こずえ「ばとるふぁいとー……だよぉー……」 (122)
P「俺の担当は2人ともいい子だ」
P「元気いっぱいなみりあ、子供ながらにちょっぴり大人びた千枝」
P「……でもあと一歩、何かが足りないんだよなぁ……はぁ……」
P「あとひとり。こう……ふわっとした感じの子がいたら俺のイメージが完璧になるんだけどなぁ」
P「どこかに落ちてないかなー、なんて……」
こずえ「ふわぁ……」グテー…
P「落ちてた!」
遊佐こずえ(11)
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P「っていってる場合じゃない! き、君。大丈夫!?」
こずえ「……ふわぁ……あなた、だぁれぇー?」
P「い、いや。俺はそこの事務所のアイドルプロデューサーだけど」
こずえ「ぷろでゅーさー? ……ひゅーまん、なのぉー……?」
P「ひゅ、ひゅーまん? 確かに人間だけどいやそうじゃなくってだな」
こずえ「ちがうのぉー……そっかー……」
P「とにかく! 君、家は? どこから来たんだ? 家族の人とかは」
こずえ「どこからー……? わかんない……かもぉー……」
P「じゃ、じゃあせめて名前とか。警察まで一緒にいこう、ね?」
こずえ「……いいよぉー……? おてて……つないでぇー……」
P「うん? あぁ、わかった……」
こずえ「ふわぁ……」
P(……あれ? 俺、これはたから見たら誘拐現在進行形?)
P(いやいや、まったくやましい気持ちはないし。確かにこんな子が俺の担当になってくれたらなぁとは思ったけど)チラッ
こずえ「……さむいのぉー……やー……」
P「あ……うん。じゃあ丈は余っちゃうけど俺のコート羽織っててくれ」
こずえ「わぁー……ありがとー……」
P「いいって……それで、えぇっと……お名前は?」
こずえ「なまえー……?」
P「うん、名前。なんていうの?」
こずえ「…………」
P「……?」
こずえ「……きぃ……のー……」
P「き……?」
こずえ「…………ううん、ちがうよぉー……こずえー………」
P「きのこずえ、ちゃん?」
こずえ「……きのは、ちがうのぉー……こずえはー……こずえだよぉー……」
P「……こずえ、ちゃん。そっか、こずえちゃんね」
――――
――
P(さて。無事警察署についた。迷子として引き取ってもらって……)
P(……親御さんが見つかったらこの子をアイドルにする気がないか聞いてみたいなぁ)
P(不思議な子だけど、なにか惹かれるものがある……もしうちのユニットに来てくれたら……)
こずえ「ふわぁ……ここー……?」
P「うん。こずえちゃんのお母さんやお父さんを探すんだ」
こずえ「……おかーさん……おとーさんー……?」
P「うん。それでもし見つかったら連絡欲しいな、これ名刺」
こずえ「めーしー……うん、わかったぁー……」
― 翌日 ―
P(こずえちゃんの親御さんが見つかったら全力で説得しよう)
P(そうしたら、きっと欠けたピースが埋まる! うちのユニットにさらに力がつく!)
P(……早めに見つかるといいな。いろんな意味で)
P「とか思ってたんだけど」
こずえ「ふわぁ……ぷろでゅーさー……だぁー……」
P「なんで事務所にこずえちゃんがいるんですか?」
ちひろ「いえ、プロデューサーさんに名刺をいただいたとかで……」
P「親は!?」
ちひろ「それが捜索願いが出ていない……どころか、ですね」
P「?」
ちひろ「……あの子、『戸籍がない』んですよ」
P「……はぁ!?」
P「どういうことですか、それ。だって……」
ちひろ「どこから来たかもわからない。家族の名前も知らない。まったくもってわけがわかりませんよね」
P「……不法入国とか生まれてたのを隠してたとか、そういう話ですか?」
ちひろ「さぁ……でもこずえちゃん、見たところ10歳近くってところでしょう? そんな年月、小さく無い子を隠していられるほど日本の警察って無能じゃありませんし」
P「じゃあなんだっていうんですか」
ちひろ「わかりませんよ、そんなの……名前は言えるんですよ。ねぇこずえちゃん?」
こずえ「うんー……こずえなのぉー……」
P「……頭痛くなってきた」
こずえ「いたいー……? いたいのー……とんでけぇー……」ナデナデ
P(かわいい)
P「……まぁ、とにかく。こずえちゃんの家族がわからないっていうのはよーくわかりました。それじゃあなんでここに来てるんですか?」
ちひろ「事情を聞きたいとかで……まったくもう、肝が冷えましたよ」
P「何かやましいことでもあるんですか?」
ちひろ「………」ニコッ
P「……」
ちひろ「さて、そういうわけであっちでお話してきてください。こずえちゃんはそのためについてきたんです」
P「えっ」
警察「はーい」
こずえ「はぁーい……」
P「……俺、疑われてます?」
ちひろ「だってプロデューサーさん、理想の女の子拾ったとか昨日は言ってましたし」
P「どういう曲解したんですかアナタ!? ちょっ、ま……」
警察「大丈夫大丈夫、痛くしないからねー」
こずえ「いたくないー……よぉー……」
――――
――
P(アレコレ聞かれ続けて疲れた……)
P「はぁ……」
こずえ「だいじょーぶぅー……?」
P「あぁ、うん。こずえちゃんがなんだかんだで庇ってくれてたしね……」
こずえ「そっかぁー……よかったぁー……」
P「だけどまたふりだし、か。大丈夫?」
こずえ「へーきぃー………かもぉー……」
P「……」ナデナデ…
こずえ「んぅー……?」
P(こんなに小さいのに、何があったかもわからないなんて……心配、だな。ユニットとか置いといて)
