すぐに終わると思います
-終点海域
大淀「これが本当の大淀型の……そして、最後の力!」
大淀の放った魚雷が、最終戦姫に突き刺さる!
最終戦姫「グオオオオ……」
最終戦姫「……ありがとう、艦娘のみなさん……。私は古代において世界最初の海戦で沈んだ船の怨念……」
最終戦姫「いま、あなたたちの力で私はこの海に沈み積もった怨念から解放されました」
最終戦姫「……もう、私たち深海棲艦がこの世界に現れることはないでしょう。さようなら……」
光を放ちながら、最終戦姫は消えていった……。
「やったー! すごいや大淀さん!」「やったネ!」「やったな!」「やりました」「やったでごわす!」
大淀「やった……やったんだ! これで、戦争は終わりです!」
-数ヶ月後
提督「というわけで戦争は終わって、鎮守府も解散……。艦娘は儀装を封印してそれぞれの道を歩む、と」
大淀「はい」
提督「大淀はこれからどうするんだ?」
大淀「そうですね……>>3をしようかな、と考えています」
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秘書
大淀「やっぱり慣れ親しんだ職種を選びたいですし、秘書の仕事を選ぼうと思っています」
提督「なるほど。まさに適職だな」
大淀「この数ヶ月の間に秘書に関する資格も取得しましたし、後は……就職先なんですけれど」
提督「そうか、まだ見つかっていないのか。艦娘の能力についてはまだ評価されていないからな……」
大淀「はい。艦娘はみんな学校にも行っていませんからね……」
提督「建造か、深海棲艦から生まれ変わるかだからな……。そういえば任務後に赴任する艦娘は、どこから来ていたんだろう」
大淀「赤城さんは学生時代弓道をしていた元OLだと聞きました」
提督「本当かよ!」
大淀「飲みの席の話なので、嘘か冗談だと思いますけどね……」
提督「謎が深まっただけだな」
大淀「そういうわけで……。提督のコネクションでどこかに紹介してもらえませんか?」
提督「そうだな……私のコネなら、>>5はどうだ?」
なでしこJAPAN
サッカーは全く詳しくないので実在の人物は出てこない方向で行きます
大淀「なでしこJAPAN!? えっ、それはつまりサッカー選手のマネジメント的な……?」
提督「大体そうなんじゃないか? 私の知り合いがちょうど日本代表監督を務めていてな……」
大淀「そんなお知り合いが!?」
提督「ああ。選手に対する指導に集中したいから、他の雑用を任せられる人を探しているらしいんだ」
大淀「た、大役ですね。でも私、サッカーは全然詳しくないんですけど……地上のスポーツですし」
提督「サッカー知識よりは、むしろ秘書として有能な人物を探しているらしいから大丈夫だろう」
大淀「本当に大丈夫、でしょうか……」
提督「一度、監督に会ってみたらどうだ? ダメだったらまた違うところを紹介するよ」
大淀「わ、わかりました。お願いします!」
-一週間後
大淀「今日は監督さんに初めて会う日だけど……うう、緊張する。初めて出撃した時よりも緊張しているかも」
大淀「ここが監督さんの部屋、かな。し、失礼します」
???「はーい。どうぞ」
大淀「あれ? この声はどこかで聞いたような……」
大淀が扉が開くと……そこにはなんと!
