【R-18G】幼女災害【安価】 (760) 【現行スレ】

 ___2XXX年。コトブキ博士が発明した『幼形成熟BOX』によって、超人的な力を手に入れた幼女たちが、日本を征服したのであった!!







コトブキ「…で、この『幼形成熟BOX』を発明したしたのが、この私コトブキなんだけどね?」

 パイプ椅子に座って脚を組んでいるのは、もじゃもじゃの黒髪にビン底眼鏡を掛け、ぶかぶかの白衣を着た齢10歳強の少女。

コトブキ「これから君には、この箱に入って『ネオテニー』を迎えてもらう。いいね?」



安価下1~3でコンマ最大
①はい

②うん!

③はぁ

④…チッ

⑤…

⑥その他要記述

「やったー」

コトブキ「おっと、元気がいいね。さっき貰ったプロフィール帳を見ても分かるよ」

 机の上に置かれているのは、ファンシーなプロフィール帳。そこには、拙い字で彼女の精一杯の自己紹介が書かれていた。



安価下1~5で次の>>1のコンマに一番近いやつ 主人公のプロフィール

(テンプレート)
【名前】
【年齢】(5~12歳の間で)
【特技】
【好きな食べ物】
【好きな教科】
【好きな〇〇】(自由に埋めて)
【好きな人のタイプ】(空欄可)
【最後に一言!】

やべ、結果変わってた



「はぁ~い」

コトブキ「ちょっとお疲れかな? この辺で、さっき貰ったプロフィール帳でも見せてもらおうか」

 机の上に置かれているのは、ファンシーなプロフィール帳。そこには、拙い字で彼女の精一杯の自己紹介が書かれていた。



安価下1~5で次の>>1のコンマに一番近いやつ 主人公のプロフィール

(テンプレート)
【名前】
【年齢】(5~12歳の間で)
【特技】
【好きな食べ物】
【好きな教科】
【好きな〇〇】(自由に埋めて)
【好きな人のタイプ】(空欄可)
【最後に一言!】

コンマ

コトブキ「えー、なになに。名前は篠崎 葵(しのざき あおい)、10歳…まあ、この辺はどうでもいいや。
特技は、一度覚えたことは忘れない? 本当かなぁ?
この歳で魚…サバが好きなんて、渋いね。
得意な教科は算数。お勉強は大丈夫そうかな?
で、ロボットアニメが好き…ちょっと、趣味が合いそうだ。俄然、楽しみになってきたよ。
好きな人は、お父さんのように甘えさせてくれる人…そうか…お父さん…ね…
最後に一言…けがしないように気をつけます。うん、そうしてくれたまえ」

葵「…」

 プロフィール帳を置くと、コトブキは言った。

コトブキ「じゃあ、早速『幼形成熟BOX』に入ってもらおうか」

葵「ふぁ~…」

 あくび混じりに返事する葵。
 先程から、面接が行われているこの部屋の真ん中には、巨大な金属の箱が鎮座していた。それぞれの面には、アナログ時計やタイプライター、何らかの液体で満たされたチューブなど、怪しい部品がびっしりとくっついている。
 コトブキが箱に触れると、その一面がシャッターのようにするすると上へ開いた。

コトブキ「では、入る前に…服を脱ぎたまえ」

葵「え、はだかんぼ…?」

コトブキ「そう。中では様々な機械が動く。服を着ていると、最悪巻き込まれて、命の危険につながる。いいね?」

葵「…はぁい」

 葵は渋々、着ていた服を脱ぎ始めた。



安価下1~3で次の>>1のコンマに一番近いやつ 葵の容姿(ちっぱい、無毛固定)

こんま

葵「…ふぁい」パサ

 綿のパンツを下ろし、裸になった葵。特に恥ずかしいとかではなく、単純に面倒臭いだけだったようだ。華奢で、小柄な身体つきのように、同年代でも少し幼い部類にはいるのだろうか。当然、胸は少しも膨らんでいなくて、ピンク色の乳首だけが乳輪ごとふっくらしているばかり。細い脚の付け根には、つるつる、ぷにぷにの割れ目があるばかり。
 短く整えた紫色の髪を掻きながら、葵は尋ねた。

葵「…で、入るの?」

コトブキ「こちらへ」

 促されるまま、箱の中へと足を踏み入れる。

葵「…ねーえー? ここ、くらい」

コトブキ「」ガチャン

 突然、コトブキがシャッターを閉めた。真っ暗な箱の中に、彼女の声が響く。



”『幼形成熟』…生物が、幼体の特徴を残したまま、性的成熟…つまり、生物として完成すること”

”私からすれば、元から幼女は完成された存在だ…だが、この『幼形成熟BOX』を使うことで、誰から見ても完全な存在となる。 つるぺたボディのまま、生殖が行えるのはもちろん、並の打撃、斬撃、銃撃、衝撃に耐え、人間を超越した膂力を得ることができる!”


 ___ハイブリッド・クロック、起動。ヴァージン・メディウム充填開始。


”そして…幼女は『ギフト』を得る。一人一つ、恨みっこ無しだ”

”ちなみに、私のギフトは『具現』。この頭脳は、生まれ持ったものだということだね?”



 ___トランストランス。トランストランス。トランストランス。



”…さあ”



 ___トランストランス。トランストランス。トランストランス…



”君の『ギフト』は、何かな?”



安価下23:00までで次の>>1のコンマに一番近いやつ 葵のギフト

(記入例)
『具現』
頭に思い描いたものを手元に出現させる。一定時間経つと消えるが、ディティールが細かいほど具現化する時間が伸び、部品から組み立てたものは消えずに残る。

『演算』
ありとあらゆるものを計算し尽くして支配する。身に迫る危険を予測して避けたり反撃したりする様は最早未来予知とも言える。
自分の周りにあるもの全ての動きが頭に入って常に更新され続けているので、どうすればどうなるのか、次にどう動くのが最良なのか分かる。

再現
一度覚えたことがある(記憶の中にある)物を具現化する。
生き物でない限り限度はなく、食べ物から貨幣、弾薬など何でも作れる。
能力を使うためには正確におぼえていなくてはならないが、彼女の特技なら問題はないだろう。
ちなみに生き物は「再現」できない。

コンマ

候補いっぱいある安価はこれ以降はしばらく無い

コンマのループありで取ったんだけど、これ>>26>>28が同着か…?

いや、これ採用されたらストーリーに関わるみたいなワードは一応決めてはいたけど、流石にコンマ同着は想定してなかったし今回は



E R R O R   O F   U N I V E R S E



”ば、馬鹿な!?”

 突然、コトブキの悲鳴が響いた。と思うや、箱の入り口が開き、コトブキが葵を引っ張り出した。

葵「…」ボー

コトブキ「そ、そんな…あり得ない…ギフトは、一人一つのはず…」

葵「…はっ」

 まだぼうっとしていた葵が、ようやく我に返る。そうして、自分がまだ素っ裸なことに気付いた。

葵「服…」

 彼女がそう呟いた瞬間、脱ぎ捨てたはずの服が、元通りに彼女の身体に纏われていた。

コトブキ「! それが君のギフト…」

葵「ギフト…これが? 服、着れるだけ?」

コトブキ「違う。これは『再現』だ。ほら、あそこ」

 コトブキが指差す方を見ると、そこには先程脱いだ服が、そっくりそのまま残されていた。

コトブキ「この服は、君が『再現』したものだ。服だけじゃなく、見たもの、触れたものは、おそらく何でも再現できる」

葵「…???」キョトン

 わけも分からず、沈黙する葵。コトブキは、不意に尋ねた。

コトブキ「コルト・シングル・アクション・アーミーは出せるかな?」

葵「はぁ…???」

コトブキ「…つまり、知らないものは出せないと言うことだ。知らなくても、想像すれば出せる私のほうが…」

 言いながら、コトブキは空中に右手を伸ばした。すると、その手の中に何かの部品が現れた。それを左手に持ち替えると、また右手を宙へ。現れた別の部品を、左手の部品に取り付ける。それを何度も繰り返し…やがて、コトブキの手には一丁のリボルバー拳銃が出来上がった。

コトブキ「これが、コルトSAA。大昔の拳銃だ。私も実物を見たことは無いが、構造まで知っているのでこうして具現化できる…」

 更に、弾を生成しては込めていく。

コトブキ「つまり、私の方が優れている。いいね?」

葵「むぅ…」

 腑に落ちない顔の葵。コトブキは、できたてのコルトSAAをくるくると手で弄び…

コトブキ「」ジャキッ

葵「」ガシッ グイッ

バンッ

 次の瞬間、煙を噴く拳銃を構えた葵と、額から血を流してひっくり返るコトブキがいた。

コトブキ「いったぁ…幼女じゃなかったら即死だった…!」ダラダラ

葵「? …え?」キョトン

 きょとんとする葵に、コトブキは額を押さえながら言った。

コトブキ「しかし、どうやら本当らしい…君が、『2つ目の』ギフトを与えられたというのは」

葵「ギフトって、一つじゃないの?」

コトブキ「全くもって、そうだ。何故こんなことが起きたのか…天才である私にもさっぱりだ。だが、今君が、私の奇襲を切り返しえたのは、『演算』の力だ。つまり、身の回りの全ての事象を計算によって予測し…ついでに、最善の行動まで分かり、かつ反射的に実行できる」

葵「え、最強じゃん」

コトブキ「全くだ…」

 言いながらコトブキは、葵に背を向けて数歩歩き…突然、振り返った。その手には、葵に奪われたのと同じコルトSAA。

葵「!」バッ

 奪うか。遠すぎる。避けるか。避けるには近すぎる。ならば、撃たれる前に撃つ!

葵「…えっ!?」ググッ

コトブキ「」バンッ

 引き金が引けない。戸惑ったその一瞬に、コトブキの放った銃弾が、葵の手から銃を撃ち落とした。

葵「いたた…」ヒリヒリ

コトブキ「コルトSAAは、撃つ度に手動でハンマーを起こさないといけないんだ。いくら予測は出来ても、初めて見るものを適切に扱うことは出来ないようだね。ほっとしたよ」

 コトブキが、銃口をふっと吹く。

 その手から、拳銃が消えた。

コトブキ「まあ、私の作ったものは、部品から組み上げないとこうして消えてしまうわけだけど…その拳銃はあげるよ。じゃあ、『総理大臣』に会いに行こうか」

葵「!」

 総理大臣。幼女たちを束ね、この国を征服した首謀者。テレビなどで度々言及され、葵もその存在は知っていたが、見たことは無い。

葵「そーりだいじんって、どんな人?」

コトブキ「絶対的な人さ」

葵「…?」

 コトブキは葵を連れて、部屋を出た。

コトブキ「ちなみに君は気付いていないかも知れないが、ここは首相官邸。つまり、総理大臣が仕事をする場所だ」

葵「ん…?」

コトブキ「総理はこの上にいる。ついてきたまえ」



コトブキ「ここだ」

 大きな扉の前で、コトブキが立ち止まる。扉の両脇には、銃を携えた幼女が1人ずつ立っている。2人ともヘルメットを被り、防弾チョッキを着込んでいる。
 扉をノックすると、コトブキは言った。

コトブキ「総理、いるかい」



「いるよー」



コトブキ「では失礼」

葵「」ドキドキ

 敬礼する兵士たちを尻目に、2人は扉を開け、中へと入った。



???「…こんにちは」



 部屋の向こう側に据え付けられた、豪華な椅子には、一人の幼女が腰掛けていた。黒い髪を目が隠れるほど伸ばして切り揃えた、白い肌をした小柄な少女だ。

コトブキ「こちらが、我らが鷹栖 朱音(たかす あかね)総理大臣だ。彼女のギフトは『君臨』___」

葵「…!」

 何か来る。そう直感した次の瞬間、葵の身体を凄まじい重圧が襲った。

葵「!?」グタッ

 耐えきれず、絨毯の上にひれ伏す葵。同じく、押し潰されるように跪いたコトブキが、冷や汗をかきながら続けた。

コトブキ「き、君が、『反逆』のギフトを持っていなくて良かった」



朱音「コトブキさん、その子は?」



コトブキ「総理。こちらが、新入りの幼女…名前は、篠崎 葵。何と…彼女は、2つのギフトを得ました」



朱音「2つ…? 本当に?」



コトブキ「信じがたいことですが…彼女のギフトは『再現』、そして『演算』。一度見たものを、手元に具現化し再現する能力、そして周囲の事象を計算によって予測し、適切な行動を取る能力です」

葵「で、でも、これ、無理…」ググッ

コトブキ「当たり前だ。洗脳能力の、最上位…それが『君臨』だよ。何者も、総理に逆らうことはで、できない…」



朱音「うん。みんな、仲良く…」

 朱音が玉座から立ち上がり、ゆっくりと葵のもとへ歩み寄っていく。一歩ごとに増していく重圧に、葵は呻いた。

葵「うっ、ぐぅ…」

朱音「…がんばろうね、葵ちゃん」ポン

葵「は、はぎぃ…」



コトブキ「…これで分かったろう。確かに君は、2つのギフトを得た。これまで例のないことだ。だが、我々と同じ幼女だ。総理が絶対であることに変わりは無い。いいね?」

葵「うん…」

コトブキ「よろしい。では、これからは立派な幼女の一員として、この国の役に立つんだよ」

葵「はぁ~い」



 首相官邸の中を移動して、葵はまた別の部屋にやってきた。
 そこにいたのは、黒いスーツを着て青い髪を後ろで束ねた、7歳くらいの幼女だ。

ハケン「人事担当のハケンちゃんだよー☆」

ここで区切る

これから、主人公には様々な機関に属して働いてもらいます。
基本的には、能力に応じて向いてそうな就職先をハケンちゃんに紹介してもらい、そこから選ぶ形になりますが、それ以外の選択肢もあります

 ハケンちゃんと名乗るその幼女は、シュシュを付けた手で書類の束を捲りながら言った。

ハケン「コトブキちゃんから聞いたよ、君、ギフトが2つもあるんだってね。ずるーい☆」

葵「…ん」コクン

ハケン「でも、それってことは、君は選ばれし幼女・オブ・幼女☆ 人間から進化した幼女は、きちんと人間たちを管理してあげないといけないけど、君はもっと頑張らないとね☆」

葵「うぇー…」

 ハケンちゃんは、一枚の書類を抜き取って差し出した。

ハケン「はい☆ かっこいいピストルも持ってることだし、まずはこれ。『自衛隊』」

葵「…」スッ



『自衛隊』
能力を活かして、悪い人間や反抗的な種付けおじさんから幼女たちを守ろう☆ 頑張ったら、ごほうびもいっぱいもらえちゃう☆



葵「そーりだいじんの部屋の前にいたのも、自衛隊?」

ハケン「そそ☆ しょぼいギフトや、使いにくすぎるギフトでもあれくらいのお仕事はできちゃうよ☆ でも、君はすごーいギフトを2つも貰ったから、すぐにえらいしょーぐんになれちゃうかもね☆」

 更に、別の書類を差し出す。

ハケン「ケンカが嫌いなら、こういうのはどうかな? 『国土交通省』」



『国土交通省』
幼女の暮らす街のお手入れ係だよ☆ 壊れた建物や、古くなった道を修理したり、新しく作ったりするよ☆ みんなに感謝される、だいじなお仕事だね☆

ハケン「それから、コトブキちゃんには反対されてるけど、向いてると思うから紹介してあげるね☆」

 そう言うとハケンは、別の書類を差し出した。

葵「うん。…『理化学研究所』?」

ハケン「コトブキちゃんのところだよ。人間はおかね?っていうのをケチって、全然ダメダメだったらしいけど、コトブキちゃんが乗っ取ってすごい研究機関にしちゃったんだ☆」



『理化学研究所』
コトブキ博士の天才的頭脳を最大限活用するための場所だ。せいぜい、足を引っ張ってくれるなよ。



ハケン「ざっとこんなところかな。今ここで決めてもいいし、ゆっくり考えて、後で返事してくれても良いよ☆」

葵「…」ジッ

 葵は、手渡された3枚の書類を見比べた。



安価下3票先取 どこにする?
①自衛隊

②国土交通省

③理化学研究所

④もうちょっと考えさせて

3票先取って多すぎかな?

じゃあ20:00までで多数決で
安価下

葵「じゃあ…」スッ

 葵は、一枚の書類を差し出した。



『自衛隊』



ハケン「おっけー☆ じゃあ、自衛隊の人を呼んでくるから、ちょっと待っててねー☆」



 数十分後。ハケンちゃんが、一人の幼女を連れてきた。白いタイトスカートの軍服に、軍帽を被った、鋭い目つきの幼女だ。ハケンちゃんよりは年上に見えるが、葵よりは幼く見える。

???「貴様が、今度の入隊志望者か。名前は」

葵「あ…篠崎 葵」

???「馬鹿者! 上官には、敬語を使わぬか!」クワッ

葵「…篠崎葵、です」

 早くも選択を後悔しながら、葵は答えた。上官を名乗るその幼女は、鼻を鳴らした。

桜「ふん。幼女どもは、どいつもこいつも好き放題だが、自衛隊ではそうはいかんぞ。…本官は佐山 桜(さやま さくら)陸曹長である。貴様の、自衛隊への案内役に任命された」

葵「はぁ」

桜「返事は! サー! イエス! サー!」クワッ

葵「サーイエッサー!」ビシッ

桜「…」

 直立して返事する葵。それを見た桜は…不意に、表情を崩した。

桜「…って感じで、隊に入って最初の内はそんな感じだから、よろしくね」ポン

葵「ふぇ!? は、はぁ…あっ、サーイエッサー!」ビシッ

桜「ん、よろしい。じゃあ、詳しい説明は明日にするから、今日は寮に案内するね」

 桜は、葵の肩を軽く叩くと、部屋を出ていこうとして…立ち止まった。

桜「そうだ。自衛隊に入ったら、制式の武器が支給されるから、その古臭い拳銃は没収するね」

 そう言うと桜は、葵がずっと握っているコルトSAAに手を伸ばした。



安価下 どうする?
①渡す

②渡さない

葵「!」サッ

 葵は、さっと銃を引っ込めた。

桜「…渡しなさい」

葵「やだ」

桜「上官に逆らうか」

葵「やだ!」

桜「」ジャキッ

葵「」ジャキッ

 桜は、腰に提げていたオートマチック拳銃を抜き、葵に突きつけた。葵もリボルバーを桜に向ける。

桜「…本官のギフトは『命中』である。全ての弾丸を、確実に貴様の心臓に撃ち込むことができる」

葵「ほんかんのギフトは『演算』…」

 葵が言い終える前に、桜が引き金を引いた。

桜「」ダンッ
葵「」バンッ

 撃ち合った2つの弾頭が、空中で衝突して床に落ちる。

ハケン「はわわ…」

桜「」バッ

葵「」ゴロン

 桜が机の陰に隠れ、葵が床に伏せる。そのまま、ハケンちゃんを挟んで銃撃戦が始まった。

桜「」ダンッ ダンッ ダンッ

葵「」バンッ バンッバンッ

 床を転がりながら、桜の放つ9mm弾を撃ち落としていく葵。

桜「コルトSAAの装弾数は6発。本官の制式SSPXは9発。つまり、3発は確実に貴様に命中する!」

葵「…」

 桜の言う通り、葵のリボルバーは6発しか撃てない。しかも、1発はコトブキに向けて撃ったので、桜に向けて4発撃った今、残りは1発だけだ。
 だが…

桜「分かったら、無駄な抵抗はやめ、武器を寄越せ。そうすれば、入隊前のやんちゃとして水に流して…」

葵「」バンッ

桜「!」ダンッ

 再び、空中で弾丸がぶつかり合う。

桜「そうか…残念だ。高い志を持って、自衛隊に志願してくれたのだと思っていたが…」ジャキッ ダンッ

葵「」バンッ



ハケン「ひゃんっ☆」



桜「これで、貴様は弾切れだ。本官の次の1発で、貴様を殺す」ジャキッ

 桜は机の陰から出てきて、葵の眉間に銃口を突きつけた。

桜「では。さらば___」

葵「」バンッバンッバンッバンッバンッ

 突然、弾切れのはずの葵のリボルバーが、立て続けに火を噴いた。

桜「がっ…!?」ゴボッ

 腹部に5発の銃弾を受け、血を吐く桜。白い征服を赤く染めながら、崩れ落ちる。
 葵は、桜を見下ろしながら…背中から『2丁目の』リボルバーを取り出してみせた。

桜「…もう一丁あったのか」

葵「ほんかんのギフトは『演算』、そして『再現』である。ピストルだって、簡単に作れるもんね」

桜「そうか…」

 桜は首を横に振りながら、よろよろと立ち上がった。

桜「ハケンちゃんから、君が2つのギフトを持っているのは聞いてたけど、もうこんなに使いこなしてるなんてね。幕僚長には、最初から士官待遇にするよう上申しておくね」

ハケン「…終わった?」

 そこへ、部屋の隅で縮こまっていたハケンちゃんが近寄ってきた。

桜「うん、終わったよ。じゃあ、約束通り寮に行こっか」

葵「え、あっ、うん…」

 コトブキと言い桜と言い、急所を至近距離で撃たれたのに、平気で生きている。自分もそうなったのだろうか。試してみようかなと考えて…やめた。

ハケン「じゃ、頑張ってねー☆」

今日はここまで

次回は寮生活の始まりなんですけど、同室のキャラは安価で作ったほうがいいかな?



 首相官邸の玄関には、一台のジープが停まっていた。

桜「じゃ、乗って乗って」ガチャ

葵「うん…」

 後部座席に乗り込むと、ジープが走り出した。運転席では、ヘルメットを被った兵士がハンドルを握っている。

桜「これから自衛隊の寮に移動するけど、今のうちにざっと任務について説明しておくね」

桜「ハケンちゃんから大体聞いたと思うけど、うちの任務はこの国に暮らす幼女の護衛。それから、幼女の支配に逆らう人間の討伐」

葵「とーばつ…」

桜「現状、陸上自衛隊と航空自衛隊はあるけど、海上自衛隊はまだ無いの。だから、どっちかに属してもらうことになるね」

 ミラー越しに、運転手の幼女が、心配そうに桜を見ている。彼女の白い制服に、べったりと血がついているからだ。

葵「…ねえ」

 葵が、思い出したように口を開く。

葵「『ガッタイザー』って、ある?」

桜「合体…?」

「英雄ロボ・ガッタイザーのことかと」

 運転手が口を挟む。

桜「アニメのキャラクター? うーん…似たようなものは機甲科にあるかもしれないけど…」

桜「折角だから、今のうちに何か聞いておきたいことは?」



安価下1~3 桜への質問

12:00で締め切ろ
特になしでも可

安価下

葵「陸上自衛隊と航空自衛隊…それぞれ、リーダーはどんな人?」

桜「陸自のトップは藤島 紫苑(ふじしま しおん)陸上幕僚長で、ギフトは『統率』。能力としては総理の下位互換だけど、範囲の定め方とか使い方に長けているし、人格も優れた方だよ。本官のボスでもある」

桜「空自のトップは草薙 ハヤテ(くさなぎ はやて)航空幕僚長。パイロットからの叩き上げで、ギフトは『天網』。千の目を持つとも評される、最上級の感知能力で、管制塔から全ての戦闘機に適切な指示を出せるそうだよ」



葵「りくそーちょーの『命中』って、どのくらい当たるの? 宝くじも『当たる』?」

桜「いい質問だね。そういった概念にも適用されるギフトもあるけど、本官のは物理的なやつにしか使えない。それに、物理法則を無視することもできない。心臓を狙って撃つことはできるけど、撃った後の弾丸を、こちらからどうこうすることはできないね」

葵「こっちから撃ち落とせたしね」フフン



葵「頑張ったら貰える『ごほうび』って、何?」

桜「その質問が出てくるってことは、君のいたところはまだ貨幣経済が残ってるってことかな。…総理は、とっくの昔に通貨を廃止して、『ごほうび制』に変えられたんだよ」

葵「…え、どゆこと?」

桜「かつて人間は、労働に対する対価として、貨幣…お金による支払いをしてきたんだ。君のパパやママは、そうやってお金を貰ってたはずだよ。でも、偉い人間は勝手に人間の価値を決めて、それに従って支払いの量を決めちゃったんだ。つまり、自分たちは偉いからいっぱいお金を貰う。自分以外は偉くないから、お金はあげない」

葵「…」

桜「総理はそれを悲しみ、お金を廃止した。そうして、あくまで労働に対して、適切な対価が『ごほうび』として与えられるように決められたの」

葵「…むずかしい」

桜「簡単なことだよ。親切にしてもらったら、お礼をしなさいってこと。命がけで戦う自衛隊は、その分いっぱいごほうびを貰う機会があるよ。おやつ、ジュース、おもちゃ、専用の種付けおじさんとか」

葵「…」



 日の沈む頃、高い塀に囲まれた敷地に、ジープが入っていった。大きな建物の前で停まると、葵と桜はジープを降りた。

桜「お疲れ様。ここが寮だよ」

 中に入り、受付に声をかけると、桜は言った。

桜「今、同室になる隊員を呼び出した。彼女に案内させるから、仲良くしてね」

葵「ん…」



安価下1~3で次の>>1のコンマに一番近いやつ 葵の同室 名前と容姿、ギフトは必須

こんま



未汐「陸上自衛隊2等陸曹、朝倉 未汐(あさくら みしお)です! よろしくお願いします!」シャキッ

葵「あ…篠崎 葵です…」

桜「未汐、部屋まで案内をよろしくね。あと、暮らしについて色々答えてあげて」

未汐「サーイエッサー!」シャキッ

 長い黒髪をポニーテールに結んだ、少し年長に見えるその少女は、笑顔で言った。

未汐「じゃあ、こっちに来て。部屋に案内するね!」



 食事や入浴を終え、支給されたパジャマに着替えた葵は、寮のベッドに腰掛けて一息ついた。
 寮は二人部屋になっていて、清潔なシーツと毛布のかかったベッドに、机が一人一つ用意されていた。食事はバイキング形式で味も量も十分で、大浴場も広々としていた。

未汐「…葵ちゃん、だっけ」

葵「うん」コクン

未汐「噂で聞いたんだけど…ギフトが2つあるって、本当?」

葵「うん」コクン

未汐「凄いね…どんなギフトなの?」

 葵は、自前のコルトSAAを見せながら、2つのギフトについて説明した。

未汐「へぇ…それぞれのギフトは、今までにも見たことがあるけど、両方持ってる人は初めてだなぁ。すぐに、わたしより偉くなれるよ」

葵「未汐のギフトは?」

 葵が尋ねると、突然、未汐の姿が見えなくなった。

葵「!?」

 驚いていると、また彼女の姿が現れる。

未汐「…これが、わたしのギフト。『隠密』って言って、自分や好きなもの…人でもいいよ。透明にしたり、音を消したり、見つかりにくくするの」

葵「透明になって、音もしなかったら…『演算』じゃ、どうしようもないかも」

 『演算』で対処するには、相手を認知できることが前提だ。見た目だけでなく、音まで消せるとなると、演算に組み込む前にやられてしまうかも知れない。

未汐「ふふっ、じゃあ葵ちゃんとは互角かもね」

 屈託なく言う未汐。葵は、同室が優しそうな人物であることに、ひとまず安堵した。

未汐「じゃあ、そろそろ消灯だし、寝よっか。明日の朝礼で、桜曹長が葵ちゃんのことを紹介するだろうし…その時に、『適性検査』もするかも」

葵「てきせーけんさ…」

未汐「陸上か航空か、どの部隊に入るか、どの任務に就くか、そういうのを決めるんだよ。だから、しっかり休んで、明日は頑張らないとね」

 そう言うと、未汐は部屋の電気を消した。



安価下コンマ
01    敵襲
02~05 洪水
06~15 葵「おしっこ…」
16~40 翌朝
41~70 自由安価
71~85 未汐「」ムクリ
86~95 未汐「ぐすっ…」
96~99 未汐「んっ…」
   00 侵入者

葵「ぐごー…ぷす…」

未汐「すぅ…」



安価下1~3でコンマ 夜の出来事



未汐「」ドサッ

未汐「…うーん」ムクリ

ゴソゴソ

未汐「ん…」モゾモゾ

未汐「…ふぁ」



葵「…せまい…」





パッパパパー

葵「はっ!?」バッ

未汐「おはよう。朝の体操の時間だよ。早く着替えて、外に出ないと」

葵「な、何着たらいいの?」

未汐「ベッドの下に入ってるよ」

 ベッド下の引き出しを開けると、白いセーラー服とプリーツスカートが入っていた。未汐に手伝ってもらいながら一式を着て、青い帽子を被ると、一緒にグラウンドに出た。
 グラウンドには、もう多くの幼女たちが整列していた。前の方には、桜や他の上官たちが、両手を後ろで組んで立っている。
 朝礼台の上で、スーツ型の制服を着た一人の幼女が、声を張り上げた。

二三「定刻なので、朝の体操を始める! 模範は一ノ瀬 二三(いちのせ ふたみ)准陸尉! 用意!」

テーンテーンテテンテンテンテン…



 見様見真似で体操を終えると、壇上の一ノ瀬二三なる上官が、いきなり葵の名前を呼んだ。

二三「篠崎葵隊員!」

葵「は、はい…?」

二三「返事は!」

葵「! サーイエッサー!」タッタッタッ

 前に走り出ると、二三に促されて壇上に上がった。彼女の肩に手を置き、二三が言う。

二三「昨日付で新しく自衛隊に入隊した、篠崎葵だ! 一言、挨拶を」

葵「え…えっと、けがしないように、気をつけます」

二三「うむ。任務の為なら、命を賭ける場面もあるかも知れないが、それは最後の手段だ。基本的には自分の安全を確保しろ!」



「「「サーイエッサー」」」



二三「これより、篠崎隊員の適性検査を行う!」

ザワッ

葵「…?」

 にわかに、その場の空気が色めき立った。それはずらりと並んだ下士官ではなく、前に立つ上官たちの発する空気であることに、葵は気付いた。

二三「…佐山陸曹長より、概要は聞いている。貴様…ギフトを2つも得たと」

葵「! …」

二三「しかも、その特性を戦闘に遺憾なく発揮し…佐山陸曹長を、1対1で破ったと」

ザワッ ザワザワ

二三「しかし! 我々は軍である。『例のあいつら』のような愚連隊ではない。個人の能力だけではなく、隊員同士の連携、上に立つ者の指揮能力が重要である! よって、特別扱いはせず、通常通り適性検査を行う! まずは陸上自衛隊、普通科!」

「「「サーイエッサー!」」」ザッザッザッ

 整列した下士官の一部と、先頭に桜が、前に行進してくる。

二三「いわゆる歩兵である。機甲科や工作科などと連携し、任務を遂行するのだ。佐山陸曹長!」

桜「サーイエッサー!」

二三「10分やる。その後、篠崎隊員を加えた1分班で集団行動をするのだ!」

桜「サーイエッサー! …新入り、こちらへ」クイクイ

葵「はぁ」

桜「返事は!」

葵「さ、サーイエッサー!」

 こうして、下士官や上官たちの見守る中、葵の適性検査が始まった…



適性検査
安価下コンマ+30(完全記憶) 普通科の適正
安価下2コンマ+90(演算+完全記憶+ロボットアニメ好き) 機甲科の適正
安価下3コンマ+60(再現+演算)工作科の適正
安価下4コンマ+30(完全記憶) 衛生科の適正



桜「…編隊、止まれ!」

「「「」」」ザッ

葵「」ザッ



二三「ふん、物覚えは悪くないようだな。普通科でも、足手纏いにはならずに済みそうか。次、機甲科!」

???「前進!」

ガラガラガラ…

 上官の声に、グラウンドの後方から1輌の戦車がやってきた。

葵「おお…」

二三「網走 巌(あばしり いわお)3等陸佐、基本的な装填手としての指導を、10分でお願いします!」

巌「任せなさい。…新入り、走ってきなさい!」

葵「あ、サーイエッサー!」タッタッタッ



「…」ジッ

「…っ、ふぅ…」モジモジ

「これ、まだ続くの…?」ソワソワ



葵「次発装填! 角度よし!」

巌「てー!」

ズドン



二三「ふむ…適性がありそうとは聞いていたが、なんというか…普通だな」

グラグラグラ…

「あっ、揺れでっ」プルッ

「あっあっ、あっ…///」ジョワァ…



崩礼「玉置 崩礼(たまおき くずれ)准陸尉である。とりあえず、穴を掘れ」ポイ

葵「えっ?」

崩礼「あそこで、俺の部下が塹壕を掘って潜んでいる。ここから繋げて、奇襲しろ」

葵「えっと…サーイエッサー…」

ザクザクザクザクッ…



「…っ! もうだめっ」ギュッ

桜「姿勢を崩すな!」クワッ

「!」シャキッ

「~~~!!」プルプル



葵「」ザクッ

「なにっ、もうたどり着いたというのか!?」「急げ、シャベルを構えろ___」

葵「」ガン ガッ

「い゛っ!?」「あだっ」



崩礼「ほうほう、これはこれは…」ニヤリ

二三「これは、逸材かも…」

「ぐすっ…ぐすっ…」ショロロロロ

「ふぁっ、あぁ…」ジョワァァァ…

「あっ、あたしも…」プルッ ジワァ…



葵「傷病者確認! 安全確認! 怪我の状態は…トリアージは…」



二三「…やはり、記憶力は良さそうですね。癒川 温海(ゆかわ あつみ)看護官」

温海「そうねぇ…それに、今までで一番、目が輝いてる気がするわ♡」

二三「だが、やはり工作科の方が適性的には…」



桜「っ~~~」ジョワァァァ バシャバシャバシャ…

桜「…は、はぁっ/// …き、貴様ら、戦場でいつでも便所に行けると思うなよ!」ビショビショ

「さ、さーいえ、さぁ~…///」ジョロロロロ…

「あっ、またで、出っ///」パチャパチャパチャ…



 日が傾き、グラウンドにいるほぼ全員の足元に水溜りが出来上がる頃、適性検査が終わった。

二三「これで陸上自衛隊の適性検査は以上である! 明日、篠崎隊員には航空自衛隊の適性検査を受けてもらう」

葵「うぇ、明日もあるの…?」

二三「返事は!」

葵「サーイエッサー…っ」プルッ

 今更のように尿意を覚えた葵。ふと上げた目線の先に、未汐の姿が…



未汐「…///」ジョワッ ジョワッ ジョロロロロ…



葵「…あっ」ジワァ…

 股間がむず痒くなったと思うや、パンツが熱くなってくる。慌ててスカートの前を抑えようとしたところへ、歩いてくるものがあった。

崩礼「…」ツカツカツカ ギュッ

葵「あっ、えっ?」

 工作科の、玉置 崩礼准陸尉だ。彼女はいきなり葵を抱き締めると、囁いた。

崩礼「君のような人材は初めてだ。陸自に入るなら、間違いなく俺のところに来てもらうことになるだろう…」ギュゥゥ

葵「あ、あのっ、おしっこ」

崩礼「幼女におもらしは付き物だ。軍に入るならなおさらだ。…もちろん俺もする」プルッ ジワ…

 押し付けられた腰が、じゅわりと熱くなっていく。

葵「あ、やっ…」ジョロロロロ…

崩礼「はあぁぁ…♡」ジョワァァァ…



二三「本日は以上、解散!」

「「「サーイエッサー!」」」



崩礼「…空自の適性検査を受けるまでもなく、来たければ言え。俺も、お前がほしいぞ…♡」ギュゥッ

葵「あ、うそっ、あっ…///」ビチャビチャビチャ…

 葵のスカートと足元に2人分のおしっこをぶちまけて、崩礼はグラウンドを去っていった。
 同じく、白いスカートを黄色く染めた未汐が、おずおずと歩み寄ってくる。

未汐「…か、帰ろ? それから…お、お風呂に入ろう…///」



安価下1~3でコンマ最大 夜の出来事



 風呂に入り、服を着替え、腹ごしらえを済ませると、2人は寮に帰ってきた。

未汐「疲れたね…」モミモミ

 太ももを揉みながら、未汐が零す。

葵「うん…」

未汐「でも、やっぱり凄いね。葵ちゃん、何でもできちゃう」

葵「うーん…」

 ガッタイザーが好きな彼女は、機甲科が一番向いていると思っていた。しかし、実際に戦車に触ってみても、あまり心惹かれるものを感じなかった。それよりも、塹壕掘りや、傷病者の救助の方が、不思議とやりがいめいたものを感じた…

葵「…未汐は、何科なの?」

未汐「わたしは、工作科なの」

葵「!」

 一番熱心に勧誘してきた科は、未汐の所属でもあったようだ。

未汐「だから、葵ちゃんも工作科に入ってくれたら、ちょっと嬉しいかな。まあ、行きたいところに行くのが一番だよ」

 そう言うと、未汐は電気スイッチに手をかけた。

未汐「明日は、葵ちゃんは空自の方に行くんだよね。今日よりも早起きしないとだから、もうおやすみ」

葵「おやすみ…」

パチンッ



安価下コンマ
01    敵襲
02~10 夢の中で…
11~20 葵「おしっこ…」
21~50 翌朝
51~80 自由安価
81~95 ゴソゴソ
96~99 ゴソゴソゴソゴソ
   00 侵入者

ねます
良いお年を

>>1は当該地域とは離れたところにいるので無事です
万が一、被災された方がいらっしゃいましたら、スマホの充電を大事にしていただいて、落ち着いた時にまた来ていただけたらと思います



葵「んご…すぴ…」

ゴソゴソ ゴソゴソ

バサッ

モゾモゾ

葵「…んっ、なに…また未汐」



崩礼「…おはよう」ニチャァ

未汐「…///」



葵「!?!?」ガバッ

 突然、目の前に現れた2つの顔に、葵は慌てて跳ね起きた。枕元のライトを付けると、茶色いおかっぱ頭で、尖った歯を剥き出した崩礼の顔が間近に迫っている。よく見ると、三白眼の周りには黒い縁取りがあり、頭にはふわふわの丸い耳が生えていた。
 耳と縁取りが、すっと消えていく。

崩礼「俺のギフトは『狢(むじな)』でな。忍び込むのは得意なんだ。同室には、班は違うが部下もいることだし」

未汐「ご、ごめんね…」

 顔を赤くして俯く未汐。

葵「…で、何の用? 眠いんだけど…」

崩礼「昨日も言っただろう。俺は、お前が欲しい」

葵「ギフトが2つあるから?」

崩礼「他の科や、空自の連中はな。だが、俺は、お前という『オンナ』が欲しい…」サワッ

葵「」ゾワッ

 小さな手で頬に触れられ、葵の全身に鳥肌が立った。

崩礼「…結局、あの後お前の意思を聞けていないからな。今、我々工作科への入隊を希望するなら、早速明日から訓練に入ろう。空自の適性検査はナシだ」

未汐「…///」ジッ

 やや遠巻きに、未汐が2人を見つめている。

葵「やだ、って言ったら?」

 すると、崩礼は肩を竦めた。

崩礼「…その時は、空自を回った後で改めて尋ねるまでだ。多少『お話』しても良いが、我が部下は違法行為には敏感なものでな…」

未汐「…」ジッ

崩礼「ひとまず、今の意見を聞かせてくれ」

葵「…」



安価下1~3でコンマ最大 どうする?
①工作科に入る

②考えさせて

③その他要記述

葵「…考えさせて」

崩礼「そうか…」

 崩礼は、ベッドから降りると、部屋の扉に向かった。

崩礼「…まあ、良い。空自も見てくるが良い。その上で、俺のところに来てくれれば、なお良い」

葵「…」

未汐「し、失礼します」ビシッ

崩礼「ん、おやすみ」ガチャ

 そう言い残すと、崩礼は部屋を出ていった。



???「…」ユサユサ

葵「んご…ぷす…」

???「…」ペシペシ

葵「ふすぅ…んごご…」

???「…」ツニッ

葵「ん…んぐぐ……ん゛っ!?」ガバッ

 鼻を摘まれ、窒息寸前で葵は飛び起きた。

葵「」ジャキッ

 反射的に、枕元のコルトSAAを突きつけた先には、黒いセーラー服を着た一人の幼女が立っていた。白い髪をツインテールに結っていて、ハケンちゃんと同い年くらいに見える。

???「…起きた」

葵「誰…?」

霰「霞 霰(かすみ あられ)准空尉。貴官を迎えに来た…」

未汐「ふぁ…あっ! おはようございます!」バッ

 目を覚ました葵が、黒セーラーに気付いて跳ね起きた。

霰「陸自はまだ寝てて…貴官はこっち」バサッ

 霰は、葵に布の包を投げた。それは、自分が着ているのと同じ、黒いセーラー服であった。
 昨日のようにセーラーに着替えると、霰は葵の手を掴んで言った。

霰「じゃ、航空基地に行く…」グイ

葵「分かった…だから引っ張らないで」



 ジープに乗って行った先は、巨大な飛行場であった。滑走路には、何台もの戦闘機や、輸送用のトレーラーが行き来している。
 滑走路の端に立つ巨大な塔の前で、ジープは停まった。

霰「あっち…」

葵「はぁ」

 彼女に付いて中に入ると、エレベーターで一気に最上階まで。扉が開くと、そこは管制塔であった。あちこちで交信を行ったり、レーダーを観測する幼女たちの中心には、一番幼い、5歳程度に見える幼女がいた。薄水色の髪を無造作に長く伸ばし、黒いクン帽を被り、黒いブレザーを袖を通さず羽織り…それ以外は、全くの裸であった。
 彼女の前に葵を案内すると、霰は言った。

霰「ばくりょーちょー、連れてきた…」



ハヤテ「…ん」コクン

X クン帽
◯ 軍帽

今日はここまで

葵「ばくりょーちょー…草薙 ハヤテ航空幕僚長…?」

ハヤテ「ん」コクン

 肘掛けの付いた椅子に座って、色の薄い虚ろな目で葵を見つめながら、ハヤテは頷いた。

葵「陸自のばくりょーちょーには、まだ会ってないのに」

霰「うちのばくりょーちょーは、いつもここにいる…いつでも会える…」

ハヤテ「…」ジッ

 ハヤテが、じっと葵を見つめる。その双眸に、にわかに銀色の光が宿ったとおもうや、突然低い声で話しだした。

ハヤテ「…篠崎 葵。階級はまだ付いてない。ギフトは『再現』と、『演算』。完全記憶能力も持ってる。好きなアニメは英雄ロボガッタイザー。おもちゃは持ってない。今一番欲しいのは、コトブキ博士から貰ったコルトSAAを持ち運ぶホルスター」

葵「!? だ、誰から聞いたの? それとも…」

霰「ばくりょーちょーは、全部分かる…」

葵「…『天網』」

 葵が呟く。ハヤテが、また虚ろな目になって頷いた。

霰「見ただけで、貴官が何に向いてるかも分かる…」

葵「え、じゃあ実際に体験したりしないの?」

ハヤテ「やりたければ、やれば」

 素っ気なく言うと、ハヤテは再び葵を凝視した。葵は、居心地悪くなって、もぞもぞと膝を擦り合わせた。それに早朝に叩き起こされたせいで、トイレに行きそびれた。おしっこしたい…



安価下コンマ+90(演算+完全記憶+ロボットアニメ好き) パイロット適性
安価下2コンマ+70(再現+演算+完全記憶) 砲手適性
安価下3コンマ+60(演算+完全記憶) 管制塔適性

 ところが、ハヤテはすぐに目を閉じて言った。

ハヤテ「ん、もう分かった。おしっこしてきていいよ」

葵「え? …あ、トイレどこ…?」

霰「こっち」グイ

 霰に引っ張られて、葵はトイレに向かった。



 管制塔に戻ると、ハヤテは言った。

ハヤテ「やっぱり、パイロットが一番向いてる」

葵「そうなの? でも、機甲科は思ったより面白くなかったな…」

ハヤテ「…ガッタイザーは、空を飛ぶから」

葵「! ガッタイザーあるの!?」

霰「無いけど…」

葵「」ガクッ

 ずっこける葵。ハヤテは気にせず続けた。

ハヤテ「入隊するなら、そのまま飛行場に行ってもらう。陸自に行くなら、別にそれでも良い。考えてもいいけど、今日中に返事をすること」



葵「…え、この後はどうしたらいいの?」

霰「お腹空いてる?」

 突然尋ねられて、葵は困惑気味に頷いた。

葵「う、うん…朝ご飯食べてないから」

霰「じゃ、ご飯食べよ…」スタスタ

葵「あっ、待って…」タッタッタッ



 炊きたての白米に味噌汁、そして大好きな鯖の塩焼き。葵は目を輝かせた。

葵「おお~…」

霰「空自は、どう?」

 味噌汁を箸で掻き回しながら、霰が尋ねた。

葵「え…えっと、陸自とは全然違うなって」

霰「軍隊としては、あっちが普通…」バシャ

 味噌汁を、白米にぶっかける霰。それを、ざらざらと箸で流し込む。

霰「んぐ…あっひのほうが、いほがひい」モゴモゴ

葵「空自は、暇なの?」

霰「んぐ、んぐっ…暇じゃない…けど、陸自みたいに、戦う相手は多くない…」

葵「相手って?」

 すると霰は、おもむろに茶碗を持って席を立った。そうして食堂のカウンターに向かうと、ご飯のお代わりと納豆の小鉢を手に戻ってきた。
 席に座り、今度は納豆を掻き混ぜる。

霰「幼女の支配を嫌がる人間…幼女に反抗して、団結しだした種付けおじさんの群れ…後、総理を狙うテロ組織…」カチャカチャカチャカチャ

葵「空自の敵は?」

霰「人間の飛行機…まだ、幼女の支配が及んでない所とか、外国から飛んでくる…」

葵「撃ち落とすの?」

霰「ばくりょーちょーが決める…」ドロォ…

 白米に納豆をぶっかけると、また箸で掻き込む。葵も、鯖の塩焼きを一切れ、口に運んだ。

葵「…でも、あたしがギフト2つ持ってるのに、『ばくりょーちょー』はびっくりしてなかったね?」

霰「ん…」

 口いっぱいに頬張ったご飯を飲み込むと、霰は言った。

霰「2つあるのは珍しい。でも『再現』も『演算』も珍しくない…ばくりょーちょーのギフトの方は、世界一珍しい…」

葵「へえ…『天網』って、よく分かんないけど…」

霰「他に、聞きたいことある…?」



安価下20:30まで 質問があれば

葵「空自と陸自って、仲悪いの?」

霰「んー…お互い、あんまり興味ない? 陸自の方が、人が欲しいっていつも言ってる…」

葵「空自はそうでもないの?」

霰「空自の役割的には…」

 不意に、霰は意味深に黙り込んだ。が、すぐに葵に向き直ると

霰「でも、貴官が入隊してくれたら、すごい助かる…ばくりょーちょーも、そう思ってる…」

 と、取り繕うように言った。



葵「この前から種付けおじさんってよく聞くけど、どこにいるの?」

霰「基地にはあんまりいない…将校の個室に飼われてるのはいるかも…」

葵「基地の外にはいるの?」

霰「幼女の家とか、脱走した野良はいるかも…犬みたいな感じだから。ちょっと離れたところに、牧場もあるし…」

葵「牧場…???」



霰「…ごちそうさま。じゃあ、答えを聞かせて…」



安価下3票先取 もしくは22:00までの多数決
①陸自に入る(工作科)

②空自に入る(パイロット)







 ジープを降りると、そこはグラウンドと反対側に設営された訓練場であった。あちこちで射撃の音や、号令が聞こえてくる。
 その一角に、荒野を模したスペースがあった。数人の隊員たちが塹壕を掘ったり、爆弾の組み立てを練習している。

葵「…」ザッザッ



崩礼「地層はケーキではない。硬い部分は削るだけ損だ、柔らかい部分を見極めろ! 塹壕戦を耐久戦だと思うな!」

 檄を飛ばす崩礼の元へ歩み寄る。今の崩礼は、上半身にカーキの軍服を着て、下は何故か裸であった。

崩礼「電撃的に仕掛けること…!!」

 崩礼が、葵に気付いて言葉を止めた。にやにやしながら、努めて冷静に声をかける。

崩礼「…どうだ、空自は楽しかったか?」

葵「ん」コクン

崩礼「お前の好きなガッタイザーとやらは、あったか?」

葵「無かったから、こっち来た」

崩礼「…♡♡♡」ギュゥ

 葵の言葉に、崩礼が抱きついてきた。それから…

崩礼「…んちゅぅっ♡♡♡」

葵「んっっっ!!??」

 突然唇を奪われ、目を白黒させる葵、慌てて突き放すと、崩礼は恍惚とした顔のまま言った。

崩礼「…我が隊を紹介しよう。工作8班、集合!」



「「サーイエッサー!」」ザッザッザッ



 崩礼の号令に、塹壕を掘っていた2人の幼女が這い出てきた。昨日の適性検査で、葵にスコップで殴られた2人の隊員だ。



安価下1~3で次の>>1のコンマに一番近いやつと遠いやつ 玉置班のメンバー 名前と容姿、ギフトは必須

コンマ

 軍服を着た2人の幼女が、葵の前に並んだ。2人とも、葵を見て適性検査を自分を倒した相手だと気付いたが、特段気にする様子は無さそうだ。

崩礼「じゃあ、自己紹介を」

由依「工作8班所属、朝倉 由依(あさくら ゆい)陸士長です!」ビシッ

 茶色い髪をショートカットにした、色白の幼女だ。葵と同じくらいの背丈だが、分厚い軍服の上からでも分かるほどに起伏に富んでいる、幼女らしくない体型だ。

真姫「工作8班所属、上羽 真姫(うえは まき)一頭陸士です!」ビシッ

崩礼「ギフトについて説明せよ」

由依「サーイエッサー! ギフトは『育成』。幼女以外の生物を成長させることができます!」

真姫「えっと、ギフトは『透過』…透明になったり、壁をすり抜けたりできます。自分以外も出来なくはないけど、かなり疲れます、はい」

葵「…朝倉って、未汐の姉妹?」

 思わず呟くと、由依が反応した。

由依「2班の朝倉2等陸曹なら、たまたま名字が同じだけです!」

崩礼「…そうだった、お前の同室は『朝倉A』だったな。班長会議では、こいつは『朝倉B』と呼ばれているので、出世して班長になったときのために覚えておけ」

 そう言うと崩礼は、おもむろに葵の肩を叩いて言った。

崩礼「では、正式に入隊するということで、幕僚長に挨拶に行くぞ」

葵「!」

崩礼「お前らは訓練を続けろ。しばらくしたら戻る」

「「サーイエッサー!」」

ザッザッザッ…

崩礼「少し待っていろ…」

 そう言うと崩礼は、塹壕の近くに脱ぎ捨てられていた布切れを拾って腰に巻き付けた。それは、軍服と同じ素材でできたミニスカートであった。

崩礼「…これでよし。幕僚長は、身だしなみにうるさいからな…」

葵「…」



 基地の建物に入ると、崩礼は葵を連れて上の階へと登っていった。

崩礼「幕僚長については聞いたか?」

葵「藤島 紫苑陸上幕僚長…ギフトは『統率』、内容は『君臨』の下位互換。ただし使い方が上手い。人格者でもある」

崩礼「お前を基地まで案内したのは、佐山だな? まあ、奴の言いそうなことだ…」

 重厚な木の扉の前で立ち止まると、乱暴にノックして声を張り上げた。

崩礼「…工作8班長、玉置です! 幕僚長、いますか!」



「どうぞ」



崩礼「失礼します!」ガチャ



紫苑「…ごきげんよう」ニコッ



 扉と同じく、重厚な袖机の向こうに、一人の幼女が座っていた。艷やかな黒髪を綺麗に切り揃え、白い詰め襟の制服をきっちり着こなし、大量の勲章を身に着けている。藍色の瞳には、柔らかい光が浮かんでいた。

