【ラブライブss】ことり「名付けて、アルティメット・スタダ!」 (47)

ラブライブ最終予選が終わり、年が明けたある日
アイドル研究部 部室

にこ 「オホン、それでは楽曲制作会議を始めます」

凛  「ヨッ 部長!」

真姫 「ちゃかさないの」

凛  「へへ」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1568215356

にこ 「オホン、我々μ’sは東京地区最終予選でA-RISEを破り、
    ラブライブ全国大会決勝への切符を掴み取りました」

絵里 「ついにここまで来たわね」

花陽 「あのA-RISEに勝った…」

穂乃果「私たちの目標はラブライブ出場じゃないよ、優勝だよ!」

海未 「そうでしたね」

にこ 「そのラブライブ決勝で演じる曲は新曲になります」

凛  「新曲テンション上がるにゃー!」

真姫 「気楽でいいわね。作る方はプレッシャーで大変よ」

にこ 「それでは各担当、新曲の進捗を報告してください」

真姫 「曲はほぼできてるわ。
    僕今とコード進行は同じにしたから」マキマキ

希  「さすがアキバのモーツァルト。仕事が早い」

真姫 「ちょっと! へんなあだ名つけないでよっ///」

にこ 「僕今と同じってことは、前回大会のリベンジを意識してるのね」

花陽 「僕今はお蔵入りになってしまいましたからね…あっ」

みんな「……」

海未 「歌詞は悩んでいたのですが、
    μ’sのキャッチフレーズを”みんなで叶える物語”に決めたことで
    筆が進むようになりました」

穂乃果「ちょっと見せてもらったけど、そのまま歌詞に入っていたよね。
    想いが素直に表現されていて良い歌詞だと思った」

絵里 「振り付けは今までの曲からも持ってきて、μ’sの集大成になるわ」

凛  「憶えるのが楽でいいにゃ」

みんな アハハハハ

にこ 「ことり、衣装はどう?」

ことり「…ごめんなさい。まだイメージも固まってなくて…」

穂乃果「まだ焦らなくて大丈夫だよ! 衣装は最後に突貫作業で作れるし」

花陽 「デザインを貰えたらみんなで手分けして作れます」

ことり「うん…」

にこ 「はい、では今日の会議はここまで。練習に移るわよ」

みんな「はーい」

その日の夜
ことりの自室

ことりは机に向かって衣装のデザインを考えていた。

ことり(はぁ、全然ダメだぁ)

ことり(他のみんなは曲作りを進めているのに、私はまだ衣装のイメージすら湧いてこない)

ことり(目標だったラブライブ全国大会決勝)

ことり(もはやμ'sだけの問題じゃ無い、応援してくれる人たちも含めてみんなで叶える物語...)

ことり(前回大会のリベンジ、μ’sの集大成、A-RISE越え、
    三年生にとっての最後の大舞台、花道…
    考えることが多すぎてうまくまとまらないよ)

ことり(なにより、私は服飾の留学をキャンセルして今ここにいる。
    その選択が正しかったのかが問われる)

ことり(この衣装は私にとっても集大成)

ことり(失敗は許されない)

?
アイドル研究部 部室

にこ 「ことり、衣装はどう?」

ことり「ごめんなさい。できてないです…」

海未 「決勝は明日ですよ! もう間に合いません!」

花陽 「ダレカタスケテー!」

穂乃果「こうなったら前に作ったKISS風の衣装で出るしかないよ!」

みんな「うん!」

ことり「そんなのだめ~!」ガバッ


ことりの自室

ことり「はあ、はあ、夢?」

2年生の教室
授業中

ことり(あんな夢を見るなんて、追い込まれてるなあ…)

先生 「次、南、宿題だったこの問題を解いてくれ」

ことり「え、あ、すみません… やってきませんでした…」

先生 「どうしたんだ南。もうすぐ3年生になるんだぞ。勉強に集中しないと」

ことり「すみません…」

穂乃果(ことりちゃん)

