雑談スレに晒すのだけは勘弁してください! なんでもしますから!
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晶葉「いま思い出した! それは本当に凄い発明品で……あ、こら、捨てるんじゃない!」
P「……あのなぁ、お前今日それ何回目だよ。大掃除手伝えって言うから来てやったのに『あれも捨てるな、これも捨てるな』じゃいつまでたっても終わらないぞ」
晶葉「でも、それは本当の本当に凄い発明品なんだ! ほら、返せ!」
P「……でも、見た目コップだぞ?」
晶葉「見た目コップでも、最高の発明品には変わりない! 君も説明を聞けば納得するはずだ!!」
P「じゃあ一応聞くけど、これはどんな発明品なんだ?」
晶葉「ふっふっふ……聞いて驚け! これはな、その名も『いとでんわ』って言って……」
P「糸で繋ぐと声が聞こえるのか? そりゃあすごいな。じゃあ捨てるぞー」
晶葉「そんなオモチャと一緒にするな!」
P「違うのか?」
晶葉「全く違う!! これは、脳から発せられる電気信号を受話器部分に集めて送信ができる超高性能な電話なんだ!!」
P「……つまり、携帯みたいなもんか?」
晶葉「ふふん、この『いとでんわ』の前ではな、普通の携帯電話なんか話にならないんだよ、君!
なにせこれは、『想い』や『感情』、言葉では表現できない『イメージ』なんかを送ることができるんだからな!!」
P「は?」
晶葉「そもそもロボットの自律稼働が難しいのは、物事の判断なんかを含めた知能の問題が大きいってのは前に話したかな?」
P「聞いたことあるような、ないような……」
晶葉「判断っていうのは意外に難儀なもので、正解・不正解の二つに分けられないことが往々にして存在している。
その細かな判断を可能にすることが、人工知能の課題の一つでもある」
P「へえ、そうなのか」
晶葉「しかし、そこで私は考えた! 物事の判断が難しいのであれば、いっそ判断をさせなければいいのではないかと!!」
P「は?」
晶葉「つまりだね、外部の人間が判断を行い、ロボットはそれを受け取って行動をすればいい!!
そうすればほら、正確無比な自立稼働をしつつ、問題に直面しても正しい判断を下せるロボットが完成するだろう?」
P「……そういうもんなのか?」
晶葉「そういうものなんだ。そして、それをサポートするための発明品がこの『いとでんわ』なんだ」
P「こんなチャチなコップがねぇ……」
晶葉「……見た目は関係ないだろ。さて、この『いとでんわ』を使うとだね、さきほど言った曖昧な判断を正確に伝えることができるんだよ。
口頭だと勘違いしやすいような指令も、感情や思考・イメージなんかを交えて『思った通り』が伝わればまず間違えることはなくなるだろう?」
P「そんなことできるのか? このコップに」
晶葉「コップじゃない、『いとでんわ』だ。なんなら試してみるか?」
晶葉「まずはこの『いとでんわ』を頭にぴったりくっつける」
P「おう」
晶葉「そして、伝えたいことを考える」
P「……んー」
P(いとでんわだかなんだか知らないけど、この見た目はないわー)
『仕方ないだろ。材料が他になかったんだから』
P「……お?」
P(でも、犬のマグカップを頭に貼り付けてる男の図ってどう見ても変態だろ)
『心配しなくても、君はもともと変態だ』
P「おお!?」
晶葉「と、まぁ、このように念じただけでだいたいのことが通じる。そしてここからがこの発明品の凄いところだが……むむむ」
むかっ
P「ん?」
晶葉「……む、むむむむむ」
むかむか
晶葉「……どうだ?」
P「……なんだか、無性にむかむかしてきた」
晶葉「これが『イメージの共有』だ。今、私は君に『いとでんわ』を捨てられそうになったのを思い出して怒り、それが君に伝わったんだ」
P「お前、そんなに怒ってたのか?」
晶葉「当たり前だ。今日君が捨てたロボットたちだってどれもこれも私の血と汗と涙の結晶なんだぞ。
それに加えてこの性器の大発明まで捨てられそうになったんだ。これが怒らずに居られるか」
P「でも、コーヒー豆を自動でパックに包むロボットや見たい番組にチャンネルを変えるロボットは捨てても問題ないと思うがな」
晶葉「君はあのロボットたちを作るのにどれだけ苦労したかを知らないからそんなことが言えるんだ! これを見てみろ!!」
―――ふと、頭の中にロボットたちの思い出が流れ込んでくる。
作る時に苦労したところ、工夫したところ、どうしても上手く作れなかったところ、そんな思い出が。
P「……今のは?」
晶葉「言っただろう? この機械はイメージを伝えることもできる、と。
つまり、思い描いた情景や過去の記憶を相手に渡すことも可能なんだ」
P「……それって、かなり凄くないか?」
晶葉「だから何度も言ってるだろう、これは過去最高の発明品なんだって」
P「でも、そんな凄い発明品を、どうして公表しなかったんだ?」
晶葉「それは……」
P「……」
晶葉「えっと、それはだね……ううん、ちょっと待ってくれ……」
P「……晶葉?」
晶葉「……確か、致命的な問題が見つかった……んだったかな?」
P「だったかな、って……」
晶葉「仕方ないだろう。かなり昔に作った発明品なんだし……
ただ、普通に使用する分には何の問題もなかったはずだ。なんなら君、使ってみたらどうだ?」
P「え、いいのか?」
晶葉「私は急用ができた、掃除は中止だ。
君は今からそれを使ってみてなにか致命的な問題がないかを探しておいてくれ」
P「……先に聞いておきたいんだけど、その致命的な問題って『使ってたら脳が焼き切れる』とかそんなんじゃないよな?」
晶葉「そんな直接的なものではないな、私も試用したことがあるからその点は万事問題ない。
じゃあいつも通り、使ってみた感想なんかの経過報告はメールで送ってくれ。期待してるぞ、助手!」
P「ああ」
『説明書
・通信を行う両者がいとでんわを頭にくっつける
注意
・特になし。思い出し次第随時連絡』
P「……えらいざっくりした説明だな……まぁ、晶葉自体が忘れてるんだから仕方ないんだろうけど」
P「それにしてもこれ、本当に問題ないんだろうな?」
P「……とりあえず、長時間連続して使わないように気を付けておくか」
P「さて、最初は誰に使うか……」
P「……」
P「いや、これに関しては最初はアイツだな。アイツしか居ない」
P「アイツ確か今日は朝一で出てくるんだよな……」
P「さて、用意用意」
―――
ガチャッ
??「さいきっく・出社!! かーらーのー、さいきっく・おはよう!!」
??「……あれ、誰も居ない? もしかして、一番乗り!?」
??「ムムム……でも、鍵開いてたんなら誰も居ないはず……ハッ!? も、もしかして、私、今、無意識のうちに超能力でカギを!?」
??「……おや?」
【テレパシートレーニング用マグカップ
・頭にぴったりくっつけるだけで今日から貴方もサイキッカー!】
??「……」
??「……て、てれぱしー……!!」
??「これ、もしかして、プロデューサーが買っててくれたのかな?
どうしよ、どうしよ!! これ使っちゃったら、エスパーユッコついに爆誕!?」
裕子「そうなると、エスパーアイドルとして大ブレイクしちゃうかも……えへへ!」
裕子「よし、早速使ってみよう! えーっと、このマグカップを頭に付けてみればいいのかな?」
P(よし、かかった!!)
裕子「……」
(……ますか……)
裕子「おお!?」
(……きこえますか……)
裕子「これぞまさしくテレパシー!! 聞こえてます、聞こえてますよ!!」
(堀裕子さん……今……あなたの心に……直接……呼びかけています……)
裕子「ほ、本物だ! 本物だぁ!!」
(おーおー、しっかり騙されてるな、裕子の奴)
裕子「へ?」
P「あ、やべっ……」
(……いいですか……堀裕子……今の言葉は……忘れるのです……)
裕子「……なんか今、あっちの方からプロデューサーの声が……」
(いいですか……堀裕子……忘れるのです……今の失言や声は……なかったことに……
私を……決して疑ってはいけません……私を疑えば……貴方のテレパシーの力もなかったことに……なります……)
裕子「……えっと、確かこっちから声が……」
(いけません……声の主を……探しては、いけません……あ、駄目、ちょっとストップ裕子、一旦元の位置に)
裕子「あっ」
P「……」
裕子「……」
P「……や、やぁ。おはよう裕子」
―――
裕子「つまりこれ、テレパシー装置なんですね!!」
P「まぁ、そういうことだ」
裕子「凄い! プロデューサー、これ貰っていいですか!?」
P「駄目だ」
裕子「またまたぁ!! 本当はこれ、私のために用意してくれたんですよね?」
P「駄目だ」
裕子「……どうしても駄目ですか?」
P「駄目だ」
裕子「……ならば仕方ないですね。私の力を使う時が来てしまったようです!!」
P「ほう……どうするんだ?」
裕子「いきますよぉ~……ムムムム、ムン!!! さいきっく・懐柔!!」
もみもみ
裕子「ほーら、どうですかプロデューサー? この辺に、サイキックパワーが溜まってきたでしょう!?」
P「残念だが、今は肩こってないから揉んでも意味ないぞ」
裕子「うっ……な、ならば……さいきっく・買収!」
っ(1000円) すっ……
裕子「これでなんとか……」
P「駄目なものは駄目だ。そもそもこれ借り物だし」
裕子「じゃあなんで持ってきたんですか!! 見せびらかしに来ただけですか!?」
P「そうだ。羨ましいだろ?」
裕子「すっごく羨ましいです……使ってみてもいいですか?」
P「いいぞ」
裕子「ありがとうございます! よーし……ムムムム……ムン!!!」
『さいきっく・テレパシー!!!!』
P(テレパシーで叫ぶんじゃない、頭に響くから)
『おおおおお!!! 伝わってますか、プロデューサー!? 私のテレパス、伝わっちゃいましたか!?』
P(伝わってるなあ)
裕子「……えへ、えへへ」
P(頭にマグカップ乗せてにやにや笑うのは怪しいからやめなさい)
『でもプロデューサー、ついにですよ!? とうとうですよ!! エスパーユッコの本領発揮の時が来たんです!!
