さい


>>410

事務所支部部室

【事務所支部部室】



豊音「あ、いらっしゃーい」

シロ「……本来この部屋の主は彼で、私達はお客だけどね」

豊音「あ、そうだよね。おかえりなさーい」

シロ「……いや、まぁいっか。イチイチ訂正もダルいし」

京太郎「あれ、二人がこっちにいるのは珍しいですね」

豊音「図書室が人で一杯だったから、ここの一角借りてるんだよー」

シロ「……私達、受験生だし。勉強、ダルい」

京太郎「それをだるいっつってたら破滅一直線ですよ。誰だってダルいんですからしっかりして下さい」

京太郎「ってか、もうそんな時期ですか。そういえばもうそろそろ12月に入りますしねー」

豊音「うんうん。皆でね、一緒の大学行こうって決めてるんだー!」

シロ「……勉強できない組は、結構頑張らないといけないんだけどね」

京太郎「……あー、何か良いですね。そういう友達というか、付き合いというか」

豊音「友情?」

京太郎「ですね」

シロ「だから、ダルいんだけど頑張ってんの……」




京太郎「迷った時はどう行くべきか」

豊音「回り道するのも悪くないけど」

シロ「……悩むけど」

「「真っ直ぐかな」」

京太郎「……おおう、声を揃えて」

豊音「小細工しても、最後は真っ直ぐだよ。回り道は真っすぐ行ける道を探すためのものだから」

シロ「いやまぁ、今なんて言おうか迷ったけどね。迷ったけど、君なら真っすぐ行った方が良いと思う」

豊音「近道も回り道も、結局は博打だから」

シロ「それでもどうしても博打を打ちたいなら、近道にしておくといいよ」

京太郎「近道、ですか。了解です」



京太郎「(基本は近道でもなく回り道でもなく王道に、か)」

京太郎「(……うん。王道自体は、嫌いじゃない)」




シロ「ああ、受験全部マークシートだったら良かったのに……」

京太郎「なんかこの人すっげぇズルい事しようとしてる気がする、なんでだ」

【調査目的:麗しき月にゲンコツを】


【移動先指定可能回数:残り一回】



京太郎「どこに行くべきか」



移動先を指定して下さい


>>439

園芸部温室

【園芸部温室】



宥「あったかーい……」

京太郎「ええ、暖かいですね」

宥「……」

京太郎「で、このノートなんでしょうか」

宥「あのね、私も三年生だからしっかり勉強しないといけないの」

京太郎「ふむふむ」

宥「だから、暖かい温室で勉強したらはかどるんじゃないかなー、って……」

京太郎「で、湿気でベチョベチョになったと」

宥「えぅ……」

京太郎「なんだかなぁ、本当にこの人は……」

京太郎「そういえば」

宥「?」

京太郎「『ルーベライズ』ってありましたよね?」

宥「うん、私があげたお守りね」

京太郎「あれ、どこで手に入れたんですか? 何個も持ってたみたいですけど」

宥「ああ、アレはね。私が創ったの」

京太郎「……え?」

宥「こうやって、手を握って、念じて……はい、どうぞ。新しいの作ったよ」

京太郎「え、あ、いや。あ、ありがとうございます」



京太郎「どういう仕組みになってんだ、これ……」

宥「私の都市伝説って、『赤いマフラー』と『赤マント』でしょ?」

京太郎「はい、そうでしたね」

宥「『赤いマフラー』には、対になる青いマフラーが登場するでしょ?」

京太郎「ああ、確かそんなのが……って、まさか……青くて、首にかける……」

宥「当たり。赤マントの影響でね、私が作る『青いマフラー』はそうなっちゃんだ」

京太郎「しょ、衝撃の事実……!! 知らんかった……」

宥「だからそれは、私の力の一部を込めてるから必然的に強力なんだよ」

宥「そしてそれが壊れるまで、新しいのは作れない。赤の伴侶の青は、一つだけだからね」

宥「どうかな?」

京太郎「……なんだか、前より強い気がしますね」



宥「今度は迷い無く、『無事で居て欲しい』って願いを込めたから」

宥「今度は私の心からの気持ちが、貴方を守ってくれるから」

宥「だから、ちゃんと肌身離さず持っててね?」




京太郎「(……なんか前より、綺麗になったよなぁ。この人)」


【真・ルーベライズ】
効果:死亡・ゲームオーバーを無効にし、所有者をHP1で復活させる。

龍門渕邸。

既に日は傾き、決断と決着の時は迫る。

その夕日を見つめながら、その少女は思い出の一幕に浸っていた。

それは今日、二人が相対しなければならなくなった原因となる出来事。



「あの日……思い知らされた」

「衣は結局寂しいだけの、臆病者なんだって」

「きょーたろーにはすまないとは思ってる。だけど……」



二人が出会った日、衣だけが記憶に残している過去の出来事だ。

その日、その出会いがあり、その人と出会えた事を。

天江衣は、天の配剤だと考えている。




時は、遡る。




京太郎「ま、待った!」

衣「……何だ、お前は」



その日、衣は決行した。

何が切欠かなんて、それこそどうでもいい話。
ただその日、父君と母君に会いに行こうと、そう強く思った。
前々から考えていた、それを実行に移すだけ。


邪魔者、衣を止めようとするであろう皆を静かにさせて、さあ行こうとしたその時。


眼下に、誰かが居た。


衣の力の支配の下でも、何て事も無い様に走り回るその姿。


目と目が合う。
……何故か、目が離せない。


その眼の奥の何かに魅入られたように、何故かバルコニーから飛び降りようとする足がぴたりと止まってしまう。


……結局、その少年が目の前に来るまで、足を踏み出せなかった。


何が何だか分からなかった。
いや、その時の衣は、自分の事すら分かっていなかった。


天江衣は分かっていなかったから、その時思い留まった。


その後、その少年に気付かされるまで、何一つ分かっていなかった。




だから衣は、きょーたろーを選んだんだ。

と、とりあーえず本日はここまで。お付き合い頂き、ありがとうございましたー

明日ここから続きを書いて、そのまま後編を終わらせる予定。・・・終わらせますよ!

ちな今回はアコチャーの所に行っても良かったかもしれませんねー。現状良い感じですが



明日早いのでここらで寝ないといけないのです。レス返しは、申し訳ないですが明日

青いマフラー=ルーベライズは最初に決めてたのに全く描写がなくてズルズルここまで来たなんて言えない


では皆さん、おやすみなさいませー

もしも願い一つだけ叶うなら
君のそばで眠らせて
どんな場所でもいいよ



  |            | o  マ`ー '  7´         " .::⌒ヾト/ // |   /     /
  |            |  とつ_`ー— '           /::::::::::ハ ヘYイ /  /    /
  |            |  〃   `¨            {o{:::::::爿 || |,/  /    /
  |            |  ||                     ∨廴ノ(_).,リ /  /   /
  |            |  ||                  '   \z_ノ /'|/  , イ ./
  |            |  ||                       `とつ./ ///!
  |            |  ||                       /イ/イ  |
  |            |  ||             , — 、           /   !  .!
  /!            i!  ii           ̄`’        /   |   |
. / i!         i!  ii                    /    i!   !
/  |            ト、  ii                  .イ     |   i!
  ,!        i  | \!i                   . <  i!    .i!   |
  /!       |  |   じゝ.          . <   \i!    |   !
. / i!       |  |      > ,. _ . <   \   |      !   |
/  |       |  |        /      \   ヽ   !      |   |



音楽かけつつ書いていても、衣の話は重い
書いてる>>1の精神力も削れますぜーふはは



投下はっじめーるよー

その少年の目は、生きていた。


衣は、あの日から自分の眼が死んでいるように思える。
他人からは無邪気な眼だと、そう言われたりもするが、トーカ達はそう言わない。

つまりは、そういうことなんだろう。



京太郎「と、とりあえず危ないからそっから降りないか?」

衣「そういうセリフを吐くという事は、衣が何の目的で此処に立って居るのか見当が付いているんだろう?」

京太郎「……」

衣「止めてくれるな、通りすがりの赤の他人」



ただ、その少年を無視して飛び降りればいいだけの話だ。

だけど。

何故かは分からない。
衣はその少年と語りつつ、その足を踏み出さなかった。

何かを期待して……期待して?
その時衣は、死を選ぼうとしていながら、何かを他人に期待している自分に戸惑っていた。

気付いていなかった。目を逸らしていた。
だからその時、抱いた感情に戸惑ったんだ。



京太郎「……いや、やっぱりダメだ!」

京太郎「事情は知らんが、身投げしようとしてる人を放ってなんておけるか!」

衣「お節介な事だ。いや、大きなお世話と言い換えてもいい」

京太郎「だけど、そ——」

衣「少年」

京太郎「?」

衣「お前、親は居るか? 親が好きか?」



そんな感情を抱いたのは、彼の瞳の奥に。


自分が共感するような、『何か』の存在を感じ取ったからかもしれない。

家族が居ない。

寂しい。

人間は、自分と似たような目をした奴だけはすぐに分かるんだ。

だって、毎朝鏡でその目を否応無く見てるんだから。

だから衣も、もしかしたらと思った。

もしかしたら、この少年は、衣の気持ちを——



京太郎「……居ない。俺は孤児で、拾われっ子だ」

京太郎「血は繋がってないけど、俺を拾ってくれた家族は居る。それがどうした?」



——期待していた分、落胆もひとしおだった。

やっぱり、ダメだ。

……ダメ? 何が?

そもそも、衣の気持ちが分かる奴が居たとしよう。

衣は、そいつに何を期待した?

いや、この期に及んで……まだ、何かを期待している?

