橘ありす「炎上商法フレデリカ?」 (26)


〜事務所〜


橘ありす「充電……と」カチッ

ありす「ふぅ……」

ありす(不覚です……タブレットの充電を忘れて寝てしまうなんて……)

ありす(おかげで事務所に着くまではただの重い板でした……)

ありす(さて、充電が済むまで、台本にでも目を……)スッ

ガチャ

宮本フレデリカ「ありすちゃーん! 見て見てー!」バタバタ

ありす「通すのは、無理でしたね……」スッ

フレデリカ「?」

ありす「こちらの話です。どうかしたんですか?」

フレデリカ「フレちゃん、バズっちゃいました!」バーン

ありす「!!!!!」

フレデリカ「……?」

ありす「どこの冷蔵庫に入ったんですか……? なんでそんなことを……私も一緒に謝りますから……私の監督責任です……」グスッ

フレデリカ「ぜんぜん信用されてない!!!」ガーン



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フレデリカ「ちーがーうーよー! フツウの投稿が伸びたの!」プンプン

ありす「そ、そうだったんですね……すみません、てっきりフレデリカさんがやらかしたのだとばかり……」

フレデリカ「まったくもー!」

ありす「と、ところで! どんな投稿が伸びたんですか?」

フレデリカ「この前の、ありすちゃんが奈緒ちゃんにひざまくらしてもらいながら気持ち良さそうに寝てた写真!」

ありす「なっ! ばっ! えっ! な、ななな何してるんですか!?!?!?」


フレデリカ「あれ? ありすちゃんのことだからてっきりもう見てるのかと」

ありす「ちょっと今日はタブレットが使えなかったんです! スマホもいじる時間がなくて!」

フレデリカ「これだよこれ〜」スッ

ありす「どれ!」パシッ

フレデリカ「ああん! ありすちゃんってばダイタン!」

ありす「うう……いつの間に撮ったんですかこんなの……」

フレデリカ「いちまんリツイートだよ! すごいね!」

ありす「奈緒さんも止めてくださいよ……」


フレデリカ「と、いうわけで、フレちゃんは目覚めたのです!」

ありす「はい? 目覚めた?」

フレデリカ「バズるのって気持ちいい……!!!」

ありす「それあんまりよくない目覚めでは……」

フレデリカ「フレちゃんもっとバズりたい! どうすればいいかな!?」

ありす「知りませんよ……というか日常の投稿だって多少は伸びてるじゃないですか。アイドルなんですから」

フレデリカ「もっとほしい!!!」

ありす「すごいダメ人間の気配がします……」

フレデリカ「やっぱりありすちゃん専門の画像投稿アカウントになるしかないのかな……」カシャカシャ

ありす「撮るな!!!」


ありす「だいたい、そういうのは狙うものではないです。結果的にバズるのは良いにしても、最初からバズることを目的としてSNSを利用するのは間違っています!」

フレデリカ「バズリタイ……バズリタイ……」プルプル

ありす「なぜ禁断症状みたいになっているんですか……」

フレデリカ「というわけで、その道のプロをお呼びします!」

ありす「へ?」

フレデリカ「ちょっと待っててね!」タッタッタッタッ

ありす「え!? あ、ちょっと、どこへ……!」

フレデリカ「ただいま!!!」

ありす「はやっ! ……って、その方は」

夢見りあむ「え? え? なになに!? え???」キョロキョロ

フレデリカ「新人サンのりあむちゃん! 通称”たき火”」

ありす「たき火」

りあむ「ぼくそんな目で見られてるの!?」


りあむ「い、いや急にめっちゃ顔がいいヒトに拉致られたと思ったらふふふふフレデリカちゃんだし! 陽キャの匂いしかしない! ど、どうすればいいのさ!」

フレデリカ「はじめまして!」

ありす「いや初対面なんですか……よく連れてきましたね……」

