【モバマス】凛「ああ、あこがれのポケモンマスターに」(続) (988)

本スレは

凛「めざせポケモンマスター」
凛「めざせポケモンマスター」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1397994922/)

凛「めざせ」 卯月・未央「ポケモンマスター!」
凛「めざせ」 卯月・未央「ポケモンマスター!」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1402064241/)

凛「ああ、あこがれのポケモンマスターに」
凛「ああ、あこがれのポケモンマスターに」  - SSまとめ速報
(https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1407859621/)

の3スレの続きです

・ポケットモンスター×アイドルマスターシンデレラガールズのクロスSSです
・アイドルたちがポケモン世界を冒険します
・本SSの舞台はオリジナルの地方、アイマス地方です
・各世代から色々なポケモンが登場します
・ゲームとも、アニメとも異なるオリジナル設定が存在する可能性があります

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1572703190


【重要なお知らせ】
主は上記3スレを書いた方とは別人です。
前スレ主様より許可を頂き、全ての設定を引き継いで続きを書かせていただくことになりました。
前回からかなり月日が経っているので、前スレを読んでおくことを推奨。前スレに登場しなかったポケモンや設定は、全て主のオリジナル要素です。

≪あらすじ≫
シンデレラ団やジムリーダー達との激闘を経てポケモンリーグへ辿り着いた凛
難なく予選を突破し、本選第一試合ではいきなりの対面となった卯月を退ける
続いて炎使いの茜も倒し、ベスト8へコマを進めた
一方、ちひろが所持していたというキーストーンを真奈美から託されるが、そのあまりの力に、蘭子と戦うまで封印することを誓ったのだった
そして迎えた準々決勝で凛を待ち構えていたのは、1年前にテレビで激闘を繰り広げていた愛梨だった

大会ルールおさらい
・登録された手持ち6匹全員を用いたフルバトル
・その6匹以外の使用は禁止
・わざやどうぐの変更は可能

現在のトーナメント表
https://imgur.com/pcCZ7O2

凛 手持ちポケモン

・ゲッコウガ ♂ Lv.67 げきりゅう
みずしゅりけん/ハイドロカノン/なげつける/アクロバット
やんちゃなせいかく まけずぎらい

・ムクホーク ♂ Lv.65 いかく
ブレイブバード/インファイト/とんぼがえり/おいかぜ
いじっぱりなせいかく うたれづよい

・ドリュウズ ♀ Lv.64 すなかき
ドリルライナー/アイアンヘッド/じわれ/いわなだれ
せっかちなせいかく ものおとにびんかん

・サンダース ♀ Lv.64 はやあし
シャドーボール/かみなり/?????/でんじは
おくびょうなせいかく ひるねをよくする

・ジヘッド ♂ Lv.63 はりきり
りゅうせいぐん/かみくだく/ドラゴンダイブ/やきつくす
なまいきなせいかく ちのけがおおい

・チャーレム ♂ Lv63 ヨガパワー
ドレインパンチ/しねんのずつき/ほのおのパンチ/ビルドアップ
おだやかなせいかく しんぼうづよい

ワァァァァァァァァァァ

恵磨『さあ、いよいよやってまいりました! ここからは3回戦、準々決勝です!』

恵磨『実況は引き続き恵磨と!』

瑞樹『瑞樹でお送りするわ。準々決勝って聞くと、大会も大詰めって感じがするわね』

恵磨『さて、それでは今一度大会ルールのおさらいです!』

恵磨『ここからは6匹のポケモン全員で戦っていくフルバトル! 先に全てのポケモンが戦闘不能になると終了となります!』

恵磨『もちろん使用できるのは登録されてあるポケモンのみ! わざや道具の変更のみ許可されております!』

瑞樹『使えるポケモンが増えるということは、それだけ戦略の幅が広がるってこと……ハイレベルなバトルが期待できそうだわ』

恵磨『それでは早速いってみましょう! 第一試合、まずは……』

恵磨『凛選手の登場だー!』

ワァァァァァァァァァァ

凛「……」ザッ

未央「しぶりーん、頑張れー!」

卯月「凛ちゃーん!」

恵磨『そして、凛選手と相対するのは……』



恵磨『四天王、愛梨選手だー!!』


ドワァァァァァァ

愛梨「……」ザッ

『あいりぃぃぃぃー!!』

『あいりぃー!! 応援してるよー!!』

幸子「うわ、なんなんですかあの人たち」

晶葉「愛梨は強さと美貌を兼ね備えた存在だからな。あんな感じで有志の応援団がついているのだよ」

志希「巷じゃ十時軍、なんて呼ばれてるねー」

幸子「な、なんだか物騒な名前ですね……でも十時軍ってどこから来てるんですか?」

志希「さあ?」キョトン

幸子「知らないんですか……」

茜「凛ちゃんにも応援団はついてますよ! 凛ちゃーん! いっけぇーーー!!」

乃々「が、頑張れー……」

凛(愛梨……!)

凛(1年前、テレビの向こうにいた人が、今目の前に立っている)

凛(あの戦いも、愛梨の立ち回り方も、脳裏に焼き付いている)

凛(でも1年前と同じ戦い方をしてくるわけがない)

凛(目の前にいるのは、私が知っている愛梨でもあり、私が知らない愛梨でもある……)

凛(って駄目だ、肩の力を抜かないと)

凛「……」フウーッ

恵磨『両者緊張した面持ちだが、準備はいいかぁー!?』

凛「……」コクッ

愛梨「……」コクッ

恵磨『それではバトルッ! 開始だァァァ!!』

凛「さあ、いくよっ」ポン

愛梨「……」ポン

恵磨『まず繰り出したのは凛選手がサンダース、愛梨選手がフワライドだ!』

サンダース「ダース!」

フワライド「フワー」プカプカ

フワライド ふうせんポケモン ゴースト/ひこう
身体の中でガスを作ったり吐き出したりすることで空を飛ぶ高さを調節する
人やポケモンを乗せて飛ぶが、風に流されるだけなので何処へ飛んでいくかわからない

凛(フワライド……! 1年前も使っていたポケモンだ)

凛(去年の大会ではジュエルと『かるわざ』のコンボで相手を翻弄していた)

凛(でも今の戦い方はどうなんだろう……いや、どちらにせよ、やられるまえにやるだけだ)

凛「サンダース、かみなり!」

サンダース「ダー……」ゴロゴロゴロ

サンダース「ダース!」バリバリバリ

恵磨『サンダースのかみなりが直撃ー!』

美玲「サンダースのかみなり、前より威力が上がってる!?」

輝子「ほんとだー……」

晶葉「なるほど……じしゃくか」

じしゃく
持たせるとでんきタイプの技の威力が上がる

晶葉「サンダースは覚える技のバリエーションがそれほど多くない。だから得意なでんき技に一転集中させるために持たせたのだな」

凛「どうだ……?」

凛「……!?」

フワライド「フワー」プカプカ

美玲「!? 威力が上がっているはずなのに!」

卯月「あのフワライド、固すぎる……!」

晶葉「さすがは四天王のポケモン、といったところか」

愛梨「フワライド、たくわえる」

フワライド「フワー」シュウゥゥゥゥ

恵磨『フワライド、空気を吸い込んでいるぞ!』

瑞樹『防御と特殊防御を同時に上げつつ、攻撃、回復の両方の起点となり得る技ね』

フワライド「フワー」パクパク

恵磨『更にフワライド、たべのこしを食べて回復している!』

たべのこし
持たせると毎ターン自分の体力を回復する

晶葉「まずいな……凛のポケモンはスピードと攻撃力に優れている半面、持久戦には弱い」

晶葉「よく研究してきているな。まあ四天王だし当然か」

凛(1年前とは全く違う……そりゃそうか)

凛(でもいくら後手に回ってでも、攻めなきゃ勝てない)

凛「サンダース、でんじは!」

サンダース「ダース」バリ

愛梨「躱して」

フワライド「フワ~♪」サッ

愛梨「もう一度たくわえる」

フワライド「フワー」シュウゥゥゥゥ

恵磨『更に空気を吸い込む! またしても守りが固くなったぞぉ!』

瑞樹『たべのこしで回復も怠らず、ね』

凛「くっ……」

幸子「まだ序盤なのに、かなり苦しい展開ですね……」

卯月「このままじゃ相手のペースに飲み込まれちゃう」

未央「しぶりーん! 弱気になるなー!」

凛「弱気になってなんか……」

凛(このフワライド、どう突破すればいいの…?)

凛「サンダース、もう一度かみなり!」

サンダース「ダース!」

フワライド「フワー」バリバリ

恵磨『凛選手、なかなか体力を削れません!』

瑞樹『問題はここからね。普通はここから溜め込んだ空気をはきだすか、のみこむかって選択になると思うけど』

恵磨『けど?』

愛梨「……」

愛梨「バトンタッチ」シュゥゥゥ

凛「!?」

恵磨『おーっと! ここでフワライドが愛梨選手の手持ちに戻っていく!』

志希「あのフワライドはいわばプレリミナリーの段階……本番はここからってことかぁ!」ニャフフ

愛梨「ルカリオ!」

ルカリオ「ルカ」ポン

ルカリオ はどうポケモン かくとう/はがね
相手の発する波動をキャッチすることで考えや動きを読み取ることができる
見えない相手の姿も見えると言われている

恵磨『そして愛梨選手、ルカリオを繰り出してきたぞ!』

瑞樹『ただのルカリオじゃないわ。バトンタッチされて出てきたから、今のルカリオは手薄な耐久も強化されている……』

瑞樹『愛梨ちゃんの狙いはこれだったのね』

愛梨「……」キッ

愛梨「さあ、勝負はこれからですよ!」ドンッ

ドワァァァァァァ

『あいりぃぃぃぃーーー!!』

『そのまま全抜きだァァァーーー!!』

凛(……くそっ)

凛(試合の展開も、会場のムードも、完全に愛梨に支配されている……)

凛「これが……四天王」

凛「……でも!」

凛「サンダース!

サンダース「ダース!」

恵磨『サンダースが動き出したぞ!』

茜「凛ちゃーーーん! 負けるなあああーーー!!」

乃々「み、耳が……」キーン

凛(この状況…ひっくり返してみせる!)

凛「サンダース! シャドーボール!」

サンダース「ダース!」ボッ

ルカリオ「ルカ」ドォン

凛「よし! 続けてかみなり!」

サンダース「ダース!」ゴロゴロゴロ

ルカリオ「ルカ!?」バリバリバリ

幸子「おお、態勢を崩した隙に!」

晶葉「しかもその間に距離を縮めて撃ってるな。これは効いてるんじゃないか?」

未央「いいぞーしぶりん!」

ルカリオ「ルカ……」ザッ

凛(いける……この調子でいけば)

凛「サンダース! シャドーボール!」

サンダース「ダース!」ボッ

凛「かみなり!」

サンダース「ダース!」ゴロゴロゴロ

愛梨「……そこ! ルカリオ、ボーンラッシュ!」

ルカリオ「ルカ」シャキーン

ルカリオ「ルカ!」ブン

サンダース「ダ!?」バチン

ルカリオ「ルカ! ルカ!」ブンブンブン

サンダース「ダァッ!」バチンバチンバチン

凛「サンダース!」

恵磨『愛梨選手ここで反撃! ルカリオのボーンラッシュが決まったァ!!』

晶葉「さっきは距離を縮めることで大ダメージを与えたが、今回はそれを逆手に取られたな」

志希「まあ四天王だもん、二度も同じ手は通用しないよねー」

凛「くっ……サンダース、いったん距離を置こう!」

サンダース「ダー」

愛梨「逃がさないわ! はどうだん!」

ルカリオ「ルカ!」シュォォォ

サンダース「ダアッ!」ズトン

凛「ッ……! 追尾してくる……!?」

愛梨「はどうだんは必中技。そう簡単には避けれませんよ」

凛(近距離でも長距離でも同じか……ならせめて動きを封じないと)

凛「でんじは!」

サンダース「ダース!」バリ

ルカリオ「ルカ!?」バチバチ

凛「よし、一か八か……!」

凛「サンダース!」

サンダース「ダース!」

恵磨『サンダースが再びルカリオに接近!』

凛「かみなり!」

サンダース「ダース!」ゴロゴロゴロ

ルカリオ「ルカッ!」バリバリバリ

愛梨「ルカリオ、ボーンラッシュ!」

ルカリオ「ル……」グッ

ルカリオ「ルカ!」シャキーン

凛「なっ!?」

晶葉「あの近距離のかみなりを受けながら動けるのか!?」

ルカリオ「ルカ!」

ズドォォォン

凛「サンダース!」

サンダース「ダー……」フラフラ

恵磨『サンダース、これは大きな痛手だ!』

ドワァァァァァァァァァァ

『あいりぃぃぃぃーーー!!』

『最高だーーー!! 突き進めーーー!!』

美玲「ああ、倒しきれなかった!」

幸子「一筋縄ではいきませんね……」

凛(さすが四天王……強い)

凛(サンダースは相性のいい相手が残っている。ここで倒れてしまったら、一気にこっちが不利になる)

凛(今は……)

凛「サンダース、戻って」シュゥゥ

恵磨『凛選手、ここで交代だ!』

凛(相手はマヒしている。もう一度スピード勝負を仕掛ければ……)

凛「お願い、ゲッコウガ!」

ゲッコウガ「ゲコ」シュタッ

恵磨『ここで凛選手、エースのゲッコウガが登場だ!』

瑞樹『早い段階でエースでの勝負……ルカリオをだいぶ警戒してるわね』

愛梨「はどうだん!」

ルカリオ「ルカ!」シュォォォ

凛「みずしゅりけんで迎え撃って!」

ゲッコウガ「ゲコ」シュババババ

バチィッ!!

未央「おお、はどうだんを相殺した!」

凛「それだけじゃない……みずしゅりけんは連続技だよ」

愛梨「……!」

愛梨「ルカリオ、来ますよ!」

シュゥゥゥ……

シュババババ

ルカリオ「ルカ」ビシビシ

恵磨『砂煙の中からみずしゅりけんが飛び出してきたぞ!』

瑞樹『でもさすがはルカリオね。全部は避けきれないけど、ダメージは最小限に抑えたわ』

凛「ゲッコウガ!」

ゲッコウガ「ゲコ」シュン

愛梨「!」

恵磨『ゲッコウガ、目にも止まらぬ速さでルカリオの背後に回り込んだ!』

凛「なげつける!」

ゲッコウガ「ゲコ!」ポーイ

未央「!? しぶりん、それは相性が悪いんじゃ……」

晶葉「いや、あれを見てみろ!」

晶葉「おうじゃのしるしだ!」

おうじゃのしるし
相手になげつけるとひるませる効果がある

ルカリオ「ルカ!? 」バチン

卯月「ルカリオを怯ませた!」

凛「よし……!」

凛(これでトドメ……!)

凛「ハイドロカノン!」

ゲッコウガ「ゲコ!!」ゴォォッ



愛梨「ルカリオ! 躱してはどうだん!」

凛「えっ!?」

ルカリオ「ルカ」ヒョーイ

恵磨『お-っと、怯んだはずのルカリオが動いた! ゲッコウガの真上に跳んだぞ!』

瑞樹『そのまま……ゲッコウガの上に落ちてくるわ……!!』

ルカリオ「ルカ!」シュォォォ

ルカリオ「ルカ!」バシュウッ

凛「! ゲッコウガ、みずしゅ――」


ズドオオ……ン


恵磨『ルカリオのはどうだんが零距離で直撃ィー!!』

凛「ゲッコウガ……!」

ゲッコウガ「ゲコ……」バタンキュー

恵磨『ゲッコウガ、戦闘不能! 凛選手、早くもエースを失ってしまったー!!』

瑞樹『これはかなり厳しいわね。不利な相性と分かっていてもゲッコウガで勝負をつけたかったんでしょうけど』

瑞樹『手持ちの数的にはもちろん、トレーナーの心理的にもダメージが大きいんじゃないかしら』

凛「そ、そんな……」

幸子「凛さんのエースを一発で仕留めるなんて……」

晶葉「! あれはまさか、たつじんのおびか!」

たつじんのおび
持たせると効果抜群の技のダメージをさらに上げる

凛(なんて火力……)

凛(それに怯ませたはずなのに……ルカリオがスピードアップした……?)

愛梨「ルカリオの特性は『ふくつのこころ』よ」

ふくつのこころ
怯むと素早さが上がる

愛梨「怯ませて確実に仕留めるつもりだったんでしょうけど、まだまだ甘いですね!」

ドワァァァァァァァァァァ

『あいりぃぃぃぃーーー!!』

『さすがだぜーーー!!』

文香「まずは相手が先制、ですか」

卯月「さすが、手強いね」

凛(一撃で決めたかったがために怯ませたつもりが、裏目に出た)

凛(今思えば、ルカリオの特性は怯みに強い特性ばかりだった)

凛(私の判断ミスだ……ごめんね、ゲッコウガ)

凛(でもまだだ……!)

凛「今ルカリオに対抗できるのは……」

凛「チャーレム!」

チャーレム「チャー」ポン

凛「ルカリオはあと一息で倒せる……チャーレム、ドレインパンチ!」

チャーレム「チャー!」ザッ

愛梨「ルカリオ、動けますか?」

ルカリオ「ルカ……」バリバリ

愛梨「うーん、ここまでか……」

ズバンッ

ルカリオ「ルカ……」バタンキュー

恵磨『ドレインパンチが決まったー! ルカリオダウーン!』

美玲「ふーっ、やっと1匹かあ」

茜「あのルカリオにも負けないレベルのポケモンがあと5匹もいるなんて、さすが四天王です……!」


愛梨「ルカリオ、ご苦労様です」

今回はここまでとします、次回の投下は火曜日を予定

先述した通り、前回からかなり時間が空いているので、前スレを読んでから戻ってこられた方がわかりやすいかと
ここまで読んでいただき有難うございました

投下していきます

愛梨「フラージェス!」ポン

フラージェス「フラ!」

フラージェス ガーデンポケモン フェアリー
見事な花園がテリトリーで、草花の放つエネルギーを浴びて自分のパワーにする
数百年の寿命をもつ

恵磨『愛梨選手、フラージェスを繰り出した!』

凛「チャーレム、しねんのずつき!」

チャーレム「チャー」キィィィン

愛梨「リフレクター!」

フラージェス「フラ」ガキィン

恵磨『フラージェス、物理攻撃を半減する壁を張って防いだ!』

瑞樹『凛ちゃんのポケモンは半分以上が物理型のアタッカーよ。リフレクター自体も有効だし、もともと特殊防御に優れたフラージェスがそれをやるなら尚更ね』

晶葉「猛攻撃の次は、また守りに徹してきたか……」

志希「愛梨ちゃんはお堅いねぇ」

凛(リフレクター……)

凛(あれ自体を封じないと、どんどん戦況が厳しくなる)

凛(相性がいいのはドリュウズだけど……今はリフレクターが消えるのを待たないと)

凛「チャーレム、交代!」

恵磨『凛選手、ここでポケモンを入れ替えます!』

凛「サンダース、よろしく」ポン

サンダース「ダース!」

恵磨『再びサンダースが登場! しかし先程の戦いで体力は万全ではないぞ!』

凛(本当はもっと温存したかったけど)

凛「サンダース……あと少し、頑張って」

サンダース「ダース!」

愛梨「フラージェス、ムーンフォース!」

フラージェス「フラ」ビビビ

凛「躱して!」

サンダース「ダース」ヒョイ

愛梨「さすがサンダース、傷ついてても素早いですね」

愛梨「でも長くは持たせませんよ! マジカルリーフ!」

フラージェス「フラ」シュバババ

サンダース「ダース!」ズババ

恵磨『サンダースを必中技が襲う!』

瑞樹『これが愛梨ちゃんの堅実さたる所以ね』

瑞樹『攻撃が必ず当たる技はその分攻撃力に欠ける。でもそれを埋めるだけの実力を彼女のポケモン達は伴っているからこそ、こういう戦い方ができるのね』

恵磨『なるほど、流石は前回チャンピオンですね!』

愛梨「……前回チャンピオン、か。この1年で何回言われたんだろ」フーッ

愛梨「その称号を振り払うために、あたしはこの1年……血の滲むような特訓を重ねてきたの」


愛梨「もう『前回』チャンピオンなんて……言わせないッ!」


ドワァァァァァァァァァァ

『その意気だぜ、あいりぃぃぃぃーーー!!』

文香「やっぱり、気にかけていらっしゃったんですね」

晶葉「無理もないな。彼女にとってはよほど屈辱的だったんだろう」

卯月「愛梨ちゃん、もっとクールで無口な人だと思ってたけど、こういう一面もあるんだね」

晶葉「ああ、まるで凛みたいだな」

未央「たしかに! あの二人、実はめちゃくちゃ仲良くなれるんじゃない?」

凛(リフレクターが切れるまでは……)

凛「耐えて、サンダース! ――――――――――――!」

サンダース「……!」

サンダース「ダース!」

恵磨『サンダース、なおもフィールドを縦横無尽に駆け巡る!』

愛梨「マジカルリーフ!」

フラージェス「フラ」シュバババ

サンダース「ダー……」ズババ

恵磨『しかしマジカルリーフはじわじわと体力を削っていってるぞ!』

美玲「これじゃジリ貧じゃないか! おい凛、なんか作戦あるのかよ!?」

志希「まーまー。黙って見てよ♪」

美玲「……?」

凛「もう少し……!」

サンダース「ダース!」

フラージェス「フラ」シュバババ

サンダース「ダー!」バシバシ

フッ

幸子「リフレクターが消えました!」

愛梨「フラージェス、もう一度リフレク――」

凛「そこだっ! サンダース!」

サンダース「ダー!」バッ

恵磨『サンダース、ものすごい勢いでフラージェスに飛び掛かる!』

凛(さっきは決めれなかったけど、次こそは……!)

凛「かみなり!」

サンダース「ダー!」ゴロゴロゴロ

愛梨「!? まさか……」

サンダース「ダァァァッ!!」バリバリバリ

ズドーーーーン

未央「うわあっ!?」ビュォォ

卯月「うそ、さっきと威力が全然違う!」

恵磨『うー、ゲホンゲホン……フィ、フィールドはどうなったのでしょうか!?』

………………

フラージェス「フラ……」バタンキュー

サンダース「ダー……」バタンキュー

恵磨『これは……相討ちだー!!』

ワァァァァァァ

卯月「やった、これでイーブンだね!」

晶葉「ああ、だがまだ油断ならんぞ」

愛梨「お疲れ様、フラージェス」

愛梨「なるほど、逃げ回りながら『じゅうでん』を繰り返していたのね……リフレクターが切れる隙ができるまで」

愛梨「そして『じゅうでん』は同時に特殊防御を高める……それでマジカルリーフに耐え続けていた」

愛梨「相手に近づいて大技を放つっていう作戦、一度失敗していたのに成功させるなんて……やるじゃないですか」

凛「お疲れ、サンダース」

凛「まあ、苦し紛れの作戦だったけどね」

愛梨「それにサンダース……ルカリオの攻撃を受けてたのに、フラージェスの攻撃にも耐え続けたなんて。よく育てられてますね」

凛「え? あ……ありがと」

凛(褒められちゃった……テレビで見てた人に)

凛(なんか照れくさいな……)

凛「って、いけない。ムクホーク!」

ムクホーク「ムクホー!」ポン

愛梨「ドダイトス!」

ドダイトス!「ドダー!」ズシン

ドダイトス たいりくポケモン くさ/じめん
小さなポケモンたちが集まり、動かないドダイトスの背中で巣作りを始めることがある
大昔の人々は、大地の下には巨大なドダイトスがいると空想していた

恵磨『凛選手はムクホーク、愛梨選手はドダイトスを繰り出してきたー!』

瑞樹『愛梨ちゃんの方が相性は不利だけど……交代する気配がないわね。どう立ち回るのかしら』

凛「一気に行くよ! ムクホーク、ブレイブバード!」

ムクホーク「ムクホー!」ゴォッ

愛梨「アイアンテール!」

ドダイトス「ドダ」ガキーン

瑞樹『いわ技は使わなかったわね。愛梨ちゃんは力押しするつもりかしら』

凛「ムクホーク、もう一回ブレイブバード!」

ムクホーク「ムクホー!」

愛梨「ドダイトス、ギリギリまで引き付けて!」

ドダイトス「ドダ」ゴォォ

凛「何か企んでる……ムクホーク、気を付けて!」

愛梨「今よ! ジャンプ!」

ドダイトス「ドダッ」ピョーン

恵磨『な、なんと! ドダイトス、ジャンプしたぞ!?』

恵磨『あの巨体からは想像できない動きだー!』

愛梨「ウッドハンマー!」

ドダイトス「ドダッ!」ヒュゥゥン

凛「やっぱりね……!」

凛「ムクホーク、方向転換!」

ムクホーク「ムクホー!」

恵磨『しかし凛選手も対応が早い!』

ズドーーーーン

恵磨『再び両者が空中で激突したあー!』

乃々「す、すごい……」

美玲「愛梨ってやつももちろんすげーけど……凛もすげぇ……!」

志希「二度も同じ手は食らわない、のは凛ちゃんも同じみたいだねー」

愛梨「やりますね……!」

凛「まだまだ! ムクホーク!」

凛(ドダイトスには『しんりょく』がある。あれが発動したら厄介だ)

凛(今のところ、気を付けるべきはウッドハンマーだね。あれを喰らったらひとたまりもない)

凛(ここは空中戦で!)

凛「飛び上がって!」

ムクホーク「ムクホー」バサッバサッ

「インファイト!」

ムクホーク「ムクホー」ドガガガ

瑞樹『さっきみたいにブレイブバードで突っ込んでいったら反撃を喰らう可能性もあるから、空中からヒット&アウェイってことね、わかるわ』

愛梨「ドダイトス! 降りてきたところをアイアンテール!」

ドダイトス「ドダ!」ガキーン

恵磨『ドダイトスも応戦しているが、これは凛選手が優勢かー!?』

凛(よし、確実にダメージを与えてる)

凛(インファイトも長くは使えないし、そろそろ決めるか……)

凛(……でも、なんか変な感じだ)

凛(なんで交代してこないんだろ)

愛梨「……」

愛梨「……この子はね」

凛「?」

愛梨「一度場に出たら、交代できないんです。いや、交代させてくれない、って感じかな」

凛「? どういうこと?」

愛梨「昔からすごく強情な子なんですよ。例え不利な相手でも、自分が相手しないと気が済まなくて」

愛梨「だから去年のポケモンリーグでは登録させてなかったんですけど」

愛梨「でもこの子は、私がお父さんから譲ってもらったポケモンなんです」

凛「……」

愛梨「お父さんはチャンピオンになれなかった」

愛梨「だから私は、お父さんの夢も果たしたい」

愛梨「結果的に分の悪い相手と戦っているけど、ドダイトスは諦めていない」

愛梨「だから私も、諦めるつもりはありません!」

凛「……」フッ

凛「そうこなくっちゃ!」

凛(これが最後の一撃……)

凛「ムクホーク! ブレイブバード!」

ムクホーク「ムクホー!」ゴォッ

恵磨『空高くからムクホークが急降下してきたー!!』

愛梨「ドダイトス! リーフストーム!」

ドダイトス「ドダー!!」バビュゥゥン

凛(まだくさ技を持っていた!)

凛(やっぱり『しんりょく』が発動している)

凛(でも!)

凛「押し切れッ! ムクホーク!」

ムクホーク「ムクホオオー!」ゴォッ

恵磨『ムクホークがリーフストームに突撃していったぞ!!』

晶葉「どうなる……!?」

バッ

愛梨「!?」

ドダイトス「ドダッ……」

ドォー・・・・・・ン

恵磨『ムクホークがリーフストームを破ったぁ!!』

ドダイトス「ドダ……」ガクッ

ムクホーク「ムクホ……」フラフラ

恵磨『ドダイトス戦闘不能!』

ワァァァァァァ

瑞樹『相性が悪いとはいえ、ムクホークをあそこまで追い込んだドダイトス……天晴れだわ』

愛梨「よく頑張ったね、ドダイトス」

凛(やっぱり実際に戦ったら、テレビで見ていた愛梨と本物の愛梨は全然違う)

凛(でも1つ、同じことがあるとするなら)

凛(愛梨は尊敬できるトレーナーだった、ということだ)

今回はここまで
次回の投下は金曜です、愛梨との戦いも決着する……かも?

ドダイトスといえば名探偵ピカチュウに信じられないくらい巨大なドダイトス出てきましたよね
ダイマックスの比じゃないくらいでかかった気がする

投下します

愛梨「オニゴーリ!」ポン

オニゴーリ「オニ」

オニゴーリ がんめんポケモン こおり
空気中の水分を凍らせて自由な形に変える能力を持つ
その力で獲物を氷漬けにしてしまう
氷の鎧は炎でも溶けない

愛梨「仕留めますよ! こおりのつぶて!」

オニゴーリ「オニ」ヒュゥゥン

オニゴーリ「オニ!」バッ

凛「! 早い!」

ムクホーク「ムクッ!」ダダダ

ムクホーク「ムクホー」バタンキュー

恵磨『ムクホークダウーン!』

ドワァァァァァァァァァァ

瑞樹『これで残りの手持ちは3体ずつね』

未央「ああ、リードしたと思ったのにぃ」

志希「いやー、ハラハラドキドキする勝負だねぇ♪」

幸子「凛さん……」

凛「チャーレム!」ポン

チャーレム「チャー」

凛「チャーレム! ドレインパンチ!」

チャーレム「チャー!」ズバンッ

恵磨『オニゴーリ、かくとう技をモロに喰らってしまった!』

愛梨「……なるほど、さっきはルカリオにも使ってきたし、それがチャーレムのメイン技ですね」

愛梨「なら、それを封じます! オニゴーリ、うらみ!」

オニゴーリ「オニ」ウラミツラミ

チャーレム「チャ!?」キュゥゥン

凛「な!?」

恵磨『おおっと、チャーレムがうらみを受けてしまったぞ!』

瑞樹『これは相手のPPを削る技ね。ドレインパンチもそうだけど、たいていの大技はPPがそんなに多くないし、有効な手段ね』

恵磨『そしてさっきドレインパンチを受けたのは、これを使うため、だったと!』

瑞樹『そういうことね』

凛(っ……ここも短期決戦で終わらせないと…!)

凛(一発のダメージは少なくないだろうから、何とか押し切る!)

凛「チャーレム !続けてドレインパンチ!」

チャーレム「チャー!」

愛梨「躱してめざめるパワー!」

オニゴーリ「オニ」ヒョイ

オニゴーリ「オニ!」ショォォォ

チャーレム「チャ!?」ズバン

恵磨『チャーレム、めざめるパワーを喰らってしまった!』

瑞樹『めざめるパワーは出すポケモンによってタイプが異なってくる技ね』

瑞樹『同じ種族のポケモンでもめざめるパワーのタイプは異なるわ』

恵磨『チャーレムにはかなり効いているみたいですし、きっとあのめざめるパワーは……』

瑞樹『ええ。ひこう、ゴースト、フェアリーのいずれかでしょうね』

凛「っ……」

凛「そんな隠し玉があったなんてね」

凛(躱せそうな時は躱してめざめるパワー、そうでない時はうらみ)

凛(完全にこっちの動きを見てから行動している……)

凛(このままセオリー通りの行動をしていたら相手の思う壺だ)

凛(なら!)

凛「チャーレム! ビルドアップ!」

チャーレム「チャー!」ビキビキ

恵磨『チャーレム、ここで能力をアップさせた!』

愛梨「オニゴーリ、めざめるパワー!」

凛「そう来ると思ったよ!」

凛「チャーレム! 中断して躱して!」

愛梨「!?」

チャーレム「チャー」サラッ

美玲「おお、ビルドアップを中断した!」

晶葉「今のビルドアップは能力アップが目的じゃなく、相手を誘い出す罠だったんだな」

凛「ドレインパンチ!」

愛梨「ッ! 躱してうらみ!」

チャーレム「チャー!」ドガッ

オニゴーリ「オ……オニッ」ドォンッ

凛「よし、決まった!」

凛(うらみも封じれた……! 連続で決める!)

凛「トドメだよ! ドレインパンチ!」

チャーレム「チャー……」

チャーレム「チャ!?」ピタッ

凛「!? まさかPP切れ!?」

愛梨「オニゴーリ、ふぶき!」

オニゴーリ「オニッ……」ヒュゥゥ

恵磨『ドレインパンチが決まったが、凛選手、ここで痛恨のPP切れだー!!』

瑞樹『うらみのダメージが思ったよりも大きかったわね』

恵磨『そして零距離でのふぶきが迫ってくるぅー!!』

凛「ッ! しねんのずつき!」

チャーレム「チャー!」キィィィン

晶葉「土壇場で技を切り替えた……間に合うか……!?」

オニゴーリ「オニー!!」ビュォォォ

バチィッ!!

恵磨『お互いに技がヒット! 大きく吹き飛ばされた!』

ズザァッ・・・・・・

チャーレム「チャー」バタンキュー

オニゴーリ「オニー」バタンキュー

恵磨『これは……またしても相討ちだー!!』

ワァァァァァァァァァァ

恵磨『まさに一進一退! 今大会最大のハイライトと言ってもよい試合となっております!!!』

卯月「四天王相手にここまですごい勝負をするなんて……」

未央「ど、どっちが勝つんだろ……」

凛「お疲れ、チャーレム」

凛「ジヘッド!」ポン

ジヘッド「ジヘッ」

愛梨「フワライド!」

フワライド「フワー」プカプカ

恵磨『お互いに残りポケモンはあと2匹、ここでジヘッドとフワライドが登場だー!』

瑞樹『愛梨ちゃん、さっきみたいにバトンタッチで最後の一匹に繋げるつもりね』

愛梨「フワライド、たくわえる!」

フワライド「フワー」シュウゥゥゥゥ

凛「そうはさせない! かみくだく!」

ジヘッド「ジヘッ!」ガブー

フワライド「フ……フワッ」グラッ

幸子「おお!」

晶葉「よし、急所に当ててきたな!」

恵磨『かみくだくが急所に入り、フワライド思わぬダメージ!』

愛梨「まだまだ……もう一度たくわえて!」

フワライド「フワー」シュウゥゥゥゥ

恵磨『フワライド、今度は飛び付かれないように上昇している!』

凛「ジヘッド……」

凛「届くよね?」

ジヘッド「ジヘッ」コクッ

ジヘッド「ジヘッ!」ピョーン

恵磨『ジヘッド、上昇するフワライドに飛び乗った!』

凛「こっちももう一度……かみくだく!」

ジヘッド「ジヘッ!」ガブー

フワライド「フワ!?」

恵磨『かみくだくが連続でヒットしたぞー!』

美玲「よしっ!」

輝子「あんなに固かったフワライドを……!」

晶葉「愛梨の戦術の起点を崩せた、これは大きいぞ!」

愛梨「やりますね!」

愛梨「フワライドなら耐えてくれると思ってましたが……」

愛梨「上昇する高さに追い付いてきただけじゃなく、連続で急所に当てられるなんて」

愛梨「でも、ただでは終わりません!」

フワライド「フワ……」カッ

凛「!?」

チュドーーン

乃々「ひ、ひぃっ!?」

恵磨『な、なんだ!? フワライドが空中で爆発したぞ!』

瑞樹『なるほど、『ゆうばく』したのね』

ゆうばく
直接攻撃を受けて倒れた時、相手にもダメージを与える

フワライド「フワー……」ヒュルルルル

ドサッ

ジヘッド「ジヘッ……」

凛「ジヘッド!」

恵磨『フワライドダウン! しかしジヘッドもかなりのダメージを負ってしまった!』

瑞樹『これで愛梨ちゃんはあと1匹ね』

恵磨『さあ、バトルはいよいよ大詰め! 愛梨選手、最後に繰り出すのは……』

愛梨「後は任せました、アバゴーラ!」ポン

アバゴーラ「アバァ!」ズシン

アバゴーラ こだいがめポケモン みず/いわ
海と陸地の両方で活動する
顎の力が桁違いで、丈夫な甲羅を作るため、獲物のカラやホネも丸ごと噛み砕いて食っていた

恵磨『アバゴーラだぁ!!』

瑞樹『ここまでの試合でもルカリオと一緒に猛威を振るっていた、愛梨ちゃんのエースポケモンね』

凛(……あと少し)

凛(あと少しのはずなんだ)

凛(ジヘッドが進化するまで……)

凛(進化してくれれば、空中戦を仕掛けられるようになる)

凛(それに見た感じ、アバゴーラは防御は高そうだけど、特殊防御はそうでもない感じだ)

凛(火力の上がったりゅうせんぐんを撃てれば、勝機はある)

凛(でも、それが『いつ』来るのか……)

今回はここまで
決着しなかった…次回こそ終わらせます

何だかんだで剣盾まであと一週間ですね、早くガラルポニータとワンパチとウール―を迎えに行きたい
次回は火曜です、読んでいただきありがとうございました

投下します

凛「……」

凛「ジヘッド、いったん交代!」

凛「ドリュウズ!」ポン

ドリュウズ「ドリュ!」

晶葉「なるほど、ジヘッドを温存してきたか」

晶葉「お互いにお互いの弱点を突ける対面なのは少し不安だが」

茜「凛ちゃーーーん!! あと一歩ですよーーー!!」

凛(まずは先手を取る!)

凛「ドリュウズ、ドリルライナー!」

ドリュウズ「ドリュ!」ドドドド

アバゴーラ「アバァ!」ズドン

恵磨『まずはドリルライナーがアバゴーラを襲う!』

凛「どうだ……?」


アバゴーラ「アバ……」ズン

凛「やっぱり簡単にはいかないか……」

愛梨「ふふ、そう易々とは倒されませんよ?」

愛梨「今度はこっちからです! ハイドロポンプ!」

アバゴーラ「アバァ!」バシャァァァ

凛「躱して!」

ドリュウズ「ドリュ!」ヒョイ

未央「よし、躱した!」

凛「ドリルライナー!」

ドリュウズ「ドリュ!」

愛梨「なら……」

愛梨「アバゴーラ、からをやぶる!」

アバゴーラ「アバァ!」コォォォ

ボロッボロッ

凛「!?」

アバゴーラ「アバァ!」ピョーン

恵磨『アバゴーラ、ジャンプして攻撃を避けた!?』

恵磨『アバゴーラってこんなに高く跳べるんですか!?』

瑞樹『からをやぶるは防御、特殊防御を下げる代わりに攻撃、特殊攻撃と素早さを上げる技ね』

瑞樹『重荷だった甲羅も軽くなったんだし、多少身体能力が上がっても不思議じゃないわ』

恵磨『多少ってレベルじゃなくないですか!?』

瑞樹『そうね、流石はあの愛梨ちゃんのエースだわ』

幸子「からをやぶる、って名前の割には甲羅はまだ残ってますよね」

未央「でもアバゴーラの甲羅、なんか一回りぐらい小さくなったような?」

卯月「うーん……言われてみればそうかな?」

志希「ってことは、連発すればいずれアバゴーラの背中が見れたりするのかな?」ニヤニヤ

卯月「そ、それはどうなんだろう」

晶葉「いずれにせよ、これでアバゴーラは元々の攻撃力に加えて機動力も手に入れた」

晶葉「凛の手に負えるか……?」

凛「ドリュウズ、地面にもぐ……」

愛梨「アクアジェット!」

アバゴーラ「アバァ!」ビュン

ドリュウズ「ドリュ!?」バシィッ

凛「! は、速い……!」

愛梨「ハイドロポンプ!」

アバゴーラ「アバァ!」バシャァァァ

ドリュウズ「ド、ドリュッ!」ババババ

凛「ドリュウズ!」

愛梨「アクアジェット!」

アバゴーラ「アバァ!」

恵磨『愛梨選手、流れるようにコンボを決めていく!』

ドワァァァァァァァァァァ

『いいぞあいりぃぃぃぃーーー!!』

『もうこうなったら誰にも止められないぜーーー!!!』

凛「くっ……」

凛(速すぎて何もできない……!)

凛(それに技の威力も上がってるから、受け流すことも相殺することもできない)

凛(一か八かでじわれを打つか……?)

凛(いや、相手が『がんじょう』だったらじわれは効かない)

凛(なら、少しでもダメージを与え続けないと)

凛「ドリュウズ! いわなだれ!」

ドリュウズ「ドリュ!」ガラガラガラ

愛梨「ハイドロポンプ!」

アバゴーラ「アバァ!」バシャァァァ

恵磨『いわなだれがハイドロポンプに押し切られた!』

愛梨「! アバゴーラ、足元です!」

アバゴーラ「アバァッ」バッ

凛「ドリルライナー!」

ドリュウズ「ドリュウ!」ドドドド

アバゴーラ「アバッ!」バシィ

愛梨「先程の相殺に紛れて地面に潜ったんですね」

ズザザ・・・・・・

愛梨「その程度! ハイドロポンプ!」

アバゴーラ「アバー!」バシャァァァ

恵磨『ドリュウズにハイドロポンプが直撃だー!』

美玲「ああっ!」

幸子「いくらなんでも強すぎます……!」

シュー・・・・・・

ドリュウズ「ドリュ……」バタンキュー

恵磨『ドリュウズダウーン!!』

ドワァァァァァァァァァァ

『あいりぃぃぃぃーーー!!』

『強い! 強すぎるぜーーーーー!!』

恵磨『さあ、いよいよ残るポケモンは1匹ずつ!』

瑞樹『でもジヘッドにはゆうばくのダメージが残っているわ』

瑞樹『片やアバゴーラはパワーアップしている状態……』

瑞樹『『このままだと』、勝負はあったも同然ね』

恵磨『このままだと、とはどういう意味ですか?』

瑞樹『そのままの意味よ。まあ、見ていればわかるわ』フフッ

凛「……」

凛(あとはもう、全てを託すしかない……)

凛「ジヘッド……力を貸して!」ポン

ジヘッド「ジヘッ!」

愛梨「最後まで容赦はしませんよ」

愛梨「アバゴーラ、ストーンエッジ!」

アバゴーラ「アバァ!」ゴゴゴ

凛「ジヘッド、躱して!」

ジヘッド「ジヘ!」ヒョイ

愛梨「アクアジェット!」

アバゴーラ「アバァ!」ビュン

ジヘッド「ジヘ!?」バシッ

恵磨『愛梨選手、回避先を読んで的確に攻撃だ!』

晶葉「まずい、このままだと……」

こずえ「……」

こずえ「あ……」

文香「? こずえちゃん、どうかしましたか?」

こずえ「ん……」

こずえ「あの子……」

こずえ「そろそろ……だね」

輝子「え?」

乃々「ど、どういう……」

ジヘッド「ジヘ……」ヨロヨロ

凛(……)

凛(ジヘッド)

凛(私は信じているよ……!)


カッ


凛「!?」

凛「ジヘッド……!」

ゴゴゴゴゴゴ

恵磨『おや、ジヘッドの様子が……!?』

瑞樹『来るわ!』

愛梨「進化……!」

ゴゴゴゴゴ

ゴゴ・・・・・・

バサッ

凛「……ようやく会えたね」



凛「サザンドラ……!」


サザンドラ「サザー!」

ワァァァァァァァァァァ

恵磨『凛選手のジヘッドが、なんとサザンドラに進化したー!!』

未央「おお!」

卯月「凛ちゃん……!」

美玲「あれが……進化……!」ゴクリ

茜「よーーーーし! 凛ちゃーん!! いっけぇぇぇーーー!!!」

愛梨「ふふっ、そうこなくっちゃ!」

サザンドラ きょうあくポケモン あく/ドラゴン
6枚の羽根で空を飛び続け、動くものを敵と思い込み襲う
両腕の頭は脳みそを持たず、全てを食べつくし破壊してしまう

凛(図鑑の説明文は相変わらず物騒だけど)

凛「サザンドラ……いくよ!」

サザンドラ「サザ!」バサバサ

恵磨『サザンドラ、空高くに舞い上がった!』

愛梨「追撃よ! アクアジェット!」

アバゴーラ「アバァ!」ビュン

卯月「向こうも跳び上がった!」

サザンドラ「サザ!」サッ

愛梨「! 躱された!?」

凛「よし……!」

凛(今のアバゴーラは無防備だ)

凛「これで……決める!!」

凛「サザンドラ!」

凛「りゅ う せ い ぐ ん!!」

ボッ

愛梨「! しまっ……!」

凛「いっけええええええ!!」

サザンドラ「サザァァァァァ!!」

ヒュー ヒュー

恵磨『アバゴーラに……』

恵磨『りゅうせいぐんが襲いかかるゥゥゥーーー!!』

ドドドドドドドドドドドド

アバゴーラ「アバァッ……」

ドォー・・・・・・ン

恵磨『アバゴーラ、地上に叩き落されてしまったー!』

晶葉「やったか……?」

未央「しぶりん……!」

卯月「凛ちゃん……!」

ザワザワザワザワ

愛梨「……」

愛梨「……」フッ

愛梨「ここまで……か」

恵磨『アバゴーラ戦闘不能!』

恵磨『よって、勝者は……』

恵磨『凛選手だぁぁーーー!!』

恵磨『何ということだ、いきなりの大波乱! 初出場の凛選手が、前回チャンピオンを下したーー!!』

ワァァァァァァァァァァ

美玲「や、やった……!」

幸子「凛さんが……勝った……!」

茜「勝ったぁぁぁぁぁ!!!」

輝子「フヒ……!」

乃々「……!」ポカーン

晶葉「なんと……愛梨までも破るとは」

志希「相変わらずすごい子だねえ!」ニャフフ

文香「こずえちゃん、さっきのはジヘッドがもうすぐ進化するってことだったんですね」

こずえ「ふわあ……」

卯月「凛ちゃん……すごい……!」

未央「はああ……あたしもう心臓が止まるかと……」

未央(この試合で確信したよ)

未央(しぶりんとは……きっと決勝で会える)

未央(ま、その前に私が頑張らないと、だけどね)

凛(……)

凛(勝った……!)

凛(1年前、テレビで見ていた人に)

凛(四天王でもなく、前回チャンピオンでもなく)

凛(トレーナーとしての愛梨に……!)

愛梨「お疲れ様、アバゴーラ」

愛梨「凛ちゃん」ザッ

愛梨「私の完敗、ですね」

凛(あ、愛梨が……間近に……!)ドキッ

凛「いや、そんなことは……」

愛梨「ううん。凛ちゃん、まだ本当の力を出してなかったでしょう?」

凛(……!)

凛(まさか……)

凛「……うん」

凛「でもその力は、まだ使わないつもりなんだ」

凛「いつ使うことになるのかはわからないけど」

愛梨「そっか」ニコッ

愛梨「あ、そうだ、これ……よかったら使って」

凛はたつじんのおびを手に入れた!

