絵里「無力な自分が許せない」 (81)
『海未「貴方のためなら私は・・・」』のプロローグを描いた作品です
前作同様痛々しいシーン・グロも含まれているので苦手な人は閲覧注意
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○○公園
絵里「じゃあ亜里沙。これでジュース買ってきてね」500円
亜里沙「うん!わかった!」
絵里「あ、亜里沙!」
亜里沙「なに?」
絵里「コーンポタージュはジュースじゃないわよ!」
亜里沙「コーンポタージュはジュースじゃない・・・ハラショー!」タッタッタッタッ
絵里「大丈夫かしらあの子・・・また変なもの買ってきたりして・・・ふふ」
絵里「・・・・・・」
絵里「絵里はシスコン・・・か・・・」
絵里「姉妹で仲が良いだけなのにそう見えるのかしら?」
絵里「でも、仲が悪いくらいだったらいっそのこと禁断の愛に落ちてた方が私は・・・」
キャーーーー!!!
絵里「あ、亜里沙!?」
絵里「どうし・・・!!!???」
亜里沙は黒ずくめの人間に押し倒されていた
胸には厭らしく輝く刃物が・・・
絵里「ぇ・・・・・・ぇ・・・・・・あ、ああ・・・・・・」
亜里沙「お・・・おねぇ・・・」
黒ずくめの人間が絵里を見るとニタリと微笑む
そして、もう一度・・・亜里沙に刃物を突き刺した
グサッ!!
亜里沙「ぁぁぁぁ・・・・・・」
絵里「やっ・・・や・・・ぁ・・・」ブルブル
黒ずくめの男はその場を去っていった
これが・・・全ての発端だった
その後の事ははっきり覚えていない
自分か誰かが警察か救急車を呼んだのか
サイレンの音は覚えている
聞いた話では私は常に目を見開いて震えていたらしい
話しかけても反応せずに手を引かないと動かなかったとか
私に意識がはっきり戻ったとき、私は病院のベッドで寝ていた
すぐにベッドから離れ亜里沙を探すため病院内を駆け回った
医者の胸倉を掴み亜里沙はどこかと問いただした
医者に連れて行かれたその先に亜里沙はいた
居たが・・・いつもの亜里沙ではないことはすぐにわかった・・・
私は泣いた
一生分泣いた
泣く事以外何をすればいいのかわからなかった
何時間かしたあと、両親が迎えに来た
家の周りはマスコミでいっぱいだった
母「絵里・・・あの人たちの相手はしなくていいからね」
絵里「うん・・・」
母「貴方、三日ほど動かなくて・・・本当に心配だったのよ」
キキー
パシャパシャパシャパシャ
マスコミ「今日こそは何か話してください!」
マスコミ「犯人に対して何か一言!」
ガヤガヤガヤガヤ
私は常に母親に抱きしめられていた
暗い空気で家の中に入った
母「そうね・・・ジュース買って来てあるの。飲みましょう」
父「テレビでも見て気分を変えようか」
ピッ
「先日音ノ木坂で起こった通り魔殺人事件の・・・」
ピッ
父「・・・・・・すまない・・・・・・」
両親は私に凄く気を使ってくれていた
私を何度も抱きしめてくれていた
亜里沙の話は・・・しなかった
私は自分の部屋で明かりもつけないで横たわっていた
その間、何も考えなかった
いや、何も考えたくなかった
何かを考えるとすぐに亜里沙のことを思い出してしまう
他のもので気を紛らわす事もできない
ふと、あの黒ずくめの人間のことを思い出した
あのニヤリと笑った顔を思い出すと・・・
私は動かずにはいられなかった
動くといっても何をする?
外に行く?そんなつもりない
部屋を出る?それすらめんどくさい
部屋の中で・・・どうやってこの気持ちを紛らそうか
考える前に行動していた
絵里「ああああああああああああ!!!!!」
ガシャン!ガシャン!ガスッ!
カチャン
はさみが落ちた
私が昔から使っているピンク色の可愛いはさみ
それを見てすぐ私は自分の腕に切断面を裁てた
そして、何のためらいもなく自分の腕を傷つけた
ガチャ
母「絵里!お願いやめて絵里!!」
絵里「亜里沙は!!もっと!もっと痛い思いをした!!」
母「だからって貴方が痛い思いをする必要はない!」
母「お願いだから落ち着いて、絵里・・・」
絵里「はぁ・・・はぁ・・・」
お母さんは私の腕の手当てをしてくれた
そしてもう二度と自分の身体を傷つけないでと何度も言われた
初めて自分の身体に包帯が巻かれた
初めて血が出るほどの怪我をした
物心がついてから初めて痛みで涙を流した
初めて親の涙を見た
それでも何か気が済まなかった
自分が何をしたいのか何もわからなかった
翌日・学校
ガラガラ
絵里「・・・・・・」
シーン
コソコソ コソコソ
希「えりち」
希「もう学校に来て・・・大丈夫なん?」
絵里「いえ・・・」
絵里「今日はμ'sで話し合いたいことがあるの。そのために来た」
絵里「部室で待ってるわ・・・」
希「えりち・・・」
放課後
飾ってあるアイドルの笑顔のポスターや可愛い人形とは裏腹にかなり暗いムードだった
「「「・・・・・・」」」
絵里「・・・・・・」
絵里「今日は・・・自分勝手だけど、私の話を聞いて欲しい」
絵里「みんなも知ってると思うけど、私の妹は・・・」
希「えりち」
希「・・・言わなくてもええんよ・・・」
絵里「・・・ごめんなさい・・・」
絵里「私、アイドルをやめたい」
絵里「あんな事があって・・・私はもう笑えなくなってしまったのよ」
絵里「ねぇにこ。笑えないアイドルなんてアイドルじゃないわよね?」
にこ「えっ・・・あ、うん・・・」
絵里「μ'sもここまで来た・・・廃校を阻止し、ラブライブにも出れそうなまでに・・・」
絵里「こんなにいいときなのに・・・自分勝手言ってごめんなさい・・・」
穂乃果「仕方ないよ」
絵里「穂乃果・・・」
穂乃果「例えば雪穂が同じ目に遭ったら・・・私も笑えなくなると思う」
穂乃果「絵里ちゃんが辛いのは凄くわかる」
穂乃果「私だって辛いのに・・・絵里ちゃんは私の何倍も何十倍も辛いんだよね・・・」
穂乃果「絵里ちゃんに無理に笑ってアイドルやってなんて言わないよ」
穂乃果「絵里ちゃんがやめても誰も文句は言わないよ・・・そうだよね?みんな」
全員が頷く
絵里「穂乃果・・・みんな・・・ごめんなさい・・・」
穂乃果「謝らなくていいってば」
穂乃果「ついでにμ'sもこれで解散!」
絵里「えっ・・・?」
穂乃果「μ'sはこの9人でμ'sなの。一人でも欠けたらμ'sじゃない」
穂乃果「でもね、これで私達の友情が崩れるって事じゃないよ」
穂乃果「μ'sじゃなくてもユニットとか組んでアイ活やっても構わない」
穂乃果「だけど、μ'sだけは解散しよう!」
穂乃果「活動はしなくてもまた一緒に遊んだりしようよ!」
海未「・・・穂乃果の案に賛成です」
ことり「わたしも!」
にこ「そうしましょう。にこも今回は文句一つないわ」
絵里「みんな・・・本当にありがとう、ごめんなさい」
