【ACfa→IS】「これがIS……なのか?」 (256)

 ――それは私の語るべき物語ではない。

 かつての私はそう言ったが、もう一人だけ語らせてもらおう。

 彼が最期に戦ったあの男――人類史上かつてない大虐殺を行い、人類種の天敵とまで呼ばれた男の物語を。



 深夜の書き直しだけど、需要がなさそうなら云々。

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 人類の未来のために戦ったリンクスがいた。

 そして今を生きる人のために戦ったリンクスもいた。

 しかしながら、彼らのどちらが勝ったとしても、そこに人類の意思は存在しなかった。

 それも今日までだ。

 これで、人類はリンクスの脅威から解放され、今度こそ真の選択を迫られるだろう。

 発展を望み壊死するか、現実から目を逸らして少しでも長く生き延びるか。

 何を選択するかは――どの死にざまを選ぶかは、これから生きる人類に託すとしよう。

 それは大きすぎる力を持つ化物(リンクス)が決めることではない。

 そして……俺もここまでだ。

 セレン――貴女にはまだ報告したいことがあるんだ。

 だから、叶うのなら貴女と同じ地獄に……。

千冬「起きろ」

 声が聞こえる。

千冬「起きろと言っている」

 瞼が重い。

 体の節々が痛い。

 もしかして、まだ生きているのだろうか。

 ……だとしても、まあいい。

 少なくとも、俺は処刑されるだろう。

 それだけのことを、俺はしたのだから。

「ここはどこだ」

 目が塞がれている。

 それと手も縛られているようだ。

千冬「お前に質問の自由はない。私の問いだけに答えろ。貴様は何者だ」

 ……どういうことだ。

 俺のことを知らないというのだろうか。

 いや、俺が起こした規模を考えると在りえない。

 少なくとも、企業に属する者ではないようだ。

「残念ながら名前は持っていない。しかし、言うならば第二のマクシミリアン・テルミドールってところだ」

 ORCA旅団は彼の名で世界に宣戦布告した。

 だから顔を知らなくても、これで伝わるだろう。

千冬「マクシミリアン・ロビスピエールとテルミドールの反動……貴様、革命家か」

「何を言っている。革命はもう終わっている」

 彼らが考えていたのと違う、最悪の結末で。

千冬「……」

 ……もしかして話が通じていないのだろうか。

「……俺とお前で、認識の違いがあるようだ。どうだ? ここは一つ、情報の交換を申し込みたい」

千冬「……そちらの方が早そうだな」

「ここはどこだ」

 地上のどこかは分からないが、メガリスからそう遠い場所ではあるまい。

 状況を考えると、何も知らない彼女、または彼女の知り合いが俺をここまで運び込んだのだろう。

千冬「ここは日本のIS学園という場所だ」

 旧日本の領土か……それにしても随分と遠い。

 それにしてもIS学園だと? 聞いた覚えがない場所だ。

 ……まさかとは思うけれども。

「……有澤重工43代目社長の名前は?」

 確か、彼の元の国籍は日本だった聞く。

 俺の考えが間違っていなければ……。

千冬「知らんな……」

「GA、インテリオル、オーメルという企業に聞き覚えは……?」

千冬「どこも聞いたこともない名前だ。おそらくISにかかわっているのだろうが、一体どこの中小企業だ?」

「……はははっ、アイツらが中小企業か。面白い。察するにお互いの話が、常識がかみ合っていないのだろう」

千冬「……そのようだな」

「それで、お前は何が知りたい」

千冬「お前が乗っていた、あの変な機械の情報を知りたい」

「……人型兵器アーマード・コア。通称、ネクスト」

千冬「……」

「やはり知らないのか。ならこちらかも質問だ。お前が言っていたISとはなんだ?」

千冬「……女性にしか扱えない世界最強の兵器。インフィニット・ストラトス」

 インフィニット・ストラトス。

 やはり聞いたことのない名前だ。

「聞き覚えないな」

千冬「そうか」

「ネクストについて知りたいなら実際に見せた方が早い。案内してくれないか?」

千冬「……あの黒い奴でいいんだな」

「ああ、その黒いのであっている」

千冬「了承した」

 不用心にも手錠が外されると、次に目隠しが外され、目に光が入る。

 そして最初に移った黒髪の女性を見て、目を丸くする。

「セレン……?」

 気付けばそう口にしていた。

千冬「……誰だそいつは」

「悪い。忘れてくれ」

 よく似ているとはいえ、他人の空似だ。

 そもそも彼女が生きているわけがない。

 俺自身の手で、彼女を殺したのだから。

千冬「今から案内する、が常に監視されていることは忘れるなよ」

「手錠まで外すとは不用心だな」

千冬「お前は丸腰だ。暴れたとしても制圧するのに時間はかからんだろうさ」

「そうだな。その時はそれで構わない。案内してくれ」

深夜でやっている奴の移行?
それなら一言断ってから始めた方がよかったな

向こうと別人がやっているなら丸パクリなので許さない

 彼女――織斑千冬に案内され、俺は施設の地下に足を踏み入れた。

 ゆうに五十メートルは下っただろうか。

 辺りいた女性を見てみれば、何かを言おうとするも俺を警戒するだけで踏みとどまっている。

 おそらくここは一般には立ち入れない場所で、織斑千冬という人物はそれを黙認させられるほど偉い人間なのだろう。

 そしてそこに俺のネクストだったものは無残な姿で保管されていた。