こずえ「……ぷろでゅーさぁー……こずえー、かえるねぇー……」
P「あぁ、またね。こずえちゃん」
こずえ「……ばいばーい……」
ガチャッ パタンッ
P「……ちひろさん。もしも、もしもですよ」
ちひろ「はい?」
P「こずえちゃんの家族が見つからないままだったらどうなるんですか?」
ちひろ「それはまぁ……施設行き、ですかねぇ。いろいろとあるでしょうけれど、あの年から、昔のこともわからずっていうのは……」
P「……そう、ですか」
ちひろ「苦労するかもしれませんねぇ」
P「…………」
ちひろ「……」
P「あの、笑わないで聞いてくれますか?」
ちひろ「男性が1人。特定の付き合いのある女性も無し。養子にはできませんよ」
P「えっ」
ちひろ「あら、間違ってました?」
P「……いえ、確かに考えましたけど」
ちひろ「考え無しですねぇ。女の子ですよ? 今日だけじゃない、昼だけじゃない、ずっと先まで見る覚悟があるんですか?」
P「それは……その……」
ちひろ「やれやれ、これだからプロデューサーさんは……世話が焼けるんですから」
P「……?」
ちひろ「事務所預かり、って形にしましょう。アイドルとしての金の卵なんでしょう? 人を見る目は確かって思ってますから」
P「そ、そんなことできるんですか!?」
ちひろ「私は千川ちひろですよ? できないことなんて、あんまりないんです♪」
P「すげぇやちっひ!」
ちひろ「もちろん、それに見合った報酬はいただきますけれどね。世の中ギブアンドテイクですよ」
P「あ、あはは……」
ちひろ「……しっかり、見てあげてくださいね」
P「というわけで」
こずえ「ふわぁ……こずえだよぉー……」
千枝「わわっ……さ、佐々木千枝だよ。よ、よろしくねっ?」
みりあ「わー、こずえちゃんの髪ふわふわだーっ! あ、えっと。赤城みりあ! よろしくっ♪」
こずえ「ちえー……みりあー……よろしくぅー……」
千枝「えーっと……」
こずえ「………んぅ……」
千枝「……えーっと、趣味とか、ある……かな?」
こずえ「しゅみぃー……?」
千枝「うん。千枝はね……」
こずえ「しゅみってぇー……なぁにぃー……?」
千枝「」
みりあ「あははー! こずえちゃんおもしろーい!」
P(さっそく打ち解けてるみたいで何よりだ。うん)
佐々木千枝(11)
ttp://i.imgur.com/OGSn9tM.jpg
ttp://i.imgur.com/5yDBYAw.jpg
こずえ「ちえー……」
千枝「は、はいっ!」
こずえ「……これ……なぁにー……?」
P「ん……ピアニカか? 懐かしいなぁ」
千枝「千枝、この前のお仕事で指揮をしたから、今度はいっしょに吹けたらなーって……思って」
P「そっか。えらいなぁ」
千枝「え、えへへ……そうですか……?」
こずえ「ぴあにかぁー……」
千枝「うん。こうやって……」カプッ
こずえ「……じぃー……」
千枝「ふぅーっ……!」
~~♪ ~♪ ~~~♪
こずえ「………ぉー……」
千枝「息を吹くと、音が鳴るんだよ。それでこっちで音程が……えーっと、ここがドで……」
こずえ「……どー……れー……みー……」
千枝「うんっ。やってみる……?」
こずえ「やるぅー………」
P(千枝、けっこうお姉さんしてるなぁ……なんだか微笑ましい光景だ……)
こずえ「かぷぅー……」
千枝「うん。それで音程を合わせて……」
こずえ「すぅー……ぷー………」
デデレデレレデレレレデレレン…
千枝「!?」
P「なんでギターの音してるのなにこれこわい」
赤城みりあ(11)
ttp://i.imgur.com/gB98Rky.jpg
ttp://i.imgur.com/yovaMJa.jpg
みりあ「がおーっ!」
こずえ「ふわぁ……みりあー……?」
みりあ「あっ、こずえちゃん! 見てみてっ、悪魔っ子みりあだぞーっ♪」
こずえ「あくまぁー……?」
みりあ「そう! だから今のみりあは悪い子なの! イタズラしちゃうぞー、にひひっ♪」
こずえ「わるいこー……いたずらぁー……」
みりあ「えへへ、まずはー……なでなでの刑だー! わしゃわしゃー!」
こずえ「わぷー……えへぇー……」
みりあ「やっぱりこずえちゃんの髪、ふっかふかー! すごいねー」
こずえ「すごいのー……」
みりあ「うん、すごいよっ! 悪魔も負けちゃいそう!」
こずえ「……あくまぁー………じょーかぁー……?」
みりあ「じょーかー? トランプのお話?」
こずえ「………ちがうよぉー………みりあはー……じょーかーじゃないよぉー……」
みりあ「そっか、よくわかんないけど私まだまだ修行不足ってことだね!」
こずえ「しゅぎょーって……なぁにぃー……?」
みりあ「修行って言うのはー……うーん……」
P「あれ? みりあにこずえ、何やってるんだ?」
みりあ「……そうだっ! プロデューサーに、抱っこの修行っ!」
P「えっ」
みりあ「えへへー、なでなでしないと放れないぞー! ぎゅーっ!」
こずえ「だっこのしゅぎょぉー……なのぉー……?」
P「いやいや、みりあ。こずえに変なこと教えるのはやめなさい」
こずえ「………ぎゅぅー………?」
P「」キュンッ
みりあ「あ、ずるーい! 私も私もー!」
P「あぁもう、わかった! 相手するから! このあと打ち合わせだからちょっとだけだぞ!?」
みりあ「わーいっ!」
こずえ「わぁーい………」
ふわぁ……ねるのぉー……
嶋さんは優しいけど、自分の眷族が虐げられる世界に生きろってのも残酷だと思うがな
これ、この前のSSの予告にあったやつ?
