ある日の午後
μ’sは各自宅から電話で話をしていた。
穂乃果「自粛自粛でつまらないよう!」
ことり「学校も休校だもんね」
海未 「仕方ありませんよ、穂乃果。
今は世界の危機、耐える時です」
にこ 「小学校も休みだから、うちは妹たちの面倒を見るので忙しいわよ」
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凛 「凛はジムで体動かしたいにゃー」
花陽 「ダメだよ凛ちゃん、ジムはクラスターが発生してるから」
凛 「クラスター?」
絵里 「感染者を多く出した場所のことよ。
人が密集して、換気も悪くて、呼吸が激しくなるから感染するリスクが高いの」
希 「密閉空間、密集場所、密接場面(手が届く距離での会話、発声)の3密を
避けるようにって言われてるやんね」
にこ 「カラオケやライブなんてまさに3密ね」
穂乃果「でもさー、私たちみたいな若者は大丈夫ってテレビで言ってたよ?」
真姫 「大丈夫じゃないわよ。確かに若者は高翌齢者よりは重篤化する確率が低いみたいだけど、
若者でも感染して苦しんでる人はいるわ」マキマキ
絵里 「それに、自分は無症状でも感染していて無自覚に人に感染させる恐れもあるわ。
やっぱり今は自粛すべきよ」かしこい
穂乃果「うちの穂むらはお客さん激減で経営が苦しいみたい。
こんなのが続いたら潰れちゃうよ……」
海未 「うちの道場も3密なので当面休業することになりました」
穂乃果「このままじゃウイルスで夕ヒぬ前に餓夕ヒしちゃうよ。
やっぱり自粛なんてやめて外に出て経済を回した方がいいんじゃない?」
ことり「特効薬もワクチンも無いんだよね?
このまま自粛してても全員感染するまで終わらないんじゃないかな?」
にこ 「結局ママも満員電車で通勤してるし」
絵里 「最終的な解決は集団免疫の成立かもしれないわね」
凛 「集団免疫ってなあに?」
絵里 「生き物は一度感染した病気に対して免疫を持つから、
すごく簡単に言えばみんな1度はその病気に感染して
病気に対して強くなりましょうってことよ」
穂乃果「だったら自粛って意味なくない?」
真姫 「そんなことない、大いに意味が有るわ。
今自粛要請してる目的は、感染者が一気に増えて病院がパンクするのを防ぐのが目的よ。
いわゆるオーバーシュートによる医療崩壊を防ぐの」
凛 「難しい言葉にゃ……」
希 「ライブ会場の規制退場に例えたらわかるかな?
みんな一気に出口に殺到したら詰まって動けなくなるけど、
少しづつ退場させればスムーズに退場できる。
どうせ全員感染するにせよ、順番に少しづつ感染しましょうってことや」
絵里 「極端な例えだけどあながち間違ってないわね。さすが希」
真姫 「うちの病院はもう戦場みたいだってパパとママが言ってた。
どんどん患者が運び込まれてきてベッドは無いし、マスクも防護服も足りない。
医師や看護師も感染するリスクがある中、休憩も取れない激務が続いて
辞める人が出てきてる。
その穴を埋めるためにパパとママは最近家に帰れてない……
このままだと病院を閉鎖することになるわ」
希 「病院が閉鎖してしまったらウイルス以外の治療もできなくなる。
脳卒中とか交通事故とか他の普通の病気とか、普段だったら助けられる命を
助けられなくなる。 そうなったら若者にも影響するで」
絵里 「だから私たちも今は我慢しましょ?
極力外に出ないで自分達が感染源にならなければ社会を助けることになるから」
花陽 「こんなのいつまで続くのかな……?」
希 「それは誰にもわからない。神のみぞ知る、や」
穂乃果「……」
次の日
穂乃果、ことり、花陽だけで電話していた。
ことり「穂乃果ちゃんどうしたの? 私たちだけ呼び出して」
穂乃果「うん、Printempsでライブしようと思って」
花陽 「エエッ! 昨日、真姫ちゃん達が自粛しようって言ってましたが……」
穂乃果「でもこのままじゃつまんないし、穂むらも潰れちゃうから、
自粛なんてやめてライブしようよ!」
ことり「やめようよ~、ホノカチャアン……」
穂乃果「私やる! やるったらやる!」
花陽 「ダレカタスケテー…」
結局穂乃果に押し切られてPrintempsはライブを強行した。
ライブハウスを借りて、ワンドリンク、ワン和菓子というシステム。
ライブは満員で、一時的に穂むらの経営を助けたかに見えたが……
2週間後
花陽の家
花陽はご飯を食べながらニュースを見ていた。
アナウンサー「次のニュースです。
東京都は新たにライブハウスでクラスターが発生したと公表しました」
花陽 「大変だなあ… お母さんおかわり」モグモグ
花陽母「はいはい」
アナウンサー「◯月△日に開催された学生アイドルグループのライブの参加者から
多数の感染者が出ており……」
花陽 (あれ?◯月△日はPrintempsがライブした日だ… まさか……)
花陽母「はい、花陽ちゃんごはんよ」
花陽 「ありがとう、お母さん」モグモグ
花陽 「ねえお母さん、お米変えた?
