モバマスより小日向美穂(たぬき)の事務所のSSです。
独自解釈、ファンタジー要素、一部アイドルの人外設定などありますためご注意ください。
前作です↓
【たぬき】高垣楓「さけがのめるのめるぞーさけがのめるぞー」
【たぬき】高垣楓「さけがのめるのめるぞーさけがのめるぞー」 - SSまとめ速報
(https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1544539689/)
最初のです↓
小日向美穂「こひなたぬき」
小日向美穂「こひなたぬき」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1508431385/)
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1544969606
―― 12月某日 事務所
P「フムン」
美穂「プロデューサーさーん」
P「ん~~~~…………」
美穂「プロデューサーさん? あのー、ぷろでゅーさーさーーんっ」パタパタ
P「んむむむむむ…………ん?」
美穂「あっやっと気付いた。どうしたんですか、考えこんじゃって?」
P「うん、ちょっとな。ケーキのことを考えてた」
美穂「ケーキ?」
P「うちの子達の誕生日は毎回事務所で祝ってるけど、みんな色々やってくれてる割に俺だけ何もしてない気がしてさ」
P「なのでここはひとつ、おっさんなりにケーキの一つでも作り方を覚えてこう、当日にお出しするのはどうだろうと考えていたんだ」
P「美穂の誕生日も近いしな。そのへん美穂はどう思う?」
美穂「ぇ、あ、いいと思います」
P「そうか、そう言ってくれるか! いやー良かった良かった。……………………」
美穂「………………」
P(相談する相手間違えた…………………………!!!!!)
美穂(私聞いて良かったのかな…………………………!!!??)
P「あ!! いや!? うん!! 一般論としてな! なんていうかホラ、日本男児たるものケーキ作りは嗜んでおこう的な、な!?」
美穂「はっはい、あっえとそうですよねっ、ケーキ作りは基礎教養ですもんねっ! わ、私もちょうど勉強しようと思ってたところでっ!」
P「ははは奇遇だなあ! だよなぁみんなそうだよな! どうせなら一緒に勉強するか!?」
美穂「あっあっいいですねっはい! 一緒においしいケーキ作りましょうっ!」
◆◆◆◆
周子「ほーん。それで美穂ちゃんのバースデーケーキを作る為に、成り行きで美穂ちゃんとお勉強」
P「…………うん」
周子「ごめんちょっと言わせて。あほか?」
P「うっうるせーし! そんなん自分でもわかってっし!」
周子「んまあ心がけは大したもんやと思うけど。でも流れとはいえ前日デートになるわけだ。やるやんこのこの」グリグリ
P「そういうんじゃねーしちげーし」
周子「そういや美穂ちゃんっていくつになるんだっけ?」
P「ん? 17だろ」
周子「……こないだまでの美穂ちゃんっていくつだった?」
P「17だな」
周子「はい先生、こないだ誕生日を迎えた18歳のあたしですがひとつ質問が」
P「それ以上いけない」
◆◆◆◆
―― どこかの「夜市」
P「えーと確かこの辺りに……」
美穂「あ、あった! あれですあれです!」
P「夜市のどこかにある、メルヘンなテント。うん、間違いないな」
美穂「藍子ちゃんが『お菓子作りのお勉強なら、やっぱりここが一番ですよ!』って教えてくれた夜市のお菓子屋さん……」
美穂(私は一回、バレンタインの時に来たことがあるけど……)
P「藍子の地図が無ければ迷ってたな。お、あれは――」
りす「りすくぼは今日もお菓子の配達……飛ぶのはちょっと楽しいんですけど……」フヨフヨ~
美穂(空飛ぶホウキに乗ってきた……!)
