※勢いだけ
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―――事務所―――
ちひろ「おはよう、ありすちゃん」
ありす「おはようございます。橘と呼んで下さい」
ちひろ「今日はどうしたの?ありすちゃん」
ありす「プロデューサーから仕事の話があると言われまして。橘と呼んでください」
ちひろ「そう。プロデューサーさんだったらもう少ししたら来ると思う。橘ちゃん」
ありす「そうですか。ありすと呼ん……いえ、そのままでいいです」
ちひろ「そう。わかった、ありすちゃん」
ありす「……ところでちひろさん。この前から事務所に置いてあるこの、Bって書かれた棒は何ですか?」
ちひろ「線分ABを作る上で必要とされる点Bだけど」
ありす「いや意味がわからないです。きちんと説明―――」
P「すまん!待たせたなありす!!」ズザザザザァ
ありす「……おはようございます」
ちひろ「おはようございます、プロデューサーさん」
P「ええ。おはようございますちひろさん」
ありす「すいませんプロデューサーさん」
P「なんだ?」
ありす「今物凄い速さで事務所に入ってきたと思うんですが」
P「まぁ、秒速3mで来たからな」
ありす「すいません意味が分からないので説明してもらえますか?」
P「それはお前、俺が線AB上を秒速3mで動く点Pだからだよ」
ありす「……すいませんもう一度言っていただけますか?」
P「線AB上を秒速3mで動く点P」
ありす「今は算数の時間ではないのですが」
P「算数でも何でもない。俺の名前だよ」
ありす「……冗談でしょう?」
P「いや冗談でも何でもない。現に俺は今秒速3mでここまで来ただろ?ねぇ、ちひろさん」
ちひろ「はい。秒速3mでPさんの家から事務所まで通勤してますよね」
ありす「……頭が痛くなってきました」
P「ここに点Bがあるだろ?」ガッ
ありす「さっきのBと書かれた棒ですね」
P「で、俺の家に点Aがあるわけだ」
ありす「つまりAと書かれた棒があると」
P「で、俺はその間を秒速3mで移動する事ができる」
ありす「すいませんちょっと待ってください」
P「なんだ?」
(今更だけど秒速3mってそんな早くないや)
すいません単位変えて出直してきます。
(ちょっと内容に矛盾が生じるので新しく秒速3kmでスレ立て直します)
どうもスレ立てられないのでこれからの文章を秒速30mに修正して書き込んでいこうと思います。
3kmはやりすぎですね。すいません。
ありす「まず秒速30mって人間が出せる速度じゃないと思うんですけど」
P「そりゃそうだろ。でも俺は線AB上を秒速30mで動く点Pだからさ」
ありす「……???」
P「まぁものは試しだ。よいしょっと」オヒメサマダッコ
ありす「わっ、わっ!?は、離してください!!」
P「ああ、とりあえず目は瞑ってろよ。多分景色見てたら気持ち悪くなると思うから」
ありす「あの、そういう問題ではなく普通の人間は秒速30mなんかで移動したらGやら摩擦が―――」
P「Go!」
ありす「話を聞いてくださ―――いやあああああああ!!」
―――P宅―――
ありす「つまり要約すると、Pさんはこの家の点Aの位置から事務所の点Bの位置まで秒速30mで移動できると」
P「そうです」
ありす「そして移動中は重力及び摩擦の影響を受けないものと考える。そうですね?でなければ私が無事ですむはずがないですから」
P「仰るとおりです」
ありす「……なるほど。理解できました。いや理解したらダメなんだと思いますけど」
P「本当にすみませんでした」
ありす「まぁいいですけど……って。もうレッスンの時間じゃないですか!」
P「何ぃ!?よしありす!俺につかまってろ!!」オヒメサマダッコ
ありす「ちょっ、待」
P「Go!」
―――道路―――
P「しまったああああああ!!」キキー!
