水木聖來「アタシだって…!」 (29)


恋愛ヘタレ聖來さんの話の続きですが、聖來さんとPさんがお付き合いしていることだけわかれば大丈夫です。

一応前作

水木聖來「アタシは恋愛ヘタレじゃないっ!」
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聖來「オトナのオンナなんだから!」

沙理奈「へぇ~~」

聖來「へぇボタンみたいな声出さないで! ホントだもん!」

沙理奈「アタシの知る限りオトナのオンナを自称する人で本当にオトナの
    オンナだった人を見たことがないんだけど。発音もなんかアホっぽい
    し」

聖來「う゛ー…」

沙理奈「犬か」

聖來「確かに、アタシは23年間恋愛経験なかったよ? でも今はPさんと付き
   合ってるもん…い、いろいろ経験したもん」


沙理奈「あー…うん。付き合ったその日にオトナの階段上ったんだもんね。
    オトナだねー」

聖來「生暖かい目で見ないでよ…」

沙理奈「何はともあれ、聖來が幸せそうでよかったわ。告白の場所をセッティングした甲斐もあるってものよね。 …で、どうなの?」

聖來「どうって?」

沙理奈「あれからふたりでデートしてるの?」

聖來「うん、してるよ。お互いスケジュール合わせなきゃいけないからそんな
   に数は多くないし、場所は大体アタシの部屋だけど」


沙理奈「へぇ…ちゃんと恋人らしくイチャイチャしてる?」

聖來「そ、それは…うん。えへへ…」

沙理奈「もー、何よニヤニヤしちゃって。どんな会話してるのか聞かせなさいよ!」

聖來「えぇー…し、しょうがないなー…! あんまりこういうの話したくないん
   だけどー…♪」

沙理奈(すっごく話したそうに見えるけど…)

聖來「えっとね、この前ね―」


ーーーーーーーーーーーーー

わんこ「ワンっ」

P「おー? どうしたわんこ」

わんこ「ワンっ」ボフッ

聖來「わんこ、Pさんに遊んで欲しいみたい!」

P「そっかそっか。可愛いなわんこー!」ワシャワシャ

わんこ「ワンっ!」フリフリ

P「わんこはふわふわだなあ…」ナデナデ

聖來「…」

聖來「……」ウズウズ


聖來「あ、アタシだって…!」

P「?」

聖來「えいっ!」ギュウウウ

P「えーと…聖來?」

聖來「わんこだけじゃなくてアタシも…可愛がって欲しいな…?」

P「…」

聖來「…」

P「聖來ー!」ガバッ

聖來「ちょっ」

P「可愛いなあ聖來は!」ワシャワシャ


聖來「ちょ、ちょっと、くすぐったいってば…!」

P「お前のご主人様は可愛いなあ、わんこ!」

わんこ「ワンっ!」

ーーーーーーーーーーーー

聖來「―とか?」

沙理奈「へえ…」

聖來「な、何?」

沙理奈「結構王道にイチャついてんだなって思って?」


聖來「お、王道なのかな?」

沙理奈「他には?」

聖來「ほ、他? えっとね、この前Pさんの部屋でね―」

沙理奈(あ、もう普通に話してくれるのね)

ーーーーーーーーーーーー

聖來「Pさん、ご飯できたよー…何読んでるの? ……あ」

P「あ?」

聖來「……Pさん、そういう人が好みなの?」


P「そういう人って?」

聖來「だから、美人で背の高くて、髪の長くて、スタイル良くて…オトナの
   オンナって感じの…」

P「…? …ああ、有栖川さんのことか? 確かに綺麗だよな。愛犬もいい顔
  してる。聖來ともお互いアイドルでゴールデンレトリバー飼い同士仲良く
  なれそうだな」

聖來「…もういい」

P「聖來?」

聖來「…こ、恋人の前でそういうのやめてよ…いくらタイプでもさ」

P「…俺のタイプの人は、聖來だぞ」


聖來「…」

P「俺のタイプは、美人で背は少し低いかもしれないけど、スタイルが良くて、
  ショートカットの似合う子だけど」

聖來「いいよ、そんなお世辞言わなくても…」

P「…聖來、俺が見てた逆のページ見たんだろ」

聖來「…え?」

P「俺が読んでたのは、こっちのページ」

聖來「……あ」

P「覚えてるか? 愛犬家のアイドルが特集されたの。ゴールデンレトリバー
  飼い同士、隣り合ったページになってたんだな。俺が見てたのはこっちの、
  聖來が特集されたページだよ」