 その損傷具合にはある程度見覚えがある。

 メガリス内部で戦った時に英雄に付けられたものだ。

 きっと修理したとしても使い物にならないだろう。

>>14
ああ、確かにこっちの不手際だわ……。
でもあっちでもコテハン付けてなかったから、今更あっちで言っても証明のしようが……。

でもリメイクやりたいってアレのアレのアレは言った覚えある。

千冬「昨日の話だ。一般試験をしている最中、そのボロボロのネクストとやらが突然現れた」

千冬「もちろん会場は大混乱。お前達はすぐに地下に運ばれて、コクピットらしきものを開けてみればお前が入っていたというわけだ」

「コジマ汚染って言葉は知っているか?」

千冬「知らんな」

 どうやら俺はメガリス内部での死闘のあと何故かこの世界に現れた。

 コジマ粒子に汚染されていない、まだ未来がある世界に。

 仮にこの世界が俺の見ている夢、妄想だとしても、それもまたいいかもしれない。

 これが夢ならばいつか覚めて、死ぬだけの話だ。

「この機体はもう廃棄した方がいい。これは厄災しか生み出さない」

千冬「そういうわけにはいかない。まだ秘匿とされているが、表に出たのなら研究者から引っ張りだこだろうさ」

「好奇心猫をも[ピーーー]という。興味本位で首を突っ込むなら、取り返しのつかない事になる」

千冬「……脅しのつもりか?」

「脅しじゃない。俺の世界だと人類は滅亡の危機にまで追いやられた」

千冬「俺の世界……つまり違う世界から来たと言いたいわけか」

千冬「にわかには信じられないが、確かにISとは違う技術で作られたものようだ。信じるしかないか」

「……」

千冬「そういうことなら秘密裏に処理するとしよう。私とて世界を滅ぼす気にはなれない」

「感謝する」

千冬「……それと、お前にはもう一機見てもらいたい」

「もう一機?」

千冬「おそらく、お前たちの技術で作られた――ネクストだ」

 地下施設の更に奥深く、黒と赤で彩られているそのネクストは確かにその場所に存在していた。

 見たことのない機体構成。

 おそらく白い閃光と同じく独自のパーツで作られているのだろう。

「ああ、これもネクストで間違いない。これを一体どこで?」

千冬「知り合いから厳重に管理するようにと頼まれた」

 しかし、これがネクストだというのならどちらにしろ……。

「そうか。しかし、これも直ぐに破棄した方がいい。これもネクストということは――」

『――適合者を確認』

 突如そのネクストが起動して、音声が響く。

千冬「貴様、一体何をした!?」

「俺も初めてのケースだ」

 何が引き金になったかはわからないが、確かにあのネクストは起動している。

 つまりコジマ粒子が辺りを汚染しているということだ。

千冬「答えろ。あの光はなんだ!?」

 まずい。あのネクストを早く止めないと――

『環境を世界と同期――失敗。当機から異常性(イレギュラー)を確認』

『環境を世界と同期――失敗。当機から異常性(イレギュラー)を確認』

『ダウングレードを開始――完了』

千冬「消えた……?」

 その時、ネクストの周りで発光していたコジマ粒子が突如消えた。

 なにが起きている……?

『再び環境を世界と同期します――完了』

『搭乗者を捕獲します』

 そういうとそのネクストがこちらに手を伸ばしてくる。

 俺と千冬は左右に回避するも、地下施設であることが災いする。

 この狭い空間で体長十メートルのネクストから逃げ続けるのは難しく、ついにその手に捕まってしまう。

 体を持ち上げられ、コクピットが開くと中に押し込められる。

 そして俺の首の根元にあるAMSプラグがネクストに繋がれる。

『完了。続いてシステムの最適化を開始します』

千冬「これは……」

 ネクストの周りに紫電が走る。

 ネクストは泥状に溶けると再び機械らしい形に構成されていく。

『完了。システムの再起動を行います』

千冬「IS……なのか!?」

 彼女に言われ、再びそのネクストだったものに目を落とす。

 それは既に俺の知るネクストとは思えないほど縮んでいた。

 これがIS……なのか?

『Seraphシステムの起動を確認』

『これより、当機は貴方に従属します。イレギュラー殺し』

>>25
versionが一つ古かった
『完了。続いて機体の再構築とシステムの最適化を開始します』

言われたから需要あれば一夏視点でやろうかと思ったんだ……

やるとしたら名前はまた 疲れ果てた 獣 でやろうかと

垢テスト
深夜と同じになるのだろうか

>>1の思っているのもふもふ通りなら、この先ちょっと厳しいかも
ただ明確なデザイン決めてないからpixivとかに上がってるやつで想像してくれれば……

sage、saga忘れ、よくあると思います
安価スレでずっとsage進行してたのが懐かしい(数日前)

2以降LRまでのノーマル(ハイエンドノーマル)→OB使える(時速1000km以下)
4系列のノーマル→使えるかは不明、そもそも2以降LRまでのノーマルとは設定レベルで別物
4系列のネクスト→コジマOB使用(時速1000km以上、機体によってはQB併用で時速2000km超、瞬間3000km行く事も)、
無人ネクスト(002‐B)もコジマOBは使えるがQBはAIが未完成なため使用不可
Ⅴ系列→OB代わりにグライドブースト

まぁ4系列と2以降LRでOBの設定そのものが別だから4系列のコジマ使用OBは使えないけど
2以降LRまでのOBと同じ様なモノなら使えるかも知れないし使えないかもしれない。

