【ウマ娘】トレーナー「なんかループしてね?」【安価】 (1000)

【簡単なあらすじ】

憧れのトレセン学園のトレーナーになれたと思った主人公。
しかし、うまく担当ウマ娘を育てることができず、担当を外されてしまう。
目の前が真っ暗になり――次の瞬間には、トレセン学園の校門前。

疑問と困惑。日付を確認すると、メイクデビュー約五か月前。
あれ、これループしてね?

とりあえずトレーナーは現状を打破するために、ウマ娘の育成を決めたのだった。

――――――
【注意】
・ウマ娘公式が定めたガイドラインに違反しない程度に書きます。

>モチーフとなる競走馬のファンの皆さまや、馬主さまおよび関係者の方々が不快に思われる表現
>ならびに競走馬またはキャラクターのイメージを著しく損なう表現は行わないよう
>ご配慮くださいますようお願いいたします。
(ウマ娘公式サイトより引用)

・新人トレーナーなので、キャラ性を網羅していません。ご容赦を。

・SS初心者です。不作法などあったらすみません。何かありましたらご指摘いただけると幸いです。

・安価は1~3くらい先に飛ばす予定です。

・仮に安価が一日待っても来なかった場合、ある程度勝手に進行します。

・その他補記すべきことがあれば、都度補記します。



SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1623082140

トレーナー「目標不達成かなんかでウマ娘の担当外されたら目の前真っ暗になって、気付いたらトレセン学園の真ん前に居るんだけど……」

トレーナー「ま、いっか。多分育成しきれたら未来変わるかもしれないし」

トレーナー「じゃあ……まずは >>3 を育成するか!」

スペ


トレーナー「やっぱり素朴で言う事を聞いてくれそうな子がいいよな。幸先よく行きたいし」

トレーナー「……と、なると。スペシャルウィークあたりが妥当か」

トレーナー「日本総大将って響きがなんかかっこいいし、強そうだよな!」

トレーナー「さて、じゃあ早速――」

―――

 トレーナーはトレセン学園の門を叩き、扉を開く。
 眩いばかりの光がトレーナーの網膜を焼き、その視界を強制的にシャットアウトする。
……やがて目が開いた時飛び込んできたのは――あまりに広大な敷地に巨大な校舎、そして馬場。
 高らかに上がる、ウマ娘の気炎万丈たる喊声。それらに掛けられる野太い指示はトレーナーのものか。
 そんな雰囲気に圧倒される中、ふとトレーナーは馬場の影から彼らを覗き込んでいる姿を見る。

 ブルネットの髪に一筋、白い前髪。まん丸な紫の瞳。
 いかにも純朴そうな少女。彼女こそ、トレーナーが探し求めていたウマ娘――スペシャルウィーク。
 声をかけようとトレーナーが近づくも、気付く様子はない。
 小さく開けた口から、声とも音ともつかない吐息を――感嘆の息を吐いている。
 よほど中の様子に見入っているらしく、スカートが土で汚れていることにも気づいていなさそうだ。

―――

トレーナー(さて、どう声をかけようか――そうだ)

トレーナー「>>5

こんにちは。僕もご一緒していいかな?

時間帯もアレやし人おらんな

トレーナー(ここは気さくに、警戒心を持たれないように……)

トレーナー「こんにちは。僕もご一緒していいかな?」

―――

 限りなく柔和に、だが軽く感じられないように。
 スペシャルウィークの後ろから話しかける。
 反応は劇的。彼女は跳ねるように驚き、飛ぶように後ずさった。
 警戒するようにしっぽが逆立つ。一瞬トレーナーを見たかと思うと、訝しげに彼女は問うた。

―――

スペ「だ、だ、誰ですか貴方?!」

トレーナー「おおっと、怪しいものじゃない。ほら、これ」

スペ「確かに、これはトレセン学園の……。じゃあ、トレーナーさん……なんですね?」

トレーナー「その通り!」

―――

 そう呟いた時、一陣の風がトレーナーの頬を掠めた。
 否、それはただの風ではない。
 地を疾駆し、天をも駆けんとする少女たちが起こす、自身の存在証明。
 馬場から数メートルは離れているのに、しかしトレーナーの頬をも掠める彪風こそ、スペシャルウィークが見つめていたもの。
 やがて彼女が至るべき、戴きの風。高らかに響く勝利の喊声は、トレーナーの、スペシャルウィークの耳朶を揺らす。

―――

トレーナー(見惚れるほどの、速度だ)

トレーナー(そこに何故という説明なんていらない。その速さがあるだけで、僕達はきっと魅了されてしまう。そんな速さ)

トレーナー(…………導きたい)

トレーナー(彼女を頂きへ、この高揚の果てに……!)

トレーナー(スペシャルウィーク、彼女にはその素質がーー"強さ"がある)

トレーナー(さぁ、なんと声を掛けようか)

トレーナー「>>7



日本一を目指さないか?


トレーナー「日本一を目指さないか」

ーーー

ーーそれは、雷鳴の落ちるような衝撃だったに違いない。
 それほどに、唐突に放たれた言葉は重かった。……視線を思わず釘付けにするほどに。
 喊声鳴り響く馬場で、しかしその声はあまりに大きくスペシャルウィークの耳に届く。
 日本一……と蕾がほころぶように、唇から息と音が漏れだした。
 その言葉は彼女の誓いであり、原風景の1つ。お母ちゃんと約束した、違えることは出来ない、したくない約束。
 目の前の人物が信用に足るかは、スペシャルウィークには分からない。ただ、瞳に宿る熱量は、自分のそれと同等に思える。
 彼女が日本一という言葉に抱く憧憬と熱量ーー。それこそが今、彼女の気持ちを、まだ何も分からないながらもひとつの結論に帰結させた。

ーーー

Chapter1.スペシャルウィークとの出会い

ーーー

トレーナー「あれから一週間が経った」

トレーナー「正式にスペシャルウィークは僕の担当ウマ娘となり、今はメイクデビューに向けての調整中だ」

トレーナー「さて、今日はどんな練習をしようか」

練習内容>>9

スピード




トレーナー「速度こそ命、命こそ速度。やっぱりウマ娘と来たら速さだよな」

トレーナー「という訳だスペシャルウィーク、今から走り込みするぞ!」

スペ「はい!」

ーーー

▼スペシャルウィークのスピードがFに上がった!

ーーー

トレーナー「……ラスト1ハロン!」

スペ「はいっ……!」

トレーナー(速い……が、やはりまだまだ発展途上、だな。誰かに併走してもらえれば、実力も上がるのかもしれないが……)

トレーナー(そういえば、近くには色んな興行施設があるらしいし、そこに行けば誰かと会えるのかもしれない。頼み込めば併走も叶うかもしれない)

トレーナー(どこに行こう……)

どこに行く? >>10
誰と出会う? >>11

ーーー
※ゲームのように数値を上昇させた上で段階ごとに評価する手も考えましたが、管理が難しいので、練習するとその能力値の評価が上がる感じにします。
※展開が間延びしている気がするんですが、如何でしょうか。もう少し早い方が良いでしょうか?よろしければご意見を頂戴したく。

コンマも適宜使うといいかもね
プール

こんにちは。先程の安価ミスってたので、今回は先着順で対応します……!送っていただき感謝……ッ!

能力値上昇分については皆様の意見を踏まえ
・練習すると特定の能力値が安価先コンマ分上昇する
・レースやイベントでは能力値を1段階上昇させる(場合による)
と致します。ご意見ありがとうございます。

展開についてご意見ありがとうございます。完結までのプロットは出来ており、そこそこ長くはなるかもですが、完結させていきたいと考えています。
冗長に感じられるかもしれませんが、当面はこれくらいの展開スピードでやっていこうと思います。

改めて、読んでいただいてありがとうございます。次回更新は多分夕方です。よろしくお願い致します。

育成2人目3人目の予定はあり?

>>16

あります。割と短いスパンで回す感じになるのかな……と思います。筆が乗って伸びることはあるかもですが。

トレーナー(今のスペシャルウィークに不足しているものが何か、と問われれば、それはきっとありとあらゆるもの、と答えることができるはずだ)

トレーナー(だけど、一度にすべての問題を改善することはできない。そう、地道に――地道に行くべきだ)

トレーナー(中距離、長距離を制するには何を置いてもスタミナが必要だ。そう考えると、高負荷状態で鍛錬しているウマ娘がいれば、スペシャルウィークにとってもいい刺激になるはず)

トレーナー(と、なると向かうべきは……)

トレーナー「スペシャルウィーク、今から時間空いてるか?」

スペ「はい、まだ夕ご飯までは時間がありますから!」

トレーナー「少し考えがある。プールに来てくれないか?」

スペ「……プール? えっと、何をするつもりですか?」

トレーナー(……訝しまれている。さすがに出会いが出会いだからしょうがないが――ここは本心を話すことにしよう)

トレーナー「……スペシャルウィーク、今の君に足りないものは何だと思う?」

スペ「……いきなりどうしたんですか?」

―――

 そう言いながらも、スペシャルウィークは目を細めて黙り込む。
 その様子は悩んでいるようにも見えるし、どこかを見つめている――あるいは、思い出しているようにも見えた。

 風が吹いて、ブルネットの髪が揺れる。僅かに汗と、制汗シートのシトラスが、二人を何時かの光景に連れていく。
 二人が出会った日。日本一を目指さないかと声をかけ、掛けられた日。
 あの日のことを思い出して――そして、スペシャルウィークは確信めいて、ぽつりとつぶやいた。

―――

スペ「全部、です」

スペ「あの日見てたウマ娘さんは、今の私なんかよりとても速かったです。風を切って……いや、まるで風みたいに! びゅん、って走ってました。でも、それだけじゃありません。力強さも、スタミナも、知識も――全部全部、凄いんです」

トレーナー「……そうだ。今の君に足りないものは、力強さであり、スタミナであり、知識であり、根性であり、賢さであり、スピードでもあり――つまりすべてだ」

スペ「そう、ですね」

トレーナー「でも、逆にこうも言える」

トレーナー「――君には、全てを育むことができる、権利がある」

トレーナー「あふれんばかりの未来がある」

トレーナー「……プールに行く理由は、スペシャルウィーク、君の将来のヴィジョンを定めるためだ」

スペ「将来の、ヴィジョン……」

トレーナー「君の脚はどんな足なのか、僕たちがデータで得ている資質以上に、スペシャルウィークが知っている自分についての情報以上に、きっと可能性があるはずだ」

トレーナー「だから、まずは先輩のことをよく観察するんだ。あわよくばその技を盗んで、自分のものにする」

トレーナー「……語りすぎたけど、まぁここ辺りがプールに行く理由かな」

―――

 トレーラーがそういうなり、スペシャルウィークは大きくうなずいて、自分の部屋へと戻っていく。
 数分後、準備を整えたスペシャルウィークとトレーナーは、学内に敷設されているプールに向かうのだった――が。

―――

チケゾー「う゛わ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ん゛!!! タイシンのバカぁーーーッ!」

トレーナー(……なんとも情けない声に、出迎えられてしまった)

ウイニングチケットから何を学ぶ? >>19
スピード/スタミナ/パワー/根性/賢さ/スキル

※安価先のコンマの数値によって獲得できる報酬が増減する。(10刻み。高いほうがより良い報酬を得ることができる) 

根性

トレーナー「……なるほど、ナリタタイシンと特訓の約束をしていたらすっぽかされた、と」

チケゾー「そうなんだよぉーっ! アタシ……アタシ約束じでだのにーーーッ!!!」

スペ「あはは……」

トレーナー(苦笑を浮かべたくなる気持ちは良く解る……けど、世に聞こえるナリタタイシンであっても約束をすっぽかすことはないんじゃないか……?)

トレーナー「ウイニングチケット、君がナリタタイシンと約束をしたのはいつの話だ?」

チケゾー「え……? 今日の朝だけど、トレーナーさんがどうしてそんなこと気にするの?」

トレーナー「なんとなく、ウイニングチケットの悩みに協力してあげようかな、と思って……」

スペ「わ、私も協力しますよ、チケゾーさん!」

チケゾー「本当……? う゛ぁ゛ぁ゛ぁあ゛り゛か゛と゛う゛ーーーーッ!」

トレーナー(さて、とはいえなんとなく背景は察した……)

トレーナー(ナリタタイシンといえば小柄かつ小食で有名だ。体調を万全に整えるにもかなりの気遣いが必要な、繊細なウマ娘……)

トレーナー(ナリタタイシンの出走予定を考えれば、この時期に彼女の調整を行っていることは、まず考えられない。とすれば――彼女の体調は悪いとは言わないまでも万全ではない)

トレーナー(つまり――)

トレーナー「とりあえず、一度校舎に戻ってみよう」

スペ「え? 校舎にですか?」

トレーナー「ああ、なんとなくだけど、校舎に行けば解決しそうな気がするんだ」


―――

 直感に従って動いているのだろうか。スペシャルウィークはふと思う。
 確かにトレーナーは、今まで直情的に動くこともあった。
 出会いなど特にそうだった、と走りながらスペシャルウィークは心中で頷いた。

 それにしても、ちょっときついかも。――そう思った瞬間、スペシャルウィークは自らの不出来に気付いた。

 先頭を走るウイニングチケット……彼女のペースに飲み込まれ、ペース配分を考えればあり得ない速度で走っていたのだ。
 いかに学園内の移動といえど、トレセン学園は通常では考えられないスケールで作成されている。
 当然だが、走って移動する場合はペースを考えなければすぐにばててしまう。
 次第に息が荒くなっていく。
 酸素が不足して白む視界。覚束なくなりそうな足取り。歯を食いしばって、意識を保とうとする。体が重い。脚が軋む。自分の体が、だんだんと自分の制御下を離れていく感覚。

――スペシャルウィークとウイニングチケットが校舎にたどり着くころには、スペシャルウィークのスタミナは尽きてしまっていた。

―――

トレーナー(学内移動に乗り物を使わなきゃいけない学校イズ何……)

トレーナー(……と、あれ? スペシャルウィーク、なんか疲労してる……?)

トレーナー「おーい、大丈夫か?」

スペ「と、とれーなぁ……さん……。すみません……」

トレーナー(ウイニングチケットが近くに居ない。保健室の方が騒がしいところを見ると、氷嚢か何かを取りに行ったんだな)

トレーナー(……なるほど、まんまとペースに乗せられたわけだ)

トレーナー「なんとなく理解したか? これが先輩の力だ」

スペ「……ふぅ。はい、あの爆発的な速度、それを保ち続けるスタミナ。さすがです……!」

トレーナー「……頑張らなきゃな」

スペ「……。はい!」

―――

 その後ウイニングチケットが氷嚢を持ってきたところで、この事態は収束する。
 校舎の柱からこっそりと、ナリタタイシンがこちらを見ていたのだ。
 それをウイニングチケットが驚異的な観察眼で発見。
 紆余曲折合って引っ張り出されたナリタタイシンに聞けば、そのような約束はしてない、と答えた。
 
 やっぱりな、とトレーナーは一人ごちる。
 そもそも意識もはっきりとしていない朝に、何を言われたか覚えている人間の方が少ない。ウマ娘にも違いはないだろう。
 特に小食なナリタタイシンならば、エンジンがかかるのも遅くなるのも道理。色々と不幸な事故が重なって、ウイニングチケットが一人取り残される羽目になったのだ。

―――

トレーナー「意思伝達の重要性が理解できたな」

スペ「……はい」

トレーナー「……スペシャルウィーク、どうした?」

スペ「……なんだか、すごいなぁって」

トレーナー「……」

スペ「チケゾーさんたち先輩もそうだけど、トレーナーさんも。その、しっかりいろんなことを考えているんだな、って」

トレーナー「……遠回しにバカにしてないか?」

スペ「ば、バカにしてないですよ! でも、その……ここ一週間というか……出会いが衝撃的だったから……」

トレーナー「……。まぁ、そうかもしれないが。仮にもスペシャルウィークのトレーナーだからな。君のことであれば、常に考えている」

スペ「……! そう、ですか」

スペ「あの、トレーナーさん」

トレーナー「なんだ?」

スペ「私、もっと強くなりたいです。強くなって……日本一のウマ娘になって、お母ちゃんに勝ったよ! って言いたいです……!」

トレーナー「そうか」

―――

「だから、その……」

 スペシャルウィークは、ふと振り返る。
 夕暮れの空が長い影を作り、まるでトレーナーの影を踏むように、彼女はステップした。
 そして、どこまでも真剣な表情で――一方でワクワクしているようにも見える表情で――、笑う。

「よろしくお願いしますね、トレーナーさんっ!」

 それは、花の弾けるような、笑みだった。

―――

▼スペシャルウィークの根性が80上昇した!

▼根性が180になった

▼[食い下がり]を習得した!


■[スペシャルドリーマー]スペシャルウィーク
スピード:100(F)
スタミナ:88(F)
パワー:98(G)
根性:180(F)
賢さ:91

[固有スキル]
シューティングスター lv 1
[スキル]
食い下がり

―――

トレーナー「……さて、そろそろメイクデビューの時期だな」

トレーナー「今日は何をしようか」

今日は何をする? >>23
トレーニング/お出かけ/休憩/その他(良識の範囲内で自由に)

G1レースを見に行く


トレーナー(そうだ、G1に行こう)

トレーナー「そうだ、G1に行こう」

スペ「トレーナーさん?!」

トレーナー「G1だよG1、スペシャルウィークもわかるだろ?」

スペ「それはまぁわかります……けど、唐突ですね?!」

トレーナー「あのな、こういう時に使える日本語があるんだ」

スペ「……それは?」

トレーナー「百聞は一見に如かず! さぁ行くぞ!」

―――

 四月後半、一帖の盾を巡って有力なウマ娘が集うレース。
 名をば天皇賞。3000mにも及ぶ長大なコースを、足自慢のウマ娘が駆け抜ける、日本最高峰と呼び声高いレースだ。
 当然ながらウマ娘のレベルも非常に高い。何せ競馬に触れたことがない一般人ですら名前を知っている名馬がそろい踏みで出てくるレースである。低い訳がない。
 だからこそトレーナーはスペシャルウィークを連れてきた。
 百聞は一見に如かず。だが、一見でもビデオ越しと生では大きく異なる。
 その一つが、今二人の頭上から降り注いだ、割れんばかりの声援。
 まるで轟雷。さながら大地の奏でる旋律。ともすれば応援している人間が燃え上がってしまうほどの、壊滅的な熱量。

 人を熱くさせる戦い――否、人を狂わせる戦いのそれを、スペシャルウィークはただただ呆然と見つめていた。
 そして、今自分が立っている場所に気付いて、思わず深い安堵の息を吐いた。
 天皇賞という文字は、ウマ娘にとって非常に重い。だが、その文字以上に――埋め尽くさんばかりの人、そして人々が寄せる期待。

――まさに、重圧(プレッシャー)。

 スペシャルウィークはその渦中に自らがいないことを、今は幸運にしか思えなかった。
 いずれ立つ舞台なのだろう。いずれは走らなければならない馬場なのだろう。そう考えると、スペシャルウィークの体はいやに寒くなり、震える。

―――

トレーナー(雰囲気に気圧されてるな。やはりG1は違う)

トレーナー(最高峰のレースだ。そのどれもが出場するウマ娘にとって名誉であり、誇りであり――同時に重圧だ)

トレーナー(ビデオで見るだけでは伝わらない。それが馬場の持つ雰囲気やこの熱量。だからこそ一度味わってほしかった)

トレーナー「スペシャルウィーク」

スペ「……」

トレーナー「スペシャルウィーク?」

スペ「……あの、トレーナーさん」

トレーナー「……なんだ?」

スペ「……此処に、将来立つかもしれないんですよね」

トレーナー「……。ああ」

スペ「…………そっかぁ」

スペ「……今、私――凄く震えてる」

スペ「これが恐怖……? いや、違う……。これはきっと、多分……」

―――

 声をさえぎるように、ファンファーレが鳴り響く。
 最後に呟いた言葉が何か、トレーナーにはわからない。
 だが、その目に宿る熱量が、その発言が決してネガティブなものではないことを物語っている。
 トレーナーは小さく安堵の息をつき、スペシャルウィークを席へといざなう。
 パドックでは既に各ウマ娘が思い思いの行動に移っている。

―――

スペ(……あの人、あの人の走りが見たい――)

―――

 スペシャルウィークは、星に導かれた光のように、>>26 から目が離せなかった。

スズカ

お疲れ様です。
ウマ娘初めて一週間経って、ようやく当初気になっていたメジロマックイーンが入手できたので、そちらの育成にかまけています。
更新がちょっと遅めになるかもしれません。(自分語りです、すみません……)

実はと言うかスペシャルウィーク、ストーリーとサポート、あと育成でちょこっと顔を見たくらいで何もわからないまま書いてたりします……設定の齟齬とか細かい差異とかあったら申し訳ないです、今頑張って解像度を高めてる最中なので……!

お待たせしました……!
無事にエルコンドルパサーの育成が終わったので今から更新します……!

――異次元の逃亡者。

 世界を切り開くが如きスピード。
 第四コーナーを回り、最後の直線でなおも加速する、異次元の末脚。
 先頭の景色を誰にも譲らず駆け抜けていく彼女を、人々はそう呼んだ。
 遠距離に適性がないのか、それとも今まで隠されていたのか。彼女――サイレンススズカが長距離のレースに出てくることは、今まで一回もなかった。
 それがここにきての出走。観客も沸かずにはいられない。

―――

スペ「スズカ先輩……」

トレーナー(あれはサイレンススズカじゃないか……。こんな長距離を走らせて大丈夫なのか? なんにせよ見ものだな)

トレーナー「……気になるか、”異次元の逃亡者”が」

スペ「……はい。それに、マイルや中距離に強いスズカ先輩が長距離でどこまで通用するのかも気になりますね」

トレーナー「僕も、周りのみんなも同じ気持ちだ。それだけの実績が、あのウマ娘にはある。”一芸に秀でる者は万芸に通ずる”とも言うしな」

スペ「頑張ってください、スズカ先輩――っ!」

トレーナー(……とは言ったものの、やはり彼女の適正はマイルや中距離。長距離では彼女自慢のスピードも、異次元のノビもどこまで通用するかわからない。もしかすると通用しないかもしれない)

トレーナー(だが、これから様々な壁にぶち当たるスペシャルウィークにとって、挑戦するウマ娘の存在は大きな光になるはずだ。それが彼女が憧れてるっぽいサイレンススズカならなおさら)

トレーナー(……意気軒昂の為にも、ぜひ勝ってほしいものだけど)

―――

 ナレーションが高らかに響き、パドックに居たウマ娘が続々とゲートインする。
 いずれも名だたる名馬だ。ゲートインするだけでも大きな歓声が上がり、拍手が響く。
 レースに向けて神経を集中させるウマ娘。彼女らの調子に乗せられるように、観客もまた、水を打ったように静まり返る。
 数秒。息遣いしか聞こえてこない静寂。――そして、爆発。
 ゲートが開かれ、せき止められた水のように一斉にウマ娘が駆け出していく。

―――

トレーナー(さて、出だしは上々。どうなるかな)

―――


下1 レース序盤のサイレンススズカの調子(コンマ)

01~10:出遅れ(ゴールのコンマ判定に-50の補正)
11~20:掛り(ゴール時のコンマ判定に-25の補正)
21~30:順調な出だし(ゴールのコンマ判定の補正なし)
31~40:コーナー巧者発動(ゴールのコンマ判定に+25の補正)
41~50:シックスセンス発動(ゴールのコンマ判定に+50の補正)
51~60:逃げけん制発動(中盤のコンマ判定を一段階上のものに上げる)
61~70:直線加速発動(ゴールのコンマ判定に+75の補正)
71~80:円弧のマエストロ発動(中盤のコンマ判定を二段階上のものに上げる)
81~90:先頭プライド発動(ゴールのコンマ判定に+100の補正)
91~00:先頭プライド、シックスセンス発動(ゴールのコンマ判定に+150の補正)
ゾロ目:補正効果1.5倍。マイナス補正の効果は消える。
―――

下2 レース中盤のサイレンススズカの調子(コンマ)
01~10:ブロック(ゴールのコンマ判定に-50の補正)
11~20:掛り(ゴールのコンマ判定に-25の補正)
21~30:好走(ゴールのコンマ判定の補正なし)
31~40:逃げ焦り発動(ゴールのコンマ判定に+25の補正)
41~50:尻尾上がり発動(ゴールのコンマ判定に+50の補正)
51~60:前途洋々発動(中盤のコンマ判定を一段階上のものに上げる)
61~70:曲線のソムリエ発動(ゴールのコンマ判定に+75の補正)
71~80:鋼の意思発動(中盤のコンマ判定を二段階上のものに上げる)
81~90:ハヤテ一文字発動(ゴールのコンマ判定に+100の補正)
91~00:ハヤテ一文字、尻尾上がり発動(ゴールのコンマ判定に+150の補正)
ゾロ目:補正効果1.5倍。マイナス補正の効果は消える。

―――

下3 レース終盤のサイレンススズカの調子(コンマ)

01~33:好走(ゴールのコンマ判定の補正なし)
34~66:末脚(ゴールのコンマ判定に+100の補正)
67~99:先頭の景色は譲らない…!Lv1発動(ゴール時のコンマ判定に+150の補正)
00  :先頭の景色は譲らない…!Lv3発動(ゴール時のコンマ判定に+300の補正)
ゾロ目:補正効果1.5倍。

―――

下4 ゴールイン 着順確定
[ 下4 のコンマ+序盤補正+中盤補正+終盤補正]=達成値
達成値+逃げ適正A(+50)+バ場補正/芝A(+50)-長距離適正E補正(-150)=最終達成値

最終達成値が300を越した場合  1着
最終達成値が275を越した場合  2~3着
最終達成値が250を越した場合  4~5着(掲示板)
最終達成値が250を下回った場合 着外

―――

連続で4つ安価を出しますが、何卒宜しくお願い致します……!

■結果
・序盤(98)
先頭プライド、シックスセンス発動(+150)

・中盤(25)
好走(±0)

・終盤(81)
先頭の景色は譲らない…!発動(+150)

・着順確定(97)
97+150+0+150=397
397+50+50-150=347

結果……サイレンススズカ1着!

ーーー

※安価連取の想定をしていませんでした。20分くらいの間を置いていただければ連取りしていただいても構いません。
※このサイトに来て日が浅いのでよく分からないのですが、やはり~23:00くらいまでがピークなのでしょうか?
※本文は本日の夕方になるかも。



「先頭はサイレンススズカ! 譲らないっ! 追いすがるマンハッタンカフェ! 逃げるサイレンススズカ! 第4コーナー回って最後の直線、サイレンススズカが逃げ切ってーー今1着でゴールッ!!!」

 腹の底を突き破るような歓声が響いた。
 サイレンススズカに長距離は難しいーーそう考えていた人々の思惑をも、異次元の逃亡者は追い抜いて行った。
 結果は2位と3バ身差をつけた1着。改めてその力を見せつけたサイレンススズカは、大勢のスズカコールを受けながら手を振っていた。

ーーー

スペ「スズカさん、勝っちゃいましたよ……?」

トレーナー「…………勝ったな」

スペ「スズカさん買っちゃっいましたよ?!」

トレーナー「なんで勝てたんだろうな?! 本当に快挙だと思うぞ!!」

スペ「流石スズカさんです……!」

トレーナー(この会場のどこを見ても、同じような反応が帰ってくるだろう。流石にこれは誰も予想していなかったーー)

トレーナー(異次元の逃亡者は、長距離にも健在かーー。その事実が、どれだけのウマ娘を絶望に追いやり、あるいは希望を持たせるのだろうか)

トレーナー(……まぁ、今はスペシャルウィークがやる気を出しているようだからそれでいいか)

スペ「トレーナーさん! こうしちゃいられません! 帰ってトレーニングしませんか?!」

トレーナー「ああ、そうだなーー」

スペ「よーし、私もけっぱるべーッ!」

下1 リザルト
※コンマが高ければ高いほど良いスキルを習得する。
※サイレンススズカ1着のため、判定に+50の補正。

ゾロ目の時は基本的にイベントを入れます。
リザルトの詳細については夕方までお待ちを……!

【リザルト】

▼ハヤテ一文字 習得!

▼やる気が上がった。(現在のやる気:好調)

▼因子[スピード★☆☆]を獲得した


■[スペシャルドリーマー]スペシャルウィーク
スピード:100(F)
スタミナ:88(F)
パワー:98(G)
根性:180(F)
賢さ:91(G)
やる気:好調

[固有スキル]
シューティングスター lv 1(レース終盤に選択肢追加:ゴールの判定に+150の補正)
[スキル]
食い下がり(中距離レース時、マイナス補正を低減する)
ハヤテ一文字(最終判定に無条件で+100の補正)

※コンマぞろ目なのでイベントが発生します。

―――
下1 どんなイベントが起きる?

スペ「……! と、トレーナーさんっ!」

トレーナー「ぉう?! いきなりどうしたんだ、服引っ張って」

スペ「ウイニングライブ!」

トレーナー「ああ、サイレンススズカのウイニングライブか。それがどうかしたのか?」

スペ「取れたんですよ……」

トレーナー「おお、席が取れたんだな。そりゃよかった――」

スペ「それも特等席です!」

トレーナー「うんうん、よかった……って、えぇ?!」

トレーナー(サイレンススズカが伝説的偉業を果たしたレースのウイニングライブ、それだけで価値のある経験なのに――寄りにもよって特等席って……)

トレーナー「運が良かったな!」

スペ「――はいっ!」

―――

 その後に行われたサイレンススズカのウイニングライブは、ウマ娘の歴史に残る盛況ぶりで幕を開いた。
 あまりに美しく、それでいて力強い歌声。普段のトレーニングで鍛えられた足腰とスタミナによる、どこまでも律動的なダンス。
 ウマ娘であれば誰もが憧れてしまうほどの光景がそこにある。
 スペシャルウィークも、トレーナーも。いや、この会場のいる全てのウマ娘ファンが、彼女の歌声とダンスに酔いしれた。
 最後の一声が会場を支配し、静寂が訪れる。――数秒後。レースが終了した時よりもなお大きい声援が、会場を満たしたのだった。

―――
▼スペシャルウィークのやる気が上がった!

トレーナー「昨日のG1、スペシャルウィークにとても大きなものをもたらしたはずだ。あの経験は、きっといつか役に立つ――!」

トレーナー「さて、もうトゥインクルシリーズの幕開けは間近だ。何をしようか……」

今日は何をする? 下1
トレーニング/お出かけ/休憩/その他(良識の範囲内で自由に)

※一連のイベントが終了し次第、メイクデビューに移ります。
※メイクデビューが終了し次第、イベントが発生します。

トレーナー「メイクデビューも近い。ここで僕たちにとって必要なものは――ずばり」

スペ「ずばり……?!」

トレーナー「地道な練習だ」

スペ「えぇーっ?! ここは何か、こう……でっかいことやるぞ~! っていうところですよね?!」

トレーナー「知らん、第一でっかいことならこの前やっただろうが」

スペ「えっと……? 記憶にない、んですけど?」

トレーナー「サイレンススズカが」

スペ「うわぁ、日本人っぽいやりとりだ……」

トレーナー「……。兎にも角にも、僕たちに不足しているもの――それは地力だ! よって今からトレーニングを行うぞ!」

スペ「うぅ、なんだかやり込められてしまった気分です……。でも、確かにトレーナーさんの言う通りです。基礎が足りていない気がします……!」

トレーナー「よし、じゃあ早速トレーニングをしようじゃないか」

―――

下1 トレーニングの内容
スピード/スタミナ/パワー/根性/賢さ

下2 トレーニングの効果量(コンマ)
ゾロ目は追加で安価 安価先コンマの数が大きければ大きいほどより良いプチイベントが発生する。

―――
すみません、お待たせしております……!
セイウンスカイの育成が楽しくて更新が滞っておりました……!

トレーナー「というわけで、今回はパワーを重点的に鍛えていこうと思う」

スペ「パワー、ですか」

トレーナー「スペシャルウィークもそうだが、君たちの世代には有力なウマ娘が多数在籍している。エルコンドルパサー、セイウンスカイ、キングヘイロー、グラスワンダー……。いずれも名だたる名馬だ」

スペ「確かに、みんなは強力なライバルです……」

トレーナー「そんな環境下だから、君たちは注意すべき存在となる。つまり、君たちはブロックされやすくなる――。道理としてはこうなるが、わかるか?」

スペ「……はい」

トレーナー「だからこそパワーだ。力イズパワー。ユー・コピー?」

スペ「……? よくわかりませんが、はい!」

トレーナー「そこはアイ・コピー!だ」

スペ「???????????????」

―――

 トレーナーに連れられてやってきたのは、トレセン学園の一角に存在するトレーニング用の黄土色の馬場――つまりはダートである。
 しっかりと体をほぐすように言われ、スペシャルウィークはしっかりと柔軟をこなす。

――ウマ娘の身体能力は人間より格段に上であるが、それ故に高負荷がかかるとケガをしやすくなる。

 いわば普通車にマッハエンジンを積んでいるようなものだ。トレーナーは十分にそのことを承知している。むろんだが、ウマ娘本人も。
 体をほぐし終えたスペシャルウィークがダートへと駆け出す。もちろん依頼などはしていないので、並走する相手もいない。
 周囲との差――同学年のウマ娘との差が分かりにくい練習だった。それにもかかわらず、トレーナーはその走りに戦慄の感情すら抱く。
 さすがに、天皇賞・春のサイレンススズカに比べれば見劣りはするものの、もはや同年代のウマ娘とは比べがたい力量となっている。
 何が彼女をそうさせたのか――それはきっと、サイレンススズカの姿なのだろう。トレーナーは一人ごちり、練習の風景を粛々と眺めていた。

「来週のメイクデビュー。一体どうなることやら――」

―――

▼スペシャルウィークのパワーが87上がった!

■[スペシャルドリーマー]スペシャルウィーク
スピード:100(F)
スタミナ:88(F)
パワー:98(G)→185(F)
根性:180(F)
賢さ:91(G)
やる気:絶好調

[固有スキル]
シューティングスター lv 1(レース終盤に選択肢追加:ゴールの判定に+150の補正)
[スキル]
食い下がり(中距離レース時、マイナス補正を低減する)
ハヤテ一文字(最終判定に無条件で+100の補正)

[因子]
スピード★☆☆

――五月某日。

 春が過ぎ、梅雨に差し掛かろうかという時期。
 天津神がこの戦いを見定めんと睥睨しているかのように、余りにあっぱれな晴れ模様がターフを照らしていた。
 トレーナーとスペシャルウィークは、青々と茂る芝の美しさに目をやりながら談笑していた。

「ついにメイクデビューだな」
「ど、どうしよう……! なんだか緊張してきました……!」
「……はは、大丈夫大丈夫。よほどのことが無ければ勝てるさ」

 トレーナーは呵呵大笑とスペシャルウィークの言を笑い飛ばす。
 スペシャルウィークは、そんなトレーナーの横顔を覗き込みながら頬を膨らませる。
 からかわれたかのように感じたからか、それともよほどのことが無ければ、という縁起の悪い言葉を使われたから、だろうか――。
 いずれにせよトレーナーにはわからない。だが、その言葉がスペシャルウィークの緊張を多少ほぐしたのは事実だ。
 いつもの素朴な表情を取り戻したスペシャルウィークは、トレーナーの意図をふと察してほほ笑んだ。
 ブルネットの髪が、そよ風に揺れる。

「トレーナーさん、ありがとうございます!」
「何のことだ?」

 トレーナーは飄々として言葉を受け流す。
 暖簾に腕押し。スペシャルウィークは、トレーナーのつかみどころのない立ち回りを奇怪に思いながらも、しかしその余裕ぶった態度に安心を覚えていた。
 今にでも口笛を吹いてやろうとする、少し髭の伸びた横顔。笑うと目のところにしわが寄って――ついでにからかうような言葉が飛んでくる。
 スペシャルウィークは、今までトレーナーとの間柄に関して、具体的な言葉を探すことをしなかった。――否、やろうとすら思わなかった。
 そんなことを考えなくても、トレーナーはトレーナーだったから。ただ――今ならば断定できる。スペシャルウィークは心中で一人ごちった。

――トレーナーさんは、私のパートナーだ。

 蒼天に駆ける風が、ブルネットの髪を激しく揺らした。

トレーナー「行ってこい、スペシャルウィーク……!」

―――
■レース

下1 作戦決定(コンマ)
逃げ[G]/先行[A]/差し[A]/追込[C]

01~10:逃げ[G]
11~55:先行[A]
55~90:差し[A]
91~00:追込[C]

――

下2 レース序盤のスペシャルウィークの調子

01~30:出遅れ(ゴールのコンマ判定に-50の補正)
31~60:掛り(ゴールのコンマ判定に-25の補正)
61~90:順調な出だし(ゴールのコンマ判定の補正なし)
91~00:集中状態(ゴールのコンマ判定に+25の補正)
ゾロ目:補正効果1.5倍。マイナス補正の効果は消える。

――
下3 レース中盤のスペシャルウィークの調子

01~30:ブロック(ゴールのコンマ判定に-50の補正)
31~60:掛り(ゴールのコンマ判定に-25の補正)
61~90:順調な出だし(ゴールのコンマ判定の補正なし)
91~00:快走(ゴールのコンマ判定に+25の補正)
ゾロ目:補正効果1.5倍。マイナス補正の効果は消える。

――
下4 レース終盤のスペシャルウィークの調子

01~33:好走(ゴールのコンマ判定の補正なし)
34~66:鋭い差し(ゴールのコンマ判定に+50の補正)
67~99:シューティングスター Lv1発動(ゴールのコンマ判定に+150の補正)
00  :シューティングスター Lv3発動(ゴールのコンマ判定に+300の補正)
ゾロ目:補正効果1.5倍。

――

下5 ゴールイン 着順確定

――

▼作戦
●逃げ[G](補正:スピード、スタミナ)
補正がある能力値-100
補正がない能力値-150

●先行[A](補正:スピード、スタミナ)
補正がある能力値に+100

●差し[A](補正:スピード、スタミナ、パワー)
補正がある能力値に+50

●追込[C](補正:パワー、根性)
補正がある能力値に+100

▼着順決定
[ 下5のコンマ+序盤補正+中盤補正+終盤補正]=レース中達成値
※中盤にマイナス補正があった場合は計算式に(中盤マイナス補正-25)が追加される。
[ウマ娘の能力値から賢さを除いた合計]=能力値参照値
【[レース中達成値]+[能力値参照値]+バ場補正/芝A(+100)+中距離適正A(+100)+ハヤテ一文字(+100)+やる気/絶好調(+100)=達成値】
達成値-(レース中全てのマイナス補正-賢さ)=最終達成値

最終達成値が1100を超した場合 1着
※(100超えるごとにバ身が1伸びる。報酬増)
最終達成値が1000を越した場合 2~3着
最終達成値が900を越した場合  4~5着(掲示板)
最終達成値が900を下回った場合 着外

―――
連取は一度目の投稿から15分後から可能とします。
少し多めの安価になりますが、よろしくお願いします……!

※一部計算式に誤りがあったため訂正します。
達成値+補正後賢さ=最終達成値
ただし補正後賢さの上限値はレース中全てのマイナス補正と同値とする。

▼レース展開
序盤(36):掛り(-25)
中盤(26):ブロック(-50) + 食い下がり(+25)
終盤(50):鋭い差し(+50)
着順決定:62
――――――――――――
[-25]+[-50]+[25]+[50]+[62]=62 レース中達成値


▼作戦:逃げ
スピード:100(F)→1
スタミナ:88(F)→1
パワー:185(F)→35
根性:180(F)→30
賢さ:91(G)→1
――――――――――――
1+1+35+30+=67 能力値参照値


▼着順
[レース中達成値:62]+[能力値参照値:67]
+[バ場補正/芝A:100]+[中距離適正A:100]
+[ハヤテ一文字:100]+[やる気/絶好調:100]
=529 達成値
―――――――――――――
[達成値:529]
[レース中全てのマイナス補正:651]
[補正後賢さ:1] 
―――――――――――――
[最終達成値:529+1]


よってスペシャルウィーク、着外――。

なっちゃい……ましたねぇ……

――大丈夫。

 僕はその言葉の無意味さをよく知った。

――勝てるさ。

 僕はその言葉の無責任さをよく知った。

 ああ、よく思い知ったさ。
 だから、だから――思い知ったから。
 目の前で走っているあの子だけは、どうか救ってくれよ、三女神様――ッ!

――――――

 パドックに入り、スペシャルウィークは周囲をまず見渡した。
 ウマ娘にそのような器官があるわけではないが、なんとなく戦うウマ娘がどれくらいの力量を持つか、理解することができる。
 だからこそ、スペシャルウィークは少しだけ拍子抜けした。

――ここには、"みんな"みたいに強い子はいない。

 理性では異なるとわかっていても、しかし本能があまりに高らかにスペシャルウィークの脳裏に事実を焼き付ける。
 此処に居るのは、スペシャルウィークよりも格下のウマ娘たち。ふと脳裏に、よほどのことが無ければ勝てる、と励ましたトレーナーの言葉が過る。
 確かに、勝てるのではないか――。そう思うことは、もはや致し方のない帰結だった。だが同時に、その思い込みこそが、彼女の脚を破滅へと追いやる。

 きっかけは些細なことだった。
 無意識下で油断していたから、ゲートから出遅れた。
 たったそれだけのことだった。これであれば、まだ巻き返せる。気を入れなおせば。
 スペシャルウィークがそう思った直後だった。

――スペシャルウィークもそうだが、君たちの世代には有力なウマ娘が多数在籍している。エルコンドルパサー、セイウンスカイ、キングヘイロー、グラスワンダー……。いずれも名だたる名馬だ。
――そんな環境下だから、君たちは注意すべき存在となる。つまり、君たちはブロックされやすくなる――。道理としてはこうなるが、わかるか?

 はい、と答えたはずだった。もちろん、スペシャルウィークとてトレーナーの言葉を忘れるはずもなかった。――だが、既に賽は投げられていたのだ。
 スペシャルウィークの出遅れを察知したウマ娘が、途端にスペシャルウィークの周囲を囲う。――ブロックだ。
 彼女らよりもスペシャルウィークのパワーは勝っていたが、しかし戦いは数であるというように、彼女たちは数の力でスペシャルウィークを完封した。抜け出せない。

 どうして、という声が脳内でリフレインした。

 次第に息が切れ、差すことも不可能なほどに足が重くなり、全身が鉛になったかのような重い倦怠感がのしかかる。
 ブロックしていたウマ娘も、スペシャルウィークのスタミナが完全に切れたことを察知し、ペースを上げて離脱している。スペシャルウィークは、今此処でレースをしている状態であるのにも関わらず。

――孤独だった。

 そう理解した瞬間、恐怖した。負けてしまうことに?
……否、置いていかれることに。
 黄金の世代とまで呼ばれるスペシャルウィークの世代。彼女も見劣りはしないものの――しかし、現に今おいていかれている。
 レースにも。そして――"みんな"にも。

 息が重い。
 肺から血の香りが昇ってきて、鼻腔に満ちてくらくらする。
 足が重い。動かない。
 先ほどまではターフの先を映していた瞳は、白んで何も捉えていない。
 少しだけ動く耳だけが、誰かが叫ぶ声を感じとる。
 でも、何を言っているのかわからない。
 ああ、きっと応援してくれているんだな。――そう思うが、スペシャルウィークの心はもはや動かない。
 
――日本一になれなどしない。

――私は、スズカさんにみたいには、なれない。

 輝かんばかりのステージでセンターを飾る、憧れのウマ娘のように、私はなることができない。
 できない、出来ない。できないできないできない、できないできない出来ない出来ない――。不可能だ。無理だ。難しいのだ。これこそが否定と――拒絶の念だった。
 もうやめてしまいたい。
 スペシャルウィークは、そう思う他、何もできなかった――。

「―――がんばれッッッッ!」

 稲妻のように走った声が、スペシャルウィークの体を強く打つ。
 どこまで暗い気持ちに支配され、泥濘を進むような魂に、緋を入れるような、強く、温かい声が。
 動ける、まだ、脚は動く。そう認識して、足を一歩、また一歩と強く前に出す。
 諦めるものか。絶対に――負けてたまるものか。

「誓ったんだ――ッ」

 一歩、また一歩。
 鉛の行脚は、やがて飛翔へと変化する。

「日本一の、ウマ娘になるって―――ッ!!!」

 今、日本総大将が再起動する。
 大地が蠢き、雲は裂け、海は鳴動する。
 森羅万象。ありとあらゆるものが観客となり、彼女の力となるかのように。
 動け。動け。物理法則も、この世の真理すらも、今は彼女の力とならんと動き出した。

―――

――願いは形となり、祈りは強さとなる。

 真摯な祈りは時代を、時空を超え、何時かどこかの彼女の力を、彼女に託す。
 勝ちたい。その四文字に、魂すら賭ける彼女らの思いに呼応して、神性は導きを露わにする。

 やがて、一着とはならないまでのゴールを果たしたスペシャルウィークは深く息をつき、あたりを見まわした時だった。
 あの時かけてくれた声のお礼を言うつもりだった。よくやった、と言ってもらうつもりだった。

――でも、彼女の視線の先には、誰もいなかった。

■一週目クリア報酬

▼ウマ娘関連
[因子]
スピード★☆☆
シューティングスター★☆☆

▼トレーナー関連
下1(ドット) 一週目クリア報酬
01~33:やる気ドロップス(使用するとやる気を上げることができる)
34~66:トレーナー白書(使用するとスキルを獲得することができる)
67~99:夢のきらめき(使用するとウマ娘の潜在能力を開花させる)
00:導き(定められた運命を変える。ラウンド数が常に+1される)

下2(ドット) 一週目クリア報酬
・俯瞰視(確定)
残されたラウンド数を認知することができるようになる。
01~33:目覚まし時計(安価を再判定させることが可能になる。やる気が上昇する)
34~66:サポートカード[スペシャルウィーク](サポートカードの使用により、特定の能力値の上昇を恒常的に効率化させる)
67~99:因子/全身全霊[★☆☆]

一週目クリアってことはスペはここで終わり?

どうでもいいけど今育ててるスペがこのスレみたくメイクデビュー8着皐月賞10着と戦績散々だわ休ませれば7割寝不足だわで桜鍋まっしぐらでつらい

>>70
一応ここで終わりです。次回安価の時にスペちゃん来たらあるいは……。
今育成してるエアグルーヴが地獄みたいにやる気下げてくるので苦戦中……です……お互いがんばりましょう……!

あ、安価下です。


▼トレーナー白書を獲得した!

▼因子[全身全霊★☆☆]を獲得した!

▼スキル[俯瞰視]を獲得した!

――――
―――
――

 視界が暗転する。
 僕が今どこにいるのか。あるいはそもそも生きているのかすらわからない、無限に等しい闇が僕の視界を覆っていた。

――スペシャルウィークの走りを見届けてから早一時間が経過した。

 最後に自身の"願い"――"想い"かもしれないが――を取り戻した彼女は、見事な走りで駆け抜けた。このままいけば、日本一のウマ娘になることもそう難しいことではないだろう。
 あの日、あの時の彼女の走りを見て、彼女を放っておくものはいない。あの世界で僕の扱いがどうなっているかはわからないが、スペシャルウィークが悪い方向に進むことはもう、ないと思えた。

……そう、僕にはもう認識できている。
 何かしらの条件を果たしたか、あるいは規則性に従って僕はループしているのだと。理解しなければならないかのように、認識が"植え付けられている"のだ。
 何が起こっているのか語るには、余りに情報が足りない。兎にも角にも、僕は今時間の流れの中に居るのだろう、と思う。

 ふと、視界が開ける。
 大小さまざまなモニターが浮かぶ部屋だった。
 得た所感を、語弊を覚悟して言うと――監視室のようだ、と思った。
 そこには生物はいない。ただ、モニターとそこから繋がれたケーブルが世界を埋め尽くしているような部屋だ。どこまでも、無機質な。
 僕がモニターの前に立つと、一人でにモニターが立ち上がった。まるで歓迎するように一度明滅し、その後、何かの映像を流し始める。

――トレーナーさん……? どこですか……?

 スペシャルウィークだ。もう夜だというのに、学園内部を探し回っている。
 見れば、彼女の友人までもがトレーナーを……多分僕を探していた。
 ひどく取り乱した様子だった。それもそうだろう、目の前で人がいなくなれば、焦りもする。
 どこですか、どこですか……と、必死に探し回る彼女の姿は、昼間見た勇猛なそれとは似ても似つかない。どことなく憔悴したような面持ちだ。

「……ごめんな」

 思わず声が漏れる。
 導いてやれなかったこと。日本一に出来なかったこと。……目の前から消えたこと。
 もう探さなくてもいいんだよ、と声をかけても、きっとあちらには届くまい。
 僕にできることは、彼女の今後を切に祈ることくらいだろう。

 気付けば、僕の後ろに扉があった。
 扉を潜れば、またあのループが始まる。
 それはきっと――理事長が設けた夢の祭典……URAファイナルズを勝ち残るまで終わることはないのだろう。
 どれだけ長い旅路になるか、予想すらできない。でも、動かないことには始まらない。

「……頑張れよ、スペシャルウィーク」

 静かな部屋に、僕の声だけが、反響した。
 やがて、扉は――開かれる。

トレーナー「……さて。またここからやり直し、か」

トレーナー「少し心にクるものはあるが、挫けてもいられない」

トレーナー「それに、前回と違う点が、確実にある」

トレーナー(トレーナー白書……熟練のトレーナーが書き記した、ウマ娘育成に関する本。その一遍でも、物凄くためになることが書かれている。これを全て読んだトレーナーはきっと、素晴らしいトレーナーとなるのだろうな)

トレーナー(そして、因子、と呼ばれる謎の石……。スピードと全身全霊、と呼ばれるスキルらしい。なぜこの石の名前を理解することができるか、僕にはわからないが――)

トレーナー(……最後に、重要なのは[俯瞰視]と呼ばれるスキルだ。5R、と書いてある。これがきっと、僕に設けられたループまでの期限なのだろう。目的を達成すると延長するのか、あるいは目的を達成したところでループするのかはわからないが――)

トレーナー「考えても仕方がない。情報が出ていない以上、むやみに考えるのはむしろ悪手」

トレーナー「まずは育成するウマ娘を選ぶか」

トレーナー「うーん。>>76 なんて、どうだろうか……」

ツインターボ

トレーナー「……ツインターボ。中央最後の異色路線のウマ娘、ともいわれているほどの大逃げスタイルが特徴的なウマ娘だな」

トレーナー「良くも悪くもピーキーな性能でファンを引き付けそうだが……」

※まだプレイアブルではないので、ナリタブライアンのストーリーで登場したツインターボの性能をそのまま転用します。
※固有スキルの記載と、初期ステータスの記載がないので、以上2点については安価を取ります。

トレーナー「……ツインターボ。中央最後の異色路線のウマ娘、ともいわれているほどの大逃げスタイルが特徴的なウマ娘だな」

トレーナー「良くも悪くもピーキーな性能でファンを引き付けそうだが……」

※まだプレイアブルではないので、ナリタブライアンのストーリーで登場したツインターボの性能をそのまま転用します。
※固有スキルの記載と、初期ステータスの記載がないので、以上2点については安価を取ります。

■[ターボエンジン全開!]
スピード:下1+50
スタミナ:下2
パワー:下3
根性:下4
賢さ:下5
やる気:普通

[固有スキル]
下6 名前
効果はコンマの高さで変化させる。

ちなみにナリタブライアン戦の師匠は逃げ以外Gでした。
今回のコンマ安価、ちょっとサクッと終わらせたいので練取2分くらいにします。よろしくお願いします。

■[ターボエンジン全開!]ツインターボ
スピード:63+50=113
スタミナ:24
パワー:95
根性:42
賢さ:03
やる気:普通

[固有]これが諦めないってことだァ! Lv2
ゴール前でスタミナが尽きた場合、遮二無二、がむしゃらに走って速度を上げる。
(終盤に選択肢追加:ゴールのコンマ判定に+200の補正)


賢さヤバい……な……

ナチュラルに安価ガン無視してしまった
何となくこんな感じの進行です……不手際とかあったらすみません

★――メイクデビューまで、あと3ラウンド

トレーナー「……何というか、派手な髪型と髪色で見つけやすくて助かるな。おまけに騒がしいし……」

ターボ「違うもん! これはターボが先に触ったんだもん!」

トレーナー(どうやら、お昼ご飯のパンを巡る熾烈な争いが繰り広げられているようだ……。争いのレベルが低い……)

トレーナー(はてさて。どのように声をかけるかな……)

トレーナー「 下1 」

トレーナー「ジェミニブーストってのは君の事か?」

ターボ「ツインターボだッ……って、誰?」

―――

 おどけるような言葉が頭上から降ってくる。あからさまに名前を弄るような言葉に、ツインターボは反応せざるを得ない。
 あの帝王のような立ち振る舞い、げに許しがたき――。さながら仇敵を見つけたかのような心持ちで視線を動かした先に、その人物はいた。

……その表情が、ツインターボの口を思わず動かした。

―――

ターボ「……悲しいのか?」

トレーナー「……。いきなりどうした、ダブルジェット」

ターボ「ツインターボっ!!!! なんかふざけてるくせにかなしそーな顔してたから聞いただけ!!!」

トレーナー「そうか、そう見えるか」

ターボ「見える!!!」

トレーナー「そりゃ……心配おかけしました?」

ターボ「あーっ?! パンがなくなってる!!」

トレーナー(この騒ぎに乗じて持って行ったな……強かだ……)

ターボ「もーっ! ターボのパン、ターボが食べたかったのに!!」

トレーナー「いやぁ、すまんすまん」

ターボ「謝るだけで済んだらケーザツはいらないっ!」

トレーナー「すまんすまん。あとでパン一個奢るってことでどうだ?」

ターボ「許した!」

トレーナー「転身早っ……」

ターボ「? ターボは早いぞ!」

トレーナー「まぁ、そうだろうな?」

ターボ「……というか、何しに来たんだ? ターボのパンを盗んだつみは重いぞ!」

トレーナー(……盗んでないんだけど)

トレーナー(さて、なんて声をかけようかな)

トレーナー「下1」

トレーナー「お詫びと言っちゃ何だが、俺と一緒に一番になってくれないか」

ターボ「一番? なる!」

トレーナー「俺に君を導かせてくれないか――って、決断はや……」

ターボ「じんそくかだん? はって副会長が言ってた!」

トレーナー「熟慮断行という言葉を知ってるか?」

ターボ「知らん!!! でもターボを一番にしてくれるんでしょ? だったら任せる!」

トレーナー「……。その信頼に応えることができるように、精進するよ」

ターボ「しょうじん? 頑張るってこと? わかった!」

―――

 ターボは、この人物がどのような人物かはわからなかった。だが、それよりも――自分を一番にしてくれること、そして何よりも、自分よりも

テキストエディタで書いてないことがバレてしまいましたね………………………………。

描きなおします、少々お待ちを……。

トレーナー「お詫びと言っちゃ何だが、俺と一緒に一番になってくれないか」

ターボ「一番? なる!」

トレーナー「俺に君を導かせてくれないか――って、決断はや……」

ターボ「じんそくかだん? はって副会長が言ってた!」

トレーナー「熟慮断行という言葉を知ってるか?」

ターボ「知らん!!! でもターボを一番にしてくれるんでしょ? だったら任せる!」

トレーナー「……。その信頼に応えることができるように、精進するよ」

ターボ「しょうじん? 頑張るってこと? わかった!」

―――

 ターボは、この人物がどのような人物かはわからなかった。
 だが、それよりも――自分を一番にしてくれること、そして何よりも、今まで日の目を浴びてこなかった自分を見出してくれた。
 そんな人物が、自分をどうこうするような悪い人間ではないことを、なんとなく理解している。そんな人物がどんな世界を見せてくれるのか、ターボは少しだけ楽しみだった。

―――

ターボ「そういえば、昼ご飯食べてなかったんだった……」

トレーナー「……とりあえず、何か頼むか」

ターボ「うん!」

―――
――

トレーナー「さて、あれから一週間がたったわけだが……」

トレーナー「相変わらずターボがどこにいるのかはわかりやすいな……」

トレーナー「さて、今日は何をしようか」

下1
トレーニング/お出かけ/休憩/その他(良識の範囲内で自由に)

トレーナー「今日はトレーニングだ!」

ターボ「おおーっ!」

トレーニング「今日のトレーニングは……これだーッ!」

トレーニングの内容は?
スピード/スタミナ/パワー/根性/賢さ/その他

トレーナー(テンポ走……競走馬のトレーニングのうち、特に競走馬になる前のタイミング、持久力をつける際に行うトレーニングだ)

トレーナー(ツインターボの弱点、それは端的に言えば持続力の無さだ。レース序盤は正しくターボエンジンが起動したかのような速さがあるが、失速してしまえばーーそこでツインターボの先頭はここで終わり、ということになりかねない)

トレーナー(だが裏を返せば、この欠点にある程度の解決策を見出すことが出来れば、彼女が輝く舞台を作ることは容易になる、とも言える)

トレーナー(基礎中の基礎。やらせるなら土台の増強か)

トレーナー「よしターボ、テンポ走をやるぞ!」

ターボ「えー、テンポ走? そんなのターボ何回もやってるよ!!」

トレーナー「だからこそだ。基本に立ち返ることで、自分というウマ娘を振り返ることこそが、ターボが輝くことに繋がる」

ターボ「……テンポ走やったら、沢山走れる?」

トレーナー「それはターボ次第だな」

ターボ「……。わかった! 沢山走る!」

トレーナー「ペースは一定に保てよ~! 1ハロンを一定のペースで走り続けるんだ!」

トレーナー(さて、どれだけの効果があるかな……)

下1
訓練の効果(コンマ)
※ゾロ目で追加イベント

ーーーー

長距離ウマ娘の育成で更新が遅くなりました……!
皆様のチャンピオンズミーティング、幸先良い始まりが切れたことをお祈りしております。ちなみに私は全敗でした。




ターボ「うりゃりゃりゃりゃーっ!!!」

トレーナー(全力で走っているように見えるけど、案外繊細なスピードトレーニングだ……。そのあり方が常にターボを全力に見せているのかもしれないが、その実、内面はあまり強くないのかもしれない――)

ターボ「トレーナー、終わったぞ!」

トレーナー「おー、よしよし頑張ったな……!」

ターボ「えへへ……。で、レースはいつなんだ?」

トレーナー「気が早い……。メイクデビューは一か月くらい後だ。まだまだ先だと思うかもしれないが、案外一か月ってのは光みたいに過ぎてくからな~」

ターボ「光……。さすがに、ターボと光だったら、光の方が早い……。むぅうううーっ! ターボまけない、まけないもん!!!」

トレーナー「いつかは光に追いつけるといいな……って、何を走ろうとしてるんだ?! これ以上はオーバーワークだ……って……。早いし速い……。まぁ、もう1ハロンくらいだったら誤差の範囲内だろ……」

トレーナー(それにしても、メイクデビューまであと2ターン……とはどういう意味なんだろうか。1ターン経過するごとに、約半月が経過している。完全にそうとはいいがたいが、1ターンイコール半月と考えるべきだろうか)

トレーナー(そう考えると、トレーニングなどで一定の成果が上がるタイミングがちょうど合致する。つまりターンとは、これまでの半月間のリザルトを何らかの形で集計した数値とも言えるだろう)

トレーナー(……理解を深めなければ、いけない気がする。そうすることによって、きっと、俺は――何かを得ることができるような気がする)

―――

 日が落ちてくる。
 濃い橙と、ラスト1ハロンを最速で駆け抜けたターボの長い影。ターフの青臭い香り。遠くなる生徒たちのざわめき声。
 その一瞬を切り抜くように、ターボは1ハロンの区切りを突き抜けた。

――まるで蒼天に駆ける風。

 青い髪がふわふわと浮かぶ中、しかしそれを後ろへ送る速度は確実に人間の常識外のそれだ。
 学園の外では全速力を出してはいけないというルールは、まさしく彼女らウマ娘の超常的膂力や速力を危惧して設けられたものである、とトレーナーは愚考する。
 だからこそ、トレーナーはふと疑問に思う。
 ウマ娘とは、いったいどのようなものなのか。
 ツインターボは笑っている。最後に、一番気持ちがいい走りをして、無邪気に。スペシャルウィークは微笑んでいた。レースに負けそうになって、落ち込んで、でも前を向いていた。
 ウマ娘と人間。根本は何も変わらないのに、身体的特徴という一点で確実に異なっている。そのルーツがどこにあるのか。そして、ルーツをたどった先に何があるのか――今は、誰も知らない。知ってはならない。

 ターボが、トレーナーの袖をつかむ。まるで向日葵のような大輪の笑顔を浮かべ、夕食の時間であることを彼女は告げた。
 トレーナーは思考を寸断し、彼女に導かれるままにこの場所を後にした。

――その時、トレーナーは気付いた。懐に持つ石が、本が、光を放ったことに。

―――

■[ターボエンジン全開!]ツインターボ
スピード:113+12(因子:スピード★☆☆)(F)
スタミナ:24+68(トレーニング)=92(G)
パワー:95(G)
根性:42(G)
賢さ:03(G)
やる気:普通

[固有]これが諦めないってことだァ! Lv2
ゴール前でスタミナが尽きた場合、遮二無二、がむしゃらに走って速度を上げる。
(終盤に選択肢追加:ゴールのコンマ判定に+200の補正)
[通常]
全身全霊(終盤に選択肢追加:ゴールのコンマ判定に+100の補正)

下1 トレーナー白書を使う?使わない?
※前回のループ報酬は、今回のループでのみ使用可能ですが、トレーナー白書はこれに含まれません。
※トレーナー白書は使用することにより、ウマ娘に適合するスキルをランダムで一つ獲得可能です。

ナリタタイシン頑張って育ててたらいつの間にか時間が経ってました。おかげさまで全勝しました、ありがとうございます。
更新していきます~

▼トレーナー白書を使用した!
獲得スキルは下1(コンマ)
※コンマが大きいほど良いスキルを習得する。今回は[逃げ]か汎用性の高いスキル(円弧とかハヤテとか弧線とか)。
※ゾロ目は追加で何かしらの安価を取ります

▼ツインターボは[先駆け]を習得した!

