女友「ストーカー?」 女「うん」 (66)



女友「に、あってたの?」

女「うん」

女友「うわーやっぱあるんだ~そういうの…さすがモデル」

女「元、だけどね」

女友「今は運営してる側だもんね」

女友「ってか、もしや2年前に急に辞めちゃったのってそれが原因?」

女「あっううん、そのせいってわけじゃないよ。 関係なくもないけど」

女友「どういうこと?」

女「んと…」

女「ストーカーはストーカーでも、いいストーカーだったの」

女友「……はい?」

女「小学校のころからだったし」

女友「小学校!?」




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女友「待って、そんな昔から? ストーカー?」

女「といっても最初は気づいてなかったんだけど」

女友(まぁ、こんだけ可愛ければいるのか…)

女友「気づいてなかったって?」

女「中学生のときに、あれももしかしたら~って」

女友「…?」

女友「話が見えないんだけど、嫌じゃなかったら具体的に聞いても?」

女「あ、うん。 ごめんね説明ヘタで」

女友「いやいや、あたしこそ蒸し返す感じでごめん」

女「ぜんぜん」

女「最初は…3年生くらいだったかなぁ」





女(小学生)「……」テクテク


女(うー…)

女(ここのおうちのワンちゃんすっごいほえてくるんだよね)

女(前はいなかったのに。 飼いはじめたのかなぁ)

女「……」チラ

イッヌ「……」

女(寝てる…?)

女(そ~っと歩けば大丈夫かも)ソロ~

イッヌ「ゥヴァアアアアウ!! バウワウ!! ワウ!!」

女「きゃあああああっ!?」

イッヌ「アヴァアアアバゥワァァァ!!」

女「うわぁぁぁんおかーさぁああああん!!」ダッ

イッヌ「ンアァァアア!! ゴァアアアア!!!」



男「……」





翌日


女(はぁぁ…とお回りしたいな)テクテク

女(でもここ通らないとすっごくとおいし)

イッヌ「……」

女(うー、こわいよぉ)

ヒュッ

イッヌ「!」

女「へ?」

女(いま、ホネ?みたいなのがとんでったような)

イッヌ「ワンワン!」

女「あ」

イッヌ「グヘヘッイヒヒヒッハァ」

女(めっちゃ食いついてる! きもちわる!)

女(あっでも、いまがチャンスかも)タッ

イッヌ「ハァハァハァハァ」ゴロゴロ

女(やった、ほえられなかった!)





女「それから私が通ろうとするたびに、後ろからホネ的な何かが投げられるようになってね」

女友「怖いわ」




女友「犬が気になりすぎるんだけど…」

女「あと、給食の話もあって」

女友(スルーかい)

女「私の学校には給食を残しちゃダメって決まりがあったんたけど」





女(小学生)「……」ジー

先生「女さん、ちゃんとニンジン食べなきゃダメでしょ」

女「だってー…まずいんだもん」

先生「好き嫌いはいけません。 食べきるまでお昼休みになりませんからね」

女「すくはらだぁ」



男「………」






先生「先生が戻ってくるまでには食べなさいね」ガタ

女「うぅ」

女(もう食べてるのわたしだけ…あそびたいのに)

女「ニンジン…」

女「……」カジ

女「うっ、おえぇ」

女(こんなにいっぱい、ぜったいムリ)

女(でものこしたらおこられるし……もうやだぁ)ジワ

女「ぐすっ、えぐっ…」


先生「あら」

女「!」

女(やば、先生もどってきちゃった)

先生「女さん、すごいじゃない!」

女「……へ?」

先生「あと小さいの1個だけ。 がんばったのね」

女(あれ? ほんとだ、1コしかのこってない…?)





先生「ここまで来たらもう一息よ、ささっと食べちゃいましょう」

女(なんで? あんなにあったのに)パク

女(うぇ…まず……でも1コだけなら)

女「……」ゴクン

先生「ちゃんと全部食べられたじゃない。 えらいわ」

女「いえ…」

先生「実は先生も昔はニンジンがすごく苦手だったのよ」

女「え? 先生も?」

先生「でも、野菜には体に必要な栄養がたっぷりあるの」

先生「今はおいしくないかもしれないけど、いつかきっと好きになれるわ」

先生「だからこれからもがんばりましょうね」

女「は、はいっ」



男「………」モグモグ オェ





女「それから嫌いな野菜で居残りするといつも勝手に残りが減ってて」

女「なんとか食べきって~って繰り返してたら、全部慣れちゃった」

女友「そう…」

女友(でも、それが今や野菜をつまみにお酒を飲める大人になってるんだから、成長と言えば成長なのか)





