シャルル「ルルーシュに恋人ぉ!?」 (176) 【現行スレ】


――――黄昏の間

シャルル「……」

V.V.「どうしたんだいシャルル?急に呼び出したりして」

シャルル「兄さん、ワシはある事を決めました……」

V.V.「へー、何を決めたんだい?」

シャルル「それはですね……」ガシッ

V.V.「シャルル?何で僕の顔を掴んでるんだい?」ズルズル

シャルル「こうするためですよ兄さん」ポイッ


 ↓シャルル
  ○
 く|)へ

__ 〉 
____7 
     
ヽ○ノ←V.V.

ヘ/




V.V.「シャルルゥゥゥゥ―――!」ヒューーー……

シャルル「……」

シャルル「ロシア方面軍を使うか……」


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――――イケブクロ 駅ビル

シャーリー「私は、ルルが好き。スザクくんは嫌い?」

スザク「僕は……好きだった」
   「許せないんだ……」

シャーリー「許せないことなんてないよ。それは、きっとスザク君が許さないだけ、許したくないの!私は、もうとっくに許したわ」

スザク「シャーリー、君は……」

ピピピピ

スザク「あ!ごめん電話だ」ピ

シャルル『枢木よ…』

スザク「皇帝陛下!」

シャルル『今直ぐルルーシュの恋人をわしの元に連れてくるのだ!』

スザク「陛下?それは一体……」

シャルル『返事はぁ?』

スザク「い、イエス、ユアマジェスティ!!」

スザク「……」

シャーリー「スザク君?どうしたの?」

スザク「シャーリー、悪いけど今直ぐ僕と来てくれ」ガシッ

シャーリー「ちょっ、スザク君!痛い!離して!」

スザク「ごめん、シャーリー」トン

シャーリー「」キゼツ

ヒソヒソ ガヤガヤ ナニアレ? テロ?


警官「ちょっと君止まって!」

スザク「自分はナイト・オブ・セブンの枢木スザクだ」

警官「!し、失礼しました」

スザク「皇帝陛下の命を受けて、彼女を連れて行かなければいけない!」

警官「しかし…」

スザク「皇帝陛下に逆らうつもりか!」

警官「いえ!消してそのような事は!」

スザク「ここでは何も起こらなかった!いいな!」

警官「イエス、マイロード!!」

――――イケブクロ 駅ビル
ルルーシュ「ジェレミア・ゴッドバルド、貴公の忠節はまだ終わっていない筈、そうだな?」

ジェレミア「イエス、ユアマジェスティ!」

――――
ルルーシュ「……クソ、繋がらないな」

ロロ達に俺の無事とジェレミア卿を仲間に引き入れたことを伝えた後、シャーリーに対して連絡を試みているが繋がらない。
先ほどの彼女の様子は尋常ではなかった。確認をしておいた方がいいだろう。
スザクに任せたこと以上、余程のことはないと思うが……。

ピピピピ

ルルーシュ「ん、スザクからか?もしもし」

スザク『ルルーシュ、今いいかい?』

ルルーシュ「構わないが」

スザク『実は急に日本を離れなくちゃいけなくなってね』
   『といっても終わればすぐに戻ってくる予定だけどね』
 
ルルーシュ「それは仕事としてか?大変だな」

スザク『ああ、シャーリーを皇帝陛下の元に連れて行かなければいけなくてね』

ルルーシュ「何ィ!?」

スザク『どうも1年前のブラックリベリオンの時の事を聞き出したい、て事らしい』

ルルーシュ「そ、そうか。皇帝陛下の命なら仕方ないな……」
     「大事に扱ってくれよ、俺の大切な……彼女なんだ」

スザク『ああ、わかってるよ。じゃあ』ピ

ルルーシュ「……」

ルルーシュ(やってくれたなぁシャルルゥゥ!!)ギリッ
     (このタイミングで行動を起こす、それはつまり俺の記憶が戻っていること)
     (それが分かったから俺に対する一手ということか……)

ルルーシュ(ジェレミア卿は囮だった?それとも裏切りを読んでいたのか?)
     (クッ、情報が足りない……)
     
ルルーシュ(シャーリーに何をするつもりだ?)
     (記憶を書き換えてブリタニア兵士として俺に対する当て馬か?それとも人質か?)
     (いや、やつのギアスを考えればいくらでも方法はある……)

ルルーシュ(おのれ、ナナリーだけではなくシャーリーまで巻き込みやがって!)

ルルーシュ(スザクにシャーリーを任せたことが完全に裏目に出た、俺のミスだ)
     (今はそんな事を考えても仕方ない……)
     (ここで何らかの行動を起こせばシャーリーかナナリーどちらかは犠牲になる)ギリッ

ルルーシュ(ナナリーのためなら俺はどんな事でもやってきた……)
     (それは今までも、これからも変わることはない!)
     (俺の第一目標はナナリーだ!)

ルルーシュ(しかし……)
      
ルルーシュ(……彼女は俺が変えてしまったんだ)
     (父親を殺め、記憶を奪った。それでも俺の事を……)

彼女の笑顔が浮かぶ。
その笑顔を奪ったのは俺だ。
俺が巻き込んでしまった。俺が、変えてしまったのだ。

ルルーシュ(C.C,はかつて言っていた「本当に失いたくないものは、遠ざけておくものだ。」と……)
     (彼女の事を思うなら関係を断ち切るべきだった……)

ルルーシュ(だが俺はやつとは違う!)
     (俺は俺が守りたいと思うものは、全て護って見せる!)
     (……それが俺の覚悟だ!!)

――――ギアス嚮団 跡地
C.C.「これは酷いな……」

あいつの命令でジェレミアとロロ、そして零番隊と共にギアス嚮団を強襲する―――はずだった。
だがいざ来てみれば嚮団は既に何者かに襲撃された後だった。

木下『これは一体……?』

ゼロ『ブリタニア軍の非道な人体実験施設……だったが』
  『生存者の捜索を急げ!情報を聞き出す!』
  『遺体を収容し検分も行う!』

状況から推察するに爆撃機による絨毯爆撃だろうか。
建物が完全に埋まってしまっていた。

V.V.の反応はおろか、他のギアス能力者の反応も感じ取ることが出来なかった。
これでは生存者に関しては絶望的だろう……

嚮団員の遺体を次々に収容していく。

木下『惨いものだ』
『こんな子供まで……』
『おのれブリタニアめ!』

C.C.「……せめて供養してやろう」

余りの光景に零番隊も弱音を吐いている物もいる。
私も気分は良くない。

攫われたシャーリーの件でV.V.に機密情報局から確認を取ろうとしたが繋がらなかった事。
ジェレミアの定時連絡に対しても応答がなかった事。
その事を不審に思ったルルーシュが嚮団を調べる為にやってきたが、まさかこんな事になっているとは。

ルルーシュ『C.C.!V.V.の反応はないんだな?』

C.C.「ああ、少なくとも生きてはいないようだ」

C.C.(シャルルがV.V.を切り捨てたのか?)
  (だとしたらなぜ今になって?)  

そう思案しているとジェレミアから報告があった。

ジェレミア『ルルーシュ様、生存者を見つけました』

ルルーシュ『何!?』

ジェレミア『コーネリア様です。衰弱が激しいですが、お命には別状はありませんが……』

ルルーシュ『……情報を引き出す必要がある。内密に斑鳩に収容しろ』
     『介抱を頼めるか?ジェレミア卿』

ジェレミア『イエス、ユアマジェスティ!』

ルルーシュ『C.C.聞いての通りだ。コーネリアの容態が回復次第尋問しろ』

C.C.「それはいいが…、この後はどうするつもりだ」

ルルーシュ『どうにも様子がおかしい……。この場所を知っているのは嚮団関係者とシャルルだけで間違いないんだろうな』

C.C.「そうだな、賊が偶々見つけて爆撃機まで用いて襲撃したとは考えにくいしな」

ルルーシュ『ならばブリタニア軍の襲撃と見て間違いないだろう』  
     『やつとV.V.の間になにかがあったのだろう……』

ルルーシュ『このまま生存者の捜索と、情報の収集にあたれ』
     『終わったら暫くゼロの代役を頼む』    

C.C.「……行くのか?」

ルルーシュ『止めるか?』

C.C.「いいや、お前の好きにしたらいい」

C.C.(ルルーシュめ、シャーリーを助けに行くつもりだな)
  (まあ止めても聞かないだろうし……)
  (シャルルの目的が分からない以上、下手な説得には応じないだろう)

――――蜃気楼 コックピット内

扇『ブリタニア本国へ向かうだって?』

ゼロ「そうだ」

俺は蜃気楼から扇たち幹部へ向けて緊急会議を行うとして招集を掛けた。
俺がブリタニアへ向かっている間、超合衆国への建国の為の準備を行って貰うためだ。

藤堂『超合衆国の建国、これが最優先事項ではないのか?』

ディートハルト『何か理由があるのでしょうか?』

神楽耶『何か目的があるということですよね?』

当然追及を食らうが彼らを納得させる嘘をつく必要がある。
真実を交えた嘘を―

ゼロ「1年前のブラックリベリオンの失敗を繰り返さないためだ!」

『『『!!』』』

ゼロ『私が戦場を離れなければならなかった理由、その障害を取り除く必要がある』

扇『その障害とはいったい何だ?』

ゼロ「嚮団と呼ばれる組織で、ブリタニア皇帝と密接な繋がりがある」
  「子供を使った裏工作や暗殺、人体実験を行っている」
  「そして厄介なことに……」

ゼロ「やつらは私の正体を知っていた」

扇『なんだって?』

ゼロ「私が仮面を被っているのにもそれ相応の理由がある」
  「だが素顔が発覚した場合、騎士団そのものが崩壊しかねない。だから離れざるをえなかった」

ディートハルト『別の人間に対処させることは?組織である以上そのような事も出来たのでは?』

ゼロ「残念ながら返り討ちに合うだけだ」
  「やつらは特殊な能力を持っている」

神楽耶『特殊な能力?』

ゼロ「超能力といってもいい」
  「例えば相手の思考や記憶を読んだり、体感時間を止める事が出来る」

扇『俄かに信じがたいんだが…』

ゼロ「私自身が証明だ」
  「ブリタニア皇帝は記憶を書き換える能力を持っていて、私は一度ゼロとしての記憶を無くしている」

星刻『何!』

ゼロ「一年前嚮団の人間は始末したが、その隙を突かれ枢木スザクに捕らわれた」
  「だが皇帝の目的はC.C.の確保にある」
  「その為に記憶を消され生かされた。C.C.を釣る餌にするためにな。」

ゼロ「詳細は資料を見てくれ」

俺を監視していた男の手帳と機密情報局の資料を転送した。
勿論俺に関する情報は削除してあるが、今俺が話した内容を証明するには十分な資料だろう。
扇達が資料を見ているが構わず話を続ける。

ゼロ「だがその嚮団と皇帝の間で何かがあったらしい」

藤堂『らしい?』

ゼロ「後顧の憂いを断つため嚮団に対して強襲を計画していたが、既に襲撃を受けた後だった」
  「それもブリタニア軍によってな、今C.C.達に情報の収集をさせている」
  「だが私たちが到着した時には既に壊滅していた。これがその証拠だ」

神楽耶『これは……』

扇『酷いな』

ゼロ「状況から推察するに皇帝は嚮団を切り捨てた可能性がある」
  「理由までは不明だがブリタニア国内に何らかの混乱が生じている」

ゼロ「だがこれはチャンスだ。ブリタニア国内に潜伏し扇動活動による分断工作を行う」
  「諜報活動に秀でた嚮団が消えた今、帝国内に隙が生じるだろう。そこを突く!」
  「状況によってはブリタニア皇帝に肉薄出来る可能性すらある」

確証はないがそうゆう事にしておく。
今は彼らを納得させる必要がある。

ディートハルト『……暗殺まで考えていると』

ゼロ「そうだ。成功すれば帝国に計り知れない影響を与えることが出来る」
  「例え暗殺に失敗したとしても、扇動活動による二方面作戦となれば防衛ラインの綻びが生じる可能性がある」
  「既にトウキョウ租界には策を巡らせてある」
  「次の決戦では絶対に負けたくない……。そのために出来ることは全てやる!」

ゼロ「それにブリタニア皇帝と嚮団は……、私の母の仇なのだ!」
  
『『『!』』』

ゼロ「だから頼む、行かせて欲しい……」

暫しの沈黙が続く。
ここでの彼らの説得、これが第一の賭けだ。

星刻『……わかった、君に任せる』

扇『ああ、こっちは任せてくれ』

藤堂「ああ、他の者にも作戦の一環だと伝えよう」

神楽耶『ご武運を……』

ゼロ「よろしく頼む」

これで第一条件はクリア。
これで騎士団方面は問題ない。


ナナリーとシャーリー、どちらを助けるか。
今はシャーリーを優先することにした。

ナナリーはお飾りとはいえエリア11の総督だ。
少なくとも総督でいる間は安全が確保されている。
その存在を直ぐに消すということは、いくら何でも難しいだろう。
むしろ俺がゼロだと確信があるならば、俺に対するカードとしてくるだろう。

それに加えナナリーの傍には少なくともスザクがいる。
俺に対する憎しみはあれど、ナナリーには対してないはずだ。
少なくともナナリーを守るために動いてくれる。
俺とスザクとの友情ではなく―――ナナリーとスザクの友情に賭ける。


だがシャーリーは違う。
彼女を守ってくれる存在はいない。
力を持たない弱者の運命など今まで散々見てきた。

それもただ俺に好意を抱いていたというだけで……

ルルーシュ(俺は、俺の都合で誰かを切り捨てることなど、絶対にしない!)

いくら困難であろうとも、必ず成し遂げてみせる。
否、それでこそ復讐は、真の意味で成し遂げられるはずだからだ……!

――――ブリタニア本国 アリエス離宮

シャーリー(スザク君に気絶させられたと思ったら、王宮みたいな所にいるんですけど……)

シャーリー(服装もなんか凄いドレスになってるし……)


部屋の外に出ようとすれば守衛の人が現れて「こちらでお待ちください」と止められた。

出来ることがないためを部屋の中を見てまわる。
幾つかの写真が飾ってあるが、その中の1つが気になり手に取ってみる。

シャーリー(この写真……)

親子3人の写真だろうか。茶髪の女の子が母親の帽子を持ってはしゃいでいて、後ろにいる黒髪の男の子が困った顔で止めようとしている。
そしてそれを黒髪の母親が笑いながら見つめていた。
どこにでもある家族の一幕、といえばその通りだが写っている人物に心当たりがあった。

シャーリー(これってナナちゃんとルルだよね?)
     (2人ともどこか面影があるし、ルルの髪色てお母さんの遺伝だったのか)
     (ナナちゃん事故で目と足が悪くなったって言ってたから、事故の前の写真なんだよね)

???「それはルルーシュとナナリーの幼き頃のものだ」

写真から顔を上げるとそこには―

シャーリー「こ、こ、皇帝陛下……」

シャルル「そう畏まらずともよい」

そうは言われても体が固まるのを感じる。

シャルル「シャーリー・フェネットだな」

シャーリー「は、はい!」

シャルル(ワシのギアスに抗うとは……、なかなかいい娘を見つけてくるではないか。あやつも)ニヤリ

シャルル「察しの通り、2人は皇族であった」
    「このアリエス宮にルルーシュとナナリー、そして2人の母であるマリアンヌが住んでおった」

シャルル「マリアンヌが死んだためワシは2人を日本へ送った。外交の道具としてなぁ」
    「だがそれは2人を守るためでもあった」

シャーリー「守る?」

シャルル「マリアンヌを殺したものが傍に居たためだ」
    「当時のワシはそのものを処断することが出来なかった」
    「だからワシの元からなるべく遠ざける必要があった……」

シャルル「「本当に失いたくないものは、遠ざけておくものだ。」これはワシの友人の言葉だ」

シャーリー「……」

皇帝陛下の話を聞きながらルルの事を考えてた。
家族に見捨てられ、目と足が不自由な妹を抱えながら、見知らぬ土地に送られる。
その時の絶望は計り知れぬものであったのだろう。