愛梨「それにしても、四天王にすら手が届かないなんて」

愛梨「私もまだまだですね。もっと強くなります。凛ちゃん、この先も……頑張って」

凛「うん……ありがとう。また、バトルしよう」

グッ

ドワァァァァァァァァァァ

『あいりぃぃぃぃーーー!! お疲れ様ーーー!!』

『俺、凛ちゃんのファンになっちゃったかも……でも愛梨のことも大好きだよー!!』

パチパチパチパチ

恵磨『いやあ……手に汗握るバトルでしたね、瑞樹さん!』

瑞樹『そうね。わかるわ。新たなヒロインも誕生したわね』

恵磨『さあー続いて準々決勝、第二回戦だぁー!』

今回はここまで
次回の投下は来週の火曜日です

私はガラル地方へ旅に出てきます、探さないでください

お待たせしました、投下します
次は奈緒VSきらりんです

>105
サザンドラは次回以降も活躍する予定なのでお楽しみにです

>106
大会には出ませんがガラルのポケモンは後々登場させる予定です

恵磨『よって、勝者は……』

恵磨『凛選手だぁぁーーー!!』

杏「おおー……」

きらり「うきゃー☆ 凛ちゃんすごーい! 四天王に勝っちゃったにぃ!」

杏「まあ、なかなかやるじゃない」

きらり「でもでも、四天王さん、やっぱし強かったねぇ」チラッ

杏「なに、杏を心配してるの?」フッ

杏「杏なら心配無用だよ。そういうきらりはどうなの?」

きらり「うゆ! 今日はきらりんのポケモンちゃん達も元気いっぱい! いつもよりはっぴはぴだにぃ!」

杏「そうか、なら大丈夫そうだね」

杏「じゃあ……お互い、決勝で会おうね」

きらり「いぇーい☆ 杏ちゃんもはぴはぴでがんばがんばー、だにぃ!」



奈緒「凛が勝った……!」

加蓮「さすがだね、凛」

奈緒「ああ。……でも、あたしだって負けない」

奈緒「次こそ、絶対に凛を倒してやるんだ!」

加蓮「ふふ、凛を倒すの、奈緒が先か、私が先か。どっちでしょうね?」

加蓮「ところで、そろそろ準備しなくていいの?」

奈緒「あ、そうだった」

奈緒「じゃあな、加蓮!」

加蓮「うん、頑張ってね」

奈緒「おう、加蓮もな!」



恵磨『さあさあ、興奮冷めやらぬ準々決勝、続いて第二回戦だぁー!』

奈緒「……」ザッ

恵磨『まずは奈緒選手が登場!』

瑞樹『初出場ながらセンスの光るトレーナーね。ここまで順調に勝ち進んできているわ』

美玲「あいつも凛たちの知り合いなのか?」

凛「うん、そうだよ」

恵磨『対するは……』

きらり「いぇーい! みんな、はぴはぴしてるぅー?」

恵磨『こちらも初出場! きらり選手だー!!』

ワァァァァァァァァァァ

乃々「ひえ……キャラが濃い……」

幸子「きらりさんも凛さんのお知り合いだそうですよ」

美玲「へー。凛ってけっこう顔が広いんだな!」

凛「ま、まあね」

奈緒「……」キッ

きらり「あれれー? どしたのどしたのー?」

きらり「せっかくこんなすっごい所にいるんだよ! もっとニコニコしようにぃ!」

奈緒「お、おう……」ギクシャク

奈緒「なんか、いまいち掴み所がないというか……」

凛(もう既にきらりのペースに呑まれてる……)

未央「なおっちー! 頑張れー!」

卯月「奈緒ちゃーん!」



……………………

控室

杏「ま、きらりなら余裕っしょ」



――別の控室

加蓮「奈緒、頑張れ……!」

……………………

恵磨『準備はいいかな!? それでは……』

恵磨『バトルッ!! スタートォ!!』

奈緒「いくよ、ピジョット!」ポン

ピジョット「ピジョー!」バサッ

ピジョット とりポケモン ノーマル/ひこう
ピジョットが力いっぱい羽ばたくと大木もしなるほどの強風を巻き起こす
美しいハネを広げて相手を威嚇する

きらり「きてきてー☆ ゴルーグちゃん!」ポン

ゴルーグ「ゴル」ズシーン

ゴルーグ ゴーレムポケモン じめん/ゴースト
ポケモンや人を守るために古代人によって生み出された
胸の封印を剥がすとエネルギーが暴走してしまう

奈緒「まずはこっちからいくぜ! エアスラッシュ!」

ピジョット「ピジョー」フィィン

ゴルーグ「ゴル」シュインシュイン

恵磨『ゴルーグを空気の刃が襲うー!』

きらり「……」

奈緒「よし、追撃だ!」

ピジョット「ピジョー!」

シュインシュイン

ゴルーグ「ゴル」ズン

凛(きらりもゴルーグも全然動かない)

凛(でもエアスラッシュに怯んでるわけじゃなさそうだ……)

凛(いや、あれは集中力を高めてるようにも見える)

凛(まるで弓道の選手が、的を狙い澄ましているかのように)

凛「! 奈緒!」

きらり「……!」キッ

きらり「ゴルーグちゃん! ばくれつパンチだにぃ☆」

ゴルーグ「ゴル」ズッ

ゴルーグ「ゴルゥ!」バシュゥ

恵磨『ゴルーグ、ついに動き出したぞぉ!!』

ピジョット「ピジョッ!?」ドゴォッ

恵磨『そして強烈な右ストレートが決まったぁー!!』

きらり「ゴルーグちゃんやるぅ☆ おっけーばっちし!」

ドサッ

奈緒「! ピジョット!」

ピジョット「ピ、ピジョ……」

ピジョット「ピジョー」ピヨピヨ

恵磨『ピジョット、大ダメージを喰らっただけでなく、混乱してしまったー!』

瑞樹『ばくれつパンチは威力も高いし、当たれば混乱させる技だけど、なかなか命中しないのよね』

瑞樹『きらりちゃんはピジョットの動きを読みながら、このパンチを当てるチャンスを窺っていたのね』

恵磨『奈緒選手が優勢と思われましたが一転、流れはきらり選手に傾こうとしています!』

ワァァァァァァァァァァ

未央「ああ、なおっちー!」

卯月「奈緒ちゃん!」

奈緒「くそー、よくも……」

奈緒(いったんピジョットを戻すか?)

奈緒(……いや! そういえばピジョットの特性は……!)

奈緒(それに『あの技』もある……)

奈緒「ピジョット、もう少し頑張ってくれ! エアスラッシュ!」

ピジョット「ピ、ピジョ……」ピヨピヨ

ピジョット「ピジョー」フィィン

恵磨『ピジョット、混乱しながらも技を繰り出した!』

ゴルーグ「ゴル」シュインシュイン

きらり「ゴルーグちゃん! ヘビーボンバーだにぃ!」

ゴルーグ「ゴル」ゴォォ

恵磨『ゴルーグ、手足を格納して飛び上がった!』

ゴルーグ「ゴルウゥゥ」ヒューン

凛「あんな巨体が降ってきたら……!」

未央「ひとたまりもないね……!」

奈緒「ピジョット! 躱せ!」

ピジョット「ピジョッ……」フラフラ

ピジョット「ピジョー」サッ

きらり「うゆ!?」

ゴルーグ「!?」ズドン

恵磨『おーっと、ピジョット、不規則な動きでゴルーグの攻撃を躱した!』

晶葉「ゴルーグが地面に打ち付けられたな。これは反動ダメージも少なからずあるんじゃないか」

未央「ふう、危なかったぁ」

奈緒「混乱させたのが裏目に出たな! あたしのピジョットは『ちどりあし』なんだよ!」

ちどりあし
混乱状態になると回避率が上がる

きらり「うゆー! なるほどなるほど! 奈緒ちゃんあったまいー☆」

奈緒「ピジョット、動けるか!?」

ピジョット「ピジョ……」ピヨピヨ

恵磨『しかしピジョット、尚も混乱が続いている!』

奈緒「なら……」

きらり「ゴルーグちゃん、もっかいおなーしゃー!」

ゴルーグ「ゴル」ゴォォ

恵磨『再びゴルーグが迫ってきたぞぉ!』

ゴルーグ「ゴルウゥゥ」ヒューン

ズドーーン

恵磨『今度は命中だー!』

美玲「ああ、喰らっちまった!」

輝子「ていうかこの試合……私らはどっちを応援すればいいの……?」

幸子「え? そういえばたしかに」

乃々「どっちもで、いいのでは……」

輝子「ま、まあそうか」

未央「うわ、すごい威力……」

奈緒「ピジョット!」

ピジョット「ピ……ピジョ……」グググ

恵磨『ピジョット、何とか持ちこたえたようです!』

瑞樹『しかもさっきの衝撃で混乱も治ったみたいね』

奈緒「よし……」

奈緒「ピジョット! ゴッドバードだ!」

ピジョット「ピジョ!」コォォォォォ

恵磨『ピジョットの体が光に包まれてゆく!』

卯月「え、ゴッドバードって、発動まで時間がかかるんじゃ……」

奈緒「突撃ィィー!!」

ピジョット「ピジョー!!」ズバンッ

卯月「もう攻撃に移った!?」

きらり「ゴ、ゴルーグちゃん!」

ゴルーグ「ゴル……」

ゴルーグ「ゴル!?」

ドッ

恵磨『ゴッドバードが直撃だー!!』

奈緒「どうだ……!?」

シュー・・・・・・

ピジョット「ピジョー」バタンキュー

ゴルーグ「ゴル……」バタンキュー

恵磨『ああっと、ピジョット、ゴルーグ共に戦闘不能だー!!』

ワァァァァァァァァァァ

志希「おお、相討ち!」

晶葉「一見不利な状況から立て直すとは、流石ベスト8入りしたトレーナーだな」

幸子「でも、あのゴルーグの攻撃をよく耐えましたね!」

凛(……なるほど、フラフラしていると見せかけて、『フェザーダンス』を踊っていたんだね)

凛(ゴッドバードがあんなに早く発動できたのは『パワフルハーブ』を持たせてたから、か)

パワフルハーブ
持たせると1度だけ1ターン目に力をためる技をすぐに使うことができる

凛(流石だね、奈緒)

奈緒「頑張ったね、ピジョット」

きらり「ゴルーグちゃん、お疲れ様だにぃ」

きらり「奈緒ちゃん、すっごい強いねぇ! でもきらりも負けないよー☆」

きらり「ナッシーちゃん、おにゃーしゃー!」ポン

ナッシー「ナッシー」ドスン

ナッシー やしのみポケモン くさ/エスパー
実の一つ一つに顔があってそれぞれ意思を持っている
遠い地方には巨大すぎるナッシーがいるとかいないとか

奈緒「ノクタス!」ポン

ノクタス「ノクー」

ノクタス カカシぐさポケモン くさ/あく
砂漠の陽射しで水分を失わないように昼間はじっと立ち尽くしている
何千年も砂漠で暮らすうちに血液が砂と同じ成分になった

恵磨『登場したのはナッシーとノクタス! くさタイプ同士のバトルになります!』

きらり「いっくよー☆ ナッシーちゃん、エナジーボールだにぃ!」

ナッシー「ナッシー!」ボッ

奈緒「躱して!」

ノクタス「ノク!」ヒョイ

奈緒「せいちょう!」

ノクタス「ノク―」ノビノビ

恵磨『ノクタス、せいちょうで能力アップ!』

瑞樹『体長もナッシーと同じくらい大きくなったわね』

きらり「ナッシーちゃん、もっかーい!」

奈緒「よし、ふいうちだ!」

ノクタス「ノク!」

ナッシー「ナッシ!?」バシッ

恵磨『ノクタスのふいうちが決まった!』

奈緒「よし……」

奈緒「……!?」

ボッ

奈緒「危ない、ノクタス!」

ノクタス「ノック……」ドォン

瑞樹『不意を突かれても技を出してきたわね。あのナッシー、相当な実力者だわ』

未央「ナッシー、効果抜群の技を受けても全然平気そうだねー」

卯月「ノクタスも攻撃力が上がっているはずなのにね」

凛「そうだね……あの守りをどう突破するかがカギになる……」

卯月「凛ちゃん、顔が怖いよ?」

凛「……え? あ、ああ、ごめん」

未央「まあ、次に戦うのはどっちかだもん、そりゃ気になっちゃうよねー」

きらり「うにゅぅ……」

きらり「あっ!」ピカーン

きらり「ナッシーちゃん! しぜんのめぐみだにぃ☆」

ナッシー「ナッシー!」コォォ

恵磨『ナッシー、持っているきのみの力で攻撃だ!』

瑞樹『きのみの種類でタイプや威力がガラリと変わる技ね。さて、きらりちゃんが持たせていたのは……』

ノクタス「ノクッ!?」バシィッ

奈緒「なっ、ノクタス!」

恵磨『成長しているはずのノクタスが大きく吹っ飛ばされたぞ!?』

瑞樹『あれだけダメージが大きいということは、相性抜群のタイプだったのかもね』

きらり「うきゃー! ナッシーちゃんすっごーい!」ピョンピョン

奈緒「くそ……!」

卯月「あれ、いったい何のきのみだったんだろ?」

未央「しぶりんなら知ってるんじゃない?」

凛「うーん、あの緑のきのみ……遠目からだとチーゴのみっぽいけど」

凛「チーゴのみ以上に大きいね。あんなきのみ、見たことないよ」

未央「そっかあ」

きらり「ふっふっふ……」

きらり「『カムラのみ』作戦、だーいせーこーう! だにぃ☆」

カムラのみ
持たせるとピンチの時にすばやさを上げる
しぜんのめぐみのタイプ…かくとう

奈緒(くそ、けっこう痛い一撃だったな……)

奈緒(でもさっきの攻撃できのみは無くなったし、もう使ってはこないはず)

奈緒「攻めるよノクタス! ニードルアーム!」

ノクタス「ノク!」バシィ

恵磨『ノクタスの攻撃がヒット!』

ナッシー「ナシ……」ズザァ

きらり「ナッシーちゃん!」

きらり「『もっかい』しぜんのめぐみだにぃ!」

奈緒「!?」

ナッシー「ナッシー!」コォォ

恵磨『な、なんときらり選手、またしてもしぜんのめぐみで攻撃だ!』

恵磨『さきほど使われたはずのきのみがいつの間にかナッシーのもとに戻っているぞ!?』

ノクタス「ノクッ!?」

ズドォー・・・・・・ン

奈緒「! ノクタス!」

ノクタス「ノ、ノク……」バタッ

恵磨『ノクタスダウーン!!』

ワァァァァァァァァァァ

美玲「ど、どういうことだ?」

幸子「まさかきのみを2つも持っていたとか……?」

凛「いや、それはあり得ないよ」

志希「あれは『しゅうかく』って特性だねぇ」

しゅうかく
自分が使用したきのみを1/2の確率で復活させる

志希「つまり、普通なら1回限りの技を、あのナッシーは何回でも打てるってことだねぇ」

志希「ま、きのみが戻ってくればの話だけど!」ニャフフ

茜「持ち物と技のコンビネーション……あのトレーナー、只者ではないですね!」

奈緒「うー、よくもぉ……」ギリッ

奈緒「行け! ポリゴン2!」ポン

ポリゴン2「ポリー」

ポリゴン2 バーチャルポケモン ノーマル
惑星開発用のプログラムがインストールされており、宇宙でも活動できる
時々プログラムにない仕草を見せることがある

ちょっと中途半端ですが今回はここまで
きらりん語難しい……不自然な所とかあったらご指摘ください

剣盾発売しましたね
このSSにはリストラされた子達もバンバン出演する予定ですので楽しんでいただければと思います

次回は金曜です

余談ですが愛梨のパーティ解説

フワライド→ふわふわしてるイメージから
ルカリオ→チャンピオンが使ってそうな手持ち1(完全にシロナさんの影響)
フラージェス→チャンピオンが使ってそうな手持ち2
ドダイトス→相性補完がいい感じになる&愛梨も最初はかつての凛たちのようにこの子とチャンピオン目指してたんだろな…というエピソードを持たせたかった
オニゴーリ→愛梨が秋田出身で見た目がナマハゲっぽかったので選出
アバゴーラ→すぐに服を脱ぎたがる→からをやぶるを使えるポケモンを選びたかった

何気に専門タイプのない四天王って珍しいですよね

ここまで読んでいただきありがとうございました

投下します

奈緒(たしかに守りは固いけど、弱点を突いていけば!)

奈緒「シグナルビームだ!」

ポリゴン2「ポリー」ミョミョミョ

ナッシー「ナッシー!」バリバリ

恵磨『強烈な一撃がナッシーに決まった!』

きらり「ナッシーちゃん!」

ナッシー「ナ、ナッシ……」

きらり「きのみは……あるにぃ! いよーし、しぜんのめぐみだにぃ!」

ナッシー「ナッシー!」

ポリゴン2「ポリ……!」バシィ

恵磨『ナッシー、またしてもしぜんのめぐみで攻め立てます!』

瑞樹『ノクタスにもポリゴン2にも使ってきたってことは、あのきのみで放つしぜんのめぐみはおそらくかくとうタイプね』

奈緒(くっ、ポリゴン2にも相性がいいのか!)

奈緒(でもあたしのポリゴン2は『アレ』を持ってるし、まだ耐えられるはず!)

奈緒「れいとうビームだ!」

ポリゴン2「ポ……ポリ!」ビィィ

ナッシー「ナッシ!?」カチーン

きらり「あー!」

恵磨『ナッシーが氷漬けになったぞ!』

奈緒「よし! トライアタックだ!」

ポリゴン2「ポリ!」ウィィィン

恵磨『炎、雷、氷の力をまとった攻撃がナッシーに迫る!』

恵磨『しかしナッシーは凍っていて動くことができなーい!』

チュドーン

ナッシー「ナッシー……」バタンキュー

ワァァァァァァァァァァ

恵磨『ナッシー戦闘不能!』

瑞樹『凍っているところに炎の攻撃が入ったことで、いつもより威力が増していたのも大きかったわね』

奈緒「よし……!」グッ

奈緒(『しんかのきせき』、持たせておいて正解だったな)

しんかのきせき
進化前、進化途中のポケモンに持たせると防御、特殊防御が上がる

きらり「うにゅう……ナッシーちゃん、よく頑張ったにぃ」

きらり「じゃあ……きらりんの大好きな子、呼んじゃおっかな!」

きらり「きてきてー☆ ホエルオーちゃん!」ポン

ホエルオー「ホエー☆」ドッスゥゥゥン

凛「出た、ホエルオー……!」

奈緒「で、でかい……!」

奈緒「でもこれだけでかいなら、大技を打っても避けきれないはず……」

奈緒「ポリゴン2! でんじほうだ!」

ポリゴン2「ポリー!」ビリリリ

恵磨『奈緒選手、ここで大技を繰り出してきたぁ!』

ホエルオー「ホエー」バリバリバリ

瑞樹『ホエルオー、まともに喰らってしまってマヒしてしまったわ』

凛(さすがにあれだけ大きいと、相手の攻撃を躱すのも難しいか)

凛(でも逆を言えば、自分の繰り出す攻撃も当てやすいということ……)

きらり「ホエルオーちゃん、のしかかりー!」

ホエルオー「ホエー」ピョーン

恵磨『ホエルオーが飛び上がったぞ!』

奈緒「躱して!」

ポリゴン2「ポリ――」グワッ

ホエルオー「ホエー!」

ズシーン

奈緒「うわあ!?」

ポリゴン2「ポリ……」ヨロヨロ

奈緒「躱しきれなかった……なんて威力だ……!」

奈緒「でもこれでホエルオーと距離が近づいた! もう一回でんじほうだ!」

きらり「ホエルオーちゃん、飛び跳ねてー!」

奈緒「なっ!?」

ホエルオー「ホエー」バビュン

恵磨『なんと、ホエルオーが俊敏な動きで再び跳び上がったぞ!?』

瑞樹『マヒしているのにあのスピード、ということはせんせいのツメの効果ね』

せんせいのツメ
持たせると相手より先に行動できることがある

未央「あんなにおっきいのに素早く動けるなんて、何でもアリじゃない!?」

卯月「さすがきらりちゃんのエースだね」

きらり「ホエルオーちゃん、いっくよー☆」

ホエルオー「ホエ―☆」クルッ

恵磨『ホエルオー、空中でひっくり返った!?』

きらり「いっけー! しおふきだにぃー!」

ホエルオー「ホエー!!」バシャァァァ

恵磨『な、なんとホエルオー、フィールドに向けてしおふきを放ったぁぁぁ!』

恵磨『ポリゴン2に滝のような水流が降ってくるぅ!』

奈緒「う、うそ……!」

ポリゴン2「ポリ……!」

バッシャァァァ

ポリゴン2「ポリ……」バタンキュー

恵磨『ポリゴン2、ダウンー!!』

奈緒「く……」

ホエルオー「ホエー」バインバイン

きらり「ホエルオーちゃん、アクアリングではっぴはぴだにぃ☆」

ホエルオー「ホエ―☆」フォォォ

恵磨『さらにホエルオー、水のリングを身にまとったぞ!』

瑞樹『攻撃も耐久も一級品。隙が無いわね、あのホエルオー』

奈緒(くそ……あとホエルオーの弱点を突けるのは一匹だけ……)

奈緒(それにアクアリングで回復しているし、それ以上のダメージを与え続けないと突破できない)

奈緒(いけるのか……? いや、やるしかない)

奈緒「ゴチルゼル!」ポン

ゴチルゼル「ゴチー!」

ゴチルゼル てんたいポケモン エスパー
強力なサイコパワーの影響で空間がねじれ、周囲に星空を映し出す
星の場所や動きから未来の出来事を予知する

奈緒「めいそうだ!」

ゴチルゼル「ゴチー」トトトン

恵磨『ゴチルゼル、まずは能力を上げていく!』

きらり「のしかかりー!」

ホエルオー「ホエ―☆」ピョーン

奈緒「躱して!」

ゴチルゼル「ゴチ」サッ

恵磨『そして目を瞑ったままホエルオーの攻撃を躱した!』

奈緒「よし、10まんボルトだ!」

ゴチルゼル「ゴチー!」ビリリリ

ホエルオー「ホエ!?」バリバリ

きらり「うにゅー!」

恵磨『ホエルオーに電撃が決まったー!』

瑞樹『アクアリングがあるとはいえ、何発も受け続けられる威力じゃないわね』

きらり「うにゅぅ……ホエルオーちゃん!」

ホエルオー「ホ……」

ホエルオー「ホエ!?」ビリビリ

奈緒「よし、マヒしてる!」

奈緒「ゴチルゼル、追撃だ!」

ゴチルゼル「ゴチー!」

ホエルオー「ホエェ!」

未央「よっし、やっとなおっちのペースに持ち込めたね!」

凛「これだけ体力を減らせれば、しおふきも使ってこなくなるかもね」

卯月「この流れが続けばいいんだけど……」

奈緒「ゴチルゼル!」

ゴチルゼル「ゴチー!」バリバリ

きらり「……」

きらり「ホエルオーちゃん、交代だにぃ!」シュゥゥ

恵磨『きらり選手、ホエルオーを引っ込めました!』

きらり「いよーし、バクーダちゃん、よろしくおにゃーしゃー☆」ポン

バクーダ「バクー!」

バリバリ

バクーダ「バク♪」キカナーイ

恵磨『そしてバクーダが登場! ゴチルゼルの10まんボルトを受け切った!』

瑞樹『相手の一手を読んでの交代、うまくいったわね』

バクーダ ふんかポケモン ほのお/じめん
10年ごとに大噴火を起こす背中のコブは骨が形を変えたもの
怒ると灼熱のマグマを噴き上げる

きらり「バクーダちゃん! ドッカーン!!」

バクーダ「バクー!!」

ゴチルゼル「ゴチ!?」

ドッカーン

奈緒「ゴチルゼル!」

恵磨『バクーダ、最大パワーのふんかが決まったぁーー!!』

ワァァァァァァァァァァ

ゴチルゼル「ゴチ……」フラフラ

瑞樹『ゴチルゼル、追い詰められたわね』

晶葉「あのバクーダもなかなか強敵だな」

凛(奈緒の残りの手持ちはシャンデラとあと一匹か)

凛(交代してこないってことは、その一匹はもしかしてみずタイプじゃない……?)

奈緒「ゴチルゼル!」

ゴチルゼル「ゴチ……」コォォ

恵磨『ゴチルゼル、再び目を閉じたぞ! ということはめいそうか?』

瑞樹『いや、この状況でめいそうを行うとは思えないわ』

瑞樹『これは……なるほど、ね』

恵磨『??』

きらり「だいちのちからだにぃ!」

バクーダ「バク!」ボコ

ボボボォォォ

ゴチルゼル「ゴチ……!」

奈緒「……!」ギリ

ゴチルゼル「ゴチ……」バタッ

恵磨『ゴチルゼルが倒れたー!!』

ワァァァァァァァァァァ

きらり「うきゃー☆」ピョンピョン

バクーダ「バクー☆」

美玲「ああ、倒されちゃった……」

茜「これで4対2ですね……!」

凛「奈緒……!」

奈緒「……」

奈緒「まだだ……グランブル!」ポン

グランブル「グラー!」

グランブル ようせいポケモン フェアリー
発達した下顎と重たいキバが武器
しかしブルー以上に臆病で、敵に襲われると必死に手足を振って追い払おうとする

恵磨『続いて登場したのはグランブルだー!』

奈緒「グランブル、じしんだ!」

グランブル「グラー!」ゴゴゴゴ

バクーダ「バク……!」

恵磨『グランブルの大技が決まったァー!』

瑞樹『でもあまり効いていないわね……もしかしたらあのバクーダ、『ハードロック』なのかも』

ハードロック
効果抜群の技を受けたときにダメージを軽減する

きらり「バクーダちゃん、まだまだいけるにぃ?」

バクーダ「バクゥ!」

きらり「いよーし、ふんえんだにぃ!」

バクーダ「バク―!」ズドォン

グランブル「グ、グラ……!」

奈緒「グランブル……!」

凛(やっぱりみずタイプじゃなかったか)

凛(いや、あのバクーダ……みずタイプでも苦戦してたかも)

凛(奈緒も強いはずだけど、それ以上のレベルと実力がある……)

凛(見た目によらず、侮れない相手だね……)

未央「なおっち、押されてるね……」

晶葉「ここまでよく喰らいついてきたが……」

晶葉「いよいよ差が歴然としてきたな」

奈緒(グランブルのじしんでも押し切れない……!)

奈緒(シャンデラも不利な相性だし、倒せたとしてもまだホエルオーがいる)

きらり「バクーダちゃん! ふんえんだにぃ――」

奈緒(……)

きらり「あー! ちょっとタンマー!」

バク―ダ「バク?」ピタッ

恵磨『どうしたきらり選手、攻撃を中断したぞ?』

きらり「奈緒ちゃーん!」

奈緒「……」

きらり「なーおーちゃーん!!」

奈緒「……!」ハッ

きらり「奈緒ちゃん。……もしかして、諦めちゃったの?」

奈緒「う……」

きらり「……そんなことしたら……」

きらり「ポケモンちゃんが悲しむにぃ!」

奈緒「!」

きらり「きらりんはね、そりゃーもちろん勝ちたい! って気持ちはあるよぉ」

きらり「でもね」

きらり「奈緒ちゃんがそんな顔してたら、きらりんも皆もはっぴはぴにならないにぃ!」

奈緒「……!」

きらり「だから……もっと笑って! 笑ってほしいにぃ!」ニコッ



ヒュー

茜「? 何の音でしょ――」

未央「あーっ!」バッ

卯月「空から光線が!?」

凛は「あれは……」

凛「そうか、さっきゴチルゼルは……『みらいよち』を撃っていたんだ!」

バクーダ「バク!?」

ドドドド

恵磨『なんと、ここでみらいよちの攻撃が決まったぁー!!』

瑞樹『やっぱりね。さっきのゴチルゼルが去り際に残してくれた攻撃だわ』

恵磨『バクーダ、不意を突かれて大ダメージだ!』

奈緒「……! そうだ……」

奈緒「あたしが諦めてどうするんだッ!」

奈緒「ありがとうきらり……あたし、どうかしてたよ」

奈緒「誓ったんだ! 今度こそ凛を倒すって!!」

今回はここまで
次回は月曜です、読んでいただき有難うございました

投下します

奈緒「グランブル! じしんだ!!」

グランブル「グラ!」ゴゴゴゴ

きらり「奈緒ちゃん、おっけーばっちし☆ みたいだね!」

きらり「バクーダちゃん、だいちのちからだにぃ!」

バクーダ「バク!」ボボボォォォ

ズドンッ

恵磨『グランブルとバクーダ、お互いの技が交錯するー!』

美玲「どうなった……?」

シュゥゥゥ

バクーダ「バク……」バタッ

グランブル「グラー……」バタンキュー

恵磨『おおーっとこれは、この試合二度目の相討ちだー!』

ワァァァァァァァァァァ

きらり「バクーダちゃん、よく頑張ったにぃ」

奈緒「お疲れ、グランブル」

奈緒「これが最後の1匹……」

奈緒「でも勝ってみせる! いっけーシャンデラ!」ポン

シャンデラ「デラー!」

きらり「ホエルオーちゃん!」ポン

ホエルオー「ホエ―」

恵磨『両者、エースポケモン同士の激突だー!』

瑞樹『シャンデラは相性こそ不利だけど、ホエルオーはさっきのバトルで消耗しているわ』

奈緒「シャンデラ、シャドーボールだ!」

シャンデラ「デラ!」バシュゥ

きらり「ホエルオーちゃん、じゃーんぷ☆」

ホエルオー「ホエー」ピョーン

恵磨『ホエルオー、躱して再び空中に飛び出した!』

凛「またせんせいのツメが……!」

きらり「いっけぇー☆」

ホエルオー「ホエー」コォォォ

奈緒「!」

恵磨『これは……!』

凛「しおふき……じゃない!」

きらり「ハイドロポンプ、はっしゃー! だにぃ!」

ホエルオー「ホエエー!」ブシャァァァ

恵磨『またしても空中から攻撃だー!』

奈緒「さっきは反応できなかったけど!」

奈緒「シャンデラ! オーバーヒート!!」

シャンデラ「デラ!!」ゴォッ

ボボボボボッ

恵磨『シャンデラ、オーバーヒートで対抗してきたぞ!』

ドォォッ

未央「なおっち……!」

奈緒(頼む、押し切ってくれ……!)

奈緒「シャンデラァァァァ!!」

シャンデラ「デラァァァ!!」

恵磨『炎と水が激しくせめぎ合う!』

バシュゥッ

奈緒「!」

きらり「!」

恵磨『打ち破ったのは……』

恵磨『ホエルオーだぁぁぁ!!』

恵磨『ホエルオーの巨体が、水流と共に降ってくるーー!!』

凛「奈緒!」

卯月「奈緒ちゃん!」

未央「なおっちーー!!」

奈緒「……!」

ズドォー・・・・・・ン

奈緒「シャンデラ……!」

シャンデラ「デ……ラ……」

シャンデラ「デラッ……」ドサッ

恵磨『シャンデラ戦闘不能!』

恵磨『第二試合の勝者は……』

恵磨『きらり選手だぁぁーーー!!』

ワァァァァァァァァァァ

きらり「うきゃー☆ 勝ったにぃー☆」

ホエルオー「ホエ―☆」

未央「なおっち……負けちゃったかぁ」

卯月「でもいい勝負だったね! 奈緒ちゃん、あんなに強かったんだ」

晶葉「ということは、凛の次の相手はきらり、だな」

凛「うん……」

凛(きらり……強い……!)

凛(3匹も残した状態で奈緒を倒すなんて)

凛(でもこの試合できらりのクセや戦術が分かった。次の試合、しっかり対策していかないとね)

奈緒「……」

きらり「奈緒ちゃん、おっつおっつだにぃ!」

奈緒「お、おう……」

きらり「きらりんねー、とっても楽しかったにぃ!」

きらり「だって奈緒ちゃん、とってもとっても強いし……ポケモンが大好きなんだなあって、すっごい伝わってきた!」

奈緒「え……」

きらり「だからぁ、またバトルしようねぇ!」ギュッ

奈緒「あ、ああ、そうだな」

奈緒「今度は負けないからね……!」ギュッ

パチパチパチパチ

恵磨『白熱のバトルを見せてくれた二人に惜しみない拍手が送られています!』

恵磨『さあ、続いては第三試合です!』ワァァァァ



……………………


控室

杏「おおー、きらりが勝ったかぁ」

杏「ふふん、こりゃ杏も負けてられないね」

杏「相手は四天王らしいけど……カンケーないね」

杏「杏が……勝つんだからさ」


――別の控室


加蓮「奈緒……!」

奈緒「ああ、加蓮……」

奈緒「はは、コテンパンにされちゃったよ」

加蓮「奈緒……」

奈緒「あたし……」

奈緒「凛を倒すことだけを目標にして今までずっと頑張ってきた」

奈緒「でも、凛の前に倒さなきゃいけないトレーナーがいっぱいいたんだね」

奈緒「……加蓮、あたしの分まで絶対勝ってね」

加蓮「うん……!」

加蓮「あたし、奈緒の分まで頑張るから……!」グスッ

奈緒「はは、なんで泣きそうになってんだよ」クスッ

奈緒「……あたしも、こんなところで終わるつもりはないよ」

奈緒「凛にも、きらりにも勝つまでは……!」

……………………

短いですが今回はここまでです

ここで奈緒のパーティ解説
ノクタスとグランブルは奈緒のツンデレ要素から取りました
ポリゴン2はきせき持ちのポケモンを使ってみたかった
ゴチルゼルは加蓮と対になるポケモンが欲しかったんで採用しました ということは加蓮は…
そらをとぶ要因でもあるひこうタイプもピジョットなのは理由があるんですがそれはまた後のお話で

次回は金曜です、ありがとうございました

投下します
今回からのあにゃんVS杏です

遅れましたがデレマス8周年おめでとう!

ワァァァァァ

恵磨『さあ、続いては第三試合です!』

瑞樹『これもまた注目の一戦ね』

恵磨『さあ、まず入場したのは……』

恵磨『四天王が一角! のあ選手だぁぁーー!』

ワァァァァァ

のあ「……」

みく「のあにゃん、ファイトだにゃー!」

アナスタシア「ウダーチ……応援していますー」

のあ「……」キッ

茜「おお、あの方が四天王ののあさんですか!」

美玲「なんか怖そうな人だなあ」

志希「怖くないよー。ちょっと無口で無表情なだけ!」

輝子「それを怖いというのでは……」

乃々「あの……そういえば凛さんは?」

卯月「ああ、凛ちゃんはいったん宿舎に戻ったんだって」

卯月「『きらりの守りを打ち破るために研究する』って言ってたけど……未央ちゃんの試合も見ないのかなあ」

文香「……きっと凛さんなら、戻ってくるでしょう」

卯月「それもそっか」

こずえ「すぴー……」スヤァ

恵磨『対するは……』

恵磨『伝説の鳥ポケモンを従え、ここまで順調に勝ち上がってきました! 杏選手だーー!』

ワァァァァァ

杏「うう、すごい熱気だ……」

杏「いや熱気だけじゃない、相手からの圧力もすごい……無言の圧力が……」

のあ「……」

杏「ねえ、なんか喋らないのー? 応援してくれてる人いるよー」

のあ「……ええ、ちゃんと耳に入っている」

のあ「わざわざレスポンスする必要はないわ。私の為すべきことはただ一つ。目の前の壁をクリアしていくことだけなのだから」

杏「ふーん……なんかお堅い人だなあ」

のあ「……星の輝き」

杏「は?」

のあ「貴方から、観測されたわ。……今にも四天王すら越えそうな、眩い輝きが」

のあ「人には意志がある。受け継がれ、連なり続いていく、無限の意志が。それこそが、限界を超える星の輝き」

のあ「その輝きを……私に示して」

杏「は、はあ……意志ねえ」

杏「杏の意志といえば印税生活を目指して頑張ってるってことなのかなぁ」

杏「ま、いつも通りやらせてもらうよ!」

美玲「あの杏って奴、あたしらと同い年くらいなのにポケモンリーグに出てるのか。すごいなー」

卯月「み、美玲ちゃん、実はね……」

(杏の年齢を説明中……)

晶葉「人を見た目で判断してはいけない、ということだな」

恵磨『さあ、両者ともに準備ができたようです!』

恵磨『それでは第三回戦! スタートォォォ!!』

杏「いくよ、エルフーン!」ポン

エルフーン「エルー!」

エルフーン かぜかくれポケモン くさ/フェアリー
つむじ風と共に現れて民家に侵入し、部屋中を綿まみれにする
どんなに細い隙間でも風のように潜り抜けてしまう

のあ「……オンバーン」ポン

オンバーン「オンバー!」

オンバーン おんぱポケモン ひこう/ドラゴン
月明かりすらない闇夜を飛び、油断している獲物を襲う
耳から発する超音波は巨大な岩をも粉砕する

恵磨『まずはエルフーンとオンバーンが登場しました!』

瑞樹『エルフーンはフェアリータイプだから、ドラゴンタイプの多いのあちゃんのパーティーには相性が悪いわ』

瑞樹『ここは弱点を突けるオンバーンで先手を取っておきたい所ね』

杏「ふっふっふ……」

杏「このエルフーン、フトン代わりになると思って捕まえてたけど」

杏「戦ったらめっちゃ強いんだからな! まずはすりかえ!」

エルフーン「エル!」サッ

恵磨『エルフーン、目にも止まらぬスピードでオンバーンと持ち物を入れ替えました!』

瑞樹『オンバーンはオボンのみを持っていたようね。対してエルフーンが持っていたのは……』

オンバーン「オンバ……!?」ズシン

のあ「くろいてっきゅう……」

のあ「『いたずらごころ』で先制することで、枷となるはずのアイテムをオンバーンにパスさせたのね」

いたずらごころ
変化技を先制で出すことができる

のあ「それによってオンバーンの機動力を封じた、というわけ」

杏「そう。つまり、杏が一歩リードってこと!」

のあ「……」

のあ「交代よ」シュゥゥ

のあ「ドラミドロ」ポン

ドラミドロ「ドラー!」

ドラミドロ クサモドキポケモン どく/ドラゴン
海藻に紛れて獲物を待ち、金属を溶かすほどの毒液を吹きかける
ドラミドロが住む海域に迷い込んだ船は二度と生きて戻れないと言われている

恵磨『早くもオンバーンを引っ込めました!』

瑞樹『ドラミドロもまたエルフーンと相性のいいポケモンね』

のあ「ヘドロウェーブ」

ドラミドロ「ドラ!」ブシャー

杏「ふふん、エルフーンの恐ろしさはこれからだよ」

杏「みがわり!」

エルフーン「エル!」ポン

身代わり人形「」ドバァ

恵磨『エルフーン、みがわりで攻撃を躱した!』

幸子「なかなかすばしっこいですね」

晶葉「大柄なドラゴンタイプのポケモンだと、あの動きについていくのは難しそうだな」

杏「いばる!」

エルフーン「エル!」ドヤァ

ドラミドロ「ド、ドラ!!」カチーン

恵磨『ああっとドラミドロ、怒りのあまり混乱してしまったー!』

杏「ふっふっふっ、作戦通り!」

ドラミドロ「ドラー」ピヨピヨ

のあ「……見定めて、ドラミドロ」

のあ「ターゲットは目前よ」

ドラミドロ「ドラー……」バチン

恵磨『ドラミドロ、わけもわからず自分を攻撃してしまった!』

瑞樹『好き放題に弄ばれているわね』

杏「チャーンス」ニヤッ

杏「ムーンフォースだ!」

エルフーン「エルー!」

恵磨『エルフーン、ここで攻撃に転じる!』

エルフーン「エル!」パァァァァァ

ドラミドロ「ドラッ!」バシィ

晶葉「変化技で素早く有利な場を作り、相手を翻弄する。エルフーンならではの戦い方だな」

のあ「……ヘドロウェーブ」

ドラミドロ「ド……ドラ!」ブシャー

杏「無駄だよー、みがわり!」

エルフーン「エル!」ポン

恵磨『ドラミドロ、技がなかなか決まらなーい!』

杏「そしてムーンフォース!」

のあ「……ならば」

のあ「ドラミドロ、空中にヘドロウェーブ」

ドラミドロ「ド……ドラー!」ブシャー

恵磨『おおっと、空中にヘドロを噴射した!』

瑞樹『ヘドロウェーブは実は広範囲を攻撃できるのよね』

恵磨『大量のヘドロが空から降ってきます!』

杏「げげ、エルフーン!」

エルフーン「エルー……!」

ドバァッ

エルフーン「エルー……」バタンキュー

恵磨『不意を突かれたエルフーンにクリーンヒットー! 戦闘不能だぁー!!』

ワァァァァァ

みく「やったやった、のあにゃんが先制だにゃ!」

アナスタシア「マラヂェッツ……すごい、ですねー」

美玲「おー、一撃で!」

晶葉「みがわりは体力を消耗して使う技だからな。そのダメージも蓄積していたんだろう」

卯月「でも杏ちゃんには、まだあのポケモンがいるね……!」

杏「うう、杏のオフトンが……」

杏「くっそー、よくもー! やっちゃえフリーザー!」ポン

フリーザー「フリー!」バッサァ

恵磨『ここで早くもフリーザーが登場だぁ!』

瑞樹『杏ちゃんにとっては、このフリーザーでどこまで勝ち抜けるかがカギになるわね』

のあ「フリーザー……」

のあ「凍てつく程のオーラなのに、どこか耽美な所作さえ潜ませている」

のあ「……不思議な存在だわ」

のあ「ドラミドロ、交代。……オノノクス」ポン

オノノクス「オノー!」

オノノクス あごオノポケモン ドラゴン
鉄骨を切りつけても刃こぼれしない頑丈なキバを持つ
優しい性格だが縄張りを荒らす者には容赦しない

のあ「アイアンテール」

オノノクス「オノ!」シャキーン

杏「躱してふぶきー!」

フリーザー「フリー」ヒョイ

フリーザー「フリィー!」ブォォォォォ

オノノクス「オノ!?」パキパキパキ

恵磨『ふぶきが当たってしまった! オノノクスの体がみるみるうちに凍っていくー!』

オノノクス「……」カチーン

恵磨『オノノクス、氷漬けになってしまったー!』

瑞樹『凍ってしまったらもう為す術がないわね』

杏「ふっふっふっ、もうこうなったら杏のワンサイド・ゲームだよねー」

のあ「……」

のあ「甘いわ」

杏「へ?」

シュウウー……

美玲「あ、オノノクスの氷が!」

幸子「あっという間に溶けました……!」

のあ「もともと、怒り狂うオノノクスを抑制する代物だったけれど。ここで使うことになるとはね」

瑞樹『あれはラムのみね。本来はげきりんを使った後のこんらんを解除するために持たせていたのかしら』

瑞樹『あえてキーのみを選ばなかったのは、こういう不測の事態に対処できるからね。わかるわ』

のあ「アイアンテールよ」

オノノクス「オノー!」バチン

恵磨『オノノクスの反撃の一撃が決まりました!』

フリーザー「フリ……」

杏「まだまだー、もっかいふぶきだ!」

フリーザー「フリー!」

ブォォォォォォォォ

のあ「攻撃範囲は読めているわ」

オノノクス「オノー」ヒョイ

恵磨『オノノクス、少しかすったものの、何とか躱した!』

のあ「アイアンテール」

オノノクス「オノ!」

オノノクス「……オノ!?」

ピキピキ……

のあ「……なに?」

恵磨『ああっとオノノクス、僅かだが足が凍っている! 動きが止まってしまったー!』

杏「よっし、うまくいったな」

杏「じゃあトドメだー!」

フリーザー「フリー!」ブォォォォォォォ

のあ「! げきり……」

オノノクス「オノ!?」ビュオオオオ

みく「ああ、間に合わなかったにゃあ……!」

オノノクス「」カチーン

恵磨『オノノクス戦闘不能!』

ワァァァァァ

杏「少しかすった程度、なんて甘い考えだよねー」ドヤァ

のあ「……そう」

のあ「一瞬の隙も許されない、か。……ガチゴラス」ポン

ガチゴラス「ガチ!」

ガチゴラス ぼうくんポケモン いわ/ドラゴン
大アゴの力は凄まじく、自動車も簡単に噛みちぎってしまう
1億年前の世界では無敵をほこり、王様のようにふるまっていた

瑞樹『のあちゃん、本格的にフリーザーを倒しにかかったわね』

瑞樹『ガチゴラスはフリーザーの攻撃には耐えられなさそうだけど、それはフリーザーも同じ。つまりこのマッチはやるかやられるか……』

のあ「攻撃を受ける、躱す、相殺する。そんな複雑な駆け引きよりも」

のあ「ただ一瞬でいい、苦しいほどの輝きを魅せて……ガチゴラス」

のあ「もろはのずつき」

ガチゴラス「ガチー!!」

ドドドドドドドド

恵磨『ガチゴラスが物凄いスピードでフリーザーに迫っているぞ!』

杏「ラッキー、向こうから突っ込んできてくれた!」

杏「フリーザー、ふぶきで押し返せー!」

フリーザー「フリー!」

ブォォォォォォォォォォォォォォ

バチィッ!!

恵磨『ガチゴラスとふぶきが激しくせめぎ合う……!!』

卯月「うわっ……すごい衝撃」

晶葉「まさに力と力のぶつかり合いだな」

美玲「伝説ポケモンに真っ向から立ち向かうなんて、かっけぇ……!」

みく「ガチゴラスー! 押し切るにゃあー!」

フリーザー「フリ……」

杏「ぐぐぐ……」

杏「まさかフリーザーが押し切れないなんてね……!」

恵磨『両者、均衡した状態が続いていますが――』

瑞樹『いえ、僅かながらガチゴラスが押しているわ!』

ガチゴラス「ガチ……」

ガチゴラス「ガチゴォォォォ!!」ズズズズズ

フリーザー「フリ!?」

杏「うそ!?」


ズバァァァァン

恵磨『なんと、ガチゴラスがフリーザーの攻撃を押し退けたァー!!』

恵磨『なんというパワーでしょうか!!』

のあ「……」

シュウウ……

ガチゴラス「ガチ……」バタンキュー

恵磨『ガチゴラスダウーン!』

瑞樹『フリーザーは……?』

…………



バサッ


志希「へぇ……」

みく「にゃあ!?」

輝子「え、ええ……」

卯月「あの一撃を受けても、倒れないなんて……!」

杏「はー、耐えた……危なかった……」ハー

杏「我ながらフリーザーの力が恐ろしいよ……」

恵磨『なんと、フリーザーはまだ耐えていたーー!!』

瑞樹『かなり満身創痍だけどね。それにしても、ガチゴラスのあの攻撃を耐えるなんて、ね』

恵磨『オノノクス、ガチゴラスの猛攻すらも突破するフリーザー、この怪物に敵はいるのかー!?』

卯月(未央ちゃん……あんな強いポケモンに勝てるのかなあ)

卯月(いや、未央ちゃんだって、今ごろ控え室でこの試合を見ているはず)

卯月(未央ちゃんなら、きっと……)

のあ「この力……想像を遥かに越えている」

のあ「だからこそ、越えた先に何があるか、私は見たい」

今回はここまでです
次回は水曜日です、ありがとうございました

投下します

のあ「フライゴン」ポン

フライゴン「ゴーン!」

フライゴン せいれいポケモン じめん/ドラゴン
羽音が女の人の美しい歌声に似ており、砂漠の精霊と呼ばれる
ハネの羽ばたきで砂を舞い上げるため、飛んでいる時はいつも砂嵐の中

恵磨『続いて登場したのはフライゴンだ!』

みく「さすがにこのフライゴンが倒されたら、いくらのあにゃんと言えど……」アタフタ

アナスタシア「ヴィェーリチ……のあさんを、信じましょー」

みく「アーニャちゃん……うん、そうだね!」

杏「フリーザー、まだいけるよね?」

フリーザー「フリィ……!」

杏「よーし、あとちょっと頑張れば休めるからなー」

杏「ふぶき!」

のあ「躱して」

フライゴン「ゴン」サッ

のあ「すなあらしよ」

フライゴン「ゴン!」ビュォォォォ

恵磨『フィールドに砂嵐が巻き起こったー! フライゴン、この天候の中で手堅く戦うつもりでしょうか?』

瑞樹『いえ、違うわ』

恵磨『? ……これは……』

恵磨『巻き起こった砂がフライゴンの周囲を囲んで……』

ビュォォォォ

恵磨『渦のように形を為しました! フライゴン、その中心に陣取っています!』

のあ「フライゴン……別名、砂漠の精霊」

のあ「野生のフライゴンも、こうして砂の竜巻で身を隠していると聞くわ」

のあ「……ねっぷう」

フライゴン「ゴーン!」ボオオ

杏「な、何する気?」

恵磨『フライゴン、竜巻の中から炎を吐きました!』

恵磨『炎が徐々に竜巻と同化していきます……!』

ズォォォォォ

晶葉「ほう、炎の竜巻、か」

晶葉「これでフリーザーの攻撃を防ぐつもりなのだろう」

杏「……カンケーないね」

杏「ふぶき!」

フリーザー「フリィ!」ビュオォォォォ

バチンッ

恵磨『炎の竜巻がふぶきを阻みます!』

杏「うっ、フリーザーが消耗してるせいでもあるけど」

杏「思ってたより効かないなあ」

のあ「フライゴン、そのまま突撃よ」

杏「なっ!?」

フライゴン「ゴーン!」

恵磨『な、なんと、フライゴンが炎の竜巻を纏って……フリーザーに飛び込んでいきます!』

のあ「仕留める……」

フライゴン「ゴォォォン!!」ドドドドドド

杏「くっそー……」

杏「あんな攻撃、フリーザーじゃなくても耐えられなさそうだ……」

杏「仕方ない、最終手段だ! フリーザー!」

杏「ぜったいれいど!!」

フリーザー「フリー!!」パキパキパキパキ

恵磨『フリーザー、フライゴンにとてつもない冷気を浴びせるつもりだ!』

恵磨『再び2匹がぶつかります……!!』

ズドォーー……ン

……

恵磨『……これは』

フライゴン「」ピキーン

恵磨『フライゴン、竜巻ごとぜったいれいどの餌食になってしまったー!』

フリーザー「フリ……」ズゥン

恵磨『そしてフリーザーも戦闘不能ー!』

恵磨『相討ち! 相討ちでーーす!!』

ワァァァァァ

恵磨『のあ選手、3匹が倒されましたが!』

恵磨『この大会で初めて!! フリーザーを地に落としましたぁ!!!』

美玲「おお……」

乃々「なんかもう、すごすぎぃ……」

晶葉「フリーザーももちろん強かったが」

晶葉「のあのポケモンも充分に強い。四天王の名は伊達じゃないな」

杏「……あのさー」

杏「なんかフリーザーさえ倒せれば、みたいな流れになってるけど……」

杏「杏のポケモン、フリーザーだけじゃないんだからねっ! ケッキング!」ポン

ケッキング「ケッ……」グデー

ケッキング ものぐさポケモン ノーマル
1日中寝そべったまま暮らすポケモン
世界一のぐうたらだが、たまったエネルギーを一気に出すことで恐ろしいパワーを発揮する

のあ「……オンバーン」

オンバーン「オンバー!」

瑞樹『さっきとは一転して、スピードを失ったオンバーンと怠け者のケッキング……先が読めない展開ね』

幸子「あのケッキングってポケモン、戦う気はあるんですかね?」

志希「んー、あるんじゃない? 一応は」

晶葉「ケッキングは見た目こそアレだが、どの能力もずば抜けて高いポケモンだぞ」

幸子「ええ、想像できないですね……」

のあ「……手負い」

のあ「そんな状況から零れ落ちる事象だってあるわ。……エアスラッシュ」

オンバーン「オンバー!」シュッ

ケッキング「ケッ!」スパァン

杏「ケッキング、動けるー?」

ケッキング「ケッ……」

杏「ありゃ、怯んじゃったのかな」

杏「まあいいや、気長に待とうか」

のあ「……」

のあ「……エアスラッシュよ」

オンバーン「オンバー!」

ケッキング「ケッ!」スパァン

杏「……」ジーッ

のあ「……」

のあ「……なぜ指示を出さない?」

杏「え?」

のあ「まさか、フリーザーが倒されて意気消沈している、なんて言わないでしょうね」

杏「いや、そんなこと一言も言ってないし」

杏「この子はね、自分の好きな時に動きたいマイペースな子なんだよ。杏と一緒」

杏「頑張るときは頑張って、寝るときは寝る!」

杏「指示なんてあんま意味ないの。だから、こうやってのんびり待ってるってわけ」

のあ「……」

杏「ま、動き始めるまでに倒せるなら倒してみれば?」

のあ「……」キッ

のあ「……ばくおんぱよ」

オンバーン「オンバ!」ォォォォォン

ケッキング「……」

ケッキング「ケッ……」ノソッ

杏「お、やっと元気になったか」

杏「そんじゃいきますか……ギガインパクト!!」

ケッキング「ケッ!」バッ

のあ「! オンバ――」

ズガドォォォォォォン!!!

恵磨『うわあっ!?』

瑞樹『な、なんて威力……!』

恵磨『ケッキング、油断していると見せかけてギガインパクトをお見舞いしました!!』

オンバーン「オンバ……」キュゥゥゥ

恵磨『オンバーン、強烈な一撃にたまらずダウンです!』

ワァァァァァ

晶葉「あのケッキング……瞬間的な攻撃力はフリーザー以上かもな」

美玲「は、はあ!? フリーザーですらあんなに強かったのに!?」

茜「まさに底無しですね……!」

ケッキング「ケッ……」

幸子「あ、また横になりました」

杏「ふふん、やっぱ一発屋こそ最強だよねー」

のあ「……やるわね」

のあ「……先程よりも、強く輝いている。この意志の正体はいったい……?」

のあ「……いえ、今は目の前に集中するのみ」

のあ「ドラミドロ」ポン

ドラミドロ「ドラ!」

みく「の、のあにゃん、あと2匹しかいないにゃ……」

アナスタシア「ダー……でものあさん、まだ諦めていない」

みく「よーし、みく達ももっと声援を送るのにゃ! のあにゃーん!!」

杏(こんな大勢の前でのあにゃんって呼ばれるのはどんな気持ちなんだろ……)

のあ「……その拳を無力化させれば」

のあ「ドラミドロ、ねっとう」

ドラミドロ「ドラ!」ブシャー

恵磨『ドラミドロ、ねっとうを吹きかけたー!』

ケッキング「ケッ!」ジュワァァァ

恵磨『おおっと、しかもやけどさせたぞ!』

瑞樹『狙い通りにいったわね。これでのあちゃんは余裕を持てるはずだわ』

杏「ありゃー、それはちょっと痛いなぁ」

杏「熱いよね、ケッキング。おやすみー」シュゥゥ

杏「出番だよ、クレベース!」ポン

クレベース「クレ」

クレベース ひょうざんポケモン こおり
凍りついた体は鋼鉄のように硬い
立ち塞がるものを巨体で押し潰して移動する

のあ「ヘドロウェーブよ」

ドラミドロ「ドラ!」ドバババ

クレベース「クレッ!」ドバァッ

杏「こめんよクレベース、もう少し耐えて……!」

瑞樹『杏ちゃんはこおりタイプのポケモンをもう一匹持っていたのね。のあちゃん、これでより後がなくなったわね』

ドラミドロ「ドラ!」ブシャー

クレベース「クレ……」

杏「……今だ! ゆきなだれ!」

クレベース「クレ……」

クレベース「クレー!」ドドドド

ドラミドロ「ドラ!?」ズドドド

のあ「……! ドラミドロ……」

ドラミドロ「ド、ドラ……」バタンキュー

恵磨『ドラミドロ戦闘不能!』

ワァァァァァ

恵磨『なんと、のあ選手が追い詰められてしまった!』

恵磨『第一試合に続いて、この試合も四天王への下克上が達成されてしまうのかーー!!』

晶葉「おお、あの四天王を追い詰めたぞ……!」

みく「ああ、のあにゃん……!」

のあ「……最後まで引導を渡すつもりはないわ」キッ

のあ「……今度こそチャンピオンになる。なってみせる」

今回はここまでです、ありがとうございました
次は月曜です

ちなみにのあにゃんのパーティのコンセプトは「メガシンカしないドラゴン達」です

投下します

時系列が第6世代なのでZワザもダイマックスも出す予定はないです、ごめんなさい…

のあ「カイリュー」ポン

カイリュー「カイ!」

カイリュー ドラゴンポケモン ドラゴン/ひこう
立派な体格で荒れ狂う海をものともせずに自由に飛び回る海の化身
広い海のどこかにはカイリューだけが暮らす島があるらしい

恵磨『いよいよ最後の一匹、エースのカイリューだー!』

瑞樹『でもクレベースには相性が悪いわね。杏ちゃん、このまま逃げ切れるかしら?』

杏「クレベース、ジャイロボールだ!」

クレベース「クレ!」

恵磨『クレベースが高速回転してカイリューに迫り来る!』

カイリュー「カイー」サッ

のあ「手加減しないわ。だいもんじ」

カイリュー「カイ!!」ゴォォォォ

クレベース「クレ!?」ボオオ

杏「ああっクレベース!」

杏「もー! フトンだけじゃなくベッドまで奪うつもりかー!」

杏「倍返しだ、ゆきなだれー!」

クレベース「クレ!」ドドドド

恵磨『またしてもクレベースのカウンターが決まりました!』

杏「よーし、どうだ!」

カイリュー「……」パタパタ

杏「あれ、思ったより効いてないや」

杏「……ああそっか、カイリューといえば『マルチスケイル』だった」

マルチスケイル
HPが満タンのときに受けるダメージが少なくなる

のあ「カイリュー、だいもんじ」

カイリュー「カイ!」ボオオ

クレベース「クレェ!」

恵磨『お返しのだいもんじがクレベースを焼き尽くすー!』

ジュゥゥゥ

クレベース「クレ……」ドッスン

恵磨『クレベースダウン! バトルはまだまだ終わりません!!』

ワァァァァァ

みく「やったにゃ! ここからリベンジ開始だにゃー!」

アナスタシア「ダー……」

杏「うう、杏もう疲れたよ、休ませて……」

杏「カビゴン、ちゃちゃっと決めておくれー」ポン

カビゴン「カビ……」グデー

美玲「また寝てるポケモンが出てきた……」

晶葉「いや、カビゴンはああ見えて目はちゃんと開いているぞ」

志希「カビゴンかー。たしかのあにゃんのカイリューは……」

文香「……どうかしましたか?」

志希「ん? いやいや、何でもー」ニャフフ

こずえ「……?」

杏「カビゴン! のしかかり!」

カビゴン「カビー!」

カイリュー「カイー」サラッ

卯月「それにしてもカイリュー、トレーナーの指示なしに躱すなんてすごいね」

晶葉「ああ、よほどトレーナーと意思の疎通がなされているんだろう」

のあ「星の輝きが、満ち足りたわ……」

サッ

のあ「カイリュー、りゅうせいぐん」

カイリュー「カイ!」ゴォッ

恵磨『おおっと、この試合でもりゅうせいぐんが放たれようとしています!』

瑞樹『恵磨ちゃん、さすがに驚かなくなったわね』

恵磨『ええ、もう何度もこの大会で経験したんで!』グッ

カイリュー「カイ、リュー!!」

ドドドドドドドドド

カビゴン「!!」

恵磨『カビゴンに隕石が降り注ぎます!』

瑞樹『でもりゅうせいぐんは反動が強い技だわ。これで倒し切れなかったら……』

カイリュー「カイ!」パァァ

幸子「ん? カイリューが回復しました?」

志希「あれは『しろいハーブ』だねぇ」

しろいハーブ
持たせたポケモンの能力が下がった時、1度だけ元の状態に戻す

茜「ということはあのカイリューはもう一回りゅうせいぐんが放てるということですね!」

卯月「凛ちゃんのサザンドラや未央ちゃんのボーマンダと同じレベルの技を連続で繰り出すなんて……」

カビゴン「カビー」ズン

杏「カビゴン、まだまだやれるよね!」

杏「ヘビーボンバー!」

カビゴン「カビー!」ズシーン

カイリュー「カイ!」ベチャン

のあ「……退かないわ」

のあ「もう一度、りゅうせいぐん」

カイリュー「カイ!」ゴオッ

ドドドドドドドドド

カビゴン「カ、カビ……!」

志希「ありゃー、いくら特殊防御が高いカビゴンでもりゅうせいぐん二発はキツいかー」

晶葉「だがもうしろいハーブの効果は切れた。これで耐えていれば……」

カビゴン「……」ズズズ

杏「よし、よく耐えたね!」キッ

杏「星の輝きがどーとかよくわかんないけどさ」

杏「杏はバラ色の印税生活に辿り着くまでまで負けられないんだよね!」

杏「それに、約束したんだ」

杏「きらりと決勝で会うって!」

杏「いくぞ、カビゴン、渾身の――」

卯月「カビゴン、なにを繰り出してくるの……?」

杏「ねむる!!」

卯月「あれ」ズコー

カビゴン「カビ……」

スヤァ

恵磨『カビゴン、寝たーー!』

瑞樹『いえ、ただ眠っただけじゃないわ。カビゴンの体力がみるみる回復していく……!』

カビ「カビィ……」スヤスヤ

のあ「……なんてこと」

美玲「りゅうせいぐんのダメージがパーになっちまった……」

杏「んじゃ、もう終わりにしますか」

杏「四天王さん、杏に当たってしまったことが運の尽きだったね!」

杏「カビゴン!」

カビゴン「……」ムニャムニャ

カビゴン「……」ノソッ

美玲「なんだ? カビゴンが寝たまま起き上がったぞ?」

晶葉「あれは『ねごと』だな……眠ったままで攻撃するつもりだ」

カビゴン「カビー!」ズシン

カイリュー「カ、カイ!」ベチャン

恵磨『満身創痍で動けないカイリューにのしかかりが直撃ィー!』

のあ「……カイリュー……」

カイリュー「カ、カイ……!」

カイリュー「……リュー」バターン

恵磨『カイリュー戦闘不能! よってこの試合は……』

恵磨『杏選手の勝利だぁぁぁぁ!!』

ワァァァァァ

恵磨『なんという、なんという大波乱! 早くも前回大会の四天王が全滅してしまったぁぁぁーー!!』

杏「ふふん、ま、こんなもんでしょ」

みく「そ、そんにゃあ……」

アナスタシア「杏さん、スィーリヌイ……強かったです」

のあ「……やはり、本物だった」

のあ「星の輝き……しかもこの短い間にさらに強くなっていた」

のあ「……世界にも、新しい時代が来たのかもしれないわね」

のあ「今はまだ届かない……。それでも私は、手を伸ばし続けるわ」バッ

のあ「……」スタスタ



きらり「あーんずちゃん!」

きらり「あんずちゃんはやっぱすごいにぃ! 四天王さんより強かったにぃ!」

杏「ああ、ありがとー」

杏「ま、相手も強かったけどね、杏の方が一枚上手だったってことで」ドヤァ

きらり「うゆ!」

きらり「それとねそれとね、杏ちゃん……」

杏「……なに?」

きらり「杏ちゃん、さっきの試合の時……きらりんの名前、呼んでくれてたでしょ?」

杏「あ、そうだったっけ」

きらり「~~~~」ウルウル

杏「……」ギクリ

きらり「にょわぁあぁぁぁぁーーー!! 杏ちゃーーーん!!」

杏「う、うわあっ!?」

きらり「杏ちゃん、きらりんも頑張るからね~~~~!」

きらり「ぜ~~~ったい、決勝で会おうねええ!!」

杏「わ、わかった、わかったから離してよー」



未央「杏ちゃん……」

未央(フリーザーも当然強かったけど)

未央(無傷のままだったポケモンがいた状態で、四天王を退けた)

未央「フリーザーだけじゃない、か」

未央「……」

今回はここまで
のあにゃんの言葉遣いが本当に難しかった…
次回からは準々決勝第4回戦、ちゃんみおと加蓮の対決をお送りします

次回投下は金曜です、ありがとうございました

>>242
第6世代だとゲッコウガのきずなへんげでリンゲッコウガとかはなしか...

投下していきます

>>242
あれはサトシとじゃないと成立しない設定って感じなので出番はないですかね…
ただ全く出てこないのは寂しいので何とかしようと考えてる最中です

>>242じゃなかった
>>260でした

恵磨『さぁ、白熱した戦いが続いた準々決勝も最終マッチを迎えました!』

恵磨『この試合をもって、今大会のベスト4が決まります!』

瑞樹『つまり新たな四天王が生まれるってことね。楽しみだわ』

恵磨『まず入場するのは……』

恵磨『加蓮選手だーー!!』

ワァァァァァァァァァァ

加蓮「……私、ついにここまで来たんだね」キッ

加蓮「奈緒の分まで……頑張らなきゃ」

恵磨『そんな加蓮選手の相手は……』

恵磨『未央選手だぁぁーー!!』

ワァァァァァ

未央「……」ザッ

凛「ふー、間に合った……」

卯月「あ、凛ちゃん!」

晶葉「滑り込みセーフだったな。今から未央の試合だぞ」

未央「加蓮ちゃん!」

未央「何度か会ったことはあったけど、やっとバトルできるね!」

加蓮「ええ、そうね」

加蓮「あなたの強さ、凛からたくさん聞いていたよ」

加蓮「でも残念。勝つのは私なんだから!」

未央「へへっ、そうこなくっちゃね!」

恵磨『二人とも準備万端のようですね! それでは……』

恵磨『準々決勝・第4回戦、スタートォォォォ!!』

未央「いくよ、ゲンガー!」ポン

ゲンガー「ゲゲー!」

ゲンガー シャドーポケモン ゴースト/どく
山で遭難したとき、命を奪いに暗闇から現れることがあるという
部屋の隅のわずかな暗がりから獲物を狙う

加蓮「スワンナ、よろしくね」ポン

スワンナ「スワー」

スワンナ しらとりポケモン みず/ひこう
夜明けとともにスワンナたちは群れで踊りはじめる
優雅な見かけによらず、力強い羽ばたきで数千キロ飛び続けられる

凛「未央、ゲンガーなんて持ってたんだ」

凛「そういえばゲンガーってポケモン交換の時の電力で進化するんだっけ」

凛「誰かと協力して進化させたのかな……そう考えたら未央らしいね」

未央「エンジン全開! シャドーボォールッ!」

ゲンガー「ゲゲー!」ボッ

加蓮「避けて、スワンナ!」

スワンナ「スワー」ヒョイ

瑞樹『二人とも最初からとってもエネルギッシュね! 私も羨ましいわ……色々と』

恵磨『えーと、瑞樹さん?』

瑞樹『あら、ごめんなさいね』

加蓮「スワンナ、なみのり!」

スワンナ「スワー!」ザバババ

未央「うーん、これは避けれそうにないか」

未央「だったらシャドーボール!」

ゲンガー「ゲゲッ!」

バシィッ

恵磨『ゲンガー、なみのりを打ち破った!』

加蓮「やるね……!」

未央「そっちこそ!」

未央「ヘドロばくだん!」

ゲンガー「ゲゲ!」ドバァーッ

スワンナ「スワッ!」ドバァ

恵磨『まず攻撃を喰らったのは加蓮選手のスワンナだ!』

スワンナ「スワー……」ドクドク

加蓮「ああっ、毒を浴びちゃった……!」

加蓮「ここは一旦はねやすめ!」

スワンナ「スワー!」ストッ

瑞樹『加蓮ちゃん、手堅く回復してきたわね』

未央(はねやすめ……! なるほど、覚えておこう)

未央「攻めまくるよ、ゲンガー! シャドーボール!」

ゲンガー「ゲゲー!」ボッ

恵磨『回復中のスワンナにまたもダメ押しの一撃だ!』

凛「今のところ、攻撃力も機動力も未央が勝ってるね」

卯月「そうだね、このまま押し切りたいところだけど」

晶葉「はねやすめの回復量をどう克服していくかがカギだな」

未央「シャドーボール!」

加蓮「来るよスワンナ、はねやすめ!」

未央「……と見せかけて、ギガドレイン!」

ゲンガー「ゲゲー!」バリバリ

スワンナ「スワ!?」バリィッ

加蓮「うそっ!?」

瑞樹『うまいわね。恐れずダメージを与え続けて、はねやすめのタイミングを待っていたのね』

瑞樹『加蓮ちゃんとしては、はねやすめを早くに見せてしまったことが裏目に出たわね』

スワンナ「スワー……」バタッ

恵磨『スワンナダウーン! まずは未央選手が先制!!』

凛「しかもギガドレインで体力も回復できたね」

未央「よーし!」

加蓮「うう、ごめんねスワンナ……」

加蓮「サーナイト!」ポン

サーナイト「サー!」

恵磨『加蓮選手、序盤にしてエースのサーナイトが登場だ!』

加蓮「ムーンフォース!」

サーナイト「サー!」パァァァァ

未央「シャドーボールで対抗!」

ゲンガー「ゲゲー!」ボッ

バシィッ!

サーナイト「サー……」

ゲンガー「ゲゲ……」ヨロッ

恵磨『これは両者ともに痛いダメージを負ってしまった!』

瑞樹『でも防御の面ではサーナイトの方が一枚上手ね。僅かだけど、サーナイトに分があると思えるわ』

未央「ゲンガー、まだいける?」

ゲンガー「……!」キッ

未央「よーし! もっかいシャドーボールだー!」

加蓮「サイコキネシス!」

サーナイト「サー!」パッ

美玲「ああ、シャドーボールが止められた!」

加蓮「お返しよ!」

サーナイト「サー!」ズドン

ゲンガー「ゲゲー!」ズバン

未央「ああ、ゲンガー!」

ゲンガー「ゲー……」バタンキュー

恵磨『ゲンガーダウーン!! 加蓮選手、すぐさま追いつきました!!』

ワァァァァァァァァァァ

未央「くっそー、やるなー加蓮!」

未央「エース対決なら負けないよ! ジュカイン!」ポン

ジュカイン「ジュカ!」

瑞樹『未央ちゃんも早い段階でエースを出してきたわね』

未央「リーフブレード!」

加蓮「エース対決ね……」

加蓮「悪いけど、それは後でね! 交代!」シュゥゥ

未央「ありゃ?」

加蓮「ウインディ!」ポン

ウインディ「ディー!」

ウインディ でんせつポケモン ほのお
体内で燃え盛る炎をエネルギーに大地を駆ける
威風堂々とした姿は古くから人々の心を虜にしてきた

晶葉「相性のいいウインディを出してきたか」

志希「エース対決まで持ちこたえられるかなー?」ニャフフ

未央「ウインディかー、ならこっちも交代だね!」シュゥゥ

未央「いけー、トドゼルガ!」ポン

トドゼルガ「トドー!」

トドゼルガ こおりわりポケモン こおり/みず
大きなキバで氷山を砕きながら氷点下の海を泳ぎ回る
厚い脂肪は寒さだけでなく敵の攻撃もはね返す

凛「なるほど、未央の残りの2匹はトドゼルガとゲンガーか」

卯月「トドゼルガの進化前のタマザラシって、たしかレオン島の海岸に住んでいるんだって」

卯月「未央ちゃん、あんな所まで冒険していたんだね」

乃々「あ、あんな寒いところに行くとか、むーりぃ……」ガクブル

加蓮「ウインディ、フレアドライブ!」

ウインディ「ディー!」ゴォォォォォ

未央「受けきれるよね、トドゼルガ!」

トドゼルガ「トドー!」ズドン

加蓮「えっ、フレアドライブを受け止めた!?」

トドゼルガ「トド!」バシッ

ウインディ「ディー……!」ズザーッ

恵磨『トドゼルガ、『あついしぼう』でウインディの攻撃を凌いだ!』

あついしぼう
自分が受けるほのおタイプ・こおりタイプの技の威力が半減する

未央「よーし、かかったね! トドゼルガ、アンコール!」

トドゼルガ「トドー!」パチパチパチ

ウインディ「ディ!?」

恵磨『ああっと、アンコールを受けてしまいました!』

瑞樹『しばらくの間、同じ技しか出せなくなる技ね』

瑞樹『フレアドライブは相性も悪いし反動のダメージもあるし、これは痛いわね』

加蓮「くっ……交代――」

未央「させないよ、とおせんぼう!」

トドゼルガ「トド!」トーセンボー

ウインディ「ディ……!?」

恵磨『しかも交代まで防がれました!』

晶葉「あのトドゼルガ、なかなかに芸達者だな」

未央「さあ、トドゼルガともっと遊ぼうよ!」

加蓮「くぅ……!」ギリギリ

加蓮「もう許さないからね! フレアドライブ!」

ウインディ「ディー!!」ゴォォォォォ

未央「効かないよ! トドゼルガ!」

トドゼルガ「トドー」ボヨーン

未央「しおみずだー!」

トドゼルガ「トドー!」ブシュゥ

ウインディ「ディ!!」バシャァ

加蓮「ああ、ウインディ!」

卯月「加蓮ちゃん、一方的に攻撃されてるね」

凛「うん、あのトドゼルガ……かなり厄介だね」

未央「まだまだー!」

トドゼルガ「トド!」ブシュゥ

加蓮「ウインディ、躱して!」

ウインディ「ディ……」ヨロッ

加蓮「! 傷口が沁みて……!」

ウインディ「ディー!」バシャァ

恵磨『加蓮選手、依然不利な状況が続いています!』

ウインディ「……ディ?」パチッ

加蓮「よし、アンコールの効果が切れた!」

加蓮「かみなりのキバ!」

ウインディ「ディー!」バリバリ

トドゼルガ「トド!?」ガブー

幸子「おおっ、反撃開始ですね!」

未央「うーん、アンコールが切れるの、思ったより早かったなー」

未央「トドゼルガ、しおみず!」

トドゼルガ「ト、トド……」ビリビリ

未央「ありゃ!?」

加蓮「よし、マヒさせた!」

加蓮「お返しだよ! きしかいせい!!」

ウインディ「ディー……」コォォォォ

ウインディ「ディー!」バシーン

トドゼルガ「トド!」

未央「ト、トドゼルガ!」

トドゼルガ「トドー」バタンキュー

恵磨『トドゼルガ、きしかいせいの一発でダウンです!』

瑞樹『きしかいせいは体力が少ないほど威力の上がる技ね』

瑞樹『未央ちゃんもまさかこの攻撃が来るとは思っていなかったでしょう』

未央「ああー、こりゃ一本取られちゃったなあ」

未央「でもまだまだ! エレザード!」ポン

エレザード「エレー!」

加蓮「でんき・ノーマルタイプなら、もう一度きしかいせいで!」

未央「そうはいかないよ! エレザード、そうでん!」

エレザード「エレ!」バリッ

ウインディ「ディ!?」バリバリ

バシーン

エレザード「エレ!」ズザッ

加蓮「な、効果抜群のはずなのに!?」

未央「ふっふっふ、そうでんを受けたポケモンの技はぜーんぶでんきタイプになってしまうのだ!」

未央「そしてかみなりでお仕舞いだー!」

エレザード「エレー!!」バリバリ

ウインディ「ディー!!」

ウインディ「ディ……」ズシン

恵磨『ウインディ、戦闘不能です!』

ワァァァァァァァ

加蓮「やってくれたね……! エビワラー!」ポン

エビワラー「エビ!」シュタッ

エビワラー パンチポケモン かくとう
プロボクサーの魂が乗り移っているポケモン
腕をねじりながら繰り出すパンチはコンクリートも粉砕する

今回はここまで
次回は1週間後です、ありがとうございました


投下します

未央「お、エビワラーか! ということは――」

カタカタ

未央「……うん、そうだよね!」

加蓮「エビワラー、じならし!」

未央「の前に交代だー!」シュゥゥン

未央「カポエラー!」ポン

カポエラー「カポ!」

カポエラー「……カポッ」グラッ

恵磨『交代で出てきたカポエラーにじならしがヒット! 足元を掬われました!』

晶葉「なるほど、エビワラーにカポエラー、どちらもバルキーから進化したポケモンだな」

卯月「未央ちゃん、相性のいいボーマンダは出してこなかったね」

凛「うん。未央のことだから、相性よりもカポエラーの意思を尊重したんだね」

エビワラー「……」キッ

加蓮「うん、気持ちはすごく分かるよ、エビワラー」

加蓮「信じてる……!」

カポエラー「……」キッ

未央「やっちゃえカポエラー! まわしげり!」

加蓮「スカイアッパー!」

カポエラー「カポー!」

エビワラー「エビー!」

ズバンッ

恵磨『両者、同時に動き出しました!』

瑞樹『威力はどちらも互角ね……!』

未央「もう一回まわしげりー!」

加蓮「エビワラー、みきり!」

エビワラー「エビ」キラーン

カポエラー「カポッ!?」スカッ

加蓮「よし、スカイアッパー!」

エビワラー「エビー!」ズガン

未央「カポエラー!」

カポエラー「カポー……」ズザザ

未央「よし、まだまだ!」

加蓮「何度来ても同じだよ! みきり!」

未央「フェイント!」

カポエラー「カポ!」ヨロッ

カポエラー「カポー!」バシー

エビワラー「エビッ!?」

未央「よし、まわしげり!」

加蓮「くっ、スカイアッパー!」

バシンッ バシンッ

美玲「おおー……!」

輝子「フヒ……どっちもヒャッハーしてるな……」

凛「意地と意地の張り合いだね」

凛(まゆと戦ったときの私もあんな感じだったんだろうか)

凛(……そういえば蘭子もイーブイの進化系を持っているって言ってたな)

カポエラー「カポー……」ゼーゼー

エビワラー「エビ……」ゼーゼー

加蓮「次が、最後の攻撃……」

未央「だね! カポエラー、まわしげり!」

加蓮「エビワラー、スカイアッパー!」

カポエラー「カポー!!」グルグル

エビワラー「エビー!!」ドドドド

ドガァッ!!

加蓮「エビワラー……!」

エビワラー「エビ……」

エビワラー「……!」バタッ

カポエラー「カポ……」ヨロヨロ

恵磨『先にダウンしたのはエビワラーだーー! 激しい攻防はカポエラーが制しました!!』

ワァァァァァァァ

未央「よし、頑張ったね、カポエラー!」

未央「とはいえもう戦えないか……戻って!」

加蓮「さすがだね、未央」

加蓮「お願い、ランクルス!」ポン

ランクルス「クルー!」

ランクルス ぞうふくポケモン エスパー
特殊な液体で作られた腕は岩を握りつぶす
仲間同士で握手するとサイコパワーが増幅する

未央「エレザード!」ポン

エレザード「エレー!」

未央「ランクルス……特殊防御が高そうだけど」

未央「攻める! かみなり!」

加蓮「ランクルス、本気でいくよ! きあいだま!」

ランクルス「クルー!」バシュッ

未央「! 避けて!」

ランクルス「クルー!!」

エレザード「エレ!?」ドゴォッ

恵磨『あーっと、きあいだまがクリーンヒット!』

瑞樹『ランクルスは『いのちのたま』を持っているわね』

瑞樹『あの攻撃力、大会でもトップクラスかも』

いのちのたま
持たせると攻撃するたび体力が減るが、技の威力が上がる

未央「避けきれないなら……エレザード! かみなり!」

エレザード「エレー!」バリバリ

ランクルス「クルー!」ドォォォォォン

未央(うん、見た目通りそんなに素早くないみたいだ)

未央(ここはエレザードのスピードで翻弄する!)

加蓮「サイコキネシス!」

未央「エレザード、躱して!」

エレザード「エレ!」ヒョイ

未央「当たらなきゃどうってことないね! かみなり!」

エレザード「エレー!」バリバリ

ランクルス「クルー……!」

加蓮「きあいだま!」

未央「躱して!」

エレザード「エレー」ヒョイ

未央(かみなりもたくさん撃ったし、エレザードの動きも鈍くなってきた)

未央(なら……)

未央「エレザード、上に跳んで!」

エレザード「エレー!」ヒョーイ

恵磨『エレザード、ランクルスの頭上に回った!』

未央(きっとエレザードでランクルスを突破するのは難しいから……)

未央「ドラゴンテール!」

加蓮「チャンス、きあいだま!」

ランクルス「クルー!!」バシュゥ

ランクルス「クルッ……」ドッ

エレザード「エレー…!」ズドォン

恵磨『お互いに技がヒットしました!』

エレザード「エレー」バタンキュー

ランクルス「クルー……!」シュゥゥン

恵磨『エレザードダウン! そしてランクルスはボールに戻っていきました!』

瑞樹『土壇場で相手を強制的に交代させるドラゴンテールを当てられたわね』

卯月「二人ともいい勝負だね」

凛「うん、でも」

凛「未央の方が余裕があるように見えるね」

未央「……」

未央(加蓮が次に出してくるのはサーナイトかもう一匹のポケモン)

未央(でもさっき言ったみたいにエース対決を望んでいるなら、サーナイトはまだ温存してくるはず)

未央(ここはボーマンダがベターかな…?)

未央「ボーマンダ!」ポン

ボーマンダ「ボー!」

加蓮「デンリュウ!」ポン

デンリュウ「デーン!」

デンリュウ ライトポケモン でんき
明るく輝くシッポは船乗りたちの道しるべ
遠い地方には灯台の灯りを灯し続けるデンリュウがいるらしい

未央(デンリュウかあ。『せいでんき』があるしドラゴンクローで攻めるのは怖いかも……)

未央「――いいや、ビビるのはちゃんみおらしくないねっ! ドラゴンクロー!」

ボーマンダ「ボー!」ズバッ

恵磨『まずはボーマンダが素早く先制!』

加蓮「デンリュウ、りゅうのはどう!」

デンリュウ「デーン!」バババ

未央「躱して!」

ボーマンダ「ボー!」サッ

未央「ふー危ない危ない……」

加蓮「パワージェム!」

未央「おっとボーマンダ! ストーンエッジだよ!」

ボーマンダ「ボー!」ドゴォッ

恵磨『ボーマンダ、目の前にストーンエッジを撃つことで岩の壁を作りました!』

瑞樹『相手の攻撃を防ぐだけじゃなく、相殺したときの目眩ませにも使うつもりね。うまいわ』

シューー……

バシュッ

未央「ボーマンダ! かみなりのキバ!」

ボーマンダ「ボー!」

デンリュウ「デ、デーン!」ガブー

美玲「え、ここででんき技かよ!?」

乃々「な、なんで……?」

志希「まーまー、見てればわかるって♪」

加蓮「その程度の攻撃で……デンリュウ!」

デンリュウ「デ、デン!?」ビクゥ

加蓮「な、怯んでる!?」

未央「隙ありー! ボーマンダ、ドラゴンクロー!」

ボーマンダ「ボー!!」

加蓮「デンリュウ、かみなり!」

デンリュウ「デーン!」ズバッ

ボーマンダ「ボー!」バリバリバリ

デンリュウ「デ……デーン」バタンキュー

恵磨『デンリュウダウーーン!!』

瑞樹『急所に当たったみたいね。加蓮ちゃん、これは想定外のダメージだったんじゃないかしら』

未央(よし、りゅうせいぐんを温存できた! これでランクルスも突破できれば……)

加蓮(くっ……追い詰められてきた……!)

加蓮(ううん、でもまだ勝機はある)

加蓮(絶対に勝つ。勝って……凛のところへ行くんだ)

加蓮「サーナイト!」ポン

サーナイト「サナ!」

未央「へっ!?」

未央「ってそりゃそうか、相性いいからそりゃサーナイト出してくるよね」

未央「あちゃー……りゅうせいぐん、出し惜しみしちゃったなあ……」

未央「ま、仕方ないよね! ボーマンダ、戻って!」シュゥゥ

未央「エースにはエースだ、ジュカイン!」ポン

ジュカイン「ジュカ!」

瑞樹『ここで改めてのエース対決ね』

未央(ここは様子見で……)

未央「ジュカイン、リーフブレード!」

ジュカイン「ジュカ!」

加蓮「リフレクター!」

サーナイト「サー!」パァァァ

ジュカイン「ジュカッ!」ガキッ

茜「手堅く守りを固めてきましたね!」

卯月「リーフブレード以上に有効な技がなかったら、未央が一気に不利になっちゃうね」

凛「いや……未央はまだ何か隠し持ってる」

志希「そうだよねー、ジョーカーは出すタイミングが大事だもんねー」ニャフフ

未央(ジュカインがサーナイトに有効な技はアイアンテールだけ)

未央(でもいきなりアイアンテールを見せちゃうと向こうも警戒してくるだろうし、ここは様子見していて正解だった)

未央(加蓮はその場凌ぎで動くタイプっぽいから、油断させて一撃で決める!)

未央「ジュカイン、リフレクターが切れるまで粘るよ!」

未央「リーフブレード!」

加蓮「ムーンフォース!」

ジュカイン「ジュカ!」ガキッ

サーナイト「サナー!」パァァァ

ジュカイン「ジュカ!!」ビビビ

加蓮「よし!」

未央「くっ……これは避け続けた方がいいかも」

未央「ジュカイン、とにかく走り回るよ!」

ジュカイン「ジュカ!」ダッ

恵磨『ジュカイン、フィールド外周をグルグルと回っています!』

加蓮「サーナイト! よく狙って!」

サーナイト「サナー……」パァァァ

加蓮「ムーンフォース!」

未央「ジュカイン、回れ右!」

ジュカイン「ジュカ!」クルー

スカッ

加蓮「あーもう、ちょこまかとー!」

加蓮「サイコキネシス!」

未央「リーフブレード!」

ジュカイン「ジュカ!」バシィ

恵磨『未央選手、的確な指示で攻撃を躱し続けています!』

加蓮「やっぱり、リフレクターが切れる瞬間を待ってるみたいだね……」

加蓮(それでも、ダメージは積もっていってるはず。ジリ貧だけどこのまま攻め続ければ……!)

パッ

卯月「リフレクターが切れた……!」

未央「今だ! ジュカイン!」

ジュカイン「ジュカ!」

加蓮「やっぱりね! リフレク――」

未央「アイアンテール!」

ジュカイン「ジュカ!」シャキーン

サーナイト「サナ!!」バシィン

加蓮「なっ!?」

幸子「おお、ジュカインってあんなに早く動けたんですか!?」

晶葉「いや、あれがジュカインの本来のスピードだ」

美玲「ええっ? ってことは、さっきまでずっと手加減しながら走り回ってたのか?」

凛「そういうことだね」

凛「私たちは今まで外周を走り回っていたジュカインが、勝手に最高速度で動いていると思い込んでいたんだ」

志希「ニャフフ、錯覚ってやつだねぇ」

サーナイト「サナー……!」ズザーッ

加蓮「そんな、サーナイト……!」

恵磨『サーナイト、万事休すか!?』

未央「よし、トドメだよジュカイン!」

加蓮「……」

加蓮「ごめんね、サーナイト」


加蓮「いやしのねがい!!」


サーナイト「サナ……」

サーナイト「サナー――」パァァァ

未央「へ!?」

恵磨『おっと!?』

サーナイト「……」パタリ

恵磨『サーナイトが自らの技で力尽きてしまった!?』

加蓮「ただ倒れたんじゃないよ……サーナイトは未来に託してくれた」

加蓮「だから絶対に、最後まで諦めない……!」

加蓮「勝つのは私なんだから!!」

今回はここまで
次回は火曜日です、ちゃんみおVS加蓮も決着させます

投下します

加蓮「頑張って、ランクルス!」ポン

ランクルス「クルー!」

キラキラ

恵磨『こ、これは! いやしのねがいの効果で、ランクルスの体力がみるみる回復していく!』

未央「なっ……」

凛(加蓮は多分これを使うのを待っていたんだろうね)

凛(ボーマンダに対してサーナイトを出したのはもちろん相性もあるけど、次に出るランクルスを万全の状態で送り出すため)

凛(サーナイトがエースとは言いつつも、最初からランクルスに託すつもりだったんだ)

加蓮「ランクルス! サイコキネシス!」

ランクルス「クルー!!」

未央「来るよジュカイン、躱して!」

加蓮「ジュカインのトップスピードは読めてるよ!」

ランクルス「クルー!」

ジュカイン「ジュカッ!」バシィン

恵磨『サイコキネシスがヒット! しかもいのちのたまで強化されています!』

恵磨『加蓮選手、まだまだ諦めません!!』

瑞樹『手持ちの数だと差があるように見えるけど、未央ちゃんは3匹とも既に手負いね』

瑞樹『それにランクルスのあの火力だと、持ちこたえ続けるのは厳しそうだわ』

未央「くっ……」

未央(お願いジュカイン……もう少し耐えて……!)

ジュカイン「ジュカ……」ヨロッ

加蓮「あたしは――」

加蓮「あたし達はこんなところで終わらない!」

ランクルス「クルゥゥゥ!!」

未央「……へへっ」

未央「それはちゃんみおだって同じだぁーー!!」

未央「今だジュカイン! 最大パワーで、ハードプラント!!」

ジュカイン「ジュカ……」

ジュカイン「ジュカァァァァ!!」

加蓮「ランクルス!」

ランクルス「クル――」

ドドドドドドドドドドドド

恵磨『こ、これは!』

恵磨『ものすごい威力のハードプラントがランクルスを襲うーーー!!』

凛「あれが……ジュカインの究極技……」

卯月「すごい……バトルライブで見たとき以上だ……!」

シュゥゥ

加蓮「! ラ、ランクルス……!」

ランクルス「クルー……」バタンキュー

恵磨『ランクルス戦闘不能!』

恵磨『最後にベスト4入りを決めたのは……未央選手だぁぁぁーーー!!!』

ワァァァァァァァァァァ

卯月「未央ちゃん!」

凛「うん、さすがだね」

凛(あのパワーの源、きっと『しんりょく』の効果もあっただろうけど)

凛(未央はそれに加えて『ヤタピのみ』を持たせていたんだね)

ヤタピのみ
ピンチになると特殊攻撃の威力が上がる

凛(たまたま未央にあげていたきのみ、上手く使えたみたいだね)

加蓮「……」

未央「ふー。加蓮、すごく強かったね!」

未央「まさかちゃんみおがあんなに苦戦するとは――」

加蓮「……」クルッ

加蓮「……」スタスタ

未央「あ、あれー。加蓮ー?」

未央「拗ねちゃったのかなぁ」

恵磨『今一度、白熱のバトルを見せてくれた準々決勝出場者8名に、大きな拍手をお送りください!!』

パチパチパチパチ

恵磨『さあ、瑞樹さん! これで今大会のベスト4、つまり今年の四天王候補が出揃いましたね!』

瑞樹『ええ。あとはチャンピオンの蘭子ちゃん次第ね』

瑞樹『今年は全員が初出場……時代の移り変わりを感じるわね。さて、チャンピオンへの切符を掴むのは誰かしら?』

恵磨『これにて準々決勝が終わりました! 明後日からはいよいよ準決勝となります!!』

ワァァァァァァァァァァ

幸子「はあー、これでもまだ準々決勝なんですか」

志希「そうだよー、これからもっとすごい勝負を見せてくれるんだよ! 主に凛ちゃんが!」

晶葉「やめんか」

美玲「ポケモンリーグってすげえな! うちもいつかは……」

文香「……とても、心が揺さぶられる一戦ばかりでした」

こずえ「……うん、すごかったー」

晶葉「準決勝の組み合わせは――」

晶葉「凛ときらり、そして杏と未央の対戦か」

卯月「まずは凛ちゃんだね! 頑張って!」

茜「私も応援していますぞ!」

乃々「も、もりくぼも応援してます……」

凛「うん、ありがとう。……」

凛(……)クルッ

凛(加蓮……大丈夫かな?)



その日の夜 宿舎

凛(……ここかな)

コンコン

??「はい」

凛「凛だよ。入っていい?」

??「ああ、凛か……いいよ」

凛「それじゃ」

カチャ

凛「お邪魔します」

奈緒「おう」

奈緒「何というか……お疲れ」

加蓮「凛……」

凛「何だ、加蓮もいたんだ」

加蓮「うん、ちょっと眠れなくて、ね」

奈緒「そうそう。二人でポテト食ってたんだ」

奈緒「凛もどうだ? コンソメとチーズがあるけど」

凛「いや、私はいいよ」

奈緒「そっか。それで、こんな夜中にどうしたんだ?」

凛「試合が終わってから話しかけられなかったからね。一声かけたいなって思って」

凛「……奈緒も加蓮も、すごく強かった。本当にここまで急ピッチで来たのかって思うぐらい」

奈緒「へへ、いーよ、そういうフォローは。何か照れ臭いし」

奈緒「あーあ、凛ともう一回戦いたかったなぁ」

奈緒「……なんて」

加蓮「あたしも」

加蓮「凛のこと、追いかけてばかりだった。今度こそ追い抜いてやろうと思ったのに」

加蓮「追い抜くどころか、どんどん差を付けられちゃったね」

凛「ううん、そんなことないよ」

凛「今日、二人の試合を見て思ったんだ」

凛「二人とも、この先もっともっと強くなるって気がした」

凛「二人とも負けず嫌いじゃん。だから、その……心配になって」

奈緒「なーんだ、そんなことか!」

凛「?」

奈緒「そういうことならちょーっと来るのが遅かったなあ。もう少し早くに来てれば加蓮の泣きじゃくる姿が見れたのに」

加蓮「ちょっと、奈緒ッ!」カァッ

凛(……本当だ。加蓮は若干目が赤い)

奈緒「あたしたちだって……本当は死ぬほど悔しいよ」

奈緒「でも、きっと凛も、こんなに悔しい思いを何度も経験して、それでもずっと立ち上がり続けてきたと思うんだ」

加蓮「まあ、実際に苦労してきたかどうかは見たことないからわかんないけどね」

加蓮「あたしも奈緒も、凛を倒すって目標に目が行き過ぎて、目の前のことが疎かになってたのかも」

加蓮「だから、負けはしたけど、いい経験になったな、って、今は思える」

凛「……そう」

凛「ふふっ、じゃあ大丈夫そうだね。お節介だったかな」

加蓮「ええ、それはもう!」

奈緒「ったく、素直じゃないんだから……」

奈緒「ありがとな、凛」

凛「ううん、どういたしまして」

奈緒「あたしの分まで、きらりに勝ってくれよな!」

加蓮「あたしたちも応援しに行くから!」

凛「うん。……頑張るよ」

凛「じゃあ、夜遅くにごめんね。おやすみ」

奈緒「おう、おやすみー」

加蓮「おやすみー」

ガチャン


奈緒「……行ったかな」

奈緒「……」

奈緒「……ちくしょう」グスン

奈緒「……泣かないって、決めてたのに……」

加蓮「奈緒……」

奈緒「……はは」

奈緒「本当に……お節介な奴だぜ……」グスッグスッ

奈緒「加蓮……」ポロポロ

加蓮「奈緒……ね、あたしも、今は泣いていい?」グスッ

加蓮「見せない涙があっても……いいよね……」

今回はここまで
いよいよ準決勝出場者が揃いました

次回は週末に超ショートなサイドストーリーをお送りして年内最後の投下とさせていただきます
年明けからは準決勝です

読んでいただき有難うございました、よいクリスマスを

投下していきます

みんな大好きあの中二病コンビが登場です

サイドストーリー「双翼の覇王妃」



少し前……

日菜子『しかし……蘭子ちゃんがこの街に来ているとは思いませんでした。いったいどうして?』

蘭子『頂点に立ちし後より、私は再びこの母なる大地を巡り、魔力を蓄えていたのだ。この街を訪れたのは、運命の女神の悪戯か……』


……………中略……………


蘭子「クク……いつか汝と相対すその刻が待ち遠しいわ……!」

蘭子「では、闇に飲まれよ!」バッ


ミズタニやま 頂上


リザードン「リザー」バサッ

蘭子「感謝する、我が相棒よ」スタッ

蘭子「さて……」

蘭子「相変わらず視界が悪いな、ここは」

ヒュォォ

蘭子「我が友、飛鳥よ。久しいな」

飛鳥「おっと……誰かと思えば。青天の霹靂、だな」

飛鳥「久しぶりだな、蘭子。たしか……ポケモンリーグに挑む直前、以来だったか」

蘭子「ええ、そうね」

蘭子「気高き魂が集うあの場所で、私は頂点の玉座に辿り着いたわ」
  (私ね、チャンピオンになったの!)

飛鳥「……! そうか、あの蘭子が……」

飛鳥「遂に黄金の冠を手にしたんだな」

蘭子「い、いやあー、黄金の冠なんて、そんなぁー」

蘭子「っていけないいけない」

飛鳥「わざわざボクに報せを届けに来てくれたんだね、感謝するよ」

飛鳥「でも、こんな辺鄙な所を訪ねて来たんだ、目的はそれだけじゃないだろう?」

蘭子「ええ、さすがは我が友。瞳の奥の意思までも見通すか」
  (飛鳥ちゃんは何でもお見通しね!)