[先駆け]
レース序盤で僅かに前に行きやすくなる(レース序盤の選択肢追加:ゴールのコンマ判定に+50)

ゾロ目ボーナス
下1 コンマ50以上でスキル進化、先駆け→先手必勝へ。
   コンマ50以下で現状維持、[先手必勝]のスキルヒントLv1を獲得する。
※スキルヒント:ターンを消費することで、該当するスキルを獲得できるチャンスを獲得する。Lvに応じて難易度は下がる。
※さらにゾロ目だった場合追加でスキルが獲得できます。

 ツインターボにとって、その出来事は全くの想定外のことだった。
 夕焼け空を眺め、流れる雲を見ながら、自分もあれくらい早く走れるようになりたいだのなんだのと思考を重ねて。ふと気付いた時には体が熱かった。
 夏の茹だるような――あるいは自分の中で隠されていた何かが、今詳らかに明かされようとするような感覚。
 吐息は熱く、視界はぐらりと揺れる。でも、不思議と不快感はない。
 まるで熱いシャワーを浴びた後の、意識の混濁めいた酩酊のような、ゆるりとしていてどこかふわふわした快感がせり上がる。
 ふぅ、と一つ息を吐くと、その感覚は即座に消え去った。
 しばらく何があったか考えるが、しかし特に異常は見つからない。――強いていえば、ご飯を食べる前にシャワーを浴びたくなったことくらいか。
 ツインターボは独りごちって、やがて小さく鼻歌を鳴らした。

 だが、ツインターボはまだ知らない。その身に宿った力が、如何に自身を引き立てるものであるかを。

▼[先手必勝]のヒントLv1を取得した


 

トレーナー「昨日、去り際になんか本とか石が光ったと思ったら消えてた……」

トレーナー「朝起きて気づいたんだけど、家に帰ってから朝まで、俺の部屋に誰かが侵入した痕跡がない――」

トレーナー(まぁループ特典らしいし、そもそも存在自体がスピリチュアルなものか……深く気にすると負けな気がする)

トレーナー「さて、あと2ターンか。何をするべきだろうか?」

下1 ?・トレーニング下1
・お出かけ
・休憩
・スキル習得(現在は先手必勝のヒント所有中)
・その他(良識の範囲内で自由に)

トレーナー「でもさ、昨日まであったものが消えてるとちょっと気になるじゃん」

ターボ「?」

トレーナー「というわけで、どうして消えたのか検証したいと思うが――手伝ってくれるか、ターボ」

ターボ「よくわからないけどわかった!!」

トレーナー「ターボは素直で可愛いなぁ」

ターボ「もっと褒めて褒めて!!」

トレーナー「さて……取り敢えずは走ってもらうか。本番想定で1200m。行けるか?」

ターボ「じゅんびおーけー!」

トレーナー「じゃあ、合図出すからそれでスタートしてくれ」

トレーナー「3、2、1――GO!」

下1 コンマ
50以上なら習得
50以下の場合ヒントレベル上昇

――風を肩で切り、飛び出す。

 幾千幾万と繰り返したスタートアップはいつもよりも若干キレが良く、巧かった。
 昨日の不思議な暑さが、心を押すような。まるでいっぱいに帆を張ったところに強風が通り過ぎるような、正しく爆発的な加速の予感がターボを襲っていた。
 芝を1歩踏みしめる度に、その予感は核心となってターボに力を与える。速さの限界点、その先へ至らんとするターボの心意気を推し量ったかのように。
 序盤400メートルの時点で、既にターボはこの練習の結果を予想出来ていた。何よりも素早い自分を、きっとトレーナーは喜んで迎えてくれるだろう、と。

 だが、それは大きな間違いであった。

 ゴールインした時、ターボを待っていたのはトレーナーの姿だった。だが、彼はまるで惚けたように立ち尽くしていたのだ。
 その両目からは色が失せていて――しかし、ターボが瞳を覗き込めば、急激に色を取り戻す。
……情熱という名の、色を。
 気づけばターボはトレーナーに抱きしめられていて。トレーナーは涙を流す勢いでターボのことを褒めに褒めまくった。
 ターボの予想は、大きく裏切られた。

――そう、ターボの予想よりも、より良い形で。

―――

▼[先手必勝]を習得した!

▼ツインターボのやる気が上がった!

■閑話
(何となく書いたので乗っけます。)
――――――
 それは1日も終わり、ようやくご飯を食べようとしていた時の事だった。久しく鳴らないスマートフォンに、珍しくメッセージ受信の通知が来た。
 正直にいえば、何事かと思った。
 トレーナーとなるにあたって対立した、両親含める家族が連絡を寄越すことはまずありえないし、かと言って友人がいる訳でもない。
 担当ウマ娘がいて、それなりの期間一緒にいるのであれば連絡を取りあっていてもおかしくは無い。
 が、ツインターボとはまだ出会って数週間程度で、連絡先を交換する程度の関係。それに直接会って話す方を好むタイプだろうし、メッセージを送るようには思えない。
 ごちゃごちゃと並べたが、結論は「セールスか、アプリ公式からの連絡」だろうと思う。それ以外にない。
 兎にも角にも、あえて見るほどのものでもない。取り敢えずはシャワーを浴びてから食堂へ行くことに決めた。

――だが、俺は気づいていなかった。

 この通知が、本当はセールスや公式からのものでは無いことを。
 そして、楽観視した己の愚かしさに……。

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段落詰め気味に書いちゃうのはいつもの癖ですね……。ちょっと段落開けて描きます!すみません!!

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(教えていただいてありがとうございます……! ちょっと続きます)

トレーナー業に邁進することになってから、何事も早く済ませる事に貪欲になった。

 入浴もそのひとつで、正しくカラスの行水とも言えるくらいの速さで済ませる。そちらの方が、ウマ娘への理解を深める時間が増えるからだ。

 さて、入浴を済ませれば、その次は夕食だ。

 他のトレーナーがどのようにして夕食を済ませているか分からないが、俺は近くにあるコンビニに足を運んで、そこで弁当を買っている。

 栄養バランスやかかるコストのことを考えると、おそらくは食堂に行った方が良いとは思うのだが、何となくスペシャルウィークと顔を合わせるのが気まずくて使えていない。

 これもトレセン学園の福利厚生のひとつなのだろうし、有効に活用すべきだとは思っている。思っているのだ。

―――

「ありがとござっしたー」


 間延びした店員の声を聞きながら、コンビニから出る。今日はサラダチキンとおにぎりふたつだ。運良く鮭おにぎりが残っていたので、やる気がちょっと上がる。

 さて、このままトレセン学園に帰ることになるのだが――そこでひとつの失策に気づいてしまう。


「しまった、今日のクーポン使ってなかったわ……!」


 UmaPayとコンビニアプリを連携させると、何とおにぎりかコーヒーを50円引きで買えるクーポンが1日1枚配布される。

 今日が期限のクーポンが1枚ある。おにぎりはもう買ってしまったので、これはコーヒーに使うべきだろう。

 スマホを取り出す。待機画面を開く。そして俺は、異常に気が付いた。

 メッセージの受信量が、いつの間にか10を越していた。通常ありえない事態に、俺の頭は一瞬フリーズする。

 何がどうなっているんだ。訳が分からない。ただ送り主の名前だけは、混乱する頭の中で鮮明に見えた。


「ついん、たーぼ……?」


 呟いて、ようやく落ち着く。まさか、メッセージを送ることがないだろうと踏んでいた相手からのメッセージ。しかも10件近くも。

 驚きこそあれ、少し嬉しくなった。ツインターボとの距離が近くなった気がするからだ。

 さて、メッセージの内容は……と開いてみて、俺は思わずスマホを落としそうになった。


「はやく」
「たすけて」


 その文字の指し示す意味を問い質す前に、俺は走り始めた――。

 トレセン学園、美浦寮。距離的にも近くはなかったが、かなり早く到着できたと思う。

 道中ヒシアマゾンに何事かと聞かれたが、ツインターボに何かあったかもしれないことを告げると、苦笑を浮かべてすごすごと引き下がった。なにがあったんだ?

 ともかく、今はツインターボの身に危機が迫っている。どたどたと大きな音が立っているのは承知で、ツインターボの部屋の戸を叩く。


「――ターボっ!」
「? トレーナー?」


 中からは間延びした声。寝転がっていたのだろうか。

 にしても変だ。あんなメッセージを残した割に、中から響く声はとてもリラックスしているというか、今も寝そべっているような、そんな印象を抱く。

 だが、それも彼女なりの演技かもしれない。


「大丈夫か?!」
「え……? ターボは元気だぞ!」
「……? 何かあったんじゃないのか?」
「……? ターボ、なにかしたっけ?」


 え?


「……。ツインターボ、勘違いだったら申し訳ないが、一つ教えてくれ」
「な、なんだ……?」
「あのメッセージは何だったんだ……?」
「メッセージ……? あっ!!! トレーナーってユーレイって信じる?!」
「……まぁ、今は信じてるかもだが……。幽霊がどうかしたのか?」


 そういうと、ターボは扉を少しだけ開ける。そこには勝負服に負けず劣らずのカラフルな寝間着に身を包んだターボの姿。

 ターボは少し恥ずかしそうに、ちょいちょいと手招く。耳を寄せろ、と言いたいらしい。


「あのね、トレーナー……。ネイチャがね、ネイチャがね……"今のターボには鬼が住んでますなぁ"って……」
「ナイスネイチャが? どうして?」
「わかんない……。でもね、見まわしても鬼なんてどこにもいなくて……。だから、どこ?って聞いたら、ネイチャが"さぁどこでしょうね~"って言って……」
「うんうん」
「何処にも見えなくて……だから、ユーレイだと思ったんだ! だから、今のターボにはユーレイが住んでるんだ!!!!」


 叫んでおののくツインターボ。そんな姿を見て、どっと疲れが湧いてきた。

 いろいろ言いたいことはあるが、今はツインターボが無事でよかった。その一心である。


「で、ヒシアマの姉さんに相談したら、追い払ってくれて……」
「ああ、だからか……」
「だからか?」
「何でもない。ヒシアマゾンに追い払ってもらったならもう心配はいらないな」
「うん!」


 笑顔を浮かべるツインターボ。必死で走ってきた結果がこれなら少しは文句も出るかもな、とは思っていたが、案外文句は一言も出てこなかった。

 親ってこんな気持ちなのかもしれないな――。


「……トレーナー? なんで頭を撫でるんだ?」
「ああ、無意識に……。すまん」


 そういいながら手を放そうとするが、ツインターボの頭から手が離れると耳がシュンと下がった。試しに置いてみれば、ぴんと耳が立つ。

 つまりこれは――そういうことなのか?

 試しついでに、ツインターボの髪を軽く撫でてみる。すると、ツインターボの表情が見る見るうちに緩み、口からは声にならない声を漏らす。

 どうやら気に入ったらしい。トレーナーの勉強の中にはマッサージ術も含まれていたから、それなりに自信はあったが――こうも喜んでくれると、素直にこちらも嬉しい。

 そのままツインターボが満足するまで頭を撫で続けたのだが――。


「おーおー、おアツい二人の登場だねぇ~」


……ナイスネイチャを筆頭に、廊下での一幕を見ていたウマ娘たちに、変にからかわれてしまうのだった。

トレーナー「さて、ナイスネイチャにからかわれたり、あれから事あるごとにターボがこちらを期待の目で見てくるようになったりして、一週間くらいが経ったな」

トレーナー「鬼が住んでいる――とはまぁ、なんとも独特の言い回しだけど、ナリタタイシンにも鬼が住んでたりするし、地上最強の生物の背中にも住んでたりするしな。案外何処にでも住んでるのかもしれない」

トレーナー「確かに、ツインターボの大逃げにはさらに磨きがかかった。タイムが以前よりも何回りか短くなっている」

トレーナー「このままいけば、メイクデビューも勝てそうだな」

トレーナー「だが、やはり日々をどう過ごすかも非常に重要だ」

トレーナー「今日は何をしようか」

※あと1ターンでメイクデビューです。


下1 
・トレーニング
・お出かけ(やる気アップ)
・休憩(イベント)
・その他(良識の範囲内で自由に)

トレーナー「メイクデビューも直近に控えていることだし、下手にトレーニングしてツインターボの調子を崩したくないな」

トレーナー「うーむ。となれば、ツインターボのモチベーションを上げに行くか」

ターボ「?」

トレーナー「ターボは気にしなくていいぞ。……さて、どうしようか」

下1
お出かけで何をする?(良識の範囲で自由に)

トレーナー「そういえばターボって、カラオケとかで遊んだことはあるのか?」

ターボ「うーん。あんまりない。ターボ、走ってる方が楽しいし!」

トレーナー「……なるほどね。とりあえず今日はターボのコンディションとかもろもろを鑑みて――遊ぶことにしました」

ターボ「やったー! トレーナーとお出かけだーっ!」

トレーナー「じゃあどこに行こうか。参考までにカラオケの話を出したが……」

ターボ「じゃあカラオケ!」

トレーナー「早いな。あんまり行ったことないんだろ? いいのか?」

ターボ「行ったことがあんまりないから行ってみたい! 未知へのチョーセンだっ!」

トレーナー「……まぁ、挑戦する姿勢は素晴らしいと思うが、そもそも楽しむための施設だからな?」

ターボ「ふんす!」

トレーナー(わかってんのかなぁ……?)

―――

トレーナー「さて、カラオケボックスだ。ドリンクはとりあえずフリーにしておいたぞ」

ターボ「トレーナー歌おう! 何歌う?」

トレーナー「二人でカラオケに来たからって、必ずしもデュエットしなきゃいけないわけじゃないぞ……」

ターボ「ターボがデュエットしたいの! トレーナーが曲選んで!」

トレーナー「しゃーないな……。さて、どの曲を選ぼうか」

下1 
何の曲を選ぶ?(デュエットでなくても良いかもしれない。ゾロ目は追加イベント)

ターボ「イメトレは大事だってイクノも言ってた!!!」

トレーナー「いきなり何を――って、ここで今"うまぴょい"するのか?!」

ターボ「当然ッ!!! トレーナーも一緒に、せーの!」

トレーナー「ええい、ままよ……!」

ターボ/トレーナー「うまぴょいッッッ!!!!!」


▼ツインターボのやる気が上がった!
※コンマゾロ目の為追加イベント発生

■追加イベント

「にしても、今日は歌ったなー」


 夕日に染まっていく街の中、先頭を進むツインターボは声高らかに笑った。

 とても楽しそうな表情をしているツインターボには、やはり年相応の無邪気さや可愛らしさを感じる。

 人との関係を形容する意味は薄いが、あえて形容すればターボは娘のようなものだ。彼女の悲しむ顔は見たくないし、いつでも喜んでいてほしい。


――トレーナーさん、ありがとうございます!


 ふと、スペシャルウィークがメイクデビュー前に見せた笑顔を思い出す。今頃彼女はどうしているのだろうか。正しく時が進んでいれば、今頃G1レースに出走している頃だろうか。

 ……そんな風にいろんなことを考えていたから、俺は立ち止まっていたターボにぶつかってしまった。

 いて、と声を上げるターボに詫びながら、ターボの視線の先を追う。


「トレーナー、ターボ、あの場所に立てるかなぁ」
「……有馬記念、か」


 該当の巨大テレビジョンからは、数年前の有馬記念がリバイバル放送されていた。様々なウマ娘が並び、全員が全員、歴戦の風格を漂わせていた。ターボと同じスタイルの大逃げウマ娘も、そこに。

 いくら無邪気なターボとはいえど、さすがに先達のことくらいは知っているらしい。ターフに駆ける一陣の風を、バ場に滾る鋼の意思を、コーナーに駆けるマエストロとしての意地を、それぞれ最高のポテンシャルを以て発揮していた。

 だが、大逃げのウマ娘にはそれが無かった。もちろん実力はあったはずだ。だが、彼女の脚質以上に――他のウマ娘が強かっただけ。

 第四コーナーを曲がり、最後の直線。彼女はいとも簡単に追い抜かれ、瞬く間に掲示板外へと転がり落ちていく。カメラのフォーカスは、華麗な差しを決めた一着のウマ娘へと絞られる。

 勝負は酷く残酷だ。どれだけ頑張っていたとしても結果が全て。結果を出せなければ、後には何も残らない。でも、だからこそウマ娘は走る。自らの栄誉のために――。

 ターボはどういうモチベーションで走ってきたかを、実のところ知らなかった。ただの好奇心かな、と思ったり、あるいは気まぐれなのかな、と思ったりもした。

 その内実を、俺は知らない。彼女の口から語られるまでは、こちらから聞いてはいけないものだとも思っている。

 ただ、願わくば――彼女の今後が輝かしいものになりますように。あの日のスペシャルウィークのような辛い顔は、もう見たくないから。

 願いは形となる。祈りは強さとなる。多分、きっと、そうなんだろう。

 だから、俺は祈るし願う。彼女の勝利を。そして――幸せを。


「トレーナー? とれーなーッ!」
「……! どうした、ターボ」
「ターボお腹空いた! 早く帰ろ!」


 ……ああ、いや。でも。祈らなくても多分大丈夫だと思う。

 彼女は多分、俺がいなくてもやっていける。幸せになれると思う。

 いつか俺が消えるその時まで、ターボに教えることができるすべてを教えよう。

 それがせめてもの餞になれば、御の字かな。

―――

▼因子:[スピード★☆☆]を獲得した!

▼因子:[逃げ★☆☆]を獲得した!

■[ターボエンジン全開!]ツインターボ
スピード:125(F)
スタミナ:92(G)
パワー:95(G)
根性:42(G)
賢さ:03(G)
やる気:普通

[固有]これが諦めないってことだァ! Lv2
ゴール前でスタミナが尽きた場合、遮二無二、がむしゃらに走って速度を上げる。
(終盤に選択肢追加:ゴールのコンマ判定に+200の補正)
[通常]
末脚(終盤に選択肢追加:ゴールのコンマ判定に+50の補正)
全身全霊(終盤に選択肢追加:ゴールのコンマ判定に+100の補正)
先駆け(序盤に選択肢追加:ゴールのコンマ判定に+50の補正)
先手必勝(序盤に選択肢追加:ゴールのコンマ判定に+100の補正)

※全身全霊の前提スキル[末脚]を通常スキル欄に追加しました。純粋に処理漏れです。すみません……。


――――


――五月某日。

 春が過ぎ、梅雨に差し掛かろうかという時期。

 蒼天は今や黒く塗りつぶされ、どんよりとした空模様がトレーナーの憂慮を表しているかのようだった。

 ツインターボはそんな天気の中でも、太陽のような笑みと溌溂さでトレーナーと最終調整に臨んでいた。


「メイクデビュー! ターボはこの時を――待っていたっ!」
「……掛かり気味か? スタミナは温存しとけよ」
「むぅ。ターボ掛かってないもん! いつも通りだもん!」


 興奮気味に笑うターボ。それを心配そうに見つめるトレーナー。

 失敗は成功の母とも言うが、しかし正しい昇華のさせ方をしなければただただ拗らせることになってしまう。トレーナーは典型的なそのタイプであった。

 だが、そんなトレーナーの憂慮をも吹き飛ばす言葉を、ツインターボは発した。


「絶対勝つよ、トレーナー」


 ターフの芝を揺らすくらい、力強い言葉だった。


「ターボは絶対負けないもん。絶対、ぜったいぜったいぜーったい負けないもん!!」


 煌めく相貌には、もはや勝利しか映っていないとでもいうように、視線はまっすぐトレーナーを貫く。

 その気丈な瞳に火を灯されるかのように、トレーナーはハッとした。


「……そうだよな、始まる前から弱気になってどうすんだ。勝てる、俺たちは――勝てるぞーッ!」
「勝つ、勝つぞーッ!」
「勝って帰るぞーッ!」
「勝ってにんじんアイストリプル買ってもらうぞーッ!」
「おーッ……いや賛同しかけたけど、トリプル食べると夜ご飯はいらなくなるから駄目だ!」


 えー、と口をとがらせるツインターボ。そんな彼女をトレーナーはどこまでも優しく、力強い瞳で見つめていた。


――勝つぞ。


 その一言を、心の中に閉じ込めながら。

※ごめんなさい、ツインターボの現在のやる気は絶好調です。

トレーナー「行ってこい、ツインターボ……!」

―――
■レース

下1 作戦決定(コンマ)
逃げ[G]/先行[A]/差し[A]/追込[C]

01~70:逃げ[A]
71~80:先行[G]
81~90:差し[G]
91~00:追込[C]

――

下2 レース序盤のツインターボの調子

01~20:出遅れ(ゴールのコンマ判定に-50の補正)
21~40:掛り(ゴールのコンマ判定に-25の補正)
41~60:順調な出だし(ゴールのコンマ判定の補正なし)
61~81:先駆け(ゴールのコンマ判定に+50の補正)
81~00:先手必勝(ゴールのコンマ判定に+100の補正)
ゾロ目:補正効果1.5倍。マイナス補正の効果は消える。

――
下3 レース中盤のツインターボの調子

01~30:ブロック(ゴールのコンマ判定に-50の補正)
31~60:掛り(ゴールのコンマ判定に-25の補正)
61~90:順調な出だし(ゴールのコンマ判定の補正なし)
91~00:快走(ゴールのコンマ判定に+25の補正)
ゾロ目:補正効果1.5倍。マイナス補正の効果は消える。

――
下4 レース終盤のツインターボの調子

01~25:好走(ゴールのコンマ判定の補正なし)
26~50:末脚(ゴールのコンマ判定に+50の補正)
51~75:全身全霊(ゴール時のコンマ判定に+100の補正)
76~99:これが諦めないってことだァ!Lv2発動(ゴールのコンマ判定に+200の補正)
00  :これが諦めないってことだァ!Lv4発動(ゴールのコンマ判定に+400の補正)
ゾロ目:補正効果1.5倍。

――

下5 ゴールイン 着順確定

――

▼作戦
●逃げ[A](補正:スピード、スタミナ)
補正がある能力値に+150

●先行[G](補正:スピード、スタミナ)
補正がある能力値-100
補正がない能力値-150

●差し[G](補正:スピード、スタミナ、パワー)
補正がある能力値-75
補正がない能力値-100

●追込[G](補正:パワー、根性)
補正がある能力値-100
補正がない能力値-150

▼着順決定
[ 下5のコンマ+序盤補正+中盤補正+終盤補正]=レース中達成値
[ウマ娘の能力値から賢さを除いた合計]=能力値参照値
【[レース中達成値]+[能力値参照値]+バ場補正/芝A(+100)+中距離適正A(+100)+やる気/絶好調(+100)=達成値】
達成値-(レース中全てのマイナス補正-賢さ)=最終達成値

最終達成値が1100を超した場合 1着
※(100超えるごとにバ身が1伸びる。報酬増)
最終達成値が1000を越した場合 2~3着
最終達成値が900を越した場合  4~5着(掲示板)
最終達成値が900を下回った場合 着外

※二回目のメイクデビュー。継続ラインを提示します。
継続ライン:~3着

―――
遅めの時間の安価なので、連取は一度目の投稿から10分後から可能とします。
少し多めの安価になりますが、よろしくお願いします……!

(コピペして使いまわしてることが明確にわかる誤植ですね……。師匠の適正はナリタブライアン戦のものを参照しています。逃げ以外は全部Gです。訂正しておきます。安価は下です)

▼レース展開
序盤(34):掛り(-25)
中盤(52):掛り(-25)
終盤(76):これが諦めないってことだァ!Lv2(+200)
着順決定:11
――――――――――――
[-25]+[-25]+[200]+[11]=161 レース中達成値


▼作戦:追込み
スピード:125(F)-150=1
スタミナ:92(G)-150=1
パワー:95(G)-100=1
根性:42(G)-100=1
賢さ:03(G)-150=1
――――――――――――
1+1+1+1=4 能力値参照値


▼着順
[レース中達成値:161]+[能力値参照値:4]
+[バ場補正/芝A:100]+[中距離適正A:100]
+[やる気/絶好調:100]
=465 達成値
―――――――――――――
[達成値:465]
[レース中全てのマイナス補正:402]
[補正後賢さ:1] 
―――――――――――――
[最終達成値:465+1]


よってツインターボ、着外――。

ジェミニ杯の方はいかがでしょうか。
私信ですが、当方は序盤の全敗をどうにかひっくり返してジェミニ杯オープンリーグBグループ1位になれました。
皆様のウマ娘のご健闘をお祈りしています。
この後少ししたら更新します。


 空は人の手が届かないほど高く広がっているように。海は人の手が届かないほど深く広がっているように。陸は人の手が届かないほどに大きく広がっているように。

 人にも。ウマ娘にも限界はある。

 トレーナーはまだ知らなかった。己に課されたループの宿命が、どれほどに重いものなのか。そして――その過程で、どれだけの絶望を垣間見るのかを。

―――

 パドックに入るや否や、ツインターボはきょろきょろとあたりを見渡す。

 自分より少し劣るウマ娘、自分より少し勝るウマ娘。精鋭中の精鋭が集まるとされるトレセン学園の生徒たちだけあって、力量の差はあれど全員レベルが高い。

 負けたくない。負けない。胸に秘めた熱情が燃え上がるように滾る。絶対に負けないという気持ちが、今にでも彼女の脚をゲートへと向かわせそうだった。

 煮えたぎる闘志。それを隠そうともしない彼女は、パドックに居るウマ娘たちに強い警戒心を抱かせた。彼女をどうにかしなければ、自分たちの輝かしいメイクデビューは……失敗に終わるという認識を。

 ヒトとは、出る杭を打つ生物である。そのことをツインターボは、レースで思い知ることになる。

―――

「各ウマ娘、今順調にゲートイン! この戦い、目が離せません――!」

 高らかに響くファンファーレと、観客の声援。音という音がバ場を支配し、埋め尽くす。――その後に訪れるのは静寂だ。耳が痛いほどの。

 ツインターボはそんな中で、やはり少し浮ついた心地にあった。自らの強さを証明するのはもちろんのことだが、これで勝つことができれば――きっとトレーナーはまた自分のことを褒めてくれるのだろう、と。

 もちろん勝っても負けてもトレーナーは褒めてくれるはずだろう、とはツインターボ自身も思っている。でもどうせならば――勝利を捧げたい。

 全力の意識を以て、ターボはスタートを待つ。一秒、二秒と時が過ぎ、一瞬にも永遠にも思える時が過ぎた時――ついにゲートが開かれる。

 ターフに足を叩きつけるように飛び出すターボ。だが、その脚はどこか空回りしていた。浮ついていたせいか、彼女の脚は不確かに地面を叩くばかり。速度が上がっていくが、しかしスタミナは急激に減少していく。

 周りのウマ娘たちも、彼女のことを少なからず研究していたらしい。彼女のペースをさらに狂わせるように緩急をつけたレース展開を繰り広げる。――そして、見事にツインターボは、惑わされた。

 いつもであれば快調に飛ばしながら最後のスタミナを振り絞って逃げ切りを狙う第四コーナー。視界の前には誰もいない。その事実が勝利の確信をターボに与えた。

 ……だが、そこまでだった。

 最終直線に差し掛かり、各ウマ娘が一斉にスパート。これまで力を温存していたウマ娘たちはいっせいに脚を伸ばし、ゴールへと食らいつかんと走っていく。

 一人、また一人と、ツインターボを追い抜くウマ娘たち。そこで初めて、自分の失策に気付いたツインターボだったが――もう遅い。

 脚が重く、体は鉛のように重い。何処までも逃げられると思っていたツインターボというウマ娘はしかし、今此処に、置いていかれている。

――孤独だった。

 そう理解した瞬間、恐怖した。負けてしまうことに――ではない。ただ、ただトレーナーの悲しそうな顔を思い浮かべてしまって。

 それが彼女にとって、酷く恐ろしいことのように感じた。以前まではこうではなかったはずなのに、どうしてこれほどに、失望の表情が痛いのだろう。苦しいのだろう。

 解らないことだらけだった。いずれわかるとも思えなかった。この痛みは、この苦しみは、いつだって彼女が自分で覚えるものではない。他者から与えられるものでしかないからだ。

 気付けば息はつまり、肺は潰れんばかりに稼働を続けていた。

 前方のウマ娘が蹴り上げた芝がひらひらとあたりに舞い、頬にくっつく。


(ごめん、ごめん……!)


 心の中で謝るツインターボ。しかし、思ったところで何も始まらない。願ったところで何も始まらない。だからそれは――いうなれば"逃げ"だった。

 ……。

 立ち直ることがどれほどつらいことだろう。

 思い知ることはどれほど苦しいことだろう。

 挫折と絶望を味わって、しかし走り続けるその姿は――どれだけ尊いのだろう。

 トレーナーは正しく思う。その姿こそが、彼女の本質なのだと。

 大逃げの才覚? 何事も素直に受け取る天真爛漫さ? 努力家なところ?

 結果から言えば、そのどれもが、彼女の本質から大きく離れていた。

 トレーナーは目を見開く。

 きっとこれが彼女との最後になることを理解しながら。

 だからこそ、彼女のことを焼き付けておこうと。

――ターボ、あの場所に立てるかなぁ。


 ふと、棒切れのような体に記憶がよみがえる。

 走っているのか歩いているのか、そもそも立っているのかすらわからない状態。

 走馬灯のようなものだろうか、とターボは素直にそう思った。

 であれば、もう自分は此処に居ることはできないのではないか、とも。


――絶対■■■よ、トレーナー。


 今此処からいなくなれば、果たせない約束があった気がする。

 朦朧とする意識。ツインターボは必死に記憶の中の声を追い掛けて走っていた。

 一体どんな約束だっただろう。ターボは、どんな思いでそれを誓ったんだろう。

 ちかちかする視界。もうじきシャットアウトしそうな思考。それらすべてのリソースは、いま記憶の追跡に用いられている。

 欠けていた言葉を、誓った言葉を思い出すために。


――絶対勝つよ、トレーナー。


 ああ、そうだ。絶対勝つって、誓ったんだ。でも、もうだめだ。勝てない。

 息が苦しい。倒れてもいい?

 ターボの意識が、彼女自身にそう訴える。

 倒れたほうが楽になれる。この苦しい思いからは救われる。

 でも、それで本当に――ターボは自分のことを許せるの?


――許せない。トレーナーに負けないって約束したからっ!


 ああ、そうだ。最初から彼女の本質は"それ"でしかなかった。

 練習を頑張ったのも、今もこうして走り続けているのも、"それ"が彼女の本質で、それを理性が、本能が違えることのないようにし続けてきたからだ。


「これが……」


 それは咆哮だ。


「これが……っ!」


 それは、何度踏まれようとも立ち上がる不抜の魂だ。

 人はそれを――。


「これが、諦めないってことだァああああああああッ!!!!!」


 不撓不屈の魂。

 即ち、諦めが悪い、と呼ぶ――!

「救急車を呼べーッ!」

 誰かの怒号が、ツインターボの耳朶を震わせる。

 ついに走り抜けた彼女は、最下位ながらも魂の走りを見せ、多くの観客の心を震わせた。

 だが、そこで力尽きたのだろう。ゴールして軽く観客席へと手を振った後――彼女は倒れ込んだ。

 誰かが――恐らく親しいものだろう――駆け寄り、救急車の手配をする。

 観客は騒然とツインターボの安否を心配する。ほかのウマ娘たちも、何事かと目を見開き、あるものは誰かの手助けをした。

 漸くバ場に静寂が戻った時、そこには何とも言えない重い空気が漂っていた。


 それにしても、とトレセン学園の理事長は思う。

 最後、あのバ場にたどり着いたトレーナーらしき青年。


「疑問っ……」


 トレセン学園のトレーナーとしての規定に沿った服装だった。

 誰が見ても、彼はトレセン学園のトレーナーのようにしか思えない。

 だが……。


「疑問ッ! あのような人物、学園に居ただろうか……ッ!」


 どうにも、彼のことを思い出せない。

 まるで、初めからいなかったものであるかのように。


―――


■二週目クリア報酬

▼ウマ娘関連
[因子]
スピード★☆☆
スピード★☆☆
先手必勝(逃げ適正B以上)★☆☆
シューティングスター(先行適正B以上)★☆☆
これが諦めないってことだァ!(逃げ適正B以上)★★☆
逃げ★☆☆


▼トレーナー関連
下1(ドット) 二週目クリア報酬
01~33:やる気ドロップス(使用するとやる気を上げることができる)
34~66:トレーナー白書(使用するとスキルを獲得することができる)
67~99:夢のきらめき(使用するとウマ娘の潜在能力を開花させる)
00:導き(定められた運命を変える。ラウンド数が常に+1される)
※ゾロ目は追加安価

下2(ドット) 二週目クリア報酬
・俯瞰視(確定)
残されたラウンド数を認知することができるようになる。
・戦術家(確定)
コンマによるランダム安価を用いる判定に対して使用することができる。
安価を取り消し、代わりに選択肢の中から一つ任意のものを選択し、それを適用する。

01~33:目覚まし時計(安価を再判定させることが可能になる。やる気が上昇する)
34~66:サポートカード[ツインターボ](サポートカードの使用により、特定の能力値の上昇を恒常的に効率化させる)
67~99:因子/先頭プライド[★☆☆]
※ゾロ目は追加安価


▼やる気ドロップスを獲得した!

▼目覚まし時計を獲得した!

▼スキル[戦術家]を獲得した!

――――
―――
――

 視界が暗転する。

 俺が今どこにいるのか。あるいはそもそも生きているのかすらわからない、無限に等しい闇が俺の視界を覆っていた。

――救急車を呼んで、ツインターボをみおっくてからそれなりの時間が経過した。

 この闇は一回目のループの時と変わらず真っ黒で、音もしない。まるで自分自身のことを振り返るために作られた場所のようにも感じる。

 お前がしたことを認識しろ、お前の無力さを認識しろ、と強く訴えられているような気すらする。八つ当たりのような感情だ。確かに俺は無力である。

 もう理解している。俺はあの世界において一般的な――あるいはそれ以下のトレーナーだ。ウマ娘を育成する腕にかけては凡百なトレーナーよりも上だろうが、そもそも上には上がいる。

 それらの頂点にはあの名トレーナー一族の新星、桐生院トレーナーが立っている。彼女と比べれば、俺なんていわば塵のようなものだろう。

 そのことを認識させたかったんだろう? と闇に問いかければ、ため息のような声が聞こえた。すると、すぐに視界が開けた。

 そこはあの時、一回目のループが終わった後に訪れた大小さまざまなモニターが浮かぶ部屋だった。

 ここには生物はいない。モニターとそこから繋がれたケーブルが部屋を埋め尽くしていた。どこまでも、無機質な。

 前回のループの時そうしたように、モニターの前に立てばひとりでにモニターが立ち上がった。まるで俺の帰還を歓迎するように一度明滅し、映像を流し始める。


――トレーナーはどこだっ?! 隠してるんだ! みんなはトレーナーを隠してるんだ!
――落ち着いてターボ、トレーナーなんていなかったでしょ?


 病衣のままナイスネイチャに縋るツインターボの姿が映し出される。

 どうやら俺が消えた後の世界を映し出しているらしい。俺が消えた後の世界では、俺に関しての記憶が消去されているようで、ナイスネイチャはターボの言うところの"トレーナー"が誰かわからなくなっているようだ。

 ターボの泣き顔を見ていると罪悪感が湧いてくる。そんな世界に一人ぼっちにしてしまったことが、酷く胸を締め付ける。


「ごめん、ごめんな……」


 声を漏らしても、何も解決しない。何も変わらない。

 罪悪の底に隠れたひとかけらの俺の人間らしいところが、そう言葉にすることで気持ちを楽にしていることを指摘する。反吐が出るほどの人間性だった。

 思えば、ツインターボを育てたいと思ってから今まで、彼女のことを真に考えなかったこともあった。それが彼女に対してどれだけ不誠実であったかを切に実感する。

 吐き気がする。どこまでも人間らしい人間性に。

 気付けば、俺の後ろに扉があった。

 扉を潜れば、またあのループが始まる。

 それはきっと――理事長が設けた夢の祭典……URAファイナルズを勝ち残るまで終わることはないのだろう。

 どれだけ長い旅路になるか、予想すらできない。でも、すぐに終わりそうな気もする。その気になれば、終わらせることもできるだろう。

 それが俺の望むところでなかったとしても。

―――
下1 ????(コンマ)

――ふと、気付いた。

 モニターの中に映っていたスペシャルウィークが、鬼気迫る表情でゲートインする姿を。……以前にも増して実力を増したようだ。

 コースとほかのウマ娘を見る限り――どうやら有馬記念の大舞台に立っているらしい。画面越しでもわかる、確かな研鑽に裏打ちされた実力は、恐らく有馬でも十分に通用する。

 ゲートが切られ、駆け出すスペシャルウィーク。凄まじい輝きを誇るウマ娘たちと比較しても、頭一つ抜けた彼女は、そのまま十分に脚を貯めて差し切り、見事に一着を獲得した。

 やはり、スペシャルウィークは凄いウマ娘だ。……俺はそれだけ確認して、背を向ける。


「――トレーナーさんッ! 私、どこにいてもトレーナーさんが見つけられるくらいに輝きますから! いつかまた、会いに来てください……! 私にいつか、あの時のお礼をさせてください!!」


 弾かれるようにモニターへ視線を向ける。

 そこには、汗を流しながらも輝かんばかりの笑顔で、そう宣言するスペシャルウィークの姿があった。

 こみ上げそうになるものを必死に抑えながら、俺はその画面をただただ眺める。

 何も起こらない。なにも届けられない。ただ――スペシャルウィークがそう宣言したのであれば、いつか俺は彼女に届くことができる気がする。

 ああ、そうだ。何も変わらない。動かなければ――。


「動け」


 自分自身に言い聞かせるように、そうつぶやいて。

 俺は扉を開いたのだった。 

―――

▼サポートカード[スペシャルウィーク]を獲得した。

トレーナー「さて、またループしたわけだ。だが、止まるわけにはいかない」

トレーナー「このループの先に何が待っているのかは俺にはわからない。ただ、その先にはきっとスペシャルウィークやツインターボが待っているような気がする」

トレーナー「……置いてけぼりにした彼女たちを迎えに行く資格は、きっと俺にはないけど。でも、せめてもう一度会うことができれば、せめてお礼くらいは言わせてほしいな」

トレーナー「君たちに出会って救われているのは、きっと俺の方なのだから……」

トレーナー「動け」

トレーナー「さて、まずは育成するウマ娘を選ぶか」

トレーナー「今回は前回よりも条件がよりよくなっている。メイクデビューで3着以内に入着することができれば、きっとループは発生しないだろう」

トレーナー「誰を選んでも、後悔することがないように――けっぱるべ!」

下1 育成するウマ娘
※一応ですが、ウマ娘に実装されているウマ娘でお願いします……!
※プレイアブルかそうでないかは問いません。

桐生院さんがライバルに(話進められれば)なりそうなんですが育成ウマ娘にハッピーミークってありですか

質問への回答とか。更新は無いです。

>>185 育成ウマ娘としてハッピーミークはありか。
(ハッピーミークを育成するルートは)ないです。

ハッピーミークは展開に特に関わってこない(出てこないという訳では無い)ウマ娘ですが、担当ウマ娘のライバルとしての彼女の立ち位置がすごく素敵で美しいので、是非ラスボス的な立ち位置にいて欲しいと考えています。

―――

育成ウマ娘の安価について

連続は展開のマンネリ化を防ぐ為なしにしますが、1度ループを挟んだ後に再度安価でして頂ければ可能であるものとします。

―――

レース中の判定について

そういえば言及してなかったので。
判定のプラスマイナスゼロの基準はCとしています。
それからランク事に50ずつ補正値が増減する形です。
割と最近(サイレンススズカ戦以降)に決まったので、それまではブレがあるかも知れません。

―――

サイレンススズカ強すぎない?

わかる。

―――

ひとつ謝罪すべきことがありました。

当初メイクデビューまでの期間は5ターンと記載がありましたが、実際は3ターンです。こちらについては誤字があり、ツインターボ編では少し違和感を覚えた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
訂正をここにしますと共にお詫び申し上げます。申し訳ございませんでした。

―――

文体について

何となく切りかえは
・日常パート(台本形式)
・イベント描写/特に重要なところでかつ台詞のみでは伝わりにくいところ(三人称)
・レース描写(三人称)
・ループ(一人称)

のような感じになってます。割と気まぐれで変わったりします。

トレーナー「――マヤノトップガン。変幻自在の脚質に、ありとあらゆる物事を吸収するほどの柔軟性が見られるウマ娘だが……」

トレーナー「それ故に、他者からは敬遠される存在だとも聞く。とても優秀なウマ娘だが、その天才さについていけるトレーナーがいないとも――」

トレーナー「……っと。噂をすれば影が差す、ってやつだな」

―――

――カフェテリア。

 その全てが年頃の少女らしい精神性を有するウマ娘にとって、甘味を提供するカフェテリアは憩いの場所である。

 平日の夕方。放課後を迎え、トレーニングをこなしたウマ娘たちがそこにたむろするのは、お菓子な……おかしな話ではない。

 だが、今日のカフェテリアにはいつもよりもウマ娘たちが集まっていた。彼女らは全員がとある目的のために集まっていた。

 すなわち、ケーキ祭り――。いわゆるスイーツパラダイス形式のフェアである。その中にひときわ目立つにんじん色の髪の毛の少女……マヤノトップガンは居た。

 ウマ娘と一口に言っても、体が大きいものから小さいものまでさまざまだ。

 マヤノトップガンはウマ娘の平均から見ても小さめの体躯であり、今彼女の目の前に出来上がっているケーキへの壁を越えられないようだった。

 漸く壁――ウマ娘たちが皿にケーキを取り分け、満足し去った時には、もうすでにケーキはその場に残っていなかった。

 見る見るうちに、彼女の耳がぺたりとしおれていくのが見えた。

―――

トレーナー「…………勝負の世界は、どこも辛いんだな」

トレーナー「さて、傷心中のところ申し訳ないが、マヤノトップガンが一人である今こそ声をかけるチャンスだ」

トレーナー「さて、どう声をかけようか」

下1 どのように声をかける?

トレーナー「うわぁせっかく来たのにケーキなくなっちゃったーしょうがないから普段通ってるスイーツがおいしいカフェに行こうかな~~~~~~~~~~~~~~~~!!!!」

マヤノ「……」

トレーナー「でも大の大人一人で行くのは憚られるなぁ!!!! 誰か年頃の女の子で甘いもの好きでそういう場所に慣れてたりする子いないかなぁーっ!!!」

トレーナー「いないかなぁ~っ?!」

マヤノ「マヤ、用事思い出しちゃった!」

トレーナー「マから始まってンで終わる女の子がいいんだけどなーっ!」

……。

マヤノ「もーっ、大きな声出すから注目集めちゃったよ! もしかして……ヒ・ト・メ・ボ・レ?」

トレーナー「すまんすまん……。ちょっと話があったんだが、どうにもうまく声をかけられなくてな……」

マヤノ「ふーん。まぁ、マヤもちょうどケーキ食べたかったからいいんだけどねっ」

トレーナー「……まぁあの人だかりだったら、体格が小さいマヤノトップガンにとっては不利な勝負だっただろうな」

マヤノ「むぅ! マヤは子供じゃないもん!!」

トレーナー「いや、そういうことを言っているわけではなくて――」

マヤノ「ふーんだ。もう許してあげませーん!」

トレーナー「困ったなぁ……。どうしたら許してくれる?」

マヤノ「――そうだなぁ」

―――

 くるくると前髪を触りながら、マヤノトップガンは悩んだそぶりを見せる。だが、その瞳に映る景色は――もうすでに決まっている。

 彼女にとってそれは何よりもキラキラしていると感じるものだ。それを見過ごすことなど出来ない。今すぐにでも掴んでしまいたいが――それにはある条件が必要だった。

 聞けば、目の前の男はトレセン学園のトレーナーであるという。それを踏まえれば、この流れは渡りに船で。

 だからこそ、決心がついた、といったような表情で手を机に置く。

 これが適当な男であれば適当にはぐらかして帰るのだが――目の前の男は、有能さは感じられないが職務に順当に準じそうな人柄であることをマヤノトップガンは無意識中に見抜いていた。

 だから、切り出す内容はたったの一つ。そこに躊躇もなく、妥協もない。


「あのね、マヤをレースに出してほしいの」


 にんじん色の髪の毛が夕陽の橙に照らされて、まるで太陽のように燃え上がる。

 表情には愛嬌しかない。だが――その瞳の色は、確実に勝負を見据えていた。

―――

トレーナー「何というか、先回りされてしまった気がするが、結局あの後彼女をレースに出すために奔走することになった」

トレーナー「とはいえ、メイクデビューは登録さえすれば誰でも走れる部隊ではない。そこにすんなりと登録できて、出走が決まること自体、マヤノトップガンが非常に優秀なウマ娘であることは明白だ」

トレーナー「……純粋に、彼女のコンディションの面倒を見るトレーナーがいなかっただけ、なのかもしれないな」

トレーナー「さて。今日はマヤノトップガンのトレーナーとしての初仕事だ。何をしようか――」

下1
トレーニング/お出かけ/休憩/その他(良識の範囲内で自由に)
※メイクデビューまであと3ターン(当ターンを含む)

トレーナー「さて、マヤノトップガン。今日から俺たちは二人三脚で歩んでいくことになる」

マヤノ「んー。トレーナーちゃん、マヤノのこと、マヤノって呼んでほしいなー?」

トレーナー「……なんか恥ずかしい」

マヤノ「トレーナーちゃん、照れてるのー? なんでなんでー?」

トレーナー「大人を揶揄うんじゃありません! まったく……」

マヤノ「揶揄ってないんだけどなー。それでトレーナーちゃん、トレーニングって何するの?」

トレーナー「それはだな……」


下1 トレーニングの内容は?
スピード/スタミナ/パワー/根性/賢さ/その他

安価指定もう1つしなきゃいけないのド忘れしてました。

下1 効果量
ゾロ目は追加イベント

アイ・コピー!


―――

トレーナー「さて、今日はパワートレーニングを行う」

マヤノ「パワーかぁ……。筋肉を付ければ、オトナの女性に一歩近づくかなぁ?」

トレーナー「どうだろうな……まずは背を伸ばさないことには……」

マヤノ「チビじゃないもん!」

トレーナー「まだ何も言ってないだろ……。まぁ、トレーニングをきちんとこなしていけば、大人の女性に近づくんじゃないか? 知らんけど」

マヤノ「オトナのニュアンスがちがーう!」

トレーナー「……。トレーニングをやるぞ」

マヤノ「ぶーぶー!」

トレーナー「先が思いやられる、というか……。俺はこの子の元気についていくことができるのだろうか……」

―――

 納得のいっていなさそうなマヤノを引きずるように、トレーナーはトレセン学園を歩く。……やがて二人が訪れたのはジムだった。

 トレセン学園のジム設備は、一般的なジムの規模とは一線を画しており、その規模は通常の10倍にも及ぶとも言われている。

 むろん、普通ジムで運動するような人間よりもウマ娘の方が出力が高く、練習時にかかるジム設備への負担もまた同様である。

 だからこその規模なのだが――到着してトレーナーは呆れてしまう。その規模にもそうだが――平気で何百というバーベルを抱えるウマ娘たちの姿に。

 内心でだが、仮に彼女たちに組み敷かれた時には平和ではいられまい――そう考えながらも、マヤノの方を見た。

 すると、マヤノはジム全体を見わたして、トレーナーに告げる。


「トレーナーちゃん、マヤは何をしたらいーい?」
「……パワートレーニングだ。俺が担当につく前にもやったことはあるだろ?」


 うん、と呟く彼女。しかし、トレーナーから見ればその表情は少し冷えているような気がした。

 そこで、ふと思い至る。


「ひょっとして、今までのトレーニング、物足りなかったりしたか?」
「……。すごいすごーい。どうしてわかるの?」
「マヤノトップガン、お前――何というか、本当はもっと行けるけど、定量的なトレーニングしかできなかったんじゃないか」
「そーだよ?」


 その表情はいつも通りのことを言っているような自然体で――。しかし、瞳はそうもいかない。

 彼女の中に存在するそれを形容するのであれば、多くの人はこう言葉にするのだろう。


「トレーナーちゃんは、どんなトレーニングをマヤにしてくれるの?」


――期待である、と。

―――

■[すくらんぶる☆ゾーン]マヤノトップガン
スピード:77+
スタミナ:106
パワー:71+17=88
根性:101
賢さ:95
やる気:普通

[固有スキル]
ひらめき☆ランディング Lv1
(終盤に選択肢追加:ゴールのコンマ判定に+150の補正)

―――

▼因子継承
スピード:77+24(スピード★☆☆因子2つ/12*2)=101
スタミナ:106
パワー:71+17=88
根性:101
賢さ:95
やる気:普通

[固有スキル]
・ひらめき☆ランディング Lv1[汎用]
(終盤に選択肢追加:ゴールのコンマ判定に+150の補正)
・シューティングスター Lv1[汎用]
(終盤に選択肢追加:ゴールのコンマ判定に+150の補正)
・これが諦めないってことだァ! Lv2 [作戦:逃げ]
(終盤に選択肢追加:ゴールのコンマ判定に+200の補正)

[通常スキル]
・先駆け[作戦:逃げ]
(序盤に選択肢追加:ゴールのコンマ判定に+50の補正)
・先手必勝[作戦:逃げ]
(序盤に選択肢追加:ゴールのコンマ判定に+100の補正)
・末脚[汎用]
(終盤に選択肢追加:ゴールのコンマ判定に+50の補正)
・全身全霊[汎用]
(終盤に選択肢追加:ゴールのコンマ判定に+100の補正)

脚質適正
逃げA/先行A/差しB/追込B

距離適性
短距離D/マイルD/中距離A/長距離A

―――
下1
逃げ因子★☆☆による[脚質適正/逃げS]への上昇コンマ判定
50以上で上昇
50以下でそのまま(ターン使用により上昇可能)

―――
複数の適正にB以上が見受けられるウマ娘が育成対象で、かつ三回目となって少しこなれてきました。
なので、今回からスキルを作戦ごとに使用することのできる[作戦スキル]と、作戦に関わらず使用することができる[汎用スキル]に分けます。
前回は追込でも逃げスキルを使うことができたりしましたが、今回からはより厳密に判定をしていきます。
よろしくお願いします。

あと、今まで記載していなかった脚質適正と距離適性についても記載していきます。

▼マヤノトップガンの脚質に変動はなかった……。

トレーナー「マヤノトップガンは本当に、何というか柔軟な子だ」

トレーナー「逃げも差しも追込も先行もできるとなれば、逆に何が出来ないのか?とまでなる。多分ダート以外であれば大体行けるんじゃないか……と思わせるくらいには才能豊かだ」

トレーナー「そんな子を伸ばしてあげることが俺にできるのか――」

マヤノ「トレーナーちゃん! 今日は何するのー?」

トレーナー「今日はだな……」

マヤノ「あ、ちょっと待って! マヤが当てるね!」

マヤノ「むむ……むむむ……今日は――」

下1
トレーニング/お出かけ/休憩/脚質適正上昇/その他(良識の範囲内で自由に)
※メイクデビューまであと2ターン(当ターンを含む)

―――
※ループ時に取得したアイテムについては、適切なタイミングで使用するかどうか安価を取ります。
※やる気について、現状やる気の上昇によるトレーニング効率の上昇は考えていません。やるとしてもメイクデビュー突破後くらいに考えます。なので、現状やる気ドロップスの使用についての安価はレース前に取ることになります。
※目覚まし時計は(ぶっちゃけ記載をド忘れしていたので)このターン以降使用可能です。安価の再判定を行うかどうかを安価後に記載するのでお答えください。


マヤノ「――トレーニング、トレーナちゃんは今日、マヤと一緒にトレーニングする日っ!」

トレーナー「……良く解ったな。というか、まぁトレーナーとウマ娘が一緒にいるのであれば当然かもしれないが――」

マヤノ「えー? もしかしたらそれ以外もあるかもじゃない?」

トレーナー「と、言うと?」

マヤノ「トレーナーと担当ウマ娘の、禁じられたイ・チ・ャ・コ・ラ♡」

トレーナー「さーてトレーニングするか!」

マヤノ「あー! トレーナーちゃんが逃げたーっ!」

トレーナー「つべこべ言わずにトレーニングをやろうッ!!!!」

―――

下1 どんなトレーニングを行う?
スピード/スタミナ/パワー/根性/賢さ/その他

下2 効果量
※ゾロ目は追加イベント

……。(これは酷い)

―――
下1 

目覚まし時計を使用しますか?
はい/いいえ

では、そのまま進行していきます――。

―――

マヤノ「……んー?」

トレーナー「……腕のところ、少し違和感があるぞ」

マヤノ「うん、じゃあこうしたら――あれー?」

トレーナー「なんかうまくいかない日、なのか……?」

マヤノ「そうかも……」

トレーナー「うーん。まぁそういう日もあるだろうな……」

トレーナー「今日は軽く済ませて、あとは療養に努めてもらうか」

マヤノ「えー! マヤはもっと出来る――」

トレーナー「駄目だ」

マヤノ「!」

トレーナー「異常があることがわかり切った状態でマヤノトップガンに無理をさせることはできない。それがトレーナーだ」

マヤノ「……それって、マヤノがタイセツってこと?」

トレーナー「その通りだ」

マヤノ「――――っ」

トレーナー「マヤノのことを大事にしたいと思ってるから、これ以上のトレーニングは駄目だ。今日は寮に帰って――そうだな、甘いものでもほどほどに食べてろ」

マヤノ「……ぁ、ぅん……」

トレーナー「じゃ、解散っ! あ、これこの前割引券もらったから使うならどうぞ」

―――

 マヤノトップガンはいてもたってもいられず、軽めにクールダウンを終わらせたのち、逃げるようにその場を後にした。

 まるで体温をそこに集めたくらいに、顔と胸が熱い。何故か、と思って記憶をさかのぼれば、先ほどトレーナーが向けてきた真摯な目が浮かんでくる。

 どきり、とした。

 知識が豊富なマヤノトップガンにとっては、一連の言葉による情動の揺らぎを、定義づけることはさして難しいことではなかった。

 でも、その感情を定義づけてしまうと、定義づけた感情に引っ張られてしまう気がして。だから、この気持ちは胸の奥にしまうべきなのだ。

(けど……けど。どうして顔が熱くなっちゃうのーっ?!)

 心の中の叫びを吐き出すように、ベッドに飛び込んだ――。

―――

■[すくらんぶる☆ゾーン]マヤノトップガン
スピード:77+
スタミナ:106
パワー:71+17=88
根性:101
賢さ:95
やる気:普通

[固有スキル]
ひらめき☆ランディング Lv1
(終盤に選択肢追加:ゴールのコンマ判定に+150の補正)

トレーナー「あれからマヤノトップガンがなんだかよそよそしい……」

トレーナー「いったい何があったのかわからない。年頃の女の子とは斯くもまぁ……なんというか……不思議な生き物なんだな――」

トレーナー「とはいえ、予定は素直にこなしてくれるから助かるんだけど……」

トレーナー「さて、今日は何をしようかな」


下1 トレーニングの内容は?
スピード/スタミナ/パワー/根性/賢さ/その他

根性

アッ、ミスっちゃいました!すみません再安価で……。
>>211 さんすみません……!

―――

下1
トレーニング/お出かけ/休憩/その他(良識の範囲内で自由に)
※メイクデビューまであと1ターン(当ターンを含む)

トレーナー(そうだ、G1に行こう)

トレーナー「そうだ、G1に行こう」

マヤノ「デート?!」

トレーナー「G1レース見に行くって言っただろうに……」

マヤノ「……そっか」

トレーナー(そこで落ち込むのなんで?!)

トレーナー「と、とにかく今からG1レースを見に行くぞ!」

マヤノ「アイ・コピー……」

トレーナー(やっぱり何かあったんだろうか――。まぁでも、レースが好きみたいだし、レース見たら治るかな……?)

