美希「聖ハニー問答」 (58)

真美「これが人間のやることかよおおおおおおっ!!!」ダンダンッ!!

亜美「許さぬ…絶対にパパを許さぬ。いつか地獄の釜に落ちる時、この亜美の怒りを思い知れえええっ!!!」


春香「…どうしたの?亜美と真美は」

美希「録画してたFate/Zeroの11話をうっかりお父さんに消されちゃったらしいの」

亜美「うあうあうあー!どんな話だったかチョー気になるよ~!」

真美「こんな心中で今日の仕事に身が入る道理が無いよー!」

春香「いやいや仕事はちゃんと頑張らないと…」

美希「でもたしかにカワイソーだね。…そうだ!良いこと思いついたの!」


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亜美「ええっ!!ミキミキとはるるんでFate/Zeroの11話を再現してくれるだってぇ!?」

真美「現役のアイドルに演じてもらえるなんてこりゃ願ってもない僥倖だぜぇー!」

春香「何なのそのノリ…?ていうか私やるって言って無いんだけど…」

美希「んーでも最低後1人は必要だよね。誰か…って言ってる間にちょーど良い人が帰って来たの!」

伊織「うるっさいわねぇ。何の騒ぎ?」

美希「デコちゃんかくかくしかじかなの!」

伊織「ざけたこと抜かしてんじゃないわよ。何でこの伊織ちゃんがノーギャラでそんな面倒なこと…」

美希「デコちゃん以上にピッタリな人は居ないの!ねぇねぇお願いなの~」

伊織「あぁもう、うっざいわねぇ。1回見ただけだからテキトーにしか出来ないわよ?」

美希「それで大丈夫なの!さっ春香始めるよ!」

亜美「イエーー!!」

真美「パチパチパチーーッ!!」

春香「こんな時間に誰かと思ったら…何の用?美希」

美希「やっほー春香。そんな怖い顔しないで、今日は春香とお喋りにしただけなの」

美希「はいこれ、そこのお店で買って来たジュース」

春香「お喋りって…。あのね美希、私達が今どういう関係にあるか分かってるの?」

美希「モチロン分かってるの。今ミキと春香は、聖ハニー戦争の真っ最中」

美希「聖ハニーを巡って、顔を合わせたら直ぐに殺し合いを始めるカンジの仲なの」

春香「それが分かってるならなんで…「でもさ、春香」

美希「ミキ達はサーヴァントである前に『アイドル』だよね?」

春香「!」

美希「アイドル同士の格を測る手段は、何も武力だけってことは無いの」

美希「このお喋りで、春香のアイドルとしての器の大きさを比べ合おうと思うんだけど…どう?」キラン

春香「…剣に依らない戦いって訳だね」

春香「面白い、受けて立つよ。美希」

美希「そうこなくっちゃなの」フフッ

春香「じゃ、場所を変えようか。庭にシート敷くからちょっと待ってて」


 テクテクテク スチャッ スチャッ


美希「さ、まずは一杯」トクトク

春香「ありがと」クイッ タンッ

美希「流石は正統派アイドル。良い飲みっぷりなの」クイッ

美希「ふー…」トンッ…

美希「聖ハニーは相応しき人の所に渡る定めという」

春香「!」ゴクリ…

美希「それを見極める為の闘争が、この聖ハニー戦争な訳だけど」

美希「さっきも言ったけど、何も見極める為になら血を流す必要は無いの」

美希「アイドル同士、お互いの『格』に納得が出来れば、それで勝手に答えは出るって思うな」

春香「それで、まずは私とそれを競おうってこと?」

美希「なの。お互いにアイドルを名乗って譲らないなら、放っておく訳にはいかないでしょ?」

美希「これは『聖ハニー戦争』じゃなくて『聖ハニー問答』」

美希「春香とミキ。どっちが聖ハニーに相応しいアイドルか、茶菓子に聞いてみましょうって話なの」サクサク

春香「…………」

美希「あ―でも、そうえばもう一人。ミキ達の他に自分のことアイドルだって言ってる娘居たよね」