シャルル「日本と戦争になった後、2人の消息は掴めなかった……」

シャーリー「……見捨てた、んですか?」

シャルル「そうだな」

シャーリー「……酷い。親が子を捨てるなんて……」

シャルル「ワシには目的があった」
    「その目的のためならば他のもの全てを犠牲にしてでも進む必要があった」

シャーリー「……」

シャルル「生き延びたあやつは、”力”を手にし、そして牙を剥いた」
    「その後の事はいうまでもないな」
    「あやつはワシとブリタニアに対する怒り、復讐の為にゼロとなった」

皇帝陛下にも何か事情があったのだろう。ルルとナナちゃんを助けることが出来なかった。
それでも自分に出来ることをして2人を守ろうとしたのだろう。

だがそれ以上にルルとナナちゃんの過去に思いを馳せる。

もしかしたら日本に送られてからは、日本人に苛められていたのかもしれない。
ルルのナナちゃんに対するの過保護っぷりも、妹だけでも護って見せる。
そんな決意の表れだったのか。

もしかしたらランペルージの名字も、皇族として身分を隠すために使っていたのかもしれない。
今までの自分を捨てて、他人に成りすますための嘘を。

そしてルルの怒りも分かってしまった。
ずっと怒っていたんだ。
理不尽な世界に、何も出来なかった自分に。

シャーリー「ルルが怒るのも無理ないと思います……」

シャルル「ほう……」

シャーリー「ルルはずっと怒ってたんだと思います」
     「名前も自分の気持ちにすら嘘をついて……」

     「でも嘘ばかりついていると、自分が分からなくなっていくんです」
     「それでも諦めたくないって戦い続けたルルの気持ちが分かるんです」

     「もう嘘を付きたくないって思ってたんだと思うんです……」
     「今日よりも明日はよくなるって」

シャルル「……そうか」

ずっと足掻いて、ボロボロになるまで戦って、苦しんでも何かをせずにはいられなかった。
そんな彼が哀れでならなかった。

シャーリー「ルル、ずっと辛かったんだな……」

シャルル「もし死んだ者にもう一度会うことが出来るとしたらどうする?」
    「死んだ父親にもう一度会いたいとは思わないか?」

シャーリー「それは勿論会いたいですけど……」

シャルル「世界を犠牲にしてでもか?」

シャーリー「…………それなら会いません」

シャルル「何故だ?」

シャーリー「私の我儘で世界を犠牲なんて出来ません!」
     「それにそんな事はお父さんも……、望んでいないと思うから……」
     「だから悲しいけど、それでも明日を見ないと……」

シャルル「……そうか」

シャルル「そういう所があやつに影響を与えたのかも知れんな……」

皇帝陛下は踵を返して部屋を出ていこうとする。

シャルル「シャーリー・フェネット」
    「一つ賭けをせぬか?」

シャーリー「賭け?」

シャルル「ルルーシュがお前を助けに来るかどうか……」

シャーリー「!!」

シャルル「あやつはナナリーの為なら他の全てを、世界を犠牲にするだろう」
    「お前を助けるために来ると思うか?それとも見捨てるか?」

シャーリー「……」

シャルル「どうだ?」

シャーリー「……ルルは―――」

――――ブリタニア本国 首都ペンドラゴン

ルルーシュ(なんとかここまでは来れたが)

蜃気楼のゲフィオン・ディスターバーの効果によりブリタニア本国、首都ペンドラゴンまで潜入することには成功した。
ギアスを使い扇動を起こす。
ここまでの手はずは整った。作戦の第二条件はクリア。

だが肝心のシャーリーがどこにいるのかまでは掴めずにいた。

ルルーシュ(スザクから情報を聞き出そうか、いや駄目だ)
     (下手に聞き出せば却ってシャーリーになにかされる可能性もある)
     (シャルルもギアスを使う以上、直ぐ近くにいると想定はしているが……)

ピピピピ

ルルーシュ「誰だ?もしもし」

???『ルルーシュ?』

ルルーシュ「アーニャか?どうしたんだ?俺に電話なんて」

アーニャ『謝らなくちゃいけないと思って』

ルルーシュ「ん?どういう事だ」

アーニャ『この間のキューピットの日の写真ブログに上げたから……』
    『ルルーシュとシャーリーの写真を見た皇帝陛下が色々聞かれて答えちゃった』

ルルーシュ(何やってるんだシャルルゥゥゥゥゥ!!)

ルルーシュ「それでシャーリーが連れていかれたのが自分のせいだと…」

アーニャ『ごめんなさい』

ルルーシュ「いや、アーニャのせいじゃないさ」
     「皇帝陛下の命令だったんだろ、なら仕方がないさ」ハハ
     「それにブラックリベリオンの時に色々あったからな、その事で連れていかれたらしい」

アーニャのブログを見てこんなことを思いついたのか、流石に想定の範囲外だ。
まさかそんな理由でシャーリーに目を付けたのか……。

アーニャ『シャーリーは今アリエスの離宮にいるって』

ルルーシュ「それは本当なのか!?」

アーニャ『うん、スザクが言ってた』

ルルーシュ「そうか、教えてくれてありがとう」

アーニャ『何かするの?』

ルルーシュ「まさか、ただの学生に出来る訳ないだろ。無事を祈るだけさ」

アーニャ『心配?』

ルルーシュ「ああ、俺の大切な彼女だからな」

アーニャ『私も祈ってる。じゃあ』ピ

これは罠か?余りにもタイミングが良すぎる……。
だが収穫はあった。

かつて俺たちが暮らしていたアリエスに、今シャーリーが囚われている。
ここまで来た以上やることに変わりはない。

ルルーシュ(シャーリーは必ず助け出す!)キッ

――――ブリタニア本国 アリエス離宮

皇帝陛下との話を終えて1人になってから考える。

シャーリー(なんであんな事言っちゃったんだろう)

――――

シャーリー「……ルルは―――」
     「ルルは助けに来てくれます!」

イケブクロの駅ビルから落ちた自分を助けてくれた彼の言葉を思い出す。

ルルーシュ『だめだ!離さない!俺はもう、俺はもう、失いたくないんだ……!』
     『何一つ失いたくない……シャーリー』

今にも泣きだしそうな顔を、絞り出したかのような悲痛な声を。
そんな彼を信じると決めた。


シャーリー「嘘つきで捻くれてるけど、困っている人を放っておけなくて!」
     「不器用で負けず嫌いで、それでも優しくて!」
     「いつも誰かの為に戦ってきた……」

シャーリー「私はそんなルルを信じます!」
     「だから……」

シャルル「そうなるといいなぁ」ニヤリ
――――

シャーリー(ナナちゃんと私だったら、ナナちゃんの方を優先するよね)
     (大切な妹だし、性格もすごくいい子で……)
     (ナナちゃんに比べれば、わたしなんてガサツだし、大ざっぱで……)

どんどんと悪い方へ思考が伸びていく。

シャーリー(もう会えないのかな……)

ルルの顔が思い浮かんだ瞬間、物凄い絶望が襲ってきた。
思わず頭を抱えてしまった。

シャーリー(ルル!助け―――)

「シャーリー!!」

シャーリー「!!!」

顔を上げて声のした方を見る。
もう会えないか思っていた思い人が来てくれた。
何故と思う気持ちと、もう一度会えた嬉しさと、色々感情が混ざりあって思わす駆けだしていた。

シャーリー「ルル!?」

ルルーシュ「よかった無事で!」

シャーリー「どうして!?」

ルルーシュ「当たり前だろ?俺の大切な彼女なんだから」
     「俺の持ってるツテを使って来たんだ、さあ早く逃げよう」
     「ブリタニアの影響を受けない地域がある。そこまで行けば……」

シャーリー「―――ルルはゼロなんだよね!?」

ルルーシュ「!!!」

シャーリー「……全部思い出したの……。ルルの事も、ナナちゃんの事も……」

ルルーシュ(あいつのギアスを破ったのか?、まさかそれで攫われたのか?)
     (何故もう一度ギアスをかけなかったのか?)
     (いや、今は考えている場合じゃない!一刻も早くシャーリーを連れ出さなくては!)

ルルーシュ「……ああ、俺がゼロだ」
     「お父さんのことは、本当に済まなかった……」

シャーリー「ううん、いいの……、もう……許したから……」

シャーリー「……ねぇルル、私を仲間に入れて!」

シャーリー「私ね、記憶が戻ってから凄く怖かったの……」
     「偽物の先生、記憶がない友達、世界中が嘘をついているみたいで、もしかして私自身も嘘の存在なんじゃないかって……」

シャーリー「ルルはこんな世界で、1人で戦ってきたんだよね」
     「だからせめて私だけはルルの本当になってあげたいって……」

ルルーシュ「シャーリー……」

???『役者が揃ったようだなぁ』

ルルーシュ「シャルルゥ!?」キッ

シャーリーを庇う形で抱き締めながら、辺りを見渡す。
どうやら肉声ではなく、どこかから拡声器を使って話しかけているようだ。
相手もこちらもギアスを使う事が出来ない状況だ。

シャルル『久しいなルルーシュゥ、一年ぶりか?』

ルルーシュ「貴様ぁ!シャーリーを巻き込んでどうゆうつもりだ!」

シャルル『ハッキリさせておこうと思ってな』
    『ルルーシュよ、ワシが憎いか?』

ルルーシュ「当たり前だ!母さんを見殺しにし、俺とナナリーを見捨てた!」
     「俺から全てを奪った貴様を、憎くない訳がないだろ!」

シャルル『ワシへの復讐のためにゼロとなった』
    『その過程で多くの人間を、その娘の父親を、自分の兄や妹までを殺したと』

ルルーシュ「……そうだ!それが俺の罪だ!」
     「罪は全て俺が背負う!」           

ルルーシュ「俺は今までナナリーの為に戦ってきた!」
     「だが今は違う!」
     「俺は俺自身が護りたいと思うものの為に戦う!」

ルルーシュ「それだけじゃない!」     
     「俺が奪った全てに!」
     「俺を信じて、託して逝ったものの為に!」

ルルーシュ「その全てに報いてみせる!!」   
     「皆戦っていた、より良い明日を信じて!」
     「その為に皆が望んだ明日を作ってみせる!!」

ルルーシュ「俺は貴様とは違う!!俺の都合で誰かを切り捨てることなど、絶対にしない!」
     「全てを抱えて、それでも進んでみせる!」
     「それが俺の覚悟だ!!」

シャルル『随分と大きく出たものだな、ルルーシュよ』

シャーリー「……私も、ルルの罪は一緒に背負います!!」

ルルーシュ「!!!」

シャーリー「何があってもルルの事好きだから!味方だから!」
     「一緒に頑張るから!ひとりにしないから!」

シャーリー「ルルとずっと一緒にいるから!!」    

ルルーシュ「シャーリー……」

シャルル『フハハハハハハハハ!!』

ルルーシュ「何がおかしい!」

シャルル『面白いものを見せてもらったわ!』 

シャルル『改めて問おう!』
    『2人とも今の言葉に嘘偽りはないか?』

ルルーシュ「……ああ!自らの罪から逃げたりはしない!!」

シャーリー「ルルが逃げないなら私も逃げません!!」

シャルル『よかろう』

シャルル『ならばルルーシュよ、お前が次の皇帝になれ!!』

ルルーシュ「…………はぁ??」

ルルーシュ「……何を言っているんだ?俺はゼロだぞ?」
     「しかも皇帝だと?」

シャルル『そうだ!』

ルルーシュ「……誰が認めるというんだ?」

シャルル『逆らうものは力で捩じ伏せるがいい』

ルルーシュ「第一俺はもう皇族じゃないぞ」

シャルル『そんなものはどうとでもなるわぁ!』

ルルーシュ「ふざけてるのか……」

シャルル『往生際の悪いやつよ』
    『ならば、これを見るがよい!』ピ

部屋の中にあったテレビが付く。
茶髪の少女を黒髪の少年が抱き締めてる様子が映る。

シャーリー「ルルと、わたし!?」

監視カメラの映像か?
なぜこんなものを?
いや、まさか……そんな馬鹿な!?

ルルーシュ「……いつからだ?」

シャルル『お前がここに来た時からだ』

ルルーシュ「……何故だ?」

シャルル『こうすればお前は逃げられんだろう』

シャーリー「え!?どういう事!?」

ルルーシュ「……今までのやり取り、全部テレビ中継されてる……」

シャルル『その通り!全世界同時生中継だ!!』

シャーリー「」

ルルーシュ「……何が目的なんだ?」

シャルル『ワシが賭けに負けたからよ』
    『シャーリー・フェネット!おまえの勝ちだ』

ルルーシュ「賭け?なんの事だ、シャーリー?」

シャーリー「えっと、ルルが私を助けにくるかどうかって……」

シャルル『賭けに負けた以上対価を差し出さねばならん』
    『お主ら2人にブリタニアをくれてやる』

    『その後はお主ら2人の言葉、それを実行してもらう!』

ルルーシュ「……そんな理由で」
 
シャルル『そして何より、孫が見たいぃぃぃ!』

ルルーシュ「ふ、ふふふ……」

ルルーシュ「ふざけるなぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!!」

――――1か月後

ルルーシュ「……疲れた」

シャーリー「そうだね……」

あの後逃げられない事を悟った俺は皇帝に即位した。
その勢いのまま貴族制度の廃止、財閥の解体、ナンバーズの解放などの政策を行った。
勿論抵抗勢力は現れたが、黒の騎士団や恭順派を使い捻り潰した。

