安価とコンマで異世界転生!その9 (1000)

~前回までのあらすじ~
異世界に転生した男は仲間を募り、
世界を救うことを目標に行動する
仲間が突如救世主や魔王の力に目覚めたり、
彼も多くの神を奉ずる教団を創立したりしているが、実際に神の奇跡を代行することができる
現在は極北の地にいるとされるフェニックスの素材を手に入れるため、出発の準備をしている段階だ

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1690452608

中華「という訳で、バナナが余ったのさ」

男「理解したぜ」


男はそう言いながら、
スライムを容器に入れたまま並べる


中華「この前見たときは変わりはないね」

男「そうだな。このうちのどれにバナナを与えるか……考えよう」


>>下1……どのスライムに与える?
1.回復スライム
2.レインボースライム
3.氷スライム
4.牛スライム

中華「前回はどの子に与えたんだい?」

男「氷スライムだな」

中華「じゃ、今回も氷スライムにしよう」

男「よし、分かった」


男は蓋を回し開け、
専用の容器から氷スライムを出した


氷スライム「ヒュー……」

中華「ほら、バナナだよー」


彼は早速持っていたバナナをスライムの前に置く
しかし、スライムはその場から動かない


氷スライム「……?」

男「皮剥いてみるか」


男が皮を剥くと、豊潤なフルーツの香りが漂い、
氷スライムもそれに反応を示す


氷スライム「コーッ……」

のそっとした動きでバナナに近付き、
ゆっくりと体内にバナナを取り込んでいく
最初はいつもの氷スライムだったが、
バナナを取り込みきる頃には全身黄色になっていた


中華「すごい!バナナスライムだ!」

男「ちゃんと、触ると冷たいな」

中華「じゃあ、バナナシャーベットスライムだね!」

男「そうかもな。切り取ってみるか」

ぶりっ子「バナナシャーベットですかぁ!?」

怪盗「食べたいです!」

男「ど……どっから来たし」

本日はここまでです
ありがとうございました

どこからか現れた女性陣に困惑しつつも、
男は中華に調理器具を借りてスライムの端を切断した


氷スライム「ヒョ!」

男「悪いな」

中華「どんな味なんだろう?」

ぶりっ子「食べていいですかぁ?」

男「え……勇気あるな。どうぞ」


切断されたスライムのさらに切れ端を取って、
ぶりっ子に渡した
そしてそのまま彼女は冷えたゼリー状のそれを口に運んだ


怪盗「どんな味ですか?」

ぶりっ子「>>下1」

ぶりっ子「バナナ味のグミを食べてるようで歯ごたえが凄い…と言うよりこの切れ端まだ生きてる?!」

中華「なんだって!?今すぐ吐き出したほうがいい!」

男「ほら、ここだ」


男は空になったスライムの容器をぶりっ子に差し出す


ぶりっ子「い……嫌ですぅ……なんか吐き出す所なんて見られたくありませぇん……」

怪盗「分かりますけど……」

それから三人は固唾を飲んでぶりっ子を見守り、
一分ほどかけてぶりっ子はスライムを嚥下した


ぶりっ子「はぁーっ……はぁ……」

男「こりゃダメだな。うまいこと使えるかと思ったんだが」

ぶりっ子「いえ……でも味自体は悪くなかったですよぉ。ちゃんとほぐしたり、生気がなくなるように処理すればいいと思いますぅ」

中華「そうかい?参考にしよう」

本日はここまでです
ありがとうございました

中華はなにやらメモをつけている
男はスライムを容器にしまった
その頃にはもうバナナの色は抜け落ちていた


男「そろそろ寝るかな……」

ぶりっ子「そうですねぇ。あー焦りましたぁ」

怪盗「そうですか?では、おやすみなさい!」


その場は解散し、みな部屋に戻って寝た

?翌日・陰週金曜日?


男「あーよく寝た」

中華「疲れも大体取れたね」

氷魔「……今日も頑張っていきましょう……」

やる気「なんかみんな、やたら活力に満ちてるっすね……」


>>下1……なにをしよう?(フェイズ・朝)
1.資金集め!
2.買い物!
3.海神教団の信者を集める!
4.ギルドの依頼を受ける!
5.図書館に行く!
6.占いの館に行く!
7.錬金術師を訪ねる!
8.教団本部を訪ねる!
9.鑑定質屋に行く
10.北の果てを目指す
11.大魔王ベリアルについて調べる
12.自由安価

ぶりっ子「北を目指す前に、ベリアルとやらについて調べてみませんかぁ?」

怪盗「なにかあるんですか?」

ぶりっ子「フェニックスの骨から作られた武器は、魔王に特効です。その手がかりを得た途端、男さんに妨害を仕掛けてきたということは……」

狙撃少女「明確な悪意を向けている可能性が高いですね。対策……とまではいかなくても、最低限情報は欲しいところです」

男「そうだな。幸い、この城下町には巨大な図書館がある」

本日はここまでです
ありがとうございました

一行のひとまずの目的は決まり、
図書館に向かうこととなった
いつものように聳え立つ図書館の入り口を抜け、
一階の書庫へとやってくる


中華「でも、大魔王に関する文献なんてあるのかなぁ?」

氷魔「……どうでしょうか……」

やる気「各地の伝承を集めたコーナーはあるらしいんすけど、そういうのは難しいかもしれないっすね」

ぶりっ子「そもそも、一階の書庫にあるんでしょうかぁ?」

怪盗「流石に魔導書コーナーにはないでしょうけど……ああいう胡散臭い本の中にあるような気もしますね」


そう話しあっていると、
一行の近くを司書が横切った


狙撃少女「お……丁度いいですね、聞きましょう」

司書「はい?いかがなさいました?」

男「ベリアル……大魔王について調べたいのですが、そういった本の置いてある場所を知りませんか?」

司書「>>下1」

司書「ベリアルのことは、過去のどういう文献にもいっさい記載されていないんですよ」

中華「へぇ、そうなんですね」


と、行き詰まったかに思える状況
しかし、そこには不自然な点があった


男「……じゃあ、あなたはなぜそれを知っている?」

司書「おっと……ふふ、どうしてでしょうね」

そう言い捨てると、彼女は逃げ出した


氷魔「……待ちなさい……!」

やる気「逃げてもろくなことにならないっすよー」


複雑怪奇に入り組んだ図書館だが、
人数と速度で負けていては、
逃げることは不可能だった


司書「……!」

狙撃少女「私の射線に入りましたね」


彼女はスリングショットから殺傷能力の低い鉄球を射出するとともに、司書の脚に当てた

本日はここまでです
ありがとうございました

ぶりっ子「捕まえましたぁ」


倒れた彼女をぶりっ子が組み敷いて捕えた


怪盗「……では、喋ってもらうとしましょうか?」

男「妙な真似をすれば、お互い苦しむだけだ……大人しく質問には答えてもらうぞ」

中華「そうだね……なぜあなたは、ベリアルについて知っているんだい?」

司書「>>下1」

司書「ベリアルによって作られたオリジナルの司書のコピーなのですよ」

氷魔「……え……じゃあ……元の方は……?」

司書「さぁ……そこまでは存じ上げておりません。知る必要もないかと思ったので」

やる気「他の司書もコピーになってるんすか?」


信じたくはないが、その可能性もあると思い、
やる気は彼女に質問を投げ掛けた


司書「いいえ。私の知る限りでは……」

ぶりっ子「ということは、元の方はベリアルにとって利用価値があったか……あるいは、殺害しなければならない人だったってことですよねぇ」

怪盗「司書ですから、その知識に理由を求めることは簡単でしょう。しかし……他の司書が無事なのは、一体?」

狙撃少女「とにかく、この司書モドキの身元を洗って……オリジナルの行方を探ることはできるかもしれませんね」

男「そうだな。じゃあこいつをギルドハウスまで持っていくか」


方針は決まったが、問題はあった


中華「でも、端から見れば犯罪だよ?どうするの?」

氷魔「……氷空魔法……」

司書「っ!」

司書はなにか言おうとしたが、
固まって動かなくなった


やる気「なんすか、それ」

氷魔「……空間ごと凍らせました……これで……一見すれば凍らされたようには見えません……」

ぶりっ子「不思議ですよねぇ、空間ごと凍らせると氷が見えなくなるの」

怪盗「ともかく、これで堂々と背負ってればぐったりした人を介抱してるだけに見えそうです」

本日はここまでです
ありがとうございました

それから一行はダクトを通って図書館を脱出し、
司書のコピーをギルドハウスに連れて帰った


狙撃少女「まだ気絶してますね」

男「前回と同じように、地下にでもぶちこむか」


一行は彼女をロープでぐるぐる巻きにして、
地下空間に置いた
もし目覚めても、かつて紅い鬼神がいた空間へと繋がる場所以外には行けないはずであり、そこからは微妙に屍臭のようなものがするので、通常の神経なら向かうのを断念するはずだ

中華「彼女は……人間なのだろうか?魔物なのだろうか?」

氷魔「……そのどちらとも言い難い存在……の可能性もあります……」

やる気「確かめてみるっすか」

ぶりっ子「へ?」


やる気はドアノブ型の生命体を取り出すと、
司書のコピーの腹部に装着した


やる気「これで開いて内臓を見れば、なんか分かるかもしれないっすよ」

怪盗「なっ……なな……わっ、私は見ませんからね!」

狙撃少女「そうですか?私は見ますが」

やる気「じゃ、確認してみるっすよ」


彼はドアノブを捻り、引き開けた


>>下1……司書のコピーの内臓がある場所の様子

そこには、真っ白な綿が詰まっていた


男「ほぉ……どうやら、生物学的に人間ではないようだな」

中華「そうだね……人形?」

氷魔「……ふむ……一見すれば綿ですが……これは綿ではありませんね……」

やる気「そうなんすか?」

氷魔「……これは……魔翌力の塊ですね……これを動力としているのか……内臓の仕事をさせているのか……」

すみません寝落ちしました


やる気「よく分かんないもん見ちゃったっすねー」

司書コピー「っ!」


彼がそのドアノブを捻り、
開いたそれを閉めると同時に、
司書のコピーである女性は縛られたまま飛び退いた


ぶりっ子「もしかして……起きてましたぁ?」

司書「……起きてましたよ」

怪盗「辱しめちゃいましたかね」

司書コピー「……ただただ、辛いです」

狙撃少女「あなたは、自分がなんなのか知らなかったのですか?」

司書コピー「そうです。私は……作られた存在であっても、人間ではあると信じていました」

男「………………」

司書コピー「だが、実際は……魔翌力が詰まっただけの木偶人形。畜生にも及ばぬ存在だったのです。……笑いなさい」

男「その苦しみこそが、お前が人間の心を持つことの証明じゃないか?」

司書コピー「心があるからなんなのだと言うのですか!?心で私の体は人間のものになるのですか!?否、ありえないことだ!」

男「幸いにして、それを知るのは俺たちとお前だけだ。お前に人の心があるなら、社会がお前を人間として受け入れる。……人間にしてくれるんだ」

中華「そうは言うけれど、人の心があるから、理屈じゃ納得できない辛さを感じるんだよ」

男「……そうだな」

司書コピー「大体、こんな情けかけてなんになるんですかね」

氷魔「……いや……[ピーーー]のも憚られますし……あわよくば穏便に社会に帰したいので……」

司書コピー「もし本人が生きていたら、どうすればいいんですか?どちらかといえば……私はもう死にたい」

本日はここまでです
ありがとうございました

やる気「もう拘束解いてもよくないっすか?」

ぶりっ子「敵対してくる可能性は低いですが……自殺とかしかねませんよぉ」

男「俺たちの言うことなど、とても信じられないだろうが……君がよりよい精神状態に戻れるよう、尽力するつもりだ」

司書コピー「…………」

男「だから、まずは君のコピー元の名前や、住んでいた場所について教えてくれ」

司書コピー「>>下1」

1.分かりました
2.嫌です
3.自由安価

司書コピー「…嫌です…」

怪盗「うーん……やっぱり、そうですよね」

狙撃少女「どうしましょうか……」

男「なんとしてでも、今から君には生きる希望を持ってもらう!あらゆる手を尽くすぞ!」

司書コピー「………………」

男「まず第一に言っておくが、生まれつき存在を許されないような生命は存在しない!いいな!」

中華「じゃあ僕、ご飯作ってくるね」

男「いいのか?ありがとう」

中華「こういうのは僕の仕事だから、さ」


そう言って彼は厨房へと向かっていった


氷魔「……私たちで見張っているのであれば……拘束を解いてもよさそうですね……」

やる気「なら、縄も外すっすよ」

司書コピー「………………」

本日はここまでです
ありがとうございました

それからしばらく重たい空気が場を覆ったが、
ぶりっ子が突如話を切り出した


ぶりっ子「あの、趣味とかないんです?」

司書コピー「生後何ヵ月だと思ってるんですか?あるわけないですよ」

ぶりっ子「ああいえ、そんな大それたものじゃなくて……なんか、これをやってると楽しい!とか、これをしてると落ち着くとか……ないですか?」

司書コピー「>>下1」

司書コピー「…本、特に神話系の書物とかは読んでた、と思う」

怪盗「なるほど……」


そう言って氷魔の方を笑顔で向く


氷魔「……なんでこっち見るんですか……」

狙撃少女「そういう本も持ってそうじゃないですか」

氷魔「……ないこともないですが……探してきます……」

男「……俺にも、なにかできることは……」

やる気「焦っても始まらないっすよ。俺っちもなんか用意できる訳じゃないから、説得力ないっすが」

男「そうかもな。ありがとう」

ぶりっ子「いろいろと娯楽を教え込むのもいいですが、居場所をあげるのが大事だと思います」

怪盗「そうなんですか?」

ぶりっ子「断言します。この子のような子に、とても心当たりがあるので」

本日はここまでです
ありがとうございました

そうはっきりと彼女は言いきる
精神が成熟し始めていれば、
つらい現実から目をそらすこともできるが、
不幸にも司書のコピーは生まれたての存在だった


氷魔「……持ってきましたよ……神話にも……関係しています……」


一冊の本を携えて氷魔は帰ってきた
そのタイトルは>>下1と書いてあった

天地創造紀と書いてあった


怪盗「おお、がっつり神話系ですね!」

氷魔「……はい……他にも神話関係の本はありましたが……一番神話らしいのがこれでした……」


氷魔は司書のコピーにその本を手渡す
彼女は少し躊躇って、その後に本を受け取った
そして、読み始めた
そうすれば、辛い現実や取り囲んでいる得体の知れない人間たちから意識だけは逃れられるためだ

それから、中華もまた戻ってきた
両手に皿を持ち、
特有の食欲をそそる匂いを漂わせながら、
地下空間へと降りてきた


中華「急ぎだけど、出来は悪くないはずさ」


その皿に乗せられていたのは、
狐色が美しい餃子たちだった


狙撃少女「おお……美味しそうですね」

本日はここまでです
ありがとうございました

司書コピー「お腹は空いています。しかし……」

中華「もしかして、中華料理は苦手?」

司書コピー「……いえ、なぜ私が空腹を感じるのか、不思議なだけです」

男「なぜ、と言われてもな。生き物ならみんなそうだろ?」

司書コピー「もういいです……熱っ!」


箸が出ていたにもかかわらず、
彼女はなんと素手で餃子を食べようとした
出来立てのそれはかなりの高温だったため、
それなりの衝撃があった


中華「大丈夫!?えーっと……箸は使える?」

司書コピー「箸は苦手です……」

やる気「じゃあフォーク持ってくるっすよ」

やる気は慌ただしく地上への階段を上っていった


氷魔「……大丈夫ですか……氷あげますよ……」

司書コピー「え……?どこから出したの……?」


あわや火傷となりかねないその手を冷やす
恐らく、その場で魔法を使って出したのだろう

やる気「持ってきたっすよ」


階段を滑るように降りて戻ってきた
そして、そのままフォークを手渡す


司書コピー「では……」


彼女は恐る恐るといった様子で、
フォークで餃子を挟んで口に運んだ


ぶりっ子「どうですか?」

司書コピー「>>下1」

司書コピー「…味が、感じられないみたいです…」

中華「なっ、なんだって!?」

司書コピー「腹を満たすことはできるのですが……」

怪盗「こりゃ困りましたね。欲求をトリガーにするのが一番丸いと思っていましたが……」

狙撃少女「できるなら、私の舌をあげたいくらいです……」


絶望的な空気が場を覆った
しかし、それは大声にかき消される


男「それだ!」

狙撃少女「え?」

男「舌をくれてやればいい……いや、内臓をくれてやればいいんだ!」

氷魔「……なにを……言っているのですか……?」

やる気「そりゃあそんなことできたらまるっと解決っすけど……できるんすか?」

男「分からん」

ぶりっ子「なんなんですかぁ、もう……」

男「とにかく、まだ夜じゃない。……いや、夜だって構わないが……君を連れていきたい場所がある」

司書コピー「……好きにすればいいじゃないですか。どうせ抵抗なんてできないんですし」

本日はここまでです
ありがとうございました

夕暮れの頃、一行は司書コピーを連れて、
先日訪れたばかりの錬金術師の家に来ていた


錬金術師「なにさ、随分深刻そうな顔をして……なんか知らない人いるし」

怪盗「実は、頼みごとがあってきたのですよ」

錬金術師「頼み?ふぅん、言ってみてよ」

狙撃少女「ここにいる彼女の内臓……舌などを、作れるだけ作って欲しいのです」


と、司書のコピーを指して頼んだ

錬金術師「私は医者じゃないぞ?」

中華「存じています」

錬金術師「……はぁ、なるほどね」


彼女は司書のコピーの肉体を観察し、
触って確信に至った


氷魔「……少なくとも……体の作りは人間のものではありません……しかし……命はあります……そして……野生の魔物や動物とも違います……」

男「なので、錬金術師の専門分野かと思い……こうして訪ねた。どうか、彼女を救ってはくれないだろうか?」

錬金術師「>>下1」

錬金術師「例え味がしなくても魔翌力を持った生物の血肉を食べ続ければあるいは」

やる気「どうにかなるんすか!?」

錬金術師「まぁ、そういう事例もあるとだけ言っておこう。君たちのようなことを試みた人間は非常に少ないからね」

ぶりっ子「ありがとうございます!」

錬金術師「感謝なんてしなくてもいいさ。私は聞かれたから答えただけで、なんか行動したわけじゃない」

本日はここまでです
ありがとうございました

司書コピー「私も、人間の体になれるんですか?」

錬金術師「や、やめてよ。そんな目でこっちを見ても別に保証できないよ?」

司書コピー「…………」


何を思ったか、じっと錬金術師を見つめている
夕陽の破片が眼に写り込んで、
不思議な雰囲気を放っている


錬金術師「わ……話題を変えようか。先日から錬金に取り組んでいた薬品がついに完成したのだよ」

怪盗「おお!どんなやつですか!?」

錬金術師「いろいろと作れるのだがね、手始めに>>下1を作った」

錬金術師「塗り薬タイプの薬を三種作ってみた!」

狙撃少女「三種も!?」

錬金術師「薬師の類ではないが、錬金術でもやはり薬の製作は基礎にして王道だ。ノウハウは相応にあるのでね」


そう行って彼女は三つの瓶をテーブルに置いた
それぞれ赤、青、緑色である


男「それで、どのように違うんだ?」

錬金術師「まず、この青いやつだが……即効性が高い。応急処置に向いているが、大怪我には少々効き目が薄いな、まぁクイックポーションとでも名付けよう」


そうして瓶の蓋を開ける
小気味の良い音と共に、爽やかな香りがする


中華「へぇー」


みんなで暫く眺めたのちに、蓋を閉めた


錬金術師「で、次はこれ。緑色のやつだな」

すみません寝落ちしました


彼女は緑色の瓶を置く
先ほどのものとは違い、
蓋とコルクで厳重に閉じられている


氷魔「……危険な薬品ですか……?」

錬金術師「漏れたら困るからね。さっきのは戦闘中にでも使いやすいように蓋は簡単に外せるようにしてあるだけさ」

やる気「そりゃそうっすね」

錬金術師「こっちも治療目的で使う薬だ。飲み薬で、効きは遅い。ただ、薬効の広さ、治癒力共にクイックポーションの比ではない」

ぶりっ子「万能薬ですかぁ?」

錬金術師「そんな大それたもんじゃない。まぁ……妙な病気でもちょっと進行を遅らせるくらいは期待してもいいけどね」

怪盗「いや、すごくないですか?」

錬金術師「すごいのはドラゴンの糞だ。キミはこれについて言及すると嫌そうな顔をするが……」

怪盗「触れないで下さい」

錬金術師「はっはっは。誰にでも触れて欲しくない事情はあるものだな。これは超回復ポーションとでも呼ぼうか。さて、最後にこれだ」


先ほどまでと同じように、
一度瓶を持ち上げて、再びテーブルに置く


狙撃少女「軽傷に対する回復、そして重傷でも回復できるポーション……最後がそれですね」

錬金術師「ああ、こいつはなんと>>下1だ」

錬金術師「全ての身体機能を一時的に停止させて仮死状態にする薬だ」

男「え?」

錬金術師「言った通りだ。仮死状態であるうちは完全に死ぬことはない」

中華「死んだふりに使えばいいのかな?」

錬金術師「口内接種だけでなく粘膜接種でも効果があるから厄介な敵を封じるのにも、怪我や病気で死にかけの味方の急場を凌ぐのにもここぞというときに使うといい
ぞ」

氷魔「……すごいですね……」

錬金術師「こいつだけはなかなか頑張ったぞ。ま……前二つに比べればあまり量が用意できなかったから、慎重に使ってくれたまえ」

本日はここまでです
ありがとうございました

すみません遅れました


やる気「そっすね、大事にするっすよ」

錬金術師「正直前者二つはあっという間にできたが、こいつはさっきまで作業していたよ」


それから一行は錬金術師に感謝を述べ、
ギルドハウスに帰ることにした


中華「魔翌力を持った生物の肉を食わせなきゃいけないんだよね?僕、買ってくるよ」

ぶりっ子「みんなでいかないんですかぁ?」

中華「普通の店じゃなくて問屋だから。大所帯で行っても迷惑だからね」

一行は中華と別れ、ギルドハウスに帰ってきた


ぶりっ子「という訳で、私があなたの部屋まで案内しますよ!」

司書コピー「……あ、はい」


ぶりっ子はぐいぐいと手を引き、
屋敷の奥へと彼女を連れていった


怪盗「気合入ってますねー」

狙撃少女「なにかあるんですかね?」


>>下1……何しよう?
1.氷魔の部屋を訪ねる
2.やる気の部屋を訪ねる
3.ぶりっ子の部屋を訪ねる
4.酪農少女の部屋を訪ねる
5.怪盗の部屋を訪ねる
6.狙撃少女の部屋を訪ねる
7.司書コピーの部屋を訪ねる
8.スライムをいじる
9.読書(誰がなんの本を読むかも)
10.自由安価

男「ぶりっ子ー?」


屋敷の奥に進みながら呼び掛ける
すると、なぜか後ろから彼女は現れた


ぶりっ子「なんですかぁ?」

男「うわっ!どっから来た!?」

ぶりっ子「ここ、入り組んでるんでぇ、多分男さんが迷ってたんだと思いますよぉ」

男「そうか?……でさ、司書のコピーはどこの部屋にいるんだ?」

ぶりっ子「あー、一つ前の曲がれるとこ曲がって三番目の右側ですぅ」

男「分かった。ありがとう」

それから男は司書コピーがいる部屋までやってきた
どうやらドアは開けっ放しのようだ


司書コピー「……なんですか」

男「いや……様子見に来ただけだけど」

司書コピー「そうですか」


彼女は最低限の家具が置かれた部屋の、
ベッドの上で体育座りをしている


男「しかし、ドアが開いていて助かったよ」

本日はここまでです
ありがとうございました

司書コピー「私は憂鬱です」

男「手厳しいね」

司書コピー「当たり前でしょう。……私はこの通りです。帰ってはいかがですか?」

男「そう固いこと言うなって」

司書コピー「そもそも、あなたたちはなにがあってベリアルのことを調べていたんですか」

男「なんか俺ベリアルにいたずらされてさぁ。夢の中に封印されそうになったんだよね」

司書コピー「……強いんですね、アホみたいな顔してるのに」

男「はぁ!?」

司書コピー「なんですか?」

男「いや……なんか急に直球の罵倒してきたから」

司書コピー「褒めたんですが、あなたを褒めるのは癪なので」

男「つっても別に俺の力で抜けた訳じゃないんだよなぁ。ありゃ運だ」

司書コピー「じゃあただのアホみたいな顔の人ですね」

男「叩くぞ」

司書コピー「でも実際、オーラはありませんね」

男「なんの資格もないからな」

司書コピー「資格?」

男「魔王でも救世主でもない。中華ややる気はそれらを持っているが」

司書コピー「……魔王、いるんですか」

男「二人とも魔王だ」

司書コピー「それなら、ベリアル様に狙われもしますね」

本日はここまでです
ありがとうございました

男「魔王を狙っているのか?ベリアルは」

司書コピー「……薄々勘づいてそうなのではっきり言いますが、そうです」


それなりに話していると体勢を楽にしたりするものだが、司書のコピーは体育座りのまま固まっている


男「そうか……大魔王を名乗るくらいだし、魔王を平伏させるくらいはやらないとな」

司書コピー「そうですね」

男「ベリアルってどんな奴だ?」

司書コピー「……さぁ、会ったことないので」

男「ふぅん……じゃあ、ベリアルの配下にキミを産み出した奴がいるってことか。そいつについて教えてくれないか?なんもメリットないけど」

司書コピー「>>下1」

司書コピー「淫魔…だったと思う。魔法使い風の…」

男「んー?いや、違うか……?」

司書コピー「はい……?」

男「淫魔って沢山いるのか?」

司書コピー「どうでしょうか」

男「俺を夢に封じ込めようとしたのも淫魔なんだ。倒したけど」

司書コピー「まぁ……よく見る種族ではないので、本当に倒せたなら困るでしょうね」

男「そうなのか、それはいい」

司書コピー「……随分長居するんですね」

男「中華が買い物したから、夕飯がまだなんだよね」

司書コピー「魔王に厨房やらせてるんですか」

男「魔王になる前から中華の鉄人だし」

司書コピー「料理というものもよく分かりません。食事とは血肉を喰らうのみの行為ではないのですか」

男「キミならいずれ分かる。大半の人間は、食事に特別な意義を見いだしているからね」

本日はここまでです
ありがとうございました

・男
【筋力】124【HP】68【素早さ】200【MP】114【顔面】30(神の力)【歌唱力】74【料理】111【中華料理】97【画力】26【加護】13
【刀術】・閃火斬(火属性武器でのダメージに+6、それ以外の武器では+3)
『平凡人』(戦闘能力以外を最低保証50)
『魔法の才能』(魔法習得難易度易化)
『多芸』(感覚系ステータス+20)
『万能通訳』、『降神術』(神の依り代に適性)
『マグネリレーション』(定期的な巡り合わせ)
武器:レジストソード(攻撃翌翌翌力3.5、魔法生物特効)
防具:ミレニアムアーマー
習得魔法:火魔法 上級火魔法 氷魔法 上級氷魔法 闇魔法 風魔法 上級風魔法 回復魔法 光魔法 マナ電流互換 着火魔法 照明魔法 耳鼻咽喉キャンセラレーション 海割りの奇跡
所持:麻薬(1回分)"人は空を羽ばたけるのか?"鳥人間強制改造本ドラゴンキラー(ドラゴン系にダメージ増)、上級氷魔導書、13時間時計、魔王のデモウイルス、サファイアの原石、厨二っぽい太刀(攻撃翌翌翌力3、炎属性)、ベヒーモスの角剣
(経験値10/40……レベル31)

・中華
【筋力】133【素早さ】191【HP】43【MP】75【中華料理】112【顔面】76【加護】10【運命力】29【求心力】33
『救世主の資格』(【運命力】と【求心力】追加)
『魔王の資格』
『器用』(回数で壊れるアイテムを一回多く使え、罠や精密機械などに関するコンマ判定にボーナスが付く)
武器:デモンズスピア(攻撃翌翌翌力4)
防具:ミレニアムアーマー
装飾品:銀の腕輪(筋力+5)
習得魔法:火魔法 上級火魔法 上級水魔法 上級光魔法 マナ電流互換 着火魔法 照明魔法 回復魔法
所持:危険な国三選、13時間時計
(経験値22/38……レベル29)

・氷魔【筋力】162【HP】??+36【MP】177【素早さ】151【料理】37【歌唱力】27【ダンス】1【顔面】37【加護】20
『消費MP1/2』、『ポリシーブレイク』
『究極氷魔法』消費【MP】:240(120)
『メルティング』、『氷魔法上位混合』
武器:ホークワンド(魔法ダメージ+5)
防具:ミスローブ
装飾品:冷却懐中時計(氷ダメージ+5)
習得魔法:極大氷魔法 氷空魔法 水魔法 超上級水魔法 上級風魔法 超上級回復魔法 マナ電流互換改 着火魔法 照明魔法 洗濯魔法 水質検査魔法
所持:異性にモテる為の本(所持継続一日以上で【顔面】+5) 雷の魔導書、13時間時計
(経験値12/47……レベル38)

・やる気
【筋力】157【HP】57【MP】129 【素早さ】174【顔面】36【加護】20
『[ピーーー]気』(殺せると思った相手へのダメージ二段階上昇)
『魔王の資格(80%)』(不完全ながら能力値上昇、魔物の言語が分かる)
武器:スパイラルランス
防具:ミレニアムアーマー
習得魔法:超上級水魔法 土魔法 回復魔法 着火魔法 照明魔法 マナ電流互換改 洗濯魔法 水質検査魔法 闇魔法 上級闇魔法 天候操作魔法 ジャミングウェイブ 解錠魔法
所持:氷の上なら狙った場所に届くカーリングストーン爆弾
(経験値0/36……レベル27)

・ぶりっ子
【筋力】122 【HP】??+32【MP】140【素早さ】102【料理】73【歌唱力】44【ダンス】51【加護】10
【顔面】58
『誘惑』(【顔面】以下の【MP】の生物をたまに行動阻止)
『やりくり術』(アイテム値段を二割引)
『ドジっ子』(ランダム攻撃の対象から外れ、【顔面】+10)
『毒手』(攻撃を命中させた相手に永続スリップダメージ)
『従者式格闘術』(後出しでかばいダメージ上昇)
『風より速く動く術』
武器:ドラゴンキラー
防具:ソードブレイカー 緋色の法衣(炎や熱系の魔法や攻撃の無力化+魔法だった場合魔翌翌翌力吸収 )
習得魔法:水魔法 上級水魔法 氷魔法 上級氷魔法 光魔法 回復魔法 マナ電流互換 着火魔法 照明魔法
必殺技:ぴゅん太郎
所持:化粧品(試供品)、13時間時計
(経験値30/39……レベル30)

・怪盗
【HP】??+1
【筋力】120
【MP】136
【素早さ】355
【歌唱力】53
『盗む』
武器:丁半槌
防具:ソードブレイカー
習得魔法:上級火魔法 風魔法 回復魔法
所持:アダマンタイトの曲刀、雷の力を吸収する杖
(経験値6/34……レベル25)

・狙撃少女
【筋力】122【MP】137【素早さ】??+4
武器:守人のパチンコ(攻撃翌翌翌力3.5、攻撃前に属性魔法を使用して属性付加可能、三発)
習得魔法:水魔法 光魔法
所持:スパークナイフ(攻撃翌翌翌力2.5、雷属性)アンチオールスナイパー(攻撃翌翌翌力8、一発)
(経験値11/39……レベル30)

【所持アイテム】竜毒血清、毒竜管、人造人間の子宮、金属、不思議な赤石、銀の鎖鎌、危険物の魔導書(乙種)人間サイズの蛇の胴体パーツ、邪教典、硫酸の入った瓶、筋トレメソッド本、13時間時計×3、純金小判×5 レア珍獣の生息地(本) 忘却されるまで封印した機械(本)、無限に重なる葉っぱ、ホームセンターの便利グッズ紹介本 回復スライム、氷スライム レインボースライム 探し物の位置を指し示すコンパス(『4回』、不良品)、牛スライム、文字を書き込んだら対になるものに文字が浮かび上がる一対の巻物、壊れたものを何でも直すレンチ、黄金の番人像、世界樹の露(三回分)、なんでも開けるドアノブ型生命体、クイックポーション、超回復ポーション、仮死薬
【ギルドの資金】80361475

司書コピー「なんてお節介な人なんでしょうね、あなたは」

男「お節介でけっこう、お節介焼かずに後悔してきたからな」

司書コピー「あなた、いくつなんですか?」

男「うーん?……どうだったかな……」


元の世界での年齢を答えたいが、
今の肉体は明らかにその頃よりも若々しい


司書コピー「……変な人」

男「それより、味覚がないと言っていたが……他にない感覚はあるか?」

司書コピー「>>下1」

司書コピー「熱いとか冷たいとかの感覚も無いでしょうね」

男「そうなのか?」

司書コピー「食べた時味覚だけでなくそれも感じなかったので」

男「でも、餃子取り落としてたってことは……反射作用が起きるくらいの感覚は持ってるってことだ」

司書コピー「ああ、そうかもしれませんね」

男「もしそうなら、十分治していけそうだな」

と、話していると料理の匂いがする
どうやら、中華がもう夕食を作り終えたようだ


司書コピー「……夕飯ですか」

男「そうだ。勿論、来てもらうぞ」

司書コピー「はい……」


観念したような面持ちで、
彼女は男と一緒に食堂へと向かった

本日はここまでです
ありがとうございました

二人が食堂に出てくると、
やはりというべきか、本日は肉料理であった


酪農少女「あれ、男さんまた知らない女連れ込んだんですか?」

男「その言い方はよすんだ!」

司書コピー「……いい人ぶってましたけど、そういう人なんですね」

男「いや、違う!これは誤解だ!」

酪農少女「あれ……なんか変なこと言っちゃいましたかね」

中華「食材が急ごしらえなもんでね、条件に当てはまるのが肉しかなかったんだよ」

氷魔「……それで……これだけ用意できるのですから……すごいですよ……」

やる気「そっすね、匂いだけで腹減ってきたっすよ」

ぶりっ子「いつもお腹減ってるじゃないですかぁ」

怪盗「確かに?」

狙撃少女「ふふ、でもその気持ちも分かりますけどね」


と、楽しそうに一行は話している
それを側で聞いている司書のコピーにとっては、不思議なことだった


司書コピー(どうして、こんなに楽しそうなんでしょう?)

