【デレマス】ディアーマイベストフレンド (39)
カシャ カシャ
―撮影所に響くシャッター音
「じゃあ、ちょっと足を広げて」
―そうカメラマンが言うと、少女――マイクロビキニを着用した10代前半と思われる子が答え
「こ……こうですか?」
スッ
―だが、カメラマンはしかめっつらをしたまま
「もう少し……こう」グッ
「あっ…み、見えちゃう……」
―足を広げると、マイクロビキニのクロッチの部分から……大事な部分が見えそうになる
「大丈夫だから。――もっと下のを下げてみて」
「え………その……もっと?」オズオズ
―ただでさえ見えかかっているのに、更なる指示が飛び困惑する少女
「え、と……」
―思わず自分のプロデューサーの方を――助けを求めるように見る
「……」
(そん……なぁ……)
―彼女の願望という名の期待とは裏腹に、プロデューサーは何も言わなかった
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1558484851
「……あー、ダメダメ。中止。中止ね!」
「……あ」
(ほっ……)
―その言葉に安堵する少女。しかし……
「駄目ですか。凪ならいけると思ったのですが」
「ダメダメ。色気も何もない。これじゃあ、選挙のポスターの方がマシだよ!」
「はぁ……」
―そう会話は途切れ、批難の視線が集中する
(あ……でも……)
「な、なーちゃんは……」
「その自分をちゃん付けで呼ぶぐらいなら、そういったキャラクターを身につけて欲しいな!」
「……」
―そう。彼女はキャラクター、容姿、ダンス、歌。すべてが所属事務所のアイドルの中で中途半端であった
「せっかく、色物とはいえ仕事を取ってきたのに……」
「ちょ、アンタ!色物とは何だ!!」
「はぅっ……」
―ちょっとした自分のプロデューサーのミスによる騒動により、さらに縮こまる少女
―そして
「仕方がない。特別撮影所で仕切り直しだな」
「えっ……」
―てっきり今日の撮影は終わりだと思った少女は驚き、そして落胆する
(……まだやるんだ。もう……や…だよぅ)
コツコツ
―先程の撮影場所から離れ、さらに地下室に入る
(やだなぁ……)
―そして
「よし、じゃあ脱いで」
「えっ…………で、でも」
―衝撃の言葉に、本能的に両腕を胸と下半身にやり身構える
「そうだよ。その二枚だよ」
「や……やだ、プロデューサーさん……」
―またしても身内に助けを求める。しかし……
「駄目だよ。ただでさえ凪には仕事がないのだから、こういった『裏』の仕事もしてもらわないと」
「ひっ…!」
―本能的に扉へ駆け出す……しかし
「おっと、どこへ行くんだい」グイ
「まだ撮影は終わってないからね」ググッ
―逃げようとする少女を、男達が腕や腰を抑えつける。そして手首を掴み
「へっへっへっ、心配しなくてもいいよ」
グイッ
(な、何……手を後ろへ)
「これからオトナのオンナにしてやるからな」
ギッ
「ヤ……やだァー!」
―少女を縛り始めた
―あらかた少女を縛り終わり、床に寝かせた
―ふと気配に気がつく
「ほー」
「ライラさんは女の子をいじめるのはいけないと思いますがー」
「へっ」
―見知らぬ金髪褐色の少女がそこにいた
「だ、誰だ!」
「ライラさんはー、名乗るものではございませんがー、ライラさんと言いますよー」
―純粋無垢な話し方で話す少女の目は清んでいて、なおかつこの場にいる全員の顔を見ているようであった
「じゃなくて……どうやってここに……」
「それはー、そこの扉からでございますよー」
―そう言って開けっ放しになっている扉を指差す
「いつの間に開いていたんだ?」
「まぁいい……お前も同じようにしてやるよ」
―そう言って褐色の少女に近づく
「だ、駄目っ――逃げてー!」