葵「あ…きょ、今日から、工作8班に入る、篠崎葵です…」

 しどろもどろに自己紹介をする葵。本能が、高速で演算を回している。そして、何度計算しても同じ結果が出る。『この幼女には、勝てない』と。

紫苑「ええ、佐山陸曹長から伺っていますよ。幼女で初めて2つのギフトを持ち、それらを高い水準で使いこなすと」

崩礼「奴め、最初から士官待遇にしろとほざいたそうだが。…本気ですか?」

紫苑「下士官にやられたとなると、彼女もばつが悪いのでしょう。ただ、階級は個人の戦力だけで決められるものではありませんから…」

 紫苑は、机の引き出しから1個のバッジを取り出した。1つ星に、3本線と山一つ…

紫苑「…同格にすれば、彼女の顔も立ちましょう」

崩礼「良かったな! 最初から陸曹長だぞ」バンッ

葵「あだっ…い、良いんです…?」

紫苑「実は、わたしも適性検査をここから拝見しておりました。2つのギフト、高い記憶力をお持ちのようですが、貴女にはそれらを有効に使いこなす判断力があると感じました。…幼女の価値は、ギフトだけで決められるものではありません」

葵「」コクコクコク

 激しく頷く葵。目の前にいる、この優しげな幼女が、何よりの証明だ。ギフトは鷹栖朱音総理大臣の下位互換のはずなのに、総理の前にいる時以上のプレッシャーを感じる。おそらく彼女は、ギフトを発動すらしていないのに…

紫苑「貴女なら、恵まれた能力を余すことなく、国のために活かしてくれると確信しています」

葵「でも、いきなり偉くなっても…」

紫苑「その不安は最もです。でも大丈夫。玉置班長が、『権力』の使い方も伝授してくださるでしょう」

崩礼「んっ!? う、承った…」

紫苑「…わたしからお伝えすることは以上です。そちらから、ご質問はありますか?」

崩礼「俺に答えられることなら、俺に聞いてもいいぞ」



安価下 23:00まで 紫苑や崩礼への質問

葵「陸曹長ってことは…部下ができるの?」

崩礼「できるも何も、8班の朝倉Bと上羽はもうお前の部下だぞ」

葵「だ、大丈夫かな」

崩礼「覇気には欠けるが、聞き分けは良い奴らだ。しゃんとしてれば、大人しく従うだろうよ」



紫苑「では、最後に支給品と、個人的な『贈り物』を」

 そう言うと紫苑は、机の上に白い軍服を置いた。

紫苑「曹長以上は、こちらの軍服を着てもらいます。公序良俗に反しない限りで、改造も可能です」

葵「はい…」

 昨日、グラウンドの前の方に並んでいた上官たちが着ていたのと、同じ制服だ。どうやら、無改造だと膝丈のプリーツスカートになるようだ。

紫苑「そして、こちらがわたしから」ゴトッ

 紫苑が次に取り出したのは、革のガンベルトであった。

葵「これは…」

 スカートに差していたコルトSAAを抜き、ホルスターに差してみると、一寸の狂いもなく、ぴったりと収まった。

紫苑「その銃は、コトブキ博士からの贈り物と聞きました。見たことのないものは『再現』できない。使い方の分からないものは『演算』しても使えない…ギフトへの過信を断ち切るのに、この上なく効果的な贈り物です。全く、博士らしい」

葵「ただの意地悪だったけど…」

紫苑「貴女には、制式拳銃の代わりにその銃を使うことを許可します。常に携帯し、有効に使いなさい」

葵「はい…さ、サーイエッサー!」ビシッ



崩礼「すっかり遅くなったな。訓練場で2人と合流して、飯にするか」

葵「ん…」ゴソゴソ

 歩きながら、どうにかガンベルトを腰に巻くと、コルトSAAを差した。

崩礼「…だが、もう2班も終わった頃かな? 朝倉Aについていくなら、そっちでも良いぞ」



安価下1~3でコンマ最大 どうする?
①玉置班で食事

②未汐と食事

③その他要記述



由依「へーっ、じゃあもうあたしたちより上官なんだね!」

真姫「えっ、じゃあ、敬語で話さないと…」

葵「良いよ、面倒くさい」

 カウンターに並びながら、3人で会話していると、崩礼が口を挟んできた。

崩礼「だが、訓練と作戦行動中は序列を守れよ」

由依「分かってますよー。ね、真姫ちゃん?」

真姫「大丈夫です、はい…」

 各々料理を取ると、4人がけのテーブルに座った。

「「「「いただきます!」」」」



安価下1~3でコンマ最大 食事中の話題、行動など



崩礼「」モシャモシャ

真姫「…葵ちゃん…葵ちゃんでいい?」

葵「いいよ」コクン

真姫「ありがとう…葵ちゃん、お魚が好きなんだね」

 取ってきたハンバーグと、葵の鯖味噌煮を見比べながら、真姫が言う。

葵「鯖が特に」

由依「魚って、骨刺さらない?」

葵「鯖はそうでもないよ。凄い刺さるのはあるけど…」チラッ

崩礼「…確かに、こいつの骨は刺さるな」

 塩鮭の身を毟っていた崩礼が、葵の視線に気付いて応える。

崩礼「だが、気にするほどじゃあない。避ければ良いだけの話だ」

由依「さっすが、隊長はおっとなー!」

崩礼「ふん、大人など…」

葵「…」ハム

葵「ん゛っ!?」

 何気なく口に運んだ卵焼きが、想像の10倍甘くて葵はむせそうになった。

崩礼「どうした!?」

葵「んっ、た、たまごやきが…甘い…!?」

由依「ああ、今日の給食係、甘い卵焼き派の子だったみたい」

葵「にしても、甘すぎ…」

 まるで、プリンのような甘さだ。ご飯には合いそうもない。

真姫「めちゃめちゃ塩辛い時もあるから、気をつけてね」

葵「そんな、おみくじみたいなこと言われても…」



未汐「本当に、わたしより偉くなっちゃったね」

葵「言われてみれば、未汐は2等陸曹だった」

未汐「玉置隊長とは、上手くやれそう?」

葵「ま、まあ…」

 適性検査の直後から、崩礼は明らかな葵に良からぬ目を向けている。しかし、その上で葵が、空自よりも陸自を選んだのは…

未汐「じゃあ、明日からまた、早起きして、体操に参加しないとね」

葵「うん。陸曹長だから、前に出ないとらしいけど…」

未汐「明日の模範は、機甲科の人だったはず。よく見とかないとね」

 そう言うと、未汐は部屋の電気を消した。

未汐「おやすみなさい」

葵「おやすみ…」



安価下コンマ
01    襲撃
02~30 翌朝
31~70 自由安価
71~99 崩礼「言っただろう」
   00 侵入者

安価下1~3でコンマ最大 夜の出来事

じゃあ>>70の86~95をここで使うか



未汐「…っ、ひっ」

葵「ぐご…んす…」

未汐「ぐすっ…」

葵「ん…っ…?」

未汐「ひぐ…」

 未汐の啜り泣く声に、葵は目を覚ました。

葵「み、未汐…?」

 ベッドから出て、未汐の方へ近寄ってみると、どうやら彼女は夢を見ているようであった。

未汐「っ…いや、嫌…」

葵「…」

未汐「いかないで…パパ、ママ…陽菜…」

葵「ひな…?」

 その後、彼女は静かに、深い眠りに入ったようであった。



パッパパパー

葵「…」ムクリ

葵「…未汐、朝だよ」ユサユサ

未汐「…っ! ごめんっ、寝過ごした…」

葵「寝過ごしてない。起床時間。…着替えて、出よ」

未汐「う、うん…」

 未汐は、どこか気まずい様子で、白のセーラー服に着替えた。葵も、支給されたばかりの軍服に袖を通し、コルトSAAを収めたガンベルトを腰に巻いた。



 体操を終えると、壇上で機甲科の網走巌3等陸佐が言った。

巌「既に気付いた者もいるだろうが、先日適性検査を受けた篠崎葵は、昨日付で陸上自衛隊工作科に入隊することとなった!」

葵「あ…はい」

巌「才能ある幼女が、我が隊に志願し入隊してくれて、嬉しく思う。彼女の実力と、幕僚長の意向により、篠崎を陸曹長に任命することとした。共に切磋琢磨し、国のために戦うのだ!!」

「「「サーイエッサー!」」」



崩礼「…飯も食ったし、今日も訓練の時間だ!」

「「「サーイエッサー!」」」

 訓練場に、玉置班の4人が集まった。

崩礼「新入りのために改めて説明しておくと、工作科には1~8班があり、班によって得意とする行動が異なる。我々8班は、主に平地における塹壕の掘削、および塹壕戦の指揮を行う」

葵「くずr…隊長、質問。あたしは、どうして8班に?」

崩礼「他の班が行うのは『敵基地や障害物の破壊』『大型資機材搬入路の開拓』『自軍基地能力の設営』が主だが、お前のギフトは敵と直接やり合う機会の多い我が班に適していると判断した。何より、我が班は出来たばかりで、単純に人が足りん」

葵「なるほど…」

崩礼「返事!」

葵「サーイエッサー!」

崩礼「ではまず、資機材の点検から行う。訓練の前に必ずやるから、早く覚えろよ…」



安価下コンマ ゾロ目で…



由依「えっと、確か…」ガチャ ガチャ

真姫「…」ガチャガチャ ガチャッ

葵「」ガチャガチャガチャ ジャキッ

崩礼「おらっ、新入りに負けてんぞ!」

葵「あたし、これ使わなくて良いって幕僚長に言われましたけど…」

 陸自の制式拳銃SSPXこと、改シグ・ソーサー・PXを組み立てて、葵がこぼす。

崩礼「SSPXは、P220をベースに理研の連中が開発した新型銃だ。信頼性が高く、幼女の小さな手にも扱いやすい。だが、こんな銃を使うのは今の自衛隊だけなので、そもそも生産数が少なく、一度壊れるとパーツの調達に難渋するという欠点がある」

葵「はあ」

崩礼「だが、お前は一度見たものを『再現』できる」

葵「あ」

 葵は、なるほどと手を叩いた。

崩礼「お前は使わなくとも、他の奴らは使うからな。そういった意味でも、制式の装備には触れておけ」

葵「サーイエッサー!」



 穴を掘っては埋め、掘っては埋めて、日が暮れた頃、訓練が終わった。

崩礼「本日の訓練は以上! 風呂に入って、飯にするぞ」



安価下 どうする?
①玉置班と行く

②未汐と行く

③その他要記述



 廊下で待っていると、訓練を終えたと思われる幼女の一団が歩いてきた。その中にいた未汐が、葵の姿に気づくと、隊長と思われる幼女に声をかけ、それから葵の方へ歩いてきた。

未汐「お疲れ様。もしかして、待ってた?」

葵「うん。…お風呂入りに行こ」

未汐「そう、わたしもお風呂に行こうとしてたところ。一緒に行こう」



安価下1~3でコンマ最大 入浴中、食事中の出来事



葵「…」ジャー…

未汐「」ワシャワシャ

 洗い場で、体を洗う2人。広い浴槽には10人近い幼女が入っていて、浴室は騒がしかった。
 その喧騒に紛らわすように、葵はぼそっと呟いた。

葵「未汐って…」

未汐「…ん? 何か言った?」

葵「…姉妹とか、いるの?」

未汐「! …」

 未汐は黙り込むと、シャワーからお湯を出し、シャンプーを落とした。それから、彼女もまた細い声で答えた。

未汐「…いるよ。妹」

葵「幼形成熟BOXには入ったの? それとも…」

未汐「ううん。…ずっと前に、亡くなったの」

葵「…」

未汐「…」

葵「…ごめん」

 いたたまれなくなって、葵は謝罪した。

未汐「ううん、気にしないで。知らなかったんだから、気をつけようがないもん」

葵「…」



未汐「明日はわたし非番だから、朝起きないかも。葵ちゃんは寝坊しないでね」

葵「うん。おやすみ…」

未汐「おやすみなさい」



安価下コンマ
01~05 サイレン
06~15 眠れない…
16~60 翌朝
61~80 崩礼「今夜こそ…」
81~99 未汐「…」
   00 侵入者



ゴソゴソ

葵「んっ、す…」

モゾモゾ

葵「ぷひ…んごご…」

サワッ

葵「っ!!?」ガバッ

崩礼「…ようやく起きたか。全く、酷いいびきをかきおって」ニヤァ

葵「な、何、今度は…」

 触られた胸を手で覆いながら、葵が問う。

崩礼「今度も何も…言っただろう。俺はお前が欲しいと。そして、お前は俺のものになることを選んだ」

葵「選んでないけど…」

崩礼「今更焦らそうとしても、そうはいかんぞ。俺はもう、我慢できない…♡」

 そう言うと崩礼は、いきなり葵の唇を奪った。

崩礼「んっ♡」

葵「んーっ!?」

 両手でがっしりと頭を掴み、唇を押し付けてくる。薄く長い舌が、唇を掻き分けて歯列を舐めた。

崩礼「んれぇ…♡♡」

葵「んっ、んーっ…!」

 崩礼の跨ったお腹の辺りが、じわりと熱くなってくる。この変態タヌキ、人のお腹の上で、おもらししたな…

葵「ん…んごぉっ!?」

崩礼「れぇろぉ…っ♡♡」

 一瞬緩んだ歯の間に、舌が潜り込んできた。口内で逃げ回る葵の舌を捕まえ、じっとりと絡める。

葵「ほん…のおっ!!」ドンッ

崩礼「あんっ♡」ドスン

 どうにかベッドから突き落とす。
 騒音に、未汐が目を覚ました。

未汐「ど、どうしたの…って、玉置はんちょ」

崩礼「朝倉A、お前は寝ていろ。なぁに、ちょいとばかし激しいだけの、愛の営みってやつ」

葵「」バンッ

崩礼「あだっ!?」

 こめかみに45口径をぶち込まれ、悶絶する崩礼。

未汐「じょ、上官を撃つのは…」

葵「正当防衛!」

崩礼「ぐぅっ…思ったより身持ち硬いな…」

葵「うるさい! 昨日も、い、いきなりチューしてきて…///」

未汐「えっ!? …///」

崩礼「当たり前だ。…適性検査でお前を見たときから、一目惚れだった。力づくでモノにしたいのを我慢していたが、お前は自ら俺の班に来てくれた。それはつまり、お前も俺を」

葵「なわけあるか! 大体、女の子同士なんて…」

 すると、にわかに崩礼の声が低くなった。

崩礼「何か問題あるか。それとも…お前、まさか既に、汚らわしい種付けおじさんに、身体を許したか?」

葵「え? いや、まだ見たこともないけど…」

崩礼「なら、いい♡♡♡」

 再び、蕩けきった甘い声に戻る。

崩礼「見たこともないなら、なお良い。そんなことをしては、お前の瞳まで汚れてしまうからな…♡」

葵「…???」

 救いを求めるように、未汐に視線を向ける。

未汐「あー…種付けおじさんが無理って人は、まあいるね。わたしは、見た目はそこまで気にはしないけど、種付けはちょっと嫌だし…」

崩礼「おお、朝倉Aも分かるか! ならば俺と一緒に、葵を種付けおじさんから守ろう! 何なら、俺たちの営みに混ざっても」

葵「」バンッバンッ

崩礼「あ゛い゛った!?」

 さらに2発追加され、ひっくり返る崩礼。

崩礼「さ、流石に、葵とて看過できんぞ…」

葵「はぁ…」

 葵は、溜め息を吐いた。

葵「今、どういうことになってるか、分かる? この前の夜に来た時は、違法行為だからって言って何もせずに帰ったよね」

崩礼「ああ…だが今は」

葵「何も変わってないでしょ。人の嫌がることをしたら、だめだよね」

崩礼「…」

未汐「…玉置班長? その…やはり、こ、こういうことは、ど、同意がないと…///」

 顔を赤くする未汐。崩礼は、ふっと息を吐くと…真っ直ぐに葵を見て、言った。

崩礼「だそうだ。葵、どうだ?」



安価下1~3でコンマ最大 どうする?
①いいよ

②だめ

③その他要記述

葵「だめに決まってるでしょ」

 素気なく葵は言った。

崩礼「なにっ」

葵「こんな夜中にいきなり入ってきて、女の子同士でチューして…」

崩礼「む…」

葵「陸自に入るって言ったけど、隊長のもの?になるなんて言ってないし、ていうかもう眠いし!」

未汐「…ということなので、今日のところは引き上げていただけると…」

 未汐が遠慮がちに口を挟む。

葵「今日も明日もだめなものはだめ!」

崩礼「…そうか」

 崩礼は立ち上がると

崩礼「…失礼する」

 そう言って、とぼとぼと部屋を出ていった。



 翌朝。起床ラッパに目を覚ますと、未汐はもういなくなっていた。

葵「寝坊するかもって言ったけど、逆に早起きだった…」

 寝巻きから軍服に着替え、葵はグラウンドに出た。



 体操を終え、訓練場へ移った。装備の点検を完了すると、崩礼が言った。

崩礼「我々工作8班は、塹壕を掘るだけでなく、時として塹壕戦の指揮を行うこともある! 良いか、塹壕戦においては、全ての階級より我々に優先権がある!」

 それから、やや引きつった顔で続ける。

崩礼「…塹壕の中では、幕僚長ですら我々の指示に従うことになる」

真姫「ひえっ」

崩礼「故に、我々は一人ひとりが、常に指揮官の立場で戦場を俯瞰する必要がある! 明日は7班と対抗して模擬戦を行い、近いうちに普通科と共同で実戦形式の訓練を行うから、覚悟しておけ!」

「「「サーイエッサー!」」」



安価下コンマ 80以上で…



崩礼「」ドガガガガガ

 全身を茶色い毛に覆われ、頭頂部に丸い耳を生やした崩礼が、猛スピードで地面を掘り進む。そのまま、真姫の真後ろに飛び出すと、鋭い爪で襲いかかった。

葵「透過!」

真姫「っ!」

 爪が軍服を切り裂く。しかし、その中身は素通りしていく。

崩礼「ふんっ」スルッ

 開けた穴に飛び込む崩礼。真姫が追いかけようとすると、既に穴は無数のツタ植物によって塞がれていた。

真姫「追いかけますか? 一応、ツタを透過して進めますけど…」

葵「どこまで塞がってるか分からない。それより、攻撃を待ち伏せて…」

 ところが、そう言っているうちに足元からツタが伸び、2人の足を絡め取ってしまった。
 別の穴から顔を出した崩礼が言う。

崩礼「現代の戦争は、留まった者から狩られるのだ!」

葵「は、はぁ…」バンッ

崩礼「」ヒョイッ

 やけくそ気味に放った銃弾を、崩礼は穴に引っ込んで躱した。
 崩礼のギフト『狢(むじな)』は、自らの肉体をアナグマに近い性質に変化させるものだった。爪や牙による攻撃の他、猛スピードで地面を掘ることもでき、塹壕戦に持って来いだ。ちなみに、戦闘時に崩礼が下を脱ぐのは、太い尻尾の邪魔になるという、意外にもまともな理由であった。
 再び、崩礼が顔を出した。

崩礼「ちなみに、俺は朝倉Bの指示で動いただけだ。朝倉Bは塹壕の外にいて、お前たちを見下ろしているぞ」

真姫「えっ? …あっ、本当だ!」

 地上から、こちらを見下ろす由依の姿を見つけて、真姫が声を上げた。

崩礼「…高い視点を維持しろ。物理的な高さだけでなく、状況を総合的に考えるのだ! 今日の訓練は以上!」



 今日は未汐がいない。お風呂で泥を落として、夕食を摂って、早く寝よう…



安価下 どうする?
①玉置班と行く

②一人で行く

③その他要記述



葵「」ゴソゴソ シュル

葵「…」チラッ



崩礼「」バサッ バサッ

真姫「明日の訓練、上手くいくと良いですね…」



葵「…ふぅ」バサッ

 崩礼の方を気にしながら、葵は服を脱いで裸になった。崩礼の方は、特に彼女を見ている様子は無さそうだ。

由依「…葵ちゃん、行こ?」

葵「あ、うん…」

 タオルを手に、大浴場へ入った。



安価下1~3でコンマ最大 入浴中、食事中の出来事(いくつか書いても良い)

葵「…」ワシャワシャ

葵「…」チラッ



崩礼「」チャポン…



葵「…」シャワー…

葵「…」チラッ



崩礼「」チャプチャプ



葵「…ふぅ」シュコ シュコ ゴシゴシ



崩礼「…」チラッ



葵「」ゴシゴシ



崩礼「」ジッ

由依「…何してるの、隊長?」ボソッ

崩礼「っ! …な、何でもない」

由依「そう? さっきから葵ちゃんの」

崩礼「しっ!」ガバッ

由依「もごっ」



葵「…」ジャー…



安価下コンマ 奇数で気付く 偶数で気付かない

葵「…」チラッ



崩礼「…」ジッ

崩礼「!」サッ

 目が合って、崩礼は慌てて目を逸らした。

葵「はぁ…」

 葵はシャワーを浴びながら、溜め息を吐いた。どうやら、諦めたわけではなさそうだ…



 部屋に戻ると、未汐が帰ってきていた。

葵「おかえり」

未汐「うん、ただいま。…玉置隊長とは、大丈夫だった?」

葵「別に。…お風呂で、ちらちら見てきたけど」

未汐「嫌だったら、上官に言ってもいいと思うよ…?」

葵「…」



安価下コンマ
01~10 サイレン
11~20 廊下で騒ぎ
21~70 翌朝
71~90 置き手紙
91~99 未汐「実は…」
   00 侵入者



ギィ…

ヒタ ヒタ ヒタ

葵「んごぉ…ふひゅ…んがっ…」

スッ

ヒタ ヒタ ヒタ

ギィ…ガチャ



パッパパパー

葵「ん…」ムクリ

葵「…?」

 目を覚ますと、枕元に覚えのない紙切れが置いてあるのに気付いた。取り上げて見てみると、雑な文字で『108号室 同室なし 20時以降可 玉置』と書かれている。

葵「そっちから来いってこと…?」



ラセン「工作7班長、鉄山 ラセン(てつやま らせん)2等陸尉である! 本日は8班と合同で戦術訓練を行う!」

 真っ黒な髪を逆立てた、幼女にしては大柄な隊長が宣言する。

崩礼「8班は7班に比べて人数は少ないが、個人の技能で劣るとは思わん。各自死力を尽くし、実りある訓練にすること!」

 こうして各班に別れ、塹壕を用いた模擬戦が始まった。



安価下コンマ
01~10 惨敗
11~60 不利
61~80 有利
81~95 辛勝
96~00 圧勝



ガッガッガッ

葵「…」ジッ

 葵は、地中を掘り進む音に耳を澄まし…すぐに、ある方向を指した。

葵「9秒後、こっちから来る」

崩礼「朝倉B、根で妨害しろ。その隙に、俺が横から奇襲する。篠崎は進路を案内しろ。上羽はデコイだ。朝倉Bから敵の視線を逸らせ」

由依「了解」パラパラ

 由依が、ポケットから植物の種を取り出して壁に投げつける。たちまち複雑に根を伸ばし、土を固めてしまった。その隙に、変身した崩礼が隣を掘り進み、葵がその後を追う。

葵「…! 由依たちの方にも来てる」

崩礼「奴ら、人数が多いからな。2隊に分けても俺たちと互角ってところか。合流される前に、片付ける!」ボゴッ

「くっ、急に地面が硬く…」「! こっちに来た!」「応戦しろ!」

 7班の塹壕に突入すると、隊員たちがスコップで応戦してきた。

崩礼「おらあっ!」ボコッ

葵「」バンバンバンッ

「い゛っ!?」「ぐうっ」

崩礼「…ラセンの野郎がいない、らっ! 朝倉Bたちの方に…おらっ!」

葵「どっちか、戻る?」

崩礼「俺が行く。奴の戦い方は俺の方が分かっている」ダッ

 掘った穴に飛び込む崩礼。葵はコルトSAAを構え直すと、空の薬莢に火薬と弾頭を『再現』した。そして、残る隊員と応戦しようとしたその時

ドゴーン

葵「!?」

「隊長!」



ラセン「…やはり、貴様が残ったか。篠崎陸曹長!」ギュィィィィ…

 ラセンの両手には、無骨な鉄のドリルが装備され、唸りを上げて高速回転していた。

葵「か、かっこいい…」キラキラ

ラセン「貴様もこの魅力が分かるか。ドリルの浪漫について、小一時間ほど語らいたいところだが、生憎今は訓練中だっ!」ガンッ

葵「!」ダッ バンバンッ

 ドリルを向けて突っ込んでくるラセンを間一髪で躱すと、接合部に当たる手首に銃弾を撃ち込んだ。しかし、ラセンは怯むことなく向きを変え、ドリルを突き出してきた。

ラセン「はあっ! やああっ!!」ガンッ ギュィィンッ

葵「」バンッ バンッ

ラセン「ピースメーカー如きでは、本官に傷は付かんぞ、カウボーイ!」ギュオオンッ ガリガリガリッ

葵「ガールだっ!」バンッ

 左手にも銃を作り出し、応戦する葵。しかし、実力差が大きい。つくづく、幕僚長の言葉が身に沁みる。いかに優れたギフトを得たところで、それを使うのは他ならぬ、自分の身体なのだ…



崩礼「…時間だ」

葵「はぁ…はぁ…」ドサッ

 無数のコルトSAAの残骸の中で、膝を突く葵。ラセンの両手が回転を止めると、元の手に変化した。

ラセン「中々手強かったが、まだまだだな。分隊は、8班の残りを追い詰めたか?」

崩礼「あの人数で囲まれちゃ、無理だな」

 首を振る崩礼。由依と真姫は、塹壕の中でぐったりと横になっている。一方で、7班の隊員にはまだ動ける者もいた。

ラセン「少人数であるほど、一つ一つの行動がより重要になってくる。遮二無二動き回れば良いというものではない」

崩礼「…」

ラセン「まあ、かく言う我々も、4人相手に消耗しすぎたきらいはあるがな。今回の反省を活かし、普通科との合同訓練に備えるのだ!」

「「「サーイエッサー!」」」



崩礼「…そう言えば、明日は非番だな」

由依「そうでしたっけ?」

真姫「やったー!」

 ボロボロで寮に引き上げる玉置班の一行。

葵「…」

由依「…大丈夫、葵ちゃん?」

葵「あ、大丈夫…」

真姫「ラセン隊長と、ずっと1対1で戦ってたんだって? 凄いね…」

葵「戦ってたっていうか、逃げ回ってたっていうか…」

崩礼「あの脳筋ドリルは、まともに相手するだけ損だ」

 崩礼が珍しく、ぼそっと言う。

崩礼「軽く目眩ましして、逃げるべきだった。まさか、単独で葵を襲いに来るとは思わなかった」

葵「…」

崩礼「…ああもう、しゃあねえ! 風呂入って、飯だ飯!」

真姫「すっかり遅くなっちゃった…」

 外はもう暗い。未汐はもう、食事まで済ませてしまっただろう…



安価下 どうする?
①玉置班と行く

②一人で行く

③その他要記述

葵「…先行ってて。後で入る」

由依「葵ちゃん…?」

崩礼「…好きにやらせてやれ」

真姫「は、はあ…」

 葵を残して、大浴場へ向かう3人。仲間と別れて、葵は先に食事を済ませることにした。



安価下1~3でコンマ最大 入浴中、食事中の出来事(いくつか書いても良い)



葵「…」モグ…

 ご飯を口に入れ、噛み締めたままじっと黙り込む葵。疲れやら悔しさやらが頭や胸を掻き乱し、まるで食欲が湧かない。空自の食堂で、霰がしていたように、味噌汁でもかけてみるか…

ラセン「…おっ、篠崎陸曹長ではないか!」ドスドス

葵「!」

 頭上から声をかけられ、葵はびくっと顔を上げた。ラセンは山盛りのご飯に、ハンバーグやらエビフライやらコロッケやらをプレートに積み上げて、葵の向かいに腰を下ろした。

ラセン「食が進んでいないようだな…はぐっ」ザクッ モグッ

 ハンバーグを切らずに口に放り込み、数回咀嚼して飲み込むと、ふっと息を吐いた。

ラセン「…ワタシに勝てなくて、悔しいか」

葵「…」コクン

ラセン「はっはっは! 負けた悔しさは、強さへの渇望と同義だ! もっと悔しがれ。そして、強くなれ! そのために、もっと食え! 食わなきゃ、強くなれんぞ!」

葵「…っ!」バシャ

 葵は味噌汁をご飯にぶっかけると、一気に掻き込んだ。

葵「…ん゛っ! お゛っ、お゛ほっ」ドンドン

ラセン「おいおい、急いで食えとは行っておらぞ…」トントン

 身を乗り出し、むせる葵の背中を叩くと、ラセンはふと言った。

ラセン「そう言えば、貴様はドリルの良さを理解する同志であったな」

葵「ん…ふぅ」

 どうにか落ち着くと、葵は頷いた。

葵「あれ、凄い…『ガッチャー2』みたいで」

ラセン「!!!」ズイッ

 突然、ラセンが目を剥き出して顔を寄せてきた。葵はぎょっとした。

ラセン「貴様…『ガッチャーロボ』を観ていたのか?」

葵「え…うん。一応…」

ラセン「そうか! …そうかそうか!!」

 ラセンは、とても嬉しそうに何度も頷いた。

ラセン「いかにも! ワタシのギフトは『切削』…つまり、削ったり掘ったりできる。ぶっちゃけどこを回しても良いのだが、ワタシはガッチャーロボ、特にガッチャー2がお気に入りでな。あの勇姿に倣い、両手にドリルを装備したのだ!!」

葵「へえ…あ、あたし、ガッタイザーが一番好きなんだけど」

ラセン「ガッタイザーか! 彼の両膝にもドリルが備わっていたな。…しかし、ガッタイザーが好きとは。道理で、機甲科の適性が、思ったほど高くなかったわけだ」

葵「え?」

 勝手に納得して頷くラセンに、首を傾げる。

ラセン「だって、ガッタイザーは操縦するロボットというよりは、轟タイザが纏う強化装甲のようなものだろう」

葵「た…確かに!」

 手を叩いてはしゃぐ葵。遠巻きに眺める幼女たちの中で、2人だけの世界が繰り広げられていた。



ラセン「ワタシは常々思うのだ。ガッチャー2のドリルが、『キョジンダーX』のように飛んでいったら、より強くなるだろうと」

葵「確かに!」

ラセン「それに、ガッタイザーの膝のドリルも、両手に換装できれば」

葵「そしたら必殺のデッド・オア・アライブが撃てなくなるからだめ」

ラセン「む、そうか…」

 気が付くと、食堂に人の姿が無い。時計を見て、ラセンがあっと声を上げる。

ラセン「しまった、もうすぐ消灯時間ではないか」

葵「えっ!? お風呂は」

ラセン「もう閉まっているはず」

葵「えー…」

 食事を先にしたせいで、訓練後の汚れた身体のままだ。このまま寝るのは、絶対に嫌だ…

ラセン「…ここまで付き合わせたのだ。詫びと言っては何だが…良いところがある。付いてこないか」

葵「いいところ…?」

 上官とは言え、今日知り合ったばかりの相手に、ここまで付き合って良いものだろうか。幸い明日は非番だから、大人しく部屋に戻って、朝風呂という手もある。それに

葵「…」ギュ

 ポケットの中で、崩礼の残した置き手紙を握り締める。もしかして、今も待っているかも。行った先で、ろくな目に合わないのは目に見えているが…



安価下1~3でコンマ最大 どうする?
①ラセンについていく

②部屋に戻る

③崩礼の部屋に行く

④その他要記述

neru

安価下

 葵は、首を横に振った。

葵「ううん…もうくたくたで、動けない。戻って寝る」

ラセン「そうか…では、これから訓練でもよろしく」

葵「よろしく…」

 ラセンと別れて、部屋に向かって歩いている最中に、廊下の電気が消えた。
 部屋に辿り着くと、当然未汐はもう眠っていた。葵は汚れた隊服を脱ぎ捨て、ベッドに潜ろうとして…髪にも土がついていることに気付き、諦めて床に横たわり、目を閉じた。



安価下コンマ
01~10 サイレン
11~20 体が冷えて…
21~00 翌朝



パッパパパー

未汐「ん…っ」ムクリ

未汐「…わっ」



葵「んご…ふ…」



未汐「床で寝てる…泥だらけだし。よっぽど、きつい訓練だったんだね…」

葵「…ん、う…」ムク

未汐「あ、おはよう」

葵「おはよ…」

 脱ぎ捨てた隊服の中で、葵も目を覚ました。

未汐「葵ちゃん、今日は非番だっけ。わたし、もう行くね」

葵「ん…」コクン

 未汐が着替えて部屋を出る。葵はしばらくぼうっとした後、泥だらけの隊服を身体に巻きつけるように着て、大浴場へ向かった。



葵「…」シャワー…

 誰もいない大浴場でシャワーを浴びながら、葵は初めての非番をどう過ごすか考えた。寮の入り口で許可を得て、外に出ることもできるらしい。基地にはジムがあって、トレーニングをすることもできるらしい。あるいは、もう1日寝て過ごすか…



安価下1~3でコンマ最大 どうする?
①外出

②トレーニング

③二度寝

④その他要記述



「じゃあ、ここにお名前を」

 受付の幼女が差し出した名簿に名前を書くと、葵は数日ぶりに基地を出た。

葵「お、おお…」

 基地を出てすぐ、車の行き交う広い道路に出た。よく見ると、車には全体的に大きい車と小さい車があり、前者は葵がかつて過ごしていた所のように、人間の大人が運転しており、後者では幼女がハンドルを握っていた。

葵「あたしも、運転できるかな…」

 歩道には、様々な格好をした幼女が歩いている。その中には、紐を握ってペットのお散歩をしている者もあった。ただし、繋がれているのは犬ではなく、太った全裸の中年男性だ。

葵「あ、あれが種付けおじさん…?」

 幼女になったは良いが、幼女の作った街に出るのは初めてだ。まずは、どこに行こう…



安価下1~3でコンマ最大 どうする?

選択肢を出そう



安価下1~3でコンマ最大 どこに行く?
①車屋さん

②ペットショップ

③おもちゃ屋さん

④繁華街をぶらぶらする

⑤その他要記述



葵「…!」

 街を歩いていると、大きなおもちゃ屋さんを見つけた。店頭には、プリティ☆メイジーの人形や変身アイテムが並んでいる

葵「ガッタイザー、あるかな…」

 期待を胸に、葵は店内に入った。



安価下コンマ
01~20 ガッタイザー、ない…
21~40 ガッタイザー、ある!
41~60 真姫
61~80 ↑+ロボットコーナーもある!
81~99 ↑+なに、これ…?
   00 総理



葵「ガッタイザー、ない…」ショボン

 幼女の街だからか、置いてあるのは女児向け玩具ばかり。それも、メイジーがやたら多い。店主の趣味だろうか。ロボット玩具は、駆動騎士ガンバルのプラモデルくらいしかない。
 諦めて、店を出た。もうすぐお昼だが、街で食事しようか、それとも基地に戻ろうか…



安価下 どうする?
①このまま外出続行(行き先併記)

②基地に戻る

③その他要記述



 食事も街で摂ることだけ決めて、またうろついていると、ジャンクで美味しそうな匂いにつられてファストフード店に辿り着いた。基地の中にも、実は民間のレストランやスタンドなどがあったりするが、このハンバーガー屋は、確か基地には無かったはずだ。
 中に入り、メニューを見る。

葵「ハンバーガー…チーズバーガー…スーパーチーズバーガー…フィッシュバーガー…」

 セットメニューも豊富だ。ひとしきり悩んで、葵はレジに向かった。



安価下1~3でコンマ最大 何を頼む?(それっぽいメニューを自由安価)

ねるあといっこ
安価下

店員「いらっしゃいませー。ご注文はお決まりー?」

葵「この『ギガドリルバーガー』の、ラッキーセット」

店員「おもちゃは何にするー?」

 店員が差し出したカタログを見て、葵は迷わず『ガッチャーユニコーン』を指さした。そもそもこのメニューを選んだ理由が、ガッチャーロボの続編に当たる『ガッチャー・覇』のおもちゃが付いてくるからであった。葵自身はそこまで詳しくないが、ガッチャー2の後継機だからラセンに見せると喜ぶだろう。

店員「かしこまりー! じゃあ、ごほうびは…」

葵「あ…」

 そうだった。この国ではお金が廃止され、相手の望むものを与える『ごほうび制』になっているのだった。

店員「えっとねー…」



安価下コンマ
01~05 …あのお客さんたちを追い出してくれない?
06~60 キッチンを修理してくれない?
61~95 スマイルでいいよー
96~00 …アタシたちの仲間になってくれない?

 店員は、気まずそうに言った。

店員「…キッチン、修理してくれない? 店長が帰ってくる前に…」

葵「修理って…どれを?」

店員「こっちこっちー」ヒョイヒョイ

 店員に連れられてバックヤードに入ると、中にはフライヤーや鉄板が並んでいた。その中で、1機のフライヤーが、もくもくと黒い煙を上げていた。

店員「ポテトを急いで揚げようとして、凍ったまま放り込んだら、爆発しちゃってー…」

葵「…こっちは壊れてない?」ゴソゴソ

 正常に動いている方のフライヤーを開け、構造を確認する。

店員「うん。そっちは大丈夫ー…だけど、本当にお願いしてだいじょー…」

葵「えいっ」ガンッ

 葵が、壊れたフライヤーを手で叩く。すると、一瞬にして隣のフライヤーの中身が『再現』され、煙が止まった。

店員「…えっ? できちゃった!?」

葵「元々の形が分かれば、『再現』できるから」

店員「あ、ありがとー! これで店長に怒られないで済むー! ささ、座ってて。すぐに持ってくるからー…」



 数分後。特大のバンズに、何層もパテやトマトやアボカドが積み重なった、まさに天を衝くドリルのようなハンバーガーが運ばれてきた。

店員「…よいしょっ! ごゆっくりー!」



安価下1~3でコンマ最大 食事中の出来事、行動



葵「…」モグ…

 3枚目のパテを齧って、口が止まる。今度は気持ちではない。単純に、量の問題だ。

葵「…ん、ぐ…た、食べなきゃ…強くなれない…」モグ…

葵「…」ジッ

トタトタ

店員「おつかれー! …あれ、まだ食べてたのー?」

葵「…んぐ。食べなきゃ…」

店員「…ねー、アタシも食べていー?」

葵「! いいよ」サッ

 あっさり、皿を差し出す葵。店員は「シフト終わって、お腹空いちゃったー」と向かいに座り、ポテトに手を伸ばした。

葵「…ここで働いてるの?」

店員「うん! ハケンちゃんから、ここが向いてるよーって」

葵「やっぱり、ハケンちゃんから紹介されたんだ…」

店員「そうだ。お客さん、名前はー?」

葵「! 葵…篠崎葵。そっちは?」

店員「アタシはー…」



安価下1~3で次の>>1のコンマに一番近いやつ ハンバーガー屋の店員 名前と容姿、ギフトは必須

育原タキノ(いくはらたきの)
茶髪のサイドドリル
ツルペタ
ギフト『和みの波動』
周りの怒りや気持ちの昂りを落ち着かせる

ねる

次の更新までにもう1つ付かなかったら、これを入れてコンマ取る



吉田 初曜(よしだ そよん)
8歳
明るい茶色のポニーテールで、タトゥーシールを顔に張っている
ギフト『希薄』:触れたものや身の回りの空気などの密度がほんの少しだけ下がる。制御はできず、勝手に発動されるが、生活に支障をきたすほどではなく、逆に何かの役に立つこともない。強いて言うなら周りの気圧が下がるせいで沸点が下がり、気持ちフライヤーが爆発しやすくなる、気がする。

こんま

エリー「エリーだよ! 真上 エリー(まがみ えりー)!」

 金髪碧眼のショートヘアだから、もしかして外国人かと思ったが、どうやらハーフのようだ。赤いエプロンの上からでも分かる胸の膨らみは、由依同様、幼女らしくない。

葵「エリー…エリーのギフトって? ハンバーガー屋さんに向いてるってハケンちゃんが言ってたんでしょ」

エリー「えっとね、コトブキ博士から聞いたんだけど、アタシのは『奉仕』って言うらしくてー…えっとー…何か、人のために何かして、ありがとうってしてもらうと、元気になる! …みたいなー?」

葵「…どゆこと?」

エリー「わかんなーい!」

 あっけらかんとして笑うエリー。いまいち具体性に欠ける内容だが、ハンバーガー屋に向いているのは確かなようだ。

エリー「葵ちゃんのは、壊れたものを修理できるー?」

葵「ちょっと違う。『再現』って言って、見たもの、触ったものをそっくり作り出したり、見たときの形に戻したりできる」

エリー「へえー、便利だねー」

葵「と、『演算』。周りの状況を演算して、最適な行動が取れる」

エリー「…へ?」

 流石のエリーも真顔になって聞き返した。

エリー「ギフトが、2つあるの…?」

葵「うん。コトブキ博士もびっくりしてた」

エリー「…えー! すごーい!」

 エリーは手を叩いた。それから思い出したように、ポテトを口に放り込んだ。葵も妙に嬉しくなって、食べかけのパテを口に運んだ。



葵「…げふ、うっ」

エリー「ふぅー…お腹いっぱー…」

 2人でどうにか食べ終えると、エリーがふと言った。

エリー「…そうだ。この後、暇ー?」

葵「今日一日はお休みだよ」

エリー「じゃあー、アタシのお家に来ない? 一緒に外で遊んでもいいよ」

葵「うーん…」

 夕方には、基地に戻らないといけない。今は昼過ぎで、あと4時間くらいはありそうだが…



安価下1~3でコンマ最大 どうする?
①エリーの家に行く

②2人で遊ぶ

③1人で遊ぶ

④基地に帰る

⑤その他要記述



エリー「こっちー!」ヒョイヒョイ

 エリーの後についてやって来たのは、打ち捨てられた工場の隅に置かれたトレーラーであった。

葵「もしかして、ここがエリーのお家?」

エリー「うん! ハンバーガー屋さんで働いてたら、何かお客さんに貰ったー!」

 そう言って、トレーラーの側面に取り付けられたドアを開けて中に入った。
 中は、小さなテーブルに替えの制服が掛かった物干しハンガー、それに小型のテレビや冷蔵庫、電子レンジに、こまごました家具や家電が彼女なりに凝った配置で置かれていた。

葵「この、テーブルとかも?」

エリー「大体はねー」

 言いながらエリーは冷蔵庫からりんごジュースのペットボトルを取り出し、テーブルの上に放置されていたコップに注いだ。

エリー「はい、どーぞ!」コトッ

葵「ありがと…」

 明らかに洗ってないコップに口を付けて良いものか、悩んでいると、エリーは店から持って帰ってきた鞄からハンバーガーの包みを取り出した。

葵「え、まだ食べるの?」

エリー「違う違うー、これは『ダブチ』の分」

葵「だぶち?」

エリー「そ、ダブチ。外にいるよ」

 トレーラーハウスを出るエリーを追って外に出る。先程は気づかなかったが、トレーラーの裏に廃材を積み上げた雑な小屋が立っていた。
 その中にいたのは…

エリー「ダブチ、ご飯だよー!」

「おん、おん♪」

葵「っ!?」

 野太い声を発しながら、のそのそと這い出て来たのは、まるまる太った全裸の中年男性。だらけた顔からよだれを垂らしながら、エリーにじゃれつく。

「んー、んー」スリスリ

エリー「こらー、今はご飯の時間ー! おすわりー!」

「ぅん!」スタッ

 コンクリートの上にしゃがむ『ダブチ』。贅肉の中から、太い男性器が硬くなって、エリーの方を指している。

葵「う、わ…」

エリー「…よし!」「おんっ♡」

 放り投げられたハンバーガーにかぶりつく『ダブチ』。禿げた頭を愛おしそうに撫でながら、エリーは言った。

エリー「種付けおじさんの『ダブチ』だよー! 可愛いでしょー!」

葵「あ…えっと…」

「んっ、んおー♡」スリッ ズリッ

 ハンバーガーを食べ終えたダブチが、再びエリーにじゃれつく。よく見なくても、勃起した股間を、エリーの白い脚に擦りつけている。

エリー「だめー! お客さんいるから、種付けはあとー!」

葵「たねつけ…」

エリー「…それとも、葵ちゃんもするー?」

 突然話を振られて、葵は竦み上がった。

葵「するって、な、何?」

エリー「種付けー! ダブチったら、種付けが大好きなんだー! まあ、種付けおじさんはみんな種付け大好きだけどー」

葵「…」



安価下1~3でコンマ最大 どうする?
①やってみる

②遠慮する

③その他要記述

99は超えんな
寝る

葵「えっと…やめとく」

エリー「そうー?」

葵「あっ、でも…ちょっと、見てみたい、かも」

「あうー♡」ブルンブルン

 ダブチが立ち上がり、陰茎を振り回す。

葵「ひぃっ!?」ビクッ

エリー「こらこらー! ダブチはこっちー!」グイッ

 汁を垂らす肉棒を躊躇なく掴み、自分の方へ引き寄せる。

「んおっ!?」

エリー「じゃあ、ダブチも我慢出来ないみたいだし、このまましちゃうねー!」

葵「う、うん…」

 エリーはショートパンツと、その下のピンクの下着も脱ぎ、小屋の屋根に載せた。それから、エプロンの裾をたくし上げ、脚を開いて言った。

エリー「じゃあ、まずぺろぺろー!」

「はふっ、はふっ♡」ダッ

 エリーのお股には、髪の毛と同じ金色の毛が少しだけ生えていた。そんな彼女の割れ目に、ダブチはむしゃぶりついた。

エリー「あんっ♡」ビクッ

「れろっ♡ れろれろれろっ♡ じゅるるっ♡♡」

エリー「んっ♡ じょーず、じょーず…んぁっ♡」ビクンッ ギュッ

 肩を震わせ、ダブチの脂ぎった禿頭を両手で掴むエリー。おもむろに

エリー「ダブチー、おしっこー…んっ♡」プルッ

「じゅるっ、じゅるっ、じゅるるっ♡」

エリー「んっ…あっ、出る、出る、あっ♡ …」プルプルッ

「じゅっ、じゅるっ♡ じゅるるっ♡ ごくっ、ごくっ…」

 エリーの股間に口を押し付け、夢中でおしっこを飲むダブチ。

エリー「んふふー♡ おしっこ、おいしー? …んっ♡」

 エリーはダブチの顔を押しやると、コンクリートの上に仰向けになって脚を広げた。それから、両手でお股の割れ目を開いた。

エリー「…じゃあ、おいでー♡」クパァ

 産毛の生えた白い割れ目の奥から、とろりと濡れたピンクの粘膜が現れる。

葵「う、わ…」

 自分のでさえあまり見たことのない、女の子の股の奥を見て、葵が絶句する。
 ダブチは、一層膨れ上がった陰茎を向けて、エリーに突進した。

「んんーーっ♡♡」ズブズブッ

エリー「んんぅっ♡♡」ビクンッ

葵「ひいっ!?」ビクッ

 葵の二の腕くらいはあろうかという肉棒が、大人びているとは言え小さなエリーの穴に、根本まで突き刺さった。しかし、エリーの顔は全く痛そうではない。

エリー「んんっ♡ ダブチのちんちん、おっきー…♡♡」

「おんっ、んおっ、んおんっ!!」バチュン バチュン バチュン

 ダブチが、激しく腰を振り始めた。大きな身体でエリーを押さえつけ、巨大なペニスがエリーの膣に容赦なく出入りする。

エリー「んんあっ♡♡ あうんっ♡♡」

 だんだん、エリーの目が虚ろになってきた。舌を出し、よだれを垂らし、がくがくと首を振っている。

「んんんっ、んんんーっ…」バチュン バチュッ バチュッバチュッバチュッバチュッ…

 一方のダブチは、腰の動きがどんどん早くなっていく。腰を引くたび、目一杯広がった膣口から白い汁が漏れ出ていた。毛むくじゃらの陰嚢がもぞもぞと動き、肉棒が更に膨らんでくる。

「んおっ、んほっ♡ おおんっ♡」ジュブジュブジュブッ

エリー「はぁー♡ でるー…? でるー…♡♡♡」ギュゥッ

 エリーが、細い脚をダブチの肥えた腰に巻き付けた。
 ダブチが、根本まで腰を押し付けた。

「んんんんっ~~~~♡♡♡」ドクン ドッビュルルルルルーーーーーッッッッッ

エリー「でたぁー…♡♡♡」ビクッビクッ

 くっついた腰の間から、白いねばねばがどばどばと溢れ出す。ダブチは気持ちよさそうに、組み敷いたエリーの膣内に白いねばねばを吐き出している。
 エリーが、ダブチの下から葵の方を見た。

エリー「えへー、どうだったー? …」

葵「あ…」

エリー「ダブチのちんちん、とってもきもちー! よ!」

葵「え、えっと…」

 その時、工場に夕方の鐘が響いた。

葵「! も、もう時間…帰らなきゃ」

エリー「泊まってもー…」

葵「ごめん、あたしのとこ、厳しいから…じゃあ」ダッ

エリー「またねー! …あぁんっ、ダブチー♡」

「おふっ、おふんっ♡」



葵「はぁっ…はぁっ…」

 寮の部屋に戻ると、葵はベッドの上で縮こまった。ちょうど訓練が終わったようで、部屋には未汐がいた。

未汐「あ、おかえりなさい。外出してきたんだね」

葵「はぁ…はぁ…み、未汐…」

未汐「…どうしたの? 何かあった?」

 未汐の顔が険しくなる。葵は、首を横に振った。

葵「ううん、その…は、初めて見た」

未汐「何を?」

葵「だぶ、えっと…種付けおじさん…?」

未汐「…ああ」

 未汐は苦笑いした。それからベッドに上がり、葵の隣に座ると、肩に腕を回した。

未汐「それは、びっくりするよね。みんな好きって言うけど、わたしは正直苦手。だから、無理に近づいたりしないで良いよ」

葵「…」コクン

 葵は頷くと、ベッドから降りた。

葵「ご飯食べて、お風呂入る」

未汐「行ってらっしゃい。わたし、もう済ませちゃったから…」



安価下1~3でコンマ最大 食事、入浴中の出来事、行動

ねます

皆さんこのスレでどういうのが見たいとかあります?

安価下



葵「…」モグ

 昼が重かったので、さっぱりしたものをと思い、鯖の塩焼きに大根おろしをかけて口に運んだ葵。しかし、やはり食が進まない。2人で手分けしたとは言え、あのギガドリルバーガーが未だに胃を占領しているのと、それと…

ダダダダダダ…

崩礼「あ・お・いーっ!!」ダダダダダダ

葵「…」ジロ

 テーブルの間を猛スピードで走ってくる人影に、冷たい目を向ける葵。崩礼は構わず葵に抱きつくと、火が点きそうな勢いで頭を撫でながら言った。

崩礼「よーしよしよし、怖かったな、怪我してないか!?」ナデナデナデナデ

葵「…何が」

崩礼「隠さなくても良いんだぞ。お前があの、汚らわしい種付けおじさんに襲われたのは知っている」

葵「襲われてない…」

崩礼「はっ、あんなケダモノ、視界に入っただけで襲われたようなものだ」

葵「…」

 葵はうんざりしながら焼き鯖に向き直った。大体、どうして外出中の出来事をこいつが知っているのだ。まさか、服とかに盗聴器でも仕掛けられてはいないか…

崩礼「どうだ。今日こそ俺の部屋に」

葵「うるっさい! …ご飯食べてるから、静かにしてて」

崩礼「…」

 崩礼は口をつぐむと、何か言いたげな顔のまま、彼女に背を向けて離れていった。



 入浴も終え、ベッドに入っても、頭の中は種付けおじさんに犯されるエリーのことでいっぱいだった。
 そもそも、エリーは何であんなことをしているんだろう? 種付けって、何だ? あんなに痛そうなのに、どうしてエリーは気持ちよさそうにしているんだろう…?



