【大体非安価】Body【やや安価】 (208)

”バックします バックします バックします”

 トラックが、地下のガレージにバックで進入してくる。所定のスペースで停めると、あなたは運転席から降りて荷台を開いた。
 昇降台に乗って荷台に上がり、一番奥に置かれた大型の白いキャリケースを両手で抱えた。盗み出したときと重さが変わらないことに安堵すると、あなたはそれを昇降台に乗せ、ガレージから地下室へと運び込んだ。

___

 地下室の中心にケースを置き、部屋の電源を灯す。コンクリート打ちっ放しの寒々しい部屋には、手製のロボットアームや武器、そしてメスや鋸といった刃物類が置かれた台が、所狭しと並んでいる。
 あなたは、大きくて重いくせに、車輪の一つも付いていないこの不親切なキャリケースを、ゆっくりと開いた…



安価下 髪の色 コンマ バストの大きさ(大きいほど巨乳)
安価下2 瞳の色 コンマ ヒップの大きさ(大きいほど巨尻)

 蓋を開けると、裏には一本のハサミが張り付いていた。それを剥がし手に取ると、中身に目をやった。
 ケースの中身をぴったり占める、気体の充満した、真っ白なビニール包装。その上を横一列に横切る”キリトリセン”に沿って、ハサミで切り開くと、中から生暖かく湿った空気が漏れ出た。
 そして、その『中身』…



「…」



 まず目に着いたのは、鮮やかな黄色のロングヘアー。そして、巻きつけられた白いエプロンを押し上げる、巨大な乳房。あなたは思わず舌打ちした。
 中に入っていたのは、後ろ手に両手首、両手足を拘束され、赤子のように背中を丸めた、一人の少女であった。
 手足を拘束するバンドを、”キリトリセン”に沿って切り開いていく。手足が自由になると、少女はゆっくりと起き上がり、ケースの中で膝を抱えて座り込む姿勢になった。
 それにしても、乳がでかい。初期包装の紙のエプロンが、まるでよだれかけのように押し上げられ、毛の一切ない下半身が丸見えだ。その、無毛の女性器の隙間から、うす黄色い管が伸びていて、ケースの内壁に貼り付けられたビニールバッグに繋がっている。バッグは、管と同じ薄黄色の液体でぱんぱんに張っている。管に着いた”ヤサシクヒク”に従い、ゆっくりと紳士的に引き抜く。
 ぷるん。先端にシリコン製の弁の着いた管が、抜けた。

「あ…」

 ここに来て、少女が初めて声を発した。ふるりと身動ぎすると、管の入っていたところからしょろしょろと同じ色の液体を漏らした。
 見ると、首にも透明な管が入っている。こちらのバッグは空っぽだ。同じく引き抜くと、彼女はようやく自由になった。


 ___22世紀までに、体力と財力のある労働者は軒並み海外へ逃亡。年老いた政治家や有力者たちは、己の息絶える瞬間、見事にこの国の財を喰らい尽くした。
 後に残ったのは、逃げ遅れたか、逃げる気力さえ持たぬ、死を待つばかりの貧者ばかり。一瞬にして三権は外資に掌握され、大企業の治める連邦国家の様相となった。

 この国に、神はいない。神のいない国に、禁忌など無し。タレントやアスリート、能力の高い兵士のクローンを作成し、それが主要産業になるのに、時間はかからなかった。



 ___”Body”。クローンの発生過程で様々な処理を施し、人間の限界を超えた能力と汎用性を発揮する、生きた工業製品。



 つまり、あなたがとある企業のダストシュートから盗み出した、目の前の少女のことである。

___

「で、最後にこの”基礎教育プログラム”を…」

 ケースに同封されていたカセットを、自作の再生デバイスに挿入する。デバイスは、Bodyの後頭部にインプラントされたソケットに有線接続され、カセットの情報を彼女の大脳辺縁系に直接書き込んでいく。
 書き込みが終わると、あなたは少女に声をかけた。

