【シャニマス】雲が流れていく大空の果ては? (32)

―それはある日の事務所

―一人の少女が悩んでいた

恋鐘「むむむーっ」





摩美々「恋鐘……どうしたの?」

咲耶「さっきから悩んでいるみたいでな」

結華「正月太りとかかな?あと、こないだの鏡開きで食べ過ぎたとか」

―……女同士だと容赦はない模様だ

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シャニマスSSです

今回は薄い本の話ではありませんが、よろしくお願いいたします

―が、そういうわけではないようで

恋鐘「違うばい!……最近、霧子とプロデューサーが怪しいんね!」

咲耶「怪しい?それはどういう……」

摩美々「いちゃラブー?」

結華「それはないk「そうたい!いちゃいちゃしているばい!」

―人が話している時は最後まで聞きましょうね

咲耶「まさか……霧子が?」

摩美々「そんな風に見えないけどー?」

結華「こがたんの勘違いじゃないのかな?」

―皆、恋鐘の説を否定するが…

恋鐘「この間もこげん風にいちゃいちゃしちゃったばい!」

ホワンホワン~~~~~~~~~~~~

霧子「あ、あの……プロデューサーさん……」

シャニP(以下P)「ん……あぁ、こないだの約束の件か」

霧子「はい……で、どうでしょうか……」

P「うん。俺はOKだ。日にちとかは霧子に任せるよ」

霧子「よかった……じゃあ、早速ですが……」



~~~~~~~~~~~~ホワンホワン

~~~~~~~~~~~~回想終了

恋鐘「というわけばい」

―皆ひとしきり考え、まず咲耶から呟き始める

咲耶「プロデューサーをわざわざ誘ってまで行く必要のある用事か……」

摩美々「んー、例えばーレッスンとかじゃなくて?」

恋鐘「ばーり調べたけん。じゃけん二人共オフだったたいね」

結華「二人がオフで、きりりんがPたんに会ってほしい……?」

―すると、恋鐘は急に立ち上がり叫ぶように

恋鐘「きっと、実家に挨拶にいって結納をするたいね!!」ガタッ



結華「それは……ちょっと」

恋鐘「いんや、こないだ霧子がプロデューサーにって、何か箱を持っていったばい……それが決めてと」

摩美々「箱ー?」

ホワンホワン~~~~~~~~~~

霧子「…お年玉です…プロデューサーさん」

―そう言いながら少女は手のひらサイズの箱をプロデューサーと呼んだ男に渡す

霧子「中身は…お楽しみです…」

P「そうか……?じゃあ、開けてみるよ。嬉しいな……」

―包装紙を綺麗に外し、開けてみると

P「クルマだ……!ははっ、小さいなぁ」

P「なんか懐かしいよ、こういうの。ブーン……!」

―まるで童心に帰ったように遊び出した

P「ブーン……霧子、気をつけてくれ……」

P「このまま、前方の御山を越えるぞ……!」

霧子「は、はい……」

―そう言いながら少女に近づき……

フニッ

霧子「っ!?あ、あの……」

フニッフニュ

―彼女の少し膨らんだ胸を服の上から触り出す

霧子「御山……って、私の……?」

P「当然だ!……霧子の御山をしっかり味わうからな……」

―まるでそれが同意であるかのように

再び手を延ばし

霧子「…は、はいっ……」

モミッ

モミッ

―今度は下から回すように揉み出した

霧子「……ん……んんっ……ふぁ……」

霧子「……あの……できれば……」

―少女は男の愛撫に耐えながらも

霧子「……直接…触ってみませんか……?」

―と女の顔を見せた

ホワンホワン~~~~~~~~~~

恋鐘「って具合いに……」

―と、力説したのはいいのだが

結華「ねぇ……こがたん」

―こちらは何か御立腹のようだ

恋鐘「な、なんとね?!」

結華「三峰の薄い本……読んだ……でしょう?」

―あくまで穏やかに言っているつもりではあるが、怒気は隠せないでいる

恋鐘「あ、あんなエチチな本を置いておく結華g「へぇ、三峰が悪いんだ」

―余計な一言が、部屋の温度を10度は下げたような冷たい空気を放つ

咲耶「ま、ま、まった。二人共おちちきたまえ」

―君も落ち着こう

摩美々「さ、さうだね。まず恋鐘は謝るのが先決。おけ?」

―キャラが変わってますよ?

恋鐘「え、えずかと……」

―一呼吸置き

恋鐘「……結華。勝手に見てすまんかったたい……」

―そう言いながら、深く頭を下げた

結華「まぁ……それはいいよ。三峰もあんなとこに置いておいたのが悪かったわけだし……さ」

―あんなとこ……やはり事務所のテーブルの上であろうか?