その日の夜

穂乃果は海未に電話した。

穂乃果『海未ちゃん、遅くにごめん。今電話いいかな』

海未 『いいですよ、穂乃果』

穂乃果『ことりちゃんのことなんだけど』

海未 『穂乃果も気づいていましたか』

穂乃果『うん。 
    前のWonder zone作詞やユメノトビラ衣装の時みたいに、
    ことりちゃん一人で悩んでるんじゃないかと思って』

海未 『そうだと思います。
    次のライブはμ’sにとって色んな意味で大事なライブです。
    プレッシャーは大きいです』

穂乃果『何か私たちにできることはないかな?』

海未 『そうですね。私たちはデザインに関する専門的なアドバイスはできませんので、
    どこかに連れ出して息抜きさせるのはどうでしょうか?』

穂乃果『いいねぇ! 早速今度の練習休みの日に誘おう!』

土曜日
穂むら

穂乃果「ごめーん寝坊しちゃった!」

海未 「穂乃果の家を待ち合わせ場所にしているのに一番遅いとは何事ですか!
    休日とはいえ、たるんでますよ、穂乃果!」

穂乃果「ごめ~ん」

ことり「うふ」

穂乃果ママ「海未ちゃん、ことりちゃん、おはよう」

ことうみ「おはようございます」

穂乃果ママ「ラブライブ頑張ってね。ブレードたくさん持って応援に行くから」

海未 「はいっ」

ことり(やっぱりみんなに期待されてる…)

穂乃果「もー、お母さんは出てこなくて良いよ。
    行こう、ことりちゃん、海未ちゃん」

3人はゲーセンのプリクラやUFOキャッチャーで遊んだ後、メイドカフェに入った。

穂乃果「あのぬいぐるみ欲しかったなー」

海未 「ああいうのは簡単に取れないようにアームの力が弱く設定されているのですよ、穂乃果」

穂乃果「海未ちゃんのいぢわる」

海未 「私は何もしてませんよ」

ことり「うふふ」

穂乃果「こうして3人で遊ぶのも久しぶりだね」

海未 「μ’sを結成してからはメンバーみんなで行動することが多かったですからね」

ことり「うん」

穂乃果「あ、チーズケーキ有るよ、食べようよことりちゃん」

海未 「太りますよ。と言いたいところですが、たまには良いでしょう。
    私もいただきます」

ことり「うん」

メイド「チーズケーキ3つ、お待たせしました」

ことり(ここのメイドさんの衣装はスカート短いんだ)

穂乃果「おいしそう!いただきまーす」

海未 「ことり、どうかしたのですか?」

ことり「え、なんでも無いよ、いただきまーす」

穂乃果「衣装のことが気になってるの?」

ことり「え、う、うん…」

海未 「私も今回の作詞は難しかったです」

ことり「私は、色々考えちゃって、考えがまとまらなくて…」

穂乃果「そんなに抱え込まなくて良いよ!ことりちゃん!
    もし今回衣装が作れなくっても、今までに作った衣装を着れば良いし!」もぐもぐ

ことり「えぇっ! KISS風の衣装はだめだよぅ~」

穂乃果「えっ アレ!? いくら何でもアレは無いよ~。
    他にも良い衣装がたくさん有るじゃん」

海未 「ことりはあの衣装が気に入っていたのですか?」

ことり「違うけど~」

ほのうみ アハハハハ

ことり「あはは、
    穂乃果ちゃん、海未ちゃん、ありがとう」

穂乃果「どうしたの? ことりちゃん」

ことり「ことりのこと励ましてくれたんだよね」

海未 「ことり」

ことり「2人に話したら少し気が楽になったよ」

穂乃果「うん」

メイドカフェを出て秋葉原の街を歩く3人。

穂乃果「すっかり寒くなってきたね」

海未 「また風邪をひかないでくださいよ、穂乃果」

ことり「あ、スクールアイドルショップにμ’sコーナーが有るよ」

穂乃果「本当だ! しかもスペースが広いよ!」

海未 「東京地区代表μ’s、と書いてあります。
    やはりA-RISEを破って代表になったことで人気上昇しているようです」

穂乃果「見ていこうよー」

3人はスクールアイドルショップに入った。

穂乃果「わぁー、μ'sのバッジとかクリアファイルとかポスターとかたくさん有るよ!」

海未 「私たちの肖像権はどうなっているのでしょうか?」

ことり「穂乃果ちゃんのアクリルスタンドかわいい❤」

穂乃果「これまでのライブの写真も有るよ」

海未 「ぼららら、これサム、ちょっと懐かしいですね」

ことり「これは、START:DASH!!…」

穂乃果「私たちのファーストライブ」

海未 「あの頃はこの3人だけでしたね」

ことり「……!」

穂乃果「今あのファーストライブを見るとちょっと恥ずかしいね」

海未 「ことり?」

ことり「衣装のイメージが見えたみたい❤」

その日の夜
ことりの自室

ことりは集中してデザイン画を描いていた。

ことり(ファーストライブの衣装。私が最初にデザインした衣装。
    今見たらレベルが低く見えるけど、それは私の技量が上がった証拠)

ことり(今の私の技術であの衣装を再デザインする)