「…分かるか」

「はい」

「名前は」

「”HEBP””型式0074””製造番号02300498”。名称を上書きしますか?」

「ああ。そんな番号、覚えられるか」



安価下 Bodyの個体名

「型式以降は全部消去しろ。これからお前はHEBP(ヘップ)だ」

「___更新しました。これより、命令待機状態に移行します」

「…」

 相変わらず、白い紙エプロンだけの裸で、Body…ヘップはあなたを見つめる。その瞳は黒。鮮やかな黄色い髪とちぐはぐだ。おまけに、乳房は異様に大きい。人並みをやや下回る尻と合わない。発育調整に失敗したのだろうか。それとも、特注品だったのだろうか。
 しかし、そんなことはどうでもいい。あなたには、目的がある。

「お前に、複数の命令を与える。遂行順序は問わない。だが必ず成功させろ。それも、可能な限り目立たないようにだ」

「…」

「一つ。『戦闘特化教育プログラム』を入手しろ。一つ。他のBody、もしくはその残骸を集めてこい。一つ。この州を牛耳る企業…お前を捨てたPB社を、壊滅させろ」

「了解しました」

「武器弾薬、食糧はこの地下室に置いてあるから好きに使え。但しデバイスには触るな。改造や強化が必要なときは呼ぶ」

「了解しました」

「…」

 実行の命令を待つヘップ。彼女が未だに、今にも破れそうな紙エプロンだけであることに気付いて、あなたは言った。

「…ケースの中に着替えがあったはずだ。それに着替えてから行け」

「了解しました」

 ヘップは頷くと、蓋の裏から着替えの入った包みを取り出した。



安価下1〜3でコンマ最大
①スーツ

②ナース服

③バニースーツ

④その他 内容併記

___

 翌日。あなたはサラを連れて、いつものジャンクヤードにやってきた。
 違法ショップに向かうと、丁度廃品回収業者が店から出てくるところであった。

「…」

「…」

 互いに一瞥すると、業者は何も言わずに去っていく。あなたも何も言うこと無く、店に入った。

「…よう」

「…む」

 奥の机に向かっていた老人は、声をかけられて振り向いた。

「何や、また来たんか。…おっ、新入りか」

「昨日の戦利品だ」

 サラを指す。老人は、およそ看護には不向きなピチピチのナース服と、そこから零れそうな胸の谷間を舐め回すように見て…それからだらりと垂れ下がった左腕に目を向けた。

「腕をやってんな」

「鹵獲の時に暴れてな。こいつを機械置換したい」

「予算は?」

「あの世に銭は、要らないんじゃなかったのかよ」

「阿呆、まだしばらくはこの世におるわ。…で、なんぼ出せる?」

 あなたは、事務所で入手したタブレットを操作し、会社の所持する口座の残高を確認した。

「…今すぐに出せるのは…20万円ってところか…」

 言いながらあなたは、眉を顰めた。あれだけの違法な物品に、Bodyまで扱っているというのに、やけに懐が寂しい。
 老人も渋い顔をした。

「そら、買えるには買えるけど、ほんまに最低限のやつやなぁ…」

「何とかならないか」

 すると老人は、青白くなったサラの左腕を指差して尋ねた。

「これ、止血して何時間経った?」

「昨日の夕方だから…」

「ほな、問題ない。…こいつをくれたら、上等なやつもいけるわ」

「肘関節をハンドガンでぶち抜いたんだ。もう治らないぞ」

「構へん、構へん。前腕、何なら手指が一番高く売れんねん」

 そう言うと老人は、ボロボロの店内と不釣り合いな、真新しいカタログを机の上から拾ってあなたに渡した。

「…ほな、手術の時間込みで3時間以内に選び」



安価下1~5でコンマ最大 どうする?
①『ハイ・クオリティ』特殊な機構は無いが、生身と遜色ない運動性能を持つ(両手武器可。左手武器可)

②『ヒドゥン・ブレイド』日常生活に支障ない程度の運動性能。前腕にブレードが仕込まれおり、展開して近接戦闘に使える(両手武器可。左手武器不可)

③『エナジー・ガン』日常生活に支障ない程度の運動性能。前腕にレーザー銃が仕込まれており、手首を外して撃つことができる(両手武器可。左手武器不可)

③『マルチ・ロール』前腕を義手、ドリル、ガトリング砲に付け替えることができる(両手武器不可。左手武器不可)