聖來「……」

P「いやー、こうして見るとプロデューサーとしても恋人としても聖來は可愛
  いなって…聖來?」

聖來「…」

聖來「…は、恥ずかしいっ…色んな意味でっ…」

P「あー、うん。そうかもな…」ナデナデ

聖來「きえてしまいたい…」

P「まあまあ、そう言わずに。ご飯食べたら一緒に見ような。それにしても、
  聖來も嫉妬とかしてくれるんだなあ」


聖來「あ、アタシだって…女の子だもん…」

P「そっかそっか」

聖來「……あれ? 聖來「も」ってことは、Pさんも嫉妬とか、するの…?」

P「…」

聖來「…」

P「……さあ、どうだろうな?」

聖來「ええ! 教えてよ!」

P「…教えない!」

聖來「ズルいズルい!」

P「あ、そうだ! 有栖川さんのこと「オトナのオンナ」って言ってたけど、
  有栖川さんまだ20歳の大学生だぞ」

聖來「…ウソっ!」


ーーーーーーーーーーーー

聖來「―とか。アタシだけじゃなくて、Pさんも嫉妬とかしてくれるんだって
   思ったら嬉しいなって…」

沙理奈「…はー」

聖來「な、何?」

沙理奈「…なんか、恋愛ヘタレが恋を知った反動というか」

聖來「恋愛ヘタレじゃないってば」

沙理奈「…バカップル化してない?」

聖來「バッ…!? ち、違うって! い、言い争ったりすることだってあるし!」


沙理奈「いいじゃないバカップルだって。可愛いわよ?」

聖來「なんか、はじめての恋人ができて浮かれてるみたいで…ヤ!」

沙理奈「その通りじゃないの…もういいわよ。仕事前なのにお腹いっぱいになりそう」

聖來「自分から聞いといて突き放さないで!? いいもん、勝手に話すから!」

沙理奈(どうせノロケよねこれ)


ーーーーーーーーーーーー

TV『続いては、話題の美男美女カップルの特集です!』

P「やっぱりこのふたり付き合ってたんだなあ。業界内では噂だったしな」

聖來「ラブストーリーの恋人役がきっかけなんだってね。すごいよね」

P「…」

聖來「どしたの?」

P「聖來には恋愛する役のオファーは受けないでおく」

聖來「ええー? いやいや大丈夫だって」


P「いいや、やらせない。聖來には「ヒロインの友だちでダンスが趣味の出番は多くないけどSNSで「あの友だち役めっちゃ美人」と話題になって物語のクライマックスではヒロインにアドバイスをするような役」をやらせる」

聖來「なんでそんなに具体的なのさ…ほら、テレビ見ようよ」

TV『ケンカですか? …恥ずかしいんですけど、「どっちがより相手を愛して
   るか」なんてことで言い争っちゃって…』

P「バカップルだなあ…」

聖來「バカップルだねえ…」

P「…」

聖來「…」


P「…ちなみに、俺と聖來ってどっちが」

聖來「アタシでしょ?」

P「…いや、俺だろ」

聖來「なんで? 告白したのはアタシからじゃん」

P「告白「は」な?」

聖來「え、じゃあ他になにがあるの?」

P「キスしたのは俺からだ」

聖來「いやいや! キスはだってあれじゃん! 告白あっての、付き合っての、
   キスじゃん! そんなにハードル高くないじゃん!」


P「いや、カップルになってすぐにキスするのもリスクはあるぞ。がっついて
  ると思われるかもしれないし。でもそんなのを考える余裕もなく聖來が
  可愛かったからキスをしたんだから。俺の愛もなかなかのもんだと思うぞ」

聖來「それならアタシの告白は!? アイドルとプロデューサーの関係を飛び越
   えて告白したんだよ!? 失敗した時のリスクはキス以上でしょ! それ
   でも告白したアタシの勇気こそ、あ…愛してるからこそでしょ!?」

