りあむ「ぼくに挨拶なんてむりだよぅ……」 (29)


【レッスンスタジオ】

トレーナー「よし!今日はここまで!」

P「ありがとうございました。ほら、りあむ挨拶」

「」

P「……りあむ?」

りあむ「…………ァ ア?」コヒュー

P「し、死んでる……」



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【休憩室】

りあむ「めっちゃやむ……っていうか詰んでる……現在進行形で……全身が……」ズキズキ

P「今日は最後までやれたじゃないか。その調子だぞ」

りあむ「Pサマの優しさが沁みる……けど現実は厳しい……うう……」

P「この調子なら次のステップが見えてくるぞ。とりあえず今のところあと5回くらいかな」

りあむ「5回!?」

P「ああ」

りあむ「…………減らせたりしない?」

P「りあむ次第だ」

りあむ「さよならPサマ……ぼくのこと、忘れないで……」

P「こらこら」


りあむ「うわーん!毎日毎日レッスンばっか!!」

りあむ「もっとお手軽にチヤホヤされるようなことってないの?オタクども相手にさぁー!!」

P「とはいってもなあ。まだデビュー前なんだし」

りあむ「ちぇー。アイドルならあんなことやこんなことできると思ってたのに」

P「例えば?」

りあむ「目立つだろ?ぼくをすこるだろ?チヤホヤされるだろ?そんで売れるだろ?」

りあむ「そうなったらりあむちゃん大人気で大勝利!完璧な作戦だな。な?」

P「見事なまでの承認欲求の塊だよな、お前……」

りあむ「それ言うかー!?本人の前で!傷つくなあ!めっちゃやむ!」


りあむ「それにしてもさー。仮にも芸能事務所なんでしょ?ここ」

りあむ「なのにアイドル全然いないじゃん!」

P「平日の真昼間なんだから仕事で出てるか学校行ってるかだろ」

りあむ「あーあ。ここならアイドルのみんなとお近づきになれるかと思ったのになあ」

りあむ「アイドル権限で現地参戦できたりして……うへへ……」

P「私情まみれじゃねえか……」

P「けど……そうだな。現地参戦か」

りあむ「えっ。もしかしていけそう?」

P「んー……」パラパラ

りあむ「ねっ、ねっ?頼むよー。神様仏様P神様ぁ」

りあむ「こう見えてぼく毎日頑張ってるでしょ?ご褒美にちょっとくらい、ね?」

P「」ポチポチ

りあむ「」ドキドキ

P「―――……。よしっ、行くか!」

りあむ「えっマジ?」

P「レッスンの繰り返しじゃりあむも『アイドル』を想像し辛いだろうしな」

P「スタッフの手伝いって条件付きだけど、時間作ってくれるとさ」

りあむ「やった!Pサマ愛してるぅー!」



りあむ「で、誰に会いに行くの?」

【ブーブーエスTV前】

りあむ「」ポカーン

P「完璧おのぼりさんじゃねえか」

りあむ「でかい……。たかい……。ひろい……。これが、テレビ局……!!」

P「来たことないのか?」

りあむ「テレビ局は、その。……空気が違い過ぎて」

P「それじゃいくぞ」

りあむ「えっ。あっ、まって」パタパタ


【出演者控室前】

りあむ「ね、ねえ……Pサマ、やっぱりやめようよう」

P「何だよ急に」

りあむ「だ、だって……無理だよう。ぼくに挨拶なんて」

りあむ「やむちゃんだし、ザコメンタルだし、こんなカッコだし」

P「いつも通りのりあむじゃないか」

りあむ「いつも通り過ぎるよぉ。もっとこう、何かしなきゃダメじゃないの?」

P「うちの事務所のモットーは『素材の味で勝負』だ」

りあむ「初耳なんだけど、それ」


りあむ「それに……ぼく、この間スカウトされたばっかりで、アイドルとしても全然なのに」

りあむ「そんなぼくが……あ、あの人と。お、お話するなんて」

P「先方に話は通してある。一言挨拶するくらいだから大丈夫だよ」

りあむ「なんでPサマはいつも通りなんだよお……」

P「ほら、もう扉の前まで来たんだ。腹括っていくぞ」コンコン

りあむ「容赦ない!!うわーん!!もう知ってるけど……」


P「―――」

???「~~~」

りあむ「うう……」



P「りあむ、ほら」

りあむ「ぴっ」ビクゥ


??「だあれ?」

りあむ「」カチーン

???「研修生の子だそうだ。今日はスタッフとして手伝ってくれるらしい」

??「じゃ、挨拶に来てくれたんだね。ありがと!えっと―――」

りあむ「……ほ」

??「ほ?」

りあむ「ほああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!」

??「!?」


りあむ「美希ちゃん!!!本物の!!!星井美希ちゃん!!!!!!!!!!」

美希「え、えっ」

りあむ「すごい!生きてる!!目の前にいる!!!ぼくの目の前!!テレビで見るよりきれい!!!!!」

りあむ「え、何これリアル?天国じゃないよね??生きてる??ぼく」

りあむ「はい、これ実は夢でしたー☆ なんとPサマのドッキリだったのでーす☆」

りあむ「ってうっぜ!キレるわ!!いくらぼくでも!訴えてやる!!社会に!!!炎上させてやるうー!」

りあむ「みなさーん、ここに乙女の純情を弄ぶ女の敵がいまーす!!!」

P「おいりあむ」

りあむ「っていうか!!眩しい!!!溶けるううぅぅぅぅぅぅぅ!!!美希ちゃんヤバすぎ、直視できないよお!」

美希「」ポカーン

りあむ「それにお隣の人!!!美希ちゃんのプロデューサー!!!ってことは旦那様じゃん!!!」

美希P「え。お、おお」

りあむ「あーダメダメいけませんよこれは。あのトップアイドルとプロデューサーがいるなんて」

りあむ「クソザコナメクジのぼくとは大違い。別世界??尊すg」


美希「ハニー……。この子、なんかヘンなの……」

りあむ「」

美希P「まってまって」


P「申し訳ありませんでした!!!」ギリギリギリ

りあむ「Pサマ……もうちょっとやさしく……」

美希P「いえ、こちらこそウチの美希が失礼なことを」

りあむ「美希ちゃんに嫌われた……マジ無理……やむ……。やっぱぼくにはダメだったんや……」

美希「えっと。怪しい人じゃ、ないんだよね?」

美希P「ああ。少なくともプロデューサーの方の素性は保証する」

美希「じゃ、ファンの人だね」

美希「ね」

りあむ「はひっ!?」

美希「お名前、聞いてもいい?」

りあむ「ゆ……ゆゆ、ゆ、夢見りあむっていいましゅ!!」

美希「じゃ、りあむって呼んでいい?」

りあむ「え」

美希「ミキ、別にりあむのことキライになったわけじゃないよ」

りあむ「だ、だって……さっきヘンな人って……それにキモイことしか言ってないし……」

美希「うん。ヘンだと思う」

りあむ「」グサァ

美希「でもうるさくしちゃうほど嬉しかった、ってことでしょ?」

美希「ミキに会えて嬉しい、って言ってくれる人のこと、キライになんてなれないの」

りあむ「み、みきちゃん……」

美希「初めまして、夢見りあむさん。星井美希です。さっきは失礼なこと言ってごめんなさい」

美希「挨拶に来てくれてありがとうございました。ちょっとびっくりしたけど、ミキ嬉しかったよ」

美希「ミキと一緒に、キラキラしようね☆」

りあむ「」

美希「りあむ?」

りあむ「」

美希「どしたの?」

りあむ「…………………………しゅき」

美希「えっ」

りあむ「まって無理。しんどい。控えめに言って最高」

りあむ「ぼくのギザギザハートが癒されてく……こんな丁寧な扱い初めてなんだけど??Pサマとは大違い。見習って?」

りあむ「神か?仏様か??女神様か???あー、トップアイドルだったわ美希ちゃん。尊すぎ」

りあむ「ホントダメ。無理。好き……抱いてほしい……」

美希「…………やっぱりヘンな子なの」

りあむ「」グサァ

美希P「この子はこういうキャラなんですか?」

P「地なんです。これが」

美希P「ああ………」


【Aスタジオ】

美希『それじゃみんな行くよ!ミキ達についてきて!!』

りあむ「ほわぁ……!!」

P「ほらりあむ、仕事忘れるなよ」

りあむ「あ。うん」

【番組収録後】

りあむ「よさみしかなかった……。現地参戦までできるとかアイドル最高か?」

P「言っとくけど今回のは特例なんだぞ。たまたま運がよかっただけだからな」

りあむ「その運を引き寄せるPサマホント神じゃない?もっとぼくにわけて」

P「にしても。凄い興奮してたな」

りあむ「だってあのビジュアルスターだよ!?ぼくが子どものころからテレビに出てたんだよ??」

りあむ「ずっと追ってたもん!髪切ったときとか、プロデューサーと大騒ぎになった時もリアルタイム世代だし!」

りあむ「その二人がぼくの目の前にさぁー!!正気を保つほうが無理だし。めっちゃやむよね。ね?」

P「やむってそういう使い方もするのか……」

P「で、なれそうか?」

りあむ「え」

P「りあむは、あの星井美希みたいになれそうか?」

りあむ「何言ってんのPサマ。そんなの無理に決まってんじゃん」

P「……」

りあむ「比べてみなよ。ザコメンタルで、いいとこなしで、独り反省会してる。そんなぼくだよ?」

りあむ「ぼくは美希ちゃんみたいに尊いアイドルにはなれないよ」

P「そうかい」

りあむ「でもさ」

P「うん?」

りあむ「ぼくには無理でも、Pサマがいるでしょ?」

P「……トップアイドルってのは、自分で『なる』もんだ」

りあむ「ぼくは新人だぞ。優しい言葉くれないとやむぞー?」

P「残念ながら今日の分はSOLD OUTだ」

りあむ「……やっぱり扱い雑だな?」

P「そうそう。今回のこと、あんまり大っぴらに口外しないようにな」

りあむ「はーい」

【レッスンスタジオ】

りあむ「」プシュー

P「おーいりあむ、生きてるかー」

りあむ「床が冷たい……気持ちいい……」

P「今日もお疲れさん。随分気合入ってたじゃないか」

りあむ「ぼくやればできる子だし……」フラフラ

P「そうかそうか。そんなりあむに話がふたつある」

りあむ「ふぇ……」


P「ひとつはオーディションの話だ。りあむの名前が会議で上がった」

りあむ「うそ!?」ガバッ

P「まだ確定じゃないけどな。ただ眼は掛けられてることは確かだ」

りあむ「そっか……。ぼくが……うへへ……」

P「で、本題は次なんだが……これはなんだ?」

りあむ「え、いきなり何……」

りあむ「」

P「俺さ、この前の件口外するなって言ったよな?」


りあむ「な、なんでPサマがこの垢知って……」

P「腐っても芸能事務所だぞウチは」

りあむ「……見た?」

P「隅から隅まで全部な」

りあむ「ぷ、プライバシーの侵害だぞお!!」

P「それよりもコンプライアンスに引っかかるだろうが!」

P「既に先方から連絡も来てる状況なんだぞ!派手に燃える前に消せ!」

りあむ「うわーん!!やっぱアイドルってやさしくない!!めっちゃやむー!!」


おわり

以上です。ここまで読んで下さいましてありがとうございました。

りあむにしょっぱなからアクセル全開ですごいキャラしてましたが、
現地参戦趣味ってことは結構ドルオタなのかな?と思います。
本編から数年が経過した美希なら、りあむにとってはリアルタイムに世代になるのかなーと。
好きすぎるものを目にしたら絶対饒舌になるよこの子。

りあむがどんなアイドルになるのか気になるので、早めに再登場してほしいです。

>美希「ミキに会えて嬉しい、って言ってくれる人のこと、キライになんてなれないの」
??「美希先輩!」

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