蘭子「飛鳥……頂点に立ちし後より、我は再びこの母なる大地を巡り、魔力を蓄えている最中だ」

蘭子「そこで」

蘭子「今一度、頂点を極めし王者として、貴方に決闘を申し出る!」ババァン

飛鳥「……!」

飛鳥「……ふっ、いいだろう」

飛鳥「ボクも心のどこかで、いつか再びキミと戦える日を心待ちにしていたんだ」

飛鳥「ただし、過去のボクを現在のボクに投影しないことだね」

飛鳥「例え蘭子であれ、容赦はしない!」

蘭子「あーはっはっは! ええ、その意気よ!」

飛鳥(蘭子から放たれるオーラが、一段と強くなっている)

飛鳥(会っていない期間は短かったはず。きっとその間に、数えきれないほどの死線をくぐり抜けてきたんだろう)

飛鳥(ふっ、それでこそ! このボクが相手するに相応しい!)

飛鳥「お互いに手札は一枚ずつ。もちろんそれはエースであるべきだ、そうだろう?」

蘭子「ええ、そうね!」

蘭子「ではゆくぞ! 我が紅の翼竜よ!」ポン
  (いけー! リザードン!)

リザードン「リザー!」

飛鳥「大地を駆け巡れ! コバルオン!」ポン

コバルオン「コバー!」ズシン

蘭子(玉鋼の聖剣士……! 一度ならず二度までも、我が翼竜を地に落とした英傑)
  (コバルオン……! とても強いポケモンだわ)

蘭子(相手にとって不足はない……!)

蘭子「魂が猛る……!」

蘭子「灼熱の吐息だ!」
  (だいもんじよ!)

リザードン「リザー!」ボオーッ

飛鳥「ふっ、相変わらず、ボクまで焼き尽くしそうな業火だ」

飛鳥「だが……荒れ狂う岩窟よ、炎を鎮めろ! ストーンエッジ!!」

コバルオン「コバ!」ドドドド

バシィッ!

蘭子「ふむ、ならば!」

蘭子「羽ばたけ!」
  (エアスラッシュ!)

リザードン「リザ!」ヒュゥゥゥゥ

飛鳥「ほう、羽ばたくだけで刃を起こせるようになっているとは」

飛鳥「空気の奔流をも味方につけるなんてね。流石だよ、蘭子」

飛鳥「だが……」

飛鳥「コバルオン、切り裂け!」

コバルオン「コバ!」スパーン

蘭子「なっ、空気の刃が……!」

飛鳥「ボクの剣は例えるならエクスカリバー。ふふ、この世に切れないものなどないさ。……なんてね」

飛鳥「チャンピオンなんて地位も名誉も、結局は足枷だ」

飛鳥「この地の誰もがチャンピオンという偶像を目指す、なんてセオリーにはボクは従いたいと思えなかった」

飛鳥「それに限界なんて知りたくなかったからね」

飛鳥「だけどキミはそれでもポケモンリーグを目指した」

飛鳥「蘭子、たしかにキミはこの地を制覇して、夢に見た偶像に手が届いたんだろう」

飛鳥「だけど蘭子、知っているかい? この地には、ポケモンリーグすら見下ろすことができる場所があるということを」

蘭子「なるほどね……それがこのサンクチュアリ……!」
         (それがこのミズタニ山の頂……!)

飛鳥「未だ限界の限界を夢見る未完成なボクと、チャンピオンという一種の完成形に為ったキミ」

飛鳥「そんな二人が交わったら……XとYの間には、何が生まれるんだろうね」

飛鳥「コバルオン! せいなるつるぎだ!」

コバルオン「コバ!」シャキーン

蘭子「応戦せよ!」

リザードン「リザー!」ボオオオ

飛鳥「突っ切れ!」

コバルオン「コバ!」

ドドドド

コバルオン「コバァ!」シャキーン

蘭子「なっ、吐息もを真っ二つに!?」

蘭子「その切れ味、オーディーンが如く……ね」
  (コバルオンの剣はやっぱりすごいわ!)

蘭子「相棒よ!」

リザードン「リザ!」バサーッ

飛鳥「消えた……?」

スーッ……

飛鳥「くっ、霧が……まるでここでの争いを拒んでいるかのようだ」

蘭子「さあ、いくわよ!」

蘭子「闇をも切り裂く破弾よ……聖剣を退けよ!」
  (きあいだまです!)

リザードン「リザー!」

飛鳥「!? どこから来る!?」キョロキョロ

飛鳥「……」

飛鳥「……! 正面か! コバルオン!」

リザードン「リザー!」バシュゥ

コバルオン「コバ!!」ドゴォッ

蘭子「ククク、見えているものこそ見えなくなる、これが決闘の恐ろしいところよ」
  (まさか正面から来るとは思っていなかったでしょ?)

蘭子「しかしそれでも相討ちに持ち込んだか……」

蘭子「やはり貴方は我が片翼を担うに相応しいわ!」

シュー・・・・・・

バッ

蘭子「なにっ!?」

リザードン「リザァッ!?」ドガァ

飛鳥「ふっ、痛いだろう?」

飛鳥「これはメタルバースト……言うなれば聖剣士からのギフト、だね」

飛鳥「追撃だ、コバルオン!」

コバルオン「コバ!」シャキーン

飛鳥「せいなるつるぎ!」

蘭子「灼熱の吐息よ!」

リザードン「リザ!」

ドゴォォッ

蘭子「互角……!」

飛鳥「ならば、勝負を決めるのは!」

蘭子「ええ、そうね……!」

飛鳥「どちらの魂が気高いか……競い合おうじゃないか!」

蘭子「聖剣士よ、我が魔力の前に跪け!」
  (これでトドメです!)

飛鳥「せいなるつるぎ!」

蘭子「紅蓮の神風よ! すべてを無に帰せ!」
  (ブラストバーン!)

コバルオン「コバァァァ!!」ズバァッ

リザードン「リザァァァ!!」グォォォ

カッ

ズドォォォォ・・・・・・ン



…………………………


飛鳥「蘭子」

蘭子「なんだ?」

飛鳥「何故人は、ポケモンを手にし、自ら争いに身を投じてゆくのだろう」

飛鳥「そもそも、ポケモン同士を戦わせる、なんてゲームを生み出したのは誰なんだろう」

飛鳥「ポケモンマスター、なんてよく言ったものだ」

飛鳥「皆が口を揃えて言うポケモンマスターとは何者なのか? セカイの何処に存在するのか?」

飛鳥「もしくは幻想の果てにすら存在しないオーパーツなのか?」

飛鳥「いつまでも偶像に縋ろうとする心理が、ボクにはわからないよ」

蘭子「……なぜその疑問を我に?」

飛鳥「ポケモンリーグというセカイを観察した蘭子なら、何か掴んだものがあるんじゃないかと思ってね」

飛鳥「どうだろう」

蘭子「ふむ……」

蘭子「我とて、万物を理解したわけではないからな」

蘭子「結論から言えば、気高き魂たちと争った後も、我にはその答えは知り得られなかった」
   (ポケモンリーグに行ってもわからなかったわ)

蘭子「しかし……」

蘭子「それが何なのかわかっていれば、我らはここには存在していないのではないか?」

飛鳥「……!」

蘭子「飛鳥が言うように、ポケモンマスターなんてこの世に存在しないのかもしれない」

蘭子「だけど、それでも我々は真理を追い求める。不確かなまま……ね」

蘭子「いつの時代も、そうやって幾つもの輪廻が廻ってきているのだと思うわ」

飛鳥「……ふっ」

飛鳥「皮肉なものだ。曖昧な存在のために存在する、とはな」

飛鳥「だが、それもまたボクらの性、というわけか」

飛鳥「ふふ。キミに相談して正解だったよ、蘭子」

蘭子「どうということはない。クックック……」

蘭子「そういえば先刻、特異な瞳を持つ者に出会ったわ」
  (そういえばこの前、すごいトレーナーに会ったの!)

飛鳥「特異な瞳……?」

蘭子「ええ。……とても強い眼差し、そして無限の可能性を秘めていたわ」

蘭子「あの者、いずれは貴方と邂逅することになるのかも」
  (いずれ、飛鳥と戦うことになるかもね)

飛鳥「へえ、それは面白いね」

飛鳥「キミのお墨付きとあらばぜひお手合わせ願いたいものだけど」

飛鳥「ま、その子がこの山の頂を登って来られれば、の話だね」フッ

飛鳥「それに、ボクの宿敵は未来永劫、蘭子。キミしかいない。その真実は揺るがないよ」

蘭子「あーはっはっは! 流石は我が友だ!」

蘭子「では、我はそろそろ行くとするか」

蘭子「では、闇に飲まれよ!」バサァッ


…………………………


飛鳥「……」

飛鳥「セカイの鍵を握る存在、か――」



サイドストーリー「双翼の覇王妃」 Fin.

今回はここまで
書いててめちゃくちゃ楽しくてお気に入りのストーリーです

飛鳥はED後に戦うめっちゃ強い裏ボスポジションです
HGSSのレッドとかUSUMのサカキとかそういうポジション
コバルオン以外に使ってそうなポケモン思いつかなかった

来年からは準決勝です
次は来週の日曜に投下予定です

今年もありがとうございました、来年もよろしくです

だいぶ時間が経ってしまいましたが新年一発目の投稿ですね、今年もよろしくです

前回までのトーナメント表
https://imgur.com/sHXl9Xo

ワァァァァァ

恵磨『さあさあさあ、遂にやって参りました!! 白熱のポケモンリーグ、ここからは準決勝となります!』

恵磨『果たしてチャンピオン・蘭子への挑戦権は誰の手に渡るのでしょうか!?』

恵磨『実況は引き続き恵磨と!』

瑞樹『瑞樹でお送りします。ところで恵磨ちゃんってずっと叫んでいるのに全く声が枯れないわよね』

恵磨『ええ、喉の強さには自信あるんで!』グッ

恵磨『さぁ、まずは第一回戦、対戦するのは……』

凛「……」ザッ

恵磨『前回の試合で四天王・愛梨を打ち破った凛選手と!』

きらり「にょわーーっ! 凛ちゃーーーんっ! よろしくおにゃーしゃー☆ うきゃー!!」バァン

凛「……!?」ギクッ

恵磨『ここまで圧倒的なパワーで勝ち上がってきたきらり選手だーー!!』

瑞樹『性格もテンションも両極端な二人ね』

茜「凛ちゃーーーん!! がんばれぇーーーー!」

杏「きらり……!」


………………………………………………………………

試合前……

杏「きらり」

きらり「うにゅ? どしたの杏ちゃん」

杏「次の相手、凛だね。……気をつけて」

きらり「どーしたの? 杏ちゃんがそんなに怖い顔するなんて」

杏「ほら、前に凛と会った時にさ、メガシンカがどーとか言ってたじゃん」

杏「で、私が逆にメガシンカがどうしたのかって返したら、アイツははぐらかしてた」

杏「もしかしたら……凛はそのメガシンカ、ってやつがどういうのかを知ってて、しかも使ってくるかもしれない」

杏「まあ、どんなポケモンがどんな方法で、かつどんな場面で使ってくるかは杏にもわからないけどさ」

杏「パソコンから調べられるデータではわからない秘密兵器を、凛は持っていると思う」

杏「用心しておくに越したことはないね」

きらり「うーん……いちおーりょーかい! だにぃ」

きらり「杏ちゃん、心配してくれてありがとねえ! うぇへへ☆」

杏「ま、きらりなら大丈夫だろうけど。念には念を、ってね」

杏「じゃーね、まあ頑張ってー」

きらり「はーい☆」

…………………………………………………………

杏(一応忠告はしておいたけど)

杏(メガシンカか……もしかしたら前の試合でも使う予定だったのかな)

杏(いや、だとしたら前の試合で使わなかったのは何でなんだろ)

杏(あれが切り札だとしたら、凛の性格的には追い詰められるまでは使わなさそうだけど)

杏(前の試合では使わなかった……? いや、使えなかった……?)

杏(……うむむ……)

杏(……ダメだ、頭使いすぎて疲れた)プシュー

きらり「うぇへへ、やーっと凛ちゃんとバトルできるにぃ!」

凛「そうだね」

きらり「きらりんのはっぴはっぴぱわぁー、とくとご覧あれ! だにぃ☆」

凛「そのパワーがどんなのか知らないけど……」

凛「本気で勝たせてもらうよ!」

恵磨『それでは準決勝第一試合……』

恵磨『スタートォォォォォッッ!!』

きらり「ゴルーグちゃん、おにゃーしゃー☆」ポン

ゴルーグ「ゴル」ズシーン

凛「サザンドラ!」ポン

サザンドラ「サザ!」バッサ

晶葉「ほう、初手からサザンドラか」

凛(奈緒との試合できらりのポケモン達のパワーは充分に知れた)

凛(安定して先制できそうだと思ってサザンドラを選んだのは正解だったね)

凛(前回はりゅうせいぐんしか撃ってなかったけど)

凛「サザンドラ! あくのはどう!」

サザンドラ「サザ!」ババババ

ゴルーグ「ゴルッ!」ズズッ

凛(やっぱり、すごい威力だ)

凛(ジヘッドの頃の力任せな戦い方とは全然違う)

美玲「おお、効いてるな!」

幸子「あく技をかみくだくからあくのはどうに変更されたんですね」

志希「サザンドラになると特殊攻撃の方が高くなるからねぇ」

志希「それに……」

ヒラッ

卯月「あれは……たつじんのおび!」

晶葉「あれで更に威力を上げているのか。幅広い技を覚えるサザンドラには打ってつけの持ち物だな」

きらり「うにゅう……ゴルーグちゃん!」

ゴルーグ「ゴル!」フッ

恵磨『ゴルーグの姿が一瞬にして消えました!』

凛(これは……ゴーストダイブ!)

凛(あの巨体に不意打ちで仕掛けられるのは怖い……)

凛(どこだ……どこから出てくる?)

凛(いや……翼があるポケモン相手なら、普通はその翼を封じようとする)

凛(なら……上か!)

凛「サザンドラ、上方向にかえんほうしゃ!」

サザンドラ「サザー!」ボォーッ

恵磨『サザンドラ、3つのあたまから無差別にかえんほうしゃを放ちました!』

瑞樹『3つの頭から攻撃出来る分、広範囲をカバーできてるわね』

ゴルーグ「!」ボッ

凛「よし、攻撃が掠った!」

凛「あくのはどう!」

きらり「ありゃ、バレちゃった! だったらばくれつパーンチ☆」

ゴルーグ「ゴルー!」ゴォォォォ

サザンドラ「サザー」ヒョイ

サザンドラ「サザー!!」ババババ

ゴルーグ「ゴルッ……!」ドッ

輝子「おお、速い……!」

文香「パワーもスピードも、ジヘッドとは桁違いですね」

きらり「ふみゅみゅ……ゴルーグちゃん、もっかーい!」

ゴルーグ「ゴル!」フッ

乃々「あ、またゴルーグの姿が消えた……」

凛(……)

凛(さっきみたいに四方八方に攻撃すれば居場所をあぶり出せるけど)

凛(サザンドラはきらりのポケモンに充分通じるパワーがある。まだまだ温存しておきたい)

凛(どこから出てくるか……いや)

凛(こっちから方向を限定すれば……)

凛「サザンドラ!」

サザンドラ「サザー!」バサッ

ギュオオオオオ

恵磨『おっとサザンドラ、物凄いスピードで上昇していきます!』

凛(これだけのスピードで上に行けばゴルーグはついてこれない)

凛(もちろん来る方向は……)

凛「サザンドラ! 下方向にあくのはどう!」

サザンドラ「サザ……」

サザンドラ「サザー!!」ババババ

ゴルーグ「!」ドッ

ゴルーグ「ゴル……!」ドドドド

きらり「ゴ、ゴルーグちゃんが押し返されてるにぃ!?」

ズシーン

ゴルーグ「ゴル」バッタン

恵磨『ゴルーグダウーン!! まずは凛選手が先制だぁ!!』

ワァァァァァ

文香「なるほど……追いかけて上昇してくる所を狙ったのですね」

乃々「サザンドラ、強すぎぃ……」

晶葉「ああ、あのサザンドラでどこまでやれるか、が凛の勝負の決め手だな」

きらり「うきゃー! 凛ちゃん、とぉっても強いねぇ!」

きらり「じゃあきらりもとっておきのでいくねえっ!」


きらり「キテルグマちゃん、おにゃーしゃー☆」ポン

キテルグマ「……」ズシン

凛「……!」

ザワザワザワ

恵磨『おおっと、あれは……ポケモン!?』

瑞樹『初めて見るポケモンだわ。もしかして……』

卯月「何……あのポケモン!?」

茜「見たことのない姿ですね……!」

晶葉「ああ、私も初めて見るポケモンだ」

美玲「ええっ、ここにいる皆が知らないポケモンなんて……!」

志希「志希ちゃん知ってるよー♪」

志希「あれはキテルグマだねー。たしかにアイマスにはいないポケモン。そりゃ見たことないよねー♪」

幸子「キ、キテルグマ……?」

志希「でもあたしも名前ぐらいしか知らなーい」

輝子「結局わからないのか……」

凛(キテルグマ……っていうんだ)

凛(昨日パソコンで見たときも、あのポケモンだけ図鑑の情報がなかったんだよね)パカッ

???
データ不明

凛(きっとアイマスにはいない、新種のポケモン……)

凛(それを何できらりが持ってるのかはわからないけど)

凛(どう来るかわからない以上、サザンドラですぐに勝負をつけたい……)

凛(まずは様子見、かな)



※このストーリーの時系列は第6世代当時のままなので、第7世代のキテルグマは新種のポケモン、ゲストポケモンという扱いです。
AGの映画にルカリオやマナフィが先行登場したみたいな感覚で見てもらえれば。

きらり「キテルグマちゃん、メガトーン……」

きらり「キィーック! だにぃ☆」

キテルグマ「……」バッ

恵磨『まずはキテルグマが動き出した!』

凛「サザンドラ、避けて!」

サザンドラ「サザ」ヒョイ

凛(見た目からしてノーマルタイプかフェアリータイプだと思ってたけど)

凛(サザンドラ相手にフェアリー技を使ってこなかったってことはノーマルタイプ……?)

凛「あくのはどう!」

サザンドラ「サザー!」ババババ

キテルグマ「……!」バシィ

凛「あまり効いてない……もう一つタイプを持ってる?」

きらり「ふっふっふっ……キテルグマちゃんのぱわぁー、思い知るにぃ!」

きらり「アームハンマー☆」

キテルグマ「……」ピョン

幸子「飛び上がった!?

キテルグマ「……」ブン

キテルグマ「キィィィィィーーーーー!!」ズドォン

サザンドラ「サザッ!?」

ドガァン

恵磨『ああっと、サザンドラが撃ち落とされました!!』

瑞樹『す……すごいパワーだわ……!』

凛「サザンドラ!」

サザンドラ「サザー!」ガバッ

凛「ふう、持ちこたえたか……」

凛「もう少し頑張って……ラスターカノン!」

サザンドラ「サザー!」バッ

キテルグマ「キィィ……」バシィ

恵磨『サザンドラ、微々たるダメージしか与えられません!』

凛(これも効かないのか)

凛(あくとはがねを抑えられるタイプは……もしかして、かくとう?)

凛(ならおそらくキテルグマはノーマル・かくとうタイプ……)

凛(りゅうせいぐんなら効きそうだけど、どのみちこのままじゃ不利だ)

凛「サザンドラ、交代!」シュゥゥ

凛「ムクホーク!」ポン

きらり「キテルグマちゃん、メガトンキィーック☆」

ムクホーク「ムクホッ……!」バシッ

晶葉「『いかく』で抑えたとはいえ、それでもあの威力か……」

幸子「なんて馬鹿力なポケモンなのでしょう……」

凛「ムクホーク! ブレイブバード!!」

ムクホーク「ムクホー!!」ゴゴゴゴ

ドゴオッ

キテルグマ「キィ……!」ズザーッ

凛「!? これもダメージが少ない……?」

きらり「にゅふふ、キテルグマちゃんね、とーってももふもふしてて気持ちいいんだよぉ!」

もふもふ
物理攻撃のダメージを半分にする

凛(なるほど……あの体毛がダメージを吸収してるのか)

凛(どうする……?)

凛(さっきキテルグマはアームハンマーじゃなくメガトンキックを出してきた。たぶん私が交代すると読んでシンプルな選択をしたんだろう)

凛(だとしたら次も……いや、常にきらりはこっちの交代を読んできている)

凛(ムクホークでは削りきれない量ではない……ここは交代せずにいくか)

凛「ムクホーク! 上から攻めるよ!」

ムクホーク「ムクホー!」バサッ

らり「キテルグマちゃん、よお~く狙って……」

キテルグマ「……」キッ

凛「インファイト!」

ムクホーク「ムクホー!!」ボコスカ

きらり「ぶんまわすー!!」

キテルグマ「キィィィィィ!!」ブンブン

ドガッ

ドガッ

ムクホーク「ムクホー……」

キテルグマ「キィ……」

恵磨『両者一歩も引きません! まさに一進一退!!』

凛「……」

晶葉「凛……このまま力押しだと競り負けるぞ!」

晶葉「いや……あれは……あえて力押ししている?」

志希「おっ、気づいた?」ニャフフ

乃々「え……?」

凛(この一撃で……)

凛「ムクホーク! ブレイブバード!!」

ムクホーク「ムクホー!!」ゴゴゴゴ

きらり「キテルグマちゃん、迎え撃つにぃ☆」

キテルグマ「キィーー!!」

スカッ

キテルグマ「!?」

きらり「うぴゅ!?」

恵磨『な、なんと、ムクホークの突進がキテルグマの横を逸れていった!?』

瑞樹『いや…わざと逸らしたのね!』

ムクホーク「ムクホー!」クルン

恵磨『ムクホークが一回転して……』

凛(その隙に……!)

パクッ

凛「よし! ムクホーク、決めるよ!!」

ムクホーク「ムクホー!!」ゴゴゴゴ

きらり「後ろ……!」

キテルグマ「キィィィ――」

ドゴォォォ

キテルグマ「キィィィ……」バタンキュー

恵磨『キテルグマ戦闘不能!!』

ワァァァァァ

茜「なるほど、わざと攻撃を反らせて隙を作っただけでなく、タメを作ってフルパワーの一撃を与えたのですね!」

志希「それにムクホーク、一回転したときに『チイラのみ』を頬張ってたねー」

チイラのみ
ピンチになると自分の攻撃力を上げる

志希「普通はキテルグマの図太さに怖じ気づいて交代するところを、凛ちゃんは機転を利かせて攻略した、ってとこかなー」

幸子「なるほど……!」

ムクホーク「ムク……」ヨロッ

凛「ムクホーク、戻って!」

きらり「うにゅう……キテルグマちゃんまでやられちゃった」

きらり「でもまだまだ……! バクーダちゃん、おにゃーしゃー☆」ポン

バクーダ「バクー!」


to be continued...

今回はここまでです
キテルグマ、きらりんとイメージぴったりだったので特別に登場です
キャラ付けはスマブラのアレですね

次回は週明けぐらいですかね?ではでは

投下します

凛「ならこっちは……ゲッコウガ!」

ゲッコウガ「ゲコッ!」

きらり「相性は悪いけど、きらりんとバクーダちゃんは引かないやーい!」

きらり「だいちのちからだにぃー!」

バクーダ「バクー!!」ボボボォォォ

凛「躱して!」

ゲッコウガ「ゲコ」ヒョイヒョイ

恵磨『ゲッコウガ、突き出た地面の上を身軽に進んでいきます!』

凛「みずしゅりけん!」

ゲッコウガ「ゲコッ!」シュババババ

ガキィッ!

瑞樹『突き出た地面で壁を作ったわね』

瑞樹『あのバクーダ、まさに攻防一体ってポケモンね』

凛「くさむすび!」

ゲッコウガ「ゲコ!」

バクーダ「バク!?」シュルルル

きらり「振り払うにぃ! ふんえん!」

バクーダ「バク……バクー!!」ドッカァァァン

ブチィッ!!

茜「おお、体に力を入れて草を千切りました!」

卯月「それだけじゃない、ふんえんが壁を壊して……」

ゲッコウガ「ゲコッ!?」ガガガガ

凛「くっ!」

恵磨『バクーダ、バトルが始まってからここまで一歩も動いていません!』

恵磨『が、相性の悪いはずのゲッコウガを全く寄せ付けておりません!!』

凛「……」

凛(まずはあのせり上がった壁をどうにかしないと)

凛(ハイドロカノンなら壊せそうだけど……あの技は反動が大きい)

凛(動けなくなってしまったら、すぐに反撃されてしまう)

凛(……)

凛「ゲッコウガ、もう一回くさむすび!」

ゲッコウガ「ゲコ!」

きらり「バクーダちゃん!」

バクーダ「バク!」シュルルル

バクーダ「バクー!!」ドッカァァァン

美玲「またふんえんで地面の壁が崩れたぞ……!」

グサッグサッ

シュゥゥ

バクーダ「……!?」

身代わり人形「」ボテッ

きらり「みがわり!?」

ゲッコウガ「ゲコッ」シュッ

凛「よし、足元に!」

凛「ゲッコウガ! ハイドロカノン!!」

ゲッコウガ「ゲコッ……」ゴォォッ

ゲッコウガ「ゲコォォ!!」

ドドドドドドドドドドドド

バクーダ「バク……!!」

きらり「バ、バクーダちゃん!!」

恵磨『ゲッコウガ、バクーダを大きく吹っ飛ばしたぞぉ!!』

ゲッコウガ「ゲコッ」ガクッ

凛「よし……!」

凛(ゲッコウガは反動で動けない。この一撃で決めきれてなければ……)

シュゥゥ

バクーダ「バ、バク……」フラッ

凛「……! 倒せなかった……」

瑞樹『きらりちゃん、バクーダの『ハードロック』が命綱になったわね』

きらり「ふぅー、危ない危ない、きらりんヒヤヒヤしちゃった!」

きらり「そんじゃバクーダちゃん、一発おなーしゃー☆」

バクーダ「バク……」

凛「! バクーダが光を吸収している……!」

凛「ゲッコウガ……!」

ゲッコウガ「ゲコ……」ガクッ

きらり「ソーラー☆ ビィィーームッッ!!」

バクーダ「バクー!!」チュドォォォォン

ドカァァン

卯月「ああ……!」

ゲッコウガ「ゲコ……」バタンキュー

バクーダ「バク……」ズシン

恵磨『ゲッコウガダウーン!! しかしバクーダも攻撃の反動で倒れました!!』

ワァァァァァ

幸子「相性は完全に有利だったのに、互角に持ち込まれるとは……」

杏「ふっふっふっ、やるじゃない、きらり」

凛「ゲッコウガ……お疲れ」

凛(……あれがうまく決まっていれば、もう少し隙を生み出せたかな)

凛(……いや、今は目の前に集中しないと)

凛「サザンドラ!」ポン

きらり「ナッシーちゃん、がんばがんばーだにぃ☆」ポン

ナッシー「ナッシー!」

凛(! ……またカムラのみを持ってる)

凛(あれにさえ気をつければ……)

凛「サザンドラ、あくのはどう!」

サザンドラ「サザー!」ババババ

きらり「エナジーボールだにぃ!」

ナッシー「ナッシー!」バシュゥ

バシィ!!

ナッシー「ナ、ナッシ……」ズドン

晶葉「避けきれない分、相殺してダメージを最小限に抑えたか」

きらり「体力減っちゃったし、やどりぎのタネだにぃ☆」

ナッシー「ナッシー!」ポポポポ

サザンドラ「サザ!?」シュルルル

恵磨『やどりぎのタネがサザンドラに絡みつく!』

サザンドラ「サザー……!」グググ

凛(まずい……やどりぎのタネが動きを遅くしている……!)

凛(これだけ長く場にいれば、相手はもうサザンドラの動きやスピードを把握してきているはず)

凛(どうする……?)

きらり「ナッシーちゃん、しぜんのめぐみ!」

ナッシー「ナッシー!」コォォ

サザンドラ「サザ!」バシィ

瑞樹『サザンドラの翼を封じつつ、的確に攻撃しているわね』

凛「くっ……」

凛(何とかやどりぎのタネをふりほどかないと)

凛(交代すれば効果は切れるけど、結局次のポケモンにも同じことをされる)

凛(流れを絶たないためにも、ここはサザンドラで突破する……!)

凛「サザンドラ、かえんほうしゃ!」

きらり「!」

凛「――を、自分へ向けて撃って!」

きらり「うにゅ!?」

卯月「ええ!?」

美玲「な、どういうことだよ!?」

幸子「しかも自分で自分を攻撃するって、どうやって……」

サザンドラ「!?」

サザンドラ「……!」

サザンドラ「サザー!!」ゴオッ

恵磨『なんと凛選手、サザンドラに自身を攻撃する指示を出した!?』

瑞樹『……なるほどね』

恵磨『??』

瑞樹『サザンドラは両腕についている頭も武器の一つよ。たとえば右腕を内側へ向ければ、自分自身を攻撃することもできる』

瑞樹『そうまでして自分にかえんほうしゃを撃ったのは……』

ボォォォォ

美玲「あっ、やどりぎのタネが!」

晶葉「焼け落ちたな。これが狙いだったのか」

凛「多少ダメージは受けたけど、これで自由になった!」

凛「決めるよ、サザンドラ! りゅうせいぐん!!」

サザンドラ「サザー……」ボッ

きらり「う、うにゅう! ナ、ナッシーちゃん、しぜんのめぐ――」

サザンドラ「サザー!!」

ドドドドドドドド

ナッシー「ナ、ナッシー!!」

ナッシー「ナッシー……」バタンキュー

恵磨『りゅうせいぐんが直撃! これは耐えられなぁい!!』

恵磨『ナッシーダウーン!!』

ワァァァァァ

きらり「ありゃぁ……」

凛「よし……サザンドラ、戻って!」シュゥゥ

晶葉「うまく機転を利かせたな」

晶葉「しかし、あの場面で自分を攻撃しろと指示を出されたら、ほとんどのポケモンは戸惑って隙だらけになるだろう」

晶葉「サザンドラが凛を信頼しているからこそ成せた技だな」

幸子「凛さん、順調ですね!」

志希「いや、そうとも言えないよー?」

志希「ムクホークもサザンドラもフラフラ……手持ちの数では勝ってるとは言い難いし」

志希「それにあのホエルオーだよねぇ。サンダースが倒されちゃったらどうするんだろ?」ニャフフ

文香「まだ油断大敵、ということですね」

きらり「うにゅう……きらりんどんどん追い詰められちゃってる!」

きらり「メタモンちゃん!」ポン

メタモン「メタ」

メタモン へんしんポケモン ノーマル
体の細胞の作りを自分で組み替えることで他の生命体そっくりに変身する
寝るときは石に変身するらしい

凛「ならこっちは……チャーレム!」

チャーレム「チャー!」

凛「へんしんする前に、倒す……!」

メタモン「メタ」コォォォォ

凛「えっ!?」

ミョミョミョミョ……

輝子「フヒ、いきなりへんしんした……?」

志希「お、あれは特性『かわりもの』だねぇ」

かわりもの
戦闘に出ると、いきなり相手のポケモンに変身する

志希「あの子の連れてるメタモン、すごく珍しい個体だねぇ!」

メタモン「チャー」スタッ

恵磨『きらり選手、メタモンを繰り出して変身してきました!』

瑞樹『実質チャーレム対チャーレムの対決ね』

凛「相手もチャーレムになってきた……」

凛(たしかへんしんは身体能力とかも同じになるんだっけ)

凛(だとしたらこの勝負は互角……? いや)

凛(ただ普通に互角の勝負を仕掛けてくるつもりじゃないはず)

凛「気をつけていくよ、チャーレム! しねんのずつき!」

きらり「きらりんもしねんのずつきでごっつんこ! だにぃ☆」

メタモン「チャー」サッ

メタモン「チャー!」ドガッ

チャーレム「チャー……!」バシッ

凛「!」

凛「相手の方が速い……!?」

凛(たまたま先制されたとかじゃない。確実にこっちよりスピードがある……)

凛(もしかしてあれは……こだわりスカーフ……!?)

こだわりスカーフ
持たせると同じ技しか出せなくなる代わりに素早さが上がる

凛「チャーレム、ドレインパンチ!」

チャーレム「チャー!」コォォ

メタモン「チャー」サッ

恵磨『メタモン、素早い身のこなしでチャーレムの攻撃を躱した!』

瑞樹『メタモンはへんしんすると相手と同じ能力値になるわ。つまりこだわりスカーフのような道具を持たせておけば、確実に相手より速く動ける』

瑞樹『シンプルながら堅実な、メタモンの基本戦術ね』

晶葉「まずいな、凛としては交代したいところだが」

晶葉「ドリュウズは相性が悪いし、サンダースはホエルオーまで温存しておきたい。となると残っているのは手負いのムクホークとサザンドラ、か」

卯月「そんな、どうすれば……」

凛(……)

凛(一つ、あのメタモンを倒す方法があるとすれば)

凛(メガシンカ……あれを使えばこっちが先手を取れるようになるし、その次のホエルオーにもある程度ダメージを与えられる)

凛(でも、方法はそれしかないの?)

凛(考えるんだ……どうすれば……)

きらり「しねんのずつき!」

メタモン「チャー!」ビビビ

チャーレム「チャー……!」ドガッ

凛「くっ……」

きらり「……凛ちゃん」

凛「?」

きらり「凛ちゃん、何か隠してるよね」

きらり「チャーレムちゃんから感じるんだにぃ……きらりんうまく言葉にできないけど、なんかすごいぱわぁーを感じるの!」

凛(……! もしかしてメガシンカのこと……?)

凛(そうか、そういえば前に二人に相談してたっけ)

きらり「ねえ、なんで本当の力を使わないにぃ?」

凛「……」

きらり「きらりんはね」

きらり「手加減した凛ちゃんとは戦ってもはっぴはぴじゃないにぃ」

きらり「凛ちゃん……」

きらり「本気を見せてよ!」

きらり「チャーレムちゃんから感じるんだにぃ……きらりんうまく言葉にできないけど、なんかすごいぱわぁーを感じるの!」

凛(……! もしかしてメガシンカのこと……?)

凛(そうか、そういえば前に二人に相談してたっけ)

きらり「ねえ、なんで本当の力を使わないにぃ?」

凛「……」

きらり「きらりんはね」

きらり「手加減した凛ちゃんとは戦ってもはっぴはぴじゃないにぃ」

きらり「凛ちゃん……」

きらり「本気を見せてよ!」

凛「……!」

凛「……何それ」ギリッ

凛「まるで私が本気じゃないみたいな言い方……」

凛「私は……」


凛「私はいつだって本気だッ!!」

こずえ「……!」ビクッ

晶葉「凛、どうした!? 感情的になるな!!」

幸子「あんな凛さん、初めて見ました……」

文香「……凛さんらしくないですね。まるで図星をつかれたような」

卯月「図星……」

卯月(凛ちゃん……メガシンカのことかな)

卯月(蘭子ちゃんと戦うまで使わないって決めてたもんね……)

凛「……!」

チャーレム「チャー」キリッ

凛(……そうだよね)

凛(メガシンカを使って勝ち上がったって何も誇れない)

凛(ここは実力でメタモンを倒す!)

凛「チャーレム、ビルドアップ!」

チャーレム「チャー」ビキビキ

きらり「メタモンちゃん! しねんのずつきだにぃ!」

メタモン「チャー!」ビビビ

凛「スピードで勝てないなら、一発の重さで……!」

凛「足元にれいとうパンチ!」

チャーレム「チャー!」

メタモン「チャ!?」ビキビキ

恵磨『メタモン、動きを止められました!』

凛「背中に回ってしねんのずつき!」

チャーレム「チャー」スタッ

チャーレム「チャー!」ビビビ

メタモン「チャー…!」ドガッ

茜「ビルドアップでおびき出してれいとうパンチで凍らせ、そこにしねんのずつきを撃ち込む! 完璧な流れです!」

晶葉「なんだ、最初からその冷静さでやればよかったものを」

美玲「……でもなんであんなに怒ってたんだ?」

志希「まーまー、誰でも色々事情があるんだよ♪」

きらり「メタモンちゃん、こっちも背中に回るにぃ!」

メタモン「チャー!」

凛「速い……でも!」

凛「振り向いて掴んで!」

チャーレム「チャー!」ガッ

メタモン「チャ!?」

凛「よし……そのまましねんのずつき!」

チャーレム「チャー!」ゴツンゴツン

メタモン「チャー……」

きらり「メタモンちゃん……!」

シュゥゥ

卯月「へんしんが解けた!」

メタモン「メター」バタンキュー

恵磨『メタモンダウーン!!』

チャーレム「チャー……」バタッ

恵磨『ああっと、しかしチャーレムも倒れました! 相討ちです!』

ワァァァァァ

卯月「これであと1匹……!」

美玲「でも、最後はあのバカでかいホエルオーか……」

きらり「……」

きらり「にゅふふ……正義のヒーローきらりんはぜぇーったいに諦めないのだ☆」

今回はここまで
次は金曜です。きらり戦も完結です

投下します
キテルグマといいアローラのポケモンはきらりんと相性抜群ですね

きらり「ホエルオーちゃん、最後までよろしくおにゃーしゃー!」ポン

ホエルオー「ホエー☆」ズシィィィン

凛(ついに来た……きらりのエース……!)

凛「あと一息……お願い、サンダース!」

サンダース「ダース!」

凛(きらりへの対策……いろいろ考えたけど)

凛(とにかく攻めていかないと勝てない!)

凛「サンダース! じゅうでん!」

サンダース「ダース!」ビリビリ

きらり「アクアリングだにぃ☆」

ホエルオー「ホエー☆」フォォォ

晶葉「お互いに手堅くきたな」

卯月「きらりちゃん、最後の1匹なのに全然余裕そうだね……」

晶葉「ああ、それだけあのホエルオーに自信があるんだろう」

きらり「のしかかりー!」

凛「躱すよ!」

サンダース「ダース」バッ

ズシーン

サンダース「ダース……!」グラッ

凛「! 地響きが……!」

恵磨『サンダース、攻撃は躱しましたが着地の衝撃に足を取られた!』

瑞樹『攻撃を当てても当てなくても相手を圧倒する。さすがほぼホエルオー1匹で勝ち抜いてきただけあるわね』

きらり『しおふきだにぃー☆』

凛「かみなり!」

ホエルオー「ホエー!!」ブッシャァァァ

サンダース「ダース!!」バリバリ

バシィィィン

恵磨『威力はほぼ互角……!』

瑞樹『ええ、でもしおふきはホエルオーの体力が多いほど威力の上がる技』

瑞樹『まずは体力を削りたいところでしょうけど……少々のダメージならアクアリングで回復するのよね』

瑞樹『まさにあのホエルオーは、難攻不落の要塞ってところかしら』

凛「まずは隙を見つけないと……」

凛「サンダース! 懐に潜り込んで!」

サンダース「ダース!」バッ

ホエルオー「??」

恵磨『サンダース、ホエルオーの死角に入り込みました!』

凛「でんじは!」

サンダース「ダース!」バリバリ

ホエルオー「ホエッ……」ビリビリ

凛「よし! かみなり!!」

サンダース「ダース!!」ゴロゴロ

ホエルオー「ホエー!」バリバリ

きらり「うにゅう……!」

凛(効いてるけど、倒し切れない)

凛(やっぱりじゅうでんしてからの一発を与えないと)

凛「サンダース、じゅうでん!」

きらり「ホエルオーちゃん! とびはねる!」

ホエルオー「ホエー!」ピョーン

恵磨『ホエルオー、麻痺しているはずなのにこのスピードは……』

瑞樹『持ち物は前回と同じく、せんせいのツメのようね』

ホエルオー「ホエー!」ズシーン

サンダース「ダース……!」

凛「サンダース、耐えて!」

サンダース「ダ……ダース……!」

凛「今がチャンスだ……いくよ! かみなり!!」

サンダース「ダー……」ゴロゴロ

サンダース「ダース!!」バリバリ

きらり「しおふきで迎え撃つにぃー☆」

ホエルオー「ホエー!!」ブッシャァァァ

バシィィィン

ドッ

サンダース「ダー!?」バシャァ

凛「なっ、跳ね返された……!」

凛「さっきより威力は落ちているはずなのに……!」

きらり「にゅふふ……きらりんのホエルオーちゃんにちょっとやそっとのくさ技やでんき技は通じないにぃ! どやぁ☆」

きらり「のしかかりー!」

ホエルオー「ホエー☆」

凛「かみなり!」

サンダース「ダース……」

サンダース「ダ!?」ピタッ

凛「なっ……!?」

ズシーン

サンダース「ダース」バタンキュー

恵磨『サンダース、ダウーン!!』

ワァァァァァ

乃々「ひええ……」

晶葉「まずいぞ……サンダースが倒された」

卯月「今の、もしかしてサンダースのPPが切れてた……?」

晶葉「ああ。おそらくホエルオーの『プレッシャー』だろうな」

プレッシャー
プレッシャーを与えて相手の使う技のPPを多く減らす

晶葉「大きすぎて攻撃を躱しきれない分、プレッシャーとアクアリングの組み合わせで苦手な技を克服してきたんだろう」

凛(……)

凛(サンダースが倒された……)

凛(これで残ってるのは、相性の悪いドリュウズと体力の僅かなムクホーク、サザンドラ)

凛(……ムクホークとサザンドラは次の攻撃の反動で倒れるだろうし、あの巨体じゃドリュウズのじわれも効くかどうか……)

凛(……ここまで、か……)

凛(……)

凛(……)

凛「……ムクホーク」ポン

ムクホーク「ムクホー……!」ヨロッ

恵磨『凛選手、ムクホークを繰り出しましたが、既に体力は限界です!』

瑞樹『一応、ルールとして降参することもできるけど、凛ちゃんはあくまで諦めない気ね』

幸子「ムクホーク、けっこう傷だらけですが……まだ手はあるんですかね?」

晶葉「いや……」

凛「……」

晶葉「肝心の凛に覇気がない。とても策があるような余裕はなさそうだな」

美玲「おい、じゃあ降参もできるのに意地張って戦わせてるのかよ!?」

美玲「それはムクホークが可哀想なんじゃ……!」

乃々「美玲ちゃん、それは言いすぎでは……」

杏「ふふ……これはもらったね」

きらり「いょーし、このまま突き進めー! だにぃ☆」

きらり「ホエルオーちゃん、のっしかかりー!」

ホエルオー「ホエー☆」ピョーン

凛「ムクホーク、躱して……」

ムクホーク「ムクホー……!」ヒョイ

ズシーン

恵磨『ムクホーク、間一髪で攻撃を躱しました!』

瑞樹『でもこの調子だと長くは持たなそうね』

瑞樹『凛ちゃんも憔悴しきっているみたいだし……』

凛「……」

卯月「凛ちゃん……諦めないで!!」

幸子「凛さん……!」

晶葉「凛……!」

凛「……」

凛「……」フッ



凛「今だムクホーク! がむしゃら!!」

ムクホーク「ムクホー!!」

ビシバシ

ホエルオー「ホエー!?」

きらり「うぴゅ!?」

杏「そんな!?」

恵磨『な、なんと……ホエルオーの体力がみるみる減っていく……!』

ホエルオー「ホエー……」ヨロヨロ

きらり「そ、そんな……」

凛「1つだけあったんだ。あのホエルオーを突破する方法が」

凛「ムクホークの体力をギリギリまで減らして、『がむしゃら』で対抗する……この時を待っていた!」

凛「きらり。この先に突き進むのは私の方だよ!!」

きらり「ホ、ホエルオーちゃん……!」

凛「でんこうせっか!」

ムクホーク「ムクホー!」バシィ

ホエルオー「ホエー……!」

ホエルオー「……ホエー」

ズズゥゥゥゥン

きらり「ああ……」

恵磨『ムクホーク戦闘不能! 決勝に駒を進めた勝者は……』

恵磨『大逆転を決めた凛選手だぁぁぁぁーー!!!!』


ドワァァァァァァ


凛「ふう、勝てた……」

きらり「ホエルオーちゃん……お疲れ様、だにぃ」

きらり「うにゅう、負けちゃったあ!」

凛「ムクホーク、よく頑張ってくれたね」

ムクホーク「ムクホー」

きらり「うんうん、ムクホークちゃん、ほんとによく頑張った! えらいぞぉ!」

きらり「はあ、杏ちゃんと決勝で会おうって約束したのに、きらりん守れなかったにぃ」

きらり「でも凛ちゃんに負けちゃったなら後悔はないにぃ! はっびはぴだよぉ☆」

凛「きらりこそ……本当に強かった。あと一歩で負けてたかも」

きらり「ううん。凛ちゃんの方がずーっと強かったにぃ!」

きらり「凛ちゃん凛ちゃん、きらりん最後まで凛ちゃんのこと、いーっぱい応援するから、この先も頑張ってね!」

凛「うん、ありがとう」

グッ

パチパチパチパチ

晶葉「ふう、全く……疲れさせてくれるよ」

志希「あの場面、ポケモンをこれ以上傷つけさせまいとムクホークを出さないトレーナーって多いんじゃないかな」

志希「でも凛ちゃんはムクホークを信じてセオリーを破った。ポケモンとトレーナーの絆が生み出す力……にゃふふ、すごいもん見ちゃった♪」

幸子「はい、本当に素晴らしかったです……!」

卯月「次は未央ちゃんと杏ちゃんか」

卯月「未央ちゃん、大丈夫かなあ」

未央「しぶりん……!」グッ

未央「はぁぁ……私もう今度こそダメかと……」

未央「でもしぶりんは最後まで諦めなかったね」

未央「私も……頑張らなきゃ!」


杏「きらり……」

杏(負けはしたけどいい勝負だったし、これはこれで書籍にできるかも……?)

杏(……っと、いけないいけない)

杏(きらりの分まで……とは言わないけど、あんな試合を見ちゃったら、そりゃ気分も高まるよね)

杏「さて、杏も頑張っちゃいますか」

今回はここまで
なんとドリュウズさんの出番がありませんでした
ムクホークに活躍してほしかったんや…ごめんよ…次はちゃんと活躍させるから…

次回は週明け、杏VSちゃんみお編です

未央のピンチに颯爽と現れ応援する世界レベルさんとかあるかね?

投下します

>>461
彼女があの場にいるのかいないのかはご想像にお任せします

恵磨『さあ、まだまだ行きましょう! 続いて準決勝第2回戦です!!』

瑞樹『凛ちゃんと戦うのはどっちなんでしょうね』

恵磨『この試合で対戦するのは……!』

未央「……」ザッ

恵磨『ここまで難なく勝ち上がってきた期待の新星! 未央選手と――』

杏「……」ザッ

恵磨『伝説の鳥ポケモン使い、杏選手だぁぁーー!!』

ワァァァァァ

未央(杏ちゃん……)

未央(フリーザーにばっかり目がいきがちだけど、ここまで勝ち上がってきただけあってどのポケモンも強力だ)

未央(強敵だけど、ここを超えればしぶりんが……!)

杏「へへ、改めて初めまして、だね」

未央「そうだね。杏ちゃんのバトル、しっかり見てきたよ」

杏「私もだよ。……いいバトルにしようね」

未央「もっちろん!」

恵磨『それでは第二回戦……スタートォォォォォ!!』

杏「先手はこの子って決めてんだよね。エルフーン!」ポン

未央「いくよ、トドゼルガ!」ポン

凛「……」


…………………………


凛「モバP」ザッ

モバP「おう、凛か。お疲れさん」

モバP「愛梨もきらりも強かったが、ここまで本当によく勝ち進んできたな」

凛「うん……」

凛「あの、ちょっと聞きたいことがあるんだけど」

モバP「うん、言いたいことは大体わかるよ」

モバP「きらりの使ってたポケモンだろ? たしかキテルグマ、といったか」

凛「うん」

凛「図鑑にあんなポケモンは載ってなかった。もしかしてあのポケモンは……」

モバP「ああ」

モバP「アイマスにいないポケモンとなると、おそらくあのポケモンはアローラ地方に生息する新種のポケモンなのかな」

凛「アローラ地方?」

モバP「アイマスから遠く離れた、南国のような気候の地方だよ」

モバP「他の地方と比べて独自の文化が発達していて、自然の多い環境だから生態系も独自のもの、らしい」

モバP「オレも行ったことないから、受け売りの知識しか持ってないんだけど」

モバP「きらりはその地方から――知り合いのツテなのか自分で行ったのかは知らないけど――そのキテルグマってポケモンを手に入れたんだろうな」

モバP「しっかしアローラかぁ。何度か学会で調査に行かせてほしいって頼んでるんだけど、毎回『どうせバカンス目的だろ』って一蹴されるんだよな」

凛「そっか。だから図鑑に情報がなかったんだ」

モバP「まあ、大会としては別に反則ではないし、皆も珍しいポケモンが見れたっていう程度の感覚だろうな」

凛「そうだね、あんまり騒いでなかったし」

凛「それを確認したかったんだ。ありがとう、モバP」

モバP「おう」

モバP「あと、そうだな、きらりがアローラのポケモンを持ってたってことは」

凛「?」

モバP「杏も未知のポケモンを使ってくる……可能性はあるかもな」


……………………………………………………

凛(杏……どんなポケモンを使ってくるんだろう?)

