セレナ「うふふ...。明日のバレンタイン...このチョコレートでサトシの心をゲットしてみせるわ」
自分の血液を混ぜたチョコレートに蓋をし、セレナは不気味な笑みを浮かべている。
セレナ「魔女の呪術チョコレート...。これをサトシに食べさせればどんなに他の女を愛しても私の事を好きになる!...クックック。明日が楽しみね」
鏡台に置かれたサトシの写真をくしゃくしゃにするとセレナはそれを口の中へ放り込み、愛おしそうに飲み込んだ。
サトシとの幸せな生活を想像しながらベッドの中に入り、眠りに落ちた。
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サトシ「こんなトコに呼び出してどうしたよセレナ?」
セレナ「実は...これをあなたに渡したくて!」
セレナはピンク色に彩られた袋をサトシに差し出す。
サトシは首を傾げながら袋を受け取り、中身を確認してみる。...中にはチョコレートが入っていた。
サトシ「そっかー!今日はバレンタインだったなー!」
セレナ「頑張って作ったの///サトシに食べて欲しくて...」
サトシ「そっか!なら早速...」
セレナ(タベロタベロタベロタベロタベロタベロタベロタベロタベロタベロタベロタベロタベロタベロタベロタベロタベロタベロタベロタベロタベロタベロタベロタベロタベロタベロタベロタベロタベロタベロタベロ!!!)
サトシがチョコレートを食べようと...したその時だった。
手元のチョコレートが宙に浮かび上がり、神々しい光を発しながら人型に変わっていく。
サトシ「あ、あれは...!」
セレナ「な、なぜっ!私が作ったチョコレートにあんな呪術はない!!」
神々しい光が収まり、チョコレートだったモノは地上に降り立った。
サトシは息を飲んだ。見知った顔だったからだ。
『英雄』の肩書きを持つニヒルな糸目をしたクールガイ...タケシだった。
タケシ「久しぶりだなサトシ」
サトシ「ホントだよタケシ!!お前が宇宙に打ち上げられたって聞いた時は...俺寂しくて寂しくて...たまらなかった!」
タケシ「すまん。でも...これからは一緒だ」
サトシ「うん」
セレナ「わたしの...サトシに触るなッ!糸目!!」
獣を彷彿させる構えからセレナはタケシに向かって駆け出した。彼女の動きからは憎悪を感じさせる。
タケシ「余計な力は使いたくないが仕方ない」
タケシが右腕を上げるとセレナの体が硬直した。まるで時を止められているようだ。
セレナ「う、うごけ...ない...」
セレナの足元が徐々にチョコレートになっていく。思考を巡らせて逆転を考えるが『詰み』である状況では何も出来ない。
セレナ「たす...け...さ...としぃ...」
数分前には1人の人間だった巨大なチョコレートの像が右手を伸ばし助けを縋っていた。
サトシ「死んだのか...?」
タケシ「サトシの前で殺しはしないよ。魔法を掛けただけさ」
サトシ「魔法?」
タケシ「彼女を愛する人がこの像に触れれば魔法は解けて元に戻る」
サトシ「なら...安心だな!」
セレナが生きていた事が分かり、サトシは元気を取り戻した。
サトシ「タケシが宇宙から帰ってきた事だしさ!『2001年 宇宙の旅』でも見ようぜ」
タケシ「面白そうだな~」
2度と離れないように2人は手を握ると幸せの方向へ歩みだした。
ーENDー
ーエピローグー
セレナ「う、うーん...」
???「セレナ...大丈夫かい?」
セレナ「て、ティエルノ...?あれ...?私...動けるの...?」
ティエルノ「もう大丈夫だよ...!僕が君に掛かった呪いを解いたから」
優しく抱きしめるティエルノを受け入れ、セレナは元に戻れた喜びと真に愛する者を得た事に感激し、表裏のない爽やかな笑みを浮かべた。
セレナ「...あなたが私を正しい道に戻してくれた。好きよティエルノ」
ティエルノ「オーライ!僕もさ」
人生を共に歩むパートナーを得た2人は絆を確かめ合うように口付けを交わした。
この絆が断ち切れる事はないだろう。
ーhappy endー
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