   「――ざけたこと抜かすのはそこまでにしときなさい」



伊織「雑種」ギロリ

春香「い、伊織!?どうしてここに…」

美希「たまたま街で見かけたから、ミキが誘っておいたの。遅刻だよ?デコちゃん」

伊織「殺されたいの?フン、一流のアイドルは身支度に時間が掛かるのよ」

伊織「てゆうか、何なの?このきったない箱庭」

伊織「こんなトコを宴席の場にするなんて、それだけでアンタ達の底が知れるってものだわ」サラッ

春香「人の庭をよくもそこまで…」ワナワナ…

美希「まーまー固いことは良いっこ無しなの。はい、駆けつけ一杯」スッ

伊織「……………」クイッ

伊織「まずっ…。何よこの安物は?こんなんで本当に私の格が測れると思ってるの?」ギロリ

美希「えーミキ的には、あのお店の中ではこれが一番イケてるって思ったんだけど…」

伊織「そう思うのはアンタが本当のオレンジジュースを知らないからよ」

伊織「ハァ…雑種って皆そうなの?」スッ…トンッ

春香「わっ高そうなグラス…」

伊織「飲んでみなさい」

美希「じゃっ遠慮なくいただくの」ゴクゴク

美希「っ!!!」

春香「美味しっ!!何これ何これ!?スープ!?」

美希「凄いのデコちゃん!これミキが今迄飲んで来たジュースの中でぶっちぎりに一番美味しいの!」

伊織「フフン、当然よ。私の冷蔵庫に入っているのは、至高の100%オレンジジュース以外有り得ないわ」

伊織「これでアイドルとしての格も決まったようなものよね」ゴクゴク

春香「いやそれは全然関係無いでしょ」

伊織「あぁん?」

美希「こらこら喧嘩は駄目なの」ドオドオ

美希「でもデコちゃん、それは春香の言う通りだよ。これは聖ハニーをゲットするせいとーせーを競う聖ハニー問答なんだから」

美希「まずはデコちゃんの聖ハニーを獲ることの意気込みを聞かせて欲しいの」

伊織「ゆとり雑種が仕切ってんじゃないわよ」

伊織「第一、あのバカを『奪い合う』って時点でアンタ達は理を外してるのよ?」

伊織「そもそも、アイツは私の所有物なんだから。にひひっ」

春香「うん?」

春香「ごめん。よく聞こえなかったからもう1回言って?」

伊織「別にアイツに限った話じゃないわ」

伊織「この世の全ての人類は一人残らずこの伊織ちゃんの下僕なんだから、全て私の所有物。それだけのことよ」

美希「えーと…所有物ってことは、デコちゃんは聖ハニーのこと何でも知ってるの?子供の頃のこととか…」

伊織「知らないわよ。雑種の尺度で測らないで」

伊織「私の下僕の数は、とっくに私の認識を越えている。けどアイツも人間なんだから、私の所有物であることは明白」

伊織「それを勝手に持ち出そうとするとか、盗人猛々しいにも程があるわ」クイッ

春香「はぁ…バカなんじゃないの?伊織」

伊織「…なんですって?」ピキ

春香「伊織が言ってるのは、小鳥さんの世迷言と全然変わらない。錯乱したサーヴァントは一人じゃ無かったんだね」ハァ

伊織「最期はどこを刺されたい?それ位の希望は聞いてあげるわ」チャキ…

美希「まぁまぁ。ミキはデコちゃんらしい答えで良いと思うな」

美希「でもデコちゃん。だったら、聖ハニーがほしかったらデコちゃんに許可をもらえば良いの?」

伊織「まぁね。もっとも、アンタ達ごときの雑種にくれてやるつもりは毛頭無いけどね」

美希「むー。いっぱい居るなら聖ハニー1人位良いじゃんデコちゃんのケチ!」

伊織「たわけたこと言ってんじゃないわよ。私の恩情に与かるべきは、私の下僕と友人だけだって話」

伊織「だから美希。アンタが私の許に下るってんなら、アイツ位いくらでも貸してあげるわ」

美希「…それは出来ない相談なの」ムゥ

真美(分かりやすい様にちょっとアレンジして再現するって話だったけど…)