なんかいつもと味が違うけど」
花陽母「変えてないわよ?」ゴホゴホ
花陽 「お母さん風邪? 気をつけてね」
花陽母「うん」ゴホゴホ
その頃
ことりの家
理事長「はい、はい……申し訳ございません。
生徒達には厳しく指導してまいりますので…
はい、申し訳ありませんでした…失礼します」
ことり「お母さんどうしたの?」
理事長「Printempsがライブを開催してクラスターを発生させてしまったから
学校に苦情の電話が殺到しているの。
音ノ木では何を教えてるんだって……」
ことり「ごめんなさい……」
理事長「学校自体悪い意味で有名になってしまったから、卒業生の就職活動にも影響するし、
入学希望者も減ると思うわ。
今度こそ廃校かもしれない」
ことり「そんな……」
その頃
穂むら
穂乃果母「お客さんが一人も来ない……」
穂乃果父「っ……」泣
穂乃果「えー!どうしてー?」
穂乃果母「あのライブを強行してクラスターを発生させてしまったから、
世間様から見放されてしまったみたい。
テレビではうちの名前は出てなかったけど、ライブでうちの和菓子を売ってたのは
この辺りの人はみんな知ってるから……」
穂乃果「そんなあ」
穂乃果母「和菓子屋も客商売だから、世間様に見放されたらもう穂むらは廃業するしかない……
お父さんとお母さんは出稼ぎに出るけど、あなた達の学費は払えそうにないの。
悪いけど学校は退学してもらうことになるわ」
穂乃果「ええー! そんなの無理無理! みんなと一緒に学校通いたいよう!」
穂乃果母「もうそんなこと言っていられる場合じゃ無いの。
穂乃果はお姉ちゃんなんだから聞き分けよくして」
穂乃果「ううー……
そういえば雪穂は?」
穂乃果母「買い物に行ってもらってるからそろそろ帰ってくると思うけど」
キキー! ドン!
その時、穂むらの外で大きな音が響いた。
穂乃果「え?何?何の音?」ガラッ
穂乃果が外に出ると、軽トラックにはねられた雪穂が地面に倒れていた。
穂乃果「雪穂! お母さん!雪穂が!」
穂乃果母「雪穂! は、早く救急車を呼ばなくちゃ!」
雪穂 「うう、お姉ちゃん……」
穂乃果「雪穂しっかりして!」
ピーポーパーポー
救急車が来て、雪穂は救急車に乗せられた。
しかし救急車は出発しない。
穂乃果「何してるの! 早く出発して!」
救急隊員「今受け入れてくれる病院を探しています」
穂乃果「そんな! 西木野総合病院が近くにあるじゃないですか!?」
救急隊員「西木野総合病院は受け入れ不可とのことです」
穂乃果「イミワカンナイ! 私友達なんです!電話します!」
プルルルルル
真姫 「もしもし?」
穂乃果「あ!真姫ちゃん!?
雪穂が怪我して! 救急車呼んだけど病院に連れて行ってくれなくて!
真姫ちゃんちの病院で受け入れてよ!」
真姫 「……もう西木野総合病院は事実上閉鎖してるわ。
ベッドは満床だし、医師と看護師が多数退職したのに加えて院内感染も発生して、
濃厚接触者である医師と看護師は自宅待機中。
もう外来を受け入れられないの……わるいけど……」
穂乃果「そんな!」
雪穂 「うう、痛いよう、お母さん、お姉ちゃん……」はあはあ
穂乃果母「雪穂!」
穂乃果父「っ……」泣
穂乃果「ああ、どうしてこんなことに……」
穂乃果「っていう夢を見たんだよ! だから自粛するね」
みんな「夢なんかーい!」
完
STAY_HOME
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