勇者「未来の為に、お前を殺すッ!」 女賢者「ちょっ……!」 (24)

世界一高い山・山頂


勇者「覚悟しろ!! 魔王!!」チャキッ

女賢者「ま、待ちなさいよ! な、なに、魔王!?」

勇者「そうだ、お前は魔王なんだよ!!」

勇者「だからここで死ねッ!」チャキッ

女賢者「人違いじゃないの!?」

女賢者「わ、私はただここでおとなしく魔法の研究をしてただけなのに!」

勇者「……神のお告げがあったんだ」

女賢者「へっ?」

勇者「ここに、未来の魔王が居ると。人類の為に、討つべきだと」

勇者「だから……!」チャキッ

女賢者「説明されても意味わかんないわよー!!」


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女賢者(ここは転移魔法で麓に……!)」

勇者「ふん、今魔法を使おうとしたな?」

女賢者「な、何故それを!?」

女賢者(くそ! 早く発動しなさいよ、魔法!)

勇者「無駄だ。俺がこの空間にいる限りは、お前は魔法を使えない」

勇者「魔封じ……これもお告げと共に、神から賜ったものだ」

女賢者「くっ…こんなところで終わる、なんて……!」

勇者「いざ!!」チャキッ

女賢者(な、何か……! 何でもいい!)

女賢者(このキチガイを退ける、何かが欲しい!!)

勇者「おらァ!!」ブンッ

女賢者(あぁ、剣が振り下ろされ……)






『―――力が、欲しいか』

『天に抗う覚悟があるのなら、我を求めよ』





女賢者(こんな時に走馬灯じゃなくて幻聴!?)

女賢者(ああ、幻聴でも何でもいいわ!)

女賢者「欲しい、あなたが欲しいわ!! 天にでも何でも抗ってみせるからァー!!」





『よし』

パァァァァァ!!

勇者「あぐっ…この光は!」

『今だ、今ならこの魔封じとやらも効かない』

『存分に魔法を行使せよ』

女賢者「よく分かんないけど……燃えろ!! 暴漢!!」ボォ

勇者「ぐあああああああッ!! か、神よ!」

勇者「どうかお許しをー! ……ぐふっ」

女賢者「はぁはぁ…なんとか、殺った……わね」

『見事だ。これでお前も立派な天の反逆者だな』

女賢者「さっきから響いてる声……あなたは?」

『我は』

邪神『邪神。天の神より世界を奪う者だ』

女賢者「邪神って……あの邪神!?」

女賢者「黒魔術によく出てくる……あの」

邪神『そうだ。そしてお前は先程の契約により、邪神の使いとなった』

女賢者「あの状況では仕方が無かったとはいえ、エラい方の力を借りてしまったわね……」

女賢者「ちょっと聞くけど、今から契約を破棄することは?」

邪神『できる』

女賢者「まじで!?」

邪神『だが、とうにお前は神に敵とみなされただろう。その使いを葬ったのだから』

邪神『そんな状況にあるお前が、私の加護なしでこの世界に生きることは不可能だ』

女賢者「つまり、もう取り返しのつかないことになっちゃったのかー……」

女賢者「まあ、いいかな別に」

邪神『良いのか』

女賢者「だって私も神が憎いから。殺されかけたってこともあるけど……」

女賢者「うん、だったら手を組まない訳にはいかないよね。邪神の力とか、魅力的だし」

邪神『良い返事だ。ではさっそく、使いとして仕事をしてもらおうか』

女賢者「そういえば、使いなのに私の言葉遣い……」

邪神『そんなものはどうでも良い』

女賢者「おけ」

邪神『して仕事だが、ここから南東にある国の、大聖堂……』

邪神『それを破壊してくるのだ。そうすれば、奴の力もいくらか弱まる』

女賢者「それって、直接あなたが手を下せばいいのでは?」

邪神『できない。神の力が強い現世には現界できないのだ』

邪神『だから私は使いであるお前に頼むほかない』

女賢者「りょーかい! サクッとぶっ潰してくるから!」

南東の国・大聖堂


神父「むっ…悪しき力の気配が……」

神父「くるっ!」

ドガァ!

女賢者「初めて破壊に魔法を使ったなぁ。罪悪感がちょっと……」

邪神『ふん、憎き神を崇拝する愚者の建物だ。罪悪感など……』

女賢者「それもそうか」

神父「き、貴様! 神聖な大聖堂の壁に穴を空け、土足で入り込むとは!」

女賢者「うるさい! 死にたくなければ立ち去りなさい!」

神父「ふん、誰が退くものか! シスターズ!」

シスターABCDEF「ここに!」ザッ

女賢者「まるで私達を待ち受けていたかのようね……」

神父「その通り。大いなる神よりお告げがあったのだ!」

神父「神に仇なす、悪魔がくると!!」

女賢者「はぁ、またお告げですか……はいはい」

神父「ククク、我らをただの聖職者と侮るなかれ!」

神父「神より賜ったこの、聖魔法の力! これでお前を浄化してくれるわぁ!」

女賢者「聖魔法……? 聞いたことないけど」

邪神『我ら地の底の者を退治するのに重きを置いた魔法だ。ちなみに、私の使いとなったお前にも効果は絶大だぞ』

女賢者「まじで!?」ビクッ

邪神『ふん、まあそう焦るな。なあに、やられる前にやってしまえばいい』

邪神『お前のもとから強大な魔力と、私が授けた魔力……それらが合わされば一瞬でここらは焦土と化す』

女賢者「そっか。よし、やってみよう」

神父「さあ一斉に放つぞシスターズ! 聖魔法ホーリーを!」ゴゴゴ

シスターズ「「Yes,boss!!」」ゴゴゴ

女賢者「詠唱遅くない? 待てないからもういい?」


女賢者「それっ」


ゴォォォォォォオ!!!

大量の灰「」


女賢者「あの神父どころか、この城下町一帯が灰に……」

邪神『罪の意識など持つな。この先辛いだけだぞ』

女賢者「うん、だって私は神を……」

邪神『そうだ。立ち止まってはいられない。次は北だ、北にも神の力の源がある 」

邪神『信仰という、な』

女賢者「片っ端から教会のある所を潰す旅か、いよいよ悪魔じみてるなあ私」

女賢者(私を殺しにきた男、あいつの言っていたことが現実になるとは……)

数ヵ月後・辺境の村


少年「……」トテトテ


農夫「何でも世界一の大国も、三日と経たず落ちたらしいだよ」

猟師「なんでも魔王は教会のある国ばかり狙ってるという話だ。この村にも教会があるから……」

農夫「ば、馬鹿なこと言うでねぇ!」

猟師「そうだよな、こんな辺境に魔王なんか……」

農夫「んだんだ!」


少年(最近、村の人達は魔王の話ばかり。雰囲気も暗くて、嫌になっちゃうなぁ)

少年(今日も魔法使いさんの家に行って、たくさん楽しいお話聞こうーっと)

やっぱ書き溜めてくるわ

念の為トリップ
深夜にでも投下予定

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