>>8「え!? おおよ……!?」
大淀「あ、あなたは!? 艦娘の……」
長門
長門「大淀、か。前監督から聞いた『知り合いから紹介された有能な秘書』とは大淀のことだったのだな」
大淀「な、長門さん!? どうしてこんなところで……」
長門「私か? これは秘密だったんだが……。大淀になら話してもいいか。公式発表はまだだが、実は昨日から監督を務めることになってな」
大淀「え、えええ~……。長門さんがそれほどにサッカーに堪能だったとは……」
長門「フ、これでもかつては連合艦隊旗艦を務めていたフネだ。フットボールの司令など軽くこなしてみせるさ」
大淀「いや私も旗艦でしたけれど……そういうものでしょうか……」
長門「なに、大淀ならすぐに慣れるだろう。秘書としての有能さは知っているし、それ以上に共に戦った仲間として信頼もしている。申し分ない人材だ」
大淀「……ありがとうございます。少し驚きましたけど、そういうことでしたらこの大淀、長門さん……いえ、長門監督の秘書を精一杯務めさせていただきます」
長門「ああ、頼んだぞ、大淀!」
-一ヵ月後
長門「いいか! 我々は緒戦で敵に甚大な打撃を受け、半数以上の基地を失陥した! しかし、降伏や和平交渉を行なうつもりはない!」
大淀「監督は前半で1対3と厳しい展開ですが、逆転勝ちを狙っていこう、と仰っています」
長門「決戦では、我々は愚かしくも失敗した戦術に拘泥し、玉砕する。……そう見せかけ敵の追撃を誘う。機を見て反撃! その後予備艦艇を投入し、最終作戦を発動する!」
大淀「後半ではまず現在のフォーメーションを維持し、積極的にプレイしてください。相手がカウンターを仕掛けてきたところで練習していたフォーメーションに変更、得点を狙います。その後、選手Aさんを選手Bさんに交代し反撃します」
長門「おそらくはこの戦術も敵は想定している。厳しい戦いになるだろう。しかし、諸君ならば必ずやりとげることができる! 私はそう信じている!」
大淀「こちらに、特製のドリンクを用意してあります。ひとりひとり個別に内容を調節しているので、間違えないでくださいね。水分補給だけではなく疲労もある程度回復すると思います」
-その日の夜
長門「ふう……」
大淀「お疲れ様でした、長門監督」
試合後。
大淀は選手たちと別れ、一人たたずむ長門に水筒を渡した。
長門「ああ、ありがとう。……うむ、うまい。私用のドリンクも用意してくれていたとはな」
大淀「これが秘書の仕事ですから」
長門「何から何までありがたい。……今日の試合で逆転勝利を納めることができたのも、大淀のおかげだ」
大淀「そんな。選手のみんなのがんばりと、長門さんの戦術のおかげですよ」
長門「もちろんそれもある。しかし、大淀が私と選手たちを支えてくれなかったら、2対3、よくて引き分けだったと私は考えている」
大淀「……大げさですよ。ふふ」
長門「わかっていたつもりでわかっていなかったな。私は思い上がっていたよ。自分ひとりでも監督としてこの戦場で戦えると思っていた」
大淀「長門さん……」
長門「大淀。改めて、私を支えてほしい。これからもよろしく頼む」
大淀「は、はい……私こそよろしくお願いします」
大淀(長門さんの差し出した手を、私は握った)
大淀(彼女の言葉が、なんだかプロポーズのセリフみたいで少しどきどきした)
大淀(本人にはもちろん、そんなつもりはないのだろうけど……)
こうして大淀は、チームを率いる長門と共に、日本代表を支える柱として活躍した。
しかし、そんな大淀が過ごす新たな戦いの日々に起こった出来事。それは……>>11
監督長門の急死
-病院
大淀(長門さん……!)
大淀(長門さんっ、長門さんっ、長門さんッ!!)