安価下コンマ
01~30 サイレン
31~60 それはそれとして寝る
61~90 眠れない…
91~99 未汐「葵ちゃん」
   00 呼び声



ウー…ウー…
ジリリリリリ…

葵「っ!」ガバッ

未汐「サイレン…緊急出動だよ!」

葵「緊急って、何が」

 その時、サイレンに続いて館内放送が鳴り響いた。



”緊急出動命令、緊急出動命令…”



安価下コンマ
01~50 種付けおじさんの反乱
51~80 人間のレジスタンス
81~95 揚陸部隊
96~00 テロリスト

”たま地区にて、種付けおじさんの集団蜂起が発生。普通科第一作戦部隊、機甲科偵察部隊は直ちに出撃せよ。機甲科戦車部隊、並びに工作科は後方で待機せよ”



葵「…あたしたちは、出なくて良いのかな?」

未汐「基地を留守にするわけにもいかないもんね」

 廊下を走る音が聞こえてくる。葵たちも着替えて、いつものグラウンドに出た。

崩礼「…揃ったか」

 既に工作8班は3人揃っていて、葵が最後であった。

崩礼「簡単に共有する。たま地区の工場跡地に作られたバラック小屋群の中で、飼われていた種付けおじさん共が、団結して飼い主に反抗した。脱出できた幼女の通報により発覚したが、中でまだ数人の幼女が捕まっているらしい」

葵「…」

真姫「怖い…」

 呟く真姫。葵は、工場跡地という言葉に引っかかりを覚えた。確か、エリーのトレーラーハウスも工場跡地にあったような…

崩礼「クソが。こういう時、俺たちは待機なのがつまらん」

由依「種付けおじさん相手に、塹壕はいらないですもんね」

葵「…」

真姫「…篠崎陸曹長、何か気になることでも?」

 改まって尋ねてくる真姫に、葵は逡巡しながらも答えた。

葵「…外出中に知り合った娘も、工場跡地に住んでたなって」

崩礼「たま地区か? 工場跡も、色々あるからな。いずれにせよ、普通科で片が付くだろうよ」

葵「で、でも、巻き込まれたり」

崩礼「種付けおじさん事例の場合、普通科の携行銃はSSPXだけだ。幼女にとっちゃ、デコピンくらいのもんだよ」

葵「そ、そう…」ホッ



安価下コンマ
01    基地に侵入者!
02~05 戦車も出ていく
06~20 工作8班、出撃!
21~60 事態は収束した
61~80 おしっこ…
81~90 みんなも…
91~00 崩礼「…」



 突然、工作科の列の先頭から声がした。

「現場より入電! 敵は高度な団結行動を取り、工場跡地にバリケードを設置している!」



崩礼「! 科長だ」

由依「1班の班長が、工作科の科長も兼ねてるんですよ」

 由依が、葵に耳打ちして教えてくれた。



「依然、中には数名の幼女が捕らわれている! よって、工作2班、6班、7班、8班は直ちに出撃せよ!」



崩礼「よっしゃ来たぜ! …8班、整列!」

「「「サーイエッサー!」」」ザッ

 2台の輸送車が、工作科の前に停まった。前の車両に6班と7班が乗り込み、後ろの車両に2班と8班が乗り込んだ。
 車が走り出すと、眼鏡を掛けたおでこの広い2班の班長が口を開いた。

透「工作2班長の、硝子川 透(がらすがわ とおる)1等陸佐です…作戦を説明します」

 工作2班ということで、輸送車には未汐の姿もある。

透「現在、種付けおじさんの群れは解体したバラック小屋の建材でバリケードを設置し、立て籠もっています…中には、最低でも4名の幼女が捕らわれていると思われます…」

 低い声で言いながら、眼鏡をずらす。

透「既に、現場には砲兵も投入されていますが、ロケット弾の使用は捕まった幼女にも危険が及びます…よって、我々がバリケード内への進入路を確保し、幼女の救出を図ります」

 そこまで言ってから、車内を見回す。

透「…では、玉置班長」

崩礼「8班長の玉置だ。とっくに気付いているだろうが、種付けおじさんだけでそんな手のこんだことができるとは思えん。バックに、『トレイター』の一味がいると想定すべきだろう」

葵「トレイター?」

由依「しっ、後で説明しますよ」

崩礼「やることは簡単だ。先に行った6班が地上から障害物の撤去を試み、その隙に7班がコンクリートをぶち抜いてトンネルを掘る。8班がトンネル内先導する形で、まず2班が敵陣の中へ侵入。人質の救出を完了したら、次は歩兵を先導しバリケードの内外から挟撃する。以上だ。質問は?」

 そこでようやく、葵が手を上げて尋ねた。

葵「あ…8班の篠崎陸曹長です…えっと、トレイターって、何ですか?」

透「玉置班長、新入りに教えていないのですか?」

崩礼「ぐっ…暇が無かっただけだ。トレイターってのは、鷹栖総理大臣の統治に反抗する幼女の一団だ」

葵「ああ、空自の霰が言ってた」

崩礼「何だ、聞いてたのか。…詳しい構成員は分かっていないが、一つ確かなのは、リーダー格の『東郷 アリス(とうごう ありす)』は『反逆』のギフトを持っているということだ」

葵「!」

 コトブキ博士がちらりと触れた、『反逆』のギフト。博士の口ぶりからすると、それは総理の『君臨』すら無効化できる能力と思われる。自衛隊が恐れるわけだ。

 その後いくつかの質問があり、途切れたところで透が言った。

透「現着まであと10分ほどです。他になにか、質問は?」

真姫「…あっ、あのっ」

 真姫が、恐る恐る手を上げた。

透「どうぞ」

真姫「は、8班の上羽1等陸士です、あのっ…」

 真姫は、ワンピース型になっている軍服の前を押さえながら言った。

真姫「お、おしっこ…ずっと、が、我慢してて…///」モジモジ

透「尿意を我慢したままでは、作戦行動に支障を来しますので…今のうちに、ここでしてください」

真姫「ひぃっ!? さ、さーいえっ、さー…んっ、んっ…///」プルプル

 硬いシートに腰掛けたまま、涙目でいきむ真姫。透は車内を見回して言った。

透「尿意があるものは、現着までに済ませてください…2班の方も、作戦中は未汐さんが臭いを消してくれますので…」

真姫「んっ、んぁ…///」プルッ ジュワワワワワ…

「んっ///」「…///」「んーっ…んっ、あ、あっ…///」

 車内に、恥ずかしげな吐息と滴る水の音が響く。

葵「…///」キョロキョロ

 葵も、実際尿意の限界であった。このまま、適性検査の時のように、パンツの中におしっこするしか…
 見回すと、崩礼や由依、それに未汐も、同じようにおもらしを試みているようであった。



安価下 どうする?
①1人で漏らす

②誰かに声をかける(相手を併記)

③その他要記述

いったんくぎる

葵「…すぅ」

 葵は小さく息を吸うと、お股に力を入れた。

葵「ん、んっ…出ない…」プルプル

 もう限界なのに、いざ出そうとするとどうしても身体が止めてしまう。



シィィー… ピチャピチャピチャ チョロロロ… パチャ…



 耳を澄ますと、あちこちからおもらしの音が聞こえてくる。幼女でいっぱいの輸送車に、おしっこの臭いが立ち込める。

葵「ん…ん、ぁ…」フルッ ジワァ…

 身体から力が抜け、お股が熱くなる。パンツがどんどん温かくなり、お尻の下まで広がっていく…



 輸送車が、工場跡地に侵入した。既に普通科の隊員たちが陣を敷き、サーチライトに照らされたバリケードを睨んでいる。

透「お疲れ様です、富士陸将。工作2班、8班、現着しました」

 輸送車から降りた透が、普通科の隊長に向かって頭を下げた。その声に振り返ったのは、黒髪をお下げにした、少しぽっちゃりした幼女だった。
 富士 幸実(ふじ ゆきみ)陸将。陸上自衛隊普通科第一作戦部隊隊長にして、藤島幕僚長に次ぐ人物である。

幸実「あっ、おつかれ~。今、ラセンちゃんたちが穴掘って行ったところだよ」

 周囲の緊張に合わぬ、緩い声で返事すると、コンクリートに空いた大穴を指差した。

崩礼「閣下、戦況はいかがですか」

幸実「う~ん、良くはないかなぁ~。あのバリケード、急拵えにしては硬くてねぇ。制式拳銃じゃ貫通しないんだよねぇ~。しかも、裏で種付けおじさんたちがぎっしり詰まって抑えてるから、簡単に倒すこともできないし…」

 溜め息を吐くと、目の前で両手を握って見せる。

幸実「うちのギフトでぶっ飛ばしても良いんだけど~」

崩礼「そ、それは最後の手段でしょう…」

透「被害者は、まだ中に?」

幸実「あれから1人も逃げてきてないから、多分ね~」

 見ると、工作6班の隊員たちがバリケードに向かって何かを発射している。それは、鉤爪の付いたワイヤーで、バリケードに食い込ませて引き倒そうとしていた。
 1人の隊員が、話し合う隊長たちの元へ走ってきた。

「工作7班より、トンネル開通とのことです!」

幸実「ありがと~。…じゃ、透ちゃん、崩礼ちゃん、よろしくね~」

透「はっ!」

崩礼「イエッサ!」



崩礼「俺と朝倉Bが先導する。間に2班を挟み、篠崎と上羽が殿だ。俺が穴を広げるから、朝倉Bは壁を補強しろ。篠崎は襲撃や崩落の予兆があったらすぐに知らせろ。場合によっては、上羽を偵察に先行させる。すぐ脱げるようにしとけ」

 そう言うと崩礼は、おしっこの染みたミニスカートを脱いだ。裸の下半身が茶色に毛に覆われ、腰から太い尻尾が生えてくる。黒く縁取られた目を細め、丸い耳を忙しなく動かすと、崩礼はトンネルの中へ入っていった。一緒に、由依も入っていく。
 続いて、透の率いる工作2班がトンネル内に侵入すると、最後に葵と真姫が暗闇の中へ足を進めた。



安価下コンマ
01    
02~10 肉壁
11~20 待ち伏せ
21~50 敵陣へ
51~90 ラセンと合流
91~99 監禁部屋の真下
   00 はぐれた

今度こそ寝る

ようやくG要素が出てくる



 出口が近づいてきた。うっすら光の差し込むトンネルの出口から、生暖かい風が吹き込む。その風の匂いに、葵が声を上げた。

葵「出口に、誰かいる」

崩礼「ああ、臭うぜ。くっせえ、種付けおじさん共の臭いがな。待ち伏せされてるぜ」

由依「7班の人たち、何人か戻ってませんけど…もしかして」

崩礼「知らん。だが、ラセンがいるなら死んだりはしてないだろうよ。…篠崎! 演算の結果、どうするのが良さそうだ?」



安価下1~3でコンマ最大 作戦



「おー…」「うー?」「ぐふふ…」

 トンネルの出口で待ち構える、数人の種付けおじさんたち。向こうの方では、1人当たり5人もの種付けおじさんに押さえつけられ、犯される幼女たちの悲鳴が聞こえてくる。ここから出てくる幼女を捕まえれば、次は自分たちの番だ…

「…んお!」

 突然、トンネルの中から数人分の人影が飛び出した。暗くてよく見えないが、幼女だ! 彼女らは、種付けおじさんの腕をかいくぐって向こう側に抜けると、おもむろに立ち止まった。



未汐「…」

真姫「お、おーい…///」

 2人とも黒髪だ。1人は長く、1人は短い。そして、短い髪の幼女は、何故か全裸で、震えながら胸と股間を手で隠していた。

真姫「…こ、こっち…///」プニッ

 裸の幼女が、そっと局部から手をどけ、膨らみはじめのおっぱいと、まだつるつるの割れ目を、種付けおじさんたちに晒し___



葵「」バンッ バンッ バンッ



「あ゛っ」「い゛っ」「う゛っ」

 裸の幼女に釘付けになった彼らの後頭部を、45口径がぶち抜いた。痙攣しながら、地面に崩れ落ちる種付けおじさんたち。
 引き金を引いた葵は、ぎょっとした。コトブキ博士も、桜も、崩礼も、至近距離で撃たれてもピンピンしてたのに、遥かに屈強なこのおじさんたちは、遠くから1発撃たれただけで、もう死にそうになっている…

崩礼「よくやった。これで、俺が触らずに済む…」



「う、ばっ」「あばっ」「がががぎぎぐうげえっ!」ムクリ



葵「お、起きてきた…死んでない!」

崩礼「決まりだ。奴らは、何らかのギフトの影響下にある!」



「おおうああっ!」ガバッ

未汐「…」スゥ…

真姫「ひいぃっ!?」スゥッ

 未汐が姿を消し、真姫も身体を透過させておじさんの腕を透かす。

透「7班は、人質と共に捕らえられている可能性が高い! 2班は手分けして基地を探索し、人質の確保を!」

崩礼「透隊長。朝倉Aを借りて良いか?」

透「未汐さんは、8班と協力し種付けおじさんの足止めを!」

 透が言い終わると同時に、1人の種付けおじさんが悲鳴を上げた。

「ぎいびいいええげえっ!?」ガクンッ

 泡立った叫びを上げながら、喉を押さえる。その指ごと、喉が縦に切り裂かれていく…!

「あがっ、あばっ! おごおぇえ゛えっ!?」ゴボッ

 喉から血を吐く種付けおじさんの、でっぷり太った腹が、ばっくりと切り開かれ、はらわたが次々に飛び出し、引きちぎれ、落ちていく。
 遂に仰向けに倒れ、動かなくなると…その頭を踏みつけて、未汐が姿を現した。その手には、柄頭まで血に染まった、不可視のサバイバルナイフ。

未汐「…」ギッ

 憎悪に染まった双眸が、再び見えなくなる…

葵「あっ…」

崩礼「葵」ポン

 崩礼が、呆然とする葵の肩を叩いた。はっと見ると、1人の種付けおじさんが、ツタを引きちぎって由依に襲いかかっていた。

由依「きゃあーっ!?」

葵「っ!」バンッバンッバンッ

「ばべっ!」

葵「」ダッ

 既に、戦場には10人以上の種付けおじさんが集結していた。葵は飛び出すと、その中心に躍り出た。空の薬莢に、火薬と弾頭を『再現』。撃鉄を起こすと、2挺のリボルバーを、胸の前で交差した。



安価下コンマ
01~05 テロリスト
06~15 真姫が…
16~50 足止め
51~80 乱入
81~99 救出
   00

葵「」バンッ バンッ

「ぐっ」「ぶべっ」

 『再現』による無限の弾数。『演算』による正確無比の射撃。

「おおあっ!」ガバッ

葵「ふっ」スルッ バンッ

「あがっ」

 10人以上の敵の行動を、全て先読みし、無数の腕を難なく交わしつつ、進行方向に弾丸を『並べ』ていく。

崩礼「死ねおらっ!」ガブッ

 1人の種付けおじさんに飛びつき、首筋に噛みつく崩礼。葵は他の個体の股下をくぐって背後に回ると、両の膝裏を撃って姿勢を崩し、肩に飛び乗って鼻の穴から脳みそを撃ち抜いた。

「ふごごっ!?」



真姫「ひいっ!? やだ、やだあっ///」ドタドタ

「おっほ、おっほ♡」ドスンドスン

由依「えいっ」シュルルルル…

「ぶべっ」ベシャッ

 裸の真姫を追う種付けおじさんを、由依は蔦で引っ掛けて転ばせた。種付けおじさんは顔面から地面に衝突し、勃起した陰茎が真ん中からへし折れた。

「ん゛お゛おおおおっっっ!!?」ジタバタ

 のたうち回るおじさんの、折れた肉棒が、不可視の刃によって根本から切り取られた。更に股ぐらからみぞおちまで縦に切り開かれ、内臓をミキサーめいて切り刻まれ、ようやく事切れた。

未汐「…これで、一段落?」

 全身から血を滴らせながら、由依が姿を現した。
 ちょうどそこへ、透たち2班の隊員が戻ってきた。彼女らは、ぐったりする幼女たちに肩を貸していた。その中には、葵たちと同じ軍服を来た幼女もいた。7班だ。

ラセン「いやあ、面目ない!」

 傷だらけの、それでも誰の肩も借りずに歩いてきたラセンが、声を張り上げた。

ラセン「トンネルを出たところで、種付けおじさん共とテロリストの1人に襲われてな。本官がテロリストとやり合っている間に、一緒に捕まってしまった!」

崩礼「テロリストはどこに」

ラセン「2班がなだれ込んできたのを見て、一目散に逃げ出したわ」

透「人質は確保しました。玉置班長はトンネル内の先導をお願いします。鉄山班長、それから篠崎陸曹長。お疲れの所申し訳ありませんが、殿をお願いできますか」

ラセン「心得た!」

葵「了解…!」

 ラセンと目が合うと、どちらからともなく頷いた。
 崩礼が先導し、人質を保護した2班の隊員がトンネルに入っていく。血塗れの未汐、まだ裸の真姫、それから由依を見送ると、最後に2人でトンネルに入った。



安価下コンマ ゾロ目で…

あっ…



安価下1~3で次の>>1のコンマに一番近いやつ テロリストの1人 名前と容姿は必須
ギフトは設定済み

次の更新までに3つ揃わなかったらこれを含めてコンマ取る

志垣 アコ(しがき あこ)
11歳
ウェーブヘアを金に染め、両耳にピアスを付けている。誰に対しても舐め腐った態度で、首輪を嵌めた種付けおじさんの背中に乗って移動する。

進まないし決めちゃお
コンマ

流前 浮花(りゅうぜん ふか)
10歳
赤髪ボサボサロング
右目に涙型の赤いタトゥー
ダウナーで常につまんなさそうたが興味を惹かれるとアッパーで粗野な口調になる
両刀(おじさん幼女どっちもいける)

ごめーん!



葵「…っ!」ゾクッ

ラセン「! 追って来やがった…」

 トンネルの中で振り返ると、出口から一つの人影が、こちらに向かって近づいているのが見えた。明らかに、種付けおじさんではない。

由依「…どうしたの、葵ちゃ」

ラセン「貴様らは急いで出口を目指せ!」

 ラセンが怒鳴った。その両手が、鋼鉄のドリルへと変形し、唸りを上げて回転し始める。
 列の向こうで、崩礼が何か叫んだ。その声を掻き消すように、ラセンが吠えた。

ラセン「おおおおっ!!」ダッ

葵「ラセン隊長っ!!」ダッ

 駆け出すラセンを、葵は追いかけた。
 やがて、対峙したのは、1人の幼女であった。ラセンに劣らない高身長だが、あちらはすらりと細い。紫の髪を長く伸ばし、白のメッシュを編み込んで、黒のタンクトップと超ミニスカートに、黒のレザーブーツを履いている。
 彼女は、ラセンの繰り出した高速回転ドリルを、特殊警棒で受け止めた。

???「アハハハッ…来ちゃったァ」ニヤァ

ラセン「ああ、感謝するぞ。貴様のどてっぱらに穴を開けずに撤退するのが、心残りだったのだ」ギリッ

葵「誰! もしかして、『トレイター』の」

???「…?」

 テロリストが、初めて気付いたように葵を見た。それから、「ああ」と頷いた。

???「あんたが、例の『ツイン・ギフト』」

ラセン「それがどうした!」

???「ボスから言われているの。『ツイン・ギフト』は殺すなって。そして___」



ユカリ「___アタシ、毒島 ユカリ(ぶすじま ゆかり)。ねえ、アタシたちの仲間にならない?」

ラセン「ならん!!」ギュイィィィッ

 ラセンが、ドリルをユカリの喉元に突き出す。それをくぐると、ユカリは特殊警棒でその腕を跳ね上げ、逆に喉元に警棒の先端を叩き込んだ。

ラセン「ぐあっ!?」

葵「ラセン隊長!」

 葵は2人の間に滑り込み、下からユカリの肘を狙い撃った。

ユカリ「!」

 ユカリはそれを躱すと、葵のみぞおちをつま先で蹴り上げた。葵はその脚を片腕で抱え込み、倒れ込みながら足首を捻った。ドラゴン・スクリュー!

ユカリ「…アハッ」

 地面に倒されながら、ユカリは不気味な笑い声を上げた。

ユカリ「いいねェ、好き、だァい好き! 仲間にするより、殺したい、殺されたァい! …でも」

 ユカリは、ゆらりと立ち上がると…

ユカリ「…今は、アンタ!!」

 そう言って目にも留まらぬ速さで、超巨大な銀のリボルバー拳銃を構えた。その先には、ラセン!



安価下コンマ
01    急所
02~10 ダウン
11~40 掠った
41~90 逸した
91~00 奪った

葵「!!」バシッ

ガァァンッ

 銃を奪おうと、葵がユカリの手を掴んだ瞬間、超大口径が火を噴いた。轟音にトンネルが揺れ、衝撃で掴んだ手が弾き返された。それでも、ラセンの被弾はかろうじて避けることが出来た。

ユカリ「…ちょっと、危ないでしょ? このマグナム…当たったら、幼女だってミンチになっちゃうんだからァ!」ガッ

葵「ふんっ」ガキン

 特殊警棒の一撃を、コルトSAAの銃身で受け止める。そのまま、2人は踊るように銃身と警棒を交差させては、激しい格闘戦を繰り広げた。

葵「はっ、くっ、やっ!」ガッ ガキンッ ガンッ

ユカリ「やああっ! はっ! …アハハッ!」ブンッ ガンッガンッ キィンッ

 動きは演算できる。膂力も対応できる範囲だ。しかし、決定打が打ち込めない。明らかに、ユカリの方が戦いに慣れている。

ユカリ「えいっ!」ドガッ

葵「ぐっ」

 腹部に蹴りを叩き込まれ、葵は固まった。同時に打ち込まれた警棒への対処を、『演算』が勝手に優先させてしまったのだ。しかし、喰らった蹴りも十分すぎる威力だ。

葵「はぁっ…はぁっ」ガクッ

ユカリ「…ねーェ」

 膝を突く葵に、ユカリが屈み込んで言った。

ユカリ「このまま殺したいところだけどさ、ボスの命令なんだよね。…こっちにおいで。仲間になってよ」

葵「…」

 無言で、ユカリを睨む葵。
 次の瞬間、ユカリの背後から、超高速の鋼鉄ドリルが突っ込んできた。



安価下コンマ 91以上で捕縛 それ以外で逃げられる

ユカリ「…大人しいと思ったらァァァ!?」

 振り返り、警棒で受け止めようとしたユカリは、思わず悲鳴を上げた。
 そこにいたのは、両腕どころか全身を巨大なドリルのように回転させ、ドロップキックで突っ込んでくるラセンの姿であった。

ラセン「おおぉぉぉらららららららら!!!!」ギャギャギャギャギャ

ユカリ「くうぅぅっ…」ガガガ ガギン

 特殊警棒が一瞬にして鉄クズとなる。ユカリはかろうじて身体を捻ってドリルを躱すと、そのまま地面に倒れ込んだ。尻餅をついた彼女の内腿に、『4444』とタトゥーが刻まれているのが見えた。

ラセン「…無事か、篠崎陸曹長」

葵「うん、あ、はい…」

ユカリ「…アハッ」プルプル

 座り込んだまま震えるユカリ。その口から笑い声が零れると…突然、超ミニスカートの中から、黄色い液体が勢い良く噴き出した。
 ユカリは、パンツを穿いていなかった。

ユカリ「アッハハハーァ♡♡♡ イイーッ♡♡♡」プシャーッ プシャァーッ

 タトゥーの彫られた、すらりと長い脚の付け根、つるつるの白い割れ目から、勢い良くおしっこを放出しながら、ユカリはよろよろと立ち上がった。

ユカリ「ハアァーッ♡ 死ぬかと思ったァ…あっ、アッ、イクーッッッ♡♡♡♡♡」ガクガクガクッ プシャァァァァ

 立ち上がったところで、今度は透明な潮を噴いた。

ユカリ「ハァ、ハァ…嬉ション止まんなァ…♡ ハァ、また、やりたいから…アタシ、帰るゥ…」

ラセン「…はっ。ま、待てっ!」

 ラセンは追いかけようとして、力尽きて崩れ落ちた。葵も、満身創痍の身体を引きずって、ラセンに肩を貸すのが精一杯だった。



幸実「…で、テロリストは逃げてっちゃったんだ~?」

ラセン「2度も逃がすとは、情けない限りです…」

葵「…」

 ボロボロの2人を、衛生科の隊員が手当する。
 既に、崩礼たち3人が歩兵を率いて敵陣内に乗り込み、6班が崩したバリケード側と双方からの攻撃が始まっていた。

幸実「でも、情報が手に入ったのはラッキ~、だね?」

葵「…毒島ユカリって、名乗ってました。ギフトは分からなかったです」

ラセン「いや。中にいる種付けおじさん共が、何らかのギフトの影響下にあると、玉置が推測していました。中にいたテロリストが毒島1人なら、奴のギフトでしょう」

幸実「まぁ、名前と見た目が分かれば、後はコトブキ博士に聞けば良いから、大丈夫だよ~。それより、2人はゆっくり休んでてね」

ラセン「ありがとう、閣下」

葵「どうも…」

 幸実が、救護用テントを出て行く。
 中で、葵はラセンと2人で残された。



安価下1~3でコンマ最大 テント内での話題、行動

ねる
あと2個

葵「…ぐすっ」

 鼻の奥が、つーんと痛くなる。葵は、ぐずりながら呟いた。

葵「また…勝てなかった…」

ラセン「…」

葵「ギフト、2つもあるのに…」

 するとラセンは独り言のように呟いた。

ラセン「…ワタシが、己のギフトを認識した時…それはもう、有頂天だった。憧れのガッチャー2になれたと思い上がり、入隊した陸上自衛隊でもギフトに胡座をかいて鍛錬もろくにせず、ふんぞり返っていた」

葵「…」

ラセン「だがある時、藤島陸将…今の幕僚長に、組手を挑まれてな。ワタシは当然勝って、次の幕僚長になる夢まで描いていた。が…」

 ラセンは、可笑しそうに鼻を鳴らした。

ラセン「…例えるのもおこがましいが。ワタシがガッチャー2なら、陸将はゴッドガッチャー・バハムートだった。ワタシのドリルは掠りもせず、逆に閣下の木刀で全身を打ち据えられ、ワタシはようやく目が覚めた」

葵「幕僚長って、そんなに強いの…?」

 机越しに向かい合った時の悪寒が蘇る。明らかに只者ではないと思っていたが、ラセンですら歯が立たないとは。

ラセン「勿論だ。あの方の強みは、ギフトではない。ただ鍛錬と経験によって得た、腕っぷしと勝負勘の強さだ」

 それからラセンは、突然声を張り上げた。

ラセン「よって! ガッタイザーを見ていた貴様なら、次にどうすべきか分かるだろう!」

葵「…修行!」

ラセン「そうだ! とにかく鍛えろ! まずはウェイトトレーニングだ。いかに相手の動きが分かったとて、動かすのは己の肉体! 殴るのは己の拳である!」

葵「動きが分かる、と言えば…」

 葵は、『演算』に従った結果、ユカリの蹴りを喰らってダウンしたことを話した。

ラセン「ふむ…」

 ラセンは、顎に手を当てて考えた。

ラセン「『演算』のギフト持ちは、何人か見てきた。そして、皆が同じ問題にぶち当たる。貴様のように、演算に従って動いたのに、敵に決定打が与えられず、逆に敵から致命傷を受けてしまうと」

葵「どうして…?」

ラセン「簡単だ。演算は、あくまで演算。机上の空論だ。それを実行するのは、あくまで己の肉体である!」

葵「結局、やることは一緒ってこと…?」

ラセン「あと、真面目な話をすると…複数の攻撃を同時に受けた時、その殆どを躱せても、一つは受けなければならない事態はよくある。だが、幼女の攻撃は基本的にどれも致命傷になりうる。演算に従って一番弱い攻撃を選んだところで、まるで解決にならないのだな」

葵「それって、どうしたら良いの?」

ラセン「演算は、己の身体能力を勘定に入れるらしい。ならば、全ての攻撃を躱せるようになるか、耐えられるよう鍛えるしかあるまい」

葵「…結局、全部一緒じゃん!」

ラセン「当たり前だ! 鍛錬あるのみ!」

葵「ウェイトトレーニングとか、したことないんだけど…」

ラセン「貴様は、来てからまだ日が浅いからな。訓練の一環として、ジムでトレーニングをする機会は来るだろう。朝礼前や、訓練の後に、自主的にジムに行くこともできるのだぞ」

葵「うん…」



崩礼「よっ」ヒョコ

 テントの入口から、崩礼が顔を出した。

崩礼「葵、ラセン隊長、終わったぞ」

葵「ん…」ムクリ

 うたた寝していた葵は、身体を起こした。隣でラセンも伸びをする。

ラセン「んーっ…ご苦労だった」

崩礼「輸送車が待機している。傷病者が先だぞ」

葵「ん、しょっ」

ラセン「やれやれ…あの毒島とかいうテロリストめ…」

 2人はテントを出ると、待機していた輸送車に乗り込んだ。他の傷病者も乗り込むと、車は一番に走り出した。
 外は、もう日の出であった。



 基地に戻ってくると、葵たち傷病者は医務室へ運ばれた。

温海「おかえりなさい、みんな、お疲れ様ぁ♡」

 適性検査の時に見た、癒川温海看護官が、葵たちを出迎えた。

温海「出撃した娘たちは、今日はお休み。あなた達は特に、ゆっくり身体を休めてねぇ♡」



安価下コンマ
01~30 寝落ち
31~70 由依&真姫
71~90 8班
91~99 幕僚長 
   00 未汐&…



葵「」モグモグ

 昼頃、配られたパンを齧っていると、8班のメンバーが医務室に入ってきた。

崩礼「よっ。調子はどうだ?」

葵「らいぶいい…」モゴモゴ

崩礼「そりゃ、何よりだ」

 手短に声をかけると、崩礼は隣のベッドのラセンに向かって言った。

崩礼「…今回の事例について、幕僚長を交えて班長会議があった」

ラセン「そうか。出席できず、申し訳なかった」

崩礼「気にするな。そこでの話を共有するために、俺が来た」

由依「わたしたちも来たよー」

真姫「」コクコク

ラセン「で…会議では、何と?」

崩礼「ああ」

 崩礼は頷くと、言った。

崩礼「まずは、今回の事例の発端について。あの工場跡地には、5名の幼女が共同生活をしていて、合計15人の種付けおじさんを飼っていた」

ラセン「…」

 無言で目を細め、続けるよう促すラセン。

崩礼「脱出に成功した幼女によると…昨日夕、工場跡地に新入りの幼女が入ったんだと」

葵「もしかして、それが」

崩礼「ああ。例のテロリスト…毒島ユカリだ。奴はその場で、数人の種付けおじさんと種付けし…その場で、数十人もの種付けおじさんを、『出産』した」

葵「!?」

 崩礼は、今にも吐きそうな顔で続けた。

崩礼「そいつらが、毒島の指示で工場跡地を制圧し、住んでいた幼女を捕らえた。運良く1人が逃げ出したことで、事態が発覚した、というのが事の顛末だ」

ラセン「やけに頑丈だと思ったが、ギフトによって産み出された種付けおじさんだったか」

崩礼「ああ。今、コトブキ博士に毒島ユカリに関する情報を求めているところだ。…今回の件を受け、巡回を強化。毒島のモンタージュを作成し、指名手配することになった。特に、種付けおじさんを飼っている家には重点的に注意を呼び掛けると」

ラセン「大体分かった。ご苦労」

崩礼「ああ。…葵が世話になったな」

 ラセンは鼻を鳴らした。

ラセン「ふん。鍛錬が足りんから、ギフトに振り回されておるではないか。もっとウェイトトレーニングをさせろ」

崩礼「…分かったよ」

 崩礼は肩をすくめると、再び葵に向かって言った。

崩礼「後で、記録係がお前の所に、毒島の話を聞きに来る。モンタージュを作るから、できるだけ思い出しとけ」

葵「ん」コクン

崩礼「じゃあな、ゆっくり休めよ。明日から、また訓練だからな」

今日はここまで



 翌朝は、雨であった。それでも、いつも通り体操を終え、資機材の点検を終えると、8班はびしょ濡れの服を体操服に着替えてジムにやって来た。

崩礼「…鉄山隊長の要望で、合同練習の内容を変更して、基礎トレーニングを行うことになった」

由依「えー、きついからやなんだけど…」ボソッ

崩礼「朝倉B、聞こえてるぞ!」クワッ

由依「サーイエッサー!?」ビクッ

崩礼「…実際、鉄山隊長がウェイトトレーニングにこだわるのは、奴が脳き、もとい、あー、実力主義だからというだけではない」

真姫「脳筋は否定しないんだ…」ボソッ

崩礼「幼女は、体重に対するパワーがかなり高い。よって自重ではまるで負荷にならん。穴掘りは重労働だが、それでもウェイトトレーニングほどの効率は得られない。ちなみに…」チラッ

 少し離れた所では、7班がもうトレーニングを始めている。ベンチに横たわって、ラセンが上下しているバーベルの重量は、200キロだ。

崩礼「…アレは、幼女の中でも一握りだ。ベンチプレスなら、大人しく棒だけから始めろ。では、ストレッチからだ!」

「「「サーイエッサー!」」」



安価下コンマ
01~10 痛っ
11~30 由依&真姫
31~60 7班のひとり
61~80 ラセン
81~00 幕僚長

葵「んー…しょっ、んー…」グイッ グイッ

 スクワットマシンで屈伸運動をしていると、1人の幼女が近寄ってきた。どうやら、7班の隊員のようだ。何か言いたそうなので、トレーニングを中断して座り直すと、葵は尋ねた。

葵「…どうしたの?」

???「…」



安価下1~3で次の>>1のコンマに一番近いやつ 7班の隊員 名前と容姿、ギフトは必須

早峰 ひなた(はやみね ひなた)
10歳
白髪ショートにくりくりとした金目、背は低めだがおっぱいの発育は良く膨らみがほどよく見える(ロリ巨乳というほどではないが葵よりは確実に上)
無邪気で誰にでもすぐ話しかけるコミュ力の塊
ギフト『跳躍』
思い浮かべた場所へと瞬間的に跳ぶことが出来る。ただし移動したままというのは不可能であり、跳躍後一定時間で跳躍時の元の場所に戻る。なお手に持ったり身に付けているものはどちらの跳躍でも移動させることが出来る

次の更新までに付かなかったらこれも含める


丸山 まどか(まるやま まどか)
7歳
黒髪ショートのまんまる頭。背丈や掌など色々なものが小さいが、ラセン隊長への愛はあまりに大きく、ガッチャーロボは続編やゲスト出演も含め全て網羅し、陸自内にラセン隊長ファンクラブを開設している(意外と会員は多い)。最近隊長が気にかけている葵のことが気に食わない。
ギフト『貂(てん)』発動すると顔が白、全身が明るい茶色の毛に覆われ、小さな耳と太い尻尾が生える。穴掘りは得意ではないが、非常に俊敏で木登りや狭い所を通るのが得意。

こんま

???「…」ジッ

 灰色の髪をショートボブに切り揃えた、小柄でほっそりした幼女だ。葵より少し小さいくらいで、体操服もちょっとぶかぶかに見える。彼女は、長い前髪越しに、青と茶色のオッドアイで、葵をじっと見つめていた。

葵「…ねえ、何の用? 7班の子?」

静流「ん。…7班の、小鳥遊 静流(たかなし しずる)1等陸曹」

葵「静流? で、何の用事?」

静流「篠崎陸曹長を、覚えてる」ジッ

 瞬きせずに葵を見つめたまま、ぼそっと応える静流。

葵「…それは、ギフトで?」

静流「ん」コクン

葵「そう…じゃあ、続けていい?」

静流「ん」コクン

葵「…よい、しょっ、んっ、しょっ」グイッ グイッ



葵「んぐ、んぐっ…」

 昼休憩。ジムに備え付けてあるプロテインを、水に溶かして飲んでみた。

葵「…ぅえ」ベー

由依「チョコ味が、全然チョコ味じゃないよね~…」

真姫「慣れると意外といけるよ。…」ゴクゴク

崩礼「ウェイトトレーニングは、だらだらやれば良いというもんじゃない。負荷と休憩のメリハリが大事だ」

 ここで窓の外をちらりと見る。雨は止んで、虹が出ていた。

由依「わあ、虹…!」

崩礼「ちょうど晴れたな。では14時からはマラソンだ!」

「「「えー」」」

崩礼「返事は!」

「「「サーイエッサー!」」」



安価下1~3でコンマ最大 休憩中の出来事、行動



 14時前、4人揃ってグラウンドに出てきた。

由依「ひい~、腕も脚も痛いよ~」

葵「…」ズキズキ

崩礼「幼女の筋肉痛は、すぐに来るからな」

真姫「隊長は、大丈夫なんです…?」

崩礼「…自衛官なら、このくらい耐えねばならん」

葵「やせ我慢…」ボソッ



「あっ、そこはまだ…」



葵「? …ひゃっ!?」ズルッ

 雨上がりのグラウンドが見た目以上にぬかるんでおり、葵はど派手に足を滑らせた。
 更に、隣を歩いていた由依も一緒に滑る。

由依「きゃーっ!?」ズルッ ガシッ

崩礼「うわっ、掴むなっ!?」グラッ バシャーン

真姫「ひぃっ…」バシャ

 3人分の跳ね上げられた泥が、真姫に直撃する。

崩礼「…弁解は」ドロドロ

由依「ご、ごめんなさいぃ…」ドロドロ

葵「っぺ、ぺっ」ゴシゴシ

崩礼「丁度いい。塹壕戦では、泥だらけになることなど日常茶飯事だ。…このまま、基地内を100周だ!!」



安価下コンマ
01~05 襲撃
06~40 バタン
41~60 どうにか完走
61~70 身体が冷えて…
71~99 7班も来た
   00 幕僚長も来た



葵「はぁ…はぁ…げほっ、ぜぇ…」ヨロ ヨロ

葵「」ベシャ

 葵は、ぬかるんだ地面の上に倒れた。

葵「む、むり…」



葵「…っ!」ガバッ

葵「~~~!」ズキズキ

 起き上がってから、筋肉痛に顔をしかめた。いつの間にか葵は、寮の部屋にいた。体も洗われたようで、全身の泥も落とされている。

未汐「あ、おはよう」

葵「! …」

 隣のベッドに腰掛けていた未汐が、気付いて声をかけた。葵は、先日の戦場で彼女が見せた、殺意に満ちた目と、あまりに残忍な戦いぶりを思い出し、言葉を失った。

未汐「由依ちゃんと真姫ちゃんが、お風呂に入れて運んでくれたんだよ」

葵「そ、そう…」

未汐「ご飯まだだよね。わたしもまだだから、食べに行こう?」

葵「…」



安価下 どうする?
①未汐とご飯

②1人でご飯

③このまま寝る

④その他要記述



 心は重いが、お腹はかつて無いほど空いている。いつもの魚ではなく、フライドチキンやハンバーグを選ぶと、未汐の向かいに腰を下ろした。

未汐「いただきまーす。…」

葵「いただきます…」モグ



安価下1~3でコンマ最大 食事中の出来事、話題など



未汐「…ねえ」

 切り分けたハンバーグを口に入れようとしたところで、不意に未汐が口を開いた。

未汐「怖かった?」

葵「! …何が?」

未汐「一昨日の…その、戦闘中」

葵「…」

 葵は、フォークに刺したハンバーグを更に置き…そのまま、俯いて黙り込み…やがて、小さく頷いた。

未汐「嫌いになった?」

葵「…わ、分かんない。何で…あんなこと…」

 言いながら、葵の中にも、人を殺したという実感が今更のように湧いてきた。

未汐「敵だからだよ」

 未汐は、淡々と言った。

未汐「敵で、悪いやつだから。殺さなきゃ」

葵「…」

 絶対に、それだけじゃない。単なる自衛官としての責務であれば、あんなに血まみれになって、ずたずたに切り裂いて殺すことは無いはずだ。何より、目の前に座る未汐の目は、ぞっとするほど見開かれて、ぎらぎら光っていた。

葵「…未汐、怖い」

未汐「…」

 未汐の目から、異様な光がすっと消えた。

未汐「…ごめんね。葵ちゃんには、いつか話さないとね」

葵「話すって、何を?」

未汐「いつか、ね…」



安価下 どうする?
①部屋に戻る

②自主トレーニング

③その他要記述



未汐「じゃあ、おやすみなさい」

葵「おやすみ…」



安価下コンマ
   01 サイレン
02~10 侵入者
11~60 筋肉痛
61~80 未汐「…」
81~90 視線
91~00 ガチャ



葵「…」

 深く眠れず、ベッドの中でうとうとしていると、不意に未汐の声がした。



未汐「___もしもし?」



葵「! …」

 音を立てぬよう、そっと彼女の方を見ると、未汐はベッドの上に座って、スマートフォンで電話をかけていた。おかしい。基地ではスマートフォンの所持は禁止のはず…



未汐「うん…うん、ごめんね、『朱音』ちゃん。こんな時間に」



葵「!?」

 朱音と言った? 鷹栖朱音総理大臣と、未汐が電話している…?



未汐「うん。もう伝わってるかな? そう…あいつら、やっぱり葵ちゃんを勧誘したって。大丈夫、寝返ってないよ。7班の鉄山ラセン班長もその場にいたしね」



葵「…」

 しかも、未汐は葵について話している。どうやら、先日の戦闘で、葵が毒島に『トレイター』に勧誘されたことについて話しているようだ。



未汐「無いとは思うけど、もし寝返りそうなら…うん。すぐに『やる』よ。でも、逆にこっちに誘うのは? …まあ、うん。訓練は必要だけど」

未汐「取り敢えず、今日はこのくらい。また何かあったら電話するね。じゃあ。…・『おじちゃん』に、よろしくね」

 そう言うと、未汐は電話を切った___



 それから、数日は基礎体力のトレーニングを中心に、いつもの塹壕戦の訓練も行いながら、やがてまた非番の日が来た。

葵「…ふぁ」ムクリ

未汐「おはよう。今日は非番だったね」

葵「うん…結局、いつもの時間に目が覚めたけど」ゴシゴシ

未汐「あるあるだね」フフッ



安価下 どうする?
①外出

②トレーニング

③二度寝

④その他要記述



葵「…」キョロキョロ

 数日ぶりの外だ。もう基地にいてばかりで、外でどう過ごせば良いのか分からなくなってきた…



安価下1~3でコンマ最大 どこに行く?
①車屋さん

②ペットショップ

③エリーの家

④繁華街をぶらぶらする

⑤その他要記述



 幸い、エリーの家は先日事件のあった場所からは離れていた。記憶を頼りに道を進み、工場跡地に来ると、例のトレーラーハウスを見つけた。

葵「エリー、いるかな…」

 葵は、そっとトレーラーハウスの窓に近寄った。



安価下コンマ
01    誰かいる
02~10 いない
11~80 いた
81~99 種付け中
   00 誰かいる

葵「…!」

 窓から覗くと、エリーの姿が見えた。テレビを見ながら、ジュースとおやつをつまんでいる。
 葵は入り口に回ると、ドアを叩いた。

葵「エリー、エリー」コンコン

 すると、すぐにドアが開いた。

エリー「あっ、葵ちゃん! おひさー! ささ、入って入って」

葵「お邪魔します…」

エリー「はーい、いらっしゃー!」

 エリーは葵を部屋に招き入れると、冷蔵庫から例のりんごジュースを取り出して、今度は食器棚からコップを持ってきて注いだ。

エリー「はい、どうぞー! おやつのプチパンケーキも良いよー!」

葵「ありがと。…」ゴク

 ジュースに口を付けながら、何気なくテレビに目を遣ると、スーツ姿の幼女がカメラに向かって何か話していた。



”___げんざい、その男の人はとーそーちゅーです。見かけても、触ったり、叩いたりしないで、近くの自衛隊の人につーほーしてください”



エリー「なんか、レジスタンス? か何かの人かもー、だって」

葵「ふぅん…」

 街の巡回は、普通科の仕事だ。基地内でもレジスタンスの噂は聞こえるが、葵自身はあまり注意して聞いていなかった。
 ぼうっと画面を見ていると、その男の顔写真が写った。

エリー「…あんまり、悪い人には見えないねー」

葵「…」ジッ

 年寄りでは無さそうだが、そこまで若くも見えない。顔立ちも、整っているんだかいないんだか、よく分からない、取り立てて特徴の無い顔だ。葵でなければ、画面が切り替わった瞬間には忘れてしまうだろう。
 エリーが、チャンネルを変えた。メイジーの再放送だ。



安価下1~3でコンマ最大 どうする?

言うまでもないけどあと2個な

葵「そう言えば…」

 テレビを観ながら、葵は尋ねた。

葵「ダブチは、元気?」

エリー「うん、元気だよ! 今朝もいっぱい種付けしたー!」

葵「そ、そう…その、最近変わったこととか、無い?」

エリー「んー、いつも通りだと思うけどー…」

葵「ほら、最近、種付けおじさんの事件があったから」

エリー「あー…」

 エリーは苦笑した。

エリー「大変だったみたいだね」

葵「ここも、襲われるかも」

エリー「だいじょぶだいじょぶー! ダブチは、そんなことしないもー!」

葵「ダブチは大丈夫でも、テロリストが…」

エリー「この辺にはいないよー! 多分」

葵「むぅ…」

 どうにも、エリーは能天気だ。もしかして、基地の外の幼女はみんなこうなのか…?

