小鳥「押してダメなら?」美希「引いてみるの!」 (36)

美希「ハニー! お仕事終わったの!」ギュッ

P「あぁ、お疲れ様。でも俺は仕事中だから離れてくれ」カタカタ

美希「むぅ~、3時間ぶりの美希だよ? 嬉しくないの?」

P「たったの3時間じゃないか…それに仕事だったら別にそのくらいの時間は普通だろ?」

美希「…なんだかハニー、最近美希に冷たいの」

P「冷たくないよ」

美希「ううん、冷たい!」

P「冷たくない」

美希「つーめーたーいーのー!」グイグイ

P「……はぁ」

美希「ほら冷たいの~!」ブーブー

P「ああもう邪魔しないでくれって…」

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美希「うぅ…」ゴロゴロ

美希「ハニーが構ってくれないとつまらないの…」

美希「…はにぃ…」

美希「むぅ、何であんなに冷たいの~!」ジタバタ

ガチャ

小鳥「お困りのようね、美希ちゃん」ババーン

美希「あ、小鳥…」

小鳥「私はね、美希ちゃん…あなたがプロデューサーさんに冷たくされる理由を分かっているわ」

美希「!」バッ

美希「なになに!? 教えて!」ガシッ

小鳥「おうっふ…お、落ち着いて美希ちゃん…何よりもまず落ち着くことが肝心…」

美希「早くするの!」ブンブン

小鳥「ピヨォ…」

小鳥「こほん、あのね美希ちゃん。まずこれだけは知ってほしいんだけど…」

小鳥「好きな人を振り向かせるにはアタックだけじゃダメ。引き際も大事なの」

美希「引き際…?」

小鳥「そう、これを名付けて『押してダメなら引いてみろ』作戦よ!」

美希「……!」

美希「それ、小鳥は成功したことあるの?」

小鳥「グハァッ!」吐血

美希「こ、小鳥!?」

小鳥「美希ちゃん…恐ろしい子…どうしたらそんな無神経な事をいとも容易く言えるのかしら…!?」ピヨヨ

美希「効果が分からないとやる気出ないの」

小鳥「まあまあ、一応聞いておきましょ…?」

小鳥「美希ちゃんに質問だけど、お弁当で大好物のものがあったらいつ食べる?」

美希「一番最初に食べるの!」

小鳥「じゃあ嫌いなものは?」

美希「嫌いだから食べないの」

小鳥「」ガクッ

小鳥「それじゃあダメよ!」ピヨッ!

美希「こ、声が大きいの」

小鳥「好きなものも喰らう、嫌いなものも喰らう…両方を共に美味いと感じ…血肉に変える度量こそが食には肝要よ…」クワッ

美希「食は関係な…ううん…わ、分かったの…」

美希(小鳥、なんだか突っ込みづらいくらい顔が濃くなってるの…)

