時は遡り…。

穂乃果「いやぁ。よく寝たなぁ。お陰で部活頑張っちゃうよ」

海未「授業中に寝ないで下さい」

穂乃果「だってぇ。お昼の後って眠くならない？」

ことり「穂乃果ちゃんは寝るの大好きだもんね」

穂乃果「あはは。そうなんだよねぇ」

海未「全く。笑い事じゃないですよ。穂乃果は生徒会長なんですからね」

穂乃果「分かってるよぉ～」

ガチャ

凛「絵里ちゃん。元気出して」

絵里「ありがとう、凛」

穂乃果「皆んなで絵里ちゃんを囲んで何かあったの？」

凛「あっ！穂乃果ちゃん！」

真姫「私達も今来た所なんだけど。部室に来たら絵里が落ち込んでて」

穂乃果「そうなんだ。絵里ちゃん…何かあったの？」

絵里「穂乃果…」

希「もう皆んなに話を聞いてもらったら？」

絵里「でも…」

ことり「希ちゃんは絵里ちゃんが落ち込んでる理由を知っているの？」

希「うん。まあね」

花陽「絵里ちゃん。私で良ければ全然話聞くよ」

海未「そうです。話す事でスッキリするかもしれませし」

にこ「そうよ。話しちゃいなさいよ。目の前でウジウジされてもこっちまで気が滅入るから」

絵里「皆んな…ありがとう」

穂乃果「絵里ちゃん。気がすむまで話していいからね」

絵里「じゃあ、お言葉に甘えさせて貰うわ。昨日の夜の事なんだけどね。駅前の人気店のチョコレートケーキを亜里沙と二人で食べようと思ったの…」

穂乃果「うん」

昨日、絢瀬家。

絵里「ふっふん～。ずっと気になってたのよね～ここのケーキ！亜里沙も喜ぶだろうな～」




亜里沙「うん。でね～」

ガチャ

絵里「亜里沙！ケーキ買って来たんだけど～」

亜里沙「お、お姉ちゃん…な、何？」

絵里「いや、ケーキを」

亜里沙「今、電話中だから。ノックもしないで部屋に入って来ないで」

絵里「あっ、ご、ごめんね。あのケーキは」

亜里沙「後で食べるから。いいから出てって」

絵里「ご、ごめん。亜里沙、ごめんね」

亜里沙「分かったから」

絵里「って事が…」

穂乃果「…」

海未「…」

ことり「…」

真姫「…」

凛「…」

花陽「…」

にこ「…」

絵里「亜里沙…今まであんな事…言った事なんてなかったのに…」

真姫（いや…ノックもせずに部屋をいきなり開けられたら亜里沙ちゃんだって怒るでしょ）

にこ（そりゃそうよ。割とデリカシーないのね）

ことり（電話中だもんね。お姉ちゃんに聞かれたくない話だってあるかもしれないよね）

凛（絵里ちゃんの方が妹離れ出来てないんだなぁ。そっかぁ）

穂乃果（私も雪穂によく怒られるけど。ここまで落ち込みはしないなぁ）

海未（こういう場合はなんと言って慰めればいいのでしょう）

花陽（うぅ…誰も何も言わないよぉ～）

希（皆んなの気持ち分かるわぁ。でもな、ウチなんて昨日電話で1時間以上話を聞かされたんやからな。お陰で寝不足や）

絵里「はあ…反抗期なのかなぁ」

真姫「あっ、えっと。それはないんじゃない」

にこ（おっ！真姫が喋った）

絵里「そうかな？」

真姫「うん。いや、だって亜里沙ちゃんに限って…えっと…ねえ？」

凛「うん。うん。真姫ちゃんの言う通り！亜里沙ちゃんは反抗期なんかじゃないよ。ノックされずに部屋の扉を開けられたら反抗期じゃなくたって嫌だもん」

絵里「あっ、そうよね。デリカシー…なかったわよね」

凛「え？あっ、そう言う意味じゃ」

にこ（じゃあどう言う意味なのよ）

絵里「…」

真姫（凛どうにかしなさいよ。さらに落ち込んでるじゃない）

凛（え～ここからは無理だよぉ）

ことり「うん。そうだね。絵里ちゃんデリカシーが無かったかもしれないね。家族に聞かれたくない友達との会話だってあるよ」

にこ（え？ことり？）

穂乃果（ことりちゃんが急に厳しい事を言い始めた）

絵里「あっ、うん。そう…ね」

ことり「家族だもんね。ずっと一緒に暮らしているんだもん。私もそうだよ。つい、デリカシーがない事をしちゃったり言っちゃう時だってあるよね。私だってお父さんが急に部屋に入って来て嫌だなって思うし文句も言うけど…でも嫌いにはならないよ。だって大好きな家族なんだもん」