分からない。分からない。

だけど、一つだけわかっている事がある。



衣「……そうか」

衣「ならお前に、衣を止めることは出来ない。たぶん、未来永劫」



この少年に、衣の気持ちは分からない。

京太郎「あ、待てよ!」

衣「衣の親は、死んだ」



京太郎「……は?」



もう、言葉を交わす必要も無いというのに、何故話を続けるのか。

意味も無く話を続けることに、意味はあるのか。

ある。……あったのだ。

その時の衣には、何も分かっていなかったのだけれども。



衣「まだ衣が何も知らぬ無垢な稚児でしかなかった時に、死んだ」

京太郎「……」

衣「それでも、止めるのか」



ただ、自分の本当の気持にも気付けず。

諭すように、偉そうに、講釈を垂れていた。

試されていたのは、本質を見極められていたのは、本当は衣の方だったのに。

だからだろう。




衣「産んでくれた親も、その愛も、それを失う痛みも知らないお前が」



衣「訳知り顔で、衣を止めるのか」




その言葉でひどく傷付いたように見えた少年が、歯を食いしばって。

なけなしの気力を振り絞って、顔を上げて、こちらに向き合って、それでもなお折れなかったのは。

衣自身ですら気付けていなかった本当の気持ちに、きょーたろーだけが気付いてくれたから。

きっときょーたろーは覚えていないし、その時衣の心情を完璧に理解したわけではないのだろうけど。



きょーたろーは、衣に、その手を伸ばしたんだ。

傷付いた顔で、言葉を紡ぐ度に自分も傷付いて。

その時の衣を諭そうとしている事自体が、彼自身を傷付けているにも関わらず。

親の居ない自分が、親を失った衣を諭す矛盾に苦しみながらも。

それでもなお、諦めず衣を引きとめようとする姿は、ひどく情けなくみっともなかった。


そして、美しかった。


赤の他人の事など、投げてしまえば、逃げてしまえば、それで楽になれるのに。



京太郎「……それでも、だ」

京太郎「それでも、目の前で誰かに死んでほしくないって思うのは、間違ってるのか」

京太郎「それでも貴女を止めたいと思うのは、いけないことなのか」



真っ直ぐだ、
その真っ直ぐな瞳で見据えられると、心がざわつく。
きっと迷いがある者、心にやましい部分のある者も、この瞳に耐えられないだろう。

ただひたすらに、こちらへ善意を向ける目だ。
その善意を受け止められないという事は、すなわち善意を無碍にする事に他ならない。

だから、後ろめたくなる。

……だけど、その時の衣は。



その真っ直ぐな目が、ひどく癪に障った。



正論が、真っ直ぐな言葉が、喧しく響く。

理屈でなく感情で動いている人間に、正論は逆効果。

当然の理屈だ。

そして、トドメとばかりに。



京太郎「きっと、あの世で貴女の両親だって娘に死んで欲しくないって、そう思ってるはずだ」



その、耳障りがいいだけの綺麗な言葉が。

痛みと苦しみの実感も伴わない、どこかで聞いたようなその台詞が。



それがひどく、癇に障った。



京太郎「だから、貴女も……」

衣「……っさい」

京太郎「え?」



衣「うるさい! お前が、他人のお前が、衣の家族を語るな!」

衣「父君と母君がどう思うかなど、この天江衣が一番分かっている!」



そうだ、分かってた。
たった一人の娘だから、二人の家族だったから、分かってた。
そんな事、父君も母君も望んではいないと。

それでも、この世界で一人で生きていく事が、たまらなく寂しかったんだ。



衣「それでも生きる事が辛いって、今ここに生きている意味が見つからないって!」



生きている意味が分からなかったから、ただそれだけで死に触れたくなった。
そんな理由で死を選ぶ人は、きっとこの世の中にたくさん居る。

生きる意味が無いという事は、死を選ぶ事に理由がいらなくなるって事だから。



衣「苦しくて、痛くて、泣きたくなるのを我慢して、それでも生きて行こうと思える価値が、もうこの世界に感じられなくて!」



だから、もう限界だった。
もう、嫌だったんだ。

父君と母君に、一目だけでも会いたい。
もう一度、あの優しい二人に会いたい。
「よく頑張ったね」と、頭を撫でて貰いたい。

そう、願っただけなのに



衣「悩んで、考えて、その上で衣は決めたんだ!」



そんな些細な願いも、この残酷な世界では叶わない。




衣「それを何も知らないお前なんかに、今日会ったばかりのお前なんかに!」

衣「血の繋がった家族の居ないお前なんかに! お前なんかに!」

衣「この気持ちが、分かってたまるか!」



気付けば声はしゃがれて、涙は流れて、顔はクシャクシャだった。

そして、その激情が冷めぬ内に。消え去らぬ内に。




衣「残される者の気持ちが、分かってたまるかぁっ!!」




衣は、バルコニーから身を投げた。

京太郎「……ッ、あっ……!!」

衣「離せっ、離せぇっ!!」



落ちる自分。
駆け寄るきょーたろー。
流れる景色。


……伸ばされた、手。


その手を、何故か。
その時は全く理解不能だったほどに、何故か。


その手を、取ってしまった。
強く強く、握ってしまった。


すぐに離そうとしたが、今度はあちらが離してくれない。



衣「離せ、これ以上、何を語る事が……!」

京太郎「嫌だ。絶対に、離すもんか……!!」



衣がいくら小柄であったとしても、その重さは片手で支えられるようなものではない。
下手をすれば、二人一緒に落ちてもおかしくはない。
離すべきだ。離せば楽になるんだ。なのに。



京太郎「この手を離したら、貴女の生命まで、離しちまう……!」

京太郎「それだけは、嫌だっ!!」



決して、彼はその手を離そうとしなかった。

そして、その時、衣は心の中に湧いた気持ちに戸惑っていた。



衣「(なんで、なんでっ……!)」

衣「(衣は、今なんで……!)」




衣「(『助かった』なんて、思ってしまったんだ……?)」

そうか。

なんて事はない。

こんな事になって、ようやく気付いた。

何故、さっさと誰も来ないうちに身を投げなかったのか。

この少年が衣を止められないだろうと思った時に、落胆したのは何故だったのか。

今日この日まで、衣が父君と母君の元へと行こうとしなかった、その理由の源泉。

その理由は、本当につまらなかった。



衣「……ははっ」

京太郎「笑ってる場合か、えっと、衣! 絶対に、落とさねぇからな!」

衣「(……なんて、滑稽な)」




……単に、衣は、死ぬ事が怖かったんだ。




なんて、つまらない理由。

生きている事に耐えられなくて、だけど死ぬ事も怖くて選べない。

一人で死んで、もしもその先で一人になってしまったら。

……怖い。

もしも死んだその先で、父君と母君に会えなかったら。

……怖い。

知らない場所に行って、そこでもし一人になってしまったら。

……怖い。

一人ぼっちは嫌だ! 寂しいのは、心に穴が空くように痛いから!

……怖い!