内政面はオデュッセウスやシュナイゼルの兄上達、軍事面は復帰したコーネリア姉上の協力もあり、
大きな混乱や問題を出しながらも改革を進めていくことが出来た。

シャーリー「ニーナがフレイヤだっけ?ここに向かって撃とうとしたり」

ルルーシュ「ああ、兄上が必死で止めていたな。あんな焦った兄上の顔は初めてみたよ」

シャーリー「ナナちゃんがカレンを連れて乗り込んできたり」

ルルーシュ「シャルルのギアス打ち破った上、カレンを説得して脱走。紅蓮まで奪ってくるとは思わなかったよ」

他にもこの1か月の間に色々なことがあった。
思い出すだけで頭が痛い……。

だが当初の目標とした”ブリタニアをぶっ壊す”
日本が敗戦したあの日、スザクに誓ったあの夢を成し遂げることが出来たのだが……。

ルルーシュ「なにか釈然としない……」

シャーリー「でもルルも言ってたじゃん、”結果が全てだ”って」

ルルーシュ「……そうだな」フッ

結果が全て、俺が想定していた事とは大幅に異なっているが成し遂げたといってもいいだろう。

この後も超合衆国との会談、旧ナンバーズエリアと折衝、国内の格差問題など為さねばならないことは多い。
”皆が望んだ明日”の為の戦いはこれからも続いていく。

だがシャーリーを俺の戦いに巻き込んでしまった。
その事がずっと気掛かりだった。

ルルーシュ「シャーリー、もし嫌なら……」

シャーリー「それ以上言ったら本気で殴るからね。」
     「私は何があろうとルルと一緒にいるって決めたんだから!」

シャーリー「あんな告白までしたんだよ」
     「それも世界中に知られる形で」
     「責任とって」ニッコリ

ルルーシュ「シャーリー……」ギュ

ルルーシュ「愛してるよシャーリー。ずっと一緒にいてくれ」

シャーリー「うん」

彼女の笑顔を見た瞬間、考えていたことが全て消えていく。
彼女の頬に手を伸ばし、そっと抱き寄せる。
唇を重ねようとしたその時―――

シャルル「ルルーシュ!!パパが遊びにきたぞぉ!」バァン

シャーリー「きゃあ、お義父様!」

シャルル「むぅ、取り込み中だったか……」

ルルーシュ「何しに来た?帰れ!」キッ

シャルル「これを渡しにな」パサッ

シャーリー「なんですかこれ?名簿?」

シャルル「孫の名前を考えてきた」

ルルーシュ「気が早いわ!第一俺はまだ……その……」

シャルル「ルルーシュよ……。仕事も大事だが、妻との時間を作るのも夫の務めだぞ」

ルルーシュ「喧しい!誰のせいだと思ってるんだ!」
     「そもそも貴様に命名権があると思うな!」

シャルル「!」

ルルーシュ「なぜそこでショックを受ける!当たり前だろ!」
     「こんな事する暇があれば仕事しろ!」

シャルル「では後は若い者に任せて……」

ルルーシュ「帰れ!二度と来るな!」

シャーリー「あはは……」
     「良かったじゃん、お父さんとも仲直り出来て」

ルルーシュ「俺は許してない!」

シャーリー「はいはい」
     「許せないことなんてないよ。ルルが許さないだけ」ニッコリ

きっとこれからも色々な事が起こるだろう。
でもシャーリーとなら進むことが出来る、そんな気がする。

―――――終わり

>>1が文章力ないと言ってるが俺はそう思わなくて面白かったよありがとう
シャルルなら賭けに負けたらしそうなことなのがいいね

38に書いた短編ネタ書けたので投稿します。
シュナイゼルとニーナがメイン、カレンとナナリーは鋭利作成中

>>49ありがとうございます。
書けたらその辺も書いていきたい

―――インヴォーグ

シュナイゼル「フフ」

カノン「殿下?」

シュナイゼル「いや、我が弟がここまでの激情を秘めていたとはね」

カノン「しかしよろしいのですか?」

シュナイゼル「ああ、構わないよ」
      「元々皇帝陛下の拡張政策、その破綻は目に見えていたしね」
      「これで和平路線に舵を切ることが出来る」

シュナイゼル「しかも誰も拾わない”火中の栗を拾う”それを弟がやってくれると言った」
      「今までは私かコーネリアの役目だったからね」

      「それに……」

カノン「それに?」

シュナイゼル「ルルーシュが世界を変えるといったのだ」
      「その先を見てみたいんだよ」ニヤリ

ガヤガヤワイワイ

シュナイゼル「何やら騒がしいね」

研究員「も、申し上げます!」

カノン「何事ですか?」

研究員「アインシュタインチーフがフレイヤを帝都に撃とうとしてKMFを持ち出しました!」

シュナイゼル「」
カノン「」

ニーナ『ゼロぉぉぉ!ユーフェミア様の仇ぃ!』

「落ち着いてくださいチーフ!」
「帝都が廃墟になります!」

シュナイゼル「不味いね、止められそうにないね。あれは……」
      「直ぐにルルーシュたちに連絡しよう!」

―――帝都ペンドラゴン

ルルーシュ「兄上から緊急通信!?」
     「わかった。繋いでくれ。」ピ
 
シュナイゼル『ルルーシュ!今すぐそこから離れて欲しい!』アワワ

ルルーシュ「兄上。どうしたんですか。そんなに慌てて……」

シュナイゼル『ニーナがフレイヤを持ってそっちに向かってる!』

ルルーシュ「フレイヤ!?」

シュナイゼル『開発中の新兵器だ!だがもし計算通りなら四千万リーター以上の被害を齎す!』

ルルーシュ「四千万リーター!?なんて兵器作ってるんですか兄上!」

シュナイゼル『それを今君に向かって撃とうとしてるんだ!』

ルルーシュ「!?……わかりました!こちらで対処します!」

ルルーシュ(住民を避難させるか?いや無理だ、人口3億人以上の避難などパニックになるし、第一間に合わない!)
     (こうなれば……)

―――帝都ペンドラゴン付近の荒野

ニーナ『ゼロぉぉぉ!このフレイヤでぇぇぇ!』

ルルーシュ「ニーナ・アインシュタイン!」
     「私はここにいるぞ!」

ニーナ『ゼロ!?どこに!?』

ルルーシュ「撃っていいのは、撃たれる覚悟がある奴だけだ!」
     「その覚悟があるのなら私を撃つがいい!」

ニーナ『上ぇ!』

ルルーシュ(よし、少なくとも上空に向かって撃たせる事が出来れば地上への被害は軽減できる!)

ニーナ『ゼロぉぉぉ!ルルーシュゥゥゥ!』
   『ユーフェミア様の仇ぃ!』カチッ

ルルーシュ(今だ!)

上空に放たれた弾丸をすり抜けるように蜃気楼を急降下させる。
ニーナの放ったフレイヤはそのまま上空へ向かっていく。

ルルーシュ(軍人として正規の訓練を受けていない、そしてニーナの運動神経の悪さから照準を合わせることは難しいだろう。)
     (ましてや俺に対する怒りで冷静な対処など出来ない……)
     (その事を考えて自ら囮となり狙いを外させる、よし作戦は成功だ!)

ただ一つ誤算があったとすれば、狙いが外れたためか、開発中のため調整が上手くいかなかった為か
俺が想定していた位置よりも低い場所で爆発したことだった。

ドォォォォン!!!!

眩いほどの光に飲み込まれそうになるが、なんとか振り切ることが出来た。
だがフレイヤのエネルギー球体の消滅により周囲の空気が流入することにより生じる突風。
今度はそれが俺たちを襲う。

ルルーシュ「ちいぃぃ!」

蜃気楼の絶対守護領域を全面に展開し、風や土砂、突飛物を防ぐ。
風が収まり地響きが止んだころ、先ほどまでの光景と一変していた。


爆心地の真下の地面は大きく抉られて、木は根本から吹き飛ばされいた。
日本でタイフウが通過した後、その被害規模を何倍にも増した光景が広がっていた。

ルルーシュ(上空で爆発したものが地上でこれだけの被害を与えるとは……)
     (こんなものが使われたら戦争どころではない……)

余りの被害の大きさに畏怖を抱いていると傍にいるKMFから通信が入った。

ニーナ『……なんで助けたのよ……』

そう、フレイヤを発射した後、動けなくなったニーナのKMFを庇う為、
俺は蜃気楼の絶対守護領域を使って彼女のKMFごと護っていた。

フレイヤを撃った衝撃か、それとも引き金を引いたショックによる緊張の糸が切れたためか、
いずれにせよ、彼女はその場から動くことが出来なくなっていた。

ニーナ『私は……、あんたを……』

ルルーシュ「……友達だからだ」

ニーナ『!』

ルルーシュ「それに俺みたいになって欲しくない……」

ニーナ『うっ……、グス……」

通信から彼女の咽び泣く声が暫く続いた。

―――帝都ペンドラゴン

『―――先ほどペンドラゴン付近で起こった爆発は、軍の試作兵器による―――』
『ペンドラゴンでは直接的な人的被害はなかったものの、爆風に伴う建造物―――』
『―――今回の被害により、軍では件の兵器開発の凍結が決まったとのことです。』


俺は情報統制を行い、フレイヤの件は”軍の試作兵器による暴発”とした。
あれほどの大爆発は流石に完全に隠匿することは出来なかった。
だがあのような兵器の存在が公になれば、開発者のニーナは世界中の諜報機関から狙われる。
その事を防ぐための処置だった。

シュナイゼル「やってくれたね、ニーナ」
      「君は軍人ではないんだよ」
      「引き金を引く意味を考えたことがあるのかね」

ニーナ「……」

ニーナを追ってきたシュナイゼルと、彼女の処遇について話し合っていた。


ルルーシュ「兄上、今更ですよ」

シュナイゼル「大事なことだよルルーシュ。彼女はブリタニア皇帝に弓を引いた」

ルルーシュ「!」
     「……それを言うと俺は先帝を射殺してますよ」

シュナイゼル「……そうだったね」

ルルーシュ「その新しいブリタニア皇帝が罪に問わないと言っているのです。彼女については俺が決めます!」

シュナイゼル「……わかったよ。君に任せる」フウ

ルルーシュ「ニーナ・アインシュタインを連れていけ!」

衛兵「イエス、ユアマジェスティ!」

ルルーシュ「ところで兄上、先ほどの発言ですが……」

シュナイゼル「ああ、私は新皇帝を支持させて貰うよ」

ルルーシュ「本気ですか?」

シュナイゼル「勿論だよ」
      「元々私は先帝に対して謀反を起こそうと思っていた」

ルルーシュ「!」

シュナイゼル「今の覇権政策に先はない、それに加え父上は政事に興味がない」
      「それは君も感づいていただろう?」

ルルーシュ「ええ」

シュナイゼル「そんな人間にこれ以上任せてはおけないと思ってはいたが……」
      「君が現れた」
      「だからお手並み拝見といこう」

ルルーシュ「なるほど……、自分は危ない橋を渡る気はないと……」

シュナイゼル「今までは私やコーネリアの役目だったからね」
      「しかし可愛い弟が世界に向けて宣言したからね」ニヤリ

ルルーシュ「ぐっ……」
     「俺は勝ちを拾いに行きますよ。中華連邦で貴方に学ばせて頂きましたしね」ニヤリ

シュナイゼル「おや、これは一本取られたね」ハハハ

シュナイゼル「ルルーシュ。私が君を支持すれば帝国の半分は君を支持するだろう。だが残りの半分は……」

ルルーシュ「逆らうならば力で捻り潰すだけです」
     「それがこの国のやり方でしょう?」ニヤリ

シュナイゼル「そうだね」ニヤリ
      「それにブリタニアと超合衆国が直接戦うより被害は少なくなる」

シュナイゼル「さて、やる事が沢山あるからこれで失礼するよ」
      「……ルルーシュ。また君と昔のようにチェスがしたいのだが、構わないかな?」ニコリ

ルルーシュ「ええ。時間が出来ましたら……。昔のように」ニコリ


まもなくシュナイゼルが新皇帝の支持すると明言した。
それに伴いオデュッセウス兄上など穏健派と言える派閥が続々と支持を示した。
兄上の言った通りおおよそ半数が、俺を認めることとなった。

最初の動きとしては悪くない。
だが今後の政策では恭順派からも離反者が現れるだろう。
だがシュナイゼルの兄上がいてくれれば、俺が負けることはないだろう。
何せ俺が一度も勝つことが出来なかった男が味方となっているのだから。

―――帝都ペンドラゴン どこかの一室

ニーナ「……」

シャーリー「ごめんね、ニーナ。情報統制が終わってニーナの安全が確保できるまでここに居てもらうってルルが……」
     「でも暫くの辛抱だから!必要なものとかあったら言ってね。可能な限り用意するから―――」

ニーナ「……シャーリー、貴方憎くないの?ルルーシュの事……」
   「お父さんの仇じゃないの……?」

シャーリー「憎くない……ていったら噓になるけど……」
     「でもルルは助けに来てくれたじゃん。カワグチ湖の時」

ニーナ「!」

シャーリー「だから何か理由があったんじゃないかなって……」
     「わざとやってるわけじゃないとも思ってる」
     
ニーナ「……」

シャーリー「きっと後から考えればもっといい方法なんていくらでもあったけど」
     「目の前の問題を、必死に考えてなんとかしようと思って……」
     「それでも失敗しちゃって、こんなはずじゃなかったのにて後悔して……」

シャーリー「それでも戦おうって」
     「『何一つ失いたくない』って」
     
ニーナ「……」

シャーリー「だからね、私はそんなルルの事を信じる」
     「それにお父さんも、私が復讐することなんて望んでないと思うから……」

ニーナ「……グス」

シャーリー「ごめんね、訳わかんないよね」

ニーナ「なんで……、うぅ……」ポロポロ

シャーリー「私にとってもニーナは友達だからね」


ニーナは俺を許さないと言った、俺もそれで構わないと言った。

「撃っていいのは、撃たれる覚悟がある奴だけだ!」その言葉の通り俺を撃った。
だが、彼女は持っていなかった。
彼女が作ったフレイヤがどのような影響を与えるかを。
撃ったフレイヤがどのような被害を齎すかを。

それは嘗ての自分を見ているようだった。
シャーリーの父親を殺してしまって、初めて自分が行ってきたことを理解した嘗ての自分を……。

ニーナはフレイヤの開発の凍結を了承した。
それが彼女なりのけじめなのだろう。

―――――終わり

カレンとナナリーの短編、いきます。

――――エリア11 政庁

ルルーシュ『ふ、ふふふ……』

ルルーシュ『ふざけるなぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!!』


ジノ「なあスザク?あのルルーシュて副会長のランペルージ卿だよな?」

スザク「そうだね……」

ジノ「それが元皇族で……ゼロ?」

スザク「そうだね……」

ジノ「じゃあなんでこんな事になってるんだ?」

スザク「僕が聞きたいよ、ジノ!!」

アーニャ「……やっぱりあの写真ルルーシュだった?」

ナナリー「……」ウィィン

エリア11の政庁、世界同時中継の内容によって混乱が生じていた時、
1人の少女が静かに、確固たる決意を持って行動を起こした。

――――エリア11 政庁 捕虜収容室

カレン(あのバカなにやってるのよ!いや落ち着け紅月カレン!)
   (ルルーシュが皇帝になった?じゃあ私や日本は解放される?)   
   (いや、あいつが皇帝になったことを認めるとは思えないし、あいつの言う事聞く保証もない!)
   (そもそもテロリストが皇帝ってなんでそんな事になってるのよ!?)   

私の思考がグルグル回り、そして煮詰まっていく。
テレビ中継のあの様子を見ている限り、恐らくルルーシュにとってもそうであろう。
イレギュラーに直面して思考が停止した時、彼の表情は正にそれだった。

カレン(あーも―、なんでこんな事になって―――)

???「カレンさん!」

カレン「ナナリー!?」
   「!?あなた目が!」

先ほどまでの思考の中心人物、そいつの妹が傍まで来ていた。
ただ今までと違う点がある。
あいつと同じ藤色の瞳が、開いていなかった目が此方を真っすぐと見つめていた。

ナナリー「今の放送見ていましたよね?」

カレン「え、ええ。何故かここでも放送されてたし」

ナナリー「カレンさんはお兄様がゼロだと知ってましたか?」

どのように誤魔化すべきかと一瞬考えたが、この状況では無駄だろう。
それに彼女の目を見て、嘘を付くことは無駄だと悟った。

カレン「…………ええ。知ってたわ」

ナナリー「そう……だったんですね……」

ナナリーの視線が少し下がったが、数秒も立たない内に再び私に向けて視線を戻した。


ナナリー「カレンさん、お願いがあります!」キッ

ナナリー「私を帝都ペンドラゴンへ、―――お兄様の元へ連れて行ってくれませんか?」

カレン「いきなり何を……」

ナナリー「ここには私の味方はいません!」
    「スザクさんも、アーニャさんも、他の人も……。きっと私の言うことは聞いてくれません……」
    「ただお兄様にお会いしたい……、それだけなんです……」

ナナリー「私は……、お兄様の妹なんです!」ポロ

カレン「ナナリー……」

カレン(そうよねこの娘は、ルルーシュの妹なんだし)
   (妹がお兄ちゃんに会いたいなんて当たり前だもんね!)

カレン「―――わかった。大分荒っぽくなるけど文句言わないでよね!」

ナナリー「はい!お願いします!」ピピピ カシャン

ナナリーの手引きで脱獄出来た私は、決意を固めた。

カレン(待ってなさいよルルーシュ!あんたには聞きたいことが山ほどあるんだから!)

―――政庁内 廊下

カレン「ふんっ」ドカッ

兵士「」チーン

カレン「よし、ナナリーこの先でいいのよね?」

ナナリー「はい。この先に格納庫があります。」

カレン「そこに私の紅蓮もあるのね?」

ナナリー「鹵獲した機体を解析するため、キャメロットの人たちが預かるてスザクさんが言ってました」
    「起動キーもそこに保管してると思います」

カレン(まさか私の紅蓮におかしな事してるんじゃないでしょうね!)

―――格納庫

カレン「紅蓮?でもなんか、違う……」

カレン「ええい!考えてる時間が惜しい!」
   「ごめんね、ちょっと狭いけど我慢して!」

ナナリー「はい!」

カシュッ…ピピピッ! 
GUREN S.E.I.T.E.N EIGHT-ELEMENTS START UP

カレン「起動した!……なんか色々変ってるけど、基本システムは同じ!」

カレン「予備のエナジーも積んで……、よぉっし、いくよ! 紅蓮っ!!」


ガシャン!バコーン!