女友「っていうか、本当にそれストーカー? もはや怪談なんだけど」

女「うん。 だから人為的って気づいたのはもう少し後なんだぁ」

女友「あー、中学って言ったっけ」

女「なんとなーく登下校とかで視線を感じるようになったり」

女「それから…」





ザーー…


女(中学生)「えっ」

女(雨は夜からって言ってたのに…もう降ってる)

女(職員室で傘借りれるかな)


教師「明日、返却しに来なさい」

女「はぁい」


女(よかったぁ~ラスト1本。 ちょっとボロいけど)バサ

女「……」テクテク

ネッコ「ンナーオ」

女「わ、捨てネコちゃん?」




ネッコ「ホゲラホゲラ」

女「すごい鳴き声…寒いのかな、ちょっと待ってね」

ネッコ「ンゲゲゲ」

女(とりあえず拭いたはいいけどまた濡れちゃうよね。 でもうちじゃ飼えないし…)

女「……」

女(幸い、雨はそこまで強くない)

女(せめて今だけでも…ネコちゃんの雨よけに)ソッ

女「ごめんね、ばいばい」

ネッコ「ナァ~」

女(傘は…明日、先生に謝ろう)パシャパシャ

女「つめたっ」



男「………」





ザザーーーー


女「あわわわ」

女(急に雨強くなっちゃった。 雨宿り雨宿り)

女(ネコちゃん大丈夫かな)

女(ちょっと待ってれば弱くなるよね)


女「……」


女(全然やまない…)

女「くしゅん!」

女(うぅ、服が濡れて…いっそ家まで走ったほうがマシかも)

バサッ

女「ひゃっ」

タタタ…

女「え? あ、あのっ傘」

女(行っちゃった)

女(傘落としたまま気づかないとか…よっぽど急いでたのかな)

女(男…の子?)

女(顔は見えなかったけど、学ランだったしうちの中学かな)

女「……」

女(使わせてもらお)





翌日


女(結局、ネコちゃんももういなくなってた)


教師「傘?」

女「すいません、なくしちゃって」

教師「変だな、今朝キミの代わりにといって別の子が返しに来たけど」

女「え?」

教師「心当たりないの?」

女「いえ……あの、誰が来たんですか?」

教師「それがまだ全員の名前を覚えてなくてね。 ただ1年生だと思うよ、あの男の子」

女(同じ学年の男子…)

女(あっ、もしかしてあの傘の人?)

女「……」

女(でもぜんぜん思い当たらないや。 名前も書いてなかったし)

女(ううーん)





女(何人かに聞いてみたけど、やっぱりわからない)

生徒1「あ、やっべ!」

生徒1「次って鬼先生の授業じゃん、宿題忘れてた写させて!」

生徒2「えー…仕方ないな」

生徒1「恩に着る! あの人プリントやってこないと死ぬほどブチ切れるからさ~」

女(そうだプリント出しとかないと)ゴソ

女「…あれ」


女(家に置いてきたーーーー……)ガーン


女(えっやば! どうしよ)

女(でも、持ってくるの忘れたって言えば)

生徒1「マジ厳しいよなー。 俺前やったやつなくしたことあったけど、問答無用で説教だったぜ」

生徒2「ご愁傷様…」

女「…………」ガガーン







鬼「宿題集めるぞオラァ」

女(やっぱりどこにもない…)

鬼「後ろから回せー。 まさかやってない莫迦者はいないよな?」

女(あうあう)ガタガタ

生徒3「はい女ちゃん、…どしたの?」

女「あ……わ、忘れちゃって」

生徒3「えー!?」

生徒3「って、机に置いてあるじゃん」

女「へ?」

女(あれほんとだ)

女(いやちがう! 私の名前書いてあるけど私の字じゃない)

生徒3「ほらはーやく、回して」

女「あっご、ごめん」スッ

女(どうなってるの…?)




鬼「なぁーにぃ~? 持ってくるのを忘れたぁ~?」

女(…え?)

鬼「そんな言い訳が通用するかボケェ!!!」

男「……」ガタガタ

生徒1「うっひゃあいつ死んだわ、忘れるとかマヌケー」ケラケラ

生徒2「お前もだろ…」

女(男くん、だっけ)

女(まさかあの人が? ひょっとして傘も?)

女(でも確かじゃないし…何より理由がないし)

女(むしろ接点すらない)

女「……」

女(本人に聞いてみよう…!)





ガララ


男「……」フラフラ


女(帰ってきた!)

女(2時間も怒られてたんだ…)

女「あ、あのっ」

男「!」

女「えっと、男くん? ちょっと聞き」

男「」シュンッ

女「たいこと…ってあれ!?」

女(消えた!?)

ガララ ピシャッ

女(って思うくらいの勢いで帰っちゃった)

女(急ぎの用事かな)

女(また明日聞こ…)





翌日


女「ね、男く」

男「!」シュンッ

女(また!)