不可解な顔をする彼女をよそに、一行は夕食を始めた


酪農少女「それで、結局その方は一体……?」

男「あー……なんて言ったらいいか。センシティブな話なんだが……」

酪農少女「やっぱり、そういう……?」

中華「ふふっ」

男「違う!断じて違う!なんとか言ってやってくれ!」

司書コピー「>>下1」

司書コピー「無理やり(身体の)中を覗かれました」

酪農少女「うわぁ……」

男「おい!意味が変わってくるだろ!?」

氷魔「……純粋というのは……恐ろしいですね……」

男「遠い目をするなっ!助けてくれ!」

やる気「たまにはいいんじゃないすか?」

すみません寝落ちしました


といったように、
和気あいあいと夕食を摂ることができた
司書のコピーは終始無表情であったが、
男をからかったりできるほどの元気はあった


ぶりっ子「今日はもう遅いですねぇ」

怪盗「そうですね、みんなで片付けをして早く寝ちゃいましょう」

全員で夕食の後片付けをし、
今夜もいつもと同じくらいの時間に就寝した


?翌日・陽週日曜日?

男が起きて広間に降りれば、
なんだかそわそわした様子で司書のコピーがいた


男「……まだいてくれたのか、よかった」

司書コピー「行くあてがないので。司書のふりしててもあなた達にはバレますし」

狙撃少女「それだけにしては、なんだか落ち着きがないような気がしますが」


得物を掃除しながら、彼女はそう口を挟んだ


司書コピー「え……」

狙撃少女「あぁ、すいません。ただの勘ですから、お気になさらず」

男「鋭いなぁ。……ま、なんか言いたいこととか頼みとかあったら言ってくれ」

司書コピー「……そうですね、考えておきます」

それからしばらくすると、
全員がロビーに集まってきた


中華「それで、今日はどうするのかな?」

氷魔「……うーん……人数も増えましたからね……」

やる気「待ってるのも意味ないし、さっさと出発しちゃうのもアリっすよね」


>>下1……なにをしよう?(フェイズ・朝)
1.資金集め!
2.買い物!
3.海神教団の信者を集める!
4.ギルドの依頼を受ける!
5.図書館に行く!
6.占いの館に行く!
7.錬金術師を訪ねる!
8.教団本部を訪ねる!
9.鑑定質屋に行く
10.北の果てを目指す
11.自由安価

男「じゃ、目指すか!極北!」

ぶりっ子「ついに、ですねぇ」

怪盗「長い旅になりそうです……」

狙撃少女「国の一つや二つ跨ぐのとは訳が違いますからね」

司書コピー「……え、私も行くんですか?」

男「そりゃそうだろ。内部情報を逐次出してくれることに期待してるぞ」

司書コピー「えぇー……」

本日はここまでです
ありがとうございました

それから数時間後
一行は手配した大人数用馬車の中にいた


中華「そういえば御者さん」

御者「ん?どうした」

中華「今日の日暮れ前ぐらいには、どこまで行けそうかな?」

御者「あーそうだな。……時期も悪くない、高原の国まではいけそうだ」

男「高原の国?」

氷魔「……まぁ……そのままの国です……」

ぶりっ子「自然が豊かで、水が綺麗なんですが……空気が薄くて、田舎っぽいとこですよぉ」

やる気「そういや、行ったことないっすねー」


一方、中華はまだ御者と話を続けていた


中華「実は僕たち、魔獣の肉に用があって……高原の国で魔獣の目撃報告とかありませんかね?」

御者「>>下1」

御者「目玉が沢山ついた怪鳥が、色々見境無く襲っているとは聞いたな」

中華「だってさ、それ倒せればいい肉が取れるよ」

司書コピー「そうですか……」


彼女はなんだか気まずそうな顔だ
どう対応したらいいのか分からないのかもしれない
あるいは気持ちに整理がついていないのかもしれない


怪盗「怪鳥ですかぁ……飛ぶやつは厄介ですねぇ」

それから数時間して、
太陽が分かりやすく傾き始めた頃合いに、
一行は高原の国の中心部に降ろされた


狙撃少女「早速、怪鳥の情報を集めましょう」

男「そうだな……どこで集めようか?」

氷魔「……この国は……とにかく酒場が多いです……なので……酒場を当たるのがよいかと……」

やる気「へぇ、そうなんすね」

彼女の言葉を参考に、周りを見渡せば、
視界に入るだけでも複数軒の酒場があった


ぶりっ子「なんでこんなにぃ?」

氷魔「……あまり娯楽のない土地柄なのと……酒神信仰が理由とされています……」


適当な酒場に狙いを定め、一行は暖簾をくぐった


怪盗「おやっさーん!私達、怪鳥を討伐しにきたんですけどどこにいるか知りませんかー!?」

マスター「>>下1」

マスター「少し向こうの谷に巣を作ってるよ」

狙撃少女「よし、なら早速巣を急襲ですね!」

マスター「おいおい、死ぬ気か?谷は奴のフィールドだぜ」

狙撃少女「私がいれば大丈夫です。羽が生えた生き物は全て、私の獲物に過ぎません」

男「巣を安全に制圧できれば、卵もあるかもしれないな」

本日はここまでです
ありがとうございました

中華「卵……料理に使いたいね。有精卵だったらダメだけど」

氷魔「……もし卵があるとするなら……複数体いるということですよ……」

やる気「確かにそうっすね。沢山いたら処理に困るっすよ」


彼らはてっきり怪鳥が一羽のみかと思っていたが、
そうではない可能性が浮上した


ぶりっ子「なんか、弱点とかないんですかぁ?その鳥」

マスター「>>下1」

マスター「激しい光が出るものは嫌がるな


怪盗「ほぉ、みなさん光魔法とか照明魔法使えますよね」

狙撃少女「そうですね、これは役に立つかもしれません」

マスター「嫌がるくらいに留まるがね」

男「だが、不意打ちには十分使えそうだな。光は拡散するし多くいても隙は作れそうだ」

本日はここまでです
ありがとうございました

それから一行は店主に別れを告げ、
怪鳥が住むとされる谷の方角へと歩きだした


中華「空気が薄いのが少し心配だ」

氷魔「……確かに……いつもの感覚で動き回ると……思わぬ墓穴を掘ることになりかねませんね……」

やる気「あー、そうかもしれないっすね。俺っちは戦闘スタイル的に気を付けるっふよ」

様々なことを考えながら、曲がりくねった、
しかしながらきれいに示された高原の道を歩いていく


ぶりっ子「……今の、聞こえましたぁ?」


向こうから響く大きな鳥の声に、
彼女は鋭敏に反応した


怪盗「近づいてきましたね」


一行は息を殺して、怪鳥の谷に辿り着く
そこを覗き込み、怪鳥の姿を探す


>>下1……怪鳥は何匹いた?

狙撃少女「……ふむ、巣が一つ、怪鳥が二羽です」


持ち前の優れた視力で状況を把握し、素早く伝えた


男「もしや、つがいかもな」

中華「得られる物が増えて、戦いの苦難もまた増えたね」

氷魔「……こういう敵は……意外と初めてかもしれません……」

やる気「フェニックスも一応鳥っすからね、ちょっとは練習になるんじゃないっすか?」

ぶりっ子「確かに、そうかもしれませんねぇ」

狙撃少女「では、正々堂々戦いますか?」

怪盗「え?どういうことですか?」

狙撃少女「あちらは気付いていませんから、私が一発撃ち込んで不意打ちが可能です」

男「うーん……出し惜しみするほうがよくないような気がする」

本日はここまでです
ありがとうございました

狙撃少女「では、お任せを」


彼女は匍匐の体制となり、スコープで怪鳥を狙い、
その引き金は確かに引かれた


中華「よしっ!」


下1コンマ下一桁×5.5……狙撃のダメージ

55ダメージ!狙撃少女がレベルアップ!


彼女が放った弾丸は、
空間を引き裂くような轟音と共に、
知覚不可能なスピードで怪鳥を貫いた


怪鳥「キィ……!」


短く断末魔を上げ、巣の中で絶命した


狙撃少女「……調子がいいです。完全に急所を当てました」

氷魔「……あんな威力では……急所でなくても死んでいそうですが……」

しかし、その威力と射程は轟音とのトレードオフである
当然、もう一羽の怪鳥はこちらに気付く
狙撃少女のライフルは一発しか装填できないため、
全身の目をぎょろぎょろとさせながら怒りに任せて飛んでくるそれを撃ち落とすことはできない


怪鳥「キィエエエエエエ!!!」

やる気「おっ、ついに来たっすね!」

怪盗「やつはこっちに向かってくる必要があります。この戦い、まだこちらがイニシアチブを握っていますよ!」

本日はここまでです
ありがとうございました

男「つまり、迎撃だな!」

中華「それなら僕だね、上級光魔法!」

怪盗「キィッ……!?」


多くの眼を持つその怪鳥は、
どうしても激しい閃光が苦手だった


氷魔「……どの程度効くでしょうか……」


>>下1コンマ下一桁×4……魔法のダメージ

20ダメージ!中華がレベルアップ!


彼が放った閃光は怪鳥を覆うように浴びせられ、
怪鳥はバランスを崩す
しかし、どうにか一行のいる崖上までは飛行してきた


怪鳥「キィィィン……」

やる気「よし、あと一息っすね!」

ぶりっ子「あんなやつ、さっさと撃ち落としちゃいましょう!」

すみません寝落ちしました


氷魔「……では……私が撃ち落としましょう……」

怪盗「冷凍保存とは、ありがたいですね」

氷魔「……確かにそうですね……では……きちんと凍らせなければいけませんねっ……極大氷魔法……!」


手を翳せば、その軌跡をなぞるように大空は氷塊で覆われた


>>下1コンマ÷2……魔法の威力

49ダメージ!


狙撃少女「お見事です」


空中で音もなく凍りついたその怪鳥は、
一瞬のタイムラグを置いて一行の目の前に落下した
音まで凍りつくような雰囲気だったため、
氷塊が地面に叩きつけられた音がいやに大きく感じられた


男「よし、後はもう一羽の死体と卵を回収するだけだな」

中華と狙撃少女がレベルアップしました!
中華はレベルが30になるので一つ上のテーブルです

>>下1コンマ……中華の成長
>>下2コンマ……狙撃少女の成長

?中華料理人の成長テーブル?
01?40で全能力+6
41?60で習得『料理習熟・地』
61?80で習得『戦飯』
81?90で上記全て
それ以上またはゾロ目で何かが起こる

?狙撃少女の成長テーブル?
01?20で筋力+4
21?40でHP+2
41?60でMP+4
61?80で素早さ+2
81?90で全能力+3

狙撃少女の【素早さ】??+6

中華がリロールです!
中華くんはやたらリロール率が高いですね


>>下1コンマ……中華の成長


?中華料理人の成長テーブル?
01?30で全能力+15
41?60で『神格』
それ以上またはゾロ目で何かが起こる

さらに再判定です!
連チャンすればするほど世界と設定のスケール感の最大値が上昇して大変なことになります


?中華料理人の成長テーブル?
01?25で全能力+30
26?50で『神格』
51?70で『始祖六柱転身体』
71?90で『創造者』
それ以上またはゾロ目で何かが起こる

中華「そうだね……!?」


いつかのような現象が起こる
何の前触れもなく、雲もなさげなのに、
彼は突如轟雷に打たれた


氷魔「……は……」

やる気「生きてるっすか!?」

ぶりっ子「いや、これどっかでぇ……」

怪盗「まさか、怪鳥の祟り!?」

狙撃少女「見た目はなかなか醜悪でしたしね」

本日はここまでです
ありがとうございました

・男
【筋力】124【HP】68【素早さ】200【MP】114【顔面】30(神の力)【歌唱力】74【料理】111【中華料理】97【画力】26【加護】13
【刀術】・閃火斬(火属性武器でのダメージに+6、それ以外の武器では+3)
『平凡人』(戦闘能力以外を最低保証50)
『魔法の才能』(魔法習得難易度易化)
『多芸』(感覚系ステータス+20)
『万能通訳』、『降神術』(神の依り代に適性)
『マグネリレーション』(定期的な巡り合わせ)
武器:レジストソード(攻撃翌力3.5、魔法生物特効)
防具:ミレニアムアーマー
習得魔法:火魔法 上級火魔法 氷魔法 上級氷魔法 闇魔法 風魔法 上級風魔法 回復魔法 光魔法 マナ電流互換 着火魔法 照明魔法 耳鼻咽喉キャンセラレーション 海割りの奇跡
所持:麻薬(1回分)"人は空を羽ばたけるのか?"鳥人間強制改造本ドラゴンキラー(ドラゴン系にダメージ増)、上級氷魔導書、13時間時計、魔王のデモウイルス、サファイアの原石、厨二っぽい太刀(攻撃翌力3、炎属性)、ベヒーモスの角剣
(経験値10/40……レベル31)

・中華
【筋力】133【素早さ】191【HP】43【MP】75【中華料理】112【顔面】76【加護】10【運命力】29【求心力】33
『救世主の資格』(【運命力】と【求心力】追加)
『魔王の資格』
『神格』
『器用』(回数で壊れるアイテムを一回多く使え、罠や精密機械などに関するコンマ判定にボーナスが付く)
武器:デモンズスピア(攻撃翌力4)
防具:ミレニアムアーマー
装飾品:銀の腕輪(筋力+5)
習得魔法:火魔法 上級火魔法 上級水魔法 上級光魔法 マナ電流互換 着火魔法 照明魔法 回復魔法
所持:危険な国三選、13時間時計
(経験値22/38……レベル29)

・氷魔【筋力】162【HP】??+36【MP】177【素早さ】151【料理】37【歌唱力】27【ダンス】1【顔面】37【加護】20
『消費MP1/2』、『ポリシーブレイク』
『究極氷魔法』消費【MP】:240(120)
『メルティング』、『氷魔法上位混合』
武器:ホークワンド(魔法ダメージ+5)
防具:ミスローブ
装飾品:冷却懐中時計(氷ダメージ+5)
習得魔法:極大氷魔法 氷空魔法 水魔法 超上級水魔法 上級風魔法 超上級回復魔法 マナ電流互換改 着火魔法 照明魔法 洗濯魔法 水質検査魔法
所持:異性にモテる為の本(所持継続一日以上で【顔面】+5) 雷の魔導書、13時間時計
(経験値12/47……レベル38)

・やる気
【筋力】157【HP】57【MP】129 【素早さ】174【顔面】36【加護】20
『殺 る気』(殺せると思った相手へのダメージ二段階上昇)
『魔王の資格(80%)』(不完全ながら能力値上昇、魔物の言語が分かる)
武器:スパイラルランス
防具:ミレニアムアーマー
習得魔法:超上級水魔法 土魔法 回復魔法 着火魔法 照明魔法 マナ電流互換改 洗濯魔法 水質検査魔法 闇魔法 上級闇魔法 天候操作魔法 ジャミングウェイブ 解錠魔法
所持:氷の上なら狙った場所に届くカーリングストーン爆弾
(経験値0/36……レベル27)

・ぶりっ子
【筋力】122 【HP】??+32【MP】140【素早さ】102【料理】73【歌唱力】44【ダンス】51【加護】10
【顔面】58
『誘惑』(【顔面】以下の【MP】の生物をたまに行動阻止)
『やりくり術』(アイテム値段を二割引)
『ドジっ子』(ランダム攻撃の対象から外れ、【顔面】+10)
『毒手』(攻撃を命中させた相手に永続スリップダメージ)
『従者式格闘術』(後出しでかばいダメージ上昇)
『風より速く動く術』
武器:ドラゴンキラー
防具:ソードブレイカー 緋色の法衣(炎や熱系の魔法や攻撃の無力化+魔法だった場合魔翌力吸収 )
習得魔法:水魔法 上級水魔法 氷魔法 上級氷魔法 光魔法 回復魔法 マナ電流互換 着火魔法 照明魔法
必殺技:ぴゅん太郎
所持:化粧品(試供品)、13時間時計
(経験値30/39……レベル30)

・怪盗
【HP】??+1
【筋力】120
【MP】136
【素早さ】355
【歌唱力】53
『盗む』
武器:丁半槌
防具:ソードブレイカー
習得魔法:上級火魔法 風魔法 回復魔法
所持:アダマンタイトの曲刀、雷の力を吸収する杖
(経験値6/34……レベル25)

・狙撃少女
【筋力】122【MP】137【素早さ】??+6
武器:守人のパチンコ(攻撃翌力3.5、攻撃前に属性魔法を使用して属性付加可能、三発)
習得魔法:水魔法 光魔法
所持:スパークナイフ(攻撃翌力2.5、雷属性)アンチオールスナイパー(攻撃翌力8、一発)
(経験値11/39……レベル30)

【所持アイテム】竜毒血清、毒竜管、人造人間の子宮、金属、不思議な赤石、銀の鎖鎌、危険物の魔導書(乙種)人間サイズの蛇の胴体パーツ、邪教典、硫酸の入った瓶、筋トレメソッド本、13時間時計×3、純金小判×5 レア珍獣の生息地(本) 忘却されるまで封印した機械(本)、無限に重なる葉っぱ、ホームセンターの便利グッズ紹介本 回復スライム、氷スライム レインボースライム 探し物の位置を指し示すコンパス(『4回』、不良品)、牛スライム、文字を書き込んだら対になるものに文字が浮かび上がる一対の巻物、壊れたものを何でも直すレンチ、黄金の番人像、世界樹の露(三回分)、なんでも開けるドアノブ型生命体、クイックポーション、超回復ポーション、仮死薬
【ギルドの資金】80361475

心配していると、中華はゆっくりと起き上がった
以前にはなかった、妙な雰囲気を纏っている


男「……前にもあったな、こんなこと」

中華「そうだね。でも……うーん、なにがあったのか分からないや」


彼も不思議がっていたところ、
男の脳内に興奮した声が響く


海神「ね、ねぇ!あの人、神様になっちゃったよ!?」

男「………………はぁ!?マジ!?」

氷魔「……なんですか……急に……」

男「あ……すまん。海神サマが、すごいこと言うもんで」

やる気「なんか分かったんすか?」

男「信じがたいが……中華、神になったみたいだぞ」

中華「えっ!?僕が!?」


一同は盛大に驚いた
本人も含め、ただただ心の整理ができていない
一行が落ち着くのには数分を要した

とりあえず必要な食材を引き上げ、
やる気がその怪力で全てを運ぶこととなった
近くの街への帰り道、一息つくと、みな喋りだした


ぶりっ子「なんの神になったんですかぁ?」

中華「なんの神なんだろうね?」

ぶりっ子「あっ、分からないんですねぇ」

怪盗「でも、大方の予想は付きますね」

狙撃少女「中華料理の神、でしょうね」

一行が街に戻ってきたとき、あることに気付いた


男「……どこで調理するんだ?」

中華「あー、考えてなかったね」

氷魔「……いつもは……ギルドハウスに帰って調理すればよかったですが……」

やる気「まぁ、普通に宿とか?」


>>下1……どこで調理する?
1.キッチン付きの宿
2.酒場の厨房を借りる
3.自由安価

本日はここまでです
ありがとうございました

ぶりっ子「マスターさーん」


大きな怪鳥を調理するとなったとき、
どうしても宿のキッチンでは規模が足りない
ここは飲食店の厨房を借りるべきだろう


マスター「ん……ん!?本当に狩ってきたのか」

怪盗「で、こいつの肉食べようと思うんですけど……厨房貸してくれませんか?」

マスター「あー……だが、タダって訳にもいかねぇな。他にも客はいるし」

中華「それなら、今日だけの特別メニューってことで、どうですか?怪鳥コース」

マスター「うーん……料理できるやつはいるかい?」

狙撃少女「それなら、彼は神です」

マスター「?」

男「ああいえ、なんでもありません。彼は料理人ですよ」

マスター「それならいい。その量じゃ人手が足りねぇからな」

中華「やった!」

氷魔「……よかったです……さぁ……適当な席に座ってください……」

司書コピー「……そうですね」


そうして一行は思い思いの席に座っていく
が、男は呼び止められた


中華「男も料理できるでしょ?」

男「……え?もしかして俺も行くの?」

中華「人手はあればあるだけいいからね。ほら、行こう」


こうして、ゆっくりしていようとした男も厨房へと引きずりこまれていくのであった

本日はここまでです
ありがとうございました

それからというもの、酒場は大騒ぎだった
祝杯を上げる者、怪鳥を倒した経緯を聞く者、
ひたすら怪鳥の肉を貪る者もいた
一方、男と中華はただひたすら厨房で調理をしていた


男「これだけの量を調理するのは流石に初めてだぞ」

中華「あはは、ごめんね。無理やり連れてきちゃってさ」

男「……いや、いいさ。話しておいたほうがいいこともあるしな」

中華「え?」

男「そう深刻な話じゃない。大事な話ではあるが……『神格』についてだな」

中華「ああ、まだよく分かってないんだ」

男「一応、神という肩書が保証する最低限の奇跡というものはある。だが、なにかを成したいと思うなら、信仰を集めることが大切だ」

中華「信仰……かぁ」

男「そうだ。……ここにきて、本物の現人神を教団の神に加えることも検討しなきゃならない」

中華「いくら神が実在するからって、さすがに胡散臭いよねー」

男「相変わらず謙虚だなぁ。……ま、おおよそ中華の言った通りだ。実際に神の力を分かりやすく行使し、また見せつけるレベルにならなければ神であることを教団としてアピールしづらい」

中華「信仰を集める近道に入るために、最低限自力で信仰を集めなきゃいけないんだね」

男「そうそう。ま、幸いしばらくは旅だ。なんらかの力を示せる機会はやってくるだろうさ。なんなら、今作ってるこれでもいいしな」


そう言って、切られた鶏肉を指す


中華「バカ騒ぎの宴席にシェフがご挨拶ってのは野暮だね。男も分かってるでしょ?」

男「まぁな。冗談だ」

夜も更ける頃、ようやく宴はお開きになった


マスター「よし!後片付けは全部俺がやるから、もう帰りな!」

中華「おっ、太っ腹ー」

マスター「太っ腹はお前さんたちだ。ずっと料理してたんだろ?結局夕飯は食ったのか?」

男「中華は延々と料理し続けそうだったから、俺が説得して無理やり食わせた」

マスター「それならいい。宿は取ってるのか?」

男「……あっ」

マスター「まさか、宿がないのか?それなら……>>下1」

本日はここまでです
ありがとうございました

マスター「このメモの宿に行け」


メモには宿の名前と、その場所が記されていた


中華「ふむ?」

マスター「俺の名前を出せば融通してくれる」

男「それはありがたいですね。どうもありがとうございます」

マスター「気にするな。肉は安く提供したが、結局は原価なしの丸儲けだ」

それから一行は、メモに記された宿へと向かった
宿は村の外れにあり、そのわりには大きい宿だ


氷魔「……夜分遅くに失礼します……」

ホテルマン「いかがなさいましたか?」

やる気「勿論、泊まりにきたっすよ。でっかい酒場のおやっさんから言われたんす」

ホテルマン「そうでございましたか。では、しばしお待ちを」

本日はここまでです
ありがとうございました

ぶりっ子「本当にあっさり通りましたねぇ」


待っていると、ホテルマンが鍵を持って戻ってきた


ホテルマン「こちら、部屋の合鍵となっております」

怪盗「ありがとうございますー」


一行は鍵を受け取り、その部屋へと向かった
番号はキーに記されていた


>>下1……部屋の内装

その部屋に入った瞬間、みなが目を疑い驚愕した
もっとも、司書のコピーだけは生気があるのかないのか分からないような顔で佇んでいたが
そこはあまりにも緑色だった
壁は勿論、天井に至るまでもがとにかく緑だった
どこか不気味だが、目にはいいだろう


狙撃少女「変わった部屋ですね」

男「そうだけど……変すぎないか?」

中華「とはいえ、かなり広いよ。みんな泊まれそうだ」

氷魔「……そうですね……この人数で泊まれる部屋は貴重です……」

確かに視覚的には強烈なものを感じるが、
置かれているベッドやアメニティもしっかりとしたものだった
おそらくはただそういったコンセプトの部屋というだけなのだろう


ぶりっ子「騒いだせいで眠いですぅ……」

怪盗「明日に響くのも嫌なんで、さっさと寝ちゃいましょう」

狙撃少女「いや、風呂入ってないじゃないですか。順番にシャワー浴びてからですよ」

本日はここまでです
ありがとうございました

全員はいそいそとシャワーを浴び、
泥のように眠りについた


司書コピー「………………」


しかし、司書のコピーは眠ってはいなかった
全員が疲れて眠りこけているだろう今なら、
どこかへと逃げられると考えたのだ
彼女はなるべく音を立てないように動き、
部屋の入口であるドアに手を掛け、開く
その向こうには>>下1がいた

男「………………」


そこには男が立っていた
彼は真顔で真っ直ぐ司書のコピーを見つめていた


司書コピー「ひぃぃ!?」

男「なにこそこそしてるんだ?」

司書コピー「あ、あなたこそ……」

男「俺か?ちょっとトイレにな」

司書コピー「この部屋にもあるじゃないですか」

男「なんか詰まった」

司書コピー「それは……災難ですね」

男「お前もトイレか?」

司書コピー「はい」

男「そっか」


彼女は男とすれ違い、部屋を出る
しかしその瞬間、後ろから肩を掴まれる


司書コピー「ぴぃ!?」

男「下手な嘘つくなよ。トイレに行くつもりなら詰まってるの知ってるだろ」

司書コピー「………………」

男「で、脱走か?」

司書コピー「……そうですけど」

男「行くあてがないんじゃなかったのか?」

司書コピー「……そうですね。それは本当です」

男「……そうか。今日のところは大人しく着いてきてもらおうか。まだ俺たちの目的は達成されていないしな。だが……」

司書コピー「なんですか……」

男「いい傾向だ」

本日はここまでです
ありがとうございました

すみません遅れました


彼女に男の真意は分からなかった
心に不可解なものを残したまま、
観念してベッドで眠りにつくことになった


?翌日・陽週月曜日?


中華「うわっ」


中華はなにかに驚いたような声をして目覚めた
まるで悪夢でも見たかのようだ

氷魔「……どうしたんですか……?」

中華「びっくりしたんだ。自分の部屋じゃなくて、なんか真緑の部屋だったから……」

やる気「あー、あるっすよね。遠征なんかの一日目で錯覚するやつ」

ぶりっ子「よりにもよってこの真緑の部屋ですからねぇ」


一行の目的地にはまだほど遠く、
素早く準備をしてチェックアウトした


怪盗「これからどこへ向かえばいいんでしょうか?」

狙撃少女「地図によれば、この国の商業都市が割と近くにありますね」

男「なるほど、そこでなら移動用の馬車も手配しやすいだろう」


とりあえず村を出て、
意外にもあまり高低差のない街道を歩んでいく


中華「あれ、なんか落ちてない?」


半刻ほど歩いた後、彼がなにかを見つける
そこに落ちていたのは>>下1だった

本日はここまでです
ありがとうございました

そこには、綿の塊が落ちていた
変わった綿花でも辺りに生えているのかと思ったがそんなことはなかった


氷魔「……綿……でしょうか……魔翌力も感じます……」

ぶりっ子「まさか」

怪盗「見たところ、どうやら司書コピーさんの中に入っていたものと同じようですが」

司書コピー「え……」

彼女は複雑な顔をしている
そもそも、なぜ綿が落ちているのか理解できていない
もっとも、それはこの場の全員がそうだった


狙撃少女「司書コピーさんの肉体を構築した存在が、近くにいるのかもしれませんね」

男「高原だし見通しはいいが、見当たらないな」

中華「残念だけど、今は進むしかなさそうだ」

本日はここまでです
ありがとうございました

それから注意深く街道を進んだが、
結局それらしい人影もなかったどころか、
一切人間や魔物には遭遇しなかった
そうして一行は商業都市に辿り着いた


氷魔「……もしかしたら……彼女の肉体を造った人物は……この街にいるかもしれませんね……」

男「聞いた所によればそいつは淫魔らしい。人の多い場所にいるのは自然だな」

やる気「じゃあ、馬車呼ぶ前に聞き込みでもするっすかね」

商業都市というだけあって、
近くには多くの商店が立ち並んでいる
特にメインストリートともなれば活気も凄まじい
一行はその中にある雑貨店に目を付けた


店主「野生動物、小型の魔物から身を守る!かんしゃく玉はいらんかねー?」

ぶりっ子「すみませぇん」

店主「あいよ!」

ぶりっ子「私たちは旅の者なんですけどぉ……この辺で淫魔の目撃情報とかありませんかぁ?」

店主「>>下1」

店主「淫魔の目撃はあんまり聞かないな。何か起こったのかい?」

怪盗「確実なことは言えないんですが……近くの街道で淫魔の痕跡らしきものを発見しまして」

店主「そりゃあ大変だな。で、そいつになにか用があると見える」

狙撃少女「流石ですね……実際、用があるのです。ですが、あなたがいないと思われるならば、ここにはいないのだと私たちも思います」

店主「それなら、いい話があるぜ」

男「いい話?」

本日はここまでです
ありがとうございました

そう言うと、彼は一行を店先から店内へと誘導した
一行は不思議に思いつつ、彼に着いていく


店主「うちは動物や魔物に対抗するためのアイテムを数多く取り揃えていてね」

中華「へえ」

店主「こっちに淫魔に対抗するためのアイテムもあるのさ」

氷魔「……もしかして……それ……ですか……?」


氷魔はある品物を指して彼に問う


店主「ご名答。こいつが淫魔への対策アイテムである>>下1だ!」

店主「とろける濃厚牛乳だ!」

氷魔「……はんっ……」

店主「その心底馬鹿にしたような顔をやめてくれ!」

やる気「実際、効力あるんすか?」

店主「寝る前に枕元に置いておけば、取り憑かれることはなくなるぞ!」

ぶりっ子「それはありがたいですねぇ」

氷魔「……迷信ですけど……気休めにはなるでしょうね……」

怪盗「して、いくらなのですか?」


彼女は置かれていた値札を持ち、覗き込む
そこには、日本円に換算して一瓶280円と書かれていた


狙撃少女「高くないですか?」

店主「うちにある牛乳で一番濃厚で高級なやつだからね。他にも牛乳はあるが……なるべく濃厚な奴に効果があると言われているよ」

男(うさんくさいな……)

本日はここまでです
ありがとうございました

とはいえ折角情報を貰ったのだから、
情報代として買っておくのも悪くないだろう
結局そう判断して牛乳を3瓶買った


【ギルドの資金】80360595


店主「毎度あり!」

中華「情報、ありがとうございましたー」


そう言って一行は商店を去った

それから移動用の馬車を呼び、
とにかく北に向かって進んでほしいと頼んだ


御者「話は聞いてるぜ。なんか極北を目指してる奴らがいるってな」

氷魔「……ええ……大切な用事がありまして……」

御者「ま、詮索はしねぇさ。色んな人が使うしな」


そうして一行はその大きな馬車に乗り込んだ

本日はここまでです
ありがとうございました

そして、御者と先日のことについて話し、
特に怪鳥を倒した話は大変盛り上がった


司書コピー(……みんな、特に私を警戒していない)


一方で彼女はただ一人黙っていた
相変わらずの無表情である


司書コピー(ということは、男は私の行動をみんなに共有していない?)

司書コピー(なぜ……?)