「なんだ!」「敵襲か!?」

「大変だ!捕虜が脱走してるぞ!」

「鹵獲機が奪われた!」

スザク「……まさかカレンが!」

ジノ「……紅蓮を!?」

スザク「ロイドさん」

ロイド「いや~、趣味で改造しまくってたら並大抵の人じゃまともに動かせない代物になっちゃてね~」

スザク「まさか、まともに動かせないからって、起動キーも一緒にしてたんですか!?」

アーニャ「……杜撰」

ロイド「いや~、申し訳ない」


スザク「くっ、追おう!カレンを止めるんだ!」

ロイド「残念でした~。改造した紅蓮なんだけど、第九世代相当だからマシンスペックが違いすぎて追いかけるなんて無~理無理」

ジノ「なんでそこまで……」

ロイド「楽しくってつい~」

セシル「だからやめときましょうって言ったのに」

ロイド「え~、セシルくんだってノリノリだった―――」

ローマイヤ「すみません!どなたか総督を見てませんか?先ほどからお姿が!」

「「「!!!」」」

アーニャ「……まさか攫われた?」

ジノ「おい、どうするよスザク?」

スザク「……」

―――太平洋上のどこか

ナナリー「KMFてここまで速く動けるんですね」ワクワク

カレン「ナナリー平気?結構飛ばしてると思うんだけど」

ナナリー「平気です。あの、もしかして……私が乗ってるから速度落としたりしてますか?」

カレン「いや、なんか私の紅蓮なんだけど、色々されてて迂闊に触れないていうか……」

カレン(フロートユニットが羽みたいになってるし、右手はスラッシュハーケンの応用みたいなワイヤー式になってるし……)
   (まぁでも今までより出力も上がってるし、これなら想定より早く目的地に着けそうね)


カレン「意外ね、KMFに興味があったなんて」

ナナリー「私のお母様も、昔KMFの開発に関わっていたことがあるんです」
    「それにお兄様はスザクさんが来るまでは学園祭の時にピザを作っていました」
    「だからずっと興味はあったんです」

カレン「へー、そうだったんだ」

ナナリー「私の足は動かすことが出来ませんから……」
    「だからKMFに乗れれば色々出来るんじゃないかって……」

カレン「そっか……」

カレン「……あいつに『造って』てお願いしてみたら?きっと凄いの造ってくれるわよ」

ナナリー「そうですね。お願いしてみます!」
    「カレンさんの紅蓮みたいな格好いいやつがいいです!」

カレン「わかってるじゃない!」
   「あ、でもルルーシュの事だから『ナナリーが怪我でもしたら危ない!』て装甲ガッチガチのやつ造るかも」

ナナリー「嫌です!そんな格好悪いのなんて!」
 
カレン「因みに他にどんな機能がほしいの?」

ナナリー「そうですね。機動力が高くて縦横無尽に動き回れるのがいいですね」
    「あ、でも砲撃戦でまとめて薙ぎ払ったり―――」

ナナリーと思わぬ趣味が合ったため、暫くKMF談義をした。
意外ね、あのおとなしそうなナナリーが。

いや、もしかしたら今までは目が見えなかったから色々我慢していたのかもしれない。
猫を被っていた時の自分を思い出しながら、紅蓮を更に加速させた。

―――帝都ペンドラゴン

『ルルーシュゥゥゥ!』ドォォォォン!!!!

シャーリー「きゃあああ!」

ルルーシュ「なんだ!……これは紅蓮!?」
     「まさかカレンか!?」
 
カレン「あんたに話があるんだってさ!この子が!」

シャーリー「ナナちゃん!?」

ルルーシュ「お前、目が……!?」

ナナリー「お久しぶりです。お兄様」キッ
    「どうしてもお聞きしたいことがあって参りました」

一年振りにあった妹が、八年前に閉じてしまった目をこちらに向ける。
その目には強い決意が宿っていた。
一切の嘘や誤魔化しは許されない。そもそもナナリーに対しては嘘は付けなかった。

ナナリー「お兄様がゼロだったんですね」

ルルーシュ「……ああ、そうだ」

ナナリー「どうしてそんな事を?」

ルルーシュ「……最初は、シンジュクでテロに巻き込まれたからだ」
     「クロヴィスがテロリスト掃討と言いながら、無関係の人間も含めて日本人を虐殺していた」

     「それも自分の行った人体実験の証拠を消すために……」 
    
ルルーシュ「その時にスザクも俺を庇ってブリタニアに撃たれたんだ……」

     「それが許せなかった……」

ナナリー「どうして……」

ルルーシュ「俺はずっと嘘を付いてたんだ、生きてるって嘘を……」
     「名前も、経歴も、自分自身の感情さえも……」
     「だから俺は、もう自分に噓はつきたくなかったんだ……」

ルルーシュ「だからクロヴィスを殺して、ブリタニアと戦うと決めた」

ナナリー「……それは私の為ですか?」

ルルーシュ「ああ、最初はそうだった……」

ナナリー「最初は?」

ルルーシュ「お前が安全に過ごせる世界を作り上げること、そして母さんの仇を討つこと」
     「それが俺の行動原理だった」

ナナリー「……」ポロポロ

ルルーシュ「ナナリー!?」

ナナリー「私だったんですね……」
    「私がお兄様を変えてしまったんですね!」

ルルーシュ「違う!」

ナナリー「違いません!」
    「私が足手纏いだから!自分で何も出来ないから!」

ルルーシュ「違う!俺の意志だ!」
     「そうだ!俺の独り善がりだ!」

ルルーシュ「お前と為と思えばどんな酷い事でも出来た……」

ナナリー「そうやって殺したんですか?ユフィ姉さまも!」
    「他の関係ない人も巻き込んで……」

ルルーシュ「そうだな……。ユフィも……」
     「シャーリーのお父さんも巻き込んでしまった……」

シャーリー「……」

ルルーシュ「だったら進み続けるしかないじゃないか……」
     「流した血に、敷いた犠牲に報いる為に……」

ルルーシュ「……正直言って行き当たりばったりだった」

ルルーシュ「スザクを助ける為に仮面を被った」
     「一人では勝てなかったから黒の騎士団を作った」
     「正義の味方を騙って支持を集めた」
     「ブリタニアと戦争が出来るまで騎士団を大きくしていった」

ナナリー「私が何時、そんな事を頼みましたか?」
    「私は只、お兄様さえいてくだされば……」

ルルーシュ「俺は嫌だった!」

ナナリー「!」

ルルーシュ「いつ理不尽が、俺やお前を襲うか!そんな事に怯え続けるのは!」
     「それだけじゃない!シャーリー達がテロに巻き込まれた事も!」
     
ルルーシュ「強者の理屈で、弱者が虐げられているのを!」
     「俺はそれが許せなかった!」

ルルーシュ「だから俺は動いた!」
     「行動をしなければ何も変えられない!何もしないならば、それは死んでいるのと同じだ!」
     「俺はもう”死にたく”なかった!何も出来ないのはもう嫌だった……」
     「何一つだって失いたくない!」

ナナリー「……」

ルルーシュ「だから俺は……」

シャーリー「ルル……」

ナナリー「……分かりました」
    「でしたらお兄様はご自身の道を進んでください!」

ルルーシュ「ナナリー……」

ナナリー「お兄様はきっとそれが最善だと思ったのですよね?」
    「出来ることをやった結果だったのですよね?」

ナナリー「だったらその道を行ってください!お兄様の信じた道を!」

ナナリー「私も、私の道を行きます!」

ルルーシュ「ナナリー……」

ナナリー「お兄様、……私は何があろうとお兄様を愛しております」

ルルーシュ「俺もだ、ナナリー」

ナナリー「だから私に構わず進んでください」
    「お兄様にこれ以上迷惑をかけたくはありません」

ルルーシュ「迷惑だなんて思ったことは…」

ナナリー「それに結婚したお兄様とシャーリーさんの邪魔はしたくありませんし」ニコリ

ルルーシュ「そんな事はないぞ!」
シャーリー「そうだよナナちゃん!私だって別に……」

ナナリー「私が嫌なんです!」

ルルーシュ「……」
シャーリー「……」

ナナリー「……だから、その上でお兄様に幾つかお願いがあります」

ルルーシュ「ああ、何でも聞く」


ナナリー「時々遊びに来ますね」

ルルーシュ「ああ、何時でも来てくれ。待ってるから」

ナナリー「私専用のKMFを造ってください」

ルルーシュ「ああ―――、いやちょっと待て!」
     「KMFは危ないからな!」
     「どうしてもと言うなら絶対にナナリーが怪我しないように重装甲にして―――」

ナナリー「それは格好悪いから嫌です」

ルルーシュ「」

ナナリー「それからシャーリーさんの事……大切にしてくださいね……」

ルルーシュ「……ああ、必ず幸せにする」

ナナリーが小指を出す。
その指に俺の小指を絡ませる。

ナナリー「シャーリーさんも」

三人の小指が絡まる。

ナナリー「うそついたら、はりせんぼんのーます、ゆびきった」

ナナリー「約束ですよ」ニッコリ

ルルーシュ「ああ、約束する」ニッコリ

シャーリー「うん、約束するよ」ニッコリ


カレン「―――終わったわね、さーてルルーシュ」

ルルーシュ「カレン!」

カレン「私もあんたに聞きたいことがあるのよ……」
   「なんか散々待たされたし、蚊帳の外にされてたけど」

カレン「私は優しいから許してあげるし、聞くのも一つにしてあげる……」
   「……答えてルルーシュ」

ルルーシュ「……なんだ?」

カレン「なんでこんな事になってるのよぉ!?」

ルルーシュ「それは俺が聞きたいわぁ!!」



―――終わり

おかしいな。親バカきぶりシャルルとか、天然のろけルルーシュとか書きたかったのに
なんでこんなシリアス書いてるんだ?

また書けてたら載せます

1です。
今回はタイトル回収です。

シャルル「ワシに聞きたいことだと?」

ルルーシュ「そうだ。まだ聞いていなかったことがあるからな」
     「8年前の真相、V.V.の正体」      
     「そして何故俺を皇帝にさせたかだ!」

シャルル「今更それを聞いてどうする?」

ルルーシュ「俺は貴様に押し付けられた仕事を片付けて時間を作ったんだ!」
     「だから俺の為に時間位作ってもいいだろう」

ルルが皇帝になってから1週間。
お義父様に聞きたいことがあるからと、スケジュールを調整してなんとか今日時間を作った。

シャルル「……知りたいか?」

ルルーシュ「ああ」

シャルル「……そう言えばお前には話していなかったなぁ」

シャーリー「私も断片的にしか聞いてなかったですね」

ルルーシュ「いや待て、なぜシャーリーには話してるんだ!」

シャルル「よかろう、ならば話してやろう」
    「付いてくるがよい」

ルルーシュ「おい、無視するな!」

――――黄昏の間

ルルーシュ「なんだ此処は?」

シャーリー「ここ地下でしたよね……」

シャルル「ここは黄昏の間。思考エレベーターよって作られた仮想空間だ」

シャーリー「???」

シャルル「まあ、ワシの好き勝手に出来る空間と思っておいてくれればいい」

ルルーシュ「ギアスと何か関係があるのか?」
     「そもそも何故わざわざこんな所へ連れてきた?」

シャルル「色々説明するには便利だからなぁ」
    「それにもう一人呼んでおる」

シャーリー「もう一人?」

シャルル「来るのに多少時間が掛かるのでな」
    「ルルーシュ、お前の問いに答えよう」

シャルル「だがまずはワシらの過去を話さねばなるまい」

何処からともなく勝手に無数の本棚が表れた。
本棚の中のから一冊の本を取り出すと、今度は幾つかの絵画が現れた。

ルルーシュ「そうか!仮想空間だから……」

シャルル「先程言った通りワシが好き勝手に出来るからな、こうした方が分かりやすかろう」

絵画の内の二つが近くまでくる。
一つは驚いた表情を浮かべた男の子と、怯えている男の子の絵。
そしてもう一つは横転した馬車と、その馬車の下敷きになっている女の人の絵だった……。

シャルル「今から半世紀以上前の話だ」
    「ワシと兄さんは地獄に居た。親族は互いに帝位を争う親族は全て帝位を争うライバル」
    「暗殺が日常となった、嘘による裏切りの日々……皆、死んでいった」
    「私の母もその犠牲となった」

シャーリー「じゃあ……この馬車の下敷きになった人って……」

シャルル「私の母だ」

ルルーシュ「じゃあV.V.は……」

シャルル「そう、ヴィクトル・ジ・ブリタニア……。ワシの双子の兄さんだ」
    
シャルル「血で血を洗う凄惨な争いをワシと兄さんは生き残ったのだ……」
「まあその兄さんもワシが殺したがな、ハハハハッ!」

シャーリー「…………」

ルルーシュ「ジョークのつもりなら全く笑えないぞ……」

シャルル「笑い話にでもせねば思い出したくもないのだ……」

シャルル「ルルーシュよ、一つお前に問おう」
    「もし死んだ者にもう一度会うことが出来るとしたらどうする?」

ルルーシュ「……会いたい」

シャルル「その為に世界を犠牲にしてでもか?」

ルルーシュ「ならば会わない!」

シャルル「何故だ?」

ルルーシュ「それは過去を求めているからだ!」
     「例えどんな事をしようとも過去は変えられない!」
     「だからどんなに辛くとも、今を受け止めて、未来に進むしかない!」

シャルル「そうか、お前たちはそう思うのか」
    「だがな、ワシは違ったのだ……」

シャルル「殺し合った兄弟たちも、そんな事をする必要はなかったのではないかと」
    「ワシらを守るために、庇って死んだ者たちもいた」
    「きっと出会いさえ違っていれば、こんな事にはならなかったのではないか」
    
シャルル「ワシはな、もう一度会いたかったのだ」
    「死んでいった者たちに、兄弟に、そして母にな……」

ルルーシュ「……」

シャーリー「……」

シャルル「話を戻すぞ」
    「わしと兄さんは誓った。嘘のない世界を創ろう、と」

シャーリー「嘘のない世界?」

ルルーシュ「そんなもの出来る訳がないだろ」

シャルル「それを行うのが我が計画、ラグナロクの接続よ」
    「説明するのが大変だから要点だけ話すぞ」
    「人類皆の思考、それにCの世界の中に残留している死者の記憶や思念を全て一つにする」

ルルーシュ「……何だそれは?酷い妄想にしか聞こえないぞ」

シャーリー「私も何が何だか……」

シャルル「思考が一つになれば、争いも嘘も必要が無くなる」
    「そう思ったのだ……」


ルルーシュ「それでその計画と、8年前の真相がどう繋がるんだ?」

シャルル「マリアンヌもこの計画の同志だった」

ルルーシュ「母さんも!?」

シャルル「マリアンヌを殺したのは兄さんだ」
    「だからお前たちを守らねばならなかった」

ルルーシュ「守るだと!?俺とナナリーを人質として日本に送った癖に!」

シャルル「必要があった!」

ルルーシュ「何の必要だ! 親が子を遠ざけるなんて――」

シャーリー「『本当に失いたくないものは、遠ざけておくものだ。』ってことですか?……」

ルルーシュ「!」

シャルル「そうだ!兄さんがワシに嘘をついてまでマリアンヌを殺した以上、中途半端な事をしてはまた繰り返される……」
    「そう思い徹底的に遠ざけた。ワシの目の届かぬ異国の地、日本へとな」

ルルーシュ「だとしても、もっと別の―――」

シャルル「後から考えれば幾らでもいえる!だがな、時間も条件も限られておる!」
    「ましてやマリアンヌが殺された直後だぞ!」
    「ワシとてあの時はあれが一番いいと思ったわ!」

ルルーシュ「喧しい!逆切れするな!俺達ごと爆撃した癖に!」

シャルル「ワシとて何とかお前たちを助けようとした!」
    「だが軍部はイケイケで速攻で侵攻するわ、無差別に攻撃しだすわでワシの言う事をまるで聞かん!」
    「探そうにも日本はゲンブが死んで混乱の極みじゃし、おまけに酷い爆撃で証拠すら見つからんかった……」

ルルーシュ「ああ酷かったよ!あの時が一番死を覚悟からな!」

シャルル「だが助けられなかった事を今更言い訳なぞ出来るか!」
    「懺悔など幾らでも出来るわ!だが何を言っても結果は変わらん!全ては過去ぉ!」

ルルーシュ「過去ぉ?」

シャーリー(……あ!これ、謝っても許されないと思ってるから全部自分の責任にする気だ)