これでもう向かうところ敵なし!! これからは覚醒したサイキックパワーで立ちはだかるアイドルをちぎっては投げ、ちぎっては投げ!!)
P(そりゃあ頑張らなきゃな)
『しかも、プロデューサーと私がテレパシーで繋がったら、他の人には内緒で話し放題じゃないですか!
……あ、今他の人たちの悔しがる顔が未来予知できました!! やっぱり私、覚醒してきてる……!?』
『よもや本当に私を覚醒させてしまうとは……流石はさいきっく・プロデュースですね……
プロデューサーを選んだ私の予知に狂いはなかったんです!!』
P(そう言ってもらえると嬉しいな)
『……そうだ、プロデューサー! これであの日のお話、本当になりますね!』
P(あの日の話……っていうと)
―――裕子から『いとでんわ』を通して思い出が流れ込んでくる。
それは、俺たちが一緒に仕事をし始めてしばらく経った頃頃の思い出。
P(成程、あの時のか)
『あの時実はテレパシーを遅れてなかったかもしれませんけど、今は違います!』
P(そりゃあまぁ、本当にテレパシー出来てるからな)
『そうです! これで私の気持ちはプロデューサーに伝えたい放題ですよ!
あーんな気持ちもこーんな気持ちも筒抜けですからね!』
P(それはお互い注意しなきゃな。ところで裕子、ちょっといいか?)
『はいなんでしょう? 今のユッコはエスパーじみた大予言でなんでもピタリと命中させちゃいますよ!! なんでも聞いてください!!』
P(言われて思いだしたんだけど……結局、あの時裕子が俺にテレパシーで伝えた気持ちってなんだったんだ?)
『……えー、それ聞いちゃうんですかー?』
P(えっ)
『あそこは、私がテレパシーは送れてなくても、言いたいことは通じてたと思ったんですけどねー』
P(そんな無茶苦茶な)
『……うーん……そうですね、どーしても知りたいっていうんなら、私の心を読んでみてください!!』
P(……心を読む?)
『はい! 私はいつでもあの時と同じ気持ちでプロデューサーに接してますから、今度はプロデューサーが私の心を読むんです!
そうすればほら、聞かなくても一発で分かりますよ!』
P(そんなことが俺に出来ると思うか?)
『大丈夫ですよ、プロデューサーが完璧なテレパシーをマスターするまで、私も一緒にトレーニングしますから!』
P(一緒にってことは、お前もまだ送れないってことか)
『ふっふっふ……確かに今はまだ完璧には送れてませんが、テレパシー程度、覚醒した超エスパーユッコにかかればお茶の子さいさいです!! 三日でマスターしちゃいます!!』
P(そうか、それじゃあトレーニングでもよろしくな)
『はい! エスパーユッコにお任せあれ!!
……にしても、このエスパー装置……プロデューサー、もしかしてこれってインチキ商品ですか?』
P(いきなりどうした)
『だってこれってテレパシーというよりは、口を使わずに会話してるだけですよね?』
P(テレパシーってそういうものじゃないのか?)
『相手の話そうとしてる内容が分かるのと、相手の心が読めるのとでは大違いですよ!
やっぱり、完璧な超能力を目指すには、機械に頼らず特訓あるのみか……』
P(そんなに違うのか)
ことんっ
裕子「と、いうことで。これはプロデューサーさんにお返しします」
P「もういいのか?」
裕子「はい! これからはプロデューサーとのトレーニングで完璧なテレパシーの取得を目指します!
目標は隠し事のできない関係です、頑張りましょう!!」
P「ああ」
裕子「それじゃあ私はさっそく特訓メニューを考えてきます! 出来たらテレパシーで送るので!!」
てってってってって
P「……」
P「……テレパシーの特訓メニュ―をテレパシーで送ってくるのか……」
P「まぁ、しばらくしたらしびれを切らしてメールで送ってくるだろうし、裕子は放っておいても大丈夫だろうな」
P「しかし……言われてみれば……『糸が無くて声に出さなくていいだけの糸電話』なんだよな、これ……」
P「あ、でも、喋る以外にも機能があるんだっけか……次はそれを試してみるかな」
P(今度はイメージや感情の共有を中心に試してみたいな。晶葉にどやされたくないし)
??「……あ、プロデューサーさん……おはようございます」
P(となると、元気よく喋り続ける子よりもじっと考えて言葉を選ぶような大人しい子の方がいいか)
??「……あ、あれ……? ……えっと、プロデューサーさん……?」
P(だとすると、今日事務所に来るメンバーで、『いとでんわ』のことを信じてくれそうで、かつ大人しい子と言うと……)
??「……プロデューサーさん、お、おはようございます……!」
P「ん? ……ああ、由愛、おはよう。無視してたわけじゃないんだ、ごめん」
由愛「はい、おはようございます……考え事、ですか?」
P「分かるか?」
由愛「はい、難しい顔、してましたから……なんだか、プロデューサーさんが難しい顔してると……私まで、こう、難しいこと、考えちゃいそうです……なんででしょう……?」
P「……」
由愛「……あれ? ……あ、あの……」
P「由愛」
由愛「はい……?」
P「お前、頭にマグカップ乗せてみる気はないか?」
由愛「……へ?」
さいきっく・画像貼り
池袋晶葉(14)
http://i.imgur.com/OQqeGqR.jpg
http://i.imgur.com/8Yn1DLC.jpg
堀裕子(16)
http://i.imgur.com/MgNeDhq.jpg
http://i.imgur.com/NdyJ7By.jpg
成宮 由愛(13)
http://i.imgur.com/jnoFBIJ.jpg
http://i.imgur.com/1Id9tto.jpg
>>27
お前ホモか!?(歓喜)
一緒なこのスレ雑談スレに晒そっかじゃあ(無慈悲)
>>33
すみません、それだけは……
すみません、許して下さい! なんでもしますから!!
由愛「これを頭に、ですか?」
P「そうそう。そういう発明品でな」
ぽふっ
由愛「……」
P「……」
由愛「……あ、あの……似合ってます、か?」
P(犬マグカップを頭に載せてる由愛……意外と可愛いな)
由愛「か、可愛い、ですか……? ……えへへ……」
P(気に入ったか?)
由愛「……ちょっとだけ恥ずかしいけど、気に入りました」
P(なんなら今度その格好でライブしてみるか?)
由愛「……それは、ちょっと……あれ?」
P(と、まぁ、こんな風に考えを直接相手に伝えることができるんだ)
由愛「……すごいですね……見た目は、ただのマグカップなのに……」
P「本当にな。それで、由愛にはちょっとこれのテストに付き合って欲しいんだが……頼めるか?」
由愛「……えっと……私で、よければ……」
P(それじゃあ早速、それを使って俺にイメージを渡してみてくれるか?)