フレデリカ「ありすちゃんはりあむちゃんのこと、知ってる?」

ありす「ええと……ウワサはかねがねと言いますか……」

りあむ「うぇ!? ど、どんなウワサ……!?」

ありす「新人なのにSNSをたびたび禁止されるとか、新人なのに生放送出演禁止だったり、新人なのに共演NG多数とか、新人なのに」

りあむ「もういいよ! オーバーキルだから!!!」

フレデリカ「ホントなの?」

りあむ「全部ホントだよぅ……!!!」


フレデリカ「りあむちゃんはSNSがすっごい得意ってフレちゃん聞いたよ!」

りあむ「この流れでそれは皮肉か!?」

フレデリカ「すっごいよくバズってるって!」

ありす「よくバズるというか、悪くバズるというか……」

フレデリカ「フレちゃんもその秘密、知りたいな!」

ありす「……って、このバズりは真似しちゃいけないやつですって! 俗に言う……えっと……燃えるというか……」チラッ

りあむ「もう”炎上”って言っちゃっていいから! 小学生に気を遣われるのめっちゃやむよ!!!」


フレデリカ「でもでも! 好きと嫌いはすぐ近くって言うよ! 悪いバズりだってみんなの心を掴んでるってことだとフレちゃん思う!」

りあむ「天使か……」ナムナム

ありす「なんで拝んでるんですか……」

フレデリカ「例えば直近はどんなツイートが燃えちゃったの?」

りあむ「えっと……これかな……」ポチポチ


『はぁ〜ウサミンまじありえん……』


ありす「いやこれは燃えますよ」


フレデリカ「ナナちゃんに意地悪されたの?」

りあむ「はぁ!? 違うよ! こないだウサミンに挨拶行ったらめっちゃ優しくて可愛くていい匂いして、泣きそうになったらハンカチまで貸してくれたんだぞ! はぁ〜、まじありえん女神……」

ありす「その感情の出力がこれですか!?」

フレデリカ「ファンの反応は〜?」


『お前の方がありえない』
『ふざけてんの? 消えろよ』
『クタバレ!』
『ウサミンに近付くな』


ありす「でしょうね」

りあむ「音読しないでいいよう〜〜〜!!!」


フレデリカ「なるほどなるほど!」

ありす「何を学んだんですか……」

フレデリカ「フレちゃんもやってみる!」ポチポチ

りあむ「は?」

ありす「え?」

フレデリカ「とりゃ!」ピッ


『はー! ありすちゃんまじありえん!』


ありす「な、何してるんですか!」

りあむ「燃えちゃう! よ!?」

フレデリカ「さっそく反応が!」ピロンッ


『わかります! ありすちゃん可愛いですよね!』
『この前のライブもすごく良かった〜』
『アリスチャン、カワイイ!』
『まさに天使ですよね!』


ありす「ファンの物分かりが良すぎる!!!」


りあむ「なんで!? いやもちろん燃えてほしかったわけじゃなくてね!?」

フレデリカ「なんか予想と違ったけどオッケー!」

ありす「日頃の行い……? つまり新人なのに燃えてるりあむさんは相当……」

りあむ「うわーん!」

フレデリカ「他にはどんなテクニックがあるの!?」キラキラ

りあむ「期待の眼差しがつらい……テクニックじゃないし……」

フレデリカ「ねえねえ!」

りあむ「うぅ……他に燃えたやつは……これとか」


『テレビにニュージェネ出すぎだろ……もっと頑張れよ……!』


ありす「逆になんでこれがセーフだと思うんですか???」

フレデリカ「どういう意味?」

りあむ「え……そりゃ『(わ! また)テレビにニュージェネ出(てる……! すご)すぎだろ(普通に考えて)……(! でもでも、ぼくだっておんなじ事務所のアイドルなんだから! いつかはあれくらい活躍したいな……そのためには)もっと頑張(らなきゃ……よし! 自主レッスンの時間入)れよ……(! めんどいけど……努力しないアイドルは尊くない! よね)!』って意味だけど……」