―――

 四月後半、一帖の盾を巡って有力なウマ娘が集うレース。

 名をば天皇賞。3000mにも及ぶ長大なコースを、足自慢のウマ娘が駆け抜ける、日本最高峰と呼び声高いレースだ。

 当然ながらウマ娘のレベルも非常に高い。何せ競馬に触れたことがない一般人ですら名前を知っている名馬がそろい踏みで出てくるレースである。低い訳がない。

 マヤノトップガンを連れてきたのは、そんなウマ娘たちの姿を見せて勉強させる以上に――マヤノトップガンの気を引き締めるためでもある。

 ここのところ、マヤノトップガンは上の空で、トレーニング中も精が出ていない様子であった。トレーナーは、その原因がレースへの憧憬にあるのではないか、とにらんでいた。

 事実とは往々にして奇怪なもので、そのような考えをしているトレーナーがマヤノトップガンを注視するたびに、マヤノトップガンの効率が落ちていく。――こうして、トレーナーの勘違いは見事にそのままになってしまった。

―――

 しかし、当のマヤノトップガンはというと――飛び込んできた光景に度肝を抜かれていた。

 広大なターフ。パドックに並み居る精強なるウマ娘。観客たちの、雷と聞き間違えるほどの喊声。自らが立ちたいと願って夢想した場所より、ずっとずっと煌めいている場所。

 ばちばちと、脳内が燃えるような熱情が宿る。その雷は脊髄を通って、マヤノトップガンの体に熱を熾し――滾らせた。

 その視線の先では、とあるウマ娘が歩いていた。

 視線と熱情のスクランブル。マヤノトップガンは、敵を見定めて離さない、さながら猛禽のような瞳で、そのウマ娘のことを観察していた――。

―――

下1 
誰のことを見る?


――影をも恐れぬ怪物。

 その名はターフ上全てのウマ娘を恐怖に陥れる、言わば絶対的強者の証であると言えた。

 圧倒的な強さで重賞レースを勝ち上がり、大外から駆け上がるさまは、宛ら夜に向かう夕陽が残す影。

 そうして築き上げた最強の伝説は、今も尚更新されようとしている。G1という最高の舞台ですらも、彼女にしてみれば踏み台でしかないのかもしれない。

 であるからこそ、観客は彼女の驚異的な末脚を――絶対的な勝利を望み、喊声を上げる。観客は彼女を淘汰するウマ娘を望み、喚声を上げるのだ。

―――

マヤノ「ナリタ、ブライアン――」

マヤノ「……強い。今まで見てきたどんな子より、ブライアンさんは強い……!」

マヤノ「でもなんだろう――すごく、すごく寂しいの」

マヤノ「ねぇトレーナーちゃん、どうしてだろう?」

トレーナー(……マヤノトップガンの洞察力は凄まじい。時には覆い隠された秘密ですら解き明かすほどの優れた観察眼が彼女には備わっている)

トレーナー(そんな彼女がそういうんだ。きっとナリタブライアンには何かあって――それをマヤノトップガンは敏感に感じとっている)

トレーナー(それに、なんというか――俺もすごく、すごく彼女が危ういと感じる。どこかで感じた既視感がある)

トレーナー「……。わからない。でも、彼女の走りを見れば分かるかもしれない」

マヤノ「……うん、そうだね」

―――

 ナレーションが高らかに響き、パドックに居たウマ娘が続々とゲートインする。
? いずれも名だたる名馬だ。ゲートインするだけでも大きな歓声が上がり、拍手が響くものだが――今日は違った。

 ナリタブライアンの存在が、全てのウマ娘の存在を希釈するようにそこに在る。

 闘志などなく、そこにあるのは凪いだ水面のような、どこまでも透き通る怜悧さだ。
? レースに向けて神経を集中させるウマ娘。彼女らの調子に乗せられるように、観客もまた、水を打ったように静まり返る。
? 数秒。息遣いしか聞こえてこない静寂。

――そして、爆発。
? ゲートが開かれ、せき止められた水のように一斉にウマ娘が駆け出していく。 ??

―――

トレーナー「君は何を考えている、ブライアン……」

undefined

下1 レース序盤のナリタブライアンの調子(コンマ) ??
01~10:出遅れ(ゴールのコンマ判定に-50の補正) ?
11~20:掛り(ゴール時のコンマ判定に-25の補正) ?
21~30:順調な出だし(ゴールのコンマ判定の補正なし) ?
31~40:差し直線〇発動(ゴールのコンマ判定に+25の補正) ?
41~50:がんばり屋発動(ゴールのコンマ判定に+50の補正) ?
51~60:先行焦り発動(中盤のコンマ判定を一段階上のものに上げる)
?61~70:差し直線◎発動(ゴールのコンマ判定に+75の補正) ?
71~80:円弧のマエストロ発動(中盤のコンマ判定を二段階上のものに上げる)
?81~90:曲線のソムリエ発動(ゴールのコンマ判定に+100の補正) ?
91~00:曲線のソムリエ、がんばり屋発動(ゴールのコンマ判定に+150の補正) ?
ゾロ目:補正効果1.5倍。マイナス補正の効果は消える。 ?
――― ??
下2 レース中盤のナリタブライアンの調子(コンマ) ?
01~10:ブロック(ゴールのコンマ判定に-50の補正) ?
11~20:掛り(ゴールのコンマ判定に-25の補正)
?21~30:好走(ゴールのコンマ判定の補正なし) ?
31~40:お見通し発動(ゴールのコンマ判定に+25の補正) ?
41~50:尻尾上がり発動(ゴールのコンマ判定に+50の補正)
?51~60:直線回復発動(中盤のコンマ判定を一段階上のものに上げる) ?
61~70:弧線のプロフェッサー発動(ゴールのコンマ判定に+75の補正) ?
71~80:好息一転発動(中盤のコンマ判定を二段階上のものに上げる) ?
81~90:ハヤテ一文字発動(ゴールのコンマ判定に+100の補正) ?91~00:ハヤテ一文字、尻尾上がり発動(ゴールのコンマ判定に+150の補正) ?
ゾロ目:補正効果1.5倍。マイナス補正の効果は消える。 ??
――― ??
下3 レース終盤のナリタブライアンの調子(コンマ) ??
01~33:好走(ゴールのコンマ判定の補正なし) ?
34~66:末脚(ゴールのコンマ判定に+100の補正)
?67~99:Shadow break Lv1発動(ゴール時のコンマ判定に+150の補正)
?00   :Shadow break Lv3発動(ゴール時のコンマ判定に+300の補正) ?
ゾロ目:補正効果1.5倍。 ??
――― ?

――― ?
?下4 ゴールイン 着順確定?
[ 下4 のコンマ+序盤補正+中盤補正+終盤補正]=達成値?
達成値+差し適正S(+150)+バ場補正/芝A(+100)+長距離適正A補正(+100)=最終達成値??

最終達成値が300を越した場合  1着?
最終達成値が275を越した場合  2~3着?
最終達成値が250を越した場合  4~5着(掲示板)?
最終達成値が250を下回った場合 着外
??―――
コピペして書き換えてたら変な感じになりました。安価下です。

▼レース展開
序盤(45):がんばり屋(+50)
中盤(04):ブロック(-50)
終盤(08):好走(±0)
着順決定:62
――――――――――――
[50]+[-50]+[0]+[62]=62 達成値


▼着順
[達成値:62]+[脚質適正/差しS(+150)]
+[バ場補正/芝A:100]+[長距離適正A:100]
=412 最終達成値
―――――――――――――

最終達成値300超過の為、ナリタブライアン大勝――!

――嵐の前の静けさ、春の東京競馬場には、まさしく静寂が横たわっていた。


 他のウマ娘たちが粛々と勝利に向かって疾駆する中、後半の列には曇天のような威圧感があった。

 さながらブラックホールのように、客の視線も、あげるべき歓声も、応援の声も――ナリタブライアンに吸い込まれる。

 ターフの蹴る音も。呼吸音も。衣すれの音も。全てがこの場から消え去ったかのような、特濃の存在が今も怜悧に先頭を見据えていた。

 均衡が破られたのは、それからしばらくして、先頭集団が第四コーナーに差し掛かった時だった。


――突如として、東京競馬場に影が差した。


 五月晴れの空に、まるで唐突に暗幕を垂らしたかのような、濃密な"予感"がウマ娘たちを、観客を、あるいはその場にいた全ての法則も覆ってしまった。

 まるで因果が結実したかのような。そんな濃密な予感。

 かくして、死神の行脚が、ターフの悉くを殺しにやってくる。

 突如として大外に躍り出たナリタブライアンは、その驚異的な業脚でぐんぐんと加速していく。

 外に出たことにより、その分だけ距離のロスが発生するが――しかし問題なかった。むしろそれが正しい選択だった、とすべては察知する。

 ひと際強く、ナリタブライアンがターフを蹴りつけた。

 シューズの形にターフが削り取られ、風すら切り裂くような末脚が先頭集団に突き刺さる。

 まさしく蹂躙だった。ナリタブライアンというウマ娘の前には影が出来ない――影を恐れぬ、まさしく"怪物"である所以を示すように、バ身を広げていく。

 1つ、2つ、3つ。まだ足りない。4つ、5つ、6つ――そして7つ。

 最早後続のウマ娘たちは、彼女の影を踏むことすら許されなかった。歴史的な、あるいは史上類を見ないほどの大差をつけて――ナリタブライアンは今、一着の栄誉を掴み取る。


――こうして天皇賞には、影が差さされた。


マヤノ「……」

トレーナー「まさしく絶句、だな」

マヤノ「うん、すごい走りだった……」

トレーナー「マヤノトップガンもそう思うか」

マヤノ「……悔しいけど、今のマヤにあの走りをしろって言われても、ムリかも」

トレーナー「だろうな。あれは何というか――次元が違う」

マヤノ「どーかん」

トレーナー(なんだ、この異様な空気感は――。ナリタブライアンの走りを初めて見た、という人間ばかりではないだろうに……。それほどあの走りに怯えている人が多いという事だろうか……)

トレーナー(……怯えている?)

トレーナー(……そうか、これが怯えか。今はまだ鉢合わせることはない。だが、マヤノトップガンがこのまま走り続けるのであれば――ナリタブライアンとは必ずかちあうことになる)

トレーナー(その時、果たして俺は、マヤノトップガンは――ナリタブライアンに届くことができるのだろうか……)

マヤノ「……トレーナーちゃん」

マヤノ「マヤね、思ったんだ」

トレーナー「ん……」

マヤノ「今までレースはキラキラしてるものだと思ってた。うん、今でもそうかも。でも、キラキラしてるだけじゃないんだーって」

マヤノ「だって、あんなに大きな影があるんだもん。影が大きかったら、きっとキラキラはなくなって、今みたいになる」

マヤノ「……だから」

マヤノ「だから、いまね。マヤ……凄くワクワクしてるの!」

マヤノ「こんな大きな影と戦えるんだ、って。それに、そんなに大きな影が差すなら――」

マヤノ「――マヤが、もーっと大きなキラキラになればいい! そーは思わない、トレーナーちゃん?」

トレーナー「――」

トレーナー「そう、かもな」

トレーナー「はは、なるほどな! もっと大きなキラキラになればいい、か!」

トレーナー「その通りだ、ああ、その通りだな!」

マヤノ「トレーナーちゃん……?」

トレーナー「マヤノトップガン、メイクデビュー……勝ちに行くぞ」

マヤノ「もっちろん! トレーナーちゃんも、マヤのこと見逃したらダメなんだからね! ユー・コピー?」

トレーナー「……アイ・コピー!」

―――

下1 リザルト
※コンマが高ければ高いほど良いスキルを習得する。
※サイレンススズカ1着のため、判定に+50の補正。
※ゾロ目時追加イベント

サイレンススズカじゃねぇ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!ナリタブライアンです!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

安価だったら下

▼スキル[コーナー加速〇]を習得した。

▼スキル[曲線のソムリエ]のヒントLv2を習得した。

▼やる気が上がった。(普通→好調)

メイクデビューまであと、0ターン

――

■[すくらんぶる☆ゾーン]マヤノトップガン
スピード:77
スタミナ:106
パワー:88
根性:101
賢さ:95
やる気:普通

[固有スキル]
・ひらめき☆ランディング Lv1
(終盤に選択肢追加:ゴールのコンマ判定に+150の補正)
・シューティングスター Lv1[汎用]
(終盤に選択肢追加:ゴールのコンマ判定に+150の補正)
・これが諦めないってことだァ! Lv2 [作戦:逃げ]
(終盤に選択肢追加:ゴールのコンマ判定に+200の補正)

[通常スキル]
・先駆け[作戦:逃げ]
(序盤に選択肢追加:ゴールのコンマ判定に+50の補正)
・先手必勝[作戦:逃げ]
(序盤に選択肢追加:ゴールのコンマ判定に+100の補正)
・末脚[汎用]
(終盤に選択肢追加:ゴールのコンマ判定に+50の補正)
・全身全霊[汎用]
(終盤に選択肢追加:ゴールのコンマ判定に+100の補正)
・コーナー加速〇[汎用]
(中盤に選択肢追加:ゴールのコンマ判定に+50の判定)

[スキルヒント]
・曲線のソムリエ Lv2
(中盤に選択肢追加:ゴールのコンマ判定に+100の判定)

脚質適正
逃げA/先行A/差しB/追込B

距離適性
短距離D/マイルD/中距離A/長距離A

――――

下1
やる気ドロップスを使用するか、しないか

▼マヤノトップガンのやる気が上がった。(好調→絶好調)

―――


――五月某日。

 春が過ぎ、梅雨に差し掛かろうかという時期。

 蒼天は高く透き通り、風は心地よくそよいでいる。

 マヤノトップガンとトレーナーは、いつも通りのテンションで控室に入っていた。


「トレーナーちゃん! このレースに勝ったら、マヤのお願い聞いてくれる?」
「ものによる、とは言っておこうかな」
「えーっ……。でも、ものによるけど、お願いは聞いてくれるってことだよね!」


 よし、と意気込むマヤノトップガン。苦笑を浮かべてマヤノトップガンを見るトレーナー。

 満面の笑みは、どんな暗闇をも照らす光であるかのように輝いており、彼女のそんな様子を見ると、トレーナーは少し安心できるのだ。

 都度二回。トレーナーはこの先の物語を紡ぐ前に消えてしまった。

 繰り返すごとに、物語を先に紡ぐ力がついているような気がしている。だが、それよりも――今までに別れを告げてきた経験が、今もこのメイクデビューに対する強い緊張をトレーナーに与えていた。


「――トレーナーちゃん?」
「……ああ、どうかしたか、マヤノトップガン」
「もう一回、マヤのことマヤノって呼んでくれないかな?」
「え?」


 トレーナーが呆けた表情で返すと、マヤノトップガンは頬を膨らませながらトレーナーに遺憾の意を示す。


「トレーニングの時、マヤノのことを大事にしたいと思ってるから~って言ってたーっ! トレーナーちゃん、もう一回言ってよ~!」
「……勝ったらな」
「――。そっか、勝ったらマヤノ呼びね! ユー・コピー?」
「アイ・コピー。そう言ったからには絶対に勝って来いよ?」
「ふふーん! トレーナーちゃんがびっくりするくらいの走りを見せちゃうんだから!」


 席を立つマヤノトップガン。夕陽の色をそのまま宿したかのようなオレンジ色の髪の毛がふわりと波打ち、少しの間をおいて、彼女の表情を隠す。

 窓から太陽の光が差して、マヤノトップガンのキューティクル抜群の髪にエンジェル・リングを作る。


「――見せちゃうから、さ。トレーナーちゃん。そんな悲しい表情、もうさせないからね」


 表情を見せずにパドックへ向かうマヤノトップガン。その言葉に、トレーナーは思わず自身の顔にぺたぺたと触れる。


「……担当ウマ娘に心配されてちゃぁ、トレーナー失格だな」


 乾いた笑いを漏らして、マヤノトップガンが出て行った扉を見る。きらきらと煌めく陽光が部屋に差し込まなくなって、少し白んだ両手を解いた。


「――輝いてこい、マヤノトップガン」

今回から作戦によってスキルが変わってくるので、まずは作戦決定の方からコンマ安価を取ります。
よろしくお願いします。

―――
■レース

下1 作戦決定(コンマ)
逃げ[G]/先行[A]/差し[A]/追込[C]

01~70:逃げ[A]
71~80:先行[G]
81~90:差し[G]
91~00:追込[C]

――

よく確認して打ち込むべきだと思いました。訂正します。

―――

■レース

下1 作戦決定(コンマ)
逃げ[A]/先行[A]/差し[B]/追込[B]

01~40:逃げ[A]
41~80:先行[A]
81~90:差し[B]
91~00:追込[B]

――

安価下です

▼マヤノトップガンの作戦が[差し(B)]になった。

―――

下1
・戦術家 使用回数残り1
安価を取り消し、任意の結果に書き換えることができる。
使用しますか?

※使用回数は「今回ループまでの残存使用回数」です。
※つまり、ここで使用すると今回のループではもう使用することができません。

―――

では、追込のままで参りましょう――。

下1 レース序盤のマヤノトップガンの調子

01~30:出遅れ(ゴールのコンマ判定に-50の補正)
31~60:掛り(ゴールのコンマ判定に-25の補正)
61~90:順調な出だし(ゴールのコンマ判定の補正なし)
91~00:集中状態(ゴールのコンマ判定に+25の補正)
ゾロ目:補正効果1.5倍。マイナス補正の効果は消える。

――
下2 レース中盤のマヤノトップガンの調子

01~20:ブロック(ゴールのコンマ判定に-50の補正)
21~40:掛り(ゴールのコンマ判定に-25の補正)
41~60:順調な出だし(ゴールのコンマ判定の補正なし)
61~80:快走(ゴールのコンマ判定に+25の補正)
81~00:コーナー加速〇(ゴールのコンマ判定に+50の補正)
ゾロ目:補正効果1.5倍。マイナス補正の効果は消える。

――
下3 レース終盤のマヤノトップガンの調子

01~20:好走(ゴールのコンマ判定の補正なし)
21~40:末脚(ゴールのコンマ判定に+50の補正)
41~60:全身全霊(ゴールのコンマ判定に+100の補正)
61~80:シューティングスター Lv1(ゴールのコンマ判定に+150の補正)
81~99:ひらめき☆ランディング Lv1(ゴールのコンマ判定に+150の補正)
00  :ひらめき☆ランディング Lv3(ゴールのコンマ判定に+300の補正)
ゾロ目:補正効果1.5倍。

――

下4 ゴールイン 着順確定

――

▼作戦

●追込[B](補正:パワー、根性)
補正がある能力値+100


▼着順決定
[ 下4のコンマ+序盤補正+中盤補正+終盤補正]=レース中達成値
[ウマ娘の能力値から賢さを除いた合計]=能力値参照値
【[レース中達成値]+[能力値参照値]+バ場補正/芝A(+100)+中距離適正A(+100)+やる気/絶好調(+100)=達成値】
達成値-(レース中全てのマイナス補正-賢さ)=最終達成値

最終達成値が1100を超した場合 1着
※(100超えるごとにバ身が1伸びる。報酬増)
最終達成値が1000を越した場合 2~3着
最終達成値が900を越した場合  4~5着(掲示板)
最終達成値が900を下回った場合 着外

※三回目のメイクデビュー。継続ラインを提示します。
継続ライン:~5着

あれ、よく見たら差しから追込に変わってない?

▼レース展開
序盤(49):掛り(-25)
中盤(15):掛り(-50)
終盤(30):末脚(+50)
着順決定:39
――――――――――――
[-25]+[-50]+[50]+[39]=14 レース中達成値


▼作戦:追込(B)
スピード:77(G)
スタミナ:106(F)
パワー:88(G)+100=188
根性:101(F)+100=201
賢さ:95(G)
――――――――――――
77+106+188+201=572 能力値参照値


▼着順
[レース中達成値:14]+[能力値参照値:572]
+[バ場補正/芝A:100]+[中距離適正A:100]
+[やる気/絶好調:100]
=886 達成値
―――――――――――――
[達成値:886]
[レース中全てのマイナス補正:75]
[補正後賢さ:95] 
―――――――――――――
[最終達成値:886+75]=961

結果、マヤノトップガン――4着!


>>253
アッ……。ちょっと再計算してきます……!

見直してみたらいろいろおかしかったので、一連の処理が終わったら基準など改めて定めたものを記載します。
とりあえずこんな感じです。お騒がせしてすみません……!

―――

▼レース展開
序盤(49):掛り(-25)
中盤(15):掛り(-50)
終盤(30):末脚(+50)
着順決定:39
――――――――――――
[-25]+[-50]+[50]+[39]=14 レース中達成値


▼作戦:差し(B) (スピード、スタミナ、パワーにそれぞれ+75の補正)
スピード:77(G)+75=152
スタミナ:106(F)+75=181
パワー:88(G)+75=163
根性:101(F)
賢さ:95(G)
――――――――――――
152+181+163+101=597 能力値参照値


▼着順
[レース中達成値:14]+[能力値参照値:597]
+[バ場補正/芝A:100]+[中距離適正A:100]
+[やる気/絶好調:100]
=911 達成値
―――――――――――――
[達成値:911]
[レース中全てのマイナス補正:75]
[補正後賢さ:95] 
―――――――――――――
[最終達成値:911+75]=986

結果、マヤノトップガン――4着!

――トレーナーちゃんがびっくりするくらいの走りを見せちゃうんだから!


 想いは形となり、願いはやがて天に届く。

 マヤノトップガンは意気軒昂になりながら、パドックに入る。

 周辺には様々な脚質、様々な作戦を持ったウマ娘が闊歩していた。そのどれもが警戒するには値しないが――しかし、マヤノトップガンにとっては慎重に事を進めなければならない事情がある。

 敵を知り、己を知れば百戦危うからず――。自身が少し浮ついた状態であることすらも、マヤノトップガンの認識するところだった。それを逃がすことは今の彼女には出来ないが――しかし、それを酌量したうえで作戦を考えることはできるだろう。

 ぐるぐると考えを巡らせ、最終的に"掲示板外"は可能性として低い、と判断する。ブロックや掛りなどのマイナス要素はあるが、それを補うレース運びにしてしまえば解決だ、とも。

 論より証拠。ゲートインするその瞬間にも、マヤノトップガンは思考を巡らせていた。考えをどう形にするか――トレーナーに捧げる勝利について……。

 空路へのテイクオフは間近に迫り――やがて、開かれた。

―――

 やはりと言うべきか、滑り出しはあまりよくなかった。スタミナが持っていかれる感覚がマヤノトップガンを襲う――が、ある程度想定したところだ。

 ブロックされるよりもはるかにマシだ――と考えていると、中盤に差し掛かりブロックが苛烈になる。パワーは不足している、逃れることはできない。

 だが、マヤノトップガン走っている。いくらレースのエキスパートであったとしても、意志を持って動いている以上は必ずほころびがあることを。


――そうだ。あの時、天皇賞の時のナリタブライアンもそうだった。


 あの走りは完璧だったと誰もが言う。だが、マヤノトップガンはしっかりと観察し、そして"理解した"。ナリタブライアンの走りも詰め切れておらず、ほころび――勝利への空路がまだまだ広がっていることに。

 それを"理解"してしまえば、それを活かすだけだ。

 第四コーナーを回って最終直線に至るとき。コーナーという姿勢制御に意識が向く瞬間に、大きなほころびが生まれた。それを穿つように――マヤノトップガンは飛び出す!

 一着にはなれないかもしれない。でも、それでも――トレーナーには出来る限りの勝利を――!

 一心で駆け抜けるターフは、無限にも等しい時間を感じさせる。弾ける汗。弾む息。そして――軽やかな心。


(勝つんだ)


 空へ至る末脚が彼女を運んだのは――掲示板という、勝利へ至る航路だった。

―――

■下1~5 リザルト
※コンマの分だけ数値が上昇します。
※今回四着――達成目標ギリギリなので、補正値はありません。コンマ値がそのまま能力値になります。

―――

スピード:下1
スタミナ:下2
パワー:下3
根性:下4
知識:下5

■[すくらんぶる☆ゾーン]マヤノトップガン
スピード:77+78=155
スタミナ:106+36=142
パワー:88+32=120
根性:101+73=174
賢さ:95+30=125
やる気:絶好調

[固有スキル]
・ひらめき☆ランディング Lv1
(終盤に選択肢追加:ゴールのコンマ判定に+150の補正)
・シューティングスター Lv1[汎用]
(終盤に選択肢追加:ゴールのコンマ判定に+150の補正)
・これが諦めないってことだァ! Lv2 [作戦:逃げ]
(終盤に選択肢追加:ゴールのコンマ判定に+200の補正)

[通常スキル]
・先駆け[作戦:逃げ]
(序盤に選択肢追加:ゴールのコンマ判定に+50の補正)
・先手必勝[作戦:逃げ]
(序盤に選択肢追加:ゴールのコンマ判定に+100の補正)
・末脚[汎用]
(終盤に選択肢追加:ゴールのコンマ判定に+50の補正)
・全身全霊[汎用]
(終盤に選択肢追加:ゴールのコンマ判定に+100の補正)
・コーナー加速〇[汎用]
(中盤に選択肢追加:ゴールのコンマ判定に+50の判定)

[スキルヒント]
・曲線のソムリエ Lv2
(中盤に選択肢追加:ゴールのコンマ判定に+100の判定)

脚質適正
逃げA/先行A/差しB/追込B

距離適性
短距離D/マイルD/中距離A/長距離A

――――

―――

「……。ループは起きない、か」

 一人ごちって、空を見上げる。

 以前ならばこんな光景を見ることもできなかっただろう。歓声に沸き立つ客席、嬉し涙や悔し涙を流すウマ娘たち。――そして。


「トレーナーちゃーんっ!」
「おわっぷ」


 マヤノトップガンがかなりの勢いで走ってきて、抱き着いてきた。

 俺は受け身を取ることができず、そのまま地面に押し倒されるような形でマヤノトップガンを見上げることになった。

 頭に走る鈍痛を無視して、笑って見せる。


「よく頑張ったな」


 にこりと微笑みかけると、マヤノトップガンも答えるように黄金色の瞳を弓なりに細める。

 にんじん色の髪の毛がこちらに垂れ下がってきて、毛先が鼻に触れる。こそばゆい心地と、少し甘い……柑橘系の香りだろうか? とにかく女の子らしい香りがふわりと鼻に香った。

 彼女と、彼女の髪の毛に視界全てが覆われて、俺は思わず安堵する。

 ループせずに済んだ。それがどれほど大きい事実か、俺以外にわかる奴は居ないだろう。それこそ、俺が今までたどってきた道を知っている人間以外は――。

 だからこそ、感動もひとしおだ。気分も浮ついている。

 ふとそんな感動に浸っていると、マヤノトップガンの表情がこちらを咎めるようなものになっていた。何かしてしまっただろうか――と思った瞬間、考えを察したかのようにマヤノトップガンが俺の手に軽く触れる。

 何となく察した。ツインターボもそうだったが、このくらいの年の子はそういうのが好きなのだろうか。

 ゆっくりと手をマヤノトップガンの頭へもっていき、絹の糸のような髪を撫でる。するりと指が通って、その度に辺りに柔らかく甘いにおいが漂う。くらくらしそうだ。

 マヤノトップガンの緩む表情を見れば、恐らくは正解だったのだろう。再び、わずかに安堵して――ふと、周りがざわつく音が聞こえた。何かを噂しているようだが……。


「うふふ、仲がよろしいんですね」


 婦人らしき声が聞こえて、俺は思わず硬直した。

 ひょっとしなくてもこれ、事案――。


「むー。なんでトレーナーちゃんとマヤの時間を邪魔するの?」
「仲が良いことはとても喜ばしいことなのですが、少しばかり……注目を集めてしまっているようですよ?」


 マヤと俺はそろって首位を見渡す。

 メイクデビュー。ウマ娘たちの晴れ舞台である。すなわち、それを観戦するためにたくさんの人が訪れているという事で――。

 思わず赤面して、俺たちはそそくさとトレーナー室へと引き下がったのだった……!

――

―――

トレーナー「……いやはや、迷惑をかけました、たずなさん」

たずな「あはは……。まぁ、メイクデビューはウマ娘たちの晴れ舞台ですからね。気分が高揚するのもわかりますよ!」

トレーナー「はは、ははは……」

たずな「さて、メイクデビューを済ませたウマ娘とトレーナーさんにはお知らせしなければならないことがあります。その為に私が此処に居るんですが――」

たずな「マヤノトップガンさんは……?」

トレーナー「……マヤノ、いい加減カーテンにくるまるのはやめたらどうだ」

マヤノ「……」

トレーナー「……あんな具合なんで、聞きたいことがあったらあとでお願いします」

たずな「あはは……。では軽く説明を」

たずな「これからお二方には、適性に合致するレースに出場し、実績を上げていただく必要があります。実績が振るわなかったり、結果を残せなかったりすると、ウマ娘の担当トレーナーを外されることになりますので気をつけてください」

たずな「それで、マヤノトップガンさんの脚質や適性などを考えると――次は、中距離系のレースに出走するといいかもしれません」

たずな「そうですね……」

たずな「難易度は高いですが、ウマ娘の成長が見込めるGⅠレース【ホープフルステークス】への出走」

たずな「難易度はそこそこですが、安定した成長と実績の積み重ねが見込めるGⅢレース【京都ジュニアステークス】への出走」

たずな「難易度は低く、ウマ娘の成長はあまり見込めませんが、実績の積み重ねが見込めるプレオープンレース【紫菊賞】への出走」

たずな「ここ辺りがおすすめでしょうか。……どうなされますか?」

トレーナー「うーむ……どうするべきか……」

―――

下1
【ホープフルステークス】  難易度:高 報酬:大
【京都ジュニアステークス】 難易度:中 報酬:中
【紫菊賞】         難易度:低 報酬:小

(小学生並みの間違いしてますね、たずなさんではなく【たづな】さんでした……すみません……安価だったら下です)

こんにちは。
担当ウマ娘から外される経緯についてはゲーム準拠です。
ただ指摘があった通り、この安価SSにおけるレースの難易度はそれなりに高いので、1着を取らなければならない、とすると大事故に繋がる可能性がある――ので。取り敢えずは必ずしも1着を取らなければならないという目標を序中盤には設定しないつもりです。(続いていけばどこかには入ります。ゲームにおけるURA前の有馬記念とかあんな感じで)

後今更ながら(本当に今更ながら)注意書きについて補記です。

・当作品はウマ娘プリティーダービーの二次創作であり、本家に無い設定や展開などが有り得ます。悪しからずご了承ください。

取り敢えず次の目標――京都ジュニア超えたら明確な季節的イベントがふたつあるので、それは超えてからのお楽しみ……ということで……

ゆるりと参りましょう。更新は夕方以降です。

家に帰ってそのまま泥のように寝てました。今から書いてきます~

トレーナー「……京都ジュニアステークスを目指そうと思います」

たづな「なるほど。京都ジュニアステークスを目指すのであれば――そうですね。実績としては3着以上を取らなければ、担当トレーナーを外されてしまいます」

トレーナー「3着か。不可能なわけではない――けど」

たづな「私は、トレーナーさんと、マヤノトップガンさんのことを信じています」

トレーナー「……わかった。兎にも角にも、実績を積まなければならないわけですしね」

たづな「……はい。それでは、用件は以上です。そろそろ私は失礼しますね」

トレーナー「はい、わざわざありがとうございました」

たづな「いえいえ。それでは――」

―――

トレーナー「さて、たづなさんが退室したわけだが――」

マヤノ「……」

トレーナー「いつまでそうしてるつもりだ、マヤノ……」

マヤノ「うぅ~……」

トレーナー「これは、少し時間を置く必要がありそうだな……」

トレーナー「もう遅い時間だし、今日はこれで解散にする。――寮まで送っていくぞ」

マヤノ「――今日は一人にさせてーっ!」

トレーナー「あ、ちょ、廊下は走るな――って、もう行ったか……さすがウマ娘だ……」

トレーナー「今日も色々あって疲れたし、俺も自室に戻るか」

―――

下1 トレーナーは夜どうする?
※自由にどうぞ。
※モノによっては何か新しいスキルやスキルヒントを得ることができるかもしれません。

トレーナー「――ナリタブライアン。あの子の走りは脅威だが、それ故に学べるものもあるだろう。特にあの強力無比な差しの才能……」

トレーナー「いずれ対戦するにあたって、情報の収集は必須だ。それに――マヤノトップガンに異常がみられる今、ナリタブライアンの存在はカンフル剤になりえる――と思う」

トレーナー「というわけで持ち出したるは、ナリタブライアンが出走したレースの記録。トレセン学園の映像室にあった。むろん許可は取っている」

トレーナー「さて……見るとするか」

―――

「――11番、ナリタブライアン。内側で様子を伺っている」


 実況の声が響き、俺の意識はそちらに集中する。

 アングルは一定。まるでウマ娘のことを追跡するように、ナリタブライアンのことを常に映してくれている。一体どのような技術なのか見当もつかない。

 だが、その技術のおかげで俺は十全に研究することができそうだ。

 ナリタブライアンの走りは、特にこれと言って特徴的なものではない。ベーシックで――だからこそ強力な走法だ。

 むろん彼女自身の身体能力もあるのだろうが――恐らくは、コーナーからの差しに強い特徴がある。

 ターフを鋭く蹴り込むような走り。天皇賞春で、見事一着をもぎ取ったその驚異的な業脚。

 ……ここだ。第四コーナーを回って最終直線。ナリタブライアンが大外へ回った瞬間にビデオを止める。

 あの時は詳細に見ることができなかったが、やはりターフの芝が大胆に削られている。飛び散る砂塵や芝を見れば、その鋭い踏み込みが露わになる。

 コーナーから最終直線に向かう直前、彼女は姿勢制御を無視するような強力な踏み込みで前に飛び出している。これが彼女の差しの才能のゆえんだろう。

 そうか。これはそんじゃそこらのウマ娘じゃ真似できないだろう。これは――天性の身体能力と柔軟性を併せ持つナリタブライアンだからこそ出来る、唯一無二の差し。


「幽霊の正体見たり枯れ尾花――って感じだな。でも、これは少し参考にならなさそう……いや待てよ?」


 マヤノトップガンにそのまま活かせるような研究結果ではない。マヤノトップガンの体は大きいとは言えず、身体能力についてもブライアンと比肩するかと言われるとそうではない。

 彼女の持ち味はその鋭い観察眼と、些細な機微をついて事態を解決に導く解決力にこそある。

 だからこそ、マヤノトップガンには適用できない――が、物は考えようである。

 彼女は物事を理解することに長けている。であれば、繊細な姿勢制御に重きを置けば、ナリタブライアンほどとは言えないが、鋭い差しが可能なのではないか。


「これは何かのヒントになりそうだ――!」


―――
▼脚質適正[差しB]のランクアップが可能になった。
※ランクアップへの挑戦は1ターンを消費することで可能になります。

トレーナー「メイクデビューから一週間が経過した」

トレーナー「あれから何があったのかはわからないが、マヤノトップガンは持ち直し、普段通りになった……と思う」

トレーナー「……学内で"マヤノトップガンのトレーナーはロリコンである"という噂が立っているらしいが、マヤノトップガンの勝利に比べれば安いものだと思う」

トレーナー「…………思う」

トレーナー「さて。今日は何をしようか」

下1
トレーニング/お出かけ/休憩/スキル習得/脚質上昇/その他(良識の範囲内で自由に)
※京都JSまであと10ターン(当ターンを含む)

ってことはスズカさんとかの走りを観れば逃げや先行をSにもできるのか
さすがに適正Sは厳し目のコンマ判定ありそうだけど

>>287 場合に拠ります、とは申し上げておきますわ(メジロマックEーン)

―――

トレーナー「マヤノ~」

マヤノ「なぁに、トレーナーちゃん?」

トレーナー「今日もマヤノは元気だなぁ」

マヤノ「やる気全開! トレーニングもフルパワーでこなしちゃうよ!」

トレーナー「じゃあトレーニングに――」

トレ・マヤ「「テイク・オーフ!」」

―――

下1 トレーニングの内容
スピード/スタミナ/パワー/根性/賢さ/その他

下2 トレーニングの効果量(コンマ)
※ゾロ目は追加イベント

トレーナー「じゃあ、これからトレーニングをやっていくんだが……」

マヤノ「今日は何するのー?」

トレーナー「今日はスピードを重点的に上げていくことになる。というわけで、張り込みをやっていくぞー!」

マヤノ「おー!」

―――

■[すくらんぶる☆ゾーン]マヤノトップガン
スピード:155+51=206(E)
スタミナ:142(F)
パワー:120(F)
根性:174(F)
賢さ:125(F)
やる気:絶好調

[固有スキル]
・ひらめき☆ランディング Lv1
(終盤に選択肢追加:ゴールのコンマ判定に+150の補正)
・シューティングスター Lv1[汎用]
(終盤に選択肢追加:ゴールのコンマ判定に+150の補正)
・これが諦めないってことだァ! Lv2 [作戦:逃げ]
(終盤に選択肢追加:ゴールのコンマ判定に+200の補正)

[通常スキル]
・先駆け[作戦:逃げ]
(序盤に選択肢追加:ゴールのコンマ判定に+50の補正)
・先手必勝[作戦:逃げ]
(序盤に選択肢追加:ゴールのコンマ判定に+100の補正)
・末脚[汎用]
(終盤に選択肢追加:ゴールのコンマ判定に+50の補正)
・全身全霊[汎用]
(終盤に選択肢追加:ゴールのコンマ判定に+100の補正)
・コーナー加速〇[汎用]
(中盤に選択肢追加:ゴールのコンマ判定に+50の判定)

[スキルヒント]
・曲線のソムリエ Lv2
(中盤に選択肢追加:ゴールのコンマ判定に+100の判定)

脚質適正
逃げA/先行A/差しB/追込B

距離適性
短距離D/マイルD/中距離A/長距離A

――――

トレーナー「張り込みってなんだ張り込みって……」

マヤノ「でも楽しかったよ? ほら、マックイーンさんがスイーツ店に吸い込まれたみたいに入ってく姿とか」

トレーナー「……本人には秘密にしてやろうな」

マヤノ「もう話しちゃった!」

トレーナー「……かわEそうに」

マヤノ「でねでね、今度一緒に行くって約束したんだー」

トレーナー「なぜそうなったんだ?!」

トレーナー「まぁいいか……。今日は何をしようか」

下1
トレーニング/お出かけ/休憩/スキル習得/脚質上昇/その他(良識の範囲内で自由に)
※京都JSまであと9ターン(当ターンを含む)

トレーナー「ナリタブライアンに勝ちたいか」

マヤノ「……うん」

トレーナー「君が思うより、彼女は強い――。ナリタブライアンという存在は、今や全てのウマ娘に畏怖をもたらすほどの存在だ」

トレーナー「マヤノ。君はいうなれば、沈みゆく夕陽を追い掛けることになる。――地平線に沈む夕日を追い越すのは……不可能な話だ。それでも君はかのじょにいどみたいか」

マヤノ「……あのね、トレーナーちゃん。マヤね、ブライアンさんを見た時ね、すごく寂しいな、って思ったの。公園でお友達と一緒に遊んだあとに、ばいばいってしたあとみたいな。そんな寂しさを感じたんだ」

マヤノ「このままだと完全に沈んじゃう。だから――ブライアンさんが沈んじゃう前に、マヤがブライアンさんを追い越して、ここにいるよ、って言いたいんだ」

トレーナー「……夕陽が沈む速度より速く走れば、夕陽はいつまでも沈まない。そういうことか?」

マヤノ「うん!」

トレーナー「その心意気や、よし! 今日は技術のトレーニングを行う。これは、マヤノがナリタブライアンの影を踏むための第一歩だ。夕陽に食らいつく前に、影を捕まえなきゃいけないからな……!」

マヤノ「ふふーん。マヤのしゅーとくスピードに置いてかれないでね、トレーナーちゃん!」

――――

下1 コンマ
50以上なら習得
50以下の場合ヒントレベル上昇

(今晩の更新は)ないです

マックEーンに当たりが強いのは、今日育成開始2ターンで愛嬌〇引けて「すわ、上振れか?!」と思ったらEで育成終了してしまったからです。私のせいですね。
そろそろメジロマックAーン作りたいです。

最近ミスが多くなってきたので、色々確認した上で投稿したい所存……。走り込みを張り込みと誤字するのは少々いただけない……。全部その場で書いてる手作業感すら味わっていただければ。

「300位で終わるかもなー」とか漠然と思ってたら、全然終わってなくて笑ってます。確実に次スレに行く勢いですが、気が向く限りお付き合いいただけると幸いです。

取り留めのない深夜の自分語りでした。皆様良い夜を。


残念ながら、コンマ判定ではあるんですけど習得コンマなので、特に何か追加で発生はしません……。

―――

――それはオレンジの閃光だった。

 バ場を縫い合わせるような、鋭く複雑なステップが踏まれて――加速する。

 たったそれだけの動作だった。ウマ娘であればよくある光景かもしれない。だが、トレーナーはその光景に見惚れてしまっていた。

 元にしたナリタブライアンの走りとは大きく異なるが、しかし確実に脚運びが上達しているという事実。

 何よりも、風に乗ってかけ出すマヤノトップガンの表情が、とても軽やかで楽しそうに見えたからだ。

 もはや一遍の疑いもない。マヤノトップガンは――彼女だけの技術を身につけたのだ。

 トレーナーは、知らず手をグッと握り、成長を祝ったのだった――。

―――

▼スキル[曲線のソムリエ]を習得した。


トレーナー「あれ以来、マヤノのコーナーリングが異常に上手くなった。さすが飲み込みが早い――というか天才肌だな、と感じた」

トレーナー「マヤノの才能を伸ばしきれるかどうか、それがおそらく凡百のトレーナーである俺の至上命題だろう」

トレーナー「まぁもっとも、俺が居なくてもどうにかなりそうな感じはするが――言わぬが花かね」

トレーナー「悲しくなってきたな。今日は何をしようか……?」

?下1 ?トレーニング/お出かけ/休憩/スキル習得/脚質上昇/その他(良識の範囲内で自由に) ?※京都JSまであと8ターン(当ターンを含む)


―――

トレーナー「敵を知り己を知れば百戦危うからず――今や誰もが知る孔子の言葉だ」

トレーナー「こと現代においてもその言葉に間違いはない。情報とは武器であり、重要なカードのひとつだ」

トレーナー「隠匿する情報と公開する情報の是非によっては、事前情報ですらレースの結果を左右することになるだろう――」

トレーナー「という訳で敵情視察だ。今日は模擬レースが開かれているらしいからな――」

トレーナー「マヤノ?」

マヤノ「トレーナーちゃん、マヤね、考えたんだけど……」

マヤノ「トレーナーちゃんって案外負けず嫌いなタイプ?」

トレーナー「え? まぁそうだな……」

トレーナー(というか負けたらループしちゃうしな……)

マヤノ「ふーん、なるほどね……。あ、もうそろそろ行かないと模擬レース始まっちゃうよ!」

トレーナー「ああ!」

―――
下 1~3
模擬レースしてるウマ娘
(出来ればゲーム中で適正とかのデータが出てる子でお願いします――!)

ちょっとコンマ処理で熱暴走起こしそうなので、頭空っぽにしたレース判定取ります。よろしくお願いします。

手っ取り早く私のアカウントにいる育成済三人をルムマで走らせます。

下記にステータスを乗せておくので、誰が一番良い順位になるか予想してください。見事当たったら何かあります。

ちなみにマイルチャンピオンシップで走らせます。
それ以外はランダムなので、割と運要素が絡んでくると思います。宜しくお願いします。

―――

・サクラバクシンオー(評価B+:9698)
スピード:1200(SS+)
スタミナ:337(D)
パワー:627(B)
根性:287(E+)
賢さ:304(D)


芝A/マイルA/逃げS

[スキル]
学級委員長+速さ=バクシン lv4 / アングリング×スキーミング
根幹距離◎ / 外枠得意◎ / 弧線のプロフェッサー
末脚 / 先駆け / スプリントギア(短距離)
様子見(短距離) / 逃げ焦り / 短距離直線◎(短距離)
プランX(短距離)

―――

・オグリキャップ(評価B+:9496)
スピード:868(A)
スタミナ:485(C)
パワー:767(B+)
根性:338(D)
賢さ:504(C+)

芝A/マイルA/先行A

[スキル]
勝利の鼓動 Lv3 / 良バ場〇 / 円弧のマエストロ
ハヤテ一文字 / 末脚 / 抜け出し準備
先行コーナー◎ / 直滑降 / 食いしん坊
ウマ好み / 尻尾上がり

―――

・シンボリルドルフ(評価B+:9194)
スピード:676(B)
スタミナ:687(B)
パワー:828(A)
根性:418(C)
賢さ:466(C)

芝A/マイルB/差しA

[スキル]
汝、皇帝の神威を見よ Lv4 / 雨の日〇 / 円弧のマエストロ
全身全霊 / 位置取り押し上げ / 外差し準備
差し直線◎ / 差しコーナー◎ / 尻尾上がり

―――

下1~3 誰が最も良い結果を残すか。
※票がばらけた場合、ばらけた中で最もコンマが高い安価先のウマ娘が本命◎となります。

トレーナー「物凄い気迫だ……。誰もかれもが素晴らしい出来上がりだな」

マヤノ「うん、でもこの勝負――多分あの人が勝つよ」

トレーナー「……オグリキャップ。葦毛の怪物、か」

マヤノ「多分あの人が一番、マイルの距離に慣れてる。動きが違うもん」

トレーナー「確かに、彼女が中央に来る前を含めて、目立つ戦績には必ずマイルの文字があるな……。とはいえ、勝負は終るまで解らない。マヤノの予感が正しいものなのか、しかと見届けようじゃないか」

―――

■結果

1着:オグリキャップ
2着:シンボリルドルフ(1バ身差)

18着:サクラバクシンオー

見事的中――!

―――

下1 習得コンマ
1~90:出たコンマに対応するスキル
91~00:脚質適正上昇(先行、差し)
※先行はオグリキャップとマヤノトップガンの脚質:先行が同ランクの為上昇しません。
※差しはオグリキャップの[脚質:差し]よりも、マヤノトップガンの[脚質:差し]が低いので上昇します。
※コンマゾロ目は追加コンマ安価



実況「残り200――ここでオグリキャップッ! 前に出たッ! 誰も追いつけない! 葦毛の怪物が白銀の残影を残しながら今――ゴールッ! マイルの怪物、此処に在りぃッ!」

トレーナー「……凄いな、特に残り200からの抜けだしと加速――ありゃまるで弾丸だ」

マヤノ「他の人も凄かったけど、あの人がずびゃっ! ってなった時にはもう遅かったよね」

トレーナー「ずびゃっ……? まぁ、確かに全員が素晴らしい出来だったと思う。でも彼女は――オグリキャップは群を抜いて素晴らしかったな。調子の問題もあるだろうし、次も同じ結果になるとは思えないが……それでも、彼女の王座が揺らぐイメージが出来ない俺もいる」

マヤノ「……うーん。ねぇトレーナーちゃん、マヤも走りたくなっちゃった! 帰ってトレーニングしよ?」

トレーナー「今からか?! 観察した結果をこう、理論立てて――」

マヤノ「今なら何か掴めそうな気がするの! テイク・オーフっ!」

トレーナー「俺の仕事おおおおおぁぁぁぁぁ~……」


――その後、日が暮れるまでみっちり練習した!

―――

▼スキル[ハヤテ一文字]を習得した。

―――

■閑話:休日の一幕

「――ねぇ、トレーナーちゃん」
「ん、なんだ?」
「トレーナーちゃんは、お休みの日でもお仕事してるの?」
「んー……。まぁ、これはお仕事っていうよりも、資料をまとめてるだけだ」


 トレーナーとはウマ娘のために最善を尽くす職業だ。この資料も担当ウマ娘――マヤノトップガンの育成論についてまとめたもの。つまりはまぁ、広義における仕事ではある。

 とはいえ、ここで正直に答えてしまっては、マヤノに余計な気を使わせてしまうことになるだろう。なぜせっかくの休日を使ってまでトレーナー室に入り浸っているのかはわかりかねるが、俺を訪ねたのであれば最低限の気遣いはしなければ。

 コーヒーの苦みで気分をリセットして、再度資料の編纂に向き直る。マヤノトップガンのこれまでの試合をデータ的に振り返って、何が課題点なのかを洗い出す作業なのだが――。


「ねぇトレーナーちゃん」
「なんだ?」
「今から、マヤが言うことに全部"いいえ"って答えるゲームしよ!」
「……まぁ、それくらいなら」


 マヤノは来客用のソファから立ち上がり、こちらへと向かってくる。そして、執務机の真ん前に立つと、一本指を立てた。


「トレーナーちゃんは、マヤのことがキライ?」
「いいえ」
「じゃあ――トレーナーちゃんは、お仕事が好き?」
「いいえ」
「じゃあトレーナーちゃんは……。猫が好き?」
「いいえ」


 本当は好きだ。だが、そういう趣旨のゲームなので"いいえ"と答えておく。

 一体どういう意図があるのかさっぱりだが、今まで凝り固まっていた思考をほぐすのにはちょうどいいくらい、脱力感があるゲームだ。ただただ与えられる質問にNOと答えるだけでいい。なんてラクなゲームなのだろう。

 その後もマヤノの質問は続いた。やれ好きな食べ物はラーメンではないだの、やれ好きなレース場は短距離だだの、良く解らないし、回答に困るような質問ばかりだ。

 それにしても、回を追っていく毎にマヤノがうきうきとし始めたのだが――何か考えがあるんだろうか。気にするだけ無駄か……。


「トレーナーちゃんは、青が好き?」
「いいえ」
「トレーナーちゃんは、赤い部屋が好き?」
「いいえ」
「トレーナーちゃんのコーヒー、マヤが飲んじゃダメだよね?」
「いいえ」


 ……ん?


「わーい。じゃあ、トレーナーちゃんのお膝に座っちゃダメだよね?」
「いいえ――って、ちょっと待て」
「だーめ! もういいえって言いましたー!」


 そういうなり、ルームウェアに身を包んだマヤノが膝の上に載ってくる。慌てて抑えようとするが――抑えられない!

 人間とウマ娘の――文字通り馬力の力を見せつけられ、なすすべなく彼女は俺の膝上に座ってしまった。

 目の前でにんじん色の髪の毛がゆらゆらと揺れる。ふわふわと漂う甘いにおいは、この前とは異なるトリートメントの匂いだろうか。

 そういえば副会長――エアグルーヴがしっぽケア用のトリートメント云々で悩んでいたと風のうわさで聞いたが……努力が結実したらしい。よかったな。

 ……いや、今はそんな現実逃避をしている場合じゃない。ぱたぱたと揺れるしっぽが太腿を撫でる。前にかがむような体勢になっているところを見れば――恐らくはコーヒーを取ろうとしているのだろう。

―――
下1 さて、トレーナーはどうする?


――とはいえ、さすがに担当ウマ娘と……その、なんだ。間接キスをするのは少しまずい気がする……ので、マヤノトップガンの気を引く必要がある。

 では何が出来るか。尻尾は……つかむには少しなめらかすぎる。そう考えると、俺の視線はそのまま耳の方へと向かった。

 ……背に腹は代えられない。俺は耳に手を伸ばし、撫でるように触れた。


「ひゃっ!? と、トレーナーちゃんったら、だいたーん……!」
「……コーヒーなら別のを用意する。用意するからそれだけは勘弁してくれ――!」
「えー……」


 頬をリスのように膨らませ、不満です! と今にでもいいそうな顔になるマヤノ。だが、これも健全な関係を保つためにも必要なこと……。

 いや、そもそも健全な関係とはなんだ? それが良く解らない。健全な関係を保つことはトレセン学園の風紀を保つことに繋がるけど、そもそも健全な関係という指標が不確かな以上、そこに明確な"違反"というか"不健全"な状態は定義されていないという事であり、つまりは――そう。

 深く考えないほうが身のためかもしれない。

 お互いの合意があれば多少のスキンシップは許されてしかるべきである。そうに違いない。

 ああ、いや。そういう問題じゃない。このままでは飲みかけのコーヒーを諦めなさそうなマヤノに対して、俺は策を講じなければならない。

―――

下1 トレーナーが講じる策とは……!

――ふと思いついた。

 今までの会話も、こうなった経緯すらも、全ては"はい"と"いいえ"に帰結する問題であることに。

 気を逸らすならば、そして恐らく俺が気を逸らしていることが理解できるマヤノをこっちのフィールドに引き込む方法は、因果関係のそれ以外にあり得ない――ッ!


「マヤノ、クイズをしよう」
「……。トレーナーちゃん、誤魔化すにしてももっと方法があるんじゃない~?」
「……クイズをしよう」
「……。はーい、じゃあ一問だけ!」


 ガッツポーズ。今頃俺の心臓の形はガッツポーズだ。

 飛び出すような鼓動を抑えて、冷静に――そして慎重に立ち回る。

 それがいま必要なムーブだ。ウマ込み冷静……ウマ込み冷静……。


「よし、ではクイズだ――」

―――
下1 クイズの内容

スペシャルウィーク「いつかまた、会いに来てください……! 私にいつか、あの時のお礼をさせてください!!」有馬記念1着
トレーナー「間接キスだめ!! お耳ぎゅっ!!! しっぽふっさぁ!!!」

なぜなのか

「――マヤノが今、一番欲しいもの、なーんだ」

 ……自分で言っておいてなんだが、お前正気か?!

 いや、狂気の沙汰ほど面白い! 狂気をまとった質問であればあるほどマヤノはたじろぐはずだ。その隙にコーヒーをがぶ飲みする!

 手に取る。口に運ぶ、流し込む――ッ! この間およそ0.5秒! わーおカミカゼ!

 さて、クイズの答えを言おうとしていたらコーヒーを奪われてしまったマヤノさんは――。


「一番欲しいもの……」


 ……? 随分と真剣に悩んでいるようだ。

 他愛のない質問だと思ったが、実はそうでもなかったのだろうか。彼女にとっては重大な質問だったとか?

 カフェインで胃が痛みだす予感を感じながら、マヤノの方をじっと見る。背中越しにではあるが、酷く悩んでいる様子だ。


「ま、マヤノ……?」
「んー……」


 何かをぽつりとつぶやいたマヤノ。ふと、彼女の尻尾の動きが止まる。

 何か起きる――と思った瞬間にはもう遅かった。

 マヤノが立ち上がり、隣に立った――かと思うと、素早い身のこなしで俺を椅子から引っぺがす。やがて、えい、と可愛らしい掛け声が響けば――俺は軽い浮遊感を感じる。

 何が起こったのか理解した時には――俺は床に優しく押し倒されていた。


「クイズです」


 小さくつぶやき、マヤノの黄金色の目が細くなる。弓なりに笑顔を浮かべるマヤノはとてもきれいで、可愛らしくて――。


「マヤが一番欲しいものものは……誰でしょう?」


 ああ、それはもう答えのようなものだろう。近づくマヤノの顔に、せめてもの抵抗で顔を横に逸らす。腕はもう組み敷かれていて動かせそうにないし、体も同様だ。

 唇が振れそうになる。呼吸と体温が混ざり――そして。


「なーんて、ね☆」
「……へ?」
「もー、トレーナーちゃんったら反応が可愛すぎるよー! マヤ、思わずいしゅがえし? しちゃった~」


 大丈夫? と声をかけられていきなり起こされる。

 突然のことに、突然の言葉に俺が驚いていると、マヤノは小悪魔のような笑みを浮かべて、次いでターンし俺に背を向けた。

 背中越しに、声が響く。


「おかえしだもんねー。マヤちんのことを騙そうだなんて、40ノットはやいよ、トレーナーちゃん!」


 いつも通りの声音――だったと思う。いつも通りの、穏やかで、でもどこか諧謔を弄するような声音だったと思う。……でも、何故かその時のマヤの声だけは違っているような気がして。

 そんな物思いのせいで、マヤノの最後の言葉は、右から左へとすり抜けていったのだ。


「――正解は言わなくてもわかるよね、トレーナーちゃん」

(了)

トレーナー「……何というか、マヤノは大人を揶揄うのがうまい気がする。俺にはその手の性癖が無いが、これは何というか――メスガキ? とかいうジャンルだろうか……違う気がするな」

トレーナー「いや、そんなことはどうでもいい。何というか、メイクデビュー以来マヤノが吹っ切れている気がする」

トレーナー「もちろんトレーニングも良い成績を残しているし、学業についてはさらなりだ。諸手を上げて喜ぶべきなのだろう。ああ、きっと喜ぶべきなのだろう――!」

トレーナー「それが、こちらへの距離感の近さに関係していなければ、だ――!」

トレーナー「とはいえ、後1か月もすれば合宿が入る。合宿の間はある程度周囲にほかのウマ娘がいるから大丈夫なはず――! どうにか収まってくれ、程度を知ってくれ、マヤノトップガン――!」

トレーナー「…………とはいえ、日々の業務を怠るわけにはいかない。たづなさんからもたまに調子を聞かれているからな」

トレーナー「今日は何をしようか」

―――

下1
トレーニング/お出かけ/休憩/脚質上昇/その他

トレーナー「気を紛らわせるには運動が一番! まぁ俺が運動するわけではないんだけれどね」

トレーナー「というわけで今日はトレーニングを行うぞ、マヤノ」

マヤノ「気を紛らわせるって、何?」

トレーナー「何でもないぞ、マヤノ……」

マヤノ「えー、そう言われるときになっちゃうよ~!」

トレーナー「何でもないったら何でもないの! トレーニングを行うわよ!」

マヤノ「はぁい」

トレーナー(さて、どうしたものかな……)

―――

下1 トレーニングの内容
スピード/スタミナ/パワー/根性/賢さ

下2 トレーニングの効果(コンマ)
※ゾロ目は追加イベント

スタミナ

トレーニングのときは、基礎ステータス書いてあるとありがたいかも

>>338

次回からそうしますね……!ありがとうございます!