翌々日


女(ここで待ってれば…)

男「……」スタスタ

女(来た! チャンスd)

男「!」シュンッ

女「もはや気配で!?」



女(話すどころか目も合わせられない……)ズーン

女(嫌われてる? 私何かしたっけ)

女「……」

女(でもやっぱり、接点がない)





女「って感じで」

女友「……」

女「中学じゃ1回も声すら聞かなかったよ」

女友「あんたの周りは化物しかいないの?」

女友「しかも結局、それじゃその人がストーカーなのかも分かんないよね」

女「毎日つけられてる感じはあったんだよ」

女友「特定できたの?」

女「ううん。 回り道で待ち伏せしたり、ダッシュで戻ったりしたけどぜんぜん」

女友「ダメじゃん」

女「逆に何やっても特定できなかったから、じゃあ男くんかなって」

女友(人間じゃねぇ)

女「私がピンチになるといつも不思議と助けが入って…高校の頃にはもはや空気だったなぁ」

女友「どゆこと」

女「ストーカーされてるのが日常すぎて気にならなくなっちゃった」

女友「うわぁ…」




女友「ん?」

女友「待って? ってことは高校にもその人いたの?」

女「いたよ」

女友「ってことは、あたしも知ってる?」

女「うん、だから男くん」

女友(男くん)

女友「……って、え!? あの、男くん!?」

女「うん」

女友「なんかいるかいないかすら微妙な、壁のシミみたいな隅っこ暮らししてたやつが? まさかのストーカー!?」

女「うん」

女友「えー、えー……世の中わからんもんだな…」

女友「たしかにあんたが1年の途中からモデル業始めて、追っかけ? ファン?」

女友「みたいなのは結構いたけど」

女「男くんのほうがはるかにベテランさんだよー」

女友(ストーカーのベテラン…)





女「高校もいろいろあったけど、一番はアレかなぁ」

女友「どれ」

女「私、出席できなかったり成績悪かったりで、卒業できなさそうだったの知ってる?」

女友「あー言ってたね。 特別に一発逆転のテスト受けてなんとかなったんだっけ?」

女「うん。 そのテストを受け逃したらアウト~」

女「って日の朝」





女(高校生)「ふ、ふふふ」

女(大丈夫、死ぬ気で勉強したしダイジョウブ、ワタシナラヤレル)フラ…

女(今日…今日さえ乗り切れば)

プシュー

女(電車でちょっとでも寝てこう)

女「……」スゥ…






車掌「お客さん」

女「……」スヤァ


車掌「お客さん、起きて!」

女「…はえ?」

女(あれ…)

女(あ、そっか私、電車で寝て)

車掌「ほらもう終点だよ、降りて降りて」

女「へっ」


女(終点ーーーー!?)ガーン


女(えっうそ、ここどこ?)

女(ってかいま何時)チラ

女「……」

女(終わったーー……)




女(隣の県だし。 折り返しの電車は…だいぶあと)

女(あと30分で学校着くとかムリだ)

女(落第したら仕事も続けさせてもらえないのに…うぅ)グス


パシッ


女「へっ」

男「……」グイ

女「ひゃっ…? お、男くん!?」

男「来て」

女「!?」

女(言葉を発した! 人間だったんだ)

キィ

タクシー運ちゃん「お待ちィ」

女「え」

タク「行き先は隣県の○○高校ね、ほら乗った乗った」

女「や、あの、私じゃ」

タク「なぁにお代は貰ってるよ」

タク「それに嬢ちゃん? 時速360km出しゃあ30kmなんて5分だぜ」

女「……」

女「はい?」

タク「舌噛むなよォ」

女「えっちょっt」ブォンッ!!

タク「イヤッホォォォォォウ」

女「」


男「……」ヒラヒラ~






女「それでなんとか間に合って、無事卒業できました~」

女友「……」


女「そういえばタクシー降りるときにモンスターエナジーくれたのもよかった」

女友「モンスターだわ、いろいろと」

女「まだあるけど聞く?」

女友「ううんもうお腹いっぱい」

女友(しかし男くんかー…得体の知れんヤツ)

女友「あ、でも」

女友「結局モデル辞めたのってなんでなの? 関係はあるって言ってたからそこだけ知りたい」

女「あー」




女友「もしや、ついにそいつのストーカーが悪質化したとか?」

女「ううん」

女「実は2年前、事務所の忘年会の日、ある男の先輩がね…」





先輩「女さん女さん」

女「はい?」

先輩「風の噂で聞いたんだけど、なにやらストーカー被害にあってるんだって?」

女「え、と…」

先輩「危ないし、今日の帰りは僕の車で送ろう」

女「え? いえ、でも先輩さんは」

先輩「ああ、これはノンアルだから大丈夫だよ」

女(そうじゃない)