ありす「……どうしたんですか」
P「俺は線AB上を秒速30mで動く点Pだから点Bが存在しないレッスン場には高速移動が出来ないじゃないか!!」
ありす「じゃあ一旦Pさんの家に戻ってタクシー呼びましょう」
P「はい」
―――タクシー内―――
ありす「私、プロデューサーの事がよくわからなくなってきました」
P「よく言われる」
ありす「今までどうやって生きてきたんですか」
P「俺だって普通に生活してたよ。今わかる通り別に自宅と事務所しか移動できないってワケじゃない」
ありす「じゃあ線AB間を高速移動できる以外は私達とかと変わらないと」
P「そういう事になるかな」
ありす「そもそもどうして高速移動できるようになったんですか」
P「うーんとな……まず高校時代、俺の友達に線DE上を分速1kmで動く点Qがいたんだよ」
ありす「プロデューサーの交友関係が広すぎる事はよくわかりました」
ありす「プロデューサーの交友関係が広すぎる事はよくわかりました」
P「で、そいつ、学校と自宅に点DとEを置いててさ。いつも遅刻寸前で教室に飛び込んでくるのを見て、いいなーって思ったんだ」
ありす「凄まじい速度で動いてる人間をいいなーって思う人間なんてプロデューサーぐらいでしょうけどね」
P「そんでどうやったら出来ようになるんだって聞いたら、あの点ABをくれた」
ありす「どうして自分とは全く関係ない点ABを持っていたんですかね」
P「それから試しに学校と自宅にそれを置いてみたら確かに動けた。動けたんだけどさ」
ありす「何か問題が?」
P「その頃の俺は……線AB上を時速1kmで動く点Pだった」
ありす「滅茶苦茶遅いですね」
P「それで点Qに文句を言いにいったんだよ。不良品じゃないのかって」
ありす「確かにそう思っても不思議ではないですね」
P「そしたらあいつ言ったんだよ。素人が一朝一夕で身につけられる物じゃない。師匠を教えてやるから修行して来いってさ」
ありす「そもそも修行で速くなるものなんでしょうかそれは」
P「で、俺の師匠……三角形DEF上を秒速50mの速さで動く点O師匠な」
ありす「滅茶苦茶速い上に三つの点の間を移動できるんですね。確かに師匠と呼ぶにふさわしい」
P「それから俺は師匠の元で修行を積んだ。そして今の線AB上を秒速30mで動く点Pに至ったってわけだ」
ありす「なるほど。それでプロデューサー」
P「なんだ?」
ありす「どこからどこまでが冗談ですか?」
P「全部本当だけど?」
ありす「……」
P「……」
運転手「着きました」
ありす「……ありがとうございました」
P「はい。お金です。ありがとうございました」
運転手「はいよー」ブロロン
P「俺も三つの点の間を移動できるようになればなー。でもどうしても点Cが見つからねぇんだこれが。さてレッスンだぞありす」
ありす「……はい」
―――翌日 事務所―――
ありす「おはようご」
P「おはようありす!ちひろさんもおはようございます!」ズザザザザァ
ちひろ「はい。おはようございますプロデューサーさん」
ありす「……」
P「やったぞありす!」
ありす「何がですか?ついに点Cが見つかりましたか?」
P「いやそうじゃない。ありすの初ライブが決まった!」
ありす「本当ですか?!」
P「ああ!しかもかなりいい会場だ!やったな!」
ありす「……そうですね!頑張ります」
P「これから忙しくなるぞ!」
ありす「ところでプロデューサー。素朴な疑問なんですが」
P「なんだ?」
ありす「線ABの間に遮蔽物が存在している場合、プロデューサーはどうするんですか?」
P「すり抜ける。だけど遮蔽物をすり抜ける際、少しだけ減速するな」
ありす「なるほど。改めてプロデューサーが人間じゃない事を認識しました」
―――ライブ当日 会場 舞台裏―――
P「な……ありすのライブ衣装がまだ届かない!?」
スタッフ「そ、そうなんです!なんでも配達会社のミスで別のものを届けてしまったとの事で!」
ありす「そんな……じゃあどうするんですか」
スタッフ「今至急代わりのものを用意していますが間に合うかどうか―――」
P「今衣装自体はどこにあるんですか?!」
スタッフ「配達会社の方に……」
P「なら俺が取りに行きます!」
スタッフ「そんな無茶な……!絶対間に合いません!」