―縛られた少女が渾身の叫びをあげる
スッ
(その少女に手を借り、立ち上がる私)
(ふと、足元に――さっきまでプロデューサーと呼んでいた――男が悶絶している)
(どうしたものかと迷っていると)
「あー、その男が……えっと」
(少女がこちらを見ながら少し困惑したような顔を見せた)
(どうやら……)
「凪」
「えっ?」
「久川凪。ネギでも萩でもなく、凪です」
「……はい、凪」ニコッ
(明るい屈託のない笑顔で軽く呼ばれ、少し恥ずかしくなる……)
「その……凪がこうなったのは、すべてこの男のせいなのですよ」
(やっぱりそうか……そう思っていると心情を察したのか)
「でも大丈夫ですよ。こうしてお助けに参りましたから」
―そうこうしながら、軽く上を羽織って外に出るとあちこちで火の手が上がっていた
「ええと……」
「みんな、ライ……アラビアンナイトさんのお仲間さんのお仕事ですよ」
(それにしても……警察とか、バレないものかな)
タッタッタッ
(そうこうして歩いてると一人のショートカットの少女が銃を抱えながらこっちに来た)
「『アラビアンナイト』撤退命令が出ました。その子を連れて、外のバンに急いで!」
「おー、『キャットシットワン』さん」
「私と『クリムゾンライフ』はまだ捜索があるから……」
「……美穂さんと響子さんですね」
「……」コクリ
―あちこち要点が途切れた二人の会話。だが、断片的にもわかることはある
(……なるほど、私の救助はその二人のついでだったわけですか)
―そう思いながら、外にあった車――運転手はモノ言わぬ女性だった――に乗り込み脱出した
ヴォロロロロ
―快適とは言い難いドライブも終点に近づく
―ある建物に近づくと完全に停止した
「もう着きましたか?」
「……ええ」
バタン
―運転手と軽く会話を交わすと少女が先に降り
「じゃあ、凪。ついて来て下さい。あと……」
「ようこそ、シンデレラガールズプロダクションへ」
(ここが……)
―久川凪にとって、第二のアイドル活動の拠点になる、通称CGプロ
―記念すべきかはともかく、その第一歩を踏み出した瞬間であった
―CGプロ
―客間
―少女と一緒に待っていると、凪の前の席に一人の男がやってきた
モバP(以下P)「ようこそ。我がプロダクションへ」
凪「はぁ……どうも」
凪(この男性が……?そうには見えないけど)
P「どうもとはご挨拶だな……まぁ、無理もないか」
ライラ「今回の作戦は、すべてモバPさんが立案されたのですよ」
P「こらこら。口の軽いヤツめ……そういえば、木場さんから聞いたぞ。また自分の名前をしゃべったそうだな」
ライラ「あ…ぉ……申し訳ありませんのです……」
P「今回、ハーゲンダッツからホームランバーに格下げだ」
ライラ「そんなぁ~」ドンヨリ
―どうにもあれだけのことを実行した人たちにしては、何気ない会話
―だが、凪には――数年ぶりに聞くたわいもない会話だった
凪「……くくっ」
P・ライラ「?」
凪「いえ……ごめんなさい。こういう会話が久しぶりだった……」
凪「本当に……」
―そう言いながら一筋の涙を流す
ライラ「わわっ、凪。どこか痛いのですか?」
凪「違い……ます。本当に……」
P「まぁとりあえず……」
P「君さえよければウチに……もちろん、普通のアイドルとしてだが」
凪「はい、なーちゃんこと久川凪をよろしくお願いします!」
アイドルマスターシンデレラガールズの久川姉妹のSSになります
こちら、独自の設定がありますので、よろしくお願いいたします
―一通りの書類を済ませ、モバPと呼ばれた男は二人を解散させた
ライラ「では、アイスを買いに行きましょう」ニコニコ
凪「えっ?でも……さっき」
ライラ「大丈夫ですのよ。仲間が増えた記念のとっておきのアイスを一緒に買いに行くのです」グイグイ