亜美(これそれを大義名分に、ガチの兄ちゃん奪い合い戦争の牽制をしてるのでは…)アセ


美希「でもさ、デコちゃん。デコちゃんはハ…じゃなくて、別に聖ハニーが欲しいわけじゃないんでしょ?」

美希「聖ハニーと一緒にやりたいことがあって、聖ハニー戦争に出てきた訳じゃないんだよね」

伊織「無論よ。でも手癖の悪い泥棒猫には、然るべき裁きを与えてやらなきゃいけないでしょ?」

伊織「要はちゃんとスジを通してるのかどうかってことよ」

美希「スジを通すって……つまりどういうことなの?」

伊織「ルールよ。私がアイドルとして敷いた、私のルール」

伊織「それに背く奴は誰であろうが容赦はしない。私は一度自分で決めた事は決して曲げたりしないんだから」

美希「――カンペキだね。自分の中のルールを貫いてこそ、アイドル」

美希「流石はデコちゃんなの」パチパチ

伊織「分かれば良いのよ」クイッ

美希「でもなー。ミキは聖ハニーが欲しくてしょーがないの」

美希「で、ミキは欲しいものはどんな手を使ってでも手に入れるシュギな訳で…」

伊織「はん、是非も無いわね。アンタが犯して、私が裁く。問答の余地なんてどこにも無いわ」

美希「だね。こうなったら後は実力で競い合うだけなの」

美希「でもデコちゃん。このジュースはとりあえず飲み切っても良い?殺し合うだけならいつでも出来るの」

伊織「当然ね。それともアンタ、まさか私の振る舞ったオレンジジュースを蔑ろにする気でいたワケ?」

美希「ジョーダンじゃないの!こんなに美味しいジュースを捨てるなんて万死に値するの!」

春香(…何この疎外感)

春香「ハァ……この際伊織の与太話に付き合うとして、美希」

美希「なに?春香」

春香「美希はプロ…じゃなくて、聖ハニーの正しい所有権が他人にあると認めた上で」

春香「それでもそれを力で奪おうって言うの?」

美希「ん?うん、当然なの」

美希「ミキの物はミキの物。キミの物もミキ物がミキの正義みたいなところあるからね」

美希「ミキがほしいものはゼンブ――奪って侵すの」ギラリ

春香「…………」ムゥ

春香「そうまでして、美希は聖ハニーに何を望むの?」

美希「……………」クイッ…コホン

美希「………受精、なの」ポッ

春香「!?」

亜美「おおう」

真美「さ、流石ミキミキ…」


春香「な、ななななな何を言ってるの美希!?お、女の子がそんなっ…!」

美希「…………///」カアッ

伊織(自分で言っといてマジ照れしてんじゃねーわよ)

伊織「ハァ……雑種。まさかそんな俗い理由で、この私に挑むワケ?」

春香「そっそうだよ!トップアイドルになって世界征服するんじゃなかったの!?」

美希「春香はバカなの?トップアイドルには自分の力でなるものなの」

美希「聖ハニーを手に入れることは、あくまでその第一歩」

美希「ミキが聖ハニーを手に入れてやりたいことは、この世界に一個の生命の根を下ろすこと」

美希「聖ハニーと一緒に、ミキが生きた証を形として残すことなの」

伊織「回りくどい表現してるけど要は…」

美希「うっうるさいの!デコちゃん次!」

伊織「はぁ?あぁ、なんだっけ……」

伊織「決めたわ美希。アンタはこの私が、手ずから縊り殺してあげる」

伊織「ってコレ繋がんないでしょ。なんでアンタの自爆の始末を私が…」

美希「フフン!今さら念を押すまでも無いの」

美希「ミキも聖ハニーだけじゃなくて、ついでにデコちゃんが持ってる宝物も奪い尽すから覚悟しとけなの」

美希「これ程のジュースの味、ミキに教えたのはウカツ過ぎだったね」フフッ

春香(無理矢理路線戻したね…)

美希「――で、ところで春香」

美希「そうえば、まだ春香が聖ハニーに何を願うか聞かせてもらってなかったの」

春香「え?わ、私?」

伊織(急に振られて焦ってんじゃねーわよ)

春香(えぇと、ここどう言えばいいんだろ…)アセ

春香「私は――えぇと、私のプロデュースの救済を願う」

春香「万能の聖ハニーの力をもってして、ランクFエンドの運命を変える」キリッ

  