その訳を聞こうかとも思ったが、
彼女はそうすることはできなかった
ある種の恐怖はきちんと備わっていたためだ


やる気「そろそろ高原も終わりっすかね」

御者「そうだな」


かなり急な勾配の坂を下っていく


ぶりっ子「夜までには大体どこまでいけそうですかぁ?」

御者「>>下1」

御者「船が出る港町にはつくぞ」

怪盗「それはいいですね。ちゃんと宿なんかも取れそうです」

御者「ああ、真緑の部屋に泊まったんだって?」

狙撃少女「ええ……なんだったんでしょうか、あれ」

御者「さぁな。目に優しい部屋を目指したんじゃないか?あるいはVIPルームとか」

男「あれがVIP?」

御者「すごい建築家の考えることってのは一般人にゃ分からんもんさ」

本日はここまでです
ありがとうございました

日が沈みかける頃、一行は港町に着いた
先日の反省を生かして手際よく宿を取ると、一行は港へと向かった


中華「すみませーん」

船乗り「ん?」


そこには立派な帆船とそこから降りてきた船乗りがいた


氷魔「……さらに北の大陸に渡りたいのですが……明日船は出るのでしょうか……」

船乗り「そうだな……>>下1」

船乗り「夜明け前に出る予定だ」

やる気「あー……宿取らなくてもよかったかもしれないっすね」

船乗り「仮眠だけでも宿でしておくといいぜ。そのほうが船酔いのリスクも減るしな」

ぶりっ子「そうですかぁ?それならいいんですけどねぇ」

船乗り「それよりチケットだな。本当は今日の昼までしか売ってなかったんだが……少々割り増しになるが一人2500も払えば乗せてやれるぜ」

男「合計二万か。まぁいいだろう」


【ギルドの資金】80340595


船乗り「これにはカラクリがあってな。他の賑わってる街からここまで馬車で来ると……大体この時間になるんだ。昼に出ていることが前提だがな」

怪盗「ひぃー……せこいですね」

船乗り「原則昼までしか売らないのもマジだからな。夕方に訪ねてくる沢山の旅人にチケットが売れないとなればお互いに損なんだ」

本日はここまでです
ありがとうございました

一行はチケットを受けとるとその場を去り、
とった宿へと戻ってきた


中華「じゃ、早めの夕食にしちゃおうか」


彼はそう言って備え付けのキッチンで手早く料理を始める
先日倒した怪鳥の肉は、
氷魔がある程度冷凍して保管してあった


狙撃少女「こういうの、旅って感じがしますね」

氷魔「……そうですね……以前から……遠出の回数は増えていますが……」

それから三十分ほどで中華は調理を終え、
大部屋の巨大なテーブルで食事を始めた


やる気「そういえば、魔翌力のある食材を出し始めてもう三日になるっすね」

ぶりっ子「どうしても肉が多くなるんですよねぇ……」

怪盗「なんか体に変化とか起きました?」

司書コピー「……え?私?」

怪盗「そりゃそうですよ」

司書コピー「>>下1」

司書コピー「心なしか身体が温かくなったような…?」

狙撃少女「そうですか、それはよいことですね」


おもむろに彼女の二の腕を掴みながら、
確かめるようにして狙撃少女はそう話す


司書コピー「なな、なんですか!」

狙撃少女「確かめようかと思ったのですよ」

司書コピー「そう……それでどうでした?」

狙撃少女「そういえば司書コピーさんに一回も触ったことないので分かりませんでした」

男「ははは、なんだそりゃ」

狙撃少女「でも、冷たくはありませんでしたよ」

中華「そうなのかい?まぁ僕も触ったことないから分からないけど」

氷魔「……温度を感じる能力が……目覚めてきているのかもしれないですね……」

本日はここまでです
ありがとうございました

それから食事を終えて三時間ほど仮眠を取り、
一行は船着き場へと戻った


先日は無料だったが、
当然今回は宿代を払うこととなった

【ギルドの資金】80332595


船乗り「おっ、もうすぐ船が出るぜ。ぼちぼち乗り込みな」


先ほどの船乗りはまだ港にいたようだ

やる気「どもっす」


大きな桟橋から船に乗り込み、出港を待つ
すると鐘のような音が鳴り、
船員が点呼のようにそれぞれ掛け声をあげると、
そのまま船は大海原へと漕ぎ出した


ぶりっ子「船は久しぶりですねぇ」

怪盗「夜の潮風は趣があって気持ちいいですね。なんだか特別な気分になれます」

本日はここまでです
ありがとうございました

それから男は一人甲板で海を眺めていた


海神『ねぇ!泳ごうよ!』

男「……え?泳げるわけないじゃん」


脳内に突如響き渡る海神の声
今彼がいるのは海の上なので、
当然彼女もイキイキしている


海神『ケチだなあ』

男「ここ現実だから服濡れるし置いてかれたら死ぬし」

船乗り「……あんた、誰と話してんだい?」


彼が話しているのを聞いていた船乗りの一人が、
不審がって話しかけてくる


男「ああ、すまん。……こう言って信じてもらえるかは分からないが、俺の中にいる海神様と話していたんだ」

船乗り「海神?」

男「俺たちは海神を信仰する教団の……なんと言ったらいいのか。裏の代表みたいなものだ」

船乗り「ああ、元からなのか」

男「やっぱり信じられないか」

船乗り「ああいや、そうじゃない」

男「ん?」

船乗り「海から話しかけられたって船乗りが忽然と失踪しちまうことがあるんだ」

男「そんなことがあるのか」

船乗り「あぁ……これ以上被害が出ても困るんでな、心配になって確認したんだ」

男「ありがとう。だが、見ての通り心配には及ばないさ」

船乗り「ああ。縁起でもない話を聞かせて悪かった。良い旅を」


そう言って彼は業務へと戻っていった


男「……海神。なんか心当たりあるか?」

海神『一番ありえるのだとセイレーンかなぁ?単体を標的にするのは珍しいけどね』

男「そうか……どうにかしてやりたいな」

本日はここまでです
ありがとうございました

海神『それならやっぱり私におまかせ、だよ!』

男「なにかできるのか?」

海神『ごく少人数なら水面に浮かしておくことができるよ!水中での呼吸も保証できるし』

男「それはすごいな。正体がなんであれ十分に戦えそうだ」

海神『でしょでしょ?船が向こうに着くまでに情報集めしようよ』

男「そうだな。それがいいな……」

中華「あれ?どこ行ってたの?」

男「ああ、ちょっと海見てたんだけど海神が話しかけてきて」

狙撃少女「なんて言ってたんですか?」

男「……まぁいろいろあって海に潜む魔物を倒そうって話になった」

氷魔「……いるんですか……そんなのが……」

男「ああ、船乗りが失踪するらしい」

本日はここまでです
ありがとうございました

男たちは情報を集めるため、船長を訪ねた


船長「うん?どうされたかな?」


船長室では彼がちょうど航海日誌を書いているところだった 


やる気「実は……」


一行は海に潜み船乗りを失踪させる魔物を倒したいのでなにか情報はないかと彼に聞いた


船長「ふむ……>>下1」

船長「あの海峡の「人食い岩」を抜けられるかがポイントだ」


彼はそう言って海図の一点を指差した
小さく点のようなものがいくつか描かれており、
それらのことを指しているのだとわかる


ぶりっ子「へぇー……で、そこ通るんですかぁ?」

船長「忌々しいことに、どこから出ても最短航路だとこの近辺を通過することが多いのだ」

怪盗「ほほー……じゃあぶちのめしちゃいますか、怪異!」

船長「できるなら君たちの責任でぜひお願いしたい……ところなのだが……」

狙撃少女「なにか事情があるのですか?」

船長「なに、この怪異のせいで船員が減って損害がかなりひどく……謝礼を出すことができんのだ」

男「謝礼なら要らないです。俺たちはその化物の肉に興味があるんですよ」

船長「人魚でも食べて不死になろうというのかね?」

中華「いえ、魔翌力を持った生物の肉が必要なのです。なるべく継続的に……旅を続けながら」

本日はここまでです
ありがとうございました

氷魔「……では……そこを通るのは……いつですか……?」

船長「順調にいけば今晩の予定だ。時化の季節でもないしな」

やる気「なるほど……」

船長「それまではゆっくり船旅を楽しんでくれたまえ。期待しているよ」


彼に激励の言葉をかけられ、一行は船長室を後にした

それからまた全員は自由行動となった
まだ朝なので夜まではかなり時間があるだろう


男「いい風だなぁ……」


>>下1……何しよう?
1.中華に会いに行く
2.氷魔に会いに行く
3.やる気に会いに行く
4.ぶりっ子に会いに行く
5.怪盗に会いに行く
6.狙撃少女に会いに行く
7.自由安価

男「もう少し見て回るか」


男は自分のいる甲板から下り、下甲板へと移動した
それなりに大きな船なので、
多くの船員が行き交っている
特にここでは釣りをしている者が多く見られた
釣竿とはそんなに丈夫なものなのだろうか、
と男は思った


やる気「だあらっしゃあぁぁぁーーっ!!!」

本日はここまでです
ありがとうございました

誰から釣竿を借りたのか、やる気が釣りをしている
ちょうど大物を釣り上げたようだ
全長は一メートルほどあり、そこで跳ねている


男「すごいなぁ……」


と余所見をしながら歩いていると、
人にぶつかってしまった


男「おっと、すみません!」


>下1……あなたがぶつかった相手

人形「……いえ、大丈夫です」

男「………………いつ着替えた?」

人形「はい?」

男「お洒落に興味を持つようになったのか?それはよいことだ」

人形「な……なんですかあなたは?理解できません……」

男「記憶喪失か?いや、これじゃまるで……」


まるで別人だと彼が思ったその時
そこにいる彼女の奥から同じ体格、顔立ちのあなたのよく知る服装のヒトガタが現れた

司書コピー「……!?」


彼女もあなたを認識したとともに、
そこにいる存在がなんなのか理解した
自分自身とは意外と分からないものだが、
その点彼女は正確だった


人形「……なんですか」

男「こう言っては失礼だが、なんか企んでないか?君」

人形「えっ」

本日はここまでです
ありがとうございました

少し迷惑そうにしていただけの彼女の目が変わる
そして、なにかを察知したようで逃げ出した


男「おい、船上で逃げた所でいずれ捕まるだけだろう」

人形「ちっ……」

司書コピー「ふんっ」

人形「な……お……お前は……」


司書のコピーは逃げようとする人形に不意打ちで重いボディブローを叩き込み、
なんと一撃で気絶させてしまった


男「……よかったのか?」

司書コピー「さぁ。でもこうするしかなかったように思われますね」

彼女はそう言い残してその場を去ろうとする


男「話を聞かなくていいのか?」

司書コピー「聞きたくありません」


引き止めたが、彼女はやはり去っていった
人間味が出てきたことは前進なのかもしれない

それから男は人形を自分たちの船室まで連れて帰った
たまたま船室には誰もいなかったが、
不意を突かれてピンチになることはないだろうと確信していた


人形「……ん……」

男「目覚めたようだな」

人形「お前は……!」

男「君がどういった存在なのかは既に知っている。俺が知りたいのは君の目的だ」

人形「言うものか……」

男「言わないなら、君は残酷な真実を知ることになる。そんなことは俺もしたくないんだ。言ってくれ」

人形「>>下1」

本日はここまでです
ありがとうございました

人形「…船を壊せ。船底まで行けばそれで良いと言われた」

男「どういうことだ?」

人形「さぁ、私には分からない。ただ……」

男「ただ?」

人形「『火口までの正規ルートは一本しかないのだから』とも言われた」


非常に謎めいた発言だが、
火口というのは何かしらのヒントになるだろう

男「そうか、情報ありがとう」

人形「ふん……」

男「じゃ」


彼は手短に別れを告げてその場を去ろうとする
船室のドアに手をかけると人形から話しかけられた


人形「……え?解放するのか?」

男「船底さえ守りゃいいんだろう。それに気をつければお前なんて怖かないね」

人形「だが……殺さないのか?」

男「なんか嫌な予感がするんだよ」

人形「へ?」

男「船底までいけば船が壊れるってんだろ?で、君はなにも知らされていないと」

人形「そうだけれど」

男「……小突いたら爆発しそうだ。君、爆弾人形なんじゃないか?」

人形「……爆弾……人形……?」

男「そうだよ。だってありえないだろ。なにも方法を知らないなんてな」

人形「私は……私は人形なのか?」

男「……さぁな。だがベリアルって奴の策謀で君の体に爆弾が埋め込まれてる可能性が高いって話だ」

人形「そ、そんな!これまでの私の人生は一体……」

男「そう思うなら、船底には近寄らないことだ。そこで君は死ぬことになる」

人形「……ふざけるなッ!馬鹿にするのも大概にしてくれ!私が……私がそんなおぞましいモノだって証拠がどこにあるっていうんだ!?」

男「……見せてやることはできるさ……ただ、君じゃ多分耐えられないだろうな……」

本日はここまでです
ありがとうございました

すみません遅れました


人形「……本当に、そうなのか……?」

男「脅しておいてなんだが、絶対そうって訳じゃないぞ。そういうことする奴に心当たりがあるってだけだ」

人形「だったら、はっきりさせてくれませんか?」

司書コピー「それだけはお勧めしないです」


彼女は意を決した表情で船室に入ってきた


人形「……お前は」

司書コピー「私はあなたのようなものです。見て分かるでしょう?」

男「……知りたいというならその意志は尊重する。それでも自分がなんなのか知りたいなら、言うといい」

人形「>>下1」

人形「………そ、そこまで言うなら、はっきりさせよう。 貴方が言うように、私が人間なのか、人形なのか。」


彼女は絞り出すような声で語る
すっかり憔悴しており、瞳孔が震えている


司書コピー「本当にいいのですか?あなたは……本当に……」

人形「そ、それではっきりするなら私は……」

男「わかった。だが、取り乱して暴れるようなことだけはしてくれるなよ」

彼はそう言って例のドアノブを取り出した


司書コピー「おぞましい……」

男「そんなこと言うなよ、こいつが傷つくだろ?」

司書コピー「……理解できません」

男「実はこいつ生き物なんだよ、それじゃあいくぞ」


男は人形の肉体にそれを接着し、ひねり開ける
やはり中には魔翌力の籠った綿が詰まっていた


>>下1……爆弾は入っていたか

本日はここまでです
ありがとうございました

人形「こ……これが……!」

男「おとなしくしておけ。だが……これは……」


そこに爆薬とおぼしき物体は入っていなかった
しかし、一枚の札が入っていた


司書コピー「なんでしょうか、そのお札」

男「分からんが……嫌な予感がするな。それになんだか綿が火薬臭いぞ」

人形「結局……爆弾なのか!?私は!?」

人形は不安に耐えきれず叫び出しまったが
男は至って冷静だった


男「ほぼ100パーセントそうだ」

人形「そ……そんな……」

男「なにが悪さしてるかといえば多分この札なんだが……触れたらドカンの可能性もある。迂闊に手出しはできないと言っておこう」

人形「は……はは……」

男「おっと、早まるなよ。俺以外ならどうにかできるかもしれないからな。仲間を呼んでくるから待っていろ」


男はそう言って船室を出た


>>下1……誰を呼ぶ?
1.中華
2.氷魔
3.やる気
4.ぶりっ子
5.怪盗 
6.狙撃少女

やる気「いやー釣った釣った……うぉわあ!」

男「やる気!助けてくれ!」


魚を持ち運ぶ彼の前に男が突如現れる
やる気は思わず魚を取り落としそうになる


やる気「な、なんすか!?」

男「実はこれこれこういうことで……」

やる気「よく分からないっすが、とにかく行くっすよ!」

男はやる気を船室まで連れてきた
そして人形の腹に取り付けたドアノブを再び回す


男「とにかくこの札を見てくれ」

やる気「うえっ」

男「どうだ?なにか分かったりしないか?」

やる気「実家で見たことあるっすよこれ……」

男「となると……」

やる気「呪爆札っすね、まぁ要するに遠隔起動できる起爆剤っす」

人形「……実質、爆弾か」

やる気「遠隔起爆できるんで、高性能な爆弾っすね」

本日はここまでです
ありがとうございました

すみません遅れました


人形「……はっはっは」

男「再度言うが自棄にはなるなよ。どうだやる気、これ、取り出せそうか?」

やる気「うーん……確実に、とはいかないっすけど、手はあるっす」

男「だ、そうだ。やるぞ」

人形「え?私の意思は?」

男「死にたければ助かった後に死ぬんだな。上級氷魔法っ!」


男は魔法で人形の手足を拘束した

やる気「暗闇にしてくれるっすか?」

男「分かった」


男は備え付けられているタンスで窓の光を遮った


やる気「よし……行くぞっ!」


彼は目を光らせて魔王の力を解き放ち、
勢いよく札を掴んだ


人形「えっ!?」

やる気「こいつを魔物に変えるッ!!」


彼がそう叫ぶと札はみるみるうちに姿を変えていく


>>下1……どんな魔物になった?

本日はここまでです
ありがとうございました

蜘蛛「ジャァァッー!」

やる気「はああああっ!!」


彼は鎖で絡め取られた蜘蛛をがっちりと掴み、
人形の体外へと引きずり出した


男「おおっ!」

やる気「ちゃりゃあああああッ!!」


そのまま全力で蜘蛛を握りつぶす
鎖が変形する奇妙な音が鳴り響く

すると轟音を立てて蜘蛛が爆発する
しかしやる気はその爆風をも握り潰してしまった
鎖の欠片だけがその勢いのまま部屋中に飛び散る


男「つっ」


凄まじい勢いで飛んできたので、
かすっただけでも怪我にはならないが痛かった


人形「な……なんなんですか……あなた……」

やる気「丁寧なフリをどうも。俺は魔王だ」

人形「っ!」

ま、魔王様って何人もいんの!?

>>277
安価は取ってませんでしたがなんかいい感じなので採用します


人形「ま、魔王様って何人もいんの!?」

男「いるな」

やる気「正確には魔王の資格を持つ者だ。その力を行使できるので実質的には魔王だろう」

人形「へ、へぇ?……」

男「救世主とか魔王とか、そういうのって実質的に存在しているだけで今は資格を持つ者が世界に散らばっているだけだそうだ」

すみません寝落ちしました


やる気「……とても精神的に疲れた。また海でも見に行くよ」

男「ごめんな、呼びつけて」

やる気「いいってことよ。戦闘以外で役に立てるのは貴重だからな」


そう言って彼は船室のドアを開けて去っていった

男が動かしたタンスを元の位置に戻していると、
人形が話しかけてきた
ふとそちらを見ると、
司書のコピーはもういなくなっていた


人形「あの」

男「どうした?」

人形「私、思い出せないんだ。私はこれまで十数年生きてきたように思っているのに、その記憶がないんだ」

男「……忘れろ、そのことも」

人形「……分かってるよ、本当のことぐらい。さっき見せつけられたから」

男「もう考えるな」

人形「嫌だね。でもどうしたらいいのか分からない。……どうしてか涙も出ない」

男「………………」


船室は重い空気に支配された
しかし、それを打ち払うように人が入ってきた


>>下1「うぇぇぇぇ……」


どうやら船酔いがきついようだ


入ってきたのは
1.中華
2.氷魔
3.ぶりっ子
4.怪盗
5.狙撃少女
6.司書コピー

ぶりっ子「うぇぇぇぇ……」


彼女は嗚咽を漏らしながら船室に入ってきた
そしてあなたと人形を見て固まる


男「……船酔いか?」

ぶりっ子「……ナンパしたんですか?」

男「違う!最近なんかみんな俺のこと誤解してないか!?」

人形「無理やり連れ込まれました……」

ぶりっ子「うーわ……」

男「それはそうなんだけど……」

ぶりっ子「えっ本当なんですか!?……うーわ……」

本日はここまでです
ありがとうございました

男「前もやったわこういうの!」

人形「再犯ですか」

男「ぐぉぉぉぉっ!!!」

ぶりっ子「……で、真面目に誰なんですかぁ?」

男「司書コピーの仲間か……同じ種族?まぁそんな感じだ。顔とかそっくりだろ」

ぶりっ子「そうですねぇ」

男「……丁度いい。彼女のこれからについて話し相手になってくれないか?」

ぶりっ子「えっ、私ですかぁ?」

男「適任だろう?……どうしてとは言わないが、覚えはあるはずだ」

ぶりっ子「……そう、かもしれませんねぇ」

人形「?」

男「そういう訳だ。後は二人でしっぽり頼むぞ」


彼は具体的なことは何一つ言わないまま、
船室を後にしてしまった

ぶりっ子「強引ですねぇ……」

人形「そうだね」

ぶりっ子「で、これからのことってなんなんですかぁ?」

人形「いや、別にこれからについて話していた訳じゃないんだけれど……」

ぶりっ子「え?」

人形「私がなんなのか……ということです」

ぶりっ子「あぁ、なるほど」

本日はここまでです
ありがとうございました

人形「……知っているんですね?」

ぶりっ子「そうですけど……」


彼女は後ろを向き、窓を眺めて話しだす


人形「私は彼にそんなことは忘れろと言われました」

ぶりっ子「あらら……そりゃ随分ひどい話ですねぇ」

人形「……そうなのでしょうか?」

ぶりっ子「ええ」

人形「言うことが違いますね」

ぶりっ子「当たり前です、人間みんな意見が合わなくて当然ですからねぇ」

人形「……人間、ですか」

ぶりっ子「自分が人間か、というのは自分の心持ち次第ですよ。尤も、考えなければ気にしなくても済むから、男さんはああ言ったのでしょうけれど」

人形「誰かにそんなこと言われたところで……」

ぶりっ子「……ふふ、私も実はあなたのような存在なんですよ」

人形「え?」

ぶりっ子「私のこの体、母親の腹から産まれたものじゃないってことですよ」

人形「……よく、言えますね」

ぶりっ子「言いたくないですよ。でも、最近向き合うことができました」

人形「なぜですか?私にはそれが必要だ」


彼女は縋るような目でぶりっ子を見る
『それ』の指すところは広いが、
ぶりっ子は淀みなく話を続ける


ぶりっ子「それでも私はここにいていいからです。私は、受け入れられている」

本日はここまでです
ありがとうございました

人形「……私にそれはあるの?」

ぶりっ子「探せばいくらでもありますよ」

人形「例えばどこに?」


そう聞かれると難しいので彼女は頭をひねった
そうしてからまた話し始める


ぶりっ子「ここです」

人形「船ですか?」

ぶりっ子「ここで働きたいって言えば、それなりの対応はしてもらえるんじゃないでしょうか。船長さんはいい人ですよ」

人形「あはは……それなんですけど、実は私密航してて……」

ぶりっ子「えぇっ!?」

人形「存在がバレたらアウトなんですよ」

ぶりっ子「……じゃ、私と謝りに行きましょう!」

人形「なんでですか!?」

ぶりっ子「あなたみたいな精神状態の人が悪いことしたら、もっと悪い方向に進んで行くんですよ!心にしこりを残さないように、絶対謝るべきです!」

人形「わ、分かった!分かりましたから!引っ張らないでぇ!」


ぶりっ子はかなり強引に彼女を船長室まて連れてきた
そして丁寧にノックをすると入るよう中から声がした


船長「おお、お嬢さん。いかがしたかね?」

ぶりっ子「こっちの子の話なんですけどぉ……ほら、言える?無理そうなら私から伝えておきますけど」

人形「……いや、言うよ」

ぶりっ子「流石です!さぁどうぞ!」

人形「私、密航してました。理由もひどいものです。……本当に、すみませんでした!」


そう言って頭を下げる
船長は驚いた顔をしてそれを見ている


船長「>>下1」

船長「密告か!? それよりも怪我とか無かったか!?」

人形「え……いや……そんな」

船長「下手な事してたら出航前に死んでたぞ」

ぶりっ子「ほらね、そんな気負わなくていいんですよぉ」

人形「……まぁ、ヤバい奴との関係はもう切れたと思うんで、大丈夫です」

船長「……それならいいんだ」

人形「……でも私、もう行くとこなくて」

船長「ふむ」

人形「一応密航したし……償いも兼ねて、ここで働かせて欲しいです」

船長「そうか……だが、海の仕事はかなりハードだ。肉体的に追い詰められる仕事が多いだろう」

人形「はい」

船長「見たところ君は華奢な部類のようだが……それでもやれるなら、歓迎しよう」

人形「……やらせてください。たとえなんだってやります」

船長「そうかい?じゃあ夕食の配膳を手伝ってくれるかな。みんな早く食べたがるから、配膳を進んでしてくれる人がいないんだ」

人形「分かりました!お任せ下さい!」


そう言って彼女は船長に連れられ、
食堂へと向かっていった


ぶりっ子「よかったですねぇ……」

司書コピー「そうですね」

ぶりっ子「ひょわぁっ!?どこにいたんですかぁ!?」

司書コピー「ずっと見てましたよ」


どこがずれたその返事に、ぶりっ子は恐怖を覚えた

本日はここまでです
ありがとうございました

司書コピー「……人をつけ回して何の用ですか」

男「君も人形をつけ回してたじゃないか」

司書コピー「………………」


無言で睨まれる
センシティブな問題に対して臆さず物を言いすぎたようだ


男「すまんすまん。で、どう思う?あいつのこと」

司書コピー「それが私にどう関係するというのですか」

男「関係しかないだろ?」

司書コピー「いいんじゃないですか?彼女が望むなら、私がなにか言うこともありません」

男「……」


彼女はとても葛藤しているが、
なぜ人形はあんなにもあっさりと道を決められたのか
男はそれがなぜか分からなかったので問いかけた


司書コピー「私が面倒くさい女だって言いたいんですか?」


しかし、これも地雷だった


男「いや、そういう訳じゃなくて……」


そんなことを聞く時点で面倒くさい女だろう、と言いたい気持ちをぐっと堪えて男は会話を続ける

司書コピー「……助けてあげよう、みたいな気持ちはありました。でも……多分それは余計なお世話だったんです」

男「それはないと思うが」

司書コピー「人形さんはそう思っていないでしょうね。でも……多分私がなにかしなくても結果は変わらなかった。結局私は怯えているだけだった」

男「………………」

司書コピー「とんだ道化です、私は。なぜ……なぜ、私はこんなにも……」


彼女の表情はほとんど変わらないが、
冷や汗を流して蹲る


男「それ以上はいけない。戻れなくなるぞ」

司書コピー「……あなたはなぜ、昨晩の私の脱走を否定しなかったのですか?なぜ、それなのに気遣う?」

すみません遅れました


男「脱走しても行く場所がないとか言ってた君が、脱走するつもりになったってことは……それだけ人間社会に希望が持てたってことだろう」

司書コピー「っ!」

男「……素直になれてないだけなんだよ、君は……でもそれでいい。俺たちは、君が素直になれるまで君の面倒を見る」

司書コピー「………………」

男「どうだ?やってみたいことはできたか?」

司書コピー「>>下1」

司書コピー「本物の司書さんを見つけて仲良くなってみたい」

男「素晴らしいことじゃないか」

司書コピー「本当にそう思う?」

男「ああ。なにかやりたいことが出来たなら大丈夫だ。目的があって、感情がある。人間それで十分なんだ」

司書コピー「そうなんですか?」

男「……少なくとも俺はそう思う。じゃあいい図書館のある街に出会えることを願って旅を続けようじゃないか」

司書コピー「いつもいる城下町より大きな図書館がある街ってあるんですか?」

男「うーん……俺はあまり世界に詳しくないからなぁ。まぁどっかにはあるんじゃないか」

司書コピー「適当ですね」

男「ギルドを始めてからはよく言われるようになったよ」

司書コピー「昔は真面目だったんですか?」

男「理由もなく、な」

本日はここまでです
ありがとうございました

二人で話し込んでいるともう夜になっていて、
真上には月が浮かんでいる


船長「おお、甲板にいたか」

男「船長。もしや……」

船長「ああ、人食い岩が見えてきたぞ」


彼は船の先の方に立つと、一点を指す
そこに人食い岩があるのだ


>>下1……人食い岩とはどんなものか

そこはまるで剣山のようだった
釘のように鋭利な岩が海面から大量に突き出している


男「自殺者が出そうな岩だなぁ……」

船長「この岩々の隙間には魔物が住むと言われていましてな。いつも我々はこの付近を航行するとき、みな船内に籠るのだ」

男「……じゃあ船長も入っては?」

船長「はっはっは。みなさんなら倒せると信じておりますからな」


彼がそう言うとギルドの仲間たちも集まってきた


中華「信用しすぎですよ。そんな完璧な集まりじゃないんですから」

船長「まぁそう言うな。だが、魔物に魅入られてしまった者は船の中にいても忽然と姿を消してしまうのだ」

氷魔「……それが……ここというわけですね……」

船長「そうだ。だからここを航行するときはいつもひやひやするのだよ」


しかし岩の間からはなかなか何も出てこない
それでも警戒し続けるしかない

本日はここまでです
ありがとうございました

やる気「居るなら出てこいッ!!」


彼は船から身を乗り出して岩々に叫ぶ
すると、岩から奇妙な音が聞こえてきた


ぶりっ子「……なんですかこの音!?」

怪盗「なにか素早い生き物が岩と岩の間を猿みたいに跳ね回ってます!」


ゴムのように岩の間を移動していたそれは、
ついに船にまで飛びかかってきた


>>下1……人食い岩に潜む魔物の正体

猿「キキーッ!!」


そこから出てきたのは本当に猿だった
船に降り立ったそれを見て、一行は息を飲んだ
やはりただの猿にしか見えないからだ


狙撃少女「……猿?」

船長「どうやらそのようだが……」

男「こんな海上に猿が生息できるわけがない。なにかカラクリがあるぞ」

中華「どうする?こいつ」

氷魔「……むやみやたらに殺害するのは……気が引けます……」

やる気「確かにそうだな」

男「……仕方ない。航海に支障のないよう、早めに終わらせるしかないか」

船長「どうかしたのか?」

男「錨を降ろしてくれませんか?」

船長「なぜだ?」

男「探索します。この岩の群れの中を」

船長「まさか泳いで行くつもりか!?」


流石の船長も驚きを隠せないようだ
しかし、男にそのつもりはない


男「いえ、水上は歩けます」

本日はここまでです
ありがとうございました

海神『私の出番だね!?』

男「そうだな。行くぞっ」


男は船から飛び降りて着水する
その体は海に沈むことはなく、
アメンボのように立っている


船長「……理屈は分からんが、とにかく行けそうだな」

やる気「錨を降ろすなら俺も手伝おう」

男「みんなも降りてくるといい。今なら海神様の力で浮けるぞ!」

ぶりっ子「なんでもありですねぇ……っと!」

怪盗「いよっ!」

狙撃少女「海の上でもちゃんと狙撃できるでしょうか……」


口々に感想や懸念を言いながら、
ギルドの面々は全員海上へと降りてきた

男「なんか……声反響しないか?」


どうやら、人食い岩は普通の岩石ではないようで、
岩石群の中を歩く者の声がそれぞれによく反響する


中華「そうだね……他に猿はいなさそうだけど」

氷魔「……ちなみに……さっきの猿は……船長さんが預かってくれるそうです……」

やる気「船長には助けられっ放しだな」

ぶりっ子「……あっ、見てください、あれ」


彼女が指す先には、人一人が入っていけそうなほどの洞穴の入り口があった
岩の一つがくり貫かれたようになっており
そこから入っていけそうだ


怪盗「なにかありそうですね。お宝とかあるんじゃないですか?」

狙撃少女「屍のほうが沢山ありそうですが……」

男「入ってみれば分かることだ。ただ、警戒は十分にな」

本日はここまでです
ありがとうございました

洞穴の入り口に体をねじ込むと、
地下へと繋がる梯子がそこにはあった


中華「困ったね、こりゃ。完全に航海の予定狂わせちゃうかも」


予定外の冒険の予感に、中華がそう漏らす


氷魔「……そうですね……そのときは……賠償金でも払いましょう……」


一行はゆっくりと梯子を下っていく


>>下1……その先の空間はどうなっていたか

やる気「……広いっすねー」


そこは大きなトンネルのようになっていて
大量の空洞が空いていてそこには鉄格子がかかっていた


ぶりっ子「牢屋……?」

怪盗「でも、なんにもいないですし、鍵開いてますよー」


手癖の悪い彼女は鍵に類する物を見るやいなやとりあえずいじり始める

狙撃少女「……この先、開けてるみたいですよ?行ってみませんか」

男「そうだな」


大量の空洞がある空間をまっすぐ歩き
そこに開けた空間へとたどり着いた
それは広大な地底湖であり、非常に透き通っているがあまり降りたくはないと思わせる不気味さがあった


中華「……さて、どうしようか?」

狙撃少女「んー……誰かいますね」


ライフルのスコープを望遠鏡代わりにしていた彼女がなにかを発見した


氷魔「……水上に……ですか……?」

狙撃少女「そうですね」

やる気「一体どんなやつだ?いかにも魔物らしいなら警戒しなければならないが……」

狙撃少女「>>下1」

狙撃少女「数十センチ程の小人?ですね」

ぶりっ子「小人?」

狙撃少女「えぇ、そりゃ皆さんには見えないはずですよ。スナイパーのレンズを通さなければ見えません」

怪盗「どうしてこんな所に……?」

男「まぁ聞けば分かるだろう。小人なら軽いから水上に浮けるってことなのかな」


そういったことを考えながら身を翻し
空中で前転しながら着水する


中華「戦闘にはなるかもしれないから用心したほうがいいね」

本日はここまでです
ありがとうございました

一行は地底湖に着水した
湖だが、どうにも塩っぽいために海神の力が及んでいるようだ


氷魔「……こっちですね……?」

狙撃少女「はい」


最初は本当にいるのかと思われたが、
近付けばその姿が見えてきた


小人「!!!」

やる気「ん?」

小人「ひぃぃぃーっ!」


そこにいた小人は、一行に気付くや否や水面を疾走し一直線に逃げ始めた

ぶりっ子「敵意はなさそうですねぇ」

怪盗「分析してる場合ですか!?追いかけましょう!」

男「……思ったより速いぞ!?」


小人は滑走するように移動しており
走っても走っても距離は縮まらない


中華「埒があかないね!手分けして包囲しよう!」

氷魔「……そうですね……」

しかし湖は非常に広く、数人程度では高速で動き回る小人を包囲することは容易ではなかった


やる気「海神様の力でなんとかなったりしないか?」

男「うーん……どう?」

海神『えっ、無茶振り!?』

男「あぁ、無理かぁ」

海神『いえ、やりますよ!やりますとも!』

本日はここまでです
ありがとうございました

男「無茶しないでくれよ」

海神『ふんぬぬぬぬ……』


彼女がなにやら唸り始めると、
水面もまたうねり始める


ぶりっ子「んっ?」

海神『そこですねぇーーっ!!』


その叫びとともに小人が走っていた水面が急に渦巻き
渦潮となって小人を捕らえてしまった

小人「うわあぁぁぁぁ!!」

男「よし!みんな早く捕まえてくれ!」


そう言う男はと言えば、海神の奇跡を発生させるための魔翌力の支払いが嵩んできたために少々具合が悪そうだ


怪盗「お任せあれっ!」


彼女は右足で渦潮に飛び込みつつ小人を捕らえ
左足で跳ねて離脱する

それから一行は捕まえた小人を湖のほとりに運んだ


小人「や……やめて……くれ……」

狙撃少女「待って下さい。私たちはあなたに危害を加えるつもりはありません」

小人「……そうなのか?」

男「あぁ。なぜ逃げたんだ?人間にトラウマでもあるのか?」

小人「>>下1」

小人「そうです」

中華「そりゃ同族が悪いことをしたね」

小人「我々小人族はただこの地底湖で暮らしていただけなんだけど……何十年も前にこの近海で行方不明が多発するってんで濡れ衣を着せられ、乱獲されたんだ」

氷魔「……ひどい話ですね……あの牢獄はそのために……」

小人「もはや小人はほとんどこの地底湖には残っちゃいないけど……なんだってここを訪ねた?」

本日はここまでです
ありがとうございました

やる気「丁度その話だ。この近海で行方不明者が出るというので……その原因を捕まえてやろうと思ってな」

小人「ぼ、僕たちじゃないぞ!?」

ぶりっ子「でしょうねぇ。食べても美味しくなさそうですし」

小人「食べ……!?」

怪盗「あー気にしないで下さい。こっちの話ですから!それで、なんか知りません?この辺に変なやつとか……」

小人「>>下1」

小人「そういえばどこからともなく歌が聞こえてくる時があるんだ」

狙撃少女「歌?」

小人「うん」

男「具体的にどの辺か分かるとありがたいんだが……」

小人「多分、檻のほうだと思うよ……僕たちは檻には近付かないようにしてるから、どの檻かは分からないけど」

男「そうか、感謝する」

一行は湖のある地帯から戻って、
いくつも並んでいる鉄格子を確かめることにした


中華「出入りが多いやつが見分けられればいけそうだけど……」

氷魔「……そんな洞察力は……ないですね……」

やる気「状況や小人の話から考えるならば、いずれかの檻が知らない道へと続いているということだろう」

ぶりっ子「とりあえず一旦全ての檻を見て回りましょう」

本日はここまでです
ありがとうございました

そのとき、ある一つの檻からすすり泣くような声が聞こえた
檻には誰もいなかったことは確かなので、
一行は不審がってその檻の前まで移動した


怪盗「おや?」


そこには誰もいなかったが、
牢の最奥の壁……そのレンガの隙間から声が聞こえていることが分かった
また、状況的にこれこそが歌ではないか、
数人はそう考えた者もいた

狙撃少女「……しかし、この中に人が入っていけるものなのでしょうか?」


レンガの隙間はとても狭く、
行方不明になった人物がここを通った可能性は低いだろう


男「だが、こっちから声がするならそれでいい。犯人に会えさえすればオーケーだ」


そう言うと男は力いっぱいレンガを蹴り飛ばす
するとレンガの壁が崩れ、その向こうに>>下1

そこには妖怪がいた
その種族は定かではないが、
犠牲者のものとおぼしき人魂をいくつも鳥籠のような物体で保管していることからも妖怪であるように感じられた


妖怪「んん?……?」

中華「ここで何をしている!」

妖怪「お前らには関係のないことだよ」

氷魔「……私たちはあなたに用があるのですがね……」

本日はここまでです
ありがとうございました

妖怪「なんだと?」

やる気「……貴様、自分が恨みを買っていないとでも思っているのか?」

妖怪「仇討ちか?」

ぶりっ子「身内がやられた訳じゃないですが……被害を出しているなら、ここで殺します」

妖怪「そりゃ怖いねぇ?。退散退散!」


そう叫ぶと霊体となって一行の合間を抜け、
檻を出て洞穴の入り口の方へと逃げ出した


怪盗「しまった!」

狙撃少女「追いかけましょう!」

しかし妖怪の逃げ足は速く、
洞穴の外へと逃げられてしまった


男「まずいな……」


高所から行方を探るために一行は船へと再び飛び乗る


船長「どうした!?……と言いたい所だが、それどころじゃない!あれを見ろ!」

妖怪「居所がバレちゃ仕方ない。まとめてぶっ潰してあげるよ!」


妖怪の高らかな声がする方へと向くと、
そこには見上げる程の巨大な>>下1がいた

1.船幽霊(船型)
2.海坊主
3.自由安価

そこには大型の戦艦もかくやというサイズの巨大な船があった
おそらく船幽霊の類だろう


中華「もしかして、あれが妖怪の正体!?」

男「どうかな。船幽霊の中には、実際に船に化けられるやつもいるから……あれが真の姿じゃない可能性は高いぞ」

氷魔「……とはいえ……あの質量は脅威的です……どうにか対処法を考えないと……」

やる気「正面から破壊……は困難そうだな」

本日はここまでです
ありがとうございました

船幽霊「ぶっ壊しちゃうよ?!」


船幽霊はゆっくりと、だが確実に、
一行の乗り込む船へと向かってきた


ぶりっ子「燃やしても体当たりされてこっちまで燃え移るのは必至……これヤバくないですかぁ?」

怪盗「デカイのの相手は苦手なんですよ!」

狙撃少女「コアもなさそうですし……ライフルで一撃という訳にもいかなそうです」

男「……一か八かだな」


そう言うと男はふらついた足取りで船幽霊に背を向け、
船内へと入っていった


船長「どうした!?」

男「船長がいてくれた方がありがたい。船員を全員集めてくれ!」

船長「……分かった!みんなは食堂だ!」

二人が勢いよく食堂に入ってきたので、
船員たちは露骨に驚いた


男「船員のみなさん!急いで甲板まで出てきてください!」

船長「船長命令だ!カレーは冷めるやもしれぬが……それどころではないのだ!」


船長が一喝すると、船員たちは慌ただしく動き始める

本日はここまでです
ありがとうございました

二人はどうにか甲板に人を集めたが、
船員のほとんどは迫り来る巨大な船にパニック状態だ
船幽霊の位置が都合よく船の正面ではなかったため、
どうにか別方向に船を動かして逃げているが、
追い付かれるのは時間の問題だろう