エリー「…あっ!」

 突然、エリーが声を上げた。

エリー「今日は、お昼からシフト入ってたー! もうちょっとしたら、行かなきゃ」

葵「あ、そうなの?」

エリー「お店でお昼食べてくー?」



安価下 どうする?
①エリーとハンバーガー屋へ

②基地に帰る

③その他要記述



 一緒に、ハンバーガー屋に行くことにした。

エリー「ちょうどね、昨日から新作の『揚げ↑アゲ↑フライバーガー』が出ててね、おすすめー!」

葵「お、重たそうだね…」

 店に着くと、エリーはエプロンを付けてキッチンへ入っていった。

エリー「あっ、てんちょー!」

店長「エリー、遅い! …あっ、いらっしゃいませ!」

 奥から、店長と呼ばれた幼女が出てきた。

店長「ご注文はお決まりですか? 今、新作の『揚げ↑アゲ↑フライバーガー』がおすすめですよ! 今ならごほうびナシでご提供!」

葵「えっ? あっ、その…」

店長「では、揚げ↑アゲ↑フライバーガーを一つ! ドリンクは?」

葵「えっ、と…オレンジジュース」

店長「オレンジジュースですね。席でしばらくお待ち下さい!」



 結局、強引に新作を押し付けられてしまった。食べる前から胃もたれの心配をしながら店の奥に進むと、まだ他の客はいないようであった。ただ、一番奥の席に、1人の成人男性が座って…

葵「…って、いたー!?」



「うわっ!?」



 男も、驚いて葵の方を見た。間違いない、朝のニュースで出ていた、逃走中の男だ。

葵「あっ、あんた…」

 葵は、恐る恐る近寄って声をかけた。

葵「ニュースになってる…」

「…頼む!」

 突然、男は床にひれ伏して言った。

「見逃してくれ! ここに匿ってもらってるんだ!」

葵「見逃せって言われても…」

店長「はい、お待たせ…って、しまった!」

 バーガーを持ってきた店長が、慌てて2人の間に割って入った。

店長「ごめーんお客さん! おに…この人、訳ありっぽくて…ちょっと前からお店に住んでもらってるんです」

葵「ニュースで言ってた…レジスタンスの一員かもって」

「ち、違うんだ! それだけは断じて違う。信じてくれ」

葵「だったら、何」

「それが…」

エリー「ねー、何騒いで…うわーっ!?」

 覗きに来たエリーが、素っ頓狂な声を上げる。

葵「ストップ、ストップ!」

 葵が、声を張り上げた。

葵「これ以上騒いだら、いっぱい人が集まってくる…とにかく、説明して。まず、あんたは誰」

 すると男は、床に正座したままぽつりと言った。

「…覚えてない。気がついたら、この街にいた」

葵「…店長」

店長「そう、何も覚えてないって。何日か前の夜に、お店を閉めようとしたら、前でお腹を空かせて倒れてるのを見つけて…捨てる予定だったハンバーガーを食べさせてあげたんです。そうしたら、帰る場所も無いって言うから、ここの休憩室に泊まってもらったんです」

エリー「えー、気付かなかったー…」

葵「そう。…えー」

店長「名前も分からないから、取り敢えず『お兄ちゃん』て呼んでます」

葵「お兄ちゃん…?」

お兄ちゃん「…い、一応」

葵「また聞くけど…お兄ちゃんは、レジスタンスとか、テロリストとかじゃない?」

お兄ちゃん「違う。それは間違いない。…というか、この街は何なんだ? 君たちみたいな、小さな女の子たちが働いていて、大人が殆どいない」

葵「そこからかぁ…とにかく」

 葵は、お兄ちゃんと呼ばれたその男を見た。



安価下 どうする?
①自衛隊に連れて行く

②見逃す

③その他要記述

20:00までになければ①



 通りを歩いていた2人の兵士は、ハンバーガー屋から出てきた1人の幼女に呼び止められた。

「うん? どうしたの? …って、どこかで見たような」

 すると、相方が気付いて声を上げた。

「あーっ! 篠崎陸曹長! お疲れ様ですっ!」ビシッ

「あっ、『あの』篠崎陸曹長!? あっ、お疲れ様です!」ビシッ

葵「ちょっと、こっち来て」チョイチョイ

「はい…?」

 2人は怪訝な顔のまま、葵が出てきたハンバーガー屋に入った。そして、神妙な顔で立っている成人男性に気付き、またあっと声を上げた。

「あーっ! この人は例の!」

葵「たまたま入ったら、お店にいたの」

お兄ちゃん「…」

「直ちに、基地へ連行します!」

葵「待って。この人は、自分はレジスタンスやテロリストじゃないって言ってる。乱暴なことはしないで」

「あっ、しかし、悪いやつは、大体自分は悪くないって言うものですし…」

葵「いいから。…じゃあ、あたしもついて行く。何かあったら…」ジャキッ

お兄ちゃん「ひっ!?」ビクッ

 葵の手元に、リボルバー拳銃が現れる。お兄ちゃんが息を呑んだ。その場にいたエリーや、店長もだ。

葵「…あたしが何とかする。だから、優しく連れて行って」

「さ、サーイエッサー!」「あっ、サーイエッサー!」



 店を出ようとする葵に、エリーが恐る恐る声をかけた。

エリー「葵ちゃん…自衛隊の、偉い人だったんだー…」

葵「そんなに偉いわけじゃないよ。…じゃあ、行ってくる」

エリー「うん、いってらっしゃー…」

店長「また来てくださいね」



 兵士が連絡を取ると、一台のジープが飛んできた。お兄ちゃんを間に挟んで後部座席に乗り込むと、運転席にいたのは何と未汐であった。

未汐「葵ちゃん、非番の日にごめんね」

葵「未汐…何でここに?」

未汐「ちょっと、訳があってね。…じゃあ、出発します」

お兄ちゃん「ええっ!? 出発しますって、君が運転す」

 お兄ちゃんが言い終わる前に、ジープが急発進した。

お兄ちゃん「おわーっ!?」

未汐「あっ、ちょっと飛ばすから掴まっててくださいね」

葵「言うの、遅い…!」

 天井のバーを掴む葵。反対側に座る兵士も、同じように掴まっている。しかし、間に挟まったお兄ちゃんは、掴むところが無い。



安価下
①掴まって

②あっちに掴まって

 葵は、お兄ちゃんに手を差し伸べた。

葵「…掴まって」

お兄ちゃん「ごめんっ」ギュッ

葵「っ!」ドキッ

 手を掴ませるつもりが、お兄ちゃんが腕にしがみついてきて、葵はどきりとした。頼り無さそうな見た目に反して、意外に力強い腕が、自分の身体にくっつけられて、なんだか変な気持ちだ。
 そのまま、ジープは陸上自衛隊の基地へと入っていった。



 葵やお兄ちゃんたちは、応接室へ通された。街で声をかけた兵士に、未汐も一緒だ。

お兄ちゃん「…」キョロキョロ

 お兄ちゃんは、落ち着かない様子で部屋を見回している。

未汐「…あの」

 未汐が、声をかけた。

未汐「あなたは…どこかで、会いました?」

お兄ちゃん「ど、どうだろう…言われてみれば、そんな気がするかも」

未汐「わたし、朝倉未汐って言うんですけど…」

お兄ちゃん「…ごめん。俺、何も覚えてなくて」

葵「お兄ちゃん、記憶喪失なんだって」

 そう言うと、葵はお兄ちゃんを見た。



安価下1~3でコンマ最大 お兄ちゃんへの質問、話題、行動など

葵「…本当に、何も覚えてないの? 何で指名手配されてるのかも?」

お兄ちゃん「それは…」

「壊滅したレジスタンスの、拠点跡地で発見されたところを、何も言わずに逃走したから、と聞いております!」

 街から一緒に来た兵士の片方が答えた。

お兄ちゃん「だ、だって、いきなり銃持って追いかけられたら、誰だって逃げるよ!」

葵「あー、そういうこと」ハァ

 それは疑われるわけだ。
 その時、応接室のドアが開いた。入ってきたのは



紫苑「…」スタスタ

幸実「どうも~」スタスタ



「あっ!!? ばっ、幕僚長、将軍!」ビシッ

「おっ、お疲れ様ですっ!!」ビシッ

 紫苑と幸実はお兄ちゃんの向かいに腰を下ろした。まず、紫苑が口を開く。

紫苑「…陸上自衛隊、幕僚長の藤島紫苑です」

幸実「富士幸実陸将で~す」フリフリ

お兄ちゃん「ばくりょうちょう…りくしょう…ってことは、君たちがここの責任者?」

紫苑「そうなりますね。…何とお呼びすれば?」

お兄ちゃん「あー…」

 言いよどむお兄ちゃん。未汐が口を挟んだ。

未汐「この方は、記憶喪失だそうです。一先ず、わたしたちは『お兄ちゃん』と呼んでいますが…」

お兄ちゃん「な、何でもいいよ」

紫苑「そうですか。では…お兄ちゃん」

「」ブフッ
「」バシッ

 噴き出した相方を引っ叩く兵士。

紫苑「わたしたちが、貴方を追っていたのは、貴方がレジスタンスの疑いをかけられていたからではありません」

「えっ?!」「そうだったの?」

紫苑「詳細は不明ですが…コトブキ博士より、ある場所に1人の人間が現れるから、保護して欲しいという旨を聞いていたのです」

幸実「それで、うちが何人か連れて行ったんだけど、君、逃げちゃったから~」

お兄ちゃん「…あっ! そう言えば、あの時見かけたような」

紫苑「あの場所から逃げた後、どのように過ごしていたのか…できるだけ詳しく教えていただけますか」

お兄ちゃん「詳しくと言っても…あれから、銃を持った女の子から隠れながら、裏路地とか公園とかをうろついてたんだけど、結局疲れと空腹で倒れて…たまたまハンバーガー屋さんの目の前で、そこの店長さんが助けてくれたんだ。それで、2日間くらいはお店の奥の休憩スペースとか、閉店後のシートで休んで過ごしてた」

紫苑「そこで、偶然店を訪れた非番中の篠崎陸曹長が発見し、巡回の隊員に通報したと」

葵「はい」コクン

紫苑「非番にも関わらず責務を果たした篠崎陸曹長には、後でごほうびをあげますね。…ところでお兄ちゃん。貴方が逃走中に、話に出た以外の幼女と接触しましたか?」

お兄ちゃん「…」



安価下コンマ
01~40 特には
41~70 他の店員なら
71~90 黒髪に白メッシュの幼女
91~99 茶髪ロングにレザージャケットの幼女
   00 褐色肌に銀髪赤目の幼女

お兄ちゃん「えっと…確か、裏路地に隠れてる時に、たまたま1人同じ路地に入ってきて…何か、黒髪に白いメッシュが入ってて、黒尽くめのパンクな服だったような」

未汐「それって!」

葵「毒島ユカリ!?」

 葵と未汐が身を乗り出した。幸実が、垂れ目をすっと細めた。

幸実「…どの路地にいたか、ちょ~っと聞いても良い?」

お兄ちゃん「確か…」

 思い出せる限りの場所を聞くと、幸実は1人で応接室を出ていった。

葵「…大丈夫だった? 襲われなかった?」

お兄ちゃん「いや…ちらっと目が合ったら、いきなり鼻で笑って、すぐに出ていった」

葵「そ、そう…」

 ユカリは、どうやら強い相手との戦いが好きなようであった。この、いかにもなよなよとした男は、彼女にとって言葉を交わすまでもない雑魚に見えたのだろう。

紫苑「…思わぬ収穫でした。では、本題に戻りましょう。…先程も申し上げた通り、理由は不明ですがコトブキ博士が貴方を探しています。どうやら、それは総理の意思でもあるようです」

お兄ちゃん「あー…その、コトブキ博士とか、総理って、何? ハンバーガー屋の店長さんにも聞いたけど…コトブキ博士が作った機械で、小さな女の子が何か凄い力を手に入れて? 同じく小さな女の子が、総理大臣をしている?」

紫苑「会えばわかりますよ」スクッ

 不意に、紫苑はソファから立ち上がった。そうして、お兄ちゃんに向かって言った。

紫苑「…ですので、会いに行きましょう」

お兄ちゃん「えっ、今から?」

紫苑「もちろん」ニコッ

 紫苑は微笑み…ふと、葵を見た。

紫苑「篠崎陸曹長は非番ですが…来られますか?」



安価下 どうする?
①行く

②行かない

ねます



まあ損はないしこのままで



 基地の前に、ピンクに塗装されたリムジンが停まる。後部座席のドアが開くと、まず紫苑、次にお兄ちゃん、そして、葵の順に乗り込んだ。未汐は助手席だ。

「出発します」

 運転席の幼女が一言発すると、リムジンは滑らかに走り出した。

お兄ちゃん「…う、運転上手だね」

「どうも」

 前を向いたまま、短く応える運転手。

お兄ちゃん「…」キョロキョロ

紫苑「外が気になりますか」

お兄ちゃん「! ま、まあ…」

紫苑「貴方の暮らしていた場所の景色は、覚えていませんか」

お兄ちゃん「ああ、何も…」

 そこまで言って、彼はふと零した。

お兄ちゃん「…でも、懐かしい感じはしたんだ。場所じゃなくて、人に対して」

葵「人?」

お兄ちゃん「未汐ちゃん」



未汐「!」ビクッ



 助手席に座っている未汐の肩が跳ねた。

お兄ちゃん「詳しくは、何も分からないけど…何かを、君に約束したような…そんな気がするんだ」

未汐「…」

 リムジンが、首相官邸に近づいていく…



 首相官邸の前には、コトブキ博士が待っていた。

コトブキ「やあ、思ったより早く見つかって良かった」

 車を降りたお兄ちゃんに、コトブキが声をかける。それから彼女は、葵の方を見て意味深に微笑んだ。

コトブキ「…やはり、君が鍵だったか。君が現れてから、色々なものが動き始めている気がするんだよ」

葵「…?」

 怪訝な顔を向ける葵。コトブキはお兄ちゃんに向き直ると、官邸を顎で指した。

コトブキ「では、総理に会いに行こうか。…藤島幕僚長、同行ご苦労」

紫苑「どうも。総理のところまでは同行させていただきますので」



 前回と同じ大きな扉の前に来ると、コトブキが扉を叩いた。

コトブキ「総理」

 すると、彼女が開ける前に、向こうから扉が開いた。そして、入り口のところにはもう、朱音が立っていた。

朱音「…!」

お兄ちゃん「…っ!?」

 朱音と目が合った瞬間、お兄ちゃんが両手で頭を押さえた。

お兄ちゃん「っ、あっ…」

 頭を掻き毟り、呻くお兄ちゃん。葵たちは、ぎょっとした。

葵「ど、どうしたの?」

未汐「朱音ちゃん、ギフトは」

朱音「使ってないよ。…」ジッ

 そう言うと朱音は、じっとお兄ちゃんの顔を見つめた。
 お兄ちゃんは…

お兄ちゃん「っ…あっ…あ、か、ね…」ポロポロ

朱音「…」ジッ

コトブキ「ほう…」

葵「お、思い出したの…? お兄ちゃんってもしかして、総理のお兄ちゃん…?」

朱音「ううん。わたしに兄弟はいないよ」

お兄ちゃん「はあっ…はあっ…」

 お兄ちゃんが、目元を拭う。それから、改めて朱音の顔をじっと見た。

お兄ちゃん「…な、何か…見えた気が…君は…」

コトブキ「鷹栖朱音総理大臣だよ。幼女たちを統べ、国を治め…君の、命運を握る少女だ」

紫苑「博士」

 紫苑が、コトブキに向かって言った。

紫苑「いい加減、教えていただけませんか。この方が、何者なのか」

コトブキ「…君たちが知る必要は無いよ」

紫苑「博士」

葵「!」ゾクッ

 紫苑から、凄まじい威圧感が放たれ、葵の全身に鳥肌が立った。しかし、それでもコトブキは動じない。

コトブキ「これはね…総理のプライバシーに関わる問題だ」

紫苑「ですが、この国の国防に関わる問題でもあります。レジスタンス基地の跡地に、突然現れた正体不明の男を、無害と断じて政府機関の中枢に立ち入らせるに足る理由を、わたしは知りたいのです」

コトブキ「…」

朱音「…紫苑ちゃん」

 ここで、朱音が口を開いた。

朱音「怒らないで。わたしが、博士に頼んで『用意』してもらったの」

紫苑「総理が…?」

お兄ちゃん「お、俺を…?」

朱音「うん。だから、怖がらなくて大丈夫だよ。紫苑ちゃんも…お兄ちゃんも」

コトブキ「総理はね、幼女以外の話し相手が欲しがっておられたのだよ。だから、私が用意したんだ」

お兄ちゃん「用意って…じゃあ、俺の記憶は」

コトブキ「気にしなくて良い。君には帰る家も、帰りを待つ家族もいない」

お兄ちゃん「…殺したのか」

コトブキ「殺してもいない。…じきに分かるさ」

朱音「今日から、お兄ちゃんはわたしと一緒に暮らすの」

 朱音が、お兄ちゃんの手を掴んだ。

お兄ちゃん「えっ?」

紫苑「そ、総理…大丈夫なのですか」

朱音「…心配だったら、『親衛隊』もここで暮らしてもらったら良いよ。…いいよね。未汐ちゃん」

未汐「うん、良いよ」コクン

紫苑「…っ」

 何故か真っ先に尋ねられ、頷いた未汐に、紫苑が苦々しく歯噛みする。葵は、混乱しながら尋ねた。

葵「ね、ねえ…何で、未汐がそんなこと決めるの…?」

 すると、朱音は驚くことを言った。

朱音「だって、未汐ちゃんはわたしの親衛隊長だもん」

葵「えっ!?」

紫苑「…実は。彼女は、普段は工作2班に所属していますが、有事に総理の護衛や諜報活動に当たる、特命部隊の一員なのです」

葵「…そっか」

 以前、未汐が朱音と通話していたこと。そこで話していた内容。未汐が、朱音の親衛隊なるものに属していると考えれば、納得がいく。そして…

葵「…ずっと、あたしを見張ってたの?」

未汐「ううん。葵ちゃんにも、仲間になって欲しかったの」

コトブキ「史上初めて、2つのギフトを持った幼女だ。そりゃ警戒もするし、できるなら近くに置いておきたいさ。未汐を責めてくれるなよ」

葵「…」

 葵は、複雑な気持ちで黙り込んだ。

紫苑「やはり…篠崎も引き抜くおつもりですか」

朱音「できればね。でも、わたしたちの敵にさえならなければ、どっちでも良いよ」

葵「親衛隊に入ったら、基地にはもう戻れないの…?」

コトブキ「彼がここで暮らす以上、安全が確認できるまでは親衛隊もここで暮らしてもらう。永遠に、ではないが、しばらくは戻れないだろうね」

葵「未汐も、しばらく戻ってこないの?」

未汐「そうなるね。でも、葵ちゃんも来てくれたら、変わらず一緒だよ」

紫苑「…ですが、工作8班や、7班の鉄山班長とは別れることになります」

葵「…」

 未汐か、8班やラセン隊長か。…或いは、出会ったばかりのお兄ちゃんと、もうしばらく付き合うか、別れるか…



安価下1~5多数決 どうする?
①親衛隊に入る

②基地に帰る

遅くなっちゃったし、明日まで待とう
現時点でアクティブな読者が3人なら、待っても仕方ないけど…

23:00までになければ



コトブキ「君とは、また出会うことになるだろう。敵として相対しないことを願うよ」

未汐「…葵ちゃん、またね」

葵「…うん」コクン

 葵は頷くと、未汐たちに背を向けた。隣に立っていた紫苑が、肩に手を置く。

紫苑「帰りましょうか。わたしたちの基地に」

 官邸を出て、リムジンに乗り込む。走り出そうとする運転手を制止して、紫苑が尋ねた。

紫苑「そういえば、ごほうびの話がまだでしたね。…ごちそうなどいかがですか?」

葵「いいんですか…?」

紫苑「ええ。好きな食べ物は?」

葵「えっと…鯖」

紫苑「分かりました」

 紫苑は笑顔で頷くと、運転手に言った。

紫苑「『おふね』まで」「かしこまりました」

 それから、ポケットからスマートフォンを取り出し電話をかけた。

紫苑「…もしもし。これから2名。…大丈夫です。大将に、『藤島が鯖を食べたがっている』とお伝えください。…はい、ありがとう。では後ほど」



 数十分後。繁華街の端に建つ、小ぢんまりした料亭の前に、リムジンが停車した。葵と紫苑はそこで降りると、正面の引き戸を開けて中に入った。

「いらっしゃいませ、お待ちしておりました。どうぞこちらへ」

 割烹着を身に着けた幼女の案内で、賑わう座敷を通り抜けて、一番奥の離れまでやって来た。

紫苑「どうぞ、座ってください」

葵「は、はい…」

 こんな大人みたいな店、生まれて初めてだ。葵は座布団の上に正座すると、対面に座った紫苑や、美しく飾り付けられた花瓶などをちらちらと見た。

紫苑「…貴女は、正しい選択をしたと思います」

 不意に、紫苑が口を開いた。

葵「えっ?」

紫苑「総理の親衛隊で、わたしが知る者は3人ですが、皆、何かしら総理との縁故のある者ばかりです」

葵「えんこ?」

紫苑「つまり…総理が、幼形成熟BOXに入る前からの友人、あるいは繋がりのある者ということです」

葵「じゃあ、未汐も」

紫苑「噂によると」コクン

 そこへ、先程の幼女が料理を持って入ってきた。

「お通しのしめ鯖です」

紫苑「どうぞ。貴女へのごほうびですよ」

葵「っ! い、いただきます…」ハム

葵「!!」

 鯖の旨味を引き出す、程よい酢と昆布の風味に、葵は目を見開いた。紫苑も自分の皿から一切れつまみ、頷いた。

紫苑「流石です。冷酒をいただけますか」

「かしこまりました」

紫苑「篠崎陸曹長も、飲みますか?」

葵「えっ、お酒!? …えっと…」



安価下 どうする?
①いただきます

②やめておく

葵「じゃあ…」

紫苑「ではグラスを2つ」

「かしこまりました」

 店員が下がっていく。紫苑は可笑しそうに言った。

紫苑「わたしも、初めてお酒を勧められた時は戸惑いました。お酒は、大人が飲むものですから」

葵「大丈夫なんですか? まだ、子供なのに」

紫苑「わたしたち幼女は、子供ですが、子供ではありませんよ。これ以上歳を取ることは無く、お酒や煙草も飲めます。まあ、一番は総理が法律を変えたからなのですが」

 日本酒の瓶と、2杯のグラスが運ばれてきた。紫苑は瓶を取り上げると、葵のグラスに中身を注ぎ、瓶を葵に渡した。

紫苑「大人の真似事をしてみましょうか。…どうぞ、注いでください」

葵「は、はあ」

 葵は瓶を持ち上げ、紫苑の持つグラスにそっと注いだ。

紫苑「おっとっと…ふふっ。父がよく言っていましたね。何十年前のことやら…では…乾杯」チリン

葵「かんぱい…」チリン

 葵は、恐る恐るグラスに口を付け…顔をしかめた。

葵「うぇ」

紫苑「少しずつ、少しずつ。ほら、しめ鯖を一口」パク ゴク

 紫苑はしめ鯖を一切れ口に入れ、そのまま酒を一口含んだ。

紫苑「うん…素晴らしい」

葵「ええ…」

 うっとりする紫苑を、葵は信じられないような目で見た。



安価下1~3でコンマ最大 食事中の出来事、行動、話題など

葵「崩礼のアピールが鬱陶しい……」
紫苑「おや、では別の基地に飛ばしましょうか」
葵「そこまでしなくていい」



葵「…」ボー

紫苑「いやあ、ここの料理は絶品です。魚は活きが良いし、酒によく合う! …大丈夫ですか?」

葵「ん…」コクン

 葵は頷くと、グラスの中身を啜った。

紫苑「…それにしても、貴女が来てくれて本当に良かった。先日の事案も、鉄山班長と共に活躍されたと聞いています」

葵「そんなことない…」

紫苑「ギフトを2つ持つ貴女には、色々な人が注目しています。そんな中でも、驕らず訓練を重ねることは、きっと大変でしょう。何か、困ったことはありませんか。…あ、どうぞどうぞ」トクトクトク

葵「ん…」ゴク

 葵は、日本酒を一口飲むと、ぽつりと言った。

葵「…崩礼隊長が、言い寄ってくる」

紫苑「ほう」

 紫苑の顔から、酔いの火照りがすっと引く。その変貌に、葵まで震え上がった。

紫苑「適性検査の時に、玉置班長が貴女に良からぬ目を向けていたと、噂で聞いたことがありますが…それはいけない。明日付で配置換えを」

葵「っ! そっ、そこまででもない…です。最近は、全然ですし…」

 これは事実である。未汐の前で、崩礼の行為をはっきりと拒絶してからは、向こうから言い寄ってくることは無くなった。
 だがそれ以上に、ここで崩礼を糾弾しようものなら、彼女がどんな目に遭うことか…

紫苑「…そうですか?」

 紫苑の顔が、また酔っぱらいのそれに戻る。

紫苑「ですが、また酷くなった時はすぐに言ってくださいね。わたしは、空自の草薙幕僚長のように、何でもお見通しとはいきませんので…」

葵「は、はい…」



大将「元帥どの、いつもありがとうございますぅ」ペコリ

 白い割烹着を来た大将が、離れにやって来て頭を下げた。

藤島「本日も、素晴らしい料理でした」

葵「美味しかった…」

 しめ鯖に始まり、鯖寿司、塩焼きから、ほぐし身の載ったサラダまで、そのどれもが今まで食べたことのない絶品であった。

大将「本日は、新しい方とご一緒ですねぇ」

藤島「ええ。先日入隊した、篠崎と言います。有望な兵です」

大将「ああ、ギフトを2つ持ってるっていう…」

葵「あ、篠崎葵です…その、そうです」

 葵は、どぎまぎしながら頭を掻いた。思った以上に、世の中に自分の名が知られている…



安価下コンマ
01~05 招かれざる客
06~15 乱入
16~95 特に何も起こらない
96~00 会談

「た、大将!」ガラッ

 突然、給仕の幼女が襖を開けて駆け込んできた。

大将「どうしたぁ?」

「種付けおじさんの群れが、玄関を壊して入ってきました!」

 それと同時に、表の方から悲鳴が聞こえてきた。どたどたと足音がして、客や店員たちが離れに逃げ込んでくる。

葵「あっ、い、行かなきゃ」

紫苑「そうですね」スクッ

 先程までの酔いはどこへやら、紫苑はすっと立ち上がった。

葵「幕僚長、武器は…」

紫苑「大丈夫ですよ。ほら」

「お、お願いします!」スッ

 よく見ると、給仕の手には白塗りの鞘に収まった、一振りの日本刀が握られていた。彼女からそれを受け取ると、紫苑は葵の肩に手を置いた。

紫苑「わたしは、この店で自由に飲み食いできる代わりに、店の『安全』をごほうびとして与えているのです」

葵「は、はあ」

紫苑「貴女も、いずれ請け負うときが来るでしょう。よく見ていなさい」



 入り口近くの座敷は破壊し尽くされて、種付けおじさんたちは厨房に押し入っていた。

「く、来るなー!」「料理には、手出しさせないんだからー!」



紫苑「___お邪魔します」



「あっ、元帥どの!」「もう安心だ」「はやく、やっつけてー!」

葵「…」ジャキッ

 葵は、両手にリボルバーを握った。そして、紫苑は鞘に収まった刀をスカートに差し、柄を握った。

紫苑「篠崎陸曹長、料理人たちの保護を」

葵「サーイエッサー! …こっち、逃げて」



「お?」「うあー…」「んが、がっ!」



 種付けおじさんが、目の前に立つ紫苑の姿に気が付く。彼らは、彼女の発する闘気に気付かず、一斉に襲いかかった。



紫苑「…!」ギンッ



葵「!?」

 料理人たちを誘導した葵が、振り返った時には、既に紫苑は抜刀していた。



「…ごほっ、ごぼっ」「ううぅ…」「」ドサドサドサッ



 もがき苦しみ、崩れ落ちる種付けおじさんたち。ぱっと見、血は流れておらず、最初は紫苑が峰打ちに留めたのかと葵は考えた。だがよく見ると、彼らの胸や脇腹には、鋭い刀傷が刻まれており、紫苑の握る刀にはべったりと血が付いていた。

紫苑「肝を経由して、心の臓、もしくは大動脈を突きました」

 ポケットから取り出したハンカチで刀身を拭いながら、紫苑が言う。

紫苑「血は胸腔、もしくは腹腔に出て、体外には殆ど出ません。厨房を汚すわけにはいきませんからね」

葵「…」

紫苑「もう大丈夫ですよ。それに、そろそろ隊員たちも来る頃でしょう」

 彼女が言い終わると同時に、普通科の兵士たちが厨房になだれ込んできた。

「幕僚長! ご無事ですか」

紫苑「ご心配なく。ところで、これを片付けてもらえますか」

「「「サーイエッサー!」」」

 種付けおじさんの死体が、厨房から引きずり出されていく。紫苑は納刀すると、鞘ごと葵に差し出した。

紫苑「これを、お店に返してくていただけますか。わたしは先に車に戻っています」

葵「あっ…はい…」



紫苑「…ふぁ」

葵「…」

 基地へ帰るリムジンの中で、葵は黙り込んでいる。紫苑はあくびをした。

紫苑「非番だというのに、大変でしたね」

葵「はぁ…」

紫苑「ゆっくり休んでくださいね。同室は、いなくなってしまいましたが…」

 リムジンが基地へ入っていく。葵が宿舎の前で降りると、車は紫苑を乗せたまま更に奥へと入って行った。それを見送ると、葵は宿舎の中へ入った。
 そこにいたのは…



安価下コンマ
01~40 誰もいない
41~60 由依&真姫
61~90 崩礼
91~99 ラセン
   00 透

ラセン「やれやれ、工作科の出番は無かったな。さっさと寝るか…ん?」

葵「! …っ」

ラセン「篠崎陸曹長ではないか。幕僚長と一緒に、騒動に巻き込まれたと聞いていたが。何事も無かったようで何よりだ…」

葵「…ひっ、ひぐっ…うっ…」

葵「うわあぁぁぁ…」ヒシッ

 葵は泣きながら、ラセンに抱きついた。

ラセン「!? ど、どうした? 種付けおじさんごときで、泣くような貴様ではなかろう?」

 困惑するラセン。葵は彼女の胸に顔を埋めながら、基地に帰るという自分の選択に安堵した。殆ど意識したことは無かったが、葵の求める『父親のような』という要素を、ラセンは確かに持っているようであった。

葵「ひぐっ、うぐっ…ううぅ…」ギュゥ

ラセン「ううむ、離れん…仕方あるまい、このまま部屋に連れて行くか」

 ラセンは葵を抱え上げると、そのまま自分の部屋へと運んで行った。



葵「…ん」ムクリ

 目を覚ますと、目の前に大きな胸があった。

ラセン「んごご…んごっ」

葵「…」ギュ

 大いびきを立てるラセンの胸に顔を埋め、もう一度目を閉じたその時、起床時間を知らせるラッパが鳴り響いたのであった。



 葵が由依や真姫と共に、点呼や資機材の点検を済ませていると、遅れて崩礼がやって来た。

崩礼「悪い。幕僚長の招集で、緊急の班長会議があった」

由依「何かあったんですか?」

崩礼「ああ。…2班の朝倉Aが、除隊された」

真姫「えっ?」

葵「除隊…?」

 事情を知る葵でさえ、ぎょっとした。一時的に、総理の警護に専念するというだけではなかったのか?

崩礼「幕僚長曰く、別の機関に転属になるからとか…」

 それから崩礼は、声を潜めて続けた。

崩礼「…ありゃ、ヤバいぜ。あんなにキレた幕僚長、初めてだ」

由依「ひぃっ!?」ビクゥッ

真姫「お、怒ってるんですか? 幕僚長…」

崩礼「ああ。だが俺たちにじゃない。もっと、上にだ。…」チラ

葵「! …」

 崩礼の視線を感じ、葵は俯いた。
 あの時、釘を刺されたが…未汐が朱音の親衛隊長であることは、陸自では紫苑や幸実にしか明かされていない事実であった。そして、今後も重要機密として、決して口外してはならないとのことであった。

崩礼「…篠崎は、寂しくなるな。同室がいなくなって」

葵「! …仕方ない。すぐに次、誰か来る…と、思います」

崩礼「朝倉Aが抜けてから、工作科も色々再編されるかも知れない。元から少ないうちが解体されることは無いだろうが、俺はまた会議に呼ばれたりするかもしれん。…篠崎。お前は、ここの副班長だ」

葵「…はい」コクン

崩礼「俺がいない間、よろしく頼むぞ」

葵「サーイエッサー…!」



 結局、以前から計画されていた模擬戦は延期となり、今日はまずマラソンをすることになった。

崩礼「行くぞ! 用意…スタート!」

 朝日の差す基地の内周を、列を組んで走り出した。



安価下コンマ
01~05 襲撃
06~20 サイレン
21~25 二日酔い
26~60 特に何も起こらない
61~90 走りながら…
91~00 お兄ちゃん



葵「いっちに、いっちに、いっちに……っ!」プルッ

 マラソンの最中、その感覚はやって来た。

葵「いっちに、いっ、ちにっ、いっちに…んっ」モジッ

 寝ている間に、下腹に溜まったものが、足取りに合わせて上下に揺れる。短く、か細い出口を、ずしんずしんと刺激する。

葵「んんっ、いっちにぃ…はっ、いっち、にっ…///」ソワソワ モゾモゾ



崩礼「おらっ、ペースを落とすな!」タッタッタッ

由依「いっちにぃっ、いっちにぃっ…ひいっ、ちにぃっ!」ドッタドッタ



 口に出したところで、返ってくる答えは分かっている。足を止めることはできない。
 だから、葵は走りながら、そっとお股の力を緩めた。

葵「いっちに、いっちに、いちに、いっ、ち…っ」ゾワゾワッ ジワァ…

 汗で濡れたパンツのクロッチが、さあっと熱くなる。そのまま内腿まで一気に溢れ出して、靴下から靴の中まで染み込んでいく。

葵「いっ、ちにっ、あっ、ち、にぃっ…///」ジョワジョワジョワ…

 体操服の前まで染み出したおしっこは、たちまち冷たくなり、午前のマラソンが終わるまで葵のお股を冷やし続けた。



崩礼「午後はウェイトトレーニングだ。14時にジムに集合すること。解散!」



真姫「…葵ちゃん」チョンチョン

葵「どうしたの、真姫…!」

真姫「…///」グッショリ

 真っ赤な顔で俯く真姫。どうやら、彼女も走りながらやってしまったようだ。

真姫「ね、お風呂、一緒に行こう?」

葵「うん…あたしも行きたかった」

 葵は頷くと、真姫と2人で大浴場へ向かった。



 昼の大浴場には、夜ほどではないが数人の幼女がいた。休憩時間に汗を流しに来たのか、非番でゆっくり楽しんでいるのかも知れない。
 2人は、おしっこの染みた体操服と下着を洗濯かごに放り込むと、一緒に浴場に入った。

真姫「ふぁ…」シャワー…

 風呂椅子に座ってシャワーを浴び、身体をすすぐ真姫。葵よりは幾分成長しているようで、おっぱいもお尻も、幼女なりに発展の兆しが見える。
 その身体が、にわかにこわばった。

真姫「…あっ///」プルッ

葵「?」シャワー…

 真姫は、火照りとはまた別の赤い顔で、隣の葵を見ると、ぼそっと言った。

真姫「こ、こっち見ないでね…ん、ぁ…」フルッ

 すると、彼女の座る椅子の足元に、シャワーとは別の、色付いた液体が流れ出した…



安価下 どうする?
①見ないふり

②観察する

③一緒にする

④その他要記述

葵「…ん」フイ

 葵は、向こうを向いた。

真姫「あ、ありがと…んっ、んぁ…///」ショロロロ…



葵「ふんーっ! んんーっ!」ギッタン ギッタン

 バタフライマシンと格闘する葵。向こうでは、由依や真姫もそれぞれマシーンで筋トレに励んでいる。崩礼は、また幕僚長と話があるらしく、ストレッチを終えたところでジムから出て行ってしまった。

葵「はぁ…はぁ…っ、いよーっ!」ギッタン



安価下コンマ
01~10 痛っ
11~30 プロテイン!
31~60 特に何も起こらない
61~80 崩礼が戻ってきた
81~90 ↑+ラセンも来た
91~00 幕僚長!?



崩礼「…待たせたな」

 崩礼がジムに戻ってきた。

由依「お疲れ様ですー! どんな話でしたか?」

崩礼「工作科の再編の話だ。…集合!」

 葵たちが、崩礼の前に整列する。崩礼は3人を見回すと、言った。

崩礼「朝に話した通り、2班の朝倉Aが除隊になった。2班は、潜入工作に特化した班だが、朝倉Aのギフトはその中でもかなり重要な割合を担ってた」

葵「…」

 未汐のギフト『隠密』。自身だけでなく、任意の他者や物体まで透明にし、更に音や匂いまで遮断できるという、冷静に考えると反則級の能力だ。彼女が失われることによる2班へのダメージは、想像に難くない。

崩礼「当然、奴がいなくてもカバーできるようにはしてあったが、完全に除隊となると話は別だ。班員の構成から考え直す必要がある。…で、なんやかんやあって」

真姫「あって?」

崩礼「2班から、1人うちに転属になった」

葵「え?」

 なんやかんやとは、何だろう。とは言え、4人しかいない8班に、新しい仲間が加わるのは良いことだろう。

崩礼「正式には明日からだが、もう連れてきた。…入ってこい」

 崩礼に呼ばれて、1人の幼女がジムに入ってきた。



安価下1~3で次の>>1のコンマに一番近いやつ 8班の新入り 名前と容姿、ギフトは必須

コンマ
今日はここまで

ところで女郎蜘蛛って、アラクネ形態になったりするの?

初「乙坂 初(おとさか うい)です。階級は、1等陸士です」ペコリ

 新入りの幼女は、そう言って頭を下げた。黒い髪を、前は真っ直ぐに切り揃えて、後ろは伸ばしている。葵と同じくらいのちびっこ体型で、ちょっと頼りない雰囲気がある。

崩礼「ギフトを説明しろ」

初「はい。…ういのギフトは『蜘蛛』です。糸とか、くっつく玉を吐いたりできます。頑張れば、もっと色々できる…かもです」

崩礼「糸とか粘着玉は隠密行動にも便利だが、本気を出すと相当目立つらしい。それを朝倉Aのギフトでカバーする算段だったが、いなくなった。そこで、こちらの補充も兼ねて転属になったという訳だ。…では階級順に自己紹介しろ」

葵「! 篠崎葵陸曹長だよ。皆の前で話したから、名前は知ってるかもだけど…ギフトは『再現』と『演算』。一応、8班の副班長」

由依「朝倉由依陸士長です! その…いなくなっちゃった朝倉2等陸曹は、別に身内とかじゃないからね。ギフトは『育成』。使い方は、初ちゃんと一番近いかな?」

真姫「えっと、上羽真姫1等陸士…初ちゃんと一緒の階級です。ギフトは『透過』…あっちの朝倉さんみたいに、何でも透明にはできないけど、その代わり実体も消すことができます」

初「そう言えば、この前の任務でご一緒しましたね。その節はお世話になりました」ペコリ

崩礼「お、おう」

 また頭を下げた。律儀な子だ。

崩礼「…正式には明日からだが、硝子川班長には許可を取ってある。今から、一緒にトレーニングに参加してもらうぞ」

初「サーイエッサー」

 そうして、初もトレーニングに加わった…



安価下1~3でコンマ最大 トレーニング中の出来事、行動



初「はっ、はっ、はっ、はーっ、はっ、はあーっ…」ドタドタ

真姫「ふっ、ふっ、ふっ、初ちゃっ、だいじょぶっ?」タッタッタッ

 ランニングマシンで、ふらふらと走る初に、隣で走る真姫が心配そうに声をかけた。

初「はぁっ、ひっ、ふぅーっ…ふぇっ」ドサッ

真姫「初ちゃん!」

 とうとう、初がマシンから落ちてひっくり返った。真姫が慌てて降りてきて、助け起こす。

崩礼「何だ、体力が無いな。8班の穴掘りは重労働だぞ」

初「はぁー…ごめんなさい…げほっ…」

 初はむせながら、頭を下げた。



崩礼「…今日はここまで! 明日はまた、定刻に訓練場だ」



葵「」ゴクゴク

由依「お腹すいたー…ご飯前にプロテイン?」

葵「げふ…とにかく、修行…パワーアップしないと」

 シェイカーを流し台で洗いながら、葵はちらりと初の方を見た。ストレッチマットの上で、太ももをさすっている。

初「…」サスサス

真姫「あんまり、トレーニングはしてなかったの?」

初「体力より、ギフトの開花に時間を使ってました…」ペチペチ

葵「ギフトよりも、パワーが大事」サラーッ シャカシャカシャカ

 葵は、洗ったばかりのシェイカーにまたプロテインと水を入れ、よくシェイクして初に差し出した。

葵「飲んで。強くならなきゃ」スッ

初「ありがとうございます…」

崩礼「葵…お前、だんだんラセンに考えが似てきたな?」

葵「! …そ、そうかな///」テレッ

崩礼「照れるのか!? そこで!?」ガビーン



安価下1~3でコンマ最大 食事、入浴中の出来事、行動

ねる

元ネタに引っ張られてるんだと思うけど、ガッタイガーじゃなくてガッタイザーです



葵「ガッガガー♪ ガッガガー♪ えいゆーロボー…」ゴシゴシ

ペタペタペタ

崩礼「よう、背中を流してやろうか」

葵「やだ」シュバッ

 さっと離れる葵。

崩礼「そんなに嫌がることないだろ」

葵「ある。絶対、べたべた触ってくる」

崩礼「もうしないって。あれから、一度も襲ってないだろ」

葵「…」

 葵は湯気越しに、タオルを持った崩礼をじっと睨み…それから、諦めたように椅子に座り直した。

葵「絶対、変なとこ触らないでね」

崩礼「分かってるよ…」ゴシゴシ

 宣言通り、崩礼はタオルで葵の背中を擦るだけで、直に触ったり胸に手を伸ばしたりはしなかった。

崩礼「…ラセンの奴と、随分仲がいいみたいだな」ゴシゴシ

葵「ガッチャーロボとか、ガッタイザーの話してた」ゴシゴシ

 葵も、前を自分で洗いながら答える。

葵「…ラセン隊長と、どういう関係なの?」

崩礼「あいつとは、姉妹みたいなもんだ」

葵「へっ?」

 事もなげに答える崩礼に、葵は耳を疑った。長身で、目も口も大きいラセンに、小柄で目の細い崩礼…どこを見ても、まるで似ていない。

崩礼「幼女には、2種類いる。人間が幼形成熟BOXに入ってなったやつと、幼女から生まれたやつだ。お前は前者。…で、俺とラセンは後者。同じ施設で生まれ、育った」シャワー…

葵「…」

崩礼「…ほら、終わり」

 葵にシャワーを浴びせると、崩礼は立ち上がった。



安価下 どうする?
①湯船に浸かる

②崩礼の背中も流す

③その他要記述

葵「…座って」スクッ

 葵は椅子から立ち上がると、崩礼の肩を掴んで椅子に座らせた。

葵「隊長に背中流してもらったから。あたしもする」

崩礼「ん? お、おう…」

 崩礼は困惑しながら頷いた。葵は、自分より少し小さいその背中をタオルで擦りながら、尋ねた。

葵「隊長のお母さんって、幼女なんだ。じゃあ、お父さんは?」ゴシゴシ

崩礼「…」

 すると、崩礼は黙り込んだ。口を難く結んで、目を伏せているのが、鏡に映っている。
 やがて…彼女は、ぽつりと言った。

崩礼「…種付けおじさんだ」

葵「え…?」

崩礼「繁殖用の幼女と、種付けおじさんを交配して、効率的に幼女を増やす施設なんだよ。物心ついてから、一度だけ中を覗いたことがある…」

 鏡の中の崩礼が、顔を歪める。

崩礼「…ずらりと並んで、種付けおじさんに種付けされてる幼女の中の誰かが、俺の母親で…それを知ってから…」

 ふぅっと、長い息を吐く。

崩礼「もう、俺のものになれなんて言わないが…あんな風にはなってくれるなよ」

葵「…」

崩礼「…ところでお前、好きな人はいるのか?」

葵「」ブッ

 湯船の中から、由依たちが聞き耳を立てている。初に至っては、じっとこちらを見ている。

葵「…あたしは」



安価下1~5で多数決
①分からない

②ラセン隊長

③お兄ちゃん

④その他要記述

葵「…」

 ラセン隊長は好きだけど、そういうのじゃない。種付けおじさんはちょっと嫌。じゃあ、お兄ちゃんは…

葵「…分かんないや」

崩礼「ま、そんなもんか」クイ シャワー

 崩礼はシャワーで泡を流すと、立ち上がった。

崩礼「ちなみに、俺がどうなのかは言わないでおくぜ」

葵「…」



 夜。未汐がいなくなって、二人部屋に葵は1人。静かで、少し寒い。

葵「未汐…」

 今も、彼女は首相官邸にいるのだろうか。お兄ちゃんとは仲良くしているだろうか…



安価下 どうする?
①寝る

②自主トレ

③基地をうろつく

④その他要記述



葵「…」スタスタ

 寝付けずに、葵は部屋を抜け出した。
 夜の基地に人の気配は無く、哨戒用のライトが時折辺りを照らすばかりだ。葵のように、1人で徘徊する者は見当たらない。
 子供は夜に出歩くなと言われる。でも、この国では、大人よりも幼女の方が偉い。それに幕僚長は、幼女は子供であって子供でないと言っていた。これ以上、歳を取ることは無く…



安価下コンマ
01    赤い瞳の幼女
02~05 レザージャケットの幼女
06~15 毒島ユカリ
16~40 あれは…初?
41~70 …眠くなってきた
71~90 未汐
91~00 お兄ちゃん



葵「…あたし、もう大人になれない…?」

 大人になりたいという友達がいた。自分は、あまり考えたことは無かった。しかし、いつかはなるものだと思っていた。

葵「大人になるって…何なんだろ」

 叶わなくなった、当たり前の未来。未練も何も無いが、少し空虚な気分。

葵「…眠くなってきた」

 葵はあくびをすると、寮に戻った…



葵「」ザック ザック ザック

由依「えっしょ、えっしょ」ザクッ ザック ザック

真姫「ほっ、ほっ、んしょっ」ザクザクザクッ

初「はぁっ…よい、しょっ」ザクッ ドサッ ザック ザクッ

 穴を掘って、埋める。8班おなじみの訓練だが、初にとっては初めての経験だ。

崩礼「手を止めるな! 止まった者から狩られるぞ!」

初「はひっ、ひぃっ…」ザクッ ドサッ ザックッ

 初は重たいスコップに寄りかかるように土を掘っては、外へ放る。他の3人とは、もう何倍も差が開いている。

崩礼「…ここまで!」

 崩礼が言った。

崩礼「…ということで、穴掘りは重労働だ。とにかく体力を付けろ。分かったか!」

「「「サーイエッサー!」」」

初「さ~、いえっ、さ…」



安価下コンマ
01~10 襲撃
11~80 明日から…
81~00 来客



 昼休憩に入ろうとしたところで、葵は不意に後ろから呼び止められた。

「葵ちゃん」

葵「!!」

 馴染みのある声に振り向くと、そこにいたのは



未汐「久しぶり!」

お兄ちゃん「お、お邪魔してまーす」



崩礼「なっ、朝倉A!? 除隊になったんじゃ」

葵「…未汐! 何で!」ガシッ

 葵は思わず詰め寄ると、未汐の肩を掴んだ。

葵「帰ってくるんじゃなかったの? 除隊って、何!?」

未汐「ごめんね、葵ちゃん…」チラッ

 謝罪しながら、未汐はちらりと後ろを伺った。



紫苑「…」ジッ



葵「幕僚長…?」

 少し離れたところから、紫苑が護衛の幼女と共にこちらを見つめていた。未汐は、声を潜めて言った。

未汐「朱音ちゃん…総理から、色々聞いたの。そしたら、もう戻れないかなって」

葵「何を聞いたの?」

未汐「全部はまだ話せないけど…これから、幕僚長や他の皆に、伝えることがあるの」

 すると、紫苑がつかつかと歩み寄ってきた。

紫苑「挨拶は済みましたか。では、会議室へ」

未汐「はい。…葵ちゃんも、おいで」

崩礼「おい、待て」

 崩礼が割り込んできた。

崩礼「副班長の篠崎が行って、班長の俺が聞けないなんてことは無いよな」

未汐「これは、極秘の」

 断ろうとした未汐を、紫苑が遮った。

紫苑「勿論です。玉置班長にも聞く権利があります」

未汐「…」

紫苑「ですよね? 朝倉さん」ジロ

 紫苑が、未汐に視線を向ける。護衛の1人が、静かに彼女の背後に近寄った。その手には、黒鞘に収まった日本刀。未汐の返答次第では、紫苑は『抜く』気だ…

未汐「…分かりました。では、会議室へ」

紫苑「行きましょうか」

 紫苑が背中を向け、緊張が少し緩んだ。刀を下ろし、後を追う護衛の幼女は、スカートの前と靴下がびっしょりと濡れていた。



未汐「元、工作2班の朝倉です。この度は、皆さんに迷惑と不安をかけてしまい、申し訳ありません」ペコリ

未汐「…既にご存知の方もいるでしょうが、わたしは鷹栖総理大臣の専属護衛隊として働くことになりました。そこで、陸上自衛隊を離れることにはなりましたが、今後も連携は必要です。特に、テロリストの対応について」

 会議室には、紫苑と幸実、それに各科のトップが集まっている。工作科は各班の班長が集まっているが、副班長の身分は葵ただ1人であった。当然、この中では一番階級が低い。

未汐「コトブキ博士から、テロリストの情報を得ることが出来ました。今日は、それをお伝えしに来ました」

 会議室がざわつく。ざわめきが静まるまで待ってから、未汐は言った。



安価下コンマ
01~60 毒島ユカリについて
61~90 ↑+メンバーの人数
91~99 ↑+全員の詳細
   00 原罪

未汐「…具体的には、毒島ユカリについて詳細な情報を聞きました」

幸実「それだけ~?」

 幸実が口を挟んだ。

幸実「他のメンバーの名前とかは? せめて、リーダーとされている東郷アリスについては?」

未汐「博士曰く、『東郷アリス』は、おそらく偽名だろうと。そして、幼形成熟BOXではなく幼女から生まれた幼女については、博士もギフトを全て把握しているわけではありません。…続けます」

 未汐は、黒板に一枚の写真を貼り付けた。黒髪に白いメッシュを入れた幼女、毒島ユカリの全身だ。写真の中でユカリは、黒いキャップを被り、『4444』と書かれたブルゾンを羽織っている。

未汐「毒島ユカリ…記録によると、幼形成熟BOXに入ったのは7年前。ギフトは『繁殖』。種付けから出産までを任意のスピードで行える能力です」

紫苑「その場で種付けして、何人もの種付けおじさんを産んだという証言と一致しますね」

未汐「はい。…最初、ハケンちゃんは毒島に、幼女の繁殖施設を紹介しました。しかし、就職後、毒島のギフトでは種付けおじさんしか産まれないこと、そして出産した種付けおじさんに、幼女の能力がある程度遺伝することが判明しました」

崩礼「道理で、銃弾ぶち込んでも死なないはずだ」

 崩礼が吐き捨てた。

未汐「種付けおじさんの繁殖自体は問題ありませんが、幼女に対抗しうる力を持つとなると話は別です。強い種付けおじさんが反乱を起こせば、甚大な被害が起きます。毒島はすぐに解雇され、次の就職先をハケンちゃんが考えている間に逃走。長らく行方不明となっていましたが…」

紫苑「…『トレイター』…テロリストの一味になっていた、と」

未汐「はい」

 未汐は頷いた。

未汐「戦闘力については、直接交戦した鉄山班長や、葵ちゃ…篠崎陸曹長が詳しいでしょう。ただ、彼女の所持している拳銃は要注意です。幼女でさえ、当たりどころが悪ければ一撃で死亡する威力を持っています」

葵「!!」ゾクッ

 葵の全身に鳥肌が立った。確かに、とんでもない火力に見えたが、それほどとは。

ラセン「なるほど。篠崎陸曹長がいなければ、本官は今頃3等陸佐であったか…」

 ラセンがぼやく。

未汐「…わたしからは、以上です」

透「…どうもありがとう」

 不意に、透が口を開いた。透は、かつての部下に軽く頭を下げると…その隣に立つ『お兄ちゃん』に目を向けた。

透「それで、ずっと気になっていたのですが…その人間は?」

お兄ちゃん「! お、俺は…」

未汐「名前は特にありません。総理やわたしたちは『お兄ちゃん』と呼んでいます。…総理の第一秘書であり、わたしたち…ひいては自衛隊の、最優先護衛対象です」

「ふざけるな!」

 誰かが叫んだ。他の幼女たちも、口々に怒声を上げる。

「何で、よくわかんない人間を守らなきゃいけないの」「意味わかんなーい!」「種付けおじさんの癖に、服着て喋ってんじゃねえぞ!」

未汐「総理のご意思ですので。…では、以上です」

 素っ気なく切り返すと、未汐は不意に、葵に向かって言った。

未汐「そうだ。葵ちゃんにはもうちょっと話があるから、ここに残っててね」



お兄ちゃん「…久しぶり、葵ちゃん」

葵「うん」

 お兄ちゃんの前で、葵は何故かどぎまぎしながら頷いた。腕に蘇る、彼に抱きつかれた時の感触…

お兄ちゃん「君のおかげで、逃げ回る日々から抜け出せたよ。ここに連れてこられた時も、丁重に対応してもらえたし」

葵「用事は何」

 自分でも驚くほど、つっけんどんに葵は言った。お兄ちゃんは困ったように頭を掻いてから…おもむろに、手に持っていた小さな箱を、葵に手渡した。

お兄ちゃん「これ、コトブキ博士からの預かりもの」

葵「? …っ、重っ」

 受け取ってから、予想外の重さにぎょっとした。しっかりとロックされた箱を開けると、中に入っていたものに、更にぎょっとした。

葵「こ、これ…」ジャキッ

 それは、銀色に輝くリボルバー拳銃であった。しかし、葵の持つコルトSAAの2倍はあろうかという大きさで、銃身もシリンダーも遥かに長い。そしてそれは、毒島ユカリが持っていた銃と、殆ど同じものであった。

お兄ちゃん「葵ちゃんの話を聞いて、博士が再現してみたんだ。60口径、専用のマグナム弾」

葵「…」スチャ

 一緒に入っていた、馬鹿げた大きさの弾を目の前にかざしてみる。

お兄ちゃん「君が使ってるコルトSAAの、10倍近い威力で、人間はおろか幼女さえ一撃で倒せるって…おまけに反動も物凄くて、シリンダーが持たないから4発しか装填できなくて、変な姿勢で撃ったら幼女でも肩が外れるって言ってた」

葵「…」ガチャガチャ

 コルトSAAとは構造が違い、装填の仕方が分からない。撃鉄を起こし、側面のスライドを動かすと、シリンダーが横に出てきた。

お兄ちゃん「ダブルアクション? だから、撃鉄を起こさなくても引き金を引くだけで撃てるんだって」

葵「これ、何ていう名前?」

 するとお兄ちゃんは、笑顔で言った。

お兄ちゃん「葵ちゃんに付けてほしいって、博士が言ってた」

葵「…」



安価下1~3で一番良さげなやつ 銃の名前

ねる

メーヴェ:ドイツ語でカモメの意味。ナウシカが乗ってるアレの方が有名。競走馬の名前にもなってる

ドラッケン:スーファミのゲームに出てくるドラゴン人間の種族名。他に意味があったら教えて

ティルフィング:北欧神話に出てくる魔剣。めっちゃ強いけど持ち主はみんな死ぬ

こんな感じか

プファイファー・ツェリスカって60口径のリボルバーが実在するらしい(白目)
装弾数を犠牲にした剛性の向上と、幼女の馬鹿力による運用を前提とした設計で、それよりはコンパクトになってます



葵「…『ティルフィング』」

お兄ちゃん「それは?」

葵「北欧の王様が、土の精霊に無理やり作らせた魔法の剣。呪いが掛かっていて、抜いたが最後、必ず敵を殺し、最後には持ち主も死ぬ」

お兄ちゃん「…く、詳しいんだね」

葵「ガッタイザーのラスボスの必殺技だったの。気になって、調べたことがある。…」

 手にのしかかる、鋼鉄の冷たい重み。あのラセン隊長をも危うく奪うところだった、規格外の暴力。きっと、正気で撃てる代物ではない。ユカリは頭がおかしいから、こんなものを平気でぶっ放せるのだろう。
 そう。この引き金を引くとき。それは、自分自身も…

未汐「…もうちょっと、2人きりで話して良いよ」

葵「え?」

 不意に、未汐が言った。

未汐「わたし、外で待ってるね」

 そう言うと、未汐は会議室の外へと出て行ってしまった。
 広い部屋に、お兄ちゃんと2人きり。

葵「…」

お兄ちゃん「…えっと」



安価下1~3でコンマ最大 お兄ちゃんとの話題、行動など

葵「…あれから」

 沈黙に耐えかねて、葵は口を開いた。

葵「何か、思い出せた?」

お兄ちゃん「! それが…」



安価下コンマ
01~40 何も
41~70 未汐と朱音
71~99 ↑+何も無いということ
   00 さだめ

お兄ちゃん「…何も」

葵「そっか」

 葵は溜め息を吐いた。

葵「思い出せると良いね」

 口に出してから、本心が全く逆であることに気付いて、葵は自己嫌悪を覚えた。彼が何者であるのか、何も分からないが…ただ一つ確かなのは、未汐と何らかの関わりがあるということ。もし、全てを思い出したら…きっと彼は葵のもとから遠く離れてしまう…

お兄ちゃん「ありがとう。…今日は、用事があって基地に入れてもらったけど。普段は結構外をうろうろしてるから、会えると良いね」

葵「そう…」

お兄ちゃん「あのハンバーガー屋さんにもよく来てるから、葵ちゃんもおいでよ」

葵「! …ん」コクン



崩礼「明日から、また7班との合同訓練になる。前回の反省を、乙坂とも共有しておけ」

「「「「サーイエッサー!」」」」

由依「初ちゃんは、この前の合同訓練の時はいなかったよね」

真姫「ご飯食べながら話そう」

初「はい…」



安価下1~3でコンマ最大 食事、入浴中の出来事、行動



初「…」モグ…

葵「…?」

 食事中、初の箸が進んでいないのに気付いた。

葵「どうしたの?」

初「!」ビクッ

 声をかけると、初の肩が震えた。じわりと涙が浮かんでくる。

初「うい…全然、訓練についてけなくて…足、引っ張って…ぐすっ」

由依「さ、最初はそんなものだよ! わたしだって」

葵「そういう時は、修行。あるのみ」

初「そ、そうですよね…」

葵「お風呂の前に、一緒にジムに行こ」

真姫「えっ?! また筋トレするの?」

葵「修行!」

初「は、はいっ!」

 すっかりやる気の葵たちを見て、崩礼は苦笑いした。

崩礼「トレーニングは良いが、明日の訓練に差し支えるなよ」



安価下コンマ
01~10 掃除中
11~30 筋肉痛
31~60 頑張った!
61~80 ラセン隊長
81~90 幕僚長
91~00 陸上自衛隊筋肉部…?

