やよい「……プ、プロデューサー、あの……」
P「どうした?」
やよい「……また、お…お金がなくなっちゃったので……うぅ……」
P「おう」スッ
やよい「あっ、ありがとうございます!あの…返しますから!絶対返――」
P「いや、いいよ」
やよい「……」
やよい『うっうー!助かります!これで皆ご飯食べられます!』
P『はは、別に返さなくてもいいぞ』
やよい『いえ!お給料入ったら、お礼します、そのついでに返しますよ!』
やよい「……」
やよい「……ごめんなさい、あの……返します…から」グスッ
やよい(よし、とにかくすぐにナプキンを買いに行かなくちゃ!)
雪歩「あ、やよいちゃん。ちょうどお茶淹れたんだ。どうぞ」
やよい「あ、いえ、その」
やよい(早く買いに行かなくちゃ、染みてきたらどうしよう)
貴音「ちょうど良いお茶請けもありますよ」
響「自分が買ってきたとびっきり美味しいって評判の葛切りだぞ!」
やよい(そう言えば、ここのところ節約しすぎで甘い物食べてなかったなぁ)
やよい「うっうー!ごちそうになりますぅ!」
やよい「とっても美味しいですー!……あっ!」
響「どうしたんだ?やよいー?」
やよい「すみません、ちょっと」
やよい(あまりに甘くて美味しくて忘れてたけど、ナプキン買わないと!)
やよい(でも、その前にトイレに行かなきゃ……きっとこのままじゃ染みちゃう!)
あずさ「あらあら、やよいちゃん。急いでどうしたの?」
やよい「ちょっとトイレに」
あずさ「それは困ったわー。
ついさっき、お腹を抱えた律子さんが顔色変えて飛び込んでいったから。
しばらくかかるんじゃないかしらー?」
やよい「あぅ……そんなぁ」
あずさ「大丈夫よ。最近のコンビニはトイレも設置してあるから。
近くのコンビニに行けばなんとかなるわ」
やよい「本当ですか!?
あずささん、ありがとうございます!」
あずさ「そんな、お礼言われるような事じゃないわよ。ほら、行ってらっしゃい」
やよい「はい、行ってきます!」
バタン
亜美「あっれー? やよいっち、どこ行くの?」
真美「ほら、はるるんがクッキー焼いてきたんだって!早い者勝ちだよ→」
春香「たくさん焼いたから、そんなすぐにはなくなったりしないよ」
やよい「く、クッキー!」ゴクリ
やよい(だ、ダメです。さっき葛切り食べたし、ここは我慢しなきゃ!)
やよい「ごめんなさい春香さん! すぐに戻ってきますから!」
春香「え?や、やよい!?」
亜美「いまやよいっち、ちょっと泣いてなかった?」
真美「どうしたんだろ?」
やよい「ぷ、プロデューサー!またお金貸してください~!」
P「しょうがないなぁ、はい1万で足りる?」
やよい「うっうー!ありがとうございますー!」
やよい(マジちょれーわ)タバコスパー
やよい「コンビニありましたー!」
真「あれ、やよい。珍しいね、ここで会うなんて」
やよい「真さん、おはようございます!あの、トイレってどこですか?」
真「あぁ、トイレならさっきから千早が待ってるんだけど」
千早「前の人がその……長いみたいで。なかなか空かないの」
やよい「そんなぁ」グスッ
千早「私はそこまで我慢できないわけではないから、先に事務所に行くわ」
真「うん、それじゃ。……やよいはどうする?」
やよい「うぅ……他のコンビニを探してみますぅ」クルッ
真「! やよい、僕も一緒に行くよ」
やよい「え?」
真「ちょっと待っててくれるかな。買い物してくるから、先に出てて」
やよい「は、はい」
やよい(真さん、まだかなぁ……このままじゃ)
伊織「やよい、こんな所でどうしたの?」
美希「おにぎり買いに来たの?」
伊織「それはアンタでしょ」
やよい「あの、事務所も此処もトイレがいっぱいで。今は真さんを待ってるんです」
真「お待たせ、やよい。そこの喫茶店に行こう。他のコンビニはちょっと遠いから」
やよい「えぇ!?でも、喫茶店に入るようなお金は」
真「大丈夫、大丈夫。素直にトイレ貸してくださいって言えば貸してくれるよ。
じゃ、ボク達はこれで」
伊織「あ……」
美希「デコちゃん、アレ」
伊織「デコちゃん言うな。それより、おにぎりはお預けよ。良いわね?」
美希「えぇー」
真「すみません、ちょっとトイレお借りします」
やよい「あの、真さん、大丈夫です。ここまでくれば1人で」
真「いいから、ほら。洗面所までは一緒にいくよ」
やよい「え、でも」
真「さすがに個室までは入らないよ。でも、やよいが気づいてないみたいだったから」
やよい「気づいてないって……あ!」
やよい(ふともものところに、ちょっぴり……)
やよい「ふ、ふぇぇぇぇぇぇ」