凪「あ……ちょっと」
―そうこうしているうちに建物のエントランスに来たとき、ライラの顔見知りに会う
ライラ「お?幸子さん達ですか?」
幸子「おや、ライラさん……と新人さんはお出かけですか?」
ライラ「はい、凪さんと一緒にアイスを買いにいくのですよ」
輝子「そ、外は暑いぞ……もう少しじめじめしないと……その、環境も……」
―一応は心配してくれているのだろう……ベクトルが茸基準ではあったが
凪「は、はぁ…………ん?」
―そう凪が反応していると、一人の少女がこちらをじっと見つめているのに気がつく
小梅「……」ジーッ
凪「え……えっと?」
小梅「憑いてるね」ボソッ
凪「??」
幸子「ヒィィィッ!」
輝子「あー……」
―見事に三者三様の反応であった
小梅「き……気をつけて」フリフリ
凪「はぁ……」テクテク
バタン
―二人が外に出ると幸子達はようやく口を利く
幸子「いつもと違って、警告とかないんですか?……ほら、ほたるさんの霊を退治した時とか」
小梅「んと……多分……芳乃ちゃんレベルでも無理だと思うよ……」
幸子「え……」
芳乃「ですねー」ニュッ
幸子「ぎぃやぁぁぁぁぁ!!」
芳乃「失敬でしてー」
輝子「い、今のは……普通に驚く……ぞ」
芳乃「それは失礼しましたー……こほん。あの霊は……」
芳乃「小梅殿に私と歌鈴殿。あと、こずえ殿と聖殿とクラリス殿に、茄子殿にユッコ殿の力添えがあっても……」
芳乃「おそらく……負けますー」
―そしてその恐れは的中する
―コンビニでの帰り道
ライラ「~♪」
凪「ライラさんは楽しそうですね」
ライラ「えっと……ライラさんはライラですよ」
凪「えっと……」
ライラ「トモダチに遠慮はいらないのですよ」
凪「あ…………はい、ライラ」ニッコリ
―このような会話を交わしながらそれは起きようとしていた
「た、大変だ!ビルの壁が!」
ヒュー
―老化したビルの壁が劣化し、二人の上に襲い掛かる
―二人のうち、まず反応したのはライラだった
ライラ(この音……何かが頭上に……)
ライラ(……)
バッ
凪「きゃっ!!」グラッ
凪「……もう!ライラってb」
ドシーン
―そう、その瞬間壁は凪のいた場所……正確にはライラ目掛けて落ちていた
バラバラ
―さすがに破片くずまでは避けられなかったが、凪への直撃は免れた。しかし、ライラと呼ばれた少女の姿は見えず
―……そこにはただ、真っ黒な腕と見られる物体が落ちていただけだった
凪「え……何……」
―あまりに突然のことで呆然とする……が、頭の回転が追い付いた時
凪「嘘……いや…………いやぁぁぁぁぁぁ!!」
―悲鳴が響き渡った
―あまりの出来事に凪が動けずにいる間も、回りの人は救急車や警察を呼んでいた
「えぇ、一人の女の子が……はい、多分知り合いらしい人の腕を持ったまま」
―事情を知らなければ猟奇事件真っ青だが、ビルの壁が降ってきたとなれば別だ
凪「え……あ…………腕だけ……」
―放心状態の凪はさらに肉体がないか探そうとするが
パラリ
バラバラ
―立つと同時ぐらいに壁がさらに崩れ落ちてきた
?「危ないのですよー!」
ドシッ
―その一言と同時に凪は再び突き飛ばされる
凪「きゃぁっ!」
ドスン
―思わず尻餅をつく……しかし、放心状態であった凪にはどうでもいいと言わんばかりに、お尻を地面につけたまま寝転んでしまった
凪(ライラ……さん……どうして……)ツゥー
―埃に汚れた顔を落ちる涙
?「おやー、可愛い顔が台なしでございます」
スッスッ
―誰かがハンカチで凪の顔を拭う
凪「…………」
凪(もう……疲れた……)
―一日に色々なことがあり過ぎたからだろうか
―凪の意識は途切れ、手には謎の黒い腕を掴んだままであった
ピーッピーッ
―再び気がついたのは病院のベッドの上だった
凪(ここは……)
凪(ベッド?)