結華「で、結局どうするの?」

咲耶「あぁ、話の続きか。……ふむ。本当なら祝福せねばならない――と言いたいが、この胸のもやもやを取るのが先かな?」

恋鐘「そうたい!こげんな気持ちじゃ、アンティーカもバラバラたい!」

摩美々「そうやって言い訳にして二人をストーカーするんでしょー」

結華「まっさかー。さすがのこがたんでも…」

恋鐘「……」アセダラダラ

―まるでアニメの表現みたいに汗が流れてますね……

結華「こがたん……?」

恋鐘「……な、なんばいうーとね!さ、さぁ、今からばーりばり仕事せんといかんたい!」

―今日はもうレッスンは終わってますよ?

摩美々「ごまかすのへたー」

咲耶「その……なんだ、摩美々の言う通りみたいだな」

結華「まみみんに読まれるだなんて」

摩美々「策があまーい」



恋鐘「えずかと……」グッスン





―そんなこんなでかれこれ二時間は話をしているみたいです

結華「とりあえず、当日は三峰とこがたんは事務所で待機」

恋鐘「ぶーぶー」

結華「で、さくやんがきりりんを、まみみんがPたんを」

摩美々「はぁ?私がプロデューサーを追うの?」

咲耶「の割にはウキウキしてないかな?」

摩美々「別にー。そんなんじゃありませんけどー」

結華「とりあえず、何かあったら三峰に連絡ね!」

咲耶「OK。わかったよ」

摩美々「……たく…もー」

―どうやら、役割は決まったみたいですね



恋鐘「なら、霧子が卑しい女かこの目で確認してやるばい!」



結華「……これで、きりりんの父親の誕生日プレゼント選びだったら、三峰。こがたんを囮にして逃げるからね」

咲耶「あとは、プロデューサーの家族とか親戚へのプレゼントもだね。……霧子と似た年齢なら参考になるはずだからね」

摩美々「どっちにしてもー、恋鐘が悪役ー」

―そんなこんなで当日

恋鐘「それじゃあ、作戦開始ばい!」

―一人張り切る中……

結華「まぁ、こがたんのわがままに付き合うと思って……」ボソリ

咲耶「了解した。何もないようなら、帰ってお茶会でもするさ」

摩美々「適当に追い掛けて見失ったことにするー?」

結華「いやいや……まみみん。多分こがたんのことだから、昼過ぎまでは見た方がいいと思うよ」

摩美々「はぁ……チーズケーキとモンブランねー」

結華「はいはい」



恋鐘「そこ!何をこそこそ話してるばい!なんとしても、プロデューサーと霧子の密着現場を抑えるたい!」

恋鐘「……というわけで秘密兵器を持ってきたたい」ゴソゴソ

―そういって取り出したのは……

結華「って……ドローンっ!?」

摩美々「うわぁ……」ドンビキ

咲耶「街中で……まずくないかな」

恋鐘「大丈夫たい。使うんは証拠を掴んでからばい!」

恋鐘「それに霧子なら、常時使ってみい……絶対に気付くばい!」

結華「そうだけどさぁ……まさかPたんに?」

結華「ありえない…………」



―そんな……長い一日が始まろうとしていた

~~~~~~~~~~~~

咲耶『どうやら、霧子はいつものように病院へボランティアへ行ったみたいだな』

―霧子は、アイドルをしながらボランティアでも活動するとてもいい子である

結華「ラジャ!んじゃ、こがたんの気が済むまで待機していて」

咲耶『わかった。あ、苦目のコーヒーとザッハトルテがあると嬉しいな』

結華「さくやん……そんなに甘党だっけ?」

咲耶『こんな時ぐらい……さ。じゃあ』

―少し腹持ちならないもねを抱えてしまったようだった

結華「さくやんからは以上だよ。ねぇ、そろそろ……」

恋鐘「静かにするたい!今、プロデューサーに動きがあったばい」

結華「動き?」





摩美々『誰だっけ?放クラのよく食べる子ー……』

結華「あー……」

―……間違いなく園田智代子であろう

―……そういう食いしん坊キャラで押し通すわけではないはずだが、他人からはそう見られている――というわけだ

しうせい