―――

トレーナー「どれだけ強いウマ娘であっても弱点の一つや二つはある。それは理解しているか、マヤノ」

マヤノ「うん。例えばマヤなら、パワーが他のウマ娘と比べて低い……とか」

トレーナー「そうだな。例えばナリタブライアンであれば、パワーもスピードもあるが、ここぞという繊細な技術には欠ける」

トレーナー「さて、だがナリタブライアンはそんな欠点を抱えていても勝つことが出来た。それは何故か?」

マヤノ「……欠点を、長所でカバーしたから?」

トレーナー「その通りだ。当然ながら、弱みを潰すことも重要ではある――が、それには膨大な時間がかかる。故に――」

マヤノ「基礎となるスタミナを上げて、技術を磨く――だね、トレーナーちゃん!」

トレーナー「その通りだ。願わくば次はセリフを奪わないでくれよ……」

マヤノ「どーしよっかなー」

―――

▼マヤノトップガンのスタミナが上がった。

スタミナ:142+93=235

 
トレーナー「今回のトレーニングは上手くいったな。重畳重畳!」

トレーナー「マヤノのやる気も高くてトレーニングにもしっかりと取り組んでくれているからこその結果だな。ありがたい」

トレーナー「あと少ししたら夏合宿だ。マヤノも大きなレベルアップを狙えるだろうし――今回こそURA、勝ちたいな」

トレーナー「さて、今日は何をしようか……」

―――

下1
トレーニング/お出かけ/休憩/脚質上昇/その他(良識の範囲内でなんでも)
※京都JSまであと6ターン(当ターンを含む)
※当ターンが終了すると4ターン夏合宿に突入します



―――

トレーナー「夏合宿も近づいてきたし、今日のトレーニングは行わず、備えることとする」

マヤノ「はーい。じゃあ今からトレーナー室にテイク・オフ?」

トレーナー「ああそうだ……って、またトレーナー室に入り浸るつもりか……」

マヤノ「だって、トレーナーちゃんから目が離せないんだもん。それに、トレーナーちゃんもマヤがいて嬉しいでしょ?」

トレーナー「嬉しいも何も仕事だからなぁ……。まぁ来たいのなら構わないけど、あんまりもてなしたりはできないぞ?」

マヤノ「アイ・コピー!」

―――

▼休憩を行ったことにより、トレーニング効率がアップした。
※次回トレーニング時、効果量コンマの数値が2倍になります。


―――

――遠くから潮騒が聞こえる。

 バスから降りた俺たちは、鼻腔に満ちる潮の香りと、遠くからかすかに響く海の息遣いを一身に受ける。

 7月前半から行われる夏期合宿はウマ娘にとって非常に重要なイベントのひとつである。

 なんと言っても、トレセン学園中のウマ娘が一堂に会し、トレーニングを行うのだ。そこから盗み取れる技術なども多くあり――トレーナー間でも夏を制する者はバ場を制する……なんて言われるくらいだ。

 この期間を無駄に過ごす訳には行かない。

 海風が頬を叩く感触と共に、夏合宿が始まった――!

―――

■夏合宿について
夏合宿中は以下のことが行えます
・トレーニング
・休憩(トレーニング効率2倍)
・探索

■トレーニングについて
普段より効率のいいトレーニングを行うことができます。詳細なコンマ判定については、トレーニング選択時に再度説明します。

■休憩について
トレーニング効率がアップします。また、やる気が下がっている場合は1段階上昇します。

■探索コマンドについて
夏合宿中、付近の探索を行うことができます。
このコマンドによって発生した進捗はループを経ても記録されます。
直接ウマ娘の成長に結びつくかどうかは運次第。ですが結びついた時のリターンは大きい、言わばギャンブルのような要素です。
また、探索の結果によっては次回ループ時に影響が発生する可能性があります。

―――

下1
今日は何をする?
トレーニング/休憩/探索/その他(良識の範囲内で自由に)

※休憩効果発動中。次回トレーニング効率が2倍。(トレーニングをするまでこの状態は継続します)

―――
トレーナー「マヤノ、海に来てやるべきことってなんだと思う?」

マヤノ「海デート?」

トレーナー「……トレーニングだ!」

マヤノ「……えー」

トレーナー「普段とは違う環境っ! 競い合うライバルたち――それらが揃っていてトレーニングをしない理由はないっ!!」

マヤノ「……じゃあ、トレーニング終わったら海デートしてくれる?」

トレーナー「……。まぁ、集合時間までなら」

マヤノ「やったー!」

―――
下1
トレーニングの内容
スピード/スタミナ/パワー/根性/賢さ

下2~3
トレーニングの効果量
※ゾロ目で追加イベント

■[すくらんぶる☆ゾーン]マヤノトップガン
スピード:206(E)
スタミナ:235(E)
パワー:120(F)?根性:174(F)?賢さ:125(F)?やる気:絶好調
―――

しかもこの結果が倍になるという事実

―――

トレーナー「世界で1番尊い体の機関がなにか――多くの人々は心臓や脳を提示するだろう」

トレーナー「否ッ! 断じて否である!」

トレーナー「この世で最も尊い体組織は――筋肉だッ!!!」

トレーナー「やはり筋肉……! 筋肉は全てを解決する……ッ!」

マヤノ「……トレーナーちゃん、かなり汗かいてるけど大丈夫?」

トレーナー「心配するなッ! これくらい刃牙の世界ではどうということは無いッ!」

マヤノ「???」

トレーナー「背中に鬼を背負うんだ――ッ!!!」

―――
▼マヤノトップガンのパワーが上昇した。

120+(86+90)*2=472(C+)

―――

トレーナー「少しトレーニングしただけで凄まじい効率だ……。一部分記憶が無くなっているが、多分熱にうなされたんだろう」

トレーナー「そういえばマヤノとあの遊びをしていなかった気がするな。やらない方がいいとは思うが――避けては通れない道なのかもしれない」

トレーナー「――ゆっくりと"熱中症"と読む、悪魔のゲームを……!」

―――

下1
トレーニング/休憩/探索/その他(良識の範囲内で自由に)
※夏合宿終了まであと3ターン(当ターンを含む)

お仕事なのでレスポンシブ少し低めでした。
安価についてですが、>>1 に記載がある通り、ウマ娘の二次創作ガイドラインに著しく違反しない限りは割となんでもありです。ウマ娘が絡まないなら、トレーナーに人をコロコロさせても構わないということですね。
皆様の自由な発想による自由な安価をお待ちしております。

あ、更新はもう少し待ってください。

「1スレは確実に超えるな」と申し上げた所感、今でも違っているとは感じていません。
だいたいどれだけ長くても200レス行くか行かないかで一人終わるくらいに考えてます。
あとは何がいいたいか――わかりますよね?

―――

トレーナー「……冷静に考えてみれば、この大自然を活用したトレーニングを行うにあたって、あえて限界を設けるほうが馬鹿らしくはないか? と思うんだ」

マヤノ「……? よくわかんないけど、限界は超えるものだと思うかな~」

トレーナー「というわけで、限界を超える――というか、既定の考えに沿わないトレーニングもまた必要だ、と俺は判断した」

マヤノ「おー」

トレーナー「マヤノはトライアスロンという競技を知っているか?」

マヤノ「えーっと……走って、泳いで、漕ぐ!」

トレーナー「正解だ。今回はトライアスロンのような競技を行うことになる」

マヤノ「んー。トレーナーちゃんが決めたのなら、マヤは反対しないけどなぁ……」

トレーナー「気乗りしないか?」

マヤノ「……うん」

トレーナー「そういうと思って、今日はスペシャルゲストを呼んでいる。スペシャルゲストは、このウマ娘――ッ!」

―――
下1~2
スペシャルゲストとは……?

ゴルシ「よぉ、これからドキドキ♡鯛メシ作りの旅~恋の焼きそばはシメジ型~をやるらしいなぁ!」

ライス「……あの、本当にライスなんかがお呼ばれしてもいいの……?」

トレーナー「…………どういうメンツ?」

マヤノ「さぁ?」

トレーナー「でもまぁ、錚々たる面子であることには変わりない。ステイヤーとしての本質を学ぶにあたって、これほど対照的な二人もいないだろうしな」

マヤノ「うん――!」

トレーナー(……とはいえ、何というか不安なメンツと言うか……)

トレーナー(何も起こらなければいいが)

―――

下1 マヤノトップガンの砂浜ダッシュ
下2 ゴールドシップの砂浜ダッシュ
下3 ライスシャワーの砂浜ダッシュ

※いずれもコンマ。数値が高ければ優位に立ちます。
※ゾロ目の場合はリザルト時に報酬追加

えぇ……。

―――

クロール→バタフライ往復
下1 マヤノトップガンの水泳
下2 ゴールドシップの水泳
下3 ライスシャワーの水泳

※いずれもコンマ。数値が高ければ優位に立ちます。
※ゾロ目の場合はリザルト時に報酬追加

……??? 
これが安価に住む魔物か……

―――
ビーチ・アンド・フラッグス

下1 マヤノトップガンの旗取
下2 ゴールドシップの旗取
下3 ライスシャワーの旗取

マヤノ:95+05+52=152
ゴルシ:12+96+58=166
ライス:16+45+75=136

よって――ゴールドシップ1着!

―――

ゴルシ「ぴすぴーす! これがゴルシちゃんの才能だーッ!」

ゴルシ「お? あの雲――空飛ぶマックイーンに形が似てんなぁ。マックイーンに教えてやろーっと」

トレーナー「……1から10まで解らんウマ娘だな、ゴールドシップ」

マヤノ「すごく不思議な人~」

トレーナー「アレで最強格なんだから頭バグるよな……」

マヤノ「うん……」

トレーナー「ライスシャワーは……いつの間にかいなくなってるな。大丈夫だったんだろうか」

マヤノ「ライスさんならさっき、小さな声で"ごめんなさいー!"って叫んで逃げてったよ?」

トレーナー「……。あとで菓子折りでも持っていくか」

―――

トレーニングの効果量
下1(パワー)
下2(スタミナ)
下3(根性)
※ゾロ目で追加イベント 

まぁゴルシだし……

―――

■[すくらんぶる☆ゾーン]マヤノトップガン
スピード:206(E)
スタミナ:235(E)+25=260
パワー:472(C)+72=544
根性:174(F)+100=274
賢さ:125(F)
やる気:絶好調

―――

■ゾロ目追加イベント:[例え神が2人を分かつとも。]


「はぁ、ようやく後処理が終わったぞ――」

 突発トライアスロンは、その実方々に調整をかけて開催された大規模な練習だった。

 普段は認められないのであろうこの練習は、最終的に会長――シンボリルドルフの鶴の一声で開催が決定したのだが……。

 条件として、結果に加えて、ウマ娘育成上におけるメリット・デメリットを記載した報告書を提出しなければならなかったのだ。

 処理に時間を追われていると、いつの間にか夜になっていた。こうなればもう泳げまい。

 せっかくの海なのだし、個人的には楽しみたかったのだが……まぁ仕事だし仕方ないだろう。

 それに、ループが始まったら傷付くのは他の誰でもない俺たちだ。これを最後のループとするために、万全なる準備は不可欠だ。


「とはいえなぁ、これは堪える――」


 根を詰めすぎては仕事にも支障が出る。重なればそれは、取り返しのつかない足枷となって俺に返ってくることだろう。

 という訳で、散歩に行くことにした。それくらいであれば、これからそう時間をかけることなく、海を程々に堪能できるだろう。

―――

undefined


 夜の海辺は、昼間の様子と打って変わってとても静かで穏やかだ。吹き付ける海風のせいで、少し肌寒さすら感じるほどだ。

 今しがた出てきた宿泊所を見れば、夜も深まってくる時間であると言うのに、まだ煌々と明かりがついていた。そろそろエアグルーヴに窘められる頃だろうか。

 物思いにふけりながら、砂を踏んで海岸沿いを歩く。

 海や空を見ていると落ち着くのは、人間が人間として発生して始めてみた色が青だから、という説があるが、これを眺めていると切にそう思う。

 そういえば、海といえば有名な神話があったな……。

 それも確か馬に関する神話だ。そう考えると、ウマ娘が海に一堂に会するのは少し運命的なものを感じてしまう。

 ……と、そんなことを考えていると、ふと何かが弾けるような音が聞こえて。俺の真横を何かが通過していった。

 ……ロケット花火、か?


「もー、エルちゃん、変な方向にロケット花火飛ばしちゃダメだよ!」
「ふっふーん、そちらに人はいないし、滅多に来ないってリサーチ済みデェス!」
「そんなに自信ありげに言っちゃって~。もし人がいたらどうするのさ」
「その時は――こう、腹を切っていただくしかありませんね」
「キングであるこの私が、華麗にカイシャク? して差し上げますわ!」


 姦しい声が聞こえる。5人組だろうか、夜の砂浜に出て花火に興じていたらしい。

 にしても、少し不用心だったな。人は来ないが来る可能性はある。それくらい考えて興じるなら興じなければ――。

 それに、海辺での花火は引率がいない場合は原則禁止だ。注意とは行かないまでも、窘めなければ――。


「あっ?! 人がいる……!」
「――――」


 花火の残骸を回収しに来たのであろうウマ娘と目が合った。……そして、その姿から目が離せなかった。

 夜の藍色を被ったブルネットの髪は、優しく吹き付ける海風に微かに揺らいでいた。優しげな紫の瞳は、今はこちらを見て――驚愕の色を浮かべている。

 ……スペシャルウィーク。その姿をこうも正面から見たのは、1回目のループ以降、初めてだ。


「その服……トレセン学園のトレーナーさんですよね?! 花火がこっちに飛んできませんでしたか?」
「……」
「トレーナーさん?」


――いつかまた、会いに来てください!

 モニタールームで見たあの光景がリフレインする。決然と見開かれた瞳がどこにもいない俺を見すえて、輝いていたあの瞬間が。

 目の前にいるスペシャルウィークは、あの時のスペシャルウィークでは無い。致命的な判断ミスで絶望させ、足を折りかけた――あのスペシャルウィークではないのだ。

 頭ではわかっている。でも、彼女を前にすると、充実した日々を送っている自分が、酷く浅い存在に見えてくる。


「……ごめん」
「……え?」
「――いや、なんでもない。この時間帯の花火は引率が必要だ。気をつけるように。それじゃ……」
「――待ってください!」

 ぴたり、と。足が止まる。

「えっと……トレセン学園のトレーナーさんですよね? その、言ってる通り引率が必要なんです。その、もし良ければ引率――」
「――それは出来ない」
「えっ……」
「……違う。できないわけじゃない。でも出来ないんだ……」


 考えがぐちゃぐちゃになる。マヤノトップガンとの日々、その幸せにあの時の記憶を端っこにおいやっていた俺の浅はかさに。

 今でも戦っているであろうスペシャルウィークに、ツインターボに――どれだけ大きな傷を負わせたのかも分からないのに、のうのうと繰り返す俺に。

 彼女に見つめられていると、責められているような気すらした。そんなことは無い。でも、そんな気がしてならない――。


「……あの、その。もし良ければ、お話しませんか」
「……嫌だ」
「なんでそんなに悲しそうなのかは私には分かりません――けど、なんだかそんな顔を見てると、懐かしいなって、思うんです」


 そんな言葉をつぶやくスペシャルウィークは、近くの岩に腰かける。


「お友達はまだまだ花火の途中なのでこっちには来ません。……少しの間ですけど、もし良ければ――」
「……どうしてだ? 俺と君は今日初めて会ったはずだ」
「んー。確かにそうかもしれません。でも――そんな、今にでも死にそうな顔をしている人を放ってはおけなかったので……えへへ」


 死にそう? 俺が?


「冗談はよしてくれ、担当ウマ娘がいるから死ぬにも死ねんよ」

「でも、深く後悔はしてる。そうですよね?」
「……」
「なんでかなぁ。きっとトレーナーさんはこうなんだろうなっていうのがわかるんです。エスパーにでもなっちゃったんでしょうか?」


 押し黙る俺を他所に、スペシャルウィークは自分のことを話し始めた。時に懐かしむように、時に今に起こったことであるかのように。

 その語りのどれもに、俺の影はない。当然のことだ。ただ、その話を聞いていると、彼女がどれだけの思いを持ってその道を歩んでいるかが解った。


「それで、この前エルちゃんが――って、いつの間にか結構時間経ってる?! 疑われるべ……」
「……戻ったらどうだ?」
「そうですね、そうすることにします――でも、その前にひとつ」


 スペシャルウィークは立ち上がって、こちらに振り向く。そして、太陽のようなほほ笑みを浮かべて。


「――明けない夜はない。止まない雨もありませんっ! だから――どれだけ苦しくても歩きましょう! それが――後悔していることとか、人に対してのごめんなさいになりますから!」


 そういうなり、彼女は友人たちの元へと帰って行った。その後ろ姿を見送って、俺はため息を1つ吐く。


「説教……されたな。成長したもんだ、スペシャルウィークも……」


 呆れて小さく笑いが漏れる。どれだけ小さなことでクヨクヨしていたのかがわからなくなるほど、その言葉は強烈だったらしい。


「……さて、俺も戻るか」


 少しだけ肩の重荷が軽くなった気がする。これなら上手く仕事も出来そうだ。


「そういえば、なんだか懐かしい気がするって言ってたけど――案外、神様みたいな存在でも切れないものってあるのかもな」

(了)


▼サポートカード[スペシャルウィーク]がアクティベート状態になりました。
※サポートカードは特定の能力値が上昇するトレーニングにおいて効果を発揮します。
※サポートカード[スペシャルウィーク]は以降の根性が上昇するトレーニングにおいて、上昇値にボーナスを与えます。
※サポートカードは特定の条件を満たすとアクティベートされます。与えられた条件はサポートカードによって異なります。

トレーナー「出会いって、本当にいろんなところに転がってるんだな、と思える一幕だったな。スペシャルウィークが元気にやってるようで何よりだ」

トレーナー「……いつか、お礼を言える日が来るのだろうか。来たらいいのにな。そうしたら、きっと彼女も俺も――真の意味で笑いあえると思うんだ」

トレーナー「エゴか。でも、それを目標にして進むのは悪くないかもしれん。マヤノトップガンにはすこし申し訳ないが――」

トレーナー「開けない夜はない、止まない雨はない――か」

トレーナー「言ってくれるねぇ」

トレーナー「今日も頑張りますか、っと」

―――
下1 今日は何をする?
トレーニング/休憩/探索/その他(良識の範囲で自由に)
※あと2ターンで夏合宿が終了します(当ターン含む)
※あと4ターンで京都JSが始まります(当ターン含む)

―――
トレーナー「正解は――」

マヤノ「越〇製菓!」

トレーナー「いちごのかき氷」

マヤノ「いちご氷菓」

トレーナー「見たことない映画」

マヤノ「未知の映画!」

トレーナー「お父さんがマグカップを割った」

マヤノ「父のせいだ!」

トレーナー「……よし、調整は完璧だな」

マヤノ「トレーナーちゃん……この問答になんの意味があるの……?」

トレーナー「これからマヤノにはクイズ大会に出てもらう! 知識をつけてくるんだぞ」

マヤノ「え? クイズ大会なら今の1幕必要なかったんじゃ――」

トレーナー「頑張ってこい!」

マヤノ「いつになくトレーナーちゃんが強引だよ~!」

―――
下1 練習の効果量(コンマ)
※ゾロ目は追加イベント。

―――

マヤノ「トレーナーちゃん、マヤのこと見てくれた?」

トレーナー「ああ、見てたぞ。そういえばマヤノって成績良かったってことを思い出したわ」

マヤノ「ふふーん。もっと褒めてくれてもいいんだよ?」

トレーナー「マヤノはお勉強もできてすごいなー、これはオトナの女性だー」

マヤノ「……トレーナーちゃん、ひょっとしてマヤのことおちょくってる?」

トレーナー「そんなことは無いぞ。ああ、ないったらない」

マヤノ「ぶーぶー」

―――
▼マヤノトップガンの賢さがあがった。

125+54=179

―――

トレーナー「さて、残すところ夏合宿もあと1ターンだ、この1ターンをどう過ごすかによって、3ターン後の京都ジュニアの結果も変わってくることだろう」

トレーナー「急いては事を仕損じる。ことは急がない方がいいが――でもどうしても焦ってしまうな」

トレーナー「マヤノ、大きく羽ばたいてくれるといいんだけどな……」

―――
下1
トレーニング/休憩/探索/その他(良識の範囲内で自由に)
※あと1ターンで夏合宿が終了します。
※あと3ターンで京都JSが開始します。

おや、今回のループでは探索が選ばれないかもなーと思っていたので意外や意外な選択ですね。
探索について概略をまとめたので貼り付けておきます。

―――

■探索について

・探索とは?
夏合宿中にのみ行える特殊な行動です。
様々なスキルのヒントや、ループに役立つものなどが獲得できる唯一の行動ですが、時には何の成果も得られず終わる、いわばギャンブルのような行動です。
探索は13の探索度を有しており、一度探索するとその是非を問わず、探索度を1増やします。

・探索の特徴
探索は【ループしても探索度が保持されます】。
また、探索度を増やせば増やすほど、報酬を得る機会は増加します。
最終到達地点に到着すると、イベントが発生します。

・道中の判定について
下5コンマ安価を一気に取ります。
コンマの集計が終了した後、再度下5コンマ安価を取ります。
最終的に今までに集計した10コンマ安価を総合した数値によってリザルトを算出します。
道中の安価にも報酬が存在することがありますが、それなりに難度が高いものだと考えてください。
基本的にはコンマの数値が高ければ高いほど、ウマ娘やトレーナーにとって有用なものが入手できます。
コンマがゾロ目だった場合は、原則として終了後に追加ロールが発生するものとします。

・その他
追記すべき事項があれば都度追記します。
連取は性質上1分経過後であれば可能なものといたします。
ご協力のほどお願い致します――。

あ、イントロダクションを少し挟むのでお待ちを――。

(わかる人向けに言えばアーカルムの転生みたいな感じです。と付け加えておきます)

トレーナー「……この島は何というか、凄く穏やかだな」

マヤノ「ねー。マヤノもそう思うな~」

トレーナー「ただ、何というか……不思議な気持ちになるんだよな。懐かしいというか――此処に昔居たことがあるような、そんな気持ち」

マヤノ「んー? ちょっとわかる……かも。なんか不思議な感じがするー」

トレーナー「……なぁ、マヤノ。トレーニングは今日休みだし、もし気が乗ったらだけど、一緒にこの島を探索しないか?」

マヤノ「……! わぁい、トレーナーちゃんとの海デートだー!」

トレーナー「……いや、海に行くと決まったわけじゃないが、まぁ……そういう風に思うならそういうことにしておこうかな」

マヤノ「じゃあ、島の探索へ――テイク・オフ!」

―――

■[すくらんぶる☆ゾーン]マヤノトップガン
スピード:206(E)
スタミナ:260(E+)
パワー:544(C+)
根性:274(E+)
賢さ:179(F+)
やる気:絶好調

―――

下1~5 探索安価

下1:コンマ値±0
下2:コンマ値±0
下3:コンマ値+15
下4:コンマ値±0
下5:コンマ値±0

―――

トレーナー「――思った以上に何もない、な」

マヤノ「わくわくするものないかなぁ……」

トレーナー「とはいえ、探索はまだ始まったばかりだし……わくわくするものとかそう簡単に見つかるものでもないだろ」

マヤノ「そっかー」

トレーナー「……っと。ここからは森みたいだな。ほら」

マヤノ「トレーナーちゃん、何か欲しいの?」

トレーナー「バカ、はぐれちゃまずいから手を繋ごうって言ってんだよ」

マヤノ「え~! トレーナーちゃん、もしかしてマヤのこと――」

トレーナー「うるさいなぁ……。ほら、行くぞ」

マヤノ「はーい。えへへ……」

―――

■[すくらんぶる☆ゾーン]マヤノトップガン
スピード:206(E)
スタミナ:260(E+)
パワー:544(C+)
根性:274(E+)
賢さ:179(F+)
やる気:絶好調

―――

下1~5 探索安価

下1:コンマ値±0
下2:コンマ値±0
下3:コンマ値+15
下4:コンマ値±0
下5:コンマ値±0

―――

というわけで、ゾロ目が出たのでもう1回転――!

―――
下1 追加コンマ安価
※ゾロ目の場合は追加ロール

……????
もう1回転ッ!!!

―――
下1 追加コンマ安価
※ゾロ目の場合は追加ロール

DX3rdもびっくりの回転率!

―――

下1 追加コンマ安価
※ゾロ目の場合は追加ロール

12+57+[25+15]+57+13
+
60+77+[65+15]+74+73
+
77+66+27
―――
合計:713


▼スキルヒント[直線回復〇]Lv1を獲得した。(100)
▼スキルヒント[好息一転]Lv1を獲得した。(500)

▼スキルヒント[読解力]Lv1を獲得した。(200)
▼スキルヒント[大局観]Lv1を獲得した。(600)

▼アイテム[やる気ドロップス]を獲得した。(300)

▼アイテム[目覚まし時計]を獲得した。(400)

▼アイテム[夢のきらめき]を獲得した。(700)

好転一息
スキル名間違ってるぞい

>>440 あちゃ、すみません、次回から気を付けます……!

トレーナー「海岸沿いを歩くだけで平和な気持ちになってくるな」

マヤノ「うーん、海風がきもちーね」

トレーナー「……にしてもさ、なんでこんなところを合宿先に選んだんだろうな。トレセン学園の財力があれば――もっと近場でいい場所があっただろうに」

マヤノ「遠くに行く、っていうのが、必要だったんじゃなーい?」

トレーナー「一理あるかも。旅行というイベントは意気軒昂の為にも重要だからな。モチベーション向上のためにあえて遠方に設置してあるのかもしれん」

マヤノ「確かに、遠くに行くぞーってなったときと、近くに行くぞーってなったときだと、遠くに行った方が凄くわくわくする!」

トレーナー「それもそうだな。それに、こういう事って案外俺たちが思っているよりもどうでもいい理由だったりするからなぁ」

マヤノ「ねー。あ、トレーナーちゃん! あそこに綺麗な石がある!」

トレーナー「ふむ……」

マヤノ「わー、透き通ってて綺麗――」

トレーナー「どれどれ……。ほんとだな、陽の光が通ると虹色に光って……物凄く綺麗だ」

マヤノ「……なんだか、力がぶわーってわいてくる感じがする。なんでだろー?」

トレーナー「もしかすると、その石が見つけてくれたお礼にマヤノに力を与えてくれているのかもな」

マヤノ「えー? トレーナーちゃんって案外ロマンチスト?」

トレーナー「……。帰るぞ」

マヤノ「あー! トレーナーちゃんすねたーっ!」

トレーナー「……」

マヤノ「あ、待って待って――っ!」

―――

▼探索度が[1/13]になった。


「充実した夏になったな」
「うん、そうだね……」


 少し眠そうなマヤノの背中を押しながら、バスに押し込む。

 どうやら合宿最終日は興奮のあまり眠れなかったらしく、かなり遅くまではしゃいでいたらしい。

 俺も子供のころは、旅行に行くとき、帰るときは興奮してうまく寝付けなかったからな……。マヤノの気持ちは良く解る。


「ね、トレーナーちゃん。肩かりていーい?」
「……ダメと言ってもマヤノは借りるんだろう?」
「せーかい」


 こてん、と。肩にマヤノの頭が乗っかる。ふわりと、柔らかな匂いが香る。

 しょうがない子だ、と思いながら、これはこれで役得な気がしてならない。

 それに――こうしてマヤノと触れ合える時間もこれが最後となるかもしれない。京都JSに勝てなければ、俺はこの世界から消えるのだ。

 しかも恐らくは、マヤノ以外が俺の記憶を失うという形で。

 それはきっと、自惚れでなければ、マヤノにとってつらい世界になるはずだ。できれば勝ちたいが――必ず勝てるわけでもない。勝負の世界とは何が起きるかわからないからだ。

 もし負けた時、俺が彼女に与えることができるのは、たった一つ――思い出だけだ。時がやがて悲しみを癒し、真にマヤノが笑えるようになるまで、薪のようにくべられ、マヤノの孤独を癒してくれるような、思い出だけ。

 もし離別の時後悔しないで済むように。

 浜辺で砂の城を形作るみたいに、今彼女が望むことを重ねていくことしか俺にはできない。


「なんだかネガティブな考えになってしまうな」
「……んぅ」


 すやすやと寝息を立て始めるマヤノの姿を見て、おっと、と心の中で漏らす。

 疲れているなら起こさないほうがいい。マヤノは夏合宿中も頑張ってくれたのだし、せめて穏やかに眠れるように気を払うのはトレーナーとして当然の心構えだろう。


――やけに風が騒がしい夏が、今終わった。


―――


トレーナー「夏合宿が終わって、トレセン学園にいつもの日々が戻ってきた――。京都ジュニアステークスまであと少し、最終調整に入る頃合いだろうな」

トレーナー「……不安になるな。マヤノなら、俺の些細な表情の機微を感じ取ってしまう。それで彼女のコンディションを崩すようなら、俺はトレーナー失格だ」

トレーナー「動け――」

トレーナー「何事も、為さねば為らぬ。精神一到何事か成らざらん……」

トレーナー「よし。今日も頑張るか」

トレーナー「何をしようかな」


―――

下1
トレーニング/お出かけ/休憩/スキル習得/脚質上昇/その他(良識の範囲内で自由に)
※京都JSまであと2ターン(当ターンを含む)

トレーナー「夏合宿で地力を身に着けることは出来た――と思う。というわけで、今日は技術を学んでいこうと思っている」

マヤノ「技術ー?」

トレーナー「そうだ。マヤノが夏合宿で探索してた時に身に着けた力? っぽい何かがあっただろ?」

マヤノ「うん、でもあれがどんなものなのか、マヤにもわからないよ?」

トレーナー「ああ。でもその力を自分のものに出来ればパワーアップできると思うんだ。どうだ、やってみないか?」

マヤノ「トレーナーちゃんがそういうなら!」

トレーナー「さて……どの力について理解を重ねていくか」

―――

下1 どのスキルを学習する?
・直線回復〇(汎用) Lv1
・読解力(差し) Lv1
・曲線のソムリエ Lv2

トレーナー「コーナーを制する者はレースを制する――とまではいかないが、コーナーについての理解を深めれば、それだけレース中の優位につながるだろう」

トレーナー「マヤノが最高のウマ娘となるためにも、ここでコーナーについて理解を深めておいた方がいいと思う」

マヤノ「うん。えーっと、コーナーでずびゅーん! っていくコツだよね?」

トレーナー「ああ、身に付けられれば、ナリタブライアンの影を踏めるかもしれないな」

マヤノ「うん! いつかブライアンさんの影、マヤちんが踏んで見せちゃうんだから――!」

トレーナー「じゃあ、今からコーナー練習を集中的にやっていくぞ」

マヤノ「アイ・コピー!」

―――

下1 [曲線のソムリエ]Lv2習得コンマ

40以上で習得
40以下でスキルレベル上昇

―――

マヤノ「……ここっ!」

トレーナー(……凄まじい加速だ。だが、何というか、まだ上がある気がしてならない――)

トレーナー(マヤノもきっとある程度コツをつかんできているとは思う、ここは辛抱強く取得に徹するべきだな)

トレーナー(余計な癖をつけてこの後のレースに影響でもしたら敵わん……)

トレーナー「よし、今日はここ辺りでいったん切り上げだ」

マヤノ「えー? マヤはまだ走れるよ?」

トレーナー「それでもだ。マヤノのことだし、ヒントはつかめたんだろう?」

マヤノ「それはそうだけど……」

トレーナー「だったら、それを形にするために理論を煮詰めよう。実地練習で上手くつかめないのであれば、技術に基づく理論を確立すれば――きっとうまくいくさ」

マヤノ「トレーナーちゃんがそういうってことは、多分そうなんだと思う。けど、練習したりないよー」

トレーナー「うーん。とはいえこれ以上練習すると却ってコツを忘れそうだしな」

トレーナー「そうだ、これから慰労を含めてスイーツでも食べに行くか? 最近スノードームフェアが開催されてるらしいし」

マヤノ「わ、マヤが気になってたフェアだー! トレーナーちゃんが連れてってくれるの?」

トレーナー「ああ、男に二言はない」

マヤノ「やったー! でも、どーしても食べたいケーキが二つあるんだよね……」

トレーナー「それは……。レース前だし我慢してもらわなきゃだけど」

マヤノ「あ、そうだ! トレーナーちゃんに別のケーキを頼んでもらって、半分こしたらいいんじゃない?」

トレーナー「それは名案だな。カロリーも抑えられる」

マヤノ「じゃあ決まり! 今から喫茶店に――テイク・オフ! だね!」

―――

▼スキル[曲線のソムリエ]のスキルヒントレベルが1上昇した。

[曲線のソムリエ] SKLv3

トレーナー「……。何というか、落ち着かないな」

トレーナー「気がそぞろになる、という言葉は正しくこういう時のためにあるに違いない。どうしたものか――」

トレーナー「京都ジュニアステークスが終われば、次に待つのはクリスマス、そして年末――。さすがに出走予定がさらに今年中に入るわけがないから、仮に休むとしたらここ辺りか」

トレーナー「……ナチュラルに勝った後の話をしていたな」

トレーナー「ふふ。これもマヤノに対する信頼の表れだろうか」

トレーナー「さて、そろそろ重い腰を上げますかね」

―――
下1
トレーニング/お出かけ/休憩/スキル習得/脚質上昇/その他(良識の範囲内で自由に)
※京都JSまであと2ターン(当ターンを含む)

トレーナー「……今日は休養日だ。レース前の大事な体だし、マヤノにも激しい運動を伴わない程度の休みを伝えていたはず――なんだけど」

マヤノ「……」

トレーナー「何故かマヤノが引っ付いて離れない」

マヤノ「……ねぇトレーナーちゃん、トレーナーちゃんはどこにもいかないよね?」

トレーナー「何回目だ、その質問は……。大丈夫、どこにもいかないよ」

マヤノ「……」

マヤノ「……そう、だよね。どこにもいかないよね」

マヤノ「でも、もうちょっとだけこうさせてほしい、かな」

トレーナー「ん。まぁ、仕事の邪魔にならない程度であればいくらでも。マヤノの不安を取り除くことも、きっとトレーナーの仕事のうちだろうし」

マヤノ「トレーナーちゃん……」

トレーナー(何というか、いつものマヤノではない気がする。調子が悪いのか、それとも――何か予感めいたものを感じているのか。はたまたレース前でナーバスな気持ちになっているのか)

トレーナー(その気持ちの内側を開いてみなければ、それはわからない。でも……これは開いたら後悔する気がする。俺も、マヤノも。いつか時が解決する問題であることを信じて、今はマヤノのしたいことをさせるべきだろうな)

トレーナー(……マヤノは明日、勝てるだろうか)

―――

▼休憩を行ったことにより、トレーニング効率がアップした。
※次回トレーニング時、効果量コンマの数値が2倍になります。

―――

アッ、すみません、今見返してたら曲線のソムリエ習得してたのでもう一回追加で安価を取ります――!

―――
下1
トレーニング/お出かけ/休憩/スキル習得/脚質上昇/その他(良識の範囲内で自由に)

さっくりと処理だけしますね。すみません……!

―――

下1
逃げ因子★☆☆による[脚質適正/逃げS]への上昇コンマ判定
50以上で上昇
50以下でそのまま

▼マヤノトップガンの脚質が[逃げ:S]に上昇した。

京都ジュニアステークスまであと、0ターン。

―――

■[すくらんぶる☆ゾーン]マヤノトップガン
スピード:206(E)
スタミナ:260(E+)
パワー:544(C+)
根性:274(E+)
賢さ:179(F+)
やる気:絶好調

[固有スキル]
・ひらめき☆ランディング Lv1
(終盤に選択肢追加:ゴールのコンマ判定に+150の補正)
・シューティングスター Lv1[汎用]
(終盤に選択肢追加:ゴールのコンマ判定に+150の補正)
・これが諦めないってことだァ! Lv2 [作戦:逃げ]
(終盤に選択肢追加:ゴールのコンマ判定に+200の補正)

[通常スキル]
・先駆け[作戦:逃げ]
(序盤に選択肢追加:ゴールのコンマ判定に+50の補正)
・先手必勝[作戦:逃げ]
(序盤に選択肢追加:ゴールのコンマ判定に+100の補正)
・末脚[汎用]
(終盤に選択肢追加:ゴールのコンマ判定に+50の補正)
・全身全霊[汎用]
(終盤に選択肢追加:ゴールのコンマ判定に+100の補正)
・コーナー加速〇[汎用]
(中盤に選択肢追加:ゴールのコンマ判定に+50の判定)
・曲線のソムリエ[汎用]
(中盤に選択肢追加:ゴールのコンマ判定に+100の補正)
・直線加速→ハヤテ一文字[汎用・固定値]
(レース終了時のコンマ判定に+100の補正)

[スキルヒント]
・直線回復〇 Lv1[汎用]
(序盤に選択肢追加:中盤のコンマ判定を1段階上のものに上げる)
・好転一息 Lv1[汎用]
(序盤に選択肢追加:中盤のコンマ判定を2段階上のものに上げる)
・読解力 Lv1[差し]
(中盤に選択肢追加:ゴールのコンマ判定に+50の補正)
・大局観 Lv1[差し]
(中盤に選択肢追加:ゴールのコンマ判定に+100の補正)

脚質適正
逃げS/先行A/差しB/追込B

距離適性
短距離D/マイルD/中距離A/長距離A

―――

―――

■所持品

・目覚まし時計(今ループ限定品) 1つ
 使用すると安価を再判定させることが可能になる。やる気が上昇する。
 今ループのみ使える限定品。ループ時獲得。

・目覚まし時計 1つ
 使用すると安価を再判定させることが可能になる。やる気が上昇する。
 どのタイミングでも使用可能。探索時獲得。

・夢のきらめき 1つ
 使用するとウマ娘の潜在能力を開花させる。
 開花させたウマ娘の潜在能力はループしても引き継がれる。
 担当ウマ娘選択直後に使用可能。探索時獲得。

・やる気ドロップス 1つ
 使用するとウマ娘のやる気を2段階上昇させる。
 どのタイミングでも使用可能。探索時獲得。

・サポートカード[スペシャルウィーク]
 願いの結晶。強く在らんとし、夢を駆けるウマ娘の親愛の証。
 スペシャルウィークのサポートカードは、根性を上昇させる練習に固定の効果値をプラスする。
 願いがいつか力となって、貴方の力になりますように。

―――

■トレーナースキル
・[俯瞰]
 様々なデータを数値的に見ることができる。
 ラウンド数を認識することができたり、レースに出走した場合の達成着順を確認することができる。

・[戦術家]
 コンマによるランダム安価を用いる判定に対して使用することができる。
 安価を取り消し、代わりに選択肢の中から一つ任意のものを選択し、それを適用する。

―――

■ウマ娘関連
[因子]
スピード★☆☆
スピード★☆☆
先手必勝(逃げ適正B以上)★☆☆
シューティングスター(先行適正B以上)★☆☆
これが諦めないってことだァ!(逃げ適正B以上)★★☆
逃げ★☆☆

―――


 寒天が、僅かに水気を含んだ芝を凍らせる日こそが、運命の分水嶺となる日だった。

 吐く息は白く舞い、踏み出す脚は冷気を纏って強張る。空気感は格別だが、ウマ娘にとってはあまり好んで出走したいと思えるような状態とは言えなかった。

 だが、そんな憂鬱さすら感じる競馬場の様子とは打って変わって、出走控室にて勝負服に袖を通したマヤノトップガンの様子は晴れ晴れとしたものだ。


「こうも寒いと元気が出ないんじゃないかって心配だったけど、ご無用って感じだな」
「だってぇ、トレーナーちゃんがあっためてくれたじゃない?」
「……温めたというか、カイロを渡しただけなんだけどな」
「トレーナーちゃんが自分の意思でカイロを渡してくれたことが、マヤ的には嬉しいポイント!」


 何時ぞや見せた太陽の花開くような笑みをトレーナーへと浮かべる。そんな彼女にトレーナーは苦笑を以て返した。

 京都ジュニアステークスは、簡単に突破できるような安易なレースではない。近日にあるG1レース【ホープフルステークス】に比べれば格が落ちはするが、それでも格式高い中央のレースの一つである。

 マヤノトップガンもそれは理解している。――が、彼女が落ち着いているのには訳があった。


「カイロ渡したくらいで大げさな……。まぁ、絶対勝てるとは思うけど、ここで手がかじかんだり足が強張ったりして調子が狂ったら困るからな」
「……」


――トレーナーの存在だ。

 トレーナーはマヤノトップガンに心配させまいと気丈にふるまっていたが、その態度がマヤノトップガンにとってはあまり良いものに映らなかった。

 担当ウマ娘として、トレーナーと共に歩んでいきたいという思いは人一倍持っているとマヤノトップガンは自称している。

 だからこそ――相談出来ないほどの何かを抱えているトレーナーのことが心配で。同時に、なぜ自分に何も話してくれないのか、と怒りと戸惑いを覚えるのだった。

 故にこそ、マヤノトップガンは決める。


「トレーナーちゃん、何度もトレーナーちゃんが言うんなら、マヤは何度でも答えるよ」


 上るべき山は高く、果てしないかもしれない。

 その高さに絶望して、足を止めてしまうかもしれない。

 それでも。


「絶対――絶対勝つよ。トレーナーちゃんにそんな悲しい表情、させないからね」


 案外自信家のように見えて、臆病な貴方へ。

 呟く言葉は、万雷のごとき拍手と声援に飲み込まれた――。


「トレーナーちゃんが思ってるよりマヤが強いってこと、証明してあげる!」

―――

 

トレーナー「誰よりも、君の姿を見ている。――だから好きにやって来い、マヤノトップガン」

―――

■レース

下1 作戦決定(コンマ)
逃げ[S]/先行[A]/差し[B]/追込[B]

01~50:逃げ[S]
51~80:先行[A]
81~90:差し[B]
91~00:追込[B]

――

▼マヤノトップガンの作戦が[逃げ:S]になりました。

―――

下1 レース序盤のマヤノトップガンの調子

01~20:出遅れ(ゴールのコンマ判定に-50の補正)
21~40:掛り(ゴールのコンマ判定に-25の補正)
41~60:順調な出だし(ゴールのコンマ判定の補正なし)
61~80:先駆け(ゴールのコンマ判定に+50の補正)
81~00:先手必勝(ゴールのコンマ判定に+100の補正)
ゾロ目:補正効果1.5倍。マイナス補正の効果は消える。

――

下2 レース中盤のマヤノトップガンの調子

01~20:ブロック(ゴールのコンマ判定に-50の補正)
21~40:掛り(ゴールのコンマ判定に-25の補正)
41~60:順調な出だし(ゴールのコンマ判定の補正なし)
61~80:コーナー加速〇(ゴールのコンマ判定に+50の補正)
81~00:曲線のソムリエ(ゴールのコンマ判定に+100の補正)
ゾロ目:補正効果1.5倍。マイナス補正の効果は消える。

――

下3 レース終盤のマヤノトップガンの調子

01~15:好走(ゴールのコンマ判定の補正なし)
15~30:末脚(ゴールのコンマ判定に+50の補正)
31~45:全身全霊(ゴールのコンマ判定に+100の補正)
46~60:シューティングスター Lv1(ゴールのコンマ判定に+150の補正)
61~75:ひらめき☆ランディング Lv1(ゴールのコンマ判定に+150の補正)
76~90:これが諦めないってことだァ! Lv2(ゴールのコンマ判定に+200の補正)
91~00:ひらめき☆ランディング Lv3(ゴールのコンマ判定に+300の補正)
ゾロ目:補正効果1.5倍。

――

下4 ゴールイン 着順確定

――

▼作戦

●逃げ[S](補正:スピード、スタミナ)
補正がある能力値:1.5倍
レース終盤の固有スキル判定を若干緩和する。(作戦Sランク効果)

▼着順決定
[ 下4のコンマ+序盤補正+中盤補正+終盤補正]=レース中達成値
[ウマ娘の能力値から賢さを除いた合計]=能力値参照値
【[レース中達成値]+[能力値参照値]+バ場補正/芝A(+100)+中距離適正A(+100)+やる気/絶好調(+100)+ハヤテ一文字(+100)=達成値】
達成値-(レース中全てのマイナス補正-賢さ)=最終達成値

最終達成値が2000を超した場合 1着
※(100超えるごとにバ身が1伸びる。報酬増)
最終達成値が1800を越した場合 2~3着
最終達成値が1700を越した場合  4~5着(掲示板)
最終達成値が1700を下回った場合 着外

継続ライン:1着

―――
レースなので連取は5分間隔で可能なものとします。
よろしくお願いいたします。

―――

▼レース展開
序盤(91):先手必勝(+100)
中盤(98):曲線のソムリエ(+100)
終盤(01):好走(±0)
着順決定:86
――――――――――――
[100]+[100]+[0]+[86]=286 レース中達成値


▼作戦:逃げ(S) (スピード、スタミナに1.5倍の補正)
スピード:206(E)×1.5=309
スタミナ:260(E+)×1.5=390
パワー:544(C+)
根性:279(E+)
賢さ:179(F+)
――――――――――――
309+390+544+279=1522 能力値参照値


▼着順
[レース中達成値:286]+[能力値参照値:1522]
+[バ場補正/芝A:100]+[中距離適正A:100]
+[やる気/絶好調:100]+[ハヤテ一文字:100]
=2208 達成値
―――――――――――――
[達成値:2208]
[レース中全てのマイナス補正:0]
[補正後賢さ:179] 
―――――――――――――
[最終達成値:2208]

結果、マヤノトップガン――大差にて1着!

――鈍色の空の下、歓声がさながら鼓動のように京都競馬場を揺らしていた。


 揃うはいずれも歴戦のウマ娘たち。誰もが勝利に対し貪欲に突き進む強欲の探索者であり、同時に敗者となる可能性を内包した勝負の世界の戦士たちだった。

 そんな、熱狂とも狂気ともつかない世界の渦中に、マヤノトップガンはいた。

 冬場の冷え冷えとした空気が吹き込む。多くのウマ娘は寒風に負けじと戦意を膨らませているが、マヤノトップガンだけは異なった。――凪いだ水面のような、静かな雰囲気がそこにある。


(勝ってやる、とか、勝たなきゃ、とかは思わない)


 胸中に静かな、しかし太陽のように熱い炎が生まれる。

 薪をくべなくとも、気炎万丈と燃え上がる焔。


(勝つ――それだけの話なんだ)


 もうその炎が消えることはない。たとえ水を被ろうと、泥を啜ろうと。身を焦がすほどの熱は、いずれその脚が折れるまで、消えることはもうない。

 人はそれを――決意と呼ぶ。

―――

 想いは力となり、願いは形になる。

 トレーナーの、観客の想いを一心に抱くマヤノトップガンが負けるはずがない。

 ああ、それに――それに。彼女には乗り越えるべき壁がある。

 それを乗り越える前に負けていては――影すら踏めないではないか。

 ゲートが開き、ウマ娘が一斉に駆け出す中、斜光のようにマヤノトップガンは抜け出した。

 鈍色を切り裂くような夕陽色がターフになびく。先頭集団は彼女の影すら踏めない。

 逃げる、逃げる、逃げる――。

 直線でも、コーナーでも、そのどちらでも追いつくことができない。まるで沈みゆく夕陽を追い掛けるような感覚すら覚える、悪魔的な大逃げ。

 負けるはずもなかった。沈みゆく夕陽を追い越すことができるのは、それこそ光だけなのだから――。

―――

■下1~6 リザルト
※コンマの分だけ数値が上昇します。
※一着、2バ身差のため、能力値の上昇に固定値が付与されます。
※ゾロ目の場合は追加ロール

―――

スピード:下1+20
スタミナ:下2+20
パワー:下3+20
根性:下4+20
知識:下5+20

習得コンマ:下6+20

 

■[すくらんぶる☆ゾーン]マヤノトップガン
スピード:206(E)+36=242(E)
スタミナ:260(E+)+106=366(D+)
パワー:544(C+)+91=635(B)
根性:274(E+)+89=363(D+)
賢さ:179(F+)+56=235(E)
やる気:絶好調

▼習得コンマ
・直線回復 習得

全ては夏合宿の悪魔めいた増加が招いた出来事でしたね……

裏を返せば、あの400近い上昇が無ければ勝てないレースであったとも言えます。

計算は細かく見てこなかったからルールを見落としたりしてるかもだけど、
最終達成値って2208-(0-179)=2387じゃないの?

>>491

賢さのステータスについてですね。

最終達成値の計算について、ルールがひとつ存在します。
[レース中全てのマイナス補正-賢さ]
※ただし賢さによる補正はマイナス補正値を超えない。

細かな言葉の違いはあると思いますが、確かスペシャルウィークのレースの時に細かなルールを記載していたかと思います。
今となってはかなり前になってしまったので、近々ルールを再掲載したいと思います。

簡単に言うと、賢さが高ければ高いほどレース中に発生したマイナス補正を打ち消すことが出来ますが、マイナス要素がなければ特に意味の無いステータスである。ということです。

なるほど、やっぱマイナスにはならないのね
解説ありがとう

―――

「一着はマヤノトップガン! 他のウマ娘を寄せ付けない走りッ! このウマ娘に敵うウマ娘は果たして存在するのか?!」


 実況の声がどこまでも高らかに響き、観客の歓声が耳朶を打つ。

 そんな中俺は、マヤノの姿に釘付けになっていた。

 何処までも美しく、それでいて強健な走りだった。とてもじゃないが、メイクデビューの時の彼女とは比較できないほどに成長している。

 一番間近で見ていたのに、どうしてだか気付いていなかった彼女の成長。自分の不出来に、諸手を上げて喜ぶことはできなかった。――でも、マヤノトップガンはきっとこれを望む。

 裏バ場に入ったタイミングで、マヤノを探す。あちらも俺のことを探していたようで、直ぐに目が合った。


「マヤノ――! よく頑張った!」
「トレーナーちゃん! マヤの走り、ちゃーんとみてくれた?」
「ああ、ああ――!」
「えへへ、トレーナーちゃんってば……そんなに嬉しかったんだ?」


 興奮して、マヤノの手を握りながら熱弁してしまったことに今更気付く。

 慌てて離すがもう遅い。マヤノは嬉しそうにほほ笑んで――抱き着いてきた。

 冬場だというのに高い体温、高揚の為か抱き着く力がいつもより強い。……普段通りを取り繕ってはいるが、マヤノも大概嬉しいんだろうな、と察知する。

 だから、そっと俺は彼女の頭に手を置いた。レースで少し乱れてしまった髪を元に戻すように、優しく。

 目を細め、ぐりぐりと胸元に頭をこすりつけるマヤノ。普段はあんなにオトナの女性を目指しているのに、こういうところは本当に子供と変わらない――。そこが可愛らしく、放っておけないところでもあるのだけれども。


「……まーたやってますなぁ」
「――! ナイスネイチャか……」
「はーい、ナイスネイチャですよ~。あ、なんでここに来たのかって思ってます?」
「……ああ、なんだか突然だな、と思って」


 マヤノが膨れている。ちょうどいい所を邪魔されたからだろうか。

 ただ、彼女がこのタイミングで近寄ってくるのには理由がある。特にこの子――ナイスネイチャの性格ならば、本当に。


「……おアツいですな、お二方。でもここであんまりイチャイチャしてると……ほら、あっちの子なんか凄い目で見てる……」
「……。前にもこんなことあったな」
「たはは~。気を付けたほうがいいと思うんですけどね、アタシは」
「……忠告、感謝する。とりあえず場所を移そうかな。――それに、話はそれだけじゃないんだろう?」


 そういうと、ナイスネイチャは驚いたように目を見開く。


「……なんでも"わかっちゃう"子には、"わかっちゃう"トレーナーさんがついてる、って訳かー」
「……やっぱり用があったんだな」
「まったく、困っちゃいますよ。――はい、用事、あります」
「じゃあ、後の話は控室で」


 俺たちはそのまま、ウマ娘控室に向かった――。

ネイチャ「さて、移動したわけですけど」

トレーナー「なんだかレポーターみたいな話し方になったな」

ネイチャ「そうすべきかなーって、ネイチャさん思ったんですよね」

トレーナー「……? まぁ、それに関しては一定の理解を示しておこう――」

トレーナー「で、用事ってなんだ?」

ネイチャ「……その前に。おーい娘さんやーい、わたしゃトレーナーさんを取ったりはしませんよー。話の輪に入ってくれないと、困りますよー……」

マヤノ「……むぅ」

トレーナー「ナイスネイチャがいなければ、またたづなさんにお小言を言われる可能性があったんだ。ここはその例もかねて彼女の話を聞こうじゃないか」

ネイチャ「……いや、たづなさんに注意されてるなら聞きなさいな……」

トレーナー「すまないな。用事を話してくれ」

ネイチャ「……はいはーい」

ネイチャ「ズバっと言えば、そこの爆速娘と、ネイチャさん戦ってみたくてですねー」

ネイチャ「……最近、ようやく"三番手じゃなくてもいいんだ"って思えるようになって」

ネイチャ「凡人が一番最初に打ち勝つべき敵って――"天才"じゃないですか」

トレーナー「だから、力比べをさせろ、と。そう言いたいわけだ」

ネイチャ「正解です。もちろんこちらのトレーナーさんにも許可はもらってますよ?」

トレーナー「……。マヤノは、どうしたい?」

マヤノ「……そういわれて、引き下がるほどマヤはふぬけてないもーんだ」

マヤノ「ネイチャちゃんだって、本当は"凡人は天才に勝つべき"なんて思ってないくせに、わざとそう言ってるんでしょー?」

ネイチャ「あちゃー、やっぱりわかっちゃいますか」

ネイチャ「ま、そゆこと。で――そっちのトレーナーさんは乗り気みたいだけど、マヤノはどうする?」

マヤノ「マヤもターフでネイチャちゃんと戦ってみたい、かな」

ネイチャ「じゃ、決定かな? あ、どこで戦うかはそっちが指定していいですよっと」

トレーナー(……ナイスネイチャ。彼女もトレセン学園の中では指折りの実力者だ。名脇役だのなんだのと言われているが、ここ最近の活躍は目覚ましい。マヤノトップガンにとってもいい競争相手となることは間違いなしだ)

トレーナー(問題はどこで戦うか、だな。公平な勝負のためにお互いの脚質を鑑みて提案をしなきゃいけない)

トレーナー(となると、ここ辺りか――)

―――
下1 次点目標
GⅠレース【宝塚記念】   難易度:中  報酬:中
GⅠレース【皐月賞】    難易度:高  報酬:大
GⅠレース【日本ダービー】 難易度:特高 報酬:特大

トレーナー「……皐月賞」

トレーナー「皐月賞はどうだ」

ナイスネイチャ「おー。クラシック路線のことを考えるなら妥当な采配ですなー」

ナイスネイチャ「特に異論在りませんよ、っと」

マヤノ「うん、トレーナーちゃんが考えてくれたなら、それが一番だから――!」

トレーナー「……じゃあ決まりだ。ナイスネイチャ、そちらのトレーナーにもよろしく伝えておいてくれ」

ナイスネイチャ「はいはいー。じゃあ、またね、マヤノ」

マヤノ「うん、またね、ネイチャちゃん」

―――

トレーナー「……本当に乗ってよかったのか?」

マヤノ「うん。それに、ネイチャちゃん――凄く強そうに見えた。前までは"私は三番手ですからねー。キラキラしたマヤノとかテイオーには敵わないんですって"なーんて言ってたけど……」

マヤノ「――今は違う」

マヤノ「アレは、絶対に脇役になんかならないぞ、って目だった」

トレーナー「……実力はあったんだ、それが花開いたに違いない。敏腕トレーナーだったんだろうな、ナイスネイチャのトレーナーは」

マヤノ「うん。……でも、マヤにとっての一番のトレーナーは、トレーナーちゃんしかいないからね?」

トレーナー「あはは、わかってるよ。いつもありがとうな」

マヤノ「えへへ……。あ、そろそろシャワー浴びてこなきゃ……いつまでも汗臭いとトレーナーちゃんに嫌われちゃう!」

トレーナー「その程度では嫌わんさ。まぁシャワーを浴びてきた方がいいのは事実だし、行ってくるといい。今日はこのまま解散にするからな」

マヤノ「はーい」

―――

トレーナー「……トレーナー、か。ナイスネイチャは実力は十分だったが、何というか自身のあるべき順位を低く定めていたきらいがあった。そんな彼女をあそこまで立ち直らせるという事は、それなりの腕を持ったトレーナーなのだろう」

トレーナー「やはりと言うべきか、トレーナーの才覚では勝てない。俺には彼女たちの気持ちが一から十までわかるわけではないし、見合った言葉を送る力や最も適切なトレーニングをする力はない」

トレーナー「……だから、俺は人一倍努力しなきゃならない。そうだろう?」

トレーナー「皐月賞は大舞台だ。それまでに俺が出来ることはすべてやらなくちゃな」

トレーナー「さて、まだ少し時間があるな。何をしようか――」

―――

下1 トレーナーは夜どうする?
※自由にどうぞ。
※モノによっては何か新しいスキルやスキルヒントを得ることができるかもしれません。

―――

トレーナー「将を射んとする者はまず馬を射よ」

トレーナー「地道な情報収集や対策こそが今の俺たちには必要だ。今日の勝負だって、そもそもマヤノトップガンの持ち味だけで勝っている。――それは俺でなくとも出来たことだ」

トレーナー「勝ち方に持ち味を求めるのはナンセンスだが、しかし何も寄与してないことに対しては少しばかりの申し訳なさを感じる」

トレーナー「今回はさすがに、ライバルがいるし研究しなければまずいだろうな――」

―――

 ナイスネイチャの持ち味と言えば、その強靭なまでの脚を以て行われる鋭い差しと、その知性からくる周辺へのけん制だ。

 ナリタブライアンが力のウマ娘だとすれば、ナイスネイチャは知のウマ娘と言えるだろう。彼女はターフ上で、さながら魔術師のような辣腕を振るっている――。

 そんな彼女の見習うべきところは――相手の心理に働きかける……いうなればデバフのような行為だ。

 マヤノも成績がいいことから読み取れるように、高い知性を有している。だからこそ彼女は"わかる"のだろうが――。だからこそ、知からくる行動を取っているナイスネイチャは絶好の研究資料ともいえる。

 左右の僅かな動きで距離感を惑わせる幻惑のステップ。歩調を乱すことで相手の心理に隙を作る走法。自身をブロックさせないための立ち回り。

 それらすべては小さな技術だが、全ての効果が十全に発揮されれば、もはや誰も彼女の術中からは逃れられない。一人、また一人と抜き去り、最終的には3バ身もの差をつけてナイスネイチャがゴールした。


「……これは、真似できるレベルのものだが、だがあまりにも膨大な分析データが必要だな」


 とはいえ、真似ができるレベルのものではあるのだ。それを要領よくまとめ、マヤノのトレーニングに活かすのは――他でもない俺の仕事。

 マヤノが一目通せば理解することができるように。なによりも、ナイスネイチャの弱点を見つけるためにも、膨大なデータの累積は必要だと思う。


「……さて、頑張るか」


―――
▼ライバルウマ娘[ナイスネイチャ]の研究度が1進みました。

・ライバルウマ娘とは?
 ライバルウマ娘は強力な能力を持ったウマ娘です。
 その為、普通に立ち向かっていては打ち勝つことは難しく、研究が必要になります。
 研究の進み具合によって、ナイスネイチャとの対戦の際、難易度が緩和されます。
 現在の進捗度は1/5です。

トレーナー「アレから一週間が経過した。ナイスネイチャとマヤノの仲は好調。お互いがお互いを高めあういいスパイスになっているようだ。なにより………とも一概には言えないのが悲しい所だけど」

トレーナー「そういえば、あの後たづなさんに呼び出しを喰らった。担当ウマ娘とのスキンシップは良いことですが、過度なものは控えてください、まして大衆の面前で――。ああいうことをするなら見えないところでやれ、ということらしい。それでいいのか、トレセン学園……」

トレーナー「最近俺はトレセン学園のことがわからなくなってきたよ……」

トレーナー「……」

トレーナー「……解らないことを考え続けても仕方がない。とにかくできることをやろう」

トレーナー「さて、今日は何をしようか」

―――

下1
トレーニング/お出かけ/休憩/スキル習得/脚質上昇/ライバル研究/その他(良識の範囲内で自由に)
※皐月賞まであと10ターン

ライバル研究
進捗度に応じて「真似が出来る」スキルとか開放されたりするのかな?