凛と花陽、穂乃果と海未とことり、真姫とにこ、そして私と希で一緒に家に帰る
私と希以外皆付き合っている、ことりは付き合ってはいないがそう言っても過言ではないほど幼馴染と親しい仲である
凛と花陽も付き合っているわけではないが幼馴染の仲良しパワー全開である
○○公園
希「えりちはここで座ってて。ジュース買ってきてあげる」
絵里「ありが・・・ダメ!」
希「えっ・・・?」
絵里「私も一緒に行く」
希「そう?心配せんでも変なもの買ったりせんよ?」
絵里「希を一人にさせたくない」
希「心配性やね」
絵里「あの時は、亜里沙を一人にしたせいでこんなことに・・・」
希「えりち、ここを離れよ。ほら早く」グイッ
絵里「ちょ、ちょっと・・・」
希「ごめんなえりち・・・あそこが・・・その、知らなくって・・・」
絵里「謝らなくてもいいわよ」
絵里「ごめんね・・・わざわざ気を使ってもらっちゃって・・・」
希「えりち、苦しいなら言ってくれていいんやからね」
希「うちはえりちの言う事、どんな事でも受け止めるよ」
絵里「希・・・」
希「うちら親友やん?」
希「どんなわがままも言ってくれていいんやからね?」
希「うちはどんなことがあってもえりちをサポートするから」
絵里「希・・・」
絵里「ありがとう・・・ありがとう希・・・」
希「よし!気分転換にクレープでも食べにいこか」
希「うちがおごってあげるよ」
希にクレープをおごってもらった
いつかお返ししなくちゃね
希は私の家のすぐ近くまで送ってくれた
本当に優しい・・・希には本当に感謝している
マスコミに見つからないように裏口から家に入る
お母さんもお父さんも私に凄く気を使ってくれている
人の優しさに強く触れたような気がした
風呂と夕飯を済ませ自分の部屋に戻る
お母さんがやってくれたのだろうか、部屋は綺麗に片付いていた
相変わらず何もする気が起きず、ベッドに横になっていた
やはり親の涙は来るものがあった。暴れる気は起きない
寝ようと思っても寝れない
ただただ、亜里沙のことを想い続けた
気付いたら私は亜里沙の部屋に居た
亜里沙はこの机に向かって勉強をしていた
このベッドで寝ていた
ここでμ'sの動画を見ていた
様々な亜里沙が私の頭の中に浮かんでくる
そして、幻想の亜里沙はいつの間にか私の視界に映っていた
絵里「うふふ・・・そうなの?大変ね」
絵里「亜里沙は本当に海未が好きなのね」
絵里「ダンスの振り付けは私が教えてあげるわ。一緒に踊ってみる?」
絵里「亜里沙はμ'sの曲で何が一番好きなの?」
絵里「亜里沙・・・亜里沙・・・」
母「絵里!」
絵里「亜里沙・・・大好きな亜里沙・・・」
母「絵里!絵里!」ガシッ
絵里「お、お母さん?」
母「お願いだからやめてこんなこと!」
母「亜里沙は死んだの!!もうここにはいないの!!」
絵里「何言ってるのおかあさん?亜里沙は・・・亜里沙はここに・・・」
母「いない!!」
母「いないいないいない!!!」
母「亜里沙のことはもう・・・忘れなさい・・・」
絵里「どうして・・・どうして!」
絵里「私は亜里沙を忘れる事なんてできない!」
母「忘れなきゃならないのよ!」
母「いくら亜里沙を想い続けても亜里沙は帰ってこない!」
母「亜里沙は死んだ!!受け入れなさい!!」
絵里「亜里沙は・・・亜里沙は私の心の中に生きてる!」
母「生きててどうするのよ!?」
母「亜里沙のことを思い出しても辛いだけでしょ!?」
母「亜里沙のことを思い出して良いことは何一つない!」
母「死んだ亜里沙は私達の心を苦しめる!辛い思いをさせる!」
母「いっそのこと亜里沙のことを忘れてしまったほうが私たちは幸せな人生を送れる!!」
絵里「バカ・・・」
絵里「バカお母さん!」
絵里「どうしてそんなこと言うの!?」
絵里「亜里沙はお母さんにとって何!?簡単に忘れてしまうような人間だったの!?」
絵里「何ヶ月も苦しい思いをしてやっと産んだ大事な娘じゃないの!?」
絵里「何年も大事に育て上げてきた可愛い娘じゃないの!?」
母「そうよ!!」
絵里「っ!」
母「亜里沙のためなら命だって投げ捨てる事ができるわよ!!」
母「何よりも可愛い自分の大事な娘よ!!」
絵里「だったらなんで!?」
絵里「何でそんな大事な娘を忘れようとするの!?」
母「亜里沙だってそれを望んでる!!」
絵里「ど・・・どういうこと・・・?」
母「・・・知ってるでしょ・・・?亜里沙はとても優しくて本当に良い子よ・・・」
母「天国の亜里沙は何を考えているかよく考えて見なさい・・・」
母「いつまでも自分のことを想い続けて苦しんで欲しいか・・・」
母「自分のことを忘れて苦しまずにいて欲しいか・・・」
母「あの優しい子はどっちの考えだと思う・・・?」
絵里「・・・でも・・・だからって・・・亜里沙を忘れるなんて・・・」
父「絵里・・・言わなくてもわかるよね・・・亜里沙は僕達が苦しまずにいるほうを選ぶ・・・」
父「亜里沙には本当に申し訳ないけど・・・もう亜里沙のことで苦しみたくないんだ・・・」
母「亜里沙は死んだ・・・それをしっかり受け入れて・・・」
父「もう亜里沙のことで苦しむのはやめよう・・・」
絵里「ぅぅ・・・うぅ・・・」ポロポロ
母「・・・この部屋も撤去しましょう・・・」
母「亜里沙との思い出は全部お仏壇にしまいましょう・・・」
母「これ以上・・・亜里沙で苦しむのはやめましょう・・・」
翌日
私は学校に行かなかった
部屋から一切出なかった
メールが来ても見なかった
もう本当に何をする気力もなかった
両親にあんな事を言われて、私の意識はどこかに飛んでいってしまったのかもしれない
でも、それでも私の中に亜里沙は生きていた
誰に何を言われようと亜里沙を忘れるなんてことできなかった
小鳥の鳴き声と両親が亜里沙の部屋を撤去している音だけが聞こえた
両親が食事を持ってきてくれた、励ましに来てくれた
私は黙々と食事を取った
空腹感も満腹感も何もない。ただただ出されたものを食べた
味も何も感じない
ただ、ものを口に入れただけで消化して栄養にしてくれるんだから便利なものだ
本当に何もしたくなかった
命は皆平等で優劣なんてあるはずがない
でも、かけがえのない命をあんな事で失うのはどうしてだろう・・・
弱者を守れとか動物の命を大切にって小さいときから教えられてきた
じゃあなぜ毛皮を身に纏うのかも教えてよ
あの子は誰かの勝手な愛に弄ばれ、今その命までもが・・・
『あの子の存在は無意味だ』なんて誰にも言えないのに
もしも私にこの矛盾だらけの世界を変えられるのなら
私はあの子を救えただろう・・・
この矛盾の中に生きている私にも責任がある
痛みや奪われていった命に目を瞑った事もある
いざ自分の立場になりこんな現実を見るのは心が痛い
だからって私は何をしてる?
