【艦これ】 女は化ける!! (19)

提督として着任してから概ね3カ月経過した日の午後

日向を自分の寝室に連れ込もうと考えたのは突発的な行動であった。

特段彼女を愛していたとかそういうことはなく
別に彼女からアプローチがあったわけでもない
ただ秘書艦を務めてもらっているうちにその案外豊満な胸部に欲望を抱いたのが理由といえる。

要するにムラムラしたのだ。

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もちろん日向には相当程度の好印象を抱いていた。

着任から日がたっていないこともあり、自分が職務に慣れていないこともあり。戦力的なこともあり

扶桑山城伊勢日向鳳翔

当時居た年長艦娘から秘書艦指名した彼女
とてもよくやってくれていた

主に扶桑は秘書艦には悲観的すぎるし、山城には好かれず
伊勢は粗雑であるし、鳳翔さんは戦力的に…消去方で選んだだけではあるが。

事務処理も他の艦娘の管理もソツなくこなす
口数は多いほうではなく話が盛り上がる…ということはないにせよ私との関係も良好
真面目であるが固くるしくはなく
特にわがままも言わないし、態度も控えめ
一見すると少々地味な印象を受けるがよく見ると美人だし、スタイルもよい

それで毎日執務室に二人っきりなわけであるからして
成人男性である私が相手の嫌がらない範囲で性交に持ち込もうとするのは当然だと思う

そして見事成功した。

お互い大人だからというわけではないが
いきなり肉体的な誘いをかけたところ

「まぁ…そうなるのか」と曖昧ななんか押せばいけちゃいそうな回答
そこで手を引っ張って強引に寝室へと誘導。
少々乱暴だが向こうのほうが腕力はある
強制はしていない。ただあまり時間を与えずに勢いでどうにかという腹だった。

幸いなんの抵抗もなくベッドに押し倒されてくれたのでしめしめと思いながら服を脱ぐ
こんなに上手く進むとは驚きながら脱衣完了

すると「他にも大勢いると思うのだが…どうして私なんだ?」と疑問形

「例えば最上の奴なんか」
と、言われても「お前のほうがいい体」なんてことは言えない。

洋服の販売員のように「気が合うと思った」「魅力的だった」などと思いつく褒め文句をまくし立ててみた
するとあっさりと黙ったので了解の合図と受け取り、日向の服にも手をかける。
何を言ったのかは覚えていない。

セールストークなんてそんなもの
お互いわかっているはずだよね?

数十分後 コトは完遂
意外にも彼女は未経験だった。
成人したような年齢の美人でもそんなことはあるのかと驚いた覚えがある。

責任もあり将来的な伴侶とすることさえ夢想した。

それからは週に3回は連れ込んでいて本当に責任を取るべき流れのところが
週に2回になり1回になり最終的には誘わなくなったのにも特段の意味はない

どんどんと多くの艦娘が着任してくる中で秘書艦にはより能力の高い艦娘を割り当てるようになっていたし
女性としての対応も「アプローチが過激な子」「定期的に対応しないと怒る子」「新たに口説きたいと思う子」
が優先になっていた。

要は忙しかったからほっておいたのだ。

そのことに彼女は何の文句も言わないので理解してくれているのだろうと思っていた。

正直なところその状態が数カ月続いた後は彼女のことを思い出すこともなかった。
たまに名簿で名前を見かける程度で会うこともなかった。

自分の戦術と合っていなかったのか運用上でも特に航空戦艦を必要とすることもなく数年後。
正確には彼女と最後に顔を合わせてから4年と8カ月後。去年の秋のこと

思いもしない形で彼女のことを思い出すことになった。

きっかけとなったのは茶碗

単に朝飯をよそった茶碗

流しに放置しておいたはずのものが洗われていたこと。

確か米がこびりついていたので水を張って流しに置いて
そのまま執務に入ったはずだが…

ただの勘違いかと思ったが違和感は残っていたのだろう

翌日からこれまでもあったのか
たまたまその時に起きたのかはわからないが些細な異常に気が付くことが増えた。

買った覚えのない肌着や靴下などが数点あり、逆に捨てた覚えのない文房具や雑貨などが無い
床には明らかに自分のものではない長い髪の毛が数本落ちており
物の配置も変わっている
食料品もやけに減りが早い気がする

何人もいる愛人関係となった艦娘の誰かが忍んできたのだろう
…と最初のうちは放置していたが異常の頻度はどんどんと増していくばかり

誰にも合い鍵は渡していないし、軍の機密情報なども置いてあるからしてそろそろ犯人を突き止めねば

というわけで明石を頼ったところ
ドアに向けて防犯カメラをセットしておくというメカ的方法を勧められた。

取り付け初日。夕刻に寝室に戻るとさっそくの違和感。
慌ててカメラを再生すると自分が部屋を出て10分もしないうち、カメラの後ろで誰かがブツブツと呟いている声がする

「しまった!窓か!!」

カメラと違う角度から侵入されるとは、どうにか声でわからないものか

そうそうこの声はどこかで聞き覚えがある
えーと誰だったか北上じゃなくて 古鷹でもなく……日向だ!!