P「おーい、りすさん!」
りす「ふぇぇ!? あ、い、いらっしゃいませぇ……」ペコリ
美穂「久しぶりっ。あのね、実は今日も相談があって来たんだけど――」
〇
美穂「改めて、バレンタイン以来だね」
(小日向美穂「丸出し尻尾と不思議なお菓子の夜」小日向美穂「丸出し尻尾と不思議なお菓子の夜」 - SSまとめ速報
(https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1517926569/) より)
りす「はぃ……話は、だいたい伺いました……。たぬきさんの誕生日ケーキを作るために、たぬきさんがケーキ作りの勉強を……」
りす「……な、なにやら矛盾があるような、ないような……」
美穂「そこはまあなんというか、成り行きで……」
りす「なりゆきとは一体ぃ……。……あ、クロさん、このあいだはお世話になりまして……」ペコリ
P「いえいえそんな当然のことをしたまでだよ」ペコリ
美穂「え? クロさん?」
P「ああ、夜市での俺のあだ名。着てるスーツが黒いからってだけなんだけど」
美穂「なるほどぉ、わかりやすいですね!」
美穂「…………って夜市に来たことあるんですか!?」ポコーッ
P「あれ言ってなかったっけ。何回かあるぞ俺も。りすさんとはこの間来た時に会ったんだ」
りす「迷子になっていたのを、助けてもらいました……」
(【たぬき】依田芳乃「そなたと、長い夢」【たぬき】依田芳乃「そなたと、長い夢」 - SSまとめ速報
(https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1530543640/) より)
美穂「ど、どうりで歩き慣れてるな~と思ったら、そうだったんですね……!」
????「りすちゃん! おかえり~っ」パタパタ
りす「あ、マカロンさん……。ただいま戻りました……」
マカロン「大丈夫だった? 道、ちゃんとわかったかなぁ……あっ! お客様!」
うし「いらっしゃいませ~。今日は何かお探しですか~?」ヒョコッ
ドーナツ「オススメはドーナツだよっ! あのね、クリスマスアレンジが今日から出るの!」ピョコッ
美穂「みんなこんばんわっ。実は、何回も申し訳ないんだけど……」カクカク シカジカ
マカロン「なるほど。うん、お菓子作りだったら私達に任せてっ!」
ドーナツ「あたし達がお手伝いできることあるー?」
美穂「ううん、大丈夫! 二人でいろいろ試してみたいの。ね、プロ……じゃなくて、クロさんっ」
P「え? ああ、そうだな。うん……う~ん……?」ジー
美穂「クロさん?」
うし「? 私に何かご用ですか~?」ドタプーン
P(この長身と、ボーイッシュで快活な印象の童顔……そして何より迫力満点の爆乳……)
P(な~んかどっかで見た気がするんだよなぁ~……)
P「…………あ! もしかして他部署の、セクギルの及」
うし「え~いっ♪」ボヌーンッッ
P「105センチKカッププレスーッ!?」グエーッ
美穂「クロさーんっ!?」
りす「ひぇぇぇぇ……! 顔が完全に埋まってるんですけどぉ……!!」
うし「表での名前は夜市ではナイショなんですよ~?」ボヌヌンボヌヌン
P「もごもごかごがもごもががもごごもがぐご(はいすいませんわかりました柔らかい)」
マカロン「わわわ、その辺にしてあげてぇ~!」ワタワタ
美穂「な、なんでちょっと幸せそうなんですかもーっ!」プリプリ
〇
マカロン「おほんっ。えーとそれでは、お菓子作りの練習に来たってことでいいんだよね?」
美穂「う、うん。あれ? そういえば、アップルパイさんは?」
ドーナツ「厨房! 今すっごく集中してるから、出て来られないんだー」
P「それは邪魔できないな。あれ? じゃあ厨房はお借りできないんじゃ……」
マカロン「ううん、大丈夫です。副店長として『アレ』の使用を許可しちゃいますね!」
美穂「ア?」
P「レ?」
マカロン「ごそごそ……はいっ、これ!」
【横幅30センチくらいの立方体のクッキー缶】ジャジャーン
美穂「箱? 何か入ってるの?」
りす「これは、マカロンさんのお菓子箱といいます……」
P「お菓子が入ってるのか」
ドーナツ「んーん、違うよ。そうだけど違うの!」
美穂・P「???」
マカロン「最初はちょっとびっくりするかもだけど、大丈夫だから。クロさんもいいですか?」
P「あ、ああ……どうすればいいんだ?」
マカロン「今からお菓子箱を開けますねっ。そーっとそーっと……」ソロソロ…
パカッ
――――ギュオオオオッ!
