御子柴「やべえ……ギャルゲーかと思ったら百合ゲーだった」
野崎「百合?」
御子柴「ん? なんだよ、百合知らねえのか?」
野崎「百合ゲーは花を育てるゲームなのか?」
御子柴「ちげえよ……百合っつーのは……まあレズみたいなもんだな」
野崎「なるほど、同性愛か」
御子柴「まあ厳密には百合とレズは別物らしいけどな」
野崎「御子柴は百合は好きなのか?」
御子柴「俺か? まあ……自分からはやんねえけど……嫌いではねーな」
野崎(!? ということはマミコがレズビアンになってしまう……?)
野崎「ダメだ!! 百合ゲーはやるな、異性を好きになれ!!」
御子柴「は、はあ!!?」
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御子柴「百合が好きなやつの中にはすぐになんでも百合って決めつけるやつがいるんだよ」
野崎「どういうことだ?」
御子柴「女子同士で話してるだけですぐに百合とかいうやつとかな」
野崎「女子同士で話す……」
鹿島『今日も可愛いね、お姫様』
女『か、鹿島くん……///』
御子柴「あれはちょっとちげーな」
野崎「そうだな、違うな」
次の日
野崎(昼休みか……)
瀬尾「千代ー遊ぼうぜー。 早く来いよー」
佐倉「うん!」ダッ
野崎(あれは……佐倉と瀬尾か)
ツルッ
佐倉「きゃっ!!」
瀬尾「えっ」
バッターーン!!
野崎(!! 佐倉が転んだ勢いで瀬尾を押し倒してしまった!!)
野崎(……ん?)
佐倉「……」
瀬尾「……」
野崎(な、なんということだ……アクシデントとはいえ……)
野崎(佐倉と瀬尾が……キスをしている!!)
瀬尾「……ぷはっ!!」
佐倉「ご、ごめん結月!! 大丈夫!!?」
瀬尾「うん、平気」
佐倉「……」
瀬尾「しっかし千代とキスしちゃったなー、気持ちわりー」
佐倉「……う」
瀬尾「?」
佐倉「うわあああああああああああん!!!!」ダッ
瀬尾「えっ……ちょっと千代!! どこ行くんだよ!?」
野崎(……)
野崎(うっかりキスをしてしまった佐倉と瀬尾……)
野崎(そして瀬尾はそれを否定し、それと同時に佐倉も泣いた……)
野崎(ま、まさか……)
野崎(佐倉は……レズビアンだったのか!!?)
佐倉「うわああああああん初めてのキスは野崎くんが良かったーーーーー!!!」
瀬尾「千代のやつ変なの、急に泣いてどこか行っちゃった」
野崎「……瀬尾」
瀬尾「おーロリコン」
野崎「……」イラッ
瀬尾「何? 私になんか用?」
野崎「お前は佐倉の気持ちを考えたことがあるか?」
瀬尾「は? なんだよ急に」
野崎「もう少し丁寧な断り方があっただろう」
瀬尾「いや、だから何の話だよ」
野崎「……これ以上は俺の口から言えない。 後は自分で考えてくれ」スタスタ……
瀬尾「……千代も野崎も今日はどっか頭打ったのかなー」
野崎(あの様子だと何故佐倉が泣いたのか分かってないみたいだな……)
野崎(だが他人に言われるより自分で気づいた方があいつのためにもなるだろう)
野崎(大丈夫だ佐倉……俺はお前の気持ちに気づいているぞ!!)←気づいてない
野崎(しかし佐倉がレズビアンだとは思わなかった)
野崎(もしも佐倉がみんなにカミングアウトしたら……どんな反応をするんだろうか)
野崎(やはり……瀬尾のような反応をするのが普通なのだろうか)
御子柴「野崎、何ボーッとしてんだよ?」
野崎「!」
野崎(よし、ここは佐倉がカミングアウトしやすい環境にあるかどうか周りの人にレズビアンに関する意見を聞いてみよう)
野崎(そうだな……みこりんの場合は……)
野崎「……御子柴、昨日の百合ゲーは面白かったか?」
御子柴「は? 何だよ急に」
野崎「いいから俺の質問に答えてくれ」
御子柴「まあ……そうだな……あのゲームは女一色で男の要素は何一つなくて良かったな。 それに百合も悪くねーなって思った」
野崎「……」
御子柴(! やべえ、そういえば昨日、百合ゲーはやるなとか言って怒ってたな……まさかまた……)
野崎「そうかそうか!! よかった!!」
御子柴「お前は俺にどうなってほしいんだよ」
野崎(よし、みこりんは佐倉がレズビアンでも大丈夫だな……次は……)
鹿島「………」スタスタ
野崎(……聞くまでもないかもしれないが、一応聞いておこう)
野崎「鹿島」
鹿島「あ、野崎」
野崎「ちょっと聞きたいことがあるんだがいいか?」
鹿島「私に? いいよー」
野崎(そうだな……鹿島には……)
野崎「……もしも佐倉がほかの女子と同じようにお前にくっついてもおかしくないよな?」
野崎(いつも女子といる鹿島のことだ、きっと……)
鹿島「……嘘でしょ?」
野崎「何故驚く!?」
鹿島(だって……千代ちゃんは野崎一筋なのに……私といるなんてあり得ないよ!!)
