伊座並「国宝君ってホモなの?」 (29)
阿修羅「・・・はい?」
伊座並「だって国宝君から浮いた話というのを1つも聞いた事ないし」
阿修羅「いやまあ、年齢=彼女居ない歴だけど、話いきなり飛びすぎじゃね?」
伊座並「国宝君、顔はいいし背も高いからちょろい女の子の1人や2人くらいは簡単に捕まえられそうなのにそういう話すら聞かないから、もしかしたら女の子に興味ないのかなって…」
阿修羅「杏子ちゃんって結構辛辣な言葉使うよな」
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阿修羅「…まあ、容姿に関しては自分で言うのもなんだけどそこそこ自信はあるかな」
伊座並「あるんだ」
阿修羅「けど、そこそこの容姿じゃどうにもカバーできない欠点だらけの男だからな。俺って」
伊座並「そうなの?」
阿修羅「まず名前がDQNすぎる。俺はこの名前嫌いじゃないけど普通の女の子はまず国宝阿修羅なんて名前の男を彼女にしたいとは思わない」
伊座並「国宝君はいい人なのにね」
阿修羅「いい人でも名前のインパクトが強すぎて彼女になりたいなんて思う子はいねえよ。彼氏の苗字が国宝とか恥ずかしいだろ」
伊座並「そうかしら?」
阿修羅「そんで次に、俺って一度バイクで事故起こしてるだろ?そんな危ない奴を恋愛対象で見ようとする物好きなんて普通はいない」
伊座並「でも国宝君は直接誰かを轢いたとか車と接触したとかはしてないんでしょ?」
阿修羅「してない。けど事故起こしたって事実の前ではそこを考慮してくれることはまずない。結果として事故を起こした、その時点で大抵は危ない奴扱いだ」
伊座並「私や成神君は関わりがあるから事情を知ってるけど、あまり関わりのない子はそうもいかないのね」
阿修羅「名前がDQN、事故を起こしてる、それに加えて頭も良くない」
伊座並「ここってそこそこの進学校だから、その時点で頭は良くない、ということはないと思うのだけど…」
阿修羅「いやでも学校の成績は決して上位じゃねえし、そもそも俺受験も怪しいからな。浪人しそうなくらいだし…」
伊座並「浪人は別に悪いことではないわよ」
阿修羅「どうしても叶えたい夢があって、その為に入りたい学校があって必死に勉強するための浪人とかならともかく俺の場合そうじゃないのがな…ただの勉強不足で入れる学校が無くての浪人は頭のいい人間のやることじゃねえよ」
阿修羅「まだまだ他にも欠点はあるけど主にはその3点だな」
伊座並「…そう。国宝君の言い分は分かったわ」
伊座並「国宝君はソッチの気がある男子じゃなくて、ただモテないから彼女がいないってだけと言いたい訳ね?」
阿修羅「まあそういうこった…」
伊座並「……なら」
ズイッ!
阿修羅(うわ、近っ…いい匂いもする…////)
伊座並「私が国宝君の彼女になりたいって言っても問題はない訳ね?」
阿修羅「・・・はい?」
伊座並「私が国宝君の彼女になりたいって」
阿修羅「いやいや聞こえなかった訳じゃないから!同じ言葉を繰り返そうとしなくても大丈夫ですから!」
伊座並「じゃあ付き合ってくれる?」
阿修羅「……あのさ杏子ちゃん。俺の話聞いてた?俺事故物件。そんな奴の恋人になりたいとか正気か?考え直そうぜ。杏子ちゃんには俺なんかよりもっと釣り合う男が居るって」
伊座並「私は誰になんと言われても国宝君がいいの。それこそ国宝君自身が自分を卑下しても関係ないわ」
阿修羅「…いや、でも」
伊座並「もしかして成神君に遠慮してる?心配しないで。私と成神君はただのお友達よ。神に誓うわ」
阿修羅「……あー、うん。確かに陽太に関する話はこれからしようと思ったけど、陽太に悪いとかそういうのじゃないかな?うん、そういうのじゃない!」
伊座並「あらそうなの?」
阿修羅「えっと…あ、ほら!俺達って陽太を通じて知り合った友達の友達って感じの仲じゃん?」
伊座並「国宝君の中では私は成神君の友達の友達かもしれないけれど私は国宝君のこと友達だと思ってるわ」
阿修羅「そ、そりゃどうも…///」
阿修羅「いや、でも…」
伊座並「ここまで言っても首を縦に振ってくれない、話も必死で逸らされる、これはつまり…私は国宝君の好みに合っていないということかしら?」
阿修羅「あ~~~~………うん」
阿修羅「学園のマドンナに告白されてるのにこんなこと言うの贅沢すぎるけど要するにそういうこと…」
伊座並「そう。なら仕方ないわね。国宝君好みの女になって後日また改めて告白するわ」
阿修羅「え!?そこは普通諦める場面じゃねえの?」
伊座並「振られてもめげずに何度でもアタックするわ。この夏成神君が私にしてくれたように」
阿修羅「なにしてんだよアイツ…」
阿修羅「…ってか、そもそもそんなに告白されてるなら尚のこと杏子ちゃんは恋人に出来ねえって…仮に俺が杏子ちゃんのことloveでも陽太を出し抜くなんて出来ねえって」
伊座並「その辺はもう大丈夫よ。成神君、今は佐藤さんにメロメロだから」
阿修羅「この夏出会った幼女の為に初恋捨てるか陽太ェ…」
伊座並「それに個人的にあの二人が一緒にいるのを見るのが好きだから是非くっついて欲しい」
阿修羅「そうですか…」
伊座並「という訳だから国宝君、私と付き合ってください」
阿修羅「……いやでも俺国宝だぜ?」
伊座並「私は気にしないわ」
阿修羅「…一応事故起こしてる」
伊座並「誰にだってそういった可能性はあるわ。それこそ頭のいい人でも、事故を起こすか巻き込まれる可能性はあるわ」
阿修羅「・・・」
阿修羅(逃げ道全部塞がれた)
阿修羅「あー、もうわかったよ!俺の負けだ!」
伊座並「ふふっ、これからよろしくね。阿修羅君」
阿修羅(陽太に何て言えばいいんだ…)
伊座並「…せっかく恋人同士になったのにまた成神君のこと考えてる?」
阿修羅「え!?なんでわかんの…?」
伊座並「阿修羅君、やっぱり」
阿修羅「ありませんからねソッチの気なんて!」
伊座並「心配しないで。すぐにでも成神君に気を遣わないくらいゾッコンにしてあげるから♡」
阿修羅「は、ははは…」
阿修羅(もうなるようになれ…)
伊座並「国宝君ってホモなの?」
完
時系列については読者の想像にお任せします
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