美穂「え!? な、な、なにっ!?」
P「箱の中に吸い込まれ……っ!?」
スポンッ!
うし「二人とも入っちゃいましたね~」
ドーナツ「お部屋の中って片付いてたっけ?」
マカロン「りすちゃんの修行の時以来だからえーと……しばらく使ってないかも。どうだったかなぁ」
りす「ええと、それじゃあわたしは、アシスタントに入りくぼ……」スポッ
マカロン「うん! 店長には伝えておくから、よろしくねっ♪」
◆◆◆◆
―― ???
ドサッ
美穂「ぽこっ! あいたた……ここは? さっきまでお店の中にいた筈じゃ……」
P「ミホ……ドイテ……イキデキナイ……オシリ……」
美穂「わああっごめんなさーい!?」ピョ-イ
P「けほっ、けほん。……ん? ここもお菓子工房なのか?」
美穂「ほんとですね。結構広いし、立派な厨房があるし……それにあちこちにお菓子や材料がたくさん!」
P「甘い匂いで満ちてるな。もう一つの店舗とか? けどいつの間に……」
りす「……ここは、マカロンさんのお菓子箱の中です……」スタッ
美穂「わあっ! りすちゃん?」
りす「副店長のマカロンさんが管理してる空間で……お察しの通り、第二の厨房に使ったりとか、お菓子や材料の保管庫にしたり……」
りす「この中の方が、夜市のお店よりも……えと、魔女の本質に近い……と、言ってたような……」
P「えっそんな空間に凡人が入っちゃって大丈夫なの」
美穂「凡狸も入っていいのかな……!?」
りす「あ、ちゃんと管理は行き届いてるみたいなので……」
りす「えっとあの、それで、たぶん何がなんだかわからないと思うので、わたしがアシスタントにつきます……はいぃ」
P「お、手伝ってくれるのか! それは助かるな」
りす「いえ、作り方とか、厨房の作り方をアドバイスするくらいで、それほど大したことはできないかと……」
美穂「それでも嬉しいよっ。ありがとう、よろしくね!」
りす「はぅあぅあぅ……そ、そんなに期待されてしまうと、りすくぼ、浮かれくぼになりかねません……」
〇
~しばらくして~
りす「ここは、こうして……そうです、そんなかんじ……」テキパキ
P「しかしいざ作るとなると『マジで!?』ってくらい砂糖入れるんだな、これ……」サッサッ
美穂「た、体力も使いますね……! 泡立てとか肉体労働です……!」ワチャワチャ
りす「なんといいますか、職人の世界なので……。こうして泡だて器を使うとか、文明の利器が必要になります……」チャチャチャチャチャチャチャチャ
美穂「あるんだ!? は、早く言ってよう!」
りす「……あの」
P「ん?」
りす「いえ……なんでもないです」
美穂「なに? 何かおかしなこととかあったかな?」
りす「そういう感じではなく、その、気になって…………やっぱりなんでもないです…………」
P「いやいや、気にしないで言ってくれよ。逆に落ち着かないしさ」
りす「はぁ、はい、ではその…………お二人は、どういうご関係なのでしょうか、的な……」
美穂「どっ!? どどどどうって、それは……っ」
りす「一緒にバースデーケーキを作る……そういえばこの前、たぬきさんはクロさんにクッキーを作りに……はっ」
りす「も、も、もしかして、らぶらぶなのでは……!?」カオマッカ
美穂「らぶっ!?」
P「いやそういう関係じゃねえよ!? 俺プロデューサー! 美穂は担当アイドル!」
りす「ですけど、ちゅ、ちゅ、ちゅーとかも、さてはぁ…………!?」サササッ
美穂「したことないよぉ~っ!」ワタワタ
P「おーいりすさーん、出てこーい」