由愛「イメージを、渡す……ですか?」
P(ああ、そうだ)
由愛「……でも、イメージを渡す、って……どうすれば……」
P(そうだな。例えば……)
――――サグラダ・ファミリアを見上げる少女。
小さな両手で大きな画材を抱えて、こちらに振り向きながら微笑んでいる。
由愛「あ、これ……」
P「と、まぁ、こんな風に思い描いた映像が相手にも流れるんだ。出来そうか?」
由愛「なんとなく……こういう風にやればいいのかな……?」
――――真っ白な空間にペンが走る
写生が特技というだけあって、静物を描きうつすその筆さばきには迷いがない
あっという間に、俺の頭の上に乗っている猫のマグカップが描き上がった
由愛「……どうでしょう……見えますか?」
P「おお、すごいすごい。そんなカンジで続けてみてくれ」
由愛「は、はいっ……!」
――――頭の中に送られてくるイメージはめまぐるしく変化していく。
まるで、何枚ものキャンパスに次から次へと風景が描かれ、塗り替えられていくように。
P「凄いな。いつもこんな風に絵の題材を考えてるのか?」
由愛「いつもはもっと……じっくり考えてます。
それに、頭の中で考えたものよりも、景色を描く方が好きですし……」
P「それじゃあ場当たりでこれってことか。ますます凄いじゃないか」
由愛「……全部が全部、場当たりってわけでもありません……昔描いたのを思い出しながら描いてるのもあるし……」
P「それでも凄いよ、ここまで描けるなんて」
由愛「……そう言ってもらえると、嬉しいです」
P「にしても、本当にしっかりイメージが送られてるみたいだな……
絵の細かい描き込み箇所までばっちり伝わってきてるし」
由愛「そうですか?」
P「ははは、これさえあれば、いつでも由愛の絵が見放題だな!」
由愛「……」
もや
P「ん?」
由愛「……」
P「……由愛?」
由愛「……あっ………………そう……ですね」
もやもや
P「……」
由愛「…………」
もやもやもやもや
P「……由愛、なにか怒ってる?」
由愛「えっ……!? お、怒ってなんか、ないですけど……」
P「本当に? なんかもやもやしてるけど」
由愛「……怒っては、ないです…………ただ……ちょっと、寂しいかなぁ……って」
P「何が?」
由愛「絵……描かなくても見てもらえるってことが……です」
P「そうか? 便利だと思うけど」
由愛「………………私、絵、描くのが、好きだから……
その……いい場所が見つからなくて困る時もあるし、思った通りの色が作れない時もあるけど……」
P「……」
由愛「……それでも、こんな形で人に見せるんじゃなくて……やっぱり、きちんと描きたいかな、って……
……思いついただけの事を伝えるのは……なんとなく、違うと思うから……」
P「……成程」
由愛「それに……ですね……」
P「うん?」
由愛「絵……他の人に見せる時は……ぼんやりしたイメージだけじゃなくて……
きちんとした、スケッチブックとかに、ちゃんと描きあがってから見せたいから……」
P「そういう所にもこだわりがあるのか?」
由愛「……こだわり、なんでしょうか? 全部の絵がそうだってわけじゃないですけど……
見せられない絵ってあって……あ、見せられないって言っても、描いてる途中では他の人に見せられないってことで……」
P「……意外と職人気質なんだな、由愛は」
由愛「ち、違います……! その……」
――――瞬間、いとでんわ越しにさまざまなイメージが伝わってくる。
初めて会った時のこと、一緒に初詣や夏祭りに行ったこと、そしてスペインでのライブのこと。
そして、今描いている一組の男女をモチーフにした絵のこと。
そんなイメージたちに付け加えられる、小さな一言。
『プロデューサーさんにだけは、特別、なんです……』
少女の鼓動につられて、少しだけ胸が高鳴った……ような気がした。
由愛「……」
P「……」
由愛「……な、なんでも、ないです……」
P「そうか」
由愛「……あ、わ、私……偉そうなこと言っちゃって、ごめんなさい……」
P「いや、いいよ。貴重な意見をありがとう」
P「にしても、特別、か。そうまで言われたら待つしかないな」
由愛「…………へ……? え……な、なんで……私、口に出してましたか……?」
P「言っただろ。これ、思ったことが伝わる機械だって」
由愛「……………………あ…………あぁ……!」
かぁぁぁぁ……っ!
由愛「あ、あああっ、あのっ、こ、これ、かっ、返し、ます……!!」
ぽふっ
P「ああ、ありがとう。悪いな、付き合わせちゃって」
由愛「いえ……あ、その、それで、ですね……プロデューサーさん……」
由愛「……つ、伝わっちゃいましたか……? さっきのも……」
P「バッチリ」
由愛「………………うぅ……ど、えっと、さっきの、その……」
P「由愛」
由愛「は、はい!」
P「今描いてる絵、完成したら見せてくれよ」
由愛「………………は、はい……あ、でも……も、もう少し、待っててください……!」
P「うん、待ってる。じゃあ今日はありがとうな」
由愛「はい、お、お疲れさまでした……!」
たったったったった……
―――
P「……」
P「……ううむ」
P「もしかして、いとでんわの致命的な欠点って……人気が無いこと、とか?
エスパー大好きっ子からは否定、大人しい子からも不評とは……」
P「しかしあの晶葉がその程度でこれほどの発明品をお蔵入りにはしないだろうし……」
のそっ…… のそっ……
?????「……」
P「しかし、性能面でこれといった不具合は見当たらないが……
ただ単純にド忘れしてただけとか」
?????「……」
ぐいっ ぐいっ
P「ん?」
?????「……」
P「おお、ヒョウくんじゃないか。どうした、今日は小春と一緒じゃないのか」
ヒョウくん「……」
P「言っても分からないか。そうだ、虫の買い置きあったし、それを……」
ヒョウくん「……」
P「……」
ヒョウくん「……?」
P「……これ……いとでんわって……もしかして、動物との意思疎通とかもできたり……?」
画像貼りぺろぺろ~☆
ヒョウくん(?)
http://i.imgur.com/BSROq1e.jpg
http://i.imgur.com/1DzncMF.jpg
ヒョウくん?
http://i.imgur.com/sKDDFdP.jpg
P「……よーし、動くなよー……」
ヒョウくん「……」
ぽすっ
ヒョウくん「……」
P(……えー、ヒョウくん、ヒョウくん、聞こえますか? 聞こえたら返事してください)
ヒョウくん「……」
P「……」
ヒョウくん「……」
のそっ…… のそっ……
ごとっ
P「あ、こら! 動くんじゃない! いとでんわが落ちちゃっただろ! ほらこっち向いて……」
ヒョウくん「……」
P「よーし、そのまま、そのままだぞー、乗せるから今度は動くなよー……」
ヒョウくん「……」
のそっ…… のそっ……
??「……えっと~、プロデューサーさん、ヒョウくんとなにしてるんですかぁ~?」
P「おお、小春! いいところに!! ちょっとヒョウくんを捕まえててくれないか?」
小春「いいですよ~。任せてください~! はい、ヒョウくん、おいで~、おいで~、抱っこしてあげますよ~♪」
ヒョウくん「……」
のそっ…… のそっ……
小春「よい、しょっ! はーい、ヒョウくん、いい子いい子~♪ ぺろぺろ~♪」
なでなで
P「よしっ! じゃあ、次は、はい! これをヒョウくんの頭に乗せて!」
小春「これ……んーとー、こうですか~?」
ぽすっ
P「そうそう、そんな感じで……」
『なんだか、とっても不思議な格好』
P「おっ!?」
『でも、プロデューサーさんのことだから、きっとなにか意味があるんだろうなぁ~』
P「おお、実験成功!?」
『実験?』
P(ああ、気にしないでくれ。それよりヒョウくんにちょっといくつか聞きたいことがあって)
『実験……理科の実験みたいなのでしょうか~? でも、だったらなんで事務所で、実験?』
P(あれ……おーい、聞こえないのかー? どうしたんだろ、さっき落としたせいで故障したとか?)
『……あ、もしかして、ヒョウくんも一緒にデビューとかかも~! こんなカンジで、小春とお揃いの帽子かぶって……』
――――脚光を浴びる一人の少女と一匹のイグアナのユニット。
万雷の拍手を受けながら虫を頬張るイグアナの姿が『彼女』の目越しに見えた
P「……ん?」
『えへへ~♪ ヒョウくんも小春に負けないくらい人気者になれるといいなぁ~』
P「……小春」
小春「はい~?」
『……あれ、プロデューサーさん、なんとなく難しい顔……もしかして、ヒョウくん、似合ってなかった……?』
P「……」
小春「……プロデューサーさん? どうしたんですか~?」
P「小春、今日ヒョウくんにご飯あげたか?」
――――朝起きてからの記憶が早回しで再生される。
その記憶の中では、ヒョウくんのご飯は三回。朝一回、十時のおやつ一回、昼一回の三回ご飯を食べていた。
小春「はい~! 今日はですね~、おやつも一緒に食べてきたんですよ~!」
P(……もしかして、さっきからずっと小春の方の思考を読みとってるのか?)
