酒場店主「へぇ? どんな具合に」
宿屋店主「言った通りだ。ったく、アイツらと来たら……毎晩毎晩お楽しみしやがって」
酒場店主「いいんじゃねぇの、役得じゃん」
宿屋店主「それだけじゃねーのよ」
酒場店主「ほう?」
宿屋店主「感度を3000倍にする媚薬を部屋で垂らしやがった馬鹿がいてだな」
~~【回想】~~
103号室勇者「ゲェッホゲェッホ!! おい店主さん! なんか上の階からピンクい煙降ってくるんだけど!?」
101号室女勇者「あひぃぃいっ!!//// 服が擦れる度にイッ……くぅぅううぅぅぅんん!!!」
108号室勇者「なんか、隣の老勇者さんの呻き声が聞こえるんだけど……」
宿屋店主「何が起きてるんだ!? 煙の出所はどこだコラァ!!」
202号室勇者「あ……すんません、多分それウチです」ガチャッ
宿屋店主「テメェは人の宿で何してくれてんだ! どうにかしろ!!」
202勇者「あ、いやー……実はウチのデカパイ僧侶に感度3000倍にする媚薬を使ってたらうっかり薬瓶割っちゃいましてね」
202勇者「原液なんで。多分三日はどうにもできないっすわ」
宿屋店主「表に出ろテメェ、教会に送り返してやるァッ!!」
酒場店主「で? それからどうしたんだよ」
宿屋店主「三日間、一階客室利用者と二階客室利用者がずっと喘いでる中で生活した」
酒場店主「oh……いや、そうじゃなくてよ。その202号室に泊まってる勇者はどうしたのよ」
宿屋店主「ぶっ殺して有り金半分頂いてから教会に放り込んで来た」
酒場店主「さすがワイルドぉ」
酒場店主「面白い話が聞けた礼だ、一杯奢るぜ」
宿屋店主「一番キツいのを頼む」
酒場店主「はいよ」
宿屋店主「……でだな、それだけじゃねぇんだわ」
酒場店主「まだなんかあんの?」
宿屋店主「実は異世界から召喚された勇者がイケメンなのにドMでな」
~~【回想】~~
女賢者「早く歩きなさいよこの駄犬が!!」スパアンッッ
401号室勇者「ふぁああっ//// もっと、もっとそのきめ細かな柔肌で! その白魚の様な御手で俺のケツをひっぱたいてぇ////」
女賢者「サイッテーの糞犬ね! この! 駄犬! この! 畜生! この! ポップになってないポップコーンが!!」
< スパ-ン!! スパァンッ!! スパパァァンッ!!
401勇者「おほぉおぉぉっ……!!」ビクビクッ
宿屋店主「……何してんだお前ら」
女賢者「あ、おはようございます店主さん。これからちょっとダンジョンアタックするので、潜在能力開放の為の儀式をしています」
宿屋店主「あーあー、スキルって奴だろ。異世界から来た連中だけ持ってるっていう」
女賢者「はい。私の勇者さんは可愛い女の子に苛められると興奮して強くなるスキルでして」
宿屋店主(自分で可愛い女の子って言ったなコイツ)
宿屋店主「どうでもいいが、なんで受付でやるんだよ部屋でやれよお前ら」
酒場店主「アンタが正しい」
宿屋店主「だろ?」グビッ
酒場店主「異世界から来た勇者ってのはなんか知らんが、この世界の黒幕とか悪徳の領主とかを探そうとするもんだが」
酒場店主「そんなのいないし、この世界では貴族が最強なのにな」
宿屋店主「だがあのドM勇者、中々の実力だ。多分貴族より強いぜ」
酒場店主「さっきぶっ殺してた202号室の勇者はどのくらい強かったんだ」
宿屋店主「ドMより上」
酒場店主「アンタが最強だぜきっと」
<カランカラン……
酒場店主「いらっしゃい」
宿屋店主「……」グビッ
青年「奥のテーブルに座ってるよ、エールと輸血パックくれ」
酒場店主「はいよ」
宿屋店主「……ありゃ俺の客だな」
酒場店主「お?」
宿屋店主「赤い髪の若い坊主が勇者、もう一人の剣士っぽいのはこれだ」小指立て
酒場店主「お似合いのカップルだな。若いってのは良いねぇ」
宿屋店主「だが男だ」
酒場店主「……はん?」
~~【回想】~~
宿屋店主「よう! 良い朝だなお前ら!」
303号室勇者「おはようございます店主さん」フキフキ
男の娘吸血鬼「お、おはようございます……」
宿屋店主「今日はカラッと晴れたな、こんな日は朝からの水浴びに限るぜ!」ザバァ
303勇者「そうですね!」
男娘吸血鬼「……」
宿屋店主「?」
宿屋店主(なんかぎこちねぇな、ていうかなんで勇者の坊主は銀髪の後ろに……)
< ヂュップヂュップ……パンパンッ
男娘吸血鬼「はぁ……はぁ……」
宿屋店主「…………」
宿屋店主「いや、部屋でやれよ」
宿屋店主「ってな事があったな」
酒場店主「するってぇと、あの吸血鬼の剣士は女装か」
宿屋店主「あれが先祖代々受け継がれる花嫁の正装なんだと」
酒場店主「でも男なんだろ」
宿屋店主「モノは付いてるし、声も野郎だ。見た目以外は男だぜ」
酒場店主「……業が深いねぇ」カランッ
宿屋店主「アイツらはまだマシな方だ」
宿屋店主「ウチの一階客室にストーカーに遭ってる女勇者がいてだな」
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