美希・伊織「「…………………」」


春香「…………?」

美希「あー……春香?多分ミキの聞き間違いだと思うんだけど」

美希「今春香、運命を変えるって言った?それって過去のプロデュース結果を変えるってこと?」

春香「うん。例え奇跡が起こっても難しいことだけど」

春香「聖ハニーならきっと、きっと何とかしてくれるはず…!」

伊織(アイツを何だと思ってんのよ。ドラえもんか)

美希「えぇと……」ポリポリ

美希「一応確認なんだけど、それって春香のプロデュース結果なんだよね?他の人とかじゃなくて」

春香「そうだよ?自分のことだから、許せないんじゃない!」

春香「自分のことだから悔しいし、あんな悲しい結末を変えたいって思うんだよ!」

伊織「…っw…ふふふっww……Fてww」

春香「っ!」ムカァッ!

美希「春香…春香はよりにもよって、自分が歴史に刻んだアイドル活動を否定するって言うの?」

春香「だからそうだって言ってるじゃない!何で訝るの?何で笑うの!?」

春香「アイドルとしてこう…身命を捧げたプロデューサーさんとのアイドル活動が失敗したんだよ!?」

春香「それを悼むのがどうして可笑しいの!!」

伊織「あっははははははっwww!!」

伊織「ふふっwwふふふwww聞いた?美希ww」

伊織「この天海春香とかいうアホはwwよ、よりにもよってww!……プ、プロデューサーにwwしんめっwww」

伊織「あっはははははははwww」バンバン!! ユビサシ

春香「~~~っ!!笑われる筋合いが何処にあるの!!」ぷんすか

春香「アイドルたる者、プロデューサーとファンの期待に応える為に一生懸命頑張るのが…あれでしょ!アイドルでしょ!」

美希「それは違うの、春香」キッ

美希「アイドルが捧げるんじゃないの。プロデューサーが、ファンの皆が、その身命をアイドルに捧げるもので…」

美希「ゼッタイ、その逆は無いの」

春香「何言ってるの…?皆に夢を与えるアイドルが、そんな傲慢な自己中で良い訳無いじゃない!」

春香「美希!伊織!二人こそアイドルの風上にも置けない外道だよ外道!」

美希「アイドルっていうのは傲慢で自己中なものなの。ううん、傲慢で自己中であるからこその、アイドルなの」

春香「なっ…!」

美希「でもね春香。自分のアイドル活動を、その結末を悔やむアイドルが居たとしたら」

美希「それはただの卑怯者のクズなの。傲慢で自己中よりよっぽどタチ悪いって思うな」

春香「…!じゃあ美希は、美希は自分のアイドル人生がどんな悲惨な結末になっても後悔は無いって言うの?」

春香「もう1回やり直せたら、トップアイドルになれたかもしれない…そんな風に思わないの!?」

美希「思わないの」

美希「ハニーと一緒に一生懸命頑張って、ファンの皆がミキのこと応援してくれて辿りついた結末なら」

美希「それがどんなものであろうとミキはイッペンの悔いも無いの」

美希「悼みもするの、涙も流すの、だけどゼッタイ悔やんだりしない」

春香「そんな――」

美希「ましてやそれを無かったことにするなんて!そんなの、ミキをプロデュースしてくれたハニーに対する最悪のブジョク行為なの!!」

春香「ほ、滅びの華を誉れとするのはアイドルだけ!プロデューサーさんはそんなの望んで無いもん!」

春香「満点のランクSエンドを成し遂げることが、プロデューサーさんの祈りでしょ!?」

美希「解せんの。そんなの狙うことに何の意味があるの?」

春香「それこそがアイドルたる者としての本懐でしょ!?」

春香「正しいレッスン!正しいスケジュール管理にパーフェクトコミュニケーション!」

春香「そして1つのミスも無い完璧なライブ!それが理想で、全てのプロデューサーさんとファンの皆が望んでいるものだよ!」

美希「で…そのアイドルたる春香は正しさのドレイなの?」

春香「それでいいよ。理想に殉じてこその、アイドル」じっ

春香「アイドルは、人に理想と夢の在り方を教える存在」

春香「そのアイドルが自分の夢を叶えることが出来ないまま、儚く消えてしまうようなことはあっちゃ駄目なんだから!」

春香「私はより尊くて、不滅なものにならないと…」

美希「そんな生き方、ヒトがすることじゃないの」

春香「当たり前だよ。アイドルとして生きるなら、ヒトとしての暮らしなんか望んじゃいけない」

春香「…美希には分からないだろうね」

美希「!」

春香「日常に刺激が欲しくて、暇潰しにアイドルになった様な美希には、私のアイドル道は分からないよ」フッ

春香「飽くなき自分の欲望を満たすためだけに、プロデューサーさんを求めるような恋愛脳のバカにはね!!」



    
     「――無欲なアイドルなんて飾り物にも劣るわいなの!!!!!」ゴオッ!!