P(小春ー、小春ー)
小春「三時のおやつはまだだから、今日は三回一緒にご飯を食べたんです~♪」
P(ぺろぺろ~、ヒョウくんぺろぺろ~)
小春「えっとー、それがどうかしましたか~?」
P(こっちの考えが向こうに届いてるわけじゃない。ってことは、小春の電波がヒョウくんのマグカップから混ざって飛んできてるだけか)
小春「……」
P(成程、ラジオの混信や電話の混線みたいなカンジか! もしかしたらこれが晶葉の言ってた致命的な問題かもしれないな。
通話してる二人以外の思考まで入ってきたら混乱は免れないだろうし)
小春「……んー」
P(問題は、これが『ヒョウくんだからたまたま起こった』のか、『人間二人でも同じことが起こる』のかだけど……
これはまた、一回試してみないと……)
小春「大丈夫ですよヒョウくん、小春は、マグカップも結構似合ってるって思いますよ~。可愛さ爆発級です~♪」
P「……小春!」
小春「あ、プロデューサーさん! えっとですね、今日は三回ご飯を~……」
P「ちょっと試したいことがあるんだが、手伝ってくれるか?」
小春「試したいこと、ですか~? いいですよ~、小春に手伝えることでよければ、なーんでもお手伝いします~!」
小春「ところでプロデューサーさん、小春は何をすればいいんでしょう?」
P「そうだな、それじゃあまず、ヒョウくんに乗せてるマグカップ、机の上に置いてくれるか?」
小春「はい!」
ことっ
P「よし。それじゃあ小春、ちょっとこっち来て」
てと てと てと てと
小春「この辺でいいですか~?」
P「ああ、ありがとう」
P(混線と同じ原理なら俺の方でトラブルがあっても小春の声が聞こえるはずだけど……)
小春「次はどうすればいいですか~?」
P「じゃあ次は……そうだな、好きなものを何か一つ思い浮かべてみてくれ、ヒョウくん以外でな」
小春「……んー……あ、もしかして考えてることを当てちゃう手品ですか~! えへへ、小春、手品ってはじめてかもです~♪
ちょっと待ってくださいね~……んーと、んー……はい! 思い浮かべました~♪」
P(かなり近いけど……伝わっては来ないな。まぁあの晶葉の発明品だし、普通に使ってる分には問題ないように調整してあるか。
だとすると、混線が起こるのはもう少し特殊なケースで……)
小春「さぁ、プロデューサーさん、当ててみてください~♪」
P「よし、じゃあ当ててやるぞー。それじゃあ早速、手を貸してくれるか?」
小春「手、ですか~? あ、手を見て当てるんですね~!」
P「まぁそんな感じだ。じゃあはい、見せて」
小春「はい!」
ぎゅっ
―――― 優しい優しい魔法使いが出してくれたのはきらきらしたアクセサリー、ふわふわしたドレス。
頭には可愛らしいティアラを乗せて、ハイヒールの踵でリズムを刻みながら階段を駆け上がる少女。
どこか見覚えのある『王子様』は、階段の踊り場で彼女の身体を軽々と持ち上げる。
別の場面では、永遠の眠りについていた姫のもとに
また別の場面では、どこか憎めない小悪党風の少女に連れて行かれそうになった姫のもとに
『王子様』は颯爽と現れて、姫を助けて、抱き上げていく。
『お姫様』と『お姫様だっこ』
その二つを中心にしたイメージが、彼女とつないだ手と、マグカップから伝わってきた。
P「成程成程、つまりそういうことか」
小春「……どうですか? 分かりますか~?」
P「一つって言っただろ。小春」
小春「へ? ……あ、そういえば~……、ちょっと失敗ですね~♪
やっぱり二つセットで一個じゃ、欲張り過ぎですかね~?」
P「いいんじゃんないか、そういうのも」
小春「本当ですか? そう言ってもらえると嬉しいです~」
P「それじゃあ、手伝ってくれたお礼に」
がばっ
小春「わ、わわわぁ~っ!」
P「正解ですか、お姫様?」
小春「大正解です~!」
P「おお、そうか」
小春「プロデューサーさんは本当に魔法使いさんみたいですね~!!
心の中もぴったり当てられちゃったし、小春、また夢が叶っちゃいましたぁ~♪」
P「それはどうも」
のそっ…… のそっ……
ぐいっ ぐいっ
P「ん?」
ヒョウくん「……」
小春「ヒョウくんも、プロデューサーさんに抱っこしてもらいたいみたいですね~。
でも、今は小春の特等席だから……ヒョウくんは小春が抱っこしてあげちゃいましょ~♪」
―――
P(別人が触ってると混線が起こる、と。本人の思考と触っている別人の思考を判断できてないのかな。
これについては晶葉に連絡しておくか)
P「でも、この混線も上手く使えば凄い武器になりそうだけどなぁ。
触るだけで相手の思考が一方的に分かる、なんて光あたりは『ジャスミン、ジャスミンじゃないか!』って喜びそうだし」
P「……」
P「晶葉に連絡入れたら、『よしきた、すぐ持ってこい』って言われるんだろうなぁ」
P「……」
P「……連絡はもう少し遅らせるか」
P「まだまだ色々使って別の不具合がないか調べておかなきゃだしな!!
そのためにもまずは実験! とりあえずちひろさんあたりに使ってスタドリの在庫の場所を……」
がちゃっ
??「……あら、プロデューサーさん……何か、嬉しいことでも?」
P「えっ……あー、外まで聞こえてましたか? さっきの」
??「いいえ。部屋に入って、貴方が……貴方の周りの音が、そんな風に見えただけ」
P「だとすると大当たりですね。おはようございます、音葉さん」
音葉「おはよう、プロデューサーさん。今日もいい朝ね」
由愛ちゃんのSS考えてたら一週間遅刻しました
由愛ちゃんが可愛すぎるが悪いのであって僕は悪くありません。 これだけははっきりと真実を伝えたかった
良く見たら前回ラストの音葉さんの口調違ってた
寝ぼけて書いてたからだと信じたい
以下1レス修正っぽいやつ
と思ったらwiki漁ったらだいたい合ってた、どういうことなの……
春風音葉さんには何があったのか
修正やめ、次から投下
―――
音葉「……相手の心が聴こえる、マグカップ……」
P「心というよりは、もっと簡単な『考えてること』とか『イメージしてるもの』とかですけどね。
でも、なかなか面白いでしょう? どうですか、使ってみませんか。効果は保証しますよ」
音葉「……」
P「……音葉さん? どうかしました」
音葉「……少し、意外だと思ったの」
P「なにがです」
音葉「プロデューサーさんが、そういう物を使うことが……ね」
P「えっ?」
音葉「私は……貴方はきっと、『そういう部分』がどうであれ、あるがままを受け入れてくれる人だと思っていたから。
私のことも、他の子たちのことも、そうやって受け入れてくれていたでしょう?」
P「俺としては皆普通に接してるだけなんですけどね。まぁ、えこひいきなんて言われないよう気をつけてはいますが」
音葉「誰に対しても『普通』でいられる……それはきっと特別なことじゃないかしら」
P「そうですか?」
音葉「ええ……だから、意外だったの。そんな貴方でも『そういう部分』を気にかけている、なんて」
P「俺だって人間ですから、他人の考えは気になりますよ」
音葉「……ふふ、そうね。おっしゃる通り、です」
音葉「それにしても……相手の心が聴こえる、ね……少し、複雑……かもしれない」
P「そんなかしこまらなくて大丈夫ですよ。強く念じなければ伝わってこないみたいですし」
音葉「そうなの? ……それでも、少し」
P「複雑、ですか?」
音葉「ええ……言葉で伝えられない物は、伝えられないからこそ美しいのかもしれない……でしょう?」
P「……それは、音葉さんがよく言っている『音』のことですか?」
音葉「私にとっては、『音』もそう……でも、強い想いや感動、そういったありふれた言葉にできないものも……
きっと、他人に簡単に伝わってしまったら、その輝きを失ってしまうのかも……そう考えると、ね?」
P「……」
音葉「……」
P「……」
音葉「……ねぇ、プロデューサーさん」
P「はい?」
音葉「どうして、私にこれを?」
P「……音葉さんが考えてるほど深い意味はありません。これを使ってるのも面白そうだから、ですし」
音葉「……」
P「強いて理由を挙げるなら……俺は、一度感じてみたかったんですよね。音葉さんがいつも言ってる『音』を。
これを使えば音葉さんの言う『音』も分かるのかもしれない。だから、音葉さんに持ちかけたのかも」
音葉「…………そう」
ぽすっ
音葉「……どうでしょう……似合ってますか?」
P(たぶん、似合ってはないと思います)
音葉「……」
P(でも、似合ってるかどうかは別としても、可愛いです。いつものクールな印象とのギャップもあっていいかもしれません)
『……これが、心の声?』
P(そうです。どうですか、使ってみての感想は)
『思っていたよりも、そう特別なものじゃない、みたい……
こうやって面と向かっていれば、普通に会話しているのと違いもない……』
P(そんなものですよ。強く意識しなければなにも伝わってきませんからね。
これ自体、正確に伝えるために必要な言葉数を減らすためのものですし)
『……でも、確かに繋がっている。私の中に、プロデューサーさんが居る……
いつもより、強く、深く……不思議ね……』
P(なんかエロい)
『……プロデューサーさん?』
P(……気にしないでください。少し口が滑っただけです)
『……やっぱり、全てが伝わってしまうのは……少し不便かもしれないわ』
P(ごめんなさい、さっきのは忘れてください)
音葉「……ふふ」
P(あ、笑顔とマグカップ、結構合うかも)
『……また』
P(……たびたび申し訳ないです)
『……仮に心の中を聴くことができたとして、それが良い事なのかどうかは分からなかったけど……
少なくともプロデューサーさんにとっては……良い物ではなかったかもしれないわね』
P(いや、だからさっきのはですね、不可抗力というか)
『プロデューサーさん』
P(はい?)