小鳥「さて、お弁当に例えちゃったけど、この場合の美希ちゃんが嫌いなものというのはさっき言っていた『引き際』ね」

美希「うん」

小鳥「美希ちゃんは好きなもの…つまりスキンシップだけで、引くことはしない」

美希「別に良いって思うな」

小鳥「良かったらこう悩むことはないのでは?」

美希「うぐっ…それは正論なの…」

小鳥「……先に言っておくわ。美希ちゃん…あなたがこれ以上プロデューサーさんにスキンシップをはかることを禁止します!」

美希「!」ガーン

美希「こ、小鳥が美希をコロそうとしてるの…!」

小鳥「えっ、いやそこまで深刻に考えなくても」

美希「深刻なことなのー!」

美希「や! 流石に美希、それは耐えられないって思うな」

小鳥「……はぁ、それもそうね。無理を言ってごめんなさい、美希ちゃん」

美希「小鳥…あはっ、分かってくれればそれで…」

小鳥「それじゃあこのままプロデューサーさんに冷たい反応され続けるといいわ」

美希「えっ…?」

小鳥「美希ちゃんのプロデューサーさんに対する愛ってスキンシップをはからなきゃ終わるものなのね…」

美希「ち、ちが…」

小鳥「あぁプロデューサーさん! 可哀想に…恋に恋した美少女に弄ばれてただけだなんて…!」

美希「美希は真剣なのっ!!」

小鳥「でもアイドルとの恋愛なんていうとんだスキャンダルが発覚するよりマシかしら…」

美希「~…!」プルプル

小鳥「さてさて、それじゃあ私は他の迷える子羊ならぬ悩める小娘にアドバイスをしに…」

美希「あーもう分かったの! 小鳥の言う通りにするのー!」

小鳥「…ほんと?」

美希「ほんとなの!」

小鳥「耐えれる?」

美希「耐えてやるの!」

小鳥「押してダメなら?」

美希「引いてみるの!」

翌日

P「おっ、おはよう美希。今日は珍しく早いじゃないか…って美希!?」

美希「おはようなの」ペラッ

P「ああ…え、起きてる…?」

美希「どうしたの?」

P「い、いや…雑誌読んでるのもいいが、仕事には遅れるなよ」

美希「分かってるのー」

P「…?」スタスタ

美希(……)

小鳥『いい? プロデューサーさんには馴れ馴れしくせず、話しかけられたらちょっと答えるだけ。自分からはなるべく話さないようにするのよ)

美希(ふふっ、ハニーったら美希からアプローチをかけないから違和感を覚えているみたいなの)

美希(美希はまだまだ余裕で耐えれるの…多分)

ガチャ

春香「おはようございます~! あ、美希もおはよう♪ …えっ、美希!?」二度見

美希「なに?」

春香「い、いやぁ…来るのが早い上に起きてるなんて珍しいなぁって…」

美希「春香にまで同じことを言われたの…」

P「おう春香、おはよう」

春香「おはようございます。プロデューサーさん、私お菓子作ってきたんで良かったら食べてください♪」スッ

P「おぉ、ありがとう。おーい、美希も食べるか?」

春香「美希ー?」

美希「美希はお腹空いてないからプロデューサーが一人で食べていいの」

P「えっ!?」

P・春香(ぷ、プロデューサー!?)

美希「じゃあお仕事の時間まで寝てるね…あふぅ」

P「……」

春香「…プロデューサーさん」

P「な、なんだ?」

春香「美希にどんな嫌がらせをしたらあんな他人行儀になるんですか!?」

P「いやなんでそうなるんだよ!」

P「な、なぁ…美希ー…?」

美希「なに、プロデューサー…美希、眠たいから邪魔しないでほしいの…」

P「あぁいや、えと…その…何か変なものでも食べたか?」

美希「別に何も?」

P「そ、そうか…」

美希「もう、それ訊くだけに美希起こしたの? プロデューサーも早く仕事するの」

P「あ、はい…」トボトボ

美希(効いてる…のかな…?)

春香「じ、じゃあ私…お、お仕事行ってきまーす…」

P「え、いや春香の仕事はあと1時間後じゃ…」

春香「遅くて困っても早すぎて困ることはありません! 行ってきまーす!」

P「春香!?」

ガチャ バタン

美希(ハニーと2人きりになっちゃったの)

P「…まあ、いいか」スッ

美希「……」

P「……」カタカタ

美希(……)

P「……」カタカタ

美希「…ぅぅ…」

美希(折角の2人きり…ハニーとお話したりぎゅってして抱きしめたりしたいの…!)チラッチラッ

P「…ん?」チラッ

美希「!」バッ

P「…気のせいか…しっかし、こう静かだと逆にやりづらく感じるような…」カタカタ

美希「!」

美希(……やっぱりもう我慢の限界なの!)

美希「はに…」スッ

ガチャッ!

小鳥「おはようございます!」

P「…音無さん、扉は優しく開けましょう」

小鳥「ごめんなさい、でも悩める小娘の為にはやむを得ない事態だったので…」

P「はあ…?」

美希(うぐっ…な、ナイスなの小鳥…)ショボン

小鳥(よく抑えたわ、美希ちゃん!)

P「まあそれはそうと音無さん、ちょっとこっちに…」

P「……と、いうことで今日の美希の様子がおかしいんですよね」

小鳥「あー、そうだったんですか…」

小鳥(まあ私が教えたんですけれども)

小鳥「それで? プロデューサーさんはいつもみたいに美希ちゃんに抱きしめてほしかったんですか?」

P「え、俺ですか? あはは、まさか! 最初にちょっと戸惑っただけで今じゃ楽で良いですよ。美希も立場を弁えることを学んでくれたようですし」ハッハッハ

小鳥(この人は本当にもう…)

美希「……」イライラ

小鳥(ほら美希ちゃん怒ってる! あれ絶対雑誌を被せてる下ですごい剣幕してるよ!)