卯月「? 凛ちゃん、どうしたの」

凛「あ……いや、何でもないよ」

杏「ふっふっふ、エルフーンに踊らされちゃえ!」

杏「すりかえ!」

エルフーン「エルー!」サッ

トドゼルガ「!」

瑞樹『まずは前回に引き続きすりかえで先制してきたわね』

瑞樹『これ、相手にとっては対策がしづらい作戦ね。そもそもすりかえられてもいい道具なんてそうそうないでしょうし』

未央「……と、思うじゃん?」

未央「かかったね……」ニヤリ

杏「へっ?」

エルフーン「エル?」

杏「!? これは……とつげきチョッキ!?」

とつげきチョッキ
持たせると変化技を出せなくなる代わりに特殊防御を上げる

未央「あるんだなぁー、すりかえられてもいい道具が!」

杏「し、しまった……」

未央「いくよトドゼルガ! ふぶき!!」

トドゼルガ「トドー!」ビュォォォォォ

杏「エ、エルフーン、躱して!」

エルフーン「エルー!」ヒョイ

晶葉「なるほど、未央は相手の行動を完全に読んでいたようだな」

志希「とつげきチョッキなら自分の技構成を工夫さえすればエルフーンを封じれるからねー。なるほどなるほど」

志希「ってことは、未央ちゃんのトドゼルガは前回みたいにアンコールとかは使ってこないんだろうねぇ」

杏「ふー、避けれた……」ホッ

未央「でも空中だと動きづらいよね!?」

未央「トドゼルガ、アイアンヘッド!」

トドゼルガ「トドー!」

ゴッツン

エルフーン「エル……」ドサッ

恵磨『エルフーン、撃ち落とされて怯んでしまった!』

未央「よーし、今度こそふぶきだ!」

トドゼルガ「トドー!!」ビュォォォォォ

エルフーン「エル……!」

杏「ぎゃああ、杏のフトンがー!!」

凛(フトンって……)

エルフーン「エルー」バタンキュー

恵磨『ああっと、エルフーン早くもダウーン!』

ワァァァァァ

瑞樹『エルフーンは素早い分打たれ弱いわ。変化技を封じられたのが決め手だったわね』

未央「だから言ったでしょ? 杏ちゃんのバトル、しっかり見てきたよ、ってね!」

杏「ぐぐぐ……」

杏「だったらケッキングだ!」ポン

ケッキング「ケッ……」ボリボリ

未央「ケッキングか……なら交代だね、ゲンガー!」ポン

ゲンガー「ゲゲー!」

恵磨『未央選手、ケッキングのノーマル技を封じるゲンガーを繰り出した!』

未央「確かに前の試合のギガインパクトは強かったけど、ゲンガーには効かないよ!」

杏「ふっふっふ……それはどうかなぁ?」

杏「ケッキング、シャドークロー!」

未央「!?」

ケッキング「……ケッ!」

ズバッ

未央「ああ、ゲンガー!」

ゲンガー「ゲゲー……!」ズザァ

美玲「あのケッキング、ゴースト技も持ってた!」

杏「まあそりゃゴーストタイプ対策もちゃんとしとかないとだよねー」ドヤァ

ケッキング「ケッ……」ボリボリ

杏「あ、ケッキングお休みしてるし、攻撃どうぞー」

未央「なら遠慮なく! きあいだま!」

ゲンガー「ゲゲー!!」コォォォォ

ケッキング「ケッ……!」バシィ

恵磨『今度はゲンガーの大技もヒット!』

瑞樹『与えるダメージはほぼ互角ね』

杏「う、やるなあ」

杏「やっぱ休んでる場合じゃない! ケッキング、もっかいシャドークロー!」

ケッキング「ケッ……!」

未央「ゲンガー、躱して!」

ゲンガー「ゲゲー」ヒュッ

幸子「ゲ、ゲンガーが消えましたよ!?」

凛「いや、消えたんじゃない。影の中に潜んだんだ」

幸子「影に?」

晶葉「そう、ゲンガーは本来は影に潜むポケモンだからな」

ケッキング「ケッ……?」キョロキョロ

杏「うー、どこに隠れたんだよー。ゲンガーちゃ~ん、アメ玉あげるから出ておいで~」

未央「そんなに出てきてほしいなら、お望み通り!」バッ

ゲンガー「ゲゲー!」シュッ

杏「! ケッキング、後ろだ!」

未央「きあいだま!!」

杏「シャドークロー!!」

ゲンガー「ゲゲー……!」

ケッキング「ケッ……!」

ズバッ

バシィ

恵磨『お互いに技がヒットォ!』

瑞樹『これは相討ち……とはいかなさそうね』

ケッキング「ケッ……」バタン

ゲンガー「ゲー……」ヨロッ

恵磨『ダウンしたのはケッキングだぁぁぁぁーー!!』

ワァァァァァ

杏「あ、あれー?」

杏「……そうか、きあいだまってたまに特殊防御を下げる技だった」

未央「その通り! シャドークローも急所に当たってたらまずかったけどね」

杏「ぐー……だったら……!」

杏「未央、このポケモン見たことある!?」ポン

今回はここまでです。意外と短かった…
次回は金曜です。ありがとうございました


パソコンで対戦相手のポケモン見れて事前対策とれるっぽいが図鑑所有してるNGの3人てチョットズルいよね

投下します

>>483 ポケスペでも図鑑所有者なんて呼ばれ方されてますからねー

ネッコアラ「ネッコー」zzz

未央「!?」

未央「このポケモン……」

????
データ不明

未央(やっぱり……)

未央(新種のポケモン……!)

ザワザワザワザワ

凛(あれは……)

杏「そりゃないよね! だってアイマスにはいないんだもの!」

杏「やられる前にやるよ! ふいうち!」

ネッコアラ「ネッコー」

バシン

ゲンガー「ゲゲー」バタンキュー

恵磨『ゲンガーダウーン! しかし杏選手のポケモンは……』

瑞樹『さっきのきらりちゃんに続いて見たことのないポケモンを使ってきたわね』

輝子「なに……あのポケモン?」

乃々「……か、かわいい……」ポワワ

晶葉「志希、知ってるか?」

志希「んー、名前だけ。たしか……ネッコアラ、だっけなー」

凛「ネッコアラ……」

凛(モバPの予想通りだったね)

凛(あのポケモンもきっとアローラっていう地方のポケモンだ)

未央「戻って、ゲンガー!」シュゥゥ

未央「うー……何タイプだ、あのポケモン?」

未央「タイプがわからないなら、とりあえずボーマンダが無難かな……」

未央「よし!」ポン

ボーマンダ「ボー!」

恵磨『杏選手の未知のポケモン相手にボーマンダが登場です!』

未央「ドラゴンクロー!」

ボーマンダ「ボー!!」ズバッ

ネッコアラ「ネッコ……」

杏「飛び付いてじゃれつく!」

ネッコアラ「ネッコ!」ポコポコ

ボーマンダ「ボー……!」

未央「ボーマンダ!」

未央(フェアリー技は使ってきたけど、ドラゴンクローが通ったからフェアリータイプじゃない)

未央(あと考えられるのは……なんだろ、ノーマルとか?)

未央(もしそうだったら問題なく攻められるね……!)

未央「ボーマンダ、ドラゴンクロー!」

ボーマンダ「ボ……ボー!!」ズバッ

未央(よし、着実にダメージは与えてる)

杏「ネッコアラ、徹底的にじゃれつけー!」

ネッコアラ「ネッコ!」ポコポコ

ボーマンダ「ボー……!」

未央(……それにしても……)

ネッコアラ「」コクン

未央(あのネッコアラってポケモン、ずっとウトウトしてるけど)

未央(もしかして眠りながら戦ってる……?)

未央(そんなポケモンもいるんだな……って感心してる場合じゃないや)

未央「ボーマンダ、突っ込んで!」

ボーマンダ「ボー!!」ゴォォ

杏「迎え撃つよ!」

未央「と見せかけて……ストーンエッジ!」

ボーマンダ「ボー!」ゴゴゴゴ

ネッコアラ「!?」ドッ

ボーマンダ「ボー」

恵磨『ボーマンダ、ストーンエッジでネッコアラの動きを止めました!』

ギュン

瑞樹『そして旋回して距離を取ったわね』

瑞樹『ドラゴンクローが来ると相手に刷り込ませて不意を狙った、心理戦の勝利だわ』

ネッコアラ「ネッコ……!」

恵磨『ネッコアラ、岩に挟まれて思うように動けません!』

杏「う……!」

未央「よし……いくよ!」

未央「ボーマンダ! りゅうせいぐん!!」

ボーマンダ「ボー」ボッ

ドドドドド

茜「おお!!」

ネッコアラ「ネッコ……」

バタンキュー

恵磨『ボーマンダの大技が決まったー!! ネッコアラ戦闘不能!!』

恵磨『未央選手、ここは力と心理戦で制しました!!』

ワァァァァァ

晶葉「うまく立ち回ったな、未央!」

幸子「いい調子ですね! ここまで1匹しか倒されていません!」

晶葉「ま、まだ向こうにはフリーザーがいるがな」

凛「そうだね……フリーザーが出てくるまでにどれだけ持ちこたえられるか」

杏「……」

杏「カビゴン!」ポン

カビゴン「カビー」ドスゥン

未央(よし、ここまではいい調子だ)

未央(フリーザーが出てくるまで、なるべく手持ちを温存しないと……!)

未央「ボーマンダ、交代!」シュゥゥ

未央「いくよ、カポエラー!」ポン

カポエラー「カポー!」

恵磨『カビゴン相手にカポエラーが登場です!』

未央「カポエラー、まわしげり!」

カポエラー「カポー!」グルグル

杏「受け止めるよ!」

カビゴン「カビー!」ポヨン

美玲「おお、お腹で受けた!」

カポエラー「カポ……!」ズザザ

未央「うーん、やっぱり固い……いや柔らかい?」

未央(あの弾力のある体、『あついしぼう』の応用だね)

未央(生半可な攻撃は通じない……なら!)

未央「フェイント!」

カポエラー「カポッ」バシ

カビゴン「カビッ」グラッ

恵磨『カビゴンの足を掬いました!』

未央「よし、姿勢が崩れたところに……」

未央「インファイト!!」

カポエラー「カポー!!」

カビゴン「カビー……!」ボコスカ

杏「う、やるね」

瑞樹『なるほど、インファイトね』

瑞樹『カポエラーみたいな『テクニシャン』の特性を持つポケモンは自然と特性の効く範疇の技に縛られがちだけど』

瑞樹『未央ちゃんはそこに囚われず、単純な最大火力という点でインファイトを選んだわけね』

杏「まだまだ! のしかかり!」

カビゴン「カビー!」ズシーン

カポエラー「カポッ!」

未央「くっ……!」

未央「まわしげり!」

カポエラー「カポ!」グルグル

杏「効かないよ! お腹で受け止め――」

未央「カポエラー、額を狙って!」

カポエラー「カポ!」ギュン

恵磨『カポエラー、『あついしぼう』のお腹を避けてカビゴンの額に飛び込んだ!!』

カポエラー「カポー!!」

カビゴン「カビ……!」ボコスカ

未央「よし! このまま押し切る――」

杏「カビゴン、全力で眠れえー!!」

カビゴン「カビー」スヤァ

未央「ああっ!」

幸子「眠られてしまいました……!」

カビゴン「カビー」zzz

ポワワ

凛「カビゴンの体力がみるみる回復していく……!」

卯月「せっかく追い込んだのに……!」

凛「しかもあのカビゴンは眠りながらでも攻撃してくる……」

凛「次に起きるまでに倒しきれなかったら堂々巡りだ」

未央「……」

杏「カビゴン、ねごと!」

カビゴン「カビー」ボヤボヤ

カビゴン「カビ!」ピョーン

未央(飛び上がってきた……のしかかり!)

カビゴン「カビ!」ズズゥン

恵磨『カポエラーに直撃だー!』

瑞樹『これは耐えられないかしら――』

カポエラー「カポ!」グググ

杏「なっ!?」

未央「へへっ、ただじゃ終わらないよ!」

杏「まさか……カウンター!」

未央「その通り! 最初からちゃんみおの勝利は決まっていたのだ! いっけぇー!!」

カポエラー「カポー!!」ズゥン

カビゴン「カビー……!?」

恵磨『カポエラー、カビゴンを弾き飛ばしたー!!』

ズズゥン

未央「トドメのまわしげりー!」

カポエラー「カポー!」グルグル

カビゴン「カ、カビ……!」バシィ

カビゴン「カビ……」バタンキュー

恵磨『カビゴンダウーン!!』

ワァァァァァ

カポエラー「カ……カポー」バタンキュー

瑞樹『カポエラーもカウンターの反動で倒れたわね』

幸子「これで手持ちの差は倍になりましたね……!」

杏「くそー……クレベース!」ポン

クレベース「クレ」

未央「トドゼルガ!」

トドゼルガ「トドー!」

未央「あ、そのクレベース、もしかしてレオン島の……」

杏「お、未央もあそこ行ったんだ。寒かったよねー」

杏「ま、同郷対決ならなおさら負けられないね! のろい!」

クレベース「クレー」ググゥ

恵磨『クレベース、まずは能力を高めます!』

未央「攻撃あるのみ! しおみず!」

トドゼルガ「トドー!」ブシャァ

杏「ゆきなだれ!」

クレベース「クレ!」ドドド

恵磨『クレベース、トドゼルガの攻撃をせき止めました!』

杏「こっちからも行くよ! ジャイロボール!」

クレベース「クレー!」ギュォォォ

未央「トドゼルガ、受け止められるよね!」

トドゼルガ「トド!!」グッ

バシィ

トドゼルガ「トドー!」

クレベース「クレ……!」ズザァ

恵磨『今度はトドゼルガが『あついしぼう』でクレベースを跳ね返したぞ!』

杏「あっれー、おかしいな……ジャイロボールってこんなに効かなかったっけ?」

杏「……あー」

杏「そういやトドゼルガにくろいてっきゅう渡してたんだった……」

未央「アイアンヘッド!」

トドゼルガ「トドー!」シャキーン

クレベース「クレ!」バシィ

杏「あーちょっと! 杏のベッドがー!!」

未央「だからって手加減しないよ! もう一回!」

トドゼルガ「トドー!」ゴッツン

クレベース「クレ……!」

杏「ぐー、ゆきなだれ!」

クレベース「クレ!」ドドド

未央「効かないよ! アイアンヘッド!」

トドゼルガ「トドー!」

クレベース「クレ!」ゴッツン

クレベース「クレー」バタンキュー

杏「クレベース……!」

杏(そう、効かなくていいんだ。今は)

杏「クレベース、ありがとう……」シュゥゥ

恵磨『クレベース、トドゼルガの怒涛の攻撃に沈みました!!』

恵磨『ここまで未央選手が大きくリード! 杏選手、とうとう最後の1匹になってしまったぞ!!』

美玲「つ、ついにアイツが来るんだな……!」

今回はここまで。ネッコアラは手持ちに入れない選択肢がなかった

次回は月曜日、いよいよフリーザー戦です。ありがとうございました

乙 特性『もふもふ』繋がりとお布団(ベッド?)その2でバイウールーかと思った

投下します

>>513
これ書いてる時点ではまだ剣盾出てなかったんですよね
ボディプレス使えば普通に強いしいつか手持ちに入ってそうですね

杏「……お待たせ」

杏「さあ、存分にやっちゃってよ! フリーザー!!」ポン

フリーザー「フリー!!」バッサァ

恵磨『ここでついにフリーザーが登場です!!』

未央「フリーザー……!」

未央(手持ちは残り4体……総力戦で挑まなきゃ勝てない……)

トドゼルガ「トドー……!」

未央(トドゼルガが怖じ気づいてる……私がしっかりしないと!)

杏「フリーザー、ふぶき!」

フリーザー「フリー!!」ビュォォォ

トドゼルガ「トドー……!」

瑞樹『確かに強力な攻撃だけど、『あついしぼう』もあるし全然効いてないわね』

未央「トドゼルガ、怯まずいくよ! アイアンヘッド!」

トドゼルガ「トドー!」シャキーン

トドゼルガ「トド!?」ビタッ

未央「えっ!?」

杏「よーく見てごらんよ、トドゼルガの足元を!」

カチーン

幸子「トドゼルガの足元が凍り付いています!?」

凛「あれは……さっきのクレベースのゆきなだれ!」

凛「一度溶けた雪をふぶきでまた凍らせることで動きを封じたんだ!」

志希「今トドゼルガはくろいてっきゅうを持ってる。それに特性は『あついしぼう』。だから未央ちゃんは躱さず受け止める判断をした」

志希「杏ちゃんはそれを見越して、フリーザーに繋げるためにわざとゆきなだれを撃っていた……」

志希「なるほどー、あれは悪足掻きじゃなかったんだねー」

杏「みんなの仇だよ! フリーザー、ぼうふう!!」

フリーザー「フリー!!」

ゴォォォォォ

未央「うわああっ!?」

トドゼルガ「ト、トドー!」ブワッ

バリバリバリ

未央「そ、そんな……トドゼルガが吹き飛ばされた!?」

ズシーン

トドゼルガ「トドー」バタンキュー

恵磨『トドゼルガダウーン!! フリーザー強い、強すぎるゥゥー!!』

ワァァァァァ

晶葉「くろいてっきゅうを持っていて、しかも地面ごと凍結していたはずのトドゼルガをも吹き飛ばすとは……」

美玲「おっそろしいぜ……! 未央ー! 負けんなー!!」

未央「トドゼルガ、お疲れ様」

未央(すごいパワーだ……前の試合よりもずっと強力になってる)

未央(でもここは)

未央「相性では不利だけど……お願い、ジュカイン!」ポン

ジュカイン「ジュカー!」

瑞樹『エースのジュカインが出てきたわね』

杏「フリーザー相手にくさタイプで大丈夫かな!?」

未央「相性の差なんて関係ないね! ジュカイン、いわなだれ!」

ジュカイン「ジュカー!」ドドドド

杏「ぼうふうでぶっ飛ばして!」

フリーザー「フリー!!」ゴォォォォォ

乃々「い、いわなだれを押し返してる……!?」

フリーザー「フリィ!」

杏「岩に紛れて接近してくるよ、油断しないで!」

ジュカイン「ジュカッ!」ダッ

杏「上だ!」

フリーザー「フリー!!」ビュォォォォ

未央「くっ、ハードプラント!」

ジュカイン「ジュカ!!」ゴゴゴゴゴ

バシュゥゥゥゥ

恵磨『ジュカイン、地面から生やしたツタで間一髪、フリーザーの猛攻を防ぎました!』

ジュカイン「ジュカ……」スタッ

未央「ジュカイン、大丈夫!?」

ジュカイン「ジュカ……」ヨロッ

卯月「ああ、反動が!」

凛「突発的にハードプラントを出したからね」

杏「チャーンス! フリーザー、ふぶき!!」

フリーザー「フリー!!」ビュォォォォ

未央「! 躱して!」

ジュカイン「ジュカ……!」サッ

パキパキ

恵磨『ジュカイン、何とか避けましたがシッポが氷漬けになってしまったぞ!』

瑞樹『あの凍ったシッポはいわばくろいてっきゅうと同じ。あのままだと素早いジュカインにとっての枷になってしまうわ』

凛「避けきれなかった……!」

凛(でも未央なら……)

杏「今度こそ氷漬けにしてあげるよ!」

フリーザー「フリー!」

未央「そうはいくか! ジュカイン、全力で走って!」

ジュカイン「ジュカ!」ダッ

ビュォォォォ

ドドドドド

恵磨『何とジュカイン、横方向への回避でふぶきを躱し続けます!』

美玲「シッポが凍ってるのに、何てスピードなんだ……!」

凛(ジュカイン……いちばん未央と長く一緒にいるポケモンだもんね)

凛(レベルの高さはフリーザーに匹敵するぐらいだ)

未央「隙を見て――」

シャキーン

未央「今だ! アイアンテール!!」

ジュカイン「ジュカ!」バシィ

フリーザー「フリィ……!」バシィ

恵磨『アイアンテールが決まったー!!』

ワァァァァ

卯月「あのフリーザーの攻撃を躱しまくるなんて……!」

晶葉「アイアンテールはシッポを硬化させて攻撃する技だが、そのシッポが氷漬けになっていたことで更に重みが加わった。さしずめ氷のハンマーのような一発になったわけだな」

晶葉「そしてその一撃で――」

バキィッ

輝子「おお、氷が砕けた……!」

晶葉「これでジュカインは本来の機動力を取り戻したな」

幸子「この作戦が頭にあったから、未央さんはシッポが凍っても表情に出さなかったんですね! すごい……!」

フリーザー「フリ……」ヨロッ

ジュカイン「ジュカ」スタッ

未央(何とか一撃を加えられたけど)

未央(減らせた体力は三分の一ぐらい、か)

未央(できればアイアンテールで攻めたいけど、同じ戦法は通じないし)

未央(やっぱり地道に削るしかないってことだね)

未央「ジュカイン、いわなだれ!」

ジュカイン「ジュカ!」ゴゴゴゴ

杏「来るよフリーザー、飛んで!」

フリーザー「フリー!」バサバサ

フリーザー「フリ」キッ

未央「そこだ! ジュカイン、リーフブレード!」

ジュカイン「ジュカ!」ズバッズバッ

フリーザー「フリ!?」

恵磨『ジュカイン、リーフブレードで自身が放ったいわなだれを切り刻んだ!』 

恵磨『そして刻んだ岩の破片を空に撃ち上げたぞぉ!』

フリーザー「フ……フリ……!」ゴツッゴツッ

晶葉「岩の破片が食い込んでいく……まるでステルスロックみたいだ」

卯月「未央ちゃん、すごい……!」

フリーザー「フリ……!」

杏「ああ、フリーザー!」

未央「姿勢が崩れた! 今なら――」

未央「ジュカイン、懐に潜り込んでアイアンテールだ!」

ジュカイン「ジュカー!」シャキーン

恵磨『ジュカインが再び攻めてきたぞぉ!!』

瑞樹『これも大ダメージを与えられそうね』

未央「もらったぁぁーー――」



パキ

未央「え?」

卯月「えっ?」

凛「なっ……」

パキ……パキ……

パキパキパキパキ

ジュカイン「ジュカ……!?」

杏「……」ニヤリ

恵磨『フ、フリーザーの全身から凍てつく空気が放たれている! これは……』

恵磨『ぜったいれいどだぁぁぁぁーー!!』

ジュカイン「ジュカ……」パキパキパキ

ジュカイン「」ピキーン

恵磨『一撃必殺!! ジュカイン戦闘不能ーー!!』

ワァァァァァァァ

未央「ジュカイン!!」

杏「ふっふっふ……これがフリーザーの恐ろしさだよ」

杏「未央、なんでフリーザーが上空に飛んだ時にジュカインをずっと見つめていたんだと思う?」

未央「え……」


『フリーザー「フリ」キッ』


未央「! こころのめ……!」

杏「せいかーい。ああでもしないと素早いジュカインには当てられないと思ったからね」

杏「いやー、ぶっちゃけこのコンボで大体の相手は倒せるんだけどさ。それじゃ面白くないじゃん?」

杏「だから奥の手を使わせてもらったよ。もちろんこれを使ったのは前のフライゴンとこのジュカインだけ……だけどね」

未央「く……」

杏「悪いけど杏はチャンピオンになって本を出して印税生活するって夢があるんだ。その夢を邪魔するなら容赦しないよ!」

未央「!」

未央(そうか……杏ちゃんも、夢があるんだね)

未央(……)

未央(……わたしはどうなんだろう)

未央(ポケモンマスターになりたいって思いでアマミタウンを飛び出して、ここまで走ってきたけど)

未央(もししぶりんに勝っても、その先には何があるんだろう)

未央(……)

卯月「未央ちゃん……!」

凛「未央……!」

未央「……あたしにもね」

未央「あるよ、夢が」



…………………………………

凛『遅かれ早かれ戦うことにはなってたよ』

モバP『確かにな。でも俺は凛にも、卯月にも、未央にもいい所まで行ってほしいんだ。それこそ上位独占するくらいの勢いでさ』

未央(……!)

…………………………………



未央「私が勝ったら、喜ぶ人がいる」

未央「自分のことのように喜んでくれる人がいるんだ。その人にはきっと色んな思いがあったんだろうけど、私達をこうして旅に出させてくれた。私たちに、最初の一歩を歩ませてくれたんだ」

未央「だからちゃんみおにできることは――その人のためにも――」

ニコッ

未央「最後まで、顔上げて全力で!」

未央「お願い、エレザード!」ポン

エレザード「エレー!」

未央(ジュカインが頑張って繋いでくれた……ここで決める!)

杏「誰が来ようと一緒だよ! ふぶき!!」

未央「あくのはどうで相殺!」

エレザード「エレー!」ババババ

ビュォォォォォ

恵磨『ふぶきとあくのはどうがせめぎ合いますが――ふぶきが優勢か!』

エレザード「エレ……!」

未央「やっぱり防ぎきれないなら……」

未央「『パラボラチャージ』!」

エレザード「……!」

エレザード「エレ!」ビリビリビリ

フリーザー「フリッ!」バリバリ

エレザード「エレザー」

未央「これで回復……っと!」

杏「まだまだ! ぼうふう!!」

フリーザー「フリィ!!」ブワッ

未央「もう一回あくのはどうで相殺!」

エレザード「エレー!」

エレザード「エレッ……」ドッ

幸子「これも相殺しきれません!」

美玲「何やってんだ未央! 防戦一方じゃんか!」

卯月「もしかして未央ちゃん、フリーザーのPP切れを待ってるのかな?」

凛「それもあるだろうけど……」

凛「仮にふぶきとぼうふうを封じても、まだフリーザーにはぜったいれいどが残ってる」

卯月「そっか……!」

未央「パラボラチャージ!」

エレザード「エレー!」ビリビリビリ

凛(……ん?)

凛(パラボラチャージの威力、さっきより上がっているような……?)

杏「どうしたの!? 大技で来ないとフリーザーは倒せないよ!」

杏「次で終わりだよ……最大パワーでふぶき!!」

フリーザー「フリィィィ!!」

ビュォォォォォォォォ

恵磨『エレザードにふぶきが迫る……未央選手、万事休すかぁー!?』

未央「……」キッ

未央「終わらせるのはこっちだ!」

未央「エレザード、そうでん!」

エレザード「エレ!」ビビビ

ビュォォォォォォォォ

エレザード「エレ……」バチバチバチ

杏「な!?」

凛「そうでんで強引にダメージを減らした!」

未央「いくよ……エレザード」

未央「私は勝って……しぶりんの所まで行くんだぁぁ!!」

未央「かみなり!!」

エレザード「エレー」ゴロゴロゴロゴロ

恵磨『! これは……エレザードの周囲ににとんでもない電気エネルギーが迸っています!!』

瑞樹『あんな電気エネルギー、一体どこから……!?』

未央「いっけぇぇぇぇぇぇ!!」

エレザード「エレー!!」

バリバリバリバリ

フリーザー「フリ……!」

ズドォォォォォォン

恵磨『かみなりが直撃ー!!』

シュゥゥゥゥゥ

杏「あ……あ……」

フリーザー「フリ……!」


ズゥン


恵磨『フリーザー戦闘不能! よって決勝進出は――』

恵磨『未央選手に決定ーー!!』

ドワァァァァァ

未央「いよっしゃぁ!!」

エレザード「エレー!!」

卯月「か、勝った……!」ホッ

晶葉「うむ、よくやったな」

美玲「おお……すげぇ……」

乃々「ひぇぇ……」

茜「素晴らしい……素晴らしいバトルでした!!」

杏「うう……そんな……」

杏「フリーザー、ごめんね」シュゥゥ

杏「未央、ちょっと聞きたいんだけど」

未央「あ、さっきのかみなりのこと?」

未央「あれはねぇ――」



…………………………

未央『よーしエレザードくん、今から対フリーザーの作戦を伝授する!』

エレザード『エレー』

未央『いいかねエレザードくん。フリーザーは知っての通り強敵だ』

未央『いくらひこうタイプといえど、普通のかみなり程度なら難なく耐えてしまうだろう』

未央『じゃあどうすればいいかわかるかね?』

エレザード『エレー』

未央『その通り! 能力を上げて――しかも相手にバレずに上げることで――確実に1発で倒す!』

未央『そのためにだエレザードくん、試合中に私が「パラボラチャージ」と指示したら、敢えて「チャージビーム」を打ってほしいんだな!』

エレザード『エレ?』

未央『理由は3つ。まず1つは攻撃しながら能力を上げるため。もう1つは威力の弱い技で相手を油断させるため。最後に威力がパラボラチャージと同じだから!』

未央『多少威力が上がっていったとしても、相手が油断してるなら気づかないはず。気づかれたら……まあその時はその時でしょ!』

エレザード『エレ』ズコッ

未央『あはは……とにかく、チャージビームでこっそり能力を上げたら、前の試合と同じく『そうでん』で相手を動揺させて、特大のかみなりを撃ちこむ!』

未央『この作戦を成功させないと、フリーザー突破は厳しいだろうなー』

未央『というわけで頼りにしてるぞ、エレザードくん!』

エレザード『エレー』

…………………………


杏「はあぁ……そういうことかぁ……」

未央「えへへ、うまくいってよかったよ!」

杏「悔しいけどこれは一本取られたなあ。はぁ……印税生活は遠い……」

杏「とにかくおめでとう。次は凛だね……頑張って」

未央「うん、ありがとう!」

未央「杏ちゃんもすごく強かった! またバトルしようね!」

杏「もちろん。次は負けないよ」

グッ

パチパチパチパチ

恵磨『さあ、いよいよ明日は決勝戦! 凛選手と未央選手のマッチになります!!』

未央(そうか……次は凛と戦うのか)

未央(ついにここまで来たんだね……!)

キッ

凛(未央……)

凛(やっぱり決勝で会うことになると思っていたよ)

未央・凛「「……!」」キッ



…………………………

杏「あ、きらり」

きらり「杏ちゃーん、おっつおっつばっちしー☆」

杏「おう、お疲れー」

きらり「うゆゆー、杏ちゃんも負けちゃったねぇ」

杏「うん。でも未央はやっぱり強かった。悔しいけど負けは負けだね」

杏「フリーザーでも勝てなかったかぁ……」

きらり「……」

きらり「……ねえ、杏ちゃん」

杏「ん?」

きらり「きらりん、この大会が終わったらね――」

今回はここまでです
やはりフリーザーは強かった。これにて準決勝終了です
次回は日曜日、決勝戦。
ありがとうございました

投下します
今回からは凛VS未央です

現在のトーナメント表
https://i.imgur.com/0DUjfc2.png

凛 手持ちポケモン

・ゲッコウガ ♂ Lv.67 げきりゅう
みずしゅりけん/ハイドロカノン/つばめがえし/かげぶんしん
やんちゃなせいかく まけずぎらい

・ムクホーク ♂ Lv.66 いかく
ブレイブバード/インファイト/はねやすめ/おいかぜ
いじっぱりなせいかく うたれづよい

・ドリュウズ ♀ Lv.64 すなかき
ドリルライナー/アイアンヘッド/じわれ/いわなだれ
せっかちなせいかく ものおとにびんかん

・サンダース ♀ Lv.64 はやあし
シャドーボール/かみなり/じゅうでん/でんじは
おくびょうなせいかく ひるねをよくする

・サザンドラ ♂ Lv.65 ふゆう
りゅうせいぐん/あくのはどう/りゅうのはどう/かえんほうしゃ
なまいきなせいかく ちのけがおおい

・チャーレム ♂ Lv6 ヨガパワー
ドレインパンチ/しねんのずつき/じこさいせい/ビルドアップ
おだやかなせいかく しんぼうづよい

翌日

恵磨『さあ! さあ!! さあ!!!』

恵磨『皆様、たいへんお待たせいたしました!』

恵磨『長いようで短かった今年のポケモンリーグ、決勝戦をただ今より開催致します!!』

ワァァァァァ

瑞樹『この試合に勝った方が、明日の蘭子ちゃんとのチャンピオン決定戦に挑めるのね』

恵磨『はい、その通りです!』

恵磨『数多の強者を乗り越え、ポケモン達と逞しく歩んできた2名が今、バトルフィールドに降り立ちます!!』

恵磨『しかも! 今年の決勝戦出場選手は両者ともにリーグ初出場! さらに同じアマミタウンの出身でもあります!!』

瑞樹『アマミタウン……リーグが終わったら私も一度伺ってみようかしらね』

恵磨『それでは入場していただきましょう!』

ゴゴゴゴゴ

リーグスタッフ「どうぞ」

凛「……」

ザッ

未央「……」

ザッ

恵磨『凛選手、未央選手! 同時に入場致しました!!』

ワァァァァァ

美玲「ついに、あの二人が戦うんだな……」

幸子「そうですね……!」

輝子「うう、なんだか私まで緊張してきた……」

志希「……」キッ

乃々「あ、あの志希さんもマジメモードになってる……」

晶葉「本当だ、珍しいな」

志希(今日の晩ごはんどうしよ……)

こずえ「あ……お姉ちゃんたちだー……」

文香「お二人とも、かなり力んでいますね」

茜「そりゃーそうでしょう! もう宿命のライバルって感じがビンビン伝わってきますからね!!」

卯月「凛ちゃん……未央ちゃん……」


モバP「凛、未央」

モバP「二人とも、見違えるくらい大きくなったな……」

モバP「寂しくもあるけど、誇らしくもある」

モバP「さて、しっかり見届けさせてもらうよ」


真奈美「凛も未央も、いい表情だ」

真奈美「……笑いなさい。かつてそう教えたはずだからね」

真奈美「二人とも。この戦い、しっかり見ておくんだよ」

ありす「はい」

晴「もちろん!」

未央「しぶりん!」

ザッ

未央「決勝で会えるって信じてたよ!」

凛「未央こそ」

凛「未央と戦うならここしかないってずっと思ってた」

未央「うん!」

未央「そう言えばまだしぶりんとは旅に出てから2回しか戦ってなかったね」

未央「ここまで1勝1敗……ここで勝ち越して、蘭子ちゃんへの挑戦権もズバッと頂いちゃうよ!」

未央「全部ぶつけるからね……覚悟してて!!」

凛「こっちこそ……負けないよ」

恵磨『それではいざ尋常に……』



恵磨『決勝戦ッ! スタートォォォ!!』

凛「サンダース!」

ポン

未央「ゲンガー!」

ポン

サンダース「ダース!」

ゲンガー「ゲゲー!」

晶葉「まずはサンダースとゲンガーか」

瑞樹『共に速攻アタッカーを仕掛けてきたわね』

瑞樹『この大会、凛ちゃんも未央ちゃんも攻めのスタイルで勝ち抜いてきたわ。この決勝戦も小細工なしのぶつかり合いになりそうね』

凛「サンダース、でんじは!」

サンダース「ダース!」バリバリ

未央「躱してシャドーボール!」

ゲンガー「ゲー」サッ

ゲンガー「ゲゲー!」ボッ

凛「こっちもシャドーボール!」

サンダース「ダァ!」ボッ

ズドン

未央「さすがだね……!」

凛「未央こそ!」

シュゥゥ

凛(砂煙が消えた瞬間が勝負……)

凛「サンダース!」

サンダース「ダー!」

恵磨『サンダース、一気に距離を詰めてきました!』

凛「かみなり!!」

サンダース「ダー」ゴロゴロゴロ

サンダース「ダース!!」バリバリバリ

茜「かみなりが決まりました!!」

シュゥゥ……

サンダース「……!?」

凛「! かみなりが外れてる!?」

凛「あの間に後退していた……!」

未央「へへん、そう来ると思ったよ!」

未央「ゲンガー、ヘドロばくだん!」

ゲンガー「ゲゲー!」ドプッ

サンダース「ダース……!」ドバァ

恵磨『ああっとサンダース、ヘドロばくだんをモロに喰らってしまった!!』

晶葉「あの場面、サンダースが距離を詰めてくることを完全に読んでいたな」

志希「凛ちゃんのクセをわかりきってるねぇ」ニャフフ

サンダース「ダース……!」ドクドク

恵磨『さらにサンダース、毒を浴びてしまいました! これは痛い!』

凛「くっ……」

凛「……! そうだ!」

凛「サンダース、シャドーボール!」

サンダース「ダース!」ボッ

未央「こっちも!」

ゲンガー「ゲゲー!」ボッ

ズドン

美玲「またシャドーボール同士がぶつかった!」

未央(さっきと同じ展開……)

未央(サンダースはどう来る?)

未央(同じ手で来るのは考えにくいな……いったん様子を見るのもアリだけど)

未央「今度はこっちから攻めるよ! シャドーボール!」

ゲンガー「ゲゲ――」

凛「遅い!!」

サンダース「ダース」フッ

ゲンガー「ゲゲ!?」

未央「う、うそ!?」

恵磨『なんとサンダース、いつの間にかゲンガーの背中を取っている!?』

凛「かみなり!!」

サンダース「ダース!!」バリバリバリ

ゲンガー「ゲゲ!!」

志希「おぉ……!」

晶葉「零距離でのかみなりが決まった……なるほど」ニッ

ゲンガー「ゲゲー……!」ビリビリ

未央「ゲンガー!」

恵磨『ゲンガー、大技をまともに喰らって動けません!』

凛「シャドーボール!」

サンダース「ダース!」ボッ

ゲンガー「ゲゲッ!」

ドガッ

バタンキュー

恵磨『ゲンガーダウーン! まずは凛選手が先制!!』

ワァァァァァ

凛「よし!」

美玲「おお、やるじゃん!」

美玲「でもなんでサンダースはあんなに速く動けたんだ?」

晶葉「あれは限られたサンダースだけが持っている特性、『はやあし』だ」

はやあし
状態異常になると素早さが上がる

晶葉「毒状態になったのを逆手に取り、さっきと同じ戦法で不意を突いたと同時にスピードでゲンガーを圧倒した」

晶葉「大胆だが、さすがだな。やっぱり君にイーブイを預けて正解だったよ」

輝子「おー、なるほど……!」

未央「ゲンガー、お疲れ様」

未央「うーん、まさか同じ手を使われて負けるとは……」

未央「うん、やっぱりしぶりん相手に油断なんてできないね!」

未央「エレザード、よろしく!」ポン

エレザード「エレ!」

凛「エレザード……でんきタイプ対決だね」

サンダース「ダース……」ドクドク

凛(サンダースは毒のダメージがあるし、エレザードに有効な技を持ってないけど)

サンダース「ダース!」

未央「サンダースはやる気十分、みたいだね!」

凛「そうだね……!」

凛「いくよ、サンダース!」

サンダース「ダー!」

未央「エレザード!」

エレザード「エレ!」

凛・未央「「かみなり!!」」

バリバリバリバリバリバリ

恵磨『お互いのかみなりが激しくぶつかり合う!!』

瑞樹『大技の応酬ね……!』

晶葉「しかしこの勝負、サンダースは様々な面において不利だな」

晶葉「まず覚える技のバリエーションに差がある。サンダースはエレザードに対して有効打がないが、エレザードはそうとも限らない」

晶葉「それにサンダースはスピードはあれど、毒で身体が蝕まれている。普通なら交代が望ましいところだが」

幸子「でんきタイプ同士のプライド……でしょうか」

志希「うん。確かにポケモンバトルでは相性とかも大事だけど」

志希「それよりも大事なものがあの二人にはあるみたいだねー」

サンダース「ダース……!」ザッ

エレザード「エレ……!」ザッ

未央「やっぱり、かみなりを打ち続けるだけじゃ埒が明かない……」

未央「エレザード!」

エレザード「エレ!」ボコボコ

恵磨『エレザード、地中に潜りました!』

凛「これは……あなをほる!」

サンダース「ダース……」

凛「どこから出てくる……?」

凛「サンダース、走り回って!」

サンダース「ダー!」ダダダ

恵磨『サンダース、フィールドを駆け回って的を絞らせない狙いです!』

未央「いい作戦だね! たしかにサンダースは素早いよ」

未央「けど……」

サンダース「……」ダッ

未央「今だ!」

エレザード「エレー!!」ドガァッ

サンダース「!」

凛「!? 潜った穴から出てきた!?」

未央「きあいだまー!!」

エレザード「エレー!!」バシュッ

サンダース「ダース……!」ドゴォッ

サンダース「ダース」バタンキュー

恵磨『サンダース、ダウン!!』

ワァァァァァ

未央「へへ、まさか潜った穴からまた出てくるとは思ってなかったでしょ?」

凛「そうだね……完全に裏を突かれた」

凛「お疲れ、サンダース」

凛「ドリュウズ!」ポン

ドリュウズ「ドリュ!」

瑞樹『相性のいいドリュウズね。でもエレザードもドリュウズの弱点を突けるわ』

未央「エレザード、もう一度あなをほる!」

エレザード「エレ!」ボコボコ

幸子「また地中に潜りました!」

晶葉「エレザードはでんきタイプだが本来は砂漠に生息しているポケモンだ」

晶葉「地中でもドリュウズと張り合えないこともないだろうな」

凛「ならこっちも!」

ドリュウズ「ドリュ!」ボコボコ

恵磨『今度はお互いにフィールドの中へ潜りました!』

恵磨『果たして地面の中ではどんな攻防が繰り広げられているのか――』

凛「……」

未央「……」

ドカンッ

ドリュウズ「ドリュ……!」

エレザード「エレ……!」

恵磨『同時に地面から出てきた!』

未央「エレザード、きあいだま!」

エレザード「エレー!!」バシュッ

ドリュウズ「ドリュ!」ドガァ

恵磨『浮いたところを狙われた! ドリュウズ、これは避けられなぁーい!!』

ドリュウズ「ドリュ!」ズザァ

凛「ドリュウズ……まだいけるよね」

凛「構えて!」

ドリュウズ「ドリュ!」

ザッ

未央「もう一発喰らえー!! きあいだま!!」

エレザード「エレー!」バシュッ

恵磨『再びきあいだまがドリュウズに迫る!』

凛「ドリルライナー!!」

ドリュウズ「ドリュー!!」ギュルルルル

美玲「なっ、真正面から!?」

凛「きあいだまを打ち破れ!!」

ドリュウズ「ドリュー!!」

ギュルルルル

ズバァン

未央「ええ!? きあいだまが打ち消された!?」

ドリュウズ「ドリュ!!」

エレザード「エレ……!!」

ドゴォッ

エレザード「エレー」バタンキュー

恵磨『ドリュウズ、弱点のはずのきあいだまを強引に貫きました!! エレザードを撃破!!』

ワァァァァァ

茜「おお!!」

卯月「すごい……ドリュウズにあんなパワーがあったなんて」

凛(よし、うまくいった)

凛(『やわらかいすな』……こんなのでじめん技が強化されるのか不安だったけど)

凛(持たせておいて正解だったね)

やわらかいすな
持たせるとじめんタイプの技の威力が上がる

未央「エレザード、お疲れ様」

未央「じゃあ……トドゼルガ、よろしくー!」ポン

トドゼルガ「トドー!」

凛「やっぱりトドゼルガか……」

凛(きあいだまを2回も受けたし、ドリュウズは体力的にも限界かな)

凛「交代!」シュゥゥ

今回はここまでです

そういえば先週のアニポケで出てきたゲンガーは再登場してきそうですね
いつかはコハルの手持ちになるのか…?

次は土曜です、ありがとうございました


>>555
チャーレムLv 幾つ?

>>590
ご指摘ありがとうございます
チャーレムはLv64です、すいません

では投下します

凛「いくよ、チャーレム!」ポン

チャーレム「チャー!」

未央「へへーん、予想通り!」

未央「トドゼルガ、いばる!」

トドゼルガ「トドー」ドヤァ

チャーレム「チャー!!」ピキーン

凛「!」

恵磨『凛選手、トドゼルガに有利なチャーレムに交代しました……が!』

恵磨『いばるで混乱させられてしまったー!!』

美玲「ああ……!」

晶葉「まずいな……これで自分を攻撃し始めたら返り討ちにあってしまうぞ」

チャーレム「チャー」ピヨピヨ

未央「よし、今のうちに! トドゼルガ、ふぶき!!」

トドゼルガ「トドー!!」ビュォォォォ

凛「躱して!」

チャーレム「チャー!」バシィ

幸子「ああ、躱しきれません!」

チャーレム「チャー」ピヨピヨ

凛「チャーレム……」

凛「……!」

凛(そうだ、たしかチャーレムは……)

凛「チャーレム……無理に動かなくていい」

凛「目を閉じて、周りに集中して!」

チャーレム「チャ……チャー……」ジッ

恵磨『チャーレム、混乱に抗うように精神を集中させています!』

未央(しぶりん、何か企んでる……?)

未央「しおみず!」

トドゼルガ「トド!」ブシャァ

凛(水流が迫る……)

凛(でもチャーレムなら躱せるはず!)

チャーレム「……!」カッ

チャーレム「チャー!」ヒョイ

茜「おお!」

晶葉「そうか……チャーレムはサイコパワーで相手の動きを先読みする能力を持つ」

卯月「それで攻撃を躱せたんだね」

晶葉「ああ。覚えている技だけでなく、ポケモン本来の能力を活かすよう指示したんだな」

志希「うんうん! そうでなくちゃ!」

凛(よし……!)