『耳を澄まして』
P(……えっ)
『心を開いて、音に耳を傾けるの。きっと、聴こえてくるはず……』
P(……)
―――― 耳を澄ませると、確かに聴こえて来た。
低く唸り声をあげるような換気扇の『音』。じっと地を這うような電化製品の『音』。
風が通り抜ける『音』。靴を擦る『音』。ドアの軋む『音』。『音』。『音』。『音』。
いままで気にしていなかったこの空間の全ての『音』が、まるで色を持ったようにいつもより鮮明に頭の中に流れ込んでくる。
それらは、パレットの上で混ぜられた絵の具のように、不思議な一体感を持った『音色』になり、頭の中を廻り続けた。
P(これ……)
『聴こえる……? これが、私の感じてる、『音』……』
P(……あまり、気持ちのいいものじゃないですね)
『……音と音が重なって音楽になる……でも、重なった音が作りだす音楽が和音とは限らない……
音が多ければ多いほど、不協和音は生まれやすくなるの』
P(よく我慢できますね、こんなの。俺なら三日と持たないかもしれません)
『……少し、違うわ』
P(はい?)
『この部屋も、いつかの森も、多少の違いはあっても、どちらも多くの音が集まってできた『音』の海。
私はいつでも、ただ、あるがままを受け入れるだけ……』
P(……でも、俺にはちょっと慣れないかなぁ……)
『……それに、今は、我慢する必要はない』
P(それはどういう?)
ぴとっ
P「?」
―――― 音葉さんが俺に触れた瞬間、聴こえていた『音色』が一斉に小さくなる。
代わりに、新たな『音楽』が主旋律として流れ出す。
胸が高鳴るような、飛び跳ねたくなるような、意味もなく笑いたくなるような、そんな『音楽』。
『プロデューサーさんが居てくれれば、どこだろうと……
私の中の音は、綺麗な和音を奏でて居てくれるから……』
そんな言葉が、ちいさく、ちいさく、『音楽』にまぎれて聴こえたような気がした。
音葉「……」
P「……」
音葉「……」
P「……あー、その」
音葉「そろそろ、これを置いても?」
P「あ……どうぞ」
ことっ
音葉「……」
P「……えーっと……」
音葉「……きっと」
P「……」
音葉「……きっと、最初に言ったように……心の中身は、伝わらない方が……伝えない方が、美しいまま……」
P「……」
音葉「……でも……伝えることで、輝きを増すことがあるとすれば……こうやって心の内を伝えるのも、悪くないのかもしれない」
P「……今ので、輝きは増しそうですか?」
音葉「どうかしら……今はきっと、輝きを増しているけれど……でも、もしかしたら、このままくすんでしまうのかも……」
P「……」
音葉「……」
P「……」
音葉「……これより先は……プロデューサーさん次第、でしょうね」
―――
――
―
P「……」
P「……もしかして」
P「うすうす勘付いてはいたけど、この発明品って……結構ヤバい?」
P「……面白い発明品だけど、使い方と、使う相手は考えた方がよさそうだ」
P「……」
P「とりあえず、下手に使うとなんかとてつもない波乱が巻き起こりそうだからここからはもう少し立ち回りを考えて……」
P「……」
P「……ううむ」
P「よし、閃いた! これで行こう!!」
P「えっと、こういうネタに乗ってきそうなのは……あ、居るな。
レッスンから帰ってくるのが二時間後、しかもちょうど他の子たちとは入れ換わりか……」
P「そうときまればまずは準備だな……えーっと、紙とペン紙とペン……」
―――
??「たっだいまー!」
??「ってアレ? 誰も居ない? おーい、プロデューサー、ちひろさーん?」
??「買い物かな? それとも普通に仕事?」
??「ちぇっ、折角急いで帰って来たのに、ちょっと損した気分ー」
??「……んん? なんだろこのマグカップ……見たことない柄……誰かの私物かな?」
??「あ、メモ書きが置いてある、なになに……」
【未央へ
これは晶葉の発明品で、頭に乗せると電話みたいに使えます。
熟れた肉体を持て余したガッチリ体格のいい男が貴女からのお電話、待ってます……(はぁと)】
未央「……ぷ、くく」
未央「あはははは、なにこのアヤシいメールみたいな文章! もしかしなくてもプロデューサーだなー!?
もう、ホント、ちゃんと仕事しないと駄目だよー!!」
未央「でも、電話みたいに使えるのかー……なんか面白そう♪」
ぽすっ
未央「ハロー、ハロー、プロデューサー聞こえますか? どーぞー!」
『感度良好! ばっちり聞こえてます! こちらプロデューサーでーす!!』
未央「ああ、どうもどうも! 本田未央でーすっ! えへへ、プロデューサー、ただいまっ!」
『おう、お帰りー。レッスンどうだった?』
未央「ばっちりだよー。もう完璧!ってカンジ!」
画像貼りぺろぺろ~☆
梅木 音葉(19)
http://i.imgur.com/1pwMeU8.jpg
http://i.imgur.com/dZVSY0A.jpg
本田 未央(15)
http://i.imgur.com/TNCwLQO.jpg
http://i.imgur.com/NMZ7DGp.jpg
音葉さんを書こうと妄想してると頭の中でのあさんがダブルピースしながら邪魔してくる
のあさんってすごい、改めてそう思った
あとところどころ誤字が目立つけどゆるして
約一カ月遅刻した
ついでに飯食ってきてから続き書くからもう少し待ってて
お ま た せ
いつも通りの遅筆で朝方書けるところまで
『今日のレッスンっていうと……』
未央「ふっふっふ、実はだねプロデューサー! 私、今日はマストレさんとの特別レッスンだったんだよ!」
『知ってるよ。俺が聞きたかったのはレッスンの内容。なにやってきたんだ?』
未央「それが、ずーっと表情作る練習! 鏡見ながら笑顔、笑顔、もっと朗らかに、もっと可愛らしく! ってさ。
ねえプロデューサー、私今普通の顔してるつもりなんだけどどうかな? 口元ひきつってない?」
『顔が見えないから分からないな』
未央「そこは見えなくても『可愛いよ』って言うとこだよ!」
『はいはい、可愛い可愛い』
未央「うん、よろしい! それにしてもこれすごいね、どうやって動いてるの?」
『それは俺も知らん。晶葉の新発明品なんだよ』
未央「へえー、科学の力って凄いんだね。でも、遠くで話すだけなら携帯だけでいいんじゃない?」
『携帯とは用途が違うからなぁ。実はそれ、口に出さなくても話ができるんだよ』
未央「えぇっ!? っていうと、つまり……テレパシー!! ほぉー、つまり、科学がついに超能力に追いついちゃったワケだ」
『使い方は簡単、頭の中で念じるだけだ』
未央「へぇ、どれどれー……」
未央(こんな感じかな? おーい、プロデューサー、やっほー!!)
『やっほー』
未央(おお、本当だ!)
未央(えっ、もしかしなくてもこれって超凄い発明なんじゃない!? ノーベル賞とか取れちゃうんじゃ……!)
『晶葉曰く、欠点があるから世には出せないらしい』
未央(えぇー!? もったいない……)
『といっても、本人は作ったことすら忘れてたけどな……ところで未央』
未央(……どうかした、プロデューサー?)
『レッスン先で何かあったのか?』
未央(何かって……あー、やっぱりまだ顔ひきつってる? あちゃー、もう少しほぐしてから帰ってくるべきだったか、失敗失敗~♪)
『……』
未央(……あれ、そういうことじゃなかった?)
『……これ持った時から、あんまりいい気分してなかっただろ。もしかしてレッスンで何かあったのかと思ったんだが』
未央(……)
『……』
未央(……そっか、これ持ってたら分かっちゃうんだっけ。何考えてるか)
『全部が全部伝わるわけじゃないんだ。考えてることは強く念じない限りはこっちに来ないけど……
『悲しい』や『楽しい』なんかの大雑把な心象はうっすらだけど伝わってくるからな』
未央(全部伝わったわけじゃないんだ。ならいいんだけど……でもプロデューサー、そういうのってあんまり良くないと思うんだけどー?)