ありす「そうですよ!そもそもプロデューサーは線ABがないと―――」
P「点Aは今日持ってきてる!だから衣装を受け取り次第、すぐ事務所に移動してこっちに向かえばギリギリ間に合うはずだ!」サッ
スタッフ「……わかりました」
ありす「(えっ、私は事情を知っているとして今の説明でスタッフさんわかったんですか)」
スタッフ「こちらが配達会社の住所になります」
P「ありがとうございます!行ってきます!!」ダッ
ありす「プロデューサー……」
スタッフ「……きっと、あいつなら大丈夫さ」
ありす「え……?貴方は」
スタッフ「……ただのしがない、点Qさ」
―――タクシー内―――
P「ここまでお願いします!急いで!」サッ
運転手「またあんたか……わかった」ブロロン
P「くっそ……間に合え……!」
運転手「……今日はあの子はいないのかい?」
P「待たせてるんです」
運転手「なるほどね……む」
P「ど、どうかしましたか?」
運転手「すまないねお客さん。どうも最短ルートは工事中で通れそうにないから少し遠回りになる」
P「……仕方ないです。お願いします!」
運転手「あいよ」
―――事務所―――
ちひろ「~♪」
P「ちひろさああああああん!!」ズザザザザザァ
ちひろ「きゃっ?!プロデューサーさん!?」
P「今何時ですか?!」
ちひろ「えっと……あ、ありすちゃんのライブ開始まであと10分しかありませんよ!?どうしてこんな所にいるんですか!?」
P「くっそ……!遠回りばっかりしたせいか……!」
ちひろ「その手に持ってるのって……ありすちゃんの衣装?」
P「配送会社のミスがあったみたいで……取りに行ってたんです。そんで急いで点Bのあるここまで戻って来て」
ちひろ「でも残り10分じゃどうやっても会場にはたどり着けませんよ!?」
P「くっそ……どうして俺は線AB上を秒速30mの速さで動く点Pなんだ!点Cさえあれば変わっていたかもしれないのに!!」
―――「力が欲しいか」
P「っ!?」
―――「わしは十分お主に極意を伝えた。だから後はお主次第じゃ」
P「この声は……師匠!?」
―――「さぁ、願え。線AB上を秒速30mの速さで動く点Pよ。今こそ進化の時!」
P「う、うおおおおおおおお!!」ピカーン
ちひろ「ぷ、プロデューサーさん!?」
―――会場 舞台裏―――
ありす「……遅いですね」
点Q「あいつ何やってんだよ……」
ありす「……やっぱり無理なんですよ」
点Q「いいや。あいつなら来る。絶対に来るさ。なんたって俺が乗り越えられなかった師匠からの試練をクリアしたんだからな」
ありす「そうなんですか?」
点Q「ああ。当時無理だと思ってた試練を、あいつは乗り越えたんだ。だから信じろ」
ありす「……そう、ですね」
ありす「(プロデューサー……!)」
その時、ありすの額が光り輝いた。
点Q「何っ!?」
まばゆいばかりの光を放ち、ありすの額に一つの文字が刻まれていく。
「C」と。
点Q「……ははは。何だよ、それ」
そう、彼女は橘ありすであり、点Cだった。
そして点Cが顕現した今、彼、線AB上を秒速30mの速さで動く点Pは進化を遂げ―――
P「ありすっ!待たせたな!!」ズザザザザザァ
三角形ABC上を秒速100mの速さで動く点Pへと、進化したのだった。
―――配送会社前―――
運転手「……あいつ、やったようじゃの」
運転手「全く。世話が焼ける弟子じゃわい」
運転手「さて、わしはしがないタクシー運転手として生きていこうかのぉ」
運転手「点Oは卒業じゃな」
―――翌日―――
ありす「……あの」
P「なんだ?」
ありす「このCの文字、消えないんですけど。なんですかこれ。罰ゲームですか」
P「いいじゃねぇか。俺とありす以外には見えないみたいだし」
ありす「そうなんですけど……なんか『肉』みたいで違和感が」
P「何はともあれ、お前が俺が探していた点Cだったとはな」
ありす「全然嬉しくないですね」
P「これからはいつでもどこでも、お前の傍にかけつけられるぜ」
ありす「ありがとうございます」ボウヨミ
P「これからもよろしくな!点C!」
ありす「せめて名前で呼んでください」
おわり
色々お目汚し失礼しました。
ではありがとうございました。
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