そうならカブトのも読みたいんだけど
ちひろ「こずえちゃーん、ちょっとお手伝いをお願いできますか?」
こずえ「いいよー……」
ちひろ「うふふ、ありがとうございます♪ それじゃあこれをプロデューサーさんに持って行ってね」
こずえ「わかったぁー………」
とて とて とて とて ポフッ
こずえ「ぷろでゅーさぁー……」
P「ん、どうしたこずえ?」
こずえ「ちひろからー……なのぉー………」
P「ちひろさんから? まったくいったい何が……」ピラッ
[おつかいのご褒美をあげてください]
P「おつかいって、そこまで子供じゃないんだから……」
こずえ「……ごほうびー……?」
P「……」
こずえ「くれるのぉー……?」
P「……あぁもう、わかった! 何が欲しい!」
こずえ「んぅー……?」
P(まぁ、いってもお菓子とかだろうし……)
こずえ「きゅーりょーのぉー……さんかげつぶんー……?」ピラッ
P「」
P「ちひろさーん」
ちひろ「えへへっ、キュンと来ました?」
P「なに持たせてるんですかあなたは」
ちひろ「いやぁ、ついつい……でも癒されて元気が出たでしょう?」
P「それはまぁ……」
ちひろ「じゃあそれついでに、きちんとしたご褒美もあげましょうか!」
P「きちんとしたって……まさか!」
ちひろ「はいっ、衣装が届きました!」
P「おぉー……!」
みりあ「わぁー……! こずえちゃん、かわいーっ!」
こずえ「こずえー……かわいーのー……?」
千枝「うんっ……すごく、綺麗で可愛い……」
P「千枝たちも初めて衣裳着た時はいろいろあったなぁ……」
みりあ「大変だったよねー」
千枝「き、着物って綺麗で可愛いけど脱げちゃうと着れないし……」
みりあ「千枝ちゃんがセクシーになっちゃって大事件! ってね、あははー☆」
こずえ「……ぷろでゅーさぁー………ちえー……ぬがすのぉー……?」
P「待てこずえ、その要約は違う。外で言っちゃダメ。オッケー?」
こずえ「ぬがすのぉー……ないしょー……わかったぁー…………」
P「ん”ん”ん”ん”!!!」
ちひろ「あらあらー」
P「はぁ……まあ、とにかく。今度はこずえがメインだ! 千枝、みりあ。サポートしてあげてくれ」
みりあ「まっかせて! えへへ、私がんばるから!」
千枝「千枝も……お姉さんとして、がんばりますっ」
こずえ「おねーさん……なのぉー……」
千枝「え、きゃっ……こずえちゃん……?」
こずえ「ちえー………いいにおいー……」
みりあ「あー、千枝ちゃんずるーい! 私もっ!」
千枝「み、みりあちゃっ……きゃっ!」
P「……」
ちひろ「……」●REC
P「……後でください」
ちひろ「3kで結構ですよ」
P「格安ですね」
ちひろ「一度に絞ると続きませんからね」
――――
――
P(――何はともあれ、ついに決まったライブ。こずえの猛レッスンが始まるのだ!)
P(……って思ってたんだけどなぁ)
こずえ「こぉー……?」
トレーナー「……じゃあ、最初に教えたパターンと組み合わせてですね」
こずえ「とーん……たたーん………やぁー……」タンタンスタターン
トレーナー「声とタイミングが合ってない以外完璧ですよ……本当……」
P「えーっと……その……」
トレーナー「私の教えられるステップは全部一発で。音程も正確……組み合わせにアレンジまでこなされて」
トレーナー「なにすればいいっていうんですかぁ! ドリンクですか!? 姉のドリンクを持ってくればいいんですか!」
P「落ち着いてくださいトレーナーさん!」
こずえ「わぁー……なかよしぃー……?」
P「うん、こずえはすごいなぁって話だから……大丈夫……」
トレーナー「いや、本当。私に教えられるレベルじゃないです」
こずえ「すごいのぉー……?」
トレーナー「すごいですよ。……少々取り乱すレベルで」
こずえ「そっかぁー………えへへぇー……」
トレーナー「……私が業務忘れて甘やかしてたら、ひっぱたいて目を覚まさせてください。いろいろ負けそうです」
P「大丈夫です。大抵の大人は負けました」
こずえ「……ふわぁ…」
トレーナー「……じゃあ甘やかしても……」
こずえ「……だめぇー………ちえとー……みりあとー……いっしょなのー……」
トレーナー「」キュンッ
P(堕ちたな)
ガチャッ
千枝「おはようございますっ! いっしょにレッスン……」
こずえ「ふわぁ……」
トレーナー「よーしよーし」ナデナデ
P「でへへへ」
千枝「…………」
パタンッ
千枝「……あ、みりあちゃん。おはよう」
みりあ「おはよー! 千枝ちゃんどうしたの?」
千枝「ううん。なんでもないよ……いっしょに宿題、やらない……?」
みりあ「いいよっ! じゃあ国語教えてね?」
千枝「うんっ」
――――
――
P(最近千枝の視線が冷たい)
P「まぁ、それはいい……よくないけど。明日はこずえのライブか」
こずえ「……らいぶぅー………」
P「うん。ライブだ……そうしたら、ひょっとしたら……」
こずえ「……ぷろでゅーさぁー……?」
P「……なんでもない。心配はしてない……こずえはすごいけど、みりあや千枝みたいなアイドルって振る舞いはまだまだだしな」
こずえ「……あいどるぅー……するのぉー……?」
P「うん。千枝やみりあのDVD見せてあげただろ?」