―――

トレーナー「という訳で今日はナイスネイチャの研究をしようと思う」

マヤノ「アイ・コピー!」

トレーナー「マヤノはナイスネイチャの強みってなんだと思う?」

マヤノ「んー……。賢い?」

トレーナー「そう、彼女はとても賢い。他には?」

マヤノ「え? えーっと……可愛い?」

トレーナー「レースに関係あるか、それ? たしかに可愛いけど」

マヤノ「もー、トレーナーちゃんってば浮気~?」

トレーナー「浮気も何もそもそも付き合っちゃいないだろ……って泣くな泣くな、俺はマヤノのトレーナーだから目移りはしないぞ!」

マヤノ「ふーんだ……」

トレーナー「こりゃ時間がかかりそうだ……。さて、VTRでも見るか」

―――

下1 ナイスネイチャの研究解析
50以上で研究度上昇・スキルヒント
50以下で研究度上昇


―――

トレーナー「ふむ……」

マヤノ「……前と走りが違う」

トレーナー「今しがた俺も同じこと思っていたところだ。これは――凄まじい走りだな」

トレーナー「特に末脚。前々から光るものがあったが、それが磨きあげられている。トレーナーの指導や彼女自身の才覚――なにより、彼女の精神がそうさせている……気がする」

マヤノ「うん……。ネイチャちゃん、昔はこんな強気な走りじゃなかった。もっと、自分をどこかに置いてるみたいな……そんな走り方だった」

マヤノ「でも、今は違う。――マヤと同じ、限界を……壁を越えようとする走りになってる」

トレーナー「俺よりも近くでナイスネイチャを見てきたマヤノがそういうんなら間違いはないな。だが――」

トレーナー(――果たして、それだけでこうも変わるか?)

トレーナー(やはりさらなる研究が必要だな……)

―――

▼ライバルウマ娘[ナイスネイチャ]の研究度が1進みました。進捗は2/5です。

―――

トレーナー「最近ナイスネイチャを褒めたからだろうか、マヤノのトレーニング効率が目に見えて上がっている」

トレーナー「なんというか、ありがたい事ではあるのだが……原因が原因だけに喜びにくさも感じる」

トレーナー「さて、これが今年最後のターンだ。けっぱるべー!」

―――

下1
トレーニング/お出かけ/休憩/スキル習得/脚質上昇/ライバル研究/その他(良識の範囲内で自由に)
※皐月賞まであと9ターン(当ターンを含む)



クリスマスは別口でイベント用意してるので、すみませんが休憩という安価のみ取らせていただきます。

―――

トレーナー「年の瀬も迫ってきたし、やらなきゃ行けないことが増えてきた。――例えば、来年のレースの予定を立てたり、トレーニングの予定を立てたり」

トレーナー「つまり――今日は休みなんだよ、マヤノ」

マヤノ「休みってことは自由ってことでしょー? だったらマヤが何しててもいいってことだと思ったんだけど……」

トレーナー「何してもいいけど、じゃあなぜマヤノはここにいるんだ?」

マヤノ「……? ここにいたいから、だよ」

トレーナー「年の瀬も近い、あとそろそろクリスマスだし、友達同士で計画とか立てあってる頃じゃないのか?」

マヤノ「ウマスタとか見るとそうっぽいね。でも、マヤの今年のクリスマスはもう予定が決まってるんだー」

トレーナー「ほう。ほう?」

マヤノ「知りたいって顔してるー。でもダメ、ヒ・ミ・ツ☆」

トレーナー「いや、マヤノにも"そういう相手"がいたんだなぁと思って驚いただけだ。君が幸せなら何でも構わないよ」

マヤノ「……? うん、マヤは幸せだよ?」

トレーナー(なんか話題が噛み合っていない気がするが――まぁいいか)

―――

▼次回のトレーニングの効果量が2倍になった。

今更だけど、ステータスってレースの時に賢さ以外は全部足しちゃうからどれ上げてもレース結果は変わらなかったりする?

undefined

>>514
作戦ごとに能力値の補正があるので、一概にどの能力値を上げても勝てるとは言い難い――と思います。特に作戦による補正は固定値ではなく倍数なので……。


―――

――12月25日。それはトレセン学園が最も騒がしくなる日の一つだ。


 生徒会主催で行われるクリスマスイベントを始め、学内の生徒がそれぞれクリスマスにちなんだ物を持ち込んでパーティーが開かれるためだ。

 無論トレーナーもそれらのイベントに参加することはあるが――俺にとっては無縁な話だ。

 ナイスネイチャとの皐月賞でのバトルが決まってからというもの、通常業務と研究という大きなふたつのタスクが重なり、まさしく火の車。

 ただでさえ遅れがちな通常業務を今のうちにこなしておかなければ、担当ウマ娘の成績不振以前に業務不適当で解雇されかねない。

 という訳で、今日は業務デーである。マヤノもクリスマスパーティーに出席しているのか、今日はトレーナー室に来てないし。

 マヤノがいないとトレーナー室は静かで、仕事にとても集中することが出来そうだ。

 眠気覚ましのコーヒー、糖分補給用のマシュマロを用意するともっと完璧になってしまった。

 よし、仕事を片付けるぞ――! ……と意気込んだのはいいのだが。

 なんだか落ち着かない。気がソワソワして、仕事が手につかないのだ。1体どうしてしまったんだろう。

 そうだ、音が足りないのであれば、何かの動画を見ながら作業をやればいい話ではないか。早速動画サイトを開き、雨音を垂れ流す動画を流して作業に戻る。

 ……。やはり何故か集中できない。どう足掻いても集中できない。一体何が俺をそうさせたのだろう――。

 ふと聞こえてくるクリスマスパーティーの喧騒。まだまだ昼だと言うのに盛り上がっているようだ。

 マヤノもあの輪の中に入って、存分に楽しんでいることだろう。はしゃぎすぎて年明けのトレーニングに影響が出なければいいが――。

 ふとそう考えた時に、仕事が手につかない理由が理解出来た。


――マヤノの騒がしさが足りないのだ。


 あの騒がしさに慣れてしまったのでは、こんな静かな環境でまともな仕事などできやしない。

 いつの間にか近くにマヤノが居る生活に慣れてしまっていた。気付いてしまえば、ずきりと胸が痛む。

 この先も戦いは続く。URAファイナルズに進むまでにも、日本ダービーや天皇賞なども達成目標に必ず入ってくる。

 運命という言葉が脳裏に響く。――それもただの運命ではない。離別の運命だ。

 年が開ければ、戦いはまた幕を開ける。それも苛烈な。

 共にいる年月を重ねる度に失う苦しみは増していく。俺も、そしてマヤノも。今感じている物足りなさも、俺が無意識にマヤノとの時間をもっと過ごしたいと思っているから――そう考えれば納得出来る。

 苦しい。この苦しみから逃げることが出来ればどれだけ楽だろうか。……俺は頑張ったんじゃないか?

 そう考えると、途端に自分のやってきたことが全て妥協のターニングポイントとして収束した。

 4着とはいえマヤノのメイクデビューを華々しく飾った、京都ジュニアステークスでは1着を取らせた。

 俺より才覚に優るトレーナーとの対戦についても、しっかりとした作戦を練って、マヤノへ伝えた。


――そうだ、俺は頑張った。


 だから少しくらい……休みたくなった。誰もいないところで、誰にも触れられず、深い闇の底で。


――そして俺は、トレセン学園を後にした。

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―――

「――できた!」


 トレーナーが執務に励んでいるころ、マヤノトップガンの姿はトレセン学園の厨房にあった。

 周囲では生徒会主催のクリスマスパーティーの準備が慌ただしく行われているが、その喧騒とマヤノトップガンは切り離されていた。

 マヤノトップガンは、そもそも生徒会のクリスマスパーティーに参加するつもりはなかった。

 今年1年の感謝をトレーナーに伝えるべく、同じ志を持った同志――ナイスネイチャと共にケーキを作っていた。

 時刻は昼。スポンジの焼き上がりは上場で、厨房には仄かに香ばしい香りが漂う。周辺のウマ娘たちは、彼女たちが焼き上げるケーキに興味津々だ。


「あっ、このケーキはトレーナーちゃんに渡すのだからあげないよ……!」
「そゆこと。あっちで料理班がケーキ作ってるから、欲しかったらあっちにたかりに行きなさいな~」


 マヤノトップガンが固辞し、ナイスネイチャが扇動する。トレーナー用クリスマスケーキの防備は完璧だと言える。

 ライバル関係の2人ではあるが、トレーナーに対しての感謝の念はウマ娘共通。お互いがお互いの作戦遂行のため、総力を上げて事態の完遂へ動いていた。



「あとはクリームを塗って冷蔵庫に保管しておくだけだね~」
「うん! マヤの特性クリスマスケーキ、トレーナーちゃんは喜んでくれるかなぁ」
「そりゃぁあれだけおアツいトレーナーさんなら喜んでくれますって。そう心配なされまするな~」
「そうだよね!」


 マヤノトップガンは信じて疑わなかった。今まであれだけ自分を助けてくれたのはトレーナーで、あれだけ望む言葉を言ってくれたのもトレーナーだ。

 きっと今回も、かけて欲しい言葉を言い当ててくれるに違いない――。重ねるが、マヤノトップガンはそのことを信じて疑わなかった。


「そういえば、マヤノはトレーナーさんに今日の夜のこと伝えてる?」
「ううん。今日の夜のイベントはサプライズなんだー」
「あー。なんだ、その――伝えておいた方がいいかもよ。トレーナーさんたちって大人だから、この時期に飲み会とかあったりするかもだし」
「――! マヤ・ランディーング!!」


 颯爽とかけ出すマヤノトップガン。それを見送るナイスネイチャ。ウマ娘の間では微笑ましく彼女らを見守る空気が生まれつつあった――。

 だが。


「トレーナーちゃーん、いる?」


 その日、ウマ娘たちの微笑ましげな表情は全て。


「……トレーナー、ちゃん?」


 冬の寒さに、凍り付いた――。

チラ裏案件かもしれませんが、少し長めに続きます。


 息が切れて、視界が少しぼやける。

 霞む視界に僅かに映るコンクリートの無機質さが、余計に孤独を誇張してくる。

 どれだけ走っても俺の孤独は緩解せず、遅効性の毒のように体に回っていく。――それは思考が鈍り、心が凍る致死性の猛毒だと、思う。

 思えば二度目のループからそうだった。俺は落ち込みやすいし、元気になりやすい人間だ。そう思い込んでいるだけだった。

 本当は、もっと気丈な人間だった。簡単に落ち込むことはないし、落ち込んだら落ち込んだでそれなりの期間を経たのちに元気になる――普通の大人だったはずだ。

 だが、こんな人間になってしまった。その理由は、今となっては明白だった。

――どこまで行っても、俺は孤独だった。


 スペシャルウィークは気丈なウマ娘だった。どれだけ絶望しても這い上がるほどの根性を持っていた。それは俺にとって、あまりにも眩しい星の光だった。

 ツインターボは溌溂としたウマ娘だった。どんな困難にもめげずに突撃していく様は、まさしく天性の努力家だと思えた。それは俺にとって、手の届かない風だった。

 マヤノトップガンは天才肌のウマ娘だった。どんな些細な兆候も見逃さず、自分の力に変えていく様は、まさしく天性の才能を感じさせた、それは俺にとって、追いつくことのできない夕陽だった。

 それぞれがそれぞれ、俺を上回る存在だった。だから俺は彼女たちを支えようと努力した。――だから俺は孤独だった。

 彼女らは、確かに俺のことを慕ってくれていたのかもしれない。俺のことを理解しようとしてくれていたかもしれない。でも、それは絶対に出来ない。胸中で管を巻く諦念が、絶望が、真の意味で彼女たちには理解が出来ない。

 むしろ今まで考えてこなかった方が異常なのだ。何度繰り返されるかもわからないループ。才に勝る桐生院ならまだしも、俺のような木端がループしたところで――本当に結果が出るなんて思えなかった。

 自信なんて最初からなかった。トレセン学園に入ってからだって、俺はずっとずっと劣等感を覚えていた。ハッピーミークを確立された理論で育成する桐生院トレーナーのような知識も、控えめな目標を持っていたナイスネイチャをあそこまで育て上げた手腕も。

 この不安がわかる人間などどこにもいない。この焦りがわかる人間などどこにもいない。この絶望がわかる人間などどこにもいない。この停滞がわかる人間などどこにもいない。――酩酊できるのであれば、もうこの世界を認識できないほどの酔いで好みを満たしたいくらいに。

 闇は濃い。夜よりも。影よりも。まして海の底よりも。俺は孤独だった。

 暖かさに触れるたび、その温かさを無意識に遠ざけたがっていたのも、温かさに触れることで孤独感を余計に助長されたからだ。胸が痛むたび、俺と彼女たちは乖離した存在なのだと思い知った。

 きっとこの思いも、この夜が降りやむ頃には胸の奥にしまわれるんだろう。そしてまた始まる。彼女たちの所作に、言動に一喜一憂して。彼女たちを無意識に遠ざけて。苦しんで悩んで落ち込んで悔やんで――打ちひしがれるのを首を差し出すように待つ日々が。

 俺は人間。

 人間だ。

 誰しもが思うような、主人公じゃない。

 いいとこ脇役で、下手すればモブ――。

 いっそ、この体が操り糸によって操作されるマリオネットであればいい。

 そうしたら、きっと。俺はもっと楽になれるはずだ。全知全能の神が、このクソったれな物語を終わらせてくれるはずだ。

 なんだか、目を閉じるだけでそうなりそうな気がして。俺は目を閉じようと思った。




「こんな思いをするなら、トレーナーになんか――」






「――厳禁ッ! それ以上の言葉は言わせない!」


 目を閉じる前、俺の肩を掴んだのは――小さな影だった。

「――秋川理事長」

 こちらを睨むように見上げていたのは、秋川やよいさん――トレセン学園の理事長だった。
 
「悲歎、悲歎悲歎悲歎――ッ! 何故君がそんなことを言うのか、私にはわからないっ」
「……理解できるはずないじゃないですか、そもそもなんですかいきなり」
「解答っ。君がなんだかただならぬ様子で走り去っていく様を、たづなが目撃していた!」


 確かに、あの時は脇目も振らずに走り出していた。誰かに見られていてもおかしくはないだろう。

 それを聞いてわざわざ追い掛けてくれるとは、ずいぶんと理事長はお暇なのだろう。


「……で、用件はなんですか」
「愚問っ! 君の様子が心配だった!」
「俺の心配なんてせずに、ウマ娘たちの心配をするべきでは?」


 俺の言葉に、理事長は目を吊り上げて反応する。普段はウマ娘たちに対する愛情が深く、このような表情は見ないものだから――少し驚いた。

 やがて理事長は、懐から扇子を取り出すと、俺の方へと向けた。


「……不明っ。君はウマ娘にとってのトレーナーが何なのかをわかっていないのか……?」
「ウマ娘にとってトレーナーとは一蓮托生の存在。それがお忙しい理事長が俺みたいな木端に構ってる理由ですか?」
「肯定ッ! それがわかっているのであれば、何故――」




 何故? そんなの、そんなの――。





「――んなこと決まり切ってんだろうが! 相応しくないんだ、俺はッ! あの子たちにッ!」


 堰が壊れて、もう止まらない。とめどない激情は、臓腑から胃に登って、口から吐き出される。


「俺はあの子たちにふさわしくない! それはどこの誰が否定しようと絶対の真実だ! ほかの才能あふれるトレーナーが面倒を見ていれば、今頃もっと大きな舞台に立っていた! そもそもメイクデビューから最後尾なんてことにはならなかったッ!」

「何を、君の担当ウマ娘は――」

「四着だ、だから何だ――! マヤノの潜在的ポテンシャルは四着で終わるものじゃなかった! それを台無しにしたのはほかでもない俺だ! スペシャルウィークだって、ツインターボだって――俺がいなきゃあんなに可哀そうなことにはなってなかった! 輝かしい未来が待っていた、GⅠレースなんて簡単に優勝して、優駿の頂点に立つべき子たちだった――ッ!」

「……」

「なのに俺は、俺は――彼女たちの未来を踏みにじった! ウマ娘のためのトレーナーなのに、いつしか俺は自分のことばかり考えていた。ループしなければいいとか、もう負けたくないとか……ッ!」

「……? 疑問ッ。ループとは――」

「もう……もう嫌なんだ……。俺はウマ娘のことが好きで、ウマ娘たちが輝けるようにサポートしたくてトレーナーになったはずなのに、自分のせいでウマ娘のことを道具のようにしか思えなくなってくるのが……! ループだのなんだのと理由を付けて、そんな自分を正当化するのが――」

「……トレーナー君」

「――なぁ理事長……教えてくれよ。どうしたらいい? 俺は本当に……本当にトレーナーでいていいのか……?」


 この一言を絞り出すために、俺はどれだけの鬱屈とした感情を吐き出さなければならなかったのだろう。

 この感情を、今でさえ言葉に出来ない暗澹たる感情を、どのように言葉にしたらいいのだろう。

 何もわからない、何も――。

 俺の総ては理解されない。――なんか、もう理解もされたくない。


――で、あるならば。回答は彼女にとって容易だった。


「笑止ッ!! 己を――君を信じたウマ娘たちを愚弄するなァぁぁああああッ!」


 怒髪冠を衝く。その叫びが、心からの願いが、篠突く雨を震わせた。


「否定ッ、否定否定否定ッ――! 限界を決めつけるなッ! 君を否定するなッ! トレーナーの意義を否定するなッ! 何より――」


――ウマ娘たちの思いを決めつけるな――ッ!


 咆哮は轟き、周囲の視線を集める。だが、それでも秋川やよいは止まらない。止まるはずもない。――トレーナーのその言葉は、最上の侮辱だ。

 トレーナーを信じて戦う全てのウマ娘たちへの、最低最悪の侮辱だから。

「何故君はウマ娘たちが走ると思う?! 答えろ、トレーナー!」
「…………。彼女たちの夢の為?」
「ああそうだ、彼女たちの夢のために走っているッ! 決して君たちトレーナーの為なんかではないッ! それは要素の一つでしかなく、本質は――夢への遁走にこそあるッ! だが同時に信じてもいるッ! 夢の共犯者が、常に自らの傍で支えてくれているのだと……」
「君は見誤っている、ウマ娘という存在を……いや、人の決意という気高い意思を――ッ!」


 ウマ娘がトレーナーのために走りたいと思うのは、彼らが夢を駆ける仲間になるからだ。むろん夢は必ずかなうわけではない。どこかで挫折し、時には敗北し、あるいは絶望を覚えることだってあるだろう。

 このトレーナーはそれらの総てを否定した。挫折を繰り返し強くなったウマ娘を、己の可能性を見限り諦め、しかし絶対に見返してやると意気込んで実際に見返したウマ娘を。

 ただならぬ事情があるのは秋川にも理解できた。先ほど出てきたループという言葉もそうだが、彼が、先ほどの慟哭以上の感情を胸中に抱えているのは察するに余りある。――そして、彼がどれだけ、ウマ娘を愛しているのかも。……だから本質的に、彼がウマ娘をモノ扱いすることは、まずないようにも思えた。


「理解ッ……。君が抱えているものは、恐らく誰にも理解されない」
「だったら……」
「因果、故に君は――"理解されないから"と、君の抱えるものを"決めつけ"、それは明かしてはならないものだと"決めつけ"、ウマ娘もそんな思いを乗せて走ることはできまいと――"決めつけている"」
「……」
「……それらが変化することを君は恐れている。それが、君のいうところの"孤独"だ。未知からくる恐怖だよ、それは」


 彼が恐れているものは、恐らく"孤独"ではない。その先にあるものだ。……秋川はなんとなく、そう思った。

 変化だ。――彼が恐れているのは、全てにおいて変化だ。

 自分がウマ娘をモノ扱いするかもしれないという、忌避すべき価値観への、変化。

 ループという現象が発生して、それがウマ娘を壊してしまわないかという、変化。

 それに――自分を慕ってくれているウマ娘が苦しむという、変化。

 変わっていくことに、変遷することに、彼は恐怖している。

 ……彼は、変わっていくものの中に、変わらないものが残ることを知らない。

 秋川は、彼が酷く――哀れな存在に見えた。

 そして、同時に理解する。秋川の言葉では、彼はきっと納得しきれない、という事を。


「――肯定。トレーナーをやめるというのであれば、それもいいだろう。しかしッ、その前にトレーナー室に向かってから決めろッ!」
「……トレーナー室?」
「称賛っ。君は君が思うよりも――素晴らしいトレーナーだ。だから見誤るな。迷ってもいい。だから……変化を恐れないでほしい。同時に、変わらないものを見つけてほしい」


「――安寧。君の悩みの答えは、いつだって君の傍にある」

「……とは言われたが」


 変化を恐れるな、と言われたところで、怖いものは怖い。

 変わってしまえば、連鎖的にすべてが変わっていく。それは恐ろしいことだ。

 俺がループすること、そしてその時マヤノ以外から記憶がなくなってしまうのを知ってしまえば、マヤノはきっと走れない。

 ……ああ、これが決めつけなのかもしれないな。

―――

 まだまだ発展途上、だな。誰かに併走してもらえれば、実力も上がるのかもしれないが……。

 彼女の適正はマイルや中距離。長距離では彼女自慢のスピードも、異次元のノビもどこまで通用するかわからない。もしかすると通用しないかもしれない。

 全力で走っているように見えるけど、案外繊細なスピードトレーニングだ……。そのあり方が常にターボを全力に見せているのかもしれないが、その実、内面はあまり強くないのかもしれない――。

 ……純粋に、彼女のコンディションの面倒を見るトレーナーがいなかっただけ、なのかもしれないな。

 それに――こうしてマヤノと触れ合える時間もこれが最後となるかもしれない。

―――

 思えば、たくさんの決めつけをしてきた。中には良い考え方もあっただろう。だが――それらすべてが変遷することを恐れていた、と言われれば、耳を塞ぎたくなる。

 図星、という事なのだろうか。


「……? トレーナー室に光が?」


 夜も10時を越している。おそらくは寮の門限もとっくに過ぎている――という事は、ウマ娘ではないはず。……これも決めつけか。

 とにかく誰かがいる。誰なのかはわからないが――その中に居る人物こそ、恐らく秋川理事長が言っていた言葉の理由となる。


「……でも、なんでだろうな、扉を開けるとなると――少し緊張するな」


 手が震える。でも、踏み出さなければ――始まることはない。


「……そうだ、こういう時こそ、神頼み……ってね。自分の意思で空けるのが難しいなら――使えるものは何でも使おう。どうせ、これが俺のトレーナーとしての最後だ」


 祈りは形となり、願いは力となる。

―――

下1 扉を開きますか?

自慰行為ともとれる物語展開にお付き合いいただき、切に感謝いたします――。
更新は少々お待ちください。

所要で更新できずすみません……! ゆっくりと更新していきます
―――

――扉を開け、と頭の中で誰かが囁く。


 この声にそのまま従うのは癪だが、しかし俺もトレーナー室に誰がいるのか気になる。

 予測は出来ているが――だが、見ないわけにもいかない。

 何が起こるかわからない。でも仮に何か起こったら、脳裏に響く声のせいにしてしまおう――。

 まるでリビングの扉を開くような軽さで、少し湿った手でドアノブをひねる。


「……マヤノ?」
「……ん……すぅ……」


 机に突っ伏して眠っているのは、担当ウマ娘――マヤノトップガンだった。エプロンを着ており、その下は制服だ。……あんな格好で眠ってしまっては、制服がしわになってしまう。

 直してあげなければ、と一瞬思う。でも、もう彼女のトレーナーをやめようとしている俺に、触れる権利などあるのだろうか? いや、きっとない。

 そもそもマヤノと話す権利すらなく、マヤノと同じ部屋にいることすら本来はあってはならないことだ。それが許されている理由は一つとしてなく、俺をこの部屋に留めている理由は"かつてのトレーナーだったから"という矜持だけだった。

 トレーナー室に答えがあるといっていた理事長の言葉は恐らく真実だ。正直、この展開は透けて見えていた。なぜなら、そもそもトレーナー室に入る関係者などマヤノ以外にいなかった。

 ……じゃあ、なんでマヤノと関わる権利などないと思っているのに、俺は彼女がいることが見え透いている部屋に入ったのだろうか。

 答えは簡単だ。事ここに至って俺は――マヤノが引き留めてくれるかもしれないと期待していたんだ。

 マヤノが俺を許してくれれば、きっと俺はまだトレーナーを続けざるを得なくなる。いやいやながら……いや、本当はそれこそが望んでいる展開だった。

 悪魔のような浅はかさだった。俺は他者肯定にしか存在できない、とても愚かな存在だったのだ。

 そうだ、俺はもうここにいてはいけない。俺の勝手な妄想の中で済ませるのは誰にも迷惑をかけないが、それを外に出したり、妄想の影響を他者に与えてしまうのは明確な干渉だ。

 踵を返して、扉へと手をかける。呼吸が早まり、足が鉛のように重い。自意識などこんなに弱くて、逃げることすらできないほどに脆弱だ。マヤノから――ウマ娘へ背を向けることが、本当に恐ろしい。

 ふと、そんな俺の袖が――掴まれた。

「トレーナー、ちゃん?」
「……マヤ、ノ」
「……えへへ、帰ってくるの遅いよぉ。マヤ、ずーっと、トレーナーちゃんのこと待ってたんだよ?」


 眠気にふやける瞳で、マヤノは俺に笑いかけてくる。その笑顔がとても眩しくて、俺は思わず目を背けた。そんな目で俺を見ないでくれ、そんな声を俺にかけないでくれ――と。

 だが、マヤノがその程度で止まるウマ娘ではないことも同時に理解していた。――理解していたが、何故だか俺はそれを無視していた。だから、もっと強い言葉を使うべきだという理性故の思考は切って捨てられた。


「……すまんマヤノ、俺は――」
「――トレーナー、やめちゃうの?」


 言葉より早く、俺は視線を跳ね上げる。その先には、今にも泣きそうな表情を浮かべているマヤノの姿があった。


「どうして? マヤ、何か悪いことしちゃった……?」
「……そうじゃない」
「ひょっとしてベタベタするのが嫌だった……? それとも、マヤがお仕事中にもずっと近くにいたから疲れちゃった……?」
「……違う」
「……。じゃあ……マヤが、マヤが弱かったから……?」
「――違う! 違うんだ、マヤノ……君のせいじゃないんだよ……」

 君のせいじゃない。

 悪いのは、俺だ。本当はこんなところにいるべきではなくて、もっと早く立ち去るべきだったのに立ち去らなかった俺のせいなんだ。

 君がメイクデビューで一着を取れなかったのも、もっと高いところを目指せなかったのも、全部全部――俺のせいなんだ。

 本当はそんなことを言いたかった。でも、どうしても言葉が詰まって出てこない。まるで俺が、その発言を拒んでしまっているかのように。


「……じゃあ、なんでトレーナーちゃんはそんなこと言っちゃうの……? マヤ、トレーナーちゃんと一緒にたくさんレース走りたいよ……!」
「……俺が、俺が悪いんだ」
「……トレーナーちゃん」


 マヤノがそう言った。こちらへ近づいてくる。一歩下がる。一歩近づく――。

 繰り返しの後、背後にもう退路がないことに気が付いた。トレーナー室の壁の冷たさが、背中に染みる。

 マヤノがどんどんと近づいてきて、俺はその場から少しでも逃げ出したくてへたり落ちる。でも下がれなくて――俺はマヤノを見上げる形になった。

 何処までも透き通る黄金の瞳が、俺のことを見た。たったそれだけで、金縛りみたいに動けなくなる。


「トレーナーちゃん、なんで何も言ってくれないの……? 俺が悪いって――話してくれなきゃわかんないよ! なんでトレーナーちゃんがそんなに思い詰めてるのか、マヤにはわかんないよ……」
「……」
「……レースの前、ずっと不安そうだったのが理由? ずーっと、何かに怯えてた……。それが、トレーナーちゃんをこうしちゃった理由? マヤがどれだけ"勝つよ!"っていっても、それでも震えてたのが……トレーナーちゃんをこうしちゃったの……?」
「それは……」
「マヤはね、トレーナーちゃんがいつか話してくれるって思ってたんだ。なんでそんなに怖がってるのかって。……マヤが勝ち続ければ、もう負けないぞって証明できれば、いつか、いつか話してくれるって思ってた」


 ……無理だ。マヤノが勝ち続ければ勝ち続けるほど、俺はきっと言い出しにくくなる。マヤノの走りが鈍ってしまうと思い込んで、何も言えなくなってしまう。

 そもそも、話したところで嘘だと思われる。この世界の何処に「僕はループしていて、目標を達成できないと無限に繰り返してしまうんです」と言って信じる人間がいるんだろうか。

 SF世界の住民ではない。この世界の人たちは、地に足をつけて生きている。何を話しても無駄で、だからこそ俺は真の意味で孤独を感じていた。

 そして仮に話した結果それが信じられても、俺に対する当たり方が違ってくるかもしれないと思うと、なかなか言い出せなかった。――今なら認めてやってもいい。秋川理事長のいう事は悉く正解だったさ。

 だから、俺はマヤノには事情を話すことができない。


「……でも、話してくれなかった。そして今も、話してはくれないんだよね……?」

「……。マヤノになら話してもいいかなって思った時はあった。本当に、ちょっとだけ。でも話してどんなことが起こるかわからなかったから話せなかった。マヤノの走りが鈍ったり、走れなくなったりするのが怖かった。――そうなると、いよいよ本当に言い逃れできなくなるから」

「言い逃れ?」

「ああ、言い逃れだ。俺という存在がマヤノを翳らせているという事を理解したくなかった。逃げ道が欲しくて――おあつらえ向きの逃げ道があった、それだけの話だ」

「……それって、トレーナーちゃんは……マヤのことを信じられなかった、ってこと……?」


 そう言われて、俺は即座に違うと返すべきだった。……だが返せなかった。

 事実だ。何処までも真実だった。俺はマヤノのことを――ひいてはツインターボやスペシャルウィークのことを真に信用していなかった。

 信用しているならばこの不安についても話せたかもしれない。信頼しているならば、この絶望を分け合えたかもしれない。でも、それが出来ないほどに俺の心は弱っていて、そしてループの条件は凡百のトレーナーである俺には難しいと呼べるものだった。

 ふさぎこんだ理由は、それだけで十分だった。


「……だったら、トレーナーちゃんはどうしたらマヤのことを信用してくれる……?」

「難しい……と思う」

「……。どうして?」

「それは言えない」

「どうして言えないの?」

「それは……」

「――答えてよ、トレーナーちゃん! マヤは、マヤはトレーナーちゃんのことを信じて走り続けてきた! でも、急に信じられないって、そんなのあんまりだよ……。マヤは、マヤは、トレーナーちゃんが一緒に走り続けてくれるから走れたのに………。最初から全部嘘だったのなら、嘘だって早く言ってほしかったよ、トレーナーちゃん……」

「……っ! 嘘なんかじゃ――」

「もう、マヤ疲れちゃった。ね、トレーナーちゃん……。マヤはトレーナーちゃんにあんまりめーわくをかけないようにいい子にしてた。でもね、本当はもっともっとトレーナーちゃんとやりたいことがあったんだよ。一緒にお菓子作ったりとか、一緒に遊びに行ったりとか――」

「今ある思い出だけじゃ足りなかったんだよ。ブライアンさんのレースを見に行っていっぱいお話したことも、レースの後に興奮しちゃって抱き着いてたづなさんに怒られちゃったことも、海岸デートしていっぱいお話したことも、京都で他の子たちよりも頑張って一着を取って、トレーナーちゃんと一緒に喜んだこと、ネイチャちゃんがライバルになるからって無理して研究してそれを心配してたことも――。本当に大好きな思い出たちだったんだよ。もっともっとたくさんの大好きを作って――変なことがあったら笑いあって、悲しいことがあったら一緒に泣いて、一緒に喜んで、楽しんで、歩きたかったんだよ」

「我慢してた。だって、トレーナーちゃんは、マヤのために働いてくれてるんだって思ったら、これ以上望むのはめーわくになるから」


 気付けば、俺のズボンに大きなシミが出来ていた。それが、俺の脚を掴むマヤノの涙でできていたことは、確認しなくてもわかった。


「――ねぇトレーナーちゃん。嘘じゃないんだったら、トレーナーちゃんにとって、マヤとの思い出ってなんだったの……? マヤは思い出があるからトレーナーちゃんのことを信じれたし、頑張れた。でもトレーナーちゃんは……これでも信じられないって、マヤには話せないって言ってて……」

「それって、すごく悲しいよ……。なんか、マヤが一人ぼっちになっちゃったみたいで、寂しいよ、
トレーナーちゃん……」

―――

 寂しい。その言葉を聞いた時、まるで頭を殴られたような衝撃を覚えた。

 俺は孤独だ。正しく孤独だった。俺は凡人だ。正しく凡人だった。だから人に関わることは得意ではないし、関わってはならないとすら思っていた。――人に干渉して、その結果変わってしまったらと思うと恐ろしかったから。

 だから、何も話さないことが正解だと思った。職業が職業だから、ウマ娘とは仲を紡ぐことが大事だし、そこだけはきちんとこなすべきだとは思ったが、それ以上についてはやるつもりがなかった。

 それこそが最良だと思っていた。それこそが――彼女たちが望む道だと思っていた。

 でも、でも――目の前の光景を見て、それが確かだと言えなくなった。

 顔を覆って泣きじゃくるマヤノの姿はとても痛々しくて。とても――孤独だった。

 理解した。確かに俺は孤独だったけど、マヤノも独りぼっちだった。

 真に心を開かない俺のことをずっと心配している間、マヤノは独りぼっちだった。ずっと一緒にいる、ともに走ると誓っていたのに頑なに口を開かない俺を待っている間、ずっと独りぼっちだった。

 性質は確かに異なる。俺は環境が生んだ孤独で、マヤノは状況が生んだ孤独。でも、そこに何の差があるというのだろうか。寂しいという気持ちは、誰であっても変わらないものだというのに。

 ただ。ただたった一つ違うことがあるとするならば――マヤノは俺のことを信じていた。俺はマヤノのことを信じ切れていなかったのに。

 そのことが、ただただ痛い。でも、こんな痛みはマヤノの抱えていた痛みに比べればまだ優しい痛みだ。俺は――自分の状況を誰も理解してくれないと管を巻いて、絶えず発生する傷口を舐めていたが、マヤノは"待つ”――発生する傷口を真っ向から受け止め、それでも前を向いていた。


「……トレーナーちゃん?」


 そう考えると、心底嫌になった。こうして管を巻いている自分のことが。そして――今もなお傷付いているマヤノを、それでも放っておこうとした自分のことが――!

 こぶしを握って、それを強かに頬に打ち付ける。口の中が切れて、血の味が口いっぱいに広がる。目が覚めるような衝撃だった。裂傷が痛むが、そんなの関係ない。

 驚き目を見開くマヤノを――そんな資格はないけど、それでも俺は抱きしめた。細い体が冷え切っていて、触れる肌がとても冷たかった。暖房もつけずにこんな部屋にいたら当然だ。


「ごめん、マヤノ――!」
「え、え……?」
「俺は、自分の孤独にばっかり目を向けていて――結果的にマヤノのことを独りぼっちにしてしまった!」


 力強く、どこまでも力強くマヤノを抱きしめる。


「話しても信じてくれないと思ってた! 話したらマヤノがもっとつらい目に合うと思ってた! でも、でも……それがマヤノをもっと悲しませてたってことに、俺は気付いてなかった……」
「トレーナーちゃん……」
「マヤノ。やっぱり俺はお前のトレーナー失格だ」
「……そんなことない! だって、だってトレーナーちゃんは、マヤのことを頑張って育ててくれてた! 俺には何もない、って言いながらも、必死にあがいて、マヤのことを凄く考えてくれてた! だから、だから――」


 マヤノが、顔を胸にうずめて、小さく声を震わせる。煙のように消えそうな言葉で、たった一言呟いた。


「――だから、マヤのトレーナーは、トレーナーちゃん以外にありえないんだよ……!」


 マヤノはぎゅっと、服を掴んだ。……声だけじゃなくて、手も震えていた。いつもは元気に動いている耳も、尻尾もへたりこんでいた。その様子は、まるで捨てられてしまった子犬のようで。

 今更ながらに、自分が何をしてしまったのかを自覚する。これほど信じてくれた相手を切り捨てるような真似をした上に、あまつさえ泣かせてしまっている。

 真実を話しても許されることではないと思った。でも、それでもマヤノが認めてくれるのであれば、俺は彼女の隣にあり続けたいとも思う。見合わなくても、相応しくなくても。

 マヤノの信頼に応えたい。欠けてしまった信頼を取り戻したい。――そして何より、マヤノトップガンというウマ娘が駆ける夢を共に見ていたい。

 だから。


「俺は、マヤノのトレーナーになっていいのか……?」
「……マヤのトレーナーは、トレーナーちゃんしかいないんだから……! もう、もうぜったいに! 失格なんて言っちゃダメなんだから!」
「……ああ、ああ」
「だから、マヤから離れていかないで、嘘でも辞めるなんて言わないで……! ――ユー・コピー?」
「……。――アイ・コピー!」


 もう少し、もう少し秘密を話すのには時間が必要だと思う。でも、それでも――彼女が俺を信用してくれているように、俺もマヤノのことを信用したい。

 変化を恐れていては前に進めない。もう前には戻れないかもしれないけど――この先の道も、きっと悪くないって、なんとなくそう思えてきた。

 マヤノとともに歩くことで、俺はもっと、変化を恐れずに進むことができるようになる。

 ふと窓の外を見れば、雪が降り始めていた。――冷え冷えとした空気が満ちるが、不思議と寒くはなかった。……むしろ、少し暖かい。泣きたくなるほどに、暖かい空気が、瞳に満ちた――。

トレーナー「そういえば、マヤノはどうしてトレーナー室に居たんだ?」

マヤノ「……トレーナーちゃんに、クリスマスプレゼントを渡そうと思って」

トレーナー「……俺に?」

マヤノ「もう、ちょっと時間が過ぎちゃったかもしれないけど……クリスマスケーキをね、ネイチャちゃんと一緒に作ったんだ」

トレーナー「それで、俺に渡そうとトレーナー室に……」

マヤノ「うん。でも、時間が経ってぱさぱさに――」

トレーナー「これか?」

マヤノ「うん――って、トレーナーちゃん?! そんなに一気に食べたら喉がつまっちゃうよ~!」

トレーナー「んぐ、あぐ……。うん、旨い――!」

マヤノ「ほんと……?」

トレーナー「マヤノが俺のことを想って作ってくれたものがまずい訳ないだろ? それに出来も丁寧で――何というか、愛情を感じる」

マヤノ「………いつもありがとうって、そう思って作ったケーキだったから、いまとっても嬉しい――!」

トレーナー「こちらこそ、いつもありがとうな」

マヤノ「えへへ、どういたしまして?」

トレーナー「……あのな、マヤノ。もしマヤノがよければだけど――年明け、どこかで一緒に過ごさないか?」

マヤノ「……え? ええ~っ!?」

トレーナー「何というか、罪滅ぼしと言うか――。思い出作りたいって言ってただろ? だから、今まで作れなかった分、もっと作りたいな、と思ってだな。……いやだったか?」

マヤノ「いく、いく! いきます! はい! テイクオフはいつ?!」

トレーナー「……追って連絡するから、今日は帰って休めよ?」

マヤノ「アイ・コピー!」

トレーナー「……さて、ウマ娘と外泊するのは例がない訳ではないが難しい気もする――。まぁ、そこは、焚きつけてくれた人にお世話かけたついでに面倒見てもらうか。申し訳ないけど」

トレーナー「……あとで何か、お礼もっていかないとな」

―――

▼トレーナーの抱えるモノが消え去った。

▼トレーナースキル「共感覚」のヒントレベルが1上がった。

[共感覚]
真の意味でウマ娘と通じ合い、自身の持つ知識や経験などを余すことなく伝えることができる。
ウマ娘の所有する脚質、距離適性、スキルのヒントレベルを常に1上昇させる。

―――

少しばかりお待たせしました。しばらくぶりの安価です。
何卒宜しくお願い致します。

下1 年明けをどこで過ごす?

―――

難易度についてはある程度の基準があります。ただし、難易度の高い低いについては実数値で表している訳では無いので、多少差が発生します。

ここ数日はTRPGの予定が立て込んでいるので更新が遅くなるかもしれません。ご容赦を……。

 あれから時間が過ぎて、12月は31日となっていた。
 
 例年は静かな年明けを過ごしていたのだが、今日は違う――。

 こたつに入って紅白を見ていると、ごそごそと何かが動いた。何度も試みられている以上、何をしたいのかはすでに理解していた。

 股を少し大きく、余裕を持って開けば、もぞもぞとしたそれは脚と足の間から顔を出す。


「トレーナーちゃん~みかん~」
「それくらい自分でむきなさい」
「え~。でも、トレーナーちゃん今むいてるから……」
「なんで分かったんだ……?」


 ドヤ顔を浮かべ、マヤノはぴこぴこと耳を揺らした。……そういえば、ウマ娘の身体能力は人間の比ではなかった。みかんをむく僅かな音を聞き届けていたのだろう。

 あれから時間が過ぎて、12月は31日となっていた。
 
 例年は静かな年明けを過ごしていたのだが、今日は違う――。

 こたつに入って紅白を見ていると、ごそごそと何かが動いた。何度も試みられている以上、何をしたいのかはすでに理解していた。

 股を少し大きく、余裕を持って開けば、もぞもぞとしたそれは脚と足の間から顔を出す。


「トレーナーちゃん~みかん~」
「それくらい自分でむきなさい」
「え~。でも、トレーナーちゃん今むいてるから……」
「なんで分かったんだ……?」


 ドヤ顔を浮かべ、マヤノはぴこぴこと耳を揺らした。……そういえば、ウマ娘の身体能力は人間の比ではなかった。みかんをむく僅かな音を聞き届けていたのだろう。

 切り取ったみかんの一切れをマヤノの口に持っていくと、ぱくり、と小さく口を開いて食べる。なんだか雛鳥の餌付けを思い出す光景だ。今の体勢からすると、どちらかというとマヤノは亀っぽく見えるが、それは置いといて。

 みかんを食べ終えたマヤノは、そのまま俺の体を掴んで、よじ登るように足の間にすっぽりと収まった。もぞもぞと僅かに動いて、最も収まりが良い場所に来ると尻尾をぱたり、と俺の太腿にかける。

 マヤノがそうなったら、彼女の頭を撫でる。それがなんとなく、直近のルーティーンになっていた。


「トレーナーちゃん、トレーナーちゃんって紅白派なんだ」
「……ん? ああ、いや。年末は特にテレビとか見てなかったし、どの番組を見なきゃいけない、ってわけじゃないよ。何というか、歌が一番無難かなって思っただけ」
「そっかー。マヤもあんまりテレビって見ないし……」
「今はスマホがあるもんな」
「ねー」


 マヤノの神を撫でるついでに、髪に指を通す。するりと指と指の間をすり抜ける髪の毛。いつだってマヤノの髪の毛は整えられていて、撫で心地が良い。かなり手入れされているのだろう。

 ふと、クリスマスプレゼントを渡していないことを思い出す。これだけ髪の毛が長ければ手入れも大変だろうし、少しでも楽になるものを選んで送ってあげようかな。


「トレーナーちゃんの撫で方って、あんまり上手くないよね」
「……。そう、なのか……?」
「マヤは好き! それに……上手かったらそれはそれでなんかヤだし……」
「……? よくわからんな……」
「あ、トレーナーちゃん! この人トレセン学園の先輩だよ!」


 そんな他愛ない会話を繰り返す。クリスマスの日の出来事なんて、もう影もないくらいにお互いの距離は近かった。

「マヤノ」
「ん~?」
「俺、いつかマヤノとお別れしなきゃいけないかも」
「……。そっか、やっぱりそうなんだね」


 何となく想像がついていた、とマヤノは小さく笑った。でも、この話を切り出した瞬間、マヤノの体が少し震えたのを俺は見逃さない。――想像は付いていても、実際に聞いてしまうとショックなんだろう。

 マヤノのことを安心させるように頭を撫でると、強張った体から力が抜けていった。こちらのことを見上げる瞳は――少し潤んでいた。

 大丈夫だよ、と小さく笑う。マヤノが落ち着くまで、ゆっくりと、彼女の絹のような髪の毛に手を通していく。撫で方はうまくないが、これが俺らしさだ。これが好きで、安心するといってくれたマヤノのことを想うなら、これが正解だ。

「……落ち着いたか」
「うん」
「俺が抱えてたものは、簡単に言えば――"目標を達成しないとループする"という現象だ」
「……そっか。だからトレーナーちゃんは、最初からつらそうな顔をしてたんだね」
「わかってたか」
「マヤは何でも"わかっちゃう"んだから……。じゃあ、マヤは何人目のウマ娘なの?」
「――1回目がスペシャルウィーク、2回目がツインターボ、そして君が3回目だ」


 俺の脚の間に座るマヤノの表情は、よく見えない。ただ、声の調子でよくわかる。――これは、悔しそうなときの声だ。

 でも、それを発さないという事は――その感情は俺に隠したいものなのだろう。だったら、俺はつっつかない。伊達ではないが、もう10か月近く彼女と話してきた。……理由もなくマヤノが黙るはずがない。

 だから、静かに、静かに、俺はマヤノの言葉を待つ。

「トレーナーちゃんは、さ。ずっと後悔してたんだよね。トレーナーちゃんがウマ娘の未来を潰しちゃったって」
「……その通りだ」
「でも、本当にそうなのかな――?」
「……と、言うと?」


 そういうと、マヤノが俺の手に手を重ねてきた。心細そうに、マヤノの小さくて暖かい手が俺の指に伸びてくる。こちらからくるむようにマヤノの手を握ると、マヤノの尻尾が僅かに揺れる。リラックスしているときのサインだ。


「トレーナーって、ウマ娘にとって……その、すごーく大切な存在なんだよ。ウマ娘のことを第一に考えてくれて、いつでもそばにいてくれて、どんな時でも味方でいてくれる。どんなに敵が居たって、トレーナーさえいてくれれば、なんかがんばれちゃう気がする――。ウマ娘にとっては大事な人なんだよ、トレーナーは」
「……わかる気がする。そんな人が近くにいたら、確かに安心だろうな」
「だから、どんな結果であっても、トレーナーちゃんが近くに居たんだったら、その子たちはすごくうれしかったんじゃないかなぁ。すごくひどい負け方をしたって、足を折りかけたって、隣に――一番の味方がいるんだよ。マヤだったら嬉しいって思う」
「マヤノは――マヤノは、俺が傍にいてよかったと思うか?」
「とーぜん。じゃなかったら、大みそかまで一緒に過ごさないよ~」


 いつもの声で笑うマヤノ。緊張がほぐれてきたようで、心拍も元のバイタルに戻っていた。

「だから、その子たちは――がんばろー、って思ったんじゃないかな」
「――。見捨てられた、とは思わないのか?」
「ううん。だって、一番の味方だよ……? 何か理由があっていなくなったんだ、って思う」


――そしてそれが多分、自分のせいなんだろうなって思う。

 マヤノの言葉を聞いているとき、俺の脳裏に浮かんだのはスペシャルウィークの姿だった。彼女は努力に努力を重ね、有馬記念の舞台に立った。もしかすると、その陰に"俺に対する後悔"があったとしたら――。

 とてもやるせない話だ。もう二度と会えないかもしれない相手を待ち続けるのは、とても辛いことだ。それが例え、数か月ほどの付き合いだったとしても。まして、世界で無二の味方だとしたら……。


「マヤは。マヤノは――もしそうなったら、耐えきれるか?」
「……わからない。でも、とってもつらいことだってことはわかる」
「そうか……」


 わかり切った話だ。仮にマヤノの言葉がすべて正しいことだと仮定して、スペシャルウィークもツインターボもあれだけの反応を示したのだ。二人よりも長い期間共にいるマヤノがどうなるか――俺にも想像できない。

 以前の俺ならば、ここで恐れおののいて焦りを強くしたかもしれない。だが、今の俺の中にあるのはたった一つの意思だけだ。

――勝たなければ。

 もうその炎が消えることはない。たとえ水を被ろうと、泥を啜ろうと。身を焦がすほどの熱は、いずれ歩む足が、心が折れるまで、消えることはもうない。

 人はそれを――決意と呼ぶのだろう。

「マヤノ」
「どーしたの、トレーナーちゃん」
「どうしような、俺もう負けたくないんだ」
「……。だったら、答えは簡単だよ」


――勝って勝って勝ちまくる!


 マヤノの掲げたそれは、酷くシンプルで――でも、だからこそ分かりやすい目標だった。


「はは、ははは! そうだな、それしかないな!」
「うん! 勝てばよかろうなのだ~!」
「だったら、頑張ってトレーニングしないとな」
「うん、今だったら、マヤ、空の果てまで走れそう!」


 ぐ、とこぶしを握るマヤノの頭を空いた手で撫でる。もう慣れたものだ。

 ふと視線をテレビに戻すと、カウントダウンが始まっていた。もうそろそろ新年が始まりそうだ。

 最初にかける言葉は何にしようか――。

 そうして、新年は訪れた――。

トレーナー「年明け早々掛けた言葉、そりゃそうだろうなと思うかもしれないが"あけましておめでとうございます"なんだよな」

トレーナー「考える余地すらなかった。いや、そもそも人付き合いに何か考えを持ち込む方がおかしいのかもしれないが――」

トレーナー「ま、いっか。とにかく正月の過ごし方は……何というか豪華だった」

トレーナー「将来の展望について話したり、好きなものについての話をしたりした」

トレーナー「……ただ、ループした結果についてはまだ話せていない。でも、マヤノも俺がまだ何か話せていないことがあることに気付いている。……いつか、いつか話せる時が来るといいんだけどな」

トレーナー「あと、おせちを一緒に作って食べたりしたな。俺の料理の腕はお察しだが、マヤノの腕前はなかなかだった。結構頑張ったんだろうな――」

トレーナー「かなり充実したお正月だったが――正月太りだけが心配だ。ああ、心配だ――」


―――
下1 スキル習得コンマ
50以上で習得
50以下でスキルヒント
※ゾロ目の場合は追加ロール

下2 バッドステータス[太り気味]獲得コンマ
50以上で回避
50以下でバッドステータス[太り気味]付与
※ゾロ目は何かあります。

曇らせってどういうものなのか、今の僕には理解できない……(アンインストール)

挫折も成長への1歩ですからね、曇らせるつもりで書いている訳では無いのですが……それが皆様のご嗜好に合致したのであれば何よりです。

マヤノ「トレーナーちゃん、なんか体が重いよ~……」

トレーナー「……見事に正月太りしちゃったな」

マヤノ「このままじゃ子豚になっちゃうよ~!」

トレーナー(子豚になったマヤノ……それはそれでありかもしれんな……)

マヤノ「トレーナーちゃん、なんか今変なこと考えたでしょ!」

トレーナー「……そんなことはない」

マヤノ「見えた――嘘の糸!」

トレーナー「俺たちの世代だと"嘘をついている味"だったんだけどな」

マヤノ「じぇねれーしょんぎゃっぷ……」

トレーナー「年齢は重ねるもんじゃねーな―……」

―――

▼バッドステータス[太り気味]を獲得した

▼スキル[栄養補給]を獲得した

▼スキルヒント[食いしん坊]Lv1を獲得した

トレーナー「新年早々だが、マヤノとの関係性を疑われる声が増えてしまった」

トレーナー「どうやらナイスネイチャの態度から、俺とマヤノに何かがあったことがウマ娘たちにバレてしまったらしい。さすがにお泊りしたことはバレてないらしいが……」

トレーナー「そこはあれだ、上位者――理事長の権限が効いているんだろう。さすがだな、という気持ち」

トレーナー「ただ、視線が痛い……。あとマヤノのスキンシップが激しくなりつつあるのも問題かもしれない……が、今此処に至ってそれを指摘するのはすこし悪い気もする……」

トレーナー「どうしたものか。いや、どうする必要もないな」

トレーナー「俺たちは俺たちだ!! 第一スーパークリークのトレーナーはスーパークリークにお世話されてるっていうじゃないか」

トレーナー「時代は多様性の許容!!!」

トレーナー「……ふぅ。さて、今日は何をしようか」

―――
下1
トレーニング/お出かけ/休憩/保健室/スキル習得(ウマ娘)/スキル習得(トレーナー)/脚質上昇/ライバル研究/その他(良識の範囲内で自由に)
※皐月賞まであと9ターン(当ターン含む)
※休憩効果:次回トレーニング効果2倍

休憩効果はトレーニングするまで継続します!
ので今回は研究ですね――。

ずっと気になってたけど、レース前の合宿最終ターンにも休憩して、その後クリスマス休憩
そこからお悩み解決編とライバル研究でずっとトレーニングしてないから、2回分の休憩ブーストがあると思うんだけど
この場合効果は重複するの?

>>585 確認したら確かに休憩してますね……。
休憩効果は重複します。一つの能力値をえげつない伸ばし方したい時とかには使えるかもしれないです。

この場を借りてミスの訂正を。
・皐月賞まであと9ターン→あと8ターン
・休憩効果:次回トレーニング効果4倍

トレーナー「時にマヤノ、ナイスネイチャの弱点ってどこかわかるか?」

マヤノ「耳の裏……とか?」

トレーナー「そういう弱点じゃなくてだな……。レース中の話だよ、レース中」

マヤノ「うーん。何というか……普通? の走り方するよね」

トレーナー「おう。ナイスネイチャの弱点らしい弱点はそこだ」

トレーナー「すなわち、堅実な走りができるが、言い換えれば堅実な走りしかできない」

トレーナー「例えば確実に一着を取り切ることができるようなレースであれば零すことはないが、ジャイアントキリングなどは難しい。あと、一度調子が崩されれば、そこで失速するケースが多くみられる」

マヤノ「……と、いうことは?」

トレーナー「今のナイスネイチャとマヤノは恐らく同格だ。であれば、彼女に対して用いるのは――搦め手だ」

マヤノ「……ネイチャちゃんに通用するかな?」

トレーナー「するさ。知ってるか、知能を持つ生物の大きな弱点の一つに――想像力からくる恐怖がある。これは人間以外のどの動物にも見られない力であり、弱点でもある」

トレーナー「例えばマヤノ、レース中真後ろに全力のナリタブライアンがいたらどう思う?」

マヤノ「抜かされる――かな」

トレーナー「そうだ。そして抜かされまいと速度を上げて――結果、ペースを崩す。恐怖と言うのは、知能を持つ生物であれば克服できない感覚だからな。これならナイスネイチャにも通用する」

トレーナー「つまり、今からマヤノに習得してもらうのは、差して来るナイスネイチャをどうけん制するか、その術だ」

マヤノ「……良く解らない、けど。トレーナーちゃんがしっかり教えてくれるんでしょ?」

トレーナー「ああ、みっちり教えてやる」

マヤノ「だったら安心だね。 マヤ、ネイチャちゃんに絶対勝ってみせるよ――!」

トレーナー「いい意気だ。じゃあ、検証を開始するぞ」

マヤノ「アイ・コピー!」

―――

下1 ナイスネイチャの研究解析
50以上で研究度上昇・スキルヒント
50以下で研究度上昇

トレーナー「癖が無い――ように見えるな」

マヤノ「………! トレーナーちゃん、今のところ巻き戻して!」

トレーナー「お、わかった」

マヤノ「……やっぱり。ネイチャちゃん、差す直前に視線を一瞬だけ内側に投げる癖がある――」

トレーナー「隙があるとしたらそこか。――やれそうか?」

マヤノ「もっちろん! ネイチャちゃんのことを脅してやるぞ~! がおー!」

トレーナー「……」

トレーナー(れ、レース中はもっと気迫、出てくれるよな……?)

―――

▼スキルヒント[ささやき]Lv1を獲得した。

▼ライバルウマ娘[ナイスネイチャ]の研究度が1進みました。進捗は3/5です。

トレーナー「そういえば、たづなさんから最近いろんなことを教えてもらえることが増えた。何でも、理事長が俺に目をかけているらしい……」

トレーナー「一体全体どうなったら俺のような木端にそんな期待を寄せるようになるんだろう、と思いはするが――辞めると宣言した後にのうのうとトレーナーやってればそりゃ気になるか」

トレーナー「そういえば、理事長にお礼を言う機会がないな。ま、いつか言えるだろうし、そこまで気にすることでもないか。……問題があるとすれば、お礼をどうするか、だ。何か好きなものとかあったりするのかな……」

トレーナー「……マヤノが来るまでに考えをまとめなければ。今のマヤノなら、俺が大まかにどんなことを考えてるか当ててくるし、結果によっては機嫌が悪くなるからな……」

トレーナー「こういう時は思考を切り替えるといいって聞いたな。今日やることを考えるか――」

―――

下1
トレーニング/お出かけ/休憩/保健室/スキル習得(ウマ娘)/スキル習得(トレーナー)/脚質上昇/ライバル研究/その他(良識の範囲内で自由に)
※皐月賞まであと7ターン(当ターン含む)
※休憩効果:次回トレーニング効果4倍

更新前に少しお聞きしたいんですけど、此処って画像アップロード出来ませんでしたよね……確か

トレーナー「ナイスネイチャの弱点が判明したわけだが、今日はそれを突き詰めていこうと思う」

マヤノ「おー! ……って、ナニコレ?」

トレーナー「……マヤノにとっては少しタイトな衣装だな」

マヤノ「そーいうことを聞いてるんじゃなくて……。なんで今これを取り出したの……?」

マヤノ「……はっ?! ひょっとしてトレーナーちゃん、こういう衣装が好み――」

トレーナー「んなわけないだろ……。あくまで試験的に用意しただけだ。物事は形から入ったほうがわかりやすいしな」

マヤノ「この衣装を着て何を得るというのだろう」

トレーナー「悟るな悟るな。じゃあ、チャレンジしてみよう――!」

―――

下1 ナイスネイチャの研究解析
50以上で研究度上昇・スキルヒント
50以下で研究度上昇

―――

https://imgur.com/RUOsP6O

これで表示できるといいのですが……。
お礼とは名ばかりのラクガキですが、何となく描いてみました。
お納めください。

おまえこんな過疎地じゃなくてツイかなんかで漫画描いた方がいいよ

>>597
過疎地でも何でも、好きな場所で好きなものを書ければ私は満足なので……。
安価SSに育てられたので、軽い帰省のような気持ちで書いてます。
あと純粋に漫画描くほどの画力がないのと、Twitterはキラキラしてて苦手なんですよね……。
所感かもですが。

―――
トレーナー「……」

マヤノ「……」

トレーナー「……む」

マヤノ「……?」

トレーナー「……掴めないか」

マヤノ「……??」

トレーナー「……よし、今日の練習はこれで終わりだ」

マヤノ「えーっ?! マヤ、ただ服着てトレーナーちゃんに見つめられてただけだよ?!」

トレーナー「そうなんだが……うーん、実はこれには深い訳があって、それが俺の中で形にならなかったわけなんだが――」

マヤノ「……つまり?」

トレーナー「実験は失敗だ」

マヤノ「……。なんか、すっごく疲れた気分かも……」

トレーナー「それは何というか……すまんな」

―――

▼ライバルウマ娘[ナイスネイチャ]の研究度が1進みました。進捗は4/5です。

sを抜いたりしても見えないデース…

>>599
h ttps://imgur.com/RUOsP6O

空白を抜い貼り付ければ見られるかな、と……!