りす「はうあうあ……青春のまぶしい光が、森のりすを焼きます……焼きりすです……」
美穂「で、出ておいでー……?」
りす「……し、失礼しました。いわゆるリア充みたいな波動を感じてしまい、緊急退避モードに……」ノソノソ
P「リア充だなんてそんな。俺が仮にそうだったらとっくに輝子に焼かれてるよ」
りす「わ、わかりました。プロデューサーと、アイドルなんですよね……」
P「お、もしかして興味ある感じ?」
りす「きょきょきょ、興味だなんてそんな……人前で歌って踊るだなんて、森のかよわいりすにはむぅーりぃー……」
〇
~更にしばらくして~
P「よし、結構いいとこまで進んだだろ……!」
美穂「ふぅ、ふぅ……やっぱり難しいですね……!」
P「正直甘く見てたわ。……ごめんな美穂。成り行きとはいえ、俺の勉強に付き合わせちまって」
美穂「そんな! 私もすっごく楽しいです! それにあの……」
P「それに?」
美穂「な、なんでもないです。えへへ……」
美穂(久しぶりに二人っきりでお出かけできて、嬉しかった、とか……)
りす「ふぬぬ……やっぱり、どこからともなくリア充の波動がぁ……?」オロオロ
??????「三人とも~っ」
P「ん、なんだ? 天井から声が?」
美穂「この声、聞き覚えがあるような?」
りす「あ、蓋が開きました……」
ぴょんっ
??????「お邪魔しま~すっ」バルンバルン
美穂「半裸ーっ!?」
P「脱ぎかけの巨乳美女がいきなり現れたーっ!?」
アップルパイ「作業してたら暑くなっちゃってぇ……。たぬきさん、また来てくれたんですね~!」ニコニコ
りす「あわわわ……店長がまたヌーディストにぃ……!」
〇
アップルパイ「――うん、おいしい! 基礎はわかったみたいですねぇっ」
P「よっしゃ!」パシーン
美穂「やりましたねっ」ハイタッチ
アップルパイ「えっとぉ、たぬきさんのバースデーケーキなんですか?」
P「そうなんだよ。俺もこれくらいは覚えなくちゃって思ってさ」
アップルパイ「そっかそっかぁ。クロさんは、たぬきさんのことがとっても大切なんですねぇ♪」
美穂「たいせっ」
P「もちろん。俺の大事な担当アイドルだからな!」ババーン
美穂「あぅ……あ、ありがとうございます……」
アップルパイ「……ん~?」
アップルパイ「たぬきさんはぁ、クロさんのことどう思ってるのかなぁ~?」
美穂「あぇ、あ、わ、私っ!? 私はあのそのえと、だ、だ、だ、だいじ、だい、だいす、す、す」
美穂「す、す、すっごく頼れる、素敵なプロデューサーさんだなぁってっ!」
P「ふっ……よせやい照れるぜ」テレテレ
アップルパイ「…………ん~っ」
アップルパイ「あっ、そうだ♪」ティン
りす(あ、あのぅ店長、なにかよからぬことを考えているのでは……)
アップルパイ(え~? そんなことないよ~♪)
アップルパイ「このケーキ、すっごく良くできてるけど~……もう一工夫欲しくありませんかぁ?」
P「一工夫?」
アップルパイ「はいっ♪ 実はね? 最後の仕上げに、ちょっぴり不思議なフレーバーがあるんですっ」
美穂「フレーバー……それってどんな?」
アップルパイ「えっとぉ、どこだったかなぁ。確かこの辺に~……」ピロリロリンッ
美穂「わっ、並んだお菓子や材料が浮いて……!」
アップルパイ「っと、あったあった♪ このトッピングシュガーと、それを使ったマフィンです!」ジャジャーン
P「おお、おいしそうだ」
アップルパイ「でしょう? 一口どうですか?」アーン
美穂(あっ、あーん……!)
P「それじゃ遠慮なく、いただきまーす」アムッ
P「う、うまい! 焼き菓子特有の香ばしさにフワフワの食感、甘味もまろやかで……」
ポワポワポワ
P「それに……これはなんだろう? 独特の爽やかな香りがあって……柑橘系? いや違うな、これが例のフレーバーの……」
ポワポワポワポワ
アップルパイ「……♡」
P(ん?)
P(な、なんだ? 目の前のアップルパイさんが、何故かすごく、魅力的に見えて……?)
美穂「く、クロ……プロデューサーさん……?」
アップルパイ「えへへ♡ 効いてきちゃいましたか?」
P「あ、ああ……いや、なんだろうこれは? アップルパイさんから目が離せない……む、胸がドキドキする……?」
美穂「え、えっ!?」
P/♥♥♡♡♡ ポワポワ
アップルパイ「このタルトを食べるとぉ……なんと、食べさせた相手への親愛度がぐんぐん上がっていっちゃうんですっ」
美穂「しんあいど!?」
P「そのシステムどこかで聞いたような気がする!!」
アップルパイ「ちなみに同じ仕様の飴やクッキーもありますよっ。この魔法のフレーバーにはそういう効果があるんです♪」
アップルパイ「というわけでぇ……はい、もう一口どうぞっ」
美穂「ちょっと待……!」
P「こ、断れない……! いただきます」パクッ
P/♥♥♥♡♡ ポワポワポワ
P「う、う……っ!?」
アップルパイ「……どうです? 体、熱くなってきちゃいました?」
P(や、ヤバい……マジでドキドキしてきたぞ……)
りす「は、はわわわわわ……」
アップルパイ「ねぇ、クロさん? 実はうち、そろそろ人手を増やしたいなぁって思っててぇ……」ツイッ
P「うお、近……っ」
アップルパイ「色々考えたんだけど、力仕事なんかもあるし、やっぱり男の人が一人は欲しいなぁって」プニッ
P「腕に柔らかい感触!」
アップルパイ「だから……はいもう一口♪」
P「抵抗できなはむむっ」モグー
P/♥♥♥♥♡ ポワポワポワポワ
アップルパイ「ね? だから、六人目になりませんか? なーんて……♡」ミミモト
P「あばばばばば」
P(頭がボーッとして……ま、まったく目が離せない……)
アップルパイ「ほら、お口を開けて♡ 最後の一口いっちゃいましょうね~……♡」
りす「」 ←両手で目を覆っている(でも隙間から見てる)
P「あ、あ、あ」
アップルパイ「はぁい、あ~~~~~……♡」
美穂「だめーーーーーーーーーーっ!!!!」
りす「うひぇえ!?」ビクーン
アップルパイ(♪)
P「み、み……ほ……」ポーッ
美穂「今、正気に戻してあげます……っ!」タッ
ポンッ!
美穂(たぬき)「ぽこぽんぽーーーーーーーーーーーんっ!!!!」
(訳:唇奪還! ひんやりお鼻キッス…………♡)
ち ゅ っ っ ・ ・ ・ ♡
※ひんやりお鼻キッスとは……
相手の唇をたぬきの鼻で「ちゅっ♡」とし、そのひんやり湿った気持ちよさで一瞬にして心を奪う値千金のたぬキッスです!
これぞ一日一善・世界平和を信条とする小日向流タヌキカラテの秘密奥義……!
使える相手はごく限られていますが、その分威力は絶大な切り札です!
それにしてもお鼻とはいえキッスとは……たぬきさんの思い切りに、不肖中野有香、敬服いたしましたっ!
(ゲスト解説員:Y・Nさん)
P「ああっ……しっとり……っ!!」ドサッ
ポンッ!