④その他、性能を詳しく

3時間以内って書いたし24時で締め切る

___

 繁華街の端まで来ると、流石に道路も舗装されて、あなたのような闇の住民ではない、きちんとした身なりの人々が目に入る。あなたは、銃痕だらけのミニバンを橋桁の陰に突っ込んで隠すと、ある人物が橋を渡るのを待った。
 助手席にはヘップ、後部座席にはサラが座っている。

「この後、ピンク色の紙袋を持った奴が、この橋を渡るはずだ」

「それが標的ですか」

「ああ」

「ピンク色の紙袋?」

 サラが首を傾げる。あなたは後部座席を振り返った。

「正確には『リモコン』なるキャバレーの、土産袋だ。そこは、表向きはBodyに接待させるセクキャバだが、裏で中古の教育プログラムを、転売屋に流してる」

「PB社は感知してない?」

「当たり前だ。卸業者が横流ししてるならともかく、消費者として普通に買って使った奴が、使い古しをどう扱おうが知ったこっちゃない。…まあ、裏では『リモコン』から上納金を取って、コピーガードを剥がして売ってるんだがな」

「それなら、強奪してすぐに使えますね」

 ヘップが頷く。丸出しのおっぱいも上下に揺れる。
 …その格好に羞恥心を感じてもらいたいのが、今回の一番の目的だと知ったら、彼女はどんな反応をするだろうか…?

___

 数時間後。車を降りて川岸から橋の上を窺っていると、一人の酔っ払いが橋を渡るのが見えた。その手には、鮮やかなピンク色の紙袋。
 あなたは車に戻った。

「来たぞ」

「車で追いますか」

「いや、この車は目立つ」

「では私が尾行を」

 ヘップの提案を、慌てて却下した。

「馬鹿、余計に目立つ。…俺が後を付ける。奴が拠点に着いたら連絡するから、車で追ってこい」

「お気をつけて」

 あなたは車を降り、男の後ろをそっと付けて歩いた。
 あの橋は、繁華街の裏手の、一番人気のない場所から出ている。真っ当な客ならまず通らないような場所で、そんな場所をキャバレーの土産袋を持って通るのは、どこかしら後ろ暗い所がある者に決まっていた。

 さて、男は相当酔っ払っているのか、右へ左へとふらふら歩きながら、ゆっくり前へ進んでいく。このまま進むと、治安の悪い地域に出る。あなたが襲うまでもなく、追い剥ぎに遭うことになる。

 幸い、男はその手前で端末を取り出し、タクシーを呼んだ。
 タクシーを待つ間、男は辺りを見回すと、茂みに向かって立ち小便をした。あなたは道路を挟んで向かい側に立つと、タクシーのライトが近付いてくるのを見た。

___

”PBトランス、安全、安心、スピーディ…”

 タクシーが来た。男の前で停車しドアが開くと、あなたは車の反対側に立った。タクシーがもう一人の乗客を見つけ、反対側のドアも開くと、音もなく車内に滑り込んだ。

”ご乗車、ありがとうございます。会員アプリはお持ちですか”

「…!? な、何だてめえ」

「俺もタクシー呼ぼうとしたら、丁度いいところに来たもんでな」

”アプリはお持ちですか”

「アプリ持ってんのか? ポイント貯まるんだろ?」

「…」

 男は憮然とした顔で、端末を後部座席のモニターに近付けた。

”いつもご利用ありがとうございます。登録済みの住所へご移動されますか?”

「…家まで」

”ご自宅までお送りします”

 タクシーが走り出す。PB社の輸送部門が運営するタクシーは、AIによる完全自動操縦だ。運転席は空で、モニターに表示されるキャラクターとやり取りして目的地まで送ってもらう。

「おい、てめえはどこで降りるんだよ」

「手前で降りるよ」

 モニターに表示された地図を見て、答える。これで拠点の場所は分かった。人気のない場所で降りて、ヘップたちと合流しよう。

「ったく…割り勘だぞ」

「分かってるよ」

 あなたは財布から千円札を2枚抜き出すと、男に握らせた。それですっかり警戒が解けたのか、男は笑顔になって言った。

「ありがとよ。…なあ、『リモコン』には行ったか?」

「いや?」

「あそこは良いぞ。好みの女の子が、好みの格好で、好みの性格で相手してくれんだ。何でも言う事聞いてくれるし、何したって怒らねえ」

「Bodyか」

「そうさ。戦争よりも、よっぽど有効活用だ。人件費が要らないから酒も安い。生ビールが、一杯500円だぜ、500円!」

「へえ。本物のビールか?」

「馬っ鹿、流石に炭酸リキュールだよ。本物だったらゼロが1個増える」

 男は上機嫌だ。

「だが、Bodyだからな。ドンペリ入れろとか、ねだってくることもねえ。コンプレ(注:”コンプレックス”と呼ばれる化学合成酒)1杯で、喜んでチンコしゃぶってくれるぜ」

 その時、車内に着信音が鳴り響いた。

「またですか?」

「クソが、今度は俺のだ。…もしもし?」

 ハンドルを握りながら、片手で端末を耳に当てる。



”ぴーんぽーん”



「チッ…ジェンか?」

 気の抜けたインターホン音に、あなたは神経を逆撫でされながらも尋ねる。

”ぴーんぽーん、留守ですか~?”

「出掛けてるとこだよ」

”あ、そう。実は、今君の家の前にいるんですけどね? いくら押しても出ないものだから”

「だから、俺の拠点に呼び鈴なんて付けてねえって。…で? ゲート6の奴を連れてきたのか?」

”ええ、その、代表はご多忙ですから、数分間のリモート会談であれば可能とのことで。…でも、今は無理でしょう?”

「…いや」

 少し考えて、あなたは答えた。

「すぐに戻る。10分くらい掛かるけど、待てるよな?」

”それは、代表にお聞きしないと”

「待てるよな」

 それだけ言うと、あなたは通話を切った。

「戻るんです?」

 サラが驚いたように尋ねる。

「ああ」

「前門の虎、後門の狼ですよ」

 ヘップの訴えに、あなたは吹き出した。

「何だそれ、発展思考プログラムか。…でもな、虎と狼が、仲良く俺たちを襲うとは限らないぜ」

 そう言うと、あなたは急に車をUターンさせ、黒いバンの隣を抜けて来た道を駆け戻った。

___

___

 あなたの予想通り、ジェンは一人ではなかった。当然、ゲート6なる企業の役員を連れてきたわけでもない。

「ああ、来た来た…」

 にやにやしながら、ガレージに入ってくる車を眺めるジェン。その後ろには、紺色のレオタード型スーツに身を包み、アサルトライフルを携えたBodyが4人控えている。
 あなたは窓を半分ほど開け、声を張り上げた。

「おい! そこの兵士を下げろ!」

「おたくが武器を持っている限り、従うことはできませんな」

 嫌らしい笑みを崩さないジェン。あなたは舌打ちしながら、ポケットのハンドガンを窓から外に落とした。

「おたくの飼ってる、Bodyのもですよ」

「…ヘップ、サラ、従え」

「…了解」「はい」

 ホルスターからハンドガンを抜き、窓の外に落とす。ヘップはウェポンラックからアサルトライフルを外し、これも窓から捨てた。

「よろしい」

 ジェンが合図すると、Bodyたちがアサルトライフルを肩から外し、床に置いて後ろに下がった。
 あなたは窓を閉め、2人に言った。

「ヘップ。一緒に降りて、俺を守れ」「勿論です」

「サラ。ここで待機して、例の黒いバンが入ってきたらトランクから死体を出して、ジェンに投げろ。余裕があったら、丁寧に手渡せ」

「…やってみます」

 あなたは、車を降りた。後ろから、ヘップも降りてきて、あなたの後ろに従う。

「…待たせたな」

「…」

 ジェンは、相変わらずにやにやしながら…突然、コートの中から何かを取り出した。
 次の瞬間、あなたの身体に衝撃が走った。

「がっ…!?」

 見ると、あなたの右腕に何かが刺さっている。それは細い銀色のワイヤーで、ジェンの握るものに繋がっていた。テーザーガンだ。

「マスター!」

 反撃を試みるヘップに、4人のBodyが飛びかかる。

「っ、放しなさいっ!」

「ぐっ、うぅっ…」

 右腕を中心に、全身に電撃が走り、あなたは崩れ落ちた。
 ジェンがあなたの前に屈み込み、どこからともなく取り出したタブレットを、目の前に掲げた。
 そこには、一人の若い男が映っていた。



”『交渉』、なんてできると思ったのかよ、ええ? 薄汚い日本人め!”