「Jaded Tier」

千冬「ジェイド・ティーア。英語とドイツ語の混合か。随分悩んだようだがそれでいいのか?」

「構わない」

千冬「……そうか。それでそのISの名前は何にする」

「ストレイド」

千冬「今度はすんなり決まったようだな。ストレイド――いい名前じゃないか」

 ストレイド、セレンがくれた最初のネクストの名前だ。

 初めてISに名前をつけるなら、その名前がふさわしいだろう。

 あの世界でやったことを、忘れないようにという意味もあるが。

千冬「それなら名前も他のに変えた方がいいのではないか?」

千冬「マクシミリアン・テルミドール。男のIS乗りにはピッタリではないか」

「テルミドールはあの世界で死んだ。それでいい」

千冬「革命か……その世界で一体何があった」

「ただ歪んでいただけだ。俺も、そして世界も」

千冬「その果てにジェイドか」

千冬「まあ、お前がそれでいいのなら何も言わん。好きにしろ」

 その後、様々な書類を片づけるとIS学園の寮に案内された。

 結論だけを言うと俺はこのIS学園に通うことになった。

 学園が始まって以来の男のIS乗り、その二人目としてデータが欲しいらしい。

 もっとも、俺のデータというよりも俺のものになったIS ストレイドのデータといった方が正しいだろう。

 ちなみに一人目の男の名は織斑一夏、織斑千冬の実の弟。

 どうやら彼も今年からこの学園に入学するようだ。


 そしてそれから数日後、IS学園の職員室に訪れていた。

千冬「それで、頼みたいこととはなんだ」

ジェイド「……貸してほしい」

千冬「聞こえなかった。もう一度言ってみろ」

 本当は聞こえているのではないかと疑いたいが、今はこちらが頼み込んでいる立場だ。

 大人しく下手にでるしかない。

ジェイド「少しでいい。お金を……貸してください」


千冬「なるほど、そうか……そうなのか」

 千冬は笑いをかみ殺そうとしているが、クククと、笑いが口の端から漏れている。

ジェイド「何がおかしい」

千冬「金欠の革命家というものを想像したら、少しおかしくてな」

 間抜けであると彼女は言いたいのだろう。

 しかしながら、俺に金がないのは仕方ないことである。

ジェイド「財産全てが向こうにあるんだから、仕方ないだろ」

 今まで傭兵として稼いできた資金。

 一部はセレン達の懐に入っているはずだが、それでも資金は余りに余っている。

 残念なことに例え一部を持ち込んでいたにしても、通貨の都合上ただの紙屑にすぎないのだが……。

千冬「いや、悪かった。それではこうしよう。必要なら月に五万円まで貸してやる」

千冬「飲食住全てが揃っているからな。それだけあれば充分だろう」

 千冬はそういうと財布から五枚の紙幣を取り出した。

ジェイド「すまん必ず返す」

千冬「当然だ。最悪の場合は、そうだな。あのISを貰おうか」

ジェイド「了解した」

千冬「冗談だ馬鹿者」

ジェイド「生憎担保はそれしかないからな。それでいいさ」

千冬「それで今から買い物にでも行くのか?」

ジェイド「ああ、さすがに衣類が足りなくてな」

千冬「そうか。なんなら付き合ってやろうか?」

ジェイド「俺は子供か。一人で十分だ」

千冬「経歴はどうあれ、十分子供だよ。お前は」

 千冬から金を借りると、駅近くのショッピングモール"レゾナンス"に訪れていた。

 ここレゾナンスは揺り籠から墓場まで、老若男女幅広く様々なジャンソルに対応している。

 千冬曰く――ここに無いものは市内にはどこにもない、らしい。

「そこのあなた」

 時刻は夕暮れ、あらかたの買い物を済ませた頃、一人の女性が声をかけてくる。

 念の為に周りを確認してみるも、周りにいる男性は俺ぐらいしかいなかった。

「男のあなたに言ってるのよ。この商品、棚に戻しておいて」

 もちろん、彼女は俺の知っている人間でもなんでもない。

ジェイド「断る。お前に従う義務はないし、義理もない。自分で片づけろ」

 事前知識で知っていたが、ISにより女尊男卑の風潮が社会に根強く浸水しているようだ。

 この女性は女性の為に男が動くのが当然とでも思っているのだろう。

「ふーん。そんなこと言うんだ」

 女性は辺りを見回し、警備員を見つけると手招きで指図する。

「あの、どうかしましたか?」

「この人に暴力振るわれたんだけど何とかしてくれない?」

 そういうと男性の警備員はこちらを見ると小さく肩を窄める。

 面倒事に巻き込まれた。そう思っているのだろう。

「……ああ、そうですか。わかりました。後はこちらでやっておきますので任せてください」

「お願いするわ」

 その女性の態度についつい声を出して笑ってしまう。

「……何がおかしいのよ」

ジェイド「まるで虎の威を借る狐だな」

「何ですって」

 女性の眉が引きつくも、無視して言葉を続ける。

ジェイド「自分の力では何もできないくせにすぐ他人の力を頼ろうとする。なんと愚かで傲慢な人間か」

「ちょっとあなた!」

 女性は声を荒立ててそう言うと警備員がこちらに近寄ってくるが、それを無視して荷物を床に置くと目を細めて集中する。

 アンクレットの形状で待機しているIS――ストレイドを展開した。

「なっ……!」

 突然のことに女性は後ずさりながら呟く。

 女性にしか扱えないと言われる兵器、インフィニット・ストラトス。

 それを目の前にいる男がいきなり展開したのだから、驚くのもまあ当然である。

ジェイド「そう言えばお前は俺に暴力を振るわれたらしいな」

 そう呟くと両手の甲についている月光剣を展開する。

 右からは黒い光が、そして俺のネクストから回収した左の一振りからは白い光が発せられる。

ジェイド「よかったな。滅多に体験できるものじゃないぞ、世界最強の兵器を使った暴力というものは」

「どうせ見せかけのハッタリよ! あなたなんとかしなさい!?」

