古泉「いやぁ・・・ポニーテールはないですね」 (15)

需要あれば続けます。






私は今日掃除当番だった。

面倒だけど仕方ない。

さっさと終わらせて楽しい部活に行かなきゃ。

最近私は楽しい。

不思議なことは中々見つからないけどみくるちゃんや有希、古泉君と・・・一応キョンもいるSOS団が楽しい。

だから掃除を終えた私は速やかに部室に走った。

扉を開けるとほらすぐそこには

「いやーー遅れちゃったわーー!岡部の奴が掃除は隅々まで綺麗にしろって・・・・・・」

「・・・・・・・・・ちっ!」

「・・・・・・・・・けっ!」

互いに睨み合いながら今にも殴り掛からん雰囲気のキョンと古泉君がいた。



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「ちょっ・・・ちょっとあんた達何してるのよ!」

流石に私は焦った。

決して仲が悪いわけではないキョンと古泉君が一触即発状態なのだ。

こんな状態は初めてだと言っていい。

「あの・・・涼宮さん・・・」

怯えた子犬のようみくるちゃんが私に声をかけてきた。

よく見るとみくるちゃんは涙目になっている。

なんて可愛いのかしら、このまま食べてしまいたいぐらいだわ。

・・・・・・・じゃなかった!


「どうしたのよ、みくるちゃん、キョンと古泉君があんな険悪になるなんて・・・」

私は小声でみくるちゃんに聞いた。

この狭い部室なら小声でもキョン達には聞こえる気がするがそれでも一応小声で聞いた。

「わかりません・・・私が来た時にはもうこんな雰囲気でした」

つまり何でこうなってるのかわからないってわけね。

そう言ってる間にもキョンと古泉君のメンチの切り合いは止まらない。

お互いの握り拳がいつ振るわれてもおかしくない雰囲気だわ。

・・・・・・そういえば有希は?

そう思いいつもの有希の席を見るといつもと同じように有希は本を読んでいた。

しかし、いつもと違って汗がダラダラと出ている。

ポタポタと汗が本に落ちているのがここからでもわかる。

あの汗は決して暑いからだけではない。

険悪なあのムードに押されているからだろう。

そんな中部室に入ってあの席に座って本を読み始めたとは考えにくい。

きっと有希ならこうなる前から部室にいて状況を知っているかもしれない。

「有希、ちょっと来て」

いつもゆっくりした動きの有希とは思えない速さで私の言葉に反応した。

まるで飼い主に呼ばれた子犬のような有希は私の元まで駆けてきた。

もう限界だったのだろう。

しかし、怯える有希は中々可愛い。

みくるちゃんに負けないぐらい可愛い。

もう食べちゃいたいぐらい・・・・いや、もうそれはいいか。

「有希・・・どうしてこうなったのか知ってる?」

その言葉を聞いた有希がこくりと頭を動かす。

「何があったの?」

あの二人がここまでになることだから余程琴線に触れることをお互い言ったのだろう。

私は覚悟して有希の言葉を待った。

「小泉一樹がポニーテールを馬鹿にした」

・・・・・・・・・・ん?

今有希変なこと言わなかった?。

「ごめんなさい、有希、もう一回言ってくれる?」

「小泉一樹がポニーテールを馬鹿にした。」

OK、私の聞き違いじゃないわ。

「何なのよ、それ?」

「彼と古泉一樹はボードゲームをしていた。その途中で女性の髪の話を始めた。彼はポニーテールが好きなためそれを力説していた。それを古泉一樹がうんざりしたのか否定した。それがこの状況の始まり」

想像以上のくだらなさに私はどうリアクションしていいのかわからなかった。

「馬鹿じゃないの!そんなくだらないことで喧嘩してるの!?」

また有希の首が縦に振られる。

「ちょっと、あんた達!いい加減喧嘩はやめなさい!高校生にもなってそんなことで喧嘩するなんてみっともないでしょうが!」

一喝するもキョンも古泉君も一向にお互いを睨み合いをやめる気がない。

「おい、ハルヒ悪いがちょっと黙っててくれるか?俺はこのうそんくさいにやけ顔に世の理を教えてやらなきゃいけないんだよ」

「涼宮さんの言葉ですがこればかりは聞けません、僕はこの鈍感の何の特徴もない顔の男に真実を教えてあげなければならないんで」

「おい、古泉?まさかそれって俺のこと言ってるのか?」

「あなたこそ僕のことを言っているのですか?」

駄目だわ、お互い全然引く気がない。


「うそんくさいとは心外ですねぇ・・・あぁ、それはもしかして僕の顔が良いことへの嫉妬の裏返しですか?困りましたねぇ、イケメンじゃない方の嫉妬は見苦しい」

やれやれと言った顔で古泉君がため息をつく。

古泉君どうしたの?

あなたそんなキャラじゃなかったでしょう?

それを聞いたキョンの顔はまるで阿修羅のようだ。

「嫉妬?まさか・・・するわけないだろ、お前なんかに、それにうそんくさいって思ってるのは俺だけじゃないぞ、その証拠にお前いつも一人ぼっちだよなぁ?女子には囲まれてるけど・・・男の友達いるのか?」

ギリッと古泉君の口から凄い音がした。

おそらく歯を食いしばりすぎたのだろう。

「おっ・・・おやおや、僕にだって友達の一人やf「いないよな?ぼっちのイケメン古泉君」」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・沈黙が重かった。

1分近く誰も何も言葉を発さなかった。

私はすぐにでも何もかも放り出して家に帰りたかったが、みくるちゃんと有希が私の袖を掴んでいたため帰れなかった。

「そんなんだからポニーテールの良さがわからないんだよ、お前は」

キョン・・・今あんたどれだけ阿呆なこと言ってるかわかってる?

よくそんなことどや顔で言えたわね。

「っ!わかりませんよ!女性の髪形は二つ束ねたおさげが一番だと何度言えばわかるんです!」

それって森さんがやっていた髪型よね?

古泉君もしかして・・・いや、今はそんな事どうでもいいわ。

「お前こそ頭良い癖に飲み込みが悪い奴だな!ポニーテールこそ女性が最も美しく光る髪型なんだよ!」

「はんっ!わかりませんね!そんなにポニーテールが好きなら馬のお尻でもずっと見ていたらどうですか?」

「てめぇ、それ以上言ったら戦争だぞ!」

「それはこちらのセリフです!」

「いい加減にしろって言ってるでしょうがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっ!!!」


流石に私は切れた。

いい加減このくだらなすぎる話にケリをつけたかった。

「みくるちゃん!有希!とにかくあの二人の距離を離して!」

「こっ・・・古泉君・・・こっちに来てください」

「・・・・来て・・・・」

みくるちゃんと有希が一向に睨み合いをやめない二人を何とか引き離す。

「いいこと!二人とも今日はさっさと帰って頭を冷やしてきなさい!わかった!?」

「ぐるるるるるっ!」

「がるるるるるっ!」

犬歯をむき出しにしてキョンと古泉君はけん制し合う。

「犬か、あんたらは!ほら!今日の部活は中止よ!古泉君はまず有希とみくるちゃんと一緒にまず帰って!そのあと10分後にキョンも私と帰るわよ!早く!」

キョンと一緒に帰った時のことは正直思い出したくない。

まるで隣にニトログリセリンのような危険物があるかの様だったから。

町行く人達も明らかに私達を避けていた。


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