 スーツを着崩した、金髪にピアスの男が毒づく。

”日本人のくせに、俺を散々待たせやがって。このクズが! テメエの1分と、俺の1分は天と地ほど違うんだよ”

「…」

”うちの犬畜生ども…まあ、実際無関係だが…潰しやがって。おかげで業務が滞ってんだよ。どうしてくれんだ! 腐れカス! チョッパリ!”

「…そろそろ」

 口元の感覚が戻ってきたあなたは、タブレットに向かって呟いた。

「本題に入れよ。給料安いんだろ」

”黙れよウンコ野郎! テメエなんかゲロ以下だ。…罰として武器も車も、この部屋も全部没収だ。代わりに、ジェンがぴったりの犬小屋を用意してやるからありがたく思えよ”

「放しなさい、このっ…」

「ヘップ、大人しくしとけ」

”ブツはジェンが卸す。収益は全部貰う。働き次第では、1割位はくれてやってもいいけどな。ま、何年先かな、ひゃひゃひゃ…”

 下品な笑い声を聞き流しながら…あなたは、ガレージに入ってくる別のタイヤの音を聞いた。遅れて、車のドアが開き、トランクが開く。

「…ま、そういうことで」

 ジェンが、心底愉しそうに言う。

「おたくとは、これからも末ながーい、お付き合いを…」

「こちらをどうぞ」

 突然、彼の目の前に、一体の死体が投げ込まれた。

「!? な、何だ突然! それに、こいつは…」

 ___次の瞬間。

「そいつが首謀者だ!」「包囲しろ!」「顔を照合する」

 黒いバンから飛び出してきた4人の男が、ジェンやあなた、それにヘップとサラを包囲する。その手には、銃ではなく警棒が握られている。

「な、何だね君たちは」

「…チャン秘書だ。間違いない」

 男の一人が、死体を確認して呟く。それから、ジェンに携帯端末を向けた。

「…ジェン・ビエン。ビエン商事代表…」

”おい、何なんだよこいつらは!”

「ちょ、今は…」

 ジェンが制止する前に、タブレットを見て、男が驚愕する。

「PB社の社章を付けているぞ!」「何だと!?」「PBが、暗殺を!?」

「ああ…」

 ジェンの顔が青ざめる。彼は、震える手を上げると…すっと、振り下ろした。
 瞬時に、4人のBody兵がヘップから離れ、床に置いたアサルトライフルを拾った。

「マスター! サラ!」

 ヘップがあなたを抱え上げ、サラの手を引っ張ってコンパクトカーの陰に隠れた。
 たちまち、銃声がガレージを埋め尽くす。

「マスター、大丈夫ですか」

「ちょっとチビッた」

 あなたは答えながら、先程落としたハンドガンを拾った。ヘップとサラも、武器を拾って装備する。
 見ると、銃を持たない男たちは瞬時にアサルトライフルの銃撃に薙ぎ倒され、床に転がっていた。

”おい、ジェン! あいつら、一体何なんだよ!?”

「さあ、私にもさっぱり…ただ、あの野良犬めが持ち込んだのは確かで」

”クソが! やっぱり殺せ! Bodyもろとも…いや、Bodyは飽きるまでヤッてから…”

 タブレット越しの声が、不意に途切れた。と思うや、急に狼狽した声が聞こえてきた。

”お、おい…何だよ、お前たち…待て、よせ、何かの間違いだ、やめろ、やめろー!”