鹿島「ち、千代ちゃんに何かあったの!?」
野崎「い、いや……なんでもない」
鹿島(まさか……)
鹿島(野崎に告白した→フラれた→私のところに来る……?)
鹿島(私にこれを聞いたのはフラれた後の千代ちゃんが心配で……?)
鹿島「……野崎!!」
野崎「なんだ?」
鹿島「私は千代ちゃんもほかの女の子と同じぐらい大切にするよ!!」
野崎「……? そ、そうか……ありがとう」
野崎(よく分からないが鹿島にもカミングアウトしても大丈夫ということだろうか)
鹿島(野崎は千代ちゃんのどこがダメだったんだろう……可愛いのに)
その日の夜・野崎のマンション
堀「今日の分も終わったな」
若松「疲れましたねー」
野崎「……二人に聞きたいことがあるんだが」
堀「聞きたいこと?」
若松「なんですか?」
野崎(この二人の場合は……)
野崎「二人は……ホモをどう思ってる?」
堀「は、はぁ!!?」
若松「野崎先輩……何かあったんですか?」
野崎「い、いやその……今日、授業で同性愛について考えさせられてな」
堀(この慌てぶりは嘘だな……)
若松(先輩の身に何か……)
堀・若松(……はっ!!)
堀(もしかして……)
若松(野崎先輩は……)
堀・若松(ホモ!!?)
堀「べ、別に俺は気にしねえな……人それぞれだしな」
若松「お、俺は一生先輩にについてきます! どんなことがあっても!!」
堀「おい若松! その言い方は……」
若松「……あっ! す、すいません!! 別にホモとかは嫌いじゃないです!!」
野崎「そうか……よかった……」
堀(言いたくても言えなかったんだろうな……)
若松(先輩が喜んでる……よかった……)
野崎「じゃあ(佐倉が)レズビアンでも問題ないな!!」
堀「なんでそうなるんだよ!?」
若松「野崎先輩、女の子だったんですか!!?」
堀「そういや佐倉のやつ、今日は昼に早退したらしいな」
野崎「!!? そうなんですか!?」
堀「ああ、佐倉に用があるから2-Aに行ったら……先生が早退したっつってたな……風邪らしいぞ」
若松「大丈夫ですかね……」
野崎(風邪なものか……瀬尾のあの発言が早退するほどショックだったんだろう)
堀(……そうだ)
堀「野崎、ちょっとそこに立っててくれ」
野崎「? はい」
カシャッ
堀「よし、撮れた」
若松「野崎先輩を撮ってどうするんですか?」
堀「いや……あれだよ。 背景の資料用に撮っただけだ」
野崎「俺を撮った意味は……」
堀「それはあれだ……お前がぶっ倒れたら人を描くやつがいなくなるだろ? だからついでに人物の資料としてだよ」
野崎「そこまで考えてくださるなんて……」
若松「なるほど!! じゃあ俺も撮っていいですか!!?」
野崎「ああ、いいぞ」
パシャ!!
若松「いいですねそのポーズ!! あ、もうちょい顎を引いてください!!」
堀(お前はカメラマンか)
佐倉(結月とのキスがショックで風邪って嘘ついて早退しちゃった……)
佐倉(どうしよう……立ち直れないよ……明日休もうかな)
ブー……ブー……
佐倉(メールだ……誰からだろう?)
佐倉(……堀先輩?)
『風邪ひいたんだってな 大丈夫か? これでも見て早く治せよ』
佐倉(画像も送ってきた……なんだろう)
ピッ
佐倉(……!! 野崎くんの写真だ!!)
佐倉(……)
佐倉(……野崎くんの写真を見てたらなんか元気になってきたかも……)
佐倉(そうだよ私!! たかがキスの一つや二つぐらいでクヨクヨしちゃダメだよね!!)
佐倉(それにあれは事故だもん……ノーカウントでいいよね!!)
佐倉(このまま明日休んじゃうとみんなにも余計な心配をかけちゃうし……ちゃんと学校に行こう!!)
佐倉(あと結月にも謝らなきゃ……何も言わずに帰っちゃったからね)
佐倉(今日はもう遅いから明日直接言おう)
次の日
野崎(佐倉が心配だ……今日は学校に来るだろうか)
野崎(今日来なかったら……佐倉に電話でもしてあげよう)
佐倉「あ! 野崎くんおはよう!!」
野崎「!! 佐倉……もう学校に来ても大丈夫なのか!!?……その……風邪は……」
佐倉「う、うん!! 大丈夫だよ!!」
野崎「……佐倉」
佐倉「……?」
野崎「俺は……お前がどんな人であっても……俺はお前の全てを受け入れる」
佐倉「!!!?」
野崎「だから俺の前では……我慢はしないでくれ、ありのままでいい」
佐倉「!!!!!?」
佐倉(ちょ、ちょっと待って……全てを受け入れるとか……我慢しなくていいとか……)
佐倉(こ、こここここ、これって……///)
瀬尾「あ、千代だーおはよー」
佐倉「ゆ、結月!!」
佐倉(よ、よかった!! 結月が来たおかげで平常心になれる!!)