絵里「ことり…そうよね」

ことり「うん。だから気にしなくて良いと思うよ」

穂乃果（流石ことりちゃん！それっぽい事言って良い感じの雰囲気にしたよ）

にこ（ことり…文句言うだ…）

真姫（意外だわ…）

絵里「あの…ことり…一つ聞いていい？」

ことり「なあに？」

絵里「あの…家族に聞かれたくない友達との会話ってなんだと思う？」

ことり「え？」

にこ（え？それ聞く？）

真姫（それ聞くんだ…）

穂乃果（でも大丈夫。ことりちゃんならベストアンサーを返すはずだよ）

ことり「あの…恋愛の話とか…？」

絵里「やっぱり？」

ことり「あっ、分からないよ？亜里沙ちゃんは違うかも知れないし」

絵里「多分…恋愛関係だと思うのよね。あの電話…」

穂乃果「あの電話？」

絵里「少し相手の声が聞こえたのよ」

ことり「そ、そうなんだ。もしかしたら相手の子の相談にのってたとか」

絵里「相手の子…多分男の子」

ことり「あっ…そうなんだ」

絵里「うん…」

にこ「いや、だったら何なのよ」

絵里「え？」

にこ「相手が男の子でもいいじゃない。何の問題があるのよ」

凛「確かに。そうだよね」

絵里「それは…」

にこ「何？仮にその子が亜里沙ちゃんの彼氏だったりしたら」

絵里「か、彼氏…」

真姫「絵里？」

絵里「言わないようにしてたのに…」

にこ「何でよ！別にいいじゃない。悪い事してる訳じゃないんだから」

絵里「じゃあ、こころちゃんとかここあちゃんに彼氏が出来たとしたら素直に喜べる？」

にこ「喜べるわよ。赤飯炊いて祝福するわ」

絵里「でも、亜里沙はまだ中学生なのよ」

にこ「だからなんなのよ」

絵里「くっ…穂乃果！穂乃果だったら分かるわよね？年頃の女の子を妹に持つあなたなら」

穂乃果「え？私？」

真姫（絵里だって年頃でしょ）

ことり（絵里ちゃんは年頃じゃないのかな）

絵里「許せないわよね？」

穂乃果「いや～…うん。そうだね。嫌かもしれない」

絵里「ほら！」

にこ「何よ？あんたも絵里と一緒なの？」

穂乃果「だってさぁ。雪穂の方が先に彼氏出来るんでしょ？私なんて出来た事もないのにさ。姉としてのプライドが…」

にこ「確かに。それはあるかも」

真姫「それって自分の事ばっかりじゃない」

穂乃果「え～だって」

絵里「私は違うから。私は姉として亜里沙の事を考えて…」

にこ「だったら祝ってあげればいいじゃない。妹の幸せを願うなら。笑って送り出してあげなさいよ」

ことり（幸せって…中学生の恋愛でそれはそれで大袈裟じゃないかな…）

花陽（そんな重いはなしだったっけ）

絵里「でも…もしロクでもない男に引っかかってたら」

にこ「そしたら連れてきた時に改めて反対すればいいじゃない」

絵里「どう考えたって遅いでしょ！」

にこ「過干渉だからね。妹の恋愛に首を突っ込むとかめっちゃウザいからね。って言うか現に亜里沙ちゃんにウザがられたんでしょ？」

絵里「そ、それは…」

希「にこっち。それは言ったらアカンよ」

にこ「だって…」

絵里「あ…あ…」

希「ほら。また落ち込んでしまったやん」

凛「にこちゃんデリカシーないね」

にこ「はあ？」

真姫「もう。にこちゃんが怒ってどうするのよ。ややこしくしないでよ」

にこ「だってさぁ」

絵里「……」

穂乃果「絵里ちゃん…」

希「取り敢えず…今日はえりち機能しないと思うから。連れて帰るよ」

ガチャ

穂乃果「あっ、うん。バイバイ…」

希「それじゃあ。ほら、えりち。今日は帰ろう」

バタン

にこ「絵里って結構シスコンなのね…」

穂乃果「ね。姉離れ出来ない妹じゃなくて逆だったんだね」

ぐぅ～～～

花陽「あっ…」

別の日

穂乃果「えっと…絵里ちゃん？私達は何故休みの日に呼ばれたのかな？」

絵里「……」

穂乃果「絵里ちゃん？」

にこ「無視って…」

絵里「分かるでしょ」

穂乃果「いや…分かるけどね。亜里沙ちゃんを尾行してるんだよね」

希「こんな大所帯で尾行って…絶対バレるやろ」

にこ「本当よ。これからネット配信見ようと思ってたのに」

絵里「そんなのどうだっていいのよ」

にこ「そんなの？花陽…そんなのだって…」

花陽「にこちゃん…」

絵里「そんな事よ。それより見てよ」

亜里沙「ねえ？こんなのどう？」

男の子「あ～うん。すごくいいと思う」

亜里沙「も～ちゃんと答えてよ」

絵里「どう？どう思う？」

真姫「いい雰囲気ね」

穂乃果「ちょっと羨ましい」

絵里「ねえ？あの二人付き合ってると思う？」

にこ「あの二人が付き合ってるのかまだなのかは判断しかねるけど。一つだけ言える事があるわ」

絵里「な、何？」

にこ「妹のデートを尾行ってキモい。すんごいキモい」

絵里「はあ？」

ことり（それはそうだよ、絵里ちゃん。今回ばかりはにこちゃんが珍しく正しい事言ってると思うよ）

にこ「あんたその内亜里沙ちゃんに嫌われるわよ？」

絵里「例え…嫌われたとしても…私は…」

にこ「なんでそんな決意しちゃうのよ」

希「なあ、えりち。100歩譲って尾行するのはええけど」

にこ「100歩じゃ足りない」

希「尾行してそれでえりちはどうしたいの？」

絵里「間違った行為をしそうになったら止める」

真姫「間違った行為ってなによ」

穂乃果「絵里ちゃん破廉恥だよ」

絵里「そう言う事言ってるんじゃないの！」

穂乃果「え？なんか突っ込まれたけど間違ってた？」

凛「大丈夫だと思うよ」

絵里「駆け落ちとかするかもしれないじゃない」

希「いや、絶対ないと思うわ」

にこ「ドラマじゃないんだから」

希「普段の賢いエリーチカはどこに行ってしまったんや」

絵里「あっ！？」

穂乃果「え？何？」

亜里沙「ねえ、これは可愛いかな？」

男の子「あ、あのさ」

亜里沙「え？何？」

男の子「俺…絢瀬の事…」

亜里沙「私の事？」



穂乃果「うわ～これって告白だよね？」

ことり「うん。まだ付き合ってなかったんだね。可愛い…」

花陽「な、なんだかこっちまでドキドキしちゃうよぉ」

絵里「見てられないわ」ダッ

穂乃果「え、絵里ちゃん？」

にこ「あのバカ…」

男の子「絢瀬の事が…」

亜里沙「私の事が？」

絵里「ダメよ亜里沙！！！」

亜里沙「え？お、お姉ちゃん！？」

男の子「え？お姉さん？」

絵里「ダメよ。お姉ちゃん認めないからね」

亜里沙「な、何してる…お姉ちゃん…」

絵里「何って。亜里沙の事が心配で…」

亜里沙「心配？もしかして…ずっと見てたの？」

絵里「だって…亜里沙…男の子と遊びに行くみたいだったから…」

亜里沙「それで付けてきたの？信じられない…」

絵里「いや…その…」

穂乃果「ど、どうする？」

希「放っておくわけにはいかんやろ」

穂乃果「そ、そうだよね」

ガバッ

穂乃果「亜里沙ちゃん！」

絵里「亜里沙…今なんて…？」

亜里沙「お姉ちゃんなんて大っ嫌い！！！」

絵里「なっ！！？」ガーン

亜里沙「もう知らない」

絵里「あ、亜里沙…」バタン

海未「絵里！」

穂乃果「倒れちゃった」

亜里沙「サイテーだよ」

男の子「あ、絢瀬…」

海未「亜里沙！待ってください」

亜里沙「海未さん」ピタッ

海未「亜里沙の気持ちはわかります」

穂乃果「う、海未ちゃん？」

海未「けど、絵里の気持ちも少し分かってあげて下さい」

亜里沙「お姉ちゃんの気持ち？」

絵里「海未…」

海未「親元を離れて二人きりで。絵里は姉であると同時にあなたの親代りでもあるから。だから…多少過保護になってしまうんです。絵里は…本当は不器用ですから。だから…空回り気味ですけどそれだけ亜里沙の事を大事に思っているんだと思います」

亜里沙「海未さん…」

海未「絵里。絵里から話を聞いた時、内心絵里と同じ事を思っていました。皆んなの手前口にはしませんでしたけど」

絵里「…」

海未「いつか皆んなでラブソングを作詞しましたね」

凛「スノハレ！」

海未「それまでずっと知りませんでしたが。人を好きになるってとても素晴らしい事なんだって。子供はとか大人だからとか関係なしに尊い感情なんだって思いました。作詞を通してですから妄想みたいなものですが」

真姫「海未が絵里に恋愛の事で諭してる」

にこ「雨降るんじゃない？」

海未「絵里。もし、そうなんだとしたら見守ってあげましょう。別に悪い事をしてるんじゃありませんから。ね？」

絵里「海未……亜里沙…私」

亜里沙「お姉ちゃん。私…ごめんね。酷いこと言って」

絵里「ううん。私の方こそ…」

亜里沙「けどね、お姉ちゃんは一つ勘違いしてるよ」

絵里「勘違い？」

亜里沙「○○君はただの友達で」

男の子「えっ！？」

ことり（うわっ、可哀想）

花陽（失恋現場に立ち会っちゃった…）

亜里沙「私がプレゼントを選ぶのに悩んでたから色々とアドバイスしてくれたの。今日だってこうやって一緒に選んでくれて凄いいい人なの」

ことり（いい人…）

花陽（いい人止まりなんだ…）

絵里「プレゼントって…？」

亜里沙「一緒に選んでくれたの。雪穂はもしかしたら穂乃果さんにバレちゃうかもしれないでしょ。なんだかんだで穂乃果さんの血を継いでるから」

穂乃果「ん？それはどう言う事かな？」

にこ「そう言う事よ」

真姫「穂乃果は隠し事するの苦手そうだもんね」

穂乃果「そんな事ないよ！！」

凛（亜里沙ちゃん日本語だいぶ上手くなったにゃ～）

亜里沙「これ…まだ少し早いけど…マフラー…これから寒くなると思うから…」

絵里「亜里沙…あなた…」

亜里沙「似合うと思う」

絵里「亜里沙ぁぁ」

希（良かったな、えりち）

真姫（なんだかんだで仲良しなのね。この姉妹は）

にこ（まっ、雨降って地固まるって奴ね）

亜里沙「海未さんに！」

絵里「え？」

希「え？」

真姫「え？」

海未「わ、私？」

亜里沙「はいっ！μ'sが風邪を引いたら大変です」

海未「えっ！でも…何故私…」

穂乃果「あっ！もしかして私にも」

亜里沙「ないです」

穂乃果「あっ…そう…私もμ'sなんだけどな…」

ことり「ほ、穂乃果ちゃんの分は私が編んであげるよ」

亜里沙「私の推しメンは海未さんですから！はい、どうぞ」

海未「あ、ありがとう…ございます」

絵里「あは…あはは…海未…モテるわね…」

にこ「見事なフリだったわね。海未の演説」

真姫「そうね」

凛「……ここのデパートの地下に美味しいラーメン屋さんあるから食べて帰ろうよ」

花陽「う、うん。行こっか…」

穂乃果「あ～なんか私もお腹空いてきたよ」

亜里沙「海未さん！私達も食べに行きましょう！」

海未「え？あっ、はい…絵里…」

絵里「う、うん」



男の子「…」

にこ「まっ、あれよ。色々あるわよ」

希「今日はお姉さん等がラーメン奢ってあげるから。明日から頑張りや」

ことり「青春って甘酸っぱいね」

絢瀬家

絵里「お風呂空いたからね」

亜里沙「はーい」

ガチャ

絵里「はあ…今日は散々だった…って言うかここ数日どうかしてたわね、私。…ん？これは…」

『お姉ちゃんへ』

絵里「ハラショー」