~~~~~~~~~~~~

咲耶『どうやら、霧子はいつものように病院へボランティアへ行ったみたいだね』

―霧子は、アイドルをしながらボランティアでも活動するとてもいい子である

結華「ラジャ!んじゃ、こがたんの気が済むまで待機していて」

咲耶『わかった。あ、苦目のコーヒーとザッハトルテがあると嬉しいな』

結華「さくやん……そんなに甘党だっけ?」

咲耶『こんな時ぐらい……さ。じゃあ』

―少し腹持ちならないものを抱えてしまったようである

結華「さくやんからは以上だよ。ねぇ、そろそろ終……」

恋鐘「静かにするたい!今、プロデューサーに動きがあったばい」

結華「動き?」





摩美々『えっとー、誰だっけ?放クラのよくお菓子を食べる子ー……』

結華「あー……」

―……間違いなく園田智代子であろう

―……そういう食いしん坊キャラで押し通すわけではないはずだが、他人からはそう見られている――というわけだ

摩美々『で、どーするのー?』

結華「どうするって……」

恋鐘「とりあえず様子見て後を追うばい!うちらも急いで追い掛けるから合流しとっと!」

結華「うちらって……まさか……」

―否定して欲しくて聞いてはみるが……

恋鐘「当然、プロデューサーと智代子の行く先を見届けんのに、結華も付き合うたい」

―いわえる、「そのまさか」であった

結華「とほほ……」



結華「というか、ドローンはどうするのかな?まみみんがいる場所的に邪魔になるだけだと思うけど……」

恋鐘「そうたい!ドローンばい!」

結華「……三峰の話聞いてた?場所的に邪魔になるだけって」

恋鐘「あ……」

―一人で突っ走り過ぎである

~~~~~~~~~~~~~~~~

―繁華街を抜け、二人は……ようするに夜のあっはんうっふんなお店ばかり並ぶ通りを進んでいた

恋鐘「うわぁ……いかがわしい店ばかりたい」

結華「あはは……さすがに人通りは少ないけどさぁ」

恋鐘「あ、あっちに手を繋いだカップルがいるたい!」

結華「んー。というか、現役アイドルなのにこんなとこを進んでいいのかなぁ……」

―スキャンダルを防ぐ意味でももっともな意見である

恋鐘「そ、それは……プロデューサーと智代子がこげん場所通るからいけすかんたい!」



摩美々「そんなとこを、ひたすら後ろから追い掛けるのもやなんですけどー」

恋鐘「ぴいゃっ!!」

結華「あ、まみみんお疲れー。で、Pたんはどっちへ?」

恋鐘「び、びっくりさせんと……」

摩美々「えー、恋鐘が一人で勝手に驚いただけじゃん」

結華「まぁまぁ……」

摩美々「それはともかく、あっちを曲がっていったからー」

―と指差す方を見てみると

恋鐘「休憩3000円、宿泊6000円……」

結華「……世間にいうラブがつくホテルだね」

摩美々「やーらしいんだー」

恋鐘「ち、ち、違うたい!い、一般的な常識ばい!」

摩美々「へぇー」ニヤニヤ

結華「まみみん、それはいいから……って、あれ?あっちから来たのはPたんとチョコ?」

―そう結華の言う方を見ると、顔を真っ赤にした智代子とプロデューサーの姿があった

恋鐘「大方、ホテルに誘って断られたたい!よーし、とっちめにいくばい!」

摩美々「あれー?何か小さなお店に入っていったよー?」

結華「どれどれ?」トテトテ



―二人が入った場所

―そこには『宗教、アレルギー、各種病状に応じます』と書かれた小さなケーキ屋さんであった

摩美々「アレルギー……とか病気はわかるけど、宗教ってー?」

恋鐘「それは知ってるたい。イスラムだと豚を食べてはえずかとか、ユダヤだと鰻を食べられないとかたい!」

結華「ケーキに豚はまだしも鰻は……ないない」

―正確には鱗のない魚を禁忌にしているのである

摩美々「待って……病気って」

恋鐘「そういえば、霧子は病院へボランティアにいってるばい」

結華「なるほど。ならチョコを連れてきたのは、Pたんだけでは何を選んでいいのかわからないへたれとかかな?」

―そうやって好き放題言ってると

「そのとーりだよ」

恋鐘「へ?」

「へたれで悪かったな」

結華「あ、あちゃ……」

―と、よく知った声が聞こえた

『プロデューサー!(Pたん……)』



P「よぉ、こそこそとストーカー紛いの活動は楽しいかな?」

智代子「アンティーカっていつもこうなのかな?」



『あは……あはは……』