P「…ん、やっぱり春香のお菓子は美味しいな…あいつは良いお嫁さんになりそうだ」

美希「……」ゴゴゴ

小鳥「…ふんっ」ゲシッ

P「痛っ! お、音無さん…今俺の足の脛に貴女のつま先当たったんですけど…」

小鳥「あらごめんなさい。わざとです」

P「いえ大丈夫…えっ?」

撮影現場

「あーいいね! 次はもうちょっとセクシーにポーズとってみようか!」

美希「こんな感じ?」クイッ

「おお、最高だよ美希ちゃん!」パシャパシャ

美希「あはっ♪」チラッ


P「はい、そうですね…えぇ、じゃあこの時に雪歩の撮影を女性の方に…」


美希(…むぅ、ハニーがこっちを見てくれないの…ちゃんと美希だけを見てほしいの!)

美希(…っていつもの美希なら言ってたかもしれないけど…)

「お疲れ様、美希ちゃん! またよろしくね!」

美希「お疲れ様なのー」スタスタ

P「あ、美希。お疲れ様、個室にお弁当が置いてあるからそれ食べといてくれ」

美希「はーい」

美希(今の美希はじっとして時期を見極められるの)

パカッ

美希「んー…美希があんまり好きじゃないものも入ってるの…」

美希(いつもはハニーが好き嫌いはダメって言いながら食べてくれるんだけどなぁ…)

美希「…ううん、今日は頑張って食べるの!」

美希「好きなものは、あとに我慢…」

美希「んっ!」パクッ

美希「…み、水…」ゴクゴク

美希「お、美味し…くないの…小鳥のバカ…」



P「あ、あわわ…!」ノゾキ

P(今日のお弁当は美希の嫌いなものがあったからどうせ残すと思って来たのだが…お、俺は夢でも見ているのだろうか…?)

その後

美希「レッスンー? うん、行ってくるのー」

P「!?」

美希「プロデューサーは見に来なくても美希は一人でできるの」

P「え、あ、おう…」


美希「うぅ、この食べ物苦手…」

P「美希、苦手でも一口は食べ…」

美希「んむ…」モグモグ

P「嘘っ!?」


美希「プロデューサー、お仕事終わったの」

P「ああ…」

美希「じゃあちょっと寝てくるね」

P「……」

美希「病院?」

P「ああ。もう予約は済んでる」

美希「美希、どこも悪くないよ?」

P「いいから行こう。な?」

美希「うーん…分かったの」

P「というわけで音無さん、ちょっと事務所の方よろしくお願いします」

小鳥「は、はい…」

P「マスクしとけよ」スッ

美希「ん…ありがとなの」

P「熱もなさそうだな…よし、行ってきます」

美希「??」チラリ

小鳥「と、とりあえず行ってらっしゃい…」

小鳥(あぁ、これは間違いなく…面倒くさいことになっているわ…)

美希「もー! 何なのなのー!」

小鳥「お、落ち着いて美希ちゃん」

美希「落ち着いてられないの! やっぱり身体に異常はなかったし、ハニーには帰りにもなんか心配されるし!」

美希「それに何も言わなくてもアイス奢ってくれたの!」

小鳥「よ、良かったじゃない。プロデューサーさんから構ってくれるようになって…」

美希「そうだけど…そうじゃないの! 思ってたのと違うの! 美希は病人でもないのに…」

小鳥「ん~…やっぱり急すぎたかしら…近すぎず、遠すぎずがベストなんだけど…」

小鳥「美希ちゃんの場合は、いつもがずーっと近かったからちょっと離れたらすごく遠くに感じるのよね…」

美希「うぅ~…」

小鳥「…よし、こうなったら偵察よ!」

美希「偵察…?」

小鳥「それはね……」

事務所

ダンボールin美希「こ、これほんとにバレない…?」

小鳥「完璧よ美希ちゃん。ダンボールというのは戦士の必需品。ベテランの傭兵も潜入任務にはこれを愛用するほどなんだから」

美希「…でもまあ、なんだか優しく包まれているようで落ち着くの…」

小鳥「それなら良かったわ。それじゃあ私もお隣に失礼して…」スッ

ダンボールin小鳥「ここでアイドルとプロデューサーさんが来るのを待つのよ」

美希「そして2人きりの状況にして様子を見る…分かったの」

ガチャ

雪歩「…お、おはようございますぅ…」

美希(雪歩が来たの)