こずえ「……きれーだったのー………こずえも……なれるぅー……?」
P「なれるさ。頑張ろうな」
こずえ「わかったぁー………」
P(……ひょっとしたら、こずえの両親も見つかるかもしれないってのは甘いのかなぁ)
P(事務所にいる時は笑ってくれてるし、俺かちひろさん、社長が面倒を見てくれてる)
P(それでも……1人じゃ寂しいだろうし……どうか……)
こずえ「……ぷろでゅーさー……?」
P「ん、いや。なんでもない……さ、今日は早く寝るんだぞ」
こずえ「うんぅー………」
P(……とにかく、ライブだ。みりあも、千枝も楽しみにしてる)
P(こずえだって、本当に人前に立つ楽しさはまだ味わってない)
P(ちゃんと……ちゃん、と……)
P「Zzz……」
こずえ「………ふわぁ」
こずえ「あいどるぅー……たのしぃかなぁー………」
こずえ「そうしたらぁー……こずえもぉー…………」
― 翌日 ―
\ワアァァァァァァァァ…/
こずえ「ひゅーまん……いっぱいー………?」
みりあ「ファンの人たちだよー! えへへ、ドキドキしてきちゃった……」
千枝「……うんっ。大丈夫! 千枝がついてるよ!」
P「千枝……頼りがいのある子になって……」
千枝「だって、千枝も初めての時は……すっごく緊張してて……だから、今度はちゃんと見てあげなきゃって!」
こずえ「ちえー……ありがとぉー……」
千枝「ううん。ぜったい、成功させようね!」
みりあ「もー、いいところは千枝ちゃんが持ってちゃうんだもん! 私だって頑張るんだからっ!」
P「おお、頼もしい限りだ。終わったらいっしょに飯でも食いにいくかー! なんでも好きなもん奢るぞ!」
みりあ「ホント!? わーいっ!」
こずえ「いっしょー…ごはんー……えへぇー………」
ちひろ「ほら、みなさんっ! ファンの方々もお待ちかねですよっ!」
P「おっと……いってこい!」
みりあ「みんなーっ! 元気ー!?」
\ワアァァァァァァァァ!!/
千枝「実は、千枝たちのユニットに新しいお友達が来たって……知ってますか?」
\ワアァァァァァァァァ!!/
みりあ「えへへっ、こずえちゃんって言うんだけどすっごく可愛いんだよ! 私も……」
千枝「みりあちゃんっ、こずえちゃんの紹介はこずえちゃんが出てからってお話……」
みりあ「あっ……えへっ、失敗しちゃった! ごめんね?」
こずえ「いいよぉー……」
千枝「こずえちゃんも、そんな普通に……」
こずえ「……ふわぁ」
千枝「こ、こずえちゃん!? ま、まだ呼んでないのにっ……あうぅ……ちゃ、ちゃんとできるように練習したのに……」
\カワイイー!/
みりあ「まぁまぁ。こずえちゃん、いっしょに歌おっ? 千枝ちゃんも!」
千枝「……うん。わかった……それじゃあ――」
こずえ「ろまんちっくーなぅー……」
みりあ「R!」
千枝「オー!」
こずえ「えむー」
みりあ「A!」
千枝「ティー!」
こずえ「あいー」
みりあ「C!」バッ
\アール! オー! エム! エー! エーティーアイシー! ナウッ!/
みりあ「Yo、服選び 今日はゆるふわ?」
千枝「もしくはピリ辛クールな――」
P(テ、テンポが……いや。これはこれで味があるか………ん?)
カーンッ カラカラカラ…
千枝「……えっ?」
こずえ「…………きて……るぅ……?」
みりあ「え、こずえちゃん? どうし――た、の……」
こずえ「……きゃめるぅー……? やっぱり、いたのぉー………」
ザワザワ……
ザワ…
P「……は? なんだあれ? かい、ぶつ……?」
アンデッド「ォZアテKuティM……パラドキサ……!」
P「ちょ、ちょっと待て! こんな演出、聞いてないぞ!? ちひろさん!」
ちひろ「わ、私も聞いてませんよ!? というか今回のライブコンセプトに合ってないし不審者……? いやいや警備員は何やってるんですか!」
P「そんな……千枝! みりあ! 戻って来い!」
アンデッド「アKaTエrゥサw……? バトルファイト……!」
こずえ「やっぱりぃー……するのぉ……?」
千枝「……? 通信、戻って来いって……プロデューサーさん、どういう……」
アンデッド「……ァWウsTイオKadンナN?」ブンッ
千枝「え、ぁっ――」
みりあ「ち、千枝ちゃんあぶなっ――」
――ガッ!
こずえ「……ふわぁ…………」ガシッ…
アンデッド「……!!」
こずえ「……ェムZァリsオドォNィM……だよぉー……」
アンデッド「―――」バッ
こずえ「…………やるきー……なのぉー……?」
アンデッド「……ゥオアaTAm」
こずえ「そうー……ばいばぁーい………」
バッ ピョンッ
ピョンッ
こずえ「………いっちゃったー」
千枝「あ、ぇ……」
こずえ「……だいじょーぶぅー………?」ニコッ
― 楽屋 ―
P「……」
こずえ「……らいぶぅー……しないのー……?」
千枝「ひっ……」ビクッ
みりあ「あ……う、うん。中止、だって」
こずえ「ちゅーしー……そっかぁー………」
P(……わけが分からない。化け物がライブに乗り込んできたと思ったらこずえと会話して逃げて行った)
P(しかも、その時によくわからない言葉を話してたっていうし……千枝、完全に怖がっちゃってるな……)
P「はぁ……いったい、どうしたら……」
ドタッ
ガタンッ!