だから無意識の内に、死を避けた。

誰かがこの寂しさを埋めてくれる事を願い、誰かが止めてくれる事を願った。

そして理性は死を求めていたから、邪魔者を片付けて、伸ばされた手を跳ね除けた。


理性は、「寂しいから耐えられない、死のう」と。

本能が、「この先で抱くかもしれない寂しさが、怖い」と。


相反し、矛盾する葛藤。

だからこんな、矛盾だらけの自分になってしまった。



「寂しいのは、嫌だ」「誰か、助けて」



そんな想いが根底にあるのは、どっちも変わりはしないのに。

だから、今衣の手を握る彼の手は、間違い無く衣を救ってくれたのだ。

傷付き、手を跳ね除けられても、それでも手を繋ごうとした彼の手は、暖かい。

助けてなんて、言った覚えは無いのに。

それでも、赤の他人でしか無い衣を助けてくれた。



京太郎「……諦めんな、全部!」

京太郎「お前の……衣の命も、こっから先、生きてく事も!」



今日初めて、彼の言葉を聞いた気がした。
彼の言葉に、しっかりと耳を傾けた気がした。

その眼を見て、その気持ちを受け取れた気がした。



京太郎「死んじまったら、何もかも終わりなんだ」

京太郎「もう何にも触れる事は出来ないし、誰も話しかけてはくれないんだ」

京太郎「死人に、口は無いんだから」



その時、視界一杯に光が広がった。
暖かな山吹色の光と、清浄さを感じさせる少量の浅葱色の光。
それらが入り交じって、それらは混じり合って。

衣の身体を、包んでいった。

透き通って行く視界と、意識の中。



「お前の生き方も! 生きる意味も! その価値も!」

「全部お前が決めるんだよ、衣!」

「死人は何も語らないんだ!」



彼の叫びだけが、やけに耳に残っていた。

衣「(……暖かい)」



眼を開けると、そこは光の中だった。
暖かな海の中のように、その中を衣が揺蕩っている。
安らぐような、包み込まれるような、そんな気分だった。



衣「(ここは、あの少年の心の中か……?)」



なんとなく、そう思った。
ここは彼の内部そのもので、彼の心の在り方そのものだと。


そう、確信する。
そう、伝わってくる。
この、柔らかであっても眩しくはない光の海が、そう感じさせる。


暖かなその海が、希望、勇気、優しさ、弱さ、劣等感。
彼の心を形成する、それら全てを曖昧ながらに感じさせる。

彼の中に入った物は、全てこれを知る。

もしも彼が意識的に誰かを匿うのであれば、それら全てを他人に晒す事となる。

衣だったら、絶対にゴメンだ。


……だけどそれを、躊躇うような心じゃない。

そう伝わってくる。困った心だ。



衣「(……ああ、居心地がいい)」



このまま己の全てを委ねれば、天江衣の持つ全ての力を彼は自由にできるだろう。

そんな事も、悪くない気がした。

だけど、分かる。

明らかに彼は、彼自身の限界を越え、容量を越え、衣をこの場へと引き入れたのだ。



衣「……本当に、阿呆なんだな。『きょーたろー』、君は」



いつの間にか、衣は笑っていて。

ささくれていた心は、いつの間にか安らいでいて。

気が付けば、己の全てを委ねようとまでしていた。

……そうだ。

これだ。

衣が求めていた物は、本当に欲しかった物は……

父君と母君にもう一度会って、再び感じたかった物は……



衣「ああ、こんなものまで、衣は、忘れて……」



抱きしめられる事。
包み込まれて、安心できて、安らいで、人の体温を感じられる。
その全てが、ここにある。

だから思い出せた。
忘れていた大切なそれを、思い出せたんだ。


忘れていた。母君の懐の暖かさも、父君の背中の頼り甲斐も。


忘れまい、忘れまいとしながら、いつの間にか抜け落ちていた。



衣「うぅ……あぁぁ……っ!」

衣「あぁ、うぁぁ、あああ……っ!!」



父君と母君の葬式の日、衣は泣かなかった。
わけの分からない現実、唐突な喪失。
現実感の無い『死』だけがそこにあって、ただ呆然と流れる葬列を眺めていた。


ただその儀礼が、衣の胸の中に大きな穴を開けていく事だけが、感じられた実感だった。



衣「わぁぁ、あっ、うっ、うぇぇ……」

衣「あ、あ、あぁぁぁ……っ!」



だから、二人の死を感じて泣いたのは、この時が初めてだった。

泣いた。声が涸れるまで、喉が限界を超えるまで。

泣いた。心の奥底に沈殿していた悲しみを、吐き出すように。


その感情に呼応して衣の力が暴走しても、彼はその身で受け止めてくれた。

まるで大人が、泣いて暴れる子供を愛おしく抱き締めるかのように。

それがまた衣を安心させて、父君と母君を思い出させて、また泣いた。





天江衣はその日、初めて本当の意味で両親の死を受け入れた。

……目が覚める。


いつの間にか泣き疲れて、眠ってしまっていたらしい。

周囲の光景はもうあの光の海ではなく、バルコニーから見下ろせる整った自然豊かな敷地と庭。


太陽輝く昼間だった空は、すでに満月煌く夜空へと変貌していた。

何時間、泣いていたんだろうか。

何時間、衣の全力を受け止め続けたんだろうか。



衣の目の前で、ピクリとも動かないこの少年は。



衣「あ、あ、あ……」

京太郎「……」



また。
また。

また、暖かさを、優しさを注いでくれた人が。


また、衣を残して、遠くに——



衣「きょーたろー!」

京太郎「……」

衣「きょーたろー!」

京太郎「……」

衣「誰か、誰か、きょーたろーを——」




「なんというか、本当に無茶ばっかりですね。もう」

「事務員を酷使しないで欲しいのですが」




その時、その者がそこに本当に居たのかは分からない。

何かに縋ろうとした衣が、夢でも見ていたのかもしれない。

だけど、きょーたろーが病院に運ばれて、間に合った事だけは事実だった。

それだけは、現実だった。

空には満月。

夜は降り、幕は上がる。



衣「一週間の昏睡状態。ケイが居なければ、本当にどうなっていたことか」

衣「その代価として、きょーたろーは衣との出会いの記憶を失った」

衣「その心に、傷だけを残して」



衣には見えている。

遠く離れたビルの上、その屋上。

そこから真っ直ぐにこの屋敷を見据える少年の存在を、彼女は感じ取っている。

この夜の幕を上げるその少年に、彼女は愛しさすら感じているだろう。



衣「説得は、ハナから聞く気など無い」

衣「穏便に終わらせる事など、誰よりこの天江衣が納得しない」



衣「きょーたろーが衣の全力を踏破し、勝利しの御旗を掲げるのなら」

衣「衣のその胸に、きょーたろーがその刃を突き立てるも良し」

衣「世界と街を守るのであれば、それが最善だ」

衣「衣は、恨みなどしない」



衣「きょーたろーが衣の全力に膝を突き、敗北の汚名を飾るのならば」

衣「この世界の全ての人の命を、寂しくないようにきょーたろーのそばへと送ろう」

衣「……衣も、一人で行くのは怖いけれど」

衣「きょーたろーが一緒なら、寂しくなる事は無い気がする」



かつての大星淡のように。


理性はあれど正気無く、ただその深層心理の欲求に従う魔物。


月と絆の戦いが、ここに幕を上げようとしていた。

敬語キャラ…
成香さん?

あ、あかん。寝落ちしそうなので、ここまで
眠たい頭のまま投下すると、岩手で豊音をハブって悲劇が・・・!
というわけで、申し訳ありませんが本日はここまで。明日、開幕と同時に特殊戦闘開始ですよー

平日に忙しい時期に投下続けてるのが眠気の原因のような気もすれど、気にせず

レス返しは明日、明日に・・・


すこやんは最初期の事務所メンバーの構成を
戦闘力のあるエージェント・顔の広い探偵・サポート型の事務員・経験豊富な自分
の四人で構成しようとしていたというどうでもいい余談



では、すみませんが失礼します。おやすみなさいませー

乙なのよー

経験豊富(意味深)

お疲れッス
事務員は怜みたいに照の目になる形でキャップとかかなとは思った

>>540
確かにキャップ出てきてないな…

えwwwマジか…
過去ログ漁らねば

いつ頃?

???「そろそろ出番がきてもいいはずだじぇ…」

コンシェルジュっていう漫画でおもいっきりつっこまれてたな

アカン
けっこうアカン

すみません、23:00からに変更で
きょ、今日は戦闘だけだからあっさり終わるはず……!

>>596
フラグを立てるいっち

>>600
逆に低コンマ連発で衣にたどり着けなくて、
衣を引き止めたりすることも無くあっさり終わる可能性も

>>593
野菜の虫食いによる毒性ですね
野菜はアレが原因で作った自分の毒で中毒死することも結構あるのです

>>600
>>601
低コンマラッシュは絶対にするなよ!? 絶対だぞ!?