 一方、黒いバンからは…もう一人、今度は若い女が降りてきたところであった。



「…」



 その女は、長い黒髪を後ろで一つに束ね、Body用の強化スーツを纏っていた。黒い合成ラバーに締め付けられた肢体は、豊満すぎず、かと言って貧相でもない、バランスの取れた形だ。そして、彼女は全くの丸腰であった。

「…止まりなさいよ、そこのBody」

 震える声で、ジェンが言う。後ろのBodyが、一斉に銃を向けた。

「…ヘップ。お前、自分が丸腰の時に、銃持ったBody4人相手にしたら、どうする?」

 不意に、あなたは尋ねた。

「えっ? …そうですね。相手の陣形にも依りますが、まずは射線に敵同士を巻き込むために___」



「…」

 強化スーツ姿のBodyは、姿勢を低くして敵部隊の中心に滑り込んだ。4人のBodyが、一斉に彼女に銃口を向ける。しかし、その先に味方もいるせいで、引き金が引けない。



「それから、一人の脚にタックルして捕まえ___」



「…」

 すぐさま、近くのBodyの脚にタックルすると、股下に首を突っ込んで肩車のように持ち上げ、そのまま背中側に逆さまにぶら下げた。



「これで身体の片面は守れます。ただ、もう片方が無防備なので___」



 抵抗される前に、素早く壁際に移動する。そこで敵の持つアサルトライフルを踏んで引き剥がすと、爪先で拾って残りの3人目掛けて引き金を引いた。
 やむなく、相手も引き金を引いた。盾にされたBodyが一瞬にして蜂の巣になり、息絶える。そして、残りのBodyにも、的確に急所に銃弾が撃ち込まれ、次々に倒されていった。

「…」

 アサルトライフルとBodyの残骸を投げ捨てると、彼女はゆっくりと、ジェンに歩み寄った。

「あ…ゆ、許して」

「タブレットを」

「え…?」

「タブレットを渡しなさい」

「…はい」

 タブレットを受け取ると、彼女はジェンに背中を向け、バンに向かって歩き出した。

「…」

 その背中を見ながら…ジェンが、コートの中からハンドガンを抜いた。
 次の瞬間、ガレージは爆音と閃光に包まれた。

「っ…フラッシュバンか」

「床に捨てたものを、いつの間にか拾われたようです…」

 車の陰にいたおかげで、目が眩まずに済んだ。一方、衝撃をまともに受けたジェンは、その場にひっくり返って痙攣していた。汚いコートのズボンに、失禁までしている。
 バンが、ガレージから出ていく。あなたは車の陰を出て、ひっくり返るジェンの頭を爪先で軽く蹴ると、言った。

「…狼の勝ち」



『スクラップ』×4
『Body用簡易戦闘スーツ』×3
『Bodyの残骸(全身)』×4



安価下1~3でコンマ最大
①出撃(ストーリーを進める)

②装備開発

③改造・装備変更

④その他

___

 さて、その日の夕方。あなたは久々に、銃痕だらけのミニバンを駆って、いつものジャンクヤードに着ていた。



「…」「おおう…」



 乳出し超乳バニーに、細脚巨乳ナースが歩いているというのに、たむろす浮浪者たちは遠くから、彼女らを気味悪げに眺めるだけだ。というのも

「どうするのですか、これ」

「こないだの爺さんに見せるんだよ」

 ヘップは2人、サラは1人、そしてあなたも一人、Bodyの残骸を抱えているからだ。絶命から半日近く経って、Bodyは全身が硬くなっている。戦闘特化プログラムで身体も強化されたヘップはともかく、ただの人間であるあなたや、脚力の弱いサラはふらついている。
 ようやく、目当ての違法ショップに辿り着くと、あなたはドアを叩いた。

「おーい、開けてくれー」

「何や、こんな遅くに…うお」

 ドアを開けた老人は、あなたや、後ろのBodyたちが抱えるものに目を見張った。

「な、何やこないな…一体どこで」

「PB社とBX社が、俺んちの前でドンパチやりやがってな」

 あなたはBodyの残骸を店の中に担ぎ込むと、言った。

「残骸放ったらかしてどっか行きやがったから、頂戴してきた」

「ほーん…」

 老人は、眼鏡越しにあなたの顔をじっと見た。事実が、あなたの話した通りでないことを見透かすように。
 しかし、彼は追求することなく、外に立つヘップとサラを店に招き入れた。