??「ここか!」
P「!?」ビクッ
??「……ん? 間違えたのか?」
P「ど、どちら様ですか? 関係者以外の方はお断りしているのですが……」
??「あぁ、すまない。こちらで反応があったと聞いたんだが……間違いだったか……」
P「反応……?」
??「なに、少し……と、そういえば名乗ってなかったな。俺は橘という」
P「はぁ、橘さん……それで、なんですか? 話なら伺いますからこちらへ――」
橘「ああ。化け物……怪人だな。それがこちらに出なかったか? こんなに人の多いところへ現れるとは考え難いんだが――」
P「……ばけ、もの……?」ピクッ
橘「心当たりがあるのか! 教えてくれ!」
千枝「ぁ………」
P「その……なぜそのことを?」
橘「俺はその化け物と戦っている組織の人間だ。反応がこのあたりで一瞬だけあり、駆けつけた」
P「………そう、ですか」
橘「何も君たちを危険にさらしたいわけじゃない。ただ、どちらへ向かったかを教えてほしいんだが……」
P「……ライブに、突然現れた。そのせいで中止になって途方に暮れていたんです。どこへいったかなんてわかりませんよ」
橘「そうか……すまない、お騒がせした。では俺はこれで……」
ガチャッ!
警備員「あんた何やってんだ! 来い!」
橘「ま、待て! 俺は――」
警備員「いいからほら! あぁもう、化け物といいなんなんだ今日は!!」
橘「やめろ! 放せ! くそっ、俺の身元ならここへかければわかる!」
警備員「はいはい後で聞くから」
P「……ハァ。なんなんだ……いったい……」
こずえ「………たたかうー……にんげんー………?」
P「……こずえ」
こずえ「なぁーにぃー……?」
P「お前、どうして……あいつと、しゃべれたんだ……?」
こずえ「……? どーしてぇー……?」
P「それだけじゃない、化け物のパンチを受け止めて……傷一つない。何か、秘密があるんじゃないか……?」
こずえ「……ひみつぅー………ある…かもぉー……」
P「……それ、って」
みりあ「……っ、わかった! こずえちゃんすっごく頭いいからちょっとしゃべっただけでわかっちゃうんだよ!」
P「みりあ?」
みりあ「そう、だよね。こずえちゃん! だって、だって……さっきの、なんて……」
こずえ「………ふわぁ……みりあ……どうしたのぉー……?」
千枝「……ぅ」ビクッ
みりあ「だって……だって。すごかったけど、でも……」
こずえ「……こわいー……?」
みりあ「…………」
こずえ「…そっかー………」
みりあ「……私、わたしっ! そんなことっ!」
千枝「ご、ごめんなさいっ……千枝、かえりますっ!」
P「え? ちょっと待て、千枝!」
みりあ「え、あっ……待って、千枝ちゃん!」
ガチャッ
バンッ
こずえ「……こずえー………こわいんだぁー………」
こずえ「ふわぁ……」
千枝(どう、しよう……千枝、お姉ちゃんしてあげるって決めたのにっ)
千枝(助けてくれたのに……あの、笑った顔が、忘れられない……怖い……)
千枝「グスッ……ごめんなさい……」
千枝(プロデューサーさんも、みりあちゃんも……探してる、かな。でも・……なんて言ったらいいの……?)
千枝「わかんない……わかん、ないよぅ……」
千枝「千枝……悪い子です……プロ、デューサーさん……みりあちゃん……」
千枝「……………こずえ、ちゃん」
千枝「……やっぱり、もどら、なきゃ……」
ジャリッ…
千枝「………ぁ……」
アンデッド「………」ニィ…
アンデッド「……」スッ
千枝「ぁ、ゃ……あ………!」
アンデッド「ァkウレAクstアWェチhソtAセ……」
千枝(だ、だめ……あし、動かない……)
千枝(千枝……悪い子だから、バチがあたったの……?)
千枝(ごめん、なさい……ごめんなさいっ、みんな……)
ブンッ
ザシュッ
千枝「……!」
千枝「…………」
千枝「………あ、れ……?」
アンデッド「――!?」
ポタッ
ポタッ…
こずえ「……ふわぁ……みつけたぁー……のー……」
千枝「こ、こずえ、ちゃ……」
こずえ「……ちえー………」
千枝「こ、こずえちゃん……ケガ、血……? みど、り……」
こずえ「……へーきぃ………だよー……?」
千枝「でも、こんな………の……」
こずえ「………えーっとぉー……………」
アンデッド「……ェニHs!」
ブンッ
ザクッ
こずえ「……じゃまぁー……」
アンデッド「……!」
こずえ「もう……ひとーつ……」
ブン
ザクッ
アンデッド「――! ッ!」
こずえ「ふわぁ……あとはぁー…………ものりすのおしごとー……だよぉー……」
千枝(こずえ、ちゃんが……手を振ったら、か、怪物からあんなに血が……)
こずえ「………ちえー……?」
千枝「ぃっ……ぁ、う、うん…………」
こずえ「……こわい……のー……?」
千枝「そ、そんな、ことっ……そん、な……」
こずえ「……そっかぁー………あのねー………」
千枝(あ……謝ら、なきゃ! たすけて、くれたんだから、ごめんねって――)
こずえ「……ごめん…なさい………なのぉー……」
千枝「……え?」
こずえ「……ちえー……こわかった……からー……」
千枝「な、なんでこずえちゃんが謝るの? 悪いのは、千枝なのに……」
こずえ「でもぉー………こずえのせいだから……たぶんー……」
千枝「こずえちゃんの、せい……? それって、どういう……?」
こずえ「ばとるふぁいとー……だよぉー……」
千枝「ばとる……ふぁいと……?」
こずえ「そーなのー………さいごのひとりになるとぉー……おねがいがー……?」
こずえ「……あれぇー……ものりす…はぁー………?」
クルッ
ドスッ
こずえ「………?」
アンデッド「アナTihSンァdウy……パラドキサ……!」
こずえ「……なおったー……のー……?」フラッ…
バタッ
千枝「あ……え……?」
千枝(な、なんで……怪物、こずえちゃんが、やっつけたのに……)
千枝(こ、こずえちゃん、が………ぁ……)
アンデッド「……ガァ! アアァ!」
ドガッ! ゲシッ
ドスッ!