女「申し訳ないですし、ひとりで帰れます」

先輩「なぁに可愛い後輩のためなら一肌脱ぐさ」

女「あー…」

先輩「もちろん、服を脱いだっていいよ?」ボソ

女「ははは」

先輩「それじゃあまた後でね」

女(…苦手だなぁ)


幹事「えんもたけなわゲートウェイ」


女(こっそり帰っちゃおうかな)ソロ~

先輩「さっ行こうか」

女(あうち)

先輩「すぐ近くに停めてあるからね」

女「はあ…すいません」





ブロロ…


先輩「確か女さんの自宅はこっち方面だったね」

女「あっはい」

女(なんで知られてるんだろ)

先輩「乗り心地はどうだい?」

女「快適です」

先輩「それはよかった」

先輩「まあシートもキミ専用に座りやすい形状を特注してあるから、当然と言えば当然だけどねハハッ」

女「ははは」

女(……なんで知られてるんだろ)




先輩「ペチャクチャペチャクチャ」

女(この人最近やたら話しかけてくるなぁ)

先輩「ペチャクチャ、女さん聞いてる?」

女「え、あ……なぜベストを尽くさないのか…でしたっけ」

先輩「んー、全然違うよ」

女「ごめんなさい、ぼーっとしてて」

女(ってか、なんか、眠…)ウト

先輩「大丈夫? 飲みすぎちゃったかな?」

女「そうでもないと思うんですけど…」

先輩「疲れもあるのかもね。 近くになったら起こすから、寝てていいよ」

女「…すいません」

女(やっぱり少し酔ってるのかな)


女(うー、ダメだ眠い)コテ

先輩「……」ニヤ






女「……」

女「…ん」


先輩「お目覚めかい?」

女「先輩さん…」

女(って、え?)ギチ

先輩「やれやれ、全くキミは寝顔も殺人的に可愛いね」

女「………あの、なんですかこれ」

先輩「ああ、ちょっと準備をね」

女「何の準備で私の手足を縛ることになるんでしょうか」

先輩「ハハッ、そりゃあ逃げられたら困るからだよ」

女「っ!」

女(この人…!)






先輩「もっとも、走って逃げられる距離に民家のある場所じゃあないけどね」

女「…私に何するつもりですか」

先輩「楽しいことさ」

女「今すでに楽しくないです」

先輩「はっは、そういうところもお気に入りだよ」クイ

女(うえっ…)ゾワ

女「先輩さんは、奥さんいますよね? こんなことしちゃダメです」

先輩「でもキミにはいない。 そして僕は知られなければ何も問題ない」

女「…やめたほうがいいですよ」

先輩「あくまで強気なんだね」

女「事務所に知られたらどうする気ですか」

先輩「ああそういうこと」

先輩「なに、僕がいなくなったらあそこは終わりだ。 それに新人のキミより僕のほうが立場は強い」

女(もみ消すつもり…?)





女「…失礼ですけど、先輩さんにそこまで信頼が置かれてるとは感じません」

先輩「ハハ、確かにそういう空気かもね。 可愛い子には大体手を出しているし」

女「なら」

先輩「じゃあなぜ僕はこの地位を保っていられるのか」

女「!」

先輩「人生の先輩として一ついいことを教えてあげよう」

先輩「信頼や信用はね、お金で買えるんだよ」

女(この人…!)

先輩「分かるかい?」

先輩「ここでキミがどんな目に合い、事務所の誰にどう報告しようとも、意味がない」

女(全体が買収されてるってこと)

先輩「そんな事実は存在しない。 決定的な証拠でもない限りね」

女「とんだクズですね…」ギロ

先輩「おっ」






先輩「いいねいいね~その目、たまらないよ!」ゾクッ

女「…しかも変態さんですか」

先輩「キミみたいな純朴な子の顔が嫌悪や絶望に滲む。 それが見たくてやっているようなものだからね」

女(下手に抵抗したら思うつぼ…)ギリ

女(けど、じっとしてても逃げられない)

先輩「さて」チャキ

女(ハサミ!?)

先輩「傷つけたりはしないさ。 暴れなければ、だけど」チョキチョキ

女「っ…」

先輩「さすが人気沸騰中モデル。 スタイルも抜群だ」

女「……やめてください」

先輩「ハハッ、態度が変わってきたね」

先輩「でもやめない」バサッ

女「あっ…!」




先輩「いやぁ美しい」

女「~~っ…」カァァ

先輩「まだ誰にも触れられたことのなさそうな形、ハリ。 やはり二十歳前後が一番だね」

先輩「もしかしてこんな所を見られるのは初めてかい?」

女「か、関係ないでしょ」

先輩「図星だね」

先輩「大いに関係あるさ。 興奮するじゃないか、こんな綺麗なものを最初に汚せるのが僕だなんて…」ゾクゾク

女「…はっ、汚れてる自覚はあるんですね」

先輩「あ?」ガッ

女「ぐっ!?」

先輩「何か言ったかな?」ニコ

女(息が……っ)