 警備員にそう命令するも、警備員は目を見開いてまま立ち尽くしている。

ジェイド「つくづく愚かだな。所詮この社会が女性優遇になった理由は女性がISを扱えるないからなのだろ」

ジェイド「それでは問うぞ。お前は俺に命令できるほど偉い立場なのか? 専用機を持つ者に命令できるほど、何かを積み上げてきた人間なのか?」

千冬「何をやってる――馬鹿者が」

 女性に問いかけると背後から声をかけられる。

ジェイド「……」

 振り返るとそこにはスーツ姿の千冬が腕を組んで立っていた。

千冬「嫌な予感がして来て見れば……お前は一体何をやっている」

ジェイド「火の粉を振り払っている」

「た、助けてください! その人がいきなり!」

 そう女性は助けを求めると、千冬は警備員を見てため息をつく。

 俺もその哀れさに思わず失笑してしまう。

千冬「……とりあえずISを解除しろ」

ジェイド「断る。従う義務はない」

 義務はない。しかし、義理はある。

 ある事実を突きつけられれば千冬に従うしかない。

千冬「お前は学園の生徒で私は教師だ。義務くらいはあると思うが?」

ジェイド「俺はまだ正式な生徒ではない。故に義務はない」

千冬「……そうか。できればこの手は使いたくなかったのだがな。今日お前が買い物に使った金は誰が貸した金なんだろうな」

 そのことを言われると従わざるを得ない。

 無言でISを解除すると床に置いた荷物を持つ。

ジェイド「これでいいのだろ?」

千冬「まったく、手間をかけさせるな」

ジェイド「そうだな。それは謝ろう。それとここも思っていたほど平和な世界ではないようだな」

ジェイド「むしろこちらの方が醜悪かもな」

千冬「……女がすべてこんなのだとは思うな。大抵の奴は男性の社会的立場をある程度は認めている」

ジェイド「それで、男性は女性のために働く――いうなれば奴隷か?」

千冬「……」

ジェイド「まあいい。先に失礼させてもらう」

 言いたいことは多々あったが、それを千冬に言ってもしょうがない。

 もうこの世界に期待するのはやめることにしよう。

 そして数週間が過ぎた。

 その間俺はISについての基礎知識について勉強していたが、ここ数日はアリーナにこもりっぱなしである。

 Allegory-Mainpulate-System――通称AMS接続の電気信号の受信調整。

 クイックブースト――ISの用語では瞬間加速時の動作確認。

 他にもオーバードブースト、連続した瞬間加速。

 コジマ粒子を使わないPAの調整など試さないといけないことはいくらでもある。

 そしてそれは第六アリーナでのことだった。

「君が例の二人目だね。名前はなんていうの?」

 ここ第六アリーナは中央タワーと繋がっていて、高速起動の実習が可能とされている。

 そのアリーナの上空、中央タワーの外周にて、一人の女性が問いかけてくる。

ジェイド「ジェイド――ジェイド・ティーア」

「なるほどなるほど。君に関しては調べても何もでないから困ってたんだよね。君も、そのISも」

 彼女が展開しているISは、学園で貸し出される打鉄やリヴァイブではない。

 彼女専用のIS、つまりは専用機持ちだ。

 そのアーマーの面積はストレイドと比べると極端に少ない。

 打鉄やリヴァイブと比較してもなお劣るほどである。

 しかしながら彼女のISは、その隙間を埋めるように透明で液状の何かを纏っている。

 おそらくそれが彼女のISの特徴であり、専門性なのだろう。

「そういえばさっき見せてもらったけど凄い性能。見たところ第三世代型――いや、それ以上の技術も使われているみたい」

「いったいどこの研究所で作られたのかな?」

 彼女はどこか楽しんでいるかのように笑みを浮かべ、そう質問する。

ジェイド「さあな。俺も知らないし、興味もない」

「自分のISなのに変な話」

ジェイド「それに、思いつく関係者の行方がわからんからな。探すだけ時間の無駄だ」

「……もしかして篠ノ之束?」

 篠ノ之束――現在行方を眩ませているISの生みの親。

 たった一人で基礎理論を組み上げ、なおかつ唯一ISのコアを作り出せる天才。

 彼女であれば、このIS……元ネクストのこいつについて何か知っているかもしれない。

ジェイド「もし関わっているならな」

「なるほど、それなら確かに納得だわ」

ジェイド「それで本題はなんだ? まさか、世間話がしたくて追ってきたわけじゃあるまい」

「ううん、それだけだよ。噂の世界二人目の男のIS乗り、ちょっと気になっただけだから」

ジェイド「そうか」

「……」

ジェイド「……」

「うーん。私としてはもうすこし話をしたいところだけど、かなり警戒されてるみたい?」

「まあいいや。もし妹と同じクラスになったらよろしくね。あとクラス代表戦、楽しみにしているから」

 そう言うと彼女は自分の名前を言わずに降下していくのだった。

 しかし彼女も専用機持ちということは、再び出会う機会があるのかもしれない。

 そんなことを思いながら再びストレイドの調整に戻るのだった。

一夏視点で描くって言ったな。アレは嘘だ

深夜の方で明らかに時間軸がおかしかったので書き直し&追加
出番が少なかったにもかかわらずカットされる箒……

投下した話以上に面白くなかったからバッサリ削除したけど、学校始まるまでのエピソード書きすぎて辛い

あとはIS版ナインボール=ネクストの武装変更と説明を……
左手 ACfaの月光
右手 ACVで出た黒月光に>>1が魅了され厨二病発症→セラフの光波付きブレードをACfa版の光波付き黒月光に
PA コジマ粒子の代わりにEN使用→実弾とEN兵器の相性逆転(ENに強くなった分実弾に弱くなっている)
アサルトキャノン コジマ粒子の代わりにEN使用→アサルトキャノン用の武装から放射される(本来より使い勝手悪い)