…日向?
えっえっえっ?なんで今更
嘘だろおい、どうしてだよ

慌てて日向の部屋へと事情を聞きに行くも不在。

即日家具職人を雇い寝室の窓に鉄格子。
艦娘ならば破られかねないので窓に向けてもカメラを1台。

なおかつ追加カメラをドアの外側にも増やして準備万端。

その日は執務室に泊まりこみ

翌日、証拠を入手するため
侵入しようとした日向が映っていないものかとビデオカメラを確認しに自室へ戻った。

鍵を開け自室に入ると
ドアと窓のカメラの再生を開始

1時間経過……なにも映らない
2時間経過……なにも映らない
3時間経過……なにも映らない
4時間経過……なにも映らない…が またボソボソとなにかを呟く日向の声が…

「ど、どこから入りこんだ?」

窓でもドアでもない侵入経路って
とビデオから目をそらし壁を見て天井を見て床を見て
視線をビデオに戻した時に画面に映っていたのは鍵を開けて入ってくる自分の姿…

画面の中の自分がカメラを止めた瞬間
突然、ボソボソとした女の声が聞こえてきた。

スピーカーからではない後ろのほうから後ろを振り向くとそこには押し入れがあってその中から…声が…

自分でもなにを叫んでいるのかわからないような叫びをあげながら部屋から逃げた。

いたんだ
入ってきたわけではない
いたんだ

ずっと部屋の中に!!

執務室に逃げ込むと至急日向捕縛のため完全武装の艦娘を送る…
も自分の寝室には既におらず

鎮守府内を捜索するも見つからず、日向を確保できないまま第一次探索は終了した。

その後
捜索の手がかりとするために日向と仲の良い艦娘やよく彼女がいた場所を聞いて回る。

結論から言うと
両方とも存在しなかった。

彼女はここ5年程度
伊勢以外の誰とも会話した証言が出ず、出撃した記録もなく、その所在は不明。

いったい何をしていたのか
隣室の伊勢によるともう2,3年はほぼ帰ってこなかった様子
恋人の部屋に行っているから秘密に と言われていたとのこと誰だ恋人って考えるまでもない自分だいたんだ、やっぱりずっと

何を思って押し入れの中にいたのか何をしていたのかいつからなのか

どうしてそんなことをしたんだ、いつ彼女の中で何かが壊れた、どこで変わってしまったんだ。

なぜ気が付かなかったのか、そんなことがありえるのかいったいどうやって。


以降、幾人もいた愛人とは全員関係が切れた。

ただただ自分に愛情を向けてくる子が怖くなったからだ

血眼になって探すも日向は見当たらない
せめてもの償いと立候補してきた伊勢を含め
数人の艦娘にボディーガードをしてもらうこととする。

一連の行動を見ると、いつ物陰から刃物を持って現れるかわからない。

自分を誘拐しようとするかもわからない。
監禁したがるのかもしれない。

恐怖の日々であった。

そしてそのまま二カ月三カ月半年一年が経過して
結局のところ彼女は見つからないまま…

警備網をどう逃れたものか

さすがに人一人がここまで長い期間隠れていられるほど鎮守府は広くはない
もうこの施設内にはいないのだろう。

一方、自分はというと常に警護を買って出てくれた伊勢とわりない仲となり
婚約したこともあって怯えるのはやめにした。

これまで碌に会話したこともなかったが一緒にいてみると伊勢はよく気が付き
経験の浅さを感じさせないほど秘書艦としても有能。一緒にいても息がつまらない感じ

日向に怯える自分を真摯に支えてくれその心根に惹かれた。

あとよく見ると相当美人だしスタイルもよいし
料理や掃除洗濯もしっかり丁寧。私の好みの味付けでとても価値観が合うようだ。

最初の行為の時に初めてではなかったのはホッとした
やはり妙齢の美人で手つかずということは相当の問題があったのだろう。身に染みてわかった。




明日は結婚式

大変な事件だったけれど結果良ければそれでよし
よい伴侶を得て僕は幸せ者だ。


おわり

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