ことり(そして、あの時は3人分しかなかった衣装を9人分揃える)

ことり(ことほのうみの3人の色はファーストライブと同じにして…)

ことり(穂乃果ちゃんをセンターにして、他のメンバーはアシンメトリーで…)

ことりは夜遅くまで描き続けた。

アイキャッチ

μ's「ラブライブ!」

翌日

ことりは日暮里の繊維街を訪れていた。

ことり(デザインは固まってきたから、デザインに合った生地を探しに来たけど)

ことり(やっぱり安い生地だと質感が出ないなぁ)

ことり(今回の衣装はごちゃごちゃした装飾を省いてシンプルさで勝負するんだ。
    その分、生地そのものの質感が出来栄えに大きく影響しちゃう)

ことり(安い生地でテカテカしていたら安っぽいコスプレ衣装みたいになっちゃう。
    でも質感の有る高級生地は値段が高い…)

ことり(9人分の衣装を作る為には沢山お金が要る。
    アイドル研究部の残っている活動費じゃ全然足りない)

ことり(生徒会として各部の活動費を削減したのは私たち自身だし)

ことり(でも今回はμ’sにとって一番大事なライブ。全力を出し切りたい)

ことり(私の貯金を使えば生地が買える…)

ことり(絵里ちゃんには前にも持ち出しを止められたけど、
    これは3年生の為でもあるんだ……よし)

あんじゅ「あら~、南ことりさんじゃない?」

ことり「優木あんじゅさん!?」

あんじゅ「あなたもよくここに来るの?」

ことり「はい。衣装の生地を探しに」

あんじゅ「ここは品数も揃ってて良いわよね。私も衣装作りの参考によく来るの。
     やっぱり生地は実際に見て触って確かめないとね」

ことり「そうですよね」

あんじゅ「ねぇ、せっかくだからお話していかない?」

ことり「は、はいっ」

二人は近くの喫茶店に入った。

ことり「あの、優木さんはA-RISEの衣装を担当されてるんですよね?」

あんじゅ「あんじゅでいいわよ。
     そう。私がA-RISEの衣装をデザインしてる。
     でも実際の製作はサポートチームに任せているわ」

ことり「サポートチームが有るんですね、さすがUTX」

あんじゅ「学校を挙げてスクールアイドルに取り組んでるし、
     UTXには服飾科も有るから、服飾科の生徒がサポートチームに入ってるの」

ことり「すごい…」

あんじゅ「μ’sこそ、衣装は全部自分たちで作ってるんでしょ?
     練習も有るのに、その方がすごいわ」

ことり「そんな…」

あんじゅ「そして、そのμ’sの衣装を全てデザインしているのがことりさんなんでしょ?
     ツバサは穂乃果さんと話をしたみたいだけど、私はあなたと話がしたいと思ってた」

ことり「え」

あんじゅ「μ’sの衣装にはいつも注目してたの。
     服飾科でもない素人同然の高校生が独創的な衣装を次々と生み出していく。
     それはあなたの天性のセンスによるもの」

ことり「そ、そんな大げさです! 私はただかわいい服が好きで…」

あんじゅ「私が一番衝撃を受けたのは
     A-RISEが敗れた最終予選のSnow halationの衣装じゃなく、
     地区予選のユメノトビラの衣装だったわ」

ことり「…」

あんじゅ「花冠以外に細かな装飾が無いシンプルなワンピース。使用している色数も少ない。
     それを絶妙な色指定で圧倒的な透明感を実現させた。
     洗練されていて、スクールアイドルって枠から突き抜けた衣装だった」

あんじゅ「あのUTXでのライブを見た時、これはヤバイかもって思ったわ。
     私は臆病だから色々飾り付けたくなっちゃうの。
     あなたのように大胆にシンプルに攻められないのよ」