???「そこまで。義娘ちゃんの顔が引きつってるわ」

シャーリー「え!?」

あの写真に写っていた二人の母親が、いつの間にやら女の人が私の近くにいた。

マリアンヌ「大きくなったわね、ルルーシュ」

ルルーシュ「母さん!?」

シャルル「来たか、マリアンヌ」

ルルーシュ「これも貴様の幻想か!」

マリアンヌ「本物よ、尤もこの空間でしかこの姿形は維持できないけど」

クルっと回ってからお辞儀をする。
そして私に向かいながら微笑んでくる。

マリアンヌ「貴方が、シャーリーさんね」
     「初めまして、ルルーシュの母のマリアンヌよ」ペコリ

シャーリー「は、初めまして!」ペコリ

ルルーシュ「どういう事だ?母さんは8年前に……」

マリアンヌ「ああ、それはね……」

―――8年前 アリエス離宮

マリアンヌ「何なの?急な用って」
     「人払いはしておいたわ。コーネリアも下がらせたし」

V.V.「ごめんね。シャルルがいないところで」

マリアンヌ「アーカーシャの剣の件なら」

V.V.「ん?いや。シャルルのことなんだ」

V.V.「君に出会ってからシャルルは変わってしまった。互いに理解し合って生きていくのが楽しくなってきたみたいだ」
  「このままだと、僕たちの契約は無かったことになってしまう……。僕だけ残されちゃう]
「神話の時代から男を惑わすのは女だってお話」

「マリアンヌ様」「誰だ!」

マリアンヌ「!」
     「あなた達下がりなさいと!」クルッ

バババババババババッ

マリアンヌ「」バタ

V.V.「終わったよ、うん。偽装を始めて。目撃者はナナリーにでもしておこうか」
  「犯人はテロリストということにしなくっちゃね」

―――

マリアンヌ「いや悔しいわね、正面からなら躱す自信があったのに」
     「やっぱり駄目ね。戦場から離れて長かったし、身内だからと油断した私のミスだわ」

シャーリー「銃弾て躱せるものなの……?」

ルルーシュ「少なくともスザクは出来るが、あいつ普通じゃないし……」
     「いや、それじゃどうやって……」

マリアンヌ「ギアスよ」
     「私のギアスは人の心を渡るギアスだったの。肉体が死を迎えた時初めて発動した」
     「1週間前から行儀見習いで来ていたアーニャに意識だけを移したの」

マリアンヌ「だから肉体的には死んじゃったけど、こうして意識だけは生きてるて状態なの」

ルルーシュ「待て!アーニャが目撃者だったのか?ならナナリーは!?」

シャルル「偽りの目撃者として銃撃を受け、足が動かせなくなった」
    
ルルーシュ「じゃあ目が見えなくなったのは……」

シャルル「ワシのギアスだ」
    「ナナリーを救うためには真実に近づけない証が必要だった」

ルルーシュ「ふざけるな!あの子が、ナナリーがどれだけ苦労したと思ってるんだ!」

シャルル「偽りの目撃者とはいえ命を狙われる危険はあったからだ!」

ルルーシュ「だったら何故V.V.をその時処断しなかった!」

シャルル「ワシの兄さんだぞ!共に50年以上も計画の為に進んできた!」
    「信じたかった!マリアンヌを殺したのも、ナナリーを巻き込んだのも!」
    「ワシには言えぬ理由があると……そう信じたかった!」

ルルーシュ「なら何故今更……」

シャルル「それはな……」

――――少し前

シャルル「マリアンヌ、相談したいことがあるのだ……」

マリアンヌ「どうしたの?」

シャルル「……計画、止めたいのだ」

マリアンヌ「……どうしてまた急に?」

シャルル「兄さんが、また嘘をついた……」
    「ワシに黙って、ルルーシュに対して刺客を送った」
    「あやつの事はワシに任せると言ったのに……」
  
マリアンヌ「あら?ルルーシュの心配?」

シャルル「あやつの事だ。切り抜けはするだろう……」

シャルル「だがまたしても兄さんが嘘をついたのだ……」
    「いや、お前や此度のルルーシュの件だけではない」
    「ライラやマリーベルに対しても、ワシに黙って色々とやっておる……」

シャルル「親族同士の凄惨な争いの果てに、ワシは玉座に就いた」
    「だから子供達に関しては、安全であって欲しいとは思っておる……」
    「その事に関しては、兄さんも分かってくれると思っておった……」

マリアンヌ「……」

シャルル「ワシはな、兄さんが分からなくなってしまった……」
    「計画の協力者であったお前を殺し、ワシに黙って謀をする」
    「二人の間では決して嘘は付かないと誓ったのに!」

マリアンヌ「……」

シャルル「そして同時に怖くなった!」

シャルル「皆が一つになり、分かり合えれば争いも嘘もなくなる」
「誰もがありのままの自分でいられる、優しい世界になると……」
    「だから今まで進んでこれた!何を犠牲にしても……」

シャルル「だが実際はどうだ!」
    「兄さんはワシに嘘をつき、ワシはもうそんな兄さんを憎んでおる」
    「ワシと兄さんの二人でこの様だ」
    
シャルル「もし……」
    「皆が一つになったとしても、嘘偽りが無くなったとしても」
    「決して分かり合うことなど出来ず、憎しみ合ってしまうのではないかとな」

シャルル「そう思えてならんのだ……」

マリアンヌ「……なら止めちゃえば?」

シャルル「!」

マリアンヌ「貴方がやりたいと思ってるならいいけど、止めたいと思うなら私はいいわよ」

シャルル「しかし……」

マリアンヌ「未練がない。って言ったら噓になるわね」
     「人の器が大きくなれば、人の意識も大きくなるかもしれない……」
     「そんな世界を見てみたいと思っていたけど……」

マリアンヌ「貴方がやりたくないって事を強要したくはないわ」

シャルル「だがお前はもう……」

マリアンヌ「そりゃ色々思うところもあるけど、油断して死んじゃった私が悪いし」
     「それに元々計画が上手くいっても、生き返れる保障もないしね」

シャルル「……いいのか」

マリアンヌ「貴方の妻ですもの」

シャルル「……マリアンヌ」

マリアンヌ「それにね、最近面白い事が起こりそうなのよ」

シャルル「ん?なんだそれは?」

マリアンヌ「ルルーシュに恋人が出来たのよ」

シャルル「ルルーシュに恋人ぉ!?」
「誠か?」

マリアンヌ「ほらコレ」スッ

シャルル「ほう、この娘か!知っておるぞ!」
    「あやつもこの娘には相当入れ込んでおるぞ!」

マリアンヌ「そうなの?」 

シャルル「この娘はな、父親の仇であるゼロの正体を知りながら」
    「あやつを庇うに人を撃つことすらやってのけた!」
    「それも只あやつを好いておるというだけでな!」

マリアンヌ「へぇ、面白い娘ね」

シャルル「あやつも正体を知られたにも関わらず、態々記憶を消してまで生かそうしたりな」
    「随分と回りくどい事をしておるわ!」

シャルル「まあ、あやつの方は意識はしておらんだろうがな」

マリアンヌ「あら、ルルーシュたら相変わらず鈍いのね……」

マリアンヌ「でもやっぱりルルーシュも貴方の子ね」

シャルル「ん?」

マリアンヌ「回りくどいというか、不器用というか」    
     「そうまでして守りたいなら、はっきりと言うべきよ」
     「本当に素直じゃないんだから」

シャルル「……お前は素直すぎるわ」

マリアンヌ「あはは!嫌いになったかしら?」

シャルル「それはないわ!ハハハハハッ!」


マリアンヌ「それで計画はどうするの?」

シャルル「……止めるか」

マリアンヌ「分かったわ」

シャルル「して、先程のルルーシュの恋人の件だが……」

マリアンヌ「うーん、私も詳しくは知らないから、アーニャに聞いてみたら?」
     「……何かする気?」

シャルル「一つ面白い事を思いついたのだ」ニヤリ
    「ルルーシュを皇帝にしてしまえばいいなと」

――――

ルルーシュ「……で、その面白い事のためにシャーリーを攫ったのか?」

シャルル「そのとおぉりィ!」

ルルーシュ「ふざけるな!!!」
     「俺が!!シャーリーが攫われたと聞いて!!どれだけ心配したと思ってるんだ!!!」

マリアンヌ「あら」

ルルーシュ「もう二度と会えないんじゃないか……」
     「おれのせいでまた巻き込んでしまった……」
     「そんな不安と後悔で、どれだけ……」

シャーリー「あの、そこからルルが皇帝になるってのは?」

シャルル「騎士団のトップが皇帝になれば戦う必要が無くなる」
    「ブリタニアは混乱するであろうが、もともと自転車操業みたいなもの。いずれにせよ改革は必須であろう」
    「そんな事が出来るのはルルーシュかシュナイゼルくらいしかおらん!」

シャルル「それにワシのもう一つの夢が叶いそうだからな」

ルルーシュ「夢?」

シャーリー「……あ、孫が見たいってことですか?」

シャルル「うむ」

ルルーシュ「なぜそうなる!」

シャルル「誰も結婚せんからだ!」
    「考えてみろ。ワシはもう60を超えておるだぞ!」
    「にも関わらずオデュッセウスやシュナイゼルも他のものたちもいい年して、誰一人孫はおろか嫁や婿の顔も見せにこんのだぞ!」
    「流石に焦るわ!」

ルルーシュ「だったらお前が面倒見てやればいいだろ!」
     「お前だって政略結婚しまくってるだろうが!」
 
シャルル「何を言うか!ワシが決めてしまっては、幸せになれるか分からんだろうが!」
    「それに縁談と言うが、最近お前が潰したじゃろ!」

ルルーシュ「うぐッ!」
     「そもそも、孫ならもういた筈だろ?」

シャーリー「そうなの?」

ルルーシュ「ああ、俺が生まれる前に嫁に行った姉がいて子供もいるらしい」
     「俺もつい最近まで知らなかったがな」

シャルル「いやぁ、流石に一度も会ったことがない孫を今更可愛がるのもなぁ……」
    「それに嫁に行った娘の子供だぞ、ワシが可愛がると向こう様のお家に悪いし……」

ルルーシュ「何でそんな所だけ妙に律儀なんだよ!」

シャーリー「……あの、だったらどうしてルルにしたんですか?」

シャルル「ワシの子の中で、恋人がいて一番年上がルルーシュだからよ」
    「それにシュナイゼルはちょっとおかしいから、よそ様の娘を貰うのはなぁ……」

シャーリー「そんな理由で……」

シャルル「あと、あのまま放っておいたら何か不味い気がしてな……」

ルルーシュ「何を訳の分からないことを……」

シャルル「愛し合う二人が子供を成す、それが一番よ!」    

ルルーシュ「お前は自分に何人妻と子供がいるか数えてから喋れ!」

マリアンヌ「結果的にシャルルの思い描いたとおりになった訳だし良かったじゃないの」

ルルーシュ「いい訳があるかぁ!!」

ルルーシュ「ハァハァ……、もういい……。疲れた……」フラフラ

シャーリー「えーと、失礼します」ペコリ
     「待ってよ、ルルー!」

シャルル「やっぱり話さない方が良かったかの……」

マリアンヌ「まあその内分かってくれるんじゃない?」

――――寝室

ルルーシュ「…………」

シャーリー「えーとルル、元気出して」

ベットに座り込んで項垂れている彼に声を掛ける。
今まで見た事が無いほどに落ち込んでいた。

シャーリー(うわー、どうしよう……)

ルルーシュ「……俺さ、母さんの事……、尊敬してたんだ……」

シャーリー「うん」

涙声になりながら、ポツリポツリ絞り出すように話し始めた。
彼の隣に座りながら相槌を打つ。


ルルーシュ「強くて、格好良くて……、色んな人から尊敬されてさ……」
     「俺もあんな風になりたいて……そう思ってた……」

シャーリー「そうだね」

ルルーシュ「母さんが死んで……、日本に行ったとき、凄く怖かったんだ……」
     「でも俺以上に怯えてたナナリーを見たとき、俺がこの子を守らなきゃって……」
     「だから、ナナリーを守るために……、俺がやらなきゃってずっと今まで……」

シャーリー「頑張ってたもんね、ルル」

ルルーシュ「なのに今の話聞いたら……、あいつ等全部知ってた上で…………」
     「掌で踊らされてたんだって……」

シャーリー「……」

ルルーシュ「俺がやってきた事なんて……」
     「全部……、無駄だったんじゃないかって……」

シャーリー「そんなことないよ!」

ルルーシュ「!」

シャーリー「少なくともルルがいなかったら、私は死んでた」
  
シャーリー「それに人が行動するときって、それが正しいと思って行動すると思うの」
     「だからルルがナナちゃんを守ろうとした事も、ゼロになった事も」
     「何一つだって間違ってなかったと思う」

シャーリー「後から考えれば幾らで方法なんてあったと思うけど」
     「その時分かる範囲で、それでもなんとかしようとしてたんでしょう?」
     「だからルルがやったことも、間違ってなんかいない」

ルルーシュ「シャーリー……」

ようやく上げてくれた顔は憔悴して、その目には涙が浮かんでいた。
彼の顔に両手を添え、そのまま胸の中に静かに、優しく抱きよせた。
右手で彼の頭をゆっくりと撫でる

シャーリー「今日は泣いてもいいから……、明日からまた頑張ろ」

ルルーシュ「ぐ……ッ……!」

私の胸の中で彼が震えていた。
怒り、悔しさ、他にも色々な感情が混ざり合っているのだろう。
自分を律してきた彼の事だ、緊張の糸が切れてしまったのも知れない。

シャーリー(今日だけは泣かせてあげよう)
そんな事を思いながら、彼の頭をひたすら撫で続けていた。


気が付いてらルルは眠っていた。
泣き疲れて眠っている彼の顔は普段よりも幼く見えた。

シャーリー「おやすみ、ルル」

彼の唇にキスをすると、私も眠りについた。
私だけはずっとルルの味方でいよう、そう決心しながら

――――終わり

ルルーシュの縁談とか、新皇帝に聞きたい100のコトとか、ちょいちょいネタあるからまた書きます。
逆にこんなの見たいとかでもあればお願いします

短編も面白いありがとうおつかれさま
二期の最終決戦でギアスの呪いありスザクにあれだけ対抗してきたカレンに引きながら尊敬するルルの話

会話膨らませづらかったら身内パーティーで話の流れでこの話になったということにして
CCとシャーリーとカレンスザクも混ぜて大丈夫
この話より1の思い付いたネタを先に見たいな

>>101了解、カレン無双話は考えてあったのでそれに合わせる形で出します
完成は…気長に待っててください。
ルルーシュの縁談話書いたら、次に書きます。

「それでルルーシュよぉ…側室は何人取るのだぁ?」的な話とか

>>103 お察しの通り、側室の縁談の話になります。
   大分ギャグ方面にする予定

1です。

書いていきます。
縁談ネタです。

――――アリエス離宮

シャーリー「え?ルルに縁談ですか?」

ジェレミア「はい、それで如何致したものかと」

ルルーシュ「そうか、そういう事か……」

ルルーシュが皇帝就任して2週間ほど経ったあくる日だった。
補佐をしてくれるジェレミアさんからの報告を受けたルルは何か思い当たるフシがあるのか考え込んでいた。
今一状況が理解出来なかったため、聞いてみる事にする

シャーリー「ルルは皇帝だから縁談話が来るのは分かるけど、それが何の問題なの?」

ルルーシュ「次の議会で貴族制度の撤廃を行うだろ」
     「だから利権が無くなる前に俺に取り入って、お目こぼしをしてもらうって腹積もりか」
     「もしくは婚姻関係を利用して撤廃の中止を言ってくるつもりだろう」

シャーリー「そこは分かるけど」

ルルーシュ「ブリタニアの歪んだ財政は貴族性と財閥の影響が大きい」
     「それを正すために貴族制の廃止と、財閥の解体は必須なんだ」
     「だから縁談自体が意味がないんだ」

シャーリー「なるほど」

ルルーシュ「断るだけなら楽なんだが」

ジェレミア「如何せん、数が多いものですからね」
     「おまけに連盟で来てますから、下手に断って今後の政策にも影響が出かねません」

ルルーシュ「強硬派なら粗方潰せたが、恭順派は別に俺の味方という訳ではないからな」
     「あくまで自分たちの利益を確保する為だし」

そう言うと再び思案顔となった。

ルルーシュ「だがな正直縁談自体、俺は嫌なんだよ」

シャーリー「どうして?」

ルルーシュ「シャルルはな、請われればそのまま結婚してたんだ」
     「だから妻の数も膨大なんだ」
     
シャーリー「シャーリー、シャルルの妻の人数は分かるか?」

ルルの兄弟の人たちを数えてみる。
そこからおおよその人数を考えてみる。

シャーリー「えーと……30人くらい?」

ルルーシュ「108人だ」

シャーリー「そんなに!」

ルルーシュ「だから貴族や財閥は自分たちの要求を通すために縁談を申し込んだんだ、あいつが断らないからな」
     「シャルルも計画の為に、相手方の実家を使ってやる腹積もりだっただろうし」

シャーリー「それで何で嫌なの?」

ルルーシュ「俺があいつと同じ扱いをされているんだぞ!」
     「結婚さえさせれば、俺を思い通りに動かせると思われてるんだぞ!」
     「こんなもの屈辱以外の何物でもない!!」

シャーリー「おーおー。恋人が108人いた人は、流石に言う事が違いますねー」

ルルーシュ「いや、あれはその……、事情があってだな……」アタフタ

ジェレミア「ルルーシュ様、それは……」

ルルーシュ「ええい!これ以上言うな!」

実際そこまで怒っている訳ではない。
きっと何か彼なりの理由があったのだろう。
多少のお返しくらいは許してもらおう。

話題を変えるために気になった事を聞いてみる。

シャーリー「ところでジェレミアさん、縁談てどれくらい来てるんですか?」

ジェレミア「50件です」
     「こちらが対象者になります」スッ

渡されたプロフィールを確認してみると私と同じくらいから妙齢の女性まで、色々な女性がいた。
名字を見てみると、私でも知っている貴族や大企業の名前があるのが分かる。
うわー、私よりずっと美人だし、礼儀や宮廷作法にも通じているのだろう。

ルルーシュ「それに……」

シャーリー「それに?」

ルルーシュ「俺はシャーリー以外と結婚する気はない!」

シャーリー「///}

駄目だ、嬉しい!
静まれ、私の表情筋!