美穂「プロデューサーさんっ!」ダキッ
アップルパイ「わぁ、大丈夫ですか?」
美穂「……!」ヒシッ
アップルパイ「たぬきさん?」
美穂「だめ、駄目です……! この人はぜったい駄目っ!」ギュゥゥゥ
アップルパイ「どうして?」
美穂「わ……私の方が、魔法のお菓子よりずっと、この人のことが好きだもん!!」
アップルパイ「……ふふっ♪」
P「う、む……あれ? 美穂?」
美穂「プロデューサーさんっ! 気が付きましたか!? 意識ははっきりしてますか!?」
P「あ、ああ、なんとかな。なんか口にひんやりしっとり気持ちいい感触が残ってるけど」
美穂「ききき気のせいですっ! よ、良かったです、無事ならそれで……」
アップルパイ「ごめんなさい。このトッピングシュガーは必要ないみたいですね~」
美穂「むむ~……!」グルル
アップルパイ「たぬきさんの想いは、よ~くわかりましたっ。あとはー……」
アップルパイ「――うん、ケーキの味は合格っ♪ これなら、本番もきっと素敵なバースデーケーキが出来ますよ!」
P「う、む……なんか微妙に記憶があいまいなんだけど……」
アップルパイ「ちょっと根を詰めすぎちゃったみたいですね~。帰ったらゆっくり休んでください」
アップルパイ「それと、おすすめのレシピのメモと~……材料を揃えるのにおすすめのお店も書いて渡しておきますね?」
美穂「あ、えと、ありがとうございます……」
アップルパイ「いえいえ~。お菓子作りは素敵なことですから♪ 二人だったらなおさらですっ」
アップルパイ「――いつか、本当のキスをしてあげてくださいね?」ボソッ
美穂「はぇっっ」
りす「はわわわ……ラブの波動を感じますぅ……」
◆◆◆◆
~しばらくして~
ドーナツ「二人とも帰っちゃったねー」
うし「どうでしたか~? ちゃんとケーキは作れました~?」
りす「は、はぃ。あれなら、おいしいのができると思います……」
マカロン「もう、店長っ! お客様をからかっちゃ駄目だよ!」プリプリ
アップルパイ「えへへ、ごめんなさぁい」
りす「て、店長は意外とアグレッシブ……小動物には、気が気じゃありません……」
アップルパイ「あ、そうだそうだりすちゃん、あの二人を見てて思ったんだけど~……」
アップルパイ「もうちょっとだけ、別の場所で修行してみる気、無いかなぁ?」
りす「えっ」
◆◆◆◆
―― 帰り道
P「できるかなぁ、誕生ケーキ」
美穂「きっとできますよ。私も手伝いますし!」フンス
P「いやいやそれは、美穂の誕生日なんだから本番まで手伝わせるわけには……」
美穂「いや、でも私の為にやってくれるわけですし! 黙って見てるわけにはっ」
P「いやいやいや」
美穂「いやいやいやいや!」
P「いやいやいや、…………」
美穂「…………ふふっ」
美穂「あの。私、プロデューサーさんと一緒にケーキ作りたいです。いいですか?」
P「けど、美穂の為のケーキだからなぁ」
美穂「それじゃあこうしましょうっ。プロデューサーさんが私の為、私がプロデューサーさんやみんなの為のつもりで作って、それを合わせるんです!」
美穂「そしたら、一つの大きなケーキになりますよねっ?」
P「……なるほど。その通りかもしれん」
美穂「でしょう? えへへ、誕生日すっごく楽しみです……!」
P「お互い頑張ろうな。……よし、じゃ帰るか!」
美穂「はいっ」
◆◆◆◆
―― 12月16日 朝
ジリリリリリ ジリリリリリリ
美穂「ぽこっ!」ガバッ
―― 女子寮 リビング
美穂「みんなおはよう!」
紗枝「あらぁ、おはようさんどす~。今朝は早起きどすなぁ」
みく「おはようにゃ! 美穂チャン、誕生日おめでとっ!」
蘭子「祝福を!」バッ
芳乃「今日の良き日に、感謝をー」