千枝「や、やめて……やめ、てぇ! こずえちゃん……だ、だれか……」
こずえ「………」
アンデッド「アDェモdオT!」
ブンッ ガシッ
アンデッド「……ォTaDンァン……?」
こずえ「……ちえー」
千枝「こ、こずえちゃん!? ム、無理しないで、にげな、きゃ……」
こずえ「ううん………へーきぃ……でも…もっと……こわい、かもぉー……」
千枝「……え?」
パキッ
eウzオK「だからぁー………」
パキンッ
――パリンッ
パラドキサ「ごめん……ね……?」
上級なら人間態でも下級アンデッドぐらいなら圧倒できるんだっけ
千枝「……ぁ」
パラドキサ「……」クルッ
千枝(こずえ、ちゃん。怪物と、おんなじに……)
千枝(……でも、でも………まるで……もみじみたいに、真っ赤で……)
千枝「きれい………」
アンデッド「グオオォォォォ!!!」
パラドキサ「……なおるのはー……どうしてー?」
ブンッ!
パラドキサ「ものりすがこないはー……なんでー……?」
キィン――ザシュッ!
アンデッド「――!?」
パラドキサ「……うで、ひとーつ…………もらったー……」
アンデッド「……! グオォ!」
ブンッ!
キィン――ザンッ!
パラドキサ「もういっぽーん……も……」
アンデッド「……!!!」
パラドキサ「…………とどめー」
キィン――ザンッ
アンデッド「――――」
パラドキサ「………ひらかないのー……?」
アンデッド「……」ジワァ…
パラドキサ「………そっかぁー……なおるのー……」
アンデッド「ッグ、ァアアアアアアアアアア!!!!!」
ブォンッ!
パラドキサ「じゃあ――――もういっかーい――――」
キィィン―――ザシュンッ――
アンデッド「ッガ、ァ……」
パラドキサ「まだはえるのー……? あしも……もらうねー………」
アンデッド「アァァァ――」
キィン――ザシュッ!
アンデッド「ゥオ――」
キィン――ザッ!
アンデッド「――」
キィン―――
キィン――
キィン――
パラドキサ「………もう、はえないのー……?」
アンデッド「ァ――――」
パラドキサ「……ひらいたのー…………」
パラドキサ「…………」
千枝「……こずえ、ちゃん」
パラドキサ「……ちえー………ごめん、ねー……?」スゥ…
ガァン!
パラドキサ「じゅう……?」
ギャレン「その子から離れろ、アンデッド!」
ねるのー……
>>64
……やざわがやってたのー
パラドキサは本当は「赤」って設定もあるし
ここではかまたとはべつ、だよー……
パラドキサ「…………あなたもー……てきぃー……?」
ギャレン「逃げるんだ、君!」ジャキッ
千枝「え、あ……」
パラドキサ「…………ふわぁ……」キィィ…
ギャレン「……!」ギリッ…
千枝「…だ、だめーっ!!」バッ!
ギャレン「!?」
パラドキサ「……ちえー……? あぶないよぉー……?」
千枝「だ、だめだよ……こずえちゃん。この人、きっと千枝のことを助けようとしてくれたんだもん」
パラドキサ「……ふぅーん…………?」
ギャレン「会話できるだと? ……まさか上級アンデッド……!」
パラドキサ「じょーきゅー……? こずえはねー……おうさまなのー……」
ギャレン「やはり……なら、どうして君はかばう! こいつはアンデッドだ!」
千枝「ち、違います! こずえちゃんは、千枝といっしょに頑張ってるアイドルです!」
ギャレン「アイドル……そうか、さっきの! 洗脳……というわけでもないのか? ならば、いったい……」
パラドキサ「………ねぇー、ひゅーまん」
ギャレン「……?」
パラドキサ「とーせーしゃは………いつくるのー………?」
ギャレン「なに……?」
パラドキサ「……きゃめるぅー………やっつけたのに、こないのー……」
アンデッド「―――」ゴロンッ
ギャレン「……これ、は」
パラドキサ「ばとるふぁいとならー………すぐくるはずなのにねぇー……」
ギャレン「……」シュッ
ヒュンヒュンヒュン ―― ヒュィィ…パシッ
ギャレン「カテゴリー9……倒したのか?」
パラドキサ「ふわぁ……それ……なぁーにぃー……?」
ギャレン「これは……いや、違う。質問に答えろ」
パラドキサ「……そーだよー……たおしたのにー……こないのぉー……」
ギャレン「………」
パラドキサ「……へんなのー………」
千枝「あ、あの……」
ギャレン「どうした?」
千枝「ふ、ふたりとも……そのままだとちょっと怖いです……普通に、おしゃべりしませんか……?」
パラドキサ「…わすれてたー……」スゥ…
千枝「わすれ!?」
ギャレン「……わかった。君を信じよう」カシャンッ
こずえ「……ふわぁ」
橘「……なんだと?」
橘「……君は……確か、あの場にいた……そういうことだったのか……!」
こずえ「……こずえはー……こずえだよぉー……」
千枝「こ、こずえちゃんは……逃げちゃった千枝を探しに来てくれて、助けてくれたんです。だから、悪いことなんてしてません」
橘「……助けた? 君のことを……」
こずえ「……ちえはねー………やさしーのー……だから……すきー……」
橘「………」