キョロキョロ
―記憶を蘇らせるように頭を振り回りを見渡す
凪(私……)
凪(そっか…………私だけ……)
凪(あの時みたいに……私だけ生きて……)
凪「うっ……ううぅ……」
―過去の記憶が蘇ったのか、涙が流れる
―するとベッドの横のカーテンが開き、よく見知った……出会ったばかりであるが顔が覗かせる
ライラ「おー、凪さんのお目ざめでございますか」
凪「え……嘘……」
―さらに後ろから男が姿を表す
P「よっ、お目ざめか?……とりあえずショックが大きすぎたみたいでだな。一晩入院だ」
凪「え……でも……」
P「大丈夫だ。お前の体には傷一つない」
―言われて気がつく。病院用のパジャマに着替えさせられているとはいえ、下着はすべて未着用であった
凪「…………見た?」
P「おーけー。話し合おう。あれは不幸な事故だったんだ……」
ライラ「慌てて駆け込んで覗いたら、全裸だったのですよ」
P「こ、こら……」
凪「……見られた……あんなことがあったばかりなのに……」
P「だから不幸な事故だって」
ライラ「そんなことより、凪が持っていた腕。あれば誰のでございますか?」
P「そうそう、あの事故で怪我人らしい怪我人が凪ぐらいでな。誰も腕がないなんて人がいないんだ」
凪「え……じゃあ……」
―ため息をつき、言う
P「何らかの事件の被害者のそれだよ……」
―だが、ここにいた人間は全員知らない
―その時、窓に写っていた凪の顔が
―似てはいるが他人の顔であったのを
―たいした怪我もないということで、即日退院した凪
―しかし
凪(何か……誰か見ている?)
凪「……」ビクビク
―先程から何者かの視線を感じていて落ち着かない
P(さっきから落ち着いていないが、誰か尾行してきているとか無いか?)ボソボソ
ライラ(……視線は感じないのです。でも……)
P(でも?)
ライラ(嫌な空気……昔、ライラさんがお家のお墓を覗いた時に感じたような……そんなモノは感じるのですよ)
P(幽霊とかの類か?)
ライラ(ゴーストやファントムというよりは)
ライラ(デーモンやスペクターな感じでございますね)
―事務所
―とりあえずPは、ライラを護衛につけて凪は帰させた
―そして
小梅「……というわけなの」
P「つまり、可能性としてだが……凪のアイドル活動が悪い方へいってた原因は」
小梅「うん。間違いなくあの霊のせいだよ……」
P「なんてこった……芳乃はどう見ている?」
芳乃「……」
芳乃「わかりません……ただ」
P「ただ?」
芳乃「感じた限り、あの霊魂はー凪殿の波長とどことなく似ているのでしてー」
P「波長?つまり、親とか姉妹とかか?」
芳乃「ひょっとしたらー、水子の類やもしれませぬー」
P「あぁ……そうなったら調べようがないな……とりあえず俺は彼女の過去のデータを調べる」
芳乃「ではー、私達はー」
小梅「と、とりあえず、みんなに気をつけるよう伝えとくね」
―その夜
凪「すぅ……すぅ」
―就寝中の凪。そこへ謎の影が姿を表す
?()
―そして影は凪の首元に近づき
ギュッ
凪「うぅ……ぐぅ…」
?(……)
ギュゥゥゥゥ
凪「がはっ、げほっげほっ!!」
?(……シ…ネ)
凪「だ……誰……」ジタバタ
?「……」
?「ナゼ…………オマエダケ……ノウノウト」
凪「あ゛あ゛……も、もしかして……」ググッ
?「…イキテイル!」
凪「はー……な……の…?」
ガクリ
?「」
フワッ
―そうつぶやくと同時に意識は絶え、同時に影も消えて無くなった
―次の日
凪(……)
凪(どうして……)
凪(はーが……)
―そう思いながら首をさすると違和感がする
凪(首……痕になってないといいけど)
―そう思いながら鏡を見る
―だが
凪(痕は……やっぱりある……)
凪(どうしたら……っ!)