雪歩「って…誰もいないのかな…?」キョロキョロ

雪歩「…お茶入れてこよう…」テクテク

小鳥(プロデューサーさんには既に早く来るように連絡済み…さて、雪歩ちゃんは2人きりだとどんな様子になるのかしら…)

ガチャ

P「うぅ~寒い寒い…」

雪歩「! ぷ、プロデューサー…おはようございますぅ」

P「おはよう…あれ、雪歩1人か…?」

雪歩「は、はいぃ…」

P「音無さんに早く来るよう言われたんだけどな…まあいいか、ちょっとゆっくりしてよう」ストン

雪歩「丁度良かった…あの、お茶を入れてきたので一緒に飲みませんか…?」

P「あぁ、頂こうかな。ありがとう」

雪歩「いえ…えへへ、2人きり…///」ボソッ

P「ふぅ、やっぱり雪歩のお茶は美味しいな…身体に染みるし、俺の口に合ってるみたいだ」

雪歩「た、多分…私が、プロデューサーのお口に合うようにお茶を入れるようになっちゃったんだと思います…」

P「えっ…?」

雪歩「わ、私のお茶を一番美味しく飲んでほしいのは…プロデューサー、ですから…///」テレテレ

P「あはは、ありがとう。俺も雪歩のお茶が一番美味しいって思ってるよ」

雪歩「ほ、本当ですか!? えへへ…やった///」キュッ


美希「…………」

小鳥(み、美希ちゃん…?)

美希(……あれやるの)

小鳥(えっ!?)



美希「プロデューサー、はい」コトン

P「え、美希…どうした?」

美希「飲んでほしいの」

P「あ、ああ…え?」

美希「飲んでみて」

P「…こ、これ…お茶っぱ自体がめっちゃ入って…」

美希「好き嫌いはダメだと思うな」ズイッ

P(えぇ…)

美希「美希のお茶、飲めない?」ウルウル

P「わ、分かった。飲むよ…」

P「……」ゴクッ

P「!」

P(しっぶ~い!!)

P「……お、美味しい」

美希「ほんと?」

P「……ほんと」

美希「お口に合う?」

P「…うん」

美希「なら良かったの!」タッタッタ

P「……み、水…!」

ダンボールin美希「……」

ダンボールin小鳥「ど、どうだった…?」

美希「ハニー、無理してたみたいなの…」

小鳥「え…?」

美希「美希、分かるの。ハニーのこと…ずっと見てきたから…」ズズーン

美希「顔はいつも通りだったけど口がおばあちゃんみたいになってたの…」

小鳥(あぁ、そんなにダメだったのね…)

美希「小鳥、次は?」

小鳥「え~と…このお仕事の予定表では…次は春香ちゃんが来るかしら…」

春香「おはようございます!」

P「あ、おはよう春香」

春香「プロデューサーさん、今日も頑張り…わわっ!」ツルッ

美希(また何もないところで転んで…)

小鳥(いつもながら芸術並みね…)

P「おっと!」ダキッ

美希・小鳥「「はっ!?」」

P「え、なんだ…何か声が聞こえたような…」

春香「ぷ、プロデューサー…さん…!?///」

P「…あ! すまん…決して抱こうとしたわけじゃないんだ! ただちょっと、支えようとしただけで…!」

春香「……えへへ、分かってます…ありがとうございます、プロデューサーさん…///」

P「……あ、ああ…///」スッ

春香「反応、早かったですね…」

P「流石にな。もう慣れたよ、春香の転び芸は」

春香「む~! 私だって転びたくて転んでるんじゃないです~!」ポカポカ

P「あはは、すまんすまん…」


美希「…………」

小鳥(美希ちゃん…まさか…)