中華「人を集めてきたってことは……」

男「いよいよ神頼みだ」

船長「神?」

氷魔「……ええ……我々の信ずる神ですよ……」

男は船首に登ると、
慌てふためく船員たちに声をかけた


男「みなさん!こうなってはもう神頼みしかありません!!祈って下さい!!」


男はそう呼びかけるが、人形などの一行と接点のあった人物とごく一部の船乗りしか祈ろうとしない


やる気「くっ……」

中華「それなら僕が!」


中華の求心力判定を行います
>>下1コンマ……33以下で成功

中華は必死で人々に呼びかけたが、
それでもやはり混乱は収まらなかった


ぶりっ子「どどど、どうしましょう!?」

男「……海神様ぁぁぁぁッ!!!」


男は全力で叫ぶとともに、両腕を振り上げた
すると、船の両脇に水柱が立った
それにも驚き、船員たちは固まる


海神『ちょっと!?急に力使わないでってば!』

男「すまん……だが、こうするしかなかった。みんな!これが海神様の奇跡だ!みんなで祈るんだ!そうすればさらなる水を呼び、船幽霊を転覆させることもできるだろう!」

船員A「……なんだか分からないが、祈ればいいんだな!?」

男「誠心誠意祈ってくれよ!」

船員B「当ったり前だ!やらなきゃ死ぬんだろ!?」

男「ああ!みんなの信仰とエネルギーが海神様の権能をさらに高めてくれる!」


実際に奇跡を見せるのが手っ取り早く、
人々にその威光を知らしめることができる
ただしこの場合男がそれを避けた理由も存在はする

本日はここまでです
ありがとうございました

すみません遅れました


しかし、海神の力を封じていた理由に言及されることもなく、時間は進んでいく


怪盗「よし、私たちも祈りましょう!」


その言葉を皮切りにギルドのみなも祈り始める
祈りやそれぞれの魔翌力が一点に集中していく


男「……よし!力を解放……あるいは顕現せよ!海神様よ!!」

祝詞の代わりとなるそれを男が高らかに叫ぶ
叫びすぎで明らかに声がガビガビになっているが、
構わず絶叫すると淡く発光する海神の姿がそこに現れた


海神「祈ってくれるのは嬉しいけど!あなが無茶しないで下さい!!」

男「あぁ……すまん……」

船幽霊「……ん?」


海神はマストの見張り台に瞬間移動すると、
へりに脚をかけて冒険家のようなポーズで船幽霊を指す


海神「あなたが船幽霊ですね!?あなたが人々を喰らっているのは男の中から確認させてもらいました!容赦はしませんよ!」

船幽霊「はーっはっはっは……お前が船に乗っている限り、私に勝つことはできないねぇ!」


船幽霊は蒸気船のようなうなりを上げて、
さらに速度を増す


海神「それはどうでしょう?あなたが海上にいる限り、私に勝つことはできませんよっ!」

船幽霊「何を言うか小娘!」

海神「じゃあ、見せてあげましょう!……『彼岸に帰るがいい!邪なる怪異よ』!!」

海神が魔法のように文章を唱えると、
突如として水面がささくれ立ち、
無数の槍のように変化して船幽霊を貫いた


船幽霊「なんだとぉぉぉ……!」

海神「うふふ、いい気味です。私、産まれて初めて怒っているので。すっきりしましたよ!」

船幽霊「ああ……水が入ってくる……昏き底へと招かれる……」

海神「……おっと!あなたを海底に返すことはできませんね!海難事故で死んだ霊が大体あなたのような妖怪の元であるので、ここで祓ってしまいましょう!」

本日はここまでです
ありがとうございました

船幽霊「なに……」

海神「天に召されなさいっ!」


海神が指パッチンをすると、
巨大な船から瘴気のようなものが溢れ出し、
四散して海へと吸い込まれていく


船幽霊「私の……思念がぁ……」

海神「澱みはきちんと流さないといけませんからね。滞留せず大いなる海に還って下さい」


船幽霊は段々と縮小し、
最終的にはボロボロの船のミニチュアとなった

その様を見ていた乗組員たちや、
ギルドの面々、及び人形たちはその力に畏れおののいた


中華「……すごい。これが、神の力……」

氷魔「……そうは言いますが……あなたも神ですよね……?」

中華「新米もいいとこだし、力の使い方も分からないからねぇ……」

やる気「でも、魔獣の肉は手に入らなさそうだな」

そんなことを話していると、
海神が興味を示して寄ってきた


海神「魔獣の肉が必要なんですか?」

ぶりっ子「えぇ、人間としての感覚をこの子に与えるために必要なんです」


そう言ってぶりっ子は司書のコピーを指す
彼女は海神への畏れからか、目を逸らした


海神「それなら、>>下1」


1.海の魔獣の肉をプレゼント
2.神の眷属となれば人間の感覚を与えられる
3.自由安価

海神「神の眷属となれば人間の感覚を与えられますよ?」

司書コピー「え……」

海神「興味ありませんか?海神の使徒ですよっ!?」

司書コピー「湿ったり、磯臭くなったりします?」

海神「磯臭くはなりませんよ!?まぁしっとりとはしますが」

司書コピー「検討しておきます。ですが私は本に用があるので……湿るのは少々都合が悪いかもしれません」

海神「そうですか、いつでもお待ちしてまーす」

怪盗「なんか、体薄くなってきてますよ?」

海神「あ、顕現できる限界が来ちゃったみたいだね。無理やり呼ばれたし……それじゃ、船乗りのみんな!良い旅を!」


海神は爽やかに挨拶すると消滅した
半ば放心状態で見つめる者、拝む者、フランクに手を振る者などおり、乗組員の反応は様々だった


狙撃少女「一件落着、ですかね。……あれ?男さん?」

本日はここまでです
ありがとうございました

男「………………」


男はその場に倒れていて、何も言わなかった


狙撃少女「……え?」

中華「大丈夫!?」

氷魔「……これは……魔翌力切れを起こしてますね……」

やる気「放っておくとどうなる?」

氷魔「……死にはしないですが……なんらかの後遺症が残る可能性もありますね……」

ぶりっ子「大変じゃないですか!どうしたらいいんですか!?」

氷魔「……そうですね……魔翌力を分ければ……良くなるのですが……」

怪盗「なんかあったんですか?」

氷魔「……先ほどの海神の顕現の際……皆さんの魔翌力は使われてしまいました……」

狙撃少女「というか、それが原因ですね?男さんが倒れてるの」

中華「供給できないってことか……」

本日はここまでです
ありがとうございました
明日は諸事情で遅れる可能性が高いです

一行が悩んでいると、船長が現れた


船長「おい、どうしたんだ?」

やる気「男が気絶した。魔翌力が枯渇したらしい」

船長「なんだって!?」

ぶりっ子「なにか、魔翌力を供給できるような物を持ってたりしませんか?」

船長「>>下1」

船長「生憎持ってはいないし、この船にも積んでいない。」

怪盗「そうですか……」

船長「ただ、この近くの海域にそれらしい島が在った筈だ!」

狙撃少女「そうなんですか!?」

船長「ああ、その島には魔翌力が満ちている。適当な川の水か、生っている果実でも食わせればよくなるはずだ」

中華「でも、そんなとこ寄ったら航海が更に遅れちゃいますよ。ありがたいですが……」

船長「今更気にするな。どうしても申し訳ないってんなら、海神様を呼んで航海の手伝いでもしてもらえりゃすぐ日程は戻るだろう?」

氷魔「……そうかもしれませんね……」

船長「なら決まりだな。野郎ども!寄り道だ!」


彼の指示に従って船員たちは迅速に動き出す
一行は彼とふれ合うことで、なぜそれだけの人望があるのかを理解していた

本日はここまでです
ありがとうございました

夜風をかき分けて数十分
船は自然が豊かで、
それなりに広そうな島へとたどり着いた


やる気「っ!」


上陸した瞬間、やる気がなにかに気付いた


ぶりっ子「どうかしましたかぁ?」

やる気「魔翌力が溢れていると言ったが……やはり魔物も沢山いるようだ。なるべくこの辺りで果実を探すに留めたほうがいいな」

中華「うん。僕も、なにか息遣いのようなものを島中から感じるよ」

魔物が出ると危険だということで、
船長をはじめとした船の乗組員たちは船に残るように言ってから、
男を背負って一行は島の探索を始めた


怪盗「あれは……!」


上陸地点からほど近い森の入り口に、
よく熟したリンゴのような果物が生っている木があった
それを取った瞬間、木に顔が浮かび上がった


木霊「………………」

狙撃少女「あー……こんにちは?」

木霊「>>下1」

木霊「コレタベテ」

中華「えっ、いいの?」

木霊「イイヨー」


どうやらこの林檎のような物体は食べてもいいらしい


氷魔「……そう言われると……逆に怖いですね……」

やる気「なら、俺が一つ食べよう」

やる気はそう言うと複数ある果実の一つにかじりついた


ぶりっ子「えっ!?大丈夫ですかぁ?」

やる気「うーむ、多分大丈夫だ。うまい」

怪盗「よかったです……」


それから一行は小さく破壊した果実を、
少しずつ男に食わせていった

本日はここまでです
ありがとうございました

男「ん……」


そのうちに男は目覚めた
周りを見渡して、そこがあの世ではないことを確認した


狙撃少女「目が覚めたんですか!?」

男「ああ、なんとかな。心配かけた」

中華「本当だよ、まったく」

氷魔「……こちらの方が……魔翌力の籠った果実を提供して下さったんです……」

木霊「ウー」

男「そうなのか?ありがとう!」

木霊「キニスルナ」

やる気「……魔翌力の籠った果実で復活することに疑問を持たないということは、やっぱり分かってて海神を呼んだな?」

男「……あっ」

ぶりっ子「まぁ、あの状態じゃそれくらいしか方法ないですしぃ……そう怒ることでもないですよぉ」

本日はここまでです
ありがとうございました

男「そ、そうだぜ!そういうことだぜ!」

怪盗「焦りすぎです」


それから一行は、ある疑問に思い当たった
普通なら最初に来るはずだったものだが、
全員慌てていたので聞こうとしなかったことだ


狙撃少女「しかし……なぜ私たちに果実をくれたのですか?」

木霊「>>下1」

木霊「アイショウノイイセイブツガワタシノカジツヲタベルト、カジツトユウゴウシテアタラシイワタシガウマレル」

男「?」

木霊「ダカライロイロナセイブツニタベサセテイル」


木が語ったのは魔物の言葉であった
ゆえに、人間には聞き取ることはできないが、
魔王の資格を持つ者なら聞き取れる


中華「ええっ!?」

氷魔「……な……なんですか……」

やる気「男が危ないぞ!」

木霊「アンシンシロ」

ぶりっ子「え?」

木霊「モシテキゴウシテイタライマゴロワタシニナッテイル」

中華「……そう、それならいいけど」

怪盗「途中から魔物の言葉になっちゃったせいでなに言ってるのか全然分かりません……」

やる気「運良く助かったようだが、下手すれば男はあの果実の効果で木霊の一員になっていたということだ」

狙撃少女「えっ」

男「……まぁ助かったしいいか」

中華「よくなくない?」

氷魔「……助かったのも事実ですが……」

やる気「腹が立つし、焼くか?」

木霊「エッ」

男「それに、正直に話してくれたんだ。それに免じて許してやろうぜ?」

ぶりっ子「本人がそう言うのなら、私はなにもしませんよぉ」

本日はここまでです
ありがとうございました

男「しかし、この島はなんなんだ?」

怪盗「魔翌力に満ちた島なのは分かっているのですが……」

狙撃少女「それ以外はなんとも」

中華「探索したい気持ちもあるけど、これ以上航海を遅らせる訳にもいかないね」

男「えっ、航海遅らせてここに来たの!?」

氷魔「……そうですが……」

男「急いで戻るぞ!」


そう言って駆け出すので、
みなそれを追いかけて船まで戻ってきた


やる気「さっきまで気絶していたのだから、もう少し安静にしていろ……」

男「だからこそ、これ以上俺の都合で航海を遅らせたくないんだ」

船長「おお、戻ってきたか。早かったな」

男「あっ、すみませんどうも、お手数かけて……」

船長「なぁに、気にすんじゃねえやい」

男「しかし……」

船長「ほら、見てくれよこいつ」

猿「キキーッ!」


そこに居たのは、先ほど遭遇した猿だった
確かに船長が引き取ったものなので、
なにもおかしな所はない


船長「こいつ、すっかり俺に懐いちまってなあ。お前さんが提案した寄り道のおかげでペットが手に入ったんだぜ?」

男「そ、そうですか……」

船長「だから気にするな。さぁ、出航しよう!」


そうして一行と愉快な船員たちは魔翌力に満ちた大地を離れ、本来の目的地である北方の大陸へと向かっていくのだった


中華「カレーの残りを食べて、今日はもう寝ようか」

氷魔「……遅いディナーですが……食べないより遥かにいいですね……」

やる気「もう日付も変わっているんじゃないか?」

本日はここまでです
ありがとうございました

それから一行は遅い夕食を摂り、泥のように眠った


?翌日・陽週火曜日?


船長「到着予定?今日の夕方だ」

男「意外と早いんですね」

船長「思ったより風向きが良くてな」

男「それはよかった」

船長「長旅じゃないが……疲れただろう。ゆっくりしていくといい」


彼は猿を撫でながらそう告げる


男「ありがとうございます」


>>下1……何しよう?
1.中華に会いに行く
2.氷魔に会いに行く
3.やる気に会いに行く
4.ぶりっ子に会いに行く
5.怪盗に会いに行く
6.狙撃少女に会いに行く
7.司書コピーに会いに行く
8.人形に会いに行く
9.自由安価

怪盗「にひひ……」

男「おい」

怪盗「ぎゃあああーっ!!」


怪盗がいたのは積み荷を入れる格納庫だった
慣れた手つきで種々の品々を物色している


男「盗むなよ」

怪盗「ぬっ、盗みませんよ!?」

男「……なんで積み荷いじっての、じゃあ」

怪盗「いやぁ、ネズミとかいたら駆除しとこうかなって」

男「………………」


男は疑いの視線を怪盗にぶつける
彼女はそれを受けて非常に慌てる


怪盗「ほ、本当ですよっ!?第一、盗んだらバレるじゃないですか!」

男「……それもそうだな」

本日はここまでです
ありがとうございました

怪盗「失礼しちゃいますね、もう」

男「ははは」


男は笑ってごまかそうとする


怪盗「逆に、男さんはなんでここに?」

男「うーん……潮風と太陽に疲れたからかな」

怪盗「……私よりよっぽど不審な理由ですね……」

男「いや、怪盗の理由こそ絶対嘘だろ」

怪盗「わかります?」

男「そんなお人好しじゃないだろうし」

怪盗「一言余計ですね?」

男「まぁまぁ。それでどうしてこんな所にいるんだ?」

怪盗「実は、積み荷の中になんと>>下1があるんですよ」

怪盗「密航者の痕跡を発見したんです!」

男「……それ、人形じゃないか?」

怪盗「もしやと思って確認を取ったのですが、違うみたいですね」

男「マジで?そりゃヤバいな。もうここにはいないのか?」

怪盗「どうでしょう。まだよく調べてないんですよね」

男「はぁ、一人で探すなよな。万が一ってことがあるだろ?」

すみません寝落ちしました


怪盗「ちなみにこの木箱です」


それそのものは何の変哲もない木箱だったが、
何度も開け閉めされた跡があり、
中には空の酒瓶とその蓋が入っている


男「マジだな」

怪盗「そうなんですよ、探しません?ネズミ」

男「……そういうことね」

怪盗「しらみ潰しにやるのは骨が折れそうですけどね……」


この船は大きいため、荷物置き場ですら通常の倉庫より一回り大きい
よって、その中を全て見て回ることは容易ではない


男「呼べば出るかもよ」

怪盗「そんな素直なことあります?」

男「おーい!密航者!出てこないとどうなっても知らんぞー!船員にも知らせてないから俺たちが隠せば助からんぞー!」


と精一杯脅しをかけた

>>下1……反応はあったか

背後「分かった! 大人しく投降する!」

怪盗「んっ!?」


振り向くとそこには道化師の仮面をつけた人物がいた
凄まじく胡散臭いが両手を上げている


男「お前は何者だ?」

道化「俺は魔法使いだ」

男「そうか。とても怪しいが……ひとまず着いてきてもらおうか。話は船室で聞こう」

本日はここまでです
ありがとうございました

不気味なほど静かな道化の魔法使いを連れて、
二人は船室へと向かった


道化「先に言っておくが……俺は下っ端だ。ほぼ使いっ走りだぜ」

怪盗「そうですか」

男「……じゃあ、簡単なことから聞こうか。お前はなぜ、この船の貨物に紛れ密航をしていた?」

道化「>>下1」

道化「さあな、この船に乗れとしか言われてないんでね」

男「まっとうに乗船すればいいだろう?わざわざ密航するのなら、相応の理由があるはずだ」

道化「金がないのさ」

怪盗「経費も出ないとは、しけた組織に勤めているのですね」

道化「そうさな」

男「……はぁ」

道化「そんな顔で見るなよ。俺だってこのメイクが絶対条件だって言われて萎えてるんだ」

怪盗「まぁ、確かに怪しすぎますね」

道化「だろ?ピエロの心得があれば丁度いいんだろうが、俺にゃそんなことはできん」

男「なるほどな、それも理由か」

本日はここまでです
ありがとうございました

それから男は怪盗に呼び掛けて、
人形を呼んでこさせた


怪盗「連れてきましたよー」

人形「なんだい、一体?」

男「この道化に見覚えはないか?」

道化「………………」

人形「>>下1」

人形「同じペイントの奴を見かけたような」

道化「……え、俺じゃないぞ?」

男「どこで見かけた?」

人形「普通に、甲板とかで……」

道化「はぁ?……」

怪盗「どうやら彼は、その道化の影武者のような役割として呼ばれたようですね」

道化「船内歩いてて欲しいなら経費で船代出してくれよ?……!!」

男「いつ見かけたんだ?その道化は」

人形「そうだね……まだ私の中に爆弾が埋まっていたころだよ」

男「……一応、海上はある種の密室だ。まだ船上にいる可能性は高いが」

怪盗「いたら目立ちますよね」

男「ああ、誰も見かけてないし……もしかしたら、昨晩の騒ぎに乗じて、逃げ出した後かもしれないな」

本日はここまでです
ありがとうございました

それからひとまず男は道化を解放した
紛らわしいのでメイクは無理やり剥がした


魔法使い「……こんな姿を見られたら、俺はどうなってしまうのか」

男「自分が蒔いた種だろう。問答無用で船員に突き出さないだけ感謝してほしいものだな」

魔法使い「……分かってますよ」


そう言って彼は去っていった
男もひとまずは用事を済ませた形になる
太陽が真上に昇っている


>>下1……何しよう?
1.中華に会いに行く
2.氷魔に会いに行く
3.やる気に会いに行く
4.ぶりっ子に会いに行く
5.怪盗に会いに行く
6.狙撃少女に会いに行く
7.司書コピーに会いに行く
8.人形に会いに行く
9.自由安価

男「こんな所にいたのか」


狙撃少女は船のマストの上部、
一番上にある見張り台にいた


狙撃少女「……なにかご用ですか?」

男「いや、特にないけど」

狙撃少女「そんな気はしました。それより、これ見てみてください」

彼女はライフルを渡してきた
女の子が持ち歩いているとは思えない重量感が両腕にのしかかる


男「……俺はヒットマンじゃないぞ」

狙撃少女「いいですから、船の進行方向を覗いてみてください」


男がスコープを覗き込むと、
この船の目的地である北の大陸がうっすらと見えている


男「おお!見えるぞ!」

本日はここまでです
ありがとうございました

本日は諸事情により続きを書くことができません
また明日お願いします

狙撃少女「はい、そうでしょう?」


街の他には荒野が見える
今まで男たちが訪れた場所にはない地形であり、
珍しさに彼は興奮した


男「すごいな!」

狙撃少女「もし怪しい船が近寄ってきても、このように私が気付きます」

帆船とは風で進むものだが、
見張り台はなお強く風を感じる


男「いい風だな」

狙撃少女「ええ、旅をしている感じがして楽しいです。私、憧れだったんですよ」

男「そうか……俺も、旅は好きだ。最近好きになった」

狙撃少女「そういえば……>>下1」

狙撃少女「旅の終わりって考えた事あります?」

男「……ないなぁ」


どこか愁いを帯びたような表情で、溢すように話す


狙撃少女「充実してらっしゃるんですね」

男「そういう見方もあるが……単純に、考えようとしてなかった」

狙撃少女「?」

男「この世界の、長い長い俺たちギルドの『旅』……もしそれが終わってしまったら……俺は」

狙撃少女「ど、どうしました?」

男「……なんでもない、すまなかったな。……弱音が出かけたよ」

狙撃少女「言ってくださいよ」

男「嫌だ。俺は一応リーダーだから、みんなに心の弱い所は見せられない」

狙撃少女「そうやって誤魔化すのはよくないですよ?……みんながあなたをリーダーとして信頼しています。だからこそ、話すべきですよ」

男「……なおさら言えない。きっとみんな、失望するさ」

本日はここまでです
ありがとうございました

狙撃少女「……無理に聞こうとは思いません。でも、いつか必ず話して下さいね」

男「そうだな。それくらいは約束しよう」


そうこうしていると、
港が目視でも確認できる距離にまで来ていた
船員たちが慌ただしく上陸の準備を始めたので、
男たちも荷物をまとめるために船室まで帰っていくこととなる

それから陽が傾き始めたころ、船は港へ到着した


中華「よし、じゃあ降りようか」


全員が揃っていることを確認し、
一行は船長に挨拶してから船を降りる


氷魔「……初めて見ましたね……こんな街は……」

そこは西部風の街だった
今にもカウボーイや保安官が飛び出してきそうな町並みであり、道行く人々はみな陽気だ


やる気「楽しそうな街っすね」

ぶりっ子「治安はあまりよくなさそうですし、注意はしたほうがよさそうですねぇ」

怪盗「空気がやけに乾いてますね?」

狙撃少女「水は余裕を持って買いましょう」

本日はここまでです
ありがとうございました

男「さて、どうしようか」

中華「魔獣の肉を探すため、まずはこの街の本部ギルドに行ってみないかい?」

氷魔「……いいですね……」

司書コピー「……よくそこまで私のためにできますね」

やる気「うちのギルドの名声も上がるんすよ」

ぶりっ子「そういうことです、あまり気にしなくていいですよぉ」

一行は街中を歩き、道行く人に聞き込みをして、
この西部劇の街の本部ギルドの場所までやってきた


怪盗「お邪魔しまーす!」

冒険者「………………」


どうも流石に妙なノリだったようで、
周りの冒険者たちは露骨に警戒している


狙撃少女「私たちは旅のギルドなのですが、この辺りで魔獣が出たという話はありませんか?」

受付嬢「>>下1」

受付嬢「最近野良猫や野良犬は良く見るけど、魔獣は見ないですね」

男「まぁ、そうそういるものでもないよな」

受付嬢「はい、この街ではギルドが公権力よりも強いのでそういった珍しい魔物はみなすぐに駆除されます」

中華「そうなのか?」

受付嬢「一部の上位冒険者……『保安官』と呼ばれる人たちが八面六臂の活躍を見せているんですよ」

本日はここまでです
ありがとうございました

氷魔「……平和なのはいいことですが……仕事がないのも困りますね……」

受付嬢「そうなんですよねー……やっぱりみんな、ロマンとかそういうの求めて冒険者やるんで、大きな仕事がないと、後進が育たないんですよ」

やる気「世知辛いっすね」


そういったことを話して、一行はギルドを出た
時間帯はすでに夜であり、宿を探すべきなのは明白だ

ぶりっ子「おすすめの宿を受付嬢さんに聞いておけばよかったですねぇ」

怪盗「まあまあ、ここは大通りですから、歩いていけばいつか宿が見つかりますよ」


実際、歩いていくと酒場風の宿があった
かつて寄った高原の村では、
酒場のようでないのに酒場である建物が多かったが、
こちらは酒場風だが酒場ではない建物が多い


狙撃少女「ご主人、部屋は開いてますか?」

宿の主人「>>下1」

宿の主人「安い部屋と高い部屋どっちがいい?」

男「ふむ……高いほうがいいな。大所帯だし」

宿の主人「そりゃあいい。うちの高級ルームはセキュリティも万全、コソ泥は寄せ付けませんよ」

中華「へえ、すごいね。どうやってるんだい?」

宿の主人「そりゃあ企業秘密ってもんですね。同業者に知られると困るんで、言えないんですよ」

氷魔「……妥当ですね……」

本日はここまでです
ありがとうございました

営業スマイルのうまい主人から鍵を受け取り、
一行は大きなスイートルームへやってきた
一応旅の者ではあるので、
信頼などの兼ね合いから宿代は前払いとした


【ギルドの資金】80232595


やる気「うーん……腹減ったっすねぇ」

中華「そうだね。じゃあ料理しようかな……海沿いだから、いい食材が揃っているんだ」

ぶりっ子「それは期待が持てますねぇ」

中華が料理を始めたので、
男もそれを手伝おうとしたが、
宿の中庭の方から人の叫び声が聞こえた


怪盗「!?」

男「ちょっと様子を見てくる。中華は料理を続けていてくれ」

中華「あ、うん」


男は用心深く窓から中庭を覗いた

>>下1……中庭の様子

そこには、誰かが倒れていた
夜の闇がシルエットを除いて全てを隠してしまっている
それだけでなく、二人ほどがその近くにおり、


男性「い、医者だ!医者を呼ばないと!」

女性「でもどこにいるのか……!」

男性「くそっ!誰か!誰か医者を知らないか!?」


と叫んでいる
が、男たちも医者の所在など知るわけもなく、
どうにかしなければならないと分かっていても手出ししづらい状況だ

本日はここまでです
ありがとうございました

・男
【筋力】124【HP】68【素早さ】200【MP】114【顔面】30(神の力)【歌唱力】74【料理】111【中華料理】97【画力】26【加護】13
【刀術】・閃火斬(火属性武器でのダメージに+6、それ以外の武器では+3)
『平凡人』(戦闘能力以外を最低保証50)
『魔法の才能』(魔法習得難易度易化)
『多芸』(感覚系ステータス+20)
『万能通訳』、『降神術』(神の依り代に適性)
『マグネリレーション』(定期的な巡り合わせ)
武器:レジストソード(攻撃翌翌翌力3.5、魔法生物特効)
防具:ミレニアムアーマー
習得魔法:火魔法 上級火魔法 氷魔法 上級氷魔法 闇魔法 風魔法 上級風魔法 回復魔法 光魔法 マナ電流互換 着火魔法 照明魔法 耳鼻咽喉キャンセラレーション 海割りの奇跡
所持:麻薬(1回分)"人は空を羽ばたけるのか?"鳥人間強制改造本ドラゴンキラー(ドラゴン系にダメージ増)、上級氷魔導書、13時間時計、魔王のデモウイルス、サファイアの原石、厨二っぽい太刀(攻撃翌翌翌力3、炎属性)、ベヒーモスの角剣
(経験値10/40……レベル31)

・中華
【筋力】133【素早さ】191【HP】43【MP】75【中華料理】112【顔面】76【加護】10【運命力】29【求心力】33
『救世主の資格』(【運命力】と【求心力】追加)
『魔王の資格』
『神格』
『器用』(回数で壊れるアイテムを一回多く使え、罠や精密機械などに関するコンマ判定にボーナスが付く)
武器:デモンズスピア(攻撃翌翌翌力4)
防具:ミレニアムアーマー
装飾品:銀の腕輪(筋力+5)
習得魔法:火魔法 上級火魔法 上級水魔法 上級光魔法 マナ電流互換 着火魔法 照明魔法 回復魔法
所持:危険な国三選、13時間時計
(経験値22/38……レベル29)

・氷魔【筋力】162【HP】??+36【MP】177【素早さ】151【料理】37【歌唱力】27【ダンス】1【顔面】37【加護】20
『消費MP1/2』、『ポリシーブレイク』
『究極氷魔法』消費【MP】:240(120)
『メルティング』、『氷魔法上位混合』
武器:ホークワンド(魔法ダメージ+5)
防具:ミスローブ
装飾品:冷却懐中時計(氷ダメージ+5)
習得魔法:極大氷魔法 氷空魔法 水魔法 超上級水魔法 上級風魔法 超上級回復魔法 マナ電流互換改 着火魔法 照明魔法 洗濯魔法 水質検査魔法
所持:異性にモテる為の本(所持継続一日以上で【顔面】+5) 雷の魔導書、13時間時計
(経験値12/47……レベル38)

・やる気
【筋力】157【HP】57【MP】129 【素早さ】174【顔面】36【加護】20
『殺 る気』(殺せると思った相手へのダメージ二段階上昇)
『魔王の資格(80%)』(不完全ながら能力値上昇、魔物の言語が分かる)
武器:スパイラルランス
防具:ミレニアムアーマー
習得魔法:超上級水魔法 土魔法 回復魔法 着火魔法 照明魔法 マナ電流互換改 洗濯魔法 水質検査魔法 闇魔法 上級闇魔法 天候操作魔法 ジャミングウェイブ 解錠魔法
所持:氷の上なら狙った場所に届くカーリングストーン爆弾
(経験値0/36……レベル27)

・ぶりっ子
【筋力】122 【HP】??+32【MP】140【素早さ】102【料理】73【歌唱力】44【ダンス】51【加護】10
【顔面】58
『誘惑』(【顔面】以下の【MP】の生物をたまに行動阻止)
『やりくり術』(アイテム値段を二割引)
『ドジっ子』(ランダム攻撃の対象から外れ、【顔面】+10)
『毒手』(攻撃を命中させた相手に永続スリップダメージ)
『従者式格闘術』(後出しでかばいダメージ上昇)
『風より速く動く術』
武器:ドラゴンキラー
防具:ソードブレイカー 緋色の法衣(炎や熱系の魔法や攻撃の無力化+魔法だった場合魔翌翌翌力吸収 )
習得魔法:水魔法 上級水魔法 氷魔法 上級氷魔法 光魔法 回復魔法 マナ電流互換 着火魔法 照明魔法
必殺技:ぴゅん太郎
所持:化粧品(試供品)、13時間時計
(経験値30/39……レベル30)

・怪盗
【HP】??+1
【筋力】120
【MP】136
【素早さ】355
【歌唱力】53
『盗む』
武器:丁半槌
防具:ソードブレイカー
習得魔法:上級火魔法 風魔法 回復魔法
所持:アダマンタイトの曲刀、雷の力を吸収する杖
(経験値6/34……レベル25)

・狙撃少女
【筋力】122【MP】137【素早さ】??+6
武器:守人のパチンコ(攻撃翌翌翌力3.5、攻撃前に属性魔法を使用して属性付加可能、三発)
習得魔法:水魔法 光魔法
所持:スパークナイフ(攻撃翌翌翌力2.5、雷属性)アンチオールスナイパー(攻撃翌翌翌力8、一発)
(経験値11/39……レベル30)

【所持アイテム】竜毒血清、毒竜管、人造人間の子宮、金属、不思議な赤石、銀の鎖鎌、危険物の魔導書(乙種)人間サイズの蛇の胴体パーツ、邪教典、硫酸の入った瓶、筋トレメソッド本、13時間時計×3、純金小判×5 レア珍獣の生息地(本) 忘却されるまで封印した機械(本)、無限に重なる葉っぱ、ホームセンターの便利グッズ紹介本 回復スライム、氷スライム レインボースライム 探し物の位置を指し示すコンパス(『4回』、不良品)、牛スライム、文字を書き込んだら対になるものに文字が浮かび上がる一対の巻物、壊れたものを何でも直すレンチ、黄金の番人像、世界樹の露(三回分)、なんでも開けるドアノブ型生命体、クイックポーション、超回復ポーション、仮死薬、とろける濃厚牛乳
【ギルドの資金】80232595