佐倉「き、昨日はごめんね!! 何も言わないでいきなり帰っちゃって……」
野崎「……いや、佐倉が謝る必要はない」
佐倉「の、野崎くん……?」
野崎「佐倉……俺はもう知っているんだ」
佐倉「ええっ!? な、何を!!?」
野崎「……お前の気持ちだ」
佐倉「!!!!!!?」
佐倉「ちょ、ちょちょちょちょちょちょっと待って!!!」
瀬尾「どしたの千代」
佐倉「の、ののののの野崎くん……本当に気づいてるの!!?///」
野崎「ああ……お前の口から言わなくても分かる」
佐倉「の、野崎くん……///」
野崎「……好きなんだろう?」
佐倉「!!!」
佐倉(い、言わなきゃ!! 野崎くんは私の口から言ってほしいんだ!!)
野崎「……瀬尾のことが」
佐倉「えっ」
瀬尾「?」
若松「待ってくださいよ瀬尾先輩!! 佐倉先輩見つけた途端、急に走るんだから……」
野崎「……」
佐倉「……」
瀬尾「……」
若松「あれ……なんだこの空気……」
御子柴「よー野崎」
鹿島「あ! 千代ちゃん!! 風邪治ったんだね!!」
堀(写真の効果が効いたみてえだな)
野崎「……」
佐倉「……」
瀬尾「……」
御子柴・鹿島・堀「……?」
野崎「……佐倉はレズビアンじゃないのか!!!?」
佐倉「違うよ!!!?」
一同「!!!!!?」
御子柴「何言ってんだよお前!!?」
堀「佐倉に限ってそれはねーだろ……」
鹿島「野崎最低だよ!! 千代ちゃんは好きで私といるわけじゃないよ!!」
若松「お、落ち着いてください先輩!! 昨日、先輩の為に筋肉ムキムキの男の写真買ったんです!! いりますか!!?」
堀「お前らは話をややこしくするな!!」
瀬尾「野崎、昨日から変なことばっか言ってんなー」
佐倉「き、昨日から?」
御子柴「そういや俺も変なこと聞かれたな……百合ゲー……いや、女同士の恋愛をどう思うかって」
鹿島「あ、私も似たようなのを……」
堀「俺たちもだな……」
若松「そうですね……」
佐倉「野崎くん……?」
野崎「佐倉……正直に言ってくれ。 瀬尾以外はみんなお前がレズビアンでもいいと言ってるぞ」
御子柴「言ってねーよ!!」
野崎、事情説明中
野崎「……というわけでみんなに質問してたんだ」
野崎「しかし……俺の勘違いだったのか……すまない」
佐倉(野崎くん、私が結月とキスしちゃったところ、見てたんだ……)
若松「じゃあ野崎先輩はホモじゃなかったんですね……」
堀「あの時に変な気を使って損したな……」
鹿島(千代ちゃんもフられたわけじゃなかったんだ……よかったよかった)
野崎「……ん? まてよ……」
御子柴「なんだよ?」
野崎「佐倉、だったらなんであの時泣いてたんだ?」
瀬尾「あ、そういえば」
佐倉「え、ええとね……あの時は転んで怪我したの!! それが物凄く痛くて泣いたの!!」
野崎「そうだったのか……」
瀬尾「泣き虫だなー千代」
若松「もう大丈夫なんですか?」
佐倉「う、うん!! 大丈夫だよ!!」
御子柴・堀・鹿島(ファーストキスが野崎じゃなかったから泣いたんだろうな……)
その日の帰り
野崎「今日はアシスタントに来れるか?」
佐倉「うん!!」
野崎「御子柴は?」
御子柴「俺も来れるぜ」
野崎「じゃあこのまま家に行くか」
御子柴「おう」
ツルッ
御子柴「うおおっ!!?」
野崎「!」
バッターーン!!
佐倉(!! みこりんが転んだ勢いで野崎くんを押し倒した!!)
佐倉(……あれ?)
野崎「……」
御子柴「……」
野崎(の、野崎くんとみこりんが……キス!?)
御子柴「わ、わりい野崎……オエッ」
野崎「ああ、俺は平気だ」
佐倉「……う」
野崎「ん?」
佐倉「うわあああああああああああん!!!!」ダッ
野崎「さ、佐倉!!?」
御子柴(やべえ……野崎とキスしちまった所為で……)
野崎(どういうことだ……何故俺とみこりんがキスをしたら佐倉が泣くんだ!!?)
野崎(……はっ!!)
野崎(みこりんはマミコ……ということは!!)
野崎「やはり佐倉は……レズビアンだったのか!!」
御子柴「ちげーよ!!」
〜終わり〜
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