美希(……ずるい。美希もやるの)

小鳥(ぴよよ…この小鳥にはもう止められないわ…)

美希(簡単なの。ただハニーの前で転べばいいだけなの)

美希「プロデューサー」

P「なんだ、美希?」クルリ

美希「あの…あっ!」ツマズキー

美希「わわー!」ステーン

P「えっ、大丈夫か美希!?」

美希「っ…はに…プロデューサー……」

美希「ど、どうして受け止めてくれなかったの!?」

P「あ、ああ…すまない。反応できなくて悪かった…」

美希「え? あっ、いや…」

P「痛いところはないか? 無理せず言ってくれ」

美希「美希は…美希…」

P「本当にすまん! えと…一応診てもらいに…」

美希「だ、大丈夫なの!」スッ

P「あっ、美希!」


ガチャ バタン

美希(違うの…美希、ハニーに心配させる気なんて…)

美希(…どうして、ハニー…美希の、何がいけないの…?)

美希(どうしたら、春香たちと接するみたいに…笑ってくれるの…?)

公園

美希「…はぁ…」

美希「……失敗ばかり、なの…」

美希「押してもダメ。引いても…心配されるだけ」

美希「真似してみても空回りで……」

美希「はぁ、美希…ハニーに嫌われてるのかな…?」

美希「…嫌われてるよね…」ジワッ

美希「だって……だって、美希は雪歩みたいにお茶入れるの上手じゃないし…自分で転んでおいてハニーに文句言っちゃうし…優しい春香とは大違いだもん…」ポロポロ

美希「ぐすっ…はにぃ…ごめんなさい…」

美希「ハニーも迷惑だったよね、美希に振り回されちゃって…」

美希「美希…邪魔なら、もう…辞めようかな…」ポタポタ


P「美希!!」

美希「え…?」

P「はぁ、はぁ…公園にいたのか…」

美希「はにぃ…?」

P「ふぅ…普段デスクワークばかりこなしていたからか、俺も走る体力がなくなってるみたいだな…」

美希「……ハニー!」ガバッ

P「おっと…」ギュ

美希「!」

P「おお、なんだ美希…またハニーなんて呼んで…ってみ、美希!? な、なんで泣いてんだ!?」グイッ

美希「うぅ~…ぐすっ、はにぃ…!」

P「…と、とりあえず涙拭いてやるから。ほら、泣いてたら可愛い顔が台無しだぞ」グシグシ

美希「うん…うん…!」ギューッ

美希「……」ギュッ...!