真「泣かないで、やよい。大丈夫、キュロットは汚れてないみたいだから。これ、使って」
やよい「これ……ナプキン……」
真「コンビニで買ってきたんだ」
やよい(嬉しいけど、でも、もうナプキンだけじゃ)
やよい「真さん、ごめんなさい……ごめんなさーい!」
真「やよい、落ち着いて!?」
やよい(真さんが折角買ってきてくれたのに……でも、このままじゃ)
伊織「真ってば、詰めが甘いんだから」
真「伊織!?」
伊織「ほら、これ」
真「これ……サニタリーショーツ……そっか、気づかなくてごめんね、やよい」
やよい「いいえ、誰も思わないですよね。普通のパンツにトイレットペーパーだけなんて」
真「仕方ないよ。初めてだったら色々分からないのも当然なんだし」
やよい「真さん!さすがに初めてじゃないです!」
伊織「真、やよいを何歳だと思ってるのよ!?」
美希「2人共、声が大きいの。もう少しで他のお客さんに聞こえそうだったよ?」
真「ゴメン」
伊織「フン。遅かったじゃない、美希」
真「美希は何を買いに行ってたの?」
美希「おにぎりだよ☆」
伊織「アンタねぇ」
美希「でも、このおにぎりが入ってたビニール袋は、役に立つって思うな」
やよい「美希さん……ありがとうございます!」
バタン
やよい「うっうー!真さんも伊織ちゃんも美希さんも、ありがとうございました!」
真「ナプキンは夜用を買ったから、長い時間保つと思うよ」
やよい「はい!すっごく頼もしそうなナプキンでした! サニタリーショーツもサイズがぴったりで」
伊織「そ、それより、さっさと事務所に戻りましょう」
美希「途中でまたおにぎり買いたいの」
伊織「さっき食べたんでしょ!?」
やよい「あの、これ、さっきプロデューサーから借りたお金なんですけど」
でも、このお金から真さんや伊織ちゃんにお返しするのは違うような気がして」
真「お返しなんて、そんなのいいんだよ、やよい?」
伊織「そうよ。困ったときはお互い様。 どうしてもって言うなら、やよいの手料理をご馳走になってもいいかしら?」
やよい「でも、それじゃもやしくらいしか」
真「いいんだよ、それで。やよいの心のこもった料理なんだからさ」
やよい「ありがとうございます、真さん、伊織ちゃん!」
美希「美希はおにぎりがいいの」
伊織「アンタは空き袋あげただけでしょ」
やよい「ただいま戻りました!」
真「おはようございまーす!」
伊織「ただいま」
美希「ただいまなの!」
亜美「やよいっち!大丈夫?」
やよい「え?」
真美「あずさ姉ちゃんから、やよいっちがトイレに行きたがってたって聞いたからさ。
立ち話なんかしちゃって、悪かったかなって」
やよい「大丈夫だよ。ちゃんと……間に合ったから」
亜美・真美「そっか→」
春香「あ、おかえりやよい。ちゃんとクッキー残ってるよ」
千早「高槻さんの分の牛乳もちゃんとあるわ」
やよい「ありがとうございます! あ、牛乳があったかい!」
千早「『こういう時』は、お腹を温めていた方がいいから」
やよい「あ……」
貴音「やよい、ブランケットがありますから、どうぞ」
響「良かったら今日、一緒に買い物行こう!
自分、安さが自慢のドラッグストア見つけたんだー!」
雪歩「その、私もよければ一緒に……皆で行けば恥ずかしくないから……」
やよい「皆さん、ありがとうございますっ!」
あずさ「やよいちゃん、ちょっとこっちに」
やよい「どうしたんですか。あずささん。あ、律子さんも」
律子「これまで教えてなかった私も悪いんだけど……ほら、小鳥さんの机のココ」
やよい(ナプキンだ……)
あずさ「予想外の時になったりもするから、こうして予備を置いているらしいの。
小鳥さんだけじゃなくて、皆の為にって」
律子「救急箱と一緒じゃ、プロデューサーや社長に見られるかもしれないから、此処にあるの。
いつでも使っていいからね」
やよい「……はいっ!」
やよい「プロデューサー!」
P「やよい、今日も元気だな」
やよい「はい! 今日はお給料日なので、この前借りたお金を……」
P「返さなくていいって言ったろ?」
やよい「でも、助けてもらった分はちゃんとお返ししておきたいんです!」
P「そうだな。そういう、真っ直ぐなところがやよいのいいところだもんな」
やよい「えへへー。誉められちゃいました!
ちゃんとお返ししたいから、今日は皆さんを呼んでもやしパーティなんです!」
P「へぇ。アイドルの皆で何かあったのか?」
やよい「それは……女の子の秘密です!」
おわり
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