~~~~~~~~~~~~~~~~

結華「さくやーん」

咲耶「やぁ、私のお姫様が到着……おっと、王子様も連れてきたのかい?」

P「咲耶もか……お疲れ様だな」

咲耶「みんな揃っているということは、すべて解決したのかい?」

摩美々「悪いのはこの恋鐘よー」

恋鐘「うぅ……ばり反省してるたい」

咲耶「うん。なら私は許すよ。勘違いは誰にもあるものさ」

恋鐘「うぅ……咲耶の優しさが心に染みるぅ……」

咲耶「で、何がどうなのか説明は誰に頼むとしようかな?」

結華「えっと……」

~~~~~~~~~~~~

結華「で、退院祝いなんだってさ」

咲耶「なるほどね。霧子なら一人ずつ、だが必ずお祝いをするだろうな」

摩美々「咲耶ってば大人ー」

P「まぁ……そのケーキ屋があんなとこにあるのは誤算だったがな」

智代子「たしかに、あんなとこじゃ霧子ちゃんも一人では行きにくいよね……」

咲耶「あんなとこ……なるほど、女性一人でも行きにくく、さらに男女二人でも顔を赤らめるような場所。つまり」

恋鐘「すとーっぷたい!!」

咲耶「ははっ、今のが答みたいなものか」

智代子「///うぅ……プロデューサーってば道を間違えてホテルまで入りそうになっちゃうし……///」

咲耶「それはいけないな。ではそのドキドキを私と体験しないか?」

智代子「ふえっ///、ふぇ//////」

恋鐘「こーら。あんまり智代子をからかわんたい」

智代子「うぅ///」プスプス

P「ははっ、楽しく話(ry

結華「どこが!!」

P「さて、待ち合わせはこの辺りだが……」

結華「きりりんはどこかな……」

恋鐘「お、あれは霧子たい!」

―独特のツインテール。まさに霧子その人であった……が

摩美々「ちょっと待って……」

恋鐘「ん?声をかけるのがまずいたい?」

咲耶「おそらく霧子と話している家族が付き添っている子……おそらくその退院するという話だが」

結華「あんなの変。絶対に変だよ!」



―その皆が異様に感じた視線の先

―その子は明らかに退院するようなイメージではなく……移動式のベッドに横たわったまま、点滴を打ちながら生きている……というより生きながら得ている。そんな風にしか見えない子であった

P「……もしかして退院……というよりは……」

智代子「や……いや!言わないで!」

―誰もがパニックに陥りかけていた時だった



霧子「あ……プロデューサーさん……それにみんな……?」

―その患者の隣にいた子が振り返る

結華「きりりん……」

恋鐘「霧子……」

摩美々「……」

咲耶「……さ、遅くなってしまったが、ケーキだ」

智代子「う、うん。ちゃんと消化にいいけどカワイイの選んだからね」

―そう辛うじて言葉に繋ぐ……言葉を受け取る彼女も空気を察してか言葉少なげに

霧子「智代子ちゃんも……本当にありがとう……」

霧子「あの子ね……やっと…………お家に帰れるんだって……」

霧子「生まれた時からずっと……病院暮しばかりだったのに……ようやく……」

P「霧子……いいんだ。お前まで……」

霧子「えへへ……ありがとうございます……」



霧子「……でも……」



霧子「やっぱり……ちょっとだけ……」



霧子「勇気をください……」ギュッ

―そう言い男の手を握る。そして

P「あぁ……こんなのでよければ……みんなも……」

五人『うん』

―そう皆が寄り添い、一人の少女にありったけの勇気を渡す

続きはまた

―やがて、少女の手は離れて

霧子「うん……大丈夫。私はもう…平気だから……」

咲耶「……霧子は強いな」

―それはその場にいた皆が思うことであった

霧子「うぅん……力君……えっと、あの子の名前なんだけど……もっと強いと思うよ……うん…」

咲耶「そっか……霧子がそう言うならな……」

恋鐘「霧子……泣いたらいけんばい!」

摩美々「恋鐘……それは……」

霧子「大丈夫だよ……摩美々ちゃん。今日、あの子の前では泣かないって決めてるから」

結華「きりりん……」

―心配そうに見守る彼女達だが

霧子「じゃ、時間もないし……」

P「ん……慌てて転ぶなよ」



―その時だった。霧子の頭の中に聞こえてきたのは

(……ちゃん……)

霧子「えっ?!」

(お……ちゃん……)

霧子(この声……まさか……力くん?!)

―か細い声ではあったが、間違いなくその少年から発せられる声

(うん……おねえちゃん……ぼくの声が……きこえるみたいだから……)

(お願いがあるんだ……)



―その時、はっきりと見えた。視線の先にいるはずの少年の姿が消えかかって見えたのを

霧子(まさか……そんな……)