ありす「わかるか!!!!!」


ありす「わざとやってるんですか!?」

りあむ「ひぃぃぃぃぃ!!!」

フレデリカ「ファンの反応は〜?」


『ニュージェネに喧嘩売るとか偉くなったなお前』
『まじふざけんなよ』
『カエレ!』
『島村さんやっちゃってくださいよ!』


りあむ「ぐえええええ」

ありす「というかさっきからカタコトの外国人みたいな人が紛れてるのはなんなんですか!?」


フレデリカ「でも、思ってること自体はぜんぜん悪いコトじゃないのにね!」

ありす「まあ、情状酌量の余地はありますが……」

りあむ「うぅ……」

ありす「致命的にアウトプットが下手ですね……」

りあむ「うぅ……」

ありす「しかも文章に思いやりも見られませんし……」

りあむ「うぅ……」

ありす「自分の投稿を客観視するのがここまで下手な人は初めて見ましたよ……」

りあむ「うぅ……」

ありす「これじゃ燃えるのも当然で」

フレデリカ「や、やめてあげよ!!! ね!!!」


りあむ「フレデリカちゃん……優しい……でも悪いのはぼくだし……」

ありす「す、すみません……ですが、逆に考えましょう。きちんと伝えられるようになれば、きっと炎上の頻度も減るかと!」

りあむ「ありがと……可愛くて優しいとかなんなの……天はこの部屋だけで2人に二物を与えたか……?」

ありす(褒めるセンスはあるのに……)

フレデリカ「他には〜? あ、このツイートもたくさん伸びてる!」

ありす「どれだけ不用意なこと言ってるんですか……」


『美波ちゃんと奏ちゃんの歌めっちゃいい!!! 聞くだけで幸せ……!!!』


『お前に言われなくてもそんなこと知ってるが?』
『様をつけろよピンク頭』
『ヨガファイア!』
『お前に幸せになってほしいなんてふたりは思ってないぞ』


ありす「これちょっと可哀想じゃないですか!?」

フレデリカ(いまダルシムいた???)


りあむ「そうだよね!? これぼく悪くないよね!?」

ありす「もはや単純に嫌われてるだけなのでは……坊主憎けりゃとも言いますし……」

りあむ「それはそれでやむ!!!」

ありす「最初はヤバイ人だと思ってましたが、だんだん、単純に可哀想になってきました……」

フレデリカ「大変だねー?」

りあむ「うぅ……優しい……ありすちゃ……(あっ! 違う……! 確かテレビとかでありすちゃんは名前で呼ばれた時にあんまりいい顔をしてなかった気がする……! わかんないけど、初対面だし……!)た、たちばなちゃん、ありがと……」

ありす「え……」

りあむ(あれ? 無反応? ま、またぼく外しちゃった!? うわーん!)