後議論に話題投下すると、銀の福音は原作(MF文庫)だと2500km/h出てた気がする
ただしISは瞬間加速中に方向転換すると最悪骨折する模様
あと実はver1.15の無限レギュが本来のネクストの性能という説があるらしい

ナインボール=ネクスト→ナインボール=セラフだよ……

もう主人公が無双する未来しか思い浮かばんww

肉体スペック云々以前にまず価値観から違うからな
かたや殺し殺されは日常茶飯事で、傭兵や企業による弱肉強食の世界
かたや兵器としての側面はあるが、ほぼスポーツ用品としてISが使われ、女は無駄に傲慢で男は卑屈な者が多く実世界よりも若干陰湿な世界

精神力の時点ですでにIS勢を圧倒しているよ

なんかレス見てるとプロット盗み見ただろ?
と言いたくなるのがいっぱい……

>>80
加えて言うとこの主人公
人類を救おうとしたけど、それは叶わないと諭されて
化け物(リンクス)として化け物を殺しつくてる
お前ら(企業)の責任だから最期は自分達で決めろと選択権を化け物から企業に委ねて終わってる感じ

流石にアンサラーとか見てると宇宙での生活が確立する前に、人類は滅びてると思うの

(設定で最大二万人居住可能なだけで、一機でだいたい一万数千人しか住んでないんだよなぁ)
ようやく安定した時間とれたので書きながら投下していきます

真耶「全員揃ってますね。それじゃあHRを始めますよ」

 教卓にて副担任となった女性――山田真耶は口を開いた。

 彼女自身が小柄であること原因か、それともサイズの合っていない服を着ていることが原因か。

 どちらにせよその姿は様になっていると言い難い。

真耶「それではみなさん一年間よろしくお願いしますね」

「……」

 変な沈黙がクラスに流れる。

 クラスの視線は二つに分かれ、その片方が俺に注がれる。

真耶「じゃ、じゃあ自己紹介をお願いします。えっと、出席番号順で」

 彼女がそういうと最初の女性が自己紹介を始める。

 そしてしばらくすると彼の名前が呼ばれた。

「……」

真耶「織斑くん。織斑一夏くん」

一夏「は、はいっ!?」

 織斑一夏。

 彼が織斑千冬の弟で、世界で初めてISを操縦した男だ。

一夏「えー……えっと、織斑一夏です。よろしくおねがいします」

 彼はそう言うと一礼をするが周りの空気はそうはいかなかった。

 クラスメイトが彼に興味を持っている分期待も大きい。

 どうやら顔をあげた彼もクラスの雰囲気に気付いたようだ。

一夏「えーと」

 彼はそこで言葉を区切り、息を吸って間を置くと再び口を開いた。

一夏「以上です」

 期待していたあまりに派手なリアクションを取る女性が数名、落胆する女性が数名。

真耶「あ、あの……」

 彼女も涙声でそう言うと、突然教室のドアが開かれた。

真耶「織斑先生。会議はもう終わったのですか?」

千冬「ああ、クラスへの挨拶を押し付けてすまなかったな」

真耶「いえ、私も副担任ですから」

 先ほど涙声だったのはどこへやら、若干熱っぽい声と視線で千冬に答えた。

 それだけ千冬は彼女に慕われているのだろう。

千冬「諸君、私が織斑千冬だ。君達新人を一年で使い物になる操縦者に育てるのが仕事だ」

千冬「私の言うことはよく聴き、理解しろ。出来ない者には出来るまで指導してやる」

千冬「逆らってもいいが、私の言うことは聞け。いいな」

飯食べてなかった……飯休憩
某現行スレ面白くて気になって作業がはかどらない。死ぬ

飯を食べた後黙々と書いてた
ただし面白くなかったからほぼカットという……

眠いからできるところまで投下したら今日は寝ますん

千冬「再来週行われるクラス対抗戦にでてもらう代表者を決めてもらおうか。自薦他薦構わん」

 クラス対抗戦――先日言ってた代表戦とはこのことか。

千冬「それと一度決まると一年間変更できないからそのつもりで選ぶよう」

 千冬がそう言うと一人の生徒が手を挙げて口を開く。

「織原君を推薦します!」

一夏「俺!?」

 クラスの視線の一部が彼に集中する。

 残りの一部がこちらに集まっているが、気のせいだと思いたい。

千冬「席に座れ、邪魔だ。自薦他薦は問わないと言った。選ばれた以上覚悟しろ」

「はいっ! それなら私はジェイド君を推薦します!」

 先ほどこちらを見ていた生徒が手を挙げてそう言った。

 嫌な予感はあったものの、思わずため息をついてしまう。

セシリア「待ってください! 納得ができませんわ!」

 そう言いながら一人の生徒が立ち上がる。

 セシリア・オルコット――簡単に説明するならこの世界を体現したような傲慢な人間だ。

セシリア「物珍しいからという理由で専用機すら持っていない猿に決められては困ります」

セシリア「クラスの代表はイギリスの代表候補で専用機を持っている私こそがふさわしいですわ」

セシリア「だいたい、男がクラス代表なんていい恥さらしだと思いませんか?」

 ……くだらない。

千冬「……そうか。さて、どう決めたもの――」

一夏「――セシリア。どういう意味だ」

 千冬の言葉を遮り、一夏は問いかけた。

 セシリアは腰に手を当てながら答える。

セシリア「そのままの意味ですわ。ところで男と女、世間ではどちらが偉いか知っていますか?」