そういえば600レス突破しましたね。このまま終わってしまう気がなんだかしてしまいました。
長々とお付き合いいただいてありがとうございます。まだまだ続く気がするのでよろしくお願いします。

―――

トレーナー「最近、ナイスネイチャの映像ばかり見ているせいか、無性にもふもふしたものを触りたい衝動に駆られる。さすがに担当ウマ娘と言えどマヤノにはこのことは言えないし……」

トレーナー「動物が好きなウマ娘なら、トレセン学園周辺の動物と触れ合える場所を知っていたりするのだろうか。そういえば少し前、スペシャルウィークの近くにいた子が猫と戯れている姿を見たな……。セイウンスカイだったか」

トレーナー「彼女に頼み込めば猫を触らせてもらったりすることができるのだろうか。……今度聞いてみるだけ聞いてみるかな」

トレーナー「……でも、何だか外に行くときにはマヤノを一緒に連れて行かなければならない気がしてきた。さすがに個人的な衝動の発散だし……一緒に連れて行くわけにはいかないよな……?」

トレーナー「……。今週の終わり、勤務が終わったらこっそり行こう。そうしよう」

トレーナー「なんだか気分がすっきりしてきた。今日は羽搏けそうだ」

トレーナー「さて、今日は何をしようか――」

―――

下1
トレーニング/お出かけ/休憩/保健室/スキル習得(ウマ娘)/スキル習得(トレーナー)/脚質上昇/ライバル研究/その他(良識の範囲内で自由に)
※皐月賞まであと6ターン(当ターン含む)
※休憩効果:次回トレーニング効果4倍

htt ps://i mgur.com/RUOsP6O

imgurの仕様なのか、スマホからだと閲覧できないんですね……。
安価踏んでたら下です。

トレーナー「マヤノさぁ」

マヤノ「どしたのートレーナーちゃん?」

トレーナー「物凄く言いづらいし、伝えたらマヤノが傷付くかもしれないと思って黙ってたんだが――このままじゃダメな気がするから伝えるぞ」

マヤノ「……。ごくり」

トレーナー「……マヤノ、最近太っただろ」

―――

トレーナー「……というわけでやってきたのは保健室。何故か寝るだけでバッドステータスが回復するという曰くつきの場所。まさかの太り気味ですら治る。良く解らない」

トレーナー「何というか、イニシエーションのようなものなのかもしれない。眠りを通じて何かを見て、それがバッドステータスを治してくれる……。この学園で不思議なことといえば、三女神の像とこれ、あと夜な夜な聞こえるクッソくだらない駄洒落の発信源と言われるくらいの場所だ」

トレーナー「説明していたらすさまじくスピリチュアルな場所な気がしてきた。ただの保健室なのにな」

トレーナー「そういえば、今近くにマヤノは居ない。何というか、その。あの後蹴られた」

トレーナー「初めての経験だった。ウマ娘に蹴られるのは恋路を邪魔した時だけだと思っていたが、大きな勘違いだったらしい。蹄鉄ってめちゃくちゃ硬いんだな、と思いました」

トレーナー「いや、花も恥じらう乙女に体重の話をした俺が悪い! そうだとも」

トレーナー「冷静に考えると、これ話すとダメ! ってことこの世の中に多すぎないか? 体重の話もそうだけど、年齢もそう……。まぁ聞かぬが仏という言葉があるくらいだから、世の中には聞かないほうがいいことのほうが多くて、それがそういう話題から出てくることが多いんだろう」

トレーナー「……」

トレーナー「……保健室前でこんなことを呟いてる男、めちゃくちゃヤバいよな」

トレーナー「仕事、するかぁ」

―――

▼バッドステータス[太り気味]が解消された

トレーナー「そういえば、本当に不思議なんだが、あんなにウマ娘は練習したりしているのに、体重って調整しないと増える一方なんだよな。明らかにカロリー消費量の方が大きい気がするんだが、いったいどうなっているんだろうか」

トレーナー「この前見たマックイーンも体重の管理には苦心しているという話だし……。マヤノもそういう瞬間が来るのだろうか。……というか、もう来てたか」

トレーナー「デリケートな話題だし、これ以上この件について話すのはやめておこう。知らぬが仏、知らぬが仏……」

トレーナー「そろそろこちらに来て一年になるわけだし、マヤノにも何かお礼の品を用意しておこうかな」

トレーナー「未来の話は鬼が笑う。さて、今日の話をするとするか――」

―――

下1
トレーニング/お出かけ/休憩/スキル習得(ウマ娘)/スキル習得(トレーナー)/脚質上昇/ライバル研究/その他(良識の範囲内で自由に)
※皐月賞まであと5ターン(当ターン含む)
※休憩効果:次回トレーニング効果4倍

多分安価的にはこちらかな……?

―――

トレーナー「まったく、マヤノも結構うっかりさんなんだな」

マヤノ「ぶーぶー! そんなこと……ないもん、って言いたいんだけどね……」

トレーナー「事実忘れ物をしてるわけだからな。それにしても、何を忘れたんだ?」

マヤノ「耳に付けるリボンのスペア! 今日の朝気付いて大変だったよ~」

トレーナー「だからいつもより少し髪の毛の整い方が……」

マヤノ「えっ?! ウソウソ、どこがぼさってなっちゃってるの?!」

トレーナー「右の方のサイドテール。いつもよりもボリューミーだな、と」

マヤノ「……こんなんじゃお嫁さんに行けないよぉ」

マヤノ「あ、でもトレーナーちゃんがもらってくれるからいっか!」

トレーナー「おい待て、誰もそんなこと――って、速っ」

トレーナー「まだまだお子様だなぁ、マヤノも」

―――

トレーナー(さて、忘れ物を取りにきたが……これはいったいどういう光景なのだろう)

安心沢「ブスっと! ブスっと! きっと強くなれるからぁ!」

安心沢「……………………………………多分」

マヤノ「やだー! 助けてトレーナーちゃん!」

トレーナー「……あー。とにかく離してくれないか」

安心沢「……」

トレーナー(胡散臭い見た目の割には手早く離してくれたな……)

トレーナー「で、貴方は誰なんですか」

安心沢「怪しいものじゃないのよ~。このあたりの秘孔をブスっと突けば、ウマ娘ちゃんはバリバリナンバー1になれちゃうの! ワオ、あんし~ん☆」

トレーナー「……」

トレーナー(やたら怪しいが、コイツにすべて任せていいものなのだろうか――)

―――

▼下1 安心沢刺々美の治療安価
・強いウマ娘になれる秘孔を狙う
・レースで勝てる秘孔を狙う
・元気で健康になれる秘孔を狙う
・魅力アップの秘孔を狙う
・不安なのでやめておく

トレーナー(だが、物は試し――。挑戦してみるのも一興か)

トレーナー「マヤノはどうだ、上手く行けば強くなれるかもしれない」

マヤノ「……。本当は、怖いけど――でも、レースには勝ちたい。絶対に」

マヤノ「だからマヤはもう――逃げない!」

トレーナー(実はこういう事からは逃げていいんだぞ、マヤノ……)

―――

下1 成功コンマ安価
30以上で成功
30以下で失敗

――その時、マヤノトップガンに電流走る……ッ!


マヤノ「お、お……おぉ?」

トレーナー「どうしたマヤノ、大丈夫か?!」

マヤノ「う、うん。なんか体がふわふわして、いつにもましてキラキラな走りができそう……!」

トレーナー「それは良かった――」

トレーナー(にしても、施術が終わった瞬間にたづなさんに追いかけられるって……あの人はいったい何者なんだろう)

トレーナー(……深く考えないほうが身のためかもしれない)

トレーナー「知らぬが仏、知らぬが仏……」

マヤノ「……?」

―――

▼ブスっと♡大成功!

▼休憩効果発動、次回トレーニング効果4倍

▼休憩効果累積、次回トレーニング効果8倍となります

トレーナー「仮面をつけて舞踏会で踊る、っていう行為、昔はめちゃくちゃかっこいいと思ってたんだが、今になって考えてみるとそうでもないな」

トレーナー「大人になることってむなしいことだなぁ、と思ってしまったな。子供のほうがよっぽど人生を楽しく生きていたのかもしれない」

トレーナー「案外人間のあるべき姿とは、子供の時の姿なのかもしれないな」

トレーナー「……まぁ、最近は子供も子供で大変そうだなぁ、とマヤノを見ていると思うところであって……。何か助けになれればいいんだがな……」

トレーナー「今度マヤノが行きたがっていた喫茶店にでも連れて行くか。SNS映えっていうのも結構重視してる店みたいだし、最近の若い子供にもぴったりだろう」

トレーナー「……おっと、いかんいかん。これをマヤノに聞かれたら口をきいてもらえなくなるかもしれん……」

トレーナー「マヤノが来る前に、行動計画票をまとめなければ」

―――

下1
トレーニング/お出かけ/休憩/スキル習得(ウマ娘)/スキル習得(トレーナー)/脚質上昇/ライバル研究/その他(良識の範囲内で自由に)
※皐月賞まであと4ターン(当ターン含む)
※休憩効果:次回トレーニング効果8倍

トレーナー「さて、皐月賞まであと3か月を切った。つまり――」

マヤノ「つまり?」

トレーナー「そろそろ本格的なトレーニングに入らなければまずい、という事だ」

マヤノ「今までは研究とか技術的なところを磨くことが多かったもんね~」

トレーナー「ああ。なので今日からはトレーニングを重点的に行おうと思う。地力を上げることは勝利につながる重要なファクターだからな」

マヤノ「……うん。ネイチャちゃんに負けたくないし――何より、トレーナーちゃんとお別れなんて嫌だから、絶対に勝つよ!」

トレーナー「その意気だ! じゃあ、今日はどんなトレーニングをするか……」

―――

下1 トレーニングの内容
スピード/スタミナ/パワー/根性/知識
※サポートカード[スペシャルウィーク]アクティブ。根性の練習時に固定値追加。

下2 トレーニングの効果量
※ゾロ目の場合は追加イベント

トレーナー「やはり最近の若者には根性が足りん――!」

マヤノ「いきなりどうしたの、トレーナーちゃん……。ドラマで見るわるーい大人みたいなこと言いだして」

トレーナー「……ドラマでしか見たことがないのならそれが一番! そして、昨今の時世では根性論はまったくもって通用しないことは承知の上――」

トレーナー「しかし、やはりことスポーツに置いて、一見非科学的に見える根性と選手のサステナビリティは密接な関係があることもまた否定できない。そうだろう?」

マヤノ「さすてなびりてぃ? っていうのは良く解らないけど、ふんばるぞ! って気持ちが強い時って負けにくい時だなぁとは思うな~」

トレーナー「そう、心を強く持てば、強く粘り強い走りができる。それはナイスネイチャもそうだ」

トレーナー「というわけで、今日はマヤノに根性のトレーニングを行ってもらう」

マヤノ「アイ・コピー! ……でも、根性のトレーニングってどうやって……」

トレーナー「今日は制服でここに集合するように伝えたと思う?」

マヤノ「なんでって……。え、ひょっとしてトレーナーちゃん……」

トレーナー「ああ、今日のトレーニング内容は……山登りだ!」

―――

トレーナー「山頂の景色は……綺麗だな……」

マヤノ「あ、見てみてトレーナーちゃん! あそこに小さくトレセン学園が見えるよ!」

トレーナー「ああ、そうだな……よかったね……」

マヤノ「ん~? トレーナーちゃん、疲れちゃった?」

トレーナー「そりゃ、人間の持久力なんてたかが知れてるからな……。俺もある程度鍛えてはいるんだが……」

マヤノ「じゃあ……マヤの膝枕でおやすみする?」

トレーナー「此処に人の目があることを忘れるなよ」

マヤノ「えー、マヤはほかの人にバレてもいいと思うけどなぁ」

トレーナー「いや、バレるバレない以前に俺たちそういう関係性じゃないだろ……」

マヤノ「えー?! 年末年始を一緒に過ごした仲なのに~?」

トレーナー「バカ、声がでかいッ……!」

―――

トレーナー(何というか、凄く疲れた。だが、マヤノにもしっかりと根性が付いたかのように思える)

トレーナー(随分と小狡い真似をするようにもなったが……それはマヤノの成長と判断するべきだろうか)

トレーナー(果たして俺は耐えられるのだろうか。否、耐えなければならない――)

トレーナー(マヤノは大事な、育成ウマ娘なのだから――!)

―――

▼マヤノトップガンの根性が上昇した

53+[サポートカード:スペシャルウィーク]20=73

73×休憩効果で8倍=584

■[すくらんぶる☆ゾーン]マヤノトップガン
スピード:242(E)
スタミナ:366(D+)
パワー:635(B)
根性:363(D+)+584=947(A+)
賢さ:235(E)
やる気:絶好調

ここ辺りで一度振り返りを――。

―――

■[すくらんぶる☆ゾーン]マヤノトップガン
スピード:242(E)
スタミナ:366(D+)
パワー:635(B)
根性:363(D+)+584=947(A+)
賢さ:235(E)
やる気:絶好調

―――

[固有スキル]
・ひらめき☆ランディング Lv1
(終盤に選択肢追加:ゴールのコンマ判定に+150の補正)
・シューティングスター Lv1[汎用]
(終盤に選択肢追加:ゴールのコンマ判定に+150の補正)
・これが諦めないってことだァ! Lv2 [作戦:逃げ]
(終盤に選択肢追加:ゴールのコンマ判定に+200の補正)

[通常スキル]
・先駆け[作戦:逃げ]
(序盤に選択肢追加:ゴールのコンマ判定に+50の補正)
・先手必勝[作戦:逃げ]
(序盤に選択肢追加:ゴールのコンマ判定に+100の補正)
・末脚[汎用]
(終盤に選択肢追加:ゴールのコンマ判定に+50の補正)
・全身全霊[汎用]
(終盤に選択肢追加:ゴールのコンマ判定に+100の補正)
・コーナー加速〇[汎用]
(中盤に選択肢追加:ゴールのコンマ判定に+50の判定)
・曲線のソムリエ[汎用]
(中盤に選択肢追加:ゴールのコンマ判定に+100の補正)
・直線加速→ハヤテ一文字[汎用・固定値]
(レース終了時のコンマ判定に+100の補正)
・直線回復[汎用]
(序盤に選択肢追加:中盤のコンマ判定を1段階上のものに上げる)
・栄養補給[作戦:先行]
(中盤に選択肢追加:終盤のコンマ判定を1段階上のものに上げる)

―――
[スキルヒント:ウマ娘]
・好転一息 Lv1[汎用]
(序盤に選択肢追加:中盤のコンマ判定を2段階上のものに上げる)
・読解力 Lv1[作戦:差し]
(中盤に選択肢追加:ゴールのコンマ判定に+50の補正)
・大局観 Lv1[作戦:差し]
(中盤に選択肢追加:ゴールのコンマ判定に+100の補正)
・食いしん坊 Lv1[作戦:先行]
(中盤に選択肢追加:終盤のコンマ判定を2段階上のものに上げる)
・ささやき Lv1[距離:中距離]
(中盤:ライバルウマ娘のコンマ判定を1段階下のものに下げる)

[脚質適正]
逃げS/先行A/差しB/追込B
・脚質適性上昇チャンス:差し(A)

距離適性
短距離D/マイルD/中距離A/長距離A


■所持品

・目覚まし時計(今ループ限定品) 1つ
 使用すると安価を再判定させることが可能になる。やる気が上昇する。
 今ループのみ使える限定品。ループ時獲得。

・目覚まし時計 1つ
 使用すると安価を再判定させることが可能になる。やる気が上昇する。
 どのタイミングでも使用可能。探索時獲得。

・夢のきらめき 1つ
 使用するとウマ娘の潜在能力を開花させる。
 開花させたウマ娘の潜在能力はループしても引き継がれる。
 担当ウマ娘選択直後に使用可能。探索時獲得。

・やる気ドロップス 1つ
 使用するとウマ娘のやる気を2段階上昇させる。
 どのタイミングでも使用可能。探索時獲得。

・サポートカード[スペシャルウィーク]/アクティベート
 願いの結晶。強く在らんとし、夢を駆けるウマ娘の親愛の証。
 スペシャルウィークのサポートカードは、根性を上昇させる練習に固定の効果値をプラスする。
 願いがいつか力となって、貴方の力になりますように。

―――

■トレーナースキル
・[俯瞰]
 様々なデータを数値的に見ることができる。
 ラウンド数を認識することができたり、レースに出走した場合の達成着順を確認することができる。

・[戦術家]
 コンマによるランダム安価を用いる判定に対して使用することができる。
 安価を取り消し、代わりに選択肢の中から一つ任意のものを選択し、それを適用する。


■[スキルヒント:トレーナー]
・共感覚(パッシブ)Lv1(上限値)
真の意味でウマ娘と通じ合い、自身の持つ知識や経験などを余すことなく伝えることができる。
ウマ娘の所有する脚質、距離適性、スキルのヒントレベルを常に1上昇させる。

―――

■ウマ娘関連
[因子]
スピード★☆☆
スピード★☆☆
先手必勝(逃げ適正B以上)★☆☆
シューティングスター(先行適正B以上)★☆☆
これが諦めないってことだァ!(逃げ適正B以上)★★☆
逃げ★☆☆

トレーナー「小説家は巻末のあとがきを書くことに苦心することがあるらしい」

トレーナー「最近はその気持ちが良く解るんだが――マヤノからのメッセージにどう反応したらいいのか解らないんだよな……」

トレーナー「コミュニケーション能力がある方だとは思ってないが、対面で話せる内容をこっちで話すときに躊躇してしまうのはなんでだろうな。やっぱり顔が見えないからだろうか――」

トレーナー「逆に顔が見えないからこそ送れる内容があるかもしれないな。最近はこういうSNSで告白する人も増えたりしているらしいし」

トレーナー「マヤノもいつか、そんな風に告白したりする瞬間があったりするんだろうか――」

トレーナー「……。なんか少し、もやっとするな。何でなんだろうな?」

トレーナー「ま、多分思い入れが深くなってるからだろうな。お父さんの前に連れてきなさい、ってね」

トレーナー「……下らないことを考えている暇があれば、マヤノのメッセージに返信する内容を……思いつかん……」

トレーナー「オワリってこと……」

―――

下1
トレーニング/お出かけ/休憩/スキル習得(ウマ娘)/スキル習得(トレーナー)/脚質上昇/ライバル研究/その他(良識の範囲内で自由に)
※皐月賞まであと3ターン(当ターン含む)

トレーナー「さて、そろそろ仕上がりを見せているナイスネイチャに対しての研究だが……」

トレーナー「マヤノ、ここまで来てナイスネイチャを攻略するプランが見えるか?」

マヤノ「……わからない。確実に勝てるとは言えないし、勝てないとも言えない……かも」

トレーナー「つまり、それは二人の実力がある程度拮抗しているという証拠だ。ウマ娘は――なんとなくお互いの実力が解ったりするんだろう? 何度も対面していてその感想が出てくるという事は、つまり君たち二人は互角という事だ」

マヤノ「うん。でも……マヤはネイチャちゃんに負けるつもりはないよ!」

トレーナー「マヤノの健闘を今から祈っておこう――。そして、だが。研究の最終段階に差し掛かってこういうことを言うのはなんだが――ナイスネイチャの完全攻略は不可能だ、と言っておこう」

マヤノ「えぇーっ?! トレーナーちゃん、あんなに頑張って色々調べてたのに……?」

トレーナー「そうだ。ただ、これはデータ不足が原因ではない。むろんマヤノの実力が足りないというわけでもない。――理由はたった一つ」

トレーナー「――ナイスネイチャの練度だ」

マヤノ「練度?」

トレーナー「ああ。前にも言ったかもしれないが、ナイスネイチャの弱点らしい弱点はない。せいぜい視点の移動くらい。では、そんなウマ娘が強烈に成長していくには一つの道しかない。――それが練度、即ち"基本の徹底"だ」

トレーナー「マヤノに不足しているとは言わない。だが、マヤノとナイスネイチャでは、その練度の差に明らかな違いがある。言ってしまえば、ナイスネイチャはオールマイティなウマ娘だが、マヤノはどちらかというとピーキーな性能をしている」

マヤノ「でも、それでも互角ってことは――」

トレーナー「ああ。マヤノの基本以外の技術――発展形の技術は、彼女よりも数段優れている。マヤノは吸収が早い反面、反復練習などの地道な練習、即ち理解をする必要がない練習についての適正は決して高いとは言えない。――言いそびれていたが、それが君の弱点だ、マヤノ。そしてナイスネイチャたちは、そんな君の弱点を突いてくる」

トレーナー「それが"拐かし"だ」

マヤノ「かどわかし?」

トレーナー「揺さぶりをかける、という事だ。だから、君がこれからやるのは――メンタルトレーニング、つまりマヤノの内面についてのトレーニングだな」

マヤノ「めんたる、とれーにんぐ……」

トレーナー「物は試しだ。まずは座禅をしてみよう」

―――
 
下1 ナイスネイチャの研究解析
50以上で研究度上昇・スキルヒント
50以下で研究度上昇

トレーナー「ヒトの根本にはいまだに、人間としての理想形が眠っているとされている。大なり小なり解釈は異なるかもしれないが――これがプラトンの言うところの"イデア"だ」

トレーナー「そこまで深く考えなくてもいいが――つまり自分を見つめなおすことは、自我を確立する過程で非常に重要な過程の一つだ。目を瞑り、情報を遮断し、内的感覚を探る。瞑想や座禅等をはじめとして、世界にはこの手の集中法が点在している」

トレーナー「……さて、マヤノの様子はどうだろう」

―――

トレーナー「マヤノ、時間だぞ」

マヤノ「はっ?! もうそんな時間~?」

トレーナー「ああ。どうだった?」

マヤノ「なんかね、心がすっきりした気分!」

トレーナー「それは何よりだ。――大丈夫そうか?」

マヤノ「大丈夫そう……って、何が?」

トレーナー「いや、足痺れてたりしないかな、と思って……」

マヤノ「だいじょ……ばないぃ……」

トレーナー「はは、しばらく待っておこうか」

マヤノ「ん……」

トレーナー「……一応聞くが、その両腕は何だ?」

マヤノ「トレーナーちゃん、だっこ……」

トレーナー「……ダメだ」

マヤノ「ぶーぶー! 足を痺れさせたウマ娘をお部屋まで連れてくのはトレーナーとして当たり前の事だとマヤちん思うんですけどー?」

トレーナー「んなわけあるか。そもそも男子禁制だろ」

マヤノ「……ちぇ」

トレーナー「抱っこはできないけど、握ることはできるぞ」

トレーナー「脚をな」

マヤノ「い――っ! トレーナー、ちゃん……! それは反則、だよぉ……!」

トレーナー「脚がしびれてるウマ娘がいたら脚を突っつくのは礼儀だ」

マヤノ「そんな礼儀なんてありませんー!」

トレーナー「そうかもしれないな!」

マヤノ「まったく、トレーナーちゃんったら……」

―――
▼スキルヒント[魅惑のささやき]Lv1を獲得した

▼ライバルウマ娘[ナイスネイチャ]の研究度が1進みました。進捗は5/5です。

▼ライバルウマ娘[ナイスネイチャ]の研究が終了しました。

トレーナー「そういえば、この前ダイワスカーレットのトレーナーが彼女の脚にテーピングをしていたんだが、羨ましそうにマヤノが見ていたことを今ふと思い出した」

トレーナー「あの手のテーピング技術がない訳ではないけど、そもそもマヤノにはあの手のテーピングが必要なトレーニングをさせていない関係でやる理由がないんだよな」

トレーナー「……。いや、本当はテーピングが目的というよりも、俺と触れ合いたいとかそういう欲望なんだろうとは推測が付いている。だからと言ってやるわけにはいかない。やはりと言うべきか相手はウマ娘出る以前に年頃の女の子だ。下手なことをやればお縄につかなきゃならない」

トレーナー「……。もう捕まるようなことをしている、とは口が裂けても言えないな」

―――
下1
トレーニング/お出かけ/休憩/スキル習得(ウマ娘)/スキル習得(トレーナー)/脚質上昇/ライバル研究/その他(良識の範囲内で自由に)
※皐月賞まであと2ターン(当ターン含む)

トレーナー「というわけで、そろそろ追込みの時期だ」

マヤノ「おー! 今日はどんなトレーニングやるの?」

トレーナー「それはだな……」

―――

■[すくらんぶる☆ゾーン]マヤノトップガン
スピード:242(E)
スタミナ:366(D+)
パワー:635(B)
根性:363(D+)+584=947(A+)
賢さ:235(E)
やる気:絶好調

―――

下1 トレーニングの内容
スピード/スタミナ/パワー/根性/知識
※サポートカード[スペシャルウィーク]アクティブ。根性の練習時に固定値追加。

下2 トレーニングの効果量
※ゾロ目の場合は追加イベント

トレーナー「走る上で重要なファクターはいくつもあるが、最も基礎的なものは何かわかるか、マヤノ?」

マヤノ「うーん……スピード?」

トレーナー「その通りだ。スピードが無ければ逃げることもできなければ先行することもできない、差すことも出来ないし追込むことも出来ない――。全てにおいてスピードとは神聖視されるべきステータスだ、ともいえる」

マヤノ「じゃあ、今日のトレーニングはスピードを鍛えるトレーニング? マヤ、走るのは得意だよ! びゅーんって走っちゃうよ~!」

トレーナー「ああ、そうだな。今日はスピードを高めるトレーニングを行う。まぁベーシックなものだけど」

マヤノ「じゃあ、とりあえずウォームアップから?」

トレーナー「ああ。十全に頼むよ」

マヤノ「ウォームアップだからって、マヤから目を離しちゃダメなんだからねっ! ユー・コピー?」

トレーナー「アイ・コピー。ほかのウマ娘を見る理由もないしな」

マヤノ「それって、トレーナーちゃんはマヤちんに首ったけってコトー? きゃー!」

トレーナー「そんなこと誰も言ってないだろ……。ほら、早く取り掛かって……」

―――

▼マヤノトップガンのスピードが上昇した。

スピード:242(E)+37=279(E+)

トレーナー「皐月賞が直近に迫ってきて、トレセン学園に緊張感が漂い始めた」

トレーナー「こうなってくると、やはりトレセン学園という施設は"夢を追い求める者が集う場所"なんだな、と感じるな」

トレーナー「俺たちもそろそろ危機感をもってことに当たるべきだとは思うんだけど、いかんせんマヤノが通常運転なので危機感を持つに持てないんだよな……」

トレーナー「これが俺たちの形……だと信じたい。まぁ、程よい緊張感のまま事に当たれる、というのは一種の才能なんだろうな」

トレーナー「さて、今日は何をしようか――」

――
下1
トレーニング/お出かけ/休憩/スキル習得(ウマ娘)/スキル習得(トレーナー)/脚質上昇/その他(良識の範囲内で自由に)
※皐月賞まであと1ターン(当ターン含む)

トレーナー「トレーニングは積み重ねだ。一度でもさぼってしまえば、遅れを取り戻すためにそれなりの時間を使わなければならない――」

トレーナー「だからこそ、トレーニングとはやめたくてもやめられないものだ。一種の麻薬なのかもしれないな」

トレーナー「……さて、皐月賞も目前。あんまり無理な練習はできないが――しかし、雨だれ石を穿つ。マヤノが将来スターウマ娘の頂点に立てるように、小さなことを今から一つ一つ積み重ねていかなければな」

―――

■[すくらんぶる☆ゾーン]マヤノトップガン
スピード:279(E+)
スタミナ:366(D+)
パワー:635(B)
根性:947(A+)
賢さ:235(E)
やる気:絶好調

―――

下1 トレーニングの内容
スピード/スタミナ/パワー/根性/知識
※サポートカード[スペシャルウィーク]アクティブ。根性の練習時に固定値追加。

下2 トレーニングの効果量
※ゾロ目の場合は追加イベント

トレーナー「今日はスピードを重点的に上げていくぞ」

マヤノ「やったーっ! 今日は何するの?」

トレーナー「まぁベーシックにハロン走とかか……? 何分GⅠレースに対する経験が足りてないから、どこまで練習していいのかもわからないし……」

マヤノ「ん~……。マヤはけっこー練習しても大丈夫だと思うけどな~」

トレーナー「皐月賞は中距離だし、そう考えるといつも通りではあるのか。レース場の細かな違いはあるが、条件自体はGⅡもGⅢも変わらないしな」

マヤノ「つよーい人がたくさん出てくるのは違いかも。……ムリはダメだーってネイチャちゃんも言ってたよ!」

トレーナー「その通りだな。よし、とりあえず軽く流すくらいにしておくか」

マヤノ「アイ・コピー!」

―――

▼マヤノトップガンのスピードが上昇した。
スピード:279(E+)+77=356(D+)

※ゾロ目なのでイベントが発生します

――皐月賞まで、あと2日。


 トレセン学園の緊張感はピークとなり、心なしかウマ娘どうしの会話も減りつつある。普段はそれなりに騒騒しい学園だが、今は……とても静かで、その様子にどこか落ち着かなさを感じる。

 夜ともなると、静寂に拍車がかかる。遠くからグラウンドを駆ける音すら聞こえない、本当に静かな夜だった。

 俺はというと、トレーナー室の机で事務仕事をしながら窓の外を眺めていた。視線の先に何があるというわけではないが、なんとなく景色を眺めていたくなったからだ。

 普段ならこんなことはない。つまり俺も――それなりに皐月賞を目前として浮足立っている、という事だろうか。


「ま、頃合いもいいし、少し休憩するか」


 体を伸ばして、椅子から離れる。来客用のソファに身を沈ませれば、かすかな石鹸の香りがした。

 そういえば、夕方まではマヤノが此処に座っていたんだっけ。道理で匂いが残っているはずだ。

 何というか、もはや安心する匂いになってきた。かつてはその距離感の近さにドキドキしたこともあるが、今となっては慣れてしまった。むしろ最近は近くにいないと少し不足感を覚えるくらいには。

 ……安心したら少し眠くなってきた。仕事はまだまだ残っているが、しかしそれも直近でこなさなければならないものでもない。こうして仕事をしているのはマヤノとの時間を少しでも増やすため。本当はもっと順序立ててやるものだ。

 どうしようか、眠ってしまうか――。

 そう考えた時、ふと扉がノックなしに開かれた。


「……驚愕ッ。まさかこんな時間まで仕事をしているとは……」
「秋川理事長?! し、失礼しました、こんな恰好で!」
「謝罪ッ! むしろノックをしなかったこちらが悪かった。すまない!」


 きらりと光る八重歯、朝焼けをそのまま溶かし込んだオレンジ色の髪、その人以外にあり得ない特徴的な口調――。秋川やよい理事長が、部屋の前に立っていた。

 慌てて体制を整える俺をよそに、秋川理事長は部屋へと入ってくる。一体何用なのか、と俺が考えていると、理事長は扇子を広げて俺へと差し向けてくる。


「疑問ッ! 私は問いただしに来た!」
「……何をですか?」
「解答ッ! ループ、という言葉の真意について」


 息が止まるほどの衝撃だった。正直、あの日かけられた言葉は覚えているものの、かけた言葉については特に覚えていない。衝動のまま胸中を吐き出した、といったほうが近いだろうか。

 だから、ループについて話していたことなど覚えていなかった。話すつもりもなかったので、本当に青天の霹靂……驚きを覚えてしまったのだ。


「……否定ッ。だが、今君は重要な時期だっ。下手に話せといっても満足に聞き出せはしないだろうっ!」
「……まぁ、確かに」
「保留ッ! 故に、君には……皐月賞後に話を聞くことを決めたッ! そしてその日には――“彼女”にも同席してもらうッ……!」
「彼女――?」


 見当もつかない。たづなさんに同席してもらうのであればこんな言い方はしないだろうし、彼女と言うのは俺にとって想定外の人物なのだろう。

 固唾をのんで続きを待つ。そして、満を持して、秋川理事長は言葉を発する。


「支援ッ! 君のサポートは我々が担当する。だが――だが、ウマ娘のケアやサポートはどうする?」
「……」
「懸念ッ……。君のいうところの”ループ”がどのようなものか私は知らないが、だが、ループした後のケアも重要だ……。そしてそれは、並大抵の存在ではケアできないほどの大きな禍根を残しかねない……!」
「……。いや、そんな、まさか――」
「――肯定。そのまさかだ――っ! そのような前代未聞の事態、丸く収めるには相応の実力者……それも、対処に慣れているものが関わるべきだっ!」
「つまり理事長が呼ぼうとしている彼女……ウマ娘は――っ!」


 ばさり、と開かれた扇子。

 口を覆い、目線だけで語りかける秋川理事長の表情は――あまりに強靭で。

 その瞳の先に見ている何かが理解できてしまった。それだけで――俺はあの雄姿を、この学園最強とされる彼女を思い浮かべてしまってならなかった。


「――”皇帝”シンボリルドルフ」


 どちらともなく吐かれた声。部屋に染み入る静寂が、その言葉を肯定するようだった――。

―――

▼皐月賞後に【特殊イベント:櫛風沐雨・嵐へ立ち向かうこと】が発生します。

▼秋川理事長との関係が進展しました。進行度1を得ます。進捗1/5

▼行動安価に【会話】が追加されます。

――皐月賞まで、あと0ターン。

―――

■[すくらんぶる☆ゾーン]マヤノトップガン
スピード:356(D+)
スタミナ:366(D+)
パワー:635(B)
根性:947(A+)
賢さ:235(E)
やる気:絶好調

―――

[固有スキル]
・ひらめき☆ランディング Lv1
(終盤に選択肢追加:ゴールのコンマ判定に+150の補正)
・シューティングスター Lv1[汎用]
(終盤に選択肢追加:ゴールのコンマ判定に+150の補正)
・これが諦めないってことだァ! Lv2 [作戦:逃げ]
(終盤に選択肢追加:ゴールのコンマ判定に+200の補正)

[通常スキル]
・先駆け[作戦:逃げ]
(序盤に選択肢追加:ゴールのコンマ判定に+50の補正)
・先手必勝[作戦:逃げ]
(序盤に選択肢追加:ゴールのコンマ判定に+100の補正)
・末脚[汎用]
(終盤に選択肢追加:ゴールのコンマ判定に+50の補正)
・全身全霊[汎用]
(終盤に選択肢追加:ゴールのコンマ判定に+100の補正)
・コーナー加速〇[汎用]
(中盤に選択肢追加:ゴールのコンマ判定に+50の判定)
・曲線のソムリエ[汎用]
(中盤に選択肢追加:ゴールのコンマ判定に+100の補正)
・直線加速→ハヤテ一文字[汎用・固定値]
(レース終了時のコンマ判定に+100の補正)
・直線回復[汎用]
(序盤に選択肢追加:中盤のコンマ判定を1段階上のものに上げる)
・栄養補給[作戦:先行]
(中盤に選択肢追加:終盤のコンマ判定を1段階上のものに上げる)

―――
[スキルヒント:ウマ娘]
・好転一息 Lv1[汎用]
(序盤に選択肢追加:中盤のコンマ判定を2段階上のものに上げる)
・読解力 Lv1[作戦:差し]
(中盤に選択肢追加:ゴールのコンマ判定に+50の補正)
・大局観 Lv1[作戦:差し]
(中盤に選択肢追加:ゴールのコンマ判定に+100の補正)
・食いしん坊 Lv1[作戦:先行]
(中盤に選択肢追加:終盤のコンマ判定を2段階上のものに上げる)
・ささやき Lv1[距離:中距離]
(中盤:ライバルウマ娘のコンマ判定を1段階下のものに下げる)
・魅惑のささやき Lv1[距離:中距離]
(中盤:ライバルウマ娘のコンマ判定を2段階下のものに下げる)

[脚質適正]
逃げS/先行A/差しB/追込B
・脚質適性上昇チャンス:差し(A)

距離適性
短距離D/マイルD/中距離A/長距離A

今日はここまでとします……!
最近ろくに時間が取れていないので、休日にも少しドカンと進めたい気持ちがあります。

次回、皐月賞――。

ナイスネイチャに、マヤノトップガンは届くのか。

おつありです。
今回のイベントは勝利後を条件として発生するイベントなので、まぁ負けなければ良いというお話でもあり……。

そろそろ頃合だと思うので説明しておくと、このSSには一応メインとなるストーリーの筋があって、特定のタイミングでそれが描写されます(今回は正月とクリスマスがそう)。

メインのストーリーとは別に、サイドストーリーみたいなものがあり、それが今回の理事長の件です。これは安価でゾロ目を踏んだり、場合によっては行動安価にて発生します。(自由に、という記載があるように、例えばR18展開などでなければなんでも拾います)

説明する必要もなかった気がしますが一応。
今後ともお付き合いいただけると幸いです!

――薫風が肌を撫でる感覚。


 春先の僅かに水気をまとった匂いが鼻腔に満ちて、吐き出せば春の気配だけが肺の中に残る。

 気温がだんだんと上がり、麗らかな陽気で着飾ったターフは風に戦いでいた。

 そんな朗らかさを感じる競馬場において、その一角だけはまるで真冬のような剣呑な雰囲気を吹雪かせていた。


「どうも、ご無沙汰しております。私、ナイスネイチャのトレーナーをやらせてもらっています、会田と申します」


 会田トレーナー。トレーナーの記憶には彼の情報はなかったが、最近はその敏腕さが高く評価されているトレーナーである。

 曰く、隠されていたナイスネイチャの才能を発掘した天才調教師。

 曰く、自己実現欲求が低かったナイスネイチャを輝かせた天才コミュニケーター。

 曰く、当代に二人といない、全ての能力を高い水準で備えた次世代の天才トレーナー。

 最近のトレセン学園の話題のうち、トレーナーに関連する話で彼の話が出ないことはないほどの注目株である。

 トレーナーは軽く会釈をし、彼と同様に自己紹介を軽く行う。差し出された手のひらを握り、また会釈。――平穏な交流であるかのように思えるが、しかしトレーナーの心中は冷え切っていた。


「皐月賞という大舞台で、ナイスネイチャとマヤノトップガンが争う姿を見れる――。多くの観客は、二人の勝負を目当てに来ているんでしょうね」
「……そうですね。会場の話題は二人でもちきりです」
「観客の期待に応えられないウマ娘たちではないと思います。あとは――彼女たちを育て上げるトレーナーの手腕が、勝負を決める……そう私は考えています」


 その言葉に、わずかにトレーナーは首をかしげる。その方針や考え方はありふれたものであるにも関わらず、だ。


「……そう、ですかね? 俺はなんとなくそれだけではない気がします」
「……。まぁ、そうなのかもしれません。彼女たちの勝負で、それが見えてくるのであれば――トレーナーとしてまた一つ成長できるかもしれません。我々としても見逃せない勝負になりそうですね」
「ええ。……今日はよろしくお願いします」
「こちらこそ。よろしくお願いいたします」


 今一度握手を交わし、トレーナーはそれぞれの控室に戻っていく。それぞれの視線には、その熱量のベクトルの違いはあれど――戦意が滾っていた。



「あーっ! トレーナーちゃんってばおっそーい! 待ちくたびれたよ~」
「すまんすまん、ナイスネイチャのトレーナーと話しててな」


 ネイチャちゃんのトレーナーと、と反芻するマヤノトップガン。何を話していたのか気になる様子だが、トレーナーとしては下手に話すわけにはいかない。

 無難に「他愛ない話だよ」とトレーナー。

 それでも話の内容を聞きたがるマヤノトップガン。

 トレーナーは困ったな、と小さくつぶやいて誤魔化すように頭を撫でた。


「もぅー。頭撫でとけばなんとかなるって思ってなーい?」
「……誤魔化されてくれないか?」
「しょーがないなー。誤魔化されてあげる!」
「ありがとな」


 くしゃりと頭を一つ撫でれば、マヤノトップガンの口からは言葉にならない歓喜が息として溢れた。


「そういえば、ナイスネイチャには挨拶してきたか?」
「んーん。してないよ。だってしたらなんか駄目な気がしてるから」
「ネイチャがきてないってことはあちらも同じことを思っているんだろうな」
「そうかも」


 そんな他愛ない会話をしていると、ふとパドックの方が騒がしくなる。――恐らくはナイスネイチャがパドック入りしたのだろう、と二人は察する。

 そうなれば、ライバル株として注目が高まっているマヤノトップガンが出ないわけにはいかない。


「……マヤノ、最後に一つ」
「なーに、トレーナーちゃん?」
「楽しく走って来い」
「……! アイ・コピー!」


 控室を出るマヤノトップガンを、トレーナーは笑顔で見送った。

トレーナー「これが君の夢へのランディング・オフだ。楽しんでこい、マヤノ――!」


―――

■レース

下1 作戦決定(コンマ)
逃げ[S]/先行[A]/差し[B]/追込[B]

01~50:逃げ[S]
51~80:先行[A]
81~90:差し[B]
91~00:追込[B]

―――

▼マヤノトップガンの作戦が[差し:B]になりました。

―――

下1
・戦術家 使用回数残り1
安価を取り消し、任意の結果に書き換えることができる。
使用しますか?

※使用回数は「今回ループまでの残存使用回数」です。
※つまり、ここで使用すると今回のループではもう使用することができません。

―――

▼マヤノトップガンの作戦が[差し:B]になりました。

―――

下1 レース序盤のマヤノトップガンの調子

01~20:出遅れ(ゴールのコンマ判定に-50の補正)
21~40:掛り(ゴールのコンマ判定に-25の補正)
41~60:順調な出だし(ゴールのコンマ判定の補正なし)
61~80:集中状態(ゴールのコンマ判定に+25の補正)
81~00:直線回復(中盤のコンマ判定を1段階上のものに上げる)
ゾロ目:補正効果1.5倍。マイナス補正の効果は消える。

――

下2 レース中盤のマヤノトップガンの調子

01~20:ブロック(ゴールのコンマ判定に-50の補正)
21~40:掛り(ゴールのコンマ判定に-25の補正)
41~60:順調な出だし(ゴールのコンマ判定の補正なし)
61~80:コーナー加速〇(ゴールのコンマ判定に+50の補正)
81~00:曲線のソムリエ(ゴールのコンマ判定に+100の補正)
ゾロ目:補正効果1.5倍。マイナス補正の効果は消える。

――
下3 レース終盤のマヤノトップガンの調子

01~20:好走(ゴールのコンマ判定の補正なし)
21~40:末脚(ゴールのコンマ判定に+50の補正)
41~60:全身全霊(ゴールのコンマ判定に+100の補正)
61~80:シューティングスター Lv1(ゴールのコンマ判定に+150の補正)
81~99:ひらめき☆ランディング Lv1(ゴールのコンマ判定に+150の補正)
00  :ひらめき☆ランディング Lv3(ゴールのコンマ判定に+300の補正)
ゾロ目:補正効果1.5倍。

――

下4 ゴールイン 着順確定

――

▼作戦

●差し[B](補正:スピード、スタミナ、パワー)
補正がある能力値:1.15倍


▼着順決定
[ 下4のコンマ+序盤補正+中盤補正+終盤補正]=レース中達成値
[ウマ娘の能力値から賢さを除いた合計]=能力値参照値
【[レース中達成値]+[能力値参照値]+バ場補正/芝A(+100)+中距離適正A(+100)+やる気/絶好調(+100)+ハヤテ一文字(+100)=達成値】
達成値-(レース中全てのマイナス補正-賢さ)=最終達成値

最終達成値が3500を超した場合 1着
※(100超えるごとにバ身が1伸びる。報酬増)
最終達成値が3000を越した場合 2~3着
最終達成値が2800を越した場合  4~5着(掲示板)
最終達成値が2800を下回った場合 着外

継続ライン:3着以上 かつ ナイスネイチャに勝利

―――
レースなので連取は5分間隔で可能なものとします。
よろしくお願いいたします。

勝ちたい

1着にギリ届いてない…か…?

(356+366+635)×1.15+947=2505.25 能力達成値
95+(25×1.5)-25+(100×1.5)=257.5レース達成値
400 適性+スキル追加達成値
2505.25+257.5+400=3162.75
3162.75-0(賢さによるマイナスの打ち消しにより消滅)=3162.75

2着…か…?

続いて――。

―――

▼ナイスネイチャの作戦が[差し:S]になりました。

[ボインセチア・リボン]ナイスネイチャ
スピード:422(C)
パワー:784(B+)
スタミナ:534(C+)
根性:509(C+)
賢さ:512(C+)

―――

下1 レース序盤のナイスネイチャの調子
下2 レース中盤のナイスネイチャの調子
下3 レース終盤のナイスネイチャの調子
下4 ゴールイン 着順確定

※ゾロ目の場合は補正があった場合は打ち消し、マイナス補正は1.5倍

―――

●差し[S](補正:スピード、スタミナ、パワー)
補正がある能力値:1.3倍


▼着順決定
[ 下4のコンマ+序盤補正+中盤補正+終盤補正]=レース中達成値
[ウマ娘の能力値から賢さを除いた合計]=能力値参照値
【[レース中達成値]+[能力値参照値]+バ場補正/芝A(+100)+中距離適正S(+200)+やる気/好調(+50)+きっとその先へ…!Lv3(+300)=達成値】
達成値-(レース中全てのマイナス補正-賢さ)=最終達成値

―――

レースなので連取は5分間隔で可能なものとします。
よろしくお願いいたします。

個体値でかなり苦しいからマイナス補正引かせないと苦しいのか…

お待たせしました、再開します

■マヤノトップガン

▼レース展開
序盤(66):集中状態(+25×1.5=37.5)
中盤(25):掛り(-25)
終盤(44):全身全霊(+100×1.5=150)
着順決定:95
――――――――――――
[37.5]+[-25]+[150]+[95]=257.5 レース中達成値


▼作戦:差し(B) (スピード、スタミナ、パワーに1.15倍の補正)
スピード:356(D+)×1.15=409.4
スタミナ:366(D+)×1.15=420.9
パワー:635(B)×1.15=730.25
根性:947(A+)
賢さ:235(E)
――――――――――――
309+390+544+279=2507.55 能力値参照値


▼着順
[レース中達成値:257.5]+[能力値参照値:2507.55]
+[バ場補正/芝A:100]+[中距離適正A:100]
+[やる気/絶好調:100]+[ハヤテ一文字:100]
=3165.05
(端数切り上げの為)=3166 達成値
―――――――――――――
[達成値:3166]
[レース中全てのマイナス補正:25]
[補正後賢さ:235] 
―――――――――――――
[最終達成値:3191]

結果、マヤノトップガン――2着!


――――


■ナイスネイチャ

▼レース展開
序盤(07):出遅れ(-50)
中盤(52):ささやき(研究成果⑤により、ささやき、魅惑のささやきの効果打ち消し)
終盤(08):好走(±0)
着順決定:03
――――――――――――
[-50]+[0]+[0]+[3]=-47 レース中達成値


▼作戦:差し(S) (スピード、スタミナ、パワーに1.3倍の補正)
……研究成果により能力値固定低下。
スピード:422(C)×1.3=548.6 研究成果①:-100
パワー:784(B+)×1.3=1019.2 研究成果②:-100
スタミナ:534(C+)×1.3=694.2 研究成果③:-100
根性:509(C+)
賢さ:512(C+)
――――――――――――
[548.6]+[1019.2]+[694.2]+[509]-[研究成果①②③補正-300]=2471 能力値参照値


▼着順
[レース中達成値:-47]+[能力値参照値:2471]
+[バ場補正/芝A:100]+[中距離適正S:200]
+[やる気/絶好調:50]+[きっとその先へ…!Lv3:300]
+[研究成果④:【きっとその先へ…!】Lv2へ低下:-100]
=2974 達成値
―――――――――――――
[達成値:2974]
[レース中全てのマイナス補正:50]
[補正後賢さ:512] 
―――――――――――――
[最終達成値:3024]

結果、ナイスネイチャ――3着!

※研究成果によるマイナス補正はレース中のコンマ判定によるマイナス補正ではないので、最後の判定には含まれません。


 ゲートに入ったウマ娘たちの表情は十人十色だ。

 緊張する者、闘気を身に滾らせる者、涼しげな顔をして勝利を確信している者――。

 マヤノトップガンは、ナイスネイチャは……しかしそのどれにも当てはまらなかった。

 まるでお互いがお互いを見つめているような。まるで熱に浮いた乙女が、意中の人を見つめているかのような蕩けるような熱狂がそこにあった。

 当然だが、マヤノトップガンとナイスネイチャの一騎打ちを期待していた観客が、両名の様子に興奮しないはずがない。

 会場は、彼女たちの甘やかで、しかし華やぐ香りを感じる程の熱狂に飲み込まれるように、歓声をさらに大きくした――。


―――


「全く――嘗められたものだ」


 そんな熱狂の影で、誰かがぼそりと呟いた。

 実況ですら彼女たちの直接対決を期待するような口調の中――しかし彼女たちはそれぞれ2番人気と3番人気に過ぎない。

 故に、対決する二人がこのターフの主役であるかと言われれば、そうではない。

 ただ、彼女……そのウマ娘がゲートに立てば、もはや誰もが勝利を疑わないが故――言わば期待値からの無関心が観客の総意であると言えた。

 だからこそ、誰もが実況の高らかな声を無視してしまう。それが、彼女の闘志に火をつけることもわからずに――。


「――1番人気、シンボリルドルフ。”皇帝”が駆けるターフには、何人たりともを寄せ付けない結果だけが残る――ッ!」


 小さく、ゲートに潜む最大最強の威圧が、それを放つ瞬間を今か今かと待ち、その余波を零す。


「勇猛、精進――推して参る」

※正直マヤノの走る時期にルドルフが皐月賞を走るのかどうのとか良く解ってないままなので、もしあり得ないとかだったらそれはすみません。小さな嘘として許容していただければ……。

もうこうなったら学年とか気にしないほうがいいかもな、と思ったので今後は学年とかの隔たりは(ある程度は意識しますが)考えないことにしました。
二次創作なので、多少の違和感には目を瞑っていただけると幸いです。いやループ自体が違和感の塊ではあるんですけど。


―――

 ゲートが開かれ、まず飛び出したのはセイウンスカイだった。

 無二の逃げ脚は、蒼天に流れる雲のように滑らかに、それが当然であるかのように後続との距離を離していく。

 辣腕を振るうターフの奇術師は、その変幻自在のステップと作戦で他のウマ娘を翻弄する。中盤に差し掛かる頃には、後続とのバ身は8ほど開いており、彼女の逃げこそこの場を支配する法則であると認識する客もいた。

 だが、観客の大半はそのように考えてはいない。彼女の逃げ足は素晴らしいものだが――風は、光には追い付けない。


(たはー……。冗談キツいなぁ……)


 一瞬振り返った瞬間、”そうしなければよかった”とセイウンスカイの脳裏は埋め尽くされた。

 平静を保つ振りをするが、しかし脚の回転は速くなり、息も上がる。

 四対の視線――マヤノトップガンとナイスネイチャの視線は確かに恐ろしい。だがそれよりも――怜悧で、残酷な視線が彼女の心臓を鷲掴みにする。


(逃げられ……ないか)

 
 思わずそう判断してしまうほどの、圧倒的な存在感――威圧感がそこにある。

 ここがレース場でなければ跪いてしまいそうなほどの、征服者としての威圧が。

 第四コーナーに差し掛かり、スパートをかける頃合い。セイウンスカイは逃げ切ろうと脚の回転数を上げる。が、同時に自信が差し切られてしまうことを、その賢さゆえに理解してしまっていた。

 知能ある生物の最大の弱点は、恐怖である――。辣腕を振るうターフの奇術師だからこそ、その存在があまりに甚大であることを疾く理解してしまった。


(……あの二人が、果たしてあの”皇帝”陛下の差し脚に追いつけますかねぇ)


 ふと過った夕陽を混ぜ込んだようなオレンジと、払暁を漉きこんだような赤茶色。

 青空のような自分とは少し違うが、しかしそれだけの魅力を持った2人が、あの皇帝に勝利する姿を目に浮かべて。


(……いけませんなぁ。勝負は終るまで――何があるかわからないんだから……!)


 ゴールの先で待つ割れんばかりの声援を譲るわけにはいかない、と。全身全霊をかけての先頭争いに身を投じた――。

(……強い)


 マヤノトップガンは、周囲を冷静に観察し、適切なコースを取っていた。

 ちら、と後ろを見ればナイスネイチャも観察眼を巡らせ、適切な位置についている。

 スリップストリーム分、あちらの方が少しだけスタミナを保ちやすいか、とマヤノトップガンは内心で分析結果をごちる。

 作戦から考えるなら、マヤノトップガンの旗色は僅かに悪い。マヤノトップガンはオールラウンダーで、差しもある程度は熟せるが――ナイスネイチャのそれは天性の素質に、さらに磨きをかけたものだ。

 これは挑戦であるともいえるし、敬意であるとも言えた。逃げたほうが確実にいい勝負になることは間違いない。だが――何故か、ナイスネイチャに対する闘志がそうさせた。

 正解か、不正解か――。それはマヤノトップガンにはわからない。まして誰にも。

 だが、こうしてよかったんだ、と。体に受ける風に心地よさを感じて、強くそう思う。

 擦り減るスタミナ。並み居るウマ娘たちはその誰もが強者で、無用に焦りそうになってしまう。でも、そうはならない。……そう、なってはいけない。

 たった一つの強い意思が、マヤノトップガンの強靭なまでに安定した精神を支える。即ち――。


(勝ちたい――!)


 勝利の意思。ナイスネイチャに勝ちたい。トレーナーに勝利を贈りたい。

 自分が好きな走り方で、輝きたい――。

 願いは形となり、祈りは強さとなる――そして、意志は結果を齎す。

 第四コーナーを回り、ぐんぐんと加速する。声や音を置き去りに、体は貪欲に勝利を求めて前に出る。

 ふと、鋭い踏み込みが耳朶に届き、マヤノトップガンは振り返る。そこには朝焼けのような鋭くも見るものを魅了する踏み込みで加速するナイスネイチャの姿があった。


(――来た!)


 確信めいた予感がマヤノトップガンを襲う。

 負けられない勝負の時間が、きっと今だ――と。回転数を上げる。脈動を轟かせる。

 たったそれだけで世界が変わる。色鮮やかだったターフが一気に色褪せて、その瞳にはナイスネイチャしか映らない。

 一瞬で肩を並べてきたナイスネイチャ。前傾姿勢を取り、風の抵抗を下げたうえで――足の回転数を上げる。

 以前はこんな走り方をしていなかった。ドキドキが、ワクワクが――ナイスネイチャから痛いほどに伝わってきて、マヤノトップガンも脚を強く踏み込んで、大きく飛ぶように走る。


「……は、は。お嬢さん、随分と派手な走り方をされますね――ッ!」
「ネイチャちゃんこそ……! 見ない内に、すっごい走り方をしちゃって……!」
「負けませんよ、何せ――トレーナーさんが待ってくれてますんで……ねッ!」
「マヤも、負けないよ……!」


 風を抜き去る、光のような加速。

 最終直線に入り、輝くような二人の競り合いは、観客を大いに沸かせた。

 そう、だからこそ訪れ得る”それ”が始まった時、観客は落胆の息を漏らすことはない。

 何故なら、それはこのレースを見に来た観客にとって、決まりきった”事実”であったからだ。

 


        なめ

「――残念だが、無礼てもらっては困る」



 風は光に追いつけないように、光は――それに勝つことができない。

 重力。その場に縛り付けるような、圧倒的な存在感と被征服感。

 光は捻じ曲げられ、地に叩きつけられる。

 その声が耳朶に響いた時、マヤノトップガンは思わず後ろを振り向いた。


――恐怖が、そこにあった。


 意地を、矜持を、誇りを、自信を、羨望を、憧憬を、願いを、祈りを、期待を、絶望を、暗澹を――意思を、目に、背に、マントに宿し、彼女は邁進する。

 ちら、と見やった視線に、幾万の人が見えてしまう。そのどれもが怒り、悲しみ、喜び、楽しみ――喜怒哀楽の形相を呈しているように、見えてしまう。

 それらは彼女が背負う全ての感情だ。ターフを駆る皇帝が背負うものだ。重ねて、マヤノトップガンは恐怖した。 

 ナイスネイチャは良きライバルだ。だが……これは一体何だ?

 目線が合えば、微笑みすらする彼女は、まるで赤子をあやしている最中のような慈愛すら感じる。

 そんなはずはないのに。まるで、地を這うような劣等を一瞬感じる。

 色彩が全て失せ、スローモートになった視線が悠々とマヤノトップガンを抜き去る姿を追い掛ける。彼女の翻した燃えるような赤色のマントだけが、視界に映る唯一の色。

 爆発的――否、もはや壊滅的な加速を見せる彼女に追いつけるウマ娘など、この中山競馬場に存在しなかった。

 権威を示すように、史上最強のウマ娘――シンボリルドルフは、6バ身もの差をつけてゴールした。

■下1~6 リザルト
※コンマの分だけ数値が上昇します。
※今回負けイベントの為補正が存在します。
※ゾロ目の場合は追加ロール

―――

スピード :下1 +20
スタミナ :下2 +20
パワー  :下3 +20
根性   :下4 +20
知識   :下5 +20
習得コンマ:下6 +20

負けイベ?ってことは理論上3500は届かんかったってことけ?