男「医者を呼んでるぞ!?」

狙撃少女「医者ですか……」

やる気「じゃ、俺っちがフロントの人に聞いてくるっす!」

男「分かった!」

氷魔「……では……私は中庭に行きます……回復魔法を使えば……よくなるかもしれません……」


彼女はベランダから勢いよく飛び降り、
中庭へと走っていった

氷魔は控えめな印象を与える雰囲気だが、
魔法使いの中では相当に身体能力も高く、
みな彼女が俊敏に動くとギャップに少し驚く


男性「お医者様ですか!?」

氷魔「……残念ながら……そうではありません……しかし……回復魔法には心得があります……根治には至らずとも……少しはよくできるかもしれません……」

女性「そ、そうですか!では何卒……」


氷魔は倒れているその人物を覗き込んだ


>>下1……倒れている人物の状態

氷魔「……違う……!」


その状態はまさしく異様と言うべきものだった
倒れていた男性の肉体には、
奇妙な刻印が浮かび上がっている
発光しているので服の上からでも見てとれるものだ


男性「どうしたんですか!?」

氷魔「……むしろ……これは医者ではなく……魔術師にかかるべき状態です……!」

女性「なにか妙だとは思っていましたが……」

氷魔「……医者を呼びにいった方はいますが……これでは力になれないでしょう……魔法に精通した方を探すべきです……!」


氷魔は苦しそうにしている男性を担ぎ、
宿の外へ出るために動き出した


男性「あ、あなたには分からないのですか?」

氷魔「……すみません……私はかなり限定的な分野しか学んでおらず……こういった込み入った魔法には詳しくないのです……」

本日はここまでです
ありがとうございました

結局のところ、宿を出るにはロビーを通るしかない
氷魔が通りかかると、
そこには困った様子のやる気がいた


やる気「あっ……」

氷魔「……どうしましたか……?」

やる気「主人がいたんで相談したんすけど……『保安官』を頼れば間違いないって言うんすよ。でも冒険者じゃないっすか?本当に大丈夫なのかって……」

氷魔「……そうですね……しかし……今回ばかりはそちらのほうが……都合が良さそうです……」

氷魔は担いでいる男性の様子を見せた


やる気「えぇっ!?なんすかこれ!?」

氷魔「……明らかに……魔術的ななにかです……魔法に精通した冒険者なら……なにか分かるかもしれませんが……」

やる気「保安官のことなら、今主人が呼びに行ってるっすよ……!?」


噂をすればなんとやら、
宿屋の主人が呼びに行った保安官がついに現れた

>>下1……その姿とは

男性淫魔「……只今参上致しました、わたくし、この街で保安官と呼ばれている者の一人です」

氷魔「……えっ……」


二人には信じがたいことだったが、
この街の実力者の中には男性の淫魔がいたのだ


男性淫魔「言いたいことはございましょう。ですが、今は彼を治療するのが先決でございます。引き渡していただけますね?」

氷魔「……え……あ……はい……」

本日はここまでです
ありがとうございました

執事風の淫魔はぐったりしている男性を確認し、
そのまま治療に取り掛かった


男性淫魔「これは……呪われていますね」

氷魔「……やはり……」

男性淫魔「全身にここまで刻印が浮かぶともなれば、相当強い怨みを持たれているでしょう。ひとまず治療しますが、身に覚えがないか必ず本人に問い質すこと。いいですね?」


彼は倒れている男性の付き添い二人に対して、
心からの忠告をした

それからは手際よく倒れた人間を治し、
気絶したままではあるが、
彼らは無事に宿の一室へと帰された


やる気「すごいっすね」

男性淫魔「ありがとう。……しかし君たち、どうも私を見た時に非常に警戒していたように見える。私が淫魔であることと関係しているのか?」

氷魔「……そうですね……男性のそれとはほとんど交流がありませんでしたが……なにか心当たりでも……?」

男性淫魔「>>下1」

男性淫魔「前に勇者チームの魔法使いに教えた魔術回路を感じる」

司書コピー「……え?」


手持ち無沙汰になってロビーに来ていた彼女を指して、彼は言い放つ


男性淫魔「我々の種族は魔術に精通していてね……多くの家系には一子相伝の魔術回路があるのだが、それを使った形跡があるんだよ」

本日はここまでです
ありがとうございました

司書コピー「な……なんですか」

男性淫魔「君の正体についても……私は分かっているよ。私も同じことをできるだろう」

やる気「ま……待つっす。じゃあこの子はどうやって産まれたんすか?」

男性淫魔「素体を作り、魔翌力を行き渡らせる経路を作っただけでしょうね。まぁ、その手順とか合理化とか、その他もろもろ言えることもありますけれど」

氷魔「……あなたは……先ほど述べたその魔法使いが……彼女を作り出したと考えているのですか……?」

男性淫魔「どうでしょう?それは分かりかねます。なにせ、教えられるものではありますからね」

司書コピー「……………………」

男性淫魔「なにか言いたげですね?どうぞ」


彼がうやうやしく促すと、
彼女はやおらに口を開いた


司書コピー「……では、私は人間になれますか?」

男性淫魔「>>下1」

男性淫魔「…断言は出来かねますが、『人間』になる方法はいくつもあります」

司書コピー「……そうですか。ありがとうございます」

男性淫魔「……おや、仔細なことについては聞かれないので?」

司書コピー「ええ。私が気になっていたのはできるかできないかだから」


そう言って彼女は去っていった
人間になることには前向きであることに、
二人は感じ入った

男性淫魔「変わった方ですね」

やる気「そっすね。人形たちの中でも特別だと思うっすよ」

男性淫魔「そうですか」


彼は自分から聞いたことであるにも関わらず、
あまり興味なさげに宿から出ようとする


氷魔「……お帰りでしょうか……」

男性淫魔「えぇ。もし他にもお仲間がいらっしゃるのであれば、私のことを話してもいいですし、隠してもよいでしょう」

本日はここまでです
ありがとうございました

それから三人は宿の部屋まで帰った


中華「お帰りー。もうご飯できるよ」

やる気「あざーっす、いやあ、待たせてないか心配だったっすよ」

男「それより、あの人が助かったのかどうかが心配だな。どうなった?」

氷魔「……魔術的な呪いをかけられていたのですが……解呪はなされたので安心できそうです……」

ぶりっ子「それなら大丈夫そうですねぇ」

できた食事が配膳され、夕食が始まる


怪盗「しかし、焦りましたね」

狙撃少女「そうですね。しかし、あの方はどこで呪われたのでしょうか?」

男「さあ、不気味なものだな」

中華「……他人事みたいな雰囲気出してるけど、この中で一番呪われそうなの男だよ?」

男「えっ」

氷魔「……悪いことはしていないにせよ……目立つということは相応のリスクがありますからね……」

ぶりっ子「極北まではあとどのくらいかかるんでしょう?」

怪盗「分からないですね。地図に記載こそあれ、わざわざあんなとこに行こうなんていう物好きはほとんどいませんから」

狙撃少女「大抵、帰ってきませんしね」

男「俺たちは帰ってこれるといいな」

中華「どうにかなるさ」

とりとめもないことを話して、
一行は夕食の時間を過ごした


氷魔「……この街は……人口の割に……やたら夜が静かですね……」

やる気「治安がいいんじゃないすか?」

氷魔「……そうですね……」


>>下1……何しよう?
1.中華と交流
2.氷魔と交流
3.やる気と交流
4.ぶりっ子と交流
5.怪盗と交流
6.狙撃少女と交流
7.司書コピーと交流
8.自由安価

ぶりっ子「ここの名物ってタンブルウィードらしいですよぉ」

男「え?」

ぶりっ子「その辺に転がってるやつですよぉ」

男「あぁ!西部劇のアレね!」


豆知識としても擦りきれるほど語られたことだが、
聞いても結局すぐに忘れてしまう


ぶりっ子「?」

男「ああいや、なんでもない」

ぶりっ子「そうですか?」

男「それより、なんだってタンブルウィードが名物になるんだ?あんなの転がってるだけの植物のカスじゃないか」

ぶりっ子「ある植物のタンブルウィードが、掃除に使えるらしいんですよぉ」

男「掃除……表面が吸着するのか?」

ぶりっ子「そうそう、そうなんですよぉ」

男「なるほどね……そういう道具があれば、細かい掃除もかなり楽になるだろう」

本日はここまでです
ありがとうございました

ぶりっ子「欲しくないですかぁ?」

男「いや、別に」

ぶりっ子「えぇ!?」

男「ぶりっ子の屋敷は広すぎて掃除しきれないだろ」

ぶりっ子「それは……そうなんですけどぉ!せめて自分の部屋くらいは楽に掃除したいんですよぉ」

男「分かったよ。いくつ欲しい?」

ぶりっ子「5個です」

男「5個も何に使うんだよ」

ぶりっ子「>>下1」

ぶりっ子「掃除、法事、工事、農事、用事」


指折り数えておどけて見せる


男「使うかっ!」

ぶりっ子「うぇへへ……でも、予備が沢山あったほうがいいはずですよっ!」

男「そういうことにしておくよ」

ぶりっ子「買ってくれるんですかぁ!?」

男「ああ」

本日はここまでです
ありがとうございました

そうこうしている内に就寝の時刻となる
誰が決めたでもなく、
一定の時間になるとみな寝る準備を始めるのだ


中華「明日からはまた陸路だね」

氷魔「……海もいいですが……かなり疲れますしね……そのほうがいいです……」

やる気「うまいことみんなを誘導できれば、海神様がいる海のほうが安全っすけどね」

ぶりっ子「私はかなり船酔いするタチなので、馬車がいいですねぇ」

?翌日・陽週水曜日?


怪盗「ん……いい朝です」


目覚めた者たちは静かに寛いでいる
朝日を浴びながらゆっくり水などを飲むのは牧歌的で癒しの一時だ


狙撃少女「風が涼しいですね……」

男「ふぅ……」

本日はここまでです
ありがとうございました

宿でしばし身を休めた後は、
チェックアウトをして街中に出る


ぶりっ子「タンブルウィード買いに行きましょう!」

男「ん」

中華「あ、それ掃除に使うんだよね?僕も欲しいな」

男「五個も買うんだから余るさ。分けてもらおう」

氷魔「……そんなものがあるんですね……」

土産物店でタンブルウィードを買うことにしたが、
ついでに店主と話して情報を得ることにした


店主「まいど!五つも買うのかい?」

やる気「大所帯なんで」

怪盗「そういえばこの街、夜はとっても静かですけど……なんでなんですか?」

店主「>>下1」

店主「この街の建築物の防音性能が優れているとは昔旅人から聞いたな」

狙撃少女「へぇ……そうなんですか」

男「だとすれば納得かもな。昨日助けを求めてた人たちも中庭……つまり屋外にいたわけだ」

中華「みんな夜は出歩かないのかな?」

店主「危ないだろ、夜は」

中華「いや、確かにそうなんだけど……」

本日はここまでです
ありがとうございました

【ギルドの資金】80230595


買い物を終えた一行は土産物の店を後にし、
街のメインストリートへと戻ってきた


氷魔「……あそこに……運送ギルドの馬車がありますよ……」

やる気「おっ、そうみたいっすね。乗せてもらうっすよ。おーい!!」

御者「あいよー!」


近くに停まっていたそれに勢いよく乗り込む


ぶりっ子「いやあ、すぐに見つかってよかったですねぇ」

御者「いや、人数多いな……途中で別の馬車と交代するかもしれん。馬の負担もあるしな」

怪盗「それよりも、北にお願いします。ちなみに、北にはどんな街があるんですか?」

御者「>>下1」

御者「様々なギャンブルを楽しめるカジノ街があるぜ」

ぶりっ子「カジノ!?」


それを聞くや否や、
ぶりっ子は目の色を変えて反応した
突如膝立ちになり、馬車が揺れる


狙撃少女「うわっなんですか」

男「落ち着け。絶対に単独行動はさせないからな」

ぶりっ子「ケチ!」

御者「はっはっは、そりゃあ賢明な判断だ」

中華「え?」

御者「お客さんらが乗ってきた街……西部の街じゃあ、ギャンブルでの一攫千金は夢の一つなんだ」

氷魔「……そうなんですね……」

御者「……だが、夢を求めてカジノ都市に向かった者はよく消息不明になるんだ」

やる気「うえっ!?それって……」

御者「素寒貧になったら……その先は人間として扱ってもらえないだろうなぁ。ま、ほどほどにしときゃ大丈夫さね」

本日はここまでです
ありがとうございました

・男
【筋力】124【HP】68【素早さ】200【MP】114【顔面】30(神の力)【歌唱力】74【料理】111【中華料理】97【画力】26【加護】13
【刀術】・閃火斬(火属性武器でのダメージに+6、それ以外の武器では+3)
『平凡人』(戦闘能力以外を最低保証50)
『魔法の才能』(魔法習得難易度易化)
『多芸』(感覚系ステータス+20)
『万能通訳』、『降神術』(神の依り代に適性)
『マグネリレーション』(定期的な巡り合わせ)
武器:レジストソード(攻撃翌翌翌翌翌翌翌力3.5、魔法生物特効)
防具:ミレニアムアーマー
習得魔法:火魔法 上級火魔法 氷魔法 上級氷魔法 闇魔法 風魔法 上級風魔法 回復魔法 光魔法 マナ電流互換 着火魔法 照明魔法 耳鼻咽喉キャンセラレーション 海割りの奇跡
所持:麻薬(1回分)"人は空を羽ばたけるのか?"鳥人間強制改造本ドラゴンキラー(ドラゴン系にダメージ増)、上級氷魔導書、13時間時計、魔王のデモウイルス、サファイアの原石、厨二っぽい太刀(攻撃翌翌翌翌翌翌翌力3、炎属性)、ベヒーモスの角剣
(経験値10/40……レベル31)

・中華
【筋力】133【素早さ】191【HP】43【MP】75【中華料理】112【顔面】76【加護】10【運命力】29【求心力】33
『救世主の資格』(【運命力】と【求心力】追加)
『魔王の資格』
『神格』
『器用』(回数で壊れるアイテムを一回多く使え、罠や精密機械などに関するコンマ判定にボーナスが付く)
武器:デモンズスピア(攻撃翌翌翌翌翌翌翌力4)
防具:ミレニアムアーマー
装飾品:銀の腕輪(筋力+5)
習得魔法:火魔法 上級火魔法 上級水魔法 上級光魔法 マナ電流互換 着火魔法 照明魔法 回復魔法
所持:危険な国三選、13時間時計
(経験値22/38……レベル29)

・氷魔【筋力】162【HP】??+36【MP】177【素早さ】151【料理】37【歌唱力】27【ダンス】1【顔面】37【加護】20
『消費MP1/2』、『ポリシーブレイク』
『究極氷魔法』消費【MP】:240(120)
『メルティング』、『氷魔法上位混合』
武器:ホークワンド(魔法ダメージ+5)
防具:ミスローブ
装飾品:冷却懐中時計(氷ダメージ+5)
習得魔法:極大氷魔法 氷空魔法 水魔法 超上級水魔法 上級風魔法 超上級回復魔法 マナ電流互換改 着火魔法 照明魔法 洗濯魔法 水質検査魔法
所持:異性にモテる為の本(所持継続一日以上で【顔面】+5) 雷の魔導書、13時間時計
(経験値12/47……レベル38)

・やる気
【筋力】157【HP】57【MP】129 【素早さ】174【顔面】36【加護】20
『殺 る気』(殺せると思った相手へのダメージ二段階上昇)
『魔王の資格(80%)』(不完全ながら能力値上昇、魔物の言語が分かる)
武器:スパイラルランス
防具:ミレニアムアーマー
習得魔法:超上級水魔法 土魔法 回復魔法 着火魔法 照明魔法 マナ電流互換改 洗濯魔法 水質検査魔法 闇魔法 上級闇魔法 天候操作魔法 ジャミングウェイブ 解錠魔法
所持:氷の上なら狙った場所に届くカーリングストーン爆弾
(経験値0/36……レベル27)

・ぶりっ子
【筋力】122 【HP】??+32【MP】140【素早さ】102【料理】73【歌唱力】44【ダンス】51【加護】10
【顔面】58
『誘惑』(【顔面】以下の【MP】の生物をたまに行動阻止)
『やりくり術』(アイテム値段を二割引)
『ドジっ子』(ランダム攻撃の対象から外れ、【顔面】+10)
『毒手』(攻撃を命中させた相手に永続スリップダメージ)
『従者式格闘術』(後出しでかばいダメージ上昇)
『風より速く動く術』
武器:ドラゴンキラー
防具:ソードブレイカー 緋色の法衣(炎や熱系の魔法や攻撃の無力化+魔法だった場合魔翌翌翌翌翌翌翌力吸収 )
習得魔法:水魔法 上級水魔法 氷魔法 上級氷魔法 光魔法 回復魔法 マナ電流互換 着火魔法 照明魔法
必殺技:ぴゅん太郎
所持:化粧品(試供品)、13時間時計
(経験値30/39……レベル30)

・怪盗
【HP】??+1
【筋力】120
【MP】136
【素早さ】355
【歌唱力】53
『盗む』
武器:丁半槌
防具:ソードブレイカー
習得魔法:上級火魔法 風魔法 回復魔法
所持:アダマンタイトの曲刀、雷の力を吸収する杖
(経験値6/34……レベル25)

・狙撃少女
【筋力】122【MP】137【素早さ】??+6
武器:守人のパチンコ(攻撃翌翌翌翌翌翌翌力3.5、攻撃前に属性魔法を使用して属性付加可能、三発)
習得魔法:水魔法 光魔法
所持:スパークナイフ(攻撃翌翌翌翌翌翌翌力2.5、雷属性)アンチオールスナイパー(攻撃翌翌翌翌翌翌翌力8、一発)
(経験値11/39……レベル30)

【所持アイテム】竜毒血清、毒竜管、人造人間の子宮、金属、不思議な赤石、銀の鎖鎌、危険物の魔導書(乙種)人間サイズの蛇の胴体パーツ、邪教典、硫酸の入った瓶、筋トレメソッド本、13時間時計×3、純金小判×5 レア珍獣の生息地(本) 忘却されるまで封印した機械(本)、無限に重なる葉っぱ、ホームセンターの便利グッズ紹介本 回復スライム、氷スライム レインボースライム 探し物の位置を指し示すコンパス(『4回』、不良品)、牛スライム、文字を書き込んだら対になるものに文字が浮かび上がる一対の巻物、壊れたものを何でも直すレンチ、黄金の番人像、世界樹の露(三回分)、なんでも開けるドアノブ型生命体、クイックポーション、超回復ポーション、仮死薬、とろける濃厚牛乳、タンブルウィード×5
【ギルドの資金】80230595

街を出てしばらくすると、『駅』があった
馬車は二台に別れ、
一行はそれに乗ってカジノ都市へと向かった


怪盗「ここがカジノ都市ですか」


夜は病的なまでに静かだった西部の街とは対照的に、
もう夕方だというのにそこら中がカラフルな照明魔法で照らされていた


狙撃少女「いつでも明るそうですね……ここにいたら、時間の感覚が狂ってしまいそうです」

御者「しかしお前さんたち、どっから旅して来たんだ?」

男「南に海を渡って、さらに南へと南下していくと王国の城下町があるじゃないですか。あそこ」

御者「そりゃ長旅だな……」


【ギルドの資金】80220595


中華「で、街に着いたわけだけど……どうする?」

男「>>下1」


1.カジノに行く
2.まずは宿を取る
3.魔獣の肉の情報を集める
4.自由安価

男「まずは宿を取る」


そうして一行は宿を探すため、
街中に飛び込んでいった


氷魔「……困りましたね……」

やる気「無駄遣いはしたくないっすからね」


歩けど歩けど現れるのは富裕層向けの高級宿
泊まれないことはないが、
普通の宿で普通に過ごすべきだと全員思っている


ぶりっ子「脇道に飛び込んでみるしかないんじゃないですかぁ?」

怪盗「ちゃんとした宿があればいいですけどね……」

本日はここまでです
ありがとうございました

脇道に入り、きらびやかな光が及ばなくなると、
急に廃れた雰囲気が漂い始める
希望などないかのような表情で虚空を見つめる人々が多数おり、この街の残酷さを示していた


狙撃少女「確かに、これはこれでまともな宿を探すのが難しそうですね」

男「そうだなぁ」

中華「困ったね」

通行人に聞いて宿を探したいのはやまやまだが、
妙な気迫のある人物が多く、いまいち話しかけづらい


氷魔「……あ……あそこの人……どうでしょう……?」


そこには、他の人々とは違い晴れやかな顔をした男性がいた


やる気「そっすね……すみませーん!いい感じの宿知らないっすか!?」

男性「>>下1」

すみません寝落ちしました


男性「いい感じも何も、この街で宿って言ったら一つしかないだろう?」

ぶりっ子「え?」

男性「さぁ、着いてきなさい!」


そう言うと彼はその爽やかな笑顔のまま、
路地裏のさらに奥へと駆け出した


怪盗「な、なんですか急に!」

狙撃少女「すごく怪しいですけど、どうします?」

男「そりゃ行くだろ、面白そうだ」

やる気「変なのが出てきてもボコればいいだけっすからね!」


そう言って二人は怪しい男性を追って走り出す


氷魔「……まったくもう……」

中華「まあまあ」

怪しい男性「ここだ!」


曲がりくねった路地裏をひた走り、
何度も彼を見失いそうになりながらも走る
不器用な者は服に煤が付いただろう


ぶりっ子「こんなところに……」


そこには、紫のネオンを放つ宿があった
怪しい男性が案内する、いかにも怪しい宿だ


怪盗「……え、どうします?」

本日はここまでです
ありがとうございました

狙撃少女「入るんでしょう?」

男「ああ」


うやうやしく玄関の隣でお辞儀をする怪しい男の隣を過ぎ去り、同様に怪しい店内へと侵入していく
そこには、宿の若女将がいた


若女将「いらっしゃいませ」

男「ここは……どんな宿なんだ?」

若女将「>>下1」

若女将「普通の…ただの寂れたお宿ですよ(ニコ」


彼女はにこやかに応対する


中華「……怪しすぎない?」

男「はぁ……まぁいいや。じゃあ泊まるわ」

若女将「ありがとうございます」

氷魔「……大丈夫なんですかね……?」

本日はここまでです
ありがとうございました

若女将「なにも怪しいところなんてありませんよ?」


貼り付いたような笑顔を浮かべ続ける彼女
意識して見れば少々不気味ですらあるだろう


男「で、お代は?」

若女将「いただきません」

ぶりっ子「えっ?」

若女将「代わりに、>>下1」

若女将「貴方たちの寿命を少しだけ頂ければ」

やる気「えぇっ!?」

若女将「契約書だってありますよ」


そう言って人数分の契約書を出してくるが、
問題はそんなことではないことは彼女以外の誰もが知ることだ


怪盗「寿命なんて出せませんよ!?」

若女将「ほんのちょっと!ほんのちょっとでいいんです!」

狙撃少女「まずは契約書を読んでみましょうか」


書面はシンプルであり、
なにか小細工していそうな雰囲気はない
そして肝心の渡さなければならない寿命の所には、
一日と書いてあった


男「ほう、寿命一日分か」

若女将「お安いでしょう!?半生を持っていくような悪徳悪魔とは違いますよ!」

本日はここまでです
ありがとうございました

中華「今、悪魔って言ったね」

若女将「これは失礼いたしました」

男「まぁいいか、一日だし」


彼はそう言って契約書にサインしてしまった


氷魔「……ちょっと……!?」

若女将「では、いただきますよ……あなたの寿命っ!」


彼女は男に向けて右手を構える

男「……おう?」

若女将「……あれ?」


しかし、何も起こらない
サインは確かに為され、契約は履行されるはずである


男「どうした?」

若女将「……ご実家は、墓場でいらっしゃいますか?」

男「なにを言っているんだ?」

若女将「あなた……寿命がありませんよ。全部使いきってます。なんで生きてるんですか?」


恐らく、元の世界で死んだ際に全ての寿命を使い果たしていたのだろうと彼は思ったが、それを口に出すことはない


男「……知らね。でも契約書にサインはしたし泊めてくれるか?」

若女将「>>下1」

若女将「…貴方自身から取られないので諦めますが、他の方達からは徴収出来ますよね?」

男「ん?そうだな」

やる気「結局取られるんすか!?」

ぶりっ子「そりゃそうでしょうよ」

怪盗「まぁ、一日程度ならそこまで気にするもんでもないですかね……」

本日はここまでです
ありがとうございました

それから他のメンバーは渋々ながら寿命を渡した


司書コピー「……」

若女将「こっちも吸えないんですが、どうなってるんですか?」

怪盗「あー、なんというか……そっちは本当にデリケートな問題なのでやめてください」

若女将「はぁ……分かりました。では、部屋にご案内しますね」

一行は部屋に案内された
若女将はここを寂れた宿と称していたが、
かなり豪華なスイートルームがあった


男「寂れてなんかないじゃないか」

若女将「お客がめったに来られないので……」

中華「まぁ、寿命なんて要求されたら逃げ出すよね」

若女将「いえ、立地が悪いので」

氷魔「……………………」

どうやら寿命を要求するという行為をそこまで問題に思っていない様子の彼女は、
最初の笑顔から一切表情を変えることなく、
部屋に入った一行と別れた


狙撃少女「とりあえず、くつろげますね……」

男「ああ……」

中華「いや、それどころじゃないでしょ」

男「なんだ、寿命でも取り返しに行くのか」

中華「いや、もう寿命ないって言ってたじゃん」

男「ないらしいな」

中華「どういうこと?」

男「分からん。だが俺を見ろ。どう見ても生きてるじゃないか」

氷魔「……そうですよね……寿命を超えたなんらかの奇跡が働いているのでしょうか……」

男「アンデッドの類なら、神様と話なんてできるわけないぜ」

本日はここまでです
ありがとうございました

それから一行は食事の準備を始めた


やる気「俺っち、急に男が怖くなったっすよ」

男「もしかしたらなんかの手違いで、寿命を吸い取れなかっただけかもしれないぞ?」

ぶりっ子「そんなことありますかねぇ、私たちは吸われたのにぃ……」

男(……ヤバい!ここに来てめちゃくちゃ怪しまれている!!)


自分に向けられる懐疑の視線をどうにかしたいと切望した男は、場の空気を変えるため、>>下1した

男「……なんで、あいつはめちゃくちゃここを勧めたんだろうな?」


と、かなり強引な話題の転換を図った
流石にダメかと思ったその時、


怪盗「そういえばそうですねー」


と彼女が話に乗ってくれた
ちらりと目配せを送り、
気を遣っていることをアピールしてきた

狙撃少女「やはり、悪魔の手先だったのではないでしょうか」

氷魔「……私もそう思います……あるいは……なにかしらの術で作り出した……若女将の分身である可能性もありますね……」

やる気「悪魔ってのはそんなこともできるんすか?」

氷魔「……そもそも……あの若女将の姿が真の姿でないものと思われます……」

ぶりっ子「確かに、あれが悪魔と言われてもにわかには信じがたいですよねぇ。まぁ、笑顔が固まりすぎててちょっと不気味ではありましたけどぉ」

しばらく話していると、中華が夕食を完成させた
若女将は夕食を付けると言っていたが、
みな中華の料理が食べたいのでやんわり断った


中華「いやあ、今日は食材が買い出せなくて、どうにも貧相かも」


確かにいつもの比べればボリュームに欠けるかもしれない量だったが、適切に緑黄色野菜がアクセントとして添えてあり、見た目の華やかさはいつもと変わらない


怪盗「いやいや、全然いつも通りですよ!むしろ中華さん、毎日移動して料理して……無茶してませんか?」

中華「まさか、僕がいつか店を出したなら、こんなもの比にはならないくらいてんてこ舞いになるレベルで客を呼びたいね」

本日はここまでです
ありがとうございました

一行は出された食事を速やかに平らげ、
食事の時間はあっという間に終わった


狙撃少女「街中は非常にうるさく、まぶしかった……でも、ここは静かでいいですね」

男「あまり宿泊者のいない宿の特権だな」

氷魔「……ここが賑わうようなことがあれば……世も末ですよ……」


>>下1……何しよう?
1.中華の料理の後片付けをする
2.氷魔と話す
3.やる気と話す
4.ぶりっ子と話す
5.怪盗と話す
6.狙撃少女と話す
7.司書コピーと話す
8.自由安価

男「……ギャンブルは好きか?」

氷魔「……えっ……私ですか……?」


唐突に話を振られたので困惑している
しかし、しばらく考えてからふたたび話し始める


氷魔「……進んではしませんね……失うことが嫌いなので……」

男「なるほどな、俺もそうなんだよ」

氷魔「……そういえば男さん……」

男「ん?」

氷魔「……私に出会う以前に……凄まじいコールドウィザードに会ったことはありませんか……?」

男「ない。そもそもコールドウィザードという存在を知ったのは氷魔と出会ったときになるなぁ」

氷魔「……そうですか……」

男「なにかあったのか?」

本日はここまでです
ありがとうございました

氷魔「……実在の疑われる……伝説のコールドウィザードがいるのです……」

男「へぇ」

氷魔「……時間を凍結させて……半永久的に生きることができると……聞いています……」

男「つまり、俺がその状態ならば寿命がなくとも不思議ではないと」

氷魔「……はい……ですが……違ったようですね……」

男「だが、すごいな。その伝説のコールドウィザードとやらは」

氷魔「……他にも……>>下1ができたと……聞いています……」

氷魔「……複数の時間軸、所謂平行世界にも干渉できたみたいです……」

男「なんで?」


いくらなんでも滅茶苦茶である
どれだけ氷魔法が使えるからといって、
そんなことができるのだろうか


氷魔「……時間の流れとは……激流のようなものです……というよりは滝ぐらいのものかもしれませんが……」

男「はぁ」

氷魔「……つまり……弾き飛ばされるんですよ……別の流れに干渉しようとすると……」

男「相当な激流だな」

氷魔「……ですが……その一部を凍りつかせたら……そこは止まります……」

男「ああ、さっき言ってたやつだな」

氷魔「……その氷の始点と終点……そこを残して氷を溶かせば……そこに流れはありません……ただの水……」

男「そこに入り込むということか」

氷魔「……そうです……そして……氷の始点と終点をも溶かせば……再び時間は流れだします……こうして複数の激流……つまり……時間軸を移動していたとされます……」

男「そんな人がいるのか……」

氷魔「……あくまで……言い伝えですが……」


といった話をしているうちに、
もう寝るべき時間になっていたので、
それぞれに与えられた大きなベッドで眠った


男「……?」


夜中、男は目覚めた
どこからか物音がするので、
不安になって目覚めたのだ

司書コピー「あなたも気になりますか?」


どうやら司書コピーも物音に気付いているようだが、
他のメンバーは眠っている


男「あぁ、ロビーか?」

司書コピー「そうだと思いますが、行きます?」

男「この宿めちゃくちゃ怪しいし、一応確認する」


物音を不審がった男は、
客室を出てロビーに向かう
なにも言わなかったが、司書コピーも着いてきた


>>下1……ロビーの様子

すみません寝落ちしました


若女将「………………」

男「おい、何してんだ?」


男がロビーを訪ねると、どこから出したのか、
奇妙な大窯に得体の知れない物体を入れ、
呪術的儀式を行っている場面だった


若女将「……これは失礼、睡眠を妨害してしまいましたか」

司書コピー「それどころではなさそうですが」

若女将「大丈夫ですよ、危害は加えませんので」

男「……じゃあ何してるんだ?」

若女将「裏通りを通らなければこの宿には来られませんので、ご存知かと思われますが……この街には、全てを失った人々が沢山おります」

男「ああ」

若女将「……彼・彼女らは、どうにかして生きるため、宿に泊まる人々に夜襲をかけるそうです」

司書コピー「なるほど……」

若女将「で、うちは立地がよくないので……来られるんですよね、そういう方が」

男「ははぁ、その鍋の中身は……」

若女将「ご想像の通りですよ。今まで見られたことはありませんが……そこまで怒るほどのことでもないでしょう?」

男「……ギャンブルで破滅して、犯罪に走る奴だもんなぁ。倫理的にはそれでも守ってやるべきなんだろうが、やっぱり同情しがたい所はあるよ」

若女将「彼らの寿命を奪うことによって、うちは格安で営業できているんです。まさか悪魔が宿を経営しているだなんて誰も思わないでしょうから」

本日はここまでです
ありがとうございました

司書コピー「……うるさいこと以外は、咎めませんよ」

若女将「不思議ですね……いつもどのお客様も朝までぐっすりで、呪術に気付くことなんてないのですが」


本当に表情の変わらない悪魔であり、
不思議だと言うが不思議そうな顔はしていない


男「……まぁいいさ、戻って寝る」

若女将「よろしければ、迷惑料ということで、>>下1を貰っていただかれませんか?」

司書コピー「……?」

若女将「儀式の副産物です」

彼女が窯から取り出したのは、
リンゴのようでいて、
しかし誰もがそれをリンゴとは認めたくない、
そんなおぞましい物体だった


男「いやなんだよこれ!なんか蠢いてるし!」


紫色のそれは、一つの眼球がついており、
実の表面も肉々しい触感だった


若女将「おや、ご存知ありませんでしたか?悪魔の中では非常にポピュラーな果実なのですが」

司書コピー「結局なんなんですか」

若女将「苦悶の果実です」

本日はここまでです
ありがとうございました

男「まぁ、そんな感じではあるな。食い物か?これ」

若女将「ええ、食べ物です。ただし、基本的には悪魔の神に捧げるものですから……食べるとよくないことが起こります」

司書コピー「食べたら死にそうな雰囲気はしますね」

若女将「よほど身体が弱ければ亡くなられるかもしれませんが……それこそギャンブルだと思ってください」

男「得できるのか?」

若女将「しません。身体のどこかに不調をきたしたり、妙な膿ができたり、正気を失ったり……風邪をひくだけで済むこともあると聞きますが」

男「変なのが出てきたらこれ食わすか」

若女将「それが正しい使い方であるように思われます」

軽く礼を言ってから、
二人は部屋に帰るための廊下を歩きだした


司書コピー「結局、どうしてまだみなさんは寝ているのでしょうか」

男「多分、寿命抜かれたから……疲労が来てるんじゃないか?初めての体験だろうし」

司書コピー「ふふっ」

男「どうした……?」


突如笑ったので、不安になる


司書コピー「『ぬかれた』のに『つかれた』とは、面白いですね」

男「そうかぁ?」

しかし、彼女が感情らしい感情を見せたことを男は喜んだ
果たしてこの妙な笑いのセンスは、本人の素質なのか、人の機微にまだ疎いためなのか、
そこまではまだ分からなかった


司書コピー「なんかニコニコしてますね?」

男「まぁな……ほら、ようやくゆっくり眠れそうだし」

司書コピー「そうですね」

本日はここまでです
ありがとうございました

?翌日・陽週金曜日?