こずえ「でもー……ばとるふぁいと……だめなんだぁー……ふわぁ……どーしよー……」
橘「――嘘をついているようには見えない、が……」
こずえ「……おしえてー……? どーしてぇー……?」
橘「……しかし」
千枝「千枝からもおねがいします!」
橘「……そうだな。わかった……俺が戦っている理由、そして……」
こずえ「……」
橘「……その子の正体についても」
――
千枝「……そん、な」
こずえ「……かいほー……そっかぁー、いれぎゅらー……なんだー」
橘「アンデッド同士での戦いがほとんど観測されなかった理由もこれで納得がいった……そうか、封印が……」
こずえ「………たたかってもー……いみない、のー……」
橘「……だがアンデッドは封印しなければ」
千枝「こ、こずえちゃんのこと……!? だめです!」
橘「しかし……」
「ちょ、ちょーっと待ったぁー!!」
橘「……ん?」
P「う、うちのアイドルに何の用ですか」
みりあ「こずえちゃん、千枝ちゃん!」
橘「君たちはさっきの……」
千枝「プ、プロデューサーさん。みりあちゃん……」
橘「……」
P「いやぁ、すみませんね……迷子になってたんですけれど。探してたんです。助かりました……じゃあ、これで」
橘「待て」
P「う……いや、あのう……」
こずえ「……ぷろでゅーさぁー……? おはなし、あるのー」
P「え? 話……って」
――――
――
P「………」
みりあ「………」
こずえ「……だからぁー………こずえはねー……」
P「…っ、ま、待ってくれ! こずえは、本当に封印されないとダメなんですか!?」
橘「人々を危険にさらすわけにはいかない。だからアンデッドは封印する……」
みりあ「そんなのひどいよ! こずえちゃんは、いっしょに……いっしょに、お仕事してるお友達だもん!」
橘「……ああ。さっきから君たちを見ていると……正しいことなのかわからなくなってくる」
こずえ「……ふーいん……しないのー……?」
橘「俺にはわからない……俺としては、封印すべきだと思っている。今すぐにでも」
P「!」バッ
橘「だが……俺の後輩が。そして、その友が……信じたいと、願っている」
橘「……何かがあればすぐにわかる。ただ、人として穏やかに生きると約束するのなら」
橘「俺は………そんな相手を裁く権利なんてない」
こずえ「………やさしいのー?」
橘「俺も甘くなったのかもしれないな……」
こずえ「ふぅーん……おもしろい……かもぉー……」
橘「……アンデッド同士での封印が不可能なのはわかった。困ったときは連絡してくれ」
P「え? あぁ、どうも」
橘「できれば、もう会わないで済むことを祈っている」スッ
みりあ「……いっちゃった?」
千枝「こ、こずえちゃん」
こずえ「……ちえー……みりあー……」
P「こずえ……その、いきなり1万年前のバトルファイトがどう、って言われても実感がわかないんだが……」
こずえ「…ぷろでゅーさぁー……」
P「だ、大丈夫だよな。こずえは……アイドル、として……」
こずえ「……みんなー……こわくない、のー……?」
P「そ、そんなわけあるもんか! 俺はプロデューサーだぞ? そりゃあ、驚いたけど、でも……引き取るって決めた時から、ちょっとぐらいのトラブルは覚悟してた」
千枝「ち、千枝も……こずえちゃん、助けてくれたし……」
こずえ「………ふぅーん?」
みりあ「私だって……こずえちゃん、妹みたいだなーって思ってたから……ビックリしたけど」
こずえ「…………」ポスッ
P「こ、こずえ?」
こずえ「……ぷろでゅーさぁー……あったかーい……」ギュッ…
P「…………」
こずえ「……こずえはねぇー………あったかいのー……すきぃー……」
P「……うん。ありがとう」ナデナデ…
こずえ「……ふわぁ……つかれたぁー……」
千枝「………うん。事務所、もどろう?」
みりあ「そうだね……今日、いろいろあって疲れちゃった……」
――――
――
P(……こずえは人間じゃなかった、か)
P(戸籍がないのも当たり前だったんだな……両親だって、いない)
P(アンデッド。バトルファイト……はは、本当。神秘的なはずだ……)
P(千枝も……みりあも……これから、ずっと一緒でも大丈夫かな……)
P(……千枝はこずえの『本当の姿』を見たらしいけど、綺麗だったって言ったし)
P「……大丈夫、だよな?」
――
――――
P「改めて、ライブだ! 今度こそきっちりとこずえのお披露目だな!」
千枝「わぁっ、ほんとうですか?」
P「ああ。だからそれに向けてレッスンだ! みりあも、大丈夫か?」
みりあ「もっちろん! えっへへー、よーしっ。今度はこずえちゃんがちゃんとラップできるように特訓だね!」
こずえ「らっぷー……だよー……?」
みりあ「そうじゃなくて、もっとこう……ヘイッ! みたいな感じで!」
こずえ「へーい……」
みりあ「ヘーイ!」
テレビ[ \ヘーイ!/]
こずえ「………」
みりあ「……あ。ちょうどテレビでも……ううん、この人のは違うかな」
こずえ「みりあもー……せかいれべるぅー……?