P「えっと、美希? 落ち着いたならもうそろそろ離して…」

美希「やっ」

P「…そうか」

美希「……」

P「じゃあ、美希。そのままでいいから聞いてくれないか?」

美希「…」

P「最近さ、美希の様子がおかしかったじゃないか。俺のことをプロデューサーって呼んでくれるし、今みたいに抱きつかなくもなって…」

美希「…」

P「俺は美希もやっとアイドルとしての自覚を持ってくれたのかって思って、ちょっとホッとしたんだよ」

P「…でも違うよな?」

美希「っ…」

P「ずっと考えてて…俺も少しずつ分かってきた。美希は我慢しているだけなんだって」

美希「……」ギュゥ

P「これはプロデューサーとしてじゃなく…1人の男として言うんだが…」

P「嬉しいよ、美希…お前みたいな可愛い子が、こんな俺のことを好きになってくれるなんてな…」

美希「こんな、じゃないの。ハニーだからなの」

P「…そうか…」

P「…俺さ、美希が我慢しているって気付いてから全部分かったような気がするんだ」

P「美希から俺に冷たくし始めたのも、嫌いなものも残さず食べるようになったのも…」

P「雪歩みたいにお茶を入れてきてくれたのも、春香みたいに転んだのも…」

P「見覚えのないダンボールが置いてあったのも…」

美希「…」

P「全部、どうしたら俺との関係を深めることができるかって考えて、頑張った結果なんだよな…?」

美希「……ごめんなさい」

P「なんで謝るんだ? 美希はただ頑張ってくれただけじゃないか…それに、謝るのは俺の方だから」

美希「どうして…? ハニーは何もしてないのに…」

P「自分の気持ちに素直にならなかったからだ。美希から近付いてきても、軽くあしらって…それで傷つけて。本当はすごく嬉しかったのに」

美希「えっ…?」

P「それでもプロデューサーとしての自分が素直な気持ちを抑えて…結果として美希にすごく嫌な思いをさせてしまった」

美希「そ、そんな事ないの! 美希はね…美希こそ、ハニーに嫌な思いさせちゃったかなって思ってたの…」

美希「ハニーは悪くないの。美希が……美希が、全部悪いの…」

P「…いいや…そういう事を言ってくれる美希は、本当に良い子だよ」

美希「美希が…良い子…?」

P「ああ…美希、俺の目を見てくれ」

美希「うん…」ジッ

P「いいか、美希? お前は春香や雪歩と同じことは出来ないけど、あの2人にも美希と同じことは出来ない」

P「自分の良いところを仕舞い込んで、無理をしたり人の真似をしようとしちゃダメだ。他の人にはない、美希自身の良いところを出すんだ」

P「そしてその中でも…俺が一番知っている美希の良いところは、いつでも全力で愛を伝えてくれるところだろ…?」

美希「……だって…そしたらハニーが…!」

P「嫌いになったりなんかしないさ。それともなんだ? 俺が美希に嫌いとでも言ったのか?」

美希「ううん、言われてないけど…離れてとか、邪魔しないでとか…」

P「あれは仕事中だったからだよ。でもすまない、そこまで傷ついていたなんて…これからは気をつけるよ」

美希「…じゃあ、お仕事が終わったらいい?」

P「外はまずいから、事務所の中だけだったらな」

美希「ほんと? ほんとのほんとに?」

P「ほんとのほんとに」

美希「…約束なの」スッ

P「はい」スッ

ギュッ

美希「えへへ…ハニー、大好きなの…」

P「…ありがとう。俺も…えと…」

美希「美希のこと…大好き…?」ウワメヅカイ

P「…アイドルとしてな」

美希「むぅ~、そこで逃げちゃダメなのー!」

P「まだ早いよ、まだ」

P「近い将来、必ず美希に言ってあげるから」

美希「…ハニー…うん…!」

P「それまでまた…我慢、できるか…?」

美希「…頑張るの」

P「そうか…偉いな」ナデナデ

美希「えへへ…もっと褒めていいの」

P「あはは、美希。だからって調子に乗っちゃダメだぞ」

美希「はーい♪」

P「…じゃあ、戻ろう」

美希「…うん」ギュ

P「美希…その手の繋ぎ方は…」

美希「しっ! 何も言わないの。美希がこれだけで我慢してあげてるだけなの」

P「…事務所の前までだぞ?」

美希「優しいハニーも大好きなの♪」

P「…ああ、ありがとう」

後日

ガチャ

春香「おはようございまーす」


P「おい美希! 話が違うだろ、今は仕事中!」

美希「ウソ! 雪歩のお茶飲んでるから休憩中なのー!」ギュー

P「休憩中ってだけで仕事終わってないから!」

美希「じゃあ午前のお仕事終わりなの!」

P「勝手に決めるなし!」

美希「ハニー? 働きすぎはよくないって思うな」

P「うぐっ…それもそうだけど…」

美希「はい、美希の勝ちなの♪」スリスリ

P「…分かったよ」

春香「え、なにこれ」

小鳥「うんうん、やっぱり素直が一番ね…」ウットリ

春香「美希が元に戻って…る?」

美希「春香、その言い方はひどいの。美希は美希なの」

春香「えっ、いや…でも」

P「全く…開き直ったらすごいのな…」

美希「…ハニー、美希に抱きつかれるの…嫌?」

P「…そうとは言ってないよ」

美希「ハニー…! えへへ♪」ニッコリ


春香「小鳥さん、教えてください…」

小鳥「ああ、あれはね…他の誰にもできない、美希ちゃんだけの…」

小鳥「押して押して押しまくる作戦よ!」



おわり

ここまで読んでくださった方々、ありがとうございました。


ゲーム化はいつですか?


???「美希先輩には押せ押せ…っと」

シンプルイズベストという言葉の似合う王道良ssだった

やっぱり美希だな

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