凛「チャーレム、とびひざげり!」

チャーレム「チャー」ビュン

未央「ふぶき!!」

トドゼルガ「トドー!!」ビュォォォォ

チャーレム「!」

恵磨『このふぶきはチャーレムに直撃だー!!』

チャーレム「チャー……!」ドガッ

トドゼルガ「トド…!」ドガッ

瑞樹『トドゼルガにも攻撃は当たったけど、威力は抑えられたようね』

チャーレム「チャー……」ヨロッ

未央「よし、今がチャンス!」

未央「しおみずで追撃だー!」

トドゼルガ「トドー!」

凛「そうはさせない……!」

凛「チャーレム、じこさいせい!」

チャーレム「チャー」コォォォォ

ブシャァ

チャーレム「チャー」ザッ

恵磨『チャーレム、土壇場のじこさいせいで体勢を整えました!』

未央「うーん、倒しきれなかった……」

凛「お返しだよ、しねんのずつき!」

チャーレム「チャー!」コォォォォ

トドゼルガ「トド……!」ドガァ

トドゼルガ「トド……」フラッ

未央「トドゼルガ!」

凛「よし、怯んだ隙に……」

凛「とびひざげり!!」

チャーレム「チャー!」ビュン

ドガァ

恵磨『これは痛烈な一撃が決まりました!!』

トドゼルガ「トド……」バタンキュー

未央「ああ、トドゼルガ!」

ワァァァァァ

未央「『あついしぼう』のトドゼルガが耐えられないなんてね!」

未央「さすがだよ、しぶりん」

凛「未央こそ……チャーレムじゃなかったら危なかった」

未央「へへ……やっぱしぶりんと戦うのは楽しいな」

未央「……ねえ、しぶりん」

凛「?」

未央「私、次はボーマンダを出そうと思ってるんだ」スッ

凛「!」

恵磨『な……なんと未央選手、次に繰り出すポケモンを予告しました!?』

未央「しぶりんも持ってるよね? ドラゴンタイプのポケモン」

未央「というか、一緒に究極技を教わったよね」

未央「育てるのが難しいって言われているドラゴンタイプを頑張って育て上げた同士でさ」

未央「ここは一発、真正面からぶつかろうよ!」

凛「……」

カタカタ

凛(ボールが揺れてる……早く出してくれって急かしてるみたいだ)

凛「いいよ。受けて立とうじゃない」

凛「よし……よろしく、サザンドラ!」ポン

サザンドラ「サザー!」バッサァ

恵磨『凛選手、サザンドラを繰り出しました!』

未央「そう言ってくれると思ったよ! いっくよー、ボーマンダ!」ポン

ボーマンダ「ボー!」

恵磨『そして未央選手は予告通りボーマンダだ!』

瑞樹『サザンドラは愛梨ちゃんとの試合で進化してからは無敗ね』

瑞樹『ここでボーマンダが黒星をつけられるかしら?』

美玲「おお、ドラゴン同士のバトルだ……!」

茜「すでにオーラがとてつもないです……!!」

凛「サザンドラ!」

未央「ボーマンダ!」

卯月「同時に動き出した……!」

サザンドラ「サザ!!」

ボーマンダ「ボー!!」

ドゴォッ

晶葉「レベルも能力もほぼ互角……ということは」

文香「勝敗を分けるのは、トレーナーの力量……ですね」

志希「うんうん、面白いじゃん!」ニャフフ

凛「りゅうのはどう!」

未央「ドラゴンクロー!」

サザンドラ「サザー!!」バババ

ボーマンダ「ボー」ヒョイ

ボーマンダ「ボー!!」ズバッ

恵磨『まず先制したのはボーマンダだ!』

凛「サザンドラ!」

サザンドラ「サザー……」フラッ

未央「よし、追撃ぃー!」

凛「させない! 右腕で反撃!」

サザンドラ「サザー……」

バババ

ボーマンダ「ボー!?」ドゴォ

未央「くっ……!」

晶葉「本体がダメージを負っても両腕から援護射撃できるのがサザンドラの強みだな」

未央(あの腕からも攻撃が飛んでくるんだったね)

未央(でも本体の繰り出す攻撃よりは威力が弱い……そこを突く!)

未央「ボーマンダ、ドラゴンクロー!」

ボーマンダ「ボー!!」

凛「りゅうのはどう!」

サザンドラ「サザー!!」バババ

ボーマンダ「ボー!」ヒョイ

凛「速い……また躱された」

凛「なら腕からの攻撃で――」

凛「!? まさかそれが狙い!?」

サザンドラ「サザー!」バババ

未央「その通り! ボーマンダ、突っ切れぇー!!」

ボーマンダ「ボー!!」

ドドド

恵磨『ボーマンダ、腕からの攻撃を受けながら前進している!?』

ボーマンダ「ボー!!」

バッ

ズバァ

サザンドラ「サザー……!」

凛「くっ……サザンドラ!」

凛(もうこれ以上の攻撃は受け切れない……早く勝負をつけないと)

凛(これで……決める!)

未央「よーし!」

未央(何とか躱してきてるけど、もう一発でもサザンドラの攻撃は受けられないな)

未央(次の一撃で決めないと……!)

凛「サザンドラ!」

未央「ボーマンダ!」

「「りゅうせいぐん!!」」


凛「!?」

未央「!?」

晶葉「な……」

志希「シンクロしたねぇ」ニャフフ

卯月「ほぼ同時にりゅうせいぐんの指示……!」

サザンドラ「サザー!」ボッ

ボーマンダ「ボー!」ボッ

恵磨『こ、これは……』

恵磨『今大会でも猛威を振るってきたりゅうせいぐんが……なんと』

恵磨『同時に放たれようとしています!!』

サザンドラ「サザー!!」カッ

ボーマンダ「ボー!!」カッ

ドドドドドドドドドドドド

未央「うわあっ!?」

凛「……!」

ズゥゥゥゥゥン

幸子「ス、スタジアム全体が揺れてます……!」

晶葉「なんてパワーだ……!」

シュゥゥゥゥ

瑞樹『あら、フィールドが穴ぼこだらけになったわ……ほんとに恐ろしい技ね』

恵磨『ケホッケホッ……り、両者のポケモンは……?』

サザンドラ「サザー……」ドサッ

ボーマンダ「ボー……」ドサッ

恵磨『サ、サザンドラ、ボーマンダ、ダブルノックアウトだぁー!!』

ワァァァァァ

凛「サザンドラ……!」

未央「ボーマンダ!」

美玲「おお、相討ち…!」

文香「とても……迫力のある対決でしたね」

凛「……」

凛「よく頑張ったね、サザンドラ」

未央「ボーマンダ、戻って」

未央「へへ、サザンドラと真っ向から戦えて嬉しかったよ!」

凛「こっちこそ。ボーマンダも……本当に強かった」

凛(これで未央の残りの手持ちはカポエラーとジュカイン)

凛(手持ちの数では勝っているけど、まだ気は抜けないね)

凛(相性も有利だし、フィールドは穴だらけになったから、ここはムクホークかな)

凛「ムクホーク!」ポン

ムクホーク「ムクホー!」

未央「カポエラー!」ポン

カポエラー「カポー!」

恵磨『凛選手は前回の試合で大活躍したムクホーク!』

恵磨『だんだんと後がなくなってきた未央選手はカポエラーを繰り出しました!』

凛「ムクホーク、おいかぜ!」

ムクホーク「ムクホー!」バサッ

ヒュゥゥゥゥゥ

幸子「カポエラーより素早いはずのムクホークがおいかぜ……?」

凛「ブレイブバード!」

ムクホーク「ムクホー!!」ギュン

未央「なるほど……おいかぜで速度を上げてのブレイブバードってとこだね!」

未央「でも残念! カポエラー、みきり!」

カポエラー「カポ」キラッ

ヒョイ

ムクホーク「ムクホ……!?」

凛「しまっ……」

ムクホーク「ムクホー!」ドシン

恵磨『あーっとムクホーク、ブレイブバードを躱されてフィールドに激突してしまった!』

未央「まわしげり!」

凛「くっ、インファイト!」

ムクホーク「ムクホー!」

カポエラー「カポー!」グルグル

瑞樹『これはカポエラーが少しリードしている感じかしら』

凛「ムクホーク!」

ムクホーク「ムクホー!」ガシッ

瑞樹『……という訳でもなさそうね』

カポエラー「カポ!?」

恵磨『ムクホーク、ツメでカポエラーを受け止めた!?』

未央「カポエラーを鷲掴みに……!?」

晶葉「まさかフリーフォールか? しかしムクホークは覚えないはずだが……」

凛(そう、ムクホークはフリーフォールを覚えられない)

凛(でも持ち上げるまではいかなくても、相手を投げ飛ばす程度なら……)

ムクホーク「ムクホー」グルン

ムクホーク「ムクホー!」バッ

カポエラー「カポー……」ドガァ

輝子「おお、カポエラーを投げ飛ばした……!」

未央「やるね!」

未央(これで距離を取られた……ここは相手次第かな)

凛(下手に突っ込んだらまた返り討ちにあうかも……)

凛(いったん様子を見るか)

ムクホーク「……」

カポエラー「……」

恵磨『両者、睨み合って相手の次の手を伺っています……!』

凛「……」

未央「……」

未央「!」

未央「カポエラー、いくよ!」

カポエラー「カポ!」

卯月「カポエラーが動き出した!」

未央「まわしげり!」

カポエラー「カポ!」グルグル

美玲「距離が空いてるのにまわしげり……?」

未央「カポエラー、穴を使って飛び上がって!」

カポエラー「カポ!」

凛「!」

カポエラー「カポー!」ピョン

恵磨『カポエラー、フィールドの穴ぼこを利用して飛び上がった!?』

瑞樹『さっきのりゅうせいぐんで空いた穴をうまく使ったわね』

ムクホーク「ムクホ……!」バシィ

凛「くっ……!」

ドスン

恵磨『ムクホークが撃ち落とされました!!』

未央「よし、これで終わりだ!」

未央「カポエラー、ストーンエッジ!!」

カポエラー「カポー!!」ゴゴゴゴ

ムクホーク「ムクホー……!」ドガァ

ムクホーク「ムクホー」バタンキュー

恵磨『ムクホーク、ダウン!!』

ワァァァァァ

晶葉「うむ……これは未央の方が一枚上手だったな」

凛(……! ムクホークが倒された……)

瑞樹『手持ちの数ではまだ凛ちゃんが勝っているけど、チャーレムもドリュウズもさっきのダメージが残っているわ』

瑞樹『つまり状況はほぼ互角、ね』

今回はここまでです
次回でちゃんみおとのバトルは決着の予定

次は水曜です、ありがとうございました。

加藤純一(うんこちゃん) Youtubelive

ポケセン封鎖『プラチナ編』第9夜

『真・ポケモンセンター本当に終了のお知らせ
ver.プラチナ涙の最終回』
(18:05 配信開始)

https://youtu.be/ftcpZ-KR0cY

投下します

凛「ムクホーク、お疲れ様」

凛「……チャーレム!」ポン

チャーレム「チャー!」

凛「しねんのずつき!」

チャーレム「チャー!」コォォォ

未央「速い……!」

チャーレム「チャー!」ドガァ

カポエラー「カポー……!」

恵磨『カポエラー、チャーレムの攻撃を受け止め続けますが――』

瑞樹『さっきムクホークが吹かせたおいかぜでさらにスピードとパワーが上がっているわ』

瑞樹『これは耐えられないでしょうね』

カポエラー「カポ……」

未央「……まだまだ!」

未央「起死回生のカウンター!!」

カポエラー「カポ……」

カポエラー「カポォォォ!!」

ドゴォッ

凛「!?」

美玲「お互いに吹っ飛ばされた!」

チャーレム「チャー……!」

チャーレム「チャー」バタンキュー

カポエラー「カポー」バタンキュー

卯月「これも相討ち……!」

文香「これでお互いに、無傷で残っているのはエースのポケモンのみになりましたね」

凛(……)

凛(……残すはジュカインだけ)

凛(でもゲッコウガもドリュウズも相性が悪い……)

凛(やっぱり挑発に乗らずにサザンドラを残しておくべきだったかな)

凛(……いや)

凛(もしかしたら心のどこかで、私はこの対面になるのを望んでいたのかもしれない)

未央「はあ……もう最後の一匹かぁ!」

未央「早いような短いような……やっぱりしぶりんは強いね!」

未央「……ねえしぶりん、私ね」

凛「?」

未央「モバPからキモリをもらったこととか、3人で一歩目を踏み出したこととか、思い返したらほんと昨日みたいでさ」

未央「あれから辛いこともたくさんあったけど、今はこうやって夢にまで見たポケモンリーグでしぶりんとバトルできてる」

未央「だからあの時、旅に出てよかったって思えるんだ」

未央「旅をしていく中で、私が勝ったら喜んでくれる人も、応援してくれる人も、大好きなポケモンもたくさん増えたから!」

凛「……そうだね」

未央「それに……」

未央「昨日の夜にね、ジュカインの毛繕いをしてた時にさ」

未央「ジュカインが話しかけてくれた気がしたんだ。『チャンピオンになりたい』って。そう聞こえた気がする」

未央「それで私も、改めてジュカインの気持ちに応えなきゃなってなった。チャンピオンを目指しているのは、私だけじゃないから」

未央「だから……しぶりん」

未央「チャンピオンに挑むのはこのちゃんみおだよ!!」ポン

ジュカイン「……」ズッ

ジュカイン「ジュカァァァァ!!」

未央「お待たせ、ジュカイン」

未央「さあ、全力で弾けるよ!」

凛「未央……」

凛「私も、三人で一緒に旅に出てよかった」

凛「未央とも卯月とも、同じ舞台に立ててよかった。モバPもきっと喜んでくれるんじゃないかな」

凛「……ここまで来たんだ。チャンピオンに挑むのは……私だよ」

凛「ゲッコウガ!」ポン

ゲッコウガ「……」スッ

ゲッコウガ「ゲコ」キッ

恵磨『バトルは大詰め! ここで遂に両者のエース、ゲッコウガとジュカインが激突だぁぁーー!!』

瑞樹『わかるわ。あの二匹も、あの二人と同じ町から旅に出たのね』

瑞樹『そして、何回戦ってきたのかはわからないけど、こうして最高峰の舞台であるポケモンリーグで再会している』

瑞樹『否が応にも熱くなってしまう場面ね』

凛(ドリュウズは完全に消耗しきっている。これが最後の一匹……!)

未央「ゲッコウガ……ここで戦えるのを待っていたよ」

凛「全力で行くよ、未央!」

未央「望むところだー!!」

凛「ゲッコウガ!」

ゲッコウガ「ゲコ!」

凛「みずしゅりけん!」

ゲッコウガ「ゲコ!」シュバババ

未央「ジュカイン、リーフブレード!」

ジュカイン「ジュカァ!!」

スパッ

茜「おお……みずしゅりけんが真っ二つに!」

未央「そのまま突っ込むよ!」

ジュカイン「ジュカ!」ダッ

文香「ジュカイン、今までで一番気合いが入っていますね」

美玲「あのリーフブレード、喰らったらタダじゃ済まなそうだな……」

晶葉「そうだな。あれをうまく躱していかないと――」

凛「受けて立つ! つばめがえし!」

美玲「ええ!?」

ゲッコウガ「ゲコォ!」

ガキンッ ガキンッ

バチィッ!!

ゲッコウガ「ゲコ……!」ズザァ

ジュカイン「ジュカ……!」ズザァ

未央「つばめがえし……ジュカインへの対策で覚えてきたんだね」

凛「うん。真っ向勝負がしたかったからね」

未央「うんうん! こういうところで引かないのがしぶりんらしいよね!」

未央「本気のしぶりんと戦えて私、嬉しいよ」

凛(本気……)

凛(もしこの勝負、私がメガシンカを使っていたら――)

凛(なんて考えてる暇はなさそうだ)

ジュカイン「ジュカ!!」バッ

凛「みずしゅりけんを撃ちながら後退!」

ゲッコウガ「ゲコ!」シュバババ

恵磨『ゲッコウガ、相手を牽制しながら距離を取ります!』

ジュカイン「ジュカ!」バシィ

凛「よし、今だ! つばめがえし!」

ゲッコウガ「ゲコ!」ズバッ

恵磨『ゲッコウガのアッパーカットが決まったー!!』

未央「ジュカイン! ドラゴンクロー!」

ジュカイン「ジュカ……」

ジュカイン「ジュカ!!」ズバッ

ゲッコウガ「ゲコ……!」

恵磨『ジュカインもお返しの一撃!!』

恵磨『息もつかぬ攻防戦! 両者、一歩も譲りません!!』

ワァァァァァ

卯月「すごい……!」

茜「まるで自分が戦っているようで……身体が熱くなります!!」

文香「それに穴だらけのフィールドであれほど素早く、的確に動けるなんて……」

晶葉「相性はジュカインの方が有利だが」

晶葉「もうここまで来たらそんなものは関係ないな」

卯月「未央ちゃん……凛ちゃん……」

凛(ここまでほぼ互角……)

凛(でもジュカインはまだ大技を持っている)

凛(ハードプラント……あれを乗り越えないと)

凛(とにかく今は攻めるのみ!)

凛「ゲッコウガ、かげぶんしん!」

ゲッコウガ「ゲコ!」ババババ

ジュカイン「ジュカ……?」

未央「落ち着いて、ジュカイン!」

未央「全員まとめて相手するよ! アイアンテール!」

ジュカイン「ジュカ!!」シャキーン

バッ

凛「……!」

恵磨『ジュカイン、跳び上がりました!』

恵磨『高速回転しながらアイアンテールを分身にぶつけていきます!!』

ジュカイン「ジュカァ!!」グルグルグルグル

フッ フッ フッ

幸子「分身が徐々に消えて……」

フッ

晶葉「……いない!?」

凛「ゲッコウガ!」

ゲッコウガ「ゲコ!」

未央「後ろ……!」

未央「そんなの想定済みだよ!」

ジュカイン「ジュカ!」バシィ

フッ

未央「え!?」

凛「本体は……下だ!」

凛「つばめがえし!!」

ゲッコウガ「ゲコォ!!」ズバッ

ジュカイン「ジュカ……!」

凛「よし!」

未央「ジュカイン!」

未央「跳び上がったことが裏目に……」

未央「……いや、それを利用して!」

未央「ジュカイン、突っ込むよ!」

ジュカイン「ジュカ!」グワッ

志希「おお、重力で急降下してきた!」

未央「リーフブレード!!」

ジュカイン「ジュカァ!!」ズバッ

ゲッコウガ「ガァッ……!」

凛「くっ!」

未央「もう一発!」

凛「つばめがえし!」

ジュカイン「ジュカ!!」

ゲッコウガ「ゲコ!!」

ズバッ

ジュカイン「ジュカ……!」

ズバッ

ゲッコウガ「ゲコ……!」

ワァァァァァ

恵磨『お互いに技がヒット! 両者、ここまでほぼ互角に渡り合っています!!』

瑞樹『……』

恵磨『み、瑞樹さん?』

瑞樹『……』

美玲「解説の人が喋らなくなった……」

美玲「……ってあれ?」

晶葉「……」

志希「……」

文香「……」

卯月「……」

美玲(み、みんな黙りこんぢまった)

美玲(そうか……本当にすごいバトルって、こんなことになるんだな)

未央「しぶりん!」

未央「そろそろ決着をつけよう……!」

凛「うん……!」

未央「この一撃に……私たちの全部を乗せる!!」

未央「ジュカイン! ハードプラント!!」

ジュカイン「ジュカ……」

ジュカイン「ジュカァァァァ!!」

ゴゴゴゴゴゴゴ

恵磨『ジュカインの究極技が放たれたー!!』

恵磨『地面から伸びる巨大なツタがゲッコウガを襲います!!』

凛「ハードプラント……!」

凛(この時を待っていた……)

凛(この作戦、きっと一か八か――)

凛(いや、違う! 絶対に成功させる!)

凛(ゲッコウガを信じるんだ!!)

凛「ゲッコウガ! ツタに飛び乗るよ!」

ゲッコウガ「ゲコ!」バッ

ズォォ

ゲッコウガ「ゲコ」ヒュン

タッ

ゲッコウガ「ゲコ!」

ダダダダダ

恵磨『な、なんと! ゲッコウガ、俊敏な動きでハードプラントの上を走っている!?』

未央「そんな……!?」

恵磨『ツタの合間を掻い潜っていく……まるで忍者だ!』

ダダダ

バッ

ジュカイン「……!?」

凛(視界に捉えた……!)

凛「よし……今だ!」

凛「ゲッコウガ、ハイドロカノン!!」

ゲッコウガ「ゲコ!」ゴポッ

ゲッコウガ「ゲコォォォ!!」

ドドドドドドドド

ジュカイン「ジュカ……!!」

恵磨『今度はゲッコウガの究極技が炸裂だーーー!!』

晶葉「決まった……か!?」

未央「……!」

ジュカイン「ジュカ……」

ヨロッ

未央「ジュカイン……」


未央「負けないで!! ジュカイン!!」


ジュカイン「……!!」


グッ


ダァン!!

恵磨『――!? なんとジュカイン、踏みとどまったぁ!?』

ゲッコウガ「ゲコ!?」

ジュカイン「ジュカァァァァァァ!!!」

ズバッ

凛「……!」

フッ

ズドォォォォォン

凛「……! ゲッコウガ!!」

恵磨『ジュ……ジュカイン、よろめきながらも踏ん張って』

恵磨『ゲッコウガを吹っ飛ばしました!!』

晶葉「な……あの一撃を受けて倒れないなんて……」

こずえ「……」

こずえ「ジュカイン……お姉ちゃんが悲しむの、悲しい……って」

晶葉「まさか……トレーナーのために最後の力を振り絞ったのか……?」

シュゥゥゥゥゥ

ゲッコウガ「……」

ジュカイン「……」

ヨロッ

恵磨『2体が一斉に倒れた……!?』

恵磨『……いや!』

ジュカイン「ジュカァ……!」

ジュカイン「……!」

ドサッ

ゲッコウガ「ゲコ……」ガッ

グググ

ゲッコウガ「ゲコォォォォォ……!!」

瑞樹『先に倒れたのは……ジュカインのようね』

恵磨『ジュカイン、戦闘不能!』

恵磨『決勝戦、勝者は……』

恵磨『凛選手ぅぅぅぅ!!!』

ドワァァァァァァァ


ゲッコウガ「ゲコ……」フラッ

凛「……!」

バッ

凛「ゲッコウガ……!」

ゲッコウガ「ゲコ……」

凛「ギリギリまで……堪えてくれたんだね」

凛「ありがとう。……ありがとう」ギュッ

ゲッコウガ「ゲコー」

未央「……」

未央「ジュカイン……お疲れ様」

未央「……」

未央「……」グッ

未央「……ううん、泣かない」

未央「しぶりん!」

凛「未央……」

未央「しぶりんの全力、バッチリ受け止めたよ」

未央「はー……これでまたしぶりんに勝ち越されちゃった!」

凛「そんなことないよ……どっちが勝ってもおかしくなかった」

未央「えへへ、ありがとう」

未央「正直ね、すごく悔しい。でも、しぶりんに負けたら、何かスッキリしちゃった!」

未央「あ、諦めたわけじゃないからね! ゆっくり休んで落ち着いたら、また来年のリーグに向けて特訓するつもりだし」

未央「次こそはぜーったいに負けないからね!」

凛「私こそ……負けないよ」

未央「明日の試合、ちゃんと見てるからね」

未央「……頑張って!」

凛「うん……ありがとう」

凛「本当にいい勝負だった。ここで未央と戦えてよかったよ」

グッ

パチパチパチ

美玲「……はぁ」

輝子「見てるこっちまで疲れた……」

乃々「もりくぼも……疲れた……」

幸子「まさに手に汗握る名勝負、でしたね」

晶葉「ああ。こんなにいいバトルを見たのはいつぶりだろうか」

志希「バトルだけじゃない、二人の熱い友情……ポケモンとトレーナーの絆……いやあー、たまにはこういうのもいいもんだねぇ」

文香「本当に……素晴らしい一戦でした」

こずえ「お姉ちゃんたち……どっちもすごかった……」

茜「うっうっ……私、思わず涙が……」グスッ

卯月「あはは……茜ちゃんったら大袈裟だよ」

卯月(でも……大袈裟じゃないのかも)

卯月(凛ちゃん、未央ちゃん、ありがとう)

卯月(二人のバトルを見てたら、私……本当にやりたいことが見つかった気がする)



その夜

モバP「……」

コンコン

モバP「未央、いるか?」

未央「あっ、モバP……」

モバP「ちょっといいかな?」

未央「うん……大丈夫だよ」

モバP「そうか、じゃ失礼するよ」

ガチャ

モバP「お疲れ様……本当に、いい勝負だった」

モバP「最後の最後までどっちが勝ってもおかしくない試合だった」

モバP「凛も未央も卯月も、見違えるぐらい成長しててさ」

モバP「なんか勝手に感動しちゃったよ。ははは」

未央「モバP……」

未央「私ね。一人じゃここまで強くなれなかった」

未央「私を信じてくれるポケモンがいた。高め合える仲間がいた」

未央「それに……ずっと応援し続けてくれた人がいた」

モバP「……」

未央「モバP。私たちを旅に送り出してくれてありがとう」

未央「そして……私たちをここまで連れてきてくれて、本当にありがとう」

未央「ねえ。……最後のわがまま、聞いてもらっていい?」

モバP「おいおい……」

モバP「勝手に最後だって決めつけるなよ」

モバP「俺はこれからもお前たちの一番のファンだし、兄貴分でいたいからな!」

未央「……!」

ポロッ

未央「モバP……ずるい」

未央「ずるいよぉ……!」ポロポロ

モバP「未央……」

未央「うわぁぁぁぁん!!」

今回はここまで

次回は月曜日に投下します
どうしても登場させたかった担当の子がいるので、最終決戦前にもう一本サイドストーリーをお送りします

読んでいただきありがとうございました

投下します
今回は番外編、サイドストーリーです

サイドストーリー「スズランとタンポポ」



凛が旅立つ半年前 キクチシティ

??「よいしょ! よいしょ!」

トスン

??「ふう、これで全部ですね!」

村人「ありがとう有香ちゃん、助かったよ」

有香「いえいえ、これくらいお安いご用ですよ! 筋トレにもなりますし!」

村人「いやあ、有香ちゃんにはいつも助けてばかりだなあ」

村人「これ。よかったら食べてよ」

有香「わあ……モモンのみがたくさん!」

有香「こんなにもらっていいんですか?」

村人「いいよいいよ。この前知り合いから送られてきたんだけど、どうせ僕一人じゃ食べきれないし」

有香「ありがとうございますっ!」ペコッ

村人「いやいや、お礼を言いたいのはこっちの方だよ」

村人「いつもありがとうね」

有香「また困ったことがあったらお助けします!」

村人「うん、そうさせてもらうよ」

ジーッ

有香「……?」

有香(誰かの視線を感じる……)

ジーッ

有香(どこだろう……)キョロキョロ

有香(!)

ガサッ

ピクニックガール「あっ……」

有香「あ……」

有香「も、もしかしてさっき、あたしのこと、見てましたか?」

ピクニックガール「あっ、あの、その……すみません……」

ピクニックガール「あの私、この町のジムリーダーを探しているんですけど……」

有香「ジムリーダー……」

有香「それはあたしのことですね!」

ピクニックガール「え?」

有香「いかにも、あたしがキクチシティのジムリーダー、かくとうタイプの有香です! 押忍!」

ピクニックガール(お、押忍……?)

有香「もしかして、挑戦者の方でしょうか?」

ピクニックガール「あっ、はい、そうです!」

有香「わかりました!」

有香「ではついてきてください。この先のジムでお相手いたしますので!」

ピクニックガール「は、はい!」

イシツブテ「イシー」バタンキュー

ピクニックガール「ああ、ぶーちゃん!」

コジョフー「コジョ」スタッ

有香「勝負あり! ですね。対戦、ありがとうございました」ペコリ

有香「残念ながら、あなたにはまだジムバッジはお渡しできませんね」

ピクニックガール「うう……」

有香「……もしかして、イシツブテ以外のポケモンを持っていないのでしょうか?」

ピクニックガール「は、はい……」

ピクニックガール「前のジムはでんきタイプだったので、このままぶーちゃんで行けるかと思っていたんですけど……」

有香「そうですか」

有香「ですがあたしはかくとうタイプ使い。イシツブテでは相性が不利ですね」

有香「……この町の北側にあるタカギのどうくつ、あなたも通ってきましたよね?」

ピクニックガール「は、はい」

有香「どうやらあのどうくつには、跳び跳ねることでサイコパワーを生み出すポケモンが生息している、と聞いたことがあります」

有香「そのポケモンを捕まえてきたら、きっと有利に戦うことができると思いますよ!」

ピクニックガール「そ、そうなんですか!」

ピクニックガール「あ、ありがとうございます! さっそく行ってみます!」

有香「はい! また挑戦しに来て下さいね!」

タッタッタッ

有香「ふう……」

パチパチパチ

ジムの清掃員「有香ちゃん、お見事だねぇ」

有香「あ、見ていたんですね。ありがとうございます」

ジムの清掃員「でも……いいの?」

ジムの清掃員「エスパータイプのポケモンは有香ちゃんには不利だし、ジムバッジを持っていかれちゃうわよ?」

有香「いえいえ、ジムリーダーとはポケモントレーナーを指導する役目でもあるので!」

有香「最終的には勝って、あたしを越えていってほしいんです」

有香「それにあたしのコジョフーはエスパータイプ相手にも簡単には負けませんから!」

コジョフー「コジョ」ドヤァ

ジムの清掃員「そう、ならいいけれど」

ジムの清掃員「ほんと、有香ちゃんはお人好しというか何というか……」

ジムの清掃員「すっかりお父さんに似てきたわねえ」

有香「あはは……そんなことないですよー」

有香(そう、あたしはいつか越えられていく存在)

有香(もちろん簡単に勝たせるわけにはいかないけれど、ジムリーダーとはそういうものなのだから)

有香(ジムリーダー……)

有香(……でも本当は、あたし)


その日の夜

有香「よし……これでパトロールは終了ですね」

有香「今日も異常なし、と」

有香「……ん?」

チラッ

有香(道の路肩に、何か咲いている)

有香(あれは……何だろう)

ザッ

有香(……?)

有香「スズラン……」

有香「こんなところに咲いていたなんて、気づかなかったな」

有香「きれい……」

グスッ

有香「!」

有香(今……人の気配が?)

グスッ

有香(また聞こえた……)

有香(泣いているの……?)

有香(も、もしかして、お化け……)ゾクッ

グスッ

有香「う、も、もう帰った方が……」

有香「……いや! ここで怖じ気づいたらジムリーダーの名が泣きます……!」

有香「勇気を出して……こっちの方かな……?」ザッザッ

グスッ

有香(……物陰の隅で誰かが膝を抱えて泣いている)

有香(女の子……?)

有香「あ、あの……」

??「!?」ビクッ

有香「あ……驚かせちゃったらごめんなさい!」

有香「どうかしたんですか?」

??「あ、あの……私……」

??「うっ……うっ……」グスッ

有香「わ、と、とりあえず、移動しませんか?」

有香「こんな所にいたら風邪ひきますし……」

有香「あたしの家、すぐ近くなんです。動けますか?」

??「は、はい……」

有香宅

コトッ

有香「どうぞ。温かいですよ」

??「ありがとう、ございます……」

ゴクッ

??「……」

有香「落ち着きましたか?」

??「はい、何とか」

有香「よかった。あたしは有香です。この町でジムリーダーをやっています」

有香「見かけない顔ですけど……」

??「あ、まだ名乗ってなかったですね……」

ほたる「私、ほたるって言います。出身は……アイマス地方ではないんです」

ほたる「その、私……ずっと旅をしていまして」

ほたる「今夜はこの町で宿を取ろうと思っていたのですが、どこかで財布を落としてしまったみたいで」

ほたる「それで途方に暮れていたところを……」

有香「そうだったんですか」

有香「あの、もしよければ、今夜は泊まっていっても大丈夫ですよ」

ほたる「……! 本当ですか?」

有香「ええ、あたしは床で寝るので、ベッドも使ってもらっても大丈夫です!」

ほたる「そ、そんな……それは申し訳ないです」

有香「いえいえ、困っているときはお互い様ですから!」

ほたる「……」

ほたる「あ、ありがとうございます……でも私、その、ベッドより床の方がよく眠れるので、やっぱり床で眠らせてもらいます」

有香「わかりました!」

有香「そうだ、お腹は空いていませんか?」

ほたる「そ、そんな……そこまでしていただかなくても大丈夫ですよ」

グゥー

ほたる「あ……」

有香「大丈夫じゃなさそうですね……じゃあ何かお作りしますね!」

ほたる「す、すみません……」

有香「たしか冷蔵庫に卵があったはず……」

パカッ

有香「あ、殻が入っちゃった……」

ほたる「……」


有香「ケチャップの賞味期限が近いな……」

有香「そうだ、チキンライスにしましょう!」

ジュー ジュー

有香「~~♪」

ジュワッ

有香「ひえっ!?」

ほたる「だ、大丈夫ですか……?」

有香「あ、ああ、大丈夫です! 油が飛んだだけですので!」

ガタッ

ほたる「あっ……」

パリーン

有香「ああ、お気に入りのお皿が……!」ガックリ

ほたる「……」

コトン

有香「色々とお騒がせしましたが」

有香「オムライスです、どうぞ!」ジャーン

ほたる「わあ……おいしそう……!」

ほたる「いただきます」

パクッ

有香「お口に合いましたか……?」

ほたる「……」

パクッ パクッ

ほたる「……」

有香(あれ、オムライスは苦手だったのかな?)

ほたる「……」

ポロッ

ほたる「う……」

ほたる「ううっ……」グスッ

有香「ええ!? だ、大丈夫ですか!?」

ほたる「ううっ……大丈夫です、とてもおいしいです……」

ほたる「でも、私……」グスッ グスッ

ほたる「……すみません。このオムライスをいただいたら、やっぱり私、出ていきます」

有香「え……?」

ほたる「これ以上、ご迷惑をおかけするわけにはいかないので……」

有香「……」

有香「……あたしでよければ」

有香「何か話してもらえませんか?」

有香「力になれるかはわかりませんけど、でもあたし、ほたるさんを放っておけないんです」

ほたる「……」ジッ

有香「……」ジッ

ほたる「……」

ほたる「……私は昔から、不幸体質なんです」

有香「……!」

ほたる「物心ついた時から、私の近くでは、いつもよくないことが起きていました」

ほたる「周りからは疫病神だって罵られて。だから私は、故郷の町を追い出されました」

ほたる「それで各地を転々としていたんですが、やはり行く先々で、私と関わった人やポケモンは不幸な目に遭っていきました」

ほたる「その度に、『お前のせいだ』って責められて……」

ほたる「今では私の側にいてくれるのは、このヤミカラスだけで」カタッ

ほたる「何か嫌なことが起きた日は、宿の部屋の中とか、誰にも見られない場所で泣いていたりするんです」

ほたる「でも、今日は遂に財布まで落としてしまい、宿に泊まることもできなくなりました」

ほたる「だから、さっき火傷しそうになったりお皿が割れてしまったり、あれは全部私のせいなんです。きっと」

有香「……」

ほたる「これ以上ご迷惑をおかけするわけにはいかないというのは、そういう意味です」

ほたる「有香さんには本当に感謝しています。ありがとうございます」ペコッ

有香「……そんな……」

有香「そんなこと……!」

ポロッ

ほたる「……!」

有香「そんなこと、あるわけないじゃないですか……!」

有香「あれは全部あたしの凡ミスなんです……ほたるさんは何も悪くない!」

有香「それに、何もかもほたるさんが悪いなんて簡単に決めつけられないじゃないですか!」

ポロッ ポロッ

有香「だからもう、自分のことを……責めないで下さい……」

ほたる「……有香さん……」

ほたる「どうして……どうしてそこまで……」

ポロッ ポロッ

――――――――――――――――――――――――――――

有香「すみません、あたしまで泣いちゃって……」

有香「なんか、ほたるさんの気持ちを考えたら、やるせなくなったといいますか、悔しかったといいますか……」

ほたる「いえ……」

ほたる「自分のために泣いてくれる人がいるなんて、思いもしませんでした」

ほたる「有香さんはとても優しい方ですね」

有香「い、いや、そんなことは……」

ほたる「……ふふっ」

ほたる「何だか、有香さんがジムリーダーだというのも、納得できます」

有香「そ、そうですか?」

ほたる「……この町では、長くジムリーダーをやっているのですか?」

有香「そうですねー、といってもまだ2年ぐらいですけれど」

有香「あたしの父もジムリーダーだったんです。2年前に父が引退して、あたしが後を継ぎました」

ほたる「そうだったんですか」

有香「ジムリーダーとしては、まだまだ未熟ですけどね……あはは」

有香「……でも、あたし」

ほたる「?」

有香「一度も、挑戦者としてポケモンバトルをしたことがないんです」

有香「小さいときからジムを継ぐことを期待されて、ずっと修行を繰り返していました」

有香「だからあたし、今でも町の外に出ることもめったになくて」

有香「……今日も、挑戦者とポケモンバトルをしたんですけど」

有香「挑戦者は皆、すごくいい眼をしてやって来るんです。野心に燃える眼、っていうのかな」

有香「それが羨ましかったりして……いつかあたしも旅に出て、まだ見ぬトレーナーやポケモン達と、チャレンジャーとしてバトルをするのが夢なんです」

有香「まあ、その夢が叶うのは何年後でしょうかね……あはは」

有香「あ、このことは誰にも話さないで下さいね! ジムリーダーもジムリーダーで楽しいこともいっぱいあるので!」

ほたる「……」

ほたる「すごく、素敵な夢ですね」

有香「え?」

ほたる「有香さん、すごく輝いて見えます」

ほたる「私には何もできないかもしれないけれど、私、有香さんを応援したいです」

ほたる「夢……叶うといいですね」ニコッ

有香(……!)

有香(ほたるさん……あんなに辛い経験をしてきたのに)

有香(笑った顔がすごく素敵だ)

有香(それに、さっきヤミカラスの入ったボールに手を添えたとき)

有香(すごく真っ直ぐな眼をしていた)

有香(……)


翌朝

ほたる「本当に、お世話になりました」ペコッ

有香「……」

ほたる「一文無しなのは変わりないですけど、今日からまた何とかやっていきます」

ほたる「有香さんのような親切な方もいると考えたら、少し気持ちが楽になりました」

ほたる「本当に……ありがとうございました」ペコリ

有香「……」

ほたる「それでは――」

有香「ちょ、ちょっと待って下さい!」

ほたる「!」

有香「あの、いきなりですみません。あたしとポケモンバトル、しませんか?」

ほたる「えっ?」

ほたる「いいですけど、ど、どうしてですか?」

有香「いえ、何となく! ジムリーダーとしての血が騒いだというか、何というか……」

有香「ポケモンセンターの前にバトル用のフィールドがあるんです。そこでよろしいですか?」

有香「ルールは一対一! 手短に済ませるので!」

ほたる「は、はい!」

ほたる「ヤミカラス、つばさでうつ!」

ヤミカラス「ヤミー!」バシィ

コジョフー「コジョ!」

コジョフー「コジョー」バタンキュー

有香「……!」

ほたる「か……勝ちました……!」

ヤミカラス「ヤミ~♪」

有香「お疲れ様です、コジョフー」

有香「……」フゥ

有香「対戦、ありがとうございました。完敗です」ペコリ

有香「ほたるさん」

ほたる「は、はい」

有香「もしよければ……この町に住みませんか?」

ほたる「!」

有香「さっきのバトル……実は勝ち負けどうこうではなく」

有香「ほたるさんがポケモンに対してどんな気持ちを抱いているか、ということを知りたくて、バトルを挑ませてもらいました」

有香「試すような真似をしてすみません」

有香「でも、これで確信が持てました。心優しいほたるさんなら……きっとこの町の人たちは受け入れてくれると思います」

有香「どうでしょうか?」

ほたる「……!」

ほたる「ありがとう、ございます……!」

ほたる「……!」ハッ

ほたる(そういえば。夕べ……)


有香『いつかあたしも旅に出て、まだ見ぬトレーナーやポケモン達と、チャレンジャーとしてバトルをするのが夢なんです』


ほたる(チャレンジャーとして……)

ほたる(有香さんが、おそらく誰にも打ち明けなかったことを私に話してくれた)

ほたる(私なら……)

有香「……? どうかしましたか?」

ほたる「……あの」

有香「?」

ほたる「もし、この町に住ませてもらえるのであれば」

ほたる「私に、ジムリーダーをやらせてもらえませんか?」

有香「……!」

ほたる「有香さん、お話しされてましたよね。いつかチャレンジャーとしてポケモンバトルをしたいって」

ほたる「私がジムリーダーになれば……その夢を叶えられると思うんです」

ほたる「私なりに……有香さんに恩返しをさせてもらえませんか?」

有香「……」

有香(さっきのバトル、あたしも結構本気でバトルしたつもりだったけど)

有香(ほたるさんの実力は本物だ)

有香(あたしのコジョフーは相手の攻撃を躱しつつ、『ヨガのポーズ』で攻撃力を上げていく戦い方が得意だけど)

有香(ヤミカラスはそれを『くろいきり』で打ち消してきた)

有香(ただ攻めるだけじゃない、ああいう臨機応変な戦い方ができるのなら……)

有香「……わかりました」

有香「手続きとか、色々あるので、それが終わり次第――」

有香「次のキクチシティのジムリーダーを、ほたるさん。あなたに任命させて下さい」

ほたる「……!」

有香「ほたるさん」

有香「あなたが本当に不幸体質なのかどうかは、あたしにはわかりません」

有香「でも、あなたのような人に出会えて……あたしはすごく幸せ者です」

有香「それにヤミカラスも、すごく幸せそうです」

有香「ポケモンが一緒にいるなら、ほたるさんはどんな不幸にも負けない……そう思います」

有香「キクチシティを、よろしくお願いします」ペコリ

ほたる「……!」

ほたる「ありがとう……ございます……!」ポロポロ


数週間後


有香「ジムの改修も終わりましたし」

有香「ほたるちゃん、明日から正式にジムリーダーですね。頑張って下さい!」

ほたる「はい、ありがとうございます」

ほたる「有香さんも、今日旅立たれるんですね」

有香「まあ、まだどこに行こうかは決めてないですけど。あはは……」

ほたる「あの、よかったらこれを……」

有香「……?」

有香「これは……タンポポの髪飾り?」

ほたる「はい」

ほたる「有香さん、お家にタンポポを活けてあったりして、好きなのかな……と思いまして」

有香「ほたるちゃん……ありがとうございます!」

有香「そうなんです。タンポポって花が咲き終わっても倒れても、綿毛になる時には前よりも高く伸びる植物で」

有香「そういう強さとか健気さが好きだなって思っていたんです!」

有香「嬉しい……! 大事にしますね!」

ほたる「はい!」

有香「じゃあ、あたしからもこれを!」スッ

ほたる「えっ?」

有香「これ、スズランで作ったブローチなんです。スズランの花言葉は『再び幸せが訪れる』だと知って、ぜひほたるちゃんに渡したいなって」

ほたる「そんな……いいんですか?」

有香「はい! きっとつけていたらいいことがあると思います!」

ほたる「ありがとうございます……」ウルッ

有香「それでは、あたしはそろそろ行きます」

有香「どうかお元気で!」

ほたる「はい……お元気で!」


有香「……」スタスタ

村人「有香ちゃーーーん!!」

有香「!」

村人「有香ちゃん、行ってらっしゃーい!」

村人「あたし達はいつでも待ってるからねー!」

村人「身体には気を付けるんだぞー!」

村人「あんたはキクチの誇りだー!」

村人「でっかくなって帰ってくるんだよー!」

有香「……!」

グッ

有香「みんな……ありがとう……!」

有香「行ってきます……押忍!!」


現在 キクチシティ


ほたる「……」スラスラ

ほたる(拝啓、有香さん)

ほたる(元気でしょうか? 私は元気です)

ほたる(あれから厳しい自然災害が頻発したり、私のヤミカラスが何処かへ飛び立ったきり帰ってこなくなったりと、気持ちが滅入るようなことがたくさんありました)

ほたる(町の人たちとも折り合わず、どうしようもなく苦しいこともありました)

ほたる(でもそんな時、私を助けてくれたトレーナーがいました。その人のおかげで、今は皆で前を向いて生きています)

ほたる(その人は、自分から一歩踏み出す勇気を、恐れない勇気を教えてくれました)

ほたる(つくづく、私は周りの人に恵まれているなと感じます)

ほたる(改めて、この町に住んでよかった)

ほたる(有香さん、私に居場所を与えてくれてありがとうございます)

ほたる(どうか、有香さんの今いる居場所が素敵な場所でありますように。……敬具)

ほたる「……」トン

ほたる「……ふう」

ほたる「……窓、開けようかしら」

ガラッ

ほたる(……?)

ほたる(何かを咥えた鳥ポケモンが、こっちに飛んできている……)

ほたる(……)

ほたる(……!)

ヤミカラス「ヤミー!」

ほたる「あ……ああ……!」



サイドストーリー「スズランとタンポポ」 Fin.

今回はここまでです

次回は金曜日、チャンピオンとの最終決戦です
読んでいただきありがとうございました


チャンピオンと四天王ってこの大会の順位で決まるんだっけ?
そうなると蘭子・凛・未央・杏・きらりがそうなんかな?

少し遅れましたが投下していきます

>>728
その通りです

決勝戦 前夜


凛「……」

ポン ポン ポン ポン ポン ポン

ゲッコウガ「ゲコ」

ムクホーク「ムクホー」

ドリュウズ「ドリュ!」

サンダース「ダース」

サザンドラ「サザー!」

チャーレム「チャー……?」

凛「みんな、夜遅くにごめんね」

凛「明日、決勝戦だね。その前に……伝えたかったんだ」

凛「卯月や未央と一緒に旅に出てから、色んなことが起きてさ」

凛「まさかシンデレラ団とあんなに関わることになるとは思わなかったし」

凛「もうダメかもって思ったときも何度もあった」

凛「でも振り返ってみたら、私一人じゃ絶対ここまで来れなかった」

凛「みんながいたから……みんなが私に力を与えてくれたんだ」

凛「だから、何というか……ここまでついてきてくれて……本当にありがとう」

サンダース「ダース」ペロッ

凛「サンダース……」

凛「……ふふっ。タマゴから孵ったときはあんなに泣きじゃくっていたのに」

凛「すっかり頼もしくなったね」

凛「……そういえば、蘭子もイーブイの進化形を持っているんだっけ」

凛「じゃあその相手は決まりだね、サンダース」

サンダース「ダース!」

凛(……進化といえば)

凛「蘭子はおそらくメガシンカを使ってくる……」

凛「そうなったら、私もメガシンカを使うつもりだけど」

カチャ

凛「勝負のカギは、チャーレムにかかっている……」

凛「その時は、よろしくね」

チャーレム「チャー」

凛「ドリュウズ」

凛「あの時、ヤミラミとどっちを捕まえようか迷ったけど」

凛「ドリュウズを選んでよかったって思ってる」

凛「裕子や肇、茜に勝てたのはドリュウズのおかげだから。ドリュウズのガッツにたくさん助けてもらったね」

凛「明日も……よろしくね」

ドリュウズ「ドリュー」スリスリ

サザンドラ「サザー」

凛「サザンドラも、育てるのが大変だったけど」

凛「強くなったね。頼りにしてるよ」

凛「ねえ、この傷……覚えてる?」スッ

凛「モノズの時に触れ合おうとして噛み付かれた跡だよ」

凛「すごく痛かったけど、そんなことも昨日の出来事みたい。ふふっ」

サザンドラ「サザ……」

凛「……?」

サザンドラ「……」クイッ

凛(サザンドラが右腕を差し出している)

凛(……)

ソーッ

ポン

凛(……!)