『悪いな。ただお前と一緒に遊ぼうと思って置いてただけなんだが……なんか思いつめてたみたいだったからさ……』
未央(……心配かけちゃった?)
『ああ、心配した』
未央(まったく、プロデューサーは心配性だね……心配しなくても、少し……少し、弱気になってただけだよ)
未央(私さ、プロデューサー)
未央(今日、レッスンだったんだ)
未央(……今日もね、一人で、レッスンだったんだ)
『……』
未央(しぶりんはさ、今日はトライアドプリムスで収録だっけ? なんか、忙しくて寝る暇も無さそうで)
未央(しまむーは最近ずっと色んなところから引っ張りだこだよね。お正月以来、もっと言えば運動会以来、ずっとさ)
未央(でも、私は、レッスンなんだよ)
未央(私だって一回大きな舞台に立たせてもらったし、CDも出したけど、でも、レッスンなんだよなぁって)
『……』
未央(なんとなく、二人がどんどん遠くに行っちゃうみたいでさ)
未央(私も追いつきたいんだけど……でも、なんにも出来なくて。私はただ、鏡を見ながら、二人の背中を見ながら、笑って)
『……』
未央(……最初は、三人一緒だったのにね)
『……未央』
未央(……なーんて、らしくもなく弱気になっちゃってただけ! ホント、らしくないよね。
やっぱ鏡ずっと見るのって結構精神的にキツいものがあるのかも……でも心配いらないよ、明日にはちゃんと元通りの未央ちゃんになってるからっ!!)
ぱた ぱた ぱた ぱた
がちゃっ!
P「未央、ちょっといいか?」
未央「あれ、部屋の外に居たの? もっと近くに隠れてるもんだと思ったけど……
それで、どうかしたかねプロデューサーくん? 質問なら手短にお願いするよ!」
P「少し、ごめん」
未央「へ?」
ぎゅっ
未央「……やだなぁ。そんなにしてまで慰められるほどじゃないよ。ほっといても、すぐに……」
―――― 光り輝く舞台で、三人のアイドルが歌って、踊って、拍手を浴びる。
一人は渋谷凛、もう一人は島村卯月、どちらも私のユニット仲間で、ライバルで、大親友。
最後の一人を見ようと目線を移ろわせようとして、視界がぼやけた。
『良かった』 『本当に、よかった』
胸を突くような強い満足感と。胸を締め付けるような激しい感動と。
そして、体の中を、言葉に出来ないもやもやが上ってくるような感覚。
未央「……」
ぽろ
未央「……あ、あれ……」
ぽろ、ぽろ
未央「……あ、ご、ごめん……なんか……嘘、変だな、なんでだろ……」
P「ごめん」
未央「や、やだなぁ! プロデューサーが、謝ることじゃ……」
P「……さっきお前に見せたのはな、ニュージェネレーションの初ライブの時の、俺の思い出だ。
嬉しいやら、感動したやら、なんやらで舞台袖で泣いちまってな。あんまり人には見られたくない思い出なんだ」
未央「それを、私に見せたってこと? どうやって……」
P「優れモノだろ、このマグカップ」
未央「……あ、そっか。凄いね、これ……でも、他の人に見せたくないなら、なんで見せたの?」
P「思い出したかったんだ。俺と、未央で、あの時のことを」
P「今はレッスンばっかりかもしれないけど、未央は他人を感動させられるアイドルなんだ。
あの二人とも同じ舞台に立てるだけの力を持ったアイドルなんだ」
未央「……」
P「お前を弱気にさせたのは俺だ。お前にあの二人との距離を感じさせたのは、俺の腕が及ばなかったからだ。ごめん。
これからは、もっとお前の力を引き出せるように、仕事を取ってくる」
P「だから、未央も弱気にならないでくれ。いつか、きっとまた、二人に追いつけるから。
それまでは、辛いかもしれないけど、レッスンも、仕事も、頑張ってくれ」
未央「……」
未央「……追いつける、かな」
未央「……私、また、追いつけるかな……二人に、追いつけるのかな……?」 ぽろぽろ
P「大丈夫だ。俺が保証する。しかも、ただ追いつくなんて悠長なこと言わせないぞ。
今回のでエンジンがかかったからな。時速100kmくらいで追いつかせてやるよ」
未央「……そっか……そっか、そっか……! じゃあ、頑張んなきゃ、だねっ!」 ぽろぽろ
―――
未央「でもそっかぁ、プロデューサーが私の文のお仕事をじゃんじゃん取ってきてくれるのかぁー。
こりゃあ頑張んなきゃだねぇ! 頑張れ未央ちゃん! 目指せ、プロダクションの一番星!!」
P「……いや、未央一人を贔屓するってのは出来ないから、他のアイドルもアクセルべた踏みになるだろうな。
他のアイドルから苦情が来たら全部未央に回すからなー」
未央「私は別に、私だけ贔屓してくれてもいいんだよ? そっちの方が嬉しいし♪」
P「調子に乗るな」
ぺちっ
未央「えへへ、ごめんなさーい!」
P「……元気出たか?」
未央「バッチリ! ……えっと、ごめんね。泣いてる間ずっとそばに居て、仕事出来なかったでしょ?」
P「たかが十分。それでアイドルのメンタルケアが出来たなら安上がりだよ」
未央「そういう言い方好きじゃないなぁ。もっとさ、『未央の笑顔のためならいくらでも時間を割くよ』とかないの?」
P「そういう台詞、聞きたいか?」
未央「……うーん、別に」
P「だったらさっきのでいいな。よし、それじゃあお互い仕事に戻るか」
未央「よーし、アクセル全開だぁっ!! じゃあプロデューサー、私、もう一回レッスンスタジオ行ってくるね!」
P「今度はノイローゼにならないようにな」
未央「はーい、気を付けまーす!! じゃあねー♪」
たったったったった
がちゃっ ばたん……
――
―――
――――
P「と、まぁ、そういう経緯があって真面目に仕事をしててだな」
晶葉{……それで、経過報告を忘れていたと?}
P「俺は本職を全うしただけだ。責められるいわれはない!!」
晶葉{もとから責めるつもりはない……ただ、その……なんだ……}
P「ん?」
晶葉{……}
P「……」
晶葉{と、とにかく、仕事がひと段落したら一度うちに来て、経過報告をするように! あと、今日はもう他のアイドルに使うのも禁止だ、いいな?}
P「じゃあ、あと一時間くらいしたら行くから、待っててくれよ」
晶葉{一時間だな、分かった。遅れるんじゃないぞ}
P「ああ」
pi!
P「……」
P「珍しいな、晶葉の方から催促の電話が来るなんて」
P「でも、丁度いい。仕事を持っていくついでに顔を出してくるか」
――― 晶葉の部屋
晶葉「遅い!」
P「悪い、向かう途中で先方から電話があってな……というより、五分遅れたくらいでそこまで言わなくても」
晶葉「先約は私だ! まったく、電話にも出ないし、私がどれだけ心配したと思ってるんだ!」
P「心配してたのか?」
晶葉「……」
P「……」
晶葉「……してないと言えば、嘘になる。今回は、致命的な問題が懸念されている発明品だったからな」
P「そういえば、その問題点については?」
晶葉「……私の方ではまだ何も。昔の設計図や発明ファイルも探してみたけどどこにも載ってなくてな。
それで、君の方はなにか分かったかね? 使ってみての違和感や感想、なんでもいい」
P「ああ、そのことなんだけど……晶葉、ちょっと『いとでんわ』乗せてもらえるか?」
晶葉「助手のくせに私をモルモットにするつもりか?」
P「俺が散々モルモットになった後だ、危険がないのは保証する」
晶葉「……ふむ。君がそうまで言うなら仕方ない。信じてみるか」
晶葉「それで、どんな現象が起きるんだ?」
P「晶葉、ちょっと失礼」
ぺにょっ
晶葉「……なんのつもりだ」
P「よし、行くぞ晶葉!」
晶葉「ちょっと待て、私は何故私の頬に触っていると聞いてるんだ!!」
P「いいか、晶葉、俺の発見によれば、大切なのは『接触』だ。おそらく皮膚同士の接触が一番その時の状況を再現しやすい」
晶葉「本当だろうな?」
P「嘘だと思うなら心を読んでみるといい、その『いとでんわ』で」
晶葉「……君、頭でも打ったのか? 『いとでんわ』はマグカップ同士で情報のやり取りを行うものであってだな」
P(と、思うじゃん?)