ねる

ノーパソの充電器を実家に忘れたので今週の更新は無い



葵「努力! 努力! 努力!」ギッタン ギッタン ギッタン

初「ど、りょっ、くっ! どりょっ、くーっ!」ギィーッ ガタン







葵「」ズキズキ

初「あう…」ズキズキ

崩礼「…良いことを教えてやる」

 訓練場に整列した7、8班員の前で、崩礼が言う。

崩礼「実践は、コンディションなど考慮してはくれん。決まって、戦闘は起きて欲しくないときに起きるものだ。…例えば、夜通しキントレして、筋肉痛で動けない時とかにな!」

葵「!」

初「ご、ごめんなさぃ…」

ラセン「では、これより合同訓練を始める!」

 ラセンが宣言した。



安価下コンマ
01~20 ズタボロ
21~50 作戦は良かったけど
51~80 作戦が功を奏した
81~99 初が活躍した
   00 覚醒



葵「4秒後、3時の方向から来る!」

崩礼「乙坂! 1時の方向へ掘り進め!」

初「んしょっ、んしょっ」ザクッ ザクッ

初「いっ…!?」ズキッ

由依「えいっ」バラバラッ

 由依の投げた種子が、壁を覆う蔦となる。

葵「これで20秒に伸びた。今のうちに…」

ギャリギャリギャリ…

葵「…ごめん、やっぱり2秒」ジャキッ

ボゴーン



ラセン「…何だ、今度は集団行動か。まあいい…」ギュィィィィ…



崩礼「篠崎、足止めは頼んだ」ドガガガッ ヒョイッ

由依「が、頑張ってね~」ヒョイッ

真姫「ごめんなさいっ」ヒョイッ

初「うぇっ!? ま、待ってくださいぃ」ドタドタ

 崩礼の掘った穴に避難していく班員たち。取り残された葵は、ラセン率いる7班の前で1人、二挺拳銃を構えた。



葵「」ボロッ

ラセン「鍛錬が足りん!」

 ズタボロに伸された葵に、ラセンが一喝する。逃げた他の隊員も、7班の分隊に各個撃破された。完敗だ。

ラセン「ついでに、知恵も足りん」

崩礼「足りねえのは人手だよ」

 崩礼が吐き捨てた。初が加わって、8班は5人。一方の7班は、8人所属している。

ラセン「馬鹿め、4人だった前回の方が喰らいついていたぞ」

初「! …」

崩礼「ちぇ、作戦立て直しかよ…」

 ここで、今日の訓練は終了となった。一行は身体を流しに、大浴場に向かった。



安価下1~3でコンマ最大 食事、入浴中の出来事、行動



カポーン…

葵「…」ゴシゴシ

葵「…痛っ」ズキッ

 ラセンに、あちこち削られた皮膚が痛む。今日の訓練は、一段と厳しかった…

由依「疲れた~…」

真姫「お腹空いたね…」

初「…」

由依「初ちゃん、大丈夫…?」

初「…」グラッ ドボン

由依「初ちゃん!?」

 湯船に沈んだ初を、慌てて救出する由依と真姫。引きずり出して床に横たえると、初は寝息を立てていた。

初「すぅ…」

崩礼「何だ何だ。…値落ちしただけか」

 葵は泡を落とすと、彼女の元へ歩み寄った。

葵「じゃあ、あたしが部屋に運んでく」

崩礼「ああ、頼んだぜ」



 班に加わったときに、宿舎の彼女の部屋番号を聞いたことがある。ぐっすり眠っている初を抱きかかえて、葵は宿舎の廊下を歩いた。



安価下コンマ
01~05 サイレン
06~15 あんたたち、何?
16~30 同室じゃないの?
31~60 同室がいた
61~90 同室いないんだ
91~00 ↑+腕を掴んできた



葵「お邪魔します…」ガチャ

 そっとドアを開けると、2人用の部屋には誰もいない。片方のベッドは布団が少し乱れていて、使った跡があるが、もう片方はシーツも張られていない。元から誰も使っていないようだ。

葵「同室、いないんだ…」

 崩礼も同室がいないらしい。葵も、つい最近いなくなった。宿舎に対して、隊員の数が少ないようだ。陸自は常に人手を欲しがっていると、空自の霰が言っていたが、その通りだ。
 葵は、そっと初をベッドに寝かせた。

初「ん…」

葵「…これでよし」



安価下 どうする?
①食堂へ

②その他要記述

初「すぅ…」

葵「…」ジッ

 初の寝顔を見ながら、葵は向かいの、主のいないベッドに腰を下ろした。
 所属していた班から、重要な役割を持つ仲間が消え、自分も他の班へ移される…きっと、彼女は不安で仕方ない日々を送っているだろう。葵は、陸上自衛隊では一番の新入りだが、一応は上官として、できるだけのことはしたいと思っている。

葵「でも、何したらいいんだろ…」

 葵は溜め息を吐いた。こういう時、ラセン隊長なら…鍛錬しろって言うか。



安価下コンマ
01~10 ぞろぞろ
11~30 誰?
31~50 一緒に寝落ち
51~80 特に何も起こらない
81~99 目を覚ました
   00 甘えてきた

葵「…ふぁ」

 葵も眠くなってきて、剥き出しのマットレスに横になった。

初「…すぅ」

葵「…」ジッ

 横たわったまま、初の寝顔を眺める葵。自分も眠りに落ちるのに、時間はかからなかった。



葵「…何、これ?」

由依「葵ちゃんは初めてだったよね」

 7班と共に集まったのは、いつもの訓練場ではなく、基地の会議室。机や椅子は隅に押しやられて、真ん中にはマス目の引かれた大きなマットが敷かれている。

ラセン「では1人1枚、カードを引くのだ!」

 ラセンに言われるまま、裏返しの大きなカードを引く。

ラセン「では、中身を確認しろ。同じ班員以外に見られないようにな」

葵「…」クルッ

 7班に見られないように、葵は自分のカードを確認した。



『隊長』



葵「…?」

崩礼「隊長は篠崎か」

 崩礼が、ひそひそ声で話しかけてきた。

崩礼「丁度いいから、ルールを説明するぞ。これは、模擬戦の一種だ。ただし、直接殴り合うのではなく、班員を将棋の駒のように見立てて、先に班員の半分以上を倒したほうが勝ちだ」

 そう言うと崩礼は、自分のカードを見せた。『1』と書いてある。

崩礼「隊長は盤の外から、班員に指示を出して動かす。数字は強さだ。大きい方が強い」

由依「はーい」『3』

真姫「わたしは…」『1』

初「え、えっと…」『2』

 マス目のマットに目を向ける。

崩礼「隊長以外の数字は、相手には伏せられる。1ターンにつき1人1マスずつ、好きな方向に移動することができる。隣接したら、戦闘を仕掛けることができる。同じ数字の場合は仕掛けたほうが勝つ。ただし、先に隣接してきた方は、そのターンに戦闘を仕掛けないことで、次の相手からの攻撃を防御することもできる」

葵「じゃあ、『3』が1人で頑張れば良くない?」

崩礼「そう思うだろ。だが、隣接している班員は、合体攻撃を仕掛けることができる。例えば、『2』と『1』、『1』が3人で仕掛ければ、『3』も倒せるってことだ」

葵「なるほど」コクン

崩礼「それから」

 崩礼が、ニヤリと笑った。

崩礼「盤とは言え、立派な戦場だ。さっき言ったルールに抵触しなければ、『何でもあり』だぜ」

葵「…?」



 葵以外の4人が、盤の一辺に並ぶ。7班からも7人、同じように並んだ。7班の隊長は前にジムで話しかけてきた、小鳥遊静流だ。

ラセン「では、始め!」



安価下コンマ
01~10 そんなのアリ!?
11~30 多勢に無勢
31~50 そういう感じか…
51~80 そういうことだな!
81~00 天眼 VS 演算



静流「ラセン隊長、左へ」

ラセン「うむ」スッ

崩礼「…」

 ラセンが、崩礼と隣接する1歩手前まで来た。ラセンの数字が何であろうと、『1』の崩礼はこのまま動かなければ、隣接されて倒される。離れれば、少なくとも崩礼が『3』で無いことはバレる。展開した他の班員に囲まれるか、逆に捨て置いて真姫や初の方に行く可能性も…

葵「初…?」

静流「…以上。篠崎陸曹長のターン」

葵「!」

 既に、7班は由依の攻撃で1人失っている。おまけに、倒した相手が『2』だったせいで由依が『3』であることがバレた。相手は露骨に由依から距離を取り、崩礼を囲みにかかっている。どちらに動かしても、次のターンに崩礼は2人以上に隣接される形だ…

葵「初…!!」ハッ

 その時、葵の脳内に電流が走った。『演算』が、新しい変数を加えて回りだす。
 葵は、崩礼の斜め後ろにいた初に言った。

葵「初。…ラセン隊長と崩礼隊長の間に、糸玉を吐いて」

初「! はいっ…」クワッ

 初の下顎が2つに割れ、白い糸玉が幾つも吐き出された。たちまち、ラセンの前のマスには、粘着く糸玉が敷き詰められた。ここを踏んだら、もう二度と動けないだろう。

崩礼「気付いたか」ニヤッ

静流「…流石」

 静流が頷く。葵は更に指示を出し、崩礼と初を一歩ずつ下がらせた。そうして、ラセンと共に囲みに掛かっていた7班員の1人を、逆に2人で迎え撃つ形にした。真姫と初は、後ろからラセンに接近していく。

葵「…さあ、静流の番だよ」

 そのターンから、一気に動き出した。1人1マス、数字に従った攻撃。基本的なルールを守りながら、その埒外でギフトの応酬が繰り広げられる。浮き上がって糸玉を回避する。氷柱が立つ。崩礼がよじ登る。由依が逃げ込もうとした隅のマスに、ミキサーめいた回転刃が出現する。由依は太い蔦を絡ませ、その上に立つ。そして追い込もうとした敵を、初と真姫が逆に追い詰める…



静流「…まどかちゃんで、玉置隊長を攻撃」

崩礼「…」『1』

 先程倒された真姫に加えて、これで2人。7班の勝ちだ。しかし、相手もあと一人で敗北まで追い詰められていた。

静流「お疲れ様。良い戦いだったよ」

葵「惜しかった…」

崩礼「いい線いったが、『何でもあり』をもうちょい『何でもあり』にすると良かったな!」

ラセン「与えられた数字とは、即ち己の力量のことだ。練り上げた力は、決して裏切らん。積み上げた分だけ助けになるが、足りなければ足を引っ張る。その、動かしようのない実力と、使えるギフト、能力、環境…それら全てを最大限に活かすことが、実戦にも繋がるのだ!」

崩礼「というわけで、今日の訓練は以上!」

 崩礼が宣言する。いつもより早く終わった。あまり動いていないので、まだ体力に余裕がある。



安価下 どうする?
①食事にする

②ジムで自主トレーニング

③その他要記述



葵「んぐっ、んぐっ、んぐっ…」ゴクゴク

ガチャ ガチャ

葵「よいしょっ…」ギィ

 バーベルに重りを足し、ベンチプレスに横たわる。少しずつだが、記録は進んできている。いつかは、ラセン隊長のように。そう思いながら、葵はバーを握った。



安価下
01~10 サイレン
11~40 疲れた
41~70 ラセンも来た
71~90 幕僚長も来た
91~00 陸上自衛隊筋肉部…?

ねます

 しかし、腕に力を込めた瞬間、ジムにけたたましいサイレンが鳴り響いた。



”緊急出動命令、緊急出動命令…”



葵「ああもうっ!」ガチャン

 バーベルを起こすと、葵はベンチから起き上がってジムを飛び出した。



”第1種警戒態勢! トレイターを確認! 場所は___”



安価下コンマ
01~20 たま地区
21~50 おもてストリート
51~70 基地
71~00 首相官邸



”場所はおもてストリート”



葵「!?」

 葵はどきりとした。おもてストリートと言えば、例のハンバーガー屋さんがある通りではないか。
 グラウンドに出ると、既に他の隊員は揃っていた。1人だけ体操服の葵を見て、崩礼が言う。

崩礼「…何だ、筋トレでもしてたのか」

葵「しようとしたら、呼び出された」

 そう言うと、葵は隊服を『再現』した。腰にはガンベルトと、2丁のコルトSAA。そして、背中には『ティルフィング』。

初「わあ、凄い…」

崩礼「…揃ったところで、状況を整理するぞ」

 崩礼は切り出した。

崩礼「放送でもあった通り、トレイターが出没した。場所はおもてストリートの、ハンバーガー屋だと」

葵「!!」

崩礼「奴らは客を装って店に押し入った。そこで、中にいた人間を拉致しようとした。…俺と葵は知ってるんだが、そいつは総理の関係者で、最優先護衛対象の」

葵「」ダッ

崩礼「おい待て!」ガシッ

 駆け出した葵の後ろ首を、崩礼が捕まえた。

葵「行かなきゃ、『お兄ちゃん』が…!」

崩礼「実は、朝倉Aが一緒にいたんだ。朝倉Aがそいつを連れて逃げながら、自衛隊に通報した。今、トレイターは巡回の兵と交戦してるところだ」

葵「…そっか、逃げられたんだ」

 葵は、ほっと胸を撫で下ろ…せなかった。

葵「っ、でも、店長に、それにエリーも!」

由依「葵ちゃんのお友達なの?」

真姫「でも、8班はまだ出撃命令が出てないから…」

崩礼「既に、普通科と機甲科と、工作1、2、6班が出てる。今度は戦車隊も出張ってる。だが、市街地に塹壕は掘れないからな…」

葵「…」グッ

 葵は、唇を噛んだ。



安価下コンマ
01~10 爆発
11~40 2班の補助を
41~70 未汐の指名…?
71~99 ちょっと来てくれ
   00 ピンクのリムジン



 やきもきしながら立っていると、1人の幼女がこちらに歩いてきた。

崩礼「どうした?」

「都築(つづき)1班長からの伝言です。8班に、2班の補助をして欲しいと」

葵「!! 行こう!」

崩礼「少し落ち着け! …そんなに人手が足りないのか」

「トレイターは、既にハンバーガー屋を脱出し、マンホールから地下に展開しているそうです。このままでは、首相官邸まで辿り着いてしまう可能性もあると」

由依「えーっ! それは大変!」

「地下には戦車も入れません。歩兵を展開する前に、敵の状況把握と足止めが必要です」

崩礼「了解。…じゃあ出るぞ!」



 ジープの中で、崩礼が尋ねた。

崩礼「トレイターは何人出てるんだ? 毒島はいるのか」

「はい。毒島を含め、確認されたのは…」



安価下コンマ
01~50 3人
51~90 4人
91~00 5人

じゃあ残りのメンバー募集で今日は終わり
トレイターは全部で5人。うち2人は決まってるので、残りの2人を募集します



安価下1~3で次の>>1のコンマに一番近いやつと遠いやつ テロリストのメンバー 名前と容姿は必須
ギフトは設定済み

komma

「…4人。構成員のほぼ全員と予想されます」

崩礼「それは、増援は俺たちだけで足りるのか」

「一先ず、首相官邸の襲撃だけでも防げれば、ということらしいです。倒すか、捕まえるのは二の次で、とりあえず追い払えれば良いらしいです」

真姫「で、できるかなぁ…」

「遭遇しても、無理に交戦はせず、拠点に連絡してください。普通科から小隊を向かわせます」

「…他に、何か質問はありますか?」



安価下 21:30まで 作戦について質問

葵「連絡したら、何分ぐらいで来る?」

「場所によりますが…地下道の広さから考えて、一番遠くて10分くらい」

葵「そう」クルクルクル…

 葵は、片方のコルトSAAを抜くと、くるくる回した。

葵「…それまでに倒す」ジャキッ



 ハンバーガー屋は、見るも無惨に荒らされていた。店内には即席の拠点が築かれていて、富士陸将や工作科1班長にして工作科長の、都築ねね一等陸佐が話し合っていた。

崩礼「工作8班、現着した」ザッザッザッ

葵「酷い…」キョロキョロ

幸実「崩礼ちゃんたち、おつかれ~」フリフリ

ねね「おそーい! もう硝子川ちゃんたち、マンホール潜って行っちゃったよ」

「地下の図面です」

 工作1班の1人が、テーブルに地下道の地図を広げた。無数に伸びた地下道の、一方向を赤ペンで囲む。

「こちら側に進むと、首相官邸方面へ出ます。2班は、そちらを中心に展開しています」

崩礼「道がかなり絡み合ってるな。1方向を封鎖しただけじゃ、脇道を通って逃げられそうだ」

ねね「そうなんだよね。歩兵も展開してるけど、数に限りがあるし、相手はとっても強いから、できるだけ大人数で囲みたいしー」

幸実「だから、2班や8班の子たちに見つけてもらって、効率よく攻撃したいのよね~」

崩礼「…」

 崩礼は、8班のメンバーを振り返って言った。

崩礼「班を2人と3人に分けよう。腕っぷしに自信がある奴と、逃げ足が早い奴だ」

由依「腕っぷし…?」キョロキョロ

 由依が、きょとんと葵たちを見回す。正直、葵以外は戦闘よりも、逃げたり足止めをする方が得意だ。

崩礼「…分かったよ。俺と葵が戦闘要員。他は普通科との連絡要員だ。葵、誰を連れて行く?」

葵「真姫」

真姫「ふぇ!?」ビクッ

 ノータイムで指名され、真姫が竦み上がった。

葵「テロリスト対策に、コトブキ博士から『これ』を貰った」ガチャッ ドスン

 葵は、背中に背負った巨大なリボルバー拳銃を引き抜き、テーブルの上に置いた。

ねね「あの裏切り女と話してると思ったら、こんなの貰ったの…!?」

葵「毒島ユカリの所持しているのと、ほぼ同型。当たったら、幼女でも死ぬ」

初「ひぃっ…」ブルッ

葵「真姫なら、銃弾を『透過』できる。気をつけるけど、もしもの時は透過して避けて」

真姫「が、頑張るね…」



 マンホールを潜り、地下道へとやって来た。降りたところは少し広い空間になっていて、既に中隊相当の歩兵が待機していた。
 その中には、佐山桜の姿もあった。

桜「! 篠崎葵…陸曹長」

葵「久しぶり」

桜「ああ、久しぶり…っ、今は作戦中だ」

 相変わらず、仕事中は硬い顔をしている。崩礼が歩兵を見渡して、それから葵の肩を叩いた。

崩礼「油断するなよ。借りを返したいのは分かるが」

葵「…」

崩礼「これだけの兵が待機してんだ。頼れ」

葵「…分かってる」

真姫「葵ちゃん、行こ…」



安価下コンマ
01~05 金属バット
06~15 予感
16~40 跳躍
41~80 ユカリ
81~00 2班からの救援要請

ねる



葵「…」ソロ ソロ ソロリ

真姫「…」キョロキョロ

 遠くから、他の兵士の声が反響して聞こえてくる。トレイターは、そういった声からを遠ざけるように動いているはず…
 と思いきや、突然向こうの方から聞き覚えのある声が響いてきた。



「逃げてェ、逃げてェ、雑魚から逃げてェ…」



葵「!!」

真姫「!?」

 声の方へ駆け出す葵。



「つまんなァ…あっ!!」



葵「…見つけた」ジャキッ

 葵は銃を抜くと、真姫に言った。

葵「すぐに戻って、応援を連れてきて」

真姫「わ、分かった…!」ダッ



ユカリ「逃さないよォ!」ジャキッ

葵「!!」ジャキッ ズガァァンッ

ガァァンッ

 ユカリが巨大リボルバーを抜くのを見て、葵は瞬時に『ティルフィング』を抜き、放った。2発の超極大マグナム弾が、空中で衝突し、無数の金属片が当たりに飛び散った。

葵「いっ、た…!?」ズキンッ

ユカリ「アハッ、お揃いじゃーん! …丁度良かった。雑魚からは逃げなきゃだけどォ…」ガキン

 勢い良く右手を振るい、特殊警棒を伸ばす。

ユカリ「___流石のアタシも、『ツイン・ギフト』からは逃げられないよねェ!」ダッ

葵「! っ」ガキッ

 振り下ろされた警棒を、咄嗟にティルフィングの銃身で受け止める。凄まじい反動に、右手が痺れてしまった。
 繰り出される警棒を、どうにか銃身で防いでいると、ユカリが言った。

ユカリ「ねェ、あのドリルの子は?」ガンッ ガキンッ

葵「ら、ラセン隊長が、出るまでもない…!」ギンッ カンッ



安価下コンマ
01~05 痛恨の一撃
06~40 不利
41~60 拮抗
61~90 優勢
91~99 倒してしまっても
   00 蜘蛛

ユカリ「ふんっ!」ガンッ

葵「ぐぅっ」ズキッ

 交差した銃身で警棒を受け止めた瞬間、手に痛みが走った。更に、がら空きの胴体に蹴りを入れられ、葵は地面に転がった。

ユカリ「…何だ、つまんなァい」ジャキッ

葵「っ!」ゴロン

ユカリ「」ガァァン ガァァン

葵「っ! くっ!」ダッ シュバッ

 葵が一撃で片手をやられる程の反動を持つ銃を、平気で連射するユカリ。それを間一髪で躱すと、ユカリはブルゾンのポケットから銃弾を取り出して、呑気にリロードを始めた。

ユカリ「リロードが息をする~…」カチャリ カチャリ

葵「…」

 ティルフィングの装弾数は4発。だが、ユカリの銃はそれすら下回る、3発のようだ。

葵「…舐めるな!」チャッ バンッ

ユカリ「!」バッ

ガチャンッ

 葵は寝転がったまま、コルトSAAでユカリの手から銃を撃ち落とした。ユカリが、落とした銃を拾おうとしたその時、向こうから無数の足音が近づいてきた。



真姫「こっち、こっち!」ザッザッザッ

桜「! いたぞ! 左右に展開しろ!」



ユカリ「あー…」



安価下コンマ 70以上で捕縛

ねる

テンポ良くしたいなぁ。何か良い案ないですか
訓練パートはバッサリ切るとか

桜「撃て、撃てー!」

 桜の号令に、展開した兵士たちがユカリに向かって一斉にアサルトライフルを発射した。桜は葵のもとへ駆け寄り、助け起こした。

桜「大丈夫か」

葵「だ、大丈夫…っ!」ズキッ

桜「右手が腫れているぞ。折れているかも」

葵「撃てたから、折れてない…多分」

桜「アドレナリンが出て、紛れているだけかもしれん。とにかく下がれ、後は任せろ」

 そう言うと桜は立ち上がり、声を張り上げた。

桜「撃ち方、やめ! 追え!」

 既にユカリは、弾幕を潜って狭い横穴に逃げ込んでいた。桜はトランシーバーで指示を出すと、数人の兵と共に横穴へ潜っていった。
 代わりに、1人の兵が近づいてきて、葵に肩を貸した。

「拠点まで案内します」

葵「うん。…あ、待って」

 葵は制止すると、先程までユカリの立っていた、弾痕だらけの地面から、重い金属塊を拾い上げた。ユカリの手から撃ち落とした、リボルバー銃だ。

葵「…行こう」

「了解」



安価下コンマ 80以上で1人捕縛



???「あー、これは折れてる」グイ

葵「い゛ったい!」ビクッ

 衛生科の幼女に、腫れ上がった右手首をつままれ、葵は呻いた。

ねね「あーあ…どのくらいかかりそう? 『ウメ子』ちゃん」

 ねねの問に、その幼女…北里 ウメ子(きたざと うめこ)医官は軽い口調で言った。

ウメ子「なぁに、折れてると言ってもちょいとヒビが入った程度さ。2週間シーネ固定で安静にして、それから1ヶ月くらいリハビリすれば治る」

葵「1ヶ月も!?」

 葵の顔から血の気が引いた。その間は、戦闘はおろか訓練もできないと言うことか。
 ウメ子が、添え木を当てて包帯を巻き始めると、ねねはベッドから離れていった。拠点の向こう側にいるのは、幸実たちだ。崩礼や、透の姿もある。

ねね「…で、結局全員逃げられたって?」

崩礼「…」コクン

透「散開はしていますが、おそらく首相官邸付近で合流するものと」

ねね「なぁーにやってんのよ!」ビシッ

崩礼「…面目ない」

 珍しく、崩礼が沈んだ声で詫びた。

幸実「甘く見てたねぇ~…」

 不意に、今まで黙り込んでいた幸実が、口を開いた。

幸実「今まで、トレイターのテロ行為や、その被害ばっかり見てたけど…いざ、相対したら、思ったよりも個々が強かったねぇ」

崩礼「45口径をガンガンぶっ放す篠崎でさえ、一発で腕が折れるくらい反動がヤバい銃を、毒島は余裕で連射してたんでしょう? 兵一人でどうにかできる域を超えてるでしょう」

幸実「かと言って、平地とか数で圧せるような戦場は、上手いこと避けてくるんだよねぇ~…」

 幸実は、拳を握った。

幸実「…官邸に出たら、うちが出るよ」

ねね「か、閣下が出たら、めちゃめちゃになっちゃわない? 官邸が」

透「確かに毒島は強敵ですが、少なくとも鉄山7班長なら互角に戦えます。まだ、閣下が出るべきでは」

幸実「でも、それクラスが少なくとも4人だよ? 毒島のギフトは『繁殖』で、あんまり戦闘向きじゃないけど、戦闘特化のギフト持ちも混ざってるだろうし…」

崩礼「…確かに、出し惜しみしてる場合じゃ無いかもな」ボソッ

透「玉置班長…」

崩礼「篠崎が負傷した今、俺たち8班にまともな戦闘要員はいない。乙坂がギフトを使いこなせれば分からないが、それを待つ余裕は無い。穴掘りならできるが、市街戦は得意じゃない。悔しいが…もう、俺たちにできることは無さそうだ」

ねね「ぶっ飛ばすわよ!?」

 突然、ねねが怒鳴った。

ねね「もう、状況は総力戦よ。できることが無い、じゃなくて、こっちで見つけて勝手に押し付けるから! 手始めに、ここ撤収する時の片付けしといてね!」

崩礼「なっ!? それこそ1班の仕事だろ!」

ねね「ざーんねん、次の設営がある時は、撤収は他に任せて良いのよ! …で、トレイターは見つかったのかしら?」

透「まだです。ただ、襲撃に備えて、既に首相官邸の敷地内に基地設営の許可は取ってあります」

ねね「仕事が早い! じゃあ、さっさと移動するわよ!」







 首相官邸へ移動していく兵たちとは反対に、葵は基地に併設された病院へ運ばれた。そこで検査を受け、仮固定の添え木からしっかりしたギプスに替えられた。

温海「」キュ キュ キュ

温海「…はい、出来上がり♡」

 真っ白なギプスに、マジックでハートマークを描くと、温海は言った。葵は黙ったまま俯いている。

温海「利き手が使えなくて不便でしょう。入院中は、いつでも看護官を呼んでね♡」

葵「…」

 そのまま病室へ移った。白いベッドの上で一人になると、葵の目からぽろぽろと涙が溢れてきた。

葵「…っ…ひぐっ…」ポロポロ



安価下コンマ
01~40 コトブキ
41~90 コトブキ&お兄ちゃん
91~00

neru

葵「Zzz…」

ギィ…

ヒタ ヒタ ヒタ…



???「…」



 泣き疲れて眠る葵に、人型の影が差した。手に持つ懐中電灯の光が、葵の肌に反射して、銀色のショートヘアと褐色の肌、そして真っ赤な虹彩を照らした。

葵「…ん」モゾ

 不意に差し込んだ光に、葵が目を覚まし…弾かれたように起き上がった。リボルバーを出そうとして、右手がギプスに覆われていることを思い出し、左手で銃を握った。

葵「だ、誰!?」

 すると侵入者は、驚くほどあどけない顔で、葵を見て…それから名乗った。



リュイア「リュイア・トラメスロ。アオイを、迎えに来たよ」

葵「迎えに…? リュイアは、トレイターなの?」

リュイア「Si」コクン

葵「首相官邸に行ったんじゃないの…?」

リュイア「Aliceたちは、行った。リュイアは、ここに来た」

葵「…毒島ユカリも、あたしを誘ってた。何で? あたし…全然、強くないのに…」

リュイア「ギフトが、2つあるから」

葵「そんなの、何の役にも立たない!」

 葵は思わず叫んだ。

葵「皆…みんな、びっくりして、特別だって言って、期待してるって言って…でも、全然勝てない…強くなれない…」

リュイア「…」ジッ

 まくし立てる葵を、リュイアは赤い目でじっと見つめ…それから言った。

リュイア「そんなこと知らない。2つ持ってる、それが大事」

葵「は…?」

リュイア「アオイはギフト、『2つ』ある。…でも、『1つも持ってない』人、いる」

葵「1つも…?」

リュイア「その子が貰えなかったギフト、アオイが持ってる。だから、誘った」

葵「…」

 リュイアは、葵に手を差し伸べた。

リュイア「だから、来て」



安価下 21:00まで多数決 どうする?
①手を取る

②銃を向ける

③その他要記述

ねる

葵「…」スッ

 葵は、銃を持った左手を下ろし、ギプスに覆われた右手を上げ…壁際のナースコールを押した。

リュイア「!」

葵「」ジャキッ バンッ バンッ

 狼狽するリュイアに、葵は左手でリボルバーを連射した。



「5号室からナースコールが…」「銃声よ!?」「急げ!」



リュイア「っ…!」

 躱しきれず、腕に被弾したリュイア。血の滲む腕を押さえながら、逃げ出そうとしたところへ、看護官や巡回兵たちがなだれ込んできた。

「動くな!!」「何者?」「テロリストの仲間か!?」

葵「その子、トレイターの一味!」

リュイア「…Ah」

 自分を取り囲む、武装した兵たちに、リュイアは観念したように両手を挙げた。



紫苑「…では、トレイターの内の一人には、ギフトが『無い』と」

葵「そう、言ってました…」

 病室にて。ベッド際に腰掛けた紫苑に、葵が頷いた。

葵「…リュイアが、それじゃないんですか?」

 無抵抗に捕まった彼女の姿を思い浮かべながら、葵が尋ねた。思えば、戦闘能力の高いトレイターの一員なのに、不意打ちとは言え葵の銃撃をあっさり被弾したのも変だ。不利になるからぼかしただけで、ギフトが無いのは自分自身だったのではないのだろうか。
 ところが、紫苑は首を横に振った。

紫苑「いえ。リュイア・トラメスロと名乗る幼女は、幼女にしては極端に身体能力が低いですが…ギフトは所持していました」

葵「何を」

 すると、紫苑は険しい顔になって、低い声で答えた。

紫苑「…『反逆』」

葵「えっ?」

 葵は耳を疑った。『反逆』を持っているのは、リーダーの東郷アリスなる幼女ではなかったのか?

紫苑「思えば…『反逆』は、総理の『君臨』や、わたしの『統率』といった能力を相手にしなければ、そもそも発動しません。東郷のギフトも、交戦した兵への自己申告であったようですし…」

葵「じゃあ、東郷は本当の『反逆』の持ち主を隠していた…?」

紫苑「リュイアの身体能力の低さを考えると、東郷らトレイターが秘匿したがるのも無理は無いでしょう。問題は、彼女が幼女から生まれた幼女でないこと…つまり、幼形成熟BOXを使って『反逆』のギフトを得ながら、今まで存在すら知られていなかったこと」

葵「…コトブキ博士が、隠してた?」

紫苑「…」

 険しい顔で黙り込む紫苑。明言はしないが、おそらく彼女もそう確信しているだろう…

紫苑「…いずれにせよ」スクッ

 紫苑は、努めて明るい声で言いながら立ち上がった。

紫苑「貴女の任務は、怪我を早く治すことです。戦闘は玉置班長たちに任せて、しっかりと休養してくださいね」

葵「あ、はい…」

紫苑「では」

 そう言うと、紫苑は病室を去っていった。

新居にインターネッツが開通してないんです…スマホのテザリングで書いてます…



コトブキ「…」

 自衛隊基地の一室にて。パイプ椅子に腰掛けたコトブキは、居心地悪そうに部屋を見回した。
 その正面に立っているのは、紫苑。

コトブキ「…で、こんなところに呼び出して、一体何の用だね?」

紫苑「…」ジッ

 何も言わず、コトブキの顔を凝視する紫苑。その手には、既に鞘に収まった日本刀が握られている。部屋には、2人の他に誰もいない。他の幼女がこの部屋に放り込まれようものなら、紫苑の放つ殺気に、立ちどころに恐怖し失禁するだろう。

紫苑「…身に覚えは、ありませんか」

コトブキ「君がムキになるようなことをした記憶は無いね」

紫苑「そうですか」

 紫苑は短く応えると、鞘ごと刀をスカートに差した。それから、変わらない声色で言った。

紫苑「…『反逆』の持ち主を捕縛しました」

コトブキ「うん? 東郷アリスが捕まったのかい? それは何よりだ」

紫苑「リュイア・トラメスロという名前に聞き覚えは?」

コトブキ「…?」

 突然の質問に、コトブキは、怪訝な目で紫苑を見上げた。

コトブキ「幼形成熟BOXで、何人か外国人やハーフをネオテニーさせてきた記憶はあるが…そいつは何人だ?」

紫苑「イタリア人です」

コトブキ「ふぅむ…記憶に無いね」

紫苑「」ブンッ

コトブキ「!? …おわっ!」ガタッ

 突然、紫苑が刀を抜き打った。と思うや、パイプ椅子の足が斜めに切り裂かれ、コトブキは床に転がり落ちた。

コトブキ「なっ、何をするんだね!?」

紫苑「次。東郷アリスの本名と、所持するギフトは?」

コトブキ「ほ、本名なんて知るものか。それにギフトは『反逆』…」

紫苑「」ブンッ

コトブキ「ひっ!?」ガキンッ

 コトブキの顔のすぐ横で、パイプ椅子の背もたれが真っ二つに割れた。

紫苑「次。…ギフトを『1つも持たない』幼女が生まれる可能性は?」

コトブキ「ギフトを、持たない…?」

 コトブキは、ゆっくりと立ち上がった。顎に手を当て、考える。

コトブキ「…篠崎葵のように、ギフトを2つ持つ状況は是非とも再現したいが、その逆など、無益過ぎて考えたことも…いや」

 何かを思いついたのか、はっと顔を上げる。

コトブキ「幼形成熟BOXを発明して間もない頃、一度だけ思い浮かんだことがある…馬鹿げた結果しか導けず、計算だけで実証すらしなかったが」

紫苑「…続けて」

コトブキ「幼形成熟BOXに『2人入ったら』どうなるか、だよ。融通を効かせて、ギフトを2人分用意してくれるのか、それとも1つしか用意せず、1人あぶれるのか…」

紫苑「結果は?」

コトブキ「簡単な2×2さ。ギフトを貰える、貰えない。身体能力が上がる、上がらない。それぞれの組み合わせで、合計4パターン」

紫苑「! …では、過去にそのようなことが行われたか、調べることは可能ですか」

コトブキ「BOXのログを辿ればできるだろうが…」

紫苑「ではお願いします。今から、すぐに」ジャキッ

 刀を突きつけながら、紫苑が凄む。

コトブキ「わ、分かった分かった。分かったから、その刀を下ろすんだ。いいね? …」



葵「…」

 ベッドの上で、葵はじっと黙り込んでいた。もう明るいが、外は静かだ。半分以上の兵が、首相官邸周囲に出て行ったからだ。あの辺りは厳戒態勢が敷かれていて、一般人は近づくこともできない。
 看護官からは、療養中も右手以外は積極的に動かすように言われている。有り余る時間を、どう過ごしたものか…



安価下 どうする?
①外出

②ジムでトレーニング

③寝る

④その他要記述



「定刻までには帰ってきてくださいねー」

葵「ん…」

葵「…」キョロキョロ

 通りに出て、辺りを見回す。基地の静寂が嘘のように、街は活気に満ちている。近くで戦闘があったのに、今は元通りに幼女たちが駆け回っている。



安価下 どうする?
①車屋さん

②ペットショップ

③おもちゃ屋さん

④繁華街をぶらぶらする

⑤その他要記述



ワイワイ ガヤガヤ

葵「…」キョロキョロ

 おもてストリートとは反対側の、繁華街にやって来た。荒らされたハンバーガー屋は心配だが、その方面はまだ封鎖されている。
 ジュースを持った幼女や、種付けおじさんを連れた幼女たちとすれ違う。片腕にギプスを付けた葵は、幾分場違いに見えたが、それを気に留める者も無い。

葵「…」

 ごった返す人混みの中で、葵は黙って立ち尽くした。



安価下
01~05 爆発
06~30 茶髪ツインテ
31~60 朱音&未汐&お兄ちゃん
61~90 未汐&お兄ちゃん
91~00 お兄ちゃん



葵「…!」

 人混みの中に、知った顔を見つけて、葵は思わず駆け寄った。

葵「未汐…お兄ちゃん!」ダッ



未汐「! 葵ちゃん」

お兄ちゃん「葵ちゃん? …! その手」

葵「無事だったんだ、良かった…」

 駆け寄ってきた葵の右手に気付いて、お兄ちゃんが息を呑んだ。葵は、未汐とお兄ちゃんを交互に見て、言った。

葵「トレイターに、襲われたって聞いて…未汐と、一緒に逃げたって聞いてたけど」

未汐「うん。今は官邸の方が狙われてるから、わたしたちは外に出てるの」

お兄ちゃん「ねえ、その手は…?」

葵「…」

 葵は、唇を噛んだ。

葵「…この前の銃撃ったら、腕が折れた」

お兄ちゃん「折れた!? …そ、そんな…俺が、あんなものを渡したせいで」

葵「違う。あたしが、弱かったから…」

未汐「…それで、葵ちゃんは作戦に参加してないんだ」

葵「」コクン

 すると、未汐は目を細めた。

未汐「…ねえ、これからお昼なんだけど、一緒に行こう?」

 そう言うと未汐は、返事を待たず葵の腕を取り、歩き出した。



安価下1~3でコンマ最大 食事中の話題、行動など



未汐「いただきます」

葵「いただきます…」

お兄ちゃん「い、いただきます」

 運ばれてきた、3人分のお子様ランチに手を合わせる一行。ハンバーグにナイフを入れながら、未汐は尋ねた。

未汐「ティルフィングを撃ったってことは、葵ちゃんもトレイターと交戦したの?」

葵「うん。毒島ユカリと…」

 カトラリーに手も付けず、葵は頷いた。お兄ちゃんは未汐の隣で遠慮がちに、旗の立ったオムライスにスプーンを入れた。

未汐「もしかして、またトレイターに誘われたの?」

葵「…」コクン

お兄ちゃん「!? は、入っちゃ駄目だよ!?」

未汐「大丈夫、葵ちゃんは裏切らないよ。…ね?」

葵「うん…入院した後にも別のメンバーに誘われたけど、断った」

未汐「別のメンバー…? もしかして、東郷」

葵「ううん。リュイア・トラメスロっていう、イタリア人の娘」

未汐「リュイア・トラメスロ…」

葵「『反逆』のギフトは、東郷アリスじゃなくてその娘が持ってた。そして、トレイターがあたしを仲間に入れたがるのは、トレイターにはギフトを1つも持ってない娘がいて、その娘が貰うはずだったギフトまで、あたしが貰っちゃったからなんだって」

未汐「…」

 突然の告白に、未汐は絶句した。お兄ちゃんも、スプーンを持つ手が止まる。
 やがて、未汐は絞り出すように尋ねた。

未汐「…そ、れ…葵ちゃん以外にも、誰か知ってるの?」

葵「幕僚長には話したから…陸自の人たちには、伝わってると思う。首相官邸の基地にいる幸実陸将や、ねね科長にも」

未汐「リュイアって娘は、今?」

葵「基地に捕まってる」

未汐「…そ、そう」

 未汐は、少し安堵したように息を吐いた。それから、切り分けたきり放置されていたハンバーグを口に運んだ。葵も、ようやくスプーンを手に取り、コーンスープを一口含んだ。

お兄ちゃん「…俺、あんまり詳しくないけど…トレイターのリーダーが反逆のギフトを持ってないのなら、朱音ちゃんも一緒に戦えるんじゃないかな?」

未汐「そうだね。あんまり危ない目には遭わせたくないけど…」

 隣同士、身を寄せ合って話し合う2人。仲睦まじいその様子を、葵は複雑そうな目で見ている。

未汐「…」

 そんな葵の表情に気付いてか否か、未汐は不意に言った。

未汐「葵ちゃん、右利きだっけ。怪我して、大変でしょ」

葵「うん…一応、指と肩は動くから、スプーンならなんとか」

未汐「食べさせてあげるね。お兄ちゃんが」

お兄ちゃん「!?」

葵「!? …///」ドキッ

 未汐はしたり顔で、お兄ちゃんの肩を叩いた。

未汐「ほら、葵ちゃんは腕を怪我して、自分でご飯も食べられないんだから。まずはエビフライ」

お兄ちゃん「う、うん…」ザクッ

未汐「じゃあ、葵ちゃんに。あーん」

お兄ちゃん「あ、あーん…」スッ

葵「あっ…あー…///」パクッ

 どぎまぎしながらエビフライを頬張ると、未汐がすかさず

未汐「片手しか使えないんだから、ハンバーグも切ってあげなきゃ」

お兄ちゃん「じゃあ、ちょっと小さめに…」ギコギコ

葵「んぐ…あ、あー…///」

お兄ちゃん「はい」スッ

葵「///」パクッ

未汐「」ニヨニヨ



 時間をかけて、お子様ランチを完食する頃には、葵とお兄ちゃんの距離も幾分縮まったように思えた。
 葵は、ふと思い出して尋ねた。

葵「お兄ちゃん…ハンバーガー屋さんで襲われたんだよね。トレイターは、お兄ちゃんのことを知ってたの?」

お兄ちゃん「みたいだった。もちろん、俺は何も覚えてないんだけど…」

葵「4人で襲ってきたの?」

お兄ちゃん「うん」コクン

未汐「毒島ユカリ、リーダーの東郷アリス…それから、残りの2人については、特徴を話してさっきコトブキ博士に調べてもらったんだけど…」

 未汐が、声を潜める。

未汐「まず、桜木 春華(さくらぎ はるか)。ギフトは『予感』。2つのギフトを持つ葵ちゃんのことを察知したのは、多分この子の能力」

未汐「それから大下 ロル(おおした ろる)。ギフトは『飛蝗(ばった)』。毒島ユカリに並ぶトレイターの戦闘要員で、唯一、格闘戦向きのギフトの持ち主」

葵「格闘戦向き…って、エリーは!? 店長は…」

未汐「落ち着いて。トレイターはお店に押し入ってから、近くのテーブルを破壊しながら真っ直ぐわたしたちの方へ向かっていったの。その間にお客さんや店員さんは皆逃げたよ」

葵「そう…良かった」ホッ



 それからしばらく、他愛もない話をしてから、葵は2人と別れた。
 別れ際、未汐が葵に声をかけた。

未汐「もし、『こっち』に来たくなったら、いつでも言ってね。わたしも朱音ちゃんも、待ってるから」

葵「…うん」

未汐「じゃあ、またね」

お兄ちゃん「ばいばい」

葵「うん。2人とも、気をつけて…」

 人混みに消えていく2人の背中を見送ると、葵は基地に戻っていった。



「失礼します」



幸実「いいよ~」

バサッ

「閣下、『例のもの』をお持ちしました」

 官邸前の敷地に建てられたテントの中に、それぞれ大きな箱を抱えた兵士が、ぞろぞろと入ってきた。彼女らは、幸実の前のテーブルに箱を積み上げると、蓋を開けた。

幸実「これ、これ…これがないとね~…」ジュルリ

 目をギラつかせ、舌舐めずりする幸実。彼女の目の前に積み上げられた、箱の中には…大量のドーナツが、ぎっしりと詰め込まれていた。

幸実「トレイターは出た?」

「いえ、まだそのような報告は」

幸実「じゃ、あと3…や、5セット追加ね~」

「了解!」

 兵士たちが出ていくと、幸実はシロップの掛かったドーナツを手に取り、頬張った。咀嚼しながら、もう片方の手にチョコレートのドーナツ。1個目を飲み込むと、2個目を齧りながら、今度はきな粉のまぶされたドーナツ…山盛りのドーナツが、瞬く間に無くなっていく。

ねね「…」

 糖蜜の匂いが充満する中、凄まじい勢いでドーナツを貪る幸実を見ながら、ねねは顔をしかめた。

ねね「ひ、久しぶりに見ると、やっぱ強烈よね…お腹がむかむかしてきた」

透「仕方ないでしょう。閣下自ら出られるとなると、この工程は避けられません」

ねね「もうちょっと、効率的な補給方法はないの?」

幸実「だってぇ…はぐっ、もごっ…ほきゅうぐらい、たのひくないほね~…んぐっ、あぐっ…」モグモグ

 そこへ、崩礼が入ってきた。

崩礼「失礼しま…うおっ」ビクッ

幸実「んっ、きにひないれ~…はむっ、もぐっ」

ねね「だそうよ。で、要件は?」

崩礼「! …敷地内の点検と、塹壕の掘削が完了した。今のところ、妙な侵入経路などは作られていないようです」

ねね「そう、ちゃんと要望通りにしてくれた?」

崩礼「ああ。ちゃんと迎撃用ではなく、『退避用』に設計した」

幸実「ありがとね~あむっ」



安価下コンマ 80以上で…

ねる

ねね「…そう言えば、篠崎ちゃんはどうしてるの?」

崩礼「篠崎なら、今頃病院で…」



葵「…ごちそうさま」カチャ

 左手でどうにか食事を終えると、葵はベッドの上に寝転がった。それから、昼間にお兄ちゃんに食べさせてもらったエビフライの味を思い出し、密かに顔を赤くした。

葵「…///」

 男の人の好みなんて、生まれて一度も考えたことは無かった。父親のように甘えられる人と答えたのは、単に葵がお父さんっ子だったから。そして、お兄ちゃんは、お世辞にも頼り甲斐のあるとは言い難い。しかし、彼のことを思い出すと、今まで感じたことの無い感情が湧いてくる。未汐とおしゃべりしている時や、崩礼をあしらっている時、あるいは、ラセン隊長に抱きついた時、その、どれとも違う…

葵「…ん」モゾ

 葵はベッドの上でうつ伏せに寝返った。

葵「ん…んっ…///」モゾ モゾ ギュッ

 無意識に、腿を擦り合わせ、腰のあたりをベッドに押し付ける。じわじわとお腹の下が熱くなり、頭がふわふわしてきた。

葵「んっ…ぁ、ん…っ///」スリッ ギュ ズリュッ



安価下コンマ
01~20 窓ガラス
21~30 検温
31~60 このまま…
61~90 手で…
91~00 誰か来た

葵「ん…ん、ぅ、はぁっ…///」ズリッ グニッグニッ

 腰のあたりをベッドに押し付けると、何だか気持ちいい。身体が勝手に動く。

葵「はぁっ、あっ/// …ん…ふぅ…んぅっ♡」グイッ ググッ

 下腹を強く押し付けると、おしっこを我慢しているような気持ち。でも、お股がじんじんして、気持ちいい…

葵「はぁ、はぁっ、ん、んっ…おにいちゃん…♡」グリィッ

 お股をマットレスにぎゅっと押し当てる。何だか分からないけど、口が勝手に、お兄ちゃんのことを呼ぶ。

葵「おに、ちゃん、んっ♡ おにいちゃっ、おにいちゃんっ♡」ググッ ズリ ズリッ

 とうとう、カエルのように脚を広げて、パジャマ越しにずりずりとお股をベッドに擦りつけた。支給品のパンツが、じわりと温かくなっていく…

葵「はっ、はっ、おにいちゃんっ、はぁっ、おにいちゃんっ、あ、あっ…んっっっ……♡♡♡」ギュゥゥゥッ

 ベッドにぎゅっとお股を押し付けながら、葵の頭が白く弾けた。腰の辺りが、びくんびくんと震え…突然、お股の中がぞわっとした。
 と思うや、パンツの中が、さあっと熱く濡れてきた。

葵「…っ!? や、やだっ」ジョワッ ジョーッ ショロッ

葵「…~~~///」シャァァァァ…



「おトイレに行きたいと思ったら、いつでも行って良いですからね? 足は怪我してないんだから」

葵「ごめんなさい…///」ビショビショ

「もし困ったことがあったら、いつでも呼んでくださいね。我慢できなかったら、そこに尿瓶もあるから」

葵「はい…」

「じゃあ、着替えますからね…」



安価下1~3でコンマ最大
①普通に着替え

②まだ出そう(尿瓶に)

③まだ出そう(このまま)

④あやしい手付き

⑤その他要記述

 看護官は、びしょ濡れの葵のパジャマに手をかけた。

葵「じ、自分でできる…」

「だーめ」グイッ

葵「やっ///」ズルッ

 ズボンとパンツを一緒に下ろされ、小さな割れ目が露わになった。濡れたお股にタオルを当てられて、葵は身震いした。

葵「んぁ…っ///」ブルッ

「まだ出そう?」スリッ

葵「んっ、ん…///」コク

 タオルでさり気なく割れ目を撫でられ、葵は小さく頷いた。すると看護官は、ベッドの上に身を乗り出すと、葵の耳元で囁いた。

「じゃあ、このまま出しちゃいましょう…♡」

葵「!? や、やだっ」

「大丈夫、シーツも全部交換するから。ちょっとくらい汚しても、変わりませんよ…♡」スリッ スリッ

「ほら、ここをすりすりして…気持ちよくなっちゃったんでしょう…♡」スリスリッ クリッ

葵「ひゃっ♡」ビクッ

 タオル越しに、割れ目のてっぺんをくすぐられ、葵は竦み上がった。ついさっき、夢中で腰を擦りつけた時の快感が蘇り、尿道がぞくぞくと震える。

「ほら、しーっ♡ しーっ♡ しーっ♡ …」

葵「あ…やぁ…///」プルッ ジワァ…

 白いタオルが、瞬く間に黄色く染まり、そのままシーツまで染み込んでいく。タオルが使い物にならなくなると、看護官は葵のお股から離した。

葵「あうぅ…///」チロチロチロ…

 つるつるの割れ目の間から、しょろしょろと黄色いおしっこが溢れ出るのを、間近に見つめながら、看護官は葵の頭を撫でた。

「しーっ♡ しーっ♡ えらいえらい…♡」

葵「はぁ…っ///」ショロロッ プルッ

 膀胱の中身を出し切ると、看護官は葵を立たせて、新しいタオルでおしっこまみれのお股や内腿を拭いた。

「おむつ、当てときます?」

葵「い、いいって///」

「じゃあ、パンツを穿いて待っててくださいね。シーツを交換しますから」

葵「うん…」



崩礼「…本当に、トレイターはここに現れるんです?」

幸実「地下道をこっち方面に進んで、まだ地上で目撃されてないから、地下に潜んでるのかもね~…」

ねね「そんなことより」

 ねねは腕組しながら言った。

ねね「幕僚長からの通達よ。本当の『反逆』の持ち主を基地で捕らえた。東郷アリスのギフトは反逆ではないって…」

崩礼「ああ。しかも、懲りずにウチの篠崎を勧誘したらしいな。篠崎がなびかず、すぐに通報したから良かったが」

幸実「怪我して、心が弱ってる時を狙ったんでしょうね~。そういうの、本当に良くないわね~」

崩礼「だが、篠崎はその程度で折れる奴ではなかった。ということですな」

 崩礼は誇らしげに頷いた。

ねね「なら、そいつを取り戻すまで総理を狙うことは無い、ってこと?」

幸実「だとしても」

 幸実は、地下道の地図に目を向けた。

幸実「地下に潜ったまま、出口を塞がれているのは事実。いつか、痺れを切らして出てくると思うよ~」

ねね「なら、それまで網を張って、気長に待つしか無いわね」ハァ



安価下コンマ 60以上で…

 しかし、その数分後、にわかにテントの周りが慌ただしくなった。垂れ幕をめくり、1人の兵士が駆け込んでくる。

「報告です! 正門前のマンホールから、トレイター4人が出現」

幸実「噂をすれば、だね~」

ねね「玉置ちゃん、避難を手伝って! あたしは硝子川ちゃんに連絡する」

崩礼「了解!」

 ねねと崩礼がテントを飛び出す。幸実は1人、山積みのドーナツを両手に掴むと…そのまま、吸い込むように口に詰め込んだ。



春華「や、ヤバい、ヤバいって~…」プルプル

ユカリ「ヤバいってことはァ…ひひ、楽しみ…!」

 震えるピンク髪の幼女の言葉に、ユカリは歯を剥き出す。その隣で、赤毛に赤い目の幼女は怪訝な目で辺りを見回している。

ロル「でもさぁ、こいつら一目散に逃げてくよ? ね、どう思うリーダー?」

 赤毛の幼女ロルは、一歩前を歩く、トレイターのリーダー…茶髪を短いツインテールに結い、派手なスカジャンを羽織った幼女に声をかけた。

アリス「…知るか。朱音…総理を引きずり出せれば、何でも良い」

ユカリ「総理が出てくるまでは、好きにして良いよねェ?」

アリス「…チッ 程々にな」

 4人の目の前で、兵士や官邸から出てきた幼女たちが、地面に掘られた溝の中へと逃げていく。溝を防衛線にしているわけでも無さそうで、幼女たちは溝を通ってまっすぐに官邸から離れていく。

アリス「…こいつも罠か」

春華「ひぇっ…や、やっぱり、リュイアが戻ってくるまで待った方が…」

ロル「戻らないって、あんたが一番分かってるでしょ。『予感』によると、リュイアは自衛隊に捕まったんでしょ?」

春華「う、うぅ…」

アリス「構わねえ。朱音以外はアタシがぶっ飛ばす。朱音とは、アタシが話す」

ユカリ「でも、話せない時は…!」

春華「うわーっ!?」ビクッ

ロル「…へえ」

 4人の目の前に、1つの人影が立ちはだかった。カーキの隊服に、分厚いお腹を窮屈そうに詰め込んだ、温厚そうな顔立ちの幼女。しかし、まんまるなその顔の奥で、両の目が底冷えするような光を放っていた。



幸実「…」

アリス「…おいブタ。総理はどこだ」

 しかし、幸実は応えず、耳元のインカムに向かって呟いた。

幸実「退避、終わった? …うん、ありがとね~」スッ ポイ

 インカムを投げ捨て、隊服の襟元を両手で握り…ようやく、トレイターの4人を見た。

幸実「…今なら、投降受け付けるよ?」

アリス「舐めやがって…」スッ

 アリスは、背中から何かを抜き取った。それは、ボロボロにひしゃげた、一本の金属バットであった。

アリス「死ねオラァっ!!」ダッ

 バットを振り上げ、飛びかかるアリス。幸実は、自分の隊服を両手で掴み…一気に、引き裂いた。
 次の瞬間、幸実の身体が、凄まじい勢いで膨張を始めた。



幸実「_____」ゴゴゴゴゴゴ…



アリス「オラッ!」ブンッ

 怯まず振り下ろしたバットが、虚しく弾き返される。

春華「う、うわーっ!?」ダッ

ロル「な、何だコイツ…!?」



幸実「…」ブンッ



アリス「ぐぁーっ!?」ビューン ドサッ

 首相官邸と同じくらいに巨大化した幸実が、爪先を軽く蹴り出す。それだけで、アリスの身体は門の向こうまで吹っ飛ばされた。

幸実「…」ズシン ズシン ズシン…

 服はばらばらに破れ、素っ裸の幸実が、コンクリートを踏み砕きながら迫る。

春華「いやーっ! 許して、許して!」ドタドタ

ロル「こっの!」ダンッ

 ロルが、コンクリートを蹴って跳躍する。剥き出しの両脚が、棘の生えた外骨格に覆われると、その脚で回し蹴りを仕掛けた。

幸実「」パシ ブンッ

ロル「あ゛ーっ!?」ビュンッ

 しかし、空中でその脚を捕らえられ、起き上がろうとするアリスめがけてぶん投げられた。

アリス「っとお!」ガシッ

ロル「さ、サンキュ」

ユカリ「あ…アハッ、アハハッ…!」ガァァン ガァァン ガァァン

 引き攣った笑みを浮かべながら、予備の特大リボルバーを連射するユカリ。

幸実「…」バシッ バシッ

 命中した足や腹に血が滲む。幸実は立ち止まると、近くに生えていた植木を、雑草か何かのように指先で引っこ抜き…そのまま、ユカリめがけて投げつけた。

幸実「」ブンッ

ユカリ「ぐぇッ」ズシャ

幸実「」ダンッッッ

 突然、幸実がコンクリートを強く踏みつけ、飛び上がった。裸足の足裏が迫る先には…アリスとロル、そして逃げようとする春華!