ことり「ありがとうございます、あんじゅさん。嬉しいです」

足を組みかえるあんじゅ。

あんじゅ「それで、ラブライブ決勝の衣装はどう? 進んでる?」

ことり「はい。大変だったんですがなんとかデザインは形になってきて、
    今日は生地を探しにきました」

あんじゅ「なるほどね、良い生地は見つかった?」

ことり「はい。でも質感の良い生地は高くて、悩んでいました」

あんじゅ「あぁ、そういうこと。ふーん」

また足を組みかえるあんじゅ。

あんじゅ「ねぇことりさん。帰りにUTXに寄っていかない? 帰り道でしょ?」

ことり「は、はい」

秋葉原まで電車で移動し、UTX学院に入る2人。

あんじゅ「遠慮なく入って」ピッ

カードをかざしてゲートを開けるあんじゅ。

ことり「はい」

休日なので生徒はいない。

あんじゅ「この辺が服飾科の教室なの」

ことり「すごい…」

実習室には最新のミシンや機材が備えられていた。

あんじゅ「そしてここが倉庫」ガチャ

ことり「わぁ」

UTX服飾科の倉庫には膨大な種類の生地、副資材が収められていた。

あんじゅ「良かったらここの生地を決勝の衣装に使って」

ことり「えっ! そんな、できないです!」

あんじゅ「μ’sはA-RISEを破った東京地区の代表なのよ? 
     安っぽい衣装で決勝に出てもらったら困るの」

ことり「でも」

あんじゅ「μ’sのキャッチフレーズは”みんなで叶える物語”なんでしょ?
     A-RISEもその”みんな”の中に入れてよ」

ことり「あんじゅさん…ありがとうございます」

あんじゅ「期待してるわ。決勝は応援に行くからね」

1週間後
アイドル研究部 部室

にこ 「オホン、それでは楽曲制作会議を始めます。
    各員進捗を報告してください」

真姫 「曲も歌詞も完成してるわ」マキマキ

海未 「曲名はKira-Kira Sensation!です」

穂乃果「Kira-Kira Sensation! ワクワクするね!」

にこ 「衣装はどう? ことり」

ことり「プロトタイプとして穂乃果ちゃんの衣装と、全員分のデザインができました。
    これです」

トルソーに着せた穂乃果衣装を見せる。

凛  「かわいいにゃー!」

真姫 「へぇ、良い生地を使っていて高級感が有るじゃない」

穂乃果「ことりちゃん、この形と色はひょっとして…?」

ことり「うん。衣装のコンセプトを説明するね。
    この衣装はμ’sのファーストライブ、START:DASH!!の衣装の発展形なの」

海未 「このスカートの短さ、憶えていますよ」

希  「このメンバー9人が初めて集まった講堂のファーストライブ」

ことり「μ’sの原点であるファーストライブ衣装を9人分揃え、
    さらにμ’sを始めてから習得した服飾技術を全て注ぎ込んで進化させた…」

ことり「名付けて、アルティメット・スタダ!
    μ’sの集大成であるラブライブ決勝に挑むのにふさわしい衣装だと思うの」

花陽 「ア、アルティメット・スタダ…」

にこ 「大きく出たわね」

絵里 「あの時の衣装…。 ハラショーよ、ことり」

海未 「スクールアイドルとしてだけでなく、
    デザイナーとしても成長していますね、ことり」

穂乃果「すごいよ!ことりちゃん!」

ことり「ありがとう。今までで一番かわいくしようと頑張ったんだ❤
    他のみんなの衣装デザインもできてるよ」

ことりがデザイン画を配る。

真姫 「やさしい色使いが良いじゃない」

希  「左右非対称なのがおしゃれやね」

凛  「動きやすそう!」

ことり「これから手分けしてみんなの衣装の製作に入ってもらうけど、
    もう一つ大事なことがあるの」

海未 「なんですか、ことり?」

ことり「今回の衣装に使う生地はA-RISEのご好意でUTX学院からわけてもらえることになったの」

みんな「えー!」

ことり「衣装の生地で悩んでいた時に偶然あんじゅさんに会って、
    A-RISEもみんなで叶える物語に入れて欲しいって」

希  「粋なこと言ってくれるやん」

花陽 「昨日の敵は今日の友。アイドルの王道展開です」

海未 「A-RISEに恥ずかしく無いパフォーマンスをしなければいけませんね」

にこ 「A-RISEと同じ生地の衣装…はわわ」

絵里 「ちゃんとお礼言わないとね」

凛  「またお餅つきするー?」

穂乃果「任せて!」

にこ 「はい。ではこれからは練習と並行して全員で衣装作りをしていきます。
    大変だけど、最高のライブにする為に頑張るわよ」

みんな「おー!」

ことり「あ、そうそう。
    衣装のサイズもファーストライブの時と同じにしてあるから、
    穂乃果ちゃんはダイエットしてね❤」

穂乃果「え~! またダイエットするの~!?」

海未 「お正月にダラダラしていた穂乃果が悪いんです!
    もう時間が無いのでダイエット・アルティメット・絞るプランを発動させます!」

穂乃果「そんな~!」

みんな アハハハハ


こうしてμ’sはアルティメット・スタダを身にまとい、
ラブライブ全国大会のステージに挑むのであった!


ことりちゃん誕生日記念ss (・8・)

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom