久「須賀部長!」 (14)
咲「あれ、写真?」
今日は部室の大掃除、クリスマスイブなのに私たちなにやってるんだろ……と、陰鬱になっていた矢先、なにやら面白そうなものを見つけた。
まこ「どうしたんじゃ咲……って、これまた懐かしいのう」
写真には、染谷先……新部長と、元部長……竹井先輩。それと……
咲「誰ですかこの人?」
見たこともない金髪で背の高い……不良さん?
まこ「そん人は、ワシの前の前の部長じゃ」
咲「へぇ」
そうか、当たり前だけれども清澄高校の麻雀部は去年まで廃部寸前……寸前だっただけで、決して廃部にはなっていなかった。
それは即ち、幽霊部員以外にもきちんとした、手続きやらをするための部長がいたということだ。
咲「どんな人だったんですか?」
まこ「そうさのう……」
弱い、弱い人だった。と、染谷新部長は懐かしむように言った。
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久「はぁ……」
麻雀部。掠れて読み辛くなっているそれを眺め、溜め息をつく。こんなの考慮しとらんよ……
久「いくらなんでも廃部寸前って……競技人口一億人突破よ?大会参加歴がなくとも人数くらいいてもいいじゃない」
仕方ない。悪待ちは昔から得意だ、この不利な状況をどうするか……他の人の話だと部員もいないみたいだし。
久「とりあえず、大掃除かなぁ……」
ドアに手をかけ、入ってみると。
京太郎「……」
静かに本を読む、えらく顔立ちのいい男子生徒がそこにいた。
久「え?あれ、ここって……」
私が勘違いかと思い、言葉を詰まらせていると。
京太郎「……もしかして、入部希望者か!?とりあえず入って入って!今お茶を用意するから!」
困ったような、けど嬉しそうな顔で、彼は忙しく動き始めた。
これが、私と須賀部長の出会いだった。
京太郎「……ってなわけで、俺も先輩から押し付けられたみたいな立場でさ。正直ルールも曖昧で、けど竹井さんが経験者でよかった!これからよろしくな!」
なんだかんだ話を聞いている内にこの人の中で入部は決まってしまったらしい……いや、入るつもりだったからいいのだけど。
久「それじゃあ、明日から部員を集めましょう」
とにもかくにも麻雀というものは頭数がいる。このどこか抜けた先輩をあてにしては集まるものも集まらない。
京太郎「そ、そうだな。いやー竹井さんは頼りになるよ」
こっちは頼りにならなそうでがっかりよ。
久「とりあえず、今日中にルールだけは完璧にしましょう。部長が教えられなかったり、ミスするのは流石にどうかと思いますし……」
京太郎「はは、だよなー……」
まあ、でも。少なくとも、一人じゃないというのは、存外安心できた。
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保守