晶葉「……なに?」
P(こうやってマグカップを持ってる人間の肌に触れると、その人間の電気情報もついでに受け取ってしまう。
それが俺の見つけたこの発明品の問題点だ)
晶葉「成程……それで、どういう状況でこれを発見したんだ?」
P(それは小春と会って試してた時に偶然気付いて)
晶葉「小春、というと古賀か。君、発明品のためとはいえあの子の肌に触れるようなことをしたのかね」
P「……」
晶葉「……君、先に釘を刺しておくが、自分は小児性愛者だなんて言いださないでくれよ」
P(やましい事はなにもやってないからセーフだ)
晶葉「本当か? 信じられないな」
P(とにかく、これを使えば『いとでんわ』の端末を持っていなくても記憶やイメージを受け取ることができる。例えば……)
晶葉「例えば、なんだね」
―――
『えーん、えーん、一時間で来るって言ったのに、五分たってもまだ助手が来ないよぉー!!』
『ぐすん、ぐすん、助手が来ないと話相手が居ないし、それにすっごく寂しいよぉ……』
がらがらっ
『ああっ! 部屋に積んでおいた捨てられない発明品の山が崩れたっ!』
『うわぁ、下敷きだぁ! 重いよー、怖いよー! 助手ー、プロデューサー、助けてー、助けてくれー!!』
―――
P(どうだ、しっかり伝わっただろう。この通りイメージもバッチリだ)
晶葉「なっ、あっ、かっ、ぷ、き、な!!」
かぁぁぁぁぁ……っ!
P「どうした晶葉、顔が真っ赤だぞ」
晶葉「き、君は、君は!! 私を、馬鹿にしてるのか!!!」
P「ほーら、油断大敵だー」
ぐにぐに ぐにぐに
晶葉「は、ひゃめっ!! ぷあっ、ひ、引っ張るな! この、ひょうひに、ほ、ほお、頬を引っ張るな!! 、調子に乗るな、助手のくせに!!」
―――
―――
晶葉「帰れ!!!」
P「だから、ちょっと魔が差しただけなんだって」
晶葉「この、馬鹿にして、助手のくせに!!」
P「痛たた、ごめんごめん」
晶葉「いいか、今後二度とあんな真似をするなよ!! 今度やったら、その時は、絶交だからな!!」
P「反省してまーす」
晶葉「……ったく、この……はぁ……」
P「……」
晶葉「……『いとでんわ』は片方置いていってくれ。一度分解して設計図を起こしたあと、混線が起きないよう改良ができないかどうか試してみる。
君は混線を利用して『いとでんわ』のさらに詳細なデータを集めてくれ」
P「ああ、分かった」
晶葉「分かっているとは思うが、くれぐれもさっきみたいに悪用するんじゃないぞ!!
もし悪用したと、他のアイドルから聞いたら、ちょ、ちょ、ちょんぎるからな!!」
P「気を付けまーす」
晶葉「それと、体調に良くない兆候が見えたら何よりもまず先に私に連絡を入れること。
いいか、少しでも、だ。気分が悪い、やめまいがする程度でも連絡を入れるように!」
P「心配しすぎだって」
晶葉「君は楽観視しすぎだ。もう少し気を引き締めて実験体になるように、いいな」
P「はいはい」
一日目終了
心の声を聞いてみたアイドル
Cu 古賀小春 池袋晶葉
Co 成宮由愛 梅木音葉
Pa 堀裕子 本田未央
――― 翌日
P「しかし、混線を使うってことは絶対に体に触れなきゃいけないわけだよな」
P「……」
P「もっと言えば肌に触れなきゃ……まぁ、普通に考えれば、手をつなぐとか、頭を撫でるとかだよな」
P「それができる相手って言えば、まぁ、限られてくるな……」
てと てと てと てと
P「今日来るメンバーで使えそうなのは……」
てと てと てと てと
ぽふんっ
P「ん?」
???「……んー、ぷわぁっ……ろうかのまんなかに、かべー……」
P「おお、こずえ、おはよう。俺にぶつかったんだよ。ほら、上、上」
こずえ「……ふわぁー……ぷろでゅーさー、おはようなのー」
P「……」
こずえ「……ぷろでゅーさー、かんがえごとー……?」
P「こずえ、手ぇ繋ぐか」
こずえ「おててつなぐのー? うん……いいよー」
きょうはここまでなのー
ちこくについてはもうしわけないとおもってるのー
でもあかちゃんうまれたりぱそこんこわれたりでしかたなかったのー
それプラスで別のSSの書き溜めに浮気してました!!
すみません許して下さい、なんでもしますから!!!
続きは明日か明後日
P「……」
こずえ「……」
P「……」
こずえ「……ふわぁ……」
P「なぁ、こずえ」
こずえ「……なぁにー?」
P「朝ご飯、何食べてきた?」
こずえ「……えっとぉー、あさごはんー……あさは……ごはんたべたのー」
P「そっか」
こずえ「……」
P「……」
こずえ「……」
P(おかしい、手を握ってしばらくするけどこずえの心の声が一向に聞こえてこない……
一つじゃ正常に作動しないのか、それともこずえがなにも考えてないだけか)
P(一応色々と試してみて、それでも効果がないみたいなら晶葉に連絡してみよう)
こずえ「……ぷろでゅーさー、おしごと、いくー?」
P「そうだな。じゃあ現場まで一緒に行こうか」
こずえ「……ふわぁ……いっしょー……」
――― 移動の車内
P「スタジオについたら、トレーナーさんの言うことちゃんと聞くんだぞー」
こずえ「……」
P「こずえ?」
こずえ「……ぷろでゅーさーはー?」
P「俺は仕事がいっぱいあるからなー。迎えには来るけど、レッスンの間はこずえ一人で頑張ってくれ」
こずえ「うん……がんばるー」
P「今日のレッスンはお昼までだから、終わったら一緒にご飯食べに行こうか」
こずえ「……」
―――
――― レッスンスタジオ
P「おはようございます、今日もよろしくお願いします」
こずえ「……ふわぁー……」
トレーナー「はい、プロデューサーさんもこずえちゃんもおはよ……プロデューサーさん、なんですか、頭のそれ」
P「斬新でしょう? これはかのぱるっぷ三世が考案したと言われるナウなヤングにバカウケなヘッドドレスで」
トレーナー「いや、マグカップですよね?」
P「……バレましたか」
トレーナー「バレるもなにも隠す気ないでしょう」
P「それじゃあこずえ、俺は帰るから、レッスン頑張ってな」
こずえ「……」
きゅっ
P「……こずえ?」
こずえ「……」
トレーナー「こずえちゃんはこれから、私と一緒にレッスンです。はい、袖は放して、ね」
こずえ「……」
P「どうした、何かあるのか?」
こずえ「……ぷろでゅーさー……それー……」
P「それ、って……『いとでんわ』がどうかしたか?」
こずえ「……かしてぇー」
P「……貸して、って……これ、頭に乗せるのか?」
こずえ「……ふわぁー……こずえも、のせるのー?」
P「うーん、どうだろうな。乗せないのか?」
トレーナー「プロデューサーさん、あんまり話してるとレッスンの時間が……」
P「そうですね……それじゃあ、これはこずえに貸しておくから。お昼には返してくれよ」
こずえ「うんー……かしてー」
ぽふっ
こずえ「……ふわぁ、こっぷー……へへー」
P「それじゃあ、トレーナーさん、よろしくお願いしますね」
トレーナー「はい、確かに」
P「……何か思うところがあったのかな?」
P「にしては、考えが全く伝わってこなかったけど……」
P「でも『いとでんわ』の中身に気付いたわけでもなさそうだし、問題はないだろう」
P「割ったりしなきゃいいが」
P「……」
P「さて、一回事務所に帰って書類整理して、仕事の予定組んで、アイドルの売り込み……
新人アイドルの発掘はちひろさんに任せて……」
―――
――― 昼
P「迎えに来たぞー」
とて とて とて とて ぽふんっ
P「……迎えに来たぞ、こずえ」
こずえ「……んー……んふー……ぷぁー、えへへー」
P「お疲れ様ー。頑張ったかー?」
こずえ「……ふわぁー……ずーっと、うごいてたのー」
P「……こずえ、どうでした?」
トレーナー「あんまり積極的じゃないのは少し難点ですけど、コツはすぐ掴んじゃうし、指示にも従ってくれますからね。
今日も弱音一つ吐かずにレッスンを受けてましたし」
P「そうですか、それは良かった」
トレーナー「……ただ」
P「ただ?」
トレーナー「今日はずっとプロデューサーさんの渡したマグカップを気にしてたみたいで。
休憩時間中もずっと手にとって見つめてて。そういうのって珍しいですよね、こずえちゃんにしては」
P「へえ……気に入ったのか、それ」
こずえ「えへへー……これ、すきー」
P「そうか」
こずえ「かわいいのー。すきー……へへー」
P「だったら同じの買ってやろうか」
こずえ「……ふわぁー……いらない……」
P「だったら、買い物じゃなくてご飯食べに行くか」
こずえ「うんー……いくー」
P「それじゃあトレーナーさん、俺たちはこれで……あ、もしよろしければトレーナーさんもお昼ご一緒しませんか?」
トレーナー「……えっと、私はこれから別の子のレッスンがあるので……」
P「そうですか。じゃあお先に失礼します。こずえ、行こうか」
こずえ「……ぷろでゅーさー」
P「んー?」
こずえ「……おてて、つなぐー?」
P「……だな、繋ぐか」
ぎゅっ
――― 移動の車内
P「今日は何食べるかなー」
こずえ「……」
ぽふっ
P「ん? 返してくれるのか?」
こずえ「……これ、ぷろでゅーさーのなのー……ねぇー?」
P「ただ、運転中は危ないから、触るのなしな」
こずえ「ふわぁ……ごめんなさい、なのー……」
P「いいよ。ほら、シートベルトつけて、ちゃんと座って」
こずえ「……うんー、すわるー」
―――
――― ファミレス
P(『いとでんわ』を返してもらったのは良いけど……)
こずえ「……」
P「せっかくテーブル席に座れたんだから、無理に横に座らなくてもいいんだぞ」
こずえ「……ふわぁー……でもぉー、よこじゃないと、おててー……」
P「こずえが放したいなら放していいぞ。今のままじゃご飯食べにくいだろうしな」
こずえ「……えぇー……んー……つなぐー……」
P「そうか。じゃあ手をつないだまま、注文決めようか」
こずえ「ごはんー、なにたべるー?」
P「何にするかなー」
P(やっぱり考えてることは伝わってこないな。あの時だけ調子が悪かったってわけじゃないらしい。
トレーナーさんが一緒だったら彼女でも試せたんだけど……忙しいならしょうがないよなぁ)
店員「お待たせいたしましたー、こちらお子様ランチでーす」
ことっ
P「ああ、どうも。ほら、こずえ、ご飯来たぞ」
こずえ「…………」
P「……こずえ?」
こずえ「……ぷろでゅーさー、たべるー?」
P「俺は自分の注文した奴が届いてから食べるよ」
こずえ「ふぅん……じゃあ、たべるー……」
P「……」
こずえ「……」
P「……」
こずえ「……ふわぁ……」
P「……食べないのか?」
こずえ「……ねー、ぷろでゅーさー……」
P「どうした」
こずえ「……こずえねー、おねがいがあるのー」
―――
ぽすんっ
こずえ「……えへー」
P(膝の上に座らせてくれ、か。こずえにしては分かりやすい要求だったなぁ)
『 』
P「ん?」
こずえ「……ぷろでゅーさー、あげるー……」
『 』
P(さっきから何か……)
こずえ「……んー……」
P「ああ、ありがとう」
『えへー』
P(……小さいし、短いけど……ちゃんと考えっぽいのが『いとでんわ』越しに伝わってきてる?)