―その事実に気がつきうろたえる。しかし……

(だから……さいごにわがままをいっても…いいかな……?)

霧子(…………うん。いいよ。私で出来ることなら……聞いてあげられれることなら……)

(じゃあねぇ……ぼく、ケーキがたべたいんだ……)

(……あまいって、どんなかんじかわすれちゃったし……)



―それだけ病院生活が長かったのだろう。それを思い



霧子(うん……私でよければ……)

―霧子は決心すると、ケーキの箱を開け、ポケットにあったプラスチックのフォークを出す

―そして、少年の元に近づくと

霧子「はい、力くん……約束のケーキだよ」

「まぁ、力。お姉ちゃんがケーキを持って来てくれたわよ」

霧子「食べられるように小さく切るね……はい、あーん」

―そう言って、少年の口元に寄せる

パクッ

―その一口を懸命に、しっかりと味わうようにして咀嚼し

「おいしいー。ありがとうおねえちゃん……」

―と

―この世で最後の感謝の言葉と共に少年は



―神の土地へと旅立っていった

―あとに、悲しみを残して

―数日後

―事務所に線香の香りを残したまま、少女がやってきた

霧子「お、おはようございます……」

P「あぁ……霧子、お疲れ様」

霧子「い、いえ……プロデューサーさんこそ……お疲れ様です……」

バタバタバタ

―と、派手な足音を立ててやってきたのは

恋鐘「霧子ぉぉぉぉっ!!」ドドドドドド

ギュッ

霧子「///こ…恋鐘ちゃん……?///」

恋鐘「心配しとったんね!あの子の霊に連れて行かれんかって……」オーイオイオイ

結華「ま、まぁ、こがたんが心配症なのは今に始まったわけじゃないから……」

摩美々「でもー、わざわざ葬式にいくー?」

結華「……まみみん?」

摩美々「違うよ。……一回ずつ…行ってたら、霧子が持たないんじゃないかって思っただけー」

結華「ん……そっか……まみみんもきりりんが心配なんだね」

恋鐘「摩美々はみんなの心配ができて偉いなぁ」ナデナデ

摩美々「べつにー、そんなんじゃないんですけどー」

―そう言いながら顔を赤らめる

霧子「うん……ありがとう。でも……やっぱり……」

霧子「行かないと……ちゃんと天国に行けたかわからない気がして……」

咲耶「そっか……心配だからね」

―と、そんな時だった

恋鐘「ん?」

咲耶「おや。珍しいね」

―それは、一匹の白い蝶であった

結華「こんな季節に蝶々?」

摩美々「ていうかー、どっからきたのー?」

霧子「ん……蝶々さん。暖かいから入ってきたのかな……?」

―そう言いながら、外に逃がそうと捕まえる体勢をした時だった



霧子「もしかして……力くん……?」

―ふと、亡くなった少年の名前を口にする

結華「え……」

摩美々「まさかー…………」

恋鐘「じゃっどん、昔ホタルばなって帰ってくる話はあったたい……」

咲耶「……なら……そうかもね」

霧子「うん……きっと……きっとそうだよ……」

―その不思議な来訪に皆笑みを浮かべていた

―しかし、誰の目にも、うっすらと涙があふれていたのは語るまい



霧子「…………お帰りなさい……」

―その夜、霧子は夢を見た

―蝶になって帰ってきた少年と会う夢だった



―朝起きた時、どんな夢かははっきりおぼえていなかった

―だが



(優しいお姉ちゃんの子どもになりたいな……)



―それだけは、何故かはっきり覚えていた





―数年後

―アンティーカは解散し、霧子は一人の男性と結婚し子を自分の中で育んでいた



霧子「ねぇ……あなた……」

霧子「子どもの…名前なんですけど……」

霧子「本当に……私が……決めていいんですね…」





霧子「じゃあ……」





―やがて

オギャアオギャア

霧子「ふふっ……はじめまして……私の赤ちゃん……」

霧子「あと……」



霧子「お帰りなさい……」

霧子「一緒に……幸せになろうね」



(うんっ)

―誰にも聞こえなかったが、霧子にはそう聞こえた気がした

―それは、暖かな朝を迎えたある桜が綺麗に咲き、澄み渡った大空がどこまでも続く春の日であった



霧子「いつか……お空にいった、あの子のことを……話せる日が来るよね……」

―雲流れる果てのごとく、青空に負けない笑顔で自ら産んだ命を抱きながら……



おしまい

長いこと間を空けまして申し訳ありません。ちな、元ネタは「雲流れる空の果て」です

勝手に名前を借用したけど、バレないよね?(マテ



では、ありがとうございました

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