女「けほっけほっ、かはっ…」

先輩「いい加減自分の置かれている状況を理解したらどうだい?」

女「ひっ…」

先輩「ははっ! その顔、その顔だよ」

先輩「キミはいい。 おまけに初めてとくればこんなに素晴らしいことはない」

女(私…初めてをこんな人に…)

先輩「もう抵抗しないのかな? 残念、苦痛に歪む姿も見たかったんだけど」

先輩「もっとも」

先輩「痛~い思いはこれからするかもしれないけどねぇ」ズルッ

女「…っ!!」ビクッ

先輩「ははははは!」

先輩「いい反応だ。 実物を見るのも初めてなんだろうね」

女「や、だ…」

女「たすけっ…! むぐっ……!」

先輩「こんな僻地じゃあ大声で叫んでも無駄無駄」

女「むー、むーっ!」

先輩「まあ念には念を。 たまたま通行人でもいたら…なんて、そんなことありえないけどね」

男「……」

女(力、つよ……やだ、あんなので、私…っ)

先輩「大丈夫だよ、痛いのは最初だけ。 すぐに気持ちよく」

先輩「……」

男「……」

先輩「誰だお前」

女「!?」





先輩「は? ちょっ、いつから」

女(男くん!?)

男「……」●REC

先輩「待っ、おいなんだそれムービー? ムービーか?」

男「……」スッ

先輩「なんか喋れよ! …無言でポケットにしまうな!」

ダダダ ゲシッ!

先輩「ハウッ!?!?!?」

女(金的!)

先輩「アアア嗚呼嗚呼ンァヴァァァあああ!?」ゴロゴロ

男「……」チョキ

女(ロープが)

女「あ、ありがと」

男「……」ファサ

女(上着…?)

女「あっ…」カァァ






女(服…破れたままだった)

男「こっち」

女「うっうん」

先輩「コヒュー、コヒュー」

先輩「どこ行きやがったあの野郎ァ!」

女「……」ドキドキ

女「ね、どうしてここに?」

男「……」

男「ごめん」

女「え?」

男「防げなかった」

女「あ…これ?」

女「ううん、まだほとんど何もされてないし」

男「……」

女「初めてだね、こうやって喋るの」




女「ずっと私のことつけてたよね」

男「…うん」

女「私覚えてるよ。 吠えてくるワンちゃんから守ってくれたのも、傘のことも、テストも」

女「ぜんぶ男くんなんでしょ?」

男「……」

女「まだ、追いかけてくれてたんだね」

男「…ごめん」

女「なんで謝るの?」

男「……」

男「犯罪、だから」

女(あ、自覚はあったんだ)

女「どうして、私のこと?」

男「それは…」




男「……」

男「一目惚れ…」ボソ

女「えっ?」

男「小学生の時、怪我した僕を助けてくれた」

女「……」

女(そんなことあったっけ)

男「それから…」





生徒A「女ちゃんってかわいいよねー。 モデルさんみたい」

生徒B「こくはくされたりしないの?」

女「えっ、う、うーん」

生徒C「わたし、イケメンくんと女ちゃんがいっしょに帰ってるの見たよ」

生徒A「えー!? いいなぁー」

生徒B「つきあってるの!?」

女「ちっちがうよ!」

生徒A「いいじゃん、イケメンくんかっこいいしおもしろいし」





女「イケメンくんは、えと…かっこいいけど」

生徒C「好みじゃないんだ」

生徒A「えーもったいない。 じゃあ女ちゃんってどういう人がタイプなの?」

女「えっえっ」

生徒B「わたしもしりたーい!」

女(うー、こういうのニガテなのに)

女「あ、あんまりグイグイこない人…かな」

生徒A「うーん? どゆこと?」

生徒C「なるほど」

生徒C「つまり、陰からそっと見守ってくれる人……ってこと」

女「え」

生徒B「きゃ、なにそれオトナっぽい!」

生徒A「女ちゃんはかもくでさりげない、クールなとのがたがおすきなのね!」

生徒C「殿方て」

女(かってに話がすすんでいく…)



ワイワイ



男「……」





男「…と聞いて」

女(あ、その会話はちょっと覚えてる)


女「え? もしかして、それで?」

男「……」コク

男「けど途中からは、クセというか、後ろから見ていないと落ち着かないというか」

女(クセって)

女「あっじゃあ、もう私のことは好きじゃないんだ」

男「っ、そ、それは…」

女(あれ?)