こずえ「……こっちー、だめー……あかいのー……」
P「好き嫌いは駄目だぞ」
こずえ「ふわぁ……」
『ちぇー』
P「……」
こずえ「……じゃあこれぇー……こずえがたべるー」
P「うん、偉い偉い」
こずえ「……」
『 』
P(伝わってきてる……んだよな?)
P「なぁ、こずえ」
こずえ「ふわぁ……」
P「あーあー、口汚れてるぞ。ほら、拭くから少し我慢してくれな」
こずえ「んー……」
ごしごし
こずえ「……」
P「……」
こずえ「……ぷろでゅーさー、なにー?」
P「んー? こずえが何考えてるのか少し気になってな」
こずえ「……」
P「……」
『いっしょにごはん、たのしぃー……』
『……おひざのうえー、すきー』
『ぷろでゅーさーといるのー、すきー…………しあわせー……』
こずえ「……ぷろでゅーさーにはねー、ないしょなのー」
P「そっか」
こずえ「……でもー、あとでー……ごはんたべおわったらねー、おしえてあげるー」
P「ははは、こずえは優しいなぁ」
―――
――
―
P「えーっと、こずえは家まで送った……次は……しばらくは事務所で書類整理か」
P(にしても……どういうことだったんだろうなぁ……)
P(昨日晶葉と試したときは触っただけでなにごともなく意思の疎通ができてたのに……
今日改めてこずえで試してみるとまったく意思が伝わってこなかったし……)
P(でも膝の上に乗せると普通に聞こえてきたんだよなぁ……
『膝の上』が特別良かったのか、それとも別の何かが関係してるのか……)
がちゃっ!
???「おっつおっつー☆ きらりん☆かんばーっく!!!」
P「おっ」
???「あ、Pちゃんだー!! えへへー、Pちゃーん、きらり、今日もいーーっぱーいお仕事頑張っちゃったー☆
ホメちゃう? わっしわっしホメちゃうー? きゃー!」
P(なんともまぁ、いいタイミングで……この手の機械と相性がよさそうなアイドルが帰って来てくれるとは)
???「あれー? Pちゃん、今日はお喋り少ない……だいじょぶ? お腹痛い?」
P「……実はな、きらり……俺、物凄いマジックを考えてたんだ」
きらり「マジックー!? きゃー! Pちゃんはやっぱり魔法使いさんだったんだにい!!!
実はねー、きらり、ずっと前からそうじゃないかなーって思ってたのー☆ うぇへへ、やっぱりー、せいかーい☆」
P「あれ、バレてたのか……それなら話は早い。きらり、マジックの実験台になってくれないか?」
きらり「がってんしょーちのきらりらりんっ☆ きらりにぃーっ……おまかせっ☆彡」
P「それじゃあやってみるか」
きらり「あいあーい!! ね、ね、Pちゃん、どんなマジックすりゅー?」
P「今日は、そうだなぁ……きらりの考えてることを当ててみようかな」
きらり「おぉーっ……!! 本格的ー……!!」
P「まずは、この伝説のマグカップを頭に乗せます!」
きらり「うっぴょー! そのまぐかっぷ……かわうぃー☆
ね、ね、Pちゃん、マジック終わったらそれ、きらりにちょーだい!!」
P「まぁまぁ、待て待て。まずはマジックだ」
きらり「あ、そっか……えへへ、ごめんねPちゃん、きらりんちょっとわっくわっくどっきどっきしちゃって! むぇへへへへ!!!」
P「えー……では、次に、俺がきらりと手を繋ぎます」
きらり「はーい!! Pちゃん、右と左どっちがいい?」
P「じゃあ右で」
きらり「うぃー!」
P「はい」
ぎゅっ
『分かっちゃうのかなー? どうかなー? 分かっちゃったら凄いなぁ!!』
P「それが、分かっちゃうんだよ。凄いだろ」
きらり「わ、わーっ! わーーーっ!!! ホントに!? ホントに分かっちゃった!?
きらりの考えてる事、分かっちゃうなんて、Pちゃん、今日は本物の魔法使いちゃんみたい!!!」
P(きらりだと手を繋いだだけでも通じる、か……やっぱりこずえが少し特殊だっただけか?
さて……きらり相手ならだいぶやりやすいだろうし、色々試してみるかな)
きらり「ね、ね、Pちゃん! 他には、他にはどんなことができるのー?」
P「そうだな……触る場所は手じゃなくても大丈夫だし、読みとれるのは言葉だけじゃない、かな」
きらり「……んーとー……説明おにゃしゃしゃー!!」
P「……例えば、きらりの昔の思い出の光景とか、知られたくない秘密なんかもわかっちゃうんだな、これが」
きらり「ふみゅふみゅ……じゃあね、じゃあねぇー……Pちゃん、お手手かして!」
P「はい」
ぐっ
ぺとっ
きらり「じゃあPちゃんはこうやって、きらりのおでこ触っててね!」
P「おう」
きらり「……んーっと……むむむむむ……にょわーーーっ!!!」
――― ゆっくりと、しかし迅速に、誰にもばれないように戸を開ける
中を物色するまでもない。『そこ』に『それ』があるのは周知の事実だったのだから
悪い事をしているという意識はある。しかし、背に腹は代えられない
伸ばした手で『それ』をひっ掴み、戸を閉め、事務所の奥で待つ彼女の元へ運ぶ
……ちなみに、今回はイメージ映像だけじゃなく、きらりによる補足説明が付いていた
『なんと……この前ちひろちゃんが買い置きしてたお子様プリンが無くなったの……実はあれはきらりんの仕業だったのです……!!
きゃー、言っちゃった、言っちゃったー☆☆ きゃー!!』
P「……あとできちんとちひろさんに謝っときなさい。というより、食べるなとは言わないから、今度からは一言断ってから食べるように」
『あの時はね、しょうがなかったんだゅ……杏ちゃんがどうしてもおこたでぬくぬくプリン食べたいっていうからね、きらりと二人で半分こして食べたの……
でもでも、かわりにその時持ってたきらりん☆お手製☆しかせんべー置いといたから、おーる☆おっけぇ!! 問題なっしーん☆ ……だよね?』
P「鹿せんべいは食べ物じゃないからだーめ。ちゃんと謝っときなさい」
きらり「はーい……むぇー、おいすぃーのにぃー……」
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