>>722
理論上取得可能な数値ですが、今回1着となる数値を獲得しても2着となる仕様だったので、2着の場合はどうなっても補正が付く感じです。

■[すくらんぶる☆ゾーン]マヤノトップガン
スピード:356(D+) +79=435(C)
スタミナ:366(D+) +35=401(C)
パワー:635(B) +33=668(B+)
根性:947(A+) +25=972(A+)
賢さ:235(E) +29=264(E+)
やる気:絶好調

▼習得コンマ
・ささやきを習得した。

「一着はシンボリルドルフ! 絶対的な走りーッ! 皇帝たる所以を此処に轟かせたーッ!!」


 実況の声がどこまでも響き、観客はゴールインと共に手を振るシンボリルドルフを拍手と歓声で受け入れた。

 ……悔しいが、俺もその姿が当然だ、と。そう思ってしまった。

 それほどに彼女の走りは圧倒的で――あのナリタブライアンですら彼女に敵うビジョンが見つからない。それほどに絶対的なオーラが、シンボリルドルフにはあった。

 トレセン学園生徒会長の名は伊達ではない。だからこそ――君のその結果は決して悪くなくて。

 だから泣かなくていいんだよ、マヤノ……。


 がちゃり、と。控室のドアが控えめに開かれた。


「あ……」


 俺が此処に居ると分かっていたはずなのに、まるで此処に居ることに驚いているかのようなマヤノ。

 何か声をかけなければ――そうは思うが、マヤノの纏う雰囲気が、簡単に声をかけることを躊躇させた。

 静かに部屋に入って、椅子に座るマヤノ。うつむき加減の表情は、見えない。

 その後、しばらくは静かな空気が控室に広がる。やがて、観客の声が遠のいて――そうなってようやく、マヤノが口を開く。


「と……。――っ! トレーナー、ちゃん!」


 ぐし、と一度目元をこすって。

 マヤノは――作り物の満面の笑みを作って、声を張り上げる。


「マヤ、マヤ……。……っ。マヤね……っ」
「マヤノッ! もういい、もういいんだよ……。君は十二分に頑張った! ナイスネイチャにも勝ったっ! 俺も此処に居る……!」


 マヤノの前に立って、ぐ、と握られた手のひらを包み込む。

 でも、マヤノの手のひらから伝わってくる震えは止まらない。

 思わず、マヤノのことを抱きしめていた。……その体は、手のひらよりも震えていた。


「トレーナー、ちゃん……。マヤね、マヤね……負けちゃったぁ……っ」


 小さくつぶやくマヤノ。震えている手のひらがもっときつく握られて、口元は一文字に結ばれた。

 じくり、じくりと。シャツに悲しみがにじみだす。


「消えちゃうかと思った……! 負けられないって、そうおもって! でも……マヤは……!」
「……。もういい、もういいんだ。今日はちょっと調子が悪かっただけだよ」
「ちがうもん……っ! あの人は、あの人は強かった……。 マヤじゃ絶対に届かない、遠いとこに居たんだもんっ! 負けた! マヤは! 負けたんだよ……トレーナーちゃん……」


 何も言えずに、俺はマヤノのことを抱きしめることしかできなかった。

 自分の非力を悔やむ声。自分の不出来を悔やむ声。恐怖。絶望。

 マヤノが呟くたび、シャツのシミは増えていく。

 それらすべてが、俺が彼女に背負わせてしまった重さだった。


「ごめんな……」
「……っ。うぁ、あ、あ、ああ、うあぁ……」


 一度切られた堰が止まることはない。

 マヤノから嗚咽が漏れ、俺はそれを受け止めることしかできない。

 慰めることなんてできなかった。俺がこんな変な運命を背負ったトレーナーでなければ、こんな思いさせずに済んだ。

 彼女の苦しみは、俺の存在があって助長されていた。そう考えるからこそ、慰めることは、なんとなく憚られた。

 ただただ、俺はマヤノの背中を撫でて、涙が枯れるまでを待つしかできずにいた――。

トレーナー「……落ち着いた?」

マヤノ「……ぅん。ごめんね、トレーナーちゃん」

トレーナー「こちらこそ、ごめんな。ロクに言葉も掛けられなくて……」

マヤノ「ううん。……辛い時に傍に居てくれるだけで、嬉しいよ……」

トレーナー「そっか……」

マヤノ「……。ねぇ、トレーナーちゃん」

トレーナー「……どうした?」

マヤノ「マヤ、もう負けたくないよ。負けるのが怖い……」

トレーナー「……」

マヤノ「トレーナーちゃん、マヤはどうしたらいい? トレーナーちゃんと一緒にいるためには、マヤが勝ち続けなきゃいけなくて……。でも、マヤより強い人はもっといて……。怖いよ、マヤが負けちゃうと、トレーナーちゃんがいなくなるかもしれないって……」

トレーナー「そう、だよな……」

マヤノ「……ねぇトレーナーちゃん。答えが、わからないよ……。どうしたらいいのか、マヤにはわからない……」

トレーナー「……俺にも、解らない。だから――少し、考えないでいようか」

マヤノ「考えないで……?」

トレーナー「色々ありすぎたんだ。俺も、マヤノも。だから、ちょっとの間考えないくらいが……その、ちょうどいいと思うんだ」

マヤノ「……。わからないけど、トレーナーちゃんがそういうんだったら、きっとそうなんだって思う」

トレーナー「じゃあ、決まりだな……。しばらくは目標を決めずに進もう」

―――

トレーナー「悔しいな……」

トレーナー「どれだけマヤノが苦しんでいたって、俺は何もしてあげられない」

トレーナー「マヤノは戦ってくれているっていうのにな……」

トレーナー「何か、何か俺にもできることはないだろうか――?」

―――

下1 トレーナーは夜どうする?
※自由にどうぞ。
※モノによっては何かを得ることができるかもしれません。

トレーナー「……根を詰めすぎるのもよくないか。できることを一歩ずつやっていく、俺に出来ることといえばそれくらいだ」

トレーナー「とりあえずマヤノが喜びそうなことをやってあげたいな。今日明日でどうにかなる問題でもないだろうし、少しでも、マヤノのことに寄り添えるような……」

トレーナー「……そうだ、新しい勝負服デザインを考えてみるか。オシャレ好きのマヤノだったら、きっと喜んでくれるものが作れそうだしな……」

トレーナー「とはいえ、デザインなんてしたことないからなぁ……。世界のブランドとかを参考にして描きだしてみるか」

―――

下1 どんなデザインの勝負服を描き起こす?

下2 出来栄え(コンマ)
※ゾロ目だと補正が入ります

https://imgur.com/a/s9pCs8B.png

ラクガキですがこんな感じでしょうか。デザインセンスがないので、それこそ素人っぽくなったかなぁと思ったりしなかったりしています。

感謝ッ……!

―――

下1 固有スキルの名前
下2 固有スキルの効果(コンマ)
※ゾロ目で補正 

▼スキルヒント[スカイハイ☆ランデヴーLv2] Lv1を習得しました。

▼フォームチェンジが可能になりました。

▼マヤノトップガンはフォームチェンジ先[おんたいむ☆オブセッション]を獲得しました。

※[おんたいむ☆オブセッション]へのフォームチェンジはレース前に可能です。
※[おんたいむ☆オブセッション]へのフォームチェンジには[スカイハイ☆ランデヴー]の習得が必要です。
※フォームチェンジにより、固有スキルが変化します。

―――

■[おんたいむ☆オブセッション]マヤノトップガン
・スカイハイ☆ランデヴー Lv2[作戦:逃げ]
(序盤に選択肢追加:ゴール時のコンマ判定に+200の補正)

トレーナー「あれ以来、マヤノは少し落ち込んでしまっているようだ」

トレーナー「あれでは張り合いがない、とナイスネイチャをはじめとしていつもの面々が訴えかけては来ているが……俺にはどうしようもない」

トレーナー「マヤノは強い子だ。問題は自分で解決できるかもしれない。だが同時に、マヤノはまだ子供だ。いざというときに俺たちみたいな大人がいることを、しっかりと理解してくれていればいいんだが――」

トレーナー「夜なべして作ったアレもあることだし、元気出してくれると嬉しいな……」

―――

下1
トレーニング/お出かけ/休憩/スキル習得(ウマ娘)/スキル習得(トレーナー)/脚質上昇/会話(秋川理事長)/その他(良識の範囲内で自由に)
※■■■まであとXターン(当ターン含む)

トレーナー「技術を身に付ければおのずと自信が出てくる――かもしれない」

トレーナー「マヤノに眠る才能は、シンボリルドルフに比肩しうる。そのことに気付いてくれれば――」

トレーナー「……とはいえ、あれだけ圧倒的な走りを見せつけられたら、折れそうになってしまうのも理解できるし……」

トレーナー「……弱気になるな。俺が弱気になれば、マヤノにもそれは伝播する」

トレーナー「気合い入れろ! 俺!」


―――
下1
どのスキルを習得する?

[スキルヒント:ウマ娘]
・好転一息 Lv1[汎用]
(序盤に選択肢追加:中盤のコンマ判定を2段階上のものに上げる)
・読解力 Lv1[作戦:差し]
(中盤に選択肢追加:ゴールのコンマ判定に+50の補正)
・大局観 Lv1[作戦:差し]
(中盤に選択肢追加:ゴールのコンマ判定に+100の補正)
・食いしん坊 Lv1[作戦:先行]
(中盤に選択肢追加:終盤のコンマ判定を2段階上のものに上げる)
・ささやき Lv1[距離:中距離]
(中盤:ライバルウマ娘のコンマ判定を1段階下のものに下げる)
・魅惑のささやき Lv1[距離:中距離]
(中盤:ライバルウマ娘のコンマ判定を2段階下のものに下げる)
・スカイハイ☆ランデヴーLv2 Lv1[作戦:逃げ] ※フォームチェンジ権
(序盤に選択肢追加:ゴール時のコンマ判定に+200の補正)

トレーナー「……マヤノ、今日のトレーニングだが」

マヤノ「……うん」

トレーナー「今日のトレーニングは中止だ!」

マヤノ「……え? マヤ、どこも悪くないよ?」

トレーナー「そうじゃなくて、今日はマヤに渡したいものがあってだな――」

マヤノ「これ……。開けていい?」

トレーナー「おうともさ!」

マヤノ「……これって、ひょっとして――勝負服?」

トレーナー「まぁ、下手の横好きだけどな」

トレーナー「普段マヤノが着てるようなオーダーメイドの勝負服のような豪華さとか質の良さとかはないけど、俺なりに作ってみたんだ。着る着ないはともかく、マヤノが喜んでくれるかなって」

マヤノ「……トレーナー、ちゃん」

トレーナー「なんだ。最近いろいろあって落ち込み気味だったからさ。心配だったっていうか……」

トレーナー「ああもう纏まんねーな! うん、プレゼントだ! 受け取ってほしい!」

マヤノ「え、と。その……すごく、すっごくうれしい……!」

マヤノ「ね、これ今から着てもいい……?」

トレーナー「ああ、いいぞ――」

トレーナー(元気が戻ってきたようだ。やっぱりマヤノは笑っている姿が一番だな!)

―――

下1 習得コンマ
50以上で習得
50以下でヒントレベルアップ

マヤノ「トレーナーちゃん、これ……なんかちょっと大きいかも……?」

トレーナー「……下手の横好きだからしょうがない――と思う」

マヤノ「えへへ。でも、トレーナーちゃんが心を込めて作ってくれたんだーって思ったらずっと着たくなっちゃうな~」

トレーナー「……次までには仕立て直しておくから、あとできちんと返してくれよ?」

マヤノ「……! トレーナーちゃん、ひょっとしてマヤの脱ぎたて勝負服が欲しいの~? てれてれ~」

トレーナー「良かった、いつものマヤノに戻ったな」

マヤノ「いつまでもどんよりしてちゃ、ブライアンさんに追いつけないからね!」

トレーナー「立ち直ってくれたなら何よりだ。ちなみに脱ぎたての勝負服が嫌なら洗濯してから返してくれてもいいんだぞ」

マヤノ「それはそれでフクザツー……」

トレーナー「何が複雑かは分からないけど、俺はそんな変態じゃないからな……。汗をかく姿は好きだけど、汗そのものが好きってわけじゃないし」

マヤノ「んー……。なんかずれてる気がする~」

トレーナー「そうか……?」

―――

▼スキルヒント[スカイハイ☆ランデヴーLv2]のスキルヒントレベルが上昇した。

▼イベントが発生します

■櫛風沐雨・嵐へ立ち向かうこと

―――

 それはトレーニングが終わったある日のことだった。

 俺たちの練習を眺めていたらしいたづなさんが、終わり際を見計らって近づいてきた。


「お疲れ様です。今日も精が出ますね」
「ええ、マヤノのおかげで……」
「それは……とても良かったです。先日の皐月賞はショッキングな負け方をしてしまいましたし……」


 たづなさんは遠くを見て、そのように呟いた。

 重ねて言うが、マヤノの負け方は心を折りかねないものだった。特に、ウマ娘を間近で見てきたたづなさんにとっては、見慣れている光景だったのかもしれない。

 だからこそ心配してくれているのだ。その気持ちに素直に頭が下がる。

 ありがとうございます、と礼をすれば、たづなさんも手を振ることで応答する。


「……そういえば、何か御用だったんじゃないんですか?」
「そうでした。実は言伝を受けてきたんです!」
「――言伝?」


 聞き返すと、たづなさんは頷いて肯定する。


「――理事長室にて、待つ……と」


 その言葉を聞いて、背筋がぴしりとした。

 ……いつか話していた、あの話し合いを今こそやる時なのだろう。

 俺はたづなさんに頷き返して、理事長室へと向かう準備をするのだった。

ちょっとあまりにも眠すぎるので今日の更新はここまでにさせてください。
続きは明日更新します…!

ループの事で理事長と話するん
だろうけど、今まで育成失敗したうま娘まで連れてこられたら鬱でしかないな

>>760 
最初そうしようかなぁと思っていたんですけど、クリスマス→正月イベントで思った以上にトレーナー君の精神性が発達してしまったのでボツにしました。発達してなかったらボコボコにしたかったですね。

「歓迎ッ! 待っていたぞ、トレーナー!」


 扉を開くなり飛んでくるのは、秋川理事長の大きな声だった。夕方も遅い時刻で、静まり返っている校舎に、まるで沁み込むように響いた。


「着席ッ! とりあえず座りたまえ!」
「……では、失礼して」


 マヤノと共に、来客の用の椅子に身を沈ませる。……やはり、日本有数の学園に置いてある調度品はかなり質がいいらしく、身を沈めているだけで疲れが取れてしまいそうなほどだ。

 ふとマヤノの方向を見ると、何故ここに連れてこられたかわかっていない様子で、少し緊張気味のようだ。軽く頭を撫でると、わ、と声を漏らしてこちらを見つめる。

 少しの間撫で続けると、緊張がほぐれてきたのか、いつも通りの朗らかな笑みを浮かべ始めた。……いや、いつものというには少しふやけ過ぎているかも。

 ごほん、と。ふと理事長の咳払いが響き、俺はその手を止める。不満げなマヤノのことはちょっと見ないふりをして、秋川理事長へと視線を注ぐ。


「傾注ッ! 今日は二人と――主にトレーナー君関連のことで話し合いがしたい!」
「……トレーナーちゃん関連で?」
「肯定ッ! マヤノトップガン、君も知るところにあるのではないか?! 彼の事情について……」


 そういわれて、マヤノははっとした表情になって、俺の方を見る。

 驚きを露わにしている表情を読み取るに――話したの? と伝えたいらしい。

 俺がこくりと頷くと、マヤノは一つ頷いて、秋川理事長の方へ向き直る。


「継続ッ。どうやら君たちの中でも共通認識であるようだ。みんなも知っての通り、トレーナーくんはとある事象に巻き込まれているッ!」
「……ループ、だね」
「そうだ。俺は”達成目標”をクリアできないと五月――メイクデビュー手前まで時間が巻き戻る」


 秋川理事長は頷いて、扇を閉じる。その先端を唇に当てて、憂うように眉を下げた。


「思案っ……。助けてあげたいし、そのループから君たちを解き放つ方法を探してみたが――終ぞ思いつかなかった。それこそ、他のウマ娘たちを押しのけURAの頂点に立つくらいしか――」
「……なんとなく、俺もそんな気がしています」
「肯定。こちら側も同一の見解だ。だからといって、URAを無条件で優勝させるわけにもいかない……!」


 当然の話だ。そもそも俺がループしているかどうかなんて、俺以外に認識できない。

 真実か嘘かわからない。秋川理事長だって、俺のあんな様子を見ているからこそ信じてくれているだけで、何も知らない人間が「ループしてるので勝ちを譲ってください!」と頼まれたところで疑問符で返されるのがオチだ。

 そのことはマヤノも十分に理解しているのか、秋川理事長の言葉に頷きを返している。


「無力……ッ! だから、とりあえず我々から何かを行うことはできないッ!」
「まぁ……理解していました。それで、えっと……確かケアの話でしたっけ?」
「肯定ッ! 例えばトレーナー君がループしたとして、そのあとの処理をどうするか……という話だッ!」


 ……皐月賞の前に、すでに話を聞いてたので心構え自体は出来ていた。

 これからレースの難易度はもっと高くなっていく。そう考えると、その先の想定をしないのは……何というか、あまりに楽観的に過ぎる。

 ごくり、と生唾を飲む。


「決定ッ……! ウマ娘のケアは、我々にも出来ないことはない……! だが、国や文化などによってカウンセラーを変える必要性があるように、ウマ娘のケアにはウマ娘こそが適切だッ……」
「だからこその”皇帝”シンボリルドルフ、というわけですか――」
「肯定ッ。特に差し支えなければ、呼びたいと思っている。どうだろうか?」


 正直に言えば、複雑だ。あれほどの大敗を喫していながら、シンボリルドルフにまともに対面できる気がしない。……俺もそうなんだから、マヤノはもっとそうだろう。

 とはいえ、シンボリルドルフに面倒を見てもらう環境とは、ウマ娘にとってこれ以上ない良好な環境だ。生徒会長を務めているだけあって、その実力は折り紙付きだ。

 メンタルケアについても、シンボリルドルフやエアグルーヴ等、人心掌握に長けるウマ娘がいるのであれば完全と言っても差し支えない。

 ……少し怖いところはあるが、秋川理事長に頷きで返す。


「では、呼んできますね――」


 たづなさんがいったん外に出て――しばらく後。

 扉を叩く音がした。


「……理事長、何か御用――」
「用があるのは俺たちだよ、シンボリルドルフ――」


――こうして、面談が始まった。
 

「――初めまして。学園では生徒会長を務めさせていただいています、シンボリルドルフです」
「初めまして。おおよそ理解してもらっているとは思うが、マヤノトップガンのトレーナーをやらせてもらっている者だ」


 席を立ちあがり、シンボリルドルフに握手を求める。

 すると、彼女は少しだけ表情をほぐして、差し出された手を握り返してくる。……さすがは生徒会長か、受け答えは洗練されている。


「……さて、おおよその事情は理事長から聞いております。何でも、ループと思わしき現象に巻き込まれているとか」
「その通りだ。……と言っても、信じられる話ではないかもしれないが」
「いえ……。職務上様々な申請などに目を通す機会がありますが――貴方の職務に対する姿勢は評価されるに相応しいものだと考えております」


 そういわれると、少し恥ずかしい気持ちになる。こうして、ウマ娘の育成以外の業務について触れられる機会はほぼほぼ無いし。

 頬をかけば、シンボリルドルフからくすりと、笑い声が漏れた。


「……失礼。これから真剣な話になるので、もう少し緊張した雰囲気になると思っていたもので……。ループという不明な出来事の前で――どうやら貴方は怯んでいないようだ」
「違うな、怯んではいる。……けど、怯んでいては勝てるものも勝てないと思っている」
「……。おっしゃる通りかと」
「賛同に感謝するよ――」


 そこで、ふとシンボリルドルフの目つきが鋭くなる。……恐らくは、ここまでの会話は本題へ至るための前座に過ぎない。いわゆるウォームアップだろう。

 俺の予想は合致していたらしく、「さて」と一言呟いたシンボリルドルフの目は鋭くなる。


「……恐らくご理解いただいているものかと思いますが、念のために――。先ほど秋川理事長からもご連絡いただいたこととは存じますが……不明な現象のために、他のウマ娘の夢を奪うわけにもいきません」
「むろん承知しているよ。――そして、多分俺もマヤノも、それは望まない」
「……そうですか。とりあえず、詳細を煮詰めるのはこちらにお任せいただけますか?」
「ああ、俺たちではわからないこともあるだろうしな」


 そう答えると、シンボリルドルフは軽く頭を下げる。


「では――後日副会長であるエアグルーヴともご挨拶していただければ、と」
「訓練後に時間を取りたいと思っている。頼めるか?」
「ええ、こちらもトレーニングを行う必要があるので、トレーニング後であればかえって好都合でしょう」
「助かる。――話はこれくらいか?」


 ええ、とシンボリルドルフは頷いた。……考えれば考えるほど、何故ここにシンボリルドルフが呼ばれたのか不明だが、こうして顔合わせをすることで円滑に進むこともあるのだろう。

 そう考えた時だ。ふと、シンボリルドルフが声をかけてきた。


「……マヤノトップガンと少し話がしたいのです、良いでしょうか?」
「……。マヤノは、どうだ?」
「マヤは――。マヤは、話してみたい、話す必要があるって、そう思うな……」
「マヤがそういってるなら、俺としては止める理由がない。……席を外したほうがいいか?」
「はい、少しの間――。お願いできますか?」


 頷くなり、俺はたづなさんと理事長と連れ立って部屋から出ていく。理事長室なのに理事長が席を外すのは――なんとなく、織り込み済みである雰囲気を感じるが……。


「これも、想定済みでした?」
「……不明。敢えて答えを言う必要もなかろうッ!」
「それ、もう答えてるような気が――」

――マヤノトップガンにとって、シンボリルドルフとは”越え難い壁”だった。

 皐月賞での敗北以前に、シンボリルドルフは絶対的な勝者の象徴だった。

 非常に高い実力、怜悧な判断力――それに、ウマ娘の未来を想い行動する、気高いまでの理想。

 それらを兼ね備えるシンボリルドルフは、本質的に強者なのだ。

 だから、シンボリルドルフと一人で対面したマヤノトップガンは、わずかな恐怖に身を震わせそうになっていた。だが、それでは自分を信じて席を外してくれたトレーナーに示しがつかないと考え、きつく両手を握ることで自信を律していた。

 方やシンボリルドルフは、そんなマヤノの調子に気付いていた。そもそも観察眼にも長けるシンボリルドルフが、マヤノトップガンが抱く畏怖に対して気付いていないわけがない。それに、畏怖とはシンボリルドルフが最も受け慣れている感情の一つであるからにして。


「緊張しているようだな。もっと落ち着け。おちおち着けもできん」
「……そう、ですね」
「……。おちおち、着けは少しこじ付けに過ぎたか」


 場を和ませるためのジョークだったが、マヤノトップガンにそれを咀嚼する余裕はない。ましてそれがわかりづらいジョークであるならばなおさらだ。

 シンボリルドルフは心のノートに、要改善とメモを書き足し――マヤノトップガンの対面に腰を下ろす。


「冗談は置いておこう。マヤノトップガン――君と話してみたかった」
「……。そうかも、しれません」
「いつもの話し方でいいぞ。――それに、こうして君と話しているのは……先ほども言ったが、純粋に君と話してみたかったからだ」
「……なら、いつもの喋り方で」


 マヤノがぎこちないながらも元の口調で話し始めると、シンボリルドルフは表情に微笑を浮かべた。


「……マヤノトップガン、君は随分と――大きな”想い”を背負って走っているんだな」
「そうかも……。トレーナーちゃんがループするって聞いて、負けられないな、って」
「……私も、担当トレーナーがそうなると聞いては余計な力が入りかねない。君の心中は察するに余りあるよ、マヤノトップガン」


 安い同情だ、とはマヤノトップガンは思わない。マヤノトップガンの背負う思いが大きいものであるのならば、シンボリルドルフのそれは非常に”多い”。

 質と量という違いはあるが、背負って走るときの負担は勝るとも劣らない。――端的に言えば、二人は似た者同士であるとも言えた。

 だからといって、傷を舐めあうことはしない。出来ない。それはシンボリルドルフが皇帝であるから、それはマヤノトップガンが信頼の上で此処に居るから。

「……で、かいちょーさん。マヤと何を話したいの?」
「ふむ。君は――非常に難しい場所に立っている。このままいけば、君にとっての最終目標――有馬記念では、ナリタブライアンとかちあうことになるだろう」
「……そして、ブライアンさんと今のマヤが戦えば」
「――九割九分九厘。奇跡がない限り勝つことは出来ないだろう」


 わかっていた事実。だが、それを明確に示されてしまうと、悔しさが溢れてくる。

 ナリタブライアンに勝ちたい気持ちに変わりはない。でも、勝てるビジョンも見つかっていない。それはマヤノトップガンにとってとても歯がゆくて、とても悔しい事実だった。


「だが、それは現状の話であって、将来にわたっての話ではない。君のやる気次第では、ナリタブライアンと互角の勝負を繰り広げることもできるかもしれない」
「……やる気次第?」


 その奇妙な言い回しに、マヤノトップガンは違和感を覚えた。

 まるで、やる気を出せば――シンボリルドルフがナリタブライアンに勝つ策を与えてくれる、とでも言っているような――。

 そしてマヤノトップガンは、シンボリルドルフが続けた言葉に、その予想が的中したことを理解した。


「もし君が望むのであれば――僭越ではあるが、私が、君に手ほどきをしてもいい」
「――ッ!」


 それは前代未聞の提案だ。

 ウマ娘にとって、他者に自らが築き上げたノウハウを教えることは、そうない話ではない。トレーニング中のウマ娘たちを観察するのであれば、それなりの割合で見受けられる。

 だが、ことシンボリルドルフにおいてはそうではない。彼女のノウハウは盗み取るのが常であり、彼女が誰かに教えたことは――少なくとも、マヤノトップガンの記憶の記憶の中ではなかった。


「……君たちの運命は、例えるのであれば嵐だ。険しく、ひどく冷たい道のりだ。仮に中央――目に到達できたとて、それは一時の安寧に過ぎない。……理事長もトレーナーも、URAに優勝できればクリアである、と考えているようだが、そうとも限らない」
「……。確かに、そうかも」
「仮にURAの優勝が”目”であるとしたら? そこで立ち止まっていては、また雨風に飲まれることになる。君たちが見据えるべきなのは、嵐本体であり、その先でもある」


 一つ、シンボリルドルフが息をする。
 
 それだけでマヤノトップガンの視線は彼女に釘付けになった。


「櫛風沐雨。苦労することは必至。だが、そこに手伝いがあってはならない――そうは思わないか?」
「思わないし、利用できるものは利用するって――勝つってトレーナーちゃんに誓ったもん。だったら……なんでも、なんでも利用して勝ちあがる……!」
「いい目だ。その目を待っていた――! 用事があるときは……そうだな、ウマスタのDMなり、電話なりをかけるといい。時間を作ろう」

 
 シンボリルドルフはそういうなり立ち上がり、マヤノトップガンに微笑みかける。


「君以外のウマ娘の幸運を祈るように、君の幸運を私は祈っている。どうか君の道のりが、輝かしい未来へつながていますように」


 それだけ言うと、シンボリルドルフは歩み去っていく。その背中に宿る数多の思いにマヤノトップガンは畏怖しつつ――しかし、それが畏怖される理由も明確に理解した。

 だからこそ、彼女の言葉に動かされる。


「いつか絶対……ぜーったい、会長さんを超えてみせるんだから――ッ!」


 そうして、二人の対談は終了した。

 あとには、嵐の後のような静けさだけが、横たわっていた――。


―――

▼行動に[秘密の特訓]が追加されます。

※[秘密の特訓]とは
シンボリルドルフと秘密の特訓を行います。
能力値を上げながら、有用なスキルを獲得できる可能性もある一石二鳥な行動です。
しかし、行うとやる気の減少などにつながる可能性があります。
また、能力値が一定の数値以上になっていないと効果を十全に得られない可能性もあります。
(詳細は選択時に記載します)

トレーナー「あの後、シンボリルドルフとの仲が良くなったのか、シンボリルドルフとしきりに連絡を取るマヤノの姿が見受けられるようになった」

トレーナー「やはり、人心掌握に長けているだけはある。このままマヤノに蔓延っている恐怖を取り除いてくれるといいのだが……」

トレーナー「いや、はき違えるな。それは俺の仕事だ――」

トレーナー「彼女を十全に育成するのは俺の責務であって、シンボリルドルフに任せていいものではない――!」

トレーナー「……。にしても、妙だな。なんだか少し寂しい気がするぞ……」

トレーナー「……! これがひょっとして、嫉妬ってやつなのだろうか?!」

―――

下1
トレーニング/お出かけ/休憩/スキル習得(ウマ娘)/スキル習得(トレーナー)/脚質上昇/会話(秋川理事長)/秘密の特訓/その他(良識の範囲内で自由に)
※■■■まであとXターン(当ターン含む)

トレーナー「よし、今日はこれでトレーニングは終了だ。お疲れ、マヤノ」

マヤノ「トレーナーちゃんもお疲れ様!」

トレーナー「おう。……そうだ、マヤノ。近場のスイーツ店のクーポン券をもらったんだけど、今日行かないか?」

マヤノ「……! ホントは行きたいけど……今日は用事があるの! だからまた今度、一緒に行きたいなー。ダメ?」

トレーナー「……? あ、い、いいぞ。都合がいい日に行こうな」

マヤノ「うん! じゃあね、また明日、トレーナーちゃん!」

トレーナー(マヤノが……俺の誘いを断った……だと?!)

トレーナー(珍しいこともあったもんだ……)


―――


ルドルフ「……来たか」

マヤノ「うん! 今日もよろしくお願いしまーす☆」

ルドルフ「意気軒昂、やる気があることは非常にいいことだ」

ルドルフ「さて、今日は――このトレーニングを行っていこうと思う。体力の残量に余裕はあるんだろう?」

マヤノ「もっちろん!」

ルドルフ「ふふ、根を上げるなよ?」


―――

▼秘密の特訓について
シンボリルドルフと秘密の特訓を行います。
能力値を上昇させながら有用なスキルを獲得することも可能ですが、難易度が高く、失敗する可能性がある行動です。

どのようなトレーニングを行うかはコンマによる判定を行います。
トレーニングにより、要求されるステータスが異なります。
基本的には賢さを含む全ステータスを参照しますが、ゾロ目のみ判定が少し異なります。

トレーニング決定後は成功判定のためのコンマ判定を行います。
基本的に[コンマ値+能力値]の合計が、設けられた要求能力値を超過していれば成功となります。ゾロ目の場合は判定が異なります。

トレーニング終了後は成長のためのコンマ判定と、習得スキルについての判定を行います。
習得できるスキルはトレーニングにより異なります。場合によっては使用できないスキルが得られる可能性もあります。

また、秘密の特訓を行うと何かが起こる可能性があります。

―――

■[すくらんぶる☆ゾーン]マヤノトップガン
スピード:435(C)
スタミナ:401(C)
パワー:668(B+)
根性:972(A+)
賢さ:264(E+)
やる気:絶好調

―――

下1 トレーニングの内容(コンマ)
01~20:スピード
21~40:スタミナ
41~60:パワー
61~80:根性
81~00:知識

ルドルフ「洽覧深識。見聞を広め、博識とならん――。これもまた、強者になるために必要な過程の一つだ」

マヤノ「こうらん、しんしき」

ルドルフ「そうだ。というわけで、そうだな……。ここに学園が収集した過去のウマ娘のレースデータがまとめてある。特にマヤノトップガンに近い走り方をするウマ娘をピックアップして、私と共に見ていこう」

マヤノ「うーん、全部は解らなかったけど――でも、映像を見たらいいんでしょ?」

ルドルフ「そうだな。その上で技術を盗んでみよう」

マヤノ「アイ・コピー!」


―――


下1 秘密の特訓1回目:達成判定
[賢さ:264]+[下1コンマ値]>[1回目判定値:300]の場合成功

ゾロ目の場合は判定の可否に関わらず成功。
成功するコンマ値でありかつゾロ目の場合は成長コンマに固定値追加。


マヤノ「あ、この子の走り方凄くいい……かも」

ルドルフ「今の君の走りは、ピッチ寄りの走法だからな。脚へかかるダメージが少ない分、速度の上昇率はストライド寄りに比べるとあまり高くはない」

マヤノ「ピッチ? ストライド?」

ルドルフ「ピッチ走法。簡単に言えば、歩幅を小さくして、足の回転で速度を稼ぐ走法だ」

ルドルフ「逆にストライド走法は、歩幅を大きくして速度を稼ぐ走法だ。こちらの方が速度は出るが、その分脚へ来るダメージが大きいので、スタミナを付けたウマ娘向きの走法だ」

マヤノ「……ということは、中距離はストライド走法で走って、長距離はピッチ走法で走れば……!」

ルドルフ「残念だがそう簡単な話ではないんだ。変に走法を変えると、癖が残る――。最初は気にならなくとも、後々に大きな爆弾を残す可能性がある。それが原因で脚を故障し、レースからドロップアウトしたウマ娘もいるくらいだ」

マヤノ「そうなんだ……」

ルドルフ「だからこそ、知識としてそういう走法があることを知っておくくらいにとどめておくといい。走法については……君のトレーナーがきちんと管理をしている。走り方は君に合ったものに調整されているようだ」

マヤノ「トレーナーちゃん、そんな細かなところまでマヤのことを見てくれてたんだ……」

ルドルフ「トレーナーは、ウマ娘にとって一心同体ともいえる存在だ。……君が思っている以上に、彼は君のことを見ているはずだ」

マヤノ「てれてれ~……」

ルドルフ「ふふ、信頼関係があるのはいいことだな。今日はここ辺りにしておこう。君のトレーナーもあまり遅くなると心配するだろうし」

マヤノ「! 今日はありがとう、会長さん!」

ルドルフ「ああ。君に教えるとこちらも実力が増していく気がする。またよろしく頼むよ」


―――

下1 トレーニングの効果量(コンマ)
※ゾロ目の場合は追加ロール

下2 スキル習得(コンマ) 
80以上で習得
50以上でスキルヒント
※ゾロ目の場合は追加ロール

▼マヤノトップガンの賢さが上昇した。
賢さ:264(E+)+32→296(E+)

▼スキルを習得できなかった……。

▼マヤノトップガンの賢さが上昇した。
賢さ:264(E+)+32→296(E+)

▼スキルを習得できなかった……。

トレーナー「最近やけにマヤノが生き生きしている気がする」

トレーナー「レースで負けてからというもの、ふさぎ込んでいたマヤノを心配していたが……。今はもう、心配する必要ないぜ! ってマヤノがブイサインを決めている……気がした」

トレーナー「そういえば、あれからナイスネイチャとは話をしたんだろうか。お互いに思うところもたくさんあるだろうし、たくさんお話をして、たくさん想いを交わしてほしいな」

トレーナー「その記憶が、いつかマヤノを導く光とならんことを――」

―――

下1
トレーニング/お出かけ/休憩/スキル習得(ウマ娘)/スキル習得(トレーナー)/脚質上昇/会話(秋川理事長)/秘密の特訓/その他(良識の範囲内で自由に)
※■■■まであとXターン(当ターン含む)

トレーナー「マヤノ、君に出来ることは無限にある――そうは思わないか」

マヤノ「えっ? どうしたのトレーナーちゃん、急に……」

トレーナー「元気になれば何でもできるッ! お米食べろお米ッ!」

マヤノ「良く解らないけど、良く解らないことはわかったよ……トレーナーちゃん」

トレーナー「冗談はさておいて、君に出来ることは多分俺の想定よりもはるかに多い。その影を踏みに行こうじゃないか」

マヤノ「? レースのコツをつかみに行くってこと?」

トレーナー「そういうことだ」

マヤノ「アイ・コピー! 次からはもっとわかりやすく言ってほしいかも……」

トレーナー「……すまん」

―――

下1
どのスキルを習得する?

[スキルヒント:ウマ娘]
・好転一息 Lv1[汎用]
(序盤に選択肢追加:中盤のコンマ判定を2段階上のものに上げる)
・読解力 Lv1[作戦:差し]
(中盤に選択肢追加:ゴールのコンマ判定に+50の補正)
・大局観 Lv1[作戦:差し]
(中盤に選択肢追加:ゴールのコンマ判定に+100の補正)
・食いしん坊 Lv1[作戦:先行]
(中盤に選択肢追加:終盤のコンマ判定を2段階上のものに上げる)
・ささやき Lv1[距離:中距離]
(中盤:ライバルウマ娘のコンマ判定を1段階下のものに下げる)
・魅惑のささやき Lv1[距離:中距離]
(中盤:ライバルウマ娘のコンマ判定を2段階下のものに下げる)
・スカイハイ☆ランデヴーLv2 Lv1[作戦:逃げ] ※フォームチェンジ権
(序盤に選択肢追加:ゴール時のコンマ判定に+200の補正)

トレーナー「そういえばマヤノ、この前の勝負服モドキだが、サイズ合わせてきたんだよ、どうだ?」

マヤノ「そんな、ニンジンジュースいっぱいどう? みたいな聞き方しなくても……。あ、もちろん着てみたいよ~!」

トレーナー「よし! じゃあちょっと待っててくれ――」


―――


トレーナー「勝負服モドキ、初心者にしてはなかなかの出来栄えだと思ているんだが、やっぱりほかの勝負服とか見てるとデザインの拙さが出てくるな――」

トレーナー「餅は餅屋、か。手を出さないほうがいいとは思わないけど、出すなら出すでプロと比較される、比較することを覚悟して手を出さなきゃいけないよな」

トレーナー「想いだけはどんなプロよりも強い! がな!」


―――


下1 習得コンマ
70以上で習得
70以下でヒントレベルアップ


マヤノ「お待たせ、トレーナーちゃん」

トレーナー「お――って、どうした、そんなにもじもじして」

マヤノ「あのね、トレーナーちゃん……」

トレーナー「耳を寄せろって? どうしたんだ、本当に……」

マヤノ「スカートのひもが解れそう……」

トレーナー「えっ。え、大丈夫か……?」

マヤノ「……今は大丈夫じゃない、かも」

トレーナー「……。ひょっとして、スカートを手で押さえてるのって」

マヤノ「……ぅん」

トレーナー「……。とりあえず、対処療法になるけど……俺のジャージを羽織っててくれ。動けそうか?」

マヤノ「難しい……かも」

トレーナー「しょうがない、ちょっと我慢してくれよ!」

マヤノ「と、トレーナーちゃん?! いきなりお姫様抱っこは聞いてない――」

トレーナー「とりあえず更衣室まで連れていく! ジャージに着替えてからもう一度ここに来てくれ……。あと、それはまた縫い直すから持って来てくれ」

マヤノ「ひゃぃ……」

トレーナー「……? マヤノ?」

トレーナー「…………あ」

トレーナー(ここトレーニング場だったわ……。そりゃみられるよな……)

トレーナー「すまん、マヤノ……」

―――

▼スキルヒント[スカイハイ☆ランデヴーLv2]のスキルヒントレベルが上昇した。

トレーナー「アレから、俺たちの行動が話題になっているらしい。校内SNSはそれはもう……何というか、酷い様子だ」

トレーナー「だがしかし、俺は思う」

トレーナー「確かに行動は軽率だったかもしれない。でも、ウマ娘のことを真に思うのであれば、あれくらいは恥ずかしさを覚えることなく行動することがトレーナーとしての役目ではないのだろうか」

トレーナー「……まぁ、空虚な自己正当化であることはもう承知しているので、これ以上は言葉を重ねないんだけど」

トレーナー「それに、余りやらかしてると呼び出しが――」

たづな「トレーナーさん、少しお話が――」

トレーナー「呼び出しですか?!」

たづな「……? 予算についてのご相談ですが」

トレーナー「なんだ……呼び出しじゃないのか」

たづな「呼び出されてほしかったんですか?」

トレーナー「そんなことは断じて!」

たづな「そう、ですか。あ、こちら資料となりますので目を通してください」

トレーナー「はい……」

―――

下1
トレーニング/お出かけ/休憩/スキル習得(ウマ娘)/スキル習得(トレーナー)/脚質上昇/会話(秋川理事長)/秘密の特訓/その他(良識の範囲内で自由に)
※■■■まであとXターン(当ターン含む)

トレーナー「ひぃ、仕事が終わらん……!」

マヤノ「……トレーナーちゃん、だいじょうぶ……?」

トレーナー「あ、ああ。トレーニングをお休みにしてもらったおかげで助かってるよ、ありがとうな」

マヤノ「えへへ……。ね、トレーナーちゃん。マヤノが出来ること、何かない……?」

トレーナー「ああ……。ここからはパソコン作業だし、そう大きな仕事じゃないから大丈夫だ。マヤノも好きなところに行っていいんだぞ」

マヤノ「んー……。わかった、じゃあまた明日ね!」

―――

マヤノ「……ってことがあったの!」

ルドルフ「トレーナーに課された仕事量はかなりのものだと聞くからな……」

マヤノ「ね、会長さん! マヤも仕事をお手伝いしたいんだけど、何かできることってあるかな……?」

ルドルフ「うーむ。それよりも、君は強くなることを考えたほうがいい」

マヤノ「えー? トレーナーちゃんの力になりたいよ、マヤ……」

ルドルフ「君が力をつければ、それだけトレーナー君の心理的な負担は減る。それに、君の実力が付けばつくほどに査定が良くなるはずだから、給料も出てくるはずだ」

マヤノ「……給料がたくさんだと、トレーナーちゃんは凄く助かる?」

ルドルフ「お金があるという事は余裕が生まれるという事でもある。クオリティ・オブ・ライフの発展維持にはお金が必要不可欠だからな」

マヤノ「くおりてぃ……?」

ルドルフ「……。とにかく、トレーニングを重ねて実力をつければ、回り回ってトレーナー君のためになる。トレーニングに入ろうか」

マヤノ「……! アイ・コピー!」

―――

■[すくらんぶる☆ゾーン]マヤノトップガン
スピード:435(C)
スタミナ:401(C)
パワー:668(B+)
根性:972(A+)
賢さ:296(E+)
やる気:絶好調

―――

下1 トレーニングの内容(コンマ)
01~20:スピード
21~40:スタミナ
41~60:パワー
61~80:根性
81~00:賢さ

ルドルフ「スピードはすべてにおいて重要視される」

マヤノ「うん、早ければ早いほど、前に出やすい!」

ルドルフ「力強さも重要なファクターだが、スピードも同等程度には重要なファクターだ。これがあるとないとでは、レースでの着順にも影響してくる」

ルドルフ「故にこそ、スピードを鍛えなければならない。ただ、スピードといっても大別して二種類ある。何かわかるか?」

マヤノ「んー……。えっと、ふつーの時と、すばッと行くとき?」

ルドルフ「おおむね正解だ。通常時――適宜的に非スパート時と呼ぼう。非スパート時におけるスピードはイコール持久力と言っても差し支えない。だがこれもスピードだ。スパートまでに大きく離されていては意味がないし、逆に大きく離していたらそれだけの有利を築ける」

ルドルフ「対照的に、スパート時の速度は純粋な速度だ。最終コーナーから最終直線へ至り、ゴールへ……。そんな過程でどれだけの速度を出せるか。こればかりは体格の問題や生来の気質などの要素もある――が、君はそれなりに素質があるようだ」

ルドルフ「故にこそ、君に課すべきトレーニングはこのスパート時のスピードだ。言い換えれば末脚の醸成、ともいえるだろうな」

マヤノ「……ふんふん。アイ・コピー! 最後に走り抜ける力を育てるんだね」

ルドルフ「そうだ。というわけで――ハロン走だ。並走は私が務めよう」


―――

下1 秘密の特訓2回目:達成判定
[スピード:435]+[下1コンマ値]>[1回目判定値:400]の場合成功

※今回自動成功
※ゾロ目の場合は判定の可否に関わらず成功。
※成功するコンマ値でありかつゾロ目の場合は成長コンマに固定値追加。

ルドルフ「ふむ、君の爆発力は既にそこそこの基準にあるようだ」

マヤノ「……会長さん、さすが――」

ルドルフ「まぁ、年の功もあるしな」

マヤノ「それでも――さすがは会長さんだな、って」

ルドルフ「素直に賛辞は受け取っておくことにしよう。ありがとう」

マヤノ「どーいたしましてっ!」

ルドルフ「さぁ、もう一回――!」

―――

下1 トレーニングの効果量(コンマ)
※ゾロ目の場合は追加ロール

下2 スキル習得(コンマ) 
80以上で習得
50以上でスキルヒント
※ゾロ目の場合は追加ロール

▼マヤノトップガンの賢さが上昇した。
スピード:435(C)+29→464(C)

▼スキルを習得できなかった……。

ちょっとだけ浮気してます。少しお待ちください――。

トレーナーちゃんが浮気してマヤノのハイライトさんがオフされるって?!

>>802 誰もそんなことは言ってないやろがい!!!

―――


トレーナー「トレーナー業と仕事の両立ってやっぱり大変なんだな、と常々思う。これ、マヤノがデビューしてまだ間もないからマシだけど、シンボリルドルフとかの担当とかになるとえぐいんだろうな……」

トレーナー「そろそろ俺にも仕事術みたいなスキルが欲しい……。異世界転生みたいなチート級の事務処理能力とかもらえないかな……」

トレーナー「……。冷静に考えると、ループっていう事象自体が割と転生転移モノに在りそうな設定だな。なんて悪趣味な……」

トレーナー「うーむ、そう考えると、ひょっとしてループって悪いことだけではないのかも……? スペシャルウィークのことを考えると、完全に悪いことではない、とは思うし」

トレーナー「ものは考えようだな、きっと――」


―――


下1
トレーニング/お出かけ/休憩/スキル習得(ウマ娘)/スキル習得(トレーナー)/脚質上昇/会話(秋川理事長)/秘密の特訓/その他(良識の範囲内で自由に)
※■■■まであとXターン(当ターン含む)


トレーナー「ひとやすみひとやすみ……とは有名なアニメーションのセリフだが、今改めて考えると本当に正しいことを言っているのだなぁと思う」

マヤノ「水飴食べたーいってなるよね!」

トレーナー「ああ、子供の頃はあの水あめが本当に美味しそうに見えたな。実際に食べてみると、むしろ飴の方が美味しくて……」

マヤノ「なんか、知れば知るほど賢くはなれるけど、知らないことがある方が人生オトクかも~って思っちゃったな~……」

トレーナー「という訳で今日はお休みだ。マヤノがやりたいことをやるといい。もちろん公序良俗に反すること以外で、な」

マヤノ「トレーナーちゃんがそれ言う~? この前のこと、マヤは忘れてないんだからね!」

トレーナー「……あのお姫様抱っこは不可抗力だろうよ」

マヤノ「…………。でも、ちょっと良かったかも」

トレーナー「ん、どうかしたか?」

マヤノ「なんでもないもーん。マヤちんカフェでフラッペ食べてこよーっと」

トレーナー「あ、食べ過ぎるなよ――ってもう行った……。なんか不機嫌になっちゃったな」

トレーナー「女心は秋の空――。掴みどころがないというか、なんというか」

トレーナー「まぁ、次からは気をつけるということで、ここはひとつ……」

―――

▼休憩を行った。

▼次回トレーニング効果が2倍になった。

今日はここまで。
次回はなんか起きます。多分。

東京優駿……日本ダービーについては目標レースの選択肢のひとつとして挙げられており、その場で選ばれなかったので、進行上必ず踏まなければならないレースではありません。

まぁ出る必要が無いだけで出れはしますが……。安価次第ですね。

割とインキュベータースタイルで進めているので、聞かれなかったことには答えない事があったり、あえて説明をしていないことがあったりします。もちろん突っ込まれれば回答はします。

というのも、そうした方が安価スレとして幅が広がるかなぁと思っていたりするからです。行動安価の自由に、とは本当に(規約に触れない程度という制約はありますが)自由に考えてもらって構わないという意図でつけています。

という訳で更新は夕方か夜です。よろしくお願い致します。

(あと、キャンサー杯に係る準備で少し時間を貰うかもしれない――と思ってましたが、想像以上にキャンサー杯用のウンスが上手く育成できたので、特に休むことはありません。皆様は育成の方はいかがでしょうか……)

フジキセキとセイキンで行こうと思ってます

次のターン出来るなら日本ダービー見学とかって安価とれば可能なのかしら

よっしゃ!安価をルームマッチで決めるか!

そこそこ強めのサークルに勧誘していただいたので、アドバイスをいただいた結果を残したい所存――。

>>817 面白そうだとは思いますが、実現性は低いですね……

40785400

安価はともかくルムマやってみるのはありだな、と思いました。
ハンネバレ前提ですが、参加される方はお気軽に。
オープンリーグ想定で、評価はB上限です。3名インでお願いします。


これ待ってる間に今日の分書いてます。少々お待ちくださいませ。

>>815 ターン計算は曖昧ですが、大体そろそろ夏合宿に入る頃合いなので難しいですね。直近で言うならば宝塚記念とかがGⅠとしての候補でしょうか。

「……そろそろ、次の目標レースを決めなければならない時期か」


 夜のトレーナー室で、俺は一人ごちった。

 食堂から聞こえる喧騒が、カーテン一枚に僅かに遮られて、心地が良いBGM。

 俺は一つ伸びをして、思案に耽る。


「適性を考えるなら、天皇賞・秋かジャパンカップが妥当だ……。達成目標のことを考えると、ここでGⅡレースという選択はできない。出場出来ればだが、有馬記念はマヤノトップガンにとって貴重な経験となる」


 だが、今あげた中で最も考えにくいのは有馬記念への出場だ。これを目標レースに掲げてしまうと……それd代え俺がループする可能性が増大する。

 とはいえ、ジャパンカップや天皇賞・秋への出場にも大きな障害が立ちふさがる。まだまだ先の話だが、傾向を考えれば、出場してくるだろうウマ娘に想像は付く。


「秋天にサイレンススズカ、JCにはシンボリルドルフか……」


 両名とも越え難き壁だ。特にシンボリルドルフはマヤノをして追い越せない怪物とまで言わしめる相手。そう簡単に勝たせてはくれない。

 むろんだが、有馬に出馬するとなれば、これまたシンボリルドルフとかちあう羽目になるだろう。成長したマヤノならいざ知らず、今のマヤノではシンボリルドルフとの直接対決は敗色濃厚。

 負けの経験はウマ娘を強くする。しかし負けこむとそれが慣れとなって、不必要な自己評価の卑下に繋がることがある。それだけは避けなければならない。あいにくだが、俺にはそんなコミュニケーション能力がないからだ。


「……ふむ」
「こんこん、トレーナーさん、いらっしゃいますか?」
「たづなさんですか、居ますよ。どうぞ」


 擬音を口で言ったことには突っ込まずにいよう。たづなさんを招き入れると、いつも通りの笑顔でたづなさんは微笑む。


「遅くまで大変ですね」
「たづなさんこそ。いつもお疲れ様です」
「いえいえ、そちらこそ……」
「いえいえ……」
「……。さて、早速ですが要件をお話しますね」


 そういって、たづなさんは少し申し訳なさそうに眉を下げる。


「目標レースの話ですが……」
「ああ、ちょうど今そのことを考えていたんです。どうしたらいいのかな、と」
「そう、ですよね……」


 とはいえ、とたづなさんは前置きする。


「そろそろ決めていただかないことには、こちらも少し困ってしまうので……」
「そう、ですよね……。三つに候補は絞れているんですが、それ以上が……」
「天皇賞・秋、ジャパンカップ、有馬記念、ですか……」
「私としては、どのレースも非常に魅力的なものだと感じますが……。強敵ぞろいのレースですね」
「ええ、だからどうしようかな、と……」


 どれだけ考えても答えが出ない。マヤノのことを考えると、浮かんでくる答えを全て精査しなければならない気がした。


「トレーナーさん、そんなに悩むのでしたら――時には流れに身を任せるのも肝要だと思いますよ」
「時の流れに身をまかせる?」
「ここに賽子があります。これで決めれば、それは天命といえるのではないでしょうか?」
「……。一理ある、気がしますね」


 振るだけ振ってみるか……。


―――

下1 次の目標レース(コンマ判定)
01~60:GⅠレース【天皇賞・秋】   難易度:高 報酬:大
61~80:GⅠレース【ジャパンカップ】難易度:特高 報酬:特大
81~99:GⅠレース【有馬記念】    難易度:極高 報酬:極大

「1、ですね……」
「出目が低いので、難易度が低いところに行け――という天命でしょう」
「……マヤノのことを考えると、やはりそれが最良ですか」


 強敵が出てくることを考えると、リスキーな選択は出来ない。

 天皇賞・秋がリスキーではない、というわけではないが――それでもJCや有馬に比べるといくらかリスクが軽い。


「明日、マヤノに相談してみます」
「ええ、こちらも準備を進めておきますね」
「ありがとうございます――。よろしくお願いいたします!」


―――

▼次回目標レースが「天皇賞・秋」に決まった。

▼次回目標レースまであと6ターンです。

(アナウンス)

天皇賞・秋の結果が出たら一度このスレを畳みます。
多分終わるころには900超えてると思うので……!

―――

トレーナー「あの後、マヤノと話し合いをした」

トレーナー「マヤノは少し驚いたようだが、それでも直ぐに出走を決めてくれた」

トレーナー「何か心境の変化があったようだ。トレーニングに対する姿勢も、いつもよりも前のめりだ」

トレーナー「それが何かわからない。でも、それはとてもいいことだとは思う……んだけど」

トレーナー「悔しいな。やっぱり俺はまだ一人前のトレーナーじゃない。俺だけでは、マヤノを十全に輝かせることは出来ないんだな」

トレーナー「……でも、だけど。いつかは出来るはずだ――」

トレーナー「その時を座して待つわけにはいかない。……努力し、学習し。結果を出すんだ」

トレーナー「今日も一日が始まるなぁ。今日も頑張るぞ、おー!」


―――


下1
トレーニング/お出かけ/休憩/スキル習得(ウマ娘)/スキル習得(トレーナー)/脚質上昇/会話(秋川理事長)/秘密の特訓/その他(良識の範囲内で自由に)
※天皇賞・秋まであと6ターン(当ターン含む)
※休憩効果発動中。次回トレーニング効果2倍。
※2ターン後、夏合宿が開始されます。

その他
マヤノは休憩、トレーナーはスズカの視察って出来るかな?
出来れば相手の能力値が知りたい

>>827 可能、とだけは言っておきますね。

―――

トレーナー「さて、マヤノ。天皇賞・秋を目指すにあたって重要なことは何だと思う?」

マヤノ「ん~。トレーナーちゃんとの愛?」

トレーナー「多分違うと思うんだよ。多分違うと思うんだけど……違わない気がするから不思議だよな」

マヤノ「良く解らないけど……でも、多分正解だと思うよ!」

トレーナー「……そう、なのか? いや、なんか騙されてる気がするぞ」

マヤノ「そんなわけないよ~」

トレーナー「本当か?」

マヤノ「……そんなわけ、ないよ」

トレーナー「……本当に?」

マヤノ「……そんなわけ、ないかもしれないしあるかもしれない……」

トレーナー「まったく、俺はマヤノを嘘を吐く子に育てた覚えはありません!」

マヤノ「……マヤもトレーナーちゃんに育てられた覚えはないかな~……」

トレーナー「……。よし、トレーニング、やるか!」

マヤノ「あー、トレーナーちゃん誤魔化した~」


―――

■[すくらんぶる☆ゾーン]マヤノトップガン
スピード:464(C)
スタミナ:401(C)
パワー:668(B+)
根性:972(A+)
賢さ:296(E+)
やる気:絶好調

―――

下1 トレーニングの内容
スピード/スタミナ/パワー/根性/知識
※サポートカード[スペシャルウィーク]アクティブ。根性の練習時に固定値追加。

下2 トレーニングの効果量
※ゾロ目の場合は追加イベント

トレーナー「さて、これからトレーニングを行っていくわけだが」

マヤノ「うん」

トレーナー「トレーニングはスピードだ」

マヤノ「……うん?」

トレーナー「スピードはトレーニング、今日はテンポ走をやるぞ」

マヤノ「……。あの、トレーナーちゃん」

トレーナー「ん……。どうした?」

マヤノ「なんか疲れてなーい?」

トレーナー「疲れてなんかないぞ。さぁ、スピードを始めよう」

マヤノ「いや、絶対疲れてるよ~! 今日はもうお布団はいろ? ね?」

トレーナー「そういうわけにはいかない。天皇賞・秋までまだ時間はあるとはいえ……」

マヤノ「トレーナーちゃんが寝てくれなきゃ、マヤはトレーニングしませーん! はやく寝なさーい!」

トレーナー「む、それは困る……」

マヤノ「トレーナーちゃんが倒れたら困るのはマヤの方なんだよ……? 大好きなトレーナーちゃんが無理してまで、マヤのために働いてくれてるのはうれしいけど、それで体を悪くしたらマヤは……ヤだよ……」

トレーナー「マヤノ……。そうか、じゃあ――お言葉に甘えて今日は休ませてもらうか」

マヤノ「うん。今日は自分でできる範囲のトレーニングをやってるね」

トレーナー「よろしく頼む――」

―――

▼マヤノトップガンのスピードが上昇した。
スピード:464+(10×2)=484(C)

トレーナー「この前はマヤノに迷惑をかけてしまったな……。多分前日に遅くまで仕事をしていたせいだろう」

トレーナー「このまま体調を崩すようであれば、マヤノのトレーニングにも本格的な影響を与えることになるだろうし、早々に改善しなければな……」

トレーナー「とはいえ、業務を低減させるにはどうしたらいいのか……。突き詰めると作業効率を上げるに尽きるんだが、それだけでは足りない気がする」

トレーナー「そうだ、今度先輩トレーナーにいろいろ聞いてみるか。先達であればいろんなアドバイスをくれるかもしれないしな!」

トレーナー「そうと決まったらアポイントメント……。って、俺先輩トレーナーとのコネがなかったわ……」

トレーナー「八方手づまり、って感じだな……はは」

トレーナー「ま、理事長に相談してみるか。それでどうにかならなかったら――それはその時考えるか!」

―――

下1
トレーニング/お出かけ/休憩/スキル習得(ウマ娘)/スキル習得(トレーナー)/脚質上昇/会話(秋川理事長)/秘密の特訓/その他(良識の範囲内で自由に)
※天皇賞・秋まであと5ターン(当ターン含む)
※1ターン後、夏合宿が開始されます。

トレーナー「……というわけなんですよ、秋川理事長」

秋川理事長「考慮ッ。前々から改善すべきだとは考えていた……」

トレーナー「……やっぱり陳情とかは上がってくるんですか?」

秋川理事長「肯定。特に上級生……クラシックレースに出場するようなウマ娘のトレーナーからは日夜届いていた……」

トレーナー(あ、やっぱり仕事量が多くてどうにもならないんだ……)

秋川理事長「協力……ッ! 今まで一度も、低い年齢層のウマ娘を担当するトレーナーからは陳情が上がってこなかったが故の対処の遅さだ……ッ。直ぐにとは言えんが、出来る限り速やかにサポートの体勢を整えたいと考えているッ……。既に購入も済ませている」

トレーナー「え? 購入……?」

秋川理事長「黙秘ッ!!! 今のはたづなには内緒――」

たづな「何が、内緒なんですか?」

秋川理事長「ひ……」

たづな「理事長、この際ですからお話し合いをしましょう。ね?」

秋川理事長「」

トレーナー(沈黙してしまわれた……)

たづな「というわけで、どういう結果に落ち着くかは分かりませんが、悪いようにはならないと思いますので~。よろしくお願いしますね」

トレーナー「あっ、はい……」

―――

▼次回目標レース後、何かが起きる……!

―――

――遠くから潮騒が聞こえる。

 バスから降りた俺たちは、鼻腔に満ちる潮の香りと、遠くからかすかに響く海の息遣いを一身に受ける。

 7月前半から行われる夏期合宿はウマ娘にとって非常に重要なイベントのひとつである。

 なんと言っても、トレセン学園中のウマ娘が一堂に会し、トレーニングを行うのだ。そこから盗み取れる技術なども多くあり――トレーナー間でも夏を制する者はバ場を制する……なんて言われるくらいだ。

 この期間を無駄に過ごす訳には行かない。

 海風が頬を叩く感触と共に、夏合宿が始まった――!

―――

■夏合宿について
夏合宿中は以下のことが行えます
・トレーニング
・休憩(トレーニング効率2倍)
・探索

■トレーニングについて
普段より効率のいいトレーニングを行うことができます。詳細なコンマ判定については、トレーニング選択時に再度説明します。

■休憩について
トレーニング効率がアップします。また、やる気が下がっている場合は1段階上昇します。

■探索コマンドについて
夏合宿中、付近の探索を行うことができます。
このコマンドによって発生した進捗はループを経ても記録されます。
直接ウマ娘の成長に結びつくかどうかは運次第。ですが結びついた時のリターンは大きい、言わばギャンブルのような要素です。
また、探索の結果によっては次回ループ時に影響が発生する可能性があります。

―――

下1
今日は何をする?
トレーニング/休憩/探索/その他(良識の範囲内で自由に)

■探索について

・探索とは?
夏合宿中にのみ行える特殊な行動です。
様々なスキルのヒントや、ループに役立つものなどが獲得できる唯一の行動ですが、時には何の成果も得られず終わる、いわばギャンブルのような行動です。
探索は13の探索度を有しており、一度探索するとその是非を問わず、探索度を1増やします。

・探索の特徴
探索は【ループしても探索度が保持されます】。
また、探索度を増やせば増やすほど、報酬を得る機会は増加します。
最終到達地点に到着すると、イベントが発生します。

・道中の判定について
下5コンマ安価を一気に取ります。
コンマの集計が終了した後、再度下5コンマ安価を取ります。
最終的に今までに集計した10コンマ安価を総合した数値によってリザルトを算出します。
道中の安価にも報酬が存在することがありますが、それなりに難度が高いものだと考えてください。
基本的にはコンマの数値が高ければ高いほど、ウマ娘やトレーナーにとって有用なものが入手できます。
コンマがゾロ目だった場合は、原則として終了後に追加ロールが発生するものとします。

・その他
追記すべき事項があれば都度追記します。
連取は性質上1分経過後であれば可能なものといたします。
ご協力のほどお願い致します――。

前回探索時の補正値を見直し、新たに制定しなおしました。
能力値の補正の基準はDとなります。

―――

トレーナー「この島に来るのは二回目だが、相も変わらず穏やかだよな」

マヤノ「ね~。ハンモック? 持ってきてお昼寝したら気持ちよさそう~。もちろん、隣にトレーナーちゃんがいれば、もっと、ね?」

トレーナー「はいはい、ありがとね。考えとくよ」

マヤノ「……それ、狡いんじゃない、トレーナーちゃん?」

トレーナー「大人とは狡い生き物だよ、マヤノ君――」

マヤノ「むー……。あーあ、もうマヤはすねました! トレーナーちゃんとデートしないと機嫌が直りません~!」

トレーナー「はは、それは困ったな……」

トレーナー「じゃあ、デート、行くか」

マヤノ「……ぇ?」

マヤノ「いいの?」

トレーナー「なんだよ、マヤノがそういったんだろ?」

マヤノ「え、でも……。ううん、何でもない! じゃあ、デートの準備してくるからちょっと待ってて!」

トレーナー「はは、いつまで経ってもマヤノは子供のままだなぁ」

―――

■[すくらんぶる☆ゾーン]マヤノトップガン
スピード:484(C)
スタミナ:401(C)
パワー:668(B+)
根性:972(A+)
賢さ:296(E+)
やる気:絶好調

―――

下1~5 探索安価

下1:コンマ値+10
下2:コンマ値+10
下3:コンマ値+25
下4:コンマ値+35
下5:コンマ値-5

―――

トレーナー「こういう落ち着いた時間を取るのも久しぶりな気がするな」

マヤノ「ねー。最近結構忙しかったし、たまにはこういう時間も必要だよね!」

トレーナー「そうかもしれないな……。心理的余裕が出てくれば、別のひらめきとかも出てくるだろうし……」

マヤノ「そうだけど……マヤはちょっと違う理由かな~」

トレーナー「違う理由?」

マヤノ「それはね、トレーナーちゃんと過ごす時間が大好きだからです!」

トレーナー「……躊躇なくストレートに好意を伝えてくるところ、俺は好きだよ」

マヤノ「……! と、トレーナーちゃんったら大胆なんだから――!」

トレーナー「他意はないぞ。……と、この森に来るのも久しぶりだな。ほら」

マヤノ「……うん、手、借りるね」

トレーナー「離すなよ」

―――

■[すくらんぶる☆ゾーン]マヤノトップガン
スピード:484(C)
スタミナ:401(C)
パワー:668(B+)
根性:972(A+)
賢さ:296(E+)
やる気:絶好調

―――

下1~5 探索安価

下1:コンマ値+10
下2:コンマ値+10
下3:コンマ値+25
下4:コンマ値+35
下5:コンマ値-5

―――

[45+10]+[96+10]+[20+25]+[05+35]+[76-5]
+
[30+10]+[04+10]+[96+25]+[45+35]+[53-5]
―――
合計:620

▼スキルヒント[コーナー回復〇]Lv1を獲得した。(100)
▼スキルヒント[円弧のマエストロ]Lv1を獲得した。(500)

▼スキルヒント[善後策]Lv1を獲得した。(200)
▼スキルヒント[プランX]Lv1を獲得した。(600)

▼アイテム[やる気ドロップス]を獲得した。(300)

▼アイテム[目覚まし時計]を獲得した。(400)


――


トレーナー「森に入っていくと、海のざわめきが遠くなっていって、葉っぱが風にそよいでいる音だけが聞えてくるな」

マヤノ「海の近くなのに、海の音がしないって結構不思議だよね~」

トレーナー「都会の喧騒から切り離された人間の心情を簡単に味わえるよな」

マヤノ「……? 良く解らないけど、すっきりとした気持ちになるね」

トレーナー「そうか――そうだったらいいんだけど」

マヤノ「あ、トレーナーちゃん! あそこに小川があるよ!」

トレーナー「お、本当だ。川の近くには動物がたくさんいるって聞いたことがあるんだが、本当に居るんだろうか――」

マヤノ「……あ、トレーナーちゃん、あそこ」

トレーナー「あれは……狸か? こんなところに居るなんて珍しいな……」

マヤノ「かわいい~……」

トレーナー「可愛い……か?」

マヤノ「かわいいったらかわいいの~! ……あ! 大声出しちゃったから逃げちゃった……」

トレーナー「動物の逃げ足……。逃げる……。はっ、これはトレーニングに活かせそうだ……!」

マヤノ「えぇー?!」

―――

▼探索度が[2/13]になった。


トレーナー「そういえば、ウマ娘によっては水着を持ち込んでいるらしい。だからというか、なんというか――トレーナーたちが物凄い渋面を作っているんだよな」

トレーナー「……うら若き乙女の水着を前に、己を律している素晴らしい先輩たちだと思う。思うんだが――反応が物凄く妖しく見えてしまうので、もう少し顔に出さないトレーニングをしてほしい」

トレーナー「いや、気持ちは凄くわかるんだけどね」

トレーナー「俺もいつかは、あんな感じの顔になってしまうのだろうか――」

―――
下1
今日は何をする?
トレーニング/休憩/探索/その他(良識の範囲内で自由に)
※天皇賞・秋まであと3ターン(当ターン含む)

トレーナー「さて、トレーニングを行っていくんだが……」

マヤノ「うん!」

トレーナー「……日焼け、しちゃったな」

マヤノ「うん……。日焼け止め塗ってたけど、途中で効果が切れてたみたい~……。お肌ひりひり~……」

トレーナー「それは……すまんな。もう少し気を付けておくべきだった」

マヤノ「気にしなくていいよ、トレーナーちゃん! ……そ、れ、に」

トレーナー「?」

マヤノ「こういう時の肌ちらは効果的って、本に書いてあったから――これでトレーナーちゃんもメロメロに」

トレーナー「……。大人をあまり煽るなよ、マヤノ」

マヤノ「煽ってないよ~!」

トレーナー「全く……」

―――

■[すくらんぶる☆ゾーン]マヤノトップガン
スピード:484(C)
スタミナ:401(C)
パワー:668(B+)
根性:972(A+)
賢さ:296(E+)
やる気:絶好調

―――
下1
トレーニングの内容
スピード/スタミナ/パワー/根性/賢さ

下2~3
トレーニングの効果量
※ゾロ目で追加イベント

今の気持ちを表すなら、
夏合宿初日に失敗率2%を失敗した挙句練習下手をつけられた時のスーパークリークににている。

>>860
大 輪 の ほ こ ろ び

トレーナー(先輩方の姿がちらつく……。いつ俺はあの涅槃寂聴のような顔に至ることができるのだろうか……)

マヤノ「トレーナーちゃん?」

トレーナー(マヤノはまだ子供、マヤノはまだ子供……。そう、マヤノは俺が育てるべきスターウマ娘なんだ……)

マヤノ「トレーナーちゃん……?」

トレーナー(心頭滅却すれば火もまた涼し……。凪いだ心を保て――俺は水面。水面だ……)

マヤノ「トレーナーちゃんっ!」

トレーナー「おわっ?!」

マヤノ「どーしたの、なんか心ここにあらず~って感じだったよ?」

トレーナー「あ、ああ……。すまん、いろいろ考え事をしてて」

マヤノ「考え事? トレーナーちゃん、何か悩み事とかあるの?」

トレーナー「いや、気にするほどのことじゃない」

マヤノ「ぶーぶー! トレーナーちゃんの悩みはマヤの悩みなの~! 教えてくれなきゃすねちゃうんだから!」

トレーナー「そうは言われてもなぁ……」

トレーナー(素直に、マヤノの言葉にドキリとしました、なんて言えないからな……)

トレーナー「本当に何でもないんだよ。さ、トレーニングに戻ろう」

マヤノ「……トレーナーちゃんがそういうなら、マヤは信じるよ」

トレーナー「ああ、すまんな」

―――
▼マヤノトップガンのスピードが上昇した。
スピード:484(C)+5+4=493(C)

トレーナー「正直なところ、俺はどこまでマヤノに甘えていいのか分かっていない」

トレーナー「いや、すでに十分甘えている気がする。マヤノが深く聞いてこないのをいいことに、話すべきことに蓋をしている気がする」

トレーナー「不健全な関係といえばそうなのかもしれない」

トレーナー「ただ、話せないことももちろんあるんだ。例えばループ……記憶のことなんて特に」

トレーナー「話したいこと、話せないこと。本当にマヤノのことを想うのであれば、全てを話すべきかもしれないな」

トレーナー「タイミングは出来ない。多分作る必要があるんだろうけど――それはまだまだ先の話だ」

トレーナー「少なくとも近日中に話すものではない、と思っている」

トレーナー「……ん、そろそろ時間か。いかなきゃなぁ」

―――
下1
今日は何をする?
トレーニング/休憩/探索/その他(良識の範囲内で自由に)
※天皇賞・秋まであと2ターン(当ターン含む)

トレーナー「さて、今日もトレーニングをしていくわけだが……」

マヤノ「……」

トレーナー「どうしたマヤノ……えらくご機嫌斜めじゃないか」

マヤノ「むー!」

トレーナー「リスみたいに頬を膨らませたって、なにがいいたいのかわからないぞ……?」

マヤノ「トレーナーちゃんが……はぐらかしたもん……」

トレーナー「はぐらかす……ああ、昨日のあれか」

マヤノ「男の人が描く仕事をするときは、何かやましいことがある時だってネイチャちゃんが言ってた!」

トレーナー「やましいこと?!」

マヤノ「トレーナーちゃんだって男の人だもんね……目移りしちゃうこともあるよね……」

トレーナー「……ん?」

マヤノ「マヤにオトナの魅力が足りてないことが原因なんだよね……」

トレーナー「な、何を言ってるんだマヤノ……!」

トレーナー(何故バレた?!)

マヤノ「ほら、トレーナーちゃんのその表情は図星だってこと、マヤ知ってるんだからね……!」

マヤノ「いいもーん……。マヤは一人でトレーニングするもーん……」

トレーナー「うーん、違うというか、外れてはいないんだけど……」

マヤノ「ほらー! わかっちゃってたもん! トレーナーちゃんの浮気者ーっ!」

トレーナー「困ったな……」


―――

下1
トレーニングの内容
スピード/スタミナ/パワー/根性/賢さ

下2~3
トレーニングの効果量
※ゾロ目で追加イベント

トレーナー「今日はスピードのトレーニングを行うぞ」

マヤノ「ぶー……」

トレーナー「……マヤノ、まだ疑ってるのか?」

マヤノ「だって……!」

トレーナー「わかった。じゃあ事の真相を話そう。ただし、今日のトレーニングを十全に終えることができたらだ」

マヤノ「……!」

トレーナー「今日のトレーニングを満足に行うことができれば、マヤノに今の俺の考えてることを全部話そう。ただし、ちょっとでもさぼったりしたら話さないからな。それでいいか?」

マヤノ「うん!」

トレーナー「じゃあ、砂浜ダッシュ10本からだ! スタート!」

マヤノ「マヤちん、ランディング・オーフ!」

トレーナー「……何とか説得できたな」

―――
▼マヤノトップガンのスピードが上昇した。
スピード:493(C)+75+81=649(B)

ちょこっとイベント挟みたくなってきたので今からイベント書いてきます。
若干分お待ちを。

 練習も終了し、陽が落ちてきた頃。俺は自室で一人ため息をついていた。

 というのも、先ほどのトレーニング中に育成ウマ娘のマヤノに対して「今の俺の悩みを話す」と約束してしまったからだ。

 つまりそれは、マヤノに対して「君の所作にどぎまぎしていた」ことを伝える……という事であり、つまり事案案件でもある。

 正直、秘めておけるのであれば秘めておきたい気持ちだった。だが、小さな所作を見逃さず、俺のついている嘘を嗅ぎ取ってくるマヤノに対しては、その試みは余りにも儚く終了してしまうのだった……。


「でも、話すと言った以上、話さなきゃマヤノは怒るだろうし……」


 第一、約束したことを違えるなんて人間失格だ。あいにくだが、俺はそこまで腐った根性をしていない。

 つまり、まぁ。ここまでの独白はすべて愚痴のようなものだ。

 この独白が何かを解決するわけではない。

 百も承知だが、吐かなければならない時もある。多分、人間ってそういうものなんだろうな……と無用な悟りを得てしまう。

「さて、そろそろ外に出るか」


 待ち合わせをしているのは、合宿所から少し離れた場所――前の夏合宿で、スペシャルウィークたちをかちあった場所――だ。

 ここからは五分歩けば到着する。ちなみに集合時間まではあと三十分はある。だが、こういう謝罪というか告解は、誠意とか態度が必要なわけで。

 要約すると、俺はここから出る必要がある、という事だ――。


「とはいえ、三十分前から待つとなると手持無沙汰だな」


 夜の砂浜で一人ごちる。

 いつもはマヤノが相槌を打ってくれるが、今の俺の話し相手は海鳴りだ。海鳴りのみが俺の言葉に静かに返事をした。

 一人で夜の海に出るのは少し寂しいことのような気がしたが、案外寂しくないな、と思った。これから余裕があるときとかは一人でこうして海に来てもいいかもな、と思った。

 ……いやでも、一人で海に行くとマヤノに心配をかけてしまうかもな。行くときはマヤノも一緒に連れて行く方がいいかも。

 でもそれだったら、そもそも海に行かないでトレーナー室で話をしてしまえば解決なのでは……。と思い至って、風景に感傷的になっていることに気が付いた。

 ふぅ、と息を吐く。その時だった。


「……あ、あの時の!」


 ふと、声が掛けられた。

 そこにはブルネットの髪を世風に遊ばせた――スペシャルウィークの姿がある。

 考えが少し甘かった、と思った。前年此処に来たのだから、彼女が此処に来る可能性も十分にあり得た。


「悪い、邪魔したな――」
「待ってください、お礼、したくて!」


 お礼? と俺が首をかしげていると、スペシャルウィークは何かをこちらに差し出してくる。

 ……これは、バケツと花火?


「この前、結局なんだかんだ言って監督してくれたじゃないですか。だけど、私たち何も返せなくて……。それで、今日の昼、担当ウマ娘ちゃんと夜に会うって話を聞いちゃって……」


 ぽ、と華やぐ頬。……ひょっとして、逢瀬だと考えられている?

 もじもじとする様子のスペシャルウィークを見れば、確信に至る。見た目にそぐわず、結構耳年増なのかもしれない。


「スペシャルウィーク、君の考えているような関係ではないよ……」
「ってことは、これからなるってことだべ?!」
「んなわけあるか!!」
「ですよね。わ、わかってましたよ私……」
「ほんとかなぁ……」
「勿論です! ……多分」


 随分とあやふやな回答だなぁ。


「で、お礼がこれ?」
「あ、はい! 花火があれば話しやすいかなって」
「そっか。気を使わせたな、ごめん」
「いいえ。それに、トレーナーさん」
「なんだ?」
「――そういう時は、ありがとう、って言うんですよ!」


 私も最初はそうでした、とはにかむスペシャルウィーク。確かに、根が優しい彼女は誰かから何かを施されるとまず謝ってしまいそうだ。

 グラスワンダーやエルコンドルパサー、キングヘイロー、セイウンスカイのおかげで感謝することを覚えたのだろうか。今度は、その教えを俺に与えようとしてくれている。

 確かに、そうだな。こういう時は感謝の意を示さないとな――。

 そう思った時だった。


「トレーナーちゃん、どこー?」
「あ、来ちゃったみたいですね。もっとお話ししてたかったんですけど、トレーナーさんとずっと話してると勘違いされちゃいそうですし、私はここで帰ります!」
「あ、ちょっと――」
「次会うときには、もっとお話ししましょう――」


 俺が感謝の意を示す暇もなく、スペシャルウィークは走り去ってしまった。

 その走りは洗練されていて、やっぱり彼女が才能あふれるウマ娘だったんだな、と実感する。


「元気でやれよ、スペシャルウィーク――」
「……? どうしたの、トレーナーちゃん?」
「ああ、何でもないんだよ、マヤノ。ただ……」
「ただ……?」
「ただ、昔を懐かしんでたんだよ。遠い昔のことを、な」


 いつか、君に本当にありがとうと伝えられる日まで。

 俺はこの言葉を仕舞っておこうと思う。

 だから、いつかまた会えるかな、スペシャルウィーク――。

「……トレーナーちゃん、別の子のこと考えてるでしょ!」
「ああ。でもな、別にマヤノのことを見ていないってわけじゃなくて――」


 俺はそういって、花火を差し出す。


「気を利かせてくれたんだ。俺とマヤノが話しやすいように、って」



「……花火やるのも、いつぶりだろ」
「ご家族とやったことはないのか?」
「数えるくらい。パパは仕事で忙しかったし、遊ぶときも花火とかじゃなくて離着陸場だったから」


 そういえば、マヤノの父親は航空機パイロットらしい。連絡らしい連絡を取ったことはないが、一度だけ挨拶しに来たことがある。

 かなり強烈な視線で俺のことを見ていたから、小馬鹿な人なんだろうと思う。マヤノがいつも感情を隠さないのは、父親の影響なのかもしれない。


「いいお父さんなんだな」
「うん。パパはマヤの憧れなの!」
「そっか、じゃあ追いつけるように頑張らなきゃな」
「うん!」


 海水を軽くさらって、バケツに消火用の水を満たす。

 スペシャルウィークが持ってきた花火はそう多くはない。そもそも学生であるスペシャルウィークに花火を奢らせてしまった時点でダメダメな大人だ。

 そこまで長くは続かないはずだ。だから、話の決着は短くつける必要がある。


「花火のつけかたってわかるか?」
「さすがにわかるよ~! マヤちん、ファイヤー!」


 マヤノはチャッカマンを持ち、花火に着火する。すると、わずかに先が燻り――次いで、光の洪水が先端からあふれた。

 わぁ、と声を上げて、マヤノはくるりくるりと花火を振り回していた。本当に楽しそうに、まるで踊るように――。

 暗くなった海岸線に、光の線が刻まれる。線が刻まれた箇所だけ、マヤノの楽しそうな表情が浮き上がるように見えて、とても幻想的だった。

 夕焼けの橙のような、オレンジ色の髪の毛が、光に追随して踊る。


「トレーナーちゃん、花火ってきらきらしてて楽しいね!」
「そうか、マヤノが楽しいんならよかった」
「トレーナーちゃんはどう?」
「綺麗だと思うよ」
「えー? マヤのことが?」
「ああ、綺麗だと思うよ」


 小さく声を上げて、マヤノが固まる。

 この子は俺のことを揶揄ってくるくせに、自分がいざ揶揄われるとなると耐性がないんだ。凄くいじらしくて――可愛らしい子なんだ。

 くすり、と笑いを漏らすと、マヤノが俺の所作に気付いたようで手を大きく振って抗議の念を露わにする。

 すると手に持っていた花火がちょうど消え、マヤノは寂しそうな声を上げる。


「マヤノ、花火はまだあるぞ。これでラストだ」
「これ……何?」
「線香花火。やってみるか?」
「うん!」

 マヤノの線香花火に火をつけて、俺のものにも火をつける。

―――
下1 線香花火 どちらが早く落ちるか(コンマ)
50以上:トレーナー
50以下:マヤノトップガン

「ちっちゃい花火だ……」
「小さいだろ? ほかの花火よりも小さくて、落ちる時間が早いんだ」
「え、だったら大きくしたらいいとマヤちん思いまーす」
「まだまだ子供だなぁ、マヤノ。これがいいんだよ、これが」


 マヤノは首をかしげながらも、俺の言葉を待っている。


「こうして光を眺めてるとさ、今までのことを思い出さないか?」
「今までのこと?」
「そうだ。メイクデビューから京都JS、皐月賞――。今まで俺たちが辿ってきた道筋のことを」


 じっ、と。両の瞳が線香花火を見つめる。


「……ぼんやりと、浮かんでくるかも」
「だろ? こうして線香花火をつけながら話す――そうすると、ちょっとだけ自分に正直になれる気がするんだよ」
「正直に――」
「ああ、正直になれるんだ。大人のくだらないプライドとかさ、考えてることとか――全部まろやかに、線香花火の光が抜き取ってくれるんだよ」


 ぱちりと、花火が弾ける。


「マヤノ、俺が上の空だった理由なんだけどさ」
「……うん」
「君に見惚れてたんだよ。恥ずかしかったから今朝は言えなかったけど」
「……そっか。そっかぁ……えへへ、嬉しいかも」
「――怒らないのか?」
「どうして怒るの? トレーナーちゃんが、マヤにめろめろってことでしょ? だったら怒る理由なんてないよ~」


 そうか、と一つ息をつく。


「あともう一つ。この際だから話しておこうかな、と思って」
「……うん。何でも聞くよ」
「ループについて、話したろ?」
「うん。目標を達成できないとループするって」
「実は隠してることがあるんだ」


 ここで初めて、マヤノが俺のほうを向いた。


「隠してたこと……。ううん、怒らないよ。多分、今まで隠してた理由って――マヤのことを考えて、だよね」
「そうだ。このことを伝えるかどうかは、正直ずっと迷っていた。でも、伝えなきゃ、きっと後悔するだろうから」
「……マヤは、トレーナーちゃんの全てを受け入れるよ」
「……。ありがとう」


 一つ、息を呑む。

 ぱちり。花火が弾ける。


「実はな、俺がループすると、担当ウマ娘以外から――俺に関する記憶が失われる」
「……え」
「だから、世界で俺のことを覚えているのは、君だけになるんだよ、マヤノ」
「そっか」
「……驚かないんだな」
「なんとなく覚悟はしてた。漫画とかドラマとか、結構記憶消えるから」
「そうか」
「でも、言葉にして伝えられると――怖いね」
「怖いか」
「うん、怖い」
「ごめんな」
「ううん。大丈夫。だって、負けなければいいってコトだよね?」
「……そうだな」
「だから、負けないよ。今はまだまだ弱いけど――負けないって、誓うよ」
「そうか」



 花火が、弾けて、落ちる。

「……あ」
「……マヤノの線香花火、落ちたな」
「そうだね……トレーナーちゃんのも落ちた」
「落ちるときは一緒に、ってか」
「トレーナーちゃんとだったら、どこにでも行くよ」
「地獄でも?」
「うん」
「そうか」
「だって、マヤはトレーナーちゃんのことが、大好きだから」
「……」
「トレーナーちゃん?」
「呪いは、残しちゃいけないな」
「トレーナーちゃん……?」
「何でもないよ。マヤノのことを少し呟いただけだ」
「……何呟いたの?」
「秘密。ミステリアスな男の方がモテるらしいからな」
「ずるーい!」
「狡くない。それが大人だ」
「そっかぁ……。大人になるって大変だね」
「どうして?」
「――だって、嘘つかなきゃ生きていけないって……辛いことじゃなーい?」
「そう、かもな」
「いつか、トレーナーちゃんも嘘をつかずに生きていけるようになったらいいなあ」
「出来るかな、俺に」
「できるよ。だって、だって――トレーナーちゃんは、マヤの大事な人だから」
「保障できてないじゃん」
「えへへ。でも、トレーナーちゃんはマヤのこと信じてくれるんでしょ?」
「ああ」
「だったら、トレーナーちゃんが信じたマヤのことを信じてほしいんだ」
「山手線みたいな信頼関係だ」
「ぐるぐるーってね」
「な、マヤノ」
「なぁに、トレーナーちゃん」
「嘘ついていいか」
「いいよ」
「――俺、マヤノのこと嫌いだ」
「マヤはトレーナーちゃんのことが好きだよ」
「ありがとう。だから――さよならだ」
「うん、絶対だよ」



海鳴りが響いて、俺たちは闇に解ける。




 どれだけ過ぎたかわからないくらいに、マヤノが眠って。


 俺もなんだか、今日はここで眠りたくなって。





 そして、夜は闇に。


 闇は安穏に。


 閉じた。



おまけ。


https://imgur.com/a/8jWaDYv.png

トレーナー「勝ちたいな」

―――

下1 今日は何をする?
トレーニング/休憩/探索/その他(良識の範囲内で自由に)
※天皇賞・秋まであと1ターン(当ターン含む)

マヤノ「負けたくないなぁ」

―――

■[すくらんぶる☆ゾーン]マヤノトップガン
スピード:649(B)
スタミナ:401(C)
パワー:668(B+)
根性:972(A+)
賢さ:296(E+)
やる気:絶好調

―――
下1
トレーニングの内容
スピード/スタミナ/パワー/根性/賢さ

下2~3
トレーニングの効果量
※ゾロ目で追加イベント

マヤノ「……」

トレーナー「……」

―――

▼マヤノトップガンのスタミナが上昇した。
スタミナ:401(C)+55+26=482(C)

※イベント発生が行えないので追加ロールを行います。

―――

下1~2 トレーニングの効果量
※ゾロ目で追加ロール。

▼マヤノトップガンのスタミナが上昇した。
スタミナ:482(C)+91+94=667(B)

トレーナー「酷く静かだ」

――天皇賞・秋まで、あと0ターン。

―――

■[すくらんぶる☆ゾーン]マヤノトップガン
スピード:649(B)
スタミナ:667(B)
パワー:668(B)
根性:972(A+)
賢さ:296(E+)
やる気:絶好調

―――

[固有スキル]
・ひらめき☆ランディング Lv1
(終盤に選択肢追加:ゴールのコンマ判定に+150の補正)
・シューティングスター Lv1[汎用]
(終盤に選択肢追加:ゴールのコンマ判定に+150の補正)
・これが諦めないってことだァ! Lv2 [作戦:逃げ]
(終盤に選択肢追加:ゴールのコンマ判定に+200の補正)

[通常スキル]
・先駆け[作戦:逃げ]
(序盤に選択肢追加:ゴールのコンマ判定に+50の補正)
・先手必勝[作戦:逃げ]
(序盤に選択肢追加:ゴールのコンマ判定に+100の補正)
・末脚[汎用]
(終盤に選択肢追加:ゴールのコンマ判定に+50の補正)
・全身全霊[汎用]
(終盤に選択肢追加:ゴールのコンマ判定に+100の補正)
・コーナー加速〇[汎用]
(中盤に選択肢追加:ゴールのコンマ判定に+50の判定)
・曲線のソムリエ[汎用]
(中盤に選択肢追加:ゴールのコンマ判定に+100の補正)
・直線加速→ハヤテ一文字[汎用・固定値]
(レース終了時のコンマ判定に+100の補正)
・直線回復[汎用]
(序盤に選択肢追加:中盤のコンマ判定を1段階上のものに上げる)
・栄養補給[作戦:先行]
(中盤に選択肢追加:終盤のコンマ判定を1段階上のものに上げる)
・ささやき Lv1[距離:中距離]
(中盤:ライバルウマ娘のコンマ判定を1段階下のものに下げる)

―――
[スキルヒント:ウマ娘]
・好転一息 Lv1[汎用]
(序盤に選択肢追加:中盤のコンマ判定を2段階上のものに上げる)
・読解力 Lv1[作戦:差し]
(中盤に選択肢追加:ゴールのコンマ判定に+50の補正)
・大局観 Lv1[作戦:差し]
(中盤に選択肢追加:ゴールのコンマ判定に+100の補正)
・食いしん坊 Lv1[作戦:先行]
(中盤に選択肢追加:終盤のコンマ判定を2段階上のものに上げる)
・魅惑のささやき Lv1[距離:中距離]
(中盤:ライバルウマ娘のコンマ判定を2段階下のものに下げる)
・スカイハイ☆ランデヴーLv2 Lv3[作戦:逃げ] ※フォームチェンジ権
(序盤に選択肢追加:ゴール時のコンマ判定に+200の補正)
・コーナー回復〇 Lv1[汎用]
(中盤に選択肢追加:終盤のコンマ判定を1段階上のものに上げる)
・円弧のマエストロ Lv1[汎用]
(中盤に選択肢追加:終盤のコンマ判定を2段階上のものに上げる)
・善後策 Lv1[短距離]
(中盤に選択肢追加:ゴールのコンマ判定に+50の補正)
・プランX Lv1[短距離]
(中盤に選択肢追加:ゴールのコンマ判定に+100の補正)

[脚質適正]
逃げS/先行A/差しB/追込B
・脚質適性上昇チャンス:差し(A)

距離適性
短距離D/マイルD/中距離A/長距離A


■所持品

・目覚まし時計(今ループ限定品) 1つ
 使用すると安価を再判定させることが可能になる。やる気が上昇する。
 今ループのみ使える限定品。ループ時獲得。

・目覚まし時計 2つ
 使用すると安価を再判定させることが可能になる。やる気が上昇する。
 どのタイミングでも使用可能。探索時獲得。

・夢のきらめき 1つ
 使用するとウマ娘の潜在能力を開花させる。
 開花させたウマ娘の潜在能力はループしても引き継がれる。
 担当ウマ娘選択直後に使用可能。探索時獲得。

・やる気ドロップス 2つ
 使用するとウマ娘のやる気を2段階上昇させる。
 どのタイミングでも使用可能。探索時獲得。

・サポートカード[スペシャルウィーク]/アクティベート
 願いの結晶。強く在らんとし、夢を駆けるウマ娘の親愛の証。
 スペシャルウィークのサポートカードは、根性を上昇させる練習に固定の効果値をプラスする。
 願いがいつか力となって、貴方の力になりますように。

―――

■トレーナースキル
・[俯瞰]
 様々なデータを数値的に見ることができる。
 ラウンド数を認識することができたり、レースに出走した場合の達成着順を確認することができる。

・[戦術家]
 コンマによるランダム安価を用いる判定に対して使用することができる。
 安価を取り消し、代わりに選択肢の中から一つ任意のものを選択し、それを適用する。


■[スキルヒント:トレーナー]
・共感覚(パッシブ)Lv1(上限値)
真の意味でウマ娘と通じ合い、自身の持つ知識や経験などを余すことなく伝えることができる。
ウマ娘の所有する脚質、距離適性、スキルのヒントレベルを常に1上昇させる。

―――

■ウマ娘関連
[因子]
スピード★☆☆
スピード★☆☆
先手必勝(逃げ適正B以上)★☆☆
シューティングスター(先行適正B以上)★☆☆
これが諦めないってことだァ!(逃げ適正B以上)★★☆
逃げ★☆☆

――紅葉すら、褪せて見えるほどの緊張感。


 重力だけがここにある。

 誰しもがひれ伏しそうな、重力だけが。

 それを放つウマ娘は、たった一人だけ――サイレンススズカだ。

 俺たちが打ち勝つべき、このレース最大の敵。


「……勝てるか?」
「勝つよ、それだけだもん」
「そっか。……気負うなよ?」
「うん。大丈夫。楽しんで――だよね?」
「ああ」


 余計に言葉を吐けば、それだけでこの緊張感が解けてしまいそうで。

 だから、俺たちに言葉はこれだけでいい。


「楽しんで来い」
「楽しんでくるね」


 それが、俺たちが勝つために必要な心持なのだから。

トレーナー「先頭の景色は、君のものだと証明してやれ――マヤノトップガン!」

―――

■レース

下1 作戦決定(コンマ)
逃げ[S]/先行[A]/差し[B]/追込[B]

01~50:逃げ[S]
51~80:先行[A]
81~90:差し[B]
91~00:追込[B]

―――

▼マヤノトップガンの作戦が[先行:A]になりました。

―――

下1
・戦術家 使用回数残り1
安価を取り消し、任意の結果に書き換えることができる。
使用しますか?

※使用回数は「今回ループまでの残存使用回数」です。
※つまり、ここで使用すると今回のループではもう使用することができません。

―――

先行ならまあ何とかなるやろ、フヨウラ!

ところで秋天って10月下旬じゃなかったっけ

続きは明日で……。

>>910
10月下旬なので紅葉は散ってますね……。ご愛敬という事で何卒……。

おつ
>>881は小馬鹿→子馬鹿…子煩悩かな?

なんだかんだ賢さ以外Bまで上げられたしイケると思いたい

>>913

頭溶けてますね。子煩悩が正解です……。
あと、正直今回厳しいんじゃないかな……と思っています。よろしくお願い致します。

というわけで、参りましょう――。

▼マヤノトップガンの作戦が[先行:A]になりました。

―――

下1 レース序盤のマヤノトップガンの調子

01~20:出遅れ(ゴールのコンマ判定に-50の補正)
21~40:掛り(ゴールのコンマ判定に-25の補正)
41~60:順調な出だし(ゴールのコンマ判定の補正なし)
61~80:集中状態(ゴールのコンマ判定に+25の補正)
81~00:直線回復(中盤のコンマ判定を1段階上のものに上げる)
ゾロ目:補正効果1.5倍。マイナス補正の効果は消える。

――

下2 レース中盤のマヤノトップガンの調子

01~16:ブロック(ゴールのコンマ判定に-50の補正)
17~32:掛り(ゴールのコンマ判定に-25の補正)
33~48:順調な出だし(ゴールのコンマ判定の補正なし)
49~64:栄養補給(終盤のコンマ判定を1段階上のものに上げる)
65~80:コーナー加速〇(ゴールのコンマ判定に+50の補正)
81~00:曲線のソムリエ(ゴールのコンマ判定に+100の補正)
ゾロ目:補正効果1.5倍。マイナス補正の効果は消える。

――
下3 レース終盤のマヤノトップガンの調子

01~20:好走(ゴールのコンマ判定の補正なし)
21~40:末脚(ゴールのコンマ判定に+50の補正)
41~60:全身全霊(ゴールのコンマ判定に+100の補正)
61~80:シューティングスター Lv1(ゴールのコンマ判定に+150の補正)
81~99:ひらめき☆ランディング Lv1(ゴールのコンマ判定に+150の補正)
00  :ひらめき☆ランディング Lv3(ゴールのコンマ判定に+300の補正)
ゾロ目:補正効果1.5倍。

――

下4 ゴールイン 着順確定

――

▼作戦

●差し[A](補正:スピード、スタミナ)
補正がある能力値:1.3倍


▼着順決定
[ 下4のコンマ+序盤補正+中盤補正+終盤補正]=レース中達成値
[ウマ娘の能力値から賢さを除いた合計]=能力値参照値
【[レース中達成値]+[能力値参照値]+バ場補正/芝A(+100)+中距離適正A(+100)+やる気/絶好調(+100)+ハヤテ一文字(+100)=達成値】
達成値-(レース中全てのマイナス補正-賢さ)=最終達成値

最終達成値が4000を超した場合 1着
※(100超えるごとにバ身が1伸びる。報酬増)
最終達成値が3800を越した場合 2~3着
最終達成値が3500を越した場合  4~5着(掲示板)
最終達成値が3500を下回った場合 着外

継続ライン:3着以上 かつ サイレンススズカに勝利

―――
レースなので連取は5分間隔で可能なものとします。
よろしくお願いいたします。

続いて――。

―――

▼サイレンススズカの作戦が[逃げ:S]になりました。

[サイレントイノセンス]サイレンススズカ
スピード:1200(SS+)
スタミナ:616(B)
パワー:1181(SS+)
根性:673(B)
賢さ:443(C)

―――

下1 レース序盤のサイレンススズカの調子
下2 レース中盤のサイレンススズカの調子
下3 レース終盤のサイレンススズカの調子
下4 ゴールイン 着順確定

※ゾロ目の場合は補正があった場合は打ち消し、マイナス補正は1.5倍

―――

●逃げ[S](補正:スピード、スタミナ)
補正がある能力値:1.5倍


▼着順決定
[ 下4のコンマ+序盤補正+中盤補正+終盤補正]=レース中達成値
[ウマ娘の能力値から賢さを除いた合計]=能力値参照値
【[レース中達成値]+[能力値参照値]+バ場補正/芝A(+100)+中距離適正A(+100)+やる気/好調(+50)=達成値】
達成値-(レース中全てのマイナス補正-賢さ)=最終達成値

―――

レースなので連取は5分間隔で可能なものとします。
よろしくお願いいたします。

ダイスを振ったらSS+が二つも出来てしまいました。
なんだこれ……。周回前提の難易度なのでまだ妥当ラインではあるんですけど、これではあまりに……。

―――
■マヤノトップガン

▼レース展開
序盤(94):直線回復(±0)
中盤(49):栄養補給→コーナー回復〇(+50)
終盤(38):末脚(+50)
着順決定:09
――――――――――――
[0]+[50]+[50]+[09]=109 レース中達成値


▼作戦:先行(A) (スピード、スタミナに1.3倍の補正)
スピード:649(B)×1.3=843.7
スタミナ:667(B)×1.3=867.1
パワー:668(B)
根性:972(A+)
賢さ:296(E+)
――――――――――――
843.7+867.1+668+972=3350.8 能力値参照値


▼着順
[レース中達成値:109]+[能力値参照値:3350.8]
+[バ場補正/芝A:100]+[中距離適正A:100]
+[やる気/絶好調:100]+[ハヤテ一文字:100]
=3859
(端数切り上げの為)=3860 達成値
―――――――――――――
[達成値:3860]
[レース中全てのマイナス補正:0]
[補正後賢さ:296] 
―――――――――――――
[最終達成値:3860]

結果、マヤノトップガン――2着!


――――


■サイレンススズカ

▼レース展開
序盤(93):コンセントレーション+地固め(+150)
中盤(02):ブロック(-50)
終盤(78):先頭の景色は譲らない…!Lv3 (+300)
着順決定:09
――――――――――――
[+150]+[-50]+[300]+[09]=409 レース中達成値


▼作戦:逃げ(S) (スピード、スタミナに1.5倍の補正)
スピード:1200(SS+)×1.5=1800
スタミナ:616(B)×1.5=924
パワー:1181(SS+)
根性:673(B)
賢さ:443(C)
――――――――――――
[924]+[1800]+[1181]+[673]=5021 能力値参照値


▼着順
[レース中達成値:409]+[能力値参照値:5021]
+[バ場補正/芝A:100]+[中距離適正A:100]
+[やる気/絶好調:50]
=5680 達成値
―――――――――――――
[達成値:5680]
[レース中全てのマイナス補正:50]
[補正後賢さ:443] 
―――――――――――――
[最終達成値:5730]

結果、サイレンススズカ――1着!

▼敗北が確定しました。

▼下1~3(多数決) 目覚まし時計(今ループ限定品)を使用しますか?(当レース残使用可能回数 あと2)

▼目覚まし時計を使用した場合、ライバルウマ娘の能力値ややる気についても再抽選されます。


現状次点で使用するに二票が入り、再選が決定されました。

これより、目覚まし時計を使用します。

―――

 ひずみ、開き、解ける。

 時は川の流れのように進むもので、逆らうことは許されない。

 それでも。

 願いは力となり、想いは形となる。

 勝利へ至らんとするその意思に、やがて秒針は巻き戻る。

 さぁ目を覚ませ。君はまだ終わってはいないのだから――。

トレーナー「……これは夢か?」

―――

■レース

下1 作戦決定(コンマ)
逃げ[S]/先行[A]/差し[B]/追込[B]

01~50:逃げ[S]
51~80:先行[A]
81~90:差し[B]
91~00:追込[B]

―――

▼マヤノトップガンの作戦が[追込:B]になりました。

―――

下1
・戦術家 使用回数残り1
安価を取り消し、任意の結果に書き換えることができる。
使用しますか?

※使用回数は「今回ループまでの残存使用回数」です。
※つまり、ここで使用すると今回のループではもう使用することができません。

―――

▼トレーナースキル「戦術家」が発動しました。

下1 どの作戦で行く?
・逃げ[S]
・先行[A]
・差し[B]
・追込[B]

▼マヤノトップガンの作戦が[逃げ:S]になりました。

―――

下1 レース序盤のマヤノトップガンの調子

01~16:出遅れ(ゴールのコンマ判定に-50の補正)
17~32:掛り(ゴールのコンマ判定に-25の補正)
33~48:順調な出だし(ゴールのコンマ判定の補正なし)
49~62:直線回復(中盤のコンマ判定を1段上のものに上げる)
63~80:先駆け(ゴールのコンマ判定に+50の補正)
81~00:先手必勝(ゴールのコンマ判定に+100の補正)
ゾロ目:補正効果1.5倍。マイナス補正の効果は消える。

――

下2 レース中盤のマヤノトップガンの調子

01~20:ブロック(ゴールのコンマ判定に-50の補正)
21~40:掛り(ゴールのコンマ判定に-25の補正)
41~60:順調な出だし(ゴールのコンマ判定の補正なし)
61~80:コーナー加速〇(ゴールのコンマ判定に+50の補正)
81~00:曲線のソムリエ(ゴールのコンマ判定に+100の補正)
ゾロ目:補正効果1.5倍。マイナス補正の効果は消える。

――

下3 レース終盤のマヤノトップガンの調子

01~15:好走(ゴールのコンマ判定の補正なし)
15~30:末脚(ゴールのコンマ判定に+50の補正)
31~45:全身全霊(ゴールのコンマ判定に+100の補正)
46~60:シューティングスター Lv1(ゴールのコンマ判定に+150の補正)
61~75:ひらめき☆ランディング Lv1(ゴールのコンマ判定に+150の補正)
76~90:これが諦めないってことだァ! Lv2(ゴールのコンマ判定に+200の補正)
91~00:ひらめき☆ランディング Lv3(ゴールのコンマ判定に+300の補正)
ゾロ目:補正効果1.5倍。

――

下4 ゴールイン 着順確定

――

▼作戦

●逃げ[S](補正:スピード、スタミナ)
補正がある能力値:1.5倍
レース終盤の固有スキル判定を若干緩和する。(作戦Sランク効果)

▼着順決定
[ 下4のコンマ+序盤補正+中盤補正+終盤補正]=レース中達成値
[ウマ娘の能力値から賢さを除いた合計]=能力値参照値
【[レース中達成値]+[能力値参照値]+バ場補正/芝A(+100)+中距離適正A(+100)+やる気/絶好調(+100)+ハヤテ一文字(+100)=達成値】
達成値-(レース中全てのマイナス補正-賢さ)=最終達成値

最終達成値が4000を超した場合 1着
※(100超えるごとにバ身が1伸びる。報酬増)
最終達成値が3800を越した場合 2~3着
最終達成値が3500を越した場合  4~5着(掲示板)
最終達成値が3500を下回った場合 着外

継続ライン:3着以上 かつ サイレンススズカに勝利

―――
レースなので連取は5分間隔で可能なものとします。
よろしくお願いいたします。

続いて――。

―――

▼サイレンススズカの作戦が[逃げ:S]になりました。

[サイレントイノセンス]サイレンススズカ
スピード:1004(S)
スタミナ:580(C+)
パワー:1091(S+)
根性:631(B)
賢さ:610(B)

―――

下1 レース序盤のサイレンススズカの調子
下2 レース中盤のサイレンススズカの調子
下3 レース終盤のサイレンススズカの調子
下4 ゴールイン 着順確定

※ゾロ目の場合は補正があった場合は打ち消し、マイナス補正は1.5倍

―――

●逃げ[S](補正:スピード、スタミナ)
補正がある能力値:1.5倍


▼着順決定
[ 下4のコンマ+序盤補正+中盤補正+終盤補正]=レース中達成値
[ウマ娘の能力値から賢さを除いた合計]=能力値参照値
【[レース中達成値]+[能力値参照値]+バ場補正/芝A(+100)+中距離適正A(+100)+やる気/絶好調(+100)=達成値】
達成値-(レース中全てのマイナス補正-賢さ)=最終達成値

―――

レースなので連取は5分間隔で可能なものとします。
よろしくお願いいたします。

―――
■マヤノトップガン

▼レース展開
序盤(92):先手必勝(+100)
中盤(46):順調な出だし(±0)
終盤(41):全身全霊(+100)
着順決定:40
――――――――――――
[100]+[0]+[100]+[40]=240 レース中達成値


▼作戦:逃げ(S) (スピード、スタミナに1.5倍の補正)
スピード:649(B)×1.5=973.5
スタミナ:667(B)×1.5=1000.5
パワー:668(B)
根性:972(A+)
賢さ:296(E+)
――――――――――――
973.5+1000.5+668+972=3614 能力値参照値


▼着順
[レース中達成値:240]+[能力値参照値:3614]
+[バ場補正/芝A:100]+[中距離適正A:100]
+[やる気/絶好調:100]+[ハヤテ一文字:100]
=4254 達成値
―――――――――――――
[達成値:4254]
[レース中全てのマイナス補正:0]
[補正後賢さ:296] 
―――――――――――――
[最終達成値:4254]

結果、マヤノトップガン――1着……?


――――


■サイレンススズカ

▼レース展開
序盤(26):掛り(-25)
中盤(45):脱走術(+50)
終盤(31):逃亡者(+100)
着順決定:87
――――――――――――
[-25]+[50]+[100]+[87]=212 レース中達成値


▼作戦:逃げ(S) (スピード、スタミナに1.5倍の補正)
スピード:1004(S)×1.5=1506
スタミナ:580(C+)×1.5=870
パワー:1091(S+)
根性:631(B)
賢さ:610(B)
――――――――――――
[1506]+[870]+[1091]+[631]=4098 能力値参照値


▼着順
[レース中達成値:212]+[能力値参照値:4098]
+[バ場補正/芝A:100]+[中距離適正A:100]
+[やる気/絶好調:100]
=4610 達成値
―――――――――――――
[達成値:4610]
[レース中全てのマイナス補正:25]
[補正後賢さ:610] 
―――――――――――――
[最終達成値:4635]

結果、サイレンススズカ――1着!

▼敗北が確定しました。

▼下1~3(多数決) 目覚まし時計(今ループ限定品)を使用しますか?(当レース残使用可能回数 あと1)

▼目覚まし時計を使用した場合、ライバルウマ娘の能力値ややる気についても再抽選されます。

これより、目覚まし時計を使用します――。

―――

 ねじれ、穿ち、収束する。

 それは世界の因果を捻じ曲げる。

 何度でも、何度でも。

 不撓不屈の在り方は、今や世界を歪めるほどの力となる。

 願え、祈れ――その先に待つのが、不毛だとしても。


―――

トレーナー「……また、か」

―――

■レース

下1 作戦決定(コンマ)
逃げ[S]/先行[A]/差し[B]/追込[B]

01~50:逃げ[S]
51~80:先行[A]
81~90:差し[B]
91~00:追込[B]

―――

▼マヤノトップガンの作戦が[逃げ:S]になりました。

―――

下1 レース序盤のマヤノトップガンの調子

01~16:出遅れ(ゴールのコンマ判定に-50の補正)
17~32:掛り(ゴールのコンマ判定に-25の補正)
33~48:順調な出だし(ゴールのコンマ判定の補正なし)
49~62:直線回復(中盤のコンマ判定を1段上のものに上げる)
63~80:先駆け(ゴールのコンマ判定に+50の補正)
81~00:先手必勝(ゴールのコンマ判定に+100の補正)
ゾロ目:補正効果1.5倍。マイナス補正の効果は消える。

――

下2 レース中盤のマヤノトップガンの調子

01~20:ブロック(ゴールのコンマ判定に-50の補正)
21~40:掛り(ゴールのコンマ判定に-25の補正)
41~60:順調な出だし(ゴールのコンマ判定の補正なし)
61~80:コーナー加速〇(ゴールのコンマ判定に+50の補正)
81~00:曲線のソムリエ(ゴールのコンマ判定に+100の補正)
ゾロ目:補正効果1.5倍。マイナス補正の効果は消える。

――

下3 レース終盤のマヤノトップガンの調子

01~15:好走(ゴールのコンマ判定の補正なし)
15~30:末脚(ゴールのコンマ判定に+50の補正)
31~45:全身全霊(ゴールのコンマ判定に+100の補正)
46~60:シューティングスター Lv1(ゴールのコンマ判定に+150の補正)
61~75:ひらめき☆ランディング Lv1(ゴールのコンマ判定に+150の補正)
76~90:これが諦めないってことだァ! Lv2(ゴールのコンマ判定に+200の補正)
91~00:ひらめき☆ランディング Lv3(ゴールのコンマ判定に+300の補正)
ゾロ目:補正効果1.5倍。

――

下4 ゴールイン 着順確定

――

▼作戦

●逃げ[S](補正:スピード、スタミナ)
補正がある能力値:1.5倍
レース終盤の固有スキル判定を若干緩和する。(作戦Sランク効果)

▼着順決定
[ 下4のコンマ+序盤補正+中盤補正+終盤補正]=レース中達成値
[ウマ娘の能力値から賢さを除いた合計]=能力値参照値
【[レース中達成値]+[能力値参照値]+バ場補正/芝A(+100)+中距離適正A(+100)+やる気/絶好調(+100)+ハヤテ一文字(+100)=達成値】
達成値-(レース中全てのマイナス補正-賢さ)=最終達成値

最終達成値が4000を超した場合 1着
※(100超えるごとにバ身が1伸びる。報酬増)
最終達成値が3800を越した場合 2~3着
最終達成値が3500を越した場合  4~5着(掲示板)
最終達成値が3500を下回った場合 着外

継続ライン:3着以上 かつ サイレンススズカに勝利

―――
レースなので連取は5分間隔で可能なものとします。
よろしくお願いいたします。

続いて――。

―――

▼サイレンススズカの作戦が[逃げ:S]になりました。

[サイレントイノセンス]サイレンススズカ
スピード:1114(S+)
スタミナ:505(C+)
パワー:1000(S)
根性:515(C+)
賢さ:670(B)

―――

下1 レース序盤のサイレンススズカの調子
下2 レース中盤のサイレンススズカの調子
下3 レース終盤のサイレンススズカの調子
下4 ゴールイン 着順確定

※ゾロ目の場合は補正があった場合は打ち消し、マイナス補正は1.5倍

―――

●逃げ[S](補正:スピード、スタミナ)
補正がある能力値:1.5倍


▼着順決定
[ 下4のコンマ+序盤補正+中盤補正+終盤補正]=レース中達成値
[ウマ娘の能力値から賢さを除いた合計]=能力値参照値
【[レース中達成値]+[能力値参照値]+バ場補正/芝A(+100)+中距離適正A(+100)+やる気/絶好調(+100)=達成値】
達成値-(レース中全てのマイナス補正-賢さ)=最終達成値

―――

レースなので連取は5分間隔で可能なものとします。
よろしくお願いいたします。

―――

■マヤノトップガン

▼レース展開
序盤(28):掛り(-25)
中盤(96):曲線のソムリエ(+100)
終盤(78):これが諦めないってことだァ! Lv2(+200)
着順決定:30
――――――――――――
[-25]+[100]+[200]+[30]=305 レース中達成値


▼作戦:逃げ(S) (スピード、スタミナに1.5倍の補正)
スピード:649(B)×1.5=973.5
スタミナ:667(B)×1.5=1000.5
パワー:668(B)
根性:972(A+)
賢さ:296(E+)
――――――――――――
973.5+1000.5+668+972=3614 能力値参照値


▼着順
[レース中達成値:305]+[能力値参照値:3614]
+[バ場補正/芝A:100]+[中距離適正A:100]
+[やる気/絶好調:100]+[ハヤテ一文字:100]
=4319 達成値
―――――――――――――
[達成値:4319]
[レース中全てのマイナス補正:25]
[補正後賢さ:296] 
―――――――――――――
[最終達成値:4344]

結果、マヤノトップガン――1着……?


――――


■サイレンススズカ

▼レース展開
序盤(38):順調な出だし(±0)
中盤(24):掛り(-25)
終盤(44):逃亡者(+100→0)
着順決定:64
――――――――――――
[0]+[-25]+[0]+[64]=39 レース中達成値


▼作戦:逃げ(S) (スピード、スタミナに1.5倍の補正)
スピード:1114(S+)×1.5=1671
スタミナ:505(C+)×1.5=757.5
パワー:1000(S)
根性:515(C+)
賢さ:670(B)
――――――――――――
[1671]+[757.5]+[1000]+[515]=3943.5 能力値参照値


▼着順
[レース中達成値:39]+[能力値参照値:3943.5]
+[バ場補正/芝A:100]+[中距離適正A:100]
+[やる気/絶好調:100]
=4282.5 達成値
―――――――――――――
[達成値:4282.5]
[レース中全てのマイナス補正:25]
[補正後賢さ:610] 
―――――――――――――
[最終達成値:4307.5]

結果、サイレンススズカ――2着!



よって――目標突破!


――サイレンススズカを一目見た瞬間、マヤノトップガンは驚きと共に恐怖を感じた。


 あまりにも高い壁。今の自分では到底到達できそうにない彼女の存在に、思わず身震いした。

 例えるならば月と鼈。本来であれば目の前に立つことすら許されないほどの、隔絶した力量差が此処に在る。

 でも。でも、とマヤノトップガンは心中で一人ごちる。


「負けられないんだから……!」


 絶対に負けたくない戦いがあるとすれば――それは此処に在る。





「勝ちたい、負けたくない――そんなんじゃ絶対に勝てないんだ」


 意思は強ければ強いほどいい、誰かがマヤノトップガンに言った。

 確かにその通りだ、とマヤノトップガンは思う。強く思えば思うほど、想いを遂げるために飛べる。

 そう信じて疑わなかった。――でも違った。

 大事なのはそれよりもっと上のもの――成し遂げようとする想い、つまり意志だった。

 ……夏合宿、外で眠ったあの日。ふと目を覚ましたマヤノトップガンはトレーナーの表情を覗き込んでいた。

 その表情は酷く穏やかだった。とてもループという運命を背負っているようには思えないほどに、穏やかな寝顔。

 以前はこうもいかなかったはずだ、とマヤノトップガンは思う。だから、この寝顔は――マヤノトップガンという存在がもたらしたものなのだと、深く、強く、自覚することができた。

 だから。


「負けない」


 仮に、ここで負けることが運命であるとするのならば。

 走れ。叫べ。

 駆ける乙女のレーゾンテートルは、たったのそれだけ。

 扉を開くには、たったそれだけがあれば、十分。


「勝つ」


 ターフを踏みつけて、目を閉じる。

 視界情報が消えて、音が残って。

 音もどこか遠くに消えて。

 この世界には己だけ。

 あまりに静かで。

 寒々しくて。

 でも熱くて。



――音。


「疾ッ……!」


 ゲートが開かれるとともに、弾丸のように飛び出していく。

 褪せた世界が急速に色を取り戻していく。

 誰の背中も映さない視界はクリアに、ただただ怜悧にゴールだけを見据えていた。

 そこに強靭な意思はない。あるのはただ、結果とその為の思考だけ。

 余計な考えは此処に捨て置く。

 どれだけ重いものであろうとも、いや、重いものだからこそ――今は邪魔だ! 


「あ、あ、あぁあああああッ! このままッ! 突っ切るッ!!!」


 後ろから誰かが追随する気配がする。

 振り向きたくなる気持ちを捨て置いて、マヤノトップガンはなおも突き進む。

 なびく髪が、まるでターボめいたオレンジ色の残滓を残す。最終コーナーにおいても速度は落ちることなく、むしろ上昇していた。

 まるで誰かの影が重なったかのように見えるその速度は、異次元の逃亡者のそれを遥かにしのぐ。


「これが――」


 叫ぶ。


「これが、諦めないってことだァあああああッ!!」


 下馬評を蹴り飛ばし、栄光を掴み取ったそのウマ娘。その姿に、あるウマ娘がぽつりと言葉を零す。


「――変幻、自在」


 遠い未来、マヤノトップガンというウマ娘の代名詞となるその言葉。

 それは紛れもなく格上のウマ娘に、最上の格を有するレースで勝利したマヤノトップガンへの――惜しみない賞賛と畏怖が込められた呼び名だ。

 こうして、天皇賞・秋は前代未聞の逆転劇で幕を閉じることになる。

 あるウマ娘には希望を、あるウマ娘には絶望を、あるウマ娘には羨望を、あるウマ娘には嫉妬を抱かせながら。
 
―――

■下1~6 リザルト
※コンマの分だけ数値が上昇します。
※ゾロ目の場合は追加ロール

―――

スピード :下1 +40
スタミナ :下2 +40
パワー  :下3 +40
根性   :下4 +40
知識   :下5 +40
習得コンマ:下6 +40


■[すくらんぶる☆ゾーン]マヤノトップガン
スピード:649(B)+138=787(B+)
スタミナ:667(B)+90=757(B+)
パワー:668(B)+92=760(B+)
根性:972(A+)+87=1059(S+)
賢さ:296(E+)+56=352(D+)
やる気:絶好調

▼習得コンマ
好転一息を習得した。

そろそろ区切りがいいので、このリザルトを最後にこのスレをいったん仕舞います。
約一か月の間、ありがとうございます。次スレもよろしくお願いします。
次スレを立てたらリンクをこちらに記載するので、リンクを記載するまでは書き込みをご遠慮いただけると幸いです。

これは余談ですが、マヤノトップガン編を書いているときによく聞いていた曲を共有させていただきます。
エッセンス程度ですが、もしよろしければ聞いていただければ私も嬉しく思います。

https://www.youtube.com/watch?v=_5RW17PWB8E

―――

▼格上のライバルに勝利した
・スキルヒント[逃亡者]Lv1を獲得した。
・スキルヒント[押し切り準備]Lv1を習得した。

▼格が高いレースで勝利した。
・[ひらめき☆ランディング]のレベルが上昇した。

というわけで次スレです。よろしくお願いいたします~!

あ、いいですね!

じゃあ……

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このSSまとめへのコメント

1 :  MilitaryGirl   2022年04月21日 (木) 02:43:18   ID: S:836nMK

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