P「駅ビルとのコラボイベント、ですか」
高木「大型商業施設との一大コラボイベントだ。ターミナル駅一帯を765プロのアイドル達がジャックするぞ!」
P「それで各アイドルのプロデュースメニューを展開することになったんですね」
P「ちょっと珍しい組み合わせが多いな。貴音はカレー、あずささんは珈琲」
P「それで美希は……お寿司屋さん、か」
高木「先方からのご指名だ。ぜひ、美希君に考えてほしいと」
P「―――と、いうわけで。今回のお仕事はコラボメニューの監修です」
美希「や」
P「早い早い」
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美希「このお仕事は絶対ムリなの。ミキにはできないのー!」
P「内容を聞く前から拒否するんじゃありません!」
美希「じゃ、教えて」
P「美希には駅テナントに入ってるお寿司屋さんのメニューを考えてもらいます」
美希「できません」
P「やる前から無理と決めつけるんじゃない!」
美希「やらなくてもわかるよ。だってミキ、ナマっぽいの苦手だもん」
美希「苦手な人、嫌いな人にメニューを考えてもらうの、すっごい大変って思うな」
美希「ケーキのメニューはケーキ屋さん、ネイルアートのデザインはネイリストさん」
美希「わざわざ苦手な人に任せることはないよね?適材適所ってやつなの」
P「至極ごもっともです」
美希「そもそも!なんでプロデューサーさんはこのお仕事、ミキに持ってきたの?」
美希「ミキがダメなの、わかってたよね?ちゃんとお話ししたよね??」
美希「わけわかんないの。ありえねぇの」
P「ぐうの音も出ねえ」
美希「とにかく!ミキ、このお仕事は、や!」
P「……まあ、確かに美希にはかなりキツイ仕事だとは思うよ」
P「けどやれないことはないと思うけどな」
美希「……………我慢しろ、ってコト?」
P「そうじゃない。今回のお仕事はあくまで『監修』だ」
P「どんなメニューにするか、どんな見た目にするか……。味以外の部分にも美希の考えを反映させたいと思ってる」
P「お寿司屋さんのお手伝いをするわけだからな。必ずしも食べる必要はないさ」
美希「ミキが言うのもなんだけど…………いいの?それ、すっごいヘンなカンジ」
P「携わっていることには変わりないさ。美希は美希が出来る範囲でやってくれればいい」
美希「プロデューサーさん、ズルいね」
P「したたかと言ってくれ。少なくとも嘘は言ってない」
P「ただ、どうしても美希がやりたくないなら無理しなくてもいいよ。先方には俺から断っておく」
美希「―――やる」
美希「プロデューサーさんがミキになら出来る、って持ってきたお仕事だもん。だったら、ミキもやってみる」
P「そっか。ありがとう」
美希「でも……やっぱりミキ、どうしてもナマっぽいのは……。見るのも、ちょっと苦手っていうか」
P「じゃ、ナマっぽくない見た目にすればいいんじゃないか?」
美希「え。……………あ!」
美希「お魚たくさん入れると美味しいけど、その分見た目や色味はごちゃってしちゃうでしょ?」
美希「だから今回はパステルカラーをメインにした、かわいい系のコーデでまとめてみようかなって」
美希「パーツは一つ一つ大きめにしてシンプルに、色味が濃いのは散らしてアクセントにして―――」
美希「―――はいっ! これがミキのスペシャルメニュー! 名付けて、『美希のかわいい海鮮丼』!」
インタビュアー「とてもおしゃれなメニューですね。美希さんの並々ならぬこだわりが感じられます」
美希「海鮮丼もオシャレする時代なの。この夏は、かわいいコーデで決まり☆」
インタビュアー「味にも相当なこだわりがあるのではないですか?」
美希「んー……わかんない」
インタビュアー「え?」
美希「だってミキ、ナマっぽいの苦手だもん。食べてないから味は知らないよ?」
インタビュアー「………え、ええ?監修メニューですよね……?」
美希「うん。だからミキの担当はメニューのデザインで、味担当はプロデューサーさん!」
インタビュアー「そ、そうなんですか」
美希「でもね。ミキの考えたメニュー、美味しくなるよう一緒に頑張ってくれたの」
美希「アイデア全部形にしてくれて、それ全部食べて、そのたびに一緒に考えて」
美希「そのプロデューサーさんが美味しいって言ってくれたメニューだもん。だから味は間違いないって思うな!」
インタビュアー「……そうですか。美希さんイチオシの海鮮丼、ぜひ皆さんに喜んでいただけるといいですね」
美希「ファンのみんなー!海鮮丼のオシャレも味も、どっちも楽しんでねー!」
美希「ただいま、プロデューサーさん!」
P「おかえり。ホントに正直に答えるやつがいるかよ」
美希「えー。でもリハーサルでは『聞かれたら答えてもいい』って」
P「その通り。なんにせよお疲れさま、よく頑張ったな」
美希「えへへー」
高木「美希君のスペシャルメニュー、なかなか好評だよ」
P「うまく転んでくれてよかったです」
高木「先方も理解の上だ。その辺は安心してくれたまえ」
P「けど向こう半年くらい海鮮丼は遠慮したいです。食べ過ぎました……」
高木「早速監修メニューの問い合わせが殺到しているよ。目を通しておいてほしい」
P「次は美希が食べられるものにしてください……」
高木「ところで…………『プロデューサーさんって誰だ』という問い合わせも殺到しているのだが」
P「…………それは知りません」
おわり
以上でおしまいです。
最初美希のコラボメニューを見たときはそのチョイスにびっくりしましたが、
伊織のメニューがお刺身たっぷりのチラシ丼なのに対して、
美希の海鮮丼はハートのネギトロに星形の卵焼きで、なんというか、めちゃくちゃ美希っぽいなーと。
美希が考えたらこうなるだろうって、凄く納得できるデザインでした。
令和最新版の美希もとてもかわいかったです。
そんなこんなで、ここまで読んでくださいましてありがとうございました。
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