周りの建物が日光を塞ぎ、
朝だが薄暗い部屋で一行は目覚めた


中華「よく寝たなぁ」

氷魔「……そうですね……」

やる気「よし、早速チェックアウトして北を目指すっすよ!」

ぶりっ子「カジノは!?カジノ行かないんですか!?正気ですかぁ!?」

男「>>下1」


1.カジノに行く
2.魔獣の肉について情報を集める
3.北を目指す

男「最近、魔獣の肉食えてないしな……その情報から集めるか」

ぶりっ子「そんな!」

怪盗「まぁまぁ、カジノの景品にあるかもしれませんから」

ぶりっ子「だったらいいですねぇ」

男「だったら嫌だよ、運に賭けたくないよ」

狙撃少女「損せず手に入れられるなら、それが一番ですからね」

一行は情報を得るため、チェックアウトして街の中心部へと向かう


若女将「またのご利用をお待ちしております」

中華「最後まであの営業スマイルのままとは、恐れ入るね」

氷魔「……そうですね……それと……街の中心部は……本当に分かりやすいですね……」


騒がしいほうが中心部なのだ
街によっては静かな噴水の広場が中心であったりするため、必ずしも騒がしい方向な中心部ではない

本日はここまでです
ありがとうございました

街の中心には、
金色に光り輝く巨大カジノが聳え立っている
一行はその周辺を歩く人々に話を聞くこととした


やる気「すみませーん」

男性「ん?なんだね?」


いかにも景気の良さそうな男性がいた
恐らく、ギャンブルに勝ったのだろう


やる気「この辺で魔獣か、その肉についての情報ないっすかね?」

男性「>>下1」

男性「魔獣の肉が明日の夜にオークションで出品すると聞いているよ。たまにレアアイテムやスカピンになって奴隷になった者たちも出るしね」

ぶりっ子「オークション!そんなのもあるんですねぇ!」

男性「ああ、昔は冷やかしに行くだけでも面白かったが……」

怪盗「なにかあったんですか?」

男性「なに、カタログを買わねば入れなくなっただけだ。私のような小金持ちは往々にしてケチなのでな……」

一行は情報提供に感謝して彼に別れを告げた


狙撃少女「明日の夜ですか」

男「だいぶ時間あるな」

ぶりっ子「遊びませんかぁ!?」

男「ほぼ二日だろ?カジノで破産するには十分すぎるぜ」

ぶりっ子「当てればいいんですよ!」

中華「本当にギャンブルが好きだね……」

本日はここまでです
ありがとうございました

男性によれば、
カタログはこの街のギルドで買えるらしい


氷魔「……まずは目録を……買いにいったほうがよいのでは……?」

やる気「そっすね、まぁ……本部ギルドがどこにあるのかは分からないっすけど」

怪盗「どうしましょう?」


>>下1……どうする?
1.カジノに行く
2.本部ギルドを探す
3.自由安価

男「とりあえず本部ギルド探すぞ」


そうして再び近くの通行人に話を聞いた所、
どうやら本部ギルドはすぐ近く、
街の中心部にある巨大カジノの中にあることが分かった


狙撃少女「いや、めちゃくちゃですね……ギルドがカジノの中って」

中華「でも、他のギルドもだいたい酒場だし、似たようなものじゃないかな」

氷魔「……この街なら……自然なことかもしれませんね……」

それから一行はカジノの中へ入り、
ギルドを探すこととなる
中は喧騒に満ちており、
これまで訪れたどんなカジノや酒場よりもうるさかった


ぶりっ子「色んな台がありますねぇ!」

怪盗「ほら、今はギルド探してるんですから、ついてきてください」

ぶりっ子「ぐぇ??!」


襟首を引っ張り、無理やり連れていく

本日はここまでです
ありがとうございました

中に入れば目につくのは、
エントランスからひたすら奥に向かっていく、
大きなレッドカーペットだ
その左右に様々な遊戯の台が設置されている


狙撃少女「こんなに騒がしい場所は初めてです……」

男「ゆっくり慣れていけばいいさ、ほらあそこに立て札があるな」


絨毯は未だ直線に続くが、左に枝分かれもしている
そして、その立て札が左折すればギルドであることを示していた

道を左に曲がると、そこには建物があった
カジノがあまりに大きく、
天井も神殿のごとく高いので、
建物内に建物があるのだ


中華「失礼しまー……す!」


重々しい金色の扉を押し開き、ギルドの中に入る


受付嬢「ご用お伺いします」

氷魔「……明日のオークションのカタログを……ひとつ……」

受付嬢「代金は>>下1になります」

受付嬢「100に成ります」

やる気「えっ、安くないっすか?」

受付嬢「そうでしょうか?」


やる気が財布から金を出すと、
受付嬢は困った顔をした


ぶりっ子「どうしましたぁ?」

受付嬢「すみません、100は100でも、100チップです」

怪盗「チップ、といいますと」

受付嬢「このカジノでの通貨ですね。そちらのカウンターで、金銭との交換を行っておりますよ」


確かにそこには、金をチップに交換するコーナーと、
チップを金や景品に交換するコーナーがあった


狙撃少女「なるほど……」

男「レートは?」

受付嬢「そちらの方が出された100が、1チップです」

中華「買えば1万だね」

本日はここまでです
ありがとうございました

ぶりっ子「本当に、それでいいのでしょうか?」

氷魔「……え……?」

ぶりっ子「その半分……50のチップを買い、二倍のオッズで当てれば、半額で済みますよぉ」

やる気「まぁ、カジノに来て実質現金だけでカタログ買うのが無粋と言われればそんなんすが……」

怪盗「絶対ギャンブルしたいだけですね」

男「>>下1」


1.普通に100チップ買う
2.50チップに賭ける
3.自由安価

男「仕方ないやつだな。分かったよ、50チップ買う」


彼は注文をカウンターに伝えた

【ギルドの資金】80215595
【チップ】50


係員「ありがとうございます」

狙撃少女「当てられるんですか?」

男「二倍だろ?難しいな、買っといてなんだが」

ぶりっ子「このカジノには、当てすぎて出禁になった人が史上何人かいるらしんですよぉ」

中華「彼らのやり方を参考にすれば当たるかもしれないね」

氷魔「……どうやったんですか……?」

ぶりっ子「普通に賭けて、普通に当ててましたぁ」

やる気「なんの参考にもならないっすね……」

ぶりっ子「でも当たった理由は運だけじゃないことだけは分かってるんですよぉ」

怪盗「やり方も、運も関係ない?」

ぶりっ子「そう、その条件とは、『救世主』の資格を持っていること!」

中華「ええっ!?」

やる気「そりゃまたなんで……」

ぶりっ子「よく分かりませんが、奇跡を起こすことができるらしいですよ!」

狙撃少女「本当だとすれば、非常に夢がありますね」

男「……まだカタログ買ってないんだから、当てるにしても出禁になるような出し方するなよ?」

本日はここまでです
ありがとうございました

・男
【筋力】124【HP】68【素早さ】200【MP】114【顔面】30(神の力)【歌唱力】74【料理】111【中華料理】97【画力】26【加護】13
【刀術】・閃火斬(火属性武器でのダメージに+6、それ以外の武器では+3)
『平凡人』(戦闘能力以外を最低保証50)
『魔法の才能』(魔法習得難易度易化)
『多芸』(感覚系ステータス+20)
『万能通訳』、『降神術』(神の依り代に適性)
『マグネリレーション』(定期的な巡り合わせ)
武器:レジストソード(攻撃翌力3.5、魔法生物特効)
防具:ミレニアムアーマー
習得魔法:火魔法 上級火魔法 氷魔法 上級氷魔法 闇魔法 風魔法 上級風魔法 回復魔法 光魔法 マナ電流互換 着火魔法 照明魔法 耳鼻咽喉キャンセラレーション 海割りの奇跡
所持:麻薬(1回分)"人は空を羽ばたけるのか?"鳥人間強制改造本ドラゴンキラー(ドラゴン系にダメージ増)、上級氷魔導書、13時間時計、魔王のデモウイルス、サファイアの原石、厨二っぽい太刀(攻撃翌力3、炎属性)、ベヒーモスの角剣
(経験値10/40……レベル31)

・中華
【筋力】133【素早さ】191【HP】43【MP】75【中華料理】112【顔面】76【加護】10【運命力】29【求心力】33
『救世主の資格』(【運命力】と【求心力】追加)
『魔王の資格』
『神格』
『器用』(回数で壊れるアイテムを一回多く使え、罠や精密機械などに関するコンマ判定にボーナスが付く)
武器:デモンズスピア(攻撃翌力4)
防具:ミレニアムアーマー
装飾品:銀の腕輪(筋力+5)
習得魔法:火魔法 上級火魔法 上級水魔法 上級光魔法 マナ電流互換 着火魔法 照明魔法 回復魔法
所持:危険な国三選、13時間時計
(経験値22/38……レベル29)

・氷魔【筋力】162【HP】??+36【MP】177【素早さ】151【料理】37【歌唱力】27【ダンス】1【顔面】37【加護】20
『消費MP1/2』、『ポリシーブレイク』
『究極氷魔法』消費【MP】:240(120)
『メルティング』、『氷魔法上位混合』
武器:ホークワンド(魔法ダメージ+5)
防具:ミスローブ
装飾品:冷却懐中時計(氷ダメージ+5)
習得魔法:極大氷魔法 氷空魔法 水魔法 超上級水魔法 上級風魔法 超上級回復魔法 マナ電流互換改 着火魔法 照明魔法 洗濯魔法 水質検査魔法
所持:異性にモテる為の本(所持継続一日以上で【顔面】+5) 雷の魔導書、13時間時計
(経験値12/47……レベル38)

・やる気
【筋力】157【HP】57【MP】129 【素早さ】174【顔面】36【加護】20
『殺 る気』(殺せると思った相手へのダメージ二段階上昇)
『魔王の資格(80%)』(不完全ながら能力値上昇、魔物の言語が分かる)
武器:スパイラルランス
防具:ミレニアムアーマー
習得魔法:超上級水魔法 土魔法 回復魔法 着火魔法 照明魔法 マナ電流互換改 洗濯魔法 水質検査魔法 闇魔法 上級闇魔法 天候操作魔法 ジャミングウェイブ 解錠魔法
所持:氷の上なら狙った場所に届くカーリングストーン爆弾
(経験値0/36……レベル27)

・ぶりっ子
【筋力】122 【HP】??+32【MP】140【素早さ】102【料理】73【歌唱力】44【ダンス】51【加護】10
【顔面】58
『誘惑』(【顔面】以下の【MP】の生物をたまに行動阻止)
『やりくり術』(アイテム値段を二割引)
『ドジっ子』(ランダム攻撃の対象から外れ、【顔面】+10)
『毒手』(攻撃を命中させた相手に永続スリップダメージ)
『従者式格闘術』(後出しでかばいダメージ上昇)
『風より速く動く術』
武器:ドラゴンキラー
防具:ソードブレイカー 緋色の法衣(炎や熱系の魔法や攻撃の無力化+魔法だった場合魔翌力吸収 )
習得魔法:水魔法 上級水魔法 氷魔法 上級氷魔法 光魔法 回復魔法 マナ電流互換 着火魔法 照明魔法
必殺技:ぴゅん太郎
所持:化粧品(試供品)、13時間時計
(経験値30/39……レベル30)

・怪盗
【HP】??+1
【筋力】120
【MP】136
【素早さ】355
【歌唱力】53
『盗む』
武器:丁半槌
防具:ソードブレイカー
習得魔法:上級火魔法 風魔法 回復魔法
所持:アダマンタイトの曲刀、雷の力を吸収する杖
(経験値6/34……レベル25)

・狙撃少女
【筋力】122【MP】137【素早さ】??+6
武器:守人のパチンコ(攻撃翌力3.5、攻撃前に属性魔法を使用して属性付加可能、三発)
習得魔法:水魔法 光魔法
所持:スパークナイフ(攻撃翌力2.5、雷属性)アンチオールスナイパー(攻撃翌力8、一発)
(経験値11/39……レベル30)

【所持アイテム】竜毒血清、毒竜管、人造人間の子宮、金属、不思議な赤石、銀の鎖鎌、危険物の魔導書(乙種)人間サイズの蛇の胴体パーツ、邪教典、硫酸の入った瓶、筋トレメソッド本、13時間時計×3、純金小判×5 レア珍獣の生息地(本) 忘却されるまで封印した機械(本)、無限に重なる葉っぱ、ホームセンターの便利グッズ紹介本 回復スライム、氷スライム レインボースライム 探し物の位置を指し示すコンパス(『4回』、不良品)、牛スライム、文字を書き込んだら対になるものに文字が浮かび上がる一対の巻物、壊れたものを何でも直すレンチ、黄金の番人像、世界樹の露(三回分)、なんでも開けるドアノブ型生命体、クイックポーション、超回復ポーション、仮死薬、とろける濃厚牛乳、タンブルウィード×5、カジノチップ×50
【ギルドの資金】80215595

ぶりっ子「だーいじょうぶですって!さぁ行きましょう!」


一行はぶりっ子に連れられ、カジノに戻ってくる


怪盗「で、どの台やるんですか?」

ぶりっ子「迷いますね……」

狙撃少女「確かに、これだけあれば難しいですね」


>>下1……どの台で賭ける?
1.ポーカー
2.スロット
3.神経衰弱
4.ルーレット
5.自由安価

ぶりっ子「やはり、こいつですねぇ!」


彼女が指したのはブラックジャックの台だった
実にシンプルなゲームだが、
非常に奥深い側面もある、
ギャンブル界の健康優良児だ


男「ほお、いいんじゃないか?」

ディーラー「ご遊戯なさいますか?」

本日はここまでです
ありがとうございました

中華「あぁ、やっていくよ!」

ディーラー「チップはいくつ賭けられますか?」

氷魔「……では…25で………」

ディーラー「承知いたしました、ゲームスタートです!」


そう言って彼はカードを配り始めた


>>下1コンマ……79以下で勝利

順調にカードを交換していき、決断の時が訪れた


中華(18……ここで止めるべきか?)

やる気「難しいっすね」

ぶりっ子「お任せしますよぉ」


迷った末に、彼はコールした


中華「……もう一枚、お願いします」

ディーラー「かしこまりました」

怪盗「手に汗握りますね」


そうして、勝負が始まる


ディーラー「私は20でございます」

中華「僕は……」

狙撃少女「………………」

中華「『21』だ!」

ディーラー「お見事、ブラックジャックでございます」

男「すげぇ!」


奇跡的な21の成立に、一行は沸き立つ
中華も照れくさそうに笑う


ディーラー「私の長年の勘からして……確実にバーストされると思っておりましたが、いやはや、まさか負けるとは」

中華「今日はついてるかも」

氷魔「……この調子でいきましょう……!」

本日はここまでです
ありがとうございました

ディーラー「さて、一勝なさいましたね」

ぶりっ子「そうですねぇ」

ディーラー「ここでやめればチップは40枚ペイいたしますが……ダブルアップなさいますか?」

中華「うーん、どうしよ」


100に今すぐ届かせるためにはダブルアップが必須だ
もう一度勝負に勝つことで、
得られるチップが二倍になる
しかし、そこで敗北すれば全てを失う


怪盗「お任せしますよ」

中華「>>下1」

中華「倍プッシュだ」


そう言い放った彼の顔は、非常に生き生きしていて、
目もどこかぎらついている


ディーラー「いいでしょう」

狙撃少女「雰囲気が変わりましたね……」


ディーラーはカードを全て回収し、
再びシャッフルを始める

そして、カードは配られた


男「いつもより中華が頼もしく見えるな」

中華「そうかい?それは嬉しいね」


と、いつもの調子で話しつつ、
追加のカードをディーラーから貰っている


ディーラー「勝負なさいますか?」

中華「……そうだね」


>>下1コンマ……79以下で勝利

ディーラー「私は21です」


そう言って彼は自らのカードを公開する
中華はそれを受け、乾いた笑い声を上げながら


中華「20だねぇ……」


とカードを出した
幸運はそう続くものではなく、
彼は敗北してしまったのだ

【チップ】25


氷魔「……まぁ……そういうこともありますよ……」

やる気「そっすよ、気を落とさないで欲しいっす」

中華「ありがとう……」


中華は非常に責任を感じてしまっているため、
みな気の毒に思って慰めている


ぶりっ子「それに、まだチップは25あります!チャンスはまだまだありますよぉ!」


>>下1……どの台で賭ける?
1.ポーカー
2.スロット
3.神経衰弱
4.ルーレット
5.ブラックジャック
6.自由安価

怪盗「では、どれをやりましょうか?」

ぶりっ子「先ほどのブラックジャックから……カードゲームのセンスがあると思われます!」

狙撃少女「というと」

ぶりっ子「ポーカーです!ポーカーをやりましょう!」


彼女はノリノリで中華をポーカーの台まで連れてくる


ディーラー「どうも」

本日はここまでです
ありがとうございました

男「よし、残ったチップ賭けるぞ」

中華「えっ、いいの?」

ぶりっ子「ふっふっふ、話が分かりますねぇ!」


25チップをディーラーに提出し、
中華はテーブルに着かされる


ディーラー「それでは参りましょう」


彼は笑顔でカードを配り始める


>>下1コンマ……79以下で勝利

中華「ふむ……」


彼に配られた手札はかなり良好だった
すでにツーペアが成立しており、
確率的に勝ちは濃厚であった


ディーラー「いかがなさいますか?」

中華「ま、これかな……」


ペアからあぶれた一枚のカードを交換する
彼にとっては考えるまでもないことだった

ディーラー「それでは、こちらを……」


ディーラーは、慣れた手つきで一枚だけカードを山からスライドする
それは背面を天井に向けたまま滑り、
中華の手元へとたどり着いた


中華「……よし」

ディーラー「では、勝負と参りましょう」

中華「僕はツーペアだ」


そう都合よくフルハウスになどならないが、
しかし堅実な手だ

本日はここまでです
ありがとうございました

ディーラー「わたくしは……ワンペアでこざいます」

中華「ふぅ……」


ディーラーは力なくカードを置き、
どうにか中華はポーカーに勝利した


ディーラー「では、現在ペイされるチップは40枚でございます。ダブルアップなさいますか?」

中華「>>下1」

中華「さっきの雪辱、ここで晴らさせてもらおう!」


ディーラーが差し出した40枚のチップを、
彼は闘気を漲らせながら差し戻した


ディーラー「……承知いたしました。ですが、あまり熱くなられると足元を掬われますよ」

中華「大丈夫、今の僕は澄みきった脳をしているからね」

氷魔「……人が変わったようですね……」

ディーラー「それでは、どうぞ」


配られたカードに中華は目を通す


中華「………………」


はっきり言って勝てるかどうかは怪しい手札であった
つまるところ、ワンペアである
ブタでないだけマシではあるが、
ダブルアップという重責を押し付けるには貧弱そのものの手札だ


ディーラー「いかがなさいますか?」

本日はここまでです
ありがとうございました

中華「うーん……じゃ、この二枚で」


揃っていない三枚のうち、
二枚をディーラーに提出した


ディーラー「いいでしょう……では!」


彼は山から二枚のカードを返し、
そして勝負の時が訪れた


中華「オープンだ!」


>>下1コンマ……74以下で中華の勝利

ディーラー「スリーカードでございます」


彼が公開したその手札はかなり強かった
しかし、中華は余裕たっぷりの様子で


中華「……フルハウスだ!」


フルハウスが完成した手札を見せつけた
遂に連勝を成し遂げたのだ


ディーラー「これはこれは……」

やる気「すごいっすね!」

ディーラー「いやぁ、お見それしました」

中華「運がよかっただけだよ」

ディーラー「ふふ……では、ダブルアップなさいますか?」

怪盗「ええっと、今はいくらペイされるんですか?」

ディーラー「80チップです。いかがなさいますか?」

中華「>>下1」

中華「熱くなりすぎる前に降りておこう」

ディーラー「左様でございますか、それもまたよいでしょう」


彼は慣れた手つきでチップを数え、
80枚になるように手渡した


狙撃少女「一時はどうなることかと思いましたが、黒字になりましたね」

男「やっぱり、そういう力があるのかね?」

中華「どうかな、試行回数が足りないから」

氷魔「……しかし……先ほどのフルハウスはまさしく奇跡ですね……」

本日はここまでです
ありがとうございました

【チップ】80


ぶりっ子「流れが来てますよぉ!どんどん行きましょう!」

やる気「今日はほんとにテンション高いっすね……」



>>下1……どの台で賭ける?
1.ポーカー
2.スロット
3.神経衰弱
4.ルーレット
5.ブラックジャック
6.自由安価

ぶりっ子「じゃあ、あれやりましょう!カードゲームは勝てますよぉ!」


彼女がうきうきで進んだ先には、
やけにシンプルな台があった


怪盗「ここはなんの台ですかぁ?」

ディーラー「ハイ・アンド・ローでございます」

狙撃少女「随分すっきりした台ですね?」

ディーラー「ええ、ルールが単純なもので」

男「あー……なんだったか、思い出せない。名前は聞いたことあるんだが……」

ディーラー「まず、わたくしが山札のトップを公開いたします。そしてプレイヤーには、二枚目の値がトップカードの値より大きいか小さいか、ということを予想していただきます」

中華「当たれば勝ちってわけだね」

ディーラー「はい、賭けチップの25%がプラスされます」

氷魔「……同値だった場合は……どうなるのですか……?」

ディーラー「それを無視して次の札を二枚目とします」

本日はここまでです
ありがとうございました

やる気「なるほど、必要なチップは100枚……そして」

怪盗「今そこにあるチップは80枚」

狙撃少女「25%増やせば、100枚ですね」

男「なかなか分のいい賭けだ、やってみる価値がある」

中華「確かにね……じゃ、80枚賭けるよ!」

ディーラー「承りました。では……!」


ディーラーは山札をシャッフルし、
その一番上をオープンする


>>下1コンマ……79以下で的中

中華「8……!」


いきなり非常に難しい数字の8が現れた


ディーラー「いかがなさいますか?」

中華「……でも、そりゃローだよ」

ディーラー「分かりました。では、私がハイでございます」


そう言いながら彼は、次のカードをオープンした

そこにあったのはJ、11を示すカードだった


ディーラー「おや、残念ですね……それでは、チップの30%をいただきますよ」


【チップ】56


氷魔「……これは……まずいですね……」

ディーラー「許される敗北はあと二回まででございます。四度目の敗北を喫されたとき、残りのチップがいくらであろうと全ていただきます」

やる気「まだチャンスはあるんすね、でも……」

ディーラー「遊戯を続行なさいますか?それとも、ここでおやめになられますか?」

中華「>>下1」

すみません寝落ちしました


中華「勝負はこれからだ、だろう?」

ディーラー「ほほう!」


彼が怪しい笑みを浮かべながら続行の意志を見せると、
一方ディーラーは純粋に嬉しそうな笑みを浮かべる


ぶりっ子「そうです!流石ですよぉ!」

怪盗「心臓に悪いから早く勝って?」

ディーラー「それでは参りましょう!」


彼は山札に8とJを加えてよくシャッフルする
そして、優しくその束をテーブルに置く


中華「オープンしてくれ」

ディーラー「勿論!」


そして捲られた一枚目は、10だった


中華「10か」

狙撃少女「これならいけそうですね」


>>下1コンマ……79以下で勝利

中華「もちろん、ローだ!」

ディーラー「それでは参ります」


ディーラーはもったいつけた動きで、
次のカードをめくる
そこに記されていたのは、3だった


中華「よし!」

ディーラー「お見事でございます」

男「いいぞ!」

【チップ】70


氷魔「……必要な勝利は……あと二回……!」

ディーラー「ええ、その通りです、しかし……」

やる気「?」

ディーラー「この純然たる確率の世界であなたたちは煌めきを示すことができるのでしょうか」

中華「地に墜ちる星屑のようになるつもりはないよ」

本日はここまでです
ありがとうございました

ディーラー「あなたは本当に楽しい人だ……では!」


彼はよく切られた山札のトップをを再びオープンする
そこには『9』があった


中華「ああ、9ね」

ぶりっ子「嫌な数字ですねぇ」

中華「7ほどじゃないさ」


>>下1コンマ……74以下で勝利

ディーラー「聞くまでもないですかな?」

中華「規則だから宣言はさせてもらうよ、ローだ」

ディーラー「承りました!」


彼は目線を中華に向けたまま、
勢いよく二枚目のカードをオープンする
そこには、7が記されていた


怪盗「よっし!」

【チップ】88


ディーラー「お見事でございます、最初に比べて八枚、チップを増やされましたね」

中華「そうなるね」

狙撃少女「あと一勝です!」

ディーラー「しかし、あなたは誠実そうだ……とてもギャンブルなどする人には見えない」

中華「事情さ、大した事情じゃないけれど」

本日はここまでです
ありがとうございました

ディーラー「左様でございますか」


彼は話しつつカードをシャッフルする
そして、軽い音を立てて山札を置く


中華「これで最後にしたいところだね」

男「そうだな」

ディーラー「それなら、よい数が出るようにお祈りください」


>>下1コンマ……69以下で勝利

捲られたカードには『5』が記されていた


中華「祈りは通じたようだね」

ディーラー「えぇ、非常に当てやすい数字でございます」

氷魔「……ようやく……終わるのですね……」

中華「よし、ハイだ!」

ディーラー「それでは参ります……」

本日はここまでです
ありがとうございました

中華「……え?」


捲られた二枚目のカード
そこに記されていたのはなんと、『2』だった


ディーラー「ううむ、まぁそういうこともありますな」


【チップ】62


やる気「そんな……」

ディーラー「さて、再び申しますが、許される敗北は三回まで。四度敗北なされた場合、全てのチップは消失します」

ぶりっ子「ですねぇ」

ディーラー「ゲームを続行なさいますか?それとも、ここまでになさいますか?」


彼は近くの椅子に深く腰かけ、問いかける


中華「>>下1」

中華「これでもう終わりにします」

ディーラー「………………」

中華「どうしました?」

ディーラー「いえ、引き際を分かっていらっしゃるのだな、と」


彼は笑顔でため息をつきながら話す


中華「最後負けたのは悔しいけど、差し引きで言えば増えてるからね」

ディーラー「ギャンブルの強さとは、本来そういうものですよ、目の前のゲームだけでない、もっと大局的な駆け引きをしなければなりませんからね」

そうして一行は台から離れ、
別のギャンブルを探すこととなった


ぶりっ子「いやぁ惜しかったですねぇ、もうちょっとやればいけたかもしれないんですがねぇ……」

怪盗「いや、ディーラーさんも言ってたじゃないですか?それだと破滅しますよ」


>>下1……どの台で賭ける?
1.ポーカー
2.スロット
3.神経衰弱
4.ルーレット
5.ブラックジャック
6.自由安価

狙撃少女「あれなんてどうですか?」


彼女が指差したのは、ルーレットの台だった
小さい割にはどこか重みを感じさせる金属球が、
ルーレットの中を所狭しと走り回っている


男「いいんじゃないか?」

中華「お、カードゲームじゃないんだね」

氷魔「……やれそうですか……?」

本日はここまでです
ありがとうございました

中華「やれそうか、と言われると難しいね。僕はルーレットの賭け方なんて分からないから」

やる気「確かに、列だの色だの、賭ける数だの、色んな賭け方があるっすからね」

ぶりっ子「では、私が賭け方を教えてあげましょうかぁ?」

中華「そういえば経験者だったね。じゃあ代わりに賭けてもらおうかな」


彼女はチップをいくつか手に取ると、


ぶりっ子「ディーラーさん!黒の2に20チップ!!」

ディーラー「あいよぉ!」

男「おい一点狙いじゃねぇか!ふざけんな!」

ぶりっ子は構わず指定の位置にチップを置くと、
ディーラーを急かしてルーレットを起動させた


ぶりっ子「確かに、一点狙いなんてまともなやり方じゃありません。酒飲みの道楽だと私は思ってますよぉ」

怪盗「なにか考えがあるんですか?」

ぶりっ子「私には当てられませんが、中華さんがいるなら可能性ありますよぉ」

中華「……あの話、ただの迷信だったらどうするのさ」

本日はここまでです
ありがとうございました

ぶりっ子「……へへっ」

狙撃少女「へへってなんですか!?」

ぶりっ子「ほら、もうルーレットは回ってるんですっ!見なさい!」


強引に話を逸らされたが、
確かに本題はルーレットの出目である
果たして救世主といえども、
ここまでの無茶を為してしまうことはできるのだろうか


>>下1コンマ……34以下で的中

男「ああっ!」


残念ながらルーレットは普通に外れた
黒の2どころか赤に入っている


【チップ】42


中華「いやぁ、流石に無理があったね」

氷魔「……ぶりっ子さん……?」

ぶりっ子「あは、あはは……」

やる気「どうしてこんなにギャンブル好きなんすかね……」

怪盗「でも、反面教師にはなってくれましたよ」

狙撃少女「そうですね、一点賭けは危険です」

男「代償はチップ20枚か……」

ぶりっ子「うぐっ」

本日はここまでです
ありがとうございました

中華「まあまあ、別にこんなことで死ぬわけじゃないからさ」

男「矢面に立たされてるのに本当に優しいな」

中華「むしろギャンブルはペーペーだから申し訳ないくらいさ、そろそろ次だよ」


次回のルーレットが近づいている
あの一点狙いだけでやめるのもすっきりしないので、
一行はもう一度賭けることにした


>>下1……どう賭ける?
(赤・黒・特定の数字・ラインおよびそれらの組み合わせで自由)

氷魔「……じゃあ……多めに賭けてみましょうか……」


彼女は一桁の数字にチップを一枚ずつ、
しめて10枚を賭けた


やる気「……これはこれで極端な気もするっすけど」

氷魔「……そうかもしれませんね……結果を見てみましょう……」

怪盗「というかこれ、オッズ的に勝てるんですか?」

狙撃少女「えー……ギリギリ勝ってます。当たればですけど」


倍率は12倍らしく、当たればチップは二つ増える


男「しょっぱいな……」


>>下1コンマ……57以下で的中

00は100なので外れました


ディーラー「黒の33だーっ!」

中華「くっ」


【チップ】32


氷魔「……ルーレットは……向いていないかもしれませんね……」

やる気「そんな気がしてきたっす」

すみません寝落ちしました


ぶりっ子「私もルーレットで勝ち越してる人はほとんど見たことがありませんねぇ」

怪盗「難しいんですね、ルーレットって」

狙撃少女「ギャンブラーが一点狙いばかりしてるからじゃないですか?」

男「流石にぶりっ子みたいなやつはそうそういないだろ……」


ルーレットは勝てないと判断し、
一行はその台から離れた


>>下1……どの台で賭ける?
1.ポーカー
2.スロット
3.神経衰弱
4.ルーレット
5.ブラックジャック
6.自由安価

中華「そろそろ疲れてきたな……」

氷魔「……外れに……リフレッシュスペースがあるかもしれません……行ってみましょう……」


彼女の発言に促され、一行はカジノの端へと向かう
すると、なぜかそこには一つの襖があった


やる気「……あ、うちの部屋みたいなドアがあるっすね」

怪盗「え?実家どこなんですか?」

やる気「失礼しまーっす」


襖に慣れた彼が扉を開き、
ぞろぞろと残りのメンバーも入っていく


ディーラー「これは随分な大所帯で。お茶でもいかがですかな?」

ぶりっ子「いいんですかぁ?」

ディーラー「ええ、何色のお茶がよろしいですか?」

本日はここまでです
ありがとうございました

男「緑で」

中華「オレンジかな」

氷魔「……白……」

やる気「緑っす」

ぶりっ子「紅」

怪盗「紅で」

狙撃少女「……えっ、随分みなさん趣味がはっきりしてますね。ええと……白で……」

ディーラー「かしこまりました」


すると彼は見事な早業で、
緑茶、ウーロン茶、ミルクティー、紅茶を用意した


怪盗「いただきます……ところで、ここは休憩室ですか?」

ディーラー「ええ、ギャンブルもできますが」

狙撃少女「なにができるんですか?」

ディーラー「花札です。お茶菓子いりますか?」

男「いただけるならば」

ディーラー「では、こちらを」


彼は部屋のタンスから多種多様なお茶菓子を出して、
一行に振る舞った


中華「ええっと、ここじゃ花札ができるんだよね?」

ディーラー「はい」

中華「じゃあ、お茶が終わったら勝負しようか」

本日はここまでです
ありがとうございました

それから一行は優雅なティータイムを楽しみ、
花札で勝負をするために向き直った


ディーラー「ルールはご存知ですか?」

中華「前にやる気から聞いたことがあるよ」

やる気「俺っちはてんで苦手なもんで、戦術までは教えられなかったっすけどね」

中華「という訳で、チップは10枚賭けよう」


>>下1コンマ……69以下で勝利

中華「あ、また揃った」


彼は手際よく役を揃えていく
とはいえ、とてつもなく派手な役を作るのではなく、
5点の役をコンスタントに出し続けている


ディーラー「ううむ、月見で一杯ですか。私の負けですな」

中華「今回はついてるね」

【チップ】52


なんと、賭けた三倍ものチップが払い出された
ディーラーはそれらを渡し、
驚く一行を不思議そうに眺める


氷魔「……こんなにもらって……いいんですか……」

ディーラー「花札はギャンブルにしては技量の出る遊びでございまして、私のような専門のスタッフに勝つのは運のみでは難しいことなのです」

ぶりっ子「私もなにやってるのかよく分からなかったですしねぇ」

本日はここまでです
ありがとうございました

流石に花札はやったことないですねぇ!