悲しい事だけど私は何も行動を起こしてないじゃない!
あの子を守りたくて何もできなくて
歯がゆい思いだけ空回り
私に今できる事があるとすれば
あの子を思い歌う事だけ
愛したあの子さえ助けられなくて
心が張り裂けて狂いそう
「嫌だよ!行かないで!」と叫ぶだけならば
私には悲しむ資格もない
愛したあの子さえ助けられなくて
無力な自分が許せない
コンコン
母「絵里?」
絵里「・・・・・・」
母「あのね・・・聞いて欲しいの・・・」
絵里「・・・・・・」
母「犯人が・・・」
母「亜里沙を殺した犯人が・・・捕まったそうよ・・・」
絵里「・・・・・・!」
その日は終業式の日だった
これから訪れる長い夏休み
絵里は犯人を許せなかった
どうにかして亜里沙の仇を取ろうと考えていた
夏休み二日目
刑務所
私は面会を申し出た
別に犯人から謝罪の言葉を聞きたいわけじゃない
犯人が何をしようと犯人を許すつもりはない
なぜ面会をするのかと聞かれても答えられない
でも、憎き犯人の顔を拝んでおきたかった
ガラガラ
囚人服の男が入ってきた
ボサボサの髪、無精ヒゲ、やつれた表情
犯人は32歳無職。親のすねをかじり食ってきたただのクズだった
男「お前は・・・どこかで見たような・・・」
絵里「絢瀬・・・亜里沙の姉です・・・」
男「そんなこと言われたって知るか」
絵里「貴方が最後に殺した人間・・・」
絵里「ロシア人のクォーターの金髪の中学生・・・」
男「あーあーあのガキか」
男「そういえばそうだ。あの時ビビって何もできなかったババァかお前」
絵里「・・・そう呼ばれたのは初めてね・・・」
男「へん!何しに来たんだこのババァ」ニタ
あの時の・・・憎たらしい微笑み・・・
絵里「私は例え貴方がどんな態度を取ったとしても貴方を許すつもりはない」
絵里「貴方のせいで・・・」
男「ちょちょ、ちょっと待てよ」
男「あっ?どんな態度を取っても許すつもりはない?」
絵里「そうよ。いくら反省しても、いくら謝っても・・・」
男「はははははは!!!」
絵里「・・・・・・?」
男「そうかそうか・・・お前は俺が自分のしたことを後悔して反省してると思ってんのか」
男「随分おめでてぇ頭だなこのクソババァ」
絵里「何ですって・・・?」
男「そんなお前にいっちばん聞きたかった言葉を聞かせてやるよ」
男「刃物刺されて痛がってる表情!泣きながらお前を呼ぶ声!悲鳴!」
男「最 高 だ っ た ぜ ?」
絵里「あああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!」
気付いたら刑務所のベンチで寝ていた
あのあとの私は発狂して暴れまわったらしい
犯人は刑務官から電気ショックを喰らい気絶し房に戻されたそうだ
何度も刑務官に謝罪をし刑務所を出た
私はどうしてあそこまでのクズに会いに行ったのだろう
奴の反省の言葉が聞きたかったのか?そうじゃない
奴を殺しに行ったのか?
そうだ、殺しに行ったんだ
亜里沙が殺された日から必ず亜里沙の仇を取ると心に誓った
犯人を殺したら誰にも気付かれないような場所に捨てる準備もしてある
必ず殺そうと思っていた、それなのに奴は捕まってしまった
終身刑だそうだが奴を寿命になるまで生かしておくのも気に食わない
今すぐにでも奴を苦しめて殺してやりたい
○○公園
希「えりち」
絵里「希・・・ごめんね、急に呼び出して」
希「いいから別の場所に移動しよ?」
絵里「ううん。ここがいいの。ここで話したい」
希「・・・そう・・・」
絵里「夏休みはどう?満喫してる?」
希「満喫って言ってもまだ二日目やからな~」
希「そうや、今日はにこっちと遊んだんよ」
希「にこっちったらずっと真姫ちゃんとののろけ話するんよ」
絵里「クス・・・ほんとに仲いいのねあの二人は」
希「夏休みは毎日会うとか言ってるんよ」
希「にこっちは最近何かにつけて真姫ちゃんの名前出してきて・・・ふふ、ええ事やな♪」
絵里「あの二人は・・・どのくらい愛し合ってるんでしょうね・・・」
希「えりちは最近どう?学校もずっと休んで心配だったんよ」
絵里「ごめんなさいね。ちょっと学校行く気力がなくて・・・」
希「無理しなくてええんよ」
希「えりちはゆっくりゆっくり休めばええから」
希「どんなに辛くても、うちがいつまでも支えてあげるからね」ナデナデ
絵里「希・・・」
絵里「凄く嬉しいわ。希・・・」
絵里「私ね、今日は亜里沙を殺した犯人に会いに行ったの」
希「えっ・・・そっか・・・捕まったんか犯人・・・」
絵里「犯人はとんでもないクズだったのよ」
絵里「ニートで不潔でブサイク面なのよ」
希「えりち、思い出さなくてもええよ」
絵里「そのクズはなんて言ったと思う?」
絵里「亜里沙の悲鳴を聞いて最高だったですって」
絵里「何があっても絶対に殺してやるって心に誓ったわ」
希「えりち!」
希「この話はやめよ・・・?誰も良い思いをしないよ」
絵里「・・・そうね・・・」
希「・・・・・・」
絵里「・・・・・・」
希「・・・何があっても人を殺したらあかんよ」
絵里「どうして?あんなにクズなのよ?」
希「もしも殺したらえりちもそのクズと同類になるよ?」
希「どんなクズだって心配する人はいる」
希「えりちがその人を殺したら、今のえりちと同じように苦しむ人もいるんよ?」
絵里「・・・そんな訳ないじゃない・・・」
絵里「奴は社会、両親にとってもただのゴミよ。さっさと死んだほうがみんな幸せな思いをする」
希「えりちはそんなやつのために自分の人生をもっとダメにするの?」