P「ほとんど両想いなのはなんとなくお互い感じてただろ? それ言うならあの
  時聖來が…」

聖來「あー! それは言わないで!」

P「とにかく、どちらかと言えば俺の方が愛してるんだって」


聖來「あ、アタシだって!」

P「…」

聖來「…」

P「~!」

聖來「~!」


ーーーーーーーーーーーー

聖來「―ね!?」

沙理奈「え、何が?」

聖來「言い争いだってしてるでしょ? バカップルはケンカしないもん」

沙理奈「…ちなみに、それ結局どうまとまったの」

聖來「「どっちも同じくらい愛してるね」って…」

沙理奈「じゃあもう序盤の言い争いはただのイチャイチャへのプロセスじゃない。結局最終的にイチャイチャしてんじゃない、このバカップルめ」

聖來「ち、違うって! Pさん、変なところで意固地だからアタシが折れてあげたの! 子どもっぽいPさんにアタシが合わせてあげなかったら
   まだまだケンカしてたもん」


沙理奈「そもそも議題が……ん」ズイ

聖來「? …コーヒー? くれるの?」

沙理奈「飲んでみて」

聖來「うん……あ、ちょっと苦いね。アタシはやっぱりカフェオレのが好みかな」

沙理奈「そう? アタシはこれでもまだまだ甘ったるいくらいだけどね」

聖來「へえ、コーヒーが好きなんだね沙理奈」

沙理奈「…………………………そうね」

聖來「?」

沙理奈「…どう? はじめての恋愛、楽しい?」


聖來「あ……うん、なんか、そうだなあ…」

沙理奈「うんうん」

聖來「…アタシの好きな人が、アタシのことを好きでいてくれるのって、いいなって…それだけでね、アタシの部屋でPさんとわんこがいるってだけでね、
   こういうの、いいなって…幸せだなって、思えるんだ…えへへ、何か恥ずかしいね」

沙理奈「…」

沙理奈「……」ワシャワシャ

聖來「わ、ちょ、何!?」


沙理奈「んー? アタシの親友とアタシたちのプロデューサー、ふたりが結ばれてよかったわって改めて思ってるの。ずっとふたりの恋愛相談聞いてたしね。
    立場もあるし、これからも色々あるだろうけど…幸せでいてね」

聖來「沙理奈……うん。本当にありがとう」

沙理奈「いーのいーの。聖來、式には呼んでね。スピーチ考えとくから」

聖來「そ、それはまだ早いって…!」

沙理奈「ふふ、そうかしら? ……あ、噂をすれば」

聖來「え? …あ!」


P「よ!」

わんこ「ワンっ!」

沙理奈「お疲れ~」

聖來「わんこ、いい子にしてた? ごめんねPさん、付き添えなくて」

P「いいって。聖來はレッスンがあったんだし。わんこ、評判よかったぞ。な、わんこ?」

わんこ「ワンっ!」

沙理奈「すごいわよね、わんこ。単独でCM出演なんて」

P「前に動物番組に出た時に見せた食事姿が美味しそうに食べてて好印象だっ  たそうだ。CMの商品のペットフードたくさんもらっちゃった」

沙理奈「あら、じゃあ今日はご馳走ね?」ナデナデ


わんこ「ワンっ!」

沙理奈「ふふ…♪」

P「…あれ、沙理奈。そろそろ現場に向かう時間じゃないか?」

沙理奈「え? あ、ヤバ! 行かないと! じゃあまた後でね!」

聖來「うん、ご飯作って待ってるね! 沙理奈、色々ありがとう」

沙理奈「イイって、イイって♪ じゃあ、Pさんもわんこもまた後でね」

P「おう」

わんこ「ワンっ!」

沙理奈「……」ジー


聖來・P「?」

沙理奈「ふふ、ふたりとわんこ、いい家族になりそうだなって思ったの♪」

聖來「さ、沙理奈っ…!」

沙理奈「じゃーねー♪」スタスタ

P「えっと……聖來、どういうこと?」

聖來「あ、えっと……結婚式には呼んでくれなんて言われて…」

P「え?」

聖來「じ、冗談だよ? まだ、全然早いよね、うん」


P「……そうかな」

聖來「え」

P「勿論、今すぐには無理だけど…そう遠くない未来だと、俺は…思うんだけどな」

聖來「…」

聖來「……」

聖來「~~~!!!」ジタバタ

P「せ、聖來?」

聖來「どうしてPさんはサラッとそういう…!」

P「えっと…ごめん?」

聖來「……あ」

P「あ?」



聖來「アタシだって…!」



聖來さんは男子中高生に人気そう。最近シャニマスに追加された透は女子中高生に人気そう。

それでは、またの機会に。

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