ソッ
―ふと首に自分以外の指の感触
―鏡を見ると……そこには
颯(……)
ギュウウウ
凪「ぐっ……うぅぅぅ……」
凪(は、颯…………)
―ふと首に入る力が緩む
凪「げほっ!げほっ!……げふっ」
凪(はー……私を殺しに来たの……?)
凪(何で……今頃……)
P「で、話してくれるか?」
―長い沈黙の後、凪は口を開く
凪「あれは……一年前、まだなーちゃん……いえ、なーはアイドルなんかなる予定はありませんでした」
凪「本当になる予定だったのは……」
―室内が5度は低くなったと感じた時、その名前は出た
凪「颯…………久川颯」
凪「なーの双子の妹です」
小梅「そ、それって……この気配のする……」
―察したのだろうか、小梅が口を挟む
凪「はい……妹、はーはアイドルに昔からなりたがっていました」
凪「あの日も……」
――――――――――
颯「なー!なー!どこ!?」バタバタ
凪「どうしましたか煩いですよ」
颯「はーがついにアイドルになることができそうです!」
凪「ほう、ついに我が妹は身体を売る仕事を選びましたか」
颯「むーっ、たしかにはーちゃんはなーよりスタイルはいい」
ポカッ
凪「失礼。頭を叩きました」
颯「むきーっ!いいよーだ!東京へ行ってもなーのことなんか見てあげないんだから!」
凪「はいはい、通報されて泣きながら実家に帰る姿が想像できます」
颯「きー!!」
――――――――――
凪「と、このように仲がよい姉妹でしたが、その晩に出掛けたまま行方不明に……」
凪「で、代わりにと……」
バリーン
P「うおっ!?」
小梅「うわぁ……窓硝子が粉々に」
ライラ「……対レーザー盗聴も耐えられる防弾硝子が」
「チガウ……ソノバン、ナーガハーニシタコトヲワスレタトハイワセン!」
小梅「どうやら嘘をついているみたいだね」
凪「はぁ……なーが前科一犯になるのを防ぐはずなんですがねぇ」
P「安心しろ。ここには下は幼女猥褻から連続殺人まで沢山犯罪者がいる事務所だぞ」
ライラ「ライラさんはすでに10ダースほど殺してますよー」
小梅「わ、私はまだ二人ほどしか……」
凪「わーお」
――――――――――
バタバタバタ
颯「なー!はーの合格通知どこやったの!?」
凪「知りません。返してほしければここの事務所はやめましょう」
颯「なんで!?なんでなーはいつも邪魔するの!?……こないだだって、合格の連絡があったのをなーが断るし……」
凪「……企業秘密です」
凪(まさか、はーの受ける会社が今まで全部非合法もやってるだなんて言えません)
颯「ふざけてないで言いなさいよ!」
凪「いいでしょう。ならついてきなさい」ピュー
颯「あ、待って!」
…………
颯(工事現場?)