シャーリー「そ、そうなんだぁ~」ニヨニヨ

ルルーシュ「だから困ってるんだ」
     「そもそも断るんだから会う気もない」 
     「だが、無碍にすると反発を招く」

ルルーシュ「第一、今50人も会っている暇なんぞない!」

シャーリー「ま、そうだよね」
     「でもこればっかりは纏めて解決、なんて出来そうにないもんね」  

ルルーシュ「ん?そうか……、その方法があった」

シャーリー「あ、何か思いついたの?」

ルルーシュ「ああ、一遍に解決する方法が見つかった」ニヤリ

彼が邪悪な笑みを浮かべている。
なにやらいい案が思い浮かんだようだ。

だが知っている。彼の考えるいい案は、どこかに必ず落とし穴があると……。

シャーリー(大丈夫かな……)

ジェレミアさんに色々指示を出すルルを見て一抹の不安が残った。

―――謁見の間

ルルーシュ「私が第99代ブリタニア皇帝、ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアです」

ルルが尊大に、威厳ある挨拶をする。
右側に私、反対側にジェレミアさんが控えている。

そして反対側には縁談相手の50人が全員いる。
一々相手して断るよりも纏めて会って断ってしまえばいい、それがルルの考えだった。

縁談相手全員が呆気にとられたのが分かる。
テレビで見た事はあっても予想以上に若い新しい皇帝に、驚きを隠せなかったのだろう。
だがそれも一瞬、直ぐに臣下の礼を取り挨拶の口上を述べる。

「この度はお目通りの機会を頂き、恐悦至極に存じます」
「お忙しいところ私共の為に、貴重なお時間を頂きありがとうございます」

社交界の挨拶の応酬が続くかと思られたがルルが直ぐに打ち切った。

ルルーシュ「堅苦しい挨拶は不要だ」
     「皆をこうして集めたのは私の考えを明確にする為だ」

ルルーシュ「私が行おうとしている事は、今のブリタニアを徹底的に作り変えるつもりだ」
     
ルルーシュ「貴族制度の撤廃、財閥の解体の話は貴女達も知っているだろう」
     「他にも各ナンバーズ領の解放、歴代皇帝陵も破壊する予定だ」
     「既得権益と呼ばれているものは無くなると思ってくれていい」

ルルーシュ「今回の縁談そのものに意味がない」
     「だから今ここで全て断るために皆を集めたのだ」 

「お戯れを……」

ルルの言葉に驚きながらも、彼女たちはそれを隠しきり挨拶を続けた。
がルルは又してもそれ以上喋らせなかった。

ルルーシュ「私は怒っている」
     「先帝シャルルと同じく、婚姻関係さえ結べればとお目こぼしをしてもらえると考える浅ましい考えに!」
     「自らの既得権益を守るために、娘や孫、姉や妹など親族を差し出す態度に!」     

ルルがやや口調を強めて言う。それに伴い、相対している何人かの体が震えるのが分かった。
そんな事は無視して言葉を続ける。

ルルーシュ「そして同時に哀しくもある」
     「親族を人身御供として差しだす忌まわしい風習に」
     「その犠牲になった女性たちに……」

今度は少し悲哀を込める。

ルルーシュ「私の立場上、縁談とは無縁ではなかった。私の友人や実妹のナナリーにすらあったくらいだ」

ナナちゃんにもそんな話があったのかと少し驚く。
事件の前であろうか。しかしそれでも10歳にも満たなかったはずだ。
後の場合でも、目と足が悪い相手に縁談など人質としての意味が強いだろう。

友人とはミレイ会長のことだろうか。
そうだよね。会長てば縁談の話があった時凄く悲しそうな顔をしていたし。

ルルーシュ「皆も知っての通り、私はゼロだ」
     「そのゼロが中華連邦の天子様と、我が兄オデュッセウスとの婚姻を破綻させたのは記憶に新しいだろう」
     「あの行動は望まぬ結婚を強いられた天子様と、彼女達を重なったからだ」

ルルーシュ「そして今は君たちにも同情している」
     
「いえ、決してそのような……」
「そうです。此度の縁談は……」

ルルーシュ「偽らなくともよい」
     「貴方たちの中で、他のものと許嫁や恋人がいた事は把握している」
     「余りに哀れじゃないか。この縁談に意味はないのに、私のようなテロリストと結婚を強要されたのだから」ニヤリ

そう、全員ではなかったがそういった相手がいることは確認が出来ていた。
ルルが皇帝になってから2週間程度しか経っていないのだ。
余りに急だったため、予定していた縁談などを俺に回したんだろう、とルルは言っていた。

そう考えれば彼女たちも、家の都合で振り回された哀れな被害者なのだろう。

そんな彼女たちは、縁談は断りながらも同情を寄せるルルの思惑が読み切れず黙り込んでしまっていた。

ルルーシュ「それにな、私は恋愛結婚の方がいいと思っている」
     「ここにいる妻のシャーリーとは恋愛結婚だしな」

ちょっとルル?何か話が変な方向に行ってませんか?
そんな私の思いとは裏腹にルルは話を続ける。

ルルーシュ「先日の放送を見たものは、彼女が私に惚れていると思っているがそれは違う」
     「私が彼女に惚れているのだ」

ルルーシュ「シャーリーと学生の時に知り合った」
     「当時の私は酷い人間不信で、余程身近な人間以外は全て敵だと思っていた」
     「だが彼女と出会ったことで、その不信が大きく改善した」
     「陰に生きていた俺にとって、彼女の存在は太陽のように眩しかった」

皇帝ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアの仮面を外し、素の状態で言葉を続ける。

ルルーシュ「困っている人を放っておけない優しさに」
     「俺が迷ったときには立ち直させてくれる言葉をくれる真っすぐさに」
     「間違ったときに、叱ってくれる正しさに」

ルルーシュ「そんな彼女に俺は救われたんだ……」     
     
ルルーシュ「まだまだ好きな所は言えるが、これ以上はシャーリーが恥ずかしがりそうだしな」


シャーリー「///」

ルルが笑いながら言う。
もう遅いです。顔どころか耳まで真っ赤です。
まさかこんな所で、こんな惚気話を聞かされるとは思っていなかった……。

ルルーシュ「だから、貴方たちと縁談はなかった事にしてほしい」
     「貴方達の恋を応援したいとも思っている」
 
     「それに自分で道を決めるのもいいと思う」
     「先ほど言った私の友人はそうしている」ニコリ

「しかし……」
「私達にも立場が……」
「家の都合も……」

彼女たちが弱弱しく言い返してくる。
明らかにこの状況に困惑しているのが分かる。
自分の感情に、家の立場や都合に、そしてルルの言葉に。

ルルーシュ「分かりました。ではそんな貴方達にプレゼントをあげよう」
     「全員面を上げよ」

ルルがギアスを使う気だと気が付いた。

ルルーシュ「ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアが命ずる!」
     「自らの思うままに生きよ!!」キュイィィン

暫しの沈黙が続く。
思わず声を出す。

シャーリー「まさかこうするために?」

ルルーシュ「ああ。こうすれば、かども立たずに―――」

「「「「ルルーシュ様♡♡♡」」」」ドダダダダダ

ルルーシュ「ほわぁぁぁぁ!」バッターン

飛び掛かるように抱き着く彼女たちによって、ルルに床に倒れこむ。
その上に更に別の女性がのしかかっていく。

余りの事に私とジェレミアさんも数秒固まってしまっていた。

ルルーシュ「何をする!や、やめ―――」ドタバタ

ジェレミア「む、いかん!」キュイィィン

「「「「……」」」」
「あれ?」「私達一体なにを?」

下敷きになっている彼を助けるため、正気に戻った彼女達の押しのけて助け出す。
まるで潰れた蛙のようになっている彼に必死に声を掛ける。

シャーリー「ルルー!!しっかりしてー!!」

ジェレミア「陛下ーーー!」

ルルーシュ「」チーン

――――5分後

シャルル「随分面白い事になっておったな」
    「とりあえず全員の記憶を”シャーリーに対して惚気まくってるから、居た堪れなくなって辞退した”」
    「としておいたが、よかったかの」

シャーリー「はい、ありがとうございます。お義父様」
     「お手数をおかけして、申し訳ございません」

シャルル「子の不始末を処理するのも親の務めよ」

シャーリー「ほらルルもお礼言って」

ルルーシュ「…………」

椅子に座って項垂れている彼に声を掛ける。
押し倒された衝撃に、こんな事になった事態にショックを受けている。

ルルーシュ「一体何故こんなことに……」

あ、こいつ理解してないな。
流石にはっきりと言って聞かせる必要がある。

シャーリー「あのね~!ルル!あの人達の立場分かってる?」
     「あの人達は家の都合で仕方なく来てるのよ」

ルルーシュ「そうだな」

シャーリー「許嫁や恋人もいた人もいたよね」

ルルーシュ「ああ」

シャーリー「そんな人がいなかった人にも、好きな人とか思い人がいた可能性はあるよね」

ルルーシュ「だろうな」

シャーリー「じゃあなんで分からないかな?」

ルルーシュ「何がだ?」

シャーリー「家の都合で自分の人生が滅茶苦茶にされてるんだよ!」
     「それも知りもしない人との縁談を組まされてるの!人生のどん底みたいな絶望的な状況はだよね!」

ルルーシュ「ナナリーやミレイ会長と同じような状況だったな」

シャーリー「そんな人たちに優しい言葉掛けて貰えたら、惚れちゃう人がいてもおかしくないでしょ!」

ルルーシュ「いや、まさか全員が俺に惚れたなんて……」

シャーリー「全員がルルに惚れてたわけじゃないとは思うけど、皇帝の縁談相手に来るぐらいの人達なんだよ!」
     「結婚して子供なんか出来たら、次期皇帝の母親になるんだよ!それって凄いことだよね!」
     「この機会を逃すまいと思ってた人もいるに決まってるでしょ!」

シャーリー「そんな人たちに『好きなようにしろ』ていったらこうもなるでしょ!!」

ルルーシュ「…………あ」

シャーリー「もう!やっと気が付いたの?」

シャーリー「言わなきゃ分からないけど、言われた言葉の受け取り方は違うんだよ」
     「それはルルだってわかってるでしょ?」

ルルーシュ「……そうだな。済まなかった」

シャーリー「大丈夫よ。妻ですから!」
     「当初の目的の縁談の破棄は出来たから良かったじゃん」

ルルーシュ「フフ、そうだな」

ルルから笑みが出た。
良かった、調子戻ったみたいで。

シャルル「フハハハハッ!お前もシャーリーには敵わんな!」

ルルーシュ「五月蠅い!第一なんでいるんだ」

シャルル「何を怒っておる!せっかくお前の為に一肌脱いでやったというのに!」

ルルーシュ「黙れ!俺は要件を聞いてるんだ」

シャルル「これをお前たちに渡しておこうと思ってな」

シャーリー「なんですか?」

つ『ブリタニア流・房中術の書』

ルルーシュ「なななな///」

シャーリー「わわわわ///」

シャルル「王たるものが側室も持たんのはどうかと思うが、そこはお前の好きにすればよい」
    「だが結婚してもまだそういう事をしておらんのは不味いと思ってな」
    「このままでは孫が見れんだろ!」

ルルーシュ「だからってなんで!」

シャルル「これはいいぞぉ!」
    「読んだワシとマリアンヌで夜の―――」

ルルーシュ「止めろ!!親のそんな話は聞きたくない!!」

シャルル「……まさか不能というわけではあるまいな」

ルルーシュ「違う!!単純に公務が忙しくて時間がないだけだ!」

シャルル「仕事なんぞにかまけておらず、夫婦の務めを果たせ!!」

ルルーシュ「誰のせいでこんなに忙しいと思ってるんだ!!!」

もう慣れた親子喧嘩の喧噪を聞きつつ、貰った本の表紙を眺めながら思う。
後でじっくり読んでおこう……。


――――終わり

ところでシャーリーと結婚したら名字てどうなるんだ?
法則性とか分かる人いましたら教えてください。

次は101さんのネタを書きます。しばしお待ちを…
他のネタのお待ちしております。

やろうと思えば新作のギアスssできるんじゃね?