それから一行は十分に休息をしたため、
カジノにおいて特異な存在感を示すその和室から出たのだった


怪盗「……結局、あれはなにをやってたんですか?」

中華「点を貯めてた。役を作ってポイントを貯めるゲームだから、麻雀にちょっとだけ似てるかも」


>>下1……どの台で賭ける?
1.ポーカー
2.スロット
3.神経衰弱
4.ルーレット
5.ブラックジャック
6.自由安価

氷魔「……これ……終わらなくないですか……?」


時刻は既に昼を過ぎているし、
その割にチップは目標の数に達していない
時間を浪費していることは明らかだ


ぶりっ子「そうですねぇ」

狙撃少女「普通にチップをあと48枚買って、それでカタログを貰いましょう」

ぶりっ子「ええっ!?そんなぁ!」

男「もう十分楽しんだだろ」

中華「チップを全て失わなかっただけ運がいい。さぁ、戻ろうか」


一行はギルドへと戻ってきた
そして、そのままチップ払い出し所で48チップを購入した


【ギルドの資金】80210795


氷魔「……どっと疲れましたね……」

本日はここまでです
ありがとうございました

・男
【筋力】124【HP】68【素早さ】200【MP】114【顔面】30(神の力)【歌唱力】74【料理】111【中華料理】97【画力】26【加護】13
【刀術】・閃火斬(火属性武器でのダメージに+6、それ以外の武器では+3)
『平凡人』(戦闘能力以外を最低保証50)
『魔法の才能』(魔法習得難易度易化)
『多芸』(感覚系ステータス+20)
『万能通訳』、『降神術』(神の依り代に適性)
『マグネリレーション』(定期的な巡り合わせ)
武器:レジストソード(攻撃翌力3.5、魔法生物特効)
防具:ミレニアムアーマー
習得魔法:火魔法 上級火魔法 氷魔法 上級氷魔法 闇魔法 風魔法 上級風魔法 回復魔法 光魔法 マナ電流互換 着火魔法 照明魔法 耳鼻咽喉キャンセラレーション 海割りの奇跡
所持:麻薬(1回分)"人は空を羽ばたけるのか?"鳥人間強制改造本ドラゴンキラー(ドラゴン系にダメージ増)、上級氷魔導書、13時間時計、魔王のデモウイルス、サファイアの原石、厨二っぽい太刀(攻撃翌力3、炎属性)、ベヒーモスの角剣
(経験値10/40……レベル31)

・中華
【筋力】133【素早さ】191【HP】43【MP】75【中華料理】112【顔面】76【加護】10【運命力】29【求心力】33
『救世主の資格』(【運命力】と【求心力】追加)
『魔王の資格』
『神格』
『器用』(回数で壊れるアイテムを一回多く使え、罠や精密機械などに関するコンマ判定にボーナスが付く)
武器:デモンズスピア(攻撃翌力4)
防具:ミレニアムアーマー
装飾品:銀の腕輪(筋力+5)
習得魔法:火魔法 上級火魔法 上級水魔法 上級光魔法 マナ電流互換 着火魔法 照明魔法 回復魔法
所持:危険な国三選、13時間時計
(経験値22/38……レベル29)

・氷魔【筋力】162【HP】??+36【MP】177【素早さ】151【料理】37【歌唱力】27【ダンス】1【顔面】37【加護】20
『消費MP1/2』、『ポリシーブレイク』
『究極氷魔法』消費【MP】:240(120)
『メルティング』、『氷魔法上位混合』
武器:ホークワンド(魔法ダメージ+5)
防具:ミスローブ
装飾品:冷却懐中時計(氷ダメージ+5)
習得魔法:極大氷魔法 氷空魔法 水魔法 超上級水魔法 上級風魔法 超上級回復魔法 マナ電流互換改 着火魔法 照明魔法 洗濯魔法 水質検査魔法
所持:異性にモテる為の本(所持継続一日以上で【顔面】+5) 雷の魔導書、13時間時計
(経験値12/47……レベル38)

・やる気
【筋力】157【HP】57【MP】129 【素早さ】174【顔面】36【加護】20
『殺 る気』(殺せると思った相手へのダメージ二段階上昇)
『魔王の資格(80%)』(不完全ながら能力値上昇、魔物の言語が分かる)
武器:スパイラルランス
防具:ミレニアムアーマー
習得魔法:超上級水魔法 土魔法 回復魔法 着火魔法 照明魔法 マナ電流互換改 洗濯魔法 水質検査魔法 闇魔法 上級闇魔法 天候操作魔法 ジャミングウェイブ 解錠魔法
所持:氷の上なら狙った場所に届くカーリングストーン爆弾
(経験値0/36……レベル27)

・ぶりっ子
【筋力】122 【HP】??+32【MP】140【素早さ】102【料理】73【歌唱力】44【ダンス】51【加護】10
【顔面】58
『誘惑』(【顔面】以下の【MP】の生物をたまに行動阻止)
『やりくり術』(アイテム値段を二割引)
『ドジっ子』(ランダム攻撃の対象から外れ、【顔面】+10)
『毒手』(攻撃を命中させた相手に永続スリップダメージ)
『従者式格闘術』(後出しでかばいダメージ上昇)
『風より速く動く術』
武器:ドラゴンキラー
防具:ソードブレイカー 緋色の法衣(炎や熱系の魔法や攻撃の無力化+魔法だった場合魔翌力吸収 )
習得魔法:水魔法 上級水魔法 氷魔法 上級氷魔法 光魔法 回復魔法 マナ電流互換 着火魔法 照明魔法
必殺技:ぴゅん太郎
所持:化粧品(試供品)、13時間時計
(経験値30/39……レベル30)

・怪盗
【HP】??+1
【筋力】120
【MP】136
【素早さ】355
【歌唱力】53
『盗む』
武器:丁半槌
防具:ソードブレイカー
習得魔法:上級火魔法 風魔法 回復魔法
所持:アダマンタイトの曲刀、雷の力を吸収する杖
(経験値6/34……レベル25)

・狙撃少女
【筋力】122【MP】137【素早さ】??+6
武器:守人のパチンコ(攻撃翌力3.5、攻撃前に属性魔法を使用して属性付加可能、三発)
習得魔法:水魔法 光魔法
所持:スパークナイフ(攻撃翌力2.5、雷属性)アンチオールスナイパー(攻撃翌力8、一発)
(経験値11/39……レベル30)

【所持アイテム】竜毒血清、毒竜管、人造人間の子宮、金属、不思議な赤石、銀の鎖鎌、危険物の魔導書(乙種)人間サイズの蛇の胴体パーツ、邪教典、硫酸の入った瓶、筋トレメソッド本、13時間時計×3、純金小判×5 レア珍獣の生息地(本) 忘却されるまで封印した機械(本)、無限に重なる葉っぱ、ホームセンターの便利グッズ紹介本 回復スライム、氷スライム レインボースライム 探し物の位置を指し示すコンパス(『4回』、不良品)、牛スライム、文字を書き込んだら対になるものに文字が浮かび上がる一対の巻物、壊れたものを何でも直すレンチ、黄金の番人像、世界樹の露(三回分)、なんでも開けるドアノブ型生命体、クイックポーション、超回復ポーション、仮死薬、とろける濃厚牛乳、タンブルウィード×5、オークションカタログ
【ギルドの資金】80210795

男「これでカタログを」


彼はそう言って100枚のチップを渡した


受付嬢「わざわざご遊戯なさっていただき、ありがとうございます」

やる気「一部メンバーのガス抜きにもなったみたいっすし、いいんじゃないっすかね」

受付嬢「そう言っていただけると、私どもも非常に嬉しく思います」


受付嬢は笑顔でカタログを出した

そして、カタログを受け取ってカジノを後にした
カジノの極端な喧騒から解き放たれ、
異様に静かになったように感じる


ぶりっ子「早速カタログを読んでみましょう!」

怪盗「そうですね」


カタログを開き、目次に目を通す
すると、きちんと魔獣の肉が出品されている


男「結局魔獣の肉って、どんな魔獣のやつなんだ?」

狙撃少女「カタログによれば、>>下1」

狙撃少女「ベヒーモスの解体肉や植物系の魔物、海洋系の魔物や…」

中華「ふむふむ」


そこまで読み進めたが、
急に読み上げが止まってしまった


氷魔「……どうしました……?」

狙撃少女「…フェニックスの稚児の肉? 」

やる気「フェ、フェニックスっすか!?」

ぶりっ子「そりゃすごそうですね……」

人形「私、生きてるかも分からないのに、不死身になったりしちゃうんでしょうか」

怪盗「なんか効能はありそうですよね……」

男「確魔獣の肉の中じゃあ目玉だろうから、最後に来そうだな……他のやつを競り落としてからにしないと、不死を求める金持ちと真っ向からやり合わなきゃいけなくなりそうだ」

中華「しかし、どうやって調達したんだろう。もしかして、僕たちの知らないとんでもない冒険者がいるのかもね」

本日はここまでです
ありがとうございました

氷魔「……それより……宿を探しませんか……?」


先日は宿がまるで見つからず、
結局寿命を少し取られた者まで出たため、
今日こそは宿を見つけなければならないだろう


やる気「そっすね、その辺歩いてる人にまた聞いてみるっすよ」

ぶりっ子「そこの方!」


近くを歩いていた、カジノ帰りの女性に声をかける


女性「はい?」

ぶりっ子「この辺りに、高すぎず安すぎない丁度いい宿、ありませんかぁ?」

女性「>>下1」

女性「ここら一帯ではそんなお宿はありませよ。ほどんとは高いお宿ですから」

怪盗「やはり、そうですか……」

女性「おかしな話ですね、そのカタログを持っているのですから、お金は十分にあるのでしょう?」


つい先ほど交換したそれを指して、
彼女は余裕の表情を言う


狙撃少女「貧乏性なもので」

女性「でしたら、あまりこの街に長居すべしではないですね。みな、いずれ金遣いの荒い人間になってしまうのです」

一行は諦めて適当な宿を探した
非常に豪奢な作りのロビーに入っていき、
チェックインする


男「人数は多いが、なるべくリーズナブルな部屋で頼みたい」

ホテルマン「かしこまりました。でしたら、大部屋がございますよ」

男「ありがたい。いつも大部屋なんだ」

ホテルマン「それではこちら、鍵となっております。どうぞごゆっくり」

本日はここまでです
ありがとうございました

それから一行は広いホテルを歩き、
ようやくのことで部屋に到着した


中華「遠かったね……」

氷魔「……リーズナブルな部屋を……と頼んだので……そういう所も値段の査定に入っているのかもしれませんね……」


扉を開ければ、そこにはスイートルームとまではいかないものの、かなり豪華な部屋があった
魔法を用いた明るさを自由に調整可能な証明がインテリアの数々を照らしている

キーは同じはずなのにアプリとブラウザでトリップの内容が変わる不思議


運ばれてきた夕食を食べ終え、
自由な時間となったが、
みな一様に一つの場所に集まる
明日のオークションに出品される品々が気になるのだ


やる気「目次でパーッと見てもいいっすけど、ちゃんと画像の付いてるページで見るっすよ」

ぶりっ子「一品目はなんなんでしょう?」


好奇心の赴くままにカタログの一品目を確認する


>>下1……一品目の内容

そこに記されていたのは一つの種子についてだった
一見すればなんの変哲もないただの種だが、
運試しの種という名前で通っており、
ランダムに何かが生まれるそうだ


怪盗「いきなりすごいもんが出てきましたね」

狙撃少女「……この種、どこから採れてるんでしょう?」

男「カタログによれば……ある世界樹の近くに落ちてるらしいな」

本日はここまでです
ありがとうございました

中華「へぇ、じゃあその種ってことだ」

氷魔「……具体的に……なにが芽吹くのでしょうか……」

やる気「それなら過去の例がカタログに書いてあるっすよ」


彼はページのある一面を指す
これまで観測された飼育結果のうち、
特に特徴的なものが記されている


ぶりっ子「おおっ、金銀財宝が生ることもあるんですねぇ!」

怪盗「でも、運試しというだけあって……妙なものが出る確率が高いですね

狙撃少女「なぜか身元不明の人間の死体が形作られることもあるそうですよ、恐ろしいですね」

男「……見えない毒物が生成され、周辺の人々がみな死んだということもあるそうだな」

中華「……ちゃんとした人に、きちんと安全管理をしながら育ててもらいたいものだね?」

氷魔「……凶悪な魔物が現れることもあるようですし……どうやっても無理なときは無理でしょうけれど……」

やる気「……なんか、不発のこともあるみたいっすね」

男「……俺が思うに、それは不発じゃないな」

ぶりっ子「えぇ?」

男「見えないものが出たんじゃないか?」

ぶりっ子「毒物の話ですかぁ?」

男「まぁ、それもあるが……」

怪盗「?」

男「視覚では表せないもの……つまり、概念が産み落とされた可能性があるんじゃないかと思ったんだ」

狙撃少女「確かめようがないですが、ありうる話ですね」

男「俺たちが新たに見つけた何か、あるいは新たに名付けられた何か……その誕生なのかもしれんな」

本日はここまでです
ありがとうございました

中華「よく分からないな」

男「まぁ、閃きのようなものだ。あれも生まれる感じがあるだろ」

中華「うーん、そう言われてみればそうかもね」

男「……考えても真実の分かることじゃないな。次を見てみよう、寝るにはちょっとだけ早い」


彼はカタログの次のページを開いた
そこに記されていたのは、>>下1だった

氷魔「……これは……書物……?」


次に記されていた競売品は、
『ある兄弟の話』という記録だった


やる気「なんだってこんな、御伽噺みたいなタイトルのもんが出品されてるんすかね?」

ぶりっ子「カタログを読む限り……やはり、内容が特別らしいですねぇ」

怪盗「おお、大まかな概要は書いてありますね」

カタログによれば、ある二人の兄弟冒険者が奇妙な場所を探索し、そしてその奥まで迫り、帰還した______その記録である


狙撃少女「この妙な場所の描写……」

男「ああ、これは恐らく、『禁域』だな」

中華「確かに、荒唐無稽とも言えるような化物がわんさかいるみたいだしね」

氷魔「……とすれば……確かに価値のある資料です……あそこについては情報がなさすぎますし……無知のまま挑むには危険すぎますからね……」

やる気「しかし、この兄弟は相当タフっすね。あんな領域の奥まで進めるなんて」

本日はここまでです
ありがとうございました

カタログを読んでその内容を話しているうちに、
寝るべき時間が訪れた


ぶりっ子「……宿代、いくらになっちゃうんでしょうかぁ?」


その問いかけには誰も答えることはなかった
恐ろしいことをわざわざ寝る前に口に出そうとは誰も思わなかったのだ
みな、せめてまどろみの中では幸せでいたかったのだ

~翌日・陰週日曜日~


怪盗「あぁ、よく寝ました」


快適そのものと言える高級ベッドで眠った一行は、
誰もがスマートな目覚めを体験した


狙撃少女「……確か、オークションは夜でしたね?どうやって時間を潰しましょうか」

男「>>下1」

男「カタログに載ってる商品を調べて見るか?」

中華「ふむ、昨日の続きかな?」

男「ああ、狙いは魔獣の肉。それは変わらないが……」

氷魔「……あれを買いつけておけば……と後悔しないためですね……?」

男「その通りだ」

やる気「冒険がぐっと楽になるようなブツが比較的安く手に入ればいいっすね」

本日はここまでです
ありがとうございました

男は再びカタログを取り出し、広げる
ページは前回の続き、ある兄弟の話の続きだ


ぶりっ子「これは?」


そこに描かれていたのは、
材質不明の埴輪のような物体だった
本当に埴輪であれば粘土製であることは間違いない


男(この世界に埴輪なんてあるのか……?)


>>下1……埴輪のような物体がどういうアイテムか

そこには、身代わりの人形と書かれていた


怪盗「身代わり?」

狙撃少女「呪いなどの間接的な攻撃から身を守ってくれる、身代わりのお守り……のようなものですね」

男「なにか違うのか?」

狙撃少女「カタログによれば、人型であることによって繰り返しそういった攻撃から身を守ってくれるとありますね」

果たしている作用は悪影響から身代わりとなることで装備者を保護するという点で、お守りと同じである
しかし、お守りはあくまで無理やり対象を反らし、
もろとも焼け落ちるのに対し、
人形は人型なので実際に呪いを受けてくれるのである


中華「呪いなどをものともしない存在が、それらの害を肩代わりする。一見地味だが、非常によくできたアイテムじゃないか?」

氷魔「……カタログに書いてある通り……理論的にはお守りの比にならない性能ですね……」

本日はここまでです
ありがとうございました

やる気「これの価値を実感できる人がどれだけいるかが、値段の付き方を決めそうっすね」

ぶりっ子「金持ちの道楽で異常な値段になってしまうかもしれませんしぃ、冒険者向きの道具屋なんかより遥かに安くなる可能性もありますねぇ」

怪盗「値段次第で入札も視野に入れましょうか」


話がひとまとまりしたため、
一行はカタログの次のページを開く
そこは以前見た魔獣の肉についてだったため、
さらにその次のページを開いた


>>下1……そのページの内容

次のページを開くと、大きく『偉大な司祭様の揮毫』と書いてあった


狙撃少女「……誰ですか?この司祭は」

中華「名前くらいは聞いたことあるよ。相当大規模な教団の司祭だね」

男「で、そいつの書いた文章が商品ってことか」


そこには教典の写しや、魔除けの文が書かれている

本日はここまでです
ありがとうございました

氷魔「……実用性は……ほぼなさそうですね……?」

やる気「でも、魔除けの文が書かれているところだけ切り取って使えば最低限使えそうっすね」

ぶりっ子「高位の司祭が書いたものと、雑貨店やギルドで買えるのって違うんでしょうか?」

怪盗「分かりませんね……比較した例を聞いたことがないです」

狙撃少女「……しかし、この教会に対して何らかの働きかけを起こすとき、誠意を示すファクターには使えそうですよ」

男「熱心な信者が高額の入札をしてしまった場合、そういった機会を含めても割に合わない品になってしまうな」

中華「……………………」

男「どうした?欲しいのか?」

中華「……いや、なんでもない。ちょっと考え事をしていたけど……気にする必要はない」

氷魔「……でしたらよいのですが……」

中華「ああ、大丈夫さ。それより、次の商品を見よう」


カタログの次のページを開くと、
そこには人が描かれていた


やる気「奴隷か!?」


>>下1……商品の説明

ぶりっ子「……いえ、見てください。彫像ですよぉ」

やる気「なんだ……びっくりさせないで欲しいっすね」

怪盗「しかし、本当にリアルですね……」


題名は『とある少女』であると書かれている


狙撃少女「ええ、一体こんなものをどうやって彫ったのでしょうか」

男「果たして本当かは分からないが……俺の知ってる彫刻家は、予め決まった形が石に刻まれていて、それを掘り出してるだけに過ぎない、みたいなことを言っていた」

中華「それらしく説明するなら、人並み外れたイメージ力……特に、三次元的なものを持っていることになるね」

氷魔「……それにしても……異常なほどの生気を感じますね……どのような情念が……ここまでの作品を作らせたのでしょう……」


と、作品そのものについての考察をしていると、
怪盗が声を上げる


怪盗「そんなことより、見てくださいこれ!所有者に巨万の富をもたらすそうですよ!?」

本日はここまでです
ありがとうございました

やる気「なんすか、無粋っすね」

怪盗「だって、富ですよ!?富!」

ぶりっ子「確かに、興味はありますが」

怪盗「はぁ、こういうのを華麗に盗みたいのよ、私は」

男「駄目だぞ」

狙撃少女「少なくとも、普通に落札できるような品ではなさそうですしね

カタログを見て騒いでいると、
部屋のドアをノックする音がした


中華「?」

男「ちょっと見てくる」


一体誰がなぜノックしたのか
男はそれを確かめるため、
そろりそろりとドアに近づき、
ドアスコープを覗き込んだ


>>下1……ドアスコープに映ったもの

すみません寝落ちしました


少女「………………」

男「嘘だろ……?」

氷魔「……どうしたのですか……」


その顔には見覚えがあった
ついさっきまで見ていた顔なので当然である
そう、そこにいたのは彫像の少女と瓜二つの少女だった


男「……あの彫像の子がいる。今ドアを開けるが、みんな、気をつけてくれ」

やる気「ええっ、本当っすか!?」


先ほど男が驚いたように、他のメンバーも驚いている
それをよそに扉を開く


男「どうもお嬢さん」

少女「………………」

男「……あー、なんでここに?見ての通り、少なくともここは君の部屋じゃないけれど」

少女「>>下1」

少女「覚えてませんか?ある宿屋で出逢った事」


彼女は男を見つめ、僅かに後退りしながら聞く
ここは爽やかに覚えていることを伝えるべきだが、
彼には覚えのない話だった


男「……すまないが、忘れてしまっているようだ」

少女「そうですか……」

本日はここまでです
ありがとうございました

男「……いいかな?」


振り返って少し申し訳なさそうに言う


ぶりっ子「いいと思いますけどぉ……」

男「よし、じゃあ上がってくれ」


とにかく、話を聞くために彼女を入れることにした


怪盗「まさか、この子に唾付けてたんですか?」

男「そんなことせんわ!仮にしてたら覚えてるだろ」

狙撃少女「ふふ……」

男「ほら、座りな」

少女「あ、はい」


男は自分の目の前に少女を座らせた
まだどこか怯えが感じ取れる


男「……じゃあ、用件を聞こう」

少女「>>下1」

少女「私はガーゴイル、あのオークションに出てる姉を取り戻して欲しい 」

狙撃少女「……まさか、本当に生きていたとは」

男「どうしてオークションに?」

少女「私たちは……このような見た目ですので、人間に紛れて暮らしているのですが……姉の正体が露呈してしまいまして」

中華「それで捕まっちゃったってことか」

少女「はい、魔物であることは知られているので警備もされており……一人で逃げ出すのは難しいと思います」

男「……では、巨万の富を得るという触れ込みだが、あれはどういうことなんだ?」

ガーゴイル妹「ガーゴイルといえば、門番をする存在なのですが……私たちは違います」

氷魔「……なにをするのですか……?」

ガーゴイル妹「特に決まった仕事はありません。家事手伝いに従事するようなこともありますが、一番富に結び付くのは、錬金術の助手でしょう」

やる気「知識があるんすか?」

ガーゴイル妹「はい。それに……この身体自体が、かつて失われた強大な錬金技術の産物でもあります。錬金術の心得がある人間にとって、私たちは様々な禁断への鍵なのです」

本日はここまでです
ありがとうございました

男「事情は分かった。だが……」

ガーゴイル妹「やはり、無理でしょうか……」

男「俺たちはそもそも、そのオークションに参加するつもりでいるからな。君の姉を助け出したことでそれがおじゃんになるのは厳しいな」

ガーゴイル妹「そう、ですか……」

男「だが、頼まれた仕事はなんだってやる。それが人のためなら尚更だ。今、作戦を考える」

ガーゴイル妹「いいんですか!?」

男「ああ。よし、みんな!作戦会議だ!」

そうして一行は一つのテーブルを囲んだ


ぶりっ子「……で、どうするんですぅ?」

男「目標は、彼女の姉を救出すること、そしてオークションを妨害しないこと、さらに、俺たちが指名手配されないことだな」

怪盗「盗みなら任せて下さい!」

男「……仕事だからな。今回ばかりは止めない」

狙撃少女「まずは、オークションに出品される商品がどこにあるかを調べる必要がありますね」

中華「順当に行けば、オークション会場の裏とかじゃない?もう、今日やるんだし」

ガーゴイル妹「はい、確かそうです」

氷魔「……会場は……」


彼女はカタログを確認する
裏表紙に会場の位置情報が記されている


やる気「どうすか?」

氷魔「……意外と、街の外れですね……」

ぶりっ子「好都合ですねぇ。カジノの辺りは、警備が厳重すぎますから」

男「では、どうやってオークションを阻害せず、ガーゴイルを盗み出すかだな」

怪盗「超メジャーな芸術品ならレプリカが出回ってますから、本番直前にすり替えて盗めたりするんですが……」

ガーゴイル妹「さすがにありませんね……」

狙撃少女「……それですね」

男「え?」

狙撃少女「私たちが必ず手に入れなければならないのは、魔獣の肉ですよね?」

男「ああ」

本日はここまでです
ありがとうございました

狙撃少女「あらかじめ舞台裏に潜入しておいて、魔獣の肉の競売が終了してから、彫像の番になる前……わずかな間ですが、そのうちに盗み出せばいいのではないでしょうか」

中華「……リスクが高いね」

狙撃少女「はい。ですが……現状できる手はこれだけかと思われます。より優位になれる手段を手にすれば、こんな危ない計画は不要です」

氷魔「……では……チームを分けましょう……潜入を行うチームと……他の手段を模索するチームで……」

やる気「チーム間の連絡は『巻物』を通じて行うっす。アラートは鳴らせないんで、適宜確認するか、巻物を監視する役を用意するといいっすね」

氷魔「……その通りです……」

ぶりっ子「じゃあ、チーム分けしましょう!」


それから一行は話し合いを行い、
チームの内容を決定した


>>下1……潜入チームと捜査チームの内訳

男「潜入チームは必ず成功してもらなくちゃならないから、人数は多めにするぞ」

怪盗「私は潜入チームですよね!?」

男「ああ、それと……中華、狙撃少女、ぶりっ子、司書コピーだ」

ガーゴイル妹「ということは私と、男さん、やる気さん、氷魔さんが調査チームということですね」

狙撃少女「なるほど、分かりました。では早速行動を開始しましょう」

本日はここまでです
ありがとうございました

潜入チームの五人は、
早速郊外にあるオークション会場へやってきた
大きなサーカステントのような建物がある


中華「裏手に回ってみよう」


そこには、関係者とおぼしき人物が数人と、
裏口があった
そして、そのうちの一人が話しかけてくる


男性「ん?なんだお前たちは」

ぶりっ子「えっと、私たちは競売品の警備を頼まれたギルドの者なんですけどぉ……」

男性「>>下1」

男性「海岸地方の神官じゃないのかい?」

ぶりっ子「えっ」

怪盗「……それは私ですね」


困っているぶりっ子を助けるため、怪盗が声を上げた


男性「おお、あなたが」

怪盗「他の皆様は私が雇った警備員です」

男性「そうでしたか、ではこちらへ」


彼の誘導で無事に裏口から入場することはできたが、
なぜそれができたのかが分からない


狙撃少女「……はて、海岸地方の神官……何の理由があって裏口に呼んだのでしょうか?」

司書コピー「品物と関係があるのか、それとも……?」

本日はここまでです
ありがとうございました

今年もよろしくお願いします


中華「ともかく、これ以上詰められるとボロを出すリスクが高まる。隠れて行動すべきだろうね」

ぶりっ子「ええ、そうですねぇ……」


周りを眺めると、どうやらこの部屋はある種の待合室のような雰囲気で、いくつかの椅子やテーブルがある
しかし、高級な調度品などではなく、
現実世界におけるパイプ椅子程度の物品だ


怪盗「じゃあ、こっそり進みましょう」


部屋の出口は入っていた裏口を含めずに二つあり、
そのうちの一つのドアに聞き耳を立てることにした


>>下1……聞こえてきた内容

狙撃少女「……どうやら、トランプで遊んでいるようですね。多分……七並べでしょうか」

司書コピー「えっ、誰がですか?」

狙撃少女「人数が多いですし……警備員だと思います」

中華「こっちに行くと人目は避けられなさそうだね。逆の方から行ったほうがいいかな」

狙撃少女「ふふっ……」

ぶりっ子「どうしたんですぅ?」

狙撃少女「どうも、この部屋のテーブルを向こうに持ち込んでトランプをやっているようですよ?ほら、そこ……」


彼女が指を指した場所には、
不自然に椅子のみがあり、机のない空間があった


怪盗「そこから持っていった、ということですね」

司書コピー「ということは、出てくることはほぼなさそうですね。安心して向こうに行けます」

本日はここまでです
ありがとうございました

中華「じゃあ、こっちの部屋に行こうか」


もう一方のドアは金属製だった
しかし、鍵はかかっていないようで、
問題なく開くことができそうだ


ぶりっ子「はい、そうですねぇ」


少し立て付けの悪いそのドアを開き、
五人は部屋に押し入った


>>下1……部屋の中の状態

その部屋には、幸運なことに誰もいなかった
隣の部屋は質素な家具が置かれていたのに対し、
こちらの部屋は値の張るテーブルと椅子が1セットだけあり、応接間のような役割を果たしていることが伺える


怪盗「おっ、酒ありますよ」


彼女は机上の酒に興味を示し、
空のグラスとともに確認する


狙撃少女「お酒ですか」

怪盗「結構いい酒ですね。開いてますし、一杯やってたんじゃないでしょうか?」

司書コピー「グラスは一対……二人いたんですね」

中華「ということは、少なくとも向こうの警備員たちじゃないね」

ぶりっ子「なんか、浮かれてますねぇ……みなさん」

怪盗「好都合じゃないですか。開いてなければ、これも貰っていったんですけどねぇ……」

狙撃少女「……む」


彼女がなにかを発見したようだ
その視線はテーブルの下に向けられている

司書コピー「どうしました?」

狙撃少女「床下収納がありますね」


テーブルの下には、四角い縁取りがあったついている窪みを引き開けることによって、
床下収納を確認することができそうだ


中華「よし、開けてみよう。多分お酒を保存してると思うんだけど……」


彼は周囲を一瞥し、収納の入り口を開いた


>>下1……その中身

本日はここまでです
ありがとうございました

ぶりっ子「どうですかぁ?」

中華「うん、やっぱりお酒だね」


そう言うと二本の酒を取り出した
テーブルにあるものと同じ銘柄である


怪盗「盗みたいですね?」

狙撃少女「……聞かないで下さいよ。バレたら終わりなんですからね」

中華「……おや?」

司書コピー「どうしました?」

中華「嫌なもの見ちゃった」


次に取り出したのは酒瓶ではなく、仮面だった
それは道化の仮面であり、
みなが見覚えのあるデザインをしていた


ぶりっ子「ああっ、それは」

中華「ああ、船で会ったあいつの仮面だね。まぁ、恐らく仲間のものだろう」

本日はここまでです
ありがとうございました

怪盗「道化師連中が関わっているということみたいですね?」

狙撃少女「言われてみれば、この建前もテントのような形をしていましたね」

司書コピー「非常に興味深い……」

中華「あいつらは危険そのものだ。より気を引き締めて探索をしなきゃいけないね」


床下収納の扉を閉め、
シックな雰囲気の部屋に似つかわしくない赤い扉を見やる


ぶりっ子「この先に進むんですねぇ?」

怪盗「道はここしかありませんからね」


>>下1……扉の先

ゆっくりと扉を開く
薄暗いその部屋には、
カタログで見た商品たちが整然と並べられていた


狙撃少女「!」

司書コピー「見つけましたね……」

中華「あぁ、だが焦ってはいけない。巻物を使って連絡をするんだ」

ぶりっ子「はい、商品たちの場所を見つけたことを書き込みましたよぉ」

怪盗「ナイスです。あとは指示を待ちましょう……!?」


扉の隙間からだけ見える部屋の中から、物音がした
よく聞けば、生き物の息遣いのようなものも聞こえる


狙撃少女「なにかいそうですね?」

司書コピー「事を荒立てるべきではありませんが……」

本日はここまでです
ありがとうございました

時は少々遡り、調査チーム


男「……では、あのオークションについて調べることとしよう」

氷魔「……なにから……調べましょう……?」

男「もっとも理想的なのは、なにか奴らに後ろめたいものを発見することだ」

やる気「そうっすか?」

男「ああ、特に彼女の姉を連れ去った行為など……非人道的な行為の証拠をいくつか見つけることができれば、告発ができる」

ガーゴイル妹「いいんですか?オークションはなくなっちゃいそうですけど……」

男「いや、オークションはやってもらう。潜入チームの計画では、オークション中に盗み出すことになっているから、オークションの後が大切だ」

氷魔「……捕まっても……後ろ楯のある状況ですね……」

男「ああ、あくまであいつらの目的はガーゴイル姉の奪還。それを正当化できるよう、あいつらの汚点を見つけることが大切だ。……もちろん、余裕があれば潜入チームの支援も行うが」

やる気「で、どうやって探すんすか?」

男「心当たりはある」


彼は立ち上がり部屋を出る
三人もそれについていき、チェックアウトする


【ギルドの資金】80090795


男性「……ん?」

氷魔「……先日ぶりですね……」

四人はカジノの近くで張っていた
すると、先日オークションについて教えてくれた男性が現れたので、話しかけたのだ


男性「ああ……どうしたんだ、今日は?」


話しかけられる理由が思いつかず、
少し不安げな様子だ


ガーゴイル妹「質問がありまして」

男性「はぁ」

男「例の競売……そのバックについている団体について教えて欲しいんだ。迷惑はかけないし、望むなら礼だってしよう」

男性「>>下1」

男性「バックは基本的には居ないな」

氷魔「……そうなんですか……?」

男性「ああ、なんせ月毎に決まったカジノやギルドで催すから、どの場所でやるか決まってない」

やる気「イベントとしては定例だけど、運営母体がいないときもあるし毎回違うんすね」

男性「そういうわけで、今日のオークションならその場所で聞いた方がいいぞ」

ガーゴイル妹「なるほど……分かりました。ありがとうございます」

男性「いいってことよ。別にこれ話しても俺は損しないからな!」

本日はここまでです
ありがとうございました

四人は男性と別れたが、
特に進展はなかったと言えるだろう


男「俺たちも、あっちへ行くべきなのだろうか?」

氷魔「……どうでしょう……もし失敗すれば……関与が疑われて……芋づる式に捕まる可能性もありますよ……」

やる気「どうしたもんっすかね」


>>下1……どうする?
1.オークション会場を見に行く
2.この街の本部ギルドで話を聞いてみる
3.自由安価

男「行くしかないな、オークション会場に」

ガーゴイル妹「やはり、行くのですね」

男「ああ、あいつらは裏口から……まぁ裏口があればなんだが、侵入しているはずだ」

氷魔「……私たちは……異なるアプローチをする……ということですね……」

やる気「よし、そうと決まればオークション会場まで急ぐっすよ!」

そうして四人もまた、オークション会場を訪れた
開始まではかなり時間的余裕があるため、
流石に人はまばらであるが、
表の入口自体は開いていた


ガーゴイル妹「これ、入場券なんですよね?」

男「ああ、入場時にはカタログを見せなきゃならん」


一切待つことがなく、受付にカタログを提示して場内に入った

本日はここまでです
ありがとうございました

氷魔「……さて……」


会場は円形の建物であり、
ちょうどサーカスのように中央がステージ、
それを囲むようにして全方位に座席が設置されている
しかし、入札を見落とすリスクを懸念してか、
片側180°分の座席は使用不可能の張り紙がされている