みりあ「あ、あれとは違うの!」
P「仲がいいのはいいことだな。みんな、ちゃんとレッスンするんだぞ?」
みりあ「はーい!」
こずえ「……れっすんー…………」
千枝「あ、こずえちゃん……この前言ってたステップ、教えて……?」
こずえ「いいよぉー………えへぇー……」
P(……こずえも、みりあも、千枝も。自然になった)
P(……噂なんて気にさせちゃだめだ。こずえのライブでの事件……)
P(あれは『演出』で通したけど、流石に中止になったのは痛い)
P(何故か『暴漢がライブに乱入』じゃなく『怪物がライブに乱入』で情報が拡散してるし)
P(狙われてたこずえの写真。受け止める姿……どうしてこんなものが……)
P「はぁ……本人たちに気づかせないように、注意を払わないと……」
―数日後―
P「……千枝、みりあ。ごめんな、今日の予定キャンセルだ」
千枝「どうしたんですか……?」
P「あー、いや……ちょっとな……別の企画に上書きされたらしい」
みりあ「じゃあ、今日はお休みかぁ……どうしよう?」
千枝「うーん……レッスン、しよっか。こずえちゃんもいっしょに」
こずえ「わかったぁー……」
スタスタ… ガチャッ パタン
P「……はぁ」
ちひろ「プロデューサーさん、大丈夫ですか?」
P「あぁ、ちひろさん……大丈夫、とは言い難いかもしれませんね……」
ちひろ「………こずえちゃんのこと、ですか」
P「……まぁちひろさんに隠しても仕方ないですよね」
ちひろ「えぇ。お仕事、減ってますね」
P「こずえは確かにバーターですけれど。需要もあって人気もあったはずなんです。千枝とみりあに同伴させるのを求められることもあった」
ちひろ「えぇ。クイズ番組では全問正解……ある意味、忌避されてた感じはしましたけれど」
P「トークに歌にバラエティ……全部『こずえを同伴させるのをやめてくれ』って言われました」
ちひろ「……ネット上も、なんというか……面白半分、といった具合に荒れてますねぇ。なんでしょうか、これ」
P「一番怖いのは……千枝やみりあ、俺や事務所に対して同情的な目を向けられていることですよ。『こずえに巻き込まれた』って思われてます」
ちひろ「さっきのは、お断りしたんですか?」
P「新曲発表でしたから。こずえのパートがないと無理だと言ったら『ならば別の機会に』って。取りつく島もなかったです」
ちひろ「なるほど……あぁ、もう。どうしたものでしょう……」
P「どうって、言っても……」
ちひろ「………」
ガタッ
P「だ、誰だ!?」
こずえ「………」
P「こ、こずえ……? お前、どうして……」
こずえ「わすれ……ものー」
P「……聞いた、のか?」
こずえ「ふたりは……れっすん、なのー……」
P「………聞いたんだな」
こずえ「……おはなし、しよー?」
P「……こずえ」
こずえ「………」
P「さっきの話は、気にしなくていい。きっと一時的なものだ……だから」
こずえ「……こずえはねー……おうさまなのー……」
P「……?」
こずえ「だから……つよくてぇー…へーき……だよぉー?」
P「……そんな、わけあるか! どんな姿が本当のこずえかなんて、知らない。でも」
こずえ「……しらないー……? そっかぁー、じゃあ――」パキッ
P「……!?」
パラドキサ「――これでも……へーきぃ?」
P「う、ぁ………」
パラドキサ「……ちえもこわいってー……いってたー」
P「そ、そんなことない……それ、でも。俺は……」
パラドキサ「……やさしーねー……ぷろでゅーさぁー」パキッ…
P「……お、俺は、プロデューサーだぞ? こ、こんなぐらいで腰抜かしてたら、な? は、はは」
こずえ「…………」
P「……こず、え?」
こずえ「……ふわぁ……やっぱりー、みんな、すきぃー………」
P「だったら……だったら気にするなよ。俺は、いや……千枝も、みりあも、ちひろさんだってこずえのことが大好きだ!」
こずえ「………すきぃー?」
P「あぁ。よく知らないやつらの噂にあれこれ言われなくたっていい。見返して、ファンにしてやろう! なぁ、こずえ!」
こずえ「……うんー………こずえはねぇー……すきだよぉー?」
P「よしっ、じゃあ事務所に戻って――」
こずえ「だから――――」
――次のニュースです。
昨日、芸能プロダクションに所属するプロデューサーの男性が無残な姿で発見されるという事件が発生しました。
警察によりますと、鋭利な刃物のようなもので複数回切り付けられており恨みを持った人物の犯行とみて調査を続けています。
また、その事務所に所属するアイドルのうち行方の知らない少女が1名いるとして、関係を調べています。
続いては――
こずえ「………ふわぁ」
橘「どうして……あんな真似をした!」
こずえ「こずえはねぇー………アンデッド、だからぁー」
橘「……それが、どうした」
こずえ「ひとりは……やぁー……なのー」
橘「だったら……なぜ1人になるような真似をした! お前を信じた人たちはどうなる!」
こずえ「……だからぁー……ずっと、いっしょだよぉー?」
橘「なに?」
こずえ「………ぷろでゅーさぁーの……あかちゃん、つくるのー……」
橘「………」
こずえ「こずえはー……まま、だねぇー? ずーっと……いっしょ……だよぉー」
橘「……俺は、また間違えた」ガシャッ シュルルッ――
こずえ「じゃまは……だめぇー」 パキッ パリンッ――
橘「変身!」 ≪TURN UP!≫
パラドキサ「――さよならぁー、ひゅーまん……」
終わり
始と絡ませたかったのに出せなかった
今度はこずえちゃんを幸せにする話書きます。ごめん
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