サザンドラ「サザー」

凛「……噛み付かないの?」

サザンドラ「サザー」

凛(……)

凛(すごくサザンドラらしくない振る舞いだけど)

凛(これは私に心を開いてくれた、ってことなのかな)

凛「サザンドラ……ありがとう」

凛「ムクホーク」

凛「初めて自分の力でゲットしたのがムックルの時だったね」

凛「すごく嬉しかった。あの事も、よく覚えてる」

凛「きらりを倒せたのはムクホークの踏ん張りがあったからだったよね。ありがとう」

凛「明日も、頑張ろうね」

ムクホーク「ムクホー!」

凛「そして……ゲッコウガ」

ゲッコウガ「ゲコ」

凛「こんな私についてきてくれて本当にありがとう」

凛「ううん、感謝してもし足りないな」

凛「ゲッコウガにはもう見えてるよね。夢に見ていた……あの場所が」

ゲッコウガ「ゲコ」コクリ

凛「……うん、そうだよね」

凛「よし……みんな」

凛「明日は絶対に勝とうね……!!」

ゲッコウガ「ゲコ」

ムクホーク「ムクホー」

ドリュウズ「ドリュ!」

サンダース「ダース!」

サザンドラ「サザ!」

チャーレム「チャー」


翌日


ドワァァァァァァァァァ

卯月「うわ、すごい歓声だね」

未央「そりゃあそうだよ! 何たってチャンピオンが決まるんだから!」

ザワザワザワザワ

恵磨『皆様、大変長らくお待たせいたしました!』

恵磨『今年もさまざまなドラマが生まれたポケモンリーグですが!』

恵磨『遂に最終日! チャンピオン決定戦を迎えました!!』

ワァァァァァ

瑞樹『なんだか寂しくなってくるわね。……あ、解説の瑞樹です』

恵磨『実況は恵磨です! 最後までよろしくお願い致します!!』

恵磨『さあ、まずはここまで勝ち上がってきたチャレンジャーに入場してもらいましょう!』

ガーッ

恵磨『リーグ初出場ながら四天王の愛梨選手を下し、同じく初出場のきらり選手、未央選手とも名勝負を繰り広げてきた超新星――』

恵磨『アマミタウン出身、凛選手だぁぁ!!』

凛「……」ザッ

ワァァァァァァァァァ

『凛ー! 頑張れー!!』

『俺は凛ちゃんを応援してるよー!!』

美玲「おお、凛、気合い入ってるな!」

幸子「それに私たち以外にも凛さんを応援してる人がたくさんいますね!」

輝子「フヒ……すっかり人気者だな」

乃々「す、すごいなあ……」

晶葉「凛……」

志希「晶葉ちゃん、凛ちゃんより顔が固いよー?」

晶葉「あ、ああ……何だか私まで緊張してきてな」

晶葉「それにあの時のイーブイがここまで来たかと思うと……ついな」

文香「凛さんなら、きっと大丈夫ですよ」

こずえ「……うん……」

茜「凛ちゃぁぁぁぁぁん!! ファイトォォォーーー!!!」

モバP「……」

真奈美「同席、失礼するよ」

モバP「ん? ……ああ、真奈美さんか」

モバP「それと……」

ありす「門下生のありすです。はじめまして」ペコリ

晴「晴だぜ!」

モバP「ああ、どうも」

モバP「真奈美さん、ジムを空けてて大丈夫なのかい?」

真奈美「ああ、問題ないよ」

真奈美「それより凛の勇姿を見届けることが最優先だと思ったからね」

真奈美「他のジムリーダーもジムからは離れていないが、今ごろテレビ中継に釘付けのはずだよ」

モバP「そうか」

モバP「……」

真奈美「緊張しているのかい?」

モバP「ああ、そりゃあ緊張するさ」

モバP「あの凛が、いよいよここまで来るなんてな……」

凛(結局、蘭子に会うことはできなかった)

凛(メガシンカのこと、確認したかったけど……まあ仕方ないかな)

凛(こっちは準備できてるから、後は相手次第だ)

恵磨『そして、チャレンジャー凛選手と相まみえるは――』

恵磨『チャンピオン・蘭子!! 満を持しての登場です!!』

ガーッ

蘭子「……」

ザッ

ワァァァァァァァァァ

『蘭子ぉぉぉぉぉーーー!!』

『絶対王者の力を見せてくれーー!!』

未央「おお、こっちもすごい歓声……!」

ザッ

凛「蘭子……!」

蘭子「クックック……」

蘭子「『蒼き瞳を持つ者』よ。いつここまで辿り着くか、心待ちにしていたぞ」

蘭子「頂点に立つ者として、この舞台で汝と魂を競い合えることが嬉しいわ」

凛「うん……私も、蘭子と戦えるのがすごく楽しみだったよ」

蘭子「クックック……」

蘭子「しかし……今日に至るまで、まことに退屈だったわ」

凛「……?」

蘭子「何故なら我は祝宴の開催を告げた後からその身を深淵に隠し、戦場から遠退いていたの」
  (凛ちゃん達の試合は一度も見ていないの)

蘭子「いずれ訪れる勇者との邂逅に、黒き魂を踊らせながら……」
  (挑戦者とは公平に戦いたかったから!)

凛「そ、そうだったんだ」

凛(……そうか。だから実況席の裏はいつも空席になってたんだ)

蘭子「……時に勇者よ」

凛「ん?」

蘭子「先日の創造神の件、改めてここで感謝の意を示す」
  (アルセウスを鎮めて下さってありがとうございました!)

蘭子「よもや神をも従わせるとは思わなかったが……」

蘭子「果敢にも立ち向かった汝の姿、我が魂にしかと刻んだぞ」

凛「ううん。あれは私一人じゃどうにもできなかった」

凛「みんながいてくれたからだよ。私はその一端を担っただけ」

蘭子「……そう。そうしていかなる苦難も同胞と共に乗り越えてきたのだな」
  (どんな困難にぶつかっても仲間やポケモンと乗り越えてきたのね)

蘭子「それは何時如何なる時も己を超克してきたということ。その姿、尊敬に値するわ」
  (それはどんな時でも自分に勝ってきたということ。素晴らしいわ)

蘭子「……しかし! 我は魔王!」

蘭子「勇者である汝を圧倒的に叩き潰してこそ、我が威光は再びこの大地に示される!」

凛「!」

蘭子「勇者よ! 約束の頂を前にして、大いなる闇の力にひれ伏すがいい!!」
  (ポケモンリーグチャンピオンとして、あなたを倒します!!)

蘭子「さあ、始めよう!!」


ババァン


チャンピオンの蘭子が勝負をしかけてきた!


恵磨『バトル……』

恵磨『スタートォォォォォォ!!!!』

凛「いくよ、ゲッコウガ!」ポン

ゲッコウガ「ゲコ」

蘭子「ゆくぞ、御霊の化身よ!」ポン
  (ミカルゲ、いきますよ!)

ミカルゲ「おんみょーん」ズン

ミカルゲ ふういんポケモン ゴースト/あく
108個の魂が集まって生まれたポケモン
500年前に悪さをしたため要石のひび割れに縛りつけられてしまった

晶葉「おお、ミカルゲか」

文香「珍しいポケモンですね」

乃々「何あのポケモン、怖い……ペラペラだし……」

恵磨『まずはゲッコウガとミカルゲの対面です!』

瑞樹『凛ちゃん、いきなりエースで勝負してきたわね』

凛(相手が何をしてくるのか全くわからない……)

凛(なら、攻めるのが私の戦い方!)

凛「ゲッコウガ、みずしゅりけん!」

ゲッコウガ「ゲコ!」シュバババ

蘭子「効かぬわ!」

ミカルゲ「みょん」ヒョイヒョイヒョイ

凛「え!?」

恵磨『なんとミカルゲ、無駄のない動きでみずしゅりけんを全て躱した!?』

瑞樹『……いえ、全て躱したわけではないわ。半分は最初から当てが外れていたわね』

瑞樹『そうさせたのは……おそらく』

キラッ

瑞樹『……あれの仕業ね』

凛(ミカルゲの体がわずかに輝いている)

凛(あれは『ひかりのこな』……?)

ひかりのこな
相手の命中率を下げる

凛「そうか、どうりで当たらないわけだ」

蘭子「『幻影の術』よ!」
  (かげぶんしんです!)

ミカルゲ「みょん!」

ヒュンヒュンヒュン

恵磨『さらにミカルゲ、分身を生み出しました!』

瑞樹『これは厄介ね』

瑞樹『ただでさえ攻撃が当たりづらいのに、ミカルゲの特性は『プレッシャー』。このままだと凛ちゃんにとってはジリ貧だわ』

蘭子「クックック……」

蘭子「さあ、何処からでもかかってくるがよい!」

凛「……」

凛「わかった。そうさせてもらうよ!」キッ

凛「ゲッコウガ!」

ゲッコウガ「ゲコ」ダッ

恵磨『ゲッコウガ、分身したミカルゲの一つに突撃していきます!』

未央「あの迷いのない感じ……そうか!」

ゲッコウガ「ゲコ!」ズバッ

ミカルゲ「みょ!?」

フッ

蘭子「……ほう!」

恵磨『ゲッコウガ、分身したミカルゲを一瞬で見抜いた!!』

茜「おぉ!!」

美玲「な、なんで一発で本体がわかったんだ!?」

志希「あれは『つばめがえし』だねえ」

晶葉「『つばめがえし』は攻撃の際に極限まで精神を研ぎ澄ませて放つ技でもある」

晶葉「だから自分が目潰しを受けていたり、相手が分身していても必ず攻撃を当てられるんだ」

卯月「それがわかっていたから凛ちゃんは迷わず本体を狙えたんだね」

幸子「なるほど、これで相手の作戦は崩せましたね!」

蘭子「クックック……そうか、我が幻影を破るとは」

蘭子「ならばここは一度身を引こう」シュゥゥ

蘭子「ゆくぞ、鉄鎧のガーディアンよ!」ポン
  (ブリガロンでいきます!)

ブリガロン「ブリガー!」

ブリガロン とげよろいポケモン くさ/かくとう
顔の前で拳を合わせて防御のポーズをとる
自分が盾となって仲間を守るほか、爆弾の直撃も耐えることができる

恵磨『チャンピオン・蘭子、2体目はブリガロンだー!』

今回はここまで
初手ミカルゲは完全にシロナさんリスペクト

次回は水曜日です、ありがとうございました

投下します

恵磨『チャンピオン・蘭子、2体目はブリガロンだー!』

凛(ブリガロンか……ここは不利だね)

凛「ゲッコウガ、交代!」シュゥゥ

凛「ムクホーク!」ポン

ムクホーク「ムクホー!」

蘭子「ふむ、相性のよい飛獣に代えたか」

蘭子「……だが! 我がガーディアンは崇高なる魔王の盾!」

蘭子「何人たりとも先には通さないわ! 飛獣よ、地に堕ちるがいい!!」

ブリガロン「ブリガ……」コォォ

ブリガロン「ブリガッ!」

ズドォン

ムクホーク「ムクホー!?」

凛「くっ!」

ムクホーク「ムクホー……!」ズシン

恵磨『凛選手、相性のいいムクホークに交代しましたが……』

恵磨『『うちおとす』で痛い一撃をお見舞いされました!』

晶葉「まずいな。『うちおとす』は翼を持つポケモンを撃ち落してしまう技だ」

晶葉「飛行能力が弱まってしまったら、ムクホークには厳しくなるな」

ムクホーク「ムクホー!」バサッ

凛「ムクホーク、まだいけるよね!」

蘭子「クックック……パトスがみなぎっているな!」
  (気合い十分のようですね!)

凛「ブレイブバード!!」

ムクホーク「ムクホー!!」ギュォォォ

蘭子「来たな……構えよ!」

ブリガロン「ブリガ!」ズン

美玲「う、受け止める気か!? ブレイブバードだぞ!?」

茜「どうやらそのようですね……!」

ブリガロン「ブリガー」ジャキッ

晶葉「あの構え……まずい、凛!!」

蘭子「我が結界の前に跪け!」

蘭子「『ニードル・ガード』!!」

ブリガロン「ブリガー!!」

ズドォン

ムクホーク「ムクホー……!」グググ

恵磨『ブリガロン、ムクホークの突進を受け止めたぁー!!』

凛「!? ムクホークが止められている……!?」

コォォ

凛「!」

カッ

バシュゥゥン

ムクホーク「ムクホッ……!」グサッ

凛「な……」

凛(ブリガロンの後ろから緑のトゲが飛んできた!)

ムクホーク「ムクホー……」ドサァ

卯月「ああ、ムクホーク!」

恵磨『ムクホーク、相手を攻撃するつもりが逆に跳ね飛ばされてしまったぞ!?』

瑞樹『ニードルガードは相手の攻撃を防ぎつつ、トゲで反撃する技ね』

瑞樹『肉弾戦が得意なムクホークは特に格好の獲物だわ』

凛「……」

凛(やっぱりチャンピオン……さっきの影分身といい、防御の面でも一流だ)

凛(スキがない……!)

蘭子「ではこちらからゆくぞ! ガーディアンよ!」

ブリガロン「ブリガー!」ズギュン

未央「は、速い!?」

卯月「あんなに重そうな体なのに……!」

蘭子「『反撃の鉄槌』よ!」
   (アームハンマー!!)

ブリガロン「ブリガー!」ブン

凛「ムクホーク、躱して!」

ムクホーク「ムクホー!」グル

ズドォン

瑞樹『蘭子ちゃんのブリガロンはあのトゲを攻撃にも防御にも活かしてくるのが特徴ね』

瑞樹『まさに難攻不落……というわけ』

凛(何とか躱せたけど……すごい威力だ)

凛(あれは一度だって喰らえないな)

凛「はねやすめ!」

ムクホーク「ムクホー」ファサッ

恵磨『ムクホーク、回復してピンチを凌ぎました!』

蘭子「その選択が命運を分けるのよ!」

蘭子「彼の飛獣に再び鉄槌を!」

ブリガロン「ブリガー!」ブン

ムクホーク「ムクホー」ヒョイ

ズドォン

晶葉「まずいな、完全に後手に回ってしまっている」

文香「はねやすめは体力を回復できますが、アームハンマーで受けるダメージも大きくしてしまいますからね」

志希「かといって無闇に攻めても、ニードルガードに阻まれる……」

美玲「くそ、相性はいいはずなのに……どうすりゃいいんだ!?」

凛(……)

凛(このままブリガロンと同じ目線で立ち回っても勝機はない)

凛(でもさっきの攻撃でムクホークは翼にダメージを――)

凛(……!)

凛(見つけた……これしかない!)

凛「ムクホーク、インファイト!」

ムクホーク「……!」

ムクホーク「ムクホー!」グワッ

恵磨『ムクホーク、自慢の鉤爪でブリガロンに襲いかかるー!』

蘭子「跳ね返せ! 『ニードル・ガード』!!」

ブリガロン「ブリガー!!」ズン

凛(どうせニードルガードで反撃を受けるなら……)

凛(受けなければいい! わざと!)

凛「右に逸れて!」

ムクホーク「ムクホー!」

スカッ

蘭子「!?」

ムクホーク「ムクホー!」

ダァン

卯月「ブリガロンの真横に着地した!?」

未央「インファイトが……外れたの!?」

蘭子「アーハッハッハ!」

蘭子「もらった!!」

ブリガロン「ブリガ――」

凛「ムクホーク!」

ムクホーク「ムクホー!!」

バッ

ブリガロン「ブリガ!?」ズガン

恵磨『な、なんと!? ムクホーク、着地の反動で大きく飛び上がりました!!』

瑞樹『なるほど。そういうことだったのね』

瑞樹『凛ちゃんはわざと攻撃を外したのね。その理由の一つは、蘭子ちゃんを油断させるため』

瑞樹『そしてもう一つは、反動で飛び上がることでムクホークの得意な空中戦に持ち込むため、ね』

凛「よし……!」

凛(空中戦に持ち込むため、っていうのは違うけどね)

凛(ムクホークは翼にダメージを負ってしまったからまともには飛べない)

凛(だから……重力を利用して!)

凛「叩き込め! ブレイブバード!!」

ムクホーク「ムクホォォォ!!」ズギュゥゥゥゥ

恵磨『ムクホークがものすごい勢いで急降下してきます!!』

幸子「これが凛さんの狙いだったんですね!」

蘭子「くっ……間に合わないか……!」

蘭子「ガーディアン、鉄槌で打ち払うのよ!!」

ブリガロン「ブリガー!!」

カッ

ズドォォォォォン

恵磨『これは決まったかァーー!?』

凛「……」

蘭子「……」

ブリガロン「ブリガー……」フラフラ

ムクホーク「ムクホー」バタンキュー

恵磨『な、なんと……ブリガロン、耐えています!』

恵磨『ダウンしたのはムクホークだぁぁ!!』

ワァァァァァァァァァ

蘭子「くっ……ガーディアンが追い詰められるとは……」

蘭子「だが、我が結界は決して破らせはしない!」

晶葉「うむ……筋はよかったが、反動のダメージに耐えられなかったようだな」

凛「ムクホーク……ありがとう」シュゥゥ

凛(倒せはしなかったけど、ムクホークはあと一歩まで追い詰めてくれた)

凛「あとは任せたよ、チャーレム!」ポン

チャーレム「チャー」

凛「しねんのずつき!」

チャーレム「チャー!」コォォ

蘭子「ガーディアンよ!」

ブリガロン「ブリガー……」グググ

ドガァ

ブリガロン「ブリガー」バタンキュー

恵磨『ブリガロン戦闘不能!!』

ワァァァァァァァァァ

恵磨『これで両者の手持ちは5対5です!!』

美玲「よっしゃあ!」

蘭子「……ここまでか」

蘭子「よくやった。安住の地に還るがよい」シュゥゥ
  (お疲れ様。ゆっくり休んでね)

蘭子「ゆくぞ、御霊の化身よ!」ポン

ミカルゲ「おんみょーん!」

恵磨『ここで再びミカルゲが登場です!』

凛(ミカルゲか……チャーレムは手も足も出せないな)

凛「交代! ドリュウズ!」ポン

ドリュウズ「ドリュ!」

晶葉「今度はゲッコウガではなくドリュウズで勝負するのか」

志希「ま、つばめがえしだけで攻めるのもつらいもんねー」

蘭子「化身よ、神の目をも欺け!」

ミカルゲ「みょん!」ヒュンヒュンヒュン

凛(また影分身……)

凛(……このミカルゲを突破するには)

凛(一か八か、当てるしかない……!)

凛「ドリュウズ、しっかり狙って!」

ドリュウズ「ドリュ……」キッ

ドリュウズ「ドリュ!!」

ゴゴゴゴゴゴ

恵磨『これは……『じしん』でしょうか?』

ミカルゲ「みょん」ヒュッ

恵磨『しかし当たったのは分身だ!』

蘭子「『闇の呪波』よ、猛り狂え!」
  (ミカルゲ、あくのはどうです!)

ミカルゲ「みょーん」バババ

ドリュウズ「ドリュ……」ズガガ

恵磨『ミカルゲ、分身と共にドリュウズを一斉攻撃!!』

凛「耐えて、ドリュウズ!」

凛(分身も攻撃してくるからわかりづらいけど)

凛(ドリュウズには見えるはず。本物のミカルゲは……)

………

凛「もう一度……」

凛「そこだ!」

ドリュウズ「ドリュ!!」ドゴォ

ゴゴゴゴゴゴ

ミカルゲ「みょ!?」

パカッ

ミカルゲ「みょぉぉぉぉぉ……!」

蘭子「な……!?」

卯月「え……!?」

恵磨『……こ、これは』

恵磨『じわれが決まりました!! ミカルゲを一撃必殺!!』

ワァァァァァァァァァ

未央「うそ!?」

晶葉「あれほど命中率の低い技を二度目で当てるとは……!」

幸子「でも、どうして……?」

志希「ニャフフ、単に運がいいだけじゃないよ。ドリュウズの右目、よーく見てみ?」

茜「あれは……『こうかくレンズ』ですか!?」

こうかくレンズ
持たせると命中率が上がる

凛「ふう……」

凛(さっきのミカルゲみたいに厄介な相手が出てきたらじわれを狙っていくって作戦だったけど)

凛(うまくいってよかった……)

凛(この戦法は何度もやるわけにはいかなかったし、大きな賭けだったな)

蘭子「クックック……」

蘭子「アーハッハッハ! 面白い!」

蘭子「どうやら女神の祝福を受けているのは汝のようだな!」
  (凛ちゃん、運が良すぎます!)

蘭子「それでも構わないわ! 我はそれすらも打ち破る魔力を蓄えてきたのだから!」
  (でも運だけで負ける私じゃないわ!)

蘭子「未だ我が覇道に陰りなし……出でよ、グリモワールの権化!」ポン
  (本気で行きます! ニドクイン!)

ニドクイン「ニドー!」

ニドクイン ドリルポケモン どく/じめん
鎧のように硬いウロコで巣穴の子供を命がけで守る
どんな攻撃にも怯んだ様子は見せない

凛(ニドクイン……?)

凛(……でも何でニドクインがグリモワールの権化なの?)

凛(とにかく油断しないようにいかないと)

凛「ドリュウズ、ドリルライナー!」

ドリュウズ「ドリュ!」ギュルルルル

ニドクイン「ニド!」ドガァ

凛(堅い……クリーンヒットしたはずなのに!)

蘭子「反撃よ! 『サラマンダーの怒り』!!」

ニドクイン「ニドー!」

ボォォォォォ

ドリュウズ「ドリュ!?」ゴオッ

凛「!」

恵磨『ニドクイン、ほのお技でドリュウズを振り払いました!!』

美玲「あ、あいつって炎も使えるのか!?」

茜「しかも私のポケモン達と遜色ないエネルギーです!」

凛「くっ、ドリュウズ、いったん潜って!」

ドリュウズ「ドリュ!」ゴゴゴゴ

蘭子「それで逃れられるとでも?」

凛「……!」

蘭子「その穴に『ウンディーネの蠱惑』を打ち込め!!」

ニドクイン「ニド!」バシャァ

凛「今度は水……! ドリュウズ!」

ゴゴゴ……

ドゴォ

ドリュウズ「ドリュ……!」バシャァ

恵磨『ドリュウズ、水流に流されて打ち上げられました!!』

ドサァ

凛「ドリュウズ、大丈夫!?」

ドリュウズ「ドリュ……」

ドリュウズ「ドリュー」ピヨピヨ

乃々「へ……?」

輝子「こ、混乱してる……?」

卯月「あれは……ただの水じゃない」

卯月「みずのはどう……!」

蘭子「トドメは……『ノームの裁き』よ!!」

ニドクイン「ニドー!」ゴゴゴゴゴゴ

ボコオッ

ドリュウズ「ドリュ……!」ドガァ

ドリュウズ「ドリュ……」バタンキュー

恵磨『ドリュウズ、効果抜群の技を畳み掛けられてたまらずダウーン!!』

ワァァァァァァァァァ

茜「はわわ……ドリュウズが一瞬で……」

凛「くっ……お疲れ、ドリュウズ」

凛(……強い)

凛(かえんほうしゃにみずのはどう、最後のは多分だいちのちから……)

凛(グリモワールの権化ってそういう意味だったんだね)

凛(それに、あの腕に巻いているのは『たつじんのおび』だ)

凛(たった一匹であらゆるタイプのポケモンを相手にする……それがあのニドクインの戦い方)

凛「……よし、ゲッコウガ!」ポン

ゲッコウガ「ゲコ」

今回はここまでです
技のデパートはニドキングだけじゃないんやで

次回は土曜日です、ありがとうございました

投下します

瑞樹『ここでもゲッコウガ……』

瑞樹『凛ちゃん、これまでのバトルと違って、今回はゲッコウガを出し惜しみしないわね』

恵磨『どういうことでしょうか?』

瑞樹『まあ、見ていればわかるわ』

凛「みずしゅりけん!」

ゲッコウガ「ゲコ!」シュバババ

ニドクイン「ニド……!」ズババ

蘭子「『ウンディーネの蠱惑』!」

ニドクイン「ニド……ニド!」バシャァ

ゲッコウガ「ゲコッ!」

乃々「え……みず技?」

幸子「どういう考えでしょうか……?」

ゲッコウガ「ゲコ」ビシャァ

凛「……っ!」

凛(よかった、混乱はしていないみたいだ)

蘭子「なぜ我がここで蠱惑の水を浴びせたか」

凛「?」

蘭子「――汝ならわかるだろう?」

凛「……」

凛「……まさか」

凛「まずい、ゲッコウガ――水を振り払って!」

蘭子「『ヴォルトの剣閃』!!」

ニドクイン「ニドー!!」バリバリバリ

ゲッコウガ「ゲコ!?」

バリバリバリ

ゲッコウガ「ゲコ……!」

凛「ゲッコウガ!」

恵磨『ニドクイン、今度はでんき技でゲッコウガに追撃ー!!』

瑞樹『蘭子ちゃん、的確に弱点を狙ってきているわね』

凛(これは……10まんボルト)

凛(わざとゲッコウガの身体を濡らして、技のダメージを大きくさせたのか)

凛(間に合わなかった……いや、少しでもダメージを減らせたのがラッキーだったかな)

ゲッコウガ「ゲコ……」

ゲッコウガ「ゲコ」バクッ

パァァ

恵磨『ゲッコウガ、ここでオボンのみを食べて体力を回復!』

瑞樹『打たれ弱いゲッコウガを積極的にくり出していたのはこういうことだったのね』

蘭子「クックック……もう一度! 『ヴォルトの剣閃』!!」

凛「後退しながらみずしゅりけん!」

ニドクイン「ニドー!」バリバリバリ

ゲッコウガ「ゲコ!」シュバババ

凛「く……後退しながらだと全然当たらないな」

凛(少しずつダメージは与えているけど、あの堅い皮膚にはダメージが通りづらいみたいだ)

凛(やっぱり、懐に潜り込んで大技を決めないと……)

凛(さて、どうするかな)

晶葉「またしても避けるので精一杯になってしまっているな」

未央「しぶりんの攻めのスタイルが通じてないってことだね……」

卯月「うん。蘭子ちゃん……強いね」

文香「でも、何故だか凛さん」

卯月「?」

文香「今までで一番、表情が柔らかいです。バトルを楽しんでいるようにも見えます」

モバP「お、いい表情になってきたじゃないか」

真奈美「ええ、仰る通りだ」

真奈美「今までの彼女は――それこそ未央とのバトルもそうだったが――どこか勝利に固執しているようにも見えた」

真奈美「だがポケモンバトルとは本来、お互いを認め合い、競い合い、高め合うためのものだからな」

真奈美「トレーナーが心の底からバトルを楽しむからこそ、追い付いては追い越される一進一退の攻防がドラマを生み出す」

真奈美「二人とも、目に焼き付けておくんだよ」

ありす「はい」

晴「おうよ!」

ニドクイン「ニド!」バリバリバリ

ゲッコウガ「ゲコ!」シュバッ

グサッ

バリバリバリ

凛「……」

凛「……!」

蘭子(……閃いたようだな)

凛「ゲッコウガ! みずしゅりけんを構えて!」

ゲッコウガ「ゲコ」シュッ

蘭子「『ヴォルトの剣閃』!!」

ニドクイン「ニドー!」バリバリバリ

凛「それを地面に突き刺して!」

ゲッコウガ「ゲコ!」ズドン

バリバリバリ

ゲッコウガ「ゲコ!」ピョン

蘭子「!」

未央「おお!」

恵磨『ゲッコウガ、みずしゅりけんを地面に突き刺すことでジャンプした!』

恵磨『それだけじゃない! みずしゅりけんが避雷針のようになっています!!』

凛「ニドクインの弱点は……肌色の皮膚!」

凛「ゲッコウガ! そこにハイドロカノン!!」

ゲッコウガ「ゲコ」ゴポォ

ゲッコウガ「ゲコォォォォ!!」

ドバァァァァァァ

ニドクイン「ニド……!」

ズドォォォォォン

蘭子「……」

ニドクイン「ニドー」バタンキュー

恵磨『ニドクイン、ダウーン!!』

ワァァァァァァァァァ

恵磨『先に残りの手持ちが半分となったのはチャンピオン・蘭子だ!!』

卯月「やった……!」

晶葉「しかし流石はチャンピオンだ。これでやっと折り返し。一戦一戦が総力戦だな」

未央「まだまだわからないね……しぶりん、頑張って!」

凛(これで……やっと半分か)

蘭子「ご苦労であった」シュゥゥ

蘭子「我が闇の力をここまで抑え込むとは……見事だな」

蘭子「それでは、凍てつくシヴァの吐息で覚醒した我が氷獣が相手しよう!」

ポン

グレイシア「シアー!」

恵磨『蘭子選手の次のポケモンはグレイシアです!』

グレイシア しんせつポケモン こおり
体温を自在にコントロールし、大気の水分を凍らせてダイヤモンドダストを巻き起こす
また、体毛を凍らせ鋭いハリに変えることで身を守る

晶葉「おお……グレイシア……!」キラキラ

未央「蘭子ちゃんもイーブイの進化系を持っていたんだね」

晶葉「ああ。あの子は私が授けたイーブイの進化系なんだ」

晶葉「グレイシアは岩さえも凍るような寒所で進化するポケモンなんだが、実はそんな場所は、アイマスではレオン島の最新部にしか存在しないんだ」

乃々「あ、あんな寒いところのさらに寒いところ……!?」

晶葉「ああ。だからグレイシアは腕が立つトレーナーでも手に入れることが難しい」

卯月「そんなグレイシアを持っている蘭子ちゃん、さすがチャンピオンだね……!」

凛「あれがグレイシア……」

凛「ならこっちも選択肢は一つだね」

凛「ありがとうゲッコウガ、戻って!」シュゥゥ

凛「いくよ、サンダース!」ポン

サンダース「ダース!」

恵磨『凛選手はサンダースに交代しました!』

瑞樹『ともにイーブイの進化系同士の対面ね』

サンダース「ダース……」キリッ

グレイシア「シアー」キリッ

晶葉「私が授けたイーブイがグレイシアになって、そのグレイシアが生み出したタマゴが孵って凛のもとに」

晶葉「そしてサンダースに進化して、今こうして同じ舞台に立っている。これは何かの運命なのか……」

蘭子「クックック……魂の波動が共鳴するのを感じるわ」

凛「……」

凛(蘭子が本当に私のバトルを一度も見ていないというのなら)

凛(この戦法もまだ通じるはず……)

凛「サンダース、シャドーボール!」

サンダース「ダース!」ボッ

恵磨『にらみ合いの末に先制したのはサンダースだ!』

蘭子「『破音波』よ!」
  (ハイパーボイス!)

グレイシア「シア!」ォォォ

バシィ!

シュゥゥ……

凛(お互いの技がぶつかり合った……その一瞬で)

バッ

グレイシア「!」

凛「サンダース、かみなり!!」

サンダース「ダー……」ゴロゴロ

サンダース「ダース!!」

グレイシア「シアッ……!」バリバリ

恵磨『さらにサンダースの追撃!!』

瑞樹『砂煙から飛び出して大技を打つ戦法、すっかり板についているわね』

凛「よし……!」

蘭子「ふむ、やるな」

蘭子「だが……氷獣よ!」

グレイシア「シア」コォォ

グレイシア「シア!」バッ

サンダース「ダース……!?」

ドゴォ

凛「くっ!」

恵磨『しかしグレイシアも負けていません! ミラーコートで反撃を決めました!!』

幸子「ああ、決まったと思ったのに!」

晶葉「蘭子のことだ、素早いサンダースが砂煙の中から奇襲を仕掛けてくることまで読んでミラーコートを張っていたんだろう」

晶葉「常に相手の一手先を読む判断力……さすがだな」

晶葉「クックック……我がシヴァの化身の真の力、今こそ解放せん!」

晶葉「『降雪の術』よ!」
  (あられです!)

グレイシア「シアー!」バッ

ヒュゥゥ……

カラカラカラ

恵磨『おっとグレイシア、ここでフィールドにあられを降らせました!』

瑞樹『凛ちゃんにとってはあられのダメージが厄介になるわね』

瑞樹『でもそれ以上に厄介なのは……』

フッ……

凛「……!?」

美玲「あ、あれ? グレイシアの姿が見えないぞ?」

幸子「眼帯をしているからでは……?」

美玲「い、いや、それはカンケーねえだろ!」

美玲「そういう幸子は見えてるのか!?」

幸子「ええもちろん。ボクの視力は……って、あれ?」

茜「わ、私も見えません……!」ゴシゴシ

晶葉「これはグレイシアの特性、『ゆきがくれ』によるものだな」

ゆきがくれ
天気があられの時、回避率が上がる

晶葉「グレイシアの体色は雪景色と完全に同化してしまう色合いなんだ。だからあられが降ると姿が見えづらくなってしまう」

未央「しぶりんには見えてるのかな……?」

サンダース「ダース……!?」

凛(グレイシアの姿が……消えた?)

蘭子「クックック……シヴァの祝福を受けし氷獣から逃れられるかな?」

グレイシア「シアー!」

サンダース「ダース……!」ドガッ

凛「!?」

凛「いきなり目の前に出てきた……!?」

恵磨『グレイシア、サンダースに突進してきました!』

瑞樹『グレイシアは体毛を凍らせて全身を尖らせることができるわ』

瑞樹『そんな状態で不意にぶつかってこられたら、さぞ痛いでしょうね』

凛「グレイシアが消えた方角はあっち……」バッ

凛「シャドーボール!」

サンダース「ダース!」ボッ

フッ

蘭子「効かぬわ! 『破音波』!」

グレイシア「シアー!」コォォ

サンダース「ダース……!」ドガッ

凛「くっ……」

凛(今度は見えない所から音の攻撃……なおさらどこにいるのかわからない)

凛(これじゃ下手に動けない。どうすれば……)

凛「……」

タッタッタッ

凛(常に走り回っている音は聞こえる)

フッ

グレイシア「シアー!」ドガッ

蘭子「どうした、手も足も出ぬか!?」

凛「くっ……」

凛(どちらにせよこのままだと何もできない……なんとか動きを封じないと)

凛「サンダース、じゅうでん!」

サンダース「ダース」バチバチ

凛(次にグレイシアが出てきた時……)

蘭子「『破音波』!」

グレイシア「シアー!」

サンダース「ダース……」ドガッ

凛(まだだ……あと少し)

………………

………………

フッ

凛「そこだ!」

凛「サンダース、地面に向けてでんじは!」

サンダース「ダース!!」バチィ

グゥン!!

グレイシア「シアッ!?」バリバリ

恵磨『おっと! サンダースが地面に向けて打ったでんじはが広がって……』

恵磨『グレイシアを捕らえた!! そしてマヒさせました!!』

蘭子「ふむ……!」

卯月「やった!」

晶葉「じゅうでんで溜め込んだエネルギーを使って電気の罠を作り上げたのか!」

グレイシア「シア……」ビリビリ

凛「よし……グレイシアの姿が見えた!」

凛「一撃で決めるよ! サンダース!」

凛「かみなり!!」

サンダース「ダース……」ゴロゴロ

サンダース「ダース!!」

蘭子「凍てつかせよ! シヴァの咆哮!!」
  (迎え撃ちます! ふぶき!!)

グレイシア「シアー!!」ビュォォォォ

バチィ!

ドゴォォォォ

恵磨『強力な技同士がぶつかり合ったが、どうなったー!?』

シュゥゥ…

サンダース「ダース」バタンキュー

グレイシア「シア……」バタンキュー

恵磨『サンダース、グレイシア共にダウン!! 相討ちに終わりました!!』

ブワッ

瑞樹『技がぶつかった衝撃であられも止んだみたいね』

ワァァァァァ

幸子「ああ、相討ちですか……」

茜「とはいえ、あの不利な状況からよく逆転しましたね!」

志希「ニャフフ、やるじゃなーい」

晶葉「うむ、実に見応えのある対決だった……私は満足だ」フゥ

卯月「ああ、晶葉ちゃんが力尽きた……」

輝子「いや、まだ終わってないし……」

今回は以上です
グレイシアの「体毛を凍らせて尖らせることで身を守る」という死に設定をなんとか活かしたかった
ちなみにグレイシアは主の一番好きなポケモンです

次回は火曜日です

投下します

――――――――――――――――――――――――――――

凛「よく頑張ったね、サンダース」シュゥゥ

凛(あと2匹……)

凛(1匹はリザードンだろうね。ゲッコウガだと相性がいいし、メガシンカもしてくるかもしれないからチャーレムも温存しておきたい)

凛(となると)

凛「サザンドラ、いくよ!」ポン

サザンドラ「サザー!」

恵磨『凛選手は今大会絶好調のサザンドラを繰り出します!』

蘭子「眠りにつくがよい、シヴァの化身よ」
  (グレイシア、よく頑張りましたね)

蘭子「クックック……我が魂は昂るばかり」

蘭子「ゆきなさい、アイス・エンペラー!」ポン
  (いっけー、エンペルト!)

エンペルト「エンペ」ズン

恵磨『これに対しチャンピオン・蘭子はエンペルトを選択!』

エンペルト こうていポケモン みず/はがね
クチバシから伸びている3本のツノは強さの象徴で、リーダーが一番大きい
プライドを傷つける者は鋼鉄の翼で真っ二つにする

蘭子「クックック……闇の氷河を纏いし我が剣の前に跪くがよい!」
  (私のエンペルトはとても強いですよ!)

蘭子「光陰の如く駆けよ!」

エンペルト「エンペ!」ダッ

凛「やっぱり速い……けど」

凛「サザンドラなら対抗できるはず!」

凛「サザンドラ、あくのはどう!」

サザンドラ「サザー!」バババ

蘭子「『鋼鉄の刃』で引き裂け!」
  (メタルクローです!)

エンペルト「エンペ」シュッ

スパッ

凛「なっ!?」

エンペルト「エンペ」ズバッ

サザンドラ「サザ……!」

恵磨『エンペルト、あくのはどうを強引に突破してきました!!』

瑞樹『かなりの攻撃力ね』

瑞樹『しかもメタルクローは斬撃と同時に刃を研ぎ澄ませて攻撃力を上げる技よ。長期戦になると凛ちゃんには厳しくなるわね』

凛「なら……足元を狙ってあくのはどう!」

サザンドラ「サザー!」バババ

エンペルト「エンペ……!」

ズザァ

蘭子「我は決して引かぬ!!」

エンペルト「エンペ!!」ダッ

蘭子「貫け! 『流転穿孔』!!」
  (ドリルくちばし!!)

エンペルト「エンペ!」ギュォォ

凛「くっ……」

凛(中途半端な攻撃だと打ち消される……!)

凛「3つの頭で一斉にあくのはどう!」

サザンドラ「サザー!!」バババ

ドゴォ

エンペルト「エンペ……」グググ

サザンドラ「サザー……」バババ

恵磨『これは……両者の威力は互角! つばぜり合いになっております!!』

美玲「いけー、サザンドラー!」

茜「押し切れーー!!!」

蘭子「つばぜり合い……か」

蘭子「それは如何程だろうか」

エンペルト「エンペ……」

グググ

恵磨『……いや、エンペルトが少しずつ押してきている!?』

卯月「そんな!?」

凛「くっ……サザンドラ!」

サザンドラ「サザ……!」

グググ

蘭子「今だ! 貫け!!」

エンペルト「エンペ!!」

バシィッ

凛「そんな……フルパワーのあくのはどうが!?」

恵磨『な……なんと、3つの頭から放たれたあくのはどうが! 打ち破られたぁ!!』

凛「なら……」

凛「サザンドラ、腕をクロスさせて!」

サザンドラ「サザ!」バッ

エンペルト「エンペェェ!!」

ギュルルルル

サザンドラ「サザ……!」グググ

バシィ!

ズドォン

サザンドラ「サザ……」

恵磨『サザンドラが吹っ飛ばされたァ!!』

凛「ぐっ……」

恵磨『とんでもない火力ですね、瑞樹さん!』

瑞樹『ええ。何故ならあのエンペルト、『いのちのたま』を持っているわ』

いのちのたま
持たせると攻撃時に体力が削られる代わりに威力が上がる

瑞樹『体力がじわじわ減っているけど、その代わりにサザンドラとも互角以上に渡り合える攻撃力を持っているということね』

蘭子「腕をクロスさせる……先ほどのガーディアンの戦法を真似たか」

蘭子「苦し紛れにしては悪くない策だったわ」

蘭子「止めよ!」

エンペルト「エンぺ……」

凛「……」

エンペルト「エンぺ!!」

凛「……!」

ニッ

凛「何の……まだまだ!」

凛「サザンドラ、きあいだま!」

サザンドラ「サザー!」バッ

エンペルト「エンペ……!」

ドゴォ

恵磨『サザンドラ、きあいだまで反撃です!』

蘭子「くっ……『シヴァの吐息』で迎撃よ!」
  (れいとうビームで反撃です!)

エンペルト「エンぺ!」ババババ

凛「もう一回きあいだま!」

サザンドラ「サザー!」ボッ

バシィ

グググ……

恵磨『またつばぜり合い――』

瑞樹『いえ、今回は凛ちゃんの方が上みたいね』

バッ

未央「よし、押し返してる!」

晶葉「それどころか、れいとうビームのエネルギーを吸収してきあいだまがよりパワーアップしているな」

晶葉「どうやらあのエンペルト、物理攻撃は強力だが特殊攻撃はそうでもないようだ」

グワッ

エレメント「エンペ!?」

バシィ

蘭子「ふむ……やはり自ら裁きを下すしかないようね……!」

蘭子「臆するな、我が剣よ! その翼で大蛇の首を裂け!!」
  (怯まず突撃ー!)

エンペルト「エンペ!!」ダッ

卯月「またメタルクローが……!」

凛「……さっきは速すぎて躱せなかったけど」

凛「今なら! サザンドラ!」

サザンドラ「サザ!」ヒョイ

エンペルト「エンペ!?」

蘭子「む……」

凛「隙ができた……今だ!」

凛「今度こそフルパワーでいくよ! りゅうせいぐん!!」

サザンドラ「サザ……」コォォォ

凛「いけえええ!!」

サザンドラ「サザァァ!!」

ドドドドドドドド

蘭子「くっ……! これが天の怒りか……!」
  (これがりゅうせいぐん……!)

恵磨『決まったーー!! サザンドラの必殺技・りゅうせいぐんだぁぁ!!』

エンペルト「エンペ……」グググ

エンペルト「エンペ……」ドサッ

恵磨『エンペルト戦闘不能ー!!』

恵磨『これで残す手持ちは3対1! チャンピオン・蘭子、ついに追い詰められましたァ!!」

ワァァァァァ

晴「おお、押し切った!」

ありす「サザンドラ、よく踏ん張りましたね」

ありす「でも、どうして凛さんはこれほど一気に逆転できたのでしょうか」

晴「メタルクローもさっきと違ってサラッと避けてたしな」

真奈美「ふむ……凛のことだ。どこかのタイミングで相手の持ち物が『いのちのたま』ということを見抜いていたんだろう」

真奈美「ダメージを与えなくても相手の体力が減っていることを確信した凛は、あくのはどうでコツコツと攻める作戦からきあいだまやりゅうせいぐんといった大技を積極的に狙っていく作戦に変更した」

真奈美「それが功を奏したんだな」

真奈美「そしてその作戦に踏み切れた理由は、持たせていたのが――」

凛「ふうっ……」



――試合前――

コンコン

リーグスタッフ「失礼します。凛さん、いらっしゃいますか?」

凛「……ん?」

ガチャ

リーグスタッフ「凛さん宛にお手紙が送られてきております」

凛「手紙……? 誰からだろう」

リーグスタッフ「匿名なのでわからないですね……」

リーグスタッフ「でもポケモンリーグの挑戦者は毎年、こんな感じで匿名の応援メッセージがよく届いたりするんですよ」

凛「へえ、そうなんだ。ありがとう」

ガチャ

凛「誰からだろう……」

パラ

『凛ちゃんへ!』

『いよいよ決勝戦だにぃ……何だかきらりんもお手紙カキカキしながら緊張してきちゃった! えへへ……』

凛「なんだ、きらりからか……ふふっ」

『それでねそれでね、凛ちゃんに謝らなきゃいけないことがあるんだけど……』

『きらりんと杏ちゃんは、これから遠いところへ旅立つことになったにぃ。だから凛ちゃんの決勝戦は見に行くことができないんだ。ごめんなさい』

『でもでも、きらりん、凛ちゃんを応援したいなあーって思って! もしよかったら……これ、使ってほしいにぃ!』

『きっと凛ちゃんの役に立つと思うよぉ!』

凛「……!」

『凛ちゃん……きらりんや杏ちゃんの分まで、はっぴはぴなバトルをして、チャンピオンになってねぇ!』

凛「きらり、ありがとう」

凛「『カムラのみ』作戦、大成功。だね」

蘭子「……クックック」

蘭子「アーッハッハッハ! 楽しい! 楽しいわ!」

蘭子「ここまで追い詰められたのもいつぶりかしら!」

蘭子「さすがは瞳を持つ者ね。我の第六感は間違っていなかったわ」
  (さすが凛ちゃん! 初めに会った時にビビッときたのは間違いじゃなかったわ!)

蘭子「我はずっと……これほど魂が猛る戦いを、心から羨望していた!」

凛「うん。……私も楽しい」

凛「こんなに胸が高鳴るバトル、初めてだよ」

凛「正直……終わってほしくないぐらい」

蘭子「アーッハッハッハ!」

蘭子「さあ、我と我が相棒の魂は今や律すること能わず! 存分にこの舞台で猛り狂うがいいわ!」
  (ここからはさらに本気でいかせてもらます。思いっきり楽しみましょう!)

蘭子「目覚めよ! 紅の翼竜!!」
  (いっけー、リザードン!)

ポン

リザードン「リザー!」

リザードン かえんポケモン ほのお/ひこう
苦しい戦いを経験したリザードンほど炎の温度が高くなる
数多くのトレーナーがリザードンと共に歴史に足跡を残してきた

恵磨『出たァァァ!! チャンピオン・蘭子、最後のポケモンはもちろんエースのリザードンです!!』

茜「あのポケモンが蘭子ちゃんのエースですか……!」

卯月「なんだか、アルセウスと戦ったときより迫力が増しているね」

未央「うん。あれから蘭子ちゃんも鍛え直してきたみたいだね」

凛「ついに来たね、リザードン……!」

蘭子「クックック……」チャキッ

凛「!」

蘭子「皆の衆! しかとその双眸で見届けよ!!」バッ
  (皆さんにすごいものをお見せします!)

蘭子「我と我が翼竜は頂点に立ちし後より再びこの母なる大地を巡り、魔力を蓄えてきた!」

『え……?』

『なんだなんだ……?』ザワザワ

蘭子「その魔力が結実し……翼竜は新世界の魔王に相応しい新たな姿に転生した!」
  (私のリザードンはまた一つ強くなったんです!)

蘭子「さあ、我が呼びかけに応え、御身を顕現させよ!!」

蘭子「超進化!!」
  (メガシンカ!!)

カッ

シュウウウウウウウウ

恵磨『な……何だあれは!?』

ザワザワザワザワ

瑞樹『リザードンが、虹色の球体に包まれて……?』

美玲「な、何が始まるんだ?」

シュウウウウ……

ズドォン


メガリザードンY「リザァァァァァ!!」

モバP「あ、あれは……」

真奈美「ついにお披露目か」

ありす「あれが、メガシンカ……?」

晴「すげぇ……見た目はリザードンだけど、まるで別のポケモンみたいだ……」


凛「やっぱり使ってきたね……メガシンカ!」

恵磨『こ……この姿は……リザードン……なのでしょうか……?』

蘭子「いかにも」

蘭子「我が翼竜は更なる獄炎を身に宿したのだ!!」

メガリザードンY「リザー!」

パァァ

輝子「うっ……!? 」

文香「スタジアムに陽光が……これは特性『ひでり』……?」

ひでり
5ターンの間ひざしがつよい状態になる

恵磨『なんと……姿が変わっただけでなく、天候すらも変わってしまった!』

恵磨『どんなことが起こったのか私にはわかりません……ただ一つ言えることは』

恵磨『チャンピオン決定戦に相応しい、面白い展開になってきた、ということです!!』

…………………………

ドワァァァァァ

志希「あの実況ちゃん、乗せ上手だねえ。ニャフフ」

幸子「え、え? ちょっと何が起こっているのかわからないんですけど……」

未央「あんな姿のリザードン、初めて見たけど……パワーアップしたってことなのかな」

晶葉「そういうことだろうな」

凛(メガリザードン……相手にとって不足はない)

凛「りゅうせいぐんの反動はあるけど……サザンドラ、頑張って……!」

サザンドラ「サザー!」

凛「あくのはど――」

蘭子「『空気の刃』よ!」
  (エアスラッシュ!)

メガリザードンY「リザー」

スパッ

サザンドラ「……!」

ドサッ

恵磨『な、なんと、目にも止まらぬ動き! サザンドラが地上に落下した!!』

蘭子「手負いの大蛇など、我が翼竜の敵ではない」

蘭子「これで止めよ!」

メガリザードンY「リザ!」スパッ

サザンドラ「サザ……!」

サザンドラ「サザー」ドサァ

凛「サザンドラ……!?」

恵磨『サザンドラダウーン! 技を出す隙すらも与えてもらえませんでした!!』

瑞樹『あの強さ……別格ね。1年前よりも遥かにパワーアップしているわ』

恵磨『これで凛選手、残る手持ちはゲッコウガとチャーレムの2匹です!』

未央「そ、そんな……!」

晶葉「ダメージが溜まっていたとはいえ、あのサザンドラを一瞬で倒すなんて……」

美玲「あんなバケモン、どうやって倒せばいいんだ……!?」

凛「サザンドラ、お疲れ様」シュゥゥ

凛「……」

凛(サザンドラですらついていけない速さ……さすがメガシンカだ)

凛(ならこっちも使っていくしかないな……!)