春華「やだっ、やだやだやだーっ!」ジタバタ

アリス「クソがっ…よぉっっっ!!!」ブゥンッ

 アリスは悪態を吐きながら、迫りくる極大の足裏めがけて、金属バットをフルスイングした。



葵「…幸実陸将って、どのくらい強いの?」

ラセン「閣下か? それはもう、凄いぞ」

 日中、ジムでリハビリを兼ねてトレーニングをしていると、ちょうど非番のラセンと出くわして、一緒にトレーニングをすることになった。レッグプレスを補助してもらいながら、葵はふと尋ねたのであった。

ラセン「何しろ、ワタシが入隊した頃…まだ、藤島幕僚長が陸将だった頃は、閣下が幕僚長だったのだからな」

葵「閣下が幕僚長だったの…!?」

ラセン「ああ。藤島幕僚長を見出し、育て上げたのは、閣下と言っても過言ではない」

葵「師匠だったんだ…?」

ラセン「うむ。幕僚長は、閣下の推薦によって今の地位になった。後になって知ったことだが…閣下は、自身の能力が『守る』ことに向いていないことを気にされていたらしい。幕僚長は、最後まで基地に残り、最終防衛ラインを守り抜く使命がある。敵も味方も、周りも何もかも破壊しかねない自身の能力は、自衛隊のトップには相応しくないと考えておられたようなのだ」

葵「じゃあ、そんな閣下のギフトって…」

 するとラセンは、窓の外に目をやって…呟くように言った。

ラセン「…『巨人』」

葵「大きくなるの?」

ラセン「そうだ。閣下は元々力も強いから、歩けば地面が抉れ、大木も片手で引き抜き、ビルも軽く握り潰せる。幕僚長とは別方向で、次元が違うのだ」

葵「じゃあ、何で今…」

ラセン「巨大になるのは、自分の肉体だけ、ということだ。食べたものや、蓄えたエネルギーは元の体のサイズのままだから、戦闘が長引けば、あっという間にエネルギー切れで倒れてしまうのだ」

葵「なるほど…それで」



ピッ ピッ ピッ…

幸実「…」

 ベッドの上に、病衣を着た幸実が横たわっている。ふっくらしていた顔や手足は、骨と皮ばかりに痩せ、両腕には点滴が繋がっている。

コンコン

紫苑「…失礼しますよ」ガチャ

幸実「…ああ、紫苑ちゃん」

 小さく顔を上げ、会釈する幸実。起き上がろうとするのを止め、紫苑はベッド脇の椅子に腰掛けた。

紫苑「体調はいかがですか」

幸実「良くはないよ。ギフトを使うと、いつもこう」

 苦笑いすると、不意に真顔になって尋ねた。

幸実「…4人は?」

紫苑「負傷はしていますが、命に別状はありません。最も、それが良い報せかと言えば…」

幸実「うん…まさかあの飛び蹴りを、バット1本で受け止めゃうなんてね…」

 幸実が、自身の右足に目を遣る。包帯に覆われたその足は、金属アームで宙吊りにされ、外固定用の太いピンが何本も突き出ていた。

幸実「東郷アリス…腕力だけなら、紫苑ちゃんより強いよ。どうやって確保してる?」

紫苑「物理的な拘束は不可能なので、わたしのギフトで動きを制限していましたが…先程、総理から面会希望の通達が来ると、嘘のように大人しくなりました。それで、わたしがここに来ることができたのです」

幸実「どうやら、一連のテロ行為も、総理を呼び出すためにやっていたフシがあるね~…」

紫苑「どんな理由があろうと…トレイターのやったことは、許されることではない」

幸実「そうだね~。捕まえられて、本当に良かった」

紫苑「貴女のおかげですよ。何でも、望むごほうびをあげます」

幸実「そうね~…うちは後で良いから、他の娘たちにもね」

紫苑「勿論です。今回、脱出経路の作成や避難誘導に尽力した、工作8班は、それぞれ1階級ずつ昇進。硝子川班長や、2班の数名も昇進としました」

幸実「葵ちゃんは、残念だったね~…」

紫苑「仕方ありません。地下で、毒島ユカリを足止めしてはくれましたが、結果的には合流を許してしまいましたし。まあ、彼女ならまた、どこかで活躍してくれるでしょう」



ウメ子「うん、もう大体くっついてるね」ペラ

 レントゲン写真を見せながら、ウメ子が頷いた。

ウメ子「ギプスは外して、本格的なリハビリに入ろう。まずは、握力を取り戻すところからだね」

葵「また、戦えるようになる…?」

ウメ子「ああ、なるとも。…だが、少なくとも、あの…」

葵「ティルフィング?」

ウメ子「そう、その馬鹿みたいな銃を、素手で撃つのは禁止だよ。一度折れた骨は、くっついてもどうしても強度が下がるからね…」



 病室に戻ると、見知った顔がベッドの横に座って待っていた。

エリー「! 葵ちゃんっ!」バッ

葵「エリー! 店長…!」ギュ

 飛びついてきたエリーを抱き締めながら、傍らに座る店長に頭を下げた。

葵「2人とも、無事で良かった…」

エリー「葵ちゃんも! テロリストと戦って、怪我しちゃったって聞いて! 心配で心配で心配でー…」

 涙を流しながら、エリーが言う。

エリー「怪我は、どう?」

葵「もう、だいぶ治ったよ。後ちょっとリハビリすれば、元通り」

店長「それは良かったです…」ガサッ

 店長が、膝の上に置いていた紙袋を差し出した。

店長「はい、こちら差し入れです。新発売の『マグナム☆二刀流バーガー』」

葵「あ、ありがと…」ガサガサ

 受け取って中を覗くと、特大のパテに極太ソーセージが挟まったバーガーが、紙袋を突き破らんばかりのボリュームで詰まっている。

葵「…お店は、どうなってる?」

 ベッドに腰掛けながら、葵は尋ねた。

店長「あんなことになって、しばらく休業してましたが、先日トレイター全員が捕まったおかげで、ようやく再開できそうです」

葵「お店の修理、まだならあたしがやるよ」

店長「えっ、良いんですか?」

エリー「そうだ、葵ちゃんのギフトは『再現』っていって、何でも元通りにできちゃー!」

葵「そう。あたしも、早くお店が復活して欲しいから」

店長「では、その時は、お願いしますね」



安価下1~3でコンマ最大 エリー、店長との話題、行動など

店長「でも…あんなことがあった後だから、しばらくお客さんは少なくなっちゃうかも知れませんね」

 店長が、さみしげに言った。

葵「…復活記念で、オマケを付けよう」

エリー「ラッキーセットのオマケなら、前もあったよー?」

葵「もっと豪華にして…ガッタイザーとか」

店長「ガッチャー覇はコラボしてみたけど、あんまりウケなかったですね…」

葵「えっ!? ガッタイザー…」

エリー「やっぱり、メイジーだよー! 皆見てるし、しょっちゅうテレビでやってるしー」

店長「私はあんまり見ないですけど…」

葵「そうそう。それならガッチャーロボの方が…」



エリー「またねー!」フリフリ

店長「お店の方にもいらしてくださいねー!」

葵「うん! 行くね」

 案内の兵に伴われて、2人が帰っていく。その背中が見えなくなると、葵は病室に戻った。右手のギプスは外れて、すっかり軽くなった。まだ少し力が入らないから、早くリハビリして戻さないと…



安価下コンマ
01~50 特に何も起こらない
51~70 お見舞い
71~90 お見舞い×4
91~00 リムジン



 翌朝。久しぶりに右手でお箸を使って朝食を摂ると、手が痛くなってしまった。ほんの2週間使わなかっただけで、左腕と比べて明らかに細くなった。

葵「どうしようかな…」



安価下 どうする?
①外出

②ジムでトレーニング

③寝る

④その他要記述



葵「」ゴクッゴクッゴクッ

葵「…っは!」ゴトッ

 プロテインを一息に飲み干し、ずらりと並んだダンベルの前に立つ。一先ず、一番小さなダンベルを右手で握ると、恐る恐る持ち上げた。

葵「っ、しょっ…」ヒョイッ

 握力も随分衰えたが、このくらいなら難なく持てそうだ。いつものサイズのダンベルを左手に持つと、葵は仁王立ちになり、ダンベルホールドを始めた。



安価下コンマ
01~30 痛た
31~60 今日はこのくらい
61~90 8班もトレーニング
91~00 幕僚長だ



 握力のトレーニングをしていると、にわかにジム内がざわついた。

「あっ、お疲れ様です!」「おはようございます!」「おい立てお前ら! …お疲れ様であります!」



紫苑「ごきげんよう、ごきげんよう。皆さんどうぞ続けて…おや」



 自身もトレーニングに来たのか、体操服を来た紫苑が、隅の方でダンベルを握る葵に気づいて、近付いてきた。

葵「あ…お、お疲れ様です」

紫苑「ごきげんよう。…右手のギプスが取れたのですね」

葵「はい。それで、リハビリに」グイッ

 右手でダンベルを上げて見せる。

紫苑「それは良いですね。では、失礼してストレッチを…」

 紫苑は、ダンベルコーナーの近くに敷いてあるマットを見つけると、ストレッチを始めた。背中を伸ばしながら、紫苑は何気なく言った。

紫苑「…記者会見も終わって、ようやく一段落です」

葵「そうですか…」

紫苑「やはり、東郷アリスは『反逆』の持ち主ではありませんでした。それどころか、彼女こそがギフトを1つも持たない幼女でした」

葵「!」

 葵の手が止まる。紫苑は足を伸ばして座り、上体を前に倒す。

紫苑「んんん…それから、『東郷アリス』はやはり偽名でした。本名は『八島 絵里』…例によって総理の関係者らしく、先日引き渡しました。他のメンバーは、まだ基地にいますよ」

葵「…はぁ」

 それを自分に言って、どういうつもりだろう。反応に困っている葵の前で、ストレッチを終えた紫苑は、ダンベルコーナーから当然のように一番大きいものを2つ手に取り、ダンベルカールを始めた。

紫苑「しょっ、よっ、よっ」グイッ グイッ グイッ

葵「…!?」

 一個70kgのダンベルを、軽々と上下する紫苑。普段は長袖の制服に隠れているが、彼女の腕は中々に太い。呆然と見ていると、紫苑は更にダンベルを持ったままスクワットを始めた。

紫苑「ふっ、ふっ、ふっ」グッ グッ グッ

葵「す、凄いですね…」

紫苑「時間とっ、情熱を、かければ…誰でも、できます、よっ」グッ グッ グッ

 葵は、右手のダンベルを恐る恐る上下に動かした。このくらいなら骨がまた折れる心配はないのだろうが、どうしても怖いものは怖い。

紫苑「いきなり、重量をかけるより、まずは自重で、始めてはいかが、ですか?」グッ グッ グッ

葵「でも、自重じゃ負荷にならないって崩礼隊長が」

紫苑「筋量は増えませんが、骨の回復を促すには丁度いい刺激になります」

葵「へえ…ば、幕僚長も、骨折したことが?」

紫苑「ええ、何度も」

 にこやかに頷く紫苑。きっと、何年もの間、壮絶な戦いや修羅場を切り抜けてきたのだろう…

葵「じゃあ…治ったら、またティルフィング…えっと、コトブキ博士から貰った銃、撃てるようになる…?」

紫苑「ええ、なりますよ。…その、ティル…フィング? というのは、確か毒島ユカリの銃を参考に作られたとか」

葵「はい。毒島は平気で連射してたけど、あたしは一発撃っただけで…」

 細くなった右腕を持ち上げて見せる。

紫苑「それはきっと、撃ち方の問題でしょう。銃は不得手ですが、リボルバー、それも特大のものとなると、独特の反動とその逃し方があるのだと思います」

 そう言うと紫苑は、おもむろにダンベルを戻し、葵に背を向けた。

紫苑「では、行きましょうか」

葵「えっ? 行くって、どこへ」

紫苑「決まっているでしょう。そんな珍しい銃を平気で撃てるのは、わたしや貴女の知る限り、1人だけ」

葵「…ま、まさか」

 紫苑は振り返り、悪戯っぽく微笑んだ。

紫苑「ティルなんとかの撃ち方、毒島ユカリに教わりに行きましょう」

ねます



朱音「…ねえ、何で…?」



アリス「…」ググッ



朱音「何で、またわたしをいじめるの? 『絵里』…」

 首相官邸。いつもの広い部屋で、朱音は問いかけた。その目の前には、トレイターの首魁、東郷アリス。彼女は床に片膝と両手を突き、歯を食いしばっていた。朱音の、ほぼ全力に近い『君臨』の力に、何のギフトも持たない彼女は、ただ筋力で抗っていた。

朱音「あの時…わたしに謝ったよね。ちゃんと仲直り、したよね? どうして…」

アリス「…から」



絵里「…『友達』、だから…止めに、来たんだ。こんな、こと…!!」



カツン カツン カツン

「ぐぅ…ん…はっ」パチ

「…うわーっ!? ばっ、幕僚長!? ごっ、ご苦労様であります!」バッ

紫苑「ご苦労」スタスタ

葵「どうも…」スタスタ

 うたた寝していた看守の前を素通りし、2人は廊下を奥へと進んだ。
 薄暗い廊下には、太い鉄格子の嵌った牢屋が、4つ並んでいた。その中に、それぞれトレイターのメンバーが1人ずつ閉じ込められていた。一番手前に見知らぬピンク髪、その次に毒島ユカリ、それからリュイア、そして一番奥に、これまた見知らぬ赤髪の幼女が入っている。

春華「ひっ、ま、また来た…!」ガタガタ

 ピンク髪の幼女が悲鳴を上げる。戦闘要員ではなさそうだから、これが桜木春華だろう。一番奥の赤髪が、大下ロルということだ。
 2番目の牢の前で立ち止まると、壁際で座り込んでいたユカリが顔を上げた。

ユカリ「…んァ?」

 ユカリの目が、紫苑の姿を捉えた瞬間、その身体が震え始めた。

ユカリ「な…何の用…?」ガタガタ

葵「え…?」

 見たことのない、ユカリの怯える姿に、葵は面食らった。紫苑は何でもない様子で、葵に囁いた。

紫苑「少し『尋問』しただけで、あんなに怖がることはないのに」

葵「…」

 紫苑の尋問がどのようなものか…『演算』でも予想できない。しかし、ただ1つ確かなのは…尋問を通して、ユカリは紫苑を『死合いを楽しむ相手』ではなく、『一方的に命を奪いに来る死神』だと理解したのだろう…

紫苑「少し、お話を聞かせていただきたいと思いまして」

ユカリ「何…? は、話すことなんて、無いと思うけどォ…」

紫苑「後学のために、貴女の銃の撃ち方を教えていただきたいのですよ」

ユカリ「銃の…?」

 ユカリが、きょとんとする。紫苑は、牢の入り口に放置されていた、ユカリの特大リボルバー拳銃を拾い上げた。奪われても撃てないように、銃身が捻じ曲げられている。

紫苑「ほら、これですよこれ。スミス&ウェッソンM500を改造した、この危険なピストルです」

ユカリ「…」

葵「…正確には、それを元にコトブキ博士が作った、これ」スッ

 葵が、手元にティルフィングを『再現』して見せた。

ユカリ「…知って、どうするの?」

紫苑「もちろん、我が陸上自衛隊の戦力増強ですよ」

ユカリ「使っておいて言うのも何だけど…いらなくなァい? こんなバカでかいの」

春華「そっ、そうだよぉ! うちら捕まったし、もう幼女同士で戦うとか、あり得ないでしょ!」

紫苑「さあ、どうでしょう」

葵「…?」

 意味深な紫苑の言い方に、葵は首を傾げた。

紫苑「とにかく。歩兵全員に指導しろとは言いません。こちらにおられる、篠崎葵陸曹長だけに教えていただきたい」

ユカリ「…」

ロル「…そいつ、例の『ツイン・ギフト』?」

 牢屋の奥で、ロルが不意に尋ねた。

ユカリ「そう」

ロル「教えたげたら?」

春華「!? なっ、何言ってんの!?」

ロル「だって、トレイターが散々探したツイン・ギフトだよ? ユカリはつまんないって言ってたけど…多分、化けるよ。そしたら、面白いことになる」

ユカリ「…でもォ」

ロル「良いから行ってよ。…今のユカリ、つまんない」

ユカリ「!」

ロル「ビビってるユカリ、つまんない。早くどっか行って」

春華「ビビって…ビビるに決まってるでしょ!? あんなことされて…」

ユカリ「…分かったわよ。いい加減、外の空気も吸いたいしィ」

紫苑「決まりですね」

 紫苑は頷いた。

紫苑「では、毒島をしばらくお借りしますよ。…逃げようなどとは、考えないことです」

ユカリ「はァい…」

ロル「…もう戻ってこないでよ」



 人目を避けるように、基地の中を進むと、不意に地下へ伸びる会談が現れた。紫苑に先導されるまま、階段を降りると、そこは緑色の網で仕切られて、人型の板の並んだ広間であった。

紫苑「人間の自衛隊が使用していた頃の、射撃訓練場です。独断で捕虜を釈放したと思われてはいけませんので、奥まったところで失礼」

ユカリ「…で、アンタの銃は?」

葵「…」

 葵は、ちらりと紫苑の方を伺った。

紫苑「大丈夫。妙な真似をすれば、すぐに取り押さえますから」

葵「…はい」スッ

 恐る恐る、ティルフィングをユカリに差し出す。ユカリは受け取ると、銃身やグリップ、シリンダーを観察し…おもむろに、人型の標的に銃口を向けた。

ユカリ「口径は、アタシのよりちょっと大きい。ジョイントの精度が高いから、シリンダーギャップが小さい分、反動も大きい。ただ、そのお陰で反動の予測もしやすくてェ…」

ズガァァンッ

 ユカリは衝撃に合わせて、腕を動かした。

ユカリ「っ、こ、これなら…」

 粉微塵になった標的。ユカリは震える息を吐いた。

葵「ど、どうやったの?」

ユカリ「腕で反動を逃がすのよォ? やってなかった?」

葵「やってはいたけど…」チャキ

 葵は、いつものコルトSAAを構え、別の標的に向けた。

葵「」バンッ バンッ

ユカリ「ううん。力で抑え込んでるわねェ。幼女の腕力で、それくらいなら耐えられるけど、コイツは無理よ」

 ティルフィングを構え、葵の撃った標的を狙い撃つ。

ユカリ「」ズガァァンッ

ユカリ「っ、に、逃しても、キツ…」ゾクゾクッ

 ユカリの目に、怪しい光が宿ってきた。口角が釣り上がり、唇によだれが垂れたのをみて、紫苑はその手からティルフィングを奪い取った。

紫苑「もう結構。…篠崎陸曹長、覚えましたか」

葵「はい」コク

紫苑「良いですね。では牢に戻りましょうか」



安価下コンマ ゾロ目で…

ガチャン

ロル「…なに、もう戻ってきたの」

ユカリ「ごめんねェ…」ギラギラ

ロル「! …許す♡」

リュイア「…Generale. リュイアたち、いつまでここにいる?」

紫苑「…」

 リュイアの問いかけに、紫苑は黙って彼女の顔を見つめた。

紫苑「…それは、総理の判断によります」

春華「ま、ままままさか…しょ、しょけ…」

紫苑「『幼女は、皆仲良くすること』…総理の定めた、新日本国憲法第一条です。国防のためとは言え、わたしたちが独断で、幼女を殺害することは許されていません」

葵「え、そうなの?」

春華「よ、よかった~…」

紫苑「…ですが、貴女がたはそれを破っています」

春華「っ!」

ユカリ「…」

ロル「…けっ」

 紫苑は、肩を竦めた。

紫苑「ですので、その辺りも踏まえて、総理のご判断を仰ぐことになります」

 そう言うと紫苑は、牢に背を向けた。

紫苑「では。…行きましょう、篠崎陸曹長」スタスタ

葵「…! はいっ」タッタッタッ…



朱音「…これが…『この人』が…わたしが、この国を作った理由」

絵里「! こ、この人…」

 白い花で飾り付けられた、小さな部屋。その中央に安置されたガラスの棺に横たわる人物を見て、絵里が息を呑んだ。

朱音「絵里は会ったことあるよね。…わたしの、『お父さん』」



 病室に戻ると、崩礼が待っていた。

崩礼「よう、探したぞ」

葵「ジムに行ってた」

崩礼「そうか」

 崩礼は、葵の右手を見て言った。

崩礼「ギプスが外れたようだな」

葵「うん」

崩礼「リハビリもあるだろうが、少しずつ訓練にも復帰してもらうぞ」

葵「! うん、分かった」

 葵は頷いた。それから、崩礼の制服に付いている階級章を見て気づいた。

葵「…昇進したの?」

崩礼「良く気づいたな。この前の作戦で、偉い奴らの避難に貢献したとかで、3等陸尉になった。朝倉は3等陸曹、上羽と乙坂は陸士長だ」

葵「それは…おめでと」

 その前に離脱した葵は、当然昇格も無い。複雑な思いで祝福すると、崩礼は肩を叩いた。

崩礼「タイミングの問題だよ。それ以上でもそれ以下でもない」

葵「…うん」

崩礼「そんなことよりお前、幕僚長と何やら楽しいことしてるみたいじゃねえか。ええ?」

葵「!」

 葵はどきりとした。幕僚長に連れられて基地を歩くところを、誰かに見られたのだろうか。

崩礼「…気を付けろよ」

葵「えっ?」

崩礼「普通科の佐山なんかはべた褒めしてやがるが、俺から見れば幕僚長は一筋縄じゃいかねえ…どうにも、何か抱え込んでる気がする」

葵「信用できないってこと…?」

崩礼「そんな極端な話じゃねえよ。ただ、何も考えずにほいほい従う前に、本当にそいつの言う通りにして良いのか、考えたほうが良いってことだ。…ま、それは誰に対してもそうか」

葵「崩礼隊長が相手でも?」

崩礼「お前、元々俺に対して、そこまで従順じゃないだろ」

葵「…ふ」

 葵は、思わず吹き出した。少し、心が軽くなった気がした。



安価下1~3でコンマ最大 崩礼との話題、行動など

崩礼「さて、と…」

 崩礼は、葵に背を向け…

崩礼「ギプスも外れたことだし、風呂に入るか」

葵「行ってらっしゃい」

崩礼「っ、お、お前も来いよ」

葵「えー…」

 この間まで、清拭やシャワーばかりで、久しぶりに湯船に浸かりたい気持ちはある。だが、崩礼がついてくるのは…



安価下 どうする?
①行く

②行かない(後で行く)

③行かない(行かない)

④その他要記述



 数分後。葵と崩礼は、大浴場の脱衣所にいた。崩礼はさっさと制服を脱ぎ、葵よりも小柄で、痩せ細った裸体を晒しながら言った。

崩礼「脱がないのか?」

葵「ぬ、脱ぐけど…」

 崩礼の視線を気にしながら、葵は病衣と、白い下着を脱いで裸になった。裸を見られるくらい、何も思わなかったはずだが、先日、看護官に触れられた感触を嫌でも思い出してしまい、お股の割れ目が疼いてしまう。

崩礼「じゃ、行こうぜ」

葵「う、うん…」

 タオルを腰に当てながら、葵は浴室に入った。



安価下コンマ
01~30 混んでる
31~70 他にもいる
71~90 がらんとしている
91~00 貸し切り

 訓練が終わった頃のようで、浴室は幼女たちで混み合っていた。どうにか空いているシャワーを探すと、崩礼と離れて座った。崩礼はかけ湯して、先に湯船に入っていった。
 ひとまず、良からぬことを考えていそうな人物と離れたことに安堵すると、葵は身体を洗い始めた。

葵「…」ゴシゴシ

 いつものように右手で身体を洗うと、あっという間に疲れてしまった。見比べると、やはり右だけ細い。

葵「…元に、戻るかな」

 1ヶ月はリハビリが必要と言われたが、崩礼の口ぶりだともっと早く戻れそうだ。それに、訓練だってリハビリになるはず。早く、8班に戻らないと。



 翌朝。起床ラッパの音で目を覚ますと、葵はいそいそと病衣を脱ぎ、制服に着替えてみた。まだ復帰の時期は聞いていないが、いつでも戻れるように生活習慣を戻していかなければ…



安価下 どうする?
①外出

②ジムでトレーニング

③寝る

④その他要記述

くぎる



 せっかく着替えた制服を体操服に替え、葵はジムにやってきた。穴掘り前に、取り敢えず人並みの動きができるように戻しておかないと。昨日、幕僚長から勧められたように、自重で腕立て伏せからやってみよう。



安価下コンマ
01    サイレン
02~30 こんなに重かった…?
31~60 頑張った
61~90 ラセン隊長だ
91~00 幕僚長オリジナルの…?



葵「んーっ、しょっ、うんーっ、しょっ…」ググッ

 一度折れて縮んだ腕には、幼女の体重すら苦しかった。どうにか回数をこなすと、葵はマットの上に倒れ込んだ。

葵「ふぅ…もう、無理…」

 左手を突いてどうにか立ち上がると、不意に目の前にプロテインシェイカーが差し出された。

由依「お疲れ様、葵ちゃん」

葵「由依…真姫も」

真姫「何だか、久しぶりだね…」

 由依の手からシェイカーを受け取ると、葵は中身を飲み干した。

葵「んぐ…っは。ごちそうさま」

由依「リハビリ、頑張ってるみたいだね」

葵「ん」コクン

由依「崩礼隊長から伝言だよ。…明日の訓練から、葵も参加するようにって」

葵「! 分かった」

 葵は頷いた。

真姫「明日、いつもの訓練所で待ってるね」



葵「ふぅ…」

 額の汗を拭い、レッグプレスから降りた。訓練への復帰を受けて、いつも以上に張り切ってしまった。ぱんぱんに張った太ももを擦りながら、葵は自分でも不思議な気持ちになった。
 元々、葵は活発な方では無かった。家にこもって、ロボットアニメを見ているのが好きだった。そんな彼女が、バリバリ体育会系の自衛隊に飛び込み、訓練に精を出しているのは、どういうわけだろう…



安価下1~3でコンマ最大 食事、入浴中の出来事



葵「ふぅ…」ポチャン…

 湯船に浸かり、ほっと一息。痛めつけた筋肉が、じんじんと温かい。若者は、翌日筋肉痛になる。もっと大人になると、数日経って筋肉痛になるらしい。
 幼女は、その日のうちに筋肉痛になる。

葵「ふぁ…ん?」

 両腕と両脚に痛みが広がるのを感じながら欠伸をすると、不意に湯船の向こうに知った顔があるのに気付いた。

葵「初…」

 声を掛けようとして、二人の間に邪魔が入った。



「乙坂、ここにいたの」「遅いじゃーん」「ねえ、今日約束してたよね?」

初「あ、あっ…」ザバッ



 湯船から引き上げられる初。それでも、特に抵抗するでもなく、初は3人の幼女と共に浴室を出ていった。

葵「…?」



安価下 どうする?
①追いかける

②追いかけない

③その他要記述



 初と3人の幼女を、後ろからこっそり追いかける葵。
 辿り着いたのは、初の部屋であった。

葵「初って、同室いなかったよね…?」

 3人は当然のようにドアを開け、初を連れて部屋に入ると、ドアを閉めた。すぐに、ガチャンと鍵を掛ける音がした。

葵「…」

 そっと、ドアに耳を当てる。



「…ねえ、玉置隊長とはヤったの?」「してない、です…」「嘘つけ。篠崎にフラれたから、代わりに乙坂を隊に入れたんでしょ」「ほ、ほんとにしてないですって…」



葵「…」

 葵は、眉をひそめた。崩礼と、何をするのだろう? それに、何故自分の名前が出てくるのだ…?
 聞き耳を立てていると、1人が言った。



「お喋りはもう良いでしょ。…ほら、脱いでよ」「は、はい…」



葵「!?」



「10分で交代ね」「ねえー、早く舐めてよ」「じゃ、あたしは舐める」

「はい…ん、れろっ…あ、あっ♡」



葵「…?????」

 初たちは、一体何をシているんだ…?



安価下 どうする?
①もう少し聞く

②ノックしてみる

③突入

④その他要記述

葵「…」グッ

 葵は、ドアノブを握り…捻って、ドアを開けた。葵は、『鍵のかかっていない』このドアを見たことがある。だから、それを『再現』したのだ。

葵「何してるの!」ジャキッ



「…うわっ!?」「なっ、何よアンタ!?」

 そこにいたのは、全裸で仰向けになった初と、その顔に跨る下半身裸の幼女と、初の脚の間に顔を埋める幼女と、向かいのベッドに腰掛ける幼女……



葵「…うっ、初から離れて!」ジャキッ

 混乱しながらも、葵は両手にリボルバーを構えて叫んだ。

「うるさいわね、アンタ、何なのよ!」

「…あっ、もしかして、お前が篠崎」

「…ふーん、そういうこと」

 向かいのベッドに座っていた幼女が、にやにやしながら言った。

「乙坂、玉置隊長じゃなくて、篠崎とヤってたんだ」

葵「ヤってたって、何を」

 右手がきつくなり、葵は左手でリボルバーを向けた。

「とぼけちゃって。ほら、今やってること」

「れろ…っ♡」

初「あっ、あぅ…♡」ビクッ

 裸の割れ目を舌で舐められ、竦み上がる初。

葵「!? はっ…離れてって、言ってるでしょ!」

「何でさ? こんなに、気持ちよさそうにしてるのに…」

 股間を舐めていた幼女が、初の割れ目を指で広げた。そうして、小さなピンク色の穴に指を突っ込むと、奥から透明な汁を掻き出した。

初「ひゃぁ…あぁっ…♡」プルプル

「ちょっと、舌がお留守よ!」グイッ

初「はぶっ…れろ、ぇろ…っ♡」

「あぁんっ…もっとぉ…♡」ゾクゾクッ

葵「う、初…?」

「…ねっ」

 傍観していた幼女が、葵の肩に腕を回した。反射的に振り払うと、彼女は言った。

「うちら、こうして『仲良く』してるだけだから…篠崎だって、玉置隊長とヤったんでしょ?」

葵「や、やってない!」

 事ここに至り、葵はようやく、崩礼の言っていた『営み』の意味を理解した。崩礼は、拒まれると潔く諦めて、最近は言い寄ることも無いが、もう少し聞き分けが悪ければ、今頃葵は…

葵「…で、でもっ、初、1人で3人を」

「えー? だって、乙坂が良いって言ったんでしょ?」

「そうそう…んっ♡」「じゅるるるっ、じゅっ♡」

初「あっ、あっ♡ あむ、んんぅ…♡ んっ、あぁっ…♡」



安価下1~3でコンマ最大 どうする?
①見逃して帰る

②全員ぶっ飛ばす

③混ざる

④その他要記述

葵「…」ツカツカ ギシッ

「おっ、篠崎も混ざる?」

初「あ、あおいちゃ…」

 葵は、初の横たわるベッドによじ登ると…

葵「」ガシッ

「い゛っ!?」

 初の顔に跨る幼女の後頭部を左手で掴み、そのまま前に引き倒した。

「いだっ!?」「あ痛っ!?」ゴッ

 足元側に陣取っていた幼女と、頭を打ち合わせる。悶絶する2人の間から初の身体を引き抜くと、そのまま左肩に担ぎ上げた。

初「あっ…」

葵「初は、あたしの部下。連れて帰る」ダッ

 初の身体に、パジャマを『再現』しながら、葵は部屋を飛び出した。



 宣言通り葵は、自分の部屋に初を連れてきた。幸い、葵も同室がいない。話を聞くには丁度いい。

葵「…いつも、あんなことしてるの?」

初「…い、いつも、っていうか、時々…」

葵「何で、あんなことになってるの?」

 すると初は、気まずそうに俯いた。

初「…その…ここって、お、女の子が好きな人が、何人かいて…でも、相手がいなくて…一回、頼まれて、よく分からなかったけど、やったら…なんか、増えて」

葵「嫌なら、嫌って言わないと」

初「…」コクン

 小さく頷く初。それから、前髪の隙間から窺うように、葵を見た。

初「…あ、葵ちゃんって…結局」

葵「結局?」

初「く…崩礼隊長とは…」

葵「断ったよ」キッパリ

初「や、やっぱりそうだったんだ…でも、ど、どうやって?」

葵「えっと…その時は、未汐が同室だったから、一緒に…」

初「! そっか、朝倉さんが…」

葵「後、襲ってきた時に頭に数発」ジャキッ

初「撃ったの!? 隊長を!?」

葵「それだけじゃ、諦めなかったけど…誘ってくるの全部無視したら、諦めた」

 初は、呆然としながら言った。

初「…あ、葵ちゃんは…強いです」

葵「! …」

 葵は、複雑な顔をした。

葵「…でも…それだけじゃ、何の役にも…今回の作戦も、初たちの方が活躍したし」

初「ういは、言われた通りにしただけです…葵ちゃんみたいに、自分の力じゃ何もできないです」

葵「できるとか、できないとかじゃなくて」

 脳裏に浮かぶ、毒島ユカリの姿。トンネルで。地下道で。牢屋で。射撃場で。この幼女は、幾度となく葵の目の前に現れ、その力の差を、嫌でも見せつけてくる…

葵「やらなきゃいけない…って時が、時々来るんだよ。あたしだって、勝てるから戦ってるんじゃない…目の前に敵が現れて、戦わないといけないから、戦ってる。…で、結局負ける」

初「でも、あのテロリスト相手じゃ仕方ないで」

葵「あたしには『しょうがない』って言ってもいいけど。でも、あたしは…幸実閣下に『自分が負けたのはしょうがない』なんて、絶対言えないかも」

初「! …」

 葵たちが取り逃した結果、トレイターは首相官邸前に集結した。幸実はそれを1人で制圧したが、帰投した彼女の右足の骨は、粉々に砕かれていた。治っても、杖無しで歩くことは難しいかも知れないと言われたらしく、葵もいた院内には重苦しい空気が漂っていた。

葵「だから…精一杯、強くならなきゃ。ガッタイザーだって、何回も負けて、その度に轟タイザは修行して、パワーアップしてきたんだから」

初「…はい!」

葵「というわけで、明日から訓練に戻るから。よろしくね」

初「よろしくお願いします!」

 頷く初。気が付くともう、日付が変わろうとしていた。



安価下1~3でコンマ最大 どうする?
①寝る

②その他要記述

葵「じゃあ、寝る。そこのベッド空いてるから、使っていいよ」

初「はい…」ゴソゴソ

葵「おやすみ」

初「おやすみなさい…」



安価下コンマ ゾロ目で…
安価下コンマ 01で…



カツン カツン カツン

春華「…!! なっ、何っ、今度は何!?」ガクガクガク

 春華の問いかけに…暗がりの中から紫苑は、無表情に言った。

紫苑「総理からの命令です。貴女がたを、官邸へ護送するようにと」

ロル「あそこに送って、何する気?」

紫苑「さあ?」

リュイア「…Aliceは? 無事?」

紫苑「ええ、おそらく。今回の命令も、東郷アリス…正しくは八島絵里の希望で、と」

ユカリ「ふゥん…?」

春華「リーダーが? なら、よ、良かったぁ…」

紫苑「ですが」

 突然、紫苑が声を張り上げた。暗闇の中から、光の下へまろびでた彼女の手には、一振りの日本刀。

紫苑「この国を脅かし、罪のない幼女たちを殺傷した貴女がたを、総理…たかだか1人の幼女の一存で見逃すのは、『わたしの』気が済みません。よって」スゥ…

 ゆっくりと、鞘から刀を抜く。



紫苑「___ここで、貴女がたには死んでいただきます」



崩礼「見ての通り、今日から篠崎にも訓練に復帰してもらう」

葵「よろしくお願いします」ペコリ

由依「おかえりー!」

 手を振る由依。しかし崩礼に睨まれ、さっと気をつけに戻った。

崩礼「実際のところ、篠崎はまだリハビリ期間中だ。できる限り付いてこい」

葵「サーイエッサー。…大丈夫。ついて行く」

崩礼「…」

 崩礼は、少し目を伏せ…言った。

崩礼「…お前を早く訓練に戻したのには、訳がある」

葵「訳?」

崩礼「テロリストが捕まったことで、『拡大作戦』が再開する可能性が高いと判断した」

葵「『拡大作戦』…?」

崩礼「ざっくり説明すると、人間の支配域に攻め込み、幼女の支配域を広げる作戦だ。つまり、これからの相手は人間の軍になる」

葵「…」

崩礼「この作戦は、総理の肝いりだ。テロリストが活発化してからしばらく停滞していたが、そいつらが捕まった以上、すぐにでも総理は作戦を再開したがるだろう…というのが俺の予想だ」

由依「陸自だけじゃなく、空自も参加するんだよ」

崩礼「我々塹壕班は、作戦のキーになる。よって、さっさとお前を戻し、リハビリがてら訓練をさせることにした。…異論は?」

葵「…何でもいい。早く、戻りたかった」

 崩礼は、ふっと微笑んだ。

崩礼「なら、いい」

 それから、再び険しい目つきに戻る。

崩礼「…話は以上! まずは装備の点検だ!」





安価下コンマ
01~10 訓練が終わった
11~90 周りが騒がしい
91~00 背後に



崩礼「本日の訓練は以上!」

葵「いったぁ…」ズキズキ

 おなじみの穴掘り訓練で、右腕が痛い。他の隊員と比べても、まだまだペースが遅い。

崩礼「…どうだ。調子は戻りそうか」

葵「戻す…」ズキズキ

 呻くように応える葵。そこへ、初が近寄ってきた。

初「葵ちゃん、お疲れ様です…」

葵「ん、お疲れ様」

初「ご飯、食べませんか…?」

 初は、おずおずと尋ねてきた。



安価下 どうする?
①初と夕食

②他の隊員と夕食(相手を併記)

③1人で夕食

④その他要記述

葵「うん、行こ」スタスタ

初「! はい」トコトコ

 歩き出した葵の後ろを、初が嬉しそうに付いてきた。



安価下1~3でコンマ最大 食事、入浴中の出来事



初「」モグモグ

葵「」モグモグ

葵「…ねえ」

 箸を止め、ふと葵が口を開いた。

初「ん…はい、何です…?」

葵「本当に…ただの興味なんだけど…」

 葵は、辺りを見回し…小声で尋ねた。

葵「…その、初は、嫌じゃないの?」

初「?」

葵「女の子同士って…」

初「! …」



安価下コンマ
01~30 嫌だけど…
31~60 実はそこまで…
61~90 実は自分も…
91~00 …葵ちゃん

初「…///」

 すると、初は顔を赤くして俯いた。

葵「初…?」

初「えっと、その…ほ、ほんとは、ういも『そう』で…」

葵「…!?」

 初の言わんとすることに気付き、葵は絶句した。

初「な、内緒ですよ? だから…あの子達は好き、じゃないけど…するだけなら、別に…///」

葵「そ、そうなんだ…」

 葵はしどろもどろに相槌を打つと、逃げるようにご飯を口にかき込んだ。







幸実「…」パチ

 ベッドの上で、幸実は目を覚ました。砕かれた右足が痛む。腫れが引き、手術ができるようになったことで、骨の固定が外固定のピンからプレートとスクリューに変わり、かなり身軽になった。それでも、手術の傷は痛むし、地面に右足をつけることができない。

幸実「…はぁ」ギッ

 身体を起こし、ベッドサイドに腰掛けると、柵に立てかけた松葉杖を取り上げ、立ち上がった。

幸実「よい、しょ…」ググッ

幸実「…立つのも一苦労」ハァ

 ため息を吐くと、幸実は杖を突き、病室を出た。行き先は特に無い。そもそも、こんな夜中に、怪我人が出歩くものじゃない。
 しかし、幸実は胸騒ぎを覚えていた。



カツン カツン カツン

幸実「ふぅ…ふぅ…」

 巨大化の反動で、幸実の身体はすっかり痩せている。しかしそれ以上に、筋力が落ちてしまった。病棟を出るだけで、幸実は辛そうに額を拭った。

幸実「ふぅ~…」

「…あっ、閣下!」

 病棟を出たところで、巡回の兵と鉢合わせた。

「お散歩ですか?」

幸実「そんなとこ~」

「そうでしたか。…」

 そこまで言って、兵は何か言いたげに黙り込んだ。

幸実「…な~に?」

「あの…非常に申し上げにくいのですが」



「トレイターが、牢を脱走したようで…幕僚長も、見当たりません」

くぎる



 基地の中は、混乱の渦に包まれていた。

桜「そんな…幕僚長が…そんな…」

二三「トレイターめ…4人がかりで、幕僚長を…」



幸実「…紫苑ちゃんが、あの4人にやられたとは思わないわね~」

ねね「分かってるわよ。皆、分かってる。分かってるけど…」

???「…認めたくないのである」

 紫苑の使っていた執務室にて。隊服に、何故かフルフェイスヘルメットで顔を隠した幼女が、重々しい声で言った。彼女は長虫 虹(ながむし こう)准陸将。機甲科長でもある、陸自のナンバー3であった。

虹「あの幕僚長が、テロリストと共に出奔したなど」

幸実「…」

 幸実は、ため息を吐いた。

幸実「そんな娘に育てた覚え、無いんだけどね~…」

ねね「とにかく!」

 ねねは声を張り上げた。

ねね「今は、体制を立て直さないと。閣下には、また幕僚長に戻ってもらって」

虹「だが…閣下は今、足を負傷しているが」

幸実「ここで指示出しくらいはできるわ。…」

 幸実は、椅子に深く座り直した。

幸実「…紫苑ちゃんの考えは分からないけど…トレイターを率いて、テロ行為をするとは流石に思わないかな~。それよりも、自衛隊以外で動かせる戦力を得て、何かをしようとしてるのかも」

ねね「ひどいことにならなきゃ良いけど…あ」

 ここで、ねねがふと、何か思い出したように声を上げた。

ねね「そう言えば、変な噂を聞いたんだけど…」



崩礼「…篠崎。都築科長が呼んでるぞ」

葵「科長が…?」

崩礼「この状況だ。あんまり良い用事じゃなさそうだな…俺も行こう」

葵「ん…」

 硬い表情のまま、葵は頷いた。何となく、ねねの用事は察しが付く…



 果たして、執務室に行くとねねだけでなく、幸実や見知らぬフルフェイスヘルメットの幼女までもが、ただならぬ顔で葵と崩礼を出迎えた。

ねね「何よ、玉置ちゃんまで来たの?」

崩礼「毎度毎度、俺をすっ飛ばして篠崎ばかり呼ばれるのが、いい加減ムカつくんでな。…で?」

葵「何の用事?」

幸実「…これは、噂なんだけど~…葵ちゃん、紫苑ちゃんと、毒島ユカリと、基地を散歩したって本当?」

葵「! …」

 やはり、それか。ちらりと崩礼の方を窺うと、彼女は怪訝な目で葵を見返した。

ねね「…玉置ちゃんがいたら話しづらいなら、出て行ってもらって」

葵「良い、です。…別に、散歩はしてません。けど」

虹「けど?」

 フルフェイスヘルメットの幼女が、首を傾げる。

葵「…訓練を、見てもらってました」

幸実「紫苑ちゃんは、時々そういう事するけど…毒島ユカリにも、訓練を?」

葵「そうじゃなくて…毒島に、教わりました」

ねね「はぁーっ!?」

 ねねが素っ頓狂な声を上げた。

ねね「テロリストに、何を教わるのよ!? そんなことしたら、あんたもテロリストじゃない!」

葵「あたしが、コトブキ博士から貰った銃は…毒島の銃を元に作られたんです。地下道での戦いで、上手く撃てなくて怪我をしたことを幕僚長に話したら、それなら元の銃の持ち主に撃ち方を教わろうと言われて…」

ねね「…」

虹「…閣下」

 幸実は、ゆっくりと頷いた。

幸実「…紫苑ちゃんは、そういう事する、かも」

葵「…」

 葵は、奇妙な脱力感を覚えていた。そうだ。紫苑は結局、誰に対してもそうなのだ。葵が特別なのではなく、単に目についた隊員に声をかけ、指導していただけなのだ…

虹「…幕僚長が、あの4人を鍛えようとしている可能性は?」

幸実「うちたち自衛隊を差し置いて、あの4人を指導するって…?」

虹「その…我々に明かせないような任務を任せるために」

ねね「そういうのを、テロ行為って言うのよ? …信じたくは無いけど、向き合わないといけないわ。幕僚長が、テロリストの仲間に」

メシャッ

 突然、幸実の座る机の天板が、音を立てて引き裂けた。

ねね「!?」ビクッ

幸実「…」ググッ

 幸実は、裂けた天板を握りしめたまま、手元をじっと凝視していた。彼女が、感情のままに机を引き裂いたのだ。

幸実「…ええ、ええ、そう、大丈夫…」プルプル

崩礼「…篠崎に、もう用はありませんな?」

幸実「」コク

崩礼「行くぞ」グイッ

葵「あっ…」

 崩礼が、葵の肩を掴んで執務室の外まで引っ張った。
 程なく、ねねと虹も執務室から出ていった。扉が閉まってから数秒経って…その向こうから、泣き叫ぶ声が、廊下まで響き渡った。



ラセン「どうもこうも、ないだろうっ」ギィッ ギィッ ギィッ

 目一杯重量を乗せたバーを上下しながら、ラセンは言った。

ラセン「体制を整え、訓練を続け、帰りを待つ、それだけだっ」ギッ ギッ ギッ

葵「でも…」

 右手でダンベルを保持しながら、葵は呟いた。

ラセン「幕僚長は、気まぐれな人だ。しょっちゅう執務室を抜け出しては、目についた下士官に稽古をつけたり、飯に誘ったりする」ギッ ギッ

葵「…」

ラセン「それならまだ良いほうだぞ。陸将だった頃は、誰彼構わず組手を挑んでは、一方的に叩きのめしてきたものだ。ワタシもやられた」

葵「それって、この前言ってた」

ラセン「だが、それでも不思議と上手くいくのは…あの方の芯に、揺るぎない『正義』が、あるからだと、ワタシは思うぞ」ギッ ギッ ギッ ギッ

葵「信じて良いのかな…」

ラセン「ああ。少なくとも、ワタシは信じるぞ」

 ラセンはラットプルダウンのマシンから降りると、葵の隣でダンベルを持ち上げた。

ラセン「だから、いつでも任務に就けるよう、鍛えておかねばな」グイッ グイッ グイッ

葵「…うん」ググッ



葵「…ふぅ」ガタッ

 ダンベルを置くと、葵はいつものようにプロテインを溶かして飲んだ。訓練と夕食の後に来たから、もう外は夜だ。風呂に入って寝よう…



安価下1~3でコンマ最大 夜の出来事、行動



葵「…」ジッ

 夜。ベッドの中で、葵は考えていた。

葵「幕僚長は、何で毒島たちを連れて出ていったんだろ…?」

 紫苑は、偉い。陸自の隊員は皆、彼女を尊敬しているし、命じられれば大抵のことはするだろう。では、隊員に任せられないようなことを押し付けるために連れて行ったのかと言われると、それも違う気がする。何しろ、紫苑は強い。下手したら幼女で一番強い。幸実1人で制圧できるような戦力など、むしろ足手まといにすらなりかねない。

