やたー、ショートショートできたよ (27)

自分

男は優秀な科学者だったが怠け者だった。

そこで自分を完全にコピーしたロボットを作って働かせることにした。

ロボット「こんにちわ、私」

男「ふむ、外見はどこからどう見ても私だ。だが、頭はどうかな」

男が難問を質問したところ、ロボットはすらすらと答えることができた。

男「すばらしい、やはり私は天才だ」

ロボット「わたしなんだから、このくらいは答えられるのは当然だ」

男「いや、君のことではなく、完璧なロボットをつくった私のことを褒めたのだ。まあ、いい」

外見も、頭の良さも、男にそっくりなロボットならば完璧に演じてくれるだろうと考えた。

男「それでは私が遊んでいる間、君はこれから私の代わりに研究をしてくれたまえ」

ロボット「いやだよ。君がやればいいだろう。私が遊ぶ方をやってあげるよ」

男「なんだと! お前は私につくられたロボットじゃないか」

ロボット「そうだ、完璧にお前とうり二つのロボットだ。外見も、頭も、思考さえもな」

男ははっとした。怠け者の男の思考をコピーしたロボットが、自分の代わりに働くはずがなかったのだ。

世の中はうまくいかないものだ。

残念だが、このロボットは役に立たない。

解体するしかないだろう。

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幽体離脱

ある日、山本は幽霊にであった。

最初は驚いたが、なかなか気さくな奴で、すぐに友達になった。

山本「お前はいいよな。空も飛べるし、壁も抜けられる」

幽霊「そんないいもんじゃないよ。幽霊なんて女の身体を目の前にして触れられやしないんだぜ」

山本「もてない男を宿命づけられた俺からすれば、見るだけでも素晴らしいさ」

幽霊「それなら幽霊になってみるか?」

山本「冗談やめろよ。いくら幽霊に興味があるからって死ぬ気はねえよ」

幽霊「何も本当に[ピーーー]というわけじゃない。一時的に幽霊になるだけだ。幽体離脱ってやつだな」

山本「本当か? 死なずに幽霊になれるんだな!」

幽霊「本当さ。幽体離脱てやつは、仮死状態だ。肉体は生きているから、魂を入れれば動き出す」

山本「それじゃあ幽体離脱をする方法を教えてくれ」

それから一週間。

幽霊の指導もあり、山本は幽体離脱に成功した。

山本「おお、本当に空を飛んでいる」

幽霊「壁抜けも自由にできる。女湯ものぞき放題だ」

山本「早速、女湯をのぞいてくるよ。ありがとな、幽霊」

幽霊「俺のことはこれから山本と呼んでくれ、幽霊」

島流し

男は盗みの罪を犯し、無人島へと島流し10年の刑になった。

男「ああ、俺の人生お先真っ暗だ」

そのとき茂みが動いた。男が不思議に思って茂みの方向を見ると、女がでてきた。

男「無人島と聞いていたが、人がいるじゃないか。君の村までつれていってくれないか?」

女「この島に村なんてないわ」

男「村がないというのはどういうことだい?」

女「わたし島流しになったの」

男「なんだって! 実は俺もなんだ。罪といっても大したもんじゃない、ちょいと腹が減って野菜を盗んだだけなんだ」

女「そう。興味ないわ」

女はそっけなくつぶやいた。

男「そっか、俺がなんの罪を犯したかなんてどうでもいいよな。それにしても10年もここで暮らさなければならないのか」

女「10年ならいいじゃない。わたしなんてもっと長いわよ」

男「へー、何年だい?」

女「100年」

男「そりゃ死ぬまでって意味だ。運が悪いな。どんな罪を犯したんだ?」

女「凶暴な野獣を絶滅させるべきと主張しただけよ。いつも仲間同士で殺しあっている凶暴な獣なの」

男「そんなことで100年も島流しかい! そりゃ酷いな。それにそんな野獣は保護すべきじゃない」

女「あなたもそう思う?」

男「ああ、思うよ」

女「良かった。本人が言うんだから、やはり私は間違ってなかったんだわ。島流しの刑期が終わったら、銀河宇宙連邦に報告しましょう」

サイン通し

今日は高校野球の決勝戦が行われていた。

天気は快晴で、飛行機雲だけが一筋流れていた。

2塁に進塁した走者が身体全体を使っておかしな動きをしている。

どうやら投手の球種をバッターに教えようとしているらしい。

大の野球好きで知られる大統領もお忍びで観覧に来ているという大事な試合で、こんな恥ずべき行為が行われている。

審判は試合を一時中断して、走者に注意を促した。

審判「サイン通しをしているな。今すぐ止めなさい」

2塁走者はぎくりとして動きを止め、表情が強張っている。

審判「サイン通しは高校野球のルールで禁止されている。身体を動かすだけなく、ルールブックをちゃんと読みなさい」

2塁走者「すみません」

言葉と裏腹に2塁走者は満面の笑みだ。

まったく反省していないらしい。

助っ人外国人ということだが、モラルを学んで欲しいものだ。

なんでも2塁走者の出身国は勝つためにはどんな卑怯な手段も用いる国だという。

不眠症

男は不眠症になってしまった。

いろいろな病院にいったが、どの医者も不眠症を治すことができなかった。

男「先生、わたしは重度の不眠症になってしまいました。色んな医者が治そうとしましたが、治すことができません」

医者「ふむ、それでどのくらい寝ていないのかね?」

男「今日でちょうど1年です」

医者「1年も! これは驚きだ。いまだかつてそれほど長く寝ないでいられた人は見たことがない」

男「やはりダメでしょうか?」

医者「任せなさい。わたしは眠りのスペシャリストだ。君を必ず眠らせてみせよう」

男「ありがとうございます!」

医者はすべての知識を使ってさまざまな実験を行った。

しかし、子守唄、α波、運動療法、食事療法、睡眠導入剤などのすべてが効果を発揮しなかった。

男「ああ、俺はもう眠ることができないんだ」

医者「まだ手はある。まだ試していない方法が1つだけある。今までの患者でこの方法を試して眠らなかったものはいない」

男「本当ですか! 是非ともその方法を試してください」

医者「わかった。そこまで言うならやろう」

男「それで今度はどんなことをすればいいのですか? 薬を飲めばよろしいでしょうか、それとも装置を頭につければよろしいでしょうか」

医者「なあに、君はそのまま数秒じっとしてさえいればいい」

男「先生、ところでさっきから気になっていたのですが、手に持っている斧は何に使うのでしょうか?」

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