今回はここまで、次回は金曜日です。ありがとうございました

乙 Xかと思ったらYなのかポケスペのミュウツーみたいに戦闘中コンバートするんかな?

投下します

>>871君のような勘のいいガキはき(ry

凛「チャーレム!」ポン

チャーレム「チャー」

ザワザワ

恵磨『おっと、凛選手はここでチャーレムを選択!』

恵磨『ひこう技は相性が悪いはずですが、瑞樹さん、これは何か狙いがあるのでしょうか?』

瑞樹『うーん……いわ技やでんき技で攻めるつもりなのかしらね』

瑞樹『それでもチャーレムにできることは数少ないはず。……わからないわね』

卯月(凛ちゃん……いよいよ使うつもりなんだね)

蘭子「……」

凛「さすがだね、メガリザードン」

凛「でも蘭子。私も使うことができるんだ……この力が」チャキッ

蘭子「! それは……超進化の魔石」
  (凛ちゃんも、キーストーンを……!)

凛「蘭子が使ったらこっちも使おうって決めてたんだ!」

凛「こっちも本気でいかせてもらうよ! チャーレム、メガシンカ!!」

カッ

シュウウウウウウウウ

恵磨『な、なんと……チャーレムも虹色の球体に包まれて……!?』

バッ

メガチャーレム「チャー!」フワッ

ザワザワザワザワ

瑞樹『チャーレムも姿が変わった……!?』

恵磨『なんと……凛選手もメガシンカなるものを使ってきました!』

恵磨『誰も見たことがない姿のリザードンとチャーレムが現れた! これは面白くなってきたァ!!』

ワァァァァァ

幸子「え、え……凛さんもあの力を?」

乃々「む、むり……頭がおいつかない……」

未央「しぶりん、いつの間にあんな力を……!」

晶葉「ああ。だがあの慣れた感じ、初めて使う力じゃなさそうだな」

未央「え……それってどういう……?」

卯月「あ、あのね、未央ちゃん」

卯月「私、知ってたんだ。凛ちゃんがメガシンカを使えるってこと」

未央「……!」

卯月「というより、凛ちゃんに呼び出されて……あのメガシンカしたチャーレムに、こてんぱんにされちゃったんだ」

卯月「でも凛ちゃんは、蘭子ちゃんと戦うまであの力は使わないって決めていたんだ。フェアじゃないからって」

晶葉「ということは、蘭子がメガシンカ使いであったことも知っていたのか」

卯月「うん、たぶんね」

卯月「凛ちゃんは、絶対にズルをしない。だから未央ちゃんとのバトルでもメガシンカは使わなかった」

卯月「でも……私、正直不安だった。未央ちゃんがこのことを知って、自分のことを舐められているって捉えたらどうしようって……」

未央「……」

晶葉「蘭子と戦うまで使わないつもりだった……」

晶葉「つまり、凛と蘭子以外のトレーナーがあの力を使えないことも知っていたみたいだな」

晶葉「フェアじゃないからとはそういうことか。凛はあくまで、蘭子とも、蘭子に至るまでのバトルでも、公平な関係を貫きたかったんだな」

未央「……そっか」

未央「……まあ、ビックリはしてるけどさ」

未央「でも、それが凛の選んだ道なんだよね」

卯月「未央ちゃん……」

未央「だったら、ちゃんみおは最後までしぶりんを応援するまでだよ! しぶりーん、頑張れー!!」

晶葉(……未央)

晶葉(悔しいだろうな。……だがそれでもひたむきに応援しようとする。君は本当に……)

蘭子「……クックック」

蘭子「面白い。受けて立とう!」

蘭子「ゆくぞ、翼竜よ! 切り裂け!」

メガリザードンY「リザ!」シュッ

メガチャーレム「チャー……」

メガチャーレム「チャー!」

ヒョイ

恵磨『チャーレム、リザードンの素早い攻撃を躱したー!』

凛「よし……! チャーレムには攻撃が見えている!」

凛「しねんのずつき!」

メガチャーレム「チャー!」コォォォ

メガリザードンY「リザ!?」ドガァ

恵磨『これは強烈な一撃が決まりました!!』

蘭子「焼き尽くせ!」
  (かえんほうしゃです!)

メガリザードンY「リザー!!」ゴォォ

メガチャーレム「チャー……!」

恵磨『しかしリザードンもすかさず反撃です!』

凛「くっ……やっぱりすごい威力だ……!」

凛「チャーレム、じこさいせい!」

メガチャーレム「チャー」コォォォ

蘭子「させないわ!」

メガリザードンY「リザー!」ボォォ

凛「躱して!」

メガチャーレム「チャー」ヒョイ

恵磨『チャーレム、じこさいせいしながらリザードンの猛攻を躱し続けます!』

瑞樹『やるわね。目を瞑りながら相手の攻撃を躱し続ける……サイコパワーの強いチャーレムにしかできない芸当ね』

凛「よし、体勢を立て直せた」

凛「とびひざげり!」

メガチャーレム「チャー!」ビュン

メガリザードンY「リザ!?」

ドガァ

メガリザードンY「リザァッ……!」

蘭子「ぐ……」

美玲「いいぞー、チャーレム!」

晶葉「凛! 追撃だ!」

凛「しねんのずつき!」

メガチャーレム「チャー!」コォォォ

ドガァ

メガリザードンY「リザ……」ヒュン

ドォォン

恵磨『チャーレム、リザードンを地に突き落としたァー!!』

ワァァァァァ

『これは……もしかするんじゃないか?』

『まさか蘭子が負けるのか……?』

ザワザワザワ

シュゥゥ

蘭子「……」

凛「……」

蘭子「……クックック」

蘭子「アーッハッハッハ! アーッハッハッハ!!」

蘭子「進化を超えた拳闘士よ……よくぞここまで我を追い詰めた」
  (メガチャーレム、すごく強かったです!)

蘭子「だが! 我が魂は屈しない! 何人も我が覇道を遮ることはできない!!」

蘭子「闇に飲まれよ!!」

カッ

シュゥゥゥゥゥゥ……

晶葉「なっ、またリザードンの姿が……!」

ズドォン



メガリザードンX「リザァァァァ!!」

メガチャーレム「チャ……!?」ガシッ

ギュオン

凛「チャーレム……!?」

凛(リザードンに掴まれて、空中に連れ去られた……?)

恵磨『リザードン、旋回しながらチャーレムと共に上昇していきます!』

恵磨『しかも……なんだあれは!? リザードンの体色が真っ黒になっているぞ!?』

蘭子「超進化……眷属とそれを使役するマスターとの悠久なる絆の契り」
  (メガシンカはポケモンとトレーナーとの絆が引き起こします)

蘭子「絆が深ければ深いほど、その魔力は上昇する。我が幼子であった頃から共に頂を夢見てきた翼竜との絆は、何者も侵すことはできない」
  (そして絆が深いほど、メガシンカのパワーが増します。私はヒトカゲの頃からこの子と絆を深めてきました)

蘭子「これは我が翼竜に最大級の闇の魔力が注ぎ込まれた究極の姿!」
  (その結果、私たちは獲得したの……2つのメガシンカを!)

蘭子「汝と拳闘士との光では、我らの闇は照らせないわ」

蘭子「翼竜よ、叩き落とせ! 『ちきゅうなげ』!!」

メガリザードンX「リザァ!!」

ブゥン

ズドォン!!

恵磨『チャーレム、思いっきり地面に打ち付けられました!!』

凛「! チャーレム……!」

メガチャーレム「チャー……」グググ

蘭子「大いなる闇の炎に抱かれて消えよ!」

蘭子「『ブラスト・バーン』!!」

メガリザードンX「リザ……」グオッ

メガリザードンX「リザァァァ!!!」

ズバァァァァァン

凛「うわあっ!?」

ズドォォォォォン

恵磨『特大威力のブラストバーンが炸裂ゥー!!』

シュゥゥ……

フッ

チャーレム「チャー」バタンキュー

恵磨『チャーレム、戦闘不能ーー!!』

恵磨『チャンピオン・蘭子!! 3対1からの状況からイーブンに持ち込んだァ! 残すはゲッコウガのみぃぃ!!』

凛「な……」

凛「そんな……」

凛「メガシンカしても、敵わなかった……!?」

凛(ポケモンリーグ直前で仲間になったチャーレムと私じゃ、蘭子のリザードンには届かなかったの……?)

凛(それにあの姿は……メガシンカ?)

美玲「ああっ……!」

文香「追い詰めたつもりが、逆に追い詰められてしまいましたね」

幸子「しかし、今のはいったい……?」

晶葉「ふむ……こんなことがあり得るのかわからないが」

晶葉「まさかあのリザードンは2つの姿にメガシンカできるのだろうか……?」

志希「うーん……まだまだ未知の部分が多い生物だし、まぁあり得ない話ではないかもねぇ」

凛「お疲れ、チャーレム」

凛「……」

カチャ

凛「やっぱり最後は、アンタが出てくることになるんだね」

凛「みんなの思い……無駄にはしない! お願い、ゲッコウガ!」ポン

ゲッコウガ「ゲコ!」

恵磨『さあ! 今年のチャンピオン決定戦もいよいよ大詰め! 勝負はお互いのエース、リザードン対ゲッコウガの対決になりました!!』



真奈美「蘭子……やはり強いな」

モバP「ああ」

モバP「チャンピオンに君臨する者としての覚悟、そして勝利に飢えた眼。オレまで鳥肌が立ちそうだ」

モバP「それに、あの力……メガシンカ、だっけか」

モバP「原理とかはよくわからないけど、面白い要素だね。しかしまさか凛も使えるとは……」

真奈美「モバP」

真奈美「実は凛にメガシンカの力を与えたのは私なんだ」

真奈美「といっても、メガシンカに必要なキーストーンは元々ちひろの持ち物だったんだけどね。凛なら正しくその力を使ってくれると判断したんだ」

真奈美「正直、あれを使えば凛はもっと楽にチャンピオン決定戦までたどり着いていただろう。その過程でチャーレムと呼吸を合わせられるようになっていれば、もしかしたらリザードンを倒せていたかもしれない」

真奈美「だが彼女には彼女なりのプライドがあった。それはこれまで戦ってきた相手に誤解を生むことにも繋がりかねなかっただろう」

真奈美「特に未央……彼女のことだ、この状況をどう捉えているのだろうか」

真奈美「それでも、私は彼女にメガシンカの力を預けてよかったと思っているよ」

モバP「……そうか」

モバP「……なんだかすごく誇らしいよ。凛があんなにたくましくなって、な」



凛(チャーレムが粘ってくれたおかげで陽射しも弱まった)

凛(オボンのみがないのは不安だけど)

凛(やるしかない……ここまで来たなら)

凛「ゲッコウガ!」

今回はここまでです
ひっそりとTwitter始めたんでよければフォローしてください、趣味のことしかつぶやきませんが
@idonilikeYANKEE

次回、火曜日、決着

間違えた、@idontlikeYANKEE でした

投下します
蘭子戦、最終ラウンドです




凛「みずしゅりけん!」

ゲッコウガ「ゲコ!」シュババ

蘭子「蒼炎をもって焼き尽くせ!!」

メガリザードンX「リザァ!!」ボォォ

ジュゥゥ・・・・・・

シュー

蘭子「水蒸気……目眩ましか!」

凛「そうだよ……つばめがえし!」

ゲッコウガ「ゲコ!」フッ

ゲッコウガ「ゲコ!」ズバッ

恵磨『ゲッコウガ、素早い身のこなしでリザードンの懐に殴り込んだァ!』

蘭子「小癪な!!」

メガリザードンX「リザ……!」バサッ

蘭子「我らの翼を奪うことはできないわ!!」

蘭子「『空気の刃』よ!!」

メガリザードンX「リザ!」シュッ

ゲッコウガ「ゲコ!?」スパッ

瑞樹『でも切り返しを食らっちゃったわね。相変わらず隙がないわ』

ゲッコウガ「ゲコ……」ズザァ

凛(……耐えるんだ)

凛(たしかにメガリザードンは隙がない)

凛(でも一瞬……一瞬の綻びを見つけられれば)

凛(勝機はある……!)

凛(パワーでは劣るけど、スピード勝負なら!)

凛「ゲッコウガ!」

ゲッコウガ「ゲコ!」ダッ

蘭子「逃がすか!」

メガリザードンX「リザァ!!」ボォォ

凛「みがわり!」

ゲッコウガ「ゲコ」ポン

身代わり人形「」ボォォ

蘭子「むー……!」

凛「みずしゅりけん!」

ゲッコウガ「ゲコ!」シュババ

メガリザードンX「リザァッ……」ズドン

凛「体勢を崩した……!」

凛「今だ! ハイドロカノン!!」

ゲッコウガ「ゲコ……」ゴポォ

ゲッコウガ「ゲコォォォ!!」

ドババババ

蘭子「蒼炎の業火よ、激流を焦がせ!!」
  (かえんほうしゃで相殺します!)

メガリザードンX「リザァ!」ボォォ

ズドォォォン

恵磨『炎と水のエネルギーが激しく衝突っ……!』

シュゥゥゥゥ

恵磨『それに伴ってフィールドは水蒸気で覆われました!!』

瑞樹『まるで『しろいきり』を使ったみたいね』

卯月「またフィールドが見えなくなった……」

未央「ゲッコウガは……?」

蘭子「……」

フッ

蘭子「そこか!!」

メガリザードンX「リザァ!!」バシィ

ゲッコウガ「ゲコ!?」

恵磨『リザードン、シッポの一振りでゲッコウガを吹き飛ばした!!』

凛「受け身で着地!」

ゲッコウガ「ゲコ!」ドンッ

ズザァッ

凛「よし……その反動で飛びかかって!」

ゲッコウガ「ゲコ!」バビュン

瑞樹『またリザードンに急接近……!』

凛「つばめがえし!!」

ゲッコウガ「ゲコ!!」ズバッ

メガリザードンX「リザァッ……!」

蘭子「くぅぅ……!」

恵磨『決まったーー! 攻撃の反動で切り返したゲッコウガのアッパーカットだぁぁ!!』

ワァァァァァ

美玲「すげえ……」

幸子「息もつかないとはこういうことなのでしょうね」

乃々「お、追いつかない……」

輝子「フヒ……!」

凛「決まった……!」

蘭子「……」

蘭子「見事なカウンターだわ」

蘭子「でも……無闇に近づいたのが仇となったわね!」

メガリザードンX「リザ」ガシッ

ゲッコウガ「!?」

蘭子「翼竜よ、蒼穹の果てまで誘え!!」

メガリザードンX「リザァッ!!」ビュン

ゲッコウガ「――――!」

凛「ゲッコウガッ!」

ゴォォォォォ

恵磨『こ……これはまさか……』

蘭子「『ちきゅうなげ』!!」

メガリザードンX「リザァッ!」ブゥン

……………………

ヒュゥゥゥゥゥゥ

恵磨『ゲッコウガが……まるで流星のように』

ズドォォォォォン

恵磨『フィールドに落下ーー!!』

ワァァァァァ

ゲッコウガ「……」

凛「……!」

蘭子「さあ、今度こそ! 大いなる闇の炎に跪け!!」

蘭子「そして今一度示すのだ! 魔王の威光を!!」

蘭子「『ブラスト・バーン』!!!」

メガリザードンX「……」グォッ

メガリザードンX「リザァァァァ!!!」

ボォッ

カッ

ズドォォォォォン

凛「……」

ボォォォォ

志希「あっつぅ……!」

茜「ひええ……ここまで熱風が……!」

晶葉「これは……ひとたまりもないな……」

シュゥゥゥゥ……

………………

ゲッコウガ「……」

卯月「……!」

未央「……そ、そんな……」

恵磨『き……決まったーーー!!』

恵磨『凛選手、善戦しましたが! チャンピオン・蘭子のリザードンが3タテ!!』

恵磨『圧倒的な強さを見せつけ……チャンピオンの座を防衛しました――』



凛「ちょっと待って!!」



恵磨『え……?』

瑞樹『……?』

蘭子「……?」

凛「よく見てよ……まだ終わってないじゃん」

シュゥゥ……

ウニュニュニュ

蘭子「な……!?」

パチン!

未央「え……?」

こずえ「ゲッコウガ……消えちゃった?」

文香「いえ……元からそこにいなかった……のでしょうか?」

幸子「そこにいなかった……? でもゲッコウガは確かにリザードンに掴まれていたはず――」



真奈美「まさか……あのゲッコウガはみがわり……だったのか?」

ありす「ですがみがわりとは、先ほどのように人形を差し出す技なのでは……?」

モバP「ああ、だがあのゲッコウガは……確かにみがわりだった」

モバP「それも本物そっくりの、な」

晴「そ……そんなことができるのか!?」

モバP「……」

モバP「これはオレの仮説だが」

モバP「普通のみがわりは体力の一部を犠牲にして発動させる。そのエネルギーから生まれるのは似ても似つかない人形程度だ」

ありす「そ、そうですね」

モバP「だがもし……」


志希「『普段以上のエネルギーを使ってみがわりを作ったなら?』」

卯月「……!」

晶葉「上だ!」

ゲッコウガ「ゲコ……」ゴゴゴゴ

美玲「なっ……あれは……」

卯月「みずしゅりけん!? でもゲッコウガの何倍も大きい……!」

輝子「で、でっかい……」

乃々「あんな大きなみずしゅりけん、どうやって……?」

志希「あれもエネルギー量うんぬんの話だねぇ」

志希「普通のみずしゅりけんはエネルギーを分散させて連続攻撃する技だけど。もしも」


モバP「『エネルギーを一点に集中させてみずしゅりけんを発動したなら?』」


凛「いけえええぇぇぇ!!!」


ゲッコウガ「ゲコォォォ!!」ブゥン


蘭子「――!」

メガリザードンX「リザ――」

カッ

ズドォォォォォン

『…!』

『…………!』

『………………!!』

シュゥゥ……

フッ

リザードン「リザ……」ドサッ

恵磨『……な』

恵磨『なんという……どんでん返しでしょうか』

恵磨『リザードンが倒れ、立っているのはゲッコウガ……!』

恵磨『勝者……』

恵磨『凛選手ゥゥゥ!!!!』

ドワァァァァァァァァァァァァァ

卯月「……」

未央「……」

未央「……し、しぶりんが」

卯月・未央「「勝ったぁぁぁーーー!!!」」

凛「や……やった……」

凛「やったんだ……!」

ガクッ

凛「……!」

バッ

凛「あ……」

ゲッコウガ「ゲコ」

凛「ゲッコウガ……」

凛「……ふふ、前とは逆になっちゃったね」

凛「ゲッコウガ……ありがとう。本当に……ありがとう」

ゲッコウガ「ゲコ」

蘭子「……」シュゥゥ

蘭子「……見事。見事であった。我が魔力をもってしても敵わない、光の勇者よ」

蘭子「最後の最後まで希望を捨てず、無限の可能性を願い、常識を覆さんと抗う姿……美しかったわ」

蘭子「誰もが夢に祈り、待ちわびた約束の地。己が歩んだ道の果て。いかなる光にも劣らぬ至高の玉座……その座に相応しいのは」

蘭子「凛、貴方よ」

凛「蘭子……」

蘭子「故に――誇れ、我が友よ! 己が身をこの玉座に導いた、その手腕、その頭脳!」

蘭子「そして……ポケモン達への愛を!!」

凛「……!」

『すげええええーーーーー!!』

『新チャンピオンの誕生だーー!!!』

ドワァァァァァァ






ずっと、蘭子に憧れていた

美玲「すげえ……かっこよすぎるぜ……!」

乃々「も、もりくぼも……あんな風になれるかな……?」

輝子「フヒ……すごいバトルだった」

幸子「ボク、このバトルはずっと忘れないと思います……!」



私もああなりたいって、ずっと思ってた



茜「凛ちゃん……凛ちゃん……えぐっえぐっ」

文香「とても、感動しました。未だに心が打ち震えています」

こずえ「……ふふ……」


だけど今は……胸を張っていえるよ


晴「もうすげえとしか言えねえぜ!」

ありす「同感です。私……これから、凛さんを目標にしたいと思います」

真奈美「その意気だ。凛をも超えるトレーナーになってくれよ」

モバP「全く……お前は本当に凄い奴だよ」


蘭子とはちょっと違うかもしれないけど


未央「次は絶対負けないからねー!」

卯月「凛ちゃん、おめでとう!」



私は私が思う、チャンピオンになれたんだって……!

今回はここまで、次回は日曜日です
読んでいただきありがとうございました

次回、最終回

投下します





ポケモンリーグから1ヶ月後、アマミタウン

凛「……」

未央「おっ、いたいた!」

未央「おおーーい! しぶりーん!」

卯月「凛ちゃーん!」

凛「あ、未央、卯月」

未央「いやー、こうして3人で集まるのも久しぶりだなあ!」

卯月「本当だね。1ヶ月ってこんなに長かったんだなって」

凛「ふふっ、確かにね」

凛「みんな、元気だった?」

未央「そりゃあ、ちゃんみおのトレードマークは元気ですから!」エッヘン

卯月「私も元気だったよ!」

凛「そう、それはよかった」

未央「――で、こうやって集まろうって声をかけてくれたのはしぶりんだったわけだが」

凛「うん、なんか……皆、今何してるんだろうってふと思ってさ」

凛「近況報告、したいなって」

未央「うんうん、私もそろそろそういうのやりたいなーって思ってた!」

未央「そう言うしぶりんは何してたの?」

凛「私は……そうだね、アイマスでまだ行けてなかった町とかを旅していたかな」

凛「そうだ、レオン島も行ってきたよ」

未央「おおー、どうだった?」

凛「寒すぎてとても耐えられなかったよ。ほのおタイプのポケモンも持っていなかったし……」

凛「未央はあんな場所、よく行けたよね」

未央「ふっふっふ、元気があれば何でもできる、ってね!」

未央「しまむーはポケモンコンテスト、だっけ?」

卯月「うん、今はまたガナハで師匠の家に居候させてもらってるんだ」

凛「この前テレビで見たよ。『ポケモンコンテストに新星・P.C.S.現る!』って紹介されてたね」

卯月「あはは……あれ、見ててくれたんだ……」

未央「テレビに出てたんだ! しまむーすごい!」

未央「でもピーシーエスって何の略なの?」

卯月「ピンク・チェック・スクールって言うんだけど……コンテストで仲良くなった美穂ちゃんと響子ちゃんって子がいて、その2人のコンテストでの衣装がピンクチェックのドレスなんだ」

卯月「私もその衣装が可愛いなあって思って着始めたんだけど、そのおかげで3人で一括りにされることが多くて。いつの間にかチーム名みたいに浸透しちゃってたんだ」

凛「へえ、そうだったんだ」

卯月「まあ、でも、みんな持ち上げすぎというか何というか……えへへ、恥ずかしいなあ」

未央「なんだ~、まんざらでもなさそうじゃん」

凛「いい友達を見つけたんだね」

卯月「うん、毎日たくさん新しい発見があるから楽しいよ!」

卯月「未央ちゃんは何してるの?」

未央「私はね、シジョウで今も特訓してるんだー。来年こそチャンピオンになりたいからね!」

未央「あと、しまむーと参加したバトルライブ、ってあったじゃん? あれのシングルバトルにも挑戦してるところ!」

卯月「へえ、そうなんだ」

凛「何というか、バトル漬けって感じだね」

未央「そうそう、そんな感じ!」

未央「あ、でもこの前ね、シジョウにヘレンがやって来てさ」

凛「ヘレンって……シンデレラ団の幹部だった?」

未央「そうそう。『あなたは私のライバル。あなたのいる場所には常に私もいると思っておきなさい(ドヤァ)』とか言われて、ちょっと付きまとわれてるんだ……あはは」

卯月「うわあ、何というか……」

凛「大変そうだね……」

未央「まあ、もう負けることはないし、何だかんだでいい修行相手だと思ってるから、ちゃんみおは大丈夫だよ!」

凛「そっか」

凛「……」

卯月「……どうしたの、凛ちゃん?」

凛「……あのさ」

凛「実は2人に話しておきたいことがあって……」

卯月「?」

未央「?」


未央「ええええええええーーーーー!?」


卯月「凛ちゃん、アイマスを出ていくの…!?」

凛「うん。……あ、別にアイマスとか皆が嫌いになったわけじゃないよ」

未央「い、いやいや、それはわかっているけど!」

未央「急に言われたらそりゃビックリするよ!」

未央「それに今はしぶりんがアイマスのチャンピオンなんだし……」

卯月「ど、どうして、アイマスを出ていこうと思ったの?」

凛「うん。……さっき、行ったことのない町とかを巡っていたって言ってたけど」

凛「その時に1人のトレーナーと戦ったんだ」

…………………………………………………

凛「……」ザッザッ

??「ねえ、そこのトレーナーさん」

凛「? ……私?」

??「ええ、そうです」

??「突然すみません。見たところ、とても強そうなトレーナーだと思って、声をかけさせてもらいました」

楓「私、楓と申します。よければ、私とポケモンバトルをいたしませんか?」

凛(楓……)

凛(見ただけでもわかる。この人、かなりの腕前だ)

凛(でもポケモンリーグにはいなかったような……)

凛(いや、そもそも私のことを知らない……?)

凛「ポケモンバトルだね。うん、いいよ」

楓「では、お互いに手持ちは2匹ずつ、2匹とも倒れたら終了という形でいきましょうか」

凛「いいよ」

楓「それでは……いきますよ、アーマーガア!」ポン

アーマーガア「ガァー!」

凛「!?」

凛(何……あのポケモン!?)

凛(初めて見るポケモンだ……きらりや杏みたいに、遠い地方のポケモンを使うトレーナーだろうか)

凛(……油断できないな)

凛「……ムクホーク、よろしく!」ポン

ムクホーク「ムクホー!」

楓「ムクホークですか。……」

楓「ムクホークに、向くホーク……」クスッ

…………………………………………………………



凛「正直に言うとね」

凛「……全く歯が立たなかった」

卯月「そ、そんな……」

未央「あのしぶりんが負けたなんて……」

未央「だ、だって、しぶりんはチャンピオンになったんだよ? そんなしぶりんより強いなんて……」

凛「うん。私も最初はすごくショックだった」

凛「……でもね、逆に嬉しかったんだ」

卯月「え? どういうこと?」

凛「私、ずっと目的を失っていたから」

凛「夢に見たチャンピオンになれた。たくさんの人が私を祝福してくれた。でも私は、チャンピオンになった後のことを何も考えていなかった」

凛「このままずっとアイマスに残って、一番強いトレーナーを名乗り続けるのかなって、ぼんやり考えてたんだ」

凛「でもそんなときに、楓さんっていうトレーナーと会った」

凛「あの人、ずっと遠い地方で修行をしていて、たまたまアイマスに帰ってきていたから、私がチャンピオンだっていうことを知らなかったみたい」

凛「あの人に負けて、私が見ていた世界はまだまだ小さかったんだなって気付けた。世界にはもっと強いトレーナーがいるし、見たことのないポケモンもたくさんいる」

凛「私は、もっと新しい景色を見たい。そう思えたんだ」

凛「それに見たことのないポケモンを調べるのは、モバPの手助けにもなるしね」

卯月「凛ちゃん……」

凛「チャンピオンの座がどうなるのかは、また蘭子とかに相談しないといけないけど」

凛「近いうちにアイマスを出て、楓さんが修行していた地方――ガラル地方、って言ってたっけな、そこに向かうつもり」

凛「明日からジムリーダーの皆にも挨拶しに行くんだけど、その前に2人とも会っておきたいなって思って」

卯月「そういうことだったんだ」

未央「そっかー……」

未央「はあー。なんか、しぶりんがアイマスからいなくなるって、想像つかないなぁ」

卯月「そうだね。……私も正直、寂しいな」

卯月「でも凛ちゃんが決めたことだし、凛ちゃんの夢だもんね。私は応援するよ」

未央「うんうん、私も!」

凛「ありがとう、2人とも」

凛「いつ帰ってこれるかもわからないけど、もう帰ってこないってわけじゃないし。帰ってきたら、また3人で集まりたいな」

卯月「うん、集まろう! お土産話、たくさん聞かせてね!」

未央「話だけじゃなくてお土産も、ね!」

凛「ふふっ」

卯月「凛ちゃん」

凛「?」

卯月「例え離れ離れになっても、私たちはずっと3人で一緒だよ」

未央「そうそう、いつも心の中には私たちがいるよ!」

未央「それにしぶりんなら、きっと向こうでもすごくビッグになれるよ!」

未央「そうなったら、絶対またバトルしようね!」

凛「卯月、未央……ありがとう」

卯月「ううん、凛ちゃん、頑張ってね!」

未央「よーし! じゃあ今日はしぶりんの船出を祝ってパーティーだー!」

凛「ふふっ、未央ったら大袈裟だよ」

……………………………………………

未央「それじゃ、しぶりんの無事を祈って……」

卯月・凛・未央「「「カンパーイ!」」」

キサラギシティ

凛(日菜子……いるかな?)

凛「お邪魔します」ガチャ

日菜子「あ、凛ちゃん!」

凛「日菜子、久しぶりだね」

日菜子「お久しぶりですねぇ。新チャンピオンの祝賀会以来ですか」

日菜子「まさか来るとは思ってなかったです。それで、どうかされましたか?」

凛「うん、実は……」

カクカクシカジカ

日菜子「……そうだったんですか」

日菜子「寂しいですけど、凛ちゃんの選んだ道ですもんね。日菜子も応援しています!」

凛「うん、ありがとう」

凛「日菜子には家に泊めさせてもらったこともあったし、シンデレラ団の件でもお世話になりっ放しだったね」

凛「今まで本当にありがとう」ペコ

日菜子「いえいえ~、日菜子も凛ちゃんと会えて本当によかったです!」

日菜子「ガラル地方かあ……どんなポケモンがいるんだろう……王子様みたいなトレーナーはいるかなあ……」ホワホワ

凛「あ、あはは……」

凛(相変わらずだなあ……)

凛「それじゃ、私は行くね」

日菜子「ええ、どうかお元気で!」

日菜子「またいつでも泊まりに来て下さいね~!」

キクチシティ

凛「たしか灯台の方に……」

凛「あれ、いないな。どこにいるんだろう……?」

ほたる「……もしかして、凛さん、ですか?」

凛「?」

凛「あ、ほたる!」

ほたる「お久しぶりです、凛さん」

凛「こちらこそ、久しぶり。町……随分綺麗になったね」

ほたる「はい。災害の数も、以前よりめっきり減りました」

ほたる「もし何かが起こったら、すぐに町の人も協力してくれて……。これも凛さんのおかげです」

凛「ううん、ほたるの頑張りがあってこそだよ」

ヤミカラス「ヤミー!」バッサ

凛「……そのポケモンは?」

ほたる「ああ、私がこの町に来る前からパートナーだったヤミカラスです」

ほたる「一時期はいなくなっていたんですけど、凛さんとのジム戦を終えたあとに戻ってきてくれたんです」

ほたる「もしかしたら、凛さんが連れ戻してくれたのかも……」

ヤミカラス「ヤミー!」

凛「そうなんだ、それはよかったね」

ほたる「ところで、今日はどうかされたのですか?」

凛「ああ、実はね」

カクカクシカジカ

ほたる「そうでしたか」

凛「うん、それでこうして挨拶に回ってるんだ」

ほたる「凛さんは本当に誠実なお人ですね」

ほたる「私自身、凛さんにお会いできたからこそ、今の私があると思っています」

ほたる「きっと凛さんだったら、遠い地方に行ってもたくさんの人を笑顔にできる……そう思います」

ほたる「だから凛さん、遠くに行っても頑張って下さいね」

凛「ほたる……ありがとう」

ほたる「凛さんが戻って来られたら、もっとキクチを自慢できるように、私も頑張ります!」

凛「うん、頑張ってね」

凛「それじゃ、そろそろ行くね」

ほたる「はい。わざわざありがとうございました。どうかお元気で……!」

よみのとう

凛(ハナコにも挨拶しておかないとね……)

凛(……)

凛(よし、次はハギワラシティか)

凛(……ん? あれは……小梅?)

小梅「……」パタパタ

凛「小梅」

小梅「あ……」ハッ

小梅「凛さん……お久しぶりです」

凛「こちらこそ。そっか、この塔の管理をしてるんだっけ」

小梅「はい、そうです……今はちょっと、お掃除を」

凛「ちょうどよかった。小梅にも話しておきたかったんだ」

小梅「……?」

カクカクシカジカ

小梅「なるほど……だから、お墓にも挨拶しに来られたんですね……」

凛「うん、そうなんだ」

小梅「すごいなあ……凛さんのこと、ますます尊敬しちゃいます……」

小梅「どうか気をつけて……行ってきて下さいね。……あ」

凛「?」

小梅「……お友達も、凛さんのこと応援してくれてる……」クスッ

凛(小梅って……本当に何か見えているのかな?)

ミウラシティ

凛(たしかここが晶葉のラボだったはず)

凛「失礼します」ガチャ

晶葉「ん?」

晶葉「おお、凛じゃないか!」

裕子「あ、凛ちゃん! こんにちは!」

凛「あ、ユッコもいたんだ」

裕子「ええ、晶葉ちゃんに手伝ってほしいと頼まれまして!」

晶葉「ちょうどよかった。凛に伝えたいことがあったんだ」

晶葉「凛、君は『ダイマックス』という現象を知っているか?」

凛「ダイマックス……? 聞いたことないな」

晶葉「ダイマックスというのは、ある地方でポケモンが超巨大化する現象を指している言葉なんだが」

晶葉「ポケモンリーグできらりが特大サイズのホエルオーを使っていただろう? 一説によると、あのぐらいのサイズまで大きくなるらしいんだ」

凛「え……ポケモンが巨大化するの?」

裕子「すごいですよねー、元々は普通のサイズなのにバトル中だけ大きくなるみたいなんです。サイキックの力なんでしょうか?」

晶葉「で、どうやらダイマックスすると特殊な姿に変化するイーブイがいるらしいんだ!」

晶葉「たしか、そのダイマックスという現象が発見されたのは、ガラル地方という土地だったような……」

凛「ガラル地方!?」

晶葉「あ、ああ、そうだが。どうしたんだ、そんなに驚いて」

凛「いや、実は……」

カクカクシカジカ

晶葉「何と! ではこれからそのガラルに赴くというのか!」

凛「うん、そうなんだ」

凛「ダイマックスするポケモンがいるなんて知らなかったけど……」

裕子「晶葉ちゃんの話を聞く限りだとなんかヤバそうな土地ですけど……凛ちゃん、本当に行くんですか?」

凛「……うん、そのダイマックスっていうのも気になるしね」

晶葉「もし行くなら! どうかダイマックスするイーブイを見つけて連れ帰ってきてはくれないか!?」

晶葉「い、いや、私自身が行けばいいのか! そうか! その手があったか!」

凛「え、ちょっと?」

晶葉「凛、私はたった今決めた! 私もガラルへ行く!」キラキラ

凛「ええ!?」

晶葉「ただ、ちょっと諸々の準備があるから……今すぐにとはいかないが……なるべく早急に!」

裕子「晶葉ちゃん、色めき立ってますね!」

裕子「凛ちゃん。晶葉ちゃん、熱中しすぎると周りが見えなくなるから……向こうでも、ちょくちょく面倒見てくれたら嬉しいです」

裕子「あ、それと、ユッコもテレパシーで常に凛ちゃんのこと、応援していますからね!」

凛「う、うん、わかったよ……」

凛(話の展開が急すぎる……)

凛(ダイマックスか……私のポケモン達も、巨大化したりするのかな)

凛(……)

凛(なんか想像できないな……)

ミナセシティ

凛「夕美、いる?」ガチャ

夕美「あっ、凛ちゃん!」

夕美「よく来たね、ちょうどお菓子を食べようと思ってたんだ。上がっていってよ!」

凛「いや、気持ちだけもらっておくよ、ありがとう」

凛「今日はちょっと、夕美に報告したいことがあって」

夕美「どうしたの?」

カクカクシカジカ

夕美「……そうなんだ」

夕美「そっかあー。凛ちゃん、旅立っちゃうんだね」

夕美「ガラル地方かぁ……どんなお花が咲いてるのかな」

夕美「わざわざ知らせに来てくれたんだね、ありがとう!」

凛「いや、全然いいよ」

凛「……私がいなくなっても、お店のこと、よろしくね」

夕美「うん、もちろん!これからもお世話になります」

夕美「そうだ、凛ちゃんにこれ、あげるね!」

凛はグラシデアの花飾りを手に入れた!

凛「これは……」

夕美「グラシデアの花。遠い地方に咲く花で、感謝の気持ちを表しているの」

夕美「昔、シンオウに行ったときに貰ったんだ」

夕美「もし凛ちゃんが辛くなったら……この花飾りを見て」

夕美「そして思い出してほしいの。私達と、アイマスで過ごした日々を」

夕美「この花飾り、胸元に飾ってエンブレムみたいにもできるし、帽子にアクセサリーとしてつけるのもいいかもね!」

凛「夕美……ありがとう」

凛(そうだ、前にミナセで帽子を買ってたし、あれにつけてみようかな)

夕美「それとね、つい先日なんだけど、美玲ちゃんと乃々ちゃん、輝子ちゃんに幸子ちゃんが町を旅立ったんだ」

凛「そうなんだ。あの子達にも会いたかったな」

夕美「旅をしてるなら、きっとまたどこかで会えるよ!」

凛「うん、それもそうだね」

フタミシティ

凛「肇、いるかな?」

ガチャ

肇「あら、凛ちゃんですか。お久しぶりですね」

凛「肇、久しぶり。今日はちょっと話があって来たんだ」

肇「あら、どうかしました?」

カクカクシカジカ

肇「ガラル地方、ですか」

肇「……あ! それなら……」ガサゴソ

肇「餞別といったらなんですが、これ、よかったら使ってほしいです」

チャキ

凛「これは……スプーンとお皿?」

凛「これも肇が作ったの?」

肇「はい、そうです」

肇「以前誰かから聞いたのですが、ガラル地方はカレーが有名な地方らしいんです」

肇「なので、是非ともこのスプーンとお皿で、たくさんカレーを食べてほしいな、って思いまして」

凛「へえ……カレーかあ」

凛「でも本当にもらっていいの?」

肇「はい! 折角なので、たくさん使ってあげてください!」

凛「そういうことなら。ありがとう、肇」ペコリ

肇「いえいえ。遠くに行っても、頑張って下さいね!」

ホシイシティ

菜々「あっ、凛ちゃん!」

凛「菜々、久しぶりだね」

菜々「ほんとですねー、凛ちゃん、また一回り大人になった気がします!」

凛「え、そう?」

菜々「はい、ナナも嫉妬しそうなぐらい大人びた感じがします……!」

凛「……」

菜々「……はっ! 何か変なこと言いましたか!?」

凛「い、いや、全然」

凛「そうだ、菜々、実はね」

カクカクシカジカ

菜々「凛ちゃんが……そうですか」

菜々「ナナも応援しています! 頑張って下さいね!」

凛「ありがとう、菜々」

凛「そういえば、文香とかこずえとか、奈緒や加蓮は元気?」

菜々「文香ちゃんとこずえちゃんはホシイに戻って来られました。でもまた近いうちに旅に出るかもしれないですね」

菜々「奈緒ちゃんと加蓮ちゃんは、今はアイマスにはいないと思います」

凛「え、そうなの?」

菜々「はい。凛ちゃん、ポケモンリーグでメガシンカを使っていたじゃないですか」

菜々「噂によると、奈緒ちゃんや加蓮ちゃんのポケモンもメガシンカする可能性があるみたいで。それを追い求めるために2人はホウエン地方へ行かれました」

凛「へぇ、ホウエン地方……」

菜々「ええ、きっと2人もホウエンで頑張ってると思います!」

菜々「凛ちゃんもいなくなるのは寂しいですけど……ナナ、いつでも待ってますからね!」

凛「うん、ありがとう」

菜々「どうかお元気で!」

凛「うん、菜々も元気でね」

シジョウシティ

真奈美「そうか、ガラルへ行くのか」

凛「はい。もっと強くなりたいって思って。それに、ガラルにはまだ私の知らないポケモンもたくさんいると思います」

真奈美「うん、それはいい心構えだ」

真奈美「井の中の蛙、大海を知らず、という諺がある。きっとアイマスのチャンピオンになっただけでは、まだまだ未熟なのかもしれないな。ありす、晴」

ありす「ええ、仰る通りです」

晴「世界にはまだまだ強いトレーナーがいっぱいいそうだもんな!」

真奈美「ガラルはポケモンバトルが盛んな土地だと聞いたことがある。向こうでの経験は、きっといい財産になるだろう」

真奈美「チャンピオンの座についてだが、蘭子は今アイマスにはいないらしい。私から改めて連絡を入れておくよ」

真奈美「恐らくリーグ委員会としては、繰り上げで再び蘭子をチャンピオンに、と言いそうだが、問題はそれで本人が満足するか、だな」

真奈美「まあ、この件に関しては心配はいらないよ」

凛「ありがとうございます」

真奈美「それからガラルには……」

凛「?」

真奈美「……いや、これは行ってからのお楽しみの方がいいかもな」

ありす「凛さん。いつかアイマスに戻って来られたら、私ともポケモンバトルさせていただけませんか?」

晴「オレも! 是非ともバトルしたいぜ!」

凛「うん、2人ともその意気だよ。絶対、バトルしようね」

真奈美「2人とも、きっといいトレーナーになる。その時は凛、よろしく頼むよ」

凛「はい」

凛「……色々と、お世話になりました」ペコ


翌日


キサラギシティ フェリー乗り場

詩織「凛さん、そろそろお時間です」

凛「あ、はい」

凛(晶葉によると、最近のモバPは学会の関係でかなり忙しいらしい)

凛(結局、モバPには挨拶できなかったな……)

凛(モバPだけじゃない。茜や志希、愛梨、蘭子にも直接伝えたかったけど……まあ仕方ないか)

詩織「……あら?」

タタタタタ

モバP「凛!」

凛「……!」

凛「モバP……!!」

モバP「ふう、間に合ったよ」ゼーハー

モバP「……凛、ガラルへ行くんだってね」

凛「……うん」

モバP「……そうか」

モバP「実は俺もな、この後の船でアイマスを出るつもりだったんだ」

凛「え、そうなの?」

モバP「ああ。前にアローラ地方がどうとか……って話をしただろ?」

モバP「あの後、会議でやっと皆の許可をもらえてさ、晴れて行けることになったんだよ」

凛「そうなんだ」

モバP「まあ、皆からは『せいぜいバカンスを楽しんでらっしゃい』って皮肉られっぱなしだけど……」

凛「……ふふっ」

モバP「何だよ、凛まで笑うのかよ」フン

モバP「……それで、もしよかったら、凛も一緒に来ないか、って言いたかったんだけど……」

凛「……!」

凛「……バカ、遅いよ……」

モバP「ご、ごめんよ」

凛「……」

凛「……あ、あの」

モバP「?」

凛「ガラルにも、見たことのないポケモンがたくさんいるんだよね」

凛「私、ガラルのポケモンの情報とか集まったら、すぐモバPに連絡するね」

モバP「本当か!? それは助かるよ!」

凛「だから、その……モバPも、アローラだっけ、遠くに行っても……頑張ってね」

モバP「凛……」

モバP「……」

モバP「その帽子……似合ってるな」ポン

凛「へ!?」

モバP「……うん、俺も頑張るよ。だから凛も……元気でな」

凛「……!」カァーッ

詩織「あ、あの……」

凛「……はっ、そうだった」

凛「詩織さんごめんなさい! すぐ行きます!」

凛(モバP……)

凛(私、皆が自慢できるトレーナーになりたい)

凛(皆だけじゃない、モバPにも似合うトレーナーになりたい)

凛(私、頑張るよ)

凛(だから……ずっと、見守ってて)

凛「モバP!」

モバP「……!」


凛「……またね!!」



ヒダカタウン



??(1ヵ月前のあの日の事は、よく覚えている)

??(部屋の小さなテレビの中で繰り広げられる、ポケモンリーグチャンピオンと挑戦者の頂上決戦)

??(食い入るようにテレビを見ていたっけ)

??(挑戦者がチャンピオンを破って、頂点に立ったあの姿……私にはとても輝いて見えた)

??(それを見てからかな……私もポケモンを持って、旅をしたいと思うようになった)

??(そして、あの人と戦いたいと思った)

??(あの人が見た景色を、私も見たいと――)

「悠貴ー、朝ごはんできたわよー」

悠貴「はーい!」

悠貴(ついに今日……)

悠貴(いよいよ始まるんだ……)

悠貴(私だけの物語が!)




きらり「……ねえ、杏ちゃん」

杏「ん?」

きらり「きらりん、この大会が終わったらね――」

きらり「アローラへ行こうと思うの」

杏「……!」

きらり「杏ちゃん、ずっと行きたいって言ってたよね。でもきらりんはアイマスが好きだから……なんか、離れたくなかったんだにぃ」

きらり「でも……凛ちゃんとバトルして、きらりんもアローラに行かなきゃ、って思ったの!」

きらり「アローラにはね、ジムが無いんだってー! そういうのもずっと気になってたにぃ!」

きらり「それにキテルグマちゃんやネッコアラちゃんのお友達もたくさんいるかもしれないし!」

きらり「……きらりん、もっともっと広い世界を見たいにぃ」

きらり「だから杏ちゃん……ついてっちゃ、ダメ?」

杏「……」

杏「そんな頼まれ方されたらノーって言えるわけないじゃん……」

杏「うん。行こう。その代わり――」

きらり「??」

杏「大会が終わったら、じゃなくて、今すぐ出発しよう。行動は早いに越したことはないからね」

杏「あと、向こうでも移動の時は杏をおぶっていくこと。……いいね?」

きらり「……!」キラキラ

杏「……!」ビクッ

きらり「杏ちゃぁぁぁぁん!」

杏「うわぁ! う、嬉しいのはわかったからはなせー!」

きらり「にょわーっ☆」




美玲「……いよいよだな」

輝子「フヒ……やっぱり、いずれはみんなバラバラに旅することになるのかね」

乃々「一人旅なんてむーりぃ……」ショボーン

美玲「ウ、ウチだって怖いし寂しいし不安だよ! でもいつまでも3人ずっとってわけにもいかないし…」

輝子「……」

乃々「……」

美玲「お、お前らもっと元気出せよ……きっとまたどこかで会えるだろうしな」

輝子「フヒ……まあそうだな」

乃々「そうだといいですけど……」

輝子「なあ、そういえば幸子は?」

美玲「ああ、あいつはもう昨日に町を出たよ。『一人でも大丈夫ですもんね~』って意地張ってたけど」

乃々「幸子ちゃんらしいというか…」

輝子「……んじゃ美玲ちゃん、私らも行こうか」

美玲「おう、そうだな」

美玲(ここから始まるんだ……ウチらと、ポケモンたちの物語が)

美玲「…………めざせ!」



「「「ポケモンマスター!!!」」」

ED曲 つぼみ



というわけでこれにて完結です

一度は打ち切られたストーリーをエンディングまで導きたかった、という理由で許可を頂き、書き始めたSSでしたが、構想含めて約半年、大変だったけれど楽しかったです

私は虎の威を借りた狐の身だったので偉そうなことは何も言えませんが、読んでいて面白かったと感じられた方、アイマスやポケモンが更に好きになった方が一人でもいてくれたら嬉しいです

もう少ししたらHTML化依頼するのでそれまで残りのレスは好きにしてください
ガラルのポケモン全然出せてないしシャニマスの子らも登場させたかったので気が向いたら続きを書くかも…ということで



それではこれにて
最後まで読んでいただき、誠にありがとうございました

完結と言ったな、あれは嘘だ

新しいスレ立てました、よろしくお願いします

【モバマス】凛・藍子「1・2・3で飛び込め!」
【モバマス】凛・藍子「1・2・3で飛び込め!」 - SSまとめ速報
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