外から走りこんできた大淀は、静止する声も聞かず、事前に聞いていた病室の中に走りこんだ。
そこにいたのは……。
大淀「ながと、さん……」
長門「…………」
医師「…………(一礼した後、無言で外に出て行く)」
大淀(私は呆然と、ベッドで眠る長門さんの元へと歩いていった)
大淀(眠っている……きっと眠っているだけ……そのはず……)
大淀(…………)
大淀(顔をのぞきこんで、わかってしまった)
大淀(私は、ずっと戦場にいたのだから)
大淀(生まれた時から……いえ)
大淀(生まれる前から、最初に『大淀』として生まれた時から、ずっと、戦場にいたのだから……)
大淀(どうしようもないほどに、私は、彼女の、死を、わかってしまった……)
-斎場
提督「道路に飛び込んできた車から、子供を庇って、か」
提督「まったくお前らしい……。お前らしい最期だよ」
提督「お前はもう、私の部下ではなかったけど、それでも私はお前を誇りに思う」
大淀「…………」
提督「大淀」
大淀「……提督。今日はお忙しいところ、ありがとうございます」
提督「水臭いことを言わないでくれ。私こそ礼を言いたい。ありがとう、喪主を務めてくれて。私が引き受けようと思っていたんだが」
大淀「私たちには……身寄りがありませんからね。だからもしこういうことがあったら、一番近くにいる仲間が引き受けようって」
提督「そうだったのか」
大淀「だって、提督に全員分を引き受けてもらうわけにはいかないでしょう?」
提督「そうか……そうだな」
大淀「ええ。これが私たちなりの……。艦娘ではなく、一人の人間として生きることの、誇りです」
提督「そうか……」
大淀「はい」
提督「…………」
大淀「…………」
提督「……大淀。きみはこの後、どうするつもりだ?」
大淀「……これから……?」
提督「今の職場で仕事を続けるというなら、それはそれで構わない」
大淀「…………」
監督「しかし、もしきみが望むのならば……違う道を歩んでもいいと思う。私も協力できることがあれば、何でも言ってほしい」
大淀「…………」
大淀「そうですね、私は……>>13」
長門の遺志を引き継いで監督になりたい
大淀「私は……長門さんの後を継ぎたいと思っています」
提督「監督になる、ということか」
大淀「はい。長門さんのサッカーはまだこれからでした。彼女が遺した戦術がどこまで行けるのか、それを確かめたいんです」
提督「そうか……」
大淀「とはいえ、私はまだ実績を残していません。長門さんが代表監督になったのも、艦娘時代に前監督と知り合って協力し、結果を出したからでした」
提督「確かにこのまま大淀が監督になるのは難しいか」
大淀「はい。それに私自身の経験も、知識も、まだ長門さんには遠く及びません。だから提督にお願いがあります」
提督「何をすればいい?」
大淀「私が実績を積むことのできる場を紹介してほしいんです。どこでも構いません。監督としての能力を振るえる場所があれば、私はそこで結果を出してみせます」
提督「なるほど、な。……サッカー部のある高校ならいくつかツテがある」
大淀「高校ですか?」
提督「そうだ。高校のサッカー部なら大淀の経歴を買ってくれるだろう。その上で、選手が高校生でも監督としての仕事は変わらない。実績として評価されるはずだ」
大淀「よほどの結果を出せれば、ですね。それこそ全国大会で何度も優勝するくらいに」
提督「そうだな。自信はあるか?」
大淀「もちろんです。よろしくお願いします」
提督「……変わったな、大淀は」
大淀(そう言って提督は、少しだけ笑った)
大淀(変わった……そうなのかな? 自分は変わったのかな)
大淀(……自問して気づく。私はこれまで誰かのお手伝いだけをして生きてきたことに)
大淀(それが、艦娘の大淀に求められる役目だったのかもしれない)
大淀(でもいまは違う。私は、私自身の道を自分で選んで歩いていく。そうあるべき時が来たんだ)
大淀(不思議と不安はない。ただ、自分を動かす強い気持ちだけが胸から湧いてくる)
大淀(長門さん。私がいま、こうあれるのは……あなたのおかげかもしれません。私はきっと、あなたの迷いのない瞳にあこがれていたのだから)
大淀(ありがとうございます。そして、さようなら、長門さん)
大淀は微笑んで空を見る。
そして、少しだけ目を閉じて光る雫をふりはらい、歩き出した。
終
ここまで安価をいただき、文章を読んでいただきありがとうございました
大淀は自分の道を歩き始めたので、安価は終わりです …的な!
あと高校サッカーを扱った超名作であるレッドスワンの絶命を読んでください
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