ありす「まあ、悪い人では、ないんでしょうね……」ボソッ

りあむ「?」

ありす「……改めて今後とも、よろしくお願いします。りあむさん」ニコッ

りあむ「は~~~、だいすき!!!」パァァァァァァ

フレデリカ「フレちゃんの方がだいすきですけど!?」

ありす「張り合わないでいいです」


フレデリカ「それにしても、勉強になったね!」

ありす「参考にしてはいけないとは思いますが、反面教師にはなるでしょうね」

りあむ「めっちゃよく言われるそれ……」

フレデリカ「あれれ?」

ありす「? どうしました?」

フレデリカ「見て見て! 志希ちゃんがバズってる!」

ありす「え……どこの冷蔵庫に……」

フレデリカ「レイジーレイジーの信用のなさー……」ショボーン


フレデリカ「えーっと……」

『自主トレ中のアイドルはっけーん!』

ありす「動画ですか?」

フレデリカ「えいっ」ピッ

ありす「あ、梨沙さんと晴さんですね」

フレデリカ「ぴょんぴょん跳ねててかわいー!」

りあむ「かわいい……推せる……!」

ありす「この両足をくっつけて左右に跳ぶ振り付けは確か……」

フレデリカ「ミラーボール・ラブの振り付けだね! フレちゃんも練習したなー」ピョンピョン

ありす「やはり、こういうファンには見えない姿を投稿すると、たくさんの反響があるんですね」

フレデリカ「ねー!」

りあむ「はぁ〜、顔がよくてキレもいいな! なんなんだ! もう……ん?」

ありす「……どうかしましたか?」

りあむ「……」ジーッ

フレデリカ「りあむちゃん?」

りあむ「……」ジーッ

ありす「無視してるとまた炎上しますよ?」

りあむ「そういう脅しはやめて!」


りあむ「って、そうじゃなくて……フレデリカちゃん、もう一回今の映像見ていい?」

フレデリカ「どうぞ!」

りあむ「……」ジーッ

ありす「そんなにハマったんですか? まったく……」

りあむ「……晴ちゃん、ちょっと右への飛び幅が少ない……ってことは左の……ヒザ……いや、平気……この庇い方なら……?」ブツブツ

ありす「あのー……」

りあむ「足首、違う。じゃあ、股関節……が原因で……影響としては……」ブツブツ

フレデリカ「?」

りあむ「ふ、フレデリカちゃん、志希ちゃんに連絡してあげて。晴ちゃんたぶん、大腿四頭筋……あー、太ももの前痛めてるかも……本人に認識がないレベルかもだけど……原因はたぶん股関節だと思うから、医務室に……」

ありす「ち、ちょっと待ってください! いきなりどうしたんですか!」

りあむ「うるさいよ! あの辺の炎症は庇うと別のとこに負担きてヤバイんだから! 実習で見たの! まぁその時は高齢者だったけど……と、とにかく!!! ぼくがここのアイドルのライブを何億回見てると思ってんのさ!!! 違和感あるって思ったらあるの!」

ありす「っ……!」

フレデリカ「おっけー! 伝書鳩で伝えるね!」クルッポー

りあむ「いや遅いよ!!! 電話してよ!!!」


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


フレデリカ「あ! 志希ちゃんからメッセだ! なになに〜?」

『晴ちゃん、「別に大丈夫だー」って言ってたけど、トレーナーさんがマッサージ始めた途端に痛てててーってさ! 特に付け根のとこが痛そうだったねえ。フレちゃんにありがとだって! トレーナーさんからもね〜』

フレデリカ「だって! りあむちゃんのおかげって言っとく?」

りあむ「む、無理無理無理無理!!! フレデリカちゃんだったから信じてもらえたんだと思うし! ぼくの名前なんて挙げても無駄! だよ!」

ありす「りあむさん……」

りあむ「……はっ! なんかさっきあり……たちばなちゃんに強く言っちゃった気がする! ご、ごごごごごめんなさい!!!」ペコペコ

ありす(こういう謝罪、颯さんにもされましたね……)


ありす「いえ、見直しました。私こそ不用意に口を挟んでしまってごめんなさい」ペコリ

りあむ「うぉえっ!? ぼ、ぼくなんかに頭を下げちゃダメだよ! 燃えるよ! ぼくが!」

ありす「自分で言うんですか……」

フレデリカ「でもすごかったね! りあむちゃん、オイシャサン?」

りあむ「ま、まさかまさか! ……まあ、進行形の黒歴史も役に立つことがあるのかなって感じで」ボソッ

ありす「?」

フレデリカ「ではでは! 仲良くなった記念に、フレちゃんが1枚撮ってあげる! ありすちゃんとフレちゃんとの写真ならチヤホヤ間違いなしだよ!」

りあむ「チヤホヤ!? まじよりのまじ!?」

フレデリカ「はいはい詰めてー!」

ありす「ち、近いです……」

りあむ「あああああめっちゃいい匂いする!!! 死ぬのか!? ぼくは今日死ぬのか!?」

フレデリカ「はい、ちーず♪」パシャリ

りあむ「はぁ〜!!! 人生に悔いなし!!!」

ありす「なんで勝手に人生の総括してるんですか」


フレデリカ「それじゃあ! さっそく投稿しちゃおー!」

りあむ「わ、わかった!」ポチポチ

フレデリカ「いけいけー!」

りあむ「とりゃ!!!」ポチッ


『ありフレと1枚! めっちゃかわいい! よ!』


『りあむ邪魔』
『りあむ邪魔』
『リアムジャマ』
『りあむ邪魔』


りあむ「結局かよ!!!!!」

ありす「ちょっと読めてたでしょうに……」

フレデリカ「次はレイジーレイジーに写りこもう!」

ありす「火に油を注がない!!!」



おわり




ありがとうございました。


直近の過去作


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池袋晶葉「晶葉と志希の!」一ノ瀬志希「秋休み子ども科学電話相談〜♪」

【シャニマスSS】日替わり!放課後クライマックスショッピング!

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などもよろしくお願いします


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