投下はっじめーるよー

ビルを昇る。

その階段を一段、また一段と。

現状考えられる唯一の作戦は、至ってシンプル。

龍門渕邸に最も近いビルの屋上から、淡を格納し重力を軽減しつつ滑空。

グライダーのように、空の上から突入することだ。

衣が居るであろうバルコニーとは屋敷を挟んで正反対の方向からの突入となってしまうが、背に腹は代えられない。

これで屋敷の屋上、あわよくばそのまま衣の目の前まで辿り着く事が出来るだろう。



……まあ、そんなに簡単に行くとは思っていない。

ただ、考えられる要素を煮詰めるとこれが最善のはずだ。

最悪の場合は——



「ほら、顔上げなって!」

「地面に良い物は転がってないんだからさっ」



バシン、と痛いくらいに背中が叩かれる。
……この、親友め。



「ほんなら、私が狙撃でもすっとーと楽なんとーけど……」

「……しなかんでしょ? なら、信じて任せる」

「必要なんば、拳やなくて掌みたいやしね」



ポン、と優しく方に手が置かれる。
幾分か、肩に入っていた力が抜けた。



「行ってきぃ、相棒」



おうよ、相棒。




「透華はまだ目を覚ましてないけど、多分起きてたらボクと同じ事を言うと思う」

「ボク達は衣の家族で、味方だから。だからこそ、今の衣を救えない」

「……だから、衣を。ボク達の家族を」

「ボクの大切な家族を、助けて欲しい」




任せといて下さい。

子供だろうと衣だろうと。

やんちゃしたらげんこつして、叱って、それで終わりですよ。




行ってきます。

ビルの屋上に上がり、龍門渕邸を見下ろす京太郎。


……分かる。感じる。

見られている。

その姿は見えないが、間違い無く天江衣は須賀京太郎を見つめている。

だからこそ彼は胸を張り、威風堂々と腕を組み悠然と立つ。


そんな彼の背後に、彼が待っていた少女がゆったりと歩み寄って来た。



京太郎「死んだ者は永遠になる」

京太郎「それが愛する家族であるのなら、尚更だ」

京太郎「誰にも、その空虚は埋められない」

京太郎「……そう、思ってた」



「今は、そうじゃないの?」



京太郎「……それを埋められたら素敵だな、とは思えるようになった」



昔の彼なら、言えなかったかもしれない。
今の彼だって、シラフでは言えないかもしれない。

だけど、大切な人のために虚勢を張り、それを現実にしようと頑張れるくらいには。


流れる年月は彼を子供から大人に向かい、成長させていた。



淡「かっくぃーじゃん、マイフレンド」

京太郎「そのために、お前の力を借りたいんだよ。マイフレンド」



須賀京太郎が、大星淡へと手を伸ばす。



淡「まっかせなさいっての」



取られ握られたその手から、伝わる絆。



淡「今日だけは私が、アンタ専用の勝利の女神だからね」



二人が、一人になる。

スマブラスレだけじゃなくとうとうここでも勝利の女神になったか

バルコニーに君臨する、月を映す海の支配者。


ただ泣き伏せるだけの輝夜姫は、この月の下では無慈悲な夜の女王と成る。

無邪気な姫が、無慈悲な女王に。
これを悪夢と呼ばずして、何を悪夢と呼ぶべきか。


その女王が、閉じていたその双眸を開く。



衣「……来たな」



感じ取る。
彼女は、感じ取る。
この屋敷に近づく、待ち望んでいた難題への挑戦者。

六人目の皇子は、すぐそこまで迫ってきている。



衣「見えるか、我が友よ」



女王がゆったりと、その片手を掲げる。

正面からその姿を見た者には、まるで彼女の掌の上に月が乗せられているかのように錯覚しただろう。

それはとても、遠近法などという陳腐な言葉で形容できる現象ではなかった。



衣「人よ、耳あらば尽く聞け」

衣「人よ、己あらば尽く仰げ」

衣「人よ、眼あらば尽く見よ」



衣「見るがいい。あのいと高き真円の輝く月を」



その手が握られ、月がその小さな手に握り潰されたかのように見える。

瞬間、月の妖しい輝きが爆発的に強まった。

その光は、全てこの屋敷の上空に収束し、光の柱と化す。




その日、この世界に降り注ぐ全ての月光が束ねられ、一つの屋敷に降り注いだ。




衣「全て、狂い果て壊れろ」

衣「偉大なる月の下、この夜が明ける前に」

ネクサス・ホシガミシフト。


純出力ならトップクラスだが搦手に弱く、実質相性ゲーの都市伝説戦では産廃になりやすい。

遊戯王ならブルーアイズ、デュエマならボルシャックだ。

よって普段は滅多に使われないが、こんな時には有用である。


状況問わず何からも浮く、彼女の自由奔放さを象徴するこの力は、彼女が誇る彼女の在り方そのものだ。


京太郎「よし、このまま上手くいけばバルコニーに直行……」

淡『……あれ』


が、しかし。
忘れてはならない。


京太郎「……おいおい、ちょっと待てまさか」

淡『私、なんでこんなとこにいるんだっけ』

京太郎「やっぱりぃぃぃぃぃっ!!」



彼女は搦手に滅法弱く、特に精神干渉系は天敵なのである。



淡『……? あ、あわわわ何この状況!?』

京太郎「待て待て待て能力切るな落ちるっ!!」

淡『はーなーれーろー!』

京太郎「俺を潰れたトマトにする気か勝利の女神!?」


右にふらり左にふらり、突然真下にガクンと危なっかしい不規則な軌道にシフトする。

この高さから落下すれば、素でミートソース確定だ。
べチャリと潰れてミンチとなり、笑えないエンディングを迎えることになるだろう。


それを必死で回避しつつ、彼は死に物狂いで何とか屋上の大理石へとその足を着けた。



京太郎「あ、あっぶねー……やっぱり、格納は無理か」

京太郎「ネクサスシフトで四人の意思統一すら出来ないとか、下手すりゃ死ぬしな……」



格納を解除し、淡を格納した地点・ビルの屋上へと戻す。
これが予想できたから、穏乃での強攻策etc等も却下されたのだ。

ネクサスシフト四人格納時に全員の意志を統一できなければ、全員が勝手な事をしだしたらどうなるか。


……大岡裁きである。


非常にグロい結末が彼を待っている。ミンチよりひでぇ。


頭に浮かんだその想像を振り払い、彼は屋上から三階へと続く扉を見据える。



京太郎「……うし、行くか」



その先に、会わなければならない人が居るから。

格納した相手を好きな場所に戻せるって便利だな

※ちょっとだけ>>372の補足


いつも通り>>1が酉に簡潔に道順の結果を書きます
どの道を選ぶか、によっての変化はそちらを参考に


今回の酉は、例えば【# 真中+15m右0左-15m】


といった形になったりしますー


行動選択の場合は、どの道か分かるようにしっかりと書いて下さい

それ以外はいつも通りです。ま、運も実力の内ということで

(まっすぐ行ってぶん殴る!)

AQUARION:日輪の如き輝きのゲンコツが、月をぶん殴って目を覚まさせる物語



http://www.youtube.com/watch?v=dJao_BYKeYY





【須賀京太郎】


残機:☆☆☆☆


残存距離直線換算:200m

京太郎「(生きてることが辛いって、そんな事言ってる奴を放っといて)」

京太郎「(気持ちの良い明日を迎えられる奴なんて、居ないだろ?)」



だから、ここに来た。

だから、助けに来た。



京太郎「あづっ……、結構、キツいな……!」

京太郎「(三分持つか……? 急がないと」



脳に走る頭痛。
予想以上に、本気の衣の力は強大だ。
これならば、その気になれば世界をどうこうできるというのもまんざら大言壮言というわけではなさそうだ。

おそらく、ここでこのまま何もせず時が過ぎるのを待てば。


三分も経たずに、俺は死ぬ。



だから進むのだ。前へ、前へと、衣の居場所へと。




京太郎「俺が進む、道は」




【道程選択】

・真っ直ぐ、屋上から三階へと続く扉へ

・いっそ屋上のフェンスから飛び降りつつ、三回の窓を蹴破って入る

・急がば回れ。反対方向にある扉へ


>>635

真っ直ぐ

京太郎「(生きてることが辛いって、そんな事言ってる奴を放っといて)」

京太郎「(気持ちの良い明日を迎えられる奴なんて、居ないだろ?)」



だから、ここに来た。

だから、助けに来た。



京太郎「あづっ……、結構、キツいな……!」

京太郎「(三分持つか……? 急がないと」



脳に走る頭痛。
予想以上に、本気の衣の力は強大だ。
これならば、その気になれば世界をどうこうできるというのもまんざら大言壮言というわけではなさそうだ。

おそらく、ここでこのまま何もせず時が過ぎるのを待てば。


三分も経たずに、俺は死ぬ。



だから進むのだ。前へ、前へと、衣の居場所へと。




京太郎「俺が進む、道は」




【道程選択】

・真っ直ぐ、屋上から三階へと続く扉へ

・いっそ屋上のフェンスから飛び降りつつ、三回の窓を蹴破って入る

・急がば回れ。反対方向にある扉へ


>>643

アブねぇ、だがコンマが・・・

道程選択に番号振ったほうが分かりやすくね?

無効で安価下ですねー


【# 真直+15近道-15回道0】


85+15=100m前進!


【須賀京太郎】


残機:☆☆☆


残存距離直線換算:100m


>>653
その提案、イエスだね!

真っ直ぐに、ひたすらまっすぐに彼は進む。……しかし。



京太郎「(……アタマ)」

京太郎「(……頭が、焼け付きそうだッ……!)」

京太郎「(精密機械の回路に、無理矢理電流ぶち込んでるみたいなッ……!!)」



ガリガリと、彼の精神が削られていく。

力の相性は京太郎が上。
だが、力の総量では衣が絶対的に上だ。

今ここにいる事、それこそが既に自殺行為。


しかし。



京太郎「折れるかよ……」


京太郎「衣はもっと苦しくて、痛くて、辛くて」

京太郎「……寂しかったはずなんだ」

京太郎「……だからッ!」



彼の胸に刺さった言葉の刃。
考え、苦悩し、その傷から彼が導き出した出した衣の言葉への答え。

京太郎に血の繋がった、物心付く前から愛を注いでくれた親は居ない。
だから衣のその寂しさも、その苦しみも、その気持ちも分からない。

だけれども。



京太郎「きっと誰だって、何にだって、どんな時だって」


京太郎「感じる『痛み』だけは、同じだろ……?」


京太郎「……これならさ。少しなら」


京太郎「お前の気持ち、俺にも分かるんじゃないかって、そう、思って……」


京太郎「……バカみたいだけど、これが俺の精一杯だ。衣」



その痛みを、苦しみを、寂しさを。
共感して、分かち合って、背負い合って。

そうやって生きていこうと、少年は少女に手を伸ばす。




【道程選択】

1、廊下を真っ直ぐ

2、手近な部屋に入り、そこから外へとショートカット

3,一旦二階に降りる



>>670

1

【# 真直0近道+15回道-15】


80+15=95m前進!


【須賀京太郎】


残機:☆☆


残存距離直線換算:5m

スゲェ……このスレ絶対予知能力者いるな

クッソワロタwwww

戦い方は器用なのに生き方は不器用なヒーローだなぁ

やっぱこのスレには超能力者もとい預言者いるわ

これまっすぐ選べばマイナスはないってはなしなのか?
てことは部室はハズレだったのか

傍から見てると真面目に予測できない
やっぱり予知能力者がいるわこのスレ

なんだこの予知能力者
これは怜ちゃん呼んでますわ

ここでまさかのバルコニーを通り過ぎる京太郎

衣「衣は、『上を向いて歩こう』という歌が好きだ」

衣「あれは、孤独に耐える詩。独りの者の嘆きの唄」

衣「前を向けば広がっている、幸せな光景に混ざれない事への咆哮だ」

衣「……まるで、衣だ」



目を逸らすために、上を向く。



京太郎「俺は、『上を向いて歩こう』って歌が好きだ」

京太郎「あれは強い詩。希望を語る唄だ」

京太郎「雲は悪夢。青空は希望。いつだってどこだって、上を向けば同じ空が広がっているんだと」

京太郎「曇り空が続いていても、いつか必ず晴れるんだと」

京太郎「雲の上には、いつだって青空が広がってるんだと、教えてくれる」

京太郎「俺の憧れる、素敵な歌だ」



そこにある希望を見るために、上を向く。



「「上を向いて歩こう。涙がこぼれないように」」



その在り方の違いこそが、今の彼と彼女の立ち位置そのもの。

嘆く者と、歩み寄る者。悼む者と、乗り越える者。

涙を流す者と、流れる涙を拭う者。



衣「涙をこぼせば、孤独に耐えられなくなるから」

衣「だから、泣けない」



京太郎「涙をこらえるのは、また笑うために」

京太郎「泣いてちゃ誰かを笑顔に出来ないから。だから、泣けない」



だから初めて出会った時、二人は確信したのだ。

この人は、自分にとって——



そして、少年はとうとう……少女の部屋の、扉の前へと辿り着いた。




【道程選択】

1、扉を開けて、中に入る

2、扉を蹴破って、中に入る

3、隣の部屋のバルコニーから回りこむ



>>691

お前らなんでそんなに人ん家を壊そうとするんだよ・・・

驚いて『ビクッ!!』ってなった衣がバルコニーから落っこちたらどうするんだよ

お前らのテンションが金曜ロードショーなのは分かった

京太郎「(そいつが、泣いてたら、涙が流れ続けるのなら……)」


京太郎「(何度涙を拭っても、意味は無いから……)」


京太郎「(……だから、まずはその涙を止める)」


京太郎「(泣いてる顔を笑顔にすれば、涙はいつか乾くんだ)」



そして、あの日と同じ場所。

同じ月の下で、彼等は相対する。



衣「よく来たな。……来てくれるだろうと、信じていた」

京太郎「衣……」



素敵に笑う彼女の笑顔は無邪気で、無慈悲で。

何より凄惨で、誰より悲しげだった。

今にも、泣いてしまいそうなほどに。



衣「選べ、きょーたろー。選択肢は、二つに一つ」


衣「衣を殺すか」


衣「この星から、人が死に絶えるか」


衣「二つに一つ。選ぶのは、お前だ」





【# 真直+15近道0回道-15】


65+15=到達!


【須賀京太郎】


残機:☆


残存距離直線換算:目の前

和解しようとした瞬間に背後から黒フードが・・・

ドーモ、コロモ=サン

てか、ステータス的に言って衣は素手の京太郎の拳骨で死ぬ可能性が・・・

衣「世界を天秤にかければ、選べる選択は一つしかないだろう?」

衣「……衣をそれでも殺したくない、といって貰えれば流石に衣も嬉しいが。女冥利に尽きるし」

衣「友を切り捨てる選択もできず、おめおめと世界を見捨てるか」

衣「それは愚策。愚者の選択だ」

衣「きょーたろー、お前は……」

京太郎「衣」

衣「……なんだ?」



重々しい言葉を重ね、塗り固めるように選択を迫る衣。

実際その選択肢は酷薄でありながら、選ばなければ悲劇を確定させるという恐ろしいもの。

とてもではないが、重大の少年に迫るべき選択ではない。


……だが。


その言葉を遮るように、少年は言葉を発した。



京太郎「お前に、言っておかないといけない言葉がある」

京太郎「後ついでに、伝えておくべき気持ちも」

衣「……まぁ、聞くだけ聞いてやろう」



今日この日。

相手にぶつけるための言葉を練っていたのは、少女だけではない。



衣「だが、所詮ただの言葉では衣は微塵も動じぬ。微塵も変わら——」





京太郎「俺は、お前が大好きだ」





衣「……ふぁっ!?」

このまま『たぶん初恋だった』と言ってカタキウチで狙撃する京太郎

ファッ!?

衣がだんだんラハールみたいに思えてきた

京太郎「友達として、尊敬してるし、頼りにしてるし、信頼してる」

京太郎「守ってやりたいとも思う。大切だとも思う」

京太郎「こういう気持ちがあるって事は、大好きだって事でいいだろう」



衣「あ、あぁ……友達としてか。流石に、ちょっと、心臓止まるかと」


京太郎「うっせぇ! 俺だって恥ずかしかったんだからお前も我慢しろ!!」



一瞬空気が凍り、解凍され、その後に微妙な空気が流れる。

変な空気にこそなったものの、彼は本気だ。
本気の言葉だからこそ、衣の頑なな心も揺らいだ。


本気の言葉は、伝わる。
本気の想いは、伝わる。


本気で想えば、世界だって、人の心だって、変えられる。



京太郎「透華さんも、お前の事が大好きだ」

京太郎「あの人は、お前の事を本当の妹同然に思ってる」


京太郎「一さんも、お前の事が大好きだ」

京太郎「あの人は俺と違ってお前の気持ちが分かるから、多分人一倍」


京太郎「井上先輩も、お前の事が大好きだ」

京太郎「あの人は言葉に出さないだけで、お前の幸せをいつだって願ってる」


京太郎「ともきーさんも、お前の事が大好きだ」

京太郎「無表情なあの人が、衣が笑うだけで、それだけで微笑んだりしてるんだぞ?」


京太郎「当主のオッサンだって、お前の事が大好きだ」

京太郎「ありゃただのツンデレだ。オッサンはあれだから困る」



京太郎「咲も、怜も、お前の友達も、お前の事が大好きだ」


京太郎「繰り返すけど、俺もお前の事が大好きだ」




京太郎「……お前はどうだ? 衣」

ハギヨシは?あの人、衣に友達できて泣いてたのに・・・

言葉に、詰まる。

息が、苦しい。

決まってる。

衣がどう思ってるかなんて、決まってる。

だけど、それを衣が口に出してしまったら。



京太郎「いいだろ、別に」

京太郎「誰かを好きだって叫ぶ事に、躊躇う必要なんて無いんだよ」



大好きだって、叫ぶ事は。

衣が誰かに大好きだと思われて、誰かを大好きだと思っている事を認める事になる。



それはいつかの日、父君と母君と交わした『大好き』だという気持ちの交換。

それと、同じ事。

誰かに大好きだという気持ちを向けて、大好きだという気持ちを返して貰う幸せな日々。

あの日々を、もう一度手に入れたという事の証明。



京太郎「大切な人に、絶対に代わりなんて居ないけど」

京太郎「人は生きていれば別れがあり、出会いがあるんだ」

京太郎「……お前は、『大切な人』に、また出会えたんだ」

京太郎「それはお前の両親じゃないけど、お前の大好きな人である事に変わりはない」



涙が溢れる。
上を向いても、止まらない。
月から降り注ぐ光のように、止めどなく流れだす。



衣「あぅっ、ぐっ、ごろもだって、ころ゛もだって……!!」



鼻声になって、もう言葉になってない。

だけど、言わないと。

衣を大好きでいてくれた人達のために、その人達に気持ちを伝えるために。

ここで変わって、衣は明日から歩き出す。

大好きだから、大好きだって伝わるから、もう一人じゃない。

ああ、そっか。こんな簡単な気持ちが、欠けてたから。




衣「ころもだって、ころもだって……皆だぁぁいすきだぁぁあっぁぁぁあっ!!!」




『大好き』だって言って貰えない人生は、寂しくて当たり前だろうに。

シンプルに「大好きだ」で押し切ったか
アクエリオンだから「愛してる」くらいは来るかと思ったけど

これ3分経ってるよな、衣の能力がまだ発動中で
今回も京太郎が気絶⇒大好き発言忘れる・・・とかないだろうな?

つまり分割エンドか…

京太郎「……泣き止んだか?」

衣「……泣いてない。衣はお姉さんだから、年下の前で泣いたりしない」

京太郎「(あれ、なんか前にもこんな事があったような……)」

衣「泣いたように見えるのは、眼にゴミが入ったからだ!」

京太郎「へいへいゴミゴミ」

衣「むぅぅぅっ……」



信じられないよう偶然によって何かが失敗すること。
もしくは、本当に奇跡のような何かが起こり何かが失敗すること。

それを、「神の目に小さなゴミが入った」と表現することがある。


失敗したこと。奇跡が起きたこと。涙を流したこと。


眼にゴミが入ったのなら、仕方ない。そうだろう?



京太郎「ああ、そうだ。効果あるか分からんが歯ぁ食いしばれ」

衣「へ? あっづぁっ!!」

京太郎「ゲンコツ一発で済ませるだけありがたいと思え。ほら、病院行くぞ」

衣「いだぃ……いだぃ……」

京太郎「お前の身体の検査したら、謝りに行くんだよ。お前の『大好きな人達』に」

衣「……うん」

京太郎「大丈夫だって。きっと許してくれるさ」

衣「……あたま、なでるな」

京太郎「そうだな、もう子供じゃないもんな」

衣「だけどさっきのゲンコツで頭が痛い。もうちょっと、痛みが引くまで……」

京太郎「へいへい。ま、もうすることもないしな」

衣「……ありがとう、きょーたろー」

京太郎「おうよ」





衣「おとといはうさぎを見た。きのうは鹿。今日は、きょーたろーかな」

京太郎「……暗号か? そりゃ」

衣「えへへっ」





衣「おーしえ、なぃっ!」




十三話:完

>>754
なお、ルーベライズによって復活した京太郎を青マフラーにした宥姉の一人勝ちの模様・・・

誰かうさぎ→鹿→京太郎の意味を教えてくれ…

【次回予告】



「『口裂け女』って、そう呼んでもいいよ」

「私、あんまり好きじゃないんだけどねー、こっちの名前」



「口裂け女とは、すなわち」

「純粋な戦闘力というジャンルにおいて」

「『都市伝説最強』の存在の一角だ」



「くねくね、トンカラトン、首なしライダー……」

「てけてけ、額貫兜虫、リゾートバイト……」

「壮観だな。ここまで戦力揃えられると、一周回って冷静になってくる」

「さ、再生怪人は弱くなっとるちゅうお約束が!」

「強くなってる奴も居るぜ。はっはっは」

「Oh……」



「ああ、なんだ。夢乃マホも一緒だったのか」



「(勝てない)」

「( 絆(ネクサス)で、届かない……!! )」



「ついでに宣戦布告しておくか。明日、この街は地獄と化す」




「お前、名前はなんて言うんだ?」




第十四話前編:Nightfall and Other stories/夜来たる

猿夢さんはリベンジにこないのか……

ついでにアンサーさんとも正攻法で戦ってみようぜ!

総攻撃翌来るか!?

>>762
「たんぽぽ娘」って作品における、金髪ワンピースの少女のラブコール
好きと恋の中間くらいに思ってますよー的セリフに考えておけばよし。ちな原作の主人公はこれでロリコンに目覚めた模様

くねくねは良く分からんがそれ以外は生物系だから透華に暴れてもらおう

本日の投下はこれにて終了です。皆さん、お疲れ様でしたー

コンマ高いわ超能力者居るわで苦労はされてなかったでしょうけどねーちっくしょい!

ころたん回は本当に時間がかかるわシリアス色が強いわで困ったちゃん。でも嫌いじゃないよー

次回からは怜回の安価が作用し始めます。大筋こそ変わらないものの、とあるキャラは運命そのものを決定されましたし


黒フードさんから「次回から本気出す」とのコメントを頂いております


では、休憩してからレス返しー

おつん

黒フードさんは量産型ひとりかくれんぼとか絶対やってくるタイプ。容赦とか無さそうだもん

すこやんのライバルのはやりんに出番はないのかな?

これでザ・ワンが黒フードだったら・・・

ちなみに現在、所持金が使われないので¥50000も溜まっております

アイテムを買い漁るなどして、連戦に備えるべし
あ、くねくねが一発アウトだったり、首なしライダーは強化前でも強化後姫子を判定値で上回ってたり、組み合わせると凶悪な奴らって居ますよねー
何がとは言いませんが



>>611
あっちの淡は運命すら味方に・・・!

>>620
格納解除すると、「自分のそば」か「格納した場所」のどちらかに任意で戻せます
じゃないと夜中に部屋に居た女の子とフォームシフトした時、パジャマで外うろつくことになって風邪引いてしまうかもしれませんからね

>>626
右ストレートで以下省略!

>>676>>679>>682>>683
メゲルわ・・・

>>711
慈悲はない

>>752
ウルトラマン時空

>>765
>>766
相手を選んで下さい(懇願)



ハギヨシごめんね。でも君はうっかり忘れてただけだから、そのうち出番はあるよ!たぶん!
いや、マジでうっかりでした。やってもうたです

ザ・ワンさんは、なんというか、うーん……まぁ、そのうち出るでしょう



てなわけで、ここらでお開きです。深夜までお付き合い頂き、ありがとうございました

三章はここからが本番なので、死なないようにご注意をー

では、おやすみなさいませ

『メスメリック・マジシャン』Act.2でくねくねの能力って無効に出来ないのかな?



今回の事件の引き金になった死者に対する想いの深さが生者との絆でお茶を濁されたような感じ
よく読み込めてないせいかそういう風に見えてもんにょりした。もう一回読み直してくる

そろそろ被害者の家族に「どうしてもっと早く助けてくれなかった!」とか理不尽な怒りを受けて鬱る展開あるかな?
そういや死者や再起不能や障害残った被害者っているのかな?

完全無欠に救えてるわけじゃないんだよね

アギトのアレというか、誰かの悲鳴を聞いてから駆けつけるから間に合わない事が多々あるというか

SSを連載してる作者の書きためが消えるという都市伝説……は、もう発生してるから
次はHDDがクラッシュする都市伝説、作者が入院する都市伝説、一切PCが触れなくなるほど忙しくなる都市伝説のどれかだな

そういえばマーフィーの法則って都市伝説に分類されると思うけど、どういう扱いになるんだろうか
起こって欲しくないことが起こって欲しくない時に起きる的な意味のものに集約されるのかな

こんばんワニノコ

昔最初に選んだワニノコが色違いだったことがありました
勿論狂喜乱舞でしたとも


最近初心を見失ってる気がするので適度に中二臭いのをVIPで書いてみましょうかねー



>>798
森久保「むーりぃ……」
なので一ちゃんには割と天敵

>>800
すまぬ・・・すまぬ・・・!
>>1の描写力不足のせいです。すみませぬ
衣は黒フードに後押しされてたとはいえ、その暴走の源泉は基本的に一貫してます
つまり、寂しかったのです

抱きしめて貰えないし、大好きだと思われていないと思っているし、間違ってもゲンコツ一発で叱られない

親にそれまで貰ってたいt物が貰えなくなった、だから寂しい。だから愛が感じられない
だからもう一度、二人に……ってイメージで書いてました

龍門渕の家族か、彼女が出会った彼か、どっちかが欠けてたら人類滅んでたかもしれませんね


ちな過去編で衣が暴走してたその日、龍門渕邸近くで黒いフードの男が見られたとか見られなかったとか


>>801
死者自体はこの街では皆無です。猿夢もこの街最初の被害者が穏乃でしたので
物理的外傷も、治安機関と医療機関が仕事してるので問題ないのです
ですが心理的外傷(トラウマ)被害者はけっこうシャレにならない数です。治せませんし、被害者が多いですし
なので、事務所の名前も『総合相談事務所』なんですよね

>>806
鳥の血に悲しめど、魚の血に悲しまず。彼等も神様じゃないですしね

>>807
や め ろ



http://onirin.blog.fc2.com/blog-entry-894.html

そういう問題じゃないのではなかろうか

今回というかもう前回か
で1-Bでもらえるのは最初で語ってた龍門渕の噂話だったみたいですが
それは噂が現実化したから使えるのか
それとも嘘ならぬ噂からでた真だったのかどっちなんですか

>>812
現実です。下水道の配置などのの情報でしたので
巨大ロボの云々はデマですけどね
探索先に基本優劣は無いので、最善の選択をし続けると全体的にバランスよく散っていくと思いますー

最初の方の都市伝説の説明にあるように、そう噂がぽんぽこ現実に影響を与えることはないです



うーん……根競べを勝ち抜いた新法皇も割と悪人面

キチガイ主人公とか、ラスボス主人公とか
どうしようもなく終わってて、誰にも救われない
それどころか救われない人間を増やし続ける、世界そのものにとっての害悪


いわゆる「人類最悪主人公」を一度書いてみたかった。後悔はしていない

>>827
狐さんみたいな?

>>828
ですね

「何故私達の幸せを踏みにじった!」って人に

「ちょっと待って、理由今考えるから」って言っちゃうような

このスレで出すとまごうこと無くぶっ飛ばされますが

>>824
えっ何これは(ドン引き)


最悪系をまごうことなくぶっ飛ばすといえば、
スマブラ京太郎とクマーの決着が気になって仕方ないんだが

ちなみにこの世界で何かの間違いが起こって女の子が皆京ちゃんに好意を持ったとしても


「いや、告白もされてないってのにどうしろってんだよ。嬉しいけど」
「でもその気持ちを無碍にすんのもなぁ・・・ううん」
「まー告白されても女の子と付き合える余裕なんて無いから、断るしか無いんだけど」
「半人前の俺に、そんないくつもこなせないって。付き合うんならマジメに、だ」
「仕事と私どっちが大事なのーとかマジで勘弁」
「早く一人前にならないとなぁ」


というオチになり、女性陣の溜まったフラストレーションが蓄積、その内爆発
バキトーナメントが開催されます



>>834
スマブラは書く度に消して書く度に消して、「違う! 消える前のやつはもっとこう・・・面白かった!」
のループに入っててすごく進んでないです
実際、前の方が面白かったというか、ギャグネタはその場その場で思いついたやつを書いてるので思い出せないというか・・・

シリアス一辺倒のスマブレスレを書けとのお達しかもしれない

そういえばアラフォーが腕輪つけてた時の効果ってなんだったんだろ
theone時とnext時で

昨今の鈍感型主人公を極めると『いーちゃん』みたいに
惚れたらヒロインの方が死亡したりする主人公になる

こんばん和睦の使者は優秀な罠カード

くず鉄のかかしとか無力化とかもですねー



>>836
シリアス一辺倒って読んでる方も書いてる方も疲れる上、メリハリも山谷もなくなるのであんまりしたくないんですよ
起承転結オールシリアス、っていうのは中々肌に合わないというか

>>843
すこやん回でかつての彼女の色々を描写する予定なので、その時にでも

>>845
いーちゃんがそうポンポン居てたまるもんですかー!



明日、十四話前編投下します
あの子のキャスティングは、実は割りと後の方だったり



鈍感主人公といえば九門克綺!
世界広しといえど美人の寮の管理人さんがちょっと頬を染めつつ
「料理作りすぎちゃったから、おすそわけに来たの」
とか来た定番イベントに
「(この人は正しい分量で料理も出来ないのか?)」
と考えつつ
「要りません」
「……迷惑だった?」
「迷惑も何も、作りすぎるのは管理人さんの勝手でしょう?」
と返して
「お前らなんでそんなに人の気持ちが分かるんだ、テレパシーでも使えるのか」
とか考えちゃう、空気読んだり人の気持ちを理解したりできない主人公

塵骸魔京ってあんま知名度高くない割にイグニスのフィギュアがやたらと出るのは何なんだろうか…

>>827
これ、扉を開けるうんぬんの話のこと?
もしそうなら、面白かったよー。続きすごく楽しみ。

コピー能力って大抵主人公の奥の手かラスボスだよね。
バキのトーナメント決勝とかガッシュのラストとか。

え、アレ>>1だったん?

あれの中で京太郎が言った
『配牌からすぐに三回鳴いて、その次の順目で和了ればいいんじゃないですかね。』
の部分は逆になんか共感できた。
お前らの普段やってることからすれば、むしろ何故出来ないんだ?って

そういえば武器どうやって変えてるか本編か小ネタで説明するんでしたっけ
そうなら催促みたいですいません

あとお年玉でお金増えたりしませんかねコンマ×100円ぐらいで
さすがにアラフォーはお年玉ぐらいくれるだろうし
くれるよねまさかもういい年なのにもらう側じゃないですよねそこまで残念じゃないですよね

エクシーズで幻銃士が使えると思いこんでいてジャッジ呼ばれて初めて知ったあの恥辱の日

>>851
おもち大きいからじゃないですかね。大正義エロティック

>>854
>>855
ですです。向こうで書いてる時はこっちの話題出さないようお願いします

>>857
短距離走り込みしてる人の横で悪意無く善意無く努力無く才能無く50m5秒で走る人達の話ですし

>>858
四章でやると思いますよ。17〜22話が四章ですし
作者が「この辺り描写しなくていいか、蛇足だし」と思っていても読者さんがそう思ってないって事は中々難しいですね

お年玉貰っても良いですけど、ここの京太郎小学生組にお年玉渡しに行ってる設定ですよ?
所持金にその辺りの変動反映させると、貰う渡すの人数比上たぶん結果的にマイナスになってしまうと思いますが・・・それでもいいならやりますよー?

あと、まあ、すこやんは、うん
貰っては居ませんが、唯一渡すべき義弟が受け取ってくれないので・・・

いざ結婚相手ができたと場合、京太郎はそれを許すのか?
実の両親よか、裁定がきつそうだ

すこやんって乙女ゲーとかホストとか無条件に優しくしてくれるのに騙されそう

>>859
武器云々とかはまあどうでもいいっちゃどうでもいいんですけど
設定があるなら攻略本にひっそり乗ってる情報ぐらい聞いてみたいなと
考えてないと言われればこちらも追求しなかったつまりすべて凝り性な>>1が悪い(暴論)

>>846 人の気持ちを理解したりできない
蓮実聖司「……っ」ガタッ

こんばんワルター・フォン・シェーンコップ

誰か一人部下に選べるならファーレンハイトがいいです



>>863
>>865
この姉弟は人を見る目だけはあります、はい

>>871
ファッ!?

>>872
眼球が狂ってる人はお帰りください



今夜21:30開始です。最近の気温変動のせいでどうにも体調がスッキリせず



【昔あった、アンパンマンの原作者が子供から貰った質問に答えるページから抜粋】


子供「どきんちゃんとしょくぱんまんはけっこんしますか?」

原作者「しません。所詮はパンと菌です」


子供「どきんちゃんはなぜしょくぱんまんをすきになったんですか?」

原作者「わがままな女の子は、なぜかマジメな優等生タイプを好きになることが多いのです。名作『風と共に去りぬ』での、スカーレット・オハラとアシュレーの関係と似たようなものです」


子供「しょくぱんまんは、ドキンちゃんのことが好きなのですか?」

原作者「しょくぱんまんは、誰にでもやさしいのです」

ああ、そうでした。言い忘れてました
今回これからの話の中核となるかもしれないキャラが登場しますが、まあ「そういうオリキャラ」程度に認識していて下さって結構です
それで問題なく話が回るようにしますのでー

彼女はかのキャラにとってはベースがベースですしね。あっはっは
怜編での安価は彼女についての事です。はい


では、投下はっじめーるよー

【三尋木萬物店】



咏「なーんか、すっごく久しぶりに会った気がするねぃ」

京太郎「そうですね、ちょくちょく来てたのに」

咏「火曜サスペンスラストの崖くらい、定期的に来て欲しいもんだけどね」

京太郎「ほぼ週一じゃないですか!?」



京太郎「んー、どうすっかな……」

咏「きっちり準備しておいたほうがいいんじゃね、知らんけど」

京太郎「?」

咏「女の勘。ま、何が?って言われたらわっかんねーけど」

京太郎「……こえー事言わないで下さい」

咏「君はまだ死なないと思うけど、油断は大敵だしね」

京太郎「売り込みの一環ですか?」

咏「あはは、そう思ってくれていいよー」

咏「(でも、たぶんまだ大丈夫だとは思う。それだけは、本当かな)」




咏「ああ、そうだ。新しい武器、出来てるよ」

京太郎「マジですか!?」

咏「マジです。じゃじゃじゃじゃーん」

汚れ一つないスニーカー。
何故か履いていると狩られそうな気がする。
エア・マックスと呼ばれる靴の改造品のようだ。


しっかりとした構造の針。
種別で言えば峨嵋刺が近いのだろうが、針の先が丸い。
直接的な殺傷力は、全く無いように思える。


チャクラムに似た鉄輪。
薄く、軽く、かつ丈夫で。
だが何故か、この中で最も危険な雰囲気がした。



・『フクツ』【靴】
自身の判定値を+5する。

・『ハリコノトラ』【針】
自身のATKを0に減少させ、その減少させた分の数値をDEFに加える。

・『ヒトノワ』【遠隔武装】
効果発動宣言ターン中、自身のHPを1まで減少させ減少させた分の数値をATKに加える。



咏「どや?」

京太郎「咏さんがスッゲードヤ顔してる……」

咏「ふふん、自信作だけど、持ってく?」

京太郎「是非」

咏「お、遠慮無くなったね?」

京太郎「……まあ最近、強さとか力とか、色々考える機会がありまして」

咏「ふーん?」

京太郎「手段があるのなら、頑張ってみようかと」

咏「ふんふん、良い気合いだねぃ」





咏「ま、いいとしようかな。さ、今日はどうする?」

咏「今日の時点での商品はこれかな。ゆっくり選ぶといいんじゃね?」


【所持金】
¥50000


【商品】

・秘薬『クレイジーダイヤモンド』
効果:HPを50回復
¥8000

・秘薬『烈火の姫君』
効果:HPを150回復
¥20000

・カプセル『DCS』
効果:使用した戦闘中ATK+10、DEF+10
¥8000

・注射『ただのビタミン剤』
効果:任意のステータスを50上昇させる。
¥22000

・投網『スパイディ』
効果:使用した次のターン、相手の出す手が分かる
¥18000

・視鏡『爆砕点穴』
効果:現在戦闘中の相手の行動パターンを知る事が出来る
¥30000

京太郎「さて、何を買うか、それとも買わないか」


どうしますか?

>>910

烈火、ビタミン

【烈火の姫君、ただのビタミン剤を一つづつ購入しました】



京太郎「あと、実は聞きたかった事が」

咏「うん?」

京太郎「……健夜さんの世代と、俺達の世代。合わせて十数年くらいでしょうか」

京太郎「そのどっちの世代でも現役だった貴女に、健夜さんが頼りにしてる数少ない人である貴女に」

京太郎「ちょっと、今の俺達の強さってどのぐらいなのか、忌憚無い評価をお願いしたいと思って」

咏「ふむふむ、なるほどなるほどねー」



咏「ま、自然発生するタイプにならもうそうそう負けないんじゃね? 知らんけど」

咏「時間制限有りとはいえ、一時的にでもあの赤マントを越えられたってのは大きいしねぃ」

京太郎「(あ、咏さんに認められたみたいで、なんか嬉しい。単純だなぁ、俺)」

咏「が、しかし」

京太郎「はい?」

咏「私の私見を述べるなら、君はもっと先に行くべきだと思うな」

咏「今のままだと、どっかでポックリ行きかねないし」




咏「私の知る限りの範疇なら、良くて中堅クラスの実力だよ。今の君は」

これで中堅かー
ということは今の魔物クラスの人たちも中堅クラスなのか

この街の北東には、小高い山がある。

北東で括ってしまえば、住宅街やかつてホシガミとの決戦の地となった公園も北東に位置してはいるのだが。


この山はそこそこ整備されていて、子供達が好む遊び場の一つでもある。

数年前までは、この物語の主人公もとある少女に腕を引かれてよく来たものである。

そのとある少女……高鴨穏乃は今でもよくこの山を登っていたりするのだが、それは今は置いておく。

今この山を登っているのは、高鴨穏乃ではないからだ。



京太郎「何故人は、山を登るのか」

京太郎「そこに山があるからさ」

京太郎「何故男は、女性にとある要素を求めてしまうのか」

京太郎「そこに山があるからさ」

京太郎「何故穏乃は、定期テストの度に憧にしょっぴかれるのか」

京太郎「そこで山を張るからさ」

京太郎「……あー、何言ってんだ俺」



普段学ランの彼にしては珍しく、ジャージ姿。
ぐっ、ぐっと体の各部を伸ばす柔軟は、体育の時間に皆がよく見るそれで間違いはない。

そんな彼の背後から、歩み寄る少女が居た。



「あの、先輩……」

京太郎「ああ、もう平気か? マホちゃん」

マホ「あ、はい。すみません、ご迷惑をおかけして」

しずのにもマホにも山は無いだろ!いい加減にしろ!

マホ「私、やっぱり邪魔でしたか?」

京太郎「うんにゃ別に。その小さな体で、ガッツある方だと思うぜ」

マホ「あ、ありがとうございます!」



『最近山で聞こえる、爆音の正体を調べて欲しい』。

それが彼女、『夢乃マホ』が彼に向けた依頼である。

ここ数日、かの山にて夜間に付近の住民が飛び起きるほどの大きな音が響き渡る事があるのだとか。
付近住民は相当、それに悩まされているらしい。
特に子供が怯えるため、小さなお子さんを持つ親は頭を悩ませているようだ。


そこで出番となるのが、小鍛治総合相談事務所。

彼は当初一人で向かうつもりだったが、彼女の連れて行って欲しいという熱意に負けて二人で向かう事となった。


しかし慣れない山道は彼女の体力を容赦無く奪っていくため、そうそう手早くとは行かない。
「すまん、俺が疲れたから」という名目で、彼はさり気なくこまめに彼女に休憩を取らせつつ進んでいた。


無論、彼女にはバレバレだが。



マホ「でも、マホ光栄です!」

京太郎「ん?」

マホ「前からお話してみたかったんです、貴方と!」



それに、だ。



京太郎「なんじゃそりゃ、また物好きな……」

マホ「はれ? 先輩、けっこう有名人ですよ?」

京太郎「……マジで?」

マホ「マジです。特にここ半年くらいで、マホの周りでは確実に」

京太郎「……なんでやねん」

マホ「(なんで関西弁?)」



彼女自身が付いて来た理由は、別に依頼に対する責任感だけというわけでもないのだ。

京太郎「(いやまあ、仮面被ったりとか出来ないからしゃーないかもしれないが)」



MIBの例にあるように、こういう稼業であるなら正体は隠した方が都合がいい。

しかし。

彼らが己の正体を隠さないのには、理由がある。

売名行為だ、有名人になりたいのかと叩かれるとしても、そうしなければならない理由がある。

救えなかった時、真っ先に責められる立場になるのだとしても、そうしなければならない理由がある。



『都市伝説になってはならない』。



これは都市伝説を保有する者の、絶対の不文律だ。
それはコーヒーの例えにおける、三段階目と同義でもあり。
人が意図せず新たな都市伝説を生み出さないようにするという、戒めでもある。


例えば、だ。
『仮面を被って正体を隠し、バイクに乗って街を駆ける正義の味方』
が居たとしよう。


長い年月をかけ、この正義の味方は街を守る。

そしていつの日か、そのヒーローは『都市伝説』として誰もが知る所となる。

……そう、なってしまう。


『都市伝説』に、成り果ててしまう。


世界で最も新しい都市伝説には、伝承による後付けの弱点・対抗神話が存在しない。


加えて、
正気を保ったまま人から都市伝説となった者。
都市伝説としての意識に乗っ取られ、そのまま都市伝説として在るようになる者。
新たな都市伝説が後押しとなり、危険なほどに爆発的な力を得た者。
そういった、個人差まである。