葵「…むぅ」

 分からない。『演算』しても、人の気持ちは分からない。つくづく、肝心な時に役に立たないギフトだ…

葵「じゃあ、逆から考えたら…」

 紫苑が、現状不満に思っていて、どうにかしたいと思っていることは?
 例えば、陸自の人手不足。人間、種付けおじさん、そしてテロリスト…空自よりも、陸自の仕事は多い。いつも人手を欲しがっていると、空自の霰准空尉は言っていた。

葵「なら、逃げずに4人を入隊させれば良いじゃん…」

 他には? 例えば…自分も、総理大臣になりたいとか。常々、紫苑は朱音総理の周りが、彼女の関係者で固められていることを語っていた。テロリストのリーダーも、『例によって』総理の関係者らしい。そんな現状を、変えたいとか。

葵「あるかも…だけど、そしたら、本当に幕僚長までテロリストになっちゃったってこと…?」

 一先ずその考えを押しやり、次に浮かんだのは…

葵「…何もかも、嫌になっちゃった…?」



安価下コンマ
01~50 寝落ち
51~60 眠れない…
61~70 ノック
71~80 ノック
81~90 窓
91~99 窓
   00 頭上

葵「…」

 ベッドの中で、葵は目を開いたままじっとしていた。色々な考え…実際には、ほんの2、3個程度の考えが、ぐるぐると脳内をループする。
 眠れない…



安価下 どうする?
①無理やり寝る

②基地を散歩する

③初の部屋に行く

④崩礼の部屋に行く

⑤その他要記述



葵「…」ムクリ

 葵はベッドから降りると、靴を履いた。そうして、部屋を抜け出した。



安価下コンマ
01~10 雨
11~60 特に無い起こらない
61~90 ラセンだ
91~99 幸実だ
   00



葵「…寝よ」

 歩いたら、頭が少しすっきりした。部屋に戻ると、葵はベッドに潜り込み、すぐに眠りに落ちた…







 あれから、数週間が経った。陸上自衛隊は幸実を幕僚長代理として、これまで通りの運営に努めていた。脱走したトレイターは、再び暴れることはなく、紫苑共々どこかへ息を潜めているようであった。
 元々、総理の要請で4人を官邸に移送することになっていたらしい。他の幼女では返り討ちに遭いかねないので、紫苑自ら牢に向かった訳だ。
 表向きには、紫苑はそこで4人がかりで倒され、拉致されたことになっている。

葵「…ふぁ」

 ベッドの上で、葵は欠伸をした。一人ぼっちの部屋にも、すっかり慣れた。
 今日は久々の非番だ。どう過ごそうか…



安価下1~3でコンマ最大 どうする?
①外出

②トレーニング

③二度寝

④その他要記述

ねる
安価下

葵「…」ドサ

 葵は、再びベッドに倒れた。今日は何もする気にならない。また寝よう…



ウー…ウー…
ジリリリリリ…

葵「!?」ガバッ

ガチャ

真姫「葵ちゃん! …あっ、いた!」

葵「何があったの?」

 部屋に飛び込んできた真姫に尋ねた。

真姫「非番の子も集まってって! そして、首相官邸に出動しなきゃ」

葵「首相官邸…?」

 嫌な予感。真姫は、青ざめた顔で言った。

真姫「トレイターと…幕僚長が、襲ってきたって」



朱音「…」ジッ

コトブキ「ああもう…」イライラ



紫苑「…」ニコニコ



 大きな机を挟んで向かい合う、朱音と紫苑。怪訝な目を向ける朱音と、その隣で苛立つコトブキに対して、紫苑は張り付いたような笑みを浮かべていた。そして、その後ろではトレイターの4人が、突っ立ってじっと黙っていた。

コトブキ「…確かに、テロリストの4人を連れてこいとは言ったがね? どうして、こんな騒ぎになっているんだ?」

 コトブキが口を開いた。

紫苑「騒ぎに?」

コトブキ「とぼけるんじゃないよ。君がテロリストごと基地から失踪して、陸自が混乱しているじゃないか」

紫苑「混乱? わたし一人いなくとも回るよう、育ててきたつもりですが」

コトブキ「組織運営の問題じゃない。君という存在の損失による、精神的な打撃の問題だよ」

朱音「みんな、あなたを頼りにしてたよ。…もちろん、わたしも」

 ここで、始めて朱音が口を開いた。

紫苑「総理が? それは光栄です。ですが総理には、忠実なご友人がおられるではありませんか」

コトブキ「親衛隊だけで、治安維持ができるものか。君の能力は、誰もが認めている。総理は、君の忠誠心も買っていた。だが、君はそれを裏切ったのだよ」

紫苑「そうですか」

朱音「…」スクッ

 平然と応える紫苑に、朱音が椅子から立ち上がった。そして、その目が朱く…



バンッ ザッザッザッザッ

「動くな!!」



 突然、部屋のドアが勢いよく破られ、何人もの兵がなだれ込んできた。彼女らは朱音とコトブキに背を向け、紫苑と4人のトレイターを取り囲んだ。

「っ! ば、幕僚長…」

紫苑「お勤めご苦労。ですが、突入する場所を間違ってはいませんか? 誰も、陸自に通報など」

???「わたしがしました」

 不意に、紫苑の背後から声がした。と同時に、彼女の首元にナイフの刃が現れた。それから遅れて姿を現したのは、朝倉未汐。
 紫苑は一切動じること無く言った。

紫苑「いつ出てくるか、気になっていましたよ。朝倉2等陸曹」

未汐「もう2等陸曹ではありません。それから、無駄話は終わりです」

 紫苑の首筋にナイフを押し付け、低い声で言う。

未汐「…目的は、何? 返答次第では殺すね」

紫苑「…」

 紫苑は肩を竦めると…言った。

紫苑「ちょうど聴衆も揃いましたし、お話ししましょうか」

紫苑「まず…トレイターによるこれまでの被害を。居住地での破壊行為、5件。繁華街など、人口密集地での破壊行為、2件。幼女の負傷者、39名。死者、2名。人間の死傷者、74名。種付けおじさんの被害、計測不能」

紫苑「…少なくとも、わたしの知る人間の司法に則れば、死刑は免れない」

朱音「…そうだね」

 ここで紫苑は、4人を振り返った。

紫苑「では…何故、彼女らはトレイターを組織し、テロ行為に及んだのか」



ユカリ「…」

紫苑「毒島ユカリ。物心ついた時から、死の感覚に興味を持っていたそうです。しかし彼女の得たギフトは『繁殖』。牧場に回された彼女は、種付けおじさんに強制的に種付けされ、幼女ではなく種付けおじさんを出産したことで、そこからも不要とされた。更に、幼女の力を受け継いだことで危険視された自身の『息子たち』を、目の前で処分されたことで、遂に死に触れ…彼女は、出奔しました」



春華「はっ…はっ…」ガクガク

紫苑「桜木春華。親から虐待を受けていた彼女は、施設に保護されていました。彼女の得たギフトは『予感』。その瞬間から、彼女の人生は、降り注ぐ悪意と死の予感から逃げ続けることに全て注がれることとなりました」

ロル「…」

紫苑「大島ロル。学校で級友からいじめられていた彼女は、相手を見返すために幼形成熟BOXに入りました。そして得たギフトは『飛蝗』。姿形の大きく変わるギフトのために、またも彼女は幼女たちからいじめられることとなりました。どの職場に行っても馴染めず、最後はテロリストとなりました」



リュイア「ねえ」

 リュイアが、不意に口を開いた。

リュイア「Aliceは、どこ?」

朱音「アリスじゃなくて、絵里。絵里は…」

紫苑「___リュイア・トラメスロ」

 紫苑が遮るように、声を張り上げた。

紫苑「両親と共に、日本に旅行に来ていた時…総理による、日本征服が始まりました」

朱音「…!」

紫苑「総理の名は『幼女は引き入れ、大人は殺せ』。それを忠実に実行した兵によって、彼女の両親は殺害されました。彼女は一人、異国の戦場を逃げ惑い…八島絵里に出会いました」

リュイア「…Alice」

紫苑「どういうわけか八島絵里は本名を隠し、『東郷アリス』と名のり、彼女と行動を共にしました。そうして、当時は理化学研究所に設置されていた幼形成熟BOXにたどり着くと、両親を殺した勢力に対抗する力を得るため、密かに幼形成熟BOXへ入りました。…2人、一緒に」

コトブキ「…ふん。予想通りのつまらない結果だったね」

 コトブキが鼻を鳴らす。八島絵里から事の顛末を聞き、彼女は既にそのことを知っていたのだ。

紫苑「両親の仇を取りたいリュイア。そして、個人的に総理に用のある絵里は、幼女の支配する国で排斥された者たちを集め、トレイターを結成した…」

 紫苑が、朱音の目をまっすぐに見据えた。

紫苑「分かりますか。トレイターの始まりは、貴女の起こした戦いなのですよ」

未汐「だから、何」

 紫苑の首にナイフを突きつけたまま、未汐が冷ややかに言った。

未汐「不幸なら、何をしても許されるの? それなら、わたしたちの方が」

紫苑「彼女らを許せ、などとは一言も言っていません」

 紫苑は首を横に振った。

紫苑「ただ…総理、一人で彼女らの処遇を決めるのですか?」

朱音「…」

紫苑「貴女が事の発端だからではありません。トレイターの構成員たちは、過去に多くの人から傷を受け、多くの人を傷つけてきた。だから、その処遇は一人の意思で決められるものはありません。公平に…裁判で決めるべきです」

「…あ、あの、幕僚長」

 ここで、銃を持つ兵士の一人が、おずおずと声をかけた。

「つまり幕僚長は、この国でも、悪い人への罰は裁判で決めようと、そう言いたいってことですか?」

紫苑「ええ、そうです」

「それなら、どうしてこんなことしたんですか!」

 涙を浮かべながら叫ぶ。

「テロリストの牢屋をぶっ壊して、一緒にいなくなって…し、心配したんですからね!!」

紫苑「それはすみませんでした。ただ、総理の要求通りに身柄を引き渡せば、わたしの要求は通らなくなるでしょうし、かといって無視すれば、基地の皆さんにも迷惑がかかります。だから、誰が見てもわたしの独断と分かるよう、このような形になってしまいました」

紫苑「そもそも…話を聞くまでわたしは、牢で4人を斬るつもりでした。しかし、桜木春華が命乞いに話した内容を受け、わたしはじっくりと話を聞くことを決めました。姿をくらましたのは、時間が欲しかったからです」

「幕僚長…し、信じてました…!」

朱音「…」

 一方、朱音は困惑した顔で、紫苑と4人を見つめていた。代わりに、コトブキが口を開いた。

コトブキ「…総理のギフトは『君臨』だ。総理が上に立てば、万事上手くいくのだよ」

紫苑「上手く行っていないから、トレイターが生まれたのです」

コトブキ「だが人間の統治は、それ以上の欠陥品だった。だから総理が生まれたのだ」

紫苑「それでも学ぶべきところはあるでしょう」

コトブキ「無い!」

 コトブキが叫んだ。

コトブキ「総理も私も、そこの朝倉未汐も、大人たちのせいで大切なものを失ってきた。子供だから、親に頼らざるを得ないから…だから、我々は大人から独立したんだ! それを何故、今更、大人のやり方を真似る必要がある…」

朱音「…コトブキ博士」

 ここで、ようやく朱音が言葉を発した。

朱音「未汐ちゃん。紫苑ちゃんを離して」

未汐「…うん、いいよ」スッ

 未汐がナイフを下ろし、紫苑から離れた。

朱音「…ごめんね。わたしは、そんな難しいことは分からない」

コトブキ「総理、総理は気にしなくてもいいのです。面倒なことは私が…」

朱音「でも、あなたたちがこんなことをしたのは、結局わたしのせいだったんだね。…ごめんなさい」ペコリ

コトブキ「総理! テロリストに謝る必要など」

朱音「…紫苑ちゃん。わたし、難しいことは分からないし、興味も無いの。だから、裁判がやりたいなら、好きにしていいよ」

ロル「興味、ない…?」

 不意に、ロルが呟いた。と思うや、突然床を蹴って飛び上がり、朱音めがけて棘だらけの足を振り下ろした。

紫苑「! やめ___」



朱音「…」ギンッ



ロル「っ、ぐあっ」ドシャッ

 朱音が睨んだ瞬間、ロルの身体が空中で固まり、そのまま机の上に落下した。

ロル「クソっ…クソっ、クソっ!」

 机の上に磔けられたまま、ロルが悪態をついた。

ロル「お前らはいつもそうだ! 散々好き放題やっておいて、ごめんなさいだって? そしたら、許さなきゃいけなくなるだろうが! 本当はやられた側のことなんて、クソほども興味ないくせに…」

朱音「」ギンッ

ロル「ぐっ、うぅ…」

未汐「…」カッ カッ カッ

 未汐が机の上に上がり、ロルの元へ歩み寄った。その手には、抜身のナイフ。

紫苑「___朝倉2等陸曹」

未汐「っ!?」ビクッ

 紫苑の言葉に、未汐の動きが止まった。その隙にリュイアがロルに駆け寄り、肩に触れる。『反逆』の力でロルの拘束が解け、彼女は再び立ち上がった。

ロル「そうだ…こっちには、『反逆』がある。お前を、殺してやる…」

 その言葉に、隊員たちが一斉に銃を向けた。

「待て!」「それは駄目!」

紫苑「止めなさい! 総理を傷付けては、大義が無くなる」

ユカリ「…大義ィ?」

 不意に、ユカリが呟いた。

ユカリ「アタシたち、そんな偉そうなこと、してたっけェ?」

ロル「調子に乗らないでよ、軍人。うちらのリーダーは、アリスだけだから」

春華「そ、そうだよ…リーダーは? リーダーはどこ? 早く会わせてよ!」

朱音「絵里は…駄目」

ロル「やっぱりこいつ殺そう! ユカリ、手伝って」

朱音「絵里は、守ってるの。わたしの『お父さん』を…」







葵「…」

 首相官邸前。先日の作戦で掘り返されたコンクリートは工作科によって均され、敷地には歩兵と戦車隊が展開していた。葵たち工作科は、その後方に控えている。
 先程、先遣隊から連絡があった。中では紫苑と朱音が会談しており、少なくとも紫苑にテロを起こす意思が無いことが分かり、一先ず部隊には安堵が広がった。と思いきや、その数分後に同行していた大下ロルが総理を殺害しようとしたと通信があり、すぐさま戦車隊が前進を始めた。
 それと同時に、葵たち工作科は、総理やその他の要人たちの保護のため、官邸内へ潜入した。



安価下コンマ
01    出火
02~20 出奔
21~40 脱走
41~80 捕縛
81~99 何故?
   00 棺

ねる



ラセン「おらあっ!」ズガガガッ ボゴッ

崩礼「空いたぞ、こっちだ!」

 ラセンがこじ開けた穴から、葵たち工作7、8班の合同部隊がなだれ込んだ。



朱音「!」

コトブキ「! 総理、こっちへ!」

 コトブキが朱音を引っ張り、葵たちの方へ走ってくる。

「幕僚長! こちらへ」

紫苑「っ…毒島! 桜木! 大下! リュイア! 貴女たちも…」

ロル「…」ジャキッ

ユカリ「えいっ」ガシッ

「ぐっ!?」

 ロルの足が棘と外骨格に覆われ、ユカリは接近していた隊員からサブマシンガンを毟り取った。

「撃てーっ!」

 隊員が、一斉に4人の向けて斉射を始めた。ロルは春華を、ユカリはリュイア抱えると、弾幕の上へ高く飛び上がり、葵たちの方…朱音の目の前に降り立った。

ユカリ「大義とか、平等とか…つまんなァい!」ダダダダダダダッ

ロル「殺す! お前だけは!」ダンッ

崩礼「伏せろっ!」グイッ

コトブキ「おわーっ!?」バッ

ラセン「来い、毒島ユカリ!」

 サブマシンガンの乱射を潜り抜け、ラセンが前に進み出た。

ラセン「決着をつけてやる!」

未汐「朱音ちゃんを傷付けるのは、許さない…!」ジャキッ

ロル「殺す…お前も殺すっ!」ダンッ

ユカリ「アハハハハッ! 逢いたかった、逢いたかったァ!」ガガガガッ ガガガッ

 飛び上がるロルに、哄笑しながらサブマシンガンを撃ちまくるユカリ。春華が泣き叫んだ。

春華「駄目だってぇ! 逃げなきゃ! 逃げなきゃー!」



「もう、やめて!!」

 次の瞬間、その場にいた全ての幼女…正確には、リュイアを除いて、一斉にその場に倒れ伏した。



朱音「…」ドクンッ ドクンッ



 両目を見開き、周囲を見渡す朱音。その双眸は朱に染まり、頭上には鮮血を固めたような、脈打つ巨大な深紅の王冠が浮遊していた。



朱音「憲法、第一条…『幼女は、皆仲良くすること』…何で、守れないの?」



ロル「うちの周りで、それを守ってる奴なんていなかった…!」ググッ

朱音「だからって、あなたも破っちゃだめ」ズンッ

ロル「ぐっ、あ゛ぁっ!?」

リュイア「…」

 一方、『反逆』を持つリュイアだけは、朱音の『君臨』をものともせず、立っていた。

朱音「…リュイアちゃん」

リュイア「…」

 リュイアは…倒れ伏すトレイターの仲間たちに順に触れ、『君臨』から解放すると、朱音に背を向けた。

朱音「どこに行くの」

リュイア「帰る。また今度、Aliceに会いに来る」

春華「…はっ。そ、そうそう、帰ろ、帰ろう!」

ユカリ「…あーあ」

ロル「クソっ…ムカつくけど、リュイアから離れたら、またぶっ倒されるだけか…」

 4人は、部屋から出ていった。

ラセン「待て、逃げるな! 毒島!」

葵「毒島…毒島ぁーっ!!」

 葵も、思わず叫んでいた。また、ユカリに逃げられる。傷の一つも付けられずに…







ねね「…あたし知ってる。こういうの、『貧乏くじ』って言うのよね」

 板切れで雑に修復された袖机の前に座り、ねねはぼやいた。白い制服の階級章は…幕僚長。
 傍らで虹がなだめるように言った。

虹「仕方ない。藤島幕僚長が責任を取って辞職、戦線復帰が厳しいので富士陸将も退役…であれば、残った面々で回すしかあるまい」

ねね「長虫ちゃんがやってくれても良かったのよ?」

虹「無理だ。幕僚長は、拠点防衛に長けた者と決まっている。吾(おれ)の『サンダーピート號』は、破壊することしかできん」

ねね「はぁ~…」

 大きなため息をつくねね。虹が尋ねた。

虹「ところで、工作科長はどうなる? 貴殿が兼ねるのか?」

ねね「まさか。ちゃんと、考えてあるわよ」

 丁度その時、部屋の扉がノックされ、1人の幼女が入ってきた。



崩礼「…失礼する」

 崩礼は、自分を見つめるねねと虹を見て、それから机の上に置かれたものに気付くと…おもむろに、2人に背を向けた。

崩礼「…失礼する」

ねね「ちょいちょいちょーい!」ガタッ

 ねねは立ち上がり、崩礼を机の前に引っ張った。

崩礼「よせ、離せ! 御免被る!」ジタバタ

ねね「上官命令っ! 良いから、受け取りなさい!」

 ねねが机の上から取り上げ、崩礼に押し付けたのは、工作科長と、准陸将の階級章。

崩礼「ふざけんな、硝子川か、ラセンにでもやらせりゃ良いだろ!」

ねね「隠密行動の2班長を、あんまり表に出したくはないの。鉄山ちゃんは、どっちかというと前線に置きたいし」

ねね「何より…あんたの育成能力と指揮能力を評価してのことよ」

崩礼「…」

 崩礼が、抵抗を止めた。差し出された階級章を見つめ…尋ねた。

崩礼「…こいつを受け取ったら、俺は1班に回されるのか?」

ねね「その方が面倒が少ないけど、まあ慣習は慣習よ。好きにしたら。ただ、前線に出ることは減るから、8班長は誰かに譲ってもらうわね」

崩礼「…」







ねね「…ぶっちゃけると、あたしは藤島幕僚長みたいに強くないし、人に指図するのも上手くないかも」

 翌朝のグラウンド。壇上でねねは、隊員を見回した。

ねね「大怪我した閣下は仕方ないけど、藤島ちゃんまで辞めることはなかったんじゃないかなーって、正直思うけど…きっと、他にやりたいことができたんだと思うわ。あの人のことだから、それはみんなのためになることだと思う。だから、あたしはあたしなりに、できることを頑張るわ。一応…『守る』ことについては、ちょっとは自信あるから」

ねね「あたしからは以上! 次、長虫陸将」

 ねねが壇を降り、代わりにフルフェイスヘルメットに黒手袋を嵌め、肌をすべて隠した幼女が上がった。

虹「機甲科長の長虫虹である。この度、陸将を拝命した。それ以外は特に変わらぬ。以上」

 次に上がったのは、茶色い髪をツインテールにした、生意気そうな顔の幼女であった。

紫初「普通科長で准陸将になった、紫藤 初(しどう うい)でーす! 幸実閣下の代わりとか、マジヤバすぎだけど…ま、なんとかなるっしょー!」

 最後に上がったのは…崩礼。

崩礼「…都築科長が幕僚長に任命され、空いた工作科長を押し付けr…もとい拝命した。ついでに准陸将になった、玉置崩礼だ。はっきり言って…ここまで挨拶した奴らに比べて、俺のギフトはしょっぱい。そもそも、この中では俺だけが、幼女から生まれた幼女だしな」

崩礼「だが、前の藤島幕僚長は、ギフトに依らない能力を重視していた。俺がここに立っているのも、あの人の考えが今でもここに息づいている証拠だろう。俺のせいでそれが無くならないように、せいぜい努力する」



由依「えっ!? わ、わたしが班長に!?」

 由依は、飛び上がらんばかりの勢いで叫んだ。彼女や、隣で驚いている真姫の手には、鳴らそうとして行き場を失ったクラッカーが握られている。訓練場に現れた崩礼に、『工作科長就任おめでとう!』と言って鳴らすはずだったのだが、その前にそれ以上のサプライズをぶつけられたのだ。

崩礼「そうだ」

由依「な、何で? 葵ちゃんじゃなくて?」

葵「…あたしは」

崩礼「出撃が重なって忘れてるだろうが、篠崎は来てからまだ日が浅い。副班長として仕事を教えていくつもりだったが、その前に俺が1班に移る羽目になった」

真姫「じゃあ…やっぱり隊長、8班じゃなくなっちゃうんですね…」

 崩礼は、ゆっくりと頷いた。それから、由依を真っ直ぐに見て言った。

崩礼「朝倉。お前は、一番長く俺の8班にいた。訓練や任務を通して、俺の考え方や、自分なりの作戦の立て方も身についていると感じている。上羽ともども、後ろに引っ込みがちだから、篠崎に越されても何も気にしてなかったようだが…」

由依「いやー、別に…」

崩礼「だが、この状況だ。身につけた知識、能力は、余さず活かしてもらうぞ」

由依「あ…」

崩礼「朝倉由依! …8班を、よろしく頼む」

 崩礼の言葉に、由依が言葉を失った。その頬を、涙が伝う。

由依「…崩礼隊長…が、頑張ります!」

葵「…由依、隊長。これからよろしく」

初「よ、よろしくお願いしますっ!」

崩礼「それから、篠崎」

葵「!」

崩礼「トレイターだの、総理の護衛だの、色々スカウトされたらしいが、変わらず付いてきてくれてありがとうな。もう少し、近くで面倒を見たかったが…まあ、今生の別れじゃない。朝倉のことも支えてやってくれ」

葵「…サーイエッサー!」



「「「「いただきまーす!」」」」

エリー「はーい、めしあがー!」

 由依が班長になって最初の非番の日。8班の4人は、例のハンバーガー屋さんに来ていた。復旧はかなり進んでいたが、まだテーブルや調理器具などが揃っておらず、葵が全て『再現』したことで早速開店したのであった。

真姫「は、初めて来たけど…」

初「ここのハンバーガー、おっきいです…?」

 4人が頼んだのは、店長イチオシの『復活記念☆蘇るフェニックスチキンバーガー』。特大のバンズに、赤く色付けした鶏もも肉のグリルと紫キャベツに赤タマネギ、真っ赤なトマトが挟まった、ボリューム満点の一品だ。

由依「でも、美味しそう! あー」ガブッ

由依「ん…からくない」モグモグ

店長「赤いのはパプリカですよ。お好みで、チリパウダーもありますよ」コト

真姫「辛くないなら、食べれそう…」

葵「じゃあ、あたしはちょっとかける」パッパッ

初「あ…あー…ああ…?」

 口を大きく開けたまま、初はどこから齧り付いたものか迷っている。



安価下1~3でコンマ最大 ハンバーガー屋での出来事



由依「…」ジッ

初「」グッタリ

真姫「はぁ…」アオザメ

 食べかけのハンバーガーを前に、黙り込む8班一同。由依は完食寸前だが、真姫と初はまだ半分くらい残っている。

葵「…」モグ

由依「あ、葵ちゃん、まだいけるの…?」

葵「…ん」コク

 葵は、ちまちまとハンバーガーを齧った。

真姫「ふぇ…」

由依「葵ちゃん、やっぱり凄いや…」

葵「…」スッ

 すると、葵はおもむろにハンバーガーを置き、由依を真っ直ぐに見た。

葵「…そんなことない。由依隊長の方が、凄い」

由依「え?」

 突然の言葉に、きょとんとする由依。

葵「いきなり隊長になっても、しっかり班を纏めてる。普通科との合同訓練でも、きちんと指示を出して、7班とも戦えてた」

初「そ、それは…ういも、そう思います!」

 事実、一介の下士官から、短期間で准陸尉まで昇進し、班長まで任されたにも関わらず、由依は他の班長や隊長と遜色ない指揮を行っていた。

由依「それは…崩礼隊長に、色々教わったから」

葵「教えられたことができるのは、凄いよ」

由依「そ、そうかな? えへへ…」

葵「だから、ハンバーガーももっと食べられるはず」

由依「ぅえっ!?」

真姫「はず…」スッ

初「お、お願いします…」スッ

由依「む、無理無理、それは無理だって~!!」



由依「」チーン

葵「…」ジッ

 結局、エリーや店長にも手伝ってもらって、どうにか完食することができた。やたらハイカロリーなハンバーガーばかり開発する店長だが、彼女のギフトは『燃焼』で、食べたものをたちまち消化してエネルギーに変えてしまうことができるのだそうだ。

店長「ありがとうございました!」

エリー「また来てねー!」フリフリ



初「うっ、うぅ…」ヨロヨロ

真姫「あっ、揺れたら、出る…うぷっ」

由依「ど、どうする? 帰る?」

葵「もうちょっと、門限まであるけど…」



安価下1~3でコンマ最大 どうする?

初「…」ピタッ

真姫「初ちゃん、無理そうです…」

由依「じゃ、とりあえず基地に帰ろっか」

葵「ん。…初、真姫、先行ってて」

真姫「うん。初ちゃん、ゆっくり歩こ」

由依「じゃあ、あたしも」

葵「由依、待って」

 2人を追って歩き出そうとした由依を、葵は呼び止めた。

由依「どうしたの? 葵ちゃんもきつい?」

葵「ううん。…さっき言ったの、本当だから」

由依「? …ああ」

 葵の言わんとする事を察し、由依は微笑んだ。

由依「…ありがとね」

葵「…ん、じゃあ行こ」ドン

由依「…んっ!? うっ、や、ば、出る…」

葵「!? やっぱストップ、ストップ…」



絵里「…」ジッ

 地下室にて。花に埋もったガラスの棺を、絵里はじっと見つめていた。
 そこへ、一人の人物が入ってきた。

お兄ちゃん「…や、やあ」

絵里「…」

 絵里は、おずおずと入ってきたこの建物で唯一の男を、無表情に見返した。
 お兄ちゃんは絵里の隣に立ち、棺に横たわる人物に手を合わせた。

お兄ちゃん「…」

絵里「…この人が誰か、聞いた?」

お兄ちゃん「うん。…朱音ちゃんの、お父さんだって」

絵里「の割には、ジジイ過ぎだって思うだろ」

お兄ちゃん「…」

 口さがない絵里の言葉に、お兄ちゃんは苦い顔をした。絵里は気にする風もなく続けた。

絵里「…本当の親父じゃないんだよ。朱音を引き取った、育ての親なんだ」

お兄ちゃん「えっ?」

 お兄ちゃんは、どきりとした。

絵里「朱音…小4の途中までは『島崎 朱音(しまさき あかね)』だった。親父がいなくて、母親も殆ど家に帰らねえってんで、いっつも汚え服着て、勉強もしないで遅くまで公園で遊んでた。それで、クラスの連中にいじめられてた。…っていうか、アタシがいじめてた」

お兄ちゃん「! それは…」

絵里「だけど、ある日いきなり『鷹栖 朱音』になって、担任の態度が変わったんだよ。ずっと知らんぷりしてた癖に、やけに庇い立てして、アタシらを怒鳴ったり。訳わかんなかったけど、それから何日かして…」

 ガラスの棺に目を遣る。

絵里「…この人が来た。警視総監だか、刑事局長だか…とにかく、警察の偉い奴だった」

お兄ちゃん「この人が…朱音ちゃんの、お父さんが…?」

 絵里は、頷いた。

絵里「ホームルームから、何時間も喋ってたよ。何だったかな…確か、”いじめは犯罪だ!”から始まって…クソみてえな話を。でも、聞き終わって、ムカついたけど、それが収まったら、なんだか今までやってたことが馬鹿らしくなって。担任に言われるまま、朱音に謝った」

お兄ちゃん「朱音ちゃんは、許してくれた?」

絵里「口じゃあな。でも、その後から何回か、一緒に遊ぶことがあったから、多分本当に許してはくれたんだろうな」

お兄ちゃん「良かったね」

絵里「…」

 絵里は鼻を鳴らすと、棺に手を置いた。

絵里「…なのに、あんなことしやがって…親父さんが喜ぶわけねえだろ…!」



ねね「総理の命令で、領土拡大作戦が再開されることになったわ!」

 いつもの朝礼の場に出てきた、ねね幕僚長が宣言した。

ねね「トレイターの4人は逃げちゃったけど、一番危ないリーダーを押さえられたから、再開できると判断したそうよ。でも、国が手薄にならないよう、巡回も強化されることになったわ」

 ここで、新しく普通科長になった、紫藤初が壇上に上がった。

紫初「はーい、ちゅうもーく! 現在、我々の持ってる領域はここ!」

 下に控えていた幼女が、何らかのギフトで空中に日本地図を投影した。その、関東地方から東北の南側にかけてが赤く染まる。

紫初「で、人間たちの今の首都はここ!」

 大阪の辺りが黄色く光る。逆に、東北の北の方から北海道にかけては灰色に染まった。

紫初「首都から取り残された、ここより北東の方は、南下してきたガイジンに占領されちゃったみたい。奪い返しても、住民は日本語通じないからパス! よって、西に進みまーす!」

虹「現在、人間の軍は関東山脈に防衛ラインを設けている」

 一緒に上がった虹が言った。フルフェイスヘルメットに阻まれているが、中にマイクが仕込まれているのか、声がよく通る。

虹「山道は意図的に整備されていないため、大型車両は使えん。吾のサンダーピート號もだ。更に、落とし穴や網など初歩的だが厄介なトラップが多く仕掛けられている。よって、工作科を中心とした連隊を編成し、防衛ラインの突破を図る」

こっちの鷹栖さんは長官よりは地位が下がる。当然幼女に手出しもしてない



崩礼「基本的に、工作科のやることは決まっている。まず1班が拠点の確保、設営を行う。3班が通信を確保した後、4、5、6班が障害物や罠の解除、整地を行い、7、8班が整地された戦場を、こちらに有利な地形に作り変える。その間に起きた障害は、適宜2班が処理する」

崩礼「今回、侵攻するのはモロに敵の陣地だ。よって基本に忠実にいく。俺自身、科長としての指揮は初めてだからな」



由依「というわけで、あたしたちの出番はもうちょっと後になるみたい」

 7、8班の列に戻ってきて、由依が言った。

ラセン「資機材節約の為、実戦的な訓練はしばらく延期し、消耗しない程度のトレーニングに抑える。今日はマラソンだ!」

葵「消耗しない程度の…?」ボソ



安価下コンマ
01~05 街に
06~30 消耗
31~60 こんなもんか
61~80 来客
81~95 何でここに
96~00 お前は…



葵「はぁ…はぁ…」ドタドタ

初「ひぃ…ふぅ…」ドタドタ



ラセン「…今日はここまで!」



葵「はぁ…お、終わった」グタッ

ラセン「すぐに立ち止まるな! 少しずつ速度を落とすのだ!」

初「ひぃ…」

葵「しょ、しょうもう、してるし…」

 訓練に復帰してしばらく経つが、まだまだ体力は元通りにはならないようだ。



真姫「葵ちゃん、初ちゃん、ご飯行こ」

葵「ん。由依は?」

真姫「ラセン隊長と打ち合わせだって」

葵「そう…」

初「後から、来ますよね…」



安価下1~3でコンマ最大 食事、入浴中の出来事



葵「サバと、鮭と…」カチャ カチャ

 カウンターでおかずを選んでいると、由依とラセンもやってきた。

真姫「あ、早かったね」

由依「うん。戦況が分かってから考えようってことになって」

ラセン「一先ず、特に変わりがない限りは今日のような訓練を続けるということだ」

 いつの間にか7班の退院たちも集まってきて、大テーブル一つを囲む集団になった。
 そのまま、7、8班合同で夕食が始まった。



安価下コンマ
01    首相官邸で…
02~10 激辛卵焼き
11~30 7班の副班長が絡んできた
31~50 崩礼の話題に
51~70 今日の卵焼きは当たりだ
71~90 静流が話しかけてきた
91~99 お兄ちゃん!?
   00 何でここに



ラセン「」ガツガツ

 大きな皿に、ハンバーグやらフライドチキンやらポテトサラダやら、山盛りに積み上げては平らげるラセン。

葵「あ、相変わらずすごい食べるね…」

ラセン「んぐ…食えるときに食わねばな。はぐっ…」モグモグ

葵「うん…」モグ

葵「!」

 恐る恐る卵焼きを口に入れ、葵は目を見開いた。激甘だったり、逆に塩辛かったり、ブレの激しい卵焼きだが、今日のは当たりだ。醤油が効いていて、それでいてほんのり甘い。

ラセン「…おっ、今日のは当たりか! どれ、では久々に試してみるか…」スクッ

 ラセンが、空の皿を持ってカウンターへ向かった。

葵「…え、あたし毒見係?」

静流「…基本、ラセン隊長は卵焼き食べない」

葵「!」ビクッ

 いつの間にか、隣に座っていた静流が、ぼそっと言った。

静流「篠崎陸曹長が美味しそうに食べてるから、自分も食べたくなった」

葵「そ、そうなの…?」



葵「おやすみ…」

 部屋の電気を消すと、葵はベッドに潜り込んだ。



安価下コンマ ゾロ目で…



ねね「おはよう! 玉置ちゃんから報告が届いたわ!」

 朝礼にて、ねねが言った。

ねね「既に本拠地と通信設備の設営は完了。山中のトラップ解除が急ピッチで進んでるわ。妙なことに敵兵士と全く会わないらしく、警戒しながら作業を進めているところよ」



ラセン「どうやら、我々の出撃も近そうだ。敵がいないのなら、直接歩兵を進めても良さそうだが、玉置『閣下』はあくまで用心深く行くようだ」

由依「というわけで、今日もマラソン! でも昨日よりは軽めにいくね」

 由依の号令で、7、8班の隊員たちが走り出した。



安価下コンマ
01    首相官邸が…
02~50 出撃だ
51~99 特に何も起こらない
   00 どうしてここに



由依「…今日はここまで!」

真姫「結局、呼ばれなかったね」

葵「トラップの撤去が長引いてるのかな…?」

由依「じゃあ、ご飯にしよっか!」



安価下1~3でコンマ最大 食事、入浴中の出来事

(そんな何回も同じ安価出しても思いつかんよね)

(先に進める前に別の募集を)



安価下1~3で次の>>1のコンマに一番近いやつと遠いやつ 3班と4班の班長 名前と容姿、ギフトは必須 どっちをどっちに採用するかはこっちで決める

名前:紅月 ホムラ(あかつき -)
容姿:毛先が赤いグラデーション風のオレンジ天パショートで青眼。低身長だが全体的に筋肉質なスリム体型
性格:短気で喧嘩っ早いが真っ直ぐで情と義にアツい性格。己が身を張ってでも仲間や配下を見捨てるマネを基本的にしないので信頼を得やすい
ギフト:「炎」自分の身体から炎を出したり、エンチャント式に拳や足に炎を纏って攻撃したりする

あといっこ
次の更新までになければこれを加える



平木 柔(たいらぎ やわら)
12歳
黒髪を後ろで一つに括った、歳の割に筋肉質で長身の幼女。制服や隊服は道着風に改造してある。
ギフト『緩衝』:物理的な衝撃を体内に吸収し無効化する。打撃が効かないだけでなく、持ったものを揺らすこと無く運ぶことができる。

こんま



崩礼「…」ジッ

 机の上に広げられた地形図と、回収した縄の罠を見て、考え込む崩礼。傍らに立っているのは、ブロンドをセミロングに伸ばした、発育の良いコーカソイド幼女と、隊服の上を道着めいて黒帯で縛った、黒髪の幼女であった。それぞれ、3班長のロナ・シュミット3等陸佐、4班長の平木 柔(たいらぎ やわら)1等陸尉という。

崩礼「…はぁ」

ロナ「…あ、あああ、Ah…」

崩礼「何だ」クルッ

ロナ「Aieee!?」

崩礼「いちいち叫ぶな」

 崩礼は、怯えるロナに、ため息混じりに言った。それから、柔に目を向けた。

崩礼「…で、これ以上のトラップは出てこなかったと」

柔「はい」

 無表情に頷く柔。自分より下から、突然遥か頭上に上がってきたこの新科長を、彼女は値踏みするように見ていた。

柔「いい加減、7、8班を出しては」

崩礼「敵を落とし穴に嵌めたい時、どうするか知ってるか」

柔「…」ジッ

ロナ「Ah…make the road…お、落とし穴じゃない、の道、通れないに、する…?」

崩礼「罠を警戒してない相手なら、それで十分だろう。だが、もっと用心するのなら」

柔「閣下。ことは一刻を争いますよ。勿体ぶらずに話しては」

崩礼「…」チッ

 崩礼は舌打ちすると、言った。

崩礼「…手前に、バレバレの穴を掘るんだ。そいつを避けて、何だこんなもんかと油断して、踏み込んだ足元に本命があるってことだ。つまり」

柔「つまり?」

崩礼「おい、ことは一刻を争うんだろ? …つまり、こんなしょうもないトラップの一歩先に、致命的なやつが埋まってる可能性があるってことだ。分かったら、さっさと作業に取りかかれ!」



 翌朝。7班と8班は、以前行った戦略ゲームを行っていた。

ラセン「丸山、前へ」

真姫「えっと…初ちゃん、右に…それから」



安価下コンマ 60以上で…



ラセン「…これで詰みだな」

由依「うぅ…」

 2人がかりで、盤の隅に追い詰められた初。糸玉で片方を阻んでも、もう片方が攻撃して終わりだ。葵は序盤に倒され、真姫は遠くに追いやられている。

ラセン「まだまだ視野が狭いな。戦場の隅々まで気を配るのだ」

由依「はぁい」



ラセン「しかし、今日こそは出撃だと思っていたのだが」

由依「ラセン隊長、聞きました? トラップの先に」

ラセン「ああ」

 ラセンは、重々しく頷いた。

ラセン「地雷が埋まっていたらしいな」

葵「地雷…!?」

ラセン「玉置は警告していたらしいが、油断した4班の数名が負傷したと」

真姫「折角、崩礼隊長が注意してたのに…」

 ラセンは溜め息を吐くと、言った。

ラセン「下り坂の地雷だ。撤去は危険で、かなりの時間がかかる。長虫閣下のサンダーピート號で均そうかという意見もあるらしい」

葵「じゃあ、あたしたちの出番はまだまだ先?」

 すると、ラセンは首を横に振った。

ラセン「いや。長虫閣下が出るのなら、『道を開ける』必要がある。機甲科にそれ用の部隊はあるが、この状況だ。我々も駆り出される可能性はある」

葵「へぇ…」

 頷きながら、葵はふと、件の『サンダーピート號』なるものがどんなものなのか気になった。地雷を踏んでも平気で、出撃に大変な準備が必要で、専用の部隊まで用意されていて…

葵「…かっこいい…」ボソッ



安価下1~3でコンマ最大 食事、入浴中の出来事

4班はまだ前線なので基地で会うことはない

あといっこ
安価下



葵「…サンダーピート號…」ボソ

 食堂で夕食を摂りながら、葵はふと呟いた。

葵「ラセン隊長は、見たことある?」

ラセン「んぐ…ああ、あるぞ。2回くらいだが」

初「ういは、見たことないです…」

静流「サンダーピート號は、長虫閣下と一緒に自衛隊に配備された」

 ラセンの隣に座っていた静流が、口を挟んだ。

静流「閣下がいないと、出撃どころか、コックピットを開けることもできない」

葵「つまり、専用機…!」キラキラ

ラセン「だが、ドリルは付いていない」

 目を輝かせる葵とは反対に、ラセンは不満げだ。

ラセン「それどころか、装備らしい装備が一つもない。ただデカくて、硬くて、前に突き進むだけだ」

由依「へぇ…それって不便じゃないですか?」

静流「超大質量による突進だけで、十分な攻撃力を持っているとも言える」

葵「めちゃめちゃ尖ってる…」キラキラ



虹「…」ジッ



「オーライ! オーライ!」「もうちょっと右! そこからまっすぐ!」「進路に誰もいないな!?」



 並列接続された2台のトレーラーに曳航される、巨大な黒いコンテナを、虹は少し離れたジープの荷台から見つめていた。隣に座っているのは、戦車部隊長の網走巌2等陸佐。

巌「いつ見ても、壮観でありますな。流石に閣下は、慣れておられるでしょうが」

虹「ふむ…」

 真っ黒なフルフェイスヘルメット。白い制服の下には、インナーを纏い、黒手袋に黒ブーツまで嵌め、表情はおろか顔色すら伺い知れない。彼女の素顔を見たものは、陸自にすら巌含め数名しかいない。

虹「吾は大抵、あれの操縦席にしかおらん。こうして外から眺めるのは、吾にとっても新鮮だ」

巌「そうでしたか」

 相槌を打つと、巌は通信機を耳に当てた。

巌「こちらは戦車部隊長、網走。整地の進捗はいかがですか。どうぞ」



”こちらは工作7班長、鉄山。ヤギさんポイントまでのルートは確保。あと20分程度で、コンテナ展開可能な広場の整地が完了する”



巌「了解。サンダーピート號の現着は3時間後。整地完了したら、現着までしばらく休憩していなさい。どうぞ」



”了解”



虹「鉄山は、よく働くな。同期の玉置に先を越されて、焦ってはいないか」

巌「玉置の昇進は、事故みたいなものです。むしろ巻き込まれずに済んだと思うべきでしょう」

虹「だが…入隊した頃の奴の野心を、吾は今でも覚えているのだ」

巌「であれば、その野心を藤島さん…前の幕僚長が徹底的に叩き潰したことも、覚えておいででしょう」

虹「潰れるかな? 奴が…」

 ヘルメットに内蔵されたマイクに溜め息が当たり、がさがさと音を立てた。



由依「よーし終わり!」

真姫「できたぁ…」

 山道の入り口を広げ、道を踏み固めて、丸い広場が出来上がった。ここに、長虫陸将のサンダーピート號を積んだトレーラーが到着し、出撃の準備をするのだという。

葵「普通に、基地から走ってきちゃだめなの…?」

ラセン「実物を見れば、我々が何故こんな苦労をしなければならんのか、嫌でも分かるぞ」

葵「おお…」ワクワク

 ラセンの言葉に、葵はむしろ目を輝かせた。

由依「じゃあ、閣下たちが着くまではきゅうけーい!」

 由依が宣言した。



安価下1~3でコンマ最大 休憩中の出来事、行動

安価付かないしコンマにしよ

安価下コンマ
01~05 小競り合い
06~15 このレーション…
16~40 特に何も起こらない
41~80 崩礼が見に来た
81~99 何故ここに?
   00 何故ここに…?



 整地した広場の隅で、レーションと一緒に持ってきたクッキーを齧っていると、山道の方から他の班の隊員たちが降りてきた。最前線で、トラップの撤去に当たっていたグループだ。
 最後に降りてきたのは…



崩礼「…お」



由依「崩礼隊長! …じゃなかった閣下!」

 由依を先頭に、8班の隊員たちが駆け寄った。

崩礼「よう、整地は済んだか」

ラセン「この通りだ。そちらの撤去は? 『閣下』」

 わざとらしく強調しながら、ラセンが尋ねる。

崩礼「見ての通りだ。あのクソデカムカデに轢かれちゃ、たまらねえ」

 それから、ニヤニヤしながらラセンの顔を見つめ、おもむろに目の周りを指でなぞった。そこには、くっきりと黒い隈が浮かんでいた。

崩礼「…見ろよ。ギフトも使ってねえのに、目の周りの黒いのが消えなくなったぜ」

真姫「寝てないんです…?」

崩礼「まあな。ひでえ話だぜ。平木のやつは言う事聞かねえし…」

ラセン「覇気が足りんのだ、覇気が」

 ラセンが鼻を鳴らす。崩礼は黙って肩を竦めた。それから、不意に葵の方を見た。

崩礼「…腕はもう元通りか、篠崎」

葵「ん」コクン

崩礼「朝倉班長とは、上手くやってるか」

葵「ん。崩礼隊長よりも上手くやってる」

崩礼「っ…そ、そうか…」

柊に関しては過去の判例で「通報されないと判断された時はVPNを使わない」んだが、通報されることが目に見えていると判断した場合、村が終了する前にVPNを使って回避しているんだ。
つまりこいつ「通報されるとわかっていて無駄な奇策利敵をやっている」ことになる。
通報される前にVPNで逃げる事がわかっている時点で確信犯なので、マジで入れない方がいい。
実際問題、それの関係で多くの村民に嫌われているし、流石に入れない方が賢明だ。



 それから約2時間後。向こうの方から、地響きの音が近づいてきた。

崩礼「! 来たか」

葵「…」ドキドキ

 やがて、地平線の向こうから、横並びで走ってくる2台のトレーラー、そして、それに曳行される巨大な黒のコンテナが姿を表した。

葵「おっきい…!」キラキラ

由依「うわぁ…」

真姫「あ、あれがサンダーピート號…?」

ラセン「あの箱の中身が、そうだ。安全に運ぶには、ああするしかない」

 トレーラーに続いて、1台のジープがやってきた。それはトレーラーを追い抜いて先に広場に到着すると、荷台から2人の幼女が降りてきた。一人は、適性検査で葵に装填手の仕事を教えた、網走巌。そしてもう一人は、フルフェイスヘルメットの長虫虹だ。
 ラセンが駆け寄った。

ラセン「お疲れ様です、閣下」

虹「ああ。整地は済んだようだな」

ラセン「はい。展開には十分な広さかと」

巌「休憩は取れましたか」

 巌が7、8班を見回した。いかつい名前と鋭い目つきに反して、声色は柔らかい。新入隊員だった葵を指導するときも、そうであった。

由依「はい!」

崩礼「山の前線基地も撤収完了した。とりあえず、登り坂の障害物もある程度撤去しておいたぜ」

虹「そうか」

 短く答えると、虹はゆっくり近づいてくるトレーラーを見て、それから山を見上げて言った。

虹「…敵とは会わなかったのか」

崩礼「ああ。妙だと思っていたが、境界に地雷をばら撒いたのなら合点がいく。前線をかなり下げたんだろう。向こう側に民家が見えたが、全部もぬけの殻だろうよ」

虹「それでも、アナウンスはしなければならない。コンテナが着いたら、3班を呼べ」

崩礼「了解」

巌「…ときに、玉置閣下。負傷者は?」

崩礼「とっくに、基地に叩き返したぜ。今頃、幕僚長に絞られてるだろうよ」

巌「命令に背いた4班長は、いかがしますか」

 すると、崩礼は露骨に嫌そうな顔ををした。

崩礼「おい、機甲科が気にすることじゃないだろ。…なあ?」

ラセン「…む、本官に聞いているのか?」

崩礼「ああ。…ちなみに、ラセンだったらどうする?」

ラセン「知らん。本官は、平木班長に罰を与える立場にない」

崩礼「例え話だよ。お前だって、いつか何かの間違いで、俺の替わりになることがあるかも知れないだろ」

ラセン「…」

 ラセンは、ちらりと虹の方を見てから、言った。

ラセン「伝え方に問題がなかったか、考えなければならん。科長から班長へ、班長から班員へ、正しく意図が伝わっていたか。罰を考えるのは、その後だ」

崩礼「…な? だから、ラセンの方が向いてるって言ったんだよ」

 崩礼は、苦笑しながら虹に言った。

虹「…幕僚長に言うのだ。機甲科が関与する問題ではない」

 虹は、澄ました顔(ヘルメットに隠れて見えないが)で答えた。





「オーライ! オーライ! …ストップ!」



 トレーラーが、後ろ向きに広場に停車した。曳行されてきたコンテナから8本の機械脚が伸び、地面に杭を打ち込んで固定していく。
 最後の一本が地面に刺さると、待機していたコーカソイドの班長、ロナが号令をかけた。

ロナ「3班、かかれ!」

 3班の隊員たちが一斉にコンテナに殺到し、側面に開いた小さな扉を開けて中から無数の機械を取り出した。

葵「…もしかして、今から組み立てるとか?」

静流「本体は別にある。あれは『アナウンス』用の装置」

 広場に並べられていくのは、大きなロケット弾。更に中央には、巨大な箱が設置された。

ロナ「Test、します」

「テスト用音声を再生します!」

 隊員が箱の中の機械を操作すると、並べられたロケット弾から一斉に、プリティ☆メイジーの主題歌が流れ出した。

ロル「…OK」

葵「…?」

 音の出る、ロケット弾? 何に使うのだろう? 首をひねっていると、静流がまた言った。

静流「本番は、避難命令が流れる」

巌「サンダーピート號出撃を、アナウンス開始から72時間後に設定します」

ロナ「Ready…ah…準備、できた…命令する、fire」

巌「…閣下」

虹「では、スピーカーを撃ち出せ」

巌「発射」

ロナ「FIRE !!」

 ロナが声を張り上げた。次の瞬間、無数のランチャーから山の向こう目掛けて、いくつものロケット弾が放たれた。それは広く拡散して、山頂の向こう側に次々と着弾していった。いくつかが地雷に当たり、爆発音が鳴り響いた。

虹「タイマーを設定。アナウンス…開始」

ロナ「Playback !」

「再生!」

 隊員が機械を操作すると、山が揺れるほどの音声が鳴り響いた。山頂を越えたこちら側にまで、なにか言っているのが聞こえる。



静流「人間たちに、避難を促している。何も知らない非戦闘員を轢いたら、まずい」

葵「出撃は72時間後って…3日後?」

崩礼「避難に、それくらいの猶予はやるってことだ。…長虫さん、テントはこっちだ。休憩するなら使ってくれ」

虹「分かった。ではこれより24時間は休憩とする。その後、コンテナの展開を開始する」

巌「機甲科は野営の準備を! 敵は飛行機を持っている! 上空に気を配れ!」



「「「サーイエッサー!」」」





葵「…はぁ」

 自分たちも持参したテントを張り、一息ついた。外はすっかり暗くなり、薄いテントの外には冷たい空気が漂っている。



安価下1~3でコンマ最大 休憩中の出来事、行動



由依「包丁を使うときは、猫の手!」トントントン

葵「ん」トントントン

 水で洗った平たい石の上で、人参を刻む8班一行。生野菜など、普通は一兵卒が持ち込むものではないのだが、そこは由依のギフト『育成』の使いどころだ。こっそり持ってきた野菜の種を適当な場所に植え、あっという間に収穫まで成長させてしまったのだ。

真姫「由依ちゃん、切ったお野菜、お鍋に入れるね」バラバラ

初「缶詰のお肉も、入れちゃいます…」ドボッ

由依「じゃあ、火を起こして…」シュッ シュッ シュボッ

 メタルマッチとナイフで、積み上げた枯れ枝に火をつけると、その上に野菜と肉を入れた鍋を吊るし、水を注いだ。

葵「キャンプみたい」

初「そうですね…」

 パチパチと爆ぜる焚き火を眺めながら、葵は呟いた。



安価下コンマ
01~05 飛行機だ!
06~10 向こうが騒がしい
11~30 味がしない…
31~60 カレールゥだ!
61~80 ↑+米もあるぞ!!
81~99 ラセン隊長たちも来た
   00 長虫閣下!?