女「まだ…好き?」

男「……畏れ多い」

女「えー?」






男「…と聞いて」

女(あ、その会話はちょっと覚えてる)


女「え? もしかして、それで?」

男「……」コク

男「けど途中からは、クセというか、後ろから見ていないと落ち着かないというか」

女(クセって)

女「あっじゃあ、もう私のことは好きじゃないんだ」

男「っ、そ、それは…」

女(あれ?)

女「まだ…好き?」

男「……畏れ多い」

女「えー?」





女(でも、そっか)

女(やっとわかった。 どうしてストーカーなのにずっと助けてくれてたのか)

女「こんなこと聞くのも変だけど、見守るだけでよかったの?」

男「?」

女「思わなかった?」

女「その…手を出したいとか、自分のものにしたいとか」

男「そ、そんなのは…無理」

女「無理?」

男「…女さんは」

男「僕には、眩しすぎて…近づくことすら危うくて」

女(そんなこと…)

男「触れでもしたら……死ぬ」

女「私こわっ」




女(だからあんな全力で逃げてたんだ…)

女「あれ? でも腕はつかめたよね」

男「!」ドキッ

女「さっきと、あと昔にも一度だけ」

男「ご、ごめんなさい」

女「ううんそうじゃなくて…」

女「死なないよ」パシ

男「っ!?」

女「ね?」

男「あ、あの…」

女(手、あったかい)

女「証拠、撮ってくれてありがと。 これで私の話は事実になる」

男「……」

男「データは、もう僕の自宅のパソコンに送ってある」

女「え、私のはだか……保存用?」

男「」ブッ

男「そ、そうじゃなくて! これを囮に逃げられるように」ガサッ

先輩「!」

先輩「そこか!!」ダッ

男「!?」

女「あ…」





先輩「フフハハ、間抜けめ」

先輩「大人しくデータを寄越してもらおうか。 そうすれば見逃してあげるよ」

男「っ…」

男「……」スッ

先輩「素直でよろしい」

先輩「だが、賢くはないなぁ!」バキッ!

男「ヴッ!?」

女「男くん!?」

男「が、っは、おぇっ…!」

女「だっ、大丈夫!?」

女「ちょっと…約束がちがうじゃないですか!」

先輩「約束? 僕はデータと言ったんだ」

先輩「通信機器という時点でもう物理的な端末は無価値。 こんな口車に乗るのは本当に愚かだよ」

女(こいつ…!!)





先輩「もっともその愚かさに僕は救われたかもしれないけどね。 これで拡散する前に全て消せる」

男「……」

先輩「そして」

先輩「キミらには少々痛い目を見てもらわないとねぇ…?」

女「っ!」

女「ごめん…私のせいで」

男「…ううん」

男「それより、聞いて」ヒソ

女「え?」

男「ーーー」

女「……」






女(たしかにそれなら…でもうまくいくか)

先輩「なーにコソコソしてるのかなぁ!?」

女「ひゃっ!?」

男「!!」バキッ

男「あっ…ぐっ…」

女「男くん!」

先輩「…邪魔を」

先輩「ほら、どけよ! ほらほらぁ!」ゲシッ ベキッ!

男「がっ、あぎっ…!」

女「男くん! やめて、もうやめて!」

先輩「ははははは! いいねぇその声! 顔が見えないのが残念だよ」

先輩「まあ、キミを守る盾もそうは持たないんじゃないかな!?」バキッ ゴキッ!

男「っ……!!」グッ

女「男くんもういい…もういいよ!」

男「……」フルフル

女「先輩さん、私言いませんから!」

女「誰にも言わないし…私ならなんでもしますから! だからもうやめて!!」

先輩「へぇ?」





先輩「なんでも、ね。 それはいいことを聞いた」

男「……」ハァ ハァ

女「なんでもします…だからこの人に手を出すのはもう…」

先輩「なに、僕も鬼畜じゃあない。 そこまで言われたなら考える余地はあるさ」

男「だ、め…女さん」

女「いいの、元々自分のまいた種だもん。 私の体ひとつでどうにかなるなら」

男「それ、だけは…」

女「男くん」

女「今まで守ってくれてありがとう」

女「だから今度は……私がキミを守る番」

男「っ…」

女「守らせて」

男「……」




女「それに、そのほうがチャンスはあるかも」ヒソ

男「!」

男「でも…」

女(もしうまくいかなかったら…本当に終わり)

女「わかってる。 これは賭け」

女(だから…)グイ

男「?」

女「……」チュ

男「……」


男「!?!?!?」


女「…おまじない?」

男「あ、え……」カァァ

女「なんて、せめてこの初めてだけはーっていう保険、もあるんだけど…」

男「………」ドキドキドキ

女「いや…だった?」

男「……」ブンブン!

女「へへー、よかった」






女(よし…!)