一夏「そんなこと誰だって知っている。世間では男より女が偉い。それがなんだって言うんだ」

セシリア「でしたら命令します。大人しく引き下がりなさい」

一夏「ふざけるな。誰が従うか。お前は男が代表だといい笑いものだって言ったよな」

セシリア「ええ、そう言いましたわ」

一夏「結局お前は自分の見栄の為に代表になりたいだけだろ」

セシリア「そんなことはありませんわ! 私は――」

一夏「――みんながお前と同じ気持ちなら俺たちが推薦されるわけがない。違わないか?」

セシリア「それは……確かにそうですわ。自分の被は認めましょう。それならクラス代表を実力で決める――それなら問題ないですわね?」

一夏「ああ」

セシリア「わかりました。ならばイギリス代表候補生のわたくしがあなた達に決闘を申し込みます。クラス代表はその結果で決めましょう」

一夏「それなら文句ない」

セシリア「そこのあなたもそれでいいですか?」

ジェイド「いや、推薦してくれた人には悪いが辞退させてもらう。二人でやってくれ」

 そういうとセシリアは嘲笑を浮かべながら口を開く。

セシリア「あら、怖気づきましたの?」

ジェイド「何より戦う理由がない」

セシリア「いえ。誰が代表にふさわしいのかはっきりしますわ」

ジェイト「それ自体がくだらない」

セシリア「どういう意味ですの?」

ジェイド「そもそも、ISとは兵器だ。兵器とは暴力だ。引き金を引けば簡単に人が死ぬ」

ジェイド「ファッション感覚で着こなし、自慢をし、殺す覚悟も殺される覚悟もなく扱うようなものじゃない」

ジェイド「それともお前は殺すつもりで決闘を申し込んだのか」

セシリア「っ! そんなことあるわけないでしょう!」

ジェイド「所詮はその程度の覚悟だ。兵器を使った決闘は言うなら殺し合いだ。そんなことすらわからないヤツらと戦って一体何になる」

千冬「ISには絶対防御という機能がある。ISのエネルギーが切れない限り死ぬことはない。言いすぎだ」

 なら、エネルギーが切れたら後ならばどうだ。

 そもそも相手がISを装備していなかったら場合はどうする。

 例えどんな理屈を並べようとISが兵器だということは変わらない。

 そんな反論が脳裏に浮かぶが口に出さずに押しとどまる。

ジェイド「……少しばかり言い過ぎた。謝罪する」

セシリア「いいですわ。あなたが野蛮な人だということは充分にわかりましたから」

セシリア「常識的に考えて、ちゃんとルールを決めてから戦うに決まってるでしょう」

 野蛮――言いえて妙だな。

ジェイド「どちらにしろ、俺はくだらないことで戦うつもりはない」

セシリア「あら? あれだけ大きな口で叩いておいて、もしかして戦うのが怖いのですか?」

ジェイド「そんな安い挑発にのるとでも?」

セシリア「少しは知能があるようですわね」

千冬「ジェイド、お前も参加しろ。くだらないと言うのなら、まずはお前の実力を見せてみろ」

ジェイド「……勝ち残ったとしても、俺は代表を辞退する。それでもいいか?」

千冬「その時は好きにすればいい」

セシリア「上等ですわ」

千冬「織斑もそれでいいか?」

一夏「ああ」

セシリア「ふふふ、初めてですわ。ここまで私を怒らせた殿方達は」

遅くなりました>>1です……
カフェで財布なくす→盗難届けだす→保険書クレカ全て停止→再発行→財布買い替え
とつまらない出来事が一区切りついたので

 それから数日の間、IS学園に通ってわかったことがある。

 この学園の教育は些か以上に温過ぎる。

 技術者の育成も教育内容に含まれているのだろうが、それでも甘い。

 クラスの殆どがISについての事前知識があるようだが、最初の実習はISの搭乗から始めるそうだ。

 そして授業もここ数週間の内、数日で覚えた基礎的なことを長々と解説するだけ。

 現段階で退屈するなという方が酷な話だ。

 そしてセシリア・オルコット。

 国を代表するIS乗りの一人だと言うのなら、少しはマシであると期待したい。

 もし期待が外れていたのなら……。

 ネクスト寄りのIS――ストレイドにはコジマ粒子が搭載されていない。

 ISと化したあの時にイレギュラーと見なされ、削除されている。

 そしてその代わりに使われいるのがISのシールドエネルギーである。

 莫大なエネルギー貯蓄とエネルギー回復速度を誇るネクストと、エネルギーが切れない限り搭乗者を守り続けるIS。

 その二つを兼ね備えたストレイドは間違いなく両世界に置いて異端の機体である。

 そしてそれに登場するジェイドの戦歴もまた異端……いや、異常である。

 最大二千人収容可能とされているクレイドルを5機墜落させ、当時生き残っている最精鋭の5人のリンクスを同時に撃退。

 生き残っている全てのリンクスを倒した後にリンクス戦争の英雄と引き分ける。

 初めての依頼を熟して僅か数ヶ月の新人であることも考えると、彼は間違いなく天才であり、異端者であり、異常者であった。

 そして彼はセシリア・オルコットと対面する。

 お互いに自身のISを展開させており、試合会場であるアリーナで互いを見据えていた。

 シールドエネルギーで出来たバリアーが展開され、後は始まりの合図を待つばかりである。