春香「―――っ!?」ビクッ!!

美希「春香!春香は言ったよね、理想に殉じてこそのアイドルだって」

美希「なるほど、たしかに春香は凄いの。いつも誰よりも一生懸命で、シンシにまっすぐ自分の信じるアイドル像に向かって突っ走ってる」

美希「プロデューサーの期待を裏切らないように、ファンのイメージを裏切らないように、何より自分を裏切らないように」

春香「そ、そうだよ。それの何が…」

美希「けど、春香にはそれ以外が何も無い。空っぽなの」

春香「!」

美希「ただ自分の理想のアイドル像を追い掛けて、それになったらなったで、ただそれをこなし続けて」

美希「いつまでも満足することなく擦り減って行く…そんなイバラの道を歩く姿に一体誰が憧れるの!?焦がれるような夢を見るの!?」

春香「…………」

美希「アイドルはね、誰よりも強欲で、誰よりも欲があって」

美希「あ。誰よりも笑って誰よりも泣いて、そして誰よりも…激怒する!良いも悪いも人間の人知を超えた、そんな存在なの」

美希「だからこそ、ファンの人達は『あんな風になりたいなー』とか思って、アイドルに魅せられるの!」

美希「そして一人一人の心に『私もまた誰かのアイドルであろう』とか何かそんなカンジに火がついたりするんだよ!」

春香「…………ッ」

美希「アイドルの権化的存在の春香!たしかに春香が創った理想のアイドル『天海春香』は」

美希「沢山のファンの寂しい心のスキマを埋めて、厳しい現実からの逃避場所となって愚民を救済したかもしれんの!」

美希「けど、ただ救われただけの連中がどういう末路を辿ったのか、それを知らない春香じゃないでしょ?」

春香「な、何を――」ヨロ…

美希「春香はファンを…プロデューサーを“救う”ばかりで現実へ“導く”ことをしなかったの」

美希「アイドルの欲のカタチを示すこともなく、道を見失ったプロデューサーを捨て置いて」

美希「ただ独りで張りついた笑顔のまま、小奇麗な理想のアイドルとやらに想い焦がれていただけなの」

春香「…………」カタカタ

美希「だから春香は生粋の“アイドル”では無いの」

美希「自分の為じゃなくて、他の人の為の“アイドル”という偶像に縛られていただけの、唯の――」



         「――小娘に過ぎんの」



春香「」

美希「フー。大体こんな感じの話だったの」

亜美・真美「「多分だけど、全然違う」」



        おしまい

終わりです。
「アイドルとはかくあるべきか」という問題提起になれば重畳。
お付き合い頂きありがとうございました。

~おまけ・終演後~

亜美「え、本当にこんな感じでただ話してるだけで終わったの?11話」

真美「伊織ん(アーチャー)とミキミキ(ライダー)がイチャついて、はるるん(セイバー)がフルボッコにされて終わり!?」

美希「まぁゲンミツに言えば、この後にアサシンが攻めて来て、それをミキの最強宝具で蹴散らすシーンがあるけど」

美希「それを再現するの流石にムズいからカットしたの」

伊織「春香を更に凹ませるという意味では、あのシーンは大事なトコだけどね」

春香「ていうか……私何故か本気でダメージ受けてるんだけど…」

亜美「おぉ隅っこでずっと『私は……私は…天海春香だから…』って言ってたはるるんが復活」

春香「ねぇ美希…ただの演技だよね?個人攻撃的な他意無いよね…?」

美希「あはは。やだなー春香、そんなの…」

春香「そ、そうだよね。いやーなんかやけにシンクロしてる所あったからてっきり…」

美希「7割2分くらいしか無いの」

春香「おんどりゃあっ!!!」

           ホントにおしまい

こんなことなら欲しいツッコミ全部自分で書けばよかった

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