男「……」ドサ

女「男くん! しっかりして!」

先輩「ハハ、ようやく倒れたか」

女「あ、あ…」

先輩「女さん、こっちへ」

女「でっでも」

先輩「ああ!?」

女「ひっ!」

先輩「なんでもするんだろう? それとも瀕死の彼にとどめを刺すかい?」

女「っ、……わかりました」


先輩「この辺りでいいかな」

女「こ、ここで?」

先輩「実はキミの体を見てから我慢ならなくてね。 ちゃんとまだ使い物になっていてよかったよ」ズルッ

女(うわ…)





女「…どうしたらいいですか」

先輩「そうだね、まずは舐めてもらおうか」

先輩「経験は…って、ないんだったね。 大丈夫、難しいことじゃない」

女(これを…)

女「……」チロ

先輩「おふぅ」

女(うぅ、気持ちわる)

女(でも今のうちに…!)

先輩「いいよ、今度は咥えてみようか」

女(ない…どこ? どこにあるの?)

女「ん…」

先輩「歯を立てないようにね」

女「…こう、れすか」

先輩「上手上手。 吸ったりしながら上下に動かして」

女(うえぇ……)

女(ぜったい、どこかに…!)





女(こっち? じゃない。 服のほう…?)

女「あの、横になってもいいですか」

先輩「うん? ああ足が疲れるよね」

先輩「これでいいかな」ゴロ

女「ありがとうございます」

先輩「ん……いいね、女さん、とても未経験とは思えない」

女(ポケット、残るはここだけ…)チャリ

女「…!」

女(これだっ)

先輩「アッアッデソウ」

女「てやぁ!」メコッ

先輩「ンアバァッアアアア!!?」ビュッフェ

女「男くん!」ダッ





女「立てる!? あったよ、車のキー!」

男「…!」

女「あそこまでちょっとだけがんばって! 私が支えるから」

男「ごめん…っ」グッ

先輩「アアアアー!! イイイイー!!!」ゴロゴロ

先輩「くそおおォォ!! 絶対に許さんぞ虫けらどもォ! じわじわとなぶ」

女「こっち! もう少しだよ!」

男「はぁ、はぁ…」

先輩「っ、僕の車を…!? させるかァ!!」

ヌルッ

先輩「ぎゃん!」

女(ラッキー、なんかこけた!)

女「着いたよ乗って!」

男「……」ヨロ

先輩「くそっなんだこの白い液はトラップか!?」

ガチャ バタンッ

先輩「はっ!」

女(間に合った…!)

先輩「く、くそがあああああ!!!」





女「よかったぁー! 助かったよぉー!」

男「女さん…大丈夫?」

女「うん、…あっ」

女(ちょっとだけアウトだったけど…)

女「でも平気」

男「…そっか」ホッ

先輩「待てコルァァ!!」

女「やばっ逃げなきゃ」

女「……」

女(エンジンってどうやってかけるの?)

女「男くん、このキー…鍵開けるボタンしかない」

男「え」




女「エンジンって家の鍵みたいにさして回す…んだよね?」

男「おそらく…」

女「え、じゃあこのキーは? あと男くん免許ある?」

男「無免許…」

女「私も…」

女(いやそれはこの際いいとして…発進できない!)

先輩「はーっはっはぁ! スマートキーも知らないんだねぇキミたち!」

女(なにそれ!?)

女「スマホがないと使えないのかな…?」

男「さ、さぁ」

先輩「もう逃げられんぞ、観念して開けるんだ!」

女「……」

男「……」

先輩「おい開けろ! 開けろったら! …あと1分で酸欠になるぞ!」ガンッガンッ

男「…それはない」

女「籠城!」




先輩「チッ、こうなったら窓を…許せレヴォーグ」

先輩「オラァ! 痛い!」ガンッ!

女(頑丈だ!)

女「そうだ警察、今のうちに」

女「って私もスマホは取られてたんだ……」ガーン

男「…大丈夫、通報はしてる…から」

女「え?」


ウーーウーー


先輩「!?」

先輩「予め呼んでたのか…!?」

女「男くんすごい!」

男「……」

先輩「…っ~~」ギリッ

先輩「チクショオァァァア!」ダッ!






女(逃げてっちゃった)

女(でも助かったんだ、本当に)

女「よかったぁ…」ヘナ

男「……ごめん」

女「なんでよ。 男くんがいなかったら私もうダメだった」

男「……」

女「…ありがと」ギュッ

男「っ…!」


ファンファン


女「あっ警察」






女(これでもう安心…)ガチャ

警察「大丈夫ですか!」

女「はっはい、なんとか」

警察「さぁこちらへ」

女(証拠の動画は男くんの家にあるし、それを届け出れば)

警察(青いジャケット…は女性が着ているものか。 それ以外の特徴は合致)

警察(争った形跡、被害者に性的暴行があったのは間違いない)

警察「取り押さえろ」

ポリスメン「「「はっ」」」

女「……え?」

男「……」

警察「通報のあったストーカー規制法法違反」

警察「および、強制性行等罪の現行犯で…逮捕する」カチャ

女「!?!?」




女(え、え? なんで男くんが?)

男「……」

警察「連れて行け」

ポリスメン「「「はっ」」」

女「ま、待ってください! その人は」

警察「ご心配には及びません」

警察「きちんと処罰しますし、報復等についてもフォローの手段をお話しましょう」

女「っ、そうじゃなくて」

警察「さぁ乗って。 中に毛布もありますから」

女(話聞いて!)


ブロロ…


女「あっ…」

女(男くん……通報ってまさか……)


女「あ、うぁぁ……!」ヘタ…







女友「………」



女友「っていうドラマを観た?」

女「ううん、ほんとの話」

女友「うそぉ…」


女友「それ結局、男くんはどうなったの」

女「……刑務所に入っちゃった」

女友「事実じゃないのに!?」

女「強姦とかそういうのは私が否認してなんとかなったよ」

女「でもストーカーは男くん自身が大量の証拠を持ってて…」

女友「ああ…そりゃ10年以上も続けてればね」

女「男くんからは、一通だけ手紙をもらったの」

女「このままじゃいつか本当に私や、いろんな人を不幸にするから」

女「きちんと罰を受けて更生して、やり直したいんだって…」

女友(それであえて刑罰を、か)





女友「てか、あたしその話知ってた。 あれだよね? 2年前に突然失踪した有名モデルの」

女「そうそう、整形して海外に逃げてたみたい」

女友「大丈夫? あんた恨まれてるんじゃ…」

女「あはは、たぶん」

女「でも今は捕まってるし、保釈後の動向も注意するつもり」

女友「芸能界は大変だねー…いろいろと」

女友「あたしなんも力ない一般人だけどさ、もし手伝えることあったら言ってね?」

女「うん、ありがと!」ニコ

女友(あーかわい)





女「…あっ、こんな時間」

女「ごめん私そろそろ行かなきゃ」

女友「あー、仕事? がんばれー若手オンナシャチョーさん」

女「へへ、ありがと。 がんばる」

女友(1人で事務所立ち上げてたった2年で軌道に乗せつつあるんだもんなぁ。 恐れ入るわ)

女「ある意味仕事だけど…個人的な用でもあるかなぁ」

女友「ふーん?」

女「…女友ちゃん、もしかして今日まだヒマ?」

女友「え? うんまあ」





女「じゃあ、よかったら早速、ちょっと手伝ってほしいことが」

女友「!」

女友「もち! なんでも言って!」

女「あ、あのね」

女「私、どうしても秘書にしたい人がいるの。 でも、どうにも難航してて」

女友「…? リクルートってこと?」

女「うんっ」

女友(秘書ねぇ。 逆に今までいなかったんだ)

女「えーと発信器は…うーん気づかれたか。 ちょっと待ってね」

女友「うん……うん?」

女「えーっと」ペラペラ

女「今日は○○地区の土木工で働いてる可能性が高いかな」

女「あっでもこの頃ネットの登録をカモフラにして電話でってこともあるから」

女「それに最近知人経由でいくつか働き口見つけたみたいで」

女「ほら見てこれ! この前なんて夜中の3時に家出てたんだよ? あっやば、かっこいい…」ウットリ

女友「……」





女「やっぱり前科があると安定した仕事って難しいだろうし…だから、私の秘書なんかぴったりだと思うんだよね」

女「103日前に出所した時すぐ声かけたんだけど全力で走ってっちゃって」

女友「……」

女「それから毎朝玄関前で待ってたのに、なかなか出てくれないなーって思ったら、知り合いの家に泊まってたっぽいんだぁ」

女「でもそんなに頼れる人は多くなかったみたい。 全部で7ヶ所だったかな」

女友「へ、へー…」

女友「ちなみに、その人ってその、男くん…だよね?」

女「そうそう!」

女「大丈夫かな、昨日なんて1食しか食べれてなかったんだよ? うちに来れば3食ちゃんと私が食べさせられるのに」

女「それに眠れてないみたい。 睡眠の波形も乱れがちで……うー、かわいそう」

女友(あんたのせいでは……え? 波形?)

女「毎晩ふかふかのベッドで寝かせてあげたいなぁ」

女「あっでも同じ部屋だからもしかして…きゃーっ」カァァ

女友「…………」





女「と、いうことで」

女「女友ちゃんには、男くんが逃げないように捕獲する役を頼みたいんだよね」

女友「う、うん、そっか」

女「……いいかな?」ジッ

女友「わかった可愛い。 でもちょっと待って」

女「?」

女友「……」ピポパ

女友「……」プルルル


女友「あ、もしもしポリスメン?」





おわり


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