絵里「大丈夫よ。殺しても私が犯人ってバレないようにちゃんと計画を立てたわ」
希「えりち!」
絵里「っ!」ビクッ
希「いい加減にして」
希「犯人の事は忘れよ?もう捕まったんだからえりちは何もしなくていいの」
絵里「・・・そうね・・・」
絵里「ごめんなさい・・・私が悪かった・・・」
希「えりちには少しでも早く笑えるようになって欲しい」
希「辛い事は全部忘れるんよ」
絵里「忘れたくない」
希「何言ってるん?」
絵里「私は何があっても亜里沙を忘れるつもりなんてない」
希「え、亜里沙ちゃんの話?」
絵里「例え世界の全ての人間が亜里沙を忘れるって言っても私は絶対に忘れない」
希「あぁ・・・うちも亜里沙ちゃんのこと絶対忘れないよ」
絵里「希・・・ありがとう」
希「ジュースでも買ってきてあげる」
絵里「悪いわ。私が行く」
希「じゃあ一緒?」
絵里「ふふ、そうしましょう」
ピッ ガタン
希「はい、えりち」
絵里「・・・・・・」
希「どうしたん?」
絵里「私って本当にバカよね」
希「?」
絵里「日課だったの。亜里沙にジュースを買わせることが」
絵里「たまに変なもの買ってきたりして、それが可笑しくって・・・」
絵里「あの日、こうして一緒にジュースを買いに行けば亜里沙は死ななかったかもしれない・・・」
希「えりち、やめて」
希「何度も言ったでしょ?えりちは何も悪くないの」
絵里「そうかしら?」
絵里「私考えてみたのよ」
絵里「あの時・・・私が亜里沙にジュースなんか買わせなければ」
絵里「私が代わりに行っていれば」
希「えりち!!」ガシッ
絵里「私が行けばよかったのよ。私が刺されればよかったのよ」
パン!
絵里「っ!!」フラッ
希「二度とそんなこと言わないで!」
希「もう過去は変えられない!」
希「後悔したって意味ない!」
絵里「あの時私がしっかり動いていれば!震えていなければ亜里沙を救えたかもしれない!!」
絵里「そもそも私が亜里沙を一人にさせなければ亜里沙は死ななかった!!」
絵里「私が!!私が痛い思いをすればよかった!!」
絵里「私が死ねばよかった!!」
希「バカ!!」
パン!
希「何でえりちはそう自分のしたことを後悔するの!?」
絵里「あの時私が動いていれば亜里沙は死ななかった!!」
希「誰にも助けれない!!」
希「どんな人間でも同じ状況なら亜里沙ちゃんを救える人はいない!!」
希「えりちは何も悪くない!!」
絵里「そうかしら?」
絵里「たぶん希なら助ける事ができたかもしれないわ」
希「うちだって無理よ」
希「うちにも怖いものはある。誰にだって怖いものはある」
希「誰だって怖くて震えて何もできなくなる。えりちは何もおかしくない」
絵里「でも・・・私は亜里沙を本当に愛していた」
絵里「亜里沙のためなら何でもできると思っていた」
絵里「それなのに何もできなかった」
絵里「私の亜里沙への愛は・・・こんなものだったのかしら?」
希「それが当たり前なのよ」
希「世界のどこを探しても助けられる人はいない」
絵里「・・・・・・本当かしら・・・?」
希「本当よ」
絵里「でも・・・でも・・・!亜里沙は!亜里沙は!」
希「えりち、もうやめよ?」
希「これ以上亜里沙ちゃんで苦しむのは・・・やめよ?」
絵里「・・・どうすれば亜里沙で苦しまずに済むの?」
希「そうね・・・」
希「忘れよ?」
絵里「っ!」
希「苦しかった思い出、全部忘れよ?」
希「えりちは何も悪くないんだから、これ以上何も思い返すことなんて・・・」
絵里「やだ!!」
希「えっ・・・」
絵里「やだやだ!!亜里沙を忘れるなんてやだ!!」
絵里「できない!!私は亜里沙を忘れる事なんてできない!!」
希「できなくても忘れるの!!」
希「そうじゃなきゃえりちは一生笑えない!!」
希「一生苦しいまま!!そんなの嫌でしょ!?」
絵里「だからって!亜里沙を忘れたくなんてない!!」
希「忘れるの!!」
希「亜里沙ちゃんのこと全部忘れる!!そうすればえりちは少しでも救われる!!」
希「ホントはこんな事言いたくないけど言うよ!!先に天国の亜里沙ちゃんに謝っとく!!」
希「今の亜里沙ちゃんはえりちにとって害でしかない!!」
絵里「あああああああああああああ!!!!!!!!!!」グサッ!!
希「きゃあああ!!」
絵里「はぁ!はぁ!はぁ!」
絵里「許さない!!許さない!!」グサグサ
希「ぁぁぁ・・・・・・」
絵里「絶対に!!絶対に許さない!!」グサグサ
絵里「いくら希でも!!亜里沙のことを害なんていう人は絶対に許さない!!」グサグサ
絵里「亜里沙は害なんかじゃない!!私の大事な可愛い妹!!」グサグサ
絵里「妹を悪く言う人は!!絶対に絶対に!!」グサグサ
絵里「絶対に許さない!!!」グサッ!
絵里「はぁ・・・!はぁ・・・!」
希「」
絵里「希のバカ・・・亜里沙は害なんかじゃない・・・」ポロポロ
その後の私は想像以上に冷静だった
○○公園の裏庭・誰の目にも届かないような場所
亜里沙を殺した犯人を埋めるために用意した落とし穴と木箱
まずは落とし穴の中に木箱を入れる
その木箱の中に希の死体を入れる
蓋をし、すぐにはわからないように隠す
本来はあのクズを埋める予定の場所に親友を埋めてしまった・・・
ごめんなさい希
だけど、亜里沙のことを悪く言った貴方が悪いのよ
私は血だらけの服と刃物を誰にも見られないようにすぐ家に帰った
家の前
もうマスコミはいない
ちょっと前まではあれだけ賑わっていたのに・・・
人が一人死んだだけじゃちょっとしたニュースにしかならないから?