 彼らの周りを見てみればアリーナの観客席があり、数多くの生徒たちがそこに集まっていた。

 二人のクラスメイト達に他の一年生だけではなく、二年生から三年生までもこの試合を見に来ている。

 新入生の専用機持ち同士が戦う――宣伝頭としては充分な話題である。

 一部では勝敗を賭けようとする動きもあるが、おそらく教師陣に見つかるのが落ちだ。

セシリア「さあ、覚悟はよろしいですか?」

 セシリアはBTライフルの銃口をジェイドに向けながらそう問いかける。

ジェイド「覚悟?」

 ジェイドは内心鼻で笑いながらそう問い返した。

セシリア「もちろん、私に負ける覚悟ですわ」

ジェイド「生憎、そんなものは持ち合わせていない」

 ジェイドはAMS接続を一次接続から二次接続へと移行させる。

ジェイド「だが、期待はしているぞ。代表候補生徒やら」

 脳で処理する電気情報の量が増えるが、高いAMS適性を持つ彼からすると二次接続までなら特に問題はないのであった。

 そして開始の合図がなると二人は同時に距離を取る。

セシリア「さあ、踊りなさい。私、セシリア・オルコットとブルー・ティアーズの奏でる円舞曲で」

 そう言うと彼女は機体の名前にもなっている機体を象徴する武装、ブルー・ティアーズで戦線攻撃を仕掛ける。

 ブルー・ティアーズ四機による攻撃をストレイドを襲うが、ジェイドはそれを通常の推力のみで全てを避ける。

 セシリアは後退しながら回避するジェイドを絶好の好機だと思いライフルを取り出すとストレイドへ向けて引き金を引いた。

 その様子を冷静に観察していたジェイドはライフルによる射撃を易々と躱し続けるとため息を着いた。

ジェイド「この程度なら失望ものだぞ」

セシリア「どういう意味でして?」

 落胆の色も隠さずにセシリアに告げると、彼女はライフルを突きつけながら問いかける。

ジェイド「……」

 その問いを答えるでもなく、ジェイドはただただ冷ややかな目でセシリアを見下す。

 その目線にセシリアが感じたものは、軍人のそれでもなく、権力を振りかざしてきた者のそれでもない――得体の知れない何かだった。

 そして思わず彼女はライフルの引き金を既に引いてしまうのだった。

 そしてその一撃がストレイドに直撃する直前にネクスト特有のそれが現れた。

 PA――本来ならばコジマ粒子を使用するエネルギーバリアーのような物である。

 その性能は彼の世界で国家を転覆させた要因の一つと言ってもいいほど強力であった。

 そしてストレイドはコジマ粒子特有の緑ではなく青白いドーム状の衣を纏い、セシリアの攻撃を受けた。

 しかし、コジマ粒子を使ったPAと違い、エネルギー弾類に驚異的な防御力を発揮するPAの前で、BLTライフルはほとんど無意味に近い。

 勿論ストレイドにダメージはなく、セシリアは驚きを隠せずに声を漏らす。

 ジェイドは既にセシリアを度外視し、シールドエネルギーの残量を見る。

 先ほどまで満タンに近かったシールドエネルギーの残量が徐々に減りはじめていた。

 大量のシールドエネルギーを消費して展開されるPA――その効果は絶大であるが、その消費量が大きなネックである。

 展開している間はエネルギー残量を大きく削っていき、長時間の展開にはむいていない。

ジェイド「どうした。もう手詰まりか?」

 ジェイドはPAを解除すると、最後セシリアに問いかけた。

セシリア「まだまだ、これからですわ」

 セシリアはそう答えるが、ジェイドは興味無さげ聞いた直後に彼女へ告げた。

ジェイド「そうか。落ちろ」

 その言葉と同時にセシリアは距離を取りライフルを構え、ストレイドをロックオンするも、そのすべてが無駄に終わるのだった。

 オーバード・ブーストの噴射と同時に瞬間加速をかけてながら、ブルー・ティアーズのロックを惑わせるための左右への瞬間加速。

 さらにオービットをばら撒きながら懐に入ると、セシリアとブルー・ティアーズの頭部を左手で掴み、地面に向けて加速し始める。

 地面にめけて加速するストレイドにセシリアはブルー・ティアーズでの反撃を試みるも、PAを展開され、なすがまま地面に向けて加速していくのだった。

 そしてセシリアを地面に押し付け、地面を抉りながら失速し始めるとオービットの発射口をセシリアに向ける。

 頭部を掴んだままの左手で、まだシールドエネルギーが残っているブルー・ティアーズを持ち上げると駄目押しに複数のオービットによる射撃を行なう。

 連続して放たれるレーザーに、収束して放たれる一筋のレーザー。

 その二種がもうほとんど動く様子のないセシリアに降り注がれていく。

 そしてその射撃は、セシリアのIS――ブルー・ティアーズのシールドエネルギー残量が切れるまで続くのだった。

 セシリア・オルコットとの試合が終わると、ジェイドはストレイドの個人間秘匿通信を開いた。

千冬「やり過ぎだ。馬鹿者」

 開口一番にそう告げられるとジェイドは鼻で笑いながら答えた。

ジェイド「ああ、確かにやりすぎかもな」

 そう答えると右手を観客席に構える。

 右手の袖から銃口が現れると、そのまま観客席に向けてパルスキャノンが発射された。

 ソレ自体はアリーナに張られたシールドバリアーによって被害はなかったが、観客席にいた女生徒達は脅えながらその場を逃げ出した。