初「でも…このままだと、お野菜とお肉を茹でただけです…?」

葵「確かに」

由依「ふっふっふ~…」

 そこへ、由依が意味深に笑みながら近寄ってきた。彼女は、葵と初の目の前に経つと、後ろに回していた手を前に出した。

由依「じゃじゃーん!」



『カレールゥ』『レトルトご飯』



葵「!!」ガタッ

初「カレー! カレーができます!」

真姫「ご飯温めるから、こっちでお湯も沸かすね」ゴトッ



「「「「ごちそうさまでした!」」」」



葵「ふぅ…」

真姫「キャンプで食べるカレーって、お家で食べるより美味しく感じるよね」

由依「よしっ、早く片付けして、寝る用意をしなきゃ」スクッ

葵「んん…」ドッコイショ

初「明日から、あのコンテナを開けるんですよね…」

 遠くから響く避難命令を聞きながら、葵たちは鍋や皿を片付けた。焚き火に土をかけて消すと、辺りはもう真っ暗だ。テントに入り、寝袋に潜り込んで目を閉じた。



安価下コンマ ゾロ目で…

ここで区切る



ドドドドドド…

葵「ん…」ムクリ

初「ふぁ…」

真姫「何の音…?」スクッ

由依「Zzz…」

 外から響いてくる音に、葵たちは目を覚ました。真姫が寝袋を出て、テントの外を覗く。

真姫「…あっ!」

葵「何?」

由依「んぁ…」モゾ

真姫「外に、輸送バンがいっぱい…」

 葵も起き上がり、テントの外を見た。

葵「!」



二三「急げ、降りろ! 小隊ごとに整列し、中隊長に報告しろ!」



由依「んん…っ、普通科が到着したみたいだね…」ノソリ

 由依が、ようやく起きてきた。

由依「サンダーピート號が出撃したら、その後から侵攻するから、もう来て準備するんだって」

葵「…それ、初めて知った」

由依「ふぇ? …っ!!?」

 由依の顔が、さっと青ざめた。

由依「い、言ってなかったっけ? ごめん!」

真姫「とにかく、早く着替えて、テントを出よう?」



 新しい作戦拠点として、1班によって建てられたテントには、虹、崩礼、二三が顔を合わせていた。

虹「紫藤普通科長は来てないのか」

二三「科長は、第一作戦部隊不在の間の首都防衛の指揮に当たられます。自分が代理として、部隊の指揮に当たります!」

 二三が直立したまま答えた。

崩礼「そうかよ。…で、こっちの作戦は?」

虹「サンダーピート號で地雷を撤去し、山道の安全を確保した後、普通科第一作戦部隊が山越えを行う。無事越えたら、山を背にして陣を敷く」

崩礼「俺たちが出るのは、その後で良いんだな?」

二三「敵の動き次第であります。侵攻前のアナウンスを聞いて、逆に敵が軍を展開している可能性もあります」

虹「その時は、サンダーピート號が盾になる。その後ろで陣を敷くと良い」

崩礼「地質次第だが、塹壕を掘るのが良いだろう。山越えのときは、7、8班を同行させろ」



由依「…というわけで、サンダーピート號が出撃したら、あたしたちは普通科と一緒に出発だね」

葵「…」カチャカチャ

 葵は作戦を聞きながら、緊張の面持ちでリボルバーを弄んだ。次の相手は、テロリストでも、種付けおじさんでもない、人間だ。自分も、少し前まで同じ存在だった…

由依「人の住む場所に入ったら…少なくとも、女の子は絶対に傷つけないこと。その他人間も、抵抗してこない限りは殺さないこと」

初「ふぅ…すぅ…」プルプル

真姫「…初ちゃん、出撃はまだ先だから」

由依「取り敢えず…もうすぐ、サンダーピート號をコンテナから出すから、護衛がてら見学しに行こっか」



安価下コンマ
01~10 飛行機だ!
11~20 遠くで爆発音が
21~80 大きい…
81~95 網走隊長?
96~00 長虫閣下…?



ゴウンゴウンゴウン ゴゴゴゴゴゴ…



 轟音と共に、黒いコンテナの天井が跳ね上がり、そのまま壁が四方へと倒れていく。
 中から現れたのは、巨大な鋼鉄の多脚戦車であった。鋭い足がずらりと並んだ胴体は、確かに崩礼が形容したムカデそのものであった。

葵「おっきい…!」キラキラ

 目を輝かせる葵。
 4面の壁が完全に倒れて地面に接触すると、離れていた機甲科の隊員たちが一斉に駆け寄って点検を始めた。



「第一関節から始めること!」「ねじ締めよし!」「駆動よし!」



葵「…大変そう」

 アニメでは半分以上カットされるようなメンテナンスが、目の前で延々と繰り広げられている。流石の葵も、ずっと変わらない景色に飽きてきた。

静流「サンダーピート號は、すごい兵器。でも、準備にすごく時間がかかる」

葵「!」

 いつの間にか後ろに立っていた静流が、言った。

静流「おまけに、できることはとても少ない」

葵「前に進むだけって、ラセン隊長が言ってた」

静流「」コクン

葵「サンダーピート號は…コトブキ博士が作ったの?」

静流「『核』は、コトブキ博士。その周りは、理化学研究所の研究者や、陸自の偉い人たちが考えて、作った」

葵「へぇ…」

 コトブキ博士が全部作っていたら、もう少し便利な代物になったのだろうか。葵は、ぼんやりと考えた。



 日が沈むと、点検を中止して夕食が始まった。普通科が持ってきた大鍋で、大量のシチューが作られて、葵たち工作科にも振る舞われた。

初「はふっ、ふーっ…」

由依「ん、おいひ…」モグモグ

 熱々のシチューに、乾パンでお腹を満たすと、一同はテントに入った。



安価下コンマ
01    爆撃
02~10 銃声
11~25 普通科は…
26~60 翌朝
61~80 葵「おしっこ…」
81~95 ↑+長虫閣下…?
96~00 何でここに



葵「…っ」パチ

 暗いテントの中で、葵は目を覚ました。ゆっくりと起き上がりながら、ぼやく。

葵「おしっこ…」モゾモゾ

 寝袋を這い出し、他の仲間を起こさないように、そっとテントを出た。
 広場ではライトが焚かれていて、機甲科の専属部隊による夜を徹した点検作業が行われていた。

葵「大変そう…」

 葵は灯りと喧騒と、他のテントを避けるように、木立の奥へと入っていった。



 人気のない木立に入ると、葵は隊服のズボンとパンツを下ろしてしゃがんだ。

葵「…ん」フルッ

シュィィィィ…

葵「ふぅ…」ショロロロロ…

 作戦が始まれば、トイレで落ち着いて排泄もできない。こうやって、パンツを下ろして座ることすらままならず、行動しながらパンツの中におしっこすることもままある。濡れたパンツを穿き続けるのは、気持ち悪い。冷えるし、痒くなる。知らずに臨んだ適性試験で、葵はお気に入りのパンツを台無しにしてしまったものだ…

葵「んっ」フルフル

 葵は立ち上がり、下を穿き直した。



安価下 どうする?
①テントに帰る

②散歩する

③その他要記述



 そのまま、しばらく辺りを散歩することにした。



安価下コンマ
01~05 夜偵
06~15 取り残したトラップ
16~60 眠くなってきた
61~80 ラセン
81~95 崩礼
96~00 虹

ねる

今まで出てきたキャラで、誰が一番好き?



 あまり離れるといけないと思い、テントの林立する辺りに戻ってくると、一人の幼女が木の根元に座り込んでいるのを見つけた。



崩礼「…」ボー



葵「…」ソロリ

崩礼「…ん」チラ

 崩礼は、こっそり近づいてきた葵に気づくと、顔を上げてちらりと彼女の方を見た。それから、「よう」と短く声をかけ、また宙を見つけた。

葵「…寝なくていいの?」

崩礼「寝てなさすぎて、目が冴えちまった」

葵「変なの」

崩礼「変だろ」

 崩礼は、力なく笑った。
 葵は、その隣に腰を下ろした。

葵「1班って、どんなとこ?」

崩礼「代わり映えしないところだな。どこに行っても、何の任務でも、1班の仕事は拠点の設営。出来上がりは全部同じ」

葵「そういうものでしょ」

崩礼「それが仕事だからな。だが、塹壕戦みたいな臨機応変、行き当たりばったりで何とかするみたいな、そういうスリルは無い」

葵「嫌?」

崩礼「俺より向いてるやつがいるだろうとは、思うぜ」

 崩礼は、溜め息を吐いた。



安価下1~3でコンマ最大 崩礼との話題、行動など

葵「…」

 葵は、そんな崩礼の肩に腕を回すと…

葵「」ギュ

崩礼「!?」

葵「…でも、隊長は頑張ってると思う」

崩礼「…葵」



安価下コンマ
01~60 寝た
61~90 泣き出した
91~00 襲われた

崩礼「…そうか」

 崩礼は、葵の耳元で呟いた。

崩礼「お前が、そう言うなら…っ…俺は…俺はま、まちがっ…」

葵「…」

 顎を乗せた葵の肩に、熱い雫がぽたぽたと落ちた。

崩礼「…はぁっ、わ、悪い…」

葵「…ん」

 葵は何も言わず、夜更け過ぎまで崩礼を抱きしめた。



「サンダーピート號出撃は5時間後! それまでにテントの撤収を済ませること! ゴミは分別して、補給班に持って帰ってもらってね!」



 長大なサンダーピート號の頭部に据付られた、鋼鉄の扉の前に立つと、虹は黒いグローブを外した。

虹「…」スルッ

 バチッ

 その瞬間、空気がぴりついた。よく見ると、真っ白な虹の指の間を、白いスパーク光が走っている。虹がその手で扉のハンドルを握ると、扉の上にあるランプが灯り、ゆっくりと上に開いた。
 虹が、巌の方を振り返った。

虹「では、吾が降りるまでの指揮を頼む」

巌「了解」

 そう言うと虹は、サンダーピート號の機内へと入っていった。扉が閉まり、機体のあちこちからモーターの唸り声が鳴り始める。



葵「おお…」

静流「長虫閣下のギフトは『帯電』。サンダーピート號は、そのギフトを動力にした電動多脚戦車」

葵「だから、閣下しか動かせないんだ…」

ラセン「おい、我々も普通科に同行するぞ!」

由依「8班はこっちー!」

 サンダーピート號の後方に、第一作戦部隊が列を組んでいる。その中に、葵たちも加わった。

桜「…! 篠崎陸曹長」

葵「桜、久しぶり」

由依「佐山中隊長、よろしくね」

桜「はい。…我々第2中隊は、機甲科砲B班、工作8班と共にサンダーピート號の左後方を進撃します」

 桜が、作戦を説明した。

桜「発進後、サンダーピート號は下り坂を蛇行し、地雷を爆破処理しながら侵攻します。安全が確認されたら、我々も坂を下り進撃します。山頂でトラップの除去に当たっていた班によると、山道には古い家がいくつか立っており、人がいるかは不明。山を下ると、狭い平野と集落に出ます。まずは、そこを第一目標とします」

由依「もし、向こう側に兵隊が集まってたら、あたしたちの出番だね」

 桜は頷いた。

桜「サンダーピート號が、敵の侵攻を塞ぐように停車します。その後ろで塹壕を掘り、機体を迂回、もしくは下を潜る形で、敵陣に突撃します。その場合の指揮は、朝倉8班長にお願いします」

由依「が、頑張るね!」グッ



 日が傾き始めた頃、遂にサンダーピート號が前進を始めた。

二三「まだ動くな! 巻き込まれるぞ!」

 二三が叫んだ。
 巨大な鋼鉄のムカデが、鋭い爪を蠢かしながら、コンテナのスロープを降り、ゆっくりと坂を登り始めた。その速度が見る見るうちに速まっていき、やがて轟音と土煙を上げながら猛スピードで坂を駆け上がっていった。粉塵に電光が混じり、薄暗い空がぱっぱっと明るくなる。

葵「かっこいい…!」キラキラ

桜「わた、本官も初めて見たけど…すごい迫力」

 それからしばらくして、山に爆発音が次々と響き始めた。

二三「サンダーピート號が、下り坂に差し掛かった! 第一作戦部隊、前進!!」

 二三の号令で、兵士たちが進撃を始めた。



安価下コンマ
01    待ち伏せ
02~10 踏み残し
11~70 もぬけの殻
71~99 無対策
   00 何でここに…?







二三「…結局、この町には誰もいなかった、と」

崩礼「目と鼻の先に、地雷をばら撒いたんだ。少なくとも非戦闘員は誰もいない方が自然だろうよ」

巌「ふむ…目当ての人間もいないとなると、もっと先へ進むしかないでしょう」

崩礼「取り敢えず、長虫さんをサンダーピート號から下ろしたらどうだ? この隊で一番偉いのは、あいつだろ?」

巌「閣下は今、車内で放電中です。思ったよりも早く用が済んでしまい、電気が余ってしまったようで」

崩礼「面倒くせえな体質だな」ハァ



葵「…」キョロキョロ

 葵は、空き家の中を見回して言った。

葵「ずっと使われてないみたい」

 『演算』が無くても分かるほど、家の中は埃被って、冷え切っていた。皿や調理器具など、持ち出せそうな家財道具は殆ど持ち出されており、住人はずっと昔に、計画的に退去したのだと推測された。

真姫「結局、戦いも無かったね」

初「ちょっと、良かったかも…」ホッ

 そこへ由依が入ってきた。

由依「おまたせ! 会議で決まったことを報告するね」

 8班員は、放置された机を囲んで座った。

由依「まず、この町は新しい領地として、国土交通省の子たちが整備することになったの」

葵「国土交通省…」

 ずっと昔、ハケンちゃんに提示された就職先の一つが、国土交通省だった。

由依「国土交通省の子が来るまでは、周りの山の見回りや、罠の除去をするんだけど、基地の子たちと入れ替わりでやるみたい」

真姫「わたしたちは…?」

由依「塹壕堀りの7、8班は、片方が残って、片方が基地に帰るみたい。1週間ごとに交代するんだって。今回は…」



このレスのコンマ 奇数で7班、偶数で8班が残る

由依「7班が戻って、うちが居残りだって」

真姫「はぁい…」

葵「ラセン隊長、帰っちゃうんだ…」

 葵は思わず呟いた。

由依「…えっと、サンダーピート號はここに残しておくみたい。だから、長虫閣下と専属部隊もここに残る。一通り、ここで生活できる設備が整ったら、もっと西、それから南の方へ侵攻するよ」

初「ええと、西はまた山で、南の方には…」

葵「海。でも、こっちに海上自衛隊は無い」

由依「うん。…だから、もしかしたら近々創るかもって。海上自衛隊を」

 由依が、低い声で言った。



葵「ふぁ…」

 空き家の外に出て、葵は欠伸をした。まともな建物にありつけたものの、水も電気も出ない。休み休みの行軍で、下着を汚す羽目にはならずに済んだものの、いい加減にお風呂に入りたい…



安価下1~3でコンマ最大 町での出来事、行動

葵「…いや、入る…!」

 葵のギフトの一つは『再現』。壊れたものを直すことができる。それを駆使すれば、壊れたお風呂を直すことだってできるはず。
 葵は家に引き返すと、埃の積もった浴室に足を踏み入れた。



安価下コンマ
01    でかい虫
02~30 流石に水道は…
31~60 ドラム缶風呂で勘弁
61~90 普通科の娘が…
91~00 直った!



葵「…わかんない」ガックリ

 葵の『再現』は、一度見たものを、その通りに再現する能力だ。残念ながら、葵は壊れる前のこの家の風呂の中身を見たことがなかった。おまけに、浴槽周りだけでなく、そもそも水道が壊れており、葵には直しようが無かった。
 落胆していると、初が浴室を覗きに来た。

初「あっ、葵ちゃん、ここにいたんですね」

葵「うん…? どしたの?」

 初は、目を輝かせながら言った。

初「普通科のみなさんが、ドラム缶のお風呂を作ってくれました。入りに行きませんか…!」

葵「行く!」

 葵は、壊れた浴室を飛び出した。



安価下1~3でコンマ最大 入浴、食事中の出来事



 打ち棄てられた公園に、数台のドラム缶が並んで火に焚べられていた。全ての缶には、既に一人か二人ずつ、幼女が入って数日ぶりの風呂を堪能していた。

「はい、一人5分までー! …あっ、工作8班ね」

由依「どこに並んだらいい?」

「てきとーに、好きな列に並んでね。一つ前の番になったら、そこの横断幕の向こうで脱いで、開いたら入っていいよ。一人5分で交代ね」



 一つ前の幼女が、ドラム缶風呂に入ったようだ。葵は横断幕を潜り、砂まみれの隊服を脱いだ。着替えが無いのが残念だが、仕方ない…

初「…あっ///」

 隣の列は丁度、初の番だったようだ。細い裸体を晒しながら、もぞもぞと恥ずかしそうにしている。

初「さ、寒いかも、ですね」

葵「確かに」

 そこで、丁度交代の時間になったようだ。葵の前のドラム缶から、一人の幼女が出てくる。初の前の幼女も、ドラム缶から出ようとして…

「きゃーっ!?」ドシャーン

 ドラム缶の縁に足を取られて、缶ごとひっくり返ってしまった。

初「ぅえっ!? だ、大丈夫ですか?」「いたた…」



「あーっ、お風呂が!」



 後ろの方から落胆の声が聞こえた。すぐに、案内をしていた幼女が駆けつけて言った。

「すぐに直すから、ちょっと待っててもらっていい?」

初「うぅ…はい…」プルッ

葵「…初、一緒に入ろ」

初「えっ、良いんですかぁ!?」

葵「寒いでしょ。こっちきて」

初「あ、ありがとうございます…」

 コンクリートブロックの階段を上り、一緒にドラム缶風呂に入った。
 反対側の列では、由依と真姫が服を脱いだところであった。



安価下コンマ
01~60 何でこっち来るの
61~80 何で崩礼まで
81~95 ↑+崩礼の手付きが…
96~00 う、初…?

由依「…あ、一緒に入るの?」

 由依がこちらに気づいた。

初「あっ、えっと、う、ういのが、倒れちゃって」

由依「あたしも入るー!」トタタタ

葵「えっ?」

由依「ほら、真姫もー!」ヒョイヒョイ

真姫「えっと…じゃあお邪魔しまーす」

葵「ちょ」

 別の列にいたはずの由依と真姫まで、葵のドラム缶に押しかけてきた。

由依「ほら、詰めて」グイグイ

真姫「ここの隙間に…」ザブザブ

初「ぐぇ…」

葵「ちょ、やめっ」

 ただでさえ狭いドラム缶に、裸の幼女が4人も詰め込まれ、葵と初は呻いた。
 そこへ、横断幕を捲って新たな客が現れた。



崩礼「別に、上官だからって譲れだなんて言っちゃ…」



葵「! く、崩礼、たすけ」



崩礼「…」

崩礼「」ヌギヌギ

由依「ほらほら、崩礼閣下もー!」

葵「だめ、だめって! なにしてるの___」

崩礼「…邪魔するぜ」グイッ

 0.5幼女くらいしか無いスペースに、崩礼が身体をねじ込んできた。

真姫「ひぃぃ」

初「ぐるじぃ…」

由依「うへへぇ…」

葵「き、きついって! 誰か、出て…んっ!?」ビクッ

 もがく脚に、誰かの手が触れて、葵は思わず叫んだ。

葵「だ、誰っ、触ったの…」クルッ

崩礼「…」ニチャァ

葵「」



安価下 どうする?
①頭突き

②我慢する

③その他要記述

崩礼「」サワサワ

葵「…」

 葵は密かに溜め息を吐いた。全く、懲りない奴だ。こんなことをして、何が楽しいのだろう…

崩礼「」フニ

葵「っ///」ビクッ

 小さな手がお尻に触れ、葵は思わず竦み上がった。

由依「流石に狭いねー!」

初「うぐぅ…くるし…」

葵「…」

 はしゃぐ由依たちの手前、糾弾する気にもなれない。
 抵抗しない葵に、崩礼は…



安価下コンマ
01~05 謝ってきた
06~20 手を止めた
21~60 気の済むまで
61~90 もっと触ってきた
91~00 囁いてきた

 が、意外にも崩礼は、すぐに手を引っ込めた。

葵「…?」

崩礼「…」ジッ

 気になって振り向くと、崩礼は怪訝な目で葵を見ていた。彼女は葵と目が合うと、気まずそうにさっと顔を背けた。

崩礼「…///」フイ

葵「…」

 何なんだこいつ。葵は、ぼんやりと、どこかもやもやしながら思った。



葵「家に入れたのに、結局寝袋…」

真姫「お布団、持ってかれちゃってたからね」

 電気も無いため、真っ暗な部屋に寝袋を敷くと、葵たちはその中で目を閉じた。



安価下コンマ
01    夜襲
02~10 プロペラの音
11~30 外がうるさい…
31~60 翌朝
61~80 整備を手伝って
81~99 こんな夜中に…
   00 なんでここに



葵「んご…ふす…ん…」

ギィ コッ コッ コッ

葵「んぁ…ん?」パチ



崩礼「…!」



葵「何…今、何時」

崩礼「1時過ぎだ」

葵「何、こんな夜中に…眠いんだけど」

崩礼「いや、その…」

 崩礼は、珍しくしどろもどろになりながら、ぼそっと言った。

崩礼「…風呂でのこと。いよいよ、マジで怒らせたかなって」

葵「…」

 ぼんやりと、開けっ放しの扉の前に立つ崩礼を眺める。眠い頭が、イライラで覚めてきてしまった。

葵「…気にするくらいなら、しなきゃ良いのに」

崩礼「! そ、そうだよな。ああ…」

 崩礼は、何だか弱気だ。葵に抱き締められて泣いたあの日から、崩礼の葵に対する態度がおかしい。最初のように欲求をぶつけるでも、その後のように上司として振る舞うでも無く…

崩礼「…ごめん」

葵「…」



安価下1~3でコンマ最大 どうする?

ねる あといっこ

急速に崩礼攻略に動き始めている…?

葵「…ん」バサ

 葵は、寝袋の口を広げた。

崩礼「葵…?」

葵「ん!」バサバサ

 仏頂面で、寝袋の口をばたばた揺する葵。崩礼は困惑しながら…恐る恐る靴を脱ぎ、寝袋の中に入り込んだ。

葵「」ギュ

崩礼「っ!」ドキッ

 狭い寝袋の中で密着した崩礼の身体を抱き締め、葵は目を閉じた。

葵「ん…すぅ…」

崩礼「おい…それで寝るのかよ…おい、襲うぞ…マジで…」



安価下コンマ
01~20 超いびき
21~50 がちがち
51~80 抱き返す
81~95 キス
96~00 マジで…



葵「んごご…ふひゅ…」

崩礼「マジで寝やがった…ってか、いびきうるさ…」

 崩礼はぼやくと…恐る恐る、自葵の身体に腕を回した。

崩礼「…」ギュ

葵「ん…」

崩礼「俺はな…今でも、変わってねえ。今でも…お前のことが…」

葵「ん」モゾ

崩礼「!」ビクッ

 崩礼は口をつぐみ…そのまま、目を閉じた。



初「ん…」モゾ

初「おはよぉございま…っ!?」ビクッ

 目を覚ました初は、隣の寝袋に気付いて跳ね起きた。

真姫「んんっ…もう朝ぁ…あっ」

初「ええと、起こした方が…?」

真姫「うーん…まあ、もうちょっとしたら、ね」



葵「んごご…」

崩礼「Zzz…」



虹「しっかり土を落としてくれ。地雷原を無理やり走って、かなり汚れてしまった」

 機甲科の専属部隊が、サンダーピート號の清掃や修理に当たっている。葵たち工作科は町を回り、建物や設備の修復や、解体を行うことになった。

由依「国土交通省の子たちが来るまでのつなぎだから、完璧にやらなくても良いんだって」

真姫「一先ず住めるようになるまで、って感じだね」

初「頑張りましょう…!」



安価下コンマ
01~05 偵察機
06~20 大雨
21~60 こんなもんかな
61~80 お風呂も直せた
81~99 視察???
   00



ポッ ポッ



葵「あ」



ザー ザー



真姫「ひゃーっ!」

由依「あそこの家に入ろ!」

 突然降り出した雨に、一行は慌てて近くの空き家に入った。

由依「あちゃー、これじゃ作業どころじゃないね…」

葵「これ、今日中に止むのかな…?」

由依「取り敢えず、屋内でできることをやろっか」



安価下1~3でコンマ最大 雨宿り中の出来事、行動



初「…あの」

葵「?」

 窓から外の雨を眺めていると、初が小声で話しかけてきた。

初「あ、葵ちゃんは…崩礼閣下と、その…」

葵「崩礼と?」

初「…し、したんですか…///」

葵「!!?」ビクゥッ

 竦み上がった葵に、由依と真姫も気付いて近寄ってきた。

真姫「えっ、ほんとに…?」

由依「したって、何をー? 一緒に寝てたって聞いたけど」

 ちなみに、由依が起きる前に崩礼はそそくさと、葵の寝袋を出ていった。

葵「し、してないから! 一緒に寝ただけだから」

由依「へぇ、崩礼たいちょ、閣下が、そんなことするんだ…」

葵「あ、あのね、崩礼はね…」

 出会った頃にされた所業を語ろうとしたところで、由依がぽつりと言った。

由依「…崩礼閣下が誰かに甘えるなんて、見たこと無いし、聞いたこともないから、意外…」

葵「…」

 葵は、思わず黙り込んだ。崩礼のあの態度は…思った以上に、異常事態なのかもしれない。もしくは、葵にしか見せないようにしているのか…
 不思議な気持ちを、葵は感じた。嫌か、嫌ではないか、それすら分からない、曖昧な感情を…



 結局、日が暮れるまで雨は止まなかった。

由依「まあ、明日もあるし…この雨じゃ、国土交通省もすぐには来れないよね」



安価下1~3でコンマ最大 夜の出来事、行動

由依「今日は何もできなかったなぁ…」ボソッ

葵「…由依」チョンチョン

由依「どうしたの、葵ちゃ」

 言いながら振り向いた由依の目に飛び込んできたのは、空き家に所狭しと並べられたトレーニングマシーン。

由依「!? いつの間に」

真姫「葵ちゃんが、基地のジムのを『再現』したんだよ」

葵「作戦行動中だし、暇なら訓練がてらトレーニングしよう」

由依「…よし、やろう!」



安価下コンマ
01    床が抜けた
02~40 プロテインは無いよね
41~70 他の隊も集まってきた
71~95 ファンクラブ…?
96~00 良い心がけですね



「ねえ、何かこの家騒がしいんだけど…あっ!」



「ここで、ジムを開いていると…おお、本当にあった!」

「うちもやっていい?」



桜「…あっ、朝倉准陸尉。我々も使わせていただいても…」

由依「葵ちゃんが用意してくれたから、そっちに聞いてね」

葵「好きに使っていいよ」



葵「ごくっ、ごくっ、ごくっ…ぷはっ」

 飛び入り参加してきた他の隊員が分けてくれたプロテインを飲み干すと、葵はほっと息を吐いた。雨で出遅れたが、結果的に充実した一日になった。寝て、明日に備えよう…



???「おじゃましまーす!」

???「国土交通省でーす!」

 翌朝、町に国土交通省から2人の幼女がやってきた。

崩礼「結局、雨で作業はあまり進んでない。インフラ整備に関しては専門じゃないし、あんたらに任せるぜ」



安価下1~3で次の>>1のコンマに一番近いやつと遠いやつ 国土交通省の幼女について 名前と容姿、ギフトは必須

コンマ

ねます
シュポガキと褌であってるかな?

 一人は、ブラウスに赤いネクタイを緩く巻き、同じ赤のタイトスカートを穿いた、駅員風の幼女。緑の長い髪を、ツインテールにしている。

みずほ「橘 みずほ(たちばな みずほ)でーす! 測量で来ましたー!」

 もう一人は、赤髪を長く伸ばした幼女。分厚い作業着の上だけ着て、下は何故か褌一丁だ。豊満なお尻と太ももを、惜しげもなく晒している。

クラフ「鈴木 クラフ(すずき くらふ)です!! 設備の修復はお任せあれ!!」ベチンッ

 両手で自分のお尻を叩きながら、クラフが声を張り上げた。

崩礼「で…国土交通省的には、どういう風に作業を進める予定だ?」

みずほ「取り敢えず、使えるものは使う方針で行くんだってー。だから、まずはこの町のインフラを直すところから始めていくよー!」

クラフ「まずは地下の水道管を掘り出して、壊れていれば修復。切られていれば繋げ直します!」

崩礼「そうか。丁度、我が部隊には穴掘りのスペシャリストが揃っている。…朝倉、8班を率いて、国土交通省を援護しろ」

由依「あっ、りょ、了解っ!」



クラフ「ふっ、ふっ、ふっ」ノッシノッシノッシ

 お尻を揺らしながら、大股に町を歩くクラフ。その少し後ろを、葵たちが付いていく。

クラフ「水道は、全て止まっているのですね?」ノッシノッシ

由依「…あっ、そう! です。電気もガスも、全部」

クラフ「事前に地形図を見てきましたが…この集落の水は、我々の住む都市部と共通の水源から引き込み、浄水場から」

 クラフは立ち止まり、越えてきたばかりの山を指差した。

クラフ「あの頂上にある貯水池から、こちらへ供給されているようです」

葵「つまり、そこを直せば?」

クラフ「というか、逃げる前に水栓を閉めただけかも知れません。それなら、開けるだけで済みますから、とにかく行ってみましょう」



安価下コンマ
01    撤去し忘れ
02~20 浄水場ごと…
21~60 管もかなり壊れてる
61~90 栓が閉まってるだけだった
91~00 何でここに!?



 幸い、貯水池付近に地雷は仕掛けられていなかったようで、建屋もほぼ無傷で残っていた。
 地表に伸びるポンプのスイッチを入れると、すぐに動き出した。

葵「おお…」

クラフ「良かった、これで水道は使えそうですね!!」

初「お湯が出るようになれば、お風呂にも入れるかも…!」



 それから数日間、隊員たちはみずほとクラフの指揮で、町の復興に当たった。止まったインフラを引き直し、壊れた設備を修復し、都市までの道を整備した。
 やがて、侵攻から1週間が経過した日、交代の隊員たちが町に到着した。

ラセン「任務、ご苦労だった。ここからは我々7班が替わる」

由依「じゃあ、よろしくお願いします!」

 8班は、7班が乗ってきたジープに乗り込んだ。







 管制塔の一番高い場所に設置された、司令官用の椅子に、一人の幼女が座っている。薄水色の髪を無造作に伸ばし、黒い制帽を被り、黒い上着を肩に羽織り、それ以外は全くの裸で、起伏のない身体を隠そうともしない。航空幕僚長、草薙ハヤテは、灰色の虚ろな目で、目の前の来客を眺めていた。

ハヤテ「…」ジッ



紫苑「…」ニコニコ



「…幕僚長」

ハヤテ「引き続き、上空の警戒を」

 心配そうに声をかけてきた将校をあしらうと、ハヤテは紫苑に向かって無表情に言った。

ハヤテ「藤島紫苑。航空自衛隊は、クーデターには加担しない」



「「「!?」」」ザワッ



 ハヤテの発言にざわつく管制塔。紫苑は、相変わらず笑みを浮かべながら、首を横に振った。

紫苑「クーデターだなんて人聞きの悪い。ただ、わたしは権力を、あるべきところに収めたいと思うだけです」

ハヤテ「鷹栖朱音の統治で、大きな問題は出ていない」

紫苑「そう思われるのは、空自がテロリストと直接相対していないからです。彼女らは間違いなく、歪んだ統治による被害者でした」

ハヤテ「完璧な統治など存在しない。損失が恩恵を上回る者は、必ず存在する」

紫苑「その中の一人が持つギフトによって、総理は簡単に打ち倒されてしまうのですよ。そのような権力構造が、いつまでも保つはずがない」

 既に陸上自衛隊員ではなくなった紫苑は、以前の制服から、青地に白い花柄の着物を纏っていた。刀は帯びていないが、それでも彼女の実力は知れ渡っており、管制塔にはずっと緊張感が漂っていた。

ハヤテ「…確かに、危うい状況ではある」

紫苑「ええ。それに、総理が何をお考えか、ご存知ですか?」

ハヤテ「…」

 ハヤテは『言ってみろ』と、目で促した。

紫苑「『何も考えていない』、ですよ。総理は、統治には興味がない。ただ、『ある目的』のために領土を広げ、幼女を集めて幼形成熟BOXに入れ…ある、ギフトの持ち主が生まれるのを待っている」

ハヤテ「…っ」

 ここで、初めてハヤテの顔に感情が現れた。苦々しい顔で、ハヤテは呟いた。

ハヤテ「…鷹栖朱音は、屋内から出ない。だから、『見えない』」

紫苑「見えなくても良い。ただ、何らかの理由で総理が欠けても、国家を存続できる仕組みが必要なのです。もちろん、平和的に」

ハヤテ「確かに、お前は武力行使を望まない。…だが、厭わない」

紫苑「最後の手段です。今こうしている間も、取り逃がしたテロリストがこの街をうろついているのですから」

ハヤテ「大下ロル、毒島ユカリ、桜木春華、リュイア・トラメスロは…」



安価下コンマ
01~10 既に絵里と…
11~30 街を出ている
31~70 潜伏している
71~90 桜木が離脱した
91~99 ↑+毒島が陸自に
   00 隠すなよ

ねる

これ以上展開思いつかないし、スレ使い切ったらこの話は締めようかな

ハヤテ「…既に、街を出ている」

紫苑「何ですって?」

 紫苑の顔から笑みが消えた。

ハヤテ「だから、安心して行動すれば良い。邪魔者はいない」

紫苑「…」

 紫苑は目を伏せて考え込み…やがて、ゆっくりと頷いた。

紫苑「…ええ、血を流すことにはならなさそうですね」



ねね「おかえりなさい」

 ジープを降りると、ねねが待っていた。

由依「お疲れ様です!」ビシッ

ねね「戦闘にはならずに済んだようね。…玉置ちゃんは、元気にしてた?」

由依「崩礼閣下は…」

葵「…ちょっと、ヤバいかも」

 ここ数日の崩礼の様子を思い出しながら、葵は小声で答えた。

ねね「…そう」ハァ

 ねねが溜め息を吐いた。

ねね「一部隊の長でも忙しいけど、一部門の長になると、そこからまた桁違いに忙しくなるもの。最初は戸惑うわ」

由依「あの…」

 由依が、おずおずと尋ねた。

由依「崩礼隊長が科長になって嫌な人って、いるんですか?」

ねね「喜んでる娘なんて一人もいないわ」

 ねねは鼻を鳴らした。

ねね「ロナみたいに自分がならなくて良かったって思ってるか、平木ちゃんみたいに自分がなりたかったって思ってるか、硝子川ちゃんや鉄山ちゃんみたいに何も言ってないか、その3パターンよ」

真姫「そんな…じゃあ、どうして幕僚長は崩礼隊長を選んだんですか?」

ねね「色々あるけど…部下に班長を引き継げる娘がいるってのが、一番かしら」

由依「…ふぇ?」

 由依が、目を丸くする。

ねね「鉄山ちゃんも、それに当たるわね。でも、前線から離しても変わらず活躍できるのは、玉置ちゃんの方だと判断したわ」

葵「…そうかも知れない、けど」

ねね「キツいけど、堪えどころだわ。あたしだって、キツかったし。…今は、もっとキツいけど」

初「! …」

真姫「科長…今は、幕僚長…」

ねね「ま、玉置ちゃんなら何とかなるわよ! だから、時々は話に乗ってあげてね」

 そう言うとねねは引っ込んでいった。葵たちも、基地へと入っていった。



由依「…というわけで、今日から3日間は非番。その後、また訓練して、またあの町に向かうよ!」

葵「ん」

真姫「纏まったお休みって、初めてかも…」

初「どうしましょう…」



安価下1~3でコンマ最大 休暇中の行動



 結局、葵は一人で街に繰り出した。由依はもう少し寝たいらしい。真姫と初は、気が向いたら合流すると言っていた。

葵「エリーのとこにでも行こうかな…」

 呟きながら歩いていると、何だか見覚えのある幼女の姿を見つけた。



安価下コンマ
01~20 柔
21~40 二三
41~60 霰
61~90 おふねの大将
91~99 ハケンちゃん
   00

お、大将か

折角なので
安価下 おふねの大将について。名前、容姿、ギフトは必須

葵「おふねの、大将…」

大将「…うん? あなたは…ああ!」

 大将も思い出したのか、ぽんと手を叩いた。

大将「前に元帥どのと一緒に来られた、確か…」

葵「篠崎葵。大将は…大将でいい?」

巴「じゃあ、青野 巴(あおの ともえ)って言いますんでぇ…巴で良いですよぅ」

葵「ん、分かった。…巴は、お買い物?」

 腕に下げた大きな袋を見て、葵は尋ねた。

巴「見ての通りですよぅ。お店で使う食材の買い出しで」

 ふくよかな顔に笑みを浮かべる巴。以前の幸実のように、ぽっちゃりした体型で、人懐っこい雰囲気を漂わせている。

巴「…それにしても元帥どの、辞めちゃったんですねぇ」

葵「! そう…」

巴「あれから、お店にも来られないし、寂しいんですよぅ」

葵「そうなんだ…」

 紫苑は、あれからおふねには行っていないらしい。そもそも、今頃どこで、何をしているのだろう…?
 考えていると、巴が言った。

巴「そうだ。久しぶりに、うちで食べていきませんかぁ? 夕方には、準備もできますよぅ」



安価下 どうする?
①行く

②行かない

③買い物から付き合う

④その他要記述

葵「行く」

 葵は即答した。

巴「それは良かったぁ。じゃあ、夕方にお店に来てくださいねぇ」

 そう言うと、巴は買い物に戻っていった。



安価下1~3でコンマ最大 夕方までどうする?
①基地に帰る

②街をうろつく

③その他要記述



 トレイターの破壊行為によって、ここもある程度の被害を受けた。それでも、街は元通りに戻って、活気に溢れていた。

葵「どうしようかな…」

 夜はきっとごちそうだ。あまりおやつは食べないほうが良いだろう。ぼんやり考えながら、葵は人混みの中を歩き出した。



安価下コンマ
01~05 種付けおじさんの群れ
06~20 ひ、人が多すぎて…
21~50 国土交通省が何かしてる
51~70 紫苑だ
71~95 未汐&お兄ちゃん
96~00 ↑&…



葵「…ん?」



「新しい町ができたよー!」

「お引っ越し、ぼしゅーちゅー!」



 立ち止まって見ると、繁華街の一角にのぼり旗を立てて、2人組の幼女が何かを宣伝している。旗には『国土交通省』『お引っ越し募集中』と書かれている。
 どうやら、陸上自衛隊が確保したあの町の、新しい住人を募集しているようだ。

「おやつ、ある?」「うーん、これからかな」

「種付けおじさんのおうちは?」「広いお家がつくれるよ!」

「じゃあ、ここにおなまえを…」



葵「…」



安価下 どうする?
①覗いてみる

②立ち去る

③その他要記述

 葵は、そっと近づいて、覗いてみた。

「お引っ越しはいつ?」「うーん、来年かな」「えー?」

「今、便利に暮らせるようにしてるところだから…あっ」

 応対していた幼女の一人が、葵に気付いて声をかけてきた。

「こんにちはー! お引っ越ししたい? 新しい町ができるんだよ」

葵「知ってる。来週、行く」

「えー? お引っ越しはまだだけど」

 首を傾げる幼女。すると相方が気付いて、尋ねてきた。

「もしかして、自衛隊のひと?」

葵「ん」コクン

「へー、すごーい! みーちゃんと、クラっちには会った?」

葵「みー…ああ、みずほとクラフ。水道を直してくれたよ」

「もう、電気も使えるもんね」

葵「へえ、それは早い…」

 そんなことを話していると、ふと国土交通省の幼女が、我に返ったように尋ねてきた。

「そうだ。で、引っ越さない?」

葵「だから、引っ越さなくてもどうせ来週…」

「じゃなくて! 町が出来上がったら、そこに引っ越さないの?」

葵「あたしは、自衛隊だから、基地にいないと…」

「じゃあ、町に基地ができたら?」

葵「…」

 あの、山間の町に引っ越す? ハンバーガー屋さんも、おもちゃ屋さんも無い、打ち捨てられた町に。だけど、エリーや他の娘たちも引っ越してきたら…



安価下 どうする?
①引っ越す

②考えさせて

③その他要記述

葵「…考えさせて」

「早いもの勝ちだよー!」

葵「それでもいいから。じゃ」

 葵は、その場を立ち去った。



 おふねの戸を潜ると、あの時と同じ、割烹着を着た幼女が気付いて近寄ってきた。

「いらっしゃいませ。ご予約の方ですか?」

葵「巴…大将と約束してる」

「かしこまりました。確認して参ります」

 幼女が引っ込んでいく。こぢんまりしていながら、洗練された店の雰囲気に、葵は気圧されるような気がした。前回は紫苑が隣にいたが、今日は一人だ。前回以上に、自分が場違いなところに来たように思える。
 玄関口でそわそわしていると、先程の幼女が戻ってきた。

「どうぞ、こちらへ」

葵「お邪魔します…」



 前回通された離れとは別の、奥にある座敷に葵は通された。渡されたおしぼりを弄んでいると、巴がやって来た。

巴「いらっしゃいませぇ。ようこそお越しくださいましたぁ」

葵「久しぶりに来たけど、やっぱすごい…豪華…」

巴「どうもどうも…今日は、いかがなさいますぅ? 鯖で何か作りましょうかぁ?」



安価下1~3でコンマ最大 どうする?
①鯖で

②大将のおまかせで

③その他、要記述

葵「今日は、大将におまかせで」

巴「わかりましたぁ。じゃあ、頑張って作りますねぇ」

 そう言うと、巴は引っ込んでいった。



 と思うや、また戻ってきた。

巴「いけないいけない、忘れてましたぁ。お飲み物はどうなさいますぅ?」

葵「おのみもの…」

巴「お茶、ジュース、お酒…色々ありますよぅ」



安価下 どうする?
①お茶

②ジュース(何ジュースか書いても良い)

③お酒(具体的に)

ねる

葵「…ほうじ茶?」

 何となく口にした言葉に、巴が頷いた。

巴「はいはぁい。じゃ、お料理もそれに合わせて作りますねぇ」

 そう言うと、今度こそ巴は厨房へ引っ込んでいった。



 やがて、給仕の幼女が、蓋の付いた丸い器をお盆に載せて運んできた。テーブルに置き、蓋を取ると、甘く香ばしい匂いが広がった。ひつまぶしだ。
 一緒に持ってきたお椀に、一杯分をよそうと、給仕は言った。

「最初はそのまま、おかわりはお好きな薬味を添えてお召し上がりください」

葵「おお…いただきます」

 タレのかかったご飯と、うなぎを一緒に口に運ぶと、ほどけた身がご飯と絡んで口に広がった。

葵「ん…」モグモグ

 言葉も忘れて味わう葵。給仕は、湯呑にお茶を注いだ。もちろん、ほうじ茶だ。

「では、ごゆっくり…」



安価下コンマ
01~50 〆は…
51~70 ↑+お願いが
71~90 あれ、来てたの?
91~00 何が始まるんです?



 もう最後の一杯といったところで、巴がやってきた。

巴「お楽しみいただけましたぁ?」

葵「すごい、美味しかった」

巴「それは何よりですぅ」ニコニコ

 巴の手には、新しい急須が握られている。

巴「最後の一杯に、ちょいと手を加えても?」

葵「じゃあ、お願いします」

巴「ちょいと、失礼してぇ…お口に合わない薬味はありませんでしたぁ?」

葵「わさびも大丈夫だった」フンス

 巴は頷くと、お茶碗に残ったご飯と薬味を入れて、上から急須の中身を注いだ。それは、冷やしたほうじ茶であった。

巴「最後は、お茶漬けでどうぞぉ」

葵「いただきます…!!」

 口を付けて、葵は目を見開いた。

葵「おいし…」

巴「それは良かったですぅ」

 流石に、紫苑が行きつけにするわけだ。何を食べても美味しいし、手の加え方も心得ている。
 量にすると、いつかのハンバーガーセットに引けを取らないくらいなのだが、葵は最後まで美味しく食べることができた。



葵「ごちそうさまでした!」

巴「どうもぉ、また来てくださいねぇ」フリフリ

 葵はお腹を擦りながら、基地に帰った。



由依「えー、いいなー!」

真姫「おふねって、とっても高級なお店でしょ? ごほうびも、凄いあげないといけないって」

由依「あたしも行きたかったなー」

初「さ、流石に、ういたちはお店の人と関係ないから、無理かも…」

葵「ん…」

 葵は、何も言えず黙り込んでいた。確かに、今回は紫苑の繋がりでご馳走になったが、そうでなければ一介の兵卒が行けるような店ではないだろう。仲間だからと言って、由依たちを同じ条件で食事させるなど、論外だ。
 今度行くときは、流石に何か用意していこう。そうすれば、由依たちを誘うこともできるはず…

由依「…そうそう、それよりさ」

 由依が、ふと言った。



安価下コンマ
01~20 紫苑が来てた
21~40 お兄ちゃんが来てた
41~50 お兄ちゃんが来てるよ
51~80 明日…
81~99 明日、一緒に…
   00 通達

由依「明日、何か用事ある?」

葵「特に無いけど…」

由依「あのね、明日、8班でキャンプしようってなってね」

真姫「”おくたま”ってところにキャンプ場があるんだって」

葵「キャンプ…」

 ついこの間まで、キャンプしていたようなものだが…

初「バーベキューとか、釣りとか、できるみたいです」

由依「ね、葵ちゃんも行くよね!」



 翌日。山道を越えた先の広場で、一行はバスから降り立った。

葵「山…」

真姫「静かだねぇ…」

 サンダーピート號で均した山と、そう離れてはいないのだが、こちらは見渡す限り空気が澄んでいて、のどかな雰囲気が漂っている。

由依「ほら、みんなも荷物下ろして!」

初「テント、重いですぅ…」

 由依に促されて、バスの荷台から持ってきたキャンプ道具を下ろすと、分担して背負った。
 バスが去っていくのを見送ると、一行は広場の隅にある、キャンプ場の受付に向かった。



「地面に四角があるから、テントはその中で建ててね。隣にある流し台と火を熾すやつは自由に使って良いけど、帰るときにちゃんと掃除して、水は流しっぱなしにしないこと」

由依「はーい」

 受付で説明を聞くと、一行はキャンプサイトに移動した。言われた通り、四角くロープで引かれた線の中にテントを組み立てると、一先ずその中で休憩することにした。

由依「ふぁ~…ちょっと疲れちゃった」

真姫「この前の出撃と、やってることは一緒だけど…」

葵「ここは、静か。落ち着いてる」

初「平和ですね…」



安価下コンマ ゾロ目で…



葵「今日のご飯はー?」

由依「バーベキュー!!」

 持ってきた食材を、手分けして串に差していく。

真姫「玉ねぎ、お肉、玉ねぎ、お肉…」サクッ ズブッ サクッ…

初「ぴ、ピーマン、おっきくないです…?」

由依「大丈夫大丈夫、焼けば美味しいよ」サクッ サクッ

葵「鮎は、こう…」ズブブ…



安価下1~3でコンマ最大 食事中の出来事、行動

やっぱコンマにしよ


安価下コンマ
01    プロペラ音
02~20 あっつ!
21~60 美味しく焼けた
61~80 キャンプには…
81~90 初の様子が…!
91~00 どうしてここに!?



「「「「いただきます!!」」」」

葵「はふ、はむ…んまい」モグモグ

初「ピーマン、食べれます…!」

真姫「この前はカレーで、今日はバーベキューだね」モグモグ

由依「どっちもできて、お得! はむっ」



 夜。4人はテントの中から、空を眺めていた。

真姫「星が、綺麗…」

葵「街みたいに、電灯が無いから、よく見える」

由依「前は、星を見る余裕も無かったしね…」

初「ふぁ…」

由依「…そう言えば、葵ちゃんさ」

 ふと、由依が葵の方を見て言った。

由依「崩礼閣下とは、どこまで行ったの?」

初「!」

葵「」ブフォ

 突然の質問に、葵は思わず吹き出した。

葵「い、行ってない! どこも!」

真姫「そ、そうなの? でも…」

葵「一緒に寝たのは、あの時だけだから! そもそも、あの後あたしたちは撤収して、崩礼は今もあっちに残ってるでしょ」

由依「じゃ、もうすぐ会えるね」ニヤニヤ

葵「~~~~…」



 キャンプを終え、8班は基地に帰ってきた。この後、数日の訓練を挟んで、再び占領した町へ向かうことになる___



安価下コンマ
01~05 テロリストが!?
06~10 奪還戦
11~30 偵察機
31~50 復興に難渋
51~70 もう引っ越しもできそう
71~90 前線基地
91~00 南下計画



 ジープを降りた8班は、町の変わりうように目を見張った。

真姫「えっ、もうこんなに…」

葵「もう、大体完成してる…」

 打ち捨てられた家々は綺麗に掃除するか、建て直され、道路も舗装し直されている。新しい送電線が引かれていて、インフラも整っているようだ。
 そして、彼女らが降りた場所…それは、町に造られた新しい基地であった。

ラセン「来たか、8班」

由依「あっ、ラセン隊長!」

ラセン「見ての通り、この一週間でかなり整備が進んだ。今後の侵攻拠点として、前線基地も造られた」

崩礼「まだ、外面だけだけどな」

 基地の中から、崩礼も出てきた。

崩礼「町の整備は、大体完了した。このままここを拠点に、西と南へ陣を広げていく。お前らは、しばらくは基地で待機だ」

ラセン「ぼちぼち、敵の哨戒機が目撃されている。十分注意するのだ」

由依「了解!」

 ラセンたち7班はジープに乗り込むと、基地を去っていった。



由依「えー、報告によると、ここ最近目撃された哨戒機は、南の方にある飛行場から飛んできてるみたい。逆に、西の方は山ばかりで、民間人も残っておらず、申し訳程度の罠が仕掛けられてるだけ」

葵「また、地雷が埋まってたりは?」

由依「偵察が何回か行ってるけど、今のところなさそうだって」

真姫「そう言えば、空自は何してるの?」

葵「確かに…」

 飛行機が飛んできているのなら、こちらからも飛行機を飛ばすべきではないのだろうか。

由依「えっとね、空自は戦闘機とか爆撃機が飛んできた時だけだって。こっちから、人間のいるところに空爆とかはしない約束なんだって」

初「へえ…」

由依「で、次の出撃なんだけど…」



安価下コンマ
01~30 今週
31~70 来週
71~90 まだ決まってない
91~00 それが…

由依「まだ決まってないって」

初「」ズコー

葵「ずいぶんのんびりだね」

由依「まあ、いつまでとか、期限は特に無いからね。しっかり準備するに越したことはないよ」



 そんなわけで、新しい基地での生活が始まった。出撃の予定は決まっておらず、これまで通り1週間で7班と交代するとのことであった。



安価下1~3 1週間の出来事

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