>>121 50行ほど書くのに2~3日掛かるのでそれは無理です

101さんのネタが書けたので投稿します。
時系列は76の後になります。

――――ペンドラゴン 作戦室

俺が皇帝になった翌日、緊急の対応が必要になった。
予測通り俺の即位に反対する貴族が謀反を起こした。

俺の指揮下に入ったロイヤルガードから情報を精査している。
そんな慌ただしい中、そんな事はお構いなしにカレンが声を掛けてくる

カレン「ルルーシュ、時間貰えない?」

ルルーシュ「なんだ急に?」

カレン「どうしても聞いておきたいことが幾つかあるのよ」

ルルーシュ「今じゃないと駄目なのか?」

カレン「駄目ね」

彼女の真剣な表情が、瞳が告げる。
俺を逃がす気はないと。

カレン「5分で済ませるからさ」

ルルーシュ「……分かった」

ルルーシュ「なんだこの忙しいタイミングで!」

カレン「C.C.からある程度は聞いたけど、あんたに直接聞きたくってね」
   「なんでゼロに貴方はなったの?」

ルルーシュ「ナナリーと一緒に聞いてただろ!」

カレン「いいから答えて。あんた妹の前だと無駄に恰好つけるし」

ナナリーに話したことを幾つら縮めて話す。

ルルーシュ「……シンジュクでテロに巻き込まれたからだ」
     「それを見た事と、スザクが俺を庇って撃たれたからだ」

ルルーシュ「俺はずっと嘘を付いてたんだ、生きてるって嘘を……」
     「あの時まで出来もしない妄想だけで、結局何も出来なかった」
     「ずっと俺は燻ぶってたんだ……」

ルルーシュ「もう何も出来ないのは嫌だった……」
     「尤も母さんの復讐と、ナナリーの安全を確保をとも思ってはいたがな」

カレン「どうして黒の騎士団を作ったの?」

ルルーシュ「ブリタニアと戦うためだ」
     「実はシナガワで同じようなことをしたんだ」

ルルーシュ「だがコーネリア相手に完敗した。いや勝負にすらなっていなかった」     
     「玉城より俺の指示を聞かなかった」
     「だから俺の指示通りに動いてくれる駒が必要だった」

カレン「あんたちょいちょい駒って言ってたけどそれは?」

ルルーシュ「俺は戦略を立てる時はチェスを元にしている。その名残だ」

カレン「そう?ゲームの駒扱いしてるとも思ってたけど」

ルルーシュ「そこは否定しない。」
     「俺にとって作戦上のものは全て駒だ、俺も含めてな」

カレン「……その駒にも事情があるのは分かってる?」

ルルーシュ「知っている。だがそれは戦場に何の関係がある?」
     「君や扇、他の者にだって理由があるのは分かる。俺だってそうだ」

ルルーシュ「だが作戦を遂行する上で、無駄に駒に拘れば勝てなくなる」
     「精神論だけで勝てない、そうだろう?」

カレン「そうね……」

ルルーシュ「それに考えてみる。ないない尽くしだったろ」

カレン「え?」

ルルーシュ「金も、人員も、武器やKMFに至るまで、ブリタニアと比較して全然無かっただろ!」
     「だからあらゆる可能性を考慮して作戦を立て、事前に準備して対策を練らないと勝てなかったんだよ!」
     「まあスザクに大概ぶっ壊されたけどな!」

ルルーシュ「だから必要だったんだ。俺を信じて一緒に戦ってくれる存在が……」

カレン「……そうね。あんたがいなくなってからさ」
   「C.C.や卜部さんとあちこち転戦しながら逃げ惑ってたけど」
   「情報集めるのも、KMFの手配するのも一苦労でさ」

カレン「でも学生のあんたが、一人でやってたんだからさ」
   「それまで考えてもみなかったからね、そんな事」

カレン「最後ね、中華連邦に行った理由は?」

ルルーシュ「俺の最終的な目標を達成するための順番がある」

ルルーシュ「第一に日本をブリタニアの意向に左右されない独立国家とする」
     「第二にそういった国家群を束ねて、合議制の国際組織を作る」
     「最後に軍事を集権し、有事は常に1国対世界といった構図に出来るようにする」

ルルーシュ「その第一と第二の順番を入れ替えたからだ」

カレン「……日本を切り捨てる気はなかったのね」

ルルーシュ「当たり前だろ」
     「卜部の事もある……」

カレン「妹と戦えないだけじゃないの?」

ルルーシュ「……それもある。がナナリーの政策で、日本でのこれ以上の抵抗活動は難しかったからな」
     「最終目標を達成するために順番を入れ替えたんだ」
     「超合集国を設立してその武力を使って日本の独立を勝ち取る」

ルルーシュ「それが上手くいけばブリタニアのナンバーズ領は独立の動きが強まる」
     「そうなればブリタニアは日本だけに構うことは出来なくなるからな」

カレン「わかったわ、ありがとう」

ルルーシュ「なぜこんな事を今更―――」

カレン「皆も聞こえたわね!」

???『おうよ!ばっちり聞こえてるぜ!』

ルルーシュ「この声、まさか玉城か!?」

玉城『俺だけじゃないぜ!黒の騎士団全員が聞いてるぞ!』

カレン「そ、斑鳩と通信を繋げてたの」

扇『ゼロ、俺だ』
 『正直君を信用できないという者もいる』
 『だがカレンが君を信じた。だから俺達もカレンが君を信じる!』

神楽耶『それに新しいブリタニア皇帝に恩を売る絶好の機会ですしね!』

藤堂『卜部の思いを無駄にする事は出来ない』

騎士団員たちの声が続々届く。

C.C.『まだこちらは太平洋上だ。そちらに着くまで半日は掛かる』

玉城『それまで死ぬんじゃねぇぞ!まだ聞きたいこと山ほどあるんだからよ!』

――――ペンドラゴン 郊外

『進め!今こそ我らの手でブリタニアを正しき姿に!』
『王位の簒奪者を許すな!』

俺に対して謀反を起こした貴族勢力、その一部の部隊が抜け駆けをしたのであろう。
20機ほどのKMFがペンドラゴンに近づいてきた。

『むっ!反応が―――』

先頭を飛んでいたKMFが爆発する。
帝都より迎撃に出た紅蓮が彼らの前に立ちはだかる

カレン「悪いけどさ、今からやるのは一方的な暴力だから」

『たった一機だ、囲ん―――』

その瞬間、目にも止まらぬ速さで紅蓮が右手で相手のクローで掴む。

カレン「弾けろ、ブリタニア!!」

――――

モニターを使って戦況を確認する。
尤も腐りきった貴族体制の、しかも独断専行の部隊など相手にもならないと予想していたが。

ルルーシュ「一方的すぎるな……」

シャーリー「KMFてあんなに速く動けるものなの?」

ナナリー「やっぱり恰好いいですね」キラキラ

シャルル「まるでマリアンヌを見ているみたいだ……」

鎧袖一触と言うべきか、紅蓮に触れた瞬間には敵機体の反応が消えていた。
碌に抵抗することもなく、10機のKMFを撃破された。

操縦技術はスザクにも劣らないと思っていたが、ここまで一方的になるとは……。

カレン『ルルーシュ、これで全部?』

ルルーシュ「ああ、今ので全部だ」
     「敵本隊の到着までは数時間掛かる計算だから一度帰投してくれ」

カレン『了解』

カレンに指示を出し終わると、ナイト・オブ・トゥエルブのモニカ・クルシェフスキー卿が話しかけてくる。

モニカ「陛下、私達にも出陣の許可を頂きたいのですが」

ルルーシュ「モニカ・クルシェフスキー卿。私の指揮下に入ると?」

モニカ「シャルル陛下がお認めになっている以上、私が何も言うことはございません」

ルルーシュ「分かった。ならばロイヤルガードとペンドラゴンの警察権を任せる」
     「市民が暴動を起こさないよう監視体制を強化して欲しい」

モニカ「イエス、ユアマジェスティ」

クルシェフスキー卿が一礼をして去っていく。
ペンドラゴンの事は彼女に任せておいていいだろう。

シャーリー「よかったの?カレンの援護とかしてもらった方が」

ルルーシュ「いや、貴族の反乱でペンドラゴン内に影響が波及する方が不味い」
     「だから彼女に、いやラウンズに暴動が起きないように監視してもらった方がいい」
     「それに……」

シャーリー「それに?」

ルルーシュ「あの様子だと援護は要らないだろ」

シャーリー「まあ、そうだけど……」

これで数時間の猶予が生まれた。
その間に作戦を考える。次の本隊が相手では流石に単騎での攻略は難しいだろう。

ルルーシュ「シャーリー、すまないが何か情報があれば知らせてくれないか?」

シャーリー「それはいいけど、何かするの?」

ルルーシュ「迎え撃つ為の策の用意をする」
     「流石にカレン一人じゃ厳しいと思ってな」

シャーリー「わかった、やってみる」

ナナリー「あの、どうしてお兄様が動くのです?」

ルルーシュ「矜持だよナナリー。王が動かないと部下が付いてこない」
     「それに新皇帝のお披露目だ、派手にいこうじゃないか」ニヤリ

相手の行動を予測し、策を練る。
幾つかの作戦を考えた結果、最も効果が高そうな作戦を選ぶ。
ポイントを選びに準備に掛かる。

まさか皇帝になってもこんな事をする破目になるとはな……。

カレン『ルルーシュ、ここでいいのね』

ルルーシュ「ああ、頼む」
     「後は、向こうの行動次第だね」

カレン『策は分かるけど、どうして市街戦にしなかったの?』

ルルーシュ「確かに首都で防衛線をした方が楽だが、要らん被害が出るからな」
     「それに新皇帝即位に皆浮足立ってるんだ。余計な混乱は起こさない方がいい」

     「これはあくまでブリタニアにとって些事に過ぎないとする目的もある」

カレン『ふーん、まあ分かったわ』
   『そう言えばまだ聞きたいことがあったわ』

ルルーシュ「なんだ?」

作業をしながら質問に答える。

カレン『なんで最初の仲間に私達を選んだのの?』

ルルーシュ「ああ、君たちが強奪した毒ガスの運搬車が事故を起こしただろ?」
     「その時偶々近くにいて救助しようとしたら、車両が動き出してそのまま巻き込まれたんだ。」

カレン『え、そうだったの!』

ルルーシュ「だから通信機も持ってたし、君がテロリストと知って接触が出来た」

カレン『あ~、そういうことか!』

ルルーシュ「あの時初めての実践だったが、どうだった?」

カレン『そうね、初めてブリタニアと戦えるようになった』
   『いえ勝てるようになったと言っても良かったわね』

ルルーシュ「まあスザクにぶっ壊されたけどな」
     「あの時は、そのスザクが殺されたと思ってたからな」
     「だからクロヴィスが許せなかった」

ルルーシュ「それにスザクを助けに行く時、君と扇だけは付いてきてくれた」
     「それが有難かった。少なくとも俺の能力だけは認めてくれている訳だからな」

カレン『……途中で切り捨てたり、使い潰そうとしたことは?』

ルルーシュ「最初の内はあった。もっといい人材がいるかとは思わなかった訳じゃない」
     「でも君の母親の件があっただろう?」
     「その時気が付いたんだ……、君も俺と同じだって」

カレン『……』

ルルーシュ「そして同時に羨ましかった……。母親がいる君が……」

カレン『……あんたには妹がいたじゃない……』

ルルーシュ「……そうだな、互いにないものねだりだ」


カレン『事情知ったらさ、結構無理してたんじゃない?』

ルルーシュ「当たり前だろ。本当はもっと時間を掛けてやるつもりだったからな」
     「ただ準備の為に金は持ってないととは思ってたんだ……」

カレン『もしかして賭けチェスやってたのってその為?でもアンタならもっと他の方法もあったんじゃないの』

ルルーシュ「……俺達はさ、戸籍が無かったんだ」

カレン『え!?』

ルルーシュ「だから身元がバレるような事は出来なかったんだ」
     「それに海外に逃げる為のパスポートを手に入れるのも簡単じゃないんだ」

カレン『逃げるって、アッシュフォード家が後ろ盾じゃなかったの?』

ルルーシュ「いや、会長や前当主のルーベン様は違ったけど、現当主は恐らく違ってたと思う」
     「アッシュフォード家自体没落して焦ってたし、皇帝の意に逆らってまで俺達を匿う理由はないだろ」
     「だから俺を旗頭に殴りこむか、それが出来なければ俺達を売る気だった」

ルルーシュ「学園を卒業したら、それを理由にナナリーと遠ざけられる可能性があった」  
     「後は言わなくても分かるだろ……俺も焦ってたんだ」
     「だから大切だったんだ、あの時間が……」

カレン『……そっか』

ルルーシュ「学園と言えば、君との約束守れそうにないな……」

カレン『え!?あ……、全てが終わったらアッシュフォード学園に帰らないか?てやつのこと』

ルルーシュ「俺はもう皇帝だからな、モラトリアムはお終いだ」
     「あ、シャーリーもか……、巻き込みたくなかったんだがな……」

???『ほほう、そんな事情があったのね』

ルルーシュ「シャーリー!?聞いてたのか」

シャーリー『私だけじゃないよ、騎士団の人達もね』

扇『そういった事情か』

神楽耶『貴方様の立場上分からなくもありますが、もう少し私達を信用して頂いてもよかったのに』

ルルーシュ「カレン!?」

カレン『アンタの話は皆聞きたがってるのよ』
   『どーせ隠したって意味無いんだからこの際全部喋っちゃいなさいよ』

ルルーシュ「言えるか!」

シャーリー『続きは聞かせてもらうからね』
     『あとルル、来たみたい』

ルルーシュ「!」
     「わかった、カレン準備は?」

カレン『手は動かしてたから大丈夫』

ルルーシュ「よし、相手の出方をみる」
     「所定の位置で待機してくれ」

先ずはこの場面をどうにかしなければ、尤もそんな心配はする必要はないと思うが。

――――ペンドラゴン 作戦室

シャーリー「大丈夫かな、ルル達2人しかいないし」

ナナリー「そうですね、幾ら強くても2人では……」

シャルル「大丈夫じゃろ」
    「あやつの事だ、全て計算に入れて立ち回っておるわ」

シャルル「それにな……」

ナナリー「それに?」

シャルル「20年前のワシの時なんか、ラウンズ9人が叔父についたからなぁ」
    「それに比べれば些事よ!フハハハハッ」

シャーリー「……わ、笑えないんですけど」

――――ペンドラゴン 郊外

ルルーシュ「なんだ、最も愚かな手を打ったな」

謀反を起こした貴族の軍が襲来した。
予想通りの侵攻ルート、想定通りの勝ちを確信したような愚かな編成。
よし前提条件はクリア。

敵の配置を確認する。
フロートユニットを装備したKMF50機ほど、地上に30機。
旗艦と呼べるG-1ベースと随伴の機動戦闘車が10両。

確かに大勢力ではあるが、展開するわけでもなく集まっている状態だ。

あとは指定のポイントに来るまで待機だ。
思えばシンジュクで初めて指揮を執った時もこんな感じだったな。

そんな事を思い出しながら蜃気楼をやつらの前に出す。

ルルーシュ「止まるがいい!反逆者共!」

『ルルーシュだ!』『ゼロめ!』
『王位の簒奪者め!』『単騎とは!』

ルルーシュ「問おう!正義と悪が突然入れ替わった時、貴様らはどうする?」
     「悪であった正義に付くをよしとするか、正義のまま悪に落ちるか」

『我らの正義は帝国の為に!』『貴様のような者を認める訳には行くものか!』

敵のKMFが銃口をこちらに向け、一斉に火を噴く。
蜃気楼の絶対守護領域を展開し、全て防ぎきる。

ルルーシュ「なるほど。私ならば悪に染まろうと、己が信じた正義を貫こう!

手元のスイッチを押す。
彼らの真下から眩いほどの光が溢れ出す。
次の瞬間には轟音と爆風が、反逆者共を吹き飛ばす。

『まさか地雷を!』

そう、やつらの足元に設置しておいたサクラダイトを使用した地雷、それらを一斉に起爆した。
フロートユニットを装備KMFを除いた殆どの地上部隊が壊滅した。

ルルーシュ「カレン、今だ!」

カレン『はい!』

背後から紅蓮が一気に強襲する。
輻射波動を円盤状に収束させたカッターが、敵を纏めて切り裂いていく。
接近戦に持ち込んだ2機の敵KMFが、瞬く間に左手の特残刀とスラッシュハーケンでバラバラにされる。

距離を取って砲撃しようにも、機動力が違い過ぎてまともに当てる事すら出来ない。
反対に紅蓮は伸ばした右腕から発射された輻射波動が敵を焼く。

『なんだこの機体は!』『追いきれない!』

敵パイロットから悲鳴が聞こえる。
彼らも決して動きが悪いわけではなかったが、如何せん相手が悪すぎた。
そして最後の1機がワイヤー式の右腕に捕まる。

「弾けろブリタニア!」

『うわああああぁ!』

数分も立たずに敵が全滅していた。

カレン『あれ、もう終わり?』

ルルーシュ「あ、ああ。これで全滅だ」

……あれ、俺最初の攻撃防いだのと、地雷爆破しかしていないぞ。

ルルーシュ「凄いな、ここまで一方的だとは……」

カレン『終わったわね。いったん帰投しましょう』

ルルーシュ「そうだな」

カレン『ねえルルーシュ聞いてもいい?』

ルルーシュ「もう騙されんぞ!」

カレン『流石にもうやらないわよ!』
   『……シャーリーを助けに行ったのはどうして?』

ルルーシュ「俺がもう何も失いたくないからだ」

カレン『ああ、ごめん。聞き方が悪かったわ』
   『他の人が同じ状況だったらアンタは助けに行った?』

ルルーシュ「!」

カレン『例えば私やC.C.が、シャーリーと同じように攫われたら』
   『アンタは助けに行ってた?』

これはどういう意味だ。
シャーリーを助けに行った事がそんなにおかしな行動だっただろうか。
だがシャーリーとカレン、C.C.ではそれぞれ立場が違う。
同じような状況になった時、俺は同じような事をしただろうか。

俺の中で思考をフル回転させたあと、一つの結論を出した。

ルルーシュ「……正直に言って分からない」
     「俺が行動を起こした時のその時の俺は、これが正しいと思って行動をした筈だ」
     「だからシャーリーを助けに行った事は俺の中では間違っていない」