 先程ジェイドが行った試合は素人目から見ても圧倒的であった。

 機体の性能然り、彼自身の操作の腕も然り。

 そのISと彼が自分たちに向けて銃口を向けている。

 何故このようなことを彼がしたのかはわからないが、彼を恐れるには十分である。

千冬「馬鹿者! 何をやっている!?」

 そして彼は動かなくなったIS、そしてその搭乗者セシリア・オルコットに向けて銃口を向ける。

千冬「何を――」

ジェイド「――織斑千冬、判断は間違えるな。実力を見たいのだろ? ならば自分でかかってこい」

 ジェイドが個人間秘匿通信を閉じるとアリーナに警報が鳴り響く。

『非常事態発令! 状況をレベルDと認定。鎮圧のため教師舞台を送り込む! 生徒は直ぐに避難すること!繰り返す――』

ここで>>1の書き溜めが終わっている。
出来るだけ時間見つけて書き溜めますのでもう少しだけ待っていただけると幸いです。

 そしてその事件から数十分が経過した。

 その時間の内、殆どが場所を変えるのに要した時間。

 ものの数分の内にその事件の幕が上がり、下りている。

千冬「何故あんなことをした! 答えろ!」

 観覧していた生徒への攻撃か。

 それとも教師部隊の壊滅か。

 どれを差しているのかはわからない。

 いや、おそらくはその両方なのだろう。

ジェイド「実力の証明――お前が言った事だろう。悪いが、手段を選ぶつもりはない」

 織斑千冬の苛立った眼差しを正面から受け、それでも脅えず更に言葉を続ける。

ジェイド「そもそも、相手が相手だったからな」

千冬「どういう意味だ」

 彼女のそんな口ぶりが、恩師――セレン・ヘイズの姿と被って見える。

 織斑千冬に恐れず、正面から口が聞けるのも、きっと彼女の影響なのだろう。

ジェイド「あの程度の――粗製を相手にして実力の全てを見せれるわけないだろう。何より、あの機体はオーバースペック過ぎる」

千冬「それをあそこまで操るお前も大概だがな」

 彼女がそう言うと、次の言葉が出てこずに口を閉ざす。

千冬「その年でそれほどの力――おそらく人生のほとんどを費やしたのだろう。だが、やれることとやっていいことは違う」

 正確には違うのだが、訂正する意味がない。

 費やしたのは、生きてきた時間ではなく、生きられる時間だ。

ジェイド「説教のつもりか?」

千冬「説教じゃない。忠告だ。身を滅ぼすぞ」

ジェイド「……それも既に体験済みだ」

 そう告げると、彼女もまた口を閉じた。

 疑問が確信に変わった。そんな表情を浮かべている。

ジェイド「その時はこの命を代償に払った。おかげ様で、そう長く生きられないだろうさ」

 ラインアークの防衛以降の、カラードからの悪意に満ちた依頼の数々。

 高濃度コジマ粒子によるコジマ汚染の深刻化。

 彼――ORCA旅団の頭脳、メルツェルが首輪を外そうとしなかったらどうなっていたことか。

ジェイド「それで、この事件の代償はどうすればいい?」

 彼女に尋ねると、表情をゆっくりと変え、口を開く。

千冬「……一ヶ月の謹慎処分」

 彼女の表情はプライベートのものではない。

 あくまでの仕事だと割り切っている――そんな表情を浮かべているからこそ、次の言葉を促すために口を開いた。

ジェイド「ずいぶんと軽いな」

千冬「単刀直入に言う。この学園の為に協力しろ」

ジェイド「断れば相応の報いを――か。だが、こちらからも条件がある」

千冬「言ってみろ」

 そう言うと彼女は顔色を変えずに答える。

 彼女からするとこちらが条件を出すのも想定済だったのだろう。

ジェイド「あくまで依頼という形態で協力を要請すること。勿論内容が気にくわなければ手を引かせてもらう。そして――」

 一度言葉を区切ると、まるで関係の無い――むしろ意図が分らないであろう質問を投げかける。

ジェイド「打鉄かリヴァイブ、どちらか一機を提供してもらいたい」

 ストレイド――正式な名前は……。

 とにかくこちらの手の内に、正体不明でありがながらオーバースペックのISがあり、態々性能で劣るISを要求する意味がない。

 だからこそ彼女は眉を動かし、問いかける。

千冬「どういうつもりだ」

ジェイド「有体に言うなら暇つぶしだ。中を覗いて、プログラムを書き換えるだけだ」

千冬「出来るのか?」

 再び彼女が問いかけると飄々とした様子で問いに答える。

ジェイド「やることはただの模倣だ。おそらくこの世界で最高峰の、だがな」

千冬「……ストレイドのか」

 まずは相手に大きなメリットを提示する。

 本当はやってみなければわからないのだが、わざわざデメリットを口にする必要はない。

「お前達にも、悪くない話だと思うが?」

 あの世界で最後に俺を見届けた――少し癪に障るあの男を思い出しながら、彼女にそう問いかけるのだった。

あるゲームで傭兵業が忙しかったとか
あるゲームのイベントで提督業が忙しかったとか

E4を集中攻略中に誰かがやらかしてその修正作業をしてたとか
そのせいで体調を崩し、その間に19ちゃんと戯れていたとかないとか


……二か月放置してすいませんでした

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