「ま、入り。ちなみに逝ったんはいつや」

「今日の午前中だな」

「ん、ならええわ。死後硬直は完成したばっかりちゅうことやな」

 床に並べた4体の残骸を眺める。どれも黒い髪を短く切り、起伏に乏しい小柄な身体に紺色のハイレグスーツを着て、黒いブーツを履いている。同一の遺伝子から作られたらしく、顔つきも殆ど同じだ。その内1体だけは、銃の盾にされたせいでスーツに無数の穴が空き、血が染み渡っている。

「…PB社製、”MSBP”シリーズか」

「分かるのか?」

「量産型の警備特化モデルや。治安維持用の集団戦闘プログラムと最低限の武装で、市街地の警備に使われることが多い。一番の特徴は…」

 そう言うと老人は、おもむろに一体のBodyの、ハイレグスーツのクロッチをめくった。つるりと毛のない股間には、本来あるはずの女性器すら無かった。

「…泌尿器がオミットされとる。つまり、オシッコができんっちゅうことやな。大体半年で買い替えるか、長持ちさせたかったら透析するしかない」

「どうしてそんなことを」

 サラの呟きに、老人は意外そうに眉を動かした。

「ん? ああ、警備中にいちいちトイレ休憩挟んどったら、時間の無駄やからやない? …さて」

 老人は、両手を合わせた。

「ここに持ち込んだ、っちゅうことは、解体してCadaverの材料に、ってことやろ。任しとき。ひとまずエンバーミングからや。そんでもって…」

「あ…」

 あなたは、老人の言葉を遮った。

「…エンバーミングから先は、持って帰って俺がやる。材料だけくれ」

「儂が、自分の”仇討ち”に巻き込まれる心配しとると、そう思てんちゃうか」

 突然の言葉に、あなたは絶句した。

「! …だったら」

「阿呆。そないなこと、百も承知や」

 老人は鼻を鳴らした。

「若いのが命張ってんのに、その後ろで年寄りが命にしがみつくんは見苦しい。そんなことしよるから、この国は滅びたんや。…儂は、そんなんと一緒になりたない」

「…」

「ほれ、運ぶのを手伝い。そっから先は、繊細な仕事やからな。他の者には任せられんわな」

___



『Bodyの残骸(頭)』×4
『Bodyの残骸(胴)』×4
『Bodyの残骸(腕)』×8
『Bodyの残骸(脚)』×8



____

「…助かった。これで戦力増強が進む」

「せやけど、BodyだけやったらCadaverは造れんがな。…Bodyの半分を譲ってくれたら、使えるパーツを売ったるわ」

「どんなのがある?」

「Body、丸2人分で買えるのは…」



安価下1~3でコンマ最大 どうする?
①『マンティス型Cadaver作成キット』

②『センチピード型Cadaver作成キット』

③『スコーピオン型Cadaver作成キット』

④『フレーム&レッグ』

⑤その他要記述

⑥やめておく

それぞれについて説明したほうがよいかな

「…どれがどんなやつなんだ?」

「ああ、ごめんごめん。そら説明せな分からんわな。___」



「マンティス型は、自分も見たから分かるやろ。高い機動力と、両手の鎌で、高速の近接攻撃を仕掛ける制圧用モデルやな。奥の手として、パルスキャノンも備えとる。一発撃つごとに長い充電がいるけどな」



「センチピード型は、細長い身体と大量の脚で、高い突進力と柔軟な潜入力を持った斥候用モデルや。例によって、こいつも連射はできへんけど、パルスキャノンを装備しとる」



「スコーピオン型は、そのパルスキャノンに特化したモデルや。元の手足と合わせて6本の脚で姿勢を安定させて、威力の高いキャノンを連射できるんや。代わりに、近接戦闘能力は無いから、その辺はカバーが必要や。ちなみに、この3機種はオフ時は人間の形に収まるようになっとるから、ある程度の偽装が効くわな」



「既製品が嫌やったら、フレームとレッグだけ売ることもできる。別途装備やらプログラムやら必要やけど、基本的にBodyと共通でいけるから、思い切りやりたかったらこっちにしてみるのも手やね」



安価下1~3でコンマ最大 どうする?
①『マンティス型Cadaver作成キット』

②『センチピード型Cadaver作成キット』

③『スコーピオン型Cadaver作成キット』

④『フレーム&レッグ』

⑤その他要記述

⑥やめておく

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