     「だが君やC.C.が同じような事が起こった時に、助けに行くかはその時の俺次第だ」

カレン『……』

ルルーシュ「尊敬、友情、同情、後悔、他にも色々な感情がある……」
     「ただシャーリーに対しては、もう二度と失いたくない……」
     「そう思ったんだ……」

カレン『……そう、ありがとう』

ルルーシュ「……何故こんな事を聞く?」

カレン『……別に。ただ気になっただけよ』

カレン(振られちゃった、かしら……)

ルルーシュ「ただカレン、君に関しては……そうだな。尊敬している」

カレン『え?どういう意味?』

ルルーシュ「何があろうと戦い続けている君に対してだ。俺は力がないと言い訳していたからな」
     「それに俺は何回も折れそうになっていたしな」

カレン『へー、そうは見えなかったけど』

ルルーシュ「俺の事を冷血無情な魔人だとでも思ってるのか!?」
     「クロヴィスの時も、シャーリーのお父さんの時も、この間の時も……」
     「いつも後悔していたさ……」

ルルーシュ「だからそんな君を俺は尊敬しているんだ」

カレン『違うわよ、間違ってるわ。ルルーシュ』
   『私は戦い続けたわけじゃないわよ。ただ暴れてただけ』
   『ブリタニアに従いたくないって、そうやっていつか死ぬと思ってた』

カレン『でもあたなに出会ってからは違った』
   『あなたの為と思えば、どんな戦いも苦じゃなかった』
   『あなたの為と思えば、どんな泥にも汚れよう』

カレン『ブリタニアと戦う為じゃない、あなたのために戦えたの』
   『あなたに出会えたから戦えたのよ』

ルルーシュ「……そうか」

彼女が俺を変えたように、俺もまた彼女を変えていたのか。
思えばそうだった。
スザクに、シャーリーに、会長たち生徒会メンバーに、C.C.に、黒の騎士団に出会って俺も変わった。
お互いに何らかの影響を与えて、少しずつ変わっていったのだ。

カレン『取り合えずアンタは、C.C.と神楽耶様どうするか決めておきなさいよ』

ルルーシュ「ん?どういう意味だ?」

――――終わり

101さんお待たせ致しました。解釈違いや、思ってたの違うとかありましたらご容赦を

ネタに関してはいつでも募集しております。
あとシャーリーのミドルネームどうなるか分かる人、本当に教えて頂きたい。

PC復活&書き貯めがなんとかなったので見直したら載せる

ルルーシュ「インタビュー?」

ディートハルト「はい。貴方が皇帝に就いてから一か月半」
       「世間は落ち着きつつあります」

ディートハルト「貴方はゼロとしては認知されてますが、その人となりは知られていませんからね」         
       「この機会に『正義の皇帝』としてのイメージを固めてしまう、というのは如何でしょうか」
       「お二人に人となりを知って頂くいい機会かと」
      
ディートハルト「今までのゼロがカオスでしたら、皇帝としての貴方はギャップがあります」
       「民衆はそのギャップがより魅力的に映るでしょう」     

ルルーシュ「なるほどな、少し時間をくれないか?」

ディートハルト「かしこまりました」ペコリ

シャーリー「ちょっと変わった人だね」

ルルーシュ「優秀なのは間違いないんだがな」
     「如何せん俺のことをカオスの権化だとでも思ってる」

シャーリー「……あーなるほど」

ルルーシュ「だがいい案だとは思う。世間様の評判を得るのも大事さ」

シャーリー「でもインタビューて、何を話せばいいのかわからないんだけど……」

ルルーシュ「何言ってるんだいシャーリー?丁度いい人がいるじゃないか」
     「報道関係者で俺たちのことを知っていて、そういう事が得意なお祭り事にぴったりな人が」

ミレイ「初めまして。CNNリポーターのミレイ・アッシュフォードです」

ミレイ「本日は私のインタビューを受けて頂き---」

ルルーシュ「止めてくださいよ会長」ニヤリ

シャーリー「そうですよ、知ってる人にそんな態度取られるとなんかむず痒いですよ」

ミレイ「!……そうね」ツカツカ ギュー

一瞬で俺の言葉の意味を理解した会長が、俺とシャーリーに抱き着いてきた。

ルルーシュ「うおっ!」
シャーリー「か、会長!」

ミレイ「よかった……。あなた達が無事で……」
   「突然行方不明になって心配したのよ」グス

ミレイ「イケブクロでテロ騒ぎもあったから巻き込まれたのかとか思ってたのよ」  
   「ようやく見つけたと思ったら……ルルーシュがゼロとかもう訳が分からなくなって……」グス


碌に説明もせずに学園から居なくなっていたのだ。
それを考えれば彼女にも心配を掛けてしまっていた。

ルルーシュ「色々とすみませんでした」

シャーリー「ご心配をお掛けしました」

ミレイ「でも良かったわ。あなた達が変わってなくて」

彼女が学園で見せていたあの頃の笑顔を向けてきた。

ミレイ「では改めまして」
   「我がアッシュフォード学園が誇る容姿端麗、頭脳明晰!料理から裁縫、掃除洗濯に関しても出来る完璧超人!」
   「ファンクラブが100人以上いながらも、その女性陣のアプローチを気が付きもしなかったニブチン生徒会副会長!」
   「99代ブリタニア皇帝、ルルーシュ・ヴィ・ブリタニア様と!」
   
ミレイ「そんな彼のハートを見事に射止めた恋する乙女、シャーリー・ヴィ・ブリタニア様」
   「旧姓シャーリー・フェネット様のお二人に来て頂きました!」

ルルーシュ「何ですかその説明……」

シャーリー「私の説明、雑すぎませんか……」


ミレイ「それでは本日のメイン企画いってみよー!」

ミレイ「新ブリタニア皇帝&皇后様に聞きたい100のこと!!!」ドンドンパフパフ

ルルーシュ「……何ですかコレ?」

ミレイ「神秘のヴェールに包まれたお二人を、この機会に洗いざらいぶっちゃけちゃおー!といった企画です!」
   「この企画考えた時から視聴者に質問を募集してたのよ」

ルルーシュ「俺、こんな企画聞いてませんけど……」

ミレイ「かったいわねー。どうせなら楽しまなくちゃ!」

シャーリー「えー……」

ミレイ「大丈夫大丈夫!本当にまずいやつは弾くから!」
   「さーて、記念すべき第一問」

Q1 オレンジとは何だったんですか?

ミレイ「この質問多かったのよね~」

シャーリー「あ!これ私も気になってた」

ルルーシュ「……完全なハッタリです」

シャーリー「そうなの?」

ルルーシュ「ブリタニアの貴族だから突けば絶対疚しい所があると思ったんですよ」
     
ミレイ「あー、わかるわ~」

ルルーシュ「その後何も出てこなかったと聞いたときは流石に悪いことしたなと思いました」

シャーリー「ジェレミアさんよく許してくれたね~」

Q23 命の危機を一番感じたときは?

ミレイ「因みに私はカワグチ湖のホテルジャック」

シャーリー「あー、私もそうかな~」
   
シャーリー(あの銀髪の人の事とかは言えない……)

ミレイ「ところでルルーシュ貴方のは?」

ルルーシュ「日本とブリタニアの戦争時の空爆……」

ルルーシュ「ナナリー連れて森の中逃げる羽目になりましたからね」
     「子供心に死ぬと思いました」

ミレイ「ゼロの活動の時は?」

ルルーシュ「ゼロの時は自分が動ける状態でしたからね。まだマシだったんですよ」

・・・

Q46 酷いわルルーシュ君!私とは遊びだったの?

ルルーシュ「誰だぁ!こんな質問を送ったやつは?」

ミレイ「うちの生徒の誰かねー」←その質問を通した人

シャーリー「わたしはいいけど、ほかの人には不誠実よね」
     「さあ懺悔なさい」

ルルーシュ「その、あの時は監視の目が酷くてな、それを誤魔化すために……」

ミレイ「酷いわルルーシュ様!私たちの純情を弄んだのね!」

ルルーシュ「会長も変な演技は止めてください!」

・・・

Q59 ゼロ、君が言っていた友人とは彼女のことだったのか?

ミレイ「誰かしら?」

ルルーシュ「そうだと言っておこう」

シャーリー「私の与り知らぬ所でなにかあったの?」

ルルーシュ「なに、ちょっと外交問題の解決のきっかけになっただけさ」

シャーリー「怖いんですけど!」

・・・

Q78 50人の縁談をまとめて断ったのは本当ですか?

ミレイ「これどうなの?かなり噂になってるんだけど?」

シャーリー「本当よね~ルル?」

ルルーシュ「……本当です」←思い出したくない

ミレイ「ねー!その辺詳しく教えて!」

ルルーシュ「絶対嫌です!」

ミレイ「はい100問終わり!」
   「いやー、楽しかったわ!」

ルルーシュ「つ、疲れた……」

シャーリー「質問に答えるだけなのにね……」

ミレイ「だらしないわね、ガーッツよ!」

ルルーシュ「ははは、懐かしいですね」

シャーリー「ふふふ、そうだね」

ミレイ「ところで貴方達、学校はどうするの?」

シャーリー「あー、そういえばすっかり忘れてました……」

ルルーシュ「今更戻れませんよ」

ミレイ「でもケジメは大切よ」
   「卒業証書くらいは取りに来なさい」

ルルーシュ「……そうですね。あと約束がありましたね」

シャーリー「あ!みんなで花火上げようって」

ミレイ「お、忘れてなかったわね」

ルルーシュ「俺が忘れるわけないじゃないですか」

ルルーシュ「貴方達アッシュフォード家への御恩もです」
     「貴族の枠組みは無くなりましたが」

ミレイ「そんなこと気にしなくていいのに。」

ルルーシュ「ミレイ・アッシュフォード様」スッ

彼女の前に膝をつき、その手をとる。

ルルーシュ「俺とナナリーの二人に助けを差し伸べてくださったこと」
     「その御恩は必ずお返しいたします」

ミレイ「それは気にしなくていいんだって」

ルルーシュ「いいえ、そういう訳には参りません」
     「苦しいときに手を差し伸べてくださったのです」
     「貴方達には返しても返しきれぬ御恩があります」

ミレイ「ルルーシュ……」

ルルーシュ「貴方は私にとって庇護者であり、姉であり、母のような存在でした」
     「貴方との出会いがなければ、俺は今ここにはいなかったでしょう」
     「今の私があるのも貴方のお陰です」
 
ルルーシュ「ですから貴方が困ったときには必ず助けに行きます」
     「貴方の頼みならどんなことでも叶えるつもりです」


ミレイ「……そうね」
   「ならお妾さんにでもしてもらおうかしら?」

ルルーシュ「え?」

シャーリー「やっぱり会長も?」

ミレイ「冗談よ。今度会う時までには考えてくわ」

ルルーシュ「……お手柔らかにお願いします」

シャーリー「……」ジトー

ミレイ「お!シャーリーいい顔するようになったわね」

シャーリー「……遊んでます?」

ミレイ「まっさかー!」

――――その日の夜

シャーリー「そういえばなんで会長にあそこ迄言ったの?」

ルルーシュ「ああ、あそこまで言っておけば、余計な争いに巻き込まれる可能性は低く出来るからな」
     「貴族制潰したから、元貴族たちが新しい依り代探そうとしてるんだ」
     「それに会長を巻き込みたくなかったからな」

シャーリー「だからってそこまでやらなくても」

ルルーシュ「ジェレミアのゴッドバルド家もそういうので大変らしい」
     「散々オレンジて笑ってたのにな」

シャーリー「それはルルのせいでしょ……」

ルルーシュ「会長たちには必ず恩を返したいと考えていたからな」
     「だから何かあったら俺が動くとはっきりしておきたかったからな」

ルルーシュ「それに、あいつには頑張ってほしいからな」ボソッ

シャーリー「それはいいんだけどさ…」

ルルーシュ「ん?何か問題があったか?」

シャーリー「ルル、皇帝余計辞められなくなったんじゃ……」

ルルーシュ「……あ」

―――終わり

あー次は孫バカシャルルの超短編集でも書くか

短編後日談ネタも全部面白い投下ありがとう
親バカ素直デレデレシャルルに怯むルルーシュも見てみたい

>>166
異常気象が起きてるから自分の好きなペースで投下してね

今年の日本の異常な暑さに死にかけるみんな
特に慣れてないブリタニア人

お待たせしました、孫バカシャルルです。
孫の性別、名前等は一切決めてません。年齢もバラバラです。
1スレごとの超短編です。

シャルル「フハハハハッ!ワシに似て可愛いのぉ!」

ルルーシュ「悍ましいことを抜かすな!」

シャーリー「でも昔の写真見ると、ナナちゃんと似てるよね」

ルルーシュ「止めてくれシャーリー!それだとナナリーが将来あれになってしまう!」

バッターン
シャルル「孫ちゃーん!おじいちゃんだぞぉお!」

「うわああああああぁぁぁ」

シャーリー「お義父さま~~~!」ゴゴゴ

ルルーシュ「貴様~~~!」ゴゴゴ

ルルシャリ「「やっと寝たところだったのに!!」」

シャルル「すみませんでした……」←正座させられた

『♪~』

「……」ジー

シャルル「日本のアニメか」

シャーリー「はい。カレンにお薦めされたんです」
     「子供に人気があって、道徳が学べるって。この子も楽しんでます」

シャルル「なるほど……ん?このアニメ、いくつか歯抜けになっておるではないか!」

シャーリー「あー……、実はいくつか絶版になってるんです……」

シャルル「何たる事だ!この子が楽しんでおるのに!」
    「こういうものは保護が大切だということが分らんのか!」

ルルーシュ「お前らが焼いたんだよ!あの戦争で!」

シャルル「フハハハ!子供も可愛いかったが、孫は更に可愛いのぉ」

ルルーシュ「……お前が子供を可愛いと思っていたとはな」

シャルル「何を言う!ワシの子供だぞ!可愛いと思っておるに決まっておるであろう!」

ルルーシュ「……そう思ってるなら表に出せ」

シャルル「いいのか?国際中継で」
    『我が息子ルルーシュとシャーリーの子供が生まれた!』
    『我がブリタニアは未来ある若人を祝福しようではないか!オール・ハイル・ブリタニア!!』と大々的に宣言してもいいのだぞ?」

ルルーシュ「止めろ!この子にそんな重責を負わせてたまるか!」

シャルル「何を言う!この子に何かあれば全ブリタニアが敵に回ると言っておけばよいのだ!」

ルルーシュ「世間がやっと落ち着いてきたんだぞ!要らん混乱を引き起こす気か!」

シャルル「肩車だぞ~」

「キャッキャッ!」

オデュッセウス「いやー、まさか父上があそこまで子煩悩、いや孫煩悩だったとはね」

シュナイゼル「あれはもう孫バカといってもいいのではないかな」

ルルーシュ「あれは単なるバカだ」

オデュッセウス「ハハハ、でもよかったじゃないか」

シャーリー「?」

オデュッセウス「もし父上が皇帝だったら、あの子になんでも与えてしまっていたんじゃないかな?」

ルルーシュ「……」メソラシ
シャーリー「……」メソラシ

シュナイゼル「どうしたんだい二人とも?」

シャーリー「もうやってるんです……」

――――
シャルル『孫ちゃんよ!これをあげるぞ!』

『なにこれ?』

シャルル『これは誰でも言う事を聞いてくれる魔法のステッキだ!』

ルルーシュ『インペリアルセプターを玩具代わりにするなぁ!』

シャルル『何を言う!お前もこれで遊んでおったではないか!』

――――

シャーリー「あの子から取り返すのに苦労したんです……」

シュナイゼル「ハハハ……」←危惧はしていた

オデュッセウス「アハハハハ、父上も冗談が過ぎるね」
       「でも父上が楽しんでるからね。あれが本当の父上の姿だったのかもしれないね」
       
ルルーシュ「絶対に認めたくない……」

ある程度設定絞らないとネタが書けないな、自分の想像力の無さが憎い……


>>165>>167 すみません、ネタが思いつかなかった
       
>>168 暑いですね、マジでクーラーないとやばい
   暑さに駄目になるブリタニア人は面白そう

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