周子「むにゃむにゃ……おめでとさーん……」
響子「今日のお夕飯、腕によりをかけて作りますからねっ!」
美穂「ありがとうっ。私、ちょっと出かけてくるね!」
菜帆「どこかにご用事ですか~?」
美穂「うん。プロデューサーさんと、今日作るケーキの材料を買いに行くんだっ」ガチャッ
小梅「今日作るケーキ……」
由愛「誕生日の……?」
輝子「自分で……?」
まゆ「……」
周子「どしたーんまゆちゃん。気にならないのー?」
まゆ「まゆにも分別はあります。今日は特別な日だから、美穂ちゃんに譲ってあげるんです」
美玲「シンシキョウテイってやつだなッ」
まゆ「今日のまゆは主役じゃありません。代わりに、とびっきりのおいしい料理を作ってあげますよぉ」フンス
〇
―― 街中
P「さて、アップルパイさんおすすめのメモは……と。そうだ美穂」
美穂「はい?」
P「せっかくだから、美穂が好きなものを使おうか。美穂の為のケーキなんだしさ」
美穂「好きなもの……そうですねぇ。えっと、馬刺しとからし蓮根、阿蘇の高菜と一文字ぐるぐる……」
P「うんそれケーキに絶対合わないラインナップね」
美穂「えへへ……。冗談は置いといて、えっと最近はチョコレートと――」メモメモ
美穂「あの。プロデューサーさんの好きなものも一緒に乗せられませんか?」
P「ん? でもいいのか、俺の誕生日でもないのに」
美穂「いいんですっ。二人で作るケーキですから。なんていうか、つまり二人の……」
美穂「二人の、はじ、初めての……共めての、初同作業ですからっ!!」
P「そういう噛み方ある!?」
美穂「はぁあぁっ、や、やっちゃったぁ……!」アワワ
P「……ぷふっ」
P「わかった、じゃあ俺の好きなものも乗せてもらおうかな。美穂のケーキにお邪魔するよ」
美穂「あ……はいっ! えっと、じゃあ何が好きですかっ?」
P「ネギトロ」
美穂「それ絶対ケーキに合いませんよね!?」
キャイキャイ ワイワイ…
美穂(毎年特別な、私の誕生日……。不思議なことばかりだけど、今年もまた。新しい特別が加わったのでした)
美穂(次の一年も、素敵なことが起こるといいなぁ)
~オワリ~
〇オマケ
―― 夜市 お茶会
アップルパイ「――っていうことがあったんですよぉ。もう可愛くって♪」
古本屋「そうですか……そのようなことが……」
花屋「クロさんも元気そうだねっ。安心しちゃった♪」
古本屋「なるほど……たぬきさん達が集まる、彼の事務所……」ブツブツ
アップルパイ「古本屋さん~?」
??「――ふみ……あ、店長代理、ただいま戻りました」
花屋「あ、助手ちゃんっ」
アップルパイ「こんばんはぁ~」
??「どうも。……店長代理、頼まれていたものを買ってきました」
古本屋「ありがとう……ございます。ちょうど、手帳を使い切ってしまっていたので……」
古本屋「……助手さん。この後……いいですか……?」
助手「えっ? 構いませんが……何かあるんですか?」
古本屋「……少し、外に出ようと思いまして…………」
花屋「古本屋さんがお出かけするのって、久しぶりじゃない?」
アップルパイ「どこに行くんですか~?」
古本屋「ええ……アップルパイさんのお話を伺って、やはり、どうしても気になってしまい……」
文香「直接、この目で確かめたくなってしまいました……。助手……いえ、ありすちゃん……手伝ってくれますか?」
ありす「あ……はいっ。任せてください!」フンス
~つづく?~
以上となります間に合った
お付き合いありがとうございました
小日向美穂さんお誕生日おめでとうございます
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