やっぱりどうでもいいのね・・・
ただネタが欲しかっただけ
ただ不幸な家族の苦しい顔を報道したかっただけ
自分達が稼ぐためだけに・・・相手の事情を何も知らないで
用事がなくなったら跡形も残さず去っていく
人の不幸で食うなんて・・・ホントに最低ね、奴ら
・・・・・・
・・・殺したくなってきた
ガチャ
母「おかえり絵里・・・!!?」
母「なっ!?どうしたのよあなた!?」
絵里「お母さん・・・お母さんは本当に亜里沙が大事?」
母「大事に決まってるでしょ!それよりも・・・」
絵里「亜里沙はね、凄く痛い思いをしたの。凄く辛い思いをしたの」
絵里「大事ならば亜里沙の苦しみを共有してあげるべきだと思わない?」
絵里「亜里沙の仇を取ってあげるべきだと思わない?」
母「何言ってるのよ!?」
絵里「どうにかして犯人を殺す。それで、私達も・・・」
パン!
絵里「・・・今日はよく叩かれる日ね・・・」
母「亜里沙のせいよ・・・」
絵里「えっ?」
母「亜里沙が・・・亜里沙が死んだから・・・絵里がこんなことに・・・」
母「亜里沙がいなければ・・・絵里はこんなにならなかった!」
母「亜里沙のせいで絵里が壊れた!!」
母「やっぱり亜里沙なんて忘れなさい!!」
母「亜里沙何か!!産まれて来なければよかった!!」
絵里「やあああああああああああ!!!!!!」グサッ!!
母「ぎゃああああああ!!!!」
絵里「何で・・・なんでそんなこと言うの!!?」
絵里「お母さんなんかもうお母さんじゃない!!お母さん失格!!」
父「ママ!なっ!?」
父「え、絵里・・・なんて事を・・・」
絵里「お父さん・・・どう?この状況」
絵里「この状況でお父さんはお母さんを助ける事ができる?」
父「今すぐ刃物を捨ててお母さんから離れなさい!」
絵里「全く同じ状況だったのよ」
絵里「あの時の私は震えて何もできなかった・・・」
絵里「お父さんはできる?この恐怖に立ち向かう事ができる?」
絵里「お母さんを・・・」
絵里「どれだけ愛してる?」
父「け、警察!警察に・・・」
絵里「うわあああああああ!!!」グサッ!!
父「ああああああああ!!!!」
絵里「失格!!失格失格失格!!!」グサグサ
絵里「警察なんか呼んでる暇ある訳ないでしょ!!?」グサグサ
絵里「どうして自分の手で助けようとしないの!!?」グサグサ
絵里「お父さんの愛はそんなもんなの!!?」グサッ!
父「」
絵里「・・・・・・」
母「ぁぁ・・・ぅ・・・」
絵里「どうお母さん?苦しいでしょ?」
絵里「亜里沙と同じ苦しみよ」
絵里「光栄じゃない。亜里沙と同じように死ねるなんて」
母「ゃ・・・ぁ・・・」
絵里「亜里沙を忘れようなんて言ったお母さんが悪いんだよ?」
絵里「亜里沙は私達の心の中で生きてる。そうでしょ?」
絵里「亜里沙の苦しみは私達の苦しみ。亜里沙の痛みは私達の痛み」
絵里「大事な亜里沙のために、共有していきましょ?」
グサッ!
母「」
ピピピ
絵里「もしもし。東條さんのお宅ですか?絢瀬絵里です」
絵里「しばらく希さんをうちでお預かりしてもよろしいですか?」
絵里「はい。ありがとうございます」
ピッ
絵里「・・・・・・」
絵里「あの日・・・あの時・・・あの状況・・・」
絵里「亜里沙を救える人は本当にいないの?」
絵里「愛する人のために恐怖心に打ち勝てる人は本当にいないの?」
絵里「私はそうは思わないわ。世界中、探せば必ずどこかにいる」
絵里「そんな人を探して・・・本当の『愛』ってモノを見てみたい・・・」
絵里「うん・・・やりましょう・・・」
第一部完
第二部は明日には公開出来ると思います
第二部
夏休み四日目
ピンポーン
絵里「はーい」
にこ「おはよ。来てやったわよ」
絵里「ええ。あがって」
絵里の部屋
絵里「どうぞ」コーヒー
にこ「どーも」
にこ「思ったよりも元気そうね。もっと苦しんでると思ってた」
絵里「いつまでも苦しんでても何も始まらないからね」
にこ「立ち直れたのね。良い事だわ」ゴクッ
にこ「その・・・もしよければμ'sに復活して・・・」
絵里「にこ。真姫とはどうなの?」
絵里「真姫とののろけ話聞かせて?」
にこ「おっ!まさか絵里からそんなことを言われるなんて!」
にこ「えっと・・・えっとね・・・・・・」ウツラウツラ
絵里「真姫は貴方の事どれだけ愛してるでしょうね?」
絵里「真姫の貴方への愛を調べさせてもらうわ」
にこ「どう・・・いう・・・」ドサッ
ピンポーン
絵里「はーい」
真姫「来たわよ」
絵里「うん。あがって」
リビング
絵里「どうぞ」コーヒー
真姫「ありがと」ゴクッ
絵里「真姫はにこをどのくらい愛してる?」
真姫「い、いきなり何の話よ?///」
絵里「大好きなんでしょ?にこのこと」
真姫「うっ・・・そ、そりゃあまあ好きだけど・・・」
絵里「私も亜里沙は大好き」
絵里「でも・・・あの時の私は・・・」
真姫「絵里?」
真姫「あ・・・あれ・・・?」ドサッ
・・・
絵里の部屋
真姫「ううぅぅぅぅんん・・・」
絵里「おはよう真姫」
真姫「えっ・・・私・・・寝てた?」
絵里「ええ。ぐっすり。この部屋に運んでも全然気付かなかった」
真姫「ご、ごめんなさい・・・」
絵里「ううん。いいの」
真姫「よいしょ・・・」
ジャラ
真姫「あ、あれっ・・・?」
真姫「鎖?」
真姫「な、なにこれ・・・?何で私の左足に鎖が・・・」
絵里「真姫。貴方はにこを愛してる?」
真姫「絵里、これどういうこと?」
絵里「貴方はにこのために何でもできる?」
絵里「にこのために痛みに耐えることができる?」
絵里「貴方は愛をどこまで貫ける?」
真姫「は?」
絵里「見て」
バサッ
壁にロープで大の字に縛られたにこがいた
真姫「な、何よ絵里・・・何してんの?」
絵里は電動ドリルを手に取った
ウィィィィィン!!ウィィィィィン!!
真姫「ど、どうするつもり・・・?」
パン!パンパン!
にこ「う・・・うぅぅぅぅぅん・・・」
絵里「起きてにこ」
にこ「ん・・・な、なにこれ!?」
絵里「今からこのドリルでにこの身体に穴を開けていく」
真姫「えっ?」
にこ「ちょ、ちょっと!状況が掴めないんだけど!」
絵里「痛いわよ・・・死ぬほど苦しい思いをする」
にこ「ちょっと絵里!これ解きなさいよ!」
絵里「真姫。にこを救いたいわよね?」
真姫「と、当然よ!それよりも絵里!貴方本当にどうしたの?」
絵里「これをあげるわ」
真姫「これって・・・鉄を切るのこぎり?」
真姫「これで鎖を!」
絵里「無理よ。特別堅い鎖なの。こののこぎりでも切る事はできない」
真姫「じゃあ何を切れって言うのよ!?」
絵里「わからない?」
絵里「何が切れれば貴方は解放される?」
真姫「・・・・・・はぁ・・・はぁ・・・」
真姫「う・・・嘘・・・でしょ・・・?」
絵里「嘘じゃないわ」
絵里「にこを救いたいのなら・・・」
絵里「自分の足を切り落としなさい」
真姫「・・・・・・絵里?」
真姫「何言ってんの?貴方本気?」
絵里「本気よ」
絵里「私は適当ににこにドリルを刺していく」
絵里「にこが死ぬ前に足を切れれば貴方の勝ち」
絵里「できなければ貴方の負け。にこは死ぬ」
にこ「待って待って!意味わかんないよ!」
絵里「にこ、貴方はどうすべきか自分で考えなさい」
絵里「自分が死なないために真姫に足を切り落とさせるか」
絵里「それとも真姫に何もさせずに自分が死ぬ事を選ぶか」
にこ「あのね!どっちにしろ痛い思いをしなくちゃならないじゃない!」
絵里「そうよ」
絵里「愛する人を救うためには痛い思いをしなくちゃならない」
絵里「真姫。貴方は恐怖心に・・・痛みに打ち勝つ事ができるか・・・」
絵里「にこをどれだけ愛しているか・・・証明して見せなさい」
真姫「意味わかんない・・・意味わかんない!」
絵里「まだわかってないの?」
絵里「それなら試しに一穴開けてみましょうか」
絵里「にこ。どこに開ける?」
にこ「は?は?何しようとしてんの?」
絵里「痛い思いをしたくなかったらさっさと真姫に足を切ってもらうように頼みなさい」
にこ「そんなことできる訳ないでしょ!」
絵里「じゃあ貴方が痛い思いをするまで」
絵里「そうね。最初だし足の甲に開けましょうか」
にこ「待って待って待って!あんた本気なの!?」
絵里「何度も本気って言ったでしょ?」
絵里「足の甲とはいえかなり痛いわよ」
にこ「いや!いや!やめて!」ガタガタ
絵里「真姫が足を切るまでの辛抱よ」
絵里「さあ行くわよ!」
ウィィィィィン!!ウィィィィィン!!
にこ「いやっいやっいやっ・・・」
にこ「嘘よね?嘘よね?嘘よね!?」
絵里「さん!」
真姫「絵里?どうかしてるわよ貴方」
絵里「にっ!」
にこ「いやああああああああああ!!!」ガタガタ
絵里「いち!」
にこまき「やめて!!」
絵里「ゼロ!」
グチュグチュグチュグチュ!!!!!!!!
にこ「ぎゃああああああああああああああ!!!!!!!!!」
真姫「やだ!!やめてやめて!!」
絵里「やめて欲しいならさっさと足を切りなさい!」
グシュグシュ!!!!
にこ「いたいいたいいたい!!!やめて!!やめて!!」
絵里「そろそろ貫通よ!」
にこ「やああああああああああああああああ!!!!!」
グシュン!!
にこ「いやあああああああああああ!!!!!!!」
絵里「抜くわ!」
グシャ!!ウィィィィィン!ウィィィィィン!
にこ「いやあああぁぁぁぁ・・・・・・痛い痛い・・・」ポロポロ
真姫「いやぁ・・・なんでこんなことを・・・」ウルウル
絵里「これで私が本気って事がわかったでしょ?」
絵里「にこを救いたいのなら痛みに耐えなさい」
真姫「このバカエリー!」ブンッ!
ガンッ!
絵里「いた・・・」
真姫「この人でなし!最低よあなた!」
絵里「バカは貴方よ」
絵里「のこぎりなしでどうやってそこから抜け出すの?」
真姫「っ・・・」
絵里「そうね。ペナルティを与えましょうか」
絵里「のこぎりを投げたらにこに一穴よ」
にこ「待って・・・お願いやめて・・・」
絵里「可哀想なにこ。貴方の勝手な行動のせいでにこに穴が増えていく」
絵里「貴方は本当ににこを愛しているの?」
ウィィィィン!
絵里「左足だけ痛いわよね?」
絵里「どうせなら左右対称にしましょうか」
にこ「いや・・・ごめんなさい・・・許して・・・」
絵里「やめて欲しいなら真姫に必死に頼みなさい」
絵里「真姫が貴方を本当に愛していれば貴方は救われるわ」
絵里「刺すわよ」
真姫「エリー!やめて!!やめて!!」
絵里「ペナルティ!」
グシャグシャグシャグシャ!!!!
にこ「いぃぃぃやああああああ!!!!!!!」
絵里「貫通!」
グシャシャシャシャ!!!!!
にこ「ああああああああああああああああ・・・あああああ・・・・あああ・・・」
ウィィィン!
にこ「いやぁぁぁ・・・・・・死んじゃう・・・死んじゃう・・・」
絵里「はい。のこぎり返すわ」
絵里「次投げてきたら二穴よ」
真姫「おかしいわよあんた・・・どうしてこんな事を・・・」
絵里「見つけたいからよ」
絵里「あの時の私には助ける事ができなかった」
絵里「あの時と同じ状況で亜里沙を助ける事ができる人がいるかどうか」
真姫「あ、亜里沙?」
絵里「私は愛している亜里沙を助ける事ができなかった」
絵里「貴方はどうかしら真姫?痛みを我慢して恐怖を乗り越えて愛してるにこを助ける事ができる?」
絵里「貴方は愛をどこまで貫ける?」
真姫「私は・・・」
真姫「でも・・・でもいや・・・痛い思いはしたくない・・・」
絵里「だったらにこが死ぬわよ」
真姫「それもいや!」
絵里「痛みに耐えなければにこを救えない」
絵里「人生は甘くないのよ。真姫」
絵里「そろそろ次行きましょうか」
にこ「たすけてたすけてごめんなさいごめんなさいゆるしてゆるして・・・」ボソボソ
絵里「次は手の平ね。左手から行きましょう」
真姫「お願いよ絵里・・・今ならまだ引き返せる。やめましょう」
絵里「引き返せないわよ」
絵里「私はもう希を殺した」
真姫「えっ!?」
絵里「両親もね」
絵里「私の人生はもう終わり」
絵里「最後に誰よりも信頼できる人を見つけて・・・その人に殺してもらう」
絵里「貴方が足を切り落とせれば・・・貴方に私を殺してもらう」
真姫「いい絵里?こんなことしても誰も得をしない」
絵里「喋りすぎよ」
絵里「刺すわねにこ」
にこ「やだ・・・やだやだやだ!!!やだあああああああ!!!!」
ウィィィィィン!ウィィィィン!!!!
にこ「助けて!!助けて真姫ちゃん!!!」
にこ「もう痛いのはいや!!いやなのぉぉ!!!!」
真姫「はぁはぁ、に、にこちゃん・・・」
真姫「にこちゃんを・・・にこちゃんを・・・!」ブルブル
絵里「いくわ!」
真姫「助けるぅぅぅぅううううあああああああ!!!!!!」ザクッ!!
真姫「いやぁ!!!いやあああああああああ!!!!!!!!」ギコギコ!!!!
真姫「あああああああああぁぁぁぁぁぁ・・・・・・痛い・・・・・・だめ・・・・・・」カラン
絵里「ダメね。まだ全然切れてないじゃない」
絵里「切り落とさない限り無意味よ」
絵里「刺すわ!」
グチャグチャグシュグシュ!!!!!
にこ「ああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!」
真姫「にこちゃん!!にこちゃん!!ああああああああああ!!!」ギコギコ!!
真姫「痛い・・・痛い・・・」
ウィィン!
にこ「ああ・・・・・・あ・・・・・・」
絵里「随分な悲鳴ね」
絵里「さぁ、早く右手もやりましょうか」
にこ「真姫ちゃん!!!」
にこ「にこを助けて!!助けてよ!!!」
にこ「さっさと足なんか切っちゃってよ!!!早くしないとにこ死んじゃう!!!」
真姫「助けたいわよ私だって!!!」
真姫「でも痛いの!!!痛いのぉぉ!!!!」
にこ「にこのほうがいたぁぁぁぁいい!!!!!」
にこ「死にたくない死にたくない!!!!助けてぇえええええ!!!!」
ウィィィィィン!ウィィィィィン!
にこ「やだ!!やだぁぁぁ!!!この音怖いぃぃいいいいいやあああああ!!!!!!!」
グシュグシュグシュグシュ!!!!!!
にこ「ぅぅぅぅああああああああああああ!!!!!」
にこ「」ピクピク
真姫「にこちゃん・・・にこちゃぁぁん・・・」
絵里「にこはまだ息はあるわ。多分すぐ病院に連れて行けばまだ間に合う」
絵里「これが最後のチャンスよ真姫」
絵里「後5分待ってあげる」
絵里「貴方が本当ににこを愛しているなら足くらい切り落とせるはず」
絵里「次は・・・にこの額に刺すわ」
絵里「わかるわよね?確実に死ぬ」
絵里「貴方の愛を証明して見せて」
機械「残り5分です」
真姫「助けたい・・・・・・助けたいよ・・・・・・」
真姫「でも痛いのはやだ・・・痛くならないでにこちゃんを助けたい・・・」
真姫「お願い・・・お願い・・・」
絵里「覚悟を決めなさい。にこを救うために足を切り落とすの!」
機械「残り1分です」
絵里「そろそろ切らないと間に合わなくなるわよ?」
真姫「すぅ・・・はぁ・・・」
真姫「やるわよ・・・やるわよ・・・やるの真姫ちゃん・・・」
真姫「にこちゃんが好きなんでしょ?だったらにこちゃんのために何でもやるの」
機械「残り10秒です」
真姫「あああああ!!あああああああああ!!!!」
真姫「いやあああああああああああああああああ!!!!!!!!」ギコギコ!!!!
機械「時間切れです」
真姫「あああ!!!!うぅあああああぁぁぁぁ!!!!!!」ギコギコ!!!!
真姫「痛い痛い!!!!いたぁぁぁあああいいいいぃぃぃぃ!!!!!!」ギコギコ!!!!
真姫「やぁああ!!!!」カラン
真姫「あ、あ、あ、あ、あああぁぁぁ・・・」ポロポロ
真姫「いたいたいたいたいた・・・・・・」
真姫「ダメ・・・ダメ・・・死んじゃう・・・死んじゃう・・・」
真姫「無理よ・・・無理よ・・・いたいいたい・・・・・・」ポロポロ
真姫「ぁぁぁぁぁぁ・・・・・・」ポロポロ
絵里「凄い痛そうにしてるけどまだ3割ほどしか切れてないじゃない」
真姫「無理よ・・・できるわけないじゃない・・・」ポロポロ
絵里「もうとっくに時間も切れてるわ」
絵里「残念ね真姫」
絵里「ゲームオーバーよ」
グチャグチャグチャグチャ!!!!!
にこ「っっっ!!!」
グシュグシュグシュグシュ!!!!!
グシュン!!!
ウィィィィンン・・・
にこ「」クタッ
真姫「いやぁ・・・にこちゃん・・・・・・いやぁぁぁあああ・・・」ポロポロ
絵里「貴方の愛はそんなものだったのね」
絵里「でも心配しなくていいわ。私だって同じ状況で助けられなかったから」
絵里「希が言うには世界のどこを探しても助けられる人はいないんだって」
カチャリ
真姫「にこちゃん・・・にこちゃん・・・」
足を引きずりながらにこに近づく
手足のロープを解くと、糸の切れたマリオネットのようににこが倒れてきた
真姫「にこちゃん・・・起きてにこちゃん・・・」
真姫「お願い・・・お願い・・・」ポロポロ
にこ「」
絵里「にこの死体は貴方に預けるわ」
絵里「にこをどうするも貴方の自由よ」
絵里「私は探し出す・・・勇者を・・・絶対に見つけてみせる・・・」
絵里「そのために真姫・・・私に協力して欲しいの」
真姫「・・・協力なんてする訳ないじゃない・・・」
真姫「でも通報をする気も起きない・・・私は・・・私は・・・」
真姫「無力な自分が許せない・・・」
にこの死体はキャンプの寝袋に入れた
真姫はお手伝いさんに連絡をし、車で自宅まで送ってもらった
にこの死体がどうなるかはわからないけど、そんなことは私にとってはどうでもいい事
次は誰にしましょう?
愛する人のために自分を犠牲にできる人間
最後まで愛を貫ける人間を・・・探し出して見せる・・・
真姫の足はそこまで酷くなく、ある程度の処置を施して後は時間が治してくれるらしい
真姫の家の地下室ににこの死体を運んだ
この地下室は真姫専用であり、家族もお手伝いさんも誰も使わない
真姫自身もほとんど使った事はない
ある程度の手術道具や薬品が置いてある
両親は真姫が悪用するとは思っていないので注射器なんかも置いたままだった
埃が溜まった手術台ににこの死体を寝かせる
真姫「にこちゃん・・・にこちゃん・・・」
にこ「」
真姫「大丈夫よにこちゃん。この真姫ちゃんが治してあげるからね」
真姫「それじゃあ始めるわ・・・大丈夫よ・・・失敗しない」
真姫「まずは脳を治してあげないと・・・」
真姫「後頭部から頭を開いて脳へ・・・」
真姫「麻酔を打つわ」
プスッ チュー
真姫「髪の毛剃るわよ。大丈夫よにこちゃん。またすぐ生えてくるから」
ヴヴヴヴ パサッパサッ
真姫「よし・・・ここからは失敗は許されないわ・・・」
真姫「メス・・・」
真姫「まずは皮を・・・」
スー スー ペチャ
真姫「ふぅ・・・ふぅ・・・」
真姫「ドリル・・・」
真姫「失敗したらにこちゃんは死ぬ・・・慎重に・・・」
ウィィィィィン!ウィィィィィン!
真姫「にこちゃんこの音怖いって言ってたっけ・・・ごめんね。我慢して」
ウィィィィィン!ズズズズズ!
ウィィィィィン!ズズズズズ!
ウィィィィィン!グチュグチュグチュ!
真姫「開くわよ・・・」
パカッ
真姫「これが・・・にこちゃんの脳・・・」
真姫「取るわね・・・安心して?絶対に治して見せるから」
グチャ
真姫「はぁ・・・はぁ・・・」
真姫「穴が・・・塞がないと・・・」
真姫「えっと・・・えっと・・・慎重に・・・慎重に・・・」ブルブル
スー スー
真姫「やった・・・成功よ・・・穴は塞がった」
真姫「戻してあげるからね」
グチャ
真姫「はぁはぁ・・・頭に・・・蓋をして・・・」
クチャ ペチャ
真姫「にこちゃん!起きてにこちゃん!」ユサユサ
にこ「」
真姫「・・・・・・」
真姫「わかってた・・・わかってたわよ・・・」
真姫「もう死んじゃったのに治せる訳ないじゃない・・・」
真姫「何で死んじゃったの・・・にこちゃん・・・」
真姫「にこちゃん・・・にこちゃん・・・」ポロポロ
真姫「ごめんねにこちゃん・・・私が無力だったから・・・」ギュー
真姫「助けてあげられなかったけど・・・愛してるよにこちゃん・・・」
真姫「そうだ・・・食べてあげるにこちゃん・・・」
真姫「そうすればにこちゃん死んじゃってもいつでも私と一緒に居られるよね?」
真姫「それがいい・・・この真姫ちゃんの栄養になれて嬉しいでしょにこちゃん?」
グチャ
真姫「えへへ・・・にこちゃんの脳みそ・・・」
真姫「大きいから食べ応えがあるかも」
グチャ ベチャベチャ
真姫「お、おえっ・・・」
真姫「・・・・・・まずいわ・・・」
真姫「でもにこちゃんのならいくらまずくても大丈夫。全部食べてあげるからね」
グッチャグッチャ ベチャ
心臓、肺、胃、腸、ありとあらゆるものを解体した
にこちゃんのために全部食べてあげた
まずくてもにこちゃんのだから食べる事ができた
にこちゃんの眼球でイヤリングを作った
にこちゃんの鼻でネックレスを作った
にこちゃんの手で手袋を作った
にこちゃんの足の指でボタンを作った
全身にこちゃんに囲まれて私は幸せ
にこちゃんも幸せでしょ?これならずっとずっと一緒にいられるわよね
愛してるよにこちゃん
夏休み六日目
真姫「に、にこちゃん・・・///んん・・・えへへ///」
真姫「私はどんなにこちゃんも好きだよ///」
ピリリリリ
真姫「もしもし」
絵里『真姫・・・』
真姫「・・・なに?」
絵里『また・・・また失敗した・・・』
絵里『また助けられなかった・・・』
絵里『期待はずれね・・・』
真姫「・・・・・・」
真姫「今どこにいるの?」
ブゥゥゥゥン キキー
真姫「絵里」
絵里「真姫・・・」
またあの寝袋・・・
真姫「乗って」
・・・
真姫の家の地下室
ドサッ
真姫「・・・誰?」
絵里「知らない・・・UTXの生徒だけど・・・」
真姫「恋人は?」
絵里「自殺したわ・・・」
絵里「それに関しては私は無関係だから・・・」
真姫「そう・・・」
真姫「絵里。私はこいつのことなんか全く知らない。死んでもどうでもいい」
真姫「そんな奴をここに置いとくのは気が引けるわ」
真姫「あんたにアパートも貸してるけど物件ってのはタダじゃないのよ」
絵里「・・・何をしろって言うの?」
真姫「そうね。人間の解体をしてみたいから死体をくれれば多少額は減らしてあげる」
真姫「手術代と・・・あとはこれとこれと・・・」
真姫「まあとにかく金、出しなさいよ」
真姫「いやなら別にいいのよ?私はあんたを通報するだけ」
真姫「よく知らないけど何か見つけたいんでしょ?だったら捕まるわけにはいかないわよね?」
真姫「捕まりたくないなら・・・金」
絵里「・・・そんなに持ってないわよ・・・」
真姫「だったら盗んできなさい」
真姫「もう何人も殺してるんでしょ?だったら盗みくらい簡単よね?」
真姫「いい?私はあんたの弱みを握ってる」
真姫「あんたは私のただの便利屋よ」
真姫「決して自分のほうが立場が上だと勘違いしないでね」
絵里「・・・何とでも言ってなさい・・・」
絵里「私は見つけ出す・・・それだけ・・・」
絵里「貴方からどう思われようと関係ない」
真姫・・・あんな奴に使われるなんて・・・
あいつがただの便利屋よ。いずれわからせてあげなきゃ・・・
次は誰にしましょう・・・大人気のUTXの生徒も大した事なかった
やっぱり音ノ木の・・・私が信用するような人・・・
海未・・・そうだ、海未・・・
私が本気で惚れた女、穂乃果と付き合っている海未・・・
穂乃果が認めた女・・・
大和撫子で・・・真面目で・・・誰からも信頼される人・・・
彼女なら・・・もしかしたら・・・
やってみましょう・・・やっと亜里沙と同じ場所にいけるかもしれない・・・
彼女なら・・・そんな辛い試練にも耐えられるかもしれない・・・
決まった・・・
海未・・・
期待してるわよ・・・
貴方に愛する人はいますか?
貴方はその人をどれだけ愛していますか?
愛する人のために自分の身を削る事はできますか?
貴方は愛をどこまで貫けますか?
終わり
『海未「貴方のためなら私は・・・』へ続く
海未「貴方のためなら私は・・・」 - SSまとめ速報
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このシリーズ書いてて楽しい
タイトルが最後まで決まらなくて悩んでたとき偶然
DAMIJAWの無力な自分が許せないが流れて
これいけるじゃん!と思い歌詞まで使わせていただきました
このSSまとめへのコメント
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