凪「ほーら、穴の中に落としますよ」ポイッ
颯「あ!」
凪「欲しければ穴に降りて取ってくればいいですよ」
凪(まぁ、工事現場ですから、降りたら死が待ってますけどね)
ダッ
凪「え……」
ズササササッ
凪(なんで……)
颯「や……何これ……登れない……」ズルルッ
颯「やだ……死んじゃうよぉ……」ズルルッ
凪「待ってください、今何かないか……」
凪「はーちゃん?」
――――――――――
凪「……これで合ってますよね」
「クルシカッタ……クチカラハナカラスナガハイルノハ」
「シンジテタ……ソレデモタスカルト」
「デモ」
颯「オマエノセイデワタシハシニ、ユメスラカナワナカッタ!!」
颯「コノウラミ、ハラサズニハオケナイ!」
颯「ダカラ……」
―そうつぶやくと、皆はいつの間にか事務所ではなくどこかの砂場に来ていた
P「これは……」
小梅「これは……強力だ、だね」
ライラ「凪っ!」
凪「うぅ……」
―いつの間にか下半身をずっぽりと砂の中に埋もれ、身動きが取れない
颯「サァ、スコシヅツクルシンデイクガイイ」
凪「……」
颯「ドウシタ?ザンゲノコトバナラキクゾ」
凪「……」
凪「……はーがあんなになりたがっていたアイドルって、なんだったんだんでしょうか」
颯「ナニ!?」
凪「テレビの前では歌って踊って、観客を喜ばせ……まるで、煌めく海の上で揚がる花火」
凪「でも……なーをはーちゃんはずっと見ていたんですよね」
凪「ま、そんな存在は極一部なのは当然として」
凪「実際にはーちゃんがなーだったとしたら、どうなって……いえ、どうされていたか知ってますね」
颯「……」
P「たしか、小中学生を輪姦して肉奴隷として財界に売り渡す事務所だったな」
小梅「だ、だから自分で命を絶つ子も沢山……」
ライラ「あの時の突入は違う話でしたねー」
凪「感謝しろとは言いません。実の妹を殺したのは事実ですから」
凪「でも……はーちゃんをあんな目に合わせなくてよかったと……」
凪「それだけは確信しています」
凪「だからいいですよ。一緒に地獄の物件巡りをしましょうか」
ライラ「なっ!」
凪「……申し訳ありません。折角スカウトしていただいたのに、自ら命を捨てることになりまして」
P「ま……待て、早まるんじゃない!」
―そんな悲痛な叫びに構わず少女は呟く
凪「……おそらく、なーがいなくなればこの現象は止むかと」
凪「だから……皆さんさようなら」
凪「ライラさん……アイスごちそうさまです」
凪「じゃあ」
凪颯『一緒に遊ぼうね』
―その一言と共に砂場は消え去り、足元は自由に動くようになった
―しかし
ライラ「あ……あ――――」
―そこには冷たくなった少女の遺体が二つ
―両手を握ったまま横たわっていた
―その後
ライラ「はー」
P「どうしたライラ。アイスが溶けているぞ」
ライラ「はー」
みく「最近こんなんばっかりだにゃ」
P「……まぁ、どうしようもないかもな」
バタン
真奈美「それより、卯月を尋問した結果だが」
P「っ!!」
みく「美穂ちゃんに響子ちゃんの行方がわかったにゃ!?」
真奈美「二人かどうかはわからんが、かなりの数がいるらしい」
P「よし……小梅」
小梅「う、うん……出番だよ」
―その返事に答えたのは
凪『やれやれ、死んでもこき使われるのですか』
颯『まぁ、いいじゃない。こうして二人で一緒に活動できるんだから』
あの子『はいはい、潜入調査なんだから、新入りは静かにしてなさい』
凪、颯『はーい』
小梅「えへへ、友達増えた……よ」
―少し嬉しそうな小梅。それとは引き換えに憂鬱そうなのは
ライラ「はぁ……ライラさんは生きている方が一緒にアイスが食べられたのですがね……」
みく「一体、ナニがあったにゃ?」
P「ま、とりあえずアイドル活動といきますか」
みんな「おーっ!」
颯『ずっと一緒だからねっ』
凪『死んでも咲き続ける桜花と呼んでください』
~Fin
以上になります
このSSまとめへのコメント
このSSまとめにはまだコメントがありません