やる気「なんかサーカスっぽいっすね。嫌な感じっす」

ガーゴイル妹「ええ、見世物にされるのはあまり好みません……」

男「……まぁ、ちょっと理由は違うが、俺たちもサーカスはなんとなく嫌だ」

そう話していると、鼻を特有の香りが突く
僅かに霞んだ空気に振り返ると、
葉巻を吸っている女性が席に座っていた


氷魔「……変わった方ですね……」

やる気「どうするっす?」

男「話を聞くべきだろう」

ガーゴイル妹「すみませーん……お聞きしたいことがあるんですどー……」

女性「>>下1」

女性「? 貴女人ではなさそうだけど、何か用かしら?」


と、雰囲気からは想像しがたいほどフランクな対応をされた


ガーゴイル妹「あぁ、えっと……訳アリなんですよ。あ、決して人間の皆さんに危害を加えようとか、そういうのではないので……」

女性「そんなに慌てなくてもいいのよ?私は用を聞いているのだけれど……」

本日はここまでです
ありがとうございました

ガーゴイル妹「えっと……このオークションって、どんな団体が主宰なのか分かりますか?」

女性「うーん、この街じゃあまり聞かない人たちだったと思うけれど」

ガーゴイル妹「オークションにはよく来られるんですか?」

女性「ええ、現状生き甲斐と言ってもいいわ……ああ」

ガーゴイル妹「どうしました?」

女性「思い出してきたわ、今回の主宰は>>下1」

女性「カジノのオーナーに提携を申し出た道化師野郎よ」

男「……はぁ、マジか」

女性「あら、お連れさん?」

ガーゴイル妹「そんなところです」

女性「なにか知っているの?」

男「色々と。話すと長くなるので、ロクな奴らじゃないってことだけは伝えておきます」

女性「ふぅん、そう。それならいいニュースがあるわよ」

氷魔「……?……」

女性「結局、カジノのオーナーはその交渉に応じていないわ」

やる気「ま、怪しいっすもんね」

女性「それもあるでしょうけど、資金力が足りているのかどうかを疑問視されていたの」

男「と、いうことは……」

女性「このオークションはそれを誇示し、カジノのオーナーに認めてもらうためのものってことね」

本日はここまでです
ありがとうございました

すみません遅れました


男「……なるほど」

女性「だから、出品内容もいつもと傾向が違う」

ガーゴイル妹「彫刻とか、肉とか、変な種とかですか?」

女性「うーん、彫刻はよくあるわよ?富豪がどうとか、みたいな曰くはつかない、純粋な嗜好品だけれど」

氷魔「……情報……ありがとうございました……」

女性「どうも」


四人が離れると、また葉巻を吸い始めた


やる気「これは、なかなかいい情報が手に入ったんじゃないっすか?」

ガーゴイル妹「?」

やる気「カジノのオーナーが、あいつらに今は協力的じゃないって話っすよ。こんな街っすから、相当の権力者であることは間違いないっす。こちらが協力してもらえらば、かなり動きやすくなりそうっす」

ガーゴイル妹「えっと……コンタクトしますか?」

男「おう、オークションに参加したい気持ちもあったが……あいつらが元締めとなると、流石にまずい」

氷魔「……じゃあ……会いに行きましょう……カジノで情報を探すべきです……」


そうして一行がテントを退出しようとしたとき、
やる気が反応した


やる気「……巻物に連絡が来たっす」

本日はここまでです
ありがとうございました

男「よし、確認だ!」


そこには、ガーゴイル姉が居るであろう場所の近くまで来たことが記されていた


ガーゴイル妹「姉さん……!」

氷魔「……!?……」


ガーゴイル妹が感慨に浸っている最中、
巻物にさらなる文字が書き込まれていく

やる気「まだなんかあるんすか……?」


そこに追加で書き込まれたのは、
商品が置かれている部屋に何かがいること、
そしてそれがゆっくりと近付いてきていることだった


男「まずい!」


男はすぐさま逃げるよう書き込んだが、
どうやらその姿だけでも捉えるつもりらしく、
数秒後にその存在の姿について書き込まれた


>>下1……商品の置かれた部屋にいた存在

巻物に浮かんだのは、『コカトリス』の五文字、
不吉な名である


氷魔「……どうします……?」

男「……あいつらが危険だ」

やる気「コカトリスって、どんなモンスターなんすか?」

ガーゴイル妹「基本的には、毒です。かなり強い毒を全身から放出できます」

男「つまり、物理的な攻撃を行うのは危険ということだな」

男はとりあえずその旨を書き込んだ


氷魔「……助けに行きたそうですが……確実に大騒ぎになりますよ……」

男「だが……」

氷魔「……彼らを信じましょう……そんなにやわじゃありませんよ……」

やる気「俺っちも同感っすね」

男「……分かった」

本日はここまでです
ありがとうございました

そうして四人は、少なからず不安を抱きながらも、
またカジノへと戻っていった
そして、迷うことなく本部ギルドへと入っていった


ガーゴイル妹「あのー……」

受付嬢「どうなさいました?」

男「実は、カジノのオーナーに伝えなきゃいけないことがあるんだけど……どこにいるのか教えてくれたりしない?」

受付嬢「>>下1」

受付嬢「すいません。彼は本業で忙しいためここから遠く離れたところにおります 」

男「そ……そうか」

受付嬢「伝言でしたら、お伝えできますが」

男「……どうする?」

氷魔「……やらないよりは……ましでしょうね……」

それから男は、メモ用紙を受付嬢から貰い、
そこにピエロたちについて記した


受付嬢「……ちなみに、中身を拝見しても?」

やる気「うーん……正直嫌っすけど、別に俺っちらはなんも損しないっすね」

受付嬢「そうですか、では必要になれば拝読させていただきます」

本日はここまでです
ありがとうございました

彼らはしぶしぶギルドからは出た


ガーゴイル妹「どうしましょう?」

男「堂々とオークションを妨害する術をなくしてしまったな」

氷魔「……このままだと……最初の作戦でいくしかなさそうですね……」

やる気「そっすね……」


話しつつも、連絡用の巻物に無事逃げ切れたかどうか問う内容の質問を書き込んでいる

精神的閉塞感を覚えながらも、
一行は再びテントへと向かうこととなる


ガーゴイル妹「みなさん、無事だとよいのですが……」

男「なにもできないのが歯痒いな」

氷魔「……向こうの方が……数が多いです……どうにかなるでしょう……」

やる気「俺っちも氷魔もいないっすけどね」

氷魔「……やる気さんはともかく……私が魔法を使えば……まず隠密行動は無理ですから……」

本日はここまでです
ありがとうございました

一方、コカトリスを発見した潜入チーム


中華「……どうやら、まだこちらに気づいてはいないようだね」

ぶりっ子「えぇ、助かりましたぁ」


どうやら、コカトリスは商品が収容された部屋をひたすら巡回しているようである
気を付ければ発見されることもないが、
一方で対象を保護する際にはほぼ確実に見つかるだろう

怪盗「……でも、おかしいですね」

狙撃少女「え?」

怪盗「だって、少なくとも競売のときには商品を出さなきゃいけないんですよ。どうにかしてあのコカトリスをどかすか、あるいは無力化する方法が主宰にはあると思いませんか?」

司書コピー「確かに、そうですね。なにかしらありそうです」

中華「しばらく潜伏を続け、その正体を把握できれば……安全に事を運べるかもしれないね」

そして、連絡のために中華はその方針を書き込んだ


男「……どうやら、まだ大丈夫そうだ」

ガーゴイル妹「コカトリスはどうなったんですか?」

男「気付かれてなかったようだ、待機し続ければ解決策が見える可能性があるとも」

氷魔「……強行して助けにいく必要はなさそうですね……」

本日はここまでです
ありがとうございました

四人は会場に戻ったが、まだあまり他の参加者は到着していないようだ
着席者はまばらである


やる気「すみません」

女性「……ん?ええ、どうなさったの?」


例の葉巻を吸っていた女性に再び話しかける


やる気「うち、オークションは初めてなんすよ。気を付けたほうがいいこととか、注意したほうがいい参加者っているっすか?」

女性「>>下1」

女性「他の買い手との意地比べにならないように」

男「はい」

女性「これだけの街の、これだけの規模のオークション。当然、陰謀だってよくあることよ」

氷魔「……そうなんですね……」

女性「金銭的な問題もあるけれど、異常な入札と争うのはやめておくべき。金だけでなく、命まで失くすことになりかねないわ」

ガーゴイル妹「説得力がありますね……」

女性「当然よ、あなたたちのような人が消えていくのは何度も見たわ」

男「やっぱり、実体験なんですね」

女性「ええ、嫌な思い出よ……そろそろ、人が揃い出すわ。あなたたちも、席に着いたほうがよいでしょう」

氷魔「……そうさせていただきます……ありがとうございました……」


四人は、近くの適当な席に座った
人が入り初めなので、四つ隣接する空席を探すのは難しくなかった


やる気「……下手は打てないっすね」

本日はここまでです
ありがとうございました

オークションが始まる頃、潜入チームは客間に潜み、
商品保管室を挟んで向こう側から、
人が近づくのを足音で感じ取った


ぶりっ子「おっ、誰か来ますよぉ」

狙撃少女「見せてもらいましょう、コカトリスをどうするのか……」


陰になってよく見えないその人物が部屋に入ると同時に、コカトリスは奇妙な叫び声を上げて威嚇した
それに対し、その人物は>>下1

???「おーよしよし」


その人物は、威嚇するコカトリスに一切警戒することなく近付き、特有の体毛を揉むように撫でている
扱いは完全にペットだ


司書コピー「え……」

???「ここで待てて偉い。後でおやつあげるからね」


一見コカトリスに噛まれているように見えるが、
どうやら甘噛みらしい
毒の分泌はコカトリスの意志でコントロールできるようだ

そして、その人物は運試しの種を持ってステージの方へ向かっていってしまった


中華「なんてことだ、魔獣を飼い慣らしている」

ぶりっ子「どうするんですかぁ……!?」

怪盗「かくなる上は、不意討ちで倒しきるしかないんでしょうか」

中華「心配ない、まだ手はある。出し惜しみして見つかるのが一番の問題だからね」


そう勇気づけるように微笑み、
巻物にコカトリスはどうにかできそうだという旨と、心配しないで欲しいと書き込んだ

本日はここまでです
ありがとうございました

道化師「さぁみなさん!大オークションの開幕です!」


四人は舞台で饒舌に話す道化師を見ている


男「ついに始まったな」

ガーゴイル妹「不安が募ってきます……」

道化師「それでは最初の品からいきましょう~!運試しの種だーっ!!」

すると、見栄えのいい台車のような物体に乗った種が運ばれてくる
魔法で作られた透明なケースに保管されている


道化師「さぁ、この摩訶不思議な種は一体いくらの値が付くのか!?」

男「これ、入札するか?」

道化師「それでは30万から!」

男「さ、30万!?……どうする?」

氷魔「……>>下1……」

氷魔「…出来れば…欲しい、です!」

やる気「じゃ、やるっすか?」

男「ああ」


そう決めた所、どこからか声が上がる


「40万!」


道化師「40万!これは高い!いきなり30%の上乗せだっ!」

本日はここまでです
ありがとうございました

ガーゴイル妹「すごい値段が……」

男「42万!」

道化師「42万!42万です!」

「45万!」

道化師「さぁ45万!」

ガーゴイル妹「すごい値段が飛び交ってます……」

男「50万っ!」


流石にこれ以上出すのは厳しいと思いながら、男は叫んだ


>>下1……会場の反応

「100万だ」

道化師「さァ100万!……100万!?」


道化師すら驚くその金銭感覚
当然、会場もどよめき出す


氷魔「……ああ……流石に降りて下さい……100万はないですね……」

やる気「それより、ここで100万を出すような奴は何者なんすかね」

会場の誰もが声のした方を振り返る
そこに座っていたのは、
浅黒い肌をした長身の男性だった


道化師「そこのあなたが落札者ですね!?」

長身「ああ、101万でも出すやつがいなければ」


悔しさなど忘れてしまうほど、
その異様さに誰もが気圧されていた


道化師「どうやら、いないようです!それでは落札ッ!」

本日はここまでです
ありがとうございました

多くの人々が動揺を続けていることから、
恐らく先ほど会話した女性のような、
常連の客ではないことが伺える
係員が、落札したことを示すチケットを彼に渡した


道化師「それでは、次の商品です!」


運ばれてきたのは、一冊の手記
この手のアイテムにありがちな特徴として、
使い込まれてボロボロだ

男「あれは欲しいかも」

中華「うん、なにか情報になるかもしれないし……」


道化師はケースから手記を取り出すと、
丁寧にあるページを広げる
そこには、世にも奇妙な姿の生き物が描かれていた


道化師「これは、ある兄弟が訪れた奇妙なる世界の話!描写や絵があまりに真に迫っているので、真実なのではないかと言われています!」

一応カタログに目を通してきているだろう参加者の面々は、ほとんどがその内容を信じていなかった
実際、禁域で起こりうることはほとんどか悪い冗談のようなものだ


やる気「見せやがったっすね」


しかし、その名状しがたい怪物の姿は、
その話に信憑性を上乗せし、
半信半疑だった多くの参加者の興味を惹いた


ガーゴイル妹「あんな化け物、いるんでしょうか?」

男「いるかも」

本日はここまでです
ありがとうございました

魔「……流石に……種よりは安くなりそうですが……」

やる気「だといいっすね」

道化師「それでは5万から!」

「6万!」
「6万5000!」
「7万5000!」


と声が上がり出す
以前より値は安く動きも鈍いため、
頑張れば競り落とせそうだ


男「よし……>>下1!」

男「8万5000!」


一旦参加者のざわめきが沈静化する
多くの人が『ライン』として設ける10万の輪郭がはっきりとしてきたため、及び腰になるものが出始めたのだ


道化師「さぁ8万5000!8万5000を超える者はいないのか!?」

氷魔「……いないといいのですが……」

彼女はちらりと先ほど落札した男性を見るが、
わずか数分のうちに居眠りを始めており、
この商品に興味はないのだと伝わる


やる気「どうしたっすか?」

氷魔「……いえ……落札できそうなのは嬉しいのですが……無価値だと思われているのも少し腹立たしいですね……」

ガーゴイル妹「なんの話ですか?」

本日はここまでです
ありがとうございました

男は非常に堂々とした雰囲気で未だ立っている
近付く10万のラインの中で、
まだ戦えることを示しているのだ


道化師「どうやらいないようですね?では落札です!」


すぐに係員がやってきて、
商品と引き換えるためのチケットを渡される
目当ての品がもうないならば、
この場で交換して帰ってもよいと言われたが、
当然魔獣の肉は手に入れていないため、
残ることとなる

道化師「さぁ、次の素敵な商品はこちら!」


道化師は台車で運ばれてきた身代わりの人形を見せつける
その異様な造形に参加者は視線を集める


ガーゴイル妹「あれは……?」

道化師「これは身代わりの人形!呪いを無尽蔵に吸収するアイテムです!」

氷魔「……冒険でも使えそうですが……落札を狙いますか……?」

男「>>下1」

男「…もしかしたら、身代わりとしての機能がありそうだよな」

やる気「え?まぁ、そっすね」

男「いや、ほら……依代みたいな?司書コピーいるじゃん」

氷魔「……いますね……」

男「今はどうか分からないけど、少なくとも最初は魂とかなくて、ただの人形だったはずだろ?」

やる気「そのはずっすね」

男「呪いを肩代わりできるほど、人に近い性質があるのなら……魂を入れることもできそうだ」

本日はここまでです
ありがとうございました

ガーゴイル妹「……え、魂って、なんの」

男「うーんそうだな、もし仲間が死んだら入れるか?」

氷魔「……え……正気ですか……」

男「変なこと言ったか?」

氷魔「……あの……奇妙な人形の姿でまで生き永らえたいとは思いませんよ……それに……多分呪いが貯まってますから……相当な苦痛を味わいますよ……」

男「それはそうだろうな。だから仮置きみたいなものだ。どうにかして、もっとしっかりした魂の入れ先を探すか、作るまでの」

やる気「まぁ、俺っちはそれでもいいっすけど、予め同意は取っておいたほうがいいっすよ」

男「そうだな」


そうこうしている間に競売品についての説明が終わり、オークションが始まる


道化師「それでは参りましょう!こちらは10万から!」

「>>下1」
(発言者も指定していいです)

折角なのでこのまま行ってみます


中華「12万!」

男「……え!?」


四人がいる隣の席に座りかかるとともに、
入札を宣言したのは中華だった


中華「来ちゃった」

ガーゴイル妹「な、なんで……!?」

中華「よくよく考えれば、簡単なことだった」

本日はここまでです
ありがとうございました

男「簡単?なにがだ」

中華「僕たちはもうすでに毒の血清を持っていたじゃないか」

やる気「……あ!龍毒の!」

氷魔「……確かに……コカトリスの毒は……龍のものに近いとも聞きますね……」

中華「それで、近接戦闘主体の僕は毒使いとの相性が悪いってことで、退路を確保しつつその報告を、ということで」

それからオークションは続き、値段は18万にまで膨れ上がっていた


ガーゴイル妹「気付けば結構な値段ですね」

男「だが、まだ戦えるな」

氷魔「……無理はいけませんが……大丈夫ですか……?」

男「とりあえず宣言しておこう、20万!」


>>下1……さらに入札する人はいたか

貴婦人「くっ……25万よ!」

男「なっ」

氷魔「……な……なんですかあの人は……」


雰囲気に余裕こそないものの、
服装や化粧から貴族であることがうかがえる女性だ
髪はぼたん色で、それをシニヨンにしている


やる気「2、26万!」

貴婦人「35万!!」

ガーゴイル妹「正気じゃないですよ……!」

本日はここまでです
ありがとうございました

道化師「35万!なんと35万だーっ!さぁ、ここからさらに争う人はいるのか!?」

貴婦人「はぁっ……はぁ……」


その態度からして、
なにか特別な理由があることは容易に想像できる
しかし、無慈悲にも低音が響く


長身「50万」

貴婦人「……っ!」

男「なんか、可哀想になってきたな」


もはや手を出すべきでないその争いを、
先ほどまで自分も競っていたことも忘れて傍観する


貴婦人「60万!」

長身「……65万」

貴婦人「70万!」

長身「80万」

すみません寝落ちしました


結局それからしばらく二人の争いは続き、
長身の男性が150万で落札した


道化師「なんと150万!最高額です!」


道化師は持ち前のテンションで盛り上げようとしているが、貴婦人の必死さに誰もが引いているか、あるいは同情しており、あまり会場の熱気は高まらない
まさに道化であった


中華「空気が重いね……」

氷魔「……ですが……我々にとってはここからが本番です……」


彼女がそう言っている中で、
ついに魔獣の肉が氷漬けのまま運ばれてくる
とても巨大な肉である


道化師「さぁ、お次は魔獣の肉だぁーっ!味わってよし、触媒にしてよし、魔力の足しにしてもよし!まずはベヒーモスの解体肉、5万から!」


>>下1……いくらで入札する?

男「まずは手堅く……10万5千!」


その発言と入札に会場はどよめく


道化師「なんといきなり10万5千だぁーっ!」

やる気「初期値の二倍以上で手堅いってなんすか!?」

男「……しまった、金銭感覚がおかしくなっていたかもしれない」

ガーゴイル妹「あの争いを見た後ですしね」

本日はここまでです
ありがとうございました

男「……誰も入札してこないな」

道化師「……では、10万5千で打ち止めだぁーっ!」


会場はムードとしては、
高額の入札を非常に警戒しているようで、
一気に値段を吊り上げるような客と争いたくはないと考える人が多かった


係員「それでは、こちら引換券です。もうお帰りになるのでしたら、この場で引き換えますが」

男「いや、まだ大丈夫だ。ただ、他の魔獣の肉の競売が終わったら帰るよ」

そうこうしているうちに、
道化師は次の肉を持ってきた


中華「手違いでは?あれ、肉じゃなくない?」


運ばれてきま物体は、どう見ても肉ではなかった
明らかにそれは葡萄の一房だった


道化師「これは植物系魔獣、葡萄龍の希少部位です!本来はそのサイズから、あまり味や栄養がないのですが……ここは違います!」

氷魔「……そういえば……果物のような魔獣がいると聞いたことがありますね……」

やる気「なんでそんなもんがいるんすかね?」

氷魔「……詳しいことは分かりませんが……果物が好きだった神や……魔神の類が生み出し繁栄させた……という説があります……」

やる気「へぇ~」

道化師「なんとこちらの部位は、葡萄龍の逆鱗となっております!逆鱗だけは通常の葡萄と同じサイズの葡萄が一房生っているのです!」

本日はここまでです
ありがとうございました

ガーゴイル妹「確かに希少……」

道化師「それではこちら、10万から!」


道化師は肉の解説を終えると、
いつものように競売へと客を駆り立てた


氷魔「……一つ……魔獣の肉は確保しています……これ以上は……必ずしも必要ではありませんが……」

男「そうだな、うーん……」


>>下1……葡萄龍の逆鱗の落札に挑戦する?

男「せっかくの機会だからやるだけやってみよう」


そんなことを話しているうちに、
次々に入札されていく


「18万!」
「23万!」
「30万!」


中華「魔獣の肉の中でも、さらに希少となればこれだけ値段が付いてもおかしくはないね」

やる気「お高く止まってる奴らにも、いかにも肉!って感じのものよりはフルーツっぽい方がウケがいいっすからね」

ガーゴイル妹「そういう傾向はありそうですね……男さん、でしたっけ?」

男「おう、どうかしたかな?」

ガーゴイル妹「いえ、その……入札しないんですか?」

男「もうちょっと落ち着いてからでいいかな。まだまだ値上がるぞ!」


実際、集まった多くの富豪や貴族たちは値段をじりじりと吊り上げている

本日はここまでです
ありがとうございました

「35万!」
「36万!」
「38万!」


緩やかではあるが、まだ値段は上がり続けている


中華「そろそろ入札する?」

男「そうだな、そろそろ入札するか」

氷魔「……先ほどのように……一気に突き放せば……心理的に有利ですが……」

男「ああ、50万だ!」


彼は声高らかに入札した


>>下1……さらに入札してくる者はいたか

その入札の声によって、
水を打ったように入札者たちは静かになった


やる気「やけに静かになったっすね」

ガーゴイル妹「私の優れた聴覚から集められた情報によれば、みなさん私たちと競り合うべきではないと考えていますね」

男「好都合だが、俺はあまり無茶な値段を提示してはいないはずだ」

ガーゴイル妹「魔獣の肉……というか、食べ物で競り合いたくないみたいですよ?」

道化師「それでは落札となります!葡萄龍の逆鱗、50万だぁーっ!」

男「よしっ」


彼は再び係員から引換券を受けとる


中華「いやぁ、ありがたいね。僕としても、ぜひ希少な食材は調理してみたいからさ」

氷魔「……私も楽しみです……」

道化師「さて、お次はこちら!」


道化師の指示で、舞台袖から食材が運ばれる
氷の中にあるそれは、一見すると蛸のようであった
しかし、脚は明らかに多く、また色が不定だった


やる気「色が……なんなんすか?あれは」

道化師「さぁこちらは、海の魔術師と呼ばれる海洋魔獣、刺客蛸だぁーっ!」

本日はここまでです
ありがとうございました

ガーゴイル妹「ああ、あれ知ってますよ」

男「へぇ、どんな魔獣なんだ?」

ガーゴイル妹「まず、透明化することができます。なので見つけづらいですね」

男「蛸の中には、擬態する種類もいると聞いたことはあるが」

ガーゴイル妹「あの蛸は完全に透明になれますね。そして、あの大量の脚には細かな毒針と、それぞれの脚ごとに異なる属性の魔力が備わっています」

中華「透明で潜み、有効な属性と毒で攻撃を仕掛けてくる、ということか。よく捕まえられたね」

ガーゴイル妹「えぇ、かなり優秀な冒険者でなければ捕まえられないでしょう。一応、昔は専門の漁師もいましたが」

やる気「しかし、毒っすか」

ガーゴイル妹「はい、食べるなら毒抜きだけはしっかりしないといけません」

中華「それは任せて!」


五人が蛸の特性について十分理解した所で、
オークションは始められた
しかし、周囲は男たちと競り合うことを望んでいないので、結果的には落札できる


>>下1……いくらで落札できた?(最低10万以上)

スタートは10万だったが、
ほとんど入札するものはいなかった
11万、12万と値段が動き始めた所に、
男が15万を入札した後にはもう誰も入札しなかった


係員「こちら、引換券となっております」

男「ああ、いただくよ」


男は長い息を吐きながら、
背もたれのある自分の座席に強くよりかかる

本日はここまでです
ありがとうございました

いまいち盛り上がりを見せないオークション会場だが、道化師の有するカンフル剤がここで登場することとなる


道化師「それでは次の競売品です!今回の目玉商品!」


運ばれてきたのは、
燃え盛り曙光のごとき光を放つ物体だ
明らかに今までの肉とは違うものがあった


中華「あれは!」

道化師「なんとこちらが、フェニックスの稚児の肉だぁーっ!」

肉が放つ異様なオーラと、
そのネームバリューに会場は沸き立つ


氷魔「……本命ですが……やはり厳しい闘いになりそうですね……」

道化師「それではフェニックスの稚児の肉!50万から!」

「55万!」
「60万!」
「62万!」

男「>>下1」

男「やっぱり食い付きが良いな。落ち着いた頃に値を上げるか」

やる気「いかにも目玉って感じだし、こうもなるっすね」

男「あぁ……」


男は視線を長身の男性のほうに向ける


ガーゴイル妹「やはり、彼ですか?」

男「うん。俺のような素人が言うのもなんだが、あいつは物の良し悪しが分かっているような気がする……他の品が悪い訳じゃないが、特に優れたものを見ているような」

本日はここまでです
ありがとうございました

そうしてゆっくりと値動きを待っていると、
やはり長身の男が動いた


長身「100万」


そう宣言されれば、流石に他の人々は尻込みし始める
ちまちまと100万から上げようとする者もいるが、
長身の男性はまだまだ入札するつもりでいることが顔色から伺える

中華「どうする?」

男「まだやるつもりだ」

長身「110万」


さらに値段を吊り上げ、他の参加者を牽制する
未だに余裕の表情だ


男「そろそろ入札するぞ」

氷魔「……勝てそうですか……?」

男「分からない……150万だ!」

長身「>>下1」

長身「300万」

ガーゴイル妹「……100万刻みが最小単位の方なのでしょうか?」

男「め……めちゃくちゃだ」


資金的に闘えない訳ではないが、
当然浪費はするべきでない
フェニックスの稚児の肉が、自分たちにとってどれだけの価値があるものなのかということを考えさせられる


中華「流石にまだ張ってくるよね……」

本日はここまでです
ありがとうございました

道化師「な、なんと300万!!本日最高値です!!」

氷魔「……やりましょう……まだやれますよね……?」

男「ああ、だが……」

ガーゴイル妹「300万程度に怯えないで下さい。私の姉なら、その百倍は価値がありますよ」

男「……分かったよ!やってやらぁ!」

長身「…………」

男「500万だ!!500万!」

長身「>>下1」

長身「510万」


突如彼は刻んできた
果たして追い詰められているのか、
先程のように細かく競り合うつもりなのかは分からないが、絶望感はマシになった


男「520万だ」

長身「530万」

男「550万!」

中華「お、なんかいい感じだね?」

本日はここまでです
ありがとうございました

道化師「激しいデッドヒート!」

氷魔「……これで……大した肉じゃなかったら……恨みますよ……フェニックスを……」

ガーゴイル妹「あ、そっちなんですね」


周囲もにわかに盛り上がる中、
さらに値段は上がっていく


長身「560万!」

男「570万!」

長身「580万!」

男「600……いや、700万だ!!」


>>下1……さらなる入札はあったか

ガーゴイル姉「750万!!」


突然の乱入者に騒然とする


男「ぇぁ?」

ガーゴイル妹「いや、私じゃないです」

男「……じゃあ、あいつお前の姉じゃないのか?」

ガーゴイル妹「え?……あっ!!」


そこにいたのは、間違いなく探し人だった

中華「どうなってるんだ?」

男「この中で一番事情分かってそうなの中華なんだけど」

中華「いや、分からない」


困惑していると、次いで潜入していたはずのメンバーも入ってきた


ぶりっ子「なにやってるんですかぁ!?」

ガーゴイル姉「オークションだが?」

怪盗「ダメですよ、彼女に常識は通用しません」

本日はここまでです
ありがとうございました

道化師「さぁ、750万!……?」


司会の道化師も、事前に知らされていた競売品がなぜかオークションに参加していることに気付いた


ガーゴイル姉「………………」

道化師「………………」

ガーゴイル姉「………………」

道化師「……誰か、競売品を捕まえてくれ!」


オークションの進行と、競売品の確保を天秤にかけ、選ばれたのは確保だった

数人の道化師がどこからか飛び出し、
ガーゴイル姉に襲いかかる


司書コピー「ど、どうしましょう」

ぶりっ子「ほらガーゴイル!逃げますよぉ!?」

ガーゴイル姉「ちぇっ」


三人は無理やりガーゴイル姉を引きずって逃走していった

男「……流石にオークションしてる場合じゃなさそうだな?」

中華「そうだね、追いかけようか」

男「じゃ、そこの長身の方!フェニックスの稚児はあなたに譲……あれ?」

やる気「いないっすね?」


先ほどまで競り合っていた彼も忽然と姿を消していた


氷魔「……ガーゴイル姉さんの入札はは当然無効……長身の人にも競り勝った状態なので……受け取れるのではないでしょうか……肉……」

ガーゴイル妹「どうします?」

男「じゃあ、俺と中華で肉は受け取っておく。当事者である君と、主戦力の氷魔とやる気は姉を追いかけてくれ」

ガーゴイル妹「分かりました」

やる気「よし、行くっすよ!」

氷魔「……任せて下さい……」


やる気はガーゴイル妹を背負い、
氷魔はそれに並んでまさしく神速で会場を出ていった

本日はここまでです
ありがとうございました

三人が会場を出たときには、
もう近くに誰もいなかったが、
騒がしい方角に仲間や道化師がいることは分かった


やる気「多分あっちっすね」

氷魔「……無事だとよいのですが……」

ガーゴイル妹「どうして姉さんはいつもああなの……」


三人はひた走り、仲間と道化師たちを視界に捉えることができた


>>下1……仲間と道化師たちの状況
1.仲間とガーゴイル姉が追われている
2.仲間たちが捕まっている
3.自由安価

ガーゴイル姉「離せっ、この無法者どもめ!」

ぶりっ子「もう無理そうですねぇ」

怪盗「ふふ……この私に縄をかけようなんて百年早いですよ」


三人は道化師たちに取り囲まれ、拘束されている


やる気「うわ、もう捕まってるっすね」

氷魔「……問題ありません……全員倒します……」

狙撃少女「いや、逃げたほうがいいですよ、私たちは動けませんし……数が多すぎます」

やる気「ここで諦めたらなにも残らない……」


そう言って魔王の力を解放したやる気と、魔力を迸らせる氷魔は道化師六人に向き合う
流石に多勢に無勢、厳しい戦闘が予想されたが______


???「アッシュメイカー!」

どこからか聞こえた宣言とともに、
一人の道化師に火炎を纏った銃弾が命中する
炎は一瞬にして周囲の酸素を奪い尽くすほどの火力になり、その名の通り道化師を灰にしてしまった


長身「間に合ったようだな」


なんと現れたのは、オークション会場にいた長身の男性だった


氷魔「……もしやとは思いましたが……なぜここに……」

長身「クライアントの命令だ。じゃなけりゃ、こんな胡散臭い奇術師どもに関わる趣味はねぇ」

道化師たちはまだ戦うつもりのようだったが、
通りの路地からわらわらと冒険者崩れのような人々が現れて客に道化師たちを包囲してしまった
冒険者崩れよりは道化師たちの方が身体能力は高いため、彼らはそれを生かして逃げ去った


ぶりっ子「助かったんですかねぇ?」

長身「そうだ。貸しにしてやりたいぐらいだ」

やる気「先程からやたら縁があるようだが、何者だ?見ての通り我々はただの冒険者だが」

長身「それなら俺もただの冒険者だ。海岸地方の神官サマが、護衛を募集してるって話でな。護衛は下っ端どもに任せて、俺はオークションと洒落込むつもりだったが……」

本日はここまでです
ありがとうございました

男「どうしたどうした」


今度は男が一人で駆けつけた


狙撃少女「あれ、中華さんは?」

男「今食材を運んで貰ってる。みんなが無事そうなら合流させたくてな」

長身「助けておいてやった。感謝しな」

男「ああ、助かった……見たところ、どこかのギルドのお偉いさんか?」

長身「俺は>>下1」

長身「この一帯に投資している人間だ」

男「投資?」

長身「……ここは、世界でも有数の栄えた都市だ。市場は大きくないが、金だけならある」

男「ああ、まさかあんたがプールしたのか?」

長身「無理に決まっているだろう。……ここは、二十年前はただの野原だったんだ」

ぶりっ子「へぇ~」

長身「そして、今のカジノのオーナーが……数人の投資家にカジノ都市を作る話を持ちかけた」

男「その中にあなたも?」

長身「いや、俺の父だ。……業務は引き継いだがな。そうして、数人の金持ちがこの街を作った」

男「支配していてもおかしくなさそうなものだが」

長身「そういったことをしているのは、カジノのオーナーだけだ。俺たち投資家は、いつだって金になる新しいことを探している」

男「それでギルドをやっているのか」

長身「そうだ」

本日はここまでです
ありがとうございました

やる気「しかし、これだけの人を揃えるとなると相当金がかかりそうっすけどね」

長身「その点は問題ない。先代のギルド長からその座を買い取ったので、安く済んだ」

男「それでと従ってくれるものなんだな。相当カリスマ性があるらしい」

長身「いや、取り決めだ。この刻印のバッジを持つ者が、絶対のリーダーであるとこのギルドでは定められているからな」


そう言って彼はバッジを見せる
しかし、その紋様に一行は見覚えがあった

氷魔「……ドラゴンクロウ……!」

長身「なんだ、知っているのか」

男「因縁がある。かつてギルドハウスを襲われたこともあったし、先代のギルド長にも会ったことがあるぞ」

長身「ほう、因縁か。決闘でもするか?」


彼がそう言うと、割って入る者がいた
その護衛対象、海岸地方の神官である


神官「こら。私の前で争うことは許しませんよ」


>>下1……神官の見た目

そこにいたのは、どう見ても幼女だった


怪盗「あ、あなたは!」

男「……子供?ここは危ない。帰ったほうがいいよ」

神官「誰が子供ですか!私はこれでもアラサーですよ!」

男「嘘だろ?」

長身「残念ながら真実だ」

狙撃少女「私たちは、そこの神官さんに助けてもらってガーゴイル姉さんを奪還したんですよ」

ガーゴイル姉「あぁ、お前か。助かったぞ」

ガーゴイル妹「あの、恩人なんですから……もっと丁寧に言えないんですか?」

ガーゴイル姉「最悪、ステージで大暴れしてやったさ。私に怖いものはない」


話が脱線しようとしていると、
神官は小さな手を叩いて音頭を取る


神官「とにかく!この件はここで終わりです!みなさん、宿に帰るように!」

長身「……調子狂うぜ」

本日はここまでです
ありがとうございました

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