守る者が、己の意志に関わらず敵性と同種になってしまう。
牙無き者を守っていた者が、その無力な人々を害するようになってしまう。



その危険があるからこそ、『都市伝説になってはならない』のだ。

マホ「ですのでですので! マホとしては憧れの先輩と話すチャンスでもあったわけで!」

マホ「昨日は中々眠れなかったんですよ!」

京太郎「あー、俺な、マホちゃんが思ってるようなのじゃなくてだな」

マホ「いえ、今の所は想像の通りです! 脳内でハードル上げまくったにも関わらず!」

京太郎「ガンガンとか立ち読みしちゃったりしちゃうような奴なんだ」

マホ「あの凶器を立ち読み出来るパワー、尊敬します!」

京太郎「ゴミをゴミ箱に放り投げても、一回も入ったこと無いし」

マホ「マホなんて何も無い所で転びますよ?」

京太郎「月極駐車場の事を最近まで『げっきょく』って読んでたんだぜ?」

マホ「え!? 違うんですか!?」



そりゃ過大評価だー、そんなことないですよー、と結論の出ない話が延々と続く。

その内、京太郎も気付く。



京太郎「(あ、駄目だこりゃ)」



少女のこちらを見る目のキラキラを、どうにか出来る気がしない。
ましてや自分の情けない部分を伝えても、全てプラス方向に解釈されてしまう。

……まあその内、付き合いが長く続けば分かってくれるだろう。


彼が選んだ選択は、後回しという名の、そんな現実逃避だった。




マホ「あ、先輩! 見て下さい!」

京太郎「……!」

抉れ薙ぎ倒れている大木。
クレーターのように大きな穴の空いた地面。
粉砕されている露出していた岩盤。


まるで怪獣が荒らしまわったような恐ろしい惨状。

人であればミサイルでも使わなければ、ここまで破滅的な破壊をもたらすことは不可能だ。

そう思えるほどに、圧倒的な力の跡だった。



荒れに荒れている、山の一部の現状。
彼が穏乃に聞いた限りでは、ここはまだ昨日の時点でこんな風になってはいなかった。

つまり、一晩でここまでの終末を、この山にもたらしたという事。


……背筋に、冷たい汗が滴る。
だが、そんな事は今の彼にはどうでもいい。


この破壊をもたらした主はもうこの場を去ったようだが、その破壊の中心に、少女が倒れている。

全力で、とにかくその側へと駆け寄る。

最悪の事態が頭に浮かぶが、それを振り払い彼は少女を抱き起こす。



京太郎「(ざっと見ただけで外傷無し、出血無し、顔色も悪くない)」

京太郎「おい! 大丈夫か!? しっかりしろ!」

マホ「大丈夫ですか!? お怪我は!?」

「う、うぅん……」



その少女は、ゆったりと目を開けて。



「お腹空いたー」



二人に、ずっこけるという随分古臭いリアクションを取らせた。

誰だ?

「ハムッ、ハフハフ、ハフッ」

京太郎「おお、よく食うな……」

マホ「あ、私の卵焼きも食べる?」

「あ、ありがとっ! おいしっ」

京太郎「(……ううん、弁当多めに作ってきてよかった)」

「あ、私おにぎりの具のおかか嫌い。なんで入れたの? おにーさん」

京太郎「文句言うなら返せ!」

「きゃー、おにーさん間接キスを要求してきたよマホちゃーん!」

マホ「え!? え!?」

京太郎「してねぇよ!」



ちょうどいい時間というのもあって、少女も交えてランチタイム。
破壊の跡の中心で、昼飯を食べつつ交流を深めている三人は中々にシュールだ。


京太郎は、少女を眺める。

歳は分かりづらいが、おそらくマホと同じくらい。
背丈があるのもそうだが、おもちがデカイ。
凄まじく、年齢不相応だ。

長い髪はサラリとしていて、桜色を赤茶けさせたような綺麗な色。


……そして、なんとなく。
なんとなくだが。
本当に、なんとなくだが。


京太郎は、どこか原村和に似ていると、そう思った。

友達を大事にする、気丈なようで寂しがり屋の彼女に。

第一印象でそう思ったから、彼は彼女を放っておけなかったのだ。



「……ジロジロ見て、視姦?」

マホ「えっ!?」

京太郎「お前ら俺をどうしたいんだよ」

未来からきたのどっちの娘だな(確信)

京太郎「で、お前の名前は?」

「へ?」

マホ「名前知らないと、お友達になれませんし」

「え、名前? 友達? えと、えと」

京太郎「? 別に、名前が無いとかそんな愉快な事になってるわけじゃないんだろ?」

「あー、えっとね、私実は言い出せなかったんだけど、記憶喪失というか」

マホ「ええっ!?」

京太郎「……マジで?」

「マジです」

京太郎「そりゃ、大変だな……いや、こんな場所にいて無事なわけがなかったか」

マホ「ど、どうしましょうか?」

京太郎「これから病院連れてくとして、名前がないのは不便だな……」



「あ、じゃあじゃあ、二人が私の名前付けてくれない? とりあえず、って事で!」



京太郎「へ?」

マホ「え?」

「お遊びって事で。ね、友達でしょ? 強そうな名前がいいなぁ」

マホ「女の子だから可愛い方がいいんじゃないかな?」

「強そうな方が良い!」

マホ「そ、そっか……」

京太郎「日本人の女性名はけっこう、美しさとかに偏ってるから強さってのはなぁ……」

「外国的なアレでも良しだよ、おにーさん」

京太郎「んー……」

そうだな…『メキシコに吹く熱風!』という意味の『サンタナ』というのはどうかな!

和の反対だったら乱でどうだ
読みは知らん

>>964
バーロー「ラン姉ちゃん!」

京太郎「強い…ストロング…WIN…ニケ…ズィーク…sigrid……」

「あ、なんか今のカッコ良かった」

京太郎「ん? Sigrid(勝利)がか?」

「そうそう、なんだかカッコイイね。シグリって」

京太郎「じゃあ適当に当て字して『士栗』でいいか」

「えー、適当に決めないでよおにーさん」

マホ「士栗ちゃん。……うーん、でも可愛いんじゃないかな」

「うむむ……」



ただの遊びだ。楽しいだけの、ただの遊び。
少なくとも、二人にとってはそうだった。

三人が仲良くなるための、楽しいお喋りであったのだ。



マホ「苗字は、『青山』なんてどうかな?」

京太郎「……シグリだからって、コーヒーか? また、適当な」

マホ「せ、先輩だって当て字適当じゃないですか!」

「まあまあ、マホちゃんのセンスの方が私は好きだよ?」

マホ「し、士栗ちゃん……!」

京太郎「女の子って、そういう所無駄に仲いいよなぁ」

「おにーさんにも、感謝してるよ?」

京太郎「へいへい、どういたしまして」




京太郎「決まったな」

マホ「決まったね」

「うん、決まり」



士栗「私の名前は、『青山 士栗』!」



そうやって、彼女は手に入れた。

それが彼女とその周囲の歯車が狂った、その始まりの切欠だったのかもしれない。

次スレにのりこめー

【咲安価】京太郎奇怪綺譚:拾弐巻目【都市伝説】
【咲安価】京太郎奇怪綺譚:拾弐巻目【都市伝説】 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1363702849/)

こっちはお好きな様に。残っていれば、またなんかやります

>>922
生まれつきの才覚のみで中堅って、けっこうヤバいんじゃないでしょうか

>>928
なんでや!

>>940-947
!?



こっちで埋めネタ、ネタが尽きる前に埋まったら次スレで続き



【SM(セイバーマリオネット)はなんだかんだでいい作品だった】

京太郎「そう、そこです。そこをもっと、奥に……」

姫子「……無理やけん、私には出来んとよ」

京太郎「大丈夫ですよ、皆やってることですから」

姫子「あっ……」

京太郎「ほら、出来た」

姫子「あ、だめっ」

京太郎「落ち着いて、上に乗って、上下に……」

姫子「あっ」

京太郎「……出るッ!」




















京太郎「出た、これこそ奥義無限1up!!」

姫子「おおー……」

京太郎「あ、増やしすぎるとバグるのでマックス行く前に止めるのをお忘れなく」

姫子「りょーかいっ」




【京太郎と姫子のSM(スーパーマリオ)プレイ】

京太郎「……なんか、近くないですかね」

姫子「そげん事なかよー」

京太郎「部屋そんな狭いってわけでもないんですから、もっと離れても」

姫子「画面、見にくか」

京太郎「貴女、能力あるでしょうが」

姫子「日常ば能力にあまり頼らなか方がよか、ってのは君の信条やなかったかいね」

京太郎「あー、まあ、確かに」

姫子「うんうん、だから」

京太郎「それとこれは別問題だから離れて下さい」

姫子「ちぇっ」




【京太郎と姫子のSM(すぐ 目の前に居る)プレイ】

京太郎「咲の真似します。プレイとシンクロさせつつ」

姫子「お−、パチパチ」

京太郎「『あのラグビー選手みたいなの、突破できないよー』」

姫子「微妙に似てる!?」

京太郎「『でもファイアマリオになったら楽チンだったよ』」

姫子「怖っ」

京太郎「あいつ花系のアイテム持つと、妙に動き良くなるんですよ」

姫子「(幼馴染はお互いの事ようわかっとーなぁ)」



咲「へー、ふーん。京ちゃん楽しそうだね」



京太郎「げぇっ、咲!?」

咲「……私の物真似は、楽しかった?」

京太郎「あー、楽しかったか楽しくなかったかで言えば」

咲「ちなみに私は、ちょっとイラっと来たかな」

京太郎「すみませ」

咲「正座」

京太郎「……はい」

咲「昨日傘貸して貰ったからお礼に来たのに、ほんとにもう、京ちゃんは……」

京太郎「反省も後悔もしてるけどやめる事は多分ない」

咲「京ちゃん!」




【京太郎と姫子のSM(サキ・ミヤナガ)プレイ】

咲「じゃ、私はちょっと健夜さんに挨拶してくるから」



京太郎「足、痺れた……!」

姫子「……つんつん」

京太郎「あひっ」

姫子「」ゾクッ

京太郎「あ、ちょ、痺れてる足を突っつくのは、ちょ、やめっ」

姫子「」ゾクゾクッ

京太郎「ちょ、マジでやめ、やめ」

姫子「」ゾクゾクゾクッ



京太郎「やめろっつってんだろ!!」


姫子「!!」ビビクンッ



京太郎「いくら先輩といえど、親しき仲とはいえど、俺は言う時は言いますよ」

京太郎「相手がマジで嫌がってる時は、やめないと」

姫子「ご、ごめんなさい……」

京太郎「分かってくれれば良いですけど……大声出して、すみません」




【京太郎と姫子のSM(痺れてるんだから マジでやめて)プレイ】




ゾクッ

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom