【鯖鱒wiki】ふたたび坂松市で聖杯戦争が行われるようです【AA不使用】 (997)


このスレは、TYPE-MOON、Fateシリーズ作品の二次創作です

登場するキャラクターは募集か、鯖鱒wikiからの採用となっております

過去スレとは時系列が続いています


過去スレ
【鯖鱒wiki】どうやら坂松市で聖杯戦争が行われるようです【AA不使用】
 【鯖鱒wiki】どうやら坂松市で聖杯戦争が行われるようです【AA不使用】 - SSまとめ速報
(https://ex14.vip2ch.com/i/read/news4ssr/1582520327/)

 【鯖鱒wiki】どうやら坂松市で聖杯戦争が行われる様です【AA不使用】2 - SSまとめ速報
(https://ex14.vip2ch.com/i/read/news4ssr/1587301598/)

避難所

鯖鱒wiki
 https://w.atwiki.jp/ssfate/sp/






募集用テンプレ

【募集用アドレス】
 アドレス:0sf3z226729429r☆ezweb.ne.jp
 ☆→@

【サーヴァントテンプレ(鯖鱒wikiを参照)】
 https://w.atwiki.jp/ssfate/sp/pages/651.html

【マスターテンプレ】

【名前】(必須項目。あまり直球で版権モノだと困ります)

【所属】

【属性】

【AA】(無くてもいいですが、描写等で役立つので出来れば)

【ステータス】(フレーバーですが一応。最高値は9で2つまで可。0は未知数で9と同様に扱います)
【体】
【知】
【心】
【質】
【運】

【スキル】(最低一つ。最大値は設けませんが腐る場合もあります)
 ◆

【来歴】


【性格】


【聖杯への願い】




【という訳で、私もそろそろ本編に向けて本格的に動いていきます】

【サーヴァントとマスターの募集期限は共に、19日の21時まで。飛び込みも可】

【サーヴァントの募集数は二つまで。マスターについては無制限となっております】

【本編の開始は20日から。今は告知と、何か質問があれば答えていきます】




【新たに投稿されたデータのAA一覧です。漏れはないはず……】

【もし漏れがあれば、ご一報ください】


【鯖総数】
 剣:5 槍:3 弓:2 騎:3 魔:7 暗:4 狂:3 特:2

『AA一覧ver5』
 蟇郡苛(キルラキル)
 Dr.ゲボック(狂乱家族日記)
 街雄 鳴造(ダンベル何キロ持てる?)
 赤井はあと(バーチャルyoutuber/ホロライブ)
 ベルナデッタ・フォン・ヴァーリ(ファイアーエムブレムその他)
 エルシャドール・ミドラーシュ(遊戯王モンスターその他/あ行)


【貴女のサーヴァントは20日の昼に決定。その後プロローグを進めていく予定】

【投票方法は雑談所にて。締め切りは19日の夜21時となってます】


データの修正版や追記って締め切りまでなら送っても大丈夫ですか?


>>10
【大丈夫ですよー】


【募集の期限は明日の夜9時】

【貴女のサーヴァントは避難所で決めるので、お見逃しなく】



昨日の9時頃にライダーとバーサーカーを送りましたが、ちゃんと届いてますでしょうか?


>>14
【届いてますよー。夜にAA一覧を貼るので、無ければその時にまた仰ってくだされば】



いま鯖と鱒を送ったメールにも書きましたけど、13日に送った禍門のマスターのAAがAA一覧になかったので確認願います
(もしメールの不通だったら今送ったのも届いてないかと思い)

イメージAAのないキャラを送った場合も確認はできますか?(どうしても見つからなかったら)
今までの応募マスターはみんなAA付けてたんですかね…


>>16
【両方とも確認いたしました。ごめんなさい……】

>>17
【どんなキャラか仰ってくだされば確認出来ます】

【AAはつけてくれる人が多いですね。無いのも来ていますよ】


ニ騎目に送った鯖の修正版は届いていますか?
水曜日の21時頃に送ったんですが…


>>19
【スキルが追加された方ですよね。届いてます】



【二週間に渡って、沢山のデータを拝見しました】

【動かしてみたいサーヴァント、出したいマスターも数多く。どうにか選んでいきたいと思います】

【これにて、第二回の募集の終了を宣言します。送ってくださった皆様、本当にありがとうございました!】

【……漏れがあったら確認を取るので、教えてくださいね】


【鯖総数】
 剣:5 槍:7 弓:2 騎:6 魔:7 暗:4 狂:5 特:2


『AA一覧ver.FINAL』
 トニー・スターク(アイアンマン)
 テッカマンブレード(宇宙の騎士テッカマンブレード)
 グレムト・ゲール(宇宙戦艦ヤマト2199)
 竈門禰豆子(鬼滅の刃)
 アリー・アル・サーシェス(機動戦士ガンダム)
 楽進(凪)(恋姫†無双)
 皐月夜見(刀使ノ巫女)
 ハンニバル・バルカ(ドリフターズ)
 ネージュ・ハウゼン(スーパーロボット大戦/無限のフロンティア)
 エドワード・エルリック(鋼の錬金術師)
 鮫(汎用AA)
 大神士郎(BNA)
 日渡なずな(BNA)
 花村陽介(ペルソナ4)
 弱音ハク(VOCALOID/その他)
 鬼灯(鬼灯の冷徹)
 フォルテ(ロックマンエグゼ)
 レパード(夜ノヤッターマン)
 ユーリ(遊戯王ARC-V)
 ジェムナイトマスター・ダイヤ(遊戯王ARC-V/モンスターその他)



【明日のお昼頃、貴女のサーヴァントを決定し】

【その後、本格的にメンバーを決めていきます】

【以下の避難所で行うので、是非ともご参加ください】  




【三時半に、サーヴァントの決定を行います】

【参加される方は、上記の雑談所ですのでお間違えなく……】


【貴女のサーヴァントが決定いたしました】

【ご参加いただけた方、本当にありがとうございます!】

【プロローグは九時を目安に。それまで間に合わなければ連絡します】


【ごめんなさい。ちょっと遅れます……】


【それでは、プロローグを開始します】

【今日はサーヴァントの召喚まで。今日使用する安価は無いのでごゆっくりどうぞ】





某国。某都市内に聳え立つ摩天楼
光の絶えない、眩い柱が無秩序に伸び、下では人間が蟻の様に蠢いている
その中でも周りより一際大きなビルの頂点で、若い男女が向かい合っていた


「……どうも、次期当主さん」
「少し崩しすぎたかしら?それとも丁寧に名前で呼んだ方がいい?」

「噂に違わず、口の減らない奴だ。どうりで親父が俺に代行を頼む訳だよ」
「それはどうも!で、あたしは何の為にここに呼ばれたのかしらね?」
「別に、頼まれたから来ただけだし……用が無いならあたしの好きにさせて貰うわよ」

二人は微妙な距離を保ちながら、互いに真意を見せずに牽制し合う
暫しのにらみ合い。先に口を開いたのは……即ち折れたのは、男の方だった

「好きにしろ。……俺も、好きにやらせて貰う」
「了解。……それで、私に何の用かしら?ドミトリイ・ガイスロギヴァテスさん?」
「単刀直入に言おう。ルゥナ、お前には日本の坂松という地区に行き、聖杯を確保して貰う」


「……へぇ?あたしに、聖杯を。ね」


ルゥナ。と呼ばれた少女は、ドミトリイの言葉に不敵に笑う
二つに束ねられている朱色をした長い髪を勝ち気に揺らしながら、その言葉を噛み砕いていた







「どういう風の吹き回し?坂松はあんた達本家の管轄じゃない」
「それに聖杯?あたしは天使の聖杯は二年前に消失したって聞いたわよ?」

ルゥナからぶつけられた疑問に、ドミトリイはサングラスを外して嘆息を吐く
心底嫌そうに眉間に指を当てて目を閉じる。口から出た言葉は、苦々しい色を纏っていた


「……それは表向きの体裁だ。本来、前回の聖杯戦争で俺が確保する予定だったが」
「ああ、途中で敗退したってワケ。で、天使の聖杯も消失したんじゃなくて」
「前回の監督役……ロベルトの手にあるはずだ。奴の消息は、我々の手でも掴めなかった」

「なら坂松にはいないんじゃない?もぬけの殻だったんでしょ。どこも」
「ああ。俺達もそう思っていた。……あの地で、またもや聖杯が起動したと言われなければな」

聖杯。その言葉にルゥナは息を呑む
かつて、ある魔術師達が根源に至る為に始めた儀式が歪んで伝わったとされる殺し合い

坂松に聖杯持ち込んだのは、天使に恋する一族と呼ばれたエーデルワイス
その土地を管理していたのは、坂松の地に根を下ろす禍門の魔術師
そして、その街の治安を維持していたのが彼女の属するガイスロギヴァテス……



「あの地に起きた大災害。それによって、我がガイスロギヴァテスは時計塔からの信頼に罅が入っている」

「俺達が向かう事も検討した。だが、無理だったんだ……」
「今でも、俺の耳にはあの羽音がこびりついているんだからな……」








かつて、監督役の違法召喚により涌き出た蝗の群隊
街や人々に甚大な被害を与え、無数の命が貪り喰われたと聞いている

その名は“アバドン”。奈落の王にして、堕ちた天使。蝗を率いて空を喰らう人類悪にすら比肩する脅威
さしものルゥナも生唾を飲む。背筋に嫌な電流が走り、体温が下がるのを自覚する……

しかしそれでも彼女は不適に笑う。自らは選ばれたのだから、恐れる事等何もないと



「……成る程ね。わかったわ、あたしが取ってくればいいんでしょ?」
「あたしは別に聖杯なんて興味無いし……まあ、取ってから願いは決めておくわ」
「それに、次期当主様の情けない顔を見たら、なんか可哀想に思えてきたしね!」

「それじゃ、あたしはもう「待て」

二房の髪を翻し、退出しようとしたルゥナに声をかけて制止させる
その顔にはルゥナが引き受けた安堵と、不安が入り交じっているのを見逃さなかった


「既に、千遣隊として幾つかのメンバーを坂松に潜り込ませている」
「奴等とコンタクトを取り、召喚の準備を行え。誰か一人は令呪を持つだろう」

「……わかったわ。ありがと」










「そ、そうだったんですかぁ……大変ですね」
「全くよ。我ながらとんでもない事に巻き込まれたモンだわ」
「行くんですね……ベルには出来ませんぅ……」


地味で簡素な部屋の中で、ため息を吐きながらルゥナは一人の少女の談笑する
卑屈そうな下目使いで顔色を伺い、もじもじと指を絡ませて間を計っているのがバレバレだ

彼女の名はベラドンナ。ルゥナが色々と構ってあげたのが理由か常にべったりと懐いている
臆病で気の弱い少女だが、だからこそルゥナの後ろにいる事に心地よさを感じているのだろう

「どど、どれくらいの期間何ですか?」
「んー……一ヶ月か二ヶ月か。もしかしたら終結しても坂松に残留するかもしれないから年単位で帰ってこれないわね」
「年!?!?そんなに!?!?!?」


目を丸くして卒倒するベル。死刑宣告を下されたかの様なオーバーリアクションは、彼女の癖でもあるのだろう
その証拠に、何事もなかったかの様にむくりと起き上がってくる。その目には涙を湛えていたが、同時に決意も秘めていた



「わ、わかりました……ベル、悲しいけど、我慢します……!」
「例え何ヵ月でも……何年でも、待ちます!ベルはずっと、ルゥナさんを待ってます!」
「だから……わわ、笑って、お別れして……!」



「え? 何言ってんの、あんたも来るのよ?「は?」






「え、あれ?きき、聞き違い、ですよね?」
「さっきから何言ってるのよ?ドミトリイさんから聞いたでしょ?」

先程の顔はどこへやら。血の気は完全に引いていき、精一杯に浮かべた笑顔は凍りついている
震える口の端で言葉を紡ぐ。その様は話すというよりも呟く様だった

「確かに……でででも!ベルは嫌だって断って」
「でももう坂松にいる連中にはベルも来るって言ってあるから」
「なら今すぐ取り消してくださいよぉ!ベルは行きたくないんですからぁ!?」
「あたしの面子にかけて、絶っ対に、イ ヤ」


ニコッと微笑みながら、ベルにそう宣告する
その言葉は先程のぬか喜びとはうって変わり、正真正銘の死の宣言そのものだった


「……………………こ」「こ?」




「この裏切り者おおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!ベルの事ずっと守ってくれるって確かに言ったじゃないですかあああああああああああああああああああ!!!」

「いや言ってないけど」「……言ってません?」

「まあとにかくそういう訳だから。準備しておきなさいよ」
「い、いつですかぁ……」「今日」「今日!?」


「あんたに間を与えると逃げるじゃない。ほらさっさと荷物を纏める!」
「うぇえええぇい……」

とうとう観念したのか、もそもそとバッグに荷物を詰め込んでいく
そしてギリギリ間に合った最終便。二人は日本へと飛び立ったのであった






「……ふぅ。ここが坂松ね」

「なーんだ、大した事ないじゃない!アバドンに襲われたって聞いたから、ゴーストタウンを想定していたのに」
「怖い事言わないでくださぁい……」


空港とタクシーを乗り継ぎ、ようやく目的地へと到着した二人
目に広がるのは何処にでもある地方都市。話に聞き及んでいたおぞましい災害の痕跡は無い

平穏に、ただ時間を無為にする人々だけがそこに存在していた


「……ん、あの建物は?」
「え、えっと……スタジアム。みたいです。完成はもっと先みたいですけどぉ……」
「ふーん」
「なななんでも、市長が街興しの一つとして去年着工したらしくて……」

飛行機に揺られながら坂松の情報を頭に叩き込んできたベルからの説明を軽く受け流す
とにもかくにも無事なら何より。記憶の片隅に留めておくとして、最優先事項は先遣隊と合流する事だろう

「それじゃ行くわよ。場所は?」
「無視した……酷い……」「うるさいわね!今はそれどころじゃないの!」


ベルの頭を小突いて指定された場所へ向かう。そこでサーヴァントの召喚をするのだ

胸を踊らせながら街を歩く。……今にも逃げそうなベルの首根っこをひっ掴みながら








「……ヒュウ!や~っと来たか、ルゥナ!」
「歓迎するぜ、ウェルカム!坂松市に!」
「あ、そういうのいいから。アダムスさん」

「連れねえな。そーらベル!お前も歓迎するぜ俺はよォ!」
「ぎぃやああああはああああああ!?!?」

指定された民家の一つの扉を開く。すると突然表れた髭面の男に、肩を強く叩かれた
ニヤニヤ笑うその顔は陽気な雰囲気を醸し出すが、タンクトップから浮き上がるの身体には傷でまみれている

アダムス、と呼ばれた男はあしらわれても余裕の笑みを崩さず。ベルの頭をわしわしと掴む


「そんな事を言うなよルゥナ。そら、歓迎のハグでもしてみろよ」
「はぁ!?嫌よ。汗臭い!加齢臭キツい!」

「止めてあげるんだルゥナ。その一言は三十手前の男には効きすぎる」


ルゥナの暴言に肩を竦めるアダムスとは対照的に、入れ替わる様に表れたいい声の男性が彼女を窘める
しかし、その姿は可憐な女性のもの。チグハグな姿と声は、ベルを怯えさせるには充分過ぎた


「コリー。まだそんなアバター作って遊んでんの?」
「そんな事とは失礼だね。私は私のしたい様にしているだけさ」






「……で、これで全員?」
「いいや?一人は業務でお休みだ」
「明日は君も入学があるからね。彼もその準備で忙しいのさ」

「あぁ、そうだったわね……忘れてたわ」
「え、ええ?ルゥナさん、今年で高校生になるんですか?」
「そうだけど。あたし16歳だし」
「ベルは17歳ですぅ……」「えぇ……」


知らなかった顔見知りの年齢に驚きつつも、頭の中で予定を組み立てる
明日は入学式、そうなると余裕のある今夜の内にサーヴァントを召喚したいが……

「おう、二人のどっちか令呪は宿ったか?」
「因みに我々には宿らなかった。資質と願いに対する構えが足りていなかったのだろう」


「それなら抜かり無いわ。……見なさい!」
「こ、ここに来る途中で宿ったんです。これ、令呪ですよね……?」

彼女の手に顕れた痣を全員に掲げる。それは、聖杯戦争の参加権にして英霊を縛る令呪に相違無い
ルゥナは聖杯に選ばれた。それを如実に示していた


「……ハッハハ!間違いねえ!よし、喚ぶぞ喚ぶぞ!」
「召喚陣は既に組み込み済みだ。二人とも、私に着いてきなさい」






「……ここがそうね」

一つの部屋全体に描かれた召喚陣。英霊を呼び込む大術式
それを自ら起動するという高揚感を抑えつつ、頬を叩いて気合いを入れる


「詠唱は完璧に覚えてるかぁ?」
「問題ないわ。バッチリよ」

「どの様な英霊が来ても取り乱さないね?」
「当たり前よ。覚悟はとっくに決めてるわ」

「やるわよ、あんた達。……さ、触媒を渡して」
「「「え?」」」

順調に進んでいたはずの準備に、突然すっとんきょうな声をあげる一同

「何だ?その触媒ってのは」
「ドミトリイさんは言ってたわよ?あたし達が有利になるよう、とびきりの触媒を幾つか用意してあるって」
「それを出してって言ってるの。あたしは他の奴に渡したって聞いてるわよ?」

「知らねえな。コリー、あんたの担当だろ?」
「私は本家で選ぶべきだと進言したが」
「た、確かベルが受け取って、机の上に置いて……置きっぱなしに……」

みるみる内に目が白くなっていくベル。その顔はどんどんルゥナから背けられていく
その顔を思いっきり掴むと、強引に此方に顔を向けさせた

「ベーーールーーー!!?!!」
「だだだだってもっとゆっくり準備させてくれたら持ってきたのにぃい!」

「オイオイどうすんだ?今から取りに行くのは現実的じゃねえ」
「輸送便でも間に合わないな。新たに触媒を探すのも難しいだろう」





「……ハァ、もうしょうがないわ」
「触媒は使わない!相性だけで召喚するわよ!」






「あ、ああ、相性で!?」
「それは止めた方がいい。君と相性で喚ばれる存在はろくなものではないだろう」
「お?俺は賛成だけどなあ!楽しもうぜ、一世一代の大舞台を!」

否定的な意見が一つ。顔からして否定しているのが一つ。何も考えてなさそうなのが一つ
しかし、もうこの手しか残っていないのもまた事実なのも間違いない。それにルゥナには確信がある

「あたしが喚ぶサーヴァントなら、絶対に一流の英霊が来てくれる!」
「そこで見てなさい。あたしが最強の英霊を従える姿をね!」




「───“素に銀と鉄。礎に契約と石の大公”」

「“祖には我が師??????????”」

「“降り立つ風には壁を。四方の門は閉じ、王冠より出で王国に至る三叉路は循環せよ……”」



ルゥナが詠唱を紡いでいく。その度に召喚陣は光を発し、脈動するかの様に輝きを増す

まるで門を開くかの様に、まるで過去の英雄を現世へと迎え入れるかの様に……






「“……誓いを、ここに!”」

「“我は常世総ての善と成る者。我は常世総ての悪を敷くもの”」

詠唱は進む。魔術回路はフル稼働中、ここまで来たら一息に終わらせたい
全神経を集中させる。英霊はもうすぐそこまで来ているのだから

「“汝、三大の言霊を纏う七天……!”」

「“抑止の輪より来たれ!天秤の守り手よ───!”」

叫ぶ様に、最後の呪文を唱える。途端に、一際大きな光が部屋の隅々まで照らし出す
一瞬だけ全員の目が奪われる。光が晴れた先にいたのは……





「……オレを喚んだのは、君かな?」

「召喚に応じて推参したよ。オレはランサー!槍の英霊!」

「最高最善の未来(あした)を創る為に、最低最悪の過去(きのう)にさせない為に!」

「オレは君に力を貸そう!今日じゃ間に合わない、すぐにじゃ遅い!」

「未来(あした)を変えるのは……“今だ!”」




力強く宣言するのは、全身が機械仕掛けの存在で
一際目を惹いたのは……顔面に設置され、今も針を動かし続けている巨大な時計だった


undefined


【本日はここまで。今後ともよろしくお願いします】

【最後に、今回のルゥナのサーヴァント。ランサーのステータスを開示します】

【次は質問タイム。聞きたい事があれば、書いていただければ次回入る……かも】

┏━━━━━━━━━━━━━━━┓
  ≪クラス≫:ランサー
┣━━━━━━━━━━━━━━━╋━━━━━━━━━┓
  【真名】:???             【属性】:中立・善
┣━━━━━━━┳━━━━━━━╋━━━━━━━┳━┻━━━━━┳━━━━━━━┳━━━━━━━┓
  【筋力】:C     【耐久】:D      【敏捷】:EX(A~)  【魔力】:C     【幸運】:C      【宝具】:B
┣━━━━━━━┻━━━━━━━┻━━━━━━━┻━━━━━━━┻━━━━━━━┻━━━━━━━┫

                           
       (ヘ                 //
       ヘ \  , -ー;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ー-、  ///
        ヘヘ.\;;;;;;;ィ´ ̄|;;| ̄`ノィ;;;;//./

         ヘへ \ヽ> `´ ,ィ`´///
         ,;;'/へヘヘ カ刈 ノ | //ィイク}

         ,;;;'{  廴_\ /~// ィ-ムムイ;ト、
         {;;《、``ー 、入ヽイ // ィコ.┌!┐}
         .{;;{;;; ̄ヽ `\`0´/ ∥ └i┘}
         {;;{;;;;;;;;;ノ  } | ||/_フ  /,';;/
         ヘ;;ヘノ  /  ̄ ぐ~ /ノ;;ノ

          ヘ;;ヘン~     ヽ/ /;;;/
       _  _lヘ;;ヘィク  ∩ くヽ//l
      /へ干ノメ\_\_|_|_ノ;;/ィーヽ_ィーヽ、

     /   〕〕/ |込~======彳ノ  ノ     ィヽ
 ィ-ーく~ ヽ   ヽ  ヽー--===-ーノ  ノ    ノ  ィヽー-、


 AA:仮面ライダージオウ(仮面ライダージオウ)
┣━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┫


【お休みの間、そして開始したてはなるべく毎日続けていきたいところ】

【という訳で再開します。コンマや安価がありますが人はいますか?】




召喚を終えたルゥナは、一息付いて状況を確認する

目の前に現れた時計怪人。それがルゥナのサーヴァントだろう
槍の英雄と名乗ったが、一応確認も兼ねて聞いてみる事にした

「問うわ。あんたがあたしのサーヴァント?」
「えっそうだけど」「軽っ!?」

想定以上に。ある意味で予想通りの軽快な電子音声でそうだと伝えられた
パスも充分に繋がっている以上。この時計男がサーヴァントなのだろう。……不本意ながら


「オイオイオイ……やっぱ、触媒探した方が良かったんじゃねえの?」
「相性では、時に奇妙な英霊と繋がると聞く。ましてやルゥナでは……」

「何?あたしが悪いって言うの!?」
「いやーアレだ!運が悪かったな!ははは!」

「触媒忘れたベルのせいだって言いたいんですかあああああああ!?ごめんなさいって謝ったじゃないですかあああああああ!!!」
「そうとは言っていないだろうに……」

後悔や絶叫。諦めといったネガティブな雰囲気が漂っていく
それも当然か。ガイスロギヴァテスにとって、今回の聖杯戦争は前回とは訳が違う

家の威信をかけた戦い。人員を増やし、優秀な魔術師を集め、最大限の好条件を整えた
それが、ここに来て……サーヴァントの召喚で、訳のわからないモノを喚んでしまったのだから



「あのさ、君達に落ち込んでいる暇なんて無いんじゃないの?」

「大事なのは、どうすれば良かったのかじゃなくて、これからどうするかじゃないかな?」







「……ランサー」

「オレさ、そういうの大っ嫌いなんだよね」
「どうせ向くなら後ろより前。立ち止まってて手に入るのは虚しさだけ」
「時は一刻み一刻み、絶対に進んでいるんだ。無駄になんてしたくないでしょ?」


ランサーの意外な程に前向きな発言は、ルゥナの思考を直ぐに切り換えさせる
あんたが出てこなければ。という怒りは、今は伏せておく。ここで険悪になるよりはマシだ

「……そうね、ランサー。あんたの言う通り」
「あたしは優秀な魔術師なんだもの。この程度でへこたれてらんないわ」

「でしょ?じゃあ街に行ってみようか」
「敵の情報を探ったり立地の確認をしたりとかしたいし」
「そうね。行くわよベル」「ぅふぇえ!?」

「待て待て待て。おたくらほぼ初対面じゃねえか。いきなり連携取れんのか?」
「私としても反対かな。コミュニケーションを取ってみるのはどうだろう」

「「えぇ~……」」「お、同じ反応……」

いざ出陣。という瞬間に大人二人から待ったをかけられて不貞腐れるルゥナとランサー
しかしここで無理矢理出ていったら、お説教が待っているであろうというのは明白だった

「……仕方無いわね。少し話すわよ」



123:そんな事より外に出ようぜ!(ナシ)
456:しょうがないにゃあ(一回まで)
789:まあそれくらいなら(二回まで)
↓1




2:ナシ(質問は持ち越し)



「いや!外に出るべきだと思う!」
「は?あんた人の話聞いてた?」

「聞いてたよ。だからこそ調べるべきだ」
「お互いの事は動きながら考えればいい。じゃないかな?」
「いや『じゃないかな?』じゃなくて」


返答にわ周りはおろかルゥナも目を丸くする
人の制止を振り切り、ランサーは一目散に外へ走り出していった

「ちょ、待ちなさいよ!ベル、あんたも着いてきなさい!」
「何でですかぁ!?ベルに死ねって言いたいんですか!?」
「あんたが近くにいないと困るのよ!黙ってあたしに着いてくる!」


 ◆燭台の魔女(ベーラ・ドンナ)  
  蝋燭の魔術師。  
  味方の火属性魔術行使効率を何十倍にも高める魔術の適性と刻印を継承する一族。  
  この一族の者は自らを燃やしてしまう為に基本火属性魔術を扱わないが、代々ガイスロギヴァテス家の補佐官として重要なポジションを占めてきた。  
  その性質から危険な戦場にお供として駆り出される事も多く、彼女の両親も戦いの中で亡くなっている。  
  臆病者と蔑まれる彼女だが、その気になれば一人で味方の戦力を数倍化させる可能性を秘めている。



ルゥナの一喝に怯えながら、ビクビクと震えつつ外に駆け出すベル
彼女の魔術師としての腕は信用している。何だかんだでルゥナも彼女を気に入っているのだ


「さて、外で何かあるとは思わないけど!」
「あのランサー、本っっ当に人の話を聞かないわね!」


1234567:何もないよ
89:何かやってた
↓1


4:何もないよ



「ぜぇ、はぁ……」
「うぇぇえええ……」
「あっマスターお帰り。水飲む?」

ランサーを辿ってあっちこっち。結局街をぐるりと回っただけで、普通に家に着いてしまった
当然、サーヴァントはおろか魔術の痕跡すら見つからない。これではただのジョギングだ

「あ、あんた……人の、話を……」
「それよりも、あんたのせいで時間を無駄にしたじゃない!」

「何言ってるんだよ!何も無かった事がわかったじゃないか!」
「少なくとも無駄な事じゃない。安全だって事がわかっただろ?」

けろりとそう言うランサーは余裕気に語る
コリーから借りたのだろうか。片手でパソコンを動かしながらルゥナに動画を見せてきた

「ほらこれ。見てよ、街の監視カメラの位置を割り出してみたんだけど」
「は?何よそれ!そんな遠くに行っていなかったじゃない!」
「オレ得意なんだよね~。マスターにも教えてあげようか?プログラミング」

 ◆ハッキング:B++
  電子戦能力。
  「ハッキング」とは言うが、このスキルの場合クラッキングやプログラミングなど、あらゆるPC関連スキルの総称でもある。
  量子ハッカー適性も兼ねる。


「……あんた、何の英霊なの?」
「あ!街のセキュリティを突破できそうだから話しかけないで!」

それだけ言うと、ランサーは黙々とキーボードを叩き始める
……明日は始業式だ。自分はもう寝よう

ベルは倒れる様に眠っている。その身体に上着をかけてやると、ルゥナは自室へと戻っていった





「きーみーがーあーよーおーはー……」


昨夜の全力疾走から一夜明け、ルゥナは坂松市にある高等学校の中にいた
海外からの留学生。という名目で学園に潜り込む事で、御三家や魔術師を監視するのが役割だ

因みに、学校に毎日通わなくても退学にはならない。そういう事になっているそうだ

「……はぁ、疲っかれた!」

教室に入るなり、自分の机に突っ伏してうだうだと文句を言い始める
周りからの変な目を気にせず伸びをする。今日から……いやもしくは今日だけかもしれないが、一応はクラスメイトになるのだ


(……ま、ちょっと話しかけてやるかな)

適度に仲の良い人を作っておくのも悪く無い。何より、戦争になれば紙屑の様に消し飛ぶのは目に見えている
無駄に死なれるよりは、記憶に留めておいた方が気分がいい。目についた人物に話しかけた



1:「さっそく、グループが出来てるわね」
2:「あいつ、ずっと一人で空を見てるわ」
3:「なんか、外の方が騒がしいわね……」
↓1





ルゥナが目を着けたのは、一際多くの女子が集まるグループ
中心にいるのは派手目な青年。顔はまあいいというのがルゥナの感想だ

「お、ルゥナじゃん。どうした?」
「別に?花村君も入学早々随分人気じゃない」
「はは!何だよ俺が気になってんのか?逆ナンかよ?」「んな訳ないでしょ」

青年の名前は花村 施経(はなむら せきょう)。かなり古風な名前だが祖父がつけたらしい
多くの女子を引き連れながら談笑する姿は、クラスのカースト上位だろうと容易に想像がつく


「ちぇ、そうそう、俺達放課後にカラオケ行くんだけど。どうよ」
「遠慮するわ。あたし忙しいの」

そっかー。と頭を掻く。その姿に、周りの女子からきゃーっという黄色い声が
ただ頭を触っただけで何がいいんだか……と思うルゥナであった

「あ、ルゥナってフルネームは何て言うんだ?名前しか言ってなかったろ」
「ガイスロギヴァテスよ。ルゥナ・ガイスロギヴァテス。これがあたしの名前」

「ガイスロギヴァテス?」「ん?何かおかしな事でもある?」

「……いや、何でもないわ!珍しいなって思っただけで!」

一瞬だけ、ほんの一瞬だけ何とも言えない様な表情を見せた花村
しかし、ルゥナが瞬きした後にはすぐに先程の明るい顔を見せていた


「ま、その内デートしようぜ!じゃあな!」
「しないわよ」

軽くあしらい教室を出ていく。後ろからは女子達の甘い声が聞こえていた






「お、お帰りなさぁあい……」
「どうも。ランサー、進歩どう?」

ベルに上着を授けて帰宅する。話しかけたのは机に向かって作業するランサーが
顔に取り付けられた時計のせいで表情は読み取れないが、ピースサインが成果を物語っていた

「バッチリ。この街の地図や監視カメラの位置に住民票までゲットしたよ」
「いやそこまでしなくてもいいけど……」

「よっす。お疲れか?ルゥナ」「コーヒーを淹れてあるが、飲むかね?」
「平気よ、アダムスさん。コリーもありがと」

トレイからコップを受け取り、コーヒーを喉に流し込む
一息大きく呼吸をすると、思考が冴え渡る感覚が全身を支配した


「……よし、夜になったらもう一度街に出るわ」
「今度はランサーの情報を元に動いてみる。それでいいわね?」

ルゥナの号令に頷く三人。ランサーもパソコンを動かしつつ、手を振ってそれに答えていた

「オッケー、作業も一息つけたかったし。軽い運動は能率を上げるって言うからね」
ランサーからの確認も取った。これで昨日の様な失態は起こらないだろう

「それじゃ、あたしは少し仮眠を取るわ。夜になったら起こしてちょうだい」


123:特にナシ
456:何かしらの情報が
789:なんかサーヴァントが挑発してる!
↓1



4:何かしらの情報が



日も沈んだ頃、ルゥナはベル、アダムスと共に街をぶらぶらと歩く
夜の街は未だに人で賑わいを残していた。戦争が起きているとは知らずに

ランサーとコリーはお留守番。ハッキング作業に注力したいらしい
いざとなれば念話で伝えると言ってある。あの敏捷ならすぐに来れるだろう

「お~お~平和でいいねえ。二年前に大災害があったとは思えねえな」
「全くね。……アダムスさんは知ってるの?アバドンの蝗害の事」
「うんにゃ?ただまあ、俺は法政科にいたからな。風の噂にって奴だ」


 ◆法政科
  時計塔十三番目の学部、第一原則執行局。根源を目指そうとしない、神秘の秘匿を厳守させる部門の所属
  神秘を管理・統制する側に属する者であり、魔術師同士の争いに介入する実行部隊員


「いやあ大騒ぎだったぜえ?何せバケモンが街に溢れたなんて一大事だ」
「俺も目茶苦茶どやされたモンだ。何してるんだお前の家は。ってな!」

当時、ルゥナはまだ母国の学園にいた為に知るよしも無かった事だが蝗の群れは人々を襲い、喰い殺したと聞いている
本来のアバドンは人々に死すらも許さないと言われているが、強引な召喚によって制御を奪われていたのだろう


「……すまない。少し、話を聞いてもいいか?」
「私はこういう者だ。この街で私立探偵をしている」

三人を呼び止めたのは、深く帽子を被った女性
差し出された名刺に書かれていたのは、『神楽探偵事務所』とシンプルな文字で記されていた







「いやいや。俺は保護者ですぜ?」
「そりゃまあ確かに夜遅くですけど?誘拐とか援助交際なんかじゃ断じて……」

どうにか誤魔化そうとするアダムスだが、若い女子に髭面の男はこの上なく怪しい
しかし、彼女からの言葉は三人も予想していないものだった

「……最近、街で不審な怪物を見たとの噂が多いんだ」
「近くに外国人らしき人影を見たと言う噂も聞いている。一応、名前と住所だけ聞かせてくれないだろうか?」


探偵の告げる内容は興味深いが、それは教える訳にはいかない
何より身元が割れたら、今後の行動に支障が出かねない。ここは丁重にお断りしよう

「ごめんなさい。それは任意でしょ?あたしに答える義務はないわ」
「……そうか。だが、お前達は最近この坂松市に来たのだろう?」
「ななな何で知っているんですか!?も、もしかしてベルのストーカー……」

「探偵だからな。情報収集は得意なんだ」
「何かあったら連絡してくれ。私は昼は事務所にいるからな」


それだけを言い残し、探偵は闇に去っていく
……今夜はこれ以上の探索は無意味だろう。彼女達は踵を返し、捜査を切り上げるのだった




【本日はここまで。ありがとうございました】

【次回は学校+探索。もしくは情報集め回】


【再開していきます】

【参加してくださるはいますか?】





「ぐぁあああああーーーっ!!!」
「ちょっといきなり何!?何の騒ぎ!?」


入学二日目の昼休み。事件は突然廊下で起きた
見ると、男子生徒が頭を抑えて蹲っている。側には脚立と割れた蛍光灯が散らばっていた

「何でも蛍光灯を換えようとして、脚立から落ちたみたいだな……」
「説明ありがと。花村も野次馬に来たの?」
「ん。それは……まあ、そうだな」

呻く生徒を遠巻きに眺める生徒達。それは好奇の目というよりも、どうすればいいのかという困惑を浮かべている
事実、花村も倒れる男子生徒を見て困った様に頭を掻いている。助けたいが、やり方がわからない。という風に

「……はぁ。ちょっとあんた、立てる?」
「ぐっ……あ、お前は……?」

頭を抑えながらもよろめき、ルゥナの顔を見る生徒
フラフラとした腕を掴み、無理矢理立たせる。そして脇に自らの肩を入れて起き上がらせた

「早く立ちなさいよ!肩貸してやるから、保健室まで連れてってやるって言ってんの!」
「ほら、どいて!あたしはさっさと行きたいんだから!」

ルゥナの気迫に圧されたのか、人垣が割れて道が出来る
その真ん中を堂々と。ずるずると引っ張りながら進んでいった






「……ほら、手当てしといたから」
「これで安静に寝ていれば治るわよ。午後の授業は休んでおきなさい」 

手慣れた動作で、青年の頭に包帯を巻いていくルゥナ。この手の応急処置は得意なものだ
用は済んだとばかりに立ち去るルゥナ。教室に戻ろうとした寸前、腕を掴まれてつんのめる


「きゃっ!?……何なのよ、もう!」
「おおお俺を助けてくださってありがとうございます!!!」
「俺は縦島 正夫(たてじま まさお)っす!姫、俺と付き合ってください!」

人助けしてやっただけなのに、何故か突然告白された上に姫様呼ばわりされてしまった
この国の男は女性を見たら求婚する習性でもあるのだろうか?ルゥナはいぶかしんだ


「はぁ!?嫌よ!」「貴女に一目惚れしたんです!姫様!」「誰が姫様だ!」
「男なら、惚れた女の子はお姫様だと父の遺言で……いや死んでないけど」

「とにかく!あんたは寝てなさい。あたしは単に、周りがうるさいから助けただけ」
「あんた自身を助けた訳じゃないから。じゃ、とっとと寝ときなさいよ!」

「花村といい縦島といい……この国にはヘンな奴しかいないワケ!?」


後ろで喚く縦島を振り切って保健室から逃げる様に退出する

掴まれた腕をハンカチで拭く。心底嫌そうな顔を浮かべながら、近くの教室のゴミ箱へと放り捨てた







学校……というよりも、縦島から逃げる様に帰宅したルゥナ
今日の授業は簡単なものだったが、それ以上の疲労を感じていた

部屋にいたのはコリーとランサーだけらしく、何やらパソコンの話題で盛り上がっている

「ま、こんな感じかな?」
「素晴らしい……!ここまで完璧なプログラムを私は見た事がない……!」
「この回線で最速。コリースペックでも、スパコンに匹敵する性能になったはず!」

「……何してんの、あんた達」
「あっマスター。ちょっとさ、コリーのパソコンの改造をしてて」

「彼は素晴らしい英霊だ!我々配信者の心強い味方だ!」
「動画の配信でどうやって聖杯を取るって言うのよ!」


どうやら、コリーはランサーのハッカーとしての腕前に相当惚れ込んだらしい
だが、それでどう聖杯戦争で勝ち抜けと言うのか。プログラミングの力でどう敵を倒せと言うのだろう

「……とにかく今日は外に行くわよ。来る奴は準備しておきなさい!」
「いいね!それじゃ今から「準備しろって言ったの聞こえなかった!?」



【何をしますか?】
1:探索(コンマ判定有り)
2:会話(人物指定)
3:その他(やりたい事等あれば)
↓1


1:探索

【追加判定。探し方は……】
123:適当
456:魔力を関知して
789:「実は……」
↓1


【00…どうしようか。取り敢えず確定成功で】

123:この時点で出会っちゃ駄目なやつ
456:なんか挑発している奴がいるぞ
789:???
↓1



1:駄目なやつとエンカウント




「ところでランサー。あんた当てはあるの?」
「勿論。SNSの噂でここら辺で不審な事が起きているんだってさ」

街をふらつきながらもランサーと進む。今回はベルとアダムスはお休みだ
SNSを漁るサーヴァントというのはこの際置いておいて、大事なのはその情報が確かどうかだ

「ふーん、どんな?」「何でも、いきなり刃物で切りつけられたりとか」
「それ通り魔でしょ。聖杯戦争と何か関係があるの?」
「まぁまぁそう言わずに。ほら、そこの路地裏で襲われたんだって」


人気の少ない横道に入り、光の無い道を進む
あっという間に暗闇に潜る。ランサーがいるとはいえ不安になってきた

「……ランサー、これ何処まで行くの?」
「んー地図によると、そこの角を曲がればすぐに出られるよ」
「案外短かったわね……」

それならそれで構わない、こんな薄暗い所は気持ちが悪いから出るに限る
ルゥナが曲がり角を曲がろうと首を横に向けた時……“ソレ”は現れた
















「あー!あうあー!ああうあーあ!!!」
「ぐぎゅうるあうあうあ!うーううう!!!」

そこにいたのは、二メートルもあろうかという巨大なナニか
手に持つ得物は鋏だろうか?ジャキジャキと刃を鳴らし、威嚇するかの様に振り回す
その姿に理性らしきものは感じられない。ただ存在しているだけで、狂気を撒き散らす……


「な、何。何何何よここここれれ!?」
「うわっ、バーサーカー!?ツイてないなぁ」
「ももう少し驚ろろろろろろろ」

ビビって腰を抜かすルゥナとは打って変わり、軽い様子で驚くランサー
そこに恐怖も怯みも無い。ただ目的を遂行せんとする強い意思だけがそこにある


「ま、倒せるかはわからないけど……!」
「やれるだけやってみる!指示はよろしく!」

手に持つのはシンプルな形状の短槍。鋏を振りかざすバーサーカーに突進していった




『バーサーカーのステータスを開示します』


┏━━━━━━━━━━━━━━━┓
  ≪クラス≫:バーサーカー
┣━━━━━━━━━━━━━━━╋━━━━━━━━━┓
  【真名】:???              【属性】:混沌・悪
┣━━━━━━━┳━━━━━━━╋━━━━━━━┳━┻━━━━━┳━━━━━━━┳━━━━━━━┓
 【筋力】:A      【耐久】:B      【敏捷】:A+     【魔力】:D      【幸運】:D      【宝具】:C+
┣━━━━━━━┻━━━━━━━┻━━━━━━━┻━━━━━━━┻━━━━━━━┻━━━━━━━┫







「ほっ!よっ!」
「あああううううう!?ぐるううるるる!!」

軽快な様子で、ランサーは的確にバーサーカーを突き刺していく
ステータスの差はあるものの、その動きに翻弄され続けている。相手の敏捷は高いものの……
ランサーの敏捷はEX(規格外)。相手は完全に追い付けていない様だった

「ふっふー!まだまだ速くなるぞぉー!」
「これで振り切ってやるぜ!おりゃあーっ!」


おまけに、ぐんぐんランサーの速度が上昇していくのが目に見えてわかる
最早、バーサーカーでは追い付けない。それ程までに速度に差が付けられていた


 ◆神速:A
 「????????????????」により霊基に刻まれた技能。

 ◆高速分割思考:A
  思考を整理・加速するスキル。
  ランサーの場合は地頭のよさ、というよりは単純な思考の超加速によるもの。
  本来並列・分割しての複数ライン思考が可能になるのだが、並列思考上の全てが即座に同じ結論を出すため意味はあまりない。


「ぎゅ!?ぐぎゅぎゃぎゃぎぃぎ!!」
「……ん?けどおかしいな、何か弱ってない?」

一方的に押していたランサーだが、その異常に弱っている姿に疑問を感じる
自分達の前に誰かと戦闘を行っていたのではという仮説を即座に組み立てたランサーは、道路に寝転んでいるルゥナに声をかけた

「マスター!どうする?倒しちゃう?」
「それとも、もう少し泳がしておこうか?」
「さっさと決めといてね!10秒で!」

「無理言わないで……」

とはいえ、ここで決めねばならないだろう。ここは……


1:倒せ(令呪撤退される)
2:待って(コンマ判定有)
3:その他何かあれば
↓1



1:「倒して!」(逃げられます)




「いいから倒して!そいつキモい!」
「OK!」

ほとんど泣き叫ぶ形でルゥナは命じる。戦略的な意味よりも、生理的な嫌悪が勝ったのだ
ランサーもその指示が出るや否や、手に持った槍を構えてバーサーカーに突き刺そうと……

「……あ、逃げられた!」
「え、嘘でしょ!?」「仕方ないよ。令呪使われたんだもん」

ケロッとした様に槍をしまう。どうやら、相手のマスターが令呪を使って逃がしたのだろう
そうなると流石のランサーでも追い付けない。ここは諦めた方が心理的に楽だ


「そ、そう……もう戻るわよ。腰が……」
「しょうがないなあ。担いでいこうか?」
「いらんわっ!ったく、何よアレ!」

「うーん、何か、オレの前に別の英霊と戦ってたみたいなんだよね」
「だから、見た目のステータス以上に弱っていたって言うか」「え、何よソレ!」


「あんたわかるの?あいつがどんなサーヴァントと戦ったのか!」
「集めた情報と予測次第かな?うーん……」


1~7:まあわからないよね
89:わかるのかよ
↓1


7:そりゃあね



「まあわからないかなー」
「何よ、もう……!」
「あはは。まあいいじゃん、バーサーカーは追い払ったんだし」

「考え方によっては令呪を使わせられた。オレ達が有利になったって事でしょ」
「そうかもしれないけど……」


ランサーからの返答に言葉に詰まらせるルゥナ
言われてみればそうなのだが、あれだけ無様を晒せば恥ずかしくもなるというもの

「でもマスターって案外ビビりなんだね」
「な、違うわよ!というか、何であんたは平気な顔してられるのよ」
「ほら、オレって計算速いし」「それ何の関係があるの!?」

「なんか、急に恐くなったのよ……あいつの姿を見た時に」


 ◆【恐怖の相貌】:A+    
  認識した物を恐慌状態へと陥れる悍ましき相貌。        
  同ランク以上の対精神スキルを持たない者は強制的に恐慌状態へと陥り全ステータスが1ランクダウンする。



「へぇーそれじゃ戻ろうか」「ちょっと!?」
「ま、バーサーカーの真名はその内わかると思うし!今日はゆっくり休もうか!」
「だから抱えて飛ばないでってーのー!!」

ルゥナを小脇に抱えて飛び立つランサー。夜の闇を高速で走る姿は、幸い発見される事は無かった







「ルゥナ。今日街の方に新しい店が」
「姫!近くののサ店で飯食べませんか!?」
「ウッザ……」

放課後。ルゥナは何故か取り合う花村と縦島の間で顔を渋らせていた
双方、勝手に自分と行くつもりになっている。ちなみにルゥナはどっちとも行きたくない

「何だよ縦島、ルゥナに惚れてんのか?」
「一目惚れだ悪いか!花村こそ姫に邪な考えを持っているんじゃねえだろうな!」
「ん?せっかくだし付き合っちゃおっか?」

「止めて欲しいんだけど……」

どちらも引くつもりは無いらしい。こっちは既にドン引きしているのだが、それには気づいていないようだ
この手合いは下手に断ると面倒な事になるというのは何となくわかる。ここは……


「そもそも、あたし用事あるんだけど?」
「あ、そうなの?」「いやそうでしたかー!姫は忙しいですからね!」

これで二人は納得した。後は適当な奴を捕まえて、さっさと教室から出ていこう
近くにいた女生徒の腕を掴んで外に出る。当の本人は、きょとんと不思議そうな顔を浮かべていた

「待たせたわね!それじゃ行くわよ」
「……後で謝ったげるから、あたしに付き合って貰うわ」


「あれ、あの子って名前何だっけ?」
「少々森かー!あいつ、いつの間に姫とー!」

「縦島、さっきから気になってたんだけどその姫って何?」
「惚れた女は全員姫だ!」「そういう意味じゃねーだろ!」






「……ふぅ、これで大丈夫ね」
「あんたも災難だったわね。それじゃ」
「…………………………」

校門の前で女生徒を解放する。ルゥナに連れてこられても、無表情で顔を見るだけで
沈黙の間に、銀の髪が風に揺れる。透き通った印象の少女だがそれが逆に不自然に映った

「ちょっと……何か話しなさいよ」
「…………………………」
「無視?馬鹿にしてるの?そりゃ確かにあたしが強引に連れ出したけど……」

「…………………………」
「何か言いなさいよ!怖いじゃない!」
「…………さようなら」
「絞り出した結果がそれ!?」

結局答えたのはそれだけで。女生徒はそのまま帰路につく
それを強引に押し止めたルゥナ。彼女の手を掴み、無理矢理近づける


「あんた、名前は?」
「名前、名前。名前は、少々森 若子(ささもり わかこ)」
「そ、少々森ね。覚えてやるわ」

それだけを聞き出すと手を離す。用は済んだと言いたげに笑うと、ルゥナは背を向けて去っていった



【本日はここまで。明日は夜行動から】

【おおまかな学生グループの面子は紹介し終えたはず。まだいますけどね!】


【それでは再開します】

【参加してくださる方はいらっしゃいますか?】





「う、あう。ルゥナさん……」
「あら、ベルじゃない。どうかした?」

「どうして昨日連れていってくれなかったんですか……!?ベルの事、嫌いに……!」
「あんた寝てたじゃない!」


帰宅早々、ベルに抱きつかれる。放っておいた方がいいというルゥナなりの気遣いが裏目に出たのだろう
今度から寝ていたとしても連れていこう。強く心に決めるのだった

「あ、マスターおかえり。ちょっと話しておきたいんだけど」
「ちょって待ってて。ベルが……」
「何でも前回の聖杯戦争で「話を聞けーっ!」

「マスターをやっていた子は、まだ在学してるんだって。二年前なんだよね?」
「……何ですって?」

何気ない様に話すランサーの言葉に、ルゥナはベルを放り投げて距離を縮める
前回のマスターが学校の中にいる。この情報はルゥナにとっても極めて重要なものだろう

「何でそんな事知ってんのよ!ずっとパソコン弄ってただけじゃない!」
「いやーそれがさ。市長のデータベースを軽くハッキングしてみたら前回の聖杯戦争のデータがあって」


「……市長の?」
情報の出所は、およそ聖杯戦争とは無関係そうな名前からだった
困惑の表情を読み取ったのか、ランサーはパソコンの画面をこちらに向けてくる







「ほらこれだよ。入念に隠されてたけど」
「……本当だ。ドミトリイさんの名前もある」

「それで、これを見ると前回のマスターは過半数が学生になっていたみたいなんだ」
「随分と年齢層の若い聖杯戦争だったのね」


ルゥナに見せられた資料には、隠し撮りされたと思われるアングルからの写真が幾つか
そして、その下にはマスターやサーヴァントといった文字が。恐らく、ここにあるのが前回の参加者なのだろう

書かれている年齢から逆算するに、確かにセイバーとアーチャーのマスターは在学中だろう
もしコンタクトを取れれば……あるいは、心強い味方になり得る可能性が浮上してきた


「それに、幾つか怪しいスポットを見つけておいたんだよね。行ってみない?」
「あんた……思った以上に優秀なのね……」

予想以上の働きを叩き出したランサーに、素直に感嘆の意を示すルゥナ
対して、ランサーはあまり気に止めていない様だ。さて。と席を外して腕を回す

「さあ、今日も探索だ!敵を見つけるぞ~!」



1:探索(コンマ判定有)
2:会話(人物指定)
3:その他
↓1






「よし、今夜も外に行くわ」
「戦争で引きこもるのは悪手よ。敵の居場所を探り当てないと」

軽く仮眠をとり終えたルゥナはコートを羽織る
コンタクトを取れる可能性もある以上、交渉の材料はあるに越した事は無いのだから

「あ、あの、ベルは」「あんたも来るの!」
「ほー……なら俺は今夜はパスだ。警備は任せておけよ」
「私がいるのだがな。ああしかし……ランサーの近くにいたい……」

「大丈夫大丈夫。すぐに帰ってくるから!」
「ま、そんな簡単に捕まえられるとも思えないし……様子見よ」
「べ、ベルはそれだけで……?まさか、役立たずだと思われて……」


ベルの泣き声は無視して外に出る。昨日は放置して文句を言い、今度は連れ出して文句を……

「それじゃあリストは纏めておいたから。早速行ってみようか!」



【ランサーの纏め】+1
123:何の成果も
456:気配を感知
789:いたよ!サーヴァントが!
↓1



5:気配察知



「あ、何か見つけた気がする!」
「はあ!?」

言うが速いか、ランサーは全力疾走で彼方へ走り去る
どうにも、ランサーのアンテナが何かを嗅ぎ付けた様子だが……

「あ、あの。ルゥナさん。えっと」
「追うに決まってるでしょ!?ベル。あんたは走れる!?」
「無理ですぅ!またベルを虐め「あーもう強化魔術かけたから!背中に乗って!」


ベルを背に載せランサーを追い掛ける。といっても魔力の後を辿るだけだが……

「これで何も無かったら……承知しないから!」


【一度感知した】+1
123:見失ったよ
456:サーヴァントが待ってる
789:マスターも一緒
↓1


4:サーヴァントとエンカウント

【現時点でうろついているのは三騎】

【酉判定で決定します。1~3で一つだけ選択してください】

1~3で数字を一つ
↓1


酉:#弓×??↓??↑

選択:1=アーチャー



「……いない」
「いない、いない、いない!いったい何処に隠れたというの!?」

……走った先は、昨晩バーサーカーに襲われた路地裏に差し掛かる道
立ち止まるランサーの影に隠れる様にして、目の前の相手の様子を伺う

「よっ!何かお探し?調べとこうか?」
「っ!貴方、サーヴァント!」

気さくに話しかけるランサーに反応したのか、振り向き様に得物を突き付ける
それにも怯まず、ランサーは余裕そうに自己紹介をし始めた

「そ。オレはランサー。槍の英霊!」
「ランサー……そう、貴方が私の獲物を……!」

「そういうお前はアーチャーかな?弓じゃなくて銃みたいだけど」
「どうでもいいわ。私の獲物を横取りした罪。その身に刻んで消してあげる」


対峙している相手は女性。それも銃を持っている事からクラスはアーチャー
発砲音が鳴り響く。冷酷に、淡々とランサーを仕留めんと弾丸を発射しているのだろう

それを掻い潜り、槍を振るう。連戦だというのに、ランサーは止まる様子すら見せなかった





『アーチャーのステータスを開示します』


┏━━━━━━━━━━━━━━━┓
  ≪クラス≫:アーチャー
┣━━━━━━━━━━━━━━━╋━━━━━━━━━┳━━━━━━━━━━━━━┓
  【真名】:???              【コスト】:20        【属性】:中立・悪
┣━━━━━━━┳━━━━━━━╋━━━━━━━┳━┻━━━━━┳━━━━━━━╋━━━━━━━┓
  【筋】:E(10)     【耐】:D+(20)     【敏】:C(30)     【魔】:B(40)     【運】:E(10)     【宝】:C(30)
┣━━━━━━━┻━━━━━━━┻━━━━━━━┻━━━━━━━┻━━━━━━━┻━━━━━━━┫







「ほらほら!当たってないよ!」
「ちょこまかと……まるでネズミね!」

今回の戦闘も圧倒的だった。無数に放たれる弾を敏捷だけで避けている
アーチャーの方も間一髪で槍を避けてはいるが徐々に壁際へと押し込まれていっていた


「だったら……これならどう!?」
「点で駄目なら面で撃つ。弾丸の雨を喰らってみなさい!」
「うわっその数は卑怯だって!?」

しかし、アーチャーは数多くの銃を配置する事で対処する
幾ら避けられようが関係無い。百、千、万の内一つでも当たれば良いという考えなのだろう

ランサーもこれには難色を示す。元より、敏捷以外のステータスは低めなのだから


「ああもう!こうなったら……うわっ!マスター避けて!」
「え?……ぎゃあああっ!?」「う゛ぁあ゛あ゛あ゛あ゛!!!」

甲高い絶叫を挙げながら吹っ飛ぶルゥナとベル
突如空から降ってきた魔力の弾丸が、絨毯爆撃の様に二人を襲ってきたと知るのは空の上

辛うじて飛んできたランサーが二人を掴むと、そのまま高速で走り去っていった


「な、何なのよアレ!?」
「ごめん!アーチャーも逃げちゃってさ」
「あぶあぶあぶ……」「あ、ベル失神してるわ」

今は戦線の離脱が先。バーサーカーに次いで、アーチャーにも狙われるとなると……
ルゥナの頭の中は、早くも今後の不安でいっぱいだった







「市長。明日の予定です」
「ああ!ありがとうございます、鶴崎さん!」
「君は明日は有給だったね!ゆっくりと心身を休みなさい!」

「それにしても、本日も良き一日でした!平和とは本当に良き事ですね!」
「はい。私も全くそう思います」

ここは坂松市役所の中。市長の坂松鳥仁は秘書の女性鶴崎からコーヒーを受け取り一息つく
にこにことした笑みを浮かべ、一面に貼られた坂松市の地図を悦に入った様に眺めている


「平和?フフフ。ああ、正しく天下太平の世。と言うのだったかな」
「おや、君ですか!人が悪いですよ。いきなり出てきて驚かすなんて!」

水を刺したのは全身を上等な黒いスーツで覆う痩身の男性
くつくつと笑い声を挙げているが、その目には光が欠片も宿っていない

男は机に腰掛け、振り向く様にして座っている市長に視線を向ける
対する市長は、まるで気にしていないという風ににこやかな笑顔を崩さなかった

「平和等、所詮は蜃気楼。見せられ、踊らされるだけの幻でしかない」

「現に、この街で起きている事等……知る者の方が少ないんじゃあないかな?」









「ははは!君もおかしな事を言いますね!」

「“何もありませんよ!”“何も!”今日も、明日もね!」

「まあ……ね。有り得ない話だったかな」

黒服の男と市長は笑い合う。その目に宿るのは妖しい光
坂松市は平和だと断言した彼は、近くに控えていた秘書に一杯を差し出すよう指示を飛ばす

「ええ、本当ですとも!鶴崎くん!彼にもコーヒーを!」
「かしこまりました」

秘書は軽く一礼をすると、コップに黒い液体を注いでいった

「いただこうか。私と君の将来に」
「ええ!君と私は対等な関係。マスターとか、サーヴァントとかではありませんからね!」

二人の語る真意。それは互いに知らずとも良いと、互いにコップに口をつける

それを見るのはただ一人。二人に目もくれず、黙々と資料を片付ける秘書だけだった






「少々森ぃ!姫と友人なら言えよぉ!」
「友人、友人……る、る……」
「ルゥナよ。覚えておきなさいよ」

「まあまあいいじゃん?少々森ちゃんだっけ、付き合ってみない?」
「あんた見境ってものは無いの?」
「付き合う……付き合う?付き、合う?」
「なんかこの子バグってない?」


ルゥナの周りで話し合う花村、縦島、少々森。どうやら縦島は少々森の事を知っていた様で
少々森に「俺を紹介してくれよぉ!」と掴み、泣き叫んでいる有り様だ

「あー、あたし今日寄る所あるから」
「そっか。じゃあ明日は平気か?」「ま、明日なら付き合ってやるわよ」

「つつつ付き合う!?花村お前ーっ!?」「勘違いだからな!反応はえーよ!」
「る、る……ルゥナ」「何よ」
「さよ……さよなら?」「何で疑問系なのよ?」


花村と縦島の殴りあいを余所に、少々森とルゥナは挨拶をして道を別れる
目指すは三年生の教室。そこに前回のマスターがいるはずなのだが……



12345:そろそろ出しておこう
67:不在
89:いたよ
↓1



1:学校にいるマスターが来たよ



「えーっと?三年の教室はこの奥ね!」
「早くしないと帰っちゃうじゃない……っと!」


学校に存在する御三家とのコンタクトを急いで取り付ける為に、学校の階段を駆け上がる
ようやく辿り着いた三年生の教室前。どこにいるかは知らないが、手当たり次第に開けていけば……

「……あら?もしかして、貴女はルゥナさん?」
「な……っ。そうよ、あんた誰?」

突然、横から女性に話しかけられる。そのせいで足が止まってしまった
早く行かねば帰られてしまう。こんな所で、どうでもいい事で時間を取られては間に合わないというのに……

「悪いけど、あんたなんかと話してる暇は無いの。それじゃ……きゃっ!?」
「ふふ。どうしたのかしら、そんなに慌てて。まるで可愛いモルモットみたい」
「な、あんた……!」

突然、前のめりにつんのめる。足元は廊下。つまずく所など皆無に等しい場所なのに
女性は穏やかに笑いながら、屈み込んでルゥナの顔をじっと見た

「まだ解らないのかしら?それとも、こう言えば物分かりの悪いルゥナでも解るかしら」
「時計塔から捨てられた、ガイスロギヴァテスのお馬鹿さん?」「あんた……まさか」

時計塔、ガイスロギヴァテス。その名を知るのは魔術師以外には有り得ない
その事を表情で読み取ったのだろうか。女性はルゥナを足で踏みつけ、名乗りを始める



「ティファニー・フォン・ロシュフォール。時計塔より送り込まれた魔術師の一人」

「そして、ロシュフォール家の次期当主。……貴女は年が近いから、特別にティファと呼ばせてあげる」

儚げな微笑みとは裏腹に、ティファは腕に刻まれた印を見せつける
それは令呪……彼女もまた、聖杯戦争に参加しているのだと言外に告げていた




【本日はここまで】

【参加していただけた方、本当にありがとうございます】


【本日はお休み……】

【明日、続きを再開します】


【ではちびっと再開します】





「ロシュ、フォール……」
「知っていたかしら?脳味噌に火薬が詰まっていると思っていたのだけど」

「当たり前よ。どいつもこいつも“魔眼”を持つ一族なんて、一度聞けば忘れないわ」
「どうせ、あたしを転ばせたのもその魔眼の力でしょ。随分といい“眼”してるじゃない……!」


 ◆顛倒の魔眼   
 彼女の右目に持つ魔眼の一種

 ランクは『ノウブルーカラー』   
 この魔眼の発動は彼女が相手の足を見ることで発動する。   
 彼女に足を見られた人物は、下半身の力が抜けバランスを崩し倒れ込んでしまう。   
 シンプルな能力だが、使い勝手が良く割と気に入ってるとは本人の談。   
 魔眼使用時は彼女の右眼は赤色に輝く



「ご、う、か、く。よくできました」
「ガイスロギヴァテスも有名よ?火薬と硝煙にまみれた鼠。魔術の恥さらし……ふふ」
「うるっさ……!」

余裕そうに微笑みを浮かべ、ルゥナを足で踏みつけ悦に至るティファ
反論しようにも、彼女の拘束から逃れられない状況が続く。いつの間にか人も無くなっていた

「人払いは済ませておいたわ。これで、心置きなく話し合えるでしょう?」
「貴女には聖杯戦争は早過ぎた。大人の世界に踏み込んだら駄目じゃない。お子様は」

「こ、の……!」

ティファの明らかな挑発にも、這いつくばって睨み付ける事しか出来ない
このままいたぶられ続けるくらいなら、いっそここで令呪を使って……








「あー……ちょい待ちちょい待ち」
「それ以上は止めてくれ、やる事が増える」
「おまけに、まだ夕方じゃねえか、神秘の秘匿とか考えてくれ、な」

割り込んできたのは中年の男性。明らかに嫌な顔を浮かべながら、こちらに向かってきた

「あら?私の人払いが効いていないの?」
「ま、一応魔術師なんでね。……怪しいもんじゃないんだが」

「おれはディール・ガイスロギヴァテス。この学校の用務員で、神秘の監査役だ」
「この場は俺に免じてくれねえかな。頼むよ、ロシュフォールさんよ」「はあ!?」

ぶっきらぼうに名乗ったディールはつかつかと二人の元に行き、一切の躊躇い無く頭を下げる
あまりにもあっさり。あまりにも軽く腰を曲げたその姿にティファも面食らって目を白黒させていた


「……はあ。そうね、今回はその羽虫の様な無様な姿に免じて許してあげる」
「それに私のサーヴァントはとても強大でね。ここで暴れたら学校がどうなるか」
「助かる。それじゃ、お嬢から足をどけてやってくださいよ」


仕方無いわね。とため息を吐いて足をどける。確認していないが、恐らく背中には足跡がくっきり残っているだろう
不適な笑みを残して去っていくティファ。彼女の背中を、ルゥナは床に転がり睨み付ける事しか出来なかった



【では、今回は他陣営の行動を】

【コンマで決定します】

12:セイバー
34:アーチャー
56:ライダー
78:キャスター
9:????
↓1


2:セイバー



遡る事、数日前
早朝の街を俯瞰する、一人の女性がいた
その手に宿る刻印は令呪。彼女は聖杯を我が手にする為に異国の地から推参した魔術師

「……ここが、坂松。聖杯戦争の地」
「待っていてください。必ずや、私が聖杯を手にしてみせます……!」

誰にともなく決意を新たに、清廉な冷えた空は故国の記憶を想起させた
そうだ。私は聖杯を手にしなくてはならない。絶対に……!
……そして、現在



「ん~~~!ファ◯チキ美味ひい~~~!」
「ねえねえフェリシア、もう一個貰っちゃ駄目かな?これ凄っごく美味しいの~~~!」

もっしゃもっしゃと揚げた鶏肉を齧り、ご満悦に浸る女性
彼女こそが女性……フェリシアのサーヴァント。それも、最優のクラスと名高い剣の英霊だ

事実、前回の聖杯戦争の勝者はセイバー。故に最初は大きく期待していたのだが……

「……それが必要なら。けれど、貴女の性能には不必要。寧ろ無駄じゃないかしら」
「あら冷たい。私のマスターなら、もっとこう楽しくいかないと」
「人生は楽しまないと損!それが、私の人生で得た教訓なのです」

ニッと拳を突き出すセイバー。しかし、その顔はすぐに曇る
背中に携えた巨大な剣。それを見やるとため息を吐く

「あーあ、こんなクソ剣、高く売れたらさっさと売るんだけどナー」
「貴女、自分のクラスがわかっているの?それが無くては戦えないじゃない」





「ええ、ええ。わかってますとも」
「私はフェリシアのサーヴァント。貴女の命令には従います」

「……それはそれとして、ちょっとくらいお小遣いをくれてもいいんじゃないかなーって」
「駄目よ」「ケチ!」

そんなやり取りをしていると、視界には制服を着た男女がちらほらと
どうやら下校の時刻らしい。フェリシアは彼等を眺めながら、足を人気の無い場所へと移す


「あらフェリシア。もしかして懐かしの青春って奴かしら?」
「いいなー。私ももっと楽しい十代を……」
「全然違うわ。そもそも私は……」

下らない会話、どうでもいい日常。彼女達は、今この時だけは聖杯戦争を忘れている……様に振る舞っていた

「……ところで、さっきからこっちを覗き見している外道!」
「さっさと失せたなら気づいてないふりをしてやったものを!出てきなさい!」

セイバーの一喝。姿を見せない卑怯者に向けた渾身の一撃
凛とした声は、先程のふにゃふにゃとした態度とはうって変わって力強く
その声に相手は観念したのか、その姿を現した



123:???(有害)
456:???(どっちとも言えない)
789:???(無害)
↓1


3:有害な奴



「はは、やはり割れていたか」
「慣れない事はする物じゃない。恥ずかしくて顔から火が出そうだよ」

暗闇から現れたのは一人の男性。その細い痩躯はおよそ戦闘に耐えうる肉体ではない
それにも関わらず、この男から発する邪気は場違いな程に恐ろしい
戦に馴れたセイバーさえも、その剣を振るうのを躊躇ってしまっている程に

「……貴様は。私達を監視していたのか?」
「監視?……くくっ、そんなご大層なものじゃあ無いさ」
「君達を見続けた所で、大した情報が手に入るとも思えない。暇に見られたのなら心外だね」


大袈裟に両手を広げて鼻で笑う。そのオーバーな態度はフェリシア達を苛立たせるのに充分で

「だがまあ……用があるというのは嘘じゃない」
「端的に言ってしまうと、君達の武力を我々が買い取ろう。という話だよ」

黒衣の男はそう言いながら、懐から一枚の紙を差し出す
どうやらそれは何かの名刺の様で。受け取ったフェリシアは名前を確認する

「……それは、私達と同盟を結びたい。という事でいいのかしら?」
「好きな風に考えるといい。君達を利用する。君達を助ける。君達と手を取り合う……」

「何にせよ利害は一致する。それでも私達を信用出来ないと言うのなら……」





「“聖杯は、君達に渡そう”」
「“我々は聖杯そのものには興味ないのでね”」


【条件は美味しい】+2 【幾らなんでも怪しすぎる】-2 【初対面】-1

【合計】-1
123:乗った
456:保留
789:断る
↓1


【全部の補正が逆でした。+1が正しい】

【このレスはコンマに含まれません】


5:この場は保留

【という訳で本日はここまで】

【次回は続き+ルゥナのターン。ありがとうございました】


【本日はお休み】

【その代わり、明日はほんの少し早くやる予定です】


【19:30を目安に再開します】





「……この場は、保留させて貰うわ」
「貴方達を信用する要素も、切り捨てる要素も無い。今の段階では話を進められない」

毅然と。凍る背筋と震える唇を噛み潰しながら答えるフェリシア
男の方は憮然としながらも、体裁を整える為に咳払いを一つ。その顔には嘲りが


「それならば仕方が無い。この場はお引き取りしよう」
「ただ……我々はあくまでも、武力だけを求めていてね」

「候補はまだ他にもいる。君達だけが特別だと勘違いしない事を祈っているよ」
「いいからとっとと失せなさい。私のクソ剣の餌にしてやろうか?カラス男」


セイバーからの悪態にもどこ吹く風。男は闇にその身を溶かして消えていく
男の態度は最初から、一貫して此方を下に置き値踏みする様な厭らしいもの。思わずフェリシアは身を震わせる

貼り付くような笑みが頭から離れない。ふと、目につくのは渡された名刺に書かれていた名前



『坂松市長 坂松鳥仁』の文字が、やけに頭に残っていた






「ロシュフォールってどういう事!?」
「あんなのがいるなんて、聞いてないわよ!?どうなってんの!?」

帰ってきた開口一番。ルゥナの絶叫が部屋の中で木霊する
顔には青筋が幾つも浮き、目は血走って怒りを堪えているのがありありと

その後ろから、申し訳なさそうにディールが姿を見せて平謝りを。その額には油汗がびっしりとついていた


「いやー本当にすみません。おれの方でも把握はしていなくて」
「名乗ってようやく気づいたんです。恐らく、暗示の魔術で……」

「話に聞いた事がある。ロシュフォールの一族は全員が魔眼を持ち、当主となる者は最上級の眼を持つ。と」
「連中は有名だぜ?権力争いの中枢にはいつもその名前が出てきやがる」
「どど、どうしてそんなのが……ままままさか、ベル達はもう用済みって事じゃ」

報告を受けた面々は、侃々諤々の大騒ぎ



「そっか……そんな人がいるんだ」
「なら早速会いに行こう!善は急げって「待ちなさいこのバカ!」








「え?何?お腹でも痛い?」

「違うわよ!……あんたを召喚してから、ずっと探索ばっかりじゃない」
「一度ゆっくりと腰を据えて、話をしてもいいと思うんだけど」

「そもそもあたしはこの街の事も、ひいてはあんたの事も知らないのよ?」

逸るランサーを制止させ、ルゥナは持論を展開する
それを聞いたランサーは不服そうな表情……時計の為読み取れないが……を浮かべている


「えぇ……でも行動は早い方がいいし」
「振り回されるあたしの身にもなりなさいよ!こっちは筋肉痛で疲れているの!」
「あんな奴、筋肉痛じゃなければこてんぱんにしてやれたんだから……!」

半ば逆ギレする様に叫ぶルゥナ。頭の中には先程の、ティファにされた仕打ちが脳裏に浮かんでいるのだろう
次こそは、次出会ったなら必ず倒す……その執念を心の中で滾らせるルゥナ

その為に入念な準備。もとい休憩を取りたいというのが本音だろうが……



※1以外どちらがいいかは不明
1:敵が来る
2345:いいや限界だ行くね
6789:しょうがないにゃあ
↓1


1:ピンポイント

【では次は誰が来るか。これはこちらで候補を選択】

123:ライダー
456:アーチャー
789:セイバー
↓1



4:アーチャー


それは、突然の出来事だった
探索だ休息だと言い合う二人を襲った振動。外で放たれた高出力の光が基地を襲う

あまりにも突然の出来事に、全員の思考が一瞬フリーズする。彼等は傭兵の一族の出だが全員がそうとは限らない


「外だ!一旦外に出よう!」
「モタモタしてると壊される!早く!」

ただ一人、冷静な思考を保つランサーの発現で意識を取り戻す。着の身着のまま蹴破る様に基地から脱出を果たす
ガイスロギヴァテス陣営の前に立ちはだかっていたのは銃を担う女性……アーチャー

そして、その側にいる傷んだ外套に身を包む者はマスターなのだろう。
顔も見せない暗がりの中で、薄暗い瞳を彼等に向けていた


「サーヴァントを確認した。対象はランサー。マスターは赤毛の女と特定」

「戦力差は未知数。サーヴァントは互角と判断した。……手筈通りに動け、アーチャー」


???判定
12345:知らんがな
678:なんとなーく
9:知ってるよ
↓1


8:なんとなーく


「……?あいつは?」
「知ってるのかな、ディール」
「いや、なんとなく聞き覚えが……後で、本家に連絡しときますよ」

アーチャーのマスターを、怪訝そうな顔で見つめるディール
その反応に興味を失ったのか。全員を捕捉していた視界はルゥナに注力される

そして、それを皮切りにアーチャーの銃が光り炎を放つ。聖杯戦争の幕開けを示す様に


「……行くわよ!ランサー!」
「いいよ!けどまあ、今回もオレの勝ちだろうけどね!」

意気揚々と、アーチャーへ突進するランサー。前に見せた圧倒的な敏捷は健在だ
一瞬の内に間合いを詰めて、槍で貫く算段なのだろう。その距離は瞬く間にも縮んでいく

しかし、アーチャーもそれは想定内だったのか無数の銃を盾にその槍を阻む
最短距離で動いていたランサーの直線的な動きは読まれていたのか。見事に即席の鉄林に引っ掛かってしまう

一瞬の停止。それは速度を売りとするランサーにとって致命的な隙となる
生まれた隙を見逃さず、アーチャーは顔の頂点へと引き金を……


「余計な事はしなくていい。手筈通りにと指示したはずだ」
「……わかっているわ。これは前のお礼よ!」


寸前、銃弾が顔を掠める。ギリギリだったが、直撃していればかなりのダメージを負っていただろう
その間、アーチャーはランサーを無視して背後の建物……ガイスロギヴァテス簡易基地へと侵入していった






「……はぁ?」
「な、なんで基地へ……?」
「俺達は相手にすらならねえってか?」
「別に重要な情報はありゃしないはずですが」

「しまった!私のリアル肉体はまだ基地の中にいるのだ!このままでは非常にマズイ!」
「えええぇぇええ!?」

一人だけ、場違いな程に狼狽えるコリー。ここにいるのはアバターであり、中にはまだ操作を行う本体が
このままではアーチャーに殺される可能性すら存在する。コリーは極めて危険な窮地に立たされてしまっていたのだ

「オレがアーチャーを倒す!その間にアンタは逃げてくれ!」
「かたじけない!シャットダウン!」

言葉と同時に姿を消す二人。恐らく電源を落として脱出の準備を始めたのだろう
そしてランサーはアーチャーを追って、基地の中に突入する。追おうとするルゥナを阻む様に立ち塞がるのは……


「止まれ。それ以上の行動は許可しない」
「あっそ……あんたがあたしの相手ってワケ!」

アーチャーのマスターが基地の前で待ち受ける
片腕から発する魔力の鼓動。どうやら、あの光弾はこのマスターのものによるらしい

「敵対マスターを捕捉。速やかに降伏するならば命までは奪わない」
「ならあんたから燃やしてやるわ……ベル!魔力を回しなさい!」「はひぃいいい!!」

瞬間、轟音がルゥナ達を襲撃する。炎を纏う剣が周囲を払う
マスター同士の激突。聖杯戦争における魔術師同士の戦闘が始まるのだった







「そこ!外さないわ!」「うわっ!?」

外で爆炎が燃える一方、基地の内部では静かに戦闘が行われていた
元々はガイスロギヴァテスの建物である。当然ランサーは構造を知っている

対してアーチャーは初見。地の利でアーチャーの方が不利だと判断出来るだろう
しかし、現在押されているのはランサーの方。初戦とは逆に、アーチャーの動きに翻弄されている

理由は幾つかある。その一つは屋内という限定された空間での戦闘であるという事
ランサーの強みである敏捷を活かせないこの場所は、足をもがれるに等しい難所となっていた

アーチャーは的確に銃弾を撃ち込んでいく。多くの鉛が殺到する
ランサーは思考を高速化させて対応しているが、やはり限界が近づいていた

「ここだっ!」
「無駄よ。幾ら速くとも、当たらなくては意味が無いわ!」
「貴方の動きは読めている。この場にいる限り私の銃からは逃れられないのよ!」

……そして、もう一つの理由は閉鎖空間
この狭い空間は、アーチャーにとっての最高の戦場となっていた


 ◆空間掌握:B- (種別:体術/異能 タイプ:常時)
  三次元的な空間把握・利用技術。
  屋内などの閉鎖空間に限り、高いレベルの回避能力や高速移動、対多数戦闘技能を行使することが可能。






「ふっ……な、中々やるじゃない」
「きゅうぅうぅえええ!!ベルはやりたくないのにぃいい!」

一方、ルゥナとベルは降りしきる絨毯爆撃を炎で迎撃する
アーチャーのマスターの放つ高火力の魔力弾は純粋な威力だけを高めた代物
ベルの援護もあるとはいえど、ルゥナだけでは出力がどうしても足りない。こちらも押されているのはルゥナの方だ


「不味い。このままじゃぶっ殺されちまう……」
「ベルだってこんな所で死にたくありませええええん!!」

「ええいわかったわよ!あんた達は一時退避!後でまた合流する事にするわ!」
「ディール!アダムスさん!ここはあたしが何とかするから死ぬんじゃないわよ!」

不安そうに顔を曇らせる面々に、ルゥナは叫び逃げる様に伝える
その言葉を受け取ったのか、二人は背を向けて闇へと姿を眩ませていった


「じゃじゃじゃあベルもこの辺で」
「あんたは残る!」「うひぃいいん!!!」

泣き叫ぶベルの首根っこを掴みながら、炎の剣を振り回す
何度も繰り返された迎撃に、アーチャーのマスターは埒が明かないと判断したのか腕を下げ


「これ以上の時間経過は不要と判断。段階を一つ上昇する」
「循環、加速……周囲の殲滅を開始する……!」

再度、その腕を上げる。手に渦巻くのは先程とは比べ物にならない程の魔力の波動


「……ルゥナさぁん」「撤退、撤退ーーーっ!」

ルゥナが叫ぶのと魔力の着弾はほぼ同時だった
酷い爆破音が耳に響く。ランサーを脳内で呼びつけて、脱出を図ろうと画策した


12:アーチャーには勝てなかったよ…(令呪を使用)
3456789:敏捷EXは伊達じゃない
↓1


5:超高速移動により令呪を使用せず脱出

【それでは、本日はここまで】

【お付き合いありがとうございました】


【本日はお休み…】


【本日もお休み…】

【明日。明日こそは必ずや…!】


【それでは再開します】

【ゆっくり更新ですので、のんびり参加していただければ】





「……終わったわ。マスター」
「これでこの建物は私のもの。今後はここを拠点にしましょう」

ルゥナ達が去ってすぐの事。静けさの帰る数分の間
ガイスロギヴァテスの基地を奪ったアーチャーは、外で待機するマスターに話しかけた

事務的で無感動、淡々とした感情の無い声。彼女からすれば彼は単なる同盟相手なのだろう
互いの目的の為に利用し合う。ただそれだけのビジネスライクなドライな関係のはずなのだ


「アーチャー。貴様は聖杯に何を願う」
「……何ですって?」

「聞こえなかったのか。聖杯をその手に収めた時、何を叶えるのかと発言した」

故に、突然の話題に言葉が詰まる。そんな事を問われる程、信頼関係を構築した覚えは無い


「言ったはずよ。貴方と私は干渉しない。好きに私を使う事を許す代わりに、私の好きに動いても許して貰う」
「願いについても同じよ。貴女に話す義理も、筋合いも無いわ」

返答はにべもなく。冷たく突き放すかの様に、アーチャーは背中を向けて基地へと戻る







「……バーサーカーを狙う事と、何か関係があるのか?」
「ッ!?」

ふと、思いついたと口に出した言葉。マスターのその表情は変わり無く平静で
対するアーチャーはその動揺を隠せておらず。振り向きざまに銃を突き付けた


「……何のつもりだ。アーチャー」
「それとこれと……何が関係あると言うの!?」
「私が誰を狙おうと、貴方に口出しする権利は無いでしょう!?」
「あれは私の獲物……他の誰でもない。私があれを仕留めるしかないの!」

先程の冷淡な様子から一辺、突如激昂して感情を爆発させた様に発露する
ランサーとの戦闘ですら見せなかった必死の形相を、彼女は自らのマスターに向けたのだ


「……オレは、必ず聖杯を手に入れる」
「最強であると証明する。己の価値をこの世界に刻み付ける」
「お前は、そうではないのか?」

目を見据える。その目に写る感情は虚無

「私は、聖杯を、手にして……」
「…………救済を願う。それだけよ」


逃れる風に吐き捨てて、内部へと消えていく
その姿を何の感慨もなく眺めると、ボロボロになった外套を拾い上げてその背を追っていった







「や~ゴメンゴメン!負けちゃった!」
「負けちゃった~じゃないわよこの馬鹿!」

何とか窮地を脱したルゥナ。ほうぼうの体で逃げ出した二人の顔には疲労が色濃く
対するランサーの態度は軽い。負けたとしても気にする事は無いという事だろう

「ま、今夜はしょうがないから野宿しようか。夜営キットは通販で買っておいたよ」
「気が利くじゃない……それ、どうしたの?」

「コンビニで受け取れるよ?あ、資金はネットで稼いでたから心配しないで!」
「あんたが受け取ったの?」「いやベルが」


「はひぃいい……重ぃぃいい……」
ずりずりと引き摺る様に、何らかの荷物を運んでくるベル
中に入っているのは簡易的な寝袋や軽食。これならば一日程度は凌げるだろう

「そ、ならいいわ。時計怪人が町に出たなんてニュース。洒落にならないし」
「あのぅ、ベルの分は……」

「それじゃ、あたしは寝るわ。人避けの魔術はやっとくけど」
「魔術師相手じゃ万全とは言えないもの。護衛は任せるわ」「了解!」

人気の無い場所で設置した寝袋にゴソゴソと潜り込み、寝息を立てるルゥナ
残されたランサーは霊体化して闇に消える。ベルは呆然とその姿を見る事しか出来なかった

「……もしかして、ベルも護衛に入ってるんですかぁあ!?」


【そういや他の皆は】
アダムス
1234:ツカマッチャッタヨ…
56789:逃げ延びる
↓1

コリー
1234:ツカマッチャッタヨ…
56789:逃げ延びる
↓2

ディール
1234:ツカマッチャッタヨ…
56789:逃げ延びる
↓3


【連投アリ。なのでアダムス以外は逃げ延びましょう】

【捕まっちゃった人判定。下にいく程命の保証は無いです】


12:キャスター
345:セイバー
67:????
89:ライダー
↓1、2


【ディールは特殊判定なので特別な人と会えます。良いか悪いかは不明】

123:少々森「…………?」
456:縦島「用務員のおっさんが行き倒れに!?」
789:???
↓2


【アダムスは下1判定です。このレスは判定に含まず】


【まずはアダムスから描写します】


8:ライダー(死ぬ確率がメチャ高い)

0:特殊判定



「クソッ……」
「ふふっ、お馬鹿さん。サーヴァントも連れずにお外を出歩くなんて」
「けれどもありがとう、ガイスロギヴァテスの鼠さん。交渉材料に使わせて貰うわね」

床に転がるアダムスを蹴りながら、儚げな顔つきを嗜虐的に歪めるティファ
アダムスは身動き一つ取れずに睨むだけ。その両手と両足は、サーヴァントによってへし折られた状態なのだから

ティファのサーヴァント……ライダーは、つまらなさそうにその様子を伺っている
その尊大な姿はただそこに存在するだけで諸人を萎縮させる威容を放つ。王の風格


「……ティファ、もういいだろ?」
「そいつを生かすか、殺すかは僕が決める。……おい、お前」
「ここで死にたいか、生きたいか。選ばせてあげるよ。……どうする?」

アダムスを見る眼は冷酷そのもの。いつ殺してもいい、と物語っている
ここでどう答えるか。それはもう決まっていた



「当然、俺はアンタに従うぜ……ライダー」
「欲しい情報があるならくれてやる。汚れ仕事でも何でも引き受けてやるさ」

「だから俺はアンタ達に付く。ロシュフォールの次期当主さんよ」






「……ぷっ。あはははは!」
「無様ね、本当に。命乞いにしては上等よ」
「そうかいそうかい。気に入っていただけりゃ何よりだ」

あまりの可笑しさに笑うティファ。御三家であるガイスロギヴァテスが、自らに翻意するというのだから尚更だ
その答えにライダーも満足したのか、アダムスに向けるつもりだった槌を下げる

「そうか、そうか!お前は僕の下に付く。そういう事でいいんだろう?」
「ならば、お前の命を奪う事は止めておこう。我が手足となり、帝国の礎となるのなら!」

……助かった。そうアダムスは確信する
高笑いを挙げるライダーの姿は、まさしく満ち足りているのだから


「……お前、名前は?」
「アダムス。アダムス・ガイスロギヴァテス」
「そう。法政科の溝鼠、それが貴方ね」

「……法政科?それは政を弄する奴か?」
「そうか、そうか……僕は、そういう奴はあまり好きじゃあ無いんだよなぁ……」

素性が明かされた途端、その顔は不快感を露に
雲行きが怪しくなった事を悟ったのか、アダムスの顔も不安に曇る

ライダーの出した結論は……


1:死ね(無慈悲)
2345:しばらく様子を見ておこう
6789:まあいいか
↓1



6:まあいいか


「……ま、いいか」
「お前が僕の下に付くというなら、それなりの待遇は考えてやるよ」

少しの思考を経て、ライダーの出した結論はアダムスを利用する事だった
とにかく、当面の命の保証は付いた。その事に深く安堵する

ティファはその様子を妖しげな瞳で俯瞰する。どう食らおうか思案する蛇のように


「ライダー。その男は貴方の好きに任せるわ」
「当然だとも、僕の帝国、僕の野望。叶える為に使い潰してやるさ」
「お手柔らかに頼みますよっと」

野望に近づいた高揚からか、ライダーは豪奢な着衣をはためかせて外の空気を一身に浴びる
ライダーは風の心地好さ、星の瞬きに目を細め、在りし日の栄華、帝国に思いを馳せるのだった





「……ん。おれは」

一方その頃、ディールはとある一室で目を覚ました
直ぐ様身辺を確認する。どうやら危害も、盗まれた物も無いようだ

「ここは……どこ、ですかね」
「見たところアパートの部屋っぽいですが」

周囲を見やると、家具もそこそこに簡素な部屋が辺りに広がる
ふと、部屋の端に鎮座する何者かが目に入る。何故かは知らないが、神々しさを感じる程……


「あー、モノローグ中に申し訳ないんだが」
「そろそろオレも喋っていいよな?座禅すると足が痺れちまってだな」
「な……」

突如、その何者かに語りかけられて面食らう
意外なくらいに飄々とした語りは、ディールの心を不思議と砕き

「あんた……何者なんです?」
「何者。はいけないな。オレは───」



「あ、起きたんですか。良かった、お怪我はありませんか?」







部屋に入ってきた、新たな人物。
年は若く、大学生くらいか。人の良さそうな顔をした青年だ
青年は横たわるディールに水を差し出すと、側に座り込んだ

「……あんたが、おれを助けたんです?」
「いや……実際に助けたのはそれなんですけど」

「こう、怪しい奴が表にいたから軽くな」
「お前が余計な事するからだよ……」

……どうやら、自分はこの男に不審人物と勘違いされた末に倒されたらしい
そして、それを助けたのが目の前の青年というのが事のあらましだろうか


「俺は────です。覚えてます?」
「そういえば……会った気があるような」

「ま。思い出話はいつでも出来るだろ」
「今は話すべき事、話した方がいい事。話したくても話せない事を話そうぜ」
「意味がわからないんだが……?」

理解不能な話を呟きながら、それは話を進めていく
それは起きてはならぬ事。有り得てはならない事を話していくのだった


「オレは■■■■■の───。」

「聖杯戦争で起きた、致命的なバグを消しに来たのさ」




【本日はここまで】

【ご参加いただき、ありがとうございました】


【それでは、本日は少しだけ更新】

【ゆっくり更新ですが、参加していただければ幸いです】





「……はぁ、どうしよ」
「大丈夫ですか姫!何かあれば俺が!」
「あんたじゃどーしようも出来ないの!」

心配そうに話しかける縦島。それを邪険に払い机に突っ伏すルゥナ
取り急いで身支度を整えて学校へと登校したはいいものの、その顔色は悪い

まさか、開幕から数日でホームレスの身になるとは思いもしていなかった
ちなみにランサーはベルの護衛に宛てている。ここでベルに死なれると困るのだ


「何とかして拠点を作らないと……」
「大丈夫かよルゥナ?なんか悩みがあるなら相談に乗るぜ?」
「だからどーしようも出来ないっての!」

施経からの言葉もにべなく切り捨て、人知れずに苦悩する
男二人は論外。誰か家に押し掛け……あわよくば定住しても許してくれそうな人物は……



「………………」
「うおっ、少々森!?いつの間に?」
「完全に気付かなかった……」
「集まってた。来た」



「……そうだわ。少々森、こっちに来なさい」







「?」
「あ、あんた達は来なくていいから。というか付いてきたら殺すわ」
「それじゃ……ちょ~っとお話、しましょうか。少々森?」

捲し立てる様に早口で警告し、二人をさっさと振り切って退室する。……少々森の腕を掴みつつ
残された花村と縦島は、ぽかんとするしか無い様子で

「……どうしたんだろうな?」
「くそ~~!!少々森、いつの間に~~!!」

「前から思ってたけど、縦島と少々森って学校同じだったのか?」
「ん、まあ。クラスが同じだった事は一度しか無かったけどな」

「……そう言えば、少々森ってあんなだっけ?あれか、高校デビューか!」
「やっぱり俺も金髪にしてグラサンかけといた方が良かったか!しくったーーー!」
「しくじる以前に校則違反だっての!」


とはいえ、残された方も大して気にしていないのか。くだらない話に花を咲かせる
何気の無い日々が、数多の願望で侵食されつつあるとも知らずに……






「……ここなら大丈夫そうね」
「少々森、単刀直入に言うわ。あんたの家を、あたしに渡して貰う」
「当然、あんたの家族は……聞いてる?」

「ん……家を、渡す」
「意味、不明。理解、出来ない」
「まあそうよね。だからあたしは……」

「家、いえ?家……いいえ?」
「ふざけてんの!?」


無茶苦茶な要求を突きつけるルゥナに対して、少々森の反応は薄く無関心そうな顔を浮かべる
その態度には流石のルゥナも苛立ちを隠せず。ルゥナは思わず勢いよく詰め寄ってしまう

しまった。と焦るルゥナに対しても、少々森は何とも無かったかの様に首をかしげている
その姿は、まるで感情の無い機械の様な……


「る、る……ルゥナ、了承。家、来ても、いい」
「……本当に?」
「ん」

こくんと頷いた少々森。真意はともかく、彼女はルゥナを家に上げる事にした様だ
色々と気がかりはあれど、雨風を凌げる場所を確保する事に成功したルゥナは、満足げに頷くのだった









色々とあったが無事に放課後
少々森の家に上がり込む準備は出来た。後は外にいるランサー達を……


「呼んだ?」「速っ!?」
「ぐぇえええ……胃が、ぐりゅぐりゅ……」

「あれっ?君がルゥナの言ってた子かな?」
「…………………………うーん?」

考えるが早いか。隣にはランサーと小脇に抱えられて目を回したベルが姿を現した
ちなみに、ここは学校の校門前。時刻は三時を過ぎた頃。ランサーの見た目は喋る人間時計男

当然、多くの生徒の目を引く訳で……


「ナンダアレ」「トケイカシラ?」「ケドシャベッテタゾ」
「皆!オレはラ」「今すぐ霊体化しなさい」
「……今、のは」「気にしたら胸をもぐわよ」

目立つランサーを霊体化させて、少々森の困惑を強引に誤魔化す
取りあえずのその場しのぎ。ルゥナは何とかしなくてはと考えねばならなくなったのだった


「……ランサー」「いいから!早く案内して!」




【夜は少々森との会話ですが、先んじて他陣営の行動を】

【今回も候補は此方で選択。相手によっては会話だったり戦闘してたり】


12:????
34:キャスター
56:アーチャー
789:セイバー
↓1


4:キャスター



「……という訳で、私はこの地に足を踏み入れたのだよ」
「いや踏み入れたのだよではなくてだな」

夜の帳の落ちた時。とあるカフェの一角で少女は男に何かを力説している
少女は辞典と見紛う程の分厚さの本を、幼げな体格で一生懸命に捲っていく

対して、男の方は仏頂面を崩さず。微笑ましいとすら感じられる光景にすら嫌そうな顔を

「それで、俺を召喚した理由は」
「うん。聖杯でなくてはなし得ぬ事象。それを一生の内に体験するにはどうしても」
「前置きはいい!要件を言え!」

「英霊に会いたかった。それだけだな」
「それだけか……」


少女……キャスターのマスター。ユーニスは小柄な体を精一杯に反らし、ふんすと得意気に笑う
男……キャスターは、「そんな事の為に呼ばれたのか」と言いたげな顔を隠す事もせず苦々しげに曲げていた

「何、こうして会えたのも何かの縁。是非ともゆっくりと話をだね」「するか!」

バン。と机を叩き激怒するキャスター。その姿に周りも不審そうな顔を

「とにかく、ここでは目立つか。早く外に出るとしよう」
「フンっ……」

器用に本を抱えて、とてとてとキャスターに走り寄るユーニス
その姿を疎ましそうにしながらも、キャスターは夜を迎えた町に消えようとして……


123:誰かとエンカウント
456789:無事
↓1



7:キャスターは無事に帰宅


ルゥナは後悔していた
拠点を構えるべきという判断は間違っていないはずだった
問題なのは、話しかけた相手だった

朽ち果てた壁に雑草は延び放題。明らかな廃屋で立ち止まり、彼女はこう言ったのだ

「……私の、家」
「嘘でしょ?」「廃墟じゃないですかああ……」

「騙したんですか!?ベルはゴミ同然って言いたいんですかあああああ!?!?!」
「私の、家。ここにいる」

叫ぶベルを無視しながら、少々森は廃屋の中へ入っていく
ルゥナの選べる道は二つ。ここで見なかった事にして帰るか、廃屋に入るか

暫しの精神内での問答を経て。ルゥナは答えを弾き出した

「入るわよ、ベル。……背に腹は変えられない」
「はひぃ。ま、守ってくれます……よね?ね?」
「その時次第ね。……行くわよ」

暗い家……らしき建物の扉を開く。ギイという嫌な音を建てて、二人は足を踏み入れていった






「おねえちゃーん!」
「きゃっ」「う゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!」

扉を開けた途端、廊下から走り寄ってくる小さな影が
ルゥナは驚くだけで済んだが、ベルは泡を吹いて失禁している。放置しておこう


「だいじょうぶ?びっくりした?」
「ビックリしたけど大丈夫よ。貴女は?」
「……妹?」「何で疑問系なのよ」

少々森が奥から顔を出す。手に持つ盆には水の入ったコップが幾つか
どうやら、外からの見かけ程の老朽化は進んでいないらしい。屋内はそれなりに綺麗だった


「おねえちゃんのおともだちのおねえちゃん。こんにちは!」
「わたしは……えっと、さきです!よろしくおねがいします!」
「よろしく!オレはラン……サー……?」

「ひっ!」「バカーーーっ!!!」

突然沸き出て手を差し出すランサーに、渾身の肘鉄をお見舞いするルゥナ
ダメージは無いだろうが、衝撃で向こうにすっ飛んだ隙を見て必死に訂正する

「あれはただの変態だから。気にしちゃダメ」
「あたしはルゥナ。こっちの倒れてるのがベルよ。宜しくね」

手を差し出すと、ぷにぷにとした手で握り返してくる
その感覚に目を細めるルゥナ。倒れたベルが目覚めるのはもう少し後の事だろう……



【本日はここまで】

【ご参加、ありがとうございました】


【本日はお休み……】


【ちょっと今後の展開に悩み中】

【こういう時は別の陣営同士をぶつけんだよ!】

【という事で、軽く安価を。動かすのは夜からを予定しています】


12:????
45:アーチャー
67:ライダー
89:セイバー
0:裏で動く人達
↓1、2


1:謎の男 

8:セイバー陣営

【ありがとうございます。続きは夜にでも……】



【それでは再開します】

【いつものゆっくり更新ですので、ゆったりどうぞ】





「おや!おやおや!貴女達でしたか!」
「ようこそ、わざわざ足を運んでくださいました!ささ、こちらに!」

「必要ないわ。……用件は手短に済ませるつもりだもの」

夜、職員達が出払ったのと入れ替わる様に市役所へと入るフェリシア
彼女達を満面の笑みで出迎えた市長は、少女のにべもない返答にも表情を崩さずに笑う

傍らには剣を携えるセイバーが。どちらの表情も硬く険しい。穏やかな話し合いという訳にはいかなそうだ

そう考えたのか、黒衣の男はくつくつと隠す事も無く嘲笑う
あれだけの啖呵を切ったくせに、結局は我々の手を借りるのか。軽蔑する意図も隠さずに

「……何か言いたい事があるなら言ったらどうかしら?カラス男」
「その陰険なツラ、出会った直後に叩き落としておけば良かったわ!」

「おお、怖い怖い。何処の未開部族のご令嬢かは知らないが……」
「ここに来た。という事は、聖杯を欲しているという事で相違無いね?」
「…………………………」


黒衣の男の問いに、フェリシアは押し黙る
そこに、市長……鳥仁は、彼女の肩を掴み、悪魔の誘惑を語りかけていく






「……何を迷う事があるのです」

「仮に。仮に我々が敗退したとしても……私に力を貸す事はメリットになります」
「君の家の面倒は……私が、責任を持って援助をしてあげましょう」

「……ッ」

フェリシアの肩に回された手に力が籠められる
例え聖杯戦争で敗北しようとも、家に援助すると市長は笑いながら答えたのだ
魅力的な提案ではある。彼女が聖杯を求めるのは、自らの家に関係があるのだから


「さあ、いかがでしょう?君が望むなら、時計塔に招いてあげてもいい」
「この私にはそれだけの力がある……君の輝かしい未来の為に、必要となるでしょう!」


市長の顔を直視出来ない。下卑た笑みを浮かべて少女の腰に手を伸ばす
黒衣の男は愉快そうにその光景を眺めていた。が……セイバーによって、中断された

「そこまでにしてもらうか、タヌキジジイ!」
「フェリシアの心を弄ぶつもりなら、ここで私が切り捨てても構わないな!?」
「止めなさいセイバー……!」

「……決めてきたわ。私の答えを」

セイバーの魔剣を見た市長は、慌てる事も無くフェリシアから離れていく
……何度も考え抜いた。そして決めた結論は


123456:同盟を受ける
789:同盟を受けない
↓1



0:同盟は受けないけど何かが起きるよ

※主に市長に関係する特殊
123:「だったらボク達と組まない?」
456:第三陣営強襲
789:「それ以上は見過ごせない」
↓1


4:定番の乱入

【上にいく程好戦的or市長と組む可能性が高い】

123:ライダー
456:アーチャー
789:キャスター
↓1

今更だけど
>>253の判定で3が抜けてないかな


>>266
【本当だ……けど今回は関係ない(はず)なのでそのままに。すみません】

8:キャスター(お話をするだけで帰る)



「……同盟は、受けない」
「私は、私の力で聖杯を手に入れる……!」

強い決意を込めた返答は、市長からみればあり得ない発言
しばし、沈黙する。この小娘は何と言った?

「例え貴方達の力を借りて聖杯を手に入れたとしても、それで私の……一族を助けたとしても」
「きっと後悔するだけ。これは私の、私の一族の問題なの!」

再度、毅然とした態度で市長の手を払うフェリシアに、セイバーも満足げに頷く
こうなる事はわかっていたと言いたげに。彼女の肩を抱きしめた


「んもー!冷や冷やさせないでって!けど、私はフェリシアのそういう所好きよ?」
「あんた達みたいな、いかにも悪者ですって奴の言葉は信用する方が無理な話だっての!」

「……そう、ですか」
「ええ、ええ!ならば仕方がありません。この件は白紙にしましょうか!」

交渉は決裂。しかし、市長は朗らかに返答する
その顔には焦りもなければ怒りもない。ただ、同盟を受けないという答えだけを受け止めただけのようだ




「あらあっさり。もう少しら食い下がるものと思ったけど」
「言っただろう?候補はまだいる。君達だけが特別じゃない」

「……とはいえ、我等を拒絶したんだ。今後、何があろうと支援は期待しないで貰いたいね」
「上等よ。あんた達なんかの手なんか誰が借りるかっての」

悪態を吐くセイバーをせせら笑う黒衣の男。剣呑な空気が支配していく
フェリシアも市長も戦う気は無い。しかし二人のサーヴァントはそうでも無いようで

一瞬の隙にセイバーの剣が黒衣の男の首へ剣を振る。その空気を破ったのは、空気の読めないゆるい声


「ここだ、ここだ。ここに英霊がいるぞ」
「サーヴァントを珍獣か何かと勘違いしてないかお前!?」

「お初にお目にかかる。私はユーニス。ユーニス・エリクシア」
「そして、こっちがキャスターだ。吉田さんとでも呼んであげてくれ」
「適当な事を言うなッ!クソッ、俺のクラスは魔術師なんだぞ……!」


「……はい?」
「おやおや」





突如表れた珍客。フェリシアとセイバーは目を白黒させて驚いている
対して、市長とそのサーヴァント……黒衣の男は何と言う事も無さげな態度を

「ふむ、セイバーと“アサシン”か。是非とも君達の話を」
「それなら彼女から聞くといい。私はそろそろ退勤時刻でね」「言うと思う?」

「寧ろ、ここでサーヴァントを二人消せる好機を逃がすと思う?覚悟しなさい……!」
「待った、剣の英霊。情報の交換もせずに我々を殺すつもりかい?」
「俺も戦う気はない……というか、戦ったら死ぬんだが。許してくれないか?」


「だから、それで私が引く理由は何って言ってんの」
「殺せる時に殺す。それが私のやり方です。文句ある奴はこのクソ剣の錆びにしてくれる!」

「……やめなさい。セイバー」

セイバーが剣を振りかざす。ここで二騎の英霊の命を奪わんと、剣を構える
それを制止するフェリシアの声は震えていて。本意ではないと如実に表していた


「どちらも有力な魔術師……ここで仕留めては、私の家名に傷がつく」
「だから、倒すのは戦場で。……お願い」
「……了解。従ってあげるわ」





「おや、帰ってしまいましたか」
「残念です。菓子折りの一つ差し上げたかったのですが!」

「俺達も帰る。悪かったな」
「はーなーせー。酒買ってやらんぞー……」


セイバー達が立ち去った後、キャスターもそそくさと部屋から出ていく
残された二人。市長は机に座り、アサシンは呆れた様に肩をすくめて壁にもたれかかる


「……キャスターは味方に引き入れなくていいのかな?」
「誠に悲しいですが、彼等では交渉する価値がありません。時間の無駄です」

「私は、これから本格的に打って出ようと考えています。……君はどうしますか?」

にっこりと笑いかける市長。その顔を薄ら笑いで返したアサシンは立ち上がり

「特に言う事はないさ。最後に笑うのはこちらなのは変わらないからね」
「ええ!貴方と私の力があれば、この坂松市に蔓延る驚異を排除する等容易い事!」

「ふはははは……!ははははははは……!」

市長の笑いが響き渡る。それを聞くのは、彼のサーヴァントであるアサシンだけだった



【本日はここまで】

【そろそろサーヴァント同士の激突を起こしたい……】


【本日はお休み……】


【ゆっくり再開……】





「うぇああぁああ!!」
「虫がぁあああ!!ベルの顔にいいい!?」

朝、ベルのけたたましい絶叫で目が覚める
隣を見ると、ベルの顔には掌サイズのおぞましい黒いGが顔にしがみついている

ルゥナは虫は平気なタイプだが、この声と暴れ様は流石にキツい。ましてや、寝起きは不機嫌なのだ

「ベル!騒ぐんじゃないわよ!」
「そんなこと言ってもおおおおおおおおお」
「…………はい」

ひょい。とGを手で取る少々森。慣れているのかその動きは正確そのものだ
Gは手の中でもぞもぞ動いている。そっと床に離してやった


「あ、ありがとう」
「うぇえあああいい……」
「……嫌い?」

首をかしげて不思議そうな顔をしている。ベルはまだ頭を擦りながらのたうち回っていた







「嫌いですよぅ……まさかベルの朝ごはんに」
「何故?……好き、嫌い。ある?」
「まあ、それを好きな人は珍しいと思うわよ」

じっと手を見るその姿からは感情を読み取る事が出来ない
ただ『そうなのか?』という単純な疑問だけが残されている様で


「おねえちゃん。ご飯できた!」
「……ん」
「そこのおねえちゃんも、ご飯!はい!」

「べ、ベルを虐めるんですかぁ!?そうやって小さいからってぇ!」
「あんただって小さい方でしょうが!」

騒がしいベルを放っておいて、ルゥナは白米に手をつけた
ちなみに、朝食はパンケーキ派だが米も悪くないかなと最近思い始めている

「……あんた、美味しい?」
「……ん」 「反応薄いわね!」

黙々と白いご飯を放り込む少々森。味はどうでも良さそうに咀嚼していく
それに合わせて、ルゥナも淡々と口の中に放り込むのであった



【何をしますか?】
1:散策(コンマ判定)
2:会話(人物指定)
3:その他
↓1


【コリーは無事が確定しているのですが、こういうものがありまして】

◆本業制限
 彼の魔術は人気を得続ける事をしなければ維持できない。故に聖杯戦争に行動時間の全てを割く事が
出来ない。
 4ターンの内1ターンは配信準備や活動に割かなければ彼の武器である膨大な魔力を維持する事が出来ない。

【今はどうなのか。判定してみましょう】
12:駄目です
3456789:いいよ
↓1






「あっ、ルゥナルゥナ」
「次に人前で実体化したら顔の針を曲げるって言ったはずよね?」
「これ見てよ。コリーからのリモート通信」

『……うむ、繋がっているね。私だよ。ルゥナ』

平和な食卓に突如として現れた、怪人時計男ことランサー
珍妙な客にも関わらず、少々森とさきは気にせずもぐもぐと朝食を食べている。図太いのだろうか
青筋を浮かべるルゥナを無視し、手に持つスマホを見せる。そこに映るのは紛れもなくコリー


「あらコリー、生きていたのね」
『何とかね。それもこれもランサーのお陰さ』

「いやぁ~なんだか照れるなぁ!誉めても速度しか出せないって!」
『ああ、ランサー……貴方が、私のサーヴァントであればどれほど……!』

「で、何の用?わざわざランサーの連絡手段まで取り付けておいて」
『近況報告さ。それに、君達からも何か話があれば。と思ってね』

二人の話にイラつきつつ会話を促すルゥナ
こちらからも、話があれば出してもいいだろう



↓21:10から1~2まで。会話内容


【ちなみに、コリーは今何処にいるの?】
123:「実はファンの家に…」
456:ビジネスホテル
789:割りといいホテル
↓1


2:ファンの家

【ちなみに、そのファンって】
123456:本当に無関係な人
789:「俺だよ!」
↓1



7:縦島「えっ!?あの有名動画投稿者のコリーさんが!?」



『実は、熱心なファンに拾われていてね』
『当面はここに住んでもよい。寧ろ住んでくれと頭まで下げられたなら仕方がない』
「ホント、アレのどこがいいんだか……」

ため息をつくルゥナに、むっとした様な表情を浮かべるコリー
当然の事だが敢えて言うと、画面、ひいては今までに出てきたコリーは美少女である

しかし、その実態はエリートおじさん。二年前に視聴数が坂松市の女子高生の上げた動画に大差をつけられた結果
研究の為に前回は参加しなかった程の、向上心あふれるおじさんである


 ◆電子の信仰
  彼が開発した最新の魔術の一つ。原理自体は太古より存在する信仰と神秘から来る魔力の捻出。
  早い話沢山の人から想われる事により神秘や魔力を捻出する技術である。
  彼はアバターと全てが同じ3Dモデルで配信を行い人気を得る事で大量の人間から魔力を集めている。


「……まあいいわ。コリー、アダムスおじさんやディールとは連絡がついてる?」
「そろそろ無事を確認しておきたいの。どうかしら?」
『ああ、それなら』


アダムス
12345:ついていない
6789:「実は……」
↓1


ディール
12345:ついていない
6789:「実は……」
↓2



8:アダムス「もしもし?俺だけどよぉ」

6:ディール「………………」



『結論から言うと、両方の無事は確認出来た』
『だが……』

その報告は、ガイスロギヴァテスの人員が全員無事である事の証明
しかし、喜ばしい事のはずなのにコリーの顔は暗い。不思議に思ったルゥナは訳を尋ねた

「ならいいじゃない。何をそんなに」
『まず、連絡が来たのはアダムスだ。彼は自らの無事を伝えると、落ち合う場所を指定してきたのだが……』

画面に写し出されたのは坂松市の一角。大きな河川の流れる大橋付近
それを見たランサーは渋い顔をしたのだろう。首を逸らして不審そうな声を出す

「ここ?ここは駄目だよ。橋の上だと逃げ道が無くなるじゃん」
『そう。なのに、ピンポイントでここを指定してきた……嫌な予感がするんだ』
「……わかったわ。ならディールは?」


ルゥナからの質問に、コリーはこめかみに指を当てて
深く息を吸うと、覚悟を決めたのか、重い口を開き始めた



『ディールは、この聖杯戦争から降りるべきだと進言した』







「はぁ……?馬鹿じゃないの?」
「あたし達ガイスロギヴァテスは、聖杯を確保する為にわざわざ来たんじゃない」
「それなのに、何でここに来て降りる必要があるのかしら?」

ルゥナの意見は尤もだ。そもそもの目的は聖杯である以上、降りるという選択肢はあり得ない
臆病風に吹かれただけだと一笑に付すルゥナ。しかしコリーの顔は渋い

『ディールは一見するとやる気の無い男だが、仕事に対しての姿勢は本物だ』
『そんな彼が、何故……?何があったんだ……』

「……わかったわ、とにかく、今度会ったら言っておくわ」
「そんなのお断りだ!ってね!」

「ルゥナの言う通りだよ。オレだって嫌だ」
「オレがこの世に喚ばれたなら、走り抜けるだけなんだからさ!」

『ふふ、君達らしいな、ルゥナ、ランサー』
『相性で喚ばれたのも、あながち間違いでは無かったのかもな……』


コリーは二人の姿を微笑みながら見ていた
どこか羨望の色を秘めた視線は、ランサーの顔を直視して

『そうそう、ルゥナは学校だろう』
『早く行きなさい。遅刻しては問題になる』
「わかってるっての!……少々森!行くわよ!」

少々森の手を引き駆け出す。聖杯戦争はまだ始まったばかり
振り切る様に外に出る。何が起きるか、まだ誰もわからないのだ



【本日はここまで】

【ご参加いただき、ありがとうございました】


【本日はお休み……】


【本日もお休み……】


【本日も……お休み……!】

【こうなったら明日もお休みして、土曜の夕方から始めたいと思います。】


【17:30頃から、ゆっくり再開……】


【それでは再開……】




「なあなあ、聞いてくれよ!」
「えー……もう何回も聞いたっての……」
「そう言うなって!あれはだな……」

教室に入るや否や、縦島のやかましい声が耳をつんざく
周りには縦島を中心とした人だかりが。物珍しげに取り囲んでいた
施経のうんざりとした顔つきから、どうやら彼が話し続けている様だが……

「何?やけに騒がしいじゃない」
「縦島、うるさい?」

「おう少々森……じゃねえ!うるさいじゃないわアホ!」
「うるさいわね。何よ縦島、何かあった?」

「そうです姫、実はとっておきの話が!」
「言っとくけど、聞くだけ無駄だぞー」

施経の制止を無視して縦島のスマホの画面を覗き込む
そこには、照れた風に顔を赤く染めながら頭をかく縦島
そして、その頬にキスをするコリー。……の可愛い美少女アバターの姿が



「ギャーーーーーッ!?!?!?」
「うおっ!?何がどうしたんですか!?」








絹を裂いた様な悲鳴が教室に響く
普段のルゥナならば出さない様な甲高い声。縦島や施経、少々森も目を丸くする

「あ、ああぁの変質者ぁあああ!!!」
「あんたはそれでいいの!?こいつ中身は三十のおっさんよ!?」

「幾ら姫でも怒りますよ!おっさんだろうが何だろうが関係ありませんよ!」
「俺は、コリーさんの中身に惚れ込んでるんすから!例え中身がなんであれ好きっすよ」

「スゲーなお前、おっさん相手に……」「おっさんじゃねえ!コリーさんだ!」

コリーの良さを力説する縦島。当の身内からするとどこがいいのか不思議ならない
呆れながら周りを見ると、少々森も首をかしげて画面を見つめる


「中身、違う?」「ええ、おっさんよそいつ」
「ルゥナ、は嫌い……なの?」「嫌いって言うか、中身を知っているもの」

「どれだけ外側を繕っても、中身を知っているから何とも思わないわ」
「……そ」

ふいっと顔を背ける少々森。何を考えているかわからないが、今回は何となく理解できた


「……つまらなそうね。もしかして、あいつの隠れファンだったりするのかしら?」



1:会話(人物指定)
2:その他行動(自由安価)
↓1



2:前回の参加者を探してみる



「……それじゃ、そろそろやるわよ」
「この前はティファに邪魔されたけど、今日こそは話をつけるんだから」

意気揚々と教室から飛び出すルゥナ。自信に満ちたその態度からは確かな確信がある様に見える
実際は、コネも無ければ情報も無いのだが。そもそも学校に来ているかも定かではない


「とにかく今は三年なのよね?なら三階の教室を片っ端から調べればいいじゃない」
「さっさと話を取り付けて、前回の話を聞くんだから……!」

足早に階段をかけ上る。もう一度ティファに見つかったら、この前の焼き増しだ
そうなる前に、なるべくなら会わずに見つけ出したい……!


【誰と会ったか】
12:ティファ
345:外来として出てきた三人の誰か
67:エーデルワイス
89:禍門
↓1



7:エーデルワイス

【という訳で前回のエーデルワイスのマスターと会うのですがその前に少し判定】


【今の彼女の立場って?】
123:家の中ではあんまり……
456:生徒会長をやってるよ
789:要職についてる
↓1

【そういや前回の貴方は結局どっち選んだの?】
※現時点ではどちらを選んでもシナリオ的には問題は無いはず
147:まだ決めてない
258:エーデルワイス
369:禍門
↓2

 


7:監督役に任命

0:何でよりによってここで出るのかな


123:実はもう別の人と…
456:無難にどっちか(十の位が偶数でエーデルワイス、奇数で禍門)
789:もう二人まとめてでいいよ
↓1


2:どうやら別の人と付き合ったようです

【流石に一から考えるのは面倒なのでここで決めちゃいます】

【接点がありそうな女性で、なおかつ今後のシナリオにあまり影響の出なさそうな部分を選択】


147:前書記
258:前生徒会長
369:前回で被害にあった人(実質モブ)
↓1



0:何でだよ!

【どうしてこんなどうでもいい所で特殊ばっか出るんですか()】

【流石にこれ以上は思い付かないので、次に特殊出たら安価下扱いにします!】


147:禍門のお姉ちゃん
258:前回新重に襲われた人
369:ガイスロギヴァテス
↓1


9:メリッサが貴方の彼女になったそうです


【という訳で、貴方は敵対していた陣営の一人と付き合っているようです。何でだよ()】

【ちょっとこんがらがってきたので少し休憩。八時を目安に再開します】



【それでは再開……】




「失礼するわ、エーデルワイスっている?」

扉を思いっきりに開くと開口一番言い放つ
唐突すぎる失礼な発言に、思わず上級生達も面食らう。が、その中の一人は笑顔で話しかけてきた

第一印象としては、溌剌とした奴だ。天使だ何だと言っている連中には不釣り合いな程

「ハイハイ!私がそうだけど?」
「あんたが……?まあいいわ、あたしはルゥナ。今次のガイスロギヴァテスのマスターよ」
「……ガイスロ、ギヴァテス?」

ルゥナの名前を聞くや否や、少しだけ顔をしかめるエーデルワイス
不審そうに見ていたのを察したのか。慌てた風に手を振って、誤魔化した


「私はアーディー・エーデルワイス。後輩だけど、普通にアーディーって呼んでいいよ」
「それじゃ、場所を移そうか。ここだと色々と問題があるし」


アーディーの背中を追うように、ルゥナもその後を付いていく
ヒソヒソと噂を話す上級生を無視しながら、教室から出ていくのだった






……着いたのは人気の無い教室
かつては新聞部の部室だったらしく、辺りには張り紙や新聞の束が積み重なっていた

「えっと、まずは私の事から話すね」
「私は前回セイバーを召喚して……聖杯戦争に勝ち残ったんだ」

「その結果、私のセイバーは願いを叶える事に成功しているから……」
「聖杯の真贋はともかく、願望器としては確かだと思っているよ」

語り始めるアーディーの言葉に、頷きながら話を聞いていく
彼女の話は、概ねガイスロギヴァテスで聞いた事実と一致する

「でも、その聖杯はあんた達エーデルワイスが奪ったままなんでしょ?」
「どうせ出来レースだったんでしょ。アバドンを召喚して、参加者を皆殺しにして……」
「最後は自分達で使う。脚本としては三流だけど、まあそんなもんよね」


「それは違うっ!」
「アバドンを召喚したのは独断だし……それに、それを倒したのは私じゃなくて……」
「え、違うの?」「……ううん。何でもない」

ルゥナの挑発に激昂するアーディー。何か気になる事を言った気がしたが……
顔を背けて訂正する姿から、追及するのは難しそうだ







「ゴメン!それと、他には……」
「……そうだ。今回、私は監督役として聖杯戦争に関わっているよ」
「何でよ」

前回の事を考えれば、異例過ぎる大躍進。これはまた監督役との癒着か……
そう言う前に、慌てて訂正する。どうやら顔に出ていた様だ

「と、いっても補佐役だけどね。私には何の権限も無いんだ」
「多分だけど、今この町にいるってわかるエーデルワイスは私だけだから……」
「目に見える範囲に置いて抑えておきたい。って事じゃないかな?」

その考察にはルゥナも納得する。裏で結託されてまた台無しにされるよりも
いっその事、手に届く範囲に置いて動向を監視する方が楽だろう


「……成る程ね。なら、今度はこっちの質問に答えて貰うわ」
「前回の優勝者の話。とことん話して貰うわよ!」



20:45から、聞きたい話題
↓1~3


前回の流れやらロベルトの動向やら、御三家間の空気とかメリッサの彼氏だとかかな


【今回はちょっと特別に同じ方から採用】


>>334~337


「知っての通り、あたし達ガイスロギヴァテスはこの町から撤退していた時期があるわ」
「その間の、あんた達御三家……エーデルワイスと禍門が何をしていたか。話しなさい」

ルゥナからの詰問に、アーディーは神妙な面持ちで頷く
手近にあった紙とペンを持つと、さらさらと簡易的な関係図を描いていった

「まず、御三家から。ガイスロギヴァテスは街から去り、エーデルワイスは私を除いて消息不明」
「実質的に、この街を統べているのは禍門だけになるね」
「詳しい話は私には……けど、禍門のマスターもこの学園に在籍しているよ」

要約すると、エーデルワイスとガイスロギヴァテスが去った結果、残った禍門が実権を握ったとみて間違いない
禍門は呪術を使う魔術師と聞く。気を引きしめた方がいいだろう


「それで、他の参加者はどうなったのよ」
「そこまでは私もわからないな……新重センパイも鹿黒センパイも街を出たってセンパイが言ってたけど」

「センパイ?」「そ、前生徒会副会長のセンパイ。彼も前回の参加者だったんだ」

「その人は坂松から大学に通ってるから……まだいると思う」
「で、そいつはどんな奴なのよ?」
「お人好しで、真面目で、ひたむきで、優しい人だよ。とにかく誰かの為に動ける人で……」
「そう、つまんない奴ね」


一笑して話を遮る。他人の為に、等は総じて自己の無い奴の言葉なのだ
その態度に不服そうな顔をするアーディーを無視して、次の話を切り出した


「……前回の監督役は、あんた達の家の奴だったわね?」
「そいつが何処にいったのかもわからないのかしら」

ルゥナからの質問に対して、アーディーはかぶりを振る

「さっきも言ったけど、私以外のエーデルワイスは何処にいるのか私にもわからない」
「もしかしたら、坂松のどこかにいるかもしれないけど……」






「ところで、あんたさっきセイバーは願いを叶えたって言ったわよね」
「うん。確かにそう言ったけど」

「ならそいつの願いは何なのよ。別に、世界が変わったとかそういうのは感じないけど?」
「えへへ、そうでしょ。だってセイバーの願いはこの世で生きる事だもん」

「はぁ……?何よそれ。せっかく総ての願望を満たす器を手に入れておきながら……」
「そんな、くだらない願いに費やしたの?」

「結構楽しくやってるよ?最近はカレーライスとハヤシライスを勘違いして覚えてたって知れたみたい」
「英霊ってアホ……じゃないわ。聖杯から与えられる知識って適当なのかしら」
「だから、セイバーももう聖杯戦争には関わらない。それは断言する」


呆れるルゥナに苦笑いで返すアーディー
実際、セイバーの生きていた時代にはカレーは伝わっていなかったそうだ


「もういいかな?私はこれで……」
「あ、そうそう。あんた、あたしの名前を聞いた途端変な顔したでしょ」

「え?し、してないよ?そんなの?」
「嘘つくんじゃないわよ!ガイスロギヴァテスの名前が出た途端、変な顔になったじゃない」 

「何かあったの?教えてごらんなさいよ」


【複雑な事情】-3
12345:言うわけない
6789:言わないとやってらんない
↓1



5:言うわけない

【ところで、メリッサとルゥナってどれくらい関わりがあるの?】

123:名前くらいなら
456:顔見知り
789:従姉妹
↓1


9:従姉妹同士

【という訳で前回貴方がルゥナと変な接点を持ってしまった所で本日はここまで】

【最後に次回用の安価だけとって終了します】

12:アサシン
34:セイバー
56:アーチャー
78:キャスター
9:ライダー
↓1


9:ライダー

【という事で本日はここまで。お付き合いありがとうございました】


【本日はお休み……】

【その代わりに、避難所で鯖の作成をやるので】

【良ければどうぞ】


【本日もお休み……】


【本日もお休み……】

【展開云々もそうですが、少し忙しい……!明日か明後日は必ずやります】


【今日は強引にでも再開します】

【例によって少しだけですが……】





「………………ふう」

高層ビルの頂点で、ライダーは夜空に浮かぶ月を仰ぎ見た
この街で最も空に近い建物。なのに、星の光は濁り、澱んでいる

隣には夜風を浴びて、髪を揺らすティファ
眼帯で覆われていない片眼を妖しく光らせながら、自らのサーヴァントに問う

「……どう?この街は」
「どうか、だって?ハッ……下らない」

「星を見ればわかる。満ちる空気は腐り、大地は汚泥と何ら変わらない」

問いを聞いた途端、酷く顔を歪め、吐き捨てる
空を掴むかの様に腕を広げたその姿は、怒りを隠そうともせず

「地には草ではなく屑が咲き、花弁は舞わず、塵芥が乱れ飛ぶ」
「伸びている鉄は樹木の代わりか?どこもかしこも薄汚れ、穢れているじゃないか」

「目を見張るものも無い訳じゃないが……度し難いモノの方が、遥かに多い」
「やはりこの世は僕こそが統べるべきだ。そう思うだろう?」


不敵な笑みを浮かべるライダー。その傍らに手を招くと、空より降りてきた巨大な龍
呼び寄せられた龍は主に従うかの様に頭を垂れる。満足げに頷いたライダーは、ティファに笑いかけた

「そろそろ、僕達も動くとしよう。黙って見ているのは趣味じゃないからさ」
「何人いようと敵じゃない。とっとと殲滅してやろうじゃないか」


【最近、マスターばかりでサーヴァントが動かせてないので戦闘は確定】
【なので、攻め込まれた相手判定】
12:ランサー
34:セイバー
56:キャスター
78:アーチャー
9:アサシン
↓1


8:アーチャー



ライダーが腰を上げ、空へと進軍する少し前
同じくアーチャーも基地の屋根で、天に散らばる星を数える

無数に広がる煌めきも、いつかは暗闇の中に落ちる。まるでかつての自分の様で……


「いけないわね。後ろ向きになっちゃ」
「そうよ、私は聖杯を手に入れる。絶対に、どんな手を使っても」

「弱音なんて吐かない、吐けない。そう誓ったでしょう。私」

脳裏に浮かんだ暗い考えを、鼓舞する事で振り払う
元々はガイスロギヴァテスのものだった基地は既にアーチャーの支配下にある

傭兵達の前線基地だった為か、或いは改造と増築を幾度となく繰り返した結果か……
その基地は、要塞の類いに。魔術師の工房すらも、遥かに超えていた
これだけならば、並大抵の英霊相手には一方的に戦える……そう確信していたのだ



「ここかぁ……虫けら共の住処は……」

そう、並大抵の英霊では






「っ、サーヴァント!?」

空からゆっくりと降りてくる巨大な影……龍
巨大な翼と鋭い爪。槍の様な尾が地面に不気味な模様を描く
龍の背には傲岸な男の姿が。男はアーチャーを一瞥すると、嘲りを隠さず口を開く


「僕はライダー。聖杯を手にし、雑兵を蹴散らし、戦争の勝者となる者」
「今ここで大人しく降伏するなら、死に際だけは選ばせてやるけど……どうする?」

余りにも人を見下したその問いに、彼女の全身が総毛立つ
アーチャーは直感した。この英霊は、聖杯戦争において嘘偽りなく最強の存在だと
……だが、それは彼女が引く理由になりはしない。例え何を敵にしようと、必ず成し遂げると決めたのだから

「戯れ言をッ!貴方如きに、私の命を捧げる訳にはいかないのよッ!」
「そっか。じゃあ……死ね」

無数の銃声、巨龍の咆哮
大地を揺らし、宙を切る音は、繰り広げられるであろう戦闘の激しさを物語る

アーチャーは基地を背に銃を握る。その背で下を覗き見るライダーに向けて……引き金を引いた



「ふぅん……鉛を飛ばしてくるとはね」
「だけど残念。曲芸程度で、僕を殺せる訳が無いだろ?」

顔へと向かった銃弾を、首を捻って回避する
必死の抵抗すらも無意味だと知らしめる為か、ライダーは自ら龍の背中から飛び降りた





「ご苦労ね。わざわざ降りてくるなんて」
「その慢心、後悔させてあげるわ!」

降り立ったライダーは、アーチャーの持つ無数の銃に包囲された
四方八方に向けられる銃口からは絶え間無く煙と弾丸が吐き出される

しかし、それでもライダーには一発も当たらない。弾は地に突き刺さり、空へと消えていく

「数に頼るのは雑魚の道理。それはそれでやりようによっては大きなものを作れるけど」
「僕はそんなものに頼らなくても、星が総てを教えてくれるのさ」


 ◆千里眼(星見):C
  天を仰ぎ、星の配置から事象の"予兆"を読み取る視点。
  専門の占星術師には及ばずとも高い精度で未来を予見することができる。
  転じて、視覚による標的捕捉に長け、また物事の細かな変化に目敏くなる。


「さて……お前のか細い抵抗が無意味だとわかった所でもう一度聞こうか」
「ここで死にたいのか、それとも降伏するか」
「選べないなら……僕が選んであげるよ?」

「…………っ!」

悔しさを噛み潰す。何も出来ない、勝てない自分に絶望する
この状況を打開する為に、何か……


1:叩き潰されるだけなのでキングクリムゾン(消滅はしない)
234:乱入ペナルティ
5678:何故マスターが出てこなかったのか
9:奇跡
↓1


3:乱入

【誰が出てくるか】
123:何故か近くにいたランサー
456:アサシン
789:セイバー
↓1


1:ランサー(ルゥナ不在)

【すみません。途中で力尽きていました】

【本日はここまで……ありがとうございました】


【20:30に再開します】





「な……なんかヤバい気がする……!」

龍の暴威と数多の銃撃が吹き荒ぶその端で、身を屈めて警戒を露にするランサー
事の発端は、ルゥナ達が登校した後まで遡る

マスターが学校に行っている間、ランサーはコリーと共に動画の編集を進めていたのだが……


 ◆

『……そうだ。折り入って貴方に頼みがある』
「ん、どうかした?」
『実は逃げる際、メモリを置き忘れてしまってだな……』
「うんうん」

『無理に、とは言えないが……アーチャー陣営の様子を見てきて貰えないだろうか』
「いいよー。じゃ、まずはこの作業を終わらせよっか」

 ◆


「引き受けるんじゃなかった……!」

後悔、時既に遅し。目の前で繰り広げられる激戦に首を突っ込む羽目になってしまうとは
下手に姿を現しても的になるだけ。絶対に避けたい所だ

幸い、二騎のサーヴァントは此方に気づいてはいない。派手に動かなければあるいは……
メモリが基地内部にある都合、アーチャーには持ちこたえて貰いたい。さて



【行動安価。何をしますか?】
1:ライダーを攻撃する(狙われます)
2:分析する(再度判定)
3:マスターを探してみる(再度判定)
4:その他(自由安価)
20:40から↓1~3の中でコンマの最も大きいもの



【そこまで。2で進めます】




2:分析してみる



「ん~せっかくだし解析してみよっかな!」
「丁度、宝具や武器をじゃんじゃん使ってくれてるからね~」

間の抜けた声を上げながら、ランサーは眼前の戦いに目を凝らす
おびただしい数の銃が炎を吐き出す。それを微風の様に受け流すライダー
背後には唸る龍が控えており、アーチャーを舐めているのは明白だ

この二騎の真名……は無理にしても、どの時代の英雄かどこの生まれなのかは調べる価値はあるだろう

「よ~し、それじゃあっと……」

ランサーの思考が加速する。目の前の情報を、様々な可能性を精査していく
無限に等しい選択肢。ランサーは的確に取捨選択を行い情報を洗練させていく

その思考は光の速さ。速度と精度を両立した、最新鋭のコンピュータすらも凌駕する



 ◆高速分割思考:A
  思考を整理・加速するスキル。
  ランサーの場合は地頭のよさ、というよりは単純な思考の超加速によるもの。
  本来並列・分割しての複数ライン思考が可能になるのだが、並列思考上の全てが即座に同じ結論を出すため意味はあまりない。



【分析結果】
【高速分割思考】+2
ライダー、アーチャーの順で判定

123:さっぱりわかんね
456:地域くらいなら
789:宝具まで解析出来た
↓1、2


ライダー:特殊判定
アーチャー:わっかんね


123:龍がこっちに来る
456:ティファがこっちに来る
789:真名すっぱ抜き
↓1


9:真名をすっぱ抜く



「アーチャーは……まだ確定出来ないかなぁ」
「候補はあるけど、急いで決め打たなくても別にいいよね」

はは、と空笑いを浮かべて思考を切り換える
無数の銃で応戦する女性、アーチャーについては一旦保留する事にした

目下の問題はライダー。恐らくだが、あれ程の宝具を持つ英霊は少ないだろう
この聖杯戦争にて最強に近いサーヴァントである事は間違いない。最優先事項として頭の中に叩き込む

「え~と?ライダーの服装や仕草から察すると地域は中国……それもかなり高貴な位か」
「秦の始皇帝、は違うか。あれだけ不死に拘った皇帝が、わざわざ危険に曝される事をする筈がないし」
「けど、時代としてはそこまで外れては無さそうな気もするんだよな~……」


黙々と仮説と推論を繰り返す。トライとエラーを無限に行い、正確な答えを探り出す
しかし、見た目だけではそれが限界。改めて視界の情報を調べ直す

「ん、あの龍……なんかおかしい気がする」
「なんか、別のモノを強引に龍に組み替え直したみたいな……そんな感じ?」

控える龍の微かな違和感。あれは純粋な龍ではない。ランサーの思考がそう告げる
ではあの龍の正体は何なのか?……その答えは、直ぐ様思考が弾き出した


「そっか……あれは“船”だ。それもただの船じゃない」
「とんでもない偉業を成した“戦艦”……それに大河。それが龍のカタチを為しているんだ……」






龍の咆哮が響き渡る。恐ろしく、背筋を震わす巨大な轟音
しかし、正体を明かせば何て事はない。あれはきっと銅鑼の音だ

爪、牙、尾。ありとあらゆる部位に船の意匠を感じとる
ごうごうと流れる大河の音。それ等が複雑に融合したモノが、あの龍の正体だ


 ◆『???』
  ランク:B 種別:対軍宝具 レンジ:5~25 最大捕捉:300人
  ????????にて活躍した大戦艦『????』『????』と、ライダーの建造した大運河が合一された複合宝具。
  巨大運河を体現し、その営みを守護する人造龍神を召喚、使役する。
  幻想としてのランクは雑竜にも劣るが、単純な戦闘力だけならば竜種と呼ぶに相応しいレベル。
  偽龍とも言うべきそれを巧みに扱い、乗りこなせばこそのライダーである。


「でも、あれじゃアーチャーには勝ち目は無いかな~」
「川の中に銃弾を撃ち込んでも威力が削がれるだけだ。届く頃には痛くも痒くも無くなってるよ」

アーチャーではライダーに勝てぬ。と冷静な評価を下すランサー
これだけの大偉業を為した中国の皇帝。それは自ずと限られてくるのだが……

「……あれ?何か聞こえてくる」
「これは……“詩”?」

耳を澄ませば聞こえる声。それは下卑た笑みを浮かべたライダーのもの
口ずさんでいるのは何かの唄か。響き渡るは清廉な音

聞こえているのはランサーだけ。しかし、その詩はランサーの心を確かに癒す程の力を秘めていた
それこそ、戦っているアーチャーに聞こえていないのが勿体ないと感じる程に

 ◆歌仙の詩歌:A
  優れた詩はただそれだけで魔を祓う力を持つ。
  時に勇壮に、時に抒情的に。ライダーの紡ぐ詩は鮮やかに世界を彩り、そこに巣食う不純物を排斥する。






「……そっか、ライダーの真名は」
「けど、どうしようかな……何とかして基地を守らないといけないんだけど」

ライダーの真名は確信した、しかし、わかったのはアーチャーでは絶対に擦り殺されるだけという事実だけ
あの龍をどうにかしない限り、この状況を打開する術は無いだろう

かといって、ライダーに立ち向かうのは無謀の極み。それもすぐにわかった事


「はぁ、はぁ……っ!はぁっ!」
「どうしたの?もっと必死に抗ってみてよ」
「黙りなさいっ……!私は、負け……くっ!」

「そら!僕に楯突いた事、今更になって後悔しているのかい?」
「辞世の句くらいは読ませてあげるよ。僕は寛大だからね……!」

そうこうしている内に、アーチャーはライダーに押され始めている
本気を出していればすぐに倒せていたであろうアーチャーがここまで戦えたのも、単に油断と慢心が故

基地が潰されれば此方としても不都合だ。ランサーはどうするか、思考を進め始める……


【高速分割思考】+2
123:現実は非情である
456:考えてる間にマスターが介入
789:「仕方ない……宝具を使おう」
↓1


【ごめんなさい、離席してました】

0:特殊判定

123:そこに覗き見している奴がいるなぁ?
456:アーチャー、決死の覚悟
789:????登場
↓1


3:ライダー、キレた!(こっちに飛んでくる)


突然、ライダーの動きが止まった
あまりにも不自然な停止に、アーチャーすらも面食らう
ゆっくりと息を吸い、吐く。その様はまるで、怒りに震えるかの様に

「……正直な所」
「僕はどっちでもいいんだ。お前を殺すのがいつになろうとさ」
「…………え?」


「今一番、殺してやりたいのは……そこにいる、いつ横槍を入れようかと手をこまねいて見ている不敬者……」
「お前だよ……ランサー!」「うげっ、バレてた!?」

龍が周囲を薙ぎ払う。身を隠していたランサーは、たちまち飛び出す他は無く
その姿を視認したアーチャーも驚きを隠せず。顔を驚きに歪めて叫び出す

「貴方……いつの間に!?」
「いや~アハハハ」「笑ってる場合じゃないでしょう!?」

「それじゃ……オレはこれで!」「逃がす訳無いだろう?……そら!」

龍の咆哮が聴こえる。それより速くランサーは走る
追い付かれる前に逃げ切る。ただそれだけに思考を集中して


【神速】+3 【龍】-1
12345:ダメでした
6789:逃げ切ったよ
↓1


7:余裕の逃走


【それでは、本日はここまで】

【途中途中で力尽きてしまい申し訳ない……ありがとうございました】


【では、再開……】





「と、いう事があったんだけど」
「なんでよ」「……なんでよ?」

学校から帰宅するも、ランサーが見当たらない
此方からの連絡も聞こえていなかった様なので待機する事およそ数時間

帰ってきたランサーは全てをありのままに語り聞かせていた
その内容はあまりにも荒唐無稽過ぎて。ルゥナもそれしか言えていない
ちなみに、自分達のいない間のさきちゃんはベルに全部押し付けておいた


 ◆

「おねえちゃん!わたし、きれいー?」
「ベルはブスだって言いたいんですかあ!?」
「そんなこといってないのに……」

 ◆

「おねえちゃん……べるさん、怖いよー……」
「ベルが何したって言うんですか!さきちゃんがベルを虐めるからですよねぇ!?」

「うるさいから黙ってて。今あたしは大事な話をしてるの」
「ルゥナさんもベルを虐めるんですか……さきちゃんのせいで……」

「それで、ライダーの真名がわかったけど」
「いやそれを先に言いなさいよ!?」
「え~。簡単に教えるのってなんかヤだし」

ゴネるランサーを睨み付ける。流石にそれは酷いと思ったのか、自身の情報を全て開示した


「……中国の皇帝で、宝具は龍で、詩が好き?」
「厳密には龍は違いそうだけどね。ルゥナはライダーの真名がわかるかな?」
「イラつくわね!わかるわよ!」


【ライダーの真名は?】
↓1~3の中で正解があれば




ライダー:煬広(煬帝)  正解



「煬帝よね。日出ずる処の天子ってやつ」
「そ、寧ろそれ以外の候補は無いよね!」


隋の煬帝。……正式な名前は煬広という
女も関係なく強引に大運河を建設し、派手者であった為に暴君として語られる事の多い人物だ
しかして自然を愛し、詩を好むという風雅な面もある。詩人としてもその名を遺す多彩な王

この国……日本で煬帝を示す最も有名な逸話は、聖徳太子と遣隋使だろう
隋に書を送った聖徳太子は、煬帝をして『日出ずる処の天子』と呼称し激怒した。と伝わっている
これについては諸説あり、自身が下に見られた事を不快に感じた等があるが……真相は教えてはくれないだろう


「にしても厄介ね……かなりの大物じゃない」
「あんた、勝てる算段はあるの?」
「難しいかな~……ほら、オレってそんなに強い英霊じゃないしさ」

話を聞く限り、アーチャーもライダーを倒すのはかなり難しいようだ
それを単騎で。自分のランサーだけで勝てるのだろうか……?

「まあいいわ。今夜は戦闘があったみたいだし連中も落ち着いてるでしょ」
「それと、コリーからメモリを取ってくる様に頼まれてるんだよね。今からじゃダメ?」
「あいつらも消耗していそうだし、狙い目ではあるの……かしら?」



1:探索(再度判定)
2:会話(人物指定)
3:基地に行ってみる(対応判定)
4:その他
↓1




「それじゃ、早速外に行こっか」
「……あんたも好きね」

「ルゥナ、外……出かけるの?」
「ん。まあ安心してなさいよ、そんな簡単にはいなくならないから」
「あんたもあたしがいなくて、せいせいしてるでしょ?」

「……せいせい?」「あーハイハイ」

ぽかんとする少々森を置いて外に繰り出す
ライダーと出くわした場合は危険だが……まあ、何とかなるだろう

ちなみに……根拠は全くない


12:ライダー
345:何もなく
678:サーヴァントの気配
9:???
↓1


7:サーヴァントの気配


「……ランサー」
「うん。これは……サーヴァントだ」

夜の街、人のいなくなった世界に漂う魔力
間違えようもない、英霊の気配。肌に感じるひりつく空気

「行くかい?ルゥナ」
「当然よ。こちとら初陣で負けてんのよ」
「ここらで一つくらい、相手を倒しとかないと気がすまないっての!」

血気盛んに走り出す。その後を楽しそうに追うランサー
そこにいるのが誰なのか、知ろうともしないで向かい出した


【今、動けるメンバーはこれだけ】
【上に行く程危険度が高い】
123:セイバー
456:アサシン
789:キャスター
↓1


9:キャスター



「風が寒い!空気が冷たい!おまけに海風で塩がキツい!」
「何故だ、何故俺はこんな目に合わねばならんのだ!?何かしたか俺は!?」

「仕方無いだろう。家賃が払えなかったんだ」
「君はキャスターなのだから、陣地の作成くらいサクサクやってくれたまえよ」
「だから俺は魔術師じゃねえ!何がどうしたら俺をキャスターなんかに宛がうんだクソッ!」


「「えぇー……」」

波止場のど真ん中で、男性が少女に対し怒鳴り散らす
叫んでいるのがサーヴァント、キャスター。隣で本を読んでいるのがマスターだろう
キャスターの怒声もどこ吹く風。黙々と頁を捲る手を止めようとはしない

「……どうする?戦う」
「あんたにそれ言われたらおしまいよ……」

取り敢えず、まずは情報の確認だ
ルゥナは目を凝らして、キャスターの能力を確認する事にした……



『キャスターのステータスを開示します』


┏━━━━━━━━━━━━━━━┓
  ≪クラス≫:キャスター
┣━━━━━━━━━━━━━━━╋━━━━━━━━━┓
 【真名】:???              【属性】:中立・中庸
┣━━━━━━━┳━━━━━━━╋━━━━━━━┳━┻━━━━━┳━━━━━━━┳━━━━━━━┓
  【筋力】:E     【耐久】:D      【敏捷】:E       【魔力】:C      【幸運】:B       【宝具】:A
┣━━━━━━━┻━━━━━━━┻━━━━━━━┻━━━━━━━┻━━━━━━━┻━━━━━━━┫






「……ステータスは低いわね」
「けれど宝具のランクは……どういう事?」

「多分だけど、あのキャスターは比較的新しい時代の人間だと思う」
「魔術師のクラスの条件は緩いから、近代の英雄は多く該当するし……」
「サーヴァントのステータスは本人の資質と、生きた時代の神秘に強く影響されるからね」

「初めて知ったわ、そんなの……」

 ※個人の解釈です

感心するルゥナをよそに、キャスター達は言い争いを続けている
随分と短気な性分なのか……頭に血が上っているらしく、冷静さを失っているのは明らかだ

それを見たルゥナの選択は……



1:話しかける
2:攻撃(敵対が確定)
3:もう少し待ってみる(判定)
4:その他
↓1~3の間で、一番コンマの高いもの



【ここで0出ても特殊にするのが難しいので】

8:話しかけてみる



「……話しかけてみましょうか」
「いざとなれば三騎士のあんたで何とか出来るでしょ?対魔力あるし」

「あのキャスターがちゃんとした魔術師なら、ね。口振りから察するに変わり種っぽいけど」
「不安を煽るのは止めなさい!」


相手はキャスター、しかも陣地の中では無い
おまけにマスターは少女だ。自分が遅れを取る事は万に一つもあり得ない
そう確信したルゥナは、身を隠す事を止めて、堂々とその姿を現した

「な、サーヴァント!?くそ、だからこんなだだっ広い所にいたくは……」
「おおサーヴァント!それも時計の英霊!珍しい、そこの君!真名は!?」

「オレはランサー!真名は言えないけど、君の最善な一日を祝福するよ!」
「私はユーニス!エリクシア家の魔術師ではあるが、君との戦闘は避けたいのだが!」
「いいよ!オレも君とは戦いたくないから!」


「「なにこれ……」」

思わず呟くルゥナとキャスター。何故か意気投合を果たしたランサーとユーニスに困惑を隠せない

「……苦労してそうだな、アンタ」
「あんたもね。キャスター……」

とにかく、思いもよらず友好的な関係を結べた両陣営
これならば情報の交換等、スムーズに行えるだろう。何を聞いてみるか……



↓1~3まで、聞きたい事。もしくは話す事

他のサーヴァントの情報とか持ってないか聞く
対価はライダーの情報で

今まで何をしてたか

住む場所がないらしいけど大丈夫か


>>416>>417>>418

【確認しました。本日はここまで】


【ところで、一応今回のサーヴァントは大体出たのですが…】

【まだ真名についてはわからないのが多いですかね?これはあの英霊じゃない?というのは】

【いつでも大歓迎でございます。お付き合いありがとうございました】





【本日はお休み……】


【ごめんなさい。本日もお休みです……】


【ちらっと再開します……】




「ほうほう、君は最高最善の……」
「へえ……錬金術って奥が深いんだね」


「「……はぁ」」

目の前で繰り広げられる馬鹿話に、ぐったりと脱力するルゥナとキャスター
突っ込むタイミングを逃していたが、いい加減に話すべきと胸に深く空気を吸い込む

「ねえ、ちょっと」
「何かな。私は今彼の話に集中したいのだが」
「ルゥナって空気読めないって言われない?」

「言わせないわよ!それよりもあんた、マスターでしょ!?」
「ここで情報の交換でもどうかしら?あんたの持つ情報をあたしに渡しなさい」

「ちょっと待て。幾らなんでも横暴過ぎやしないか?」
「いきなり出てきて、俺達の情報を渡せだなんて……受け入れられる訳が」
「あたしはライダーの真名を知ってる!それを対価に交渉するって言ってんの!」


その言葉に目を丸くするキャスター。その様子から察するに、まだ出会っていないのだろう
未知の相手に挑むより、既知の相手の方がやり易いのは自明の理。キャスターとユーニスは顔を見合わせると、頷いた

「いいだろう……では、まずはそちらの情報から受け取らせて貰う」
「いいわよ。ライダーの真名は……」







「……煬帝?日出づる処の何とかって奴か」
「今なお広がる大運河を建設した皇帝だ。流石は聖杯戦争、やはりこうでなくては……!」

複雑そうな顔を浮かべるキャスターと、キラキラと瞳を輝かせるユーニス
こちらの知る限りの情報を渡すと、二人は対称的な表情を浮かべた

「それで?あんた達は別の陣営の情報を持っているのかしら」
「ああ。セイバーとアサシン。二名のステータスくらいならば把握している」
「どっちも知らない奴じゃない!やりぃ!」

パン。と手を叩く。素性のわからない相手の情報を先んじて得る事がどれだけ重要な事なのか
ルゥナもよく知っているが故に、普段よりも倍増しで楽しそうに笑っている


「それで?どんな奴なのよ、そいつらは」
「ふむ、セイバーは気っ風のいい女剣士だ。手に持つ大剣には相応の神秘を感じたぞ」
「アサシンの奴はいかにも悪人面だな……俺は好かん!あの陰険な目付き、ああ苛つく!」

ここでも対称的な態度の二人。主従なのだが、その反応はどうにも噛み合わない
果たしてどの様なサーヴァントなのか……それを期待して、二騎のステータスを確認した





『セイバーのステータスを開示します』


┏━━━━━━━━━━━━━━━┓
  ≪クラス≫:セイバー
┣━━━━━━━━━━━━━━━╋━━━━━━━━━┓
  【真名】:???             【属性】:混沌・善
┣━━━━━━━┳━━━━━━━╋━━━━━━━┳━┻━━━━━┳━━━━━━━┳━━━━━━━┓
  【筋力】:B(40)   【耐久】:B(40)  【敏捷】:C(30)   【魔力】:B(40)  【幸運】:A++(70)  【宝具】:A
┣━━━━━━━┻━━━━━━━┻━━━━━━━┻━━━━━━━┻━━━━━━━┻━━━━━━━┫
 




『アサシンのステータスを開示します』


┏━━━━━━━━━━━━━━━┓
  ≪クラス≫:アサシン
┣━━━━━━━━━━━━━━━╋━━━━━━━━━┓
  【真名】:???              【属性】:秩序・悪
┣━━━━━━━┳━━━━━━━╋━━━━━━━┳━┻━━━━━┳━━━━━━━┳━━━━━━━┓
  【筋力】:D     【耐久】:C      【敏捷】:E     【魔力】:C       【幸運】:A      【宝具】:D
┣━━━━━━━┻━━━━━━━┻━━━━━━━┻━━━━━━━┻━━━━━━━┻━━━━━━━┫







「ふーん……アサシンはともかく、セイバーは最優に相応しい能力ね」
「穴らしい穴が敏捷なのが救いね。こっちは逆に、敏捷に特化してるもの」
「高速回線なら負けないぞ~!」

呑気に話すランサーは無視して、再度ユーニスとキャスターに向き直る

「他には何か無いの?こう、どこの出身とか、どんなスキルがあるとか」
「そう言われてもな……俺達もちらっと見た程度だからな」「そこを何とか!」

「ふむ……調べてみるか」
「私はこの手の作業が得意でね。まあそこで見ていてくれたまえよ」
「この蔵書には無数の叡知が秘められている。私の予想と感想を多分に叩き込んでだな」


 ◆賢者の蔵書
  フォトニック結晶、すなわち賢者の石を埋め込んだ蔵書。
  超規模の多量並列演算を用いて周囲の情報を取り込み記録(データ)として出力する。
  現在を知り尽くし過去をも閲覧する為に開発した霊子演算用魔道書。


手元の本をパラパラと捲る。辞書を引くかの様に進めていく
ヒットするのか、しないのか……それは天のみぞ知るといった所だろう



【セイバー、及びアサシンの情報判定。順序は同じ】
123:なーんも
456:スキルのヒントくらいなら
789:一つ開示
↓1、2



1:なーんにも

7:アサシンのスキルを一つ開示



「駄目だー、やはり真名がわからないとどうしようもないー」

ぽーんと蔵書を放り投げる。どうやっても検索に引っ掛からなかったのだろう
投げ遣りな態度からは、完全な諦めが伝わってくる

「ちょっ、あんたそれでいいの!?」
「仕方ないだろーわかんないんだからー」
「ふーん……なら、他の奴はわかんないの?」

「……あのアサシン、妙な気配があった」
「何もしていないのに足がすくむというか、背筋が凍る様な空気を生んでいたな」


 ◆スケープゴート:A+
  戦場を生き抜く狡猾なテクニックの集合。生贄、身代りとしての意味を持つ。
  このスキル自体が高いことにより、初対面の相手に威圧感を与えやすいという副次効果が発生する
  反面、常に矢面に晒され、気配遮断のような隠匿系のスキルは無効化される


「アサシンなのに気配遮断が無くなる程の威圧感……?何の英雄なのかしら」
「それはわからんな。それでは我々はこれで」

「ちょっと待った!あんた達、今まで何してたのよ」
「色々あったな……ネカフェに泊まったり図書館に籠ってみたり」
「家無いんでしょ?どうすんのよこれから」


「「………………」」



123:何とかするよ
456:どうしよう……
789:何とかしてくれない?
↓1


4:ノープラン


【という訳で本日はここまで】

【ご参加ありがとうございました……】


【本日はお休み……】



【本日もお休み……すみません】


【本日もお休み。明日には必ず、必ずや……!】

【パスタイムさんを読み返して気力を取り戻した(気がする)ので、夕方から安価を使って進行する、かも】


【夕方とはいったい…では再開します】




「………………」
「ちょっと、ねえ」

「………………」
「おーい。もしもーし」


「「どうしよう…………」」

同時に肩を落とす二人。今日、ようやく行動がシンクロした
とはいえ、それは喜ばしい事ではない。何しろホームレスが確定したのだから


「だから俺は反対したんだッ!無計画に資金を使うなとあれほど」
「仕方ないだろう。それに君だってぼくに隠れて酒を購入しているじゃないか」
「あっ、いやあれは……その、あれだ!ほら俺は酒が無いと……経費だ!経費だよな!?」


「駄目みたいだね……」「そうね……」

ああだこうだと言い訳を繰り返す二名。ユーニスはともかく、キャスターは居心地が悪いのかダラダラと汗を流す
とうとう観念したのか、どかっとその場に座り込み居直る。不貞腐れた顔からは、もう知った事じゃないと如実に表情に表していた

「あークソッ鬱陶しい!なら監督役の所にでも行くぞ!オイ!」
「監督役……?エーデルワイスの本拠地の事?」

「本拠地かは知らんが。監督役なら当面の住居の工面はしてくれるだろう。多分」
「安いホテル探すの手伝おっか?」「だから金が無いんだこっちは!!!」

ランサーの明暗に逆ギレを起こすキャスターはさておき話は見えてきた
ユーニス達は監督役の元へ行き、当面の庇護を依頼するつもりなのだろう
だが、監督役にはエーデルワイスの人間も在籍している。あくまでも補佐のみという話だが……

「そうだ。きみ、ぼくと一緒に来るかい?」
「彼には此方から話を通しておこう。顔見せくらいはした方がいい」

「ちょっと、何であんたが知ってんのよ」
「オレが教えたからね!」「余計な事を言いふらすなっ!」

「それでどうするのかな。ぼくと一緒に監督役の所に行くかい?」



1:行こう(監督役の描写)
2:行かない(他陣営の描写)
↓1


1:行こう



「……そうね。行きましょうか」
「あ、道に迷わないか心配してるんでしょ」
「違うっての!監督役って、要は一番偉い奴でしょ」

「そいつなら、前回や今回の聖杯戦争の事について何か知ってるかもしれない」
「話を聞く価値はあるはずよ。あたし達のこれからについての指針にしたいもの」

自分の考えにうんうんと頷く。これはあくまでも自分の為。断じてそれ以外の感情は無い
……無いのだが。ユーニスの顔を見るに、何かを勘違いされてしまった様で


「ふむ、ふむふむ。ぼくの為にすまないな」
「まあ俺達も流石に迷わんが……ありがたく好意に甘んじさせて貰うか」
「ぶっ飛ばすわよあんた達!?」

ニヤニヤ笑いが癪に触る。本当に無いったら無いのだ。本当に
ここで延々と話し込んでいると夜中になってしまう。それを察したのかランサーは、手に持つスマホを掲げて待機していた


「そろそろ行かない?もう監督役のいる教会の地図をマップで調べておいたよ」
「あんたのスマホ、どこで手に入れたのよ……」






「ここだな。この教会に在籍してるはず」
「元はエーデルワイスの神父だったのだが、不祥事でクビになった様だ」

少し歩いた小高い丘、ユーニスは教会を指差して解説し始める
内容は既にルゥナの知っているものばかり。舌打ちをすると、軽く補足した

「あいつのやった事は不祥事なんて軽い話じゃ無いわ。大災害を産んだ元凶だもの」
「無理矢理、聖杯で召喚されたアバドンは街を軽く覆い潰す程の蝗をバラ撒いて無数の命を食い荒らしていったわ」
「聖杯は奪われ、元凶には逃げられ、街は蝗に荒らされる……あたし達、ガイスロギヴァテスを不遇に扱ったバチが当たったのよ」



「うむ!それは全く以て弁明しようもない事実だが一言申し開きをさせて貰おう!」
「ガイスロギヴァテスの去りし後、禍門の面々は残されたエーデルワイスの少女と提携し街の治安維持に一層の力を入れてくれた!」
「故に!私が来るより以前から坂松を守護していたその思いは真実だと!断言しよう!」

「うるさっ!?あんた誰よ!?」

唐突に現れた男の声に耳を塞ぐ。馬鹿にデカイその声は、夜の教会には不釣り合い
おまけに異様なのはその姿。全身を目映く光る鎧に身を包んでいる、時代錯誤もいいところだ

「失礼、私はグレイト!グレイト・ガガルバートという!今回の正式な監督役だ!」
「私は前回の様に、身内からの選出ではなく正真正銘の部外者!教会より派遣された者なので素性は安心してほしい!」

「監督役~ぼくを養ってくれ~」
「いいとも!迷える子羊には慈悲と愛情を以てして受け入れようではないか!ははははは!」
「いいのか……いや嬉しいんだが……」

あっさりと住居の問題を解決したユーニス。鎧に抱きついて嬉しさを表現しているらしい
それはそれとして、ルゥナにも監督役に用事はある。グレイトと名乗る鎧男に指を突きつけた


「あんた、監督役なら聖杯戦争については事情を知っているはずよね?」
「今からあたしの質問に答えて貰うわ!拒否権は無いから!」



【質問したい事について。無ければ無しで】
20:05から
↓1~3





「まずは、この街の現在について教えて貰おうかしら」
「前回の聖杯戦争から今に至るまで……何か、妙な事は無かったかしら」

「街の様子か。それならば色々とあった!市長の迅速な対応のお陰で被害は食い止められ」
「慰霊の為の記念碑と、興行の一環として坂松市スタジアムを建設してくれた!市民の方々も嬉しい話だと言っていたぞ!」

「記念碑……?そんなのあったかしら」
「調べてみたんだけど、繁華街の一角にあるみたいだね。特に変わったものでは無いよ」
「スタジアムもどうでもきいわね。ただのハコモノ施設でしょうし」

「……でも、あれだけの被害からよく立ち直れたものね。うん」
「ねー」「ねーじゃないわよ!」

それからも幾つか話を聞いたが、グレイトの話からは特に有力になりそうなものは無かった
せいぜいが街の復興の苦労や、御三家……ガイスロギヴァテスを除いた二つの家の尽力程度
勿論、ルゥナにとっては気分のいい話ではないのでさっさと次の話題に移ろう


「じゃあ、次は聖杯よ。聖杯はエーデルワイスが持っていったって聞いてるわ」
「今、その聖杯はどうなってるの?連中がどこに隠れているのか見当はついてるのかしら」



「ははは!残念ながら私にはさっぱりだ!」
「何せ雲隠れしてしまったからね!しかし本当にあの蝗害を呼ぶ悪魔が呼ばれてしまった以上放置する事も出来まい!」
「故に!聖杯が起動したとの情報を受けた教会は私を派遣したのだ!二度とかの悪魔をこの世に顕してはならぬとね!」

「うるさいっての!自信満々にわかりませんって言ってんじゃないわよ!」







「そもそも、あんた本当に監督役なの?」
「その全身鎧を外して素顔を見せない限り、あたしはあんたを信じないわよ」

「ふははは!この鎧を脱いで欲しいという事かな。ガイスロギヴァテスのお嬢さん!」
「しかし、本当に済まないが!この鎧は私の信心の表しでありたゆまぬ歩みの証明なのでね!」
「誠に、誠に申し訳無いが今は信じてくれとしか言えぬのだよ!ははははは!」

埃の一つも付かない鎧を力強く叩き、そう宣言した
怪しげな視線を向けるルゥナも気にせず。輝く鎧は夜を照らす。周りに蛾等のが集まっているが、それすらも何という事も無さそうだ


 ◆金剛賛歌「ベルナデット」
  ダイヤモンドのごとく強固に作られた全身鎧。
  その頑強さゆえに物理的な攻撃をものともせず、丹念な聖別のために魔術を通さない。
  まさしく永久不変、不滅の信仰を示す概念武装。
  グレイトはこれを自らの誇りとし、片時も脱ごうとしない。


「……はあ、もう。わかったわ。帰るわよ」
「おや、もうお帰りかな?ぼくもきみにお礼をしておきたいのだが」
「うっさいわね。野垂れ死なれたら迷惑だっただけよ」

「そうか!ではな、ランサーのマスターのお嬢さん!君の平和を望むと共に、聖杯戦争で暴虐を行わない事を祈る!」
「……ああ、それと」



12345:激励の言葉
6789:「少し……」
↓1



8:「気になる事が……」



「……何よ?」
「いや、これはあくまでも個人的なものでね」
「君に話すか否か、迷ったのだが……」

「いいわよ、話して。どうでも良かったら忘れる事にするわ」
「そうか!それはありがたい。では少し世間話に付き合ってくれたまえ!」

どうやら、監督役には何か引っ掛かる事があるらしい
承諾されると不安げな声から一転、先程の様な豪気な声色で話し始めた


「いや、本当に大した疑問では無いのだが!」
「“何故、教会はわざわざ私を坂松の地に派遣したのだろう”と思っていてね!」
「……?監督役なんだから当たり前じゃない」

ルゥナの返答はもっともだ。しかし、グレイトはかぶりをふって話を続ける

「うむ、それはそうなのだが!監督役と言っても大した権力は持てない。前回は身内から選出されていただろう?」
「私よりも戦闘に向く者もいた!処理能力に優れた者もいる!しかし、それでも教会は私を推薦したのだ!」
「ふーん……だからエーデルワイスの小娘を補佐につけたって訳?」

ズバッと容赦ない言葉を突き刺すルゥナ。グレイトは鎧越しに頭をかく

「お恥ずかしい話だがね!しかし彼女はよく働いてくれているよ!」
「私の所感で済まないが、彼女は何かを企む様には見えない!信じてよいと思うよ!」
「私の疑問を君に話してしまって申し訳無い!どうか、よき一日を!」

手を振りながら、ルゥナを見送ってくれる。人の良さは信じてもよさそうだ
ちなみに、グレイトの疑問はどうでもいい事にカテゴライズされたのですぐ忘れるだろうな。と思うのだった




【続いて他陣営のパート】
【今回は特別に二つの陣営からお送りします】

12:アーチャー
34:アサシン
5:ライダー
67:バーサーカー
8:セイバー
9:エーデルワイス
↓1、2


7:バーサーカー



そこにあるのは、何者でもなかった
誰にも何にも無いソレは、どこから来たのかいつからいたのかも定かじゃない
何せ、本人……本物、本体……?もわからないのだから仕方がない、無いのだから

『わたしは、だあれ?』
『わたしは、なあに?』
『わたしは、■■■?』
『わたしはああああああああああぐうぎいれあああいああああああああああ』
『ああああああああああああああああああああああああああああああああああ』

だからこそ、空白を埋める為にそれは叫ぶ
狂った風にならないと、ただでさえ不安定な身が壊れそうなのだ

鋏に包丁。鎌、鉈、斧。それらの刃物は何をする為のものなのか?
そうとも恐怖を与える為!それこそがわたしの存在意義なのだから!

…………本当に?その疑問を答える者はいない
バーサーカーはずっと眠っていた。だからこそ自問を自答するしか無いのだ
生前も無ければ死後も無い。英霊とすら呼べない様な、中途半端な存在なのだから



123:「そうとも、それが君の在るべき姿さ!」
456:「気になるなら、調べてあげるよ?」
789:「…………」
↓1






「………………」
「……そっか。私も、わからないんだ」
「だから、一緒に覚えていこう?」

声が聞こえた。誰の声か、一瞬だけ思考が鈍る
そうだ。思い出した、この人はわたしの……





「うえあはぁあああ!?!?何ですかこれえ、何で台所に虫が沸いてるんですかあ!?」
「衛生観念はどこですかあ、ルゥナさんが帰って来たらお願いして燃やして貰おうかな……」
「……嫌いなの?」「嫌いですよう、もういい加減に掃除してくださいよお……」

ふと、叫び声で意識を取り戻す。目を開くと、声の主が女の子に叱られていた
わたしは蜘蛛は平気だけど、どうやら苦手な人もいるみたいだ。少し賢くなれた気がする

そろそろわたしも行かないと、またお話がややこしくなりそう。考える事は今はやめた
例えいつかは答えを出さないといけないとしても、今だけは、この瞬間だけは

わたしは一人の人間だって胸をはっていいかもしれないから




4:アサシン



「……ええ、ええ!その通りです」
「貴方達は私のバックアップについて頂きたいのです。話が早くて助かりますよ!」

「誰が了承すると言った……!恥知らずが!」
「どうどう、憂午。……おい鳥仁。テメェに言った言葉、忘れてねえよなあ?」
「“二度とこの家に来るな”。その約束を破ってまでツラを見せるとはどういう了見だ?」

「はははは……!いえ、いえいえこれは失敬!」
「いやしかし!口約束には法的拘束力は無いのでして!つまり、何も問題はありませんよ!」


激しい口論が禍門の館で繰り広げられている
憎々しい顔を浮かべるのは、前回でも禍門の指揮を執った憂午。そして幼い姿をした現当主。禍門招福

対するのは張り付けた笑みを隠そうともしない市長、坂松鳥仁
傍らにはアサシンが。その気配を隠させずに控えさせ、二人と舌戦を交わしていた

「わかりませんな!何故、私の支援をする事がそこまで不服なのですかな?」
「志は同じくこの町の平和を守る事!ならば、手を取り合って助け合うのが美徳というものではありませんか!」
「妙な意地を張る必要はありません。私の力を借りる事は、恥じる事ではありませんよ!」



「よく言えたものだな……!『兄さん』!」
「魔術を捨てた落伍者が、今更ノコノコと聖杯戦争に顔を出すなッ!」






「クッ。……いや、悪気は無いんだ」
「しかし御三家ともあろう者が、前回は失敗し多大な損害を街に出したと聞く」

「もしかして、君達って……無能の集まりだったりするのかい?」

憂午の怒りに水を差す様に、アサシンの冷たい言葉が突き刺さる
アサシンを嗜める様に手を遮る市長だが、その顔には隠しきれない程の侮蔑が

弟、憂午に笑いかけると、坂松鳥仁……否、禍門鳥仁は誇らしげに口を開く

「こらこら、そんな事を当人の前では言うものではありませんよ」
「ですが、私とて反対されるのは承知の上ですので……これで、如何ですかな?」

手に持つのは紙袋。菓子折りだろうか、パンパンに詰まっている

「なんだ、賄賂のつもりかぁ?政治家になって学んだ事はその程度って事だなぁ?」
「いやいや、よく見て欲しいな。そして、その上で君達は我々に従わざるを得なくなる……」

アサシンは紙袋から一つのクリアファイルを取り出し、憂午に手渡す
資料を目を通す憂午の顔は蒼白に。震えながらも発言した


「こ、れは……どういう事だ!?何故、姉さんがこんな犯罪を!?」
「君の姉は街を発展させた社長だと聞いているよ。しかし、残念な事に善人では無かった」

「汚職に横領、裏社会との繋がりもここには書かれている。未だ発覚はしていないが」
「これを然るべき所に提出すれば、お姉さんも君達も……この禍門の名前も汚れるだろうね」

笑みを浮かべながら、アサシンは残る資料を突き出す
まさか、まだ犯罪の証拠があるのか……?その疑念が憂午の頭にのしかかる

「テメェ……謀ったな?」
「はてさて、どうですかね!それでは、返答を聞きましょうか!」
「禍門は今、この時から我々の補佐について貰います!異論はありますかな?」


【信用出来ない】+1
【身内の犯罪】-2 【確たる証拠】-2
総計:-3
123:無条件で受け入れちゃう
456:条件ありで受け入れちゃう
789:キッパリ断る
↓1


5:条件付きで協力


【という訳で、本日はここまで】

【本来は確定で無条件降伏だったのですが、意地を見せた形になります】

【参加して戴いた皆様、ありがとうございました……】




>>399
今更ながら煬帝の本名は楊広で木へんの筈。

市長は一応禍門枠のマスターということになるのかな?
すでに他の御三家が出ていたとは思わなんだ


>>470
【あー……本当だ、完全に失念してました】

【ご指摘ありがとうございます。申し訳ありませんでした】

>>471
【ですね。アサシンは今回の禍門のサーヴァントでした】


【本日はお休み……】


【本日もお休み……すみません】


【ちょっとだけ、再開します】





「……チッ、わーったよ。鳥仁」
「禍門はテメェを支持する。テメェは聖杯戦争を穏当に終わらせる。これでいいだろ?」

招福は苛立ち混じりに吐き捨てる。苦渋の決断であろう事は明白だ
鳥仁はその顔を見ると、余程可笑しかったのだろうか。堪らず笑みを吹き出して笑った

「はは、はははは……!これはこれは!身内の恥を隠すおつもりですかな!?」
「いえいえ、否定はしませんよ!私とて政治家の端くれ、それも身内ですのでね!」

「クソが……けど、タダじゃやらねえ。こっちも条件をつけさせて貰う」
「これから金輪際、何があろうと禍門の名を使わない。これが無理なら好きにしな」
「はいはいはい!その位、お安いものですよ!君もそうでしょう!」

「ふっ……この事は他言無用、ご安心ください」
「私は、約束事には限り無く誠実でありたいと思っていてね」
「……この、奸臣が!」

吐き捨てる様な憂午には目もくれず、アサシンは鳥仁の隣に立つ
奸臣と称されたその姿を肯定するかの如く、手を胸に当ててかしずいた


「では、これからどう動くつもりかな?市長」
「そうですね。実家からの援助もあるのでまずは……」



【結構準備してた】-2
123:???
456:仲間を増やそう
789:情報を集めよう
↓1



6:仲間を増やそう



「そうですね、まずは同士を募りましょう」
「私達は非力の身。聖杯戦争に勝ち抜く為には他の有象無象を蹴散らす者が必要です」
「つまりは、我々が操る手駒を引き入れたい。という訳だね?」

くつくつと笑う鳥仁。アサシンの肩に手を置くと、憂午と招福に話しかけた

「私の英霊はアサシン……しかし、彼は暗殺等という卑怯卑劣な手を嫌う高潔な方でね!」
「故に、真正面から相手取ってくれるサーヴァントが必要なのですよ」
「だったらテメェで勧誘したらどうだ?市長様よぉ!」

「いやはや、私も手を尽くしてみたのですが」
「どうにもこうにも、居場所を探れずに困り果てていたのですよ」


「と、いう訳ですので……御三家の援助を追加の報酬として同盟を結ぶのです」
「相手の検討はついていますとも!それは……」



12:ライダー
34:ランサー
567:アーチャー
89:セイバーに再チャレンジ
↓1


8:セイバーチャレンジ



「……また来たわね、このカラス男!」
「散々尻をつけ回して……もしかしてフェリシアに惚れたりするのかしら?」

街角で相対する二人。セイバーはアサシンの顔を見た瞬間に顔をしかめる
たしなめるフェリシアも、彼等への嫌悪感を隠す事も無く市長に向き合った

「止めなさい、セイバー。……どうやって私達の連絡先を把握したの?」
「市長ですから!……と言いたい所ですが、実は力を貸して貰ったのですよ」
「御三家の一つ、禍門。彼等は街に滞在する魔術師を逐次把握しておりますのでね!」

「……御三家?何故、貴方が彼等の力を」
「まあ色々あるのですよ!それで本題ですが、我々と組もうとは思いませんか?」
「答える必要は無いわ。こちとら二回も断ってんのよ?」

ぴしゃりと切り捨てた。セイバーは既に大剣を構え、臨戦態勢に入っている

「気づきませんか?私と組むという事は、御三家の力をも使えるという事です」
「今後の事を考えれば、どちらが良いかは自ずとわかるはずですがね!」
「っ、貴方、まさか……!」

「さて、どうでしょうかね!さて、答えはどうですかな?」


【何べんも断ってる】-4
【御三家の後ろ盾】+1
総計-3
12345:嫌だよ
6789:組むよ
↓1


6:三顧の礼


「……わかったわ。同盟を受け入れます」
「ちょっ、いいのフェリシア!?こいつら、アンタのストーカーよ!?」

「はは、酷い言い様じゃないか。しかし、御三家が付いていると聞いただけで随分と心変わりするものだね?」
「少し悲しいなあ……私は、懇切丁寧に頭を下げたと言うのに。諸葛亮と並び立つと期待してもいいのかな?」

軽蔑した様に視線を向けるアサシン。対抗するかの様に、フェリシアは睨み付けた

「……確認するわ、聖杯は私達が使っても良いのよね?」
「勿論です!共に手を取り合い、穏便に聖杯戦争を進めようではありませんか!」


握手を求めようとする市長を無視し、背を向けて去っていくフェリシアとセイバー
その態度に眉を潜めながらも、用がある時には呼べばいい。と考えたのか、彼等もその場から去っていった




「フェリシア、どうして受けたの?」
「……禍門の家は、土着の魔術師と聞いたから」
「あー、そうだったわね。けど……あまり、重ね過ぎるのは止めなさい」
「わかってる。ごめんなさい、セイバー……」


「所で、どうしてセイバーに拘ったのかな?」
「別に少女が趣味という訳ではありませんよ。しかし……」
「セイバーの宝具……私の見立てが正しければ、あれは手中に収めておきたいのでしてね……!」




【そろそろ場面を動かしたいので、次回のイベント判定】

123:討伐令
456:アーチャー達の戦いの日々
789:ルゥナの夢の中
↓1


8:夢イベント

【という訳で本日はここまで】

【次回、ランサーと夢の中で会話の予定。ランサーの真名はまだわからないはず】

【本日もご参加、ありがとうございました……】


【本日はお休み……】


【ゆるりと再開】

【初っぱな自由安価ですが、参加してくださる人はいますか?】





「……んっ、あれ?」

いつの間にか、意識を失っていた。
目を擦り呆然と立ち尽くす。最後の記憶は教会で監督役と別れ、それから家に戻って……

しかし、今立っているのはまさしく教会の中。内の装飾はかなり豪華だが

「あたし……教会から帰ったはず、よね」
『クァース!』『イージャン!イージャン、スゲージャン!』
「ってうるさっ!?何よこの鳥!?」


『クラース!クラース!クラース!』

『アトデイージャン!コンドデイージャン!』

『アシタカラデモイージャグエーーー!!!』



ぎゃんぎゃんと喚き立てる黒い鳥。ルゥナの周囲を叫びながら旋回する
突然、伸びてきた手が鳥の首根っこをひっ掴んで締め上げる。声の止まった鳥を疎ましそうに眺めながら、相手は話しかけた

その相手は青年だった。特にこれといった特徴の無い、どこにでもいる様な普通の人物だった

「うるさいなあ。やっ、ルゥナ」
「いやあんたも誰よ」「オレだよ、オレオレ」
「ん……?でもその声、聴いた事がある気が」

「まっ、気づかないならいいや。せっかくだし話さない?」
「せっかちね……。……あんた、まさかとは思うけど」
「そ、オレがランサーだよ。ルゥナ」

にへら。と笑う青年に面食らう。何せ、自分のサーヴァントは時計怪人だと思っていたから
話そうと言われても、咄嗟には思い付かない。何を聞けと?


「驚いた?まあ突然だしね。けど、オレは待つから気にしないでね」
『グェーーー!』「でも、こいつはうるさいから踏んでおくよ」
「動物虐待するサーヴァントって何……?」



【ランサーに聞きたい事。無ければ無しで】
【今回は夢の中なので、核心に近い事でも答えてくれる可能性はあります(確実に答えるとは言っていない)】
20:10から
↓1~3





「……あんた、何?」
「何って何?オレはオレだよ。ルゥナ」
「そんな哲学的な事は聞いてないの、あんたの真名を答えろって言ってんの!」

「う~ん、別に答えてもいいんだけど」
「それだとルゥナのためにならないからね。後で当ててみてよ」

飄々と質問をかわされる。どうやら、強引に聞き出すのは意味がないだろう



「じゃあ……あんたの願いは?」
「あんたにだって、聖杯に頼る願いがあるから召喚に応じたんでしょ?」
「え?無いよ?全然。だって何だかパチモノっぽいし」「はあ?パチモノ?」

「うん。あれって多分だけど、もうかなり変質しちゃってると思うんだ」
「具体的にどう。と聞かれると困るけどさ」

「……じゃあ、何であんたはあたしの召喚に応じたのよ」
「それは勿論、ルゥナの最高最善の一日を守護する為だよ!」
「願いなんて取ってから考えればいいよ。そこはゴール地点じゃないんだし」

「あっ……あたしも取ってから願いを決めるつもりだったわ……」
「何だ。オレも同じだよ、ルゥナ」


思わぬ共通点に目を丸くする。そして、この英霊とは相性で召喚した事も思い出した
完全に同じ願い……ルゥナのは願いですら無いのだが……に紐付けられて召喚されたのだろう

微妙な顔を浮かべるルゥナの肩に、ポンと手を置くのであった







「……ねえ、ここは何処なの?」
「見た感じは教会みたいだけど……」

『グェーーー……』
「後、そのさっきから踏んづけてる死にかけの黒い鳥は何なのよ」
「これ?カラスだよ、知らない」
「あたしの知ってるカラスはあんな鳴き方しないわよ!」

クチバシから泡をふくカラスを踏みつけながらにこやかに笑うランサー
なまじ青年の姿のせいか、時計怪人であった方がまだしっくりくる絵面になってしまっている


『クァー……タスケテクァー……』
「後でいいんでしょ?」『イマスグニタスケクァー……』
「止めたげなさいよ……」

そろそろ絶命しそうになっているカラスに情けをかけてやる
ランサーが足を離してやると、一目散に去っていった

「……ま、この教会はオレの名前が生まれた場所かな」
「あの瞬間から、オレは動き出した。多分!」
「何よそれ、意味わかんない……」


「わからなくても、さ。時は止まってはくれないんだ。ずっと進み続けるしかないよ」
「じゃ、オレの真名はわかったかな?当てられたら……一つ、真実を教えてあげる」


……挑発する様に笑うランサー。その顔にムッとしたので真面目に考えてやる事にした
ランサーの真名、それは


【ランサーの真名、わからなければ無しで】 
【ここで答えられなくても、シナリオに支障はありません】
↓1、2



八咫烏

ロンドン塔のカラス



>>500 >>501
どちらも不正解


「……とにかく、カラスの英雄よね?」
「違うけど」「じゃあさっきのカラスは何なのよ!?」

あんまりにもあっさりと否定するランサー
時計とカラスがどうやったらこんなサーヴァントになるのか、ルゥナは思い付かなかった様だ

「それじゃ、最期に聞くけど……」
「ちょっと待って。何であんたが……」
「ルゥナは、聖杯を手に入れたらどうする?」


突きつけられた質問は、槍の様に鋭利で、的確
ランサーはただ立っているだけ。それなのに、何故だか背筋に汗が流れる
一瞬だけ怯み、言い淀む。しかし、それでも見据え続け、答えを放つ


「聖杯は、家に持ち帰る。時計塔に渡して、傷ついた信頼を取り戻す」
「あたしには願いなんて無い。聖杯を手に入れて、渡すだけよ」
「ふ~ん……そっか、それが答えなんだね」

ランサーの顔色が変わる。怒りでも、嘲りでもないその表情は、憐れみ

「ルゥナって、案外つまらない人間だよね」
「漠然と走っていても、ゴールには辿り着けない。そんな事じゃ足元を掬われるよ?」
「なっ……!」


「それじゃ……オレはこれで!じゃあ!」
「待ちなさい!つまらない、って……!?」

呼び止める声も既に届かず。ランサーの姿が急速に離れていく
その姿が、豆粒よりも小さくなったかと思った瞬間……意識の糸が、ぷつりと切れた



【本日はここまで】


【20:00から再開する予定です】





「……七つ」
「それが、この坂松における英霊の数」

ほの暗い空間で、青年の声が木霊する
被災したかの様な、傷だらけの無惨な姿。五体が満足にあるだけ奇跡だろう
しかし、青白い顔は余裕綽々とした風に口角を上げている。不釣り合いな程に元気そうだ

彼の真意を窺うように、異形の男女が身体を揺らす。その中の一人……仮面の男が声を挙げた

「しかし、前回の優勝者は受肉したと」
「うん。だからこそ彼は今回の件から身を引いているはずなんだ」
「彼女は監督役に引き入れられているからね。表だって動く事はしないだろうね」

「ほへーそうなんだ!アーディーえらい!」
「才気溢れる子だったからね……彼女は。ボクも嬉しいよ!」

翼を伸ばす少女の頭をぽんぽんと叩く。先程の不気味な笑みとは違い、純粋に嬉しそうに
それはそうとして。青年は仮面を装着した男に話しかける。その目からは真意が読み取れない



「聖杯を奪い取ったロベルト……彼の消息は未だに掴めていないのかい?」
「はい。我等の探知の網を逃れる等、有り得る話では無いのですが」

「そっか……彼も、彼なりに天使を目指していたのはわかったよ」
「けど、致命的に間違っている部分が一つだけあるんだよね……」


「天使と結ばれるのは、キミじゃないんだ」
「もっと相応しい存在が……いるはずだよね?」
「……イエス様」



【エーデルワイスの今後の方針】
123456:まだ裏に潜む
789:協力者を探す
↓1


3:雲隠れ継続



「ま、急ぐ程の用じゃないよ」
「ボク達から奪い取った聖杯を、どこに隠したかは知らないけど……」

「天罰を、あのお方の為に下さないとね?」

ニッコリと笑うその表情。仮面の男は畏怖が渦巻き、少女はぽかんとしている
不思議そうな顔の少女を心配したのか、青年。イエスは笑顔で語りかけた


「心配しないで、アルミ。キミの頑張りはよく伝わっているからさ」
「アスカトルもご苦労様。少し休んでもいいんだよ?」

「はい!アルミは頑張ってまーすっ!」
「有難きお言葉……しかし、私は」
「やーすーもーうーよ!アーディーにも会いたいし!ね!」
「…………仕方がありませんね」

アルミと呼ばれた少女は、アスカトルの仮面を触ろうと腕を伸ばす
それをやんわりと押し退けて、アスカトルは背を向ける。そのまま二人は闇に溶けていった

「……ふぅ!全く、嫌になっちゃうな」
「けど、シュヴァルツがいなくなった以上はボクがやるしかないし……」
「うん!ボクも頑張らないと!聖杯を奪い返さないといけないしね!」

「あははははははははははははは!!」





「……あれ、あたし」

目が覚める。簡素な布団の中で、横たわる自分を自覚した
先程まで話していた青年の姿は無い。あるのは転がり込んだボロ家の天井だけ

「寝てたの……よね?にしては随分……」
「あ……る、ルゥナ」「ん?何よ、少々森」

「お、おはよう?」
「おはよう。ところで、何で疑問系なのよ」
「あ……合ってるか、自信、無くて」

ルゥナの起床を確認したのか少々森が話しかけてきた
おずおずと挨拶を交わす少々森。こめかみに指を当てつつ、

「合ってるわよ。あんた、人と喋った経験無さ過ぎない?」
「……ごめん?」「謝んないでよ。鬱陶しいだけなんだから」
「……わかった?」「よろしい。あんまり謝るものじゃないわよ」


「ルゥナさぁん!また虫がご飯の中に入ろうとしてるんですう。焼き払ってくださいよう!」
「虫さん、かわいいのに……」

「ベル、あんたがやりなさい」
「そんなぁあああああ!?!?ベルは虫が嫌いだって知っているじゃないですかぁ!?」
「初めて聞いたわよ!さきちゃんが泣きそうになってるじゃない!」


【朝の行動】
1:会話(人物指定)
2:その他(何かあれば)
↓1





「むぐ、むぐ」
「おねーちゃん、ちこくするよ?」
「ん。……急がないと、駄目?」

のほほんとした返答を返しつつ、パンをもしゃもしゃと噛みついている
この調子だと遅刻するのは確定する。なので、問答無用で牛乳を口に注ぎ込ませた

「駄目に決まってんでしょ。あたしまで遅刻したらどうすんのよ」
「ほら、早く流し込みなさい。詰まったら背中を叩いてやるから」
「むむ、ん……ごくん」

強引に突っ込んだにも関わらず、問題なく飲み込む少々森
意外と健啖なのだろうか。もう一切れパンを口に咥え始めた

「止めなさいバカ!本当に遅刻するから!」
「……駄目?」「あんた、今までよく生きてこれたわね……」
「ねー」

急かした結果、どうにか遅刻は免れた
少しくらいなら話をする余裕も作った。せっかくの機会、何か話しかけてみてもいいか……



1:家族について聞いてみる
2:好物について聞いてみる
3:その他
↓1





「……ねえ、あんたに聞きたいんだけど」
「もしかして、あんたはずっとあんな生活をしてきたワケ?」
「ん、……おかしい?」

「おかしいに決まってるじゃない!文化的な最低限の生活すらギリギリなのよ!?」
「普段から使ってるお金だってそうよ!出所はどこなの?」


「……捨てられてる空き缶。帰りに拾ってる」
「持ってくと、お金に変えてくれる。……おかしい?」
「……ウソでしょ」

少々森の言葉に絶句する。それはもう、ホームレス同然の生活ではないか
学費の事情も、おそらくは家庭事情から免責されているのかもしれない
そこまでの事はわからない。知らない方がいいのだと、自分を納得させた

ただ、あまりにも衝撃的だった。目の前の少女は自分よりも遥かに過酷な所にいたのだから 


「……ちょっと待ってて」
「?」

手近な自動販売機を見つけると、手持ちの小銭で赤い炭酸飲料を二つ購入する
二本目は少々森に突き出すと、無理矢理に手に握らせた

「これ、あんたにあげる。勘違いしないでよ。喉が乾いたからジュースを飲むだけだから」
「哀れんでる訳でもないし、馬鹿にしてる訳でもないわ。ただ……」

「一緒に飲んだ方が美味しい。からよ!」


「ありがと?」「だから違うっての……もう行くわよ。少々森」
「……甘い、ちくちくする」

口を付けつつ歩く少々森。炭酸の感覚は新鮮なのか、おっかなびっくり飲んでいく
ルゥナもそれに合わせるかの様に、炭酸を飲んでいく。学校に付く頃には既に飲みきっていた

「ほら、空き缶。洗って潰しといたから」
「……ルゥナ」「何よ」

「嬉しい。大好き」
「っ、ああもう!話のわかんない奴ね、本当に……っ!」






「姫!おはようご」
「って少々森お前えええ!!いつの間に姫と仲良くなりやがったあああ!?」
「そんな訳ないでしょ。あんたにはどう見えてんのよ」

「チックショウ少々森お前、中学の頃とは随分と雰囲気変わったじゃねえか!」
「地味なのは相変わらずだけどさあ!高校入学してからなんかこう……デビューか!?」
「さっきから何を言ってんの?」


支離滅裂な言動を繰り返す縦島を睨みつける
当の少々森は意味がわかっていないのか、自販機でルゥナが買ってあげたジュースをちびちびと飲んでいた

「あれ、施経は?あいつが欠席なんて意外ね」
「なんか体調不良らしいっすよ!後で俺が行くんで気にしないでください!」
「で、も。お見舞い」「うるせえええ!来たら本当にアレだかんな!なー!」

見舞いに行かせまいと叫ぶ縦島。顔には『女子に家に来て貰うのは許せねえ!』と表れている
この様子では、下手に施経に会いに行くと縦島がうるさいだろう。関わらない方がいい

やかましい縦島を他所に、着席する。朝の授業は、まだ始まってすらいないのだから



【お昼の行動】
1:会話(人物指定)
2:その他(何かあれば)
↓1





「はぁ……疲れた」
「あれ?まだお昼だよ、ルゥナ」
「疲れるには早過ぎるんじゃない?体力が無い方だったりする?」

ひょこっと顔を出すランサー。因みに、ここは用具室の端っこ
少し、一人になりたい気分だったのだが……デリカシーの無い時計男にぶち壊された

「何の用?ランサー」
「いやぁ~ちょっと作業の休憩も兼ねて学校に来てみたんだけど」
「後、ルゥナがオレに用事あるならやっておこうかな~って」

「適当ね。カラスでも虐めてなさいよ」
「あれ、ルゥナってオレの真名知ってたっけ」



1:夢の中で聞かれた。と答える
2:カラスとどういう関係なのか聞く
3:その他
↓1





「うるっさい!というかあのカラスは何よ!」
「あんた、カラスとどういう関係なの!?時計とカラスって何なのよ!」

「え、ルゥナってカラス好きなの?いやあ知らなかったな~」
「違うっての!ああもう、あんたの真名を教えなさいよ!」
「それだとルゥナのために「それはもういいんだってば!!」

ランサーのお題目を叫んでキャンセルさせた。できる限りの小声で詰め寄る
しかし当のランサーは暖簾に腕押し。ここで素直に答えるつもりは無いだろう


「いいから!教えなさい!マスター命令!」
「え~~~」「令呪使うわよ!?いいの!?」


【コンマ判定:ランサーの反応】
【1に近い程微妙。9に近い程真名に近い】
↓1



7:割りと近い


「う~ん……じゃあ、少しだけ教えてあげる」
「あいつらはカラスなんだけど、少し違う」
「あれは人間の『惰性の具現』。要するに、足を止めさせる弱気の象徴なんだ」

ランサーの話に耳を傾ける。あれはカラスの姿を借りた人間の弱さなんだと

「オレはそいつを潰して、先へと進ませる事を祈られていてね」
「ま、あれとオレは切っても切れない関係って事だよ。時計の長針と短針みたいに……」
「ずっと追いかけて、追い付いて。また先に、先に進んでいく」

「……あんた、どこの国の英霊なの?」
「さあ?オレもよくわからないんだよね!」

あっけらかんと言い切るランサーに、ルゥナは不思議な感覚を抱く
カラスは弱さの象徴。では、この英霊はどの様な人物なのだろうか

疑問は解決しなかったが、少しは理解出来たのかもしれない
やはり、相性で喚ばれたにせよ完全に理解する事は不可能だと感じるのだった






それは、突然の出来事だった
監督役からの信号が、坂松の空に光る。緊急の事態が起きた証拠

勿論それを無視する程、ルゥナも反抗的ではない。わんさかいた虫を使い魔にして、教会の中に潜り込ませた
視界を通じて見ると、暗闇の中でも尚強く輝くグレイトの姿が克明に映る。恐らくは他の参加者も、同様に身を潜めているだろう


「……諸君。今宵はお集まり頂き感謝する」
「いや、いない陣営もいるかもしれぬ……だが、しかし!これは重要な告知ゆえ、早々に伝えさせて戴こう!」

重厚な声で語り始めるグレイト。その厳かな空気に、使い魔越しのルゥナも息を飲む

「本日未明、匿名の者から神秘を逸脱した行為を行う陣営がいるとの情報が寄せられた!」
「殺人、神秘の漏洩、姿の隠蔽を無視する等の行いは聖杯戦争においてあってはならぬ!街に暮らす人々を脅かす者は断ぜねばならない!」





「よって!ここに『討伐令』を施行する!」
「対象は『バーサーカー』!討伐者には令呪を進呈する事をここに宣言する!」
「そして、今これより『他陣営との戦闘』の自粛を要請する!以上!」

語り終えた監督役の宣誓は、既に全陣営に通達されただろう
聖杯戦争が動き出した。その予兆を示すかの様に



【本日はここまで】


【それではそろそろ。再開します……】




「……成る程ね」
「ととと討伐令!?ま、まさかベル達を」
「バーサーカーよ!あの気味悪いバケモノ!」
「いい機会だし、あたし達で仕留めてやるわ。令呪も貰えるんだし!」

「……本当に、それでいいのかな?」
「ぎゃあああああ!!時計のバケモノ……って、ランサーさんじゃないですかぁ!」
「それでいい。って……当たり前じゃない。監督役が嘘ついてるとでも言いたいの?」

討伐令への意気を燃やすルゥナに疑問を呈するランサー
顔は時計そのものだが、どこか不審を感じた様にも見えた

「嘘。というかさ、その情報がどこまで正確か調べてみてもいいんじゃないかな?」
「どれだけの被害があった。とか……そういう事を不明瞭にして行動するのは駄目だよ」
「意外ね。どうしたの?普段のあんたなら一目散に動いてると思ったのに」


「……まあ、色々あるからさ!ルゥナも考えながら動いてよ」
「何よそれ。あんたって、時々要領を得ない事を言うわね」

誤魔化す様な言い方は、ランサーにしては珍しい。若干の違和感を感じつつも、行動を起こす事にした
バーサーカーを探して、倒す。それだけの事なのだから



1:探索(コンマ判定)
2:会話(人物指定)
3:その他
↓1





「……ま、とにかく探して叩くわ」
「探し回れば何かあるでしょ。行くわよ」
「無計画だなぁ~」 

呆れたのか、ランサーの声もやや重い。しかしそれしかないのもまた事実
もたついた結果、バーサーカーを先に倒されては元も子も無いのだ

「黙ってなさい!そもそも、そういうあんたはどうなのよ!」
「無駄な特技のインターネットで、何とかしてみなさい!」

「え~……じゃあ、次からそう言ってよ」
「今!から!しなさい!」
「気が乗らないなぁ……」

明らかにやる気の無いランサー。先程もそうだが、何故か討伐令に消極的だ
その理由を問い質すのは、また今度。ルゥナは夜の街に繰り出してみた



123456:見つからず
78:何らかの情報が
9:???
↓1



7:何らかの情報



「……取りあえずわかった事を纏めるわ」

街を少し散策し、人々の話す噂に耳を立てる
その結果、バーサーカーの行動が多少は明らかになってきた


「最近になって、市街地で人が通り魔に襲われているみたいなの」
「その特徴が、ハサミや包丁を振り回す怪物。要するにバーサーカーという事ね」
「……ま、それだけだけど」

「でも、その姿を見た人はいないんだよね?」
「何言ってんのよ。噂になってるんだから一人くらいはいるでしょ?」

ランサーからの質問に、裏のある態度を感じる
具体的にどこが。と言われると、答えられないのだが……

「……言いたい事があるなら言いなさいよ」
「それだとあんまし意味無いんだけどなぁ……まあ危なくなったら言うよ」

飄々とした態度を崩さないランサーに、若干の苛立ちを覚えるルゥナ
が、強引に聞き出すのも悪手だろう。暫くは好きに行動させた方がいいのかもしれない


「……ランサー。あんたは好きに探索しなさい」
「あたしはあたしでやらせて貰うわ。身の危険があったら呼ぶから」
「オッケー。それじゃ、また後で」

闇に溶ける様に消えるランサー。霊体となり、去っていく
ルゥナは単独で街に戻る。何かあるかと探し求めながら




「見つからないわね……」

暗闇を歩きながら、ルゥナはボソリと呟いた
バーサーカーの姿は一度見ている。あれだけの巨体を隠しながら動くのは困難だろう
ましてや狂戦士のサーヴァントは理性を失う。意図して身を眩ますのは不可能なはずだ

稀に、狂化の影響を受けない者。狂化の影響下でも論理的に動ける者もいるが……アレはその様な例外には見えなかった


「そもそも、あのバケモノはどこでどんな犠牲を出したって言うのよ……」
「あれ以降全然見てないってのに!隠れてコソコソと……っ!?」

「……止まりなさい。ランサーのマスター」
「今から、私の質問に答えて貰うわ。拒否すると、ランサーを呼ぶと言うのなら」
「私の銃弾が、貴女の顔を撃ち抜くわ」

眼前を横切る弾丸に尻餅をつく。立ち上がろうとする前に、現れたアーチャーに銃を突きつけられた
この距離では逃げられない。ランサーを呼んで抵抗するにも、良くて刺し違え。悪ければ無駄死にだろう

「な、何よ……?あたしは、ランサーのマスターなんだけど」
「知ってるわよ。私も、出来れば手荒な真似は取りたくないの」
「下手な事は考えず、私の質問に答えなさい」



「……バーサーカーは何処にいるの?」
「余計な事はいらないわ。素直に答えなさい」



1:知らない。と答える
2:マスターはどうした。と答える
3:その他
↓1





「……知らないわよ。ていうか、こっちが聞きたいわよ!」
「嘘よッ!本当の事を言いなさい!」
「知らないってば!」

銃を突き付ける手が震えている。激昂するが、まだ此方を殺そうとはしてこない
とはいえ、そんなものは此方も聞きたい。第一どうして自分にそんな質問をするのだろうか


「交渉がしたいなら、あんたのマスターとしてやるわよ!何処にいるの!?」
「っ、そんな事、関係ないでしょう!?これは私と貴女の問題なんだから……!」
「……もしかして、あんたの独断なの?」

ルゥナの言葉にはっと息を飲むアーチャー
どうやら当たりの様だ。手の震えが更に酷く、大きくなる

「そこまでだ。アーチャー」
「行動を停止し速やかに銃を下げろ。マスターからの命令が聞けないのか?」
「…………っ」

突然、闇から無機質な声が響く。アーチャーの腕を掴みあげて制止を命じた
不服そうに睨みながらも、指示通りに銃を下げて背を向ける

「オレのサーヴァントが失礼した。不用意な戦闘は停止する」
「待ちなさいよ!……アーチャー、何であたしを狙ったワケ?」





去り行く二人に、疑問をぶつける
その声にアーチャーは振り向き、憎々しげに睨むと話し始める

「……感じるのよ。貴女から、あのバーサーカーの気配を」
「ほんの微かだけど、間違えない。私は必ず、救わないといけないのよ……!」


 ◆気配察知:C- (種別:異能 タイプ:常時)
  他人の悪意を察知する超感覚。
  近距離ならば同ランクまでの気配遮断を無効化し、それ以上ならランク分削減できる。
  己に向けられる悪意の鋭さから習得したものである為、悪意・殺意を伴わない者に対しては効果が減退する。


「……貴様、ガイスロギヴァテスの者だな」
「オレは『ストレングス』。……この名を知るのであれば、邪魔をするな」

「あれは私の獲物……誰であれ、それを邪魔する事は許さないわ」
「次に会った時……私の妨害をするのであれば、貴女にも銃弾を撃ち込むわ」

アーチャー陣営からの剣呑な殺気。関わるなと如実に伝えてくる
二人の姿が完全に消えるまで、その姿を目から離す事はしなかった






朝、異様に早く目が覚めた
昨夜のアーチャーの言葉が引っ掛かり、思考の整理がつかなかったからだ

「バーサーカーの正体……?何かに化けているとでも言いたいの?」
「けど、そんなの心当たりないっての……」

「おねーちゃん、おはよー!」
「あら、さきちゃんじゃない。おはよう」
「今日ねー、ランサーさんにおそわってめだまやきやってみたの!」

「おはよ、ルゥナ。昨日は疲れたでしょ」
「はい。ブドウジュースとパンだよ。買ってきて貰ったんだ」
「……そういえば、あんたってお金はどこから調達しているワケ?」

パンをもしゃもしゃと齧りながら、ランサーのやたらと豊富な資金源に疑問をぶつける
金銭に困らなくなるスキルもあると聞く。このサーヴァントもその手のスキルが……


「ああ、オレは最近コリーの動画の編集作業を担当していてね」
「コリーのスパチャの分け前を少し貰ってるんだ。だからそんなに無いよ?」
「あ、そう……」



1:会話(人物指定)
2:その他
↓1


【安価を確認して、本日はここまで】


【本日はお休み…】


【それでは、再開します】




「ねー、ねー!おねーちゃん!」
「あたし?どうしたのよ、さきちゃん」

さきちゃんは、珍しくルゥナの方にとてとてと歩いてきた
普段は少々森の膝の上が定位置の彼女だが、今日はルゥナの裾を掴んで座っている


「るーなおねーちゃん、おねーちゃんと仲良くなったの?」
「おねーちゃん?」「わかこおねーちゃん!」

ああ。と合点が行く。少々森のフルネームは、少々森 若子(さざもり わかこ)だ

「そうね……どうして急にそんな事聞くのよ?」
「おねーちゃん、さいきんよく笑うの!るーなおねーちゃんっといっしょはたのしいって!」
「ふぅん。あいつ、笑う事もあるのね」

振り向くと、視線の先には無表情の少々森
前にジュースを奢った際にも微かに笑ってはいたのだが

「……あいつが笑うのって、珍しいの?」
「うん!ずーっとかなしそうな顔をしていたんだもん」
「全く、妹を悲しませるんじゃないっての」



1:両親はどうしたのか聞く
2:いつからこの生活をしているのか聞く
3:その他
↓1





「そう言えば、あんた達の両親は?」
「ずっと姿を見ないし、話にも出ないけど」

「え、えっと……その……」
「……言いづらいなら、言わなくていいわ」


言い淀む姿から、言えない事情を察するルゥナ
恐らく、その事情はルゥナも知っている。二年前に起きた大災害……

「さきちゃんが何歳か知らないけど、この街は一度、人工の4分の1が消えているの」
「死者だったり、行方不明だったりするけど、とにかく大勢の人がいなくなった」
「……大丈夫よ。もう二度と起きないし、起こさない。あたしが絶対に止めてあげるわ」

「おねーちゃんは、ゆるせない?」
「当たり前よ。もしもまた出てきたら、絶対にあたしが潰してやるわ」
「そっかー……」

しょんぼりとした顔をするさきちゃん。不安になったのだろうか
自分のせいで落ち込ませてしまったのかもしれない。頭を撫でてやり、笑顔を見せる

「気にしなくていいわよ。もう終わった事なんだから」
「さきちゃんも元気出しなさい!ほら、綺麗な顔してるんだから」
「! ありがとー!るーなおねーちゃん!」


パタパタと走り出す。その元気な姿に見ているこっちも癒される

「……おねーちゃん。やくそくしてくれる?」
「何があっても、わかこおねーちゃんにひどいことをしないって」
「いいわよ。あたしだって無差別に傷つけるのは本意じゃないわ」

指切りを交わす。にこっと微笑むさきちゃんは本当に嬉しそうだ
……そして、こんな子供の幸せを奪ったアバドン。エーデルワイスを許せない。その決意を固く引き締めて






「おっす。悪い悪い」
「昨日はちょっと体調が……って、何してんだよ縦島は」

「寄るなああああ!!そうやって病人だからって心配されようとしてるんだろ!?」
「いやいや、その発想はいくら何でもおかしいだろ!」
「元気ねーあいつらも……」

教室に入った途端、縦島は近付いてくる施経ににじり寄って騒ぎ立てる
ルゥナと施経の間に割って入る。少しもルゥナには触れさせまいと、壁のように立ち塞がった


「……ま、いいわ。今日も討伐令の為に動きたいと思うんだけど」
「ランサーがうるさいのよね。何をすればいいのかしら?」

喧騒から離れ、独り言を呟くルゥナ。それほど討伐令の報酬は魅力的なのだ
しかし、何故かランサーは否定的な態度を取り続けている。その理由も教えてはくれない

「……そう言えば、探偵事務所の連絡先を貰ってたわね。あたし」
「時間帯は夕方までだから、放課後から行っても間に合いそうだけど……」




1:探偵事務所に行ってみる(行動消費)
2:会話(人物指定)
3:その他
↓1





「……ま、行ってみようかしら」
「探偵なら、何か知ってるかもしれないし」

このまま独自にやっても、よい結果ぎ出せるとは思えないので、放課後に向かう事にした
名刺に書かれた住所に向かうと、そこにはオンボロなビルがひっそりと建っていた


「お!依頼人か?依頼人だな!」
「依頼人が来たぞー!茶を寄越せー!」
「お茶を飲むのはマキちゃんなのかナ!?」
「何なの……こいつら……」

ビルから飛び出してきた女性に腕を掴まれる
ぎゃあぎゃあとわめきたてるのを余所に、別の女性がルゥナに話しかけてきた

「ごめんね。マキちゃんノリが独特で……」
「マキの字が迷惑をかけたな、御仁。急に現れて怖くなかったかね?」
「怖いと言うか意味がわかんないと言うか……」

「ん……、君はあの時の」「恋都!……じゃなくて所長!依頼人です!」

表れたのは顔に大きな傷のある女性。夜の街で出会った探偵だった
後ろの三人は社員だろう。彼女の後ろに立ち、ルゥナと距離を取った

「私は神楽探偵事務所の所長。神楽 恋都だ」
「何か依頼があって来たのか?……とにかく、話を聞かせてくれ」



【自由安価。探偵に聞きたい事について】
【情報の精度についてはモノによって変動します】
21:55から
↓1~3




事務所に通されたルゥナは、お茶を目の前にして黙り込む
顔を伺う恋都は真剣な顔つきだ。ここはこっちから言い出そう

「実は、あたしは今追っている事があるの」
「ここ最近……不可解な殺人事件が起きているのは知っているかしら」

ルゥナは話を切り出す。バーサーカーの起こしたであろう事件の事を

「……それ、は」
「探偵なら知ってるわよね。なるべく不可解な点のある事件を教えてくれないかしら」
「あーちょい待て。それは無理だ」

「何でよ!探偵なら調べてあるはずじゃ」
「守秘義務ってのがあるんだよ。だからアタシ達からは無関係なお前には言えねー」
「私達じゃなくて遺族の人の問題もあるから、簡単には言えないんだ……」

頭を下げる心優しそうな女性。その態度からは知っているが言えないという雰囲気が伝わってくる
これ以上は同じ質問は難しいだろう。早々に切り上げて別の話題を提示した


「……じゃあ、最近になって表れた怪物について教えて貰おうかしら」
「ッ!?」

「ハサミや包丁を振り回す、巨大な姿の怪物がこの坂松の町に跋扈しているそうじゃない」
「あんなに目立つ姿ならわからないはず無いしそっちでも何か……」


「はっ……はっ、ハッ、ハッ……!」
「はぁ、はぁっ!ハッつぅううぅう……!」

「ど、どうしたの?大丈……」






「うぅ、うっ!げえええええっ!!」
「ぎゃああああああああっ!?吐いたああああああああ!?」

突如、目の前に座る探偵が吐き出した
怪物の話をした途端に様子は明らかに乱れ、情緒は不安定になっていた
この様子を察したのか、先ほどの三人が慌てて駆け付ける。メガネをかけた女性が、他の二人に指示を出していた

「マキの字は恋都を別室に!ユキは事務所の掃除をしておいてくれ!」
「押忍!」「わかったよ!」
「それと……汝は此方に。申し訳無いが席を移動しても構わないか?」

了承するルゥナ。そそくさと別室に移動し、彼女から事情を語られる

「まずは、お詫びを。汚れていないかね?」
「……大丈夫よ。あれは何?」

「む……汝は、二年前に起きた魔獣事件を知っているかね?」
「まあ、名前くらいなら」


二年前、とあるマスターが放った魔物が一般人に襲い掛かるという事件が起きた
幸い規模は狭く、またまばらであった為に討伐令は出されなかったものの……被害者は出ていたらしい

「彼女はその被害者でな……顔と全身を大怪我、全国大会を諦めざるを得なくなってしまった」
「故に、恋都はその事が深いトラウマになっている。私が代わりに謝罪しよう」


 ◆怪物の幻影  
  消えないトラウマ。彼女を突き動かす強迫観念。  
  二年前、突如現れた正体不明の怪物に顔や腕を食いちぎられて以来、その幻影に苛まれ続けている。  
  怪物騒ぎは既に解決されているとは聞いているが、それでもあの怪物が現れないと確信できるまで、彼女は日常には戻れない。  
  街のあらゆる情報を集めるのも、逃走術を磨き上げたのも、そうしないと安心できないから。



「……そうだったの」
「それで、件の怪物だな?それに関しては独自に調べている故私から話そう」






「あの怪物が最後に目撃されているのは、どうやら『一週間前』の様だな」









「……一週間前?」
「あくまでも私達の調べた範疇、だが」
「しかし、情報の正確さには自信があるぞ」

何を言っている?頭の理解が追い付かない
バーサーカーの姿はルゥナも見ている。しかし最後に現れたのは一週間も前……

それでは、最後に出会ったのはルゥナという事になる。どうしても辻褄が合わないのだ

「どういう事?バーサーカーが起こした事件のはずなのに」
「ごめん。落ち着いた……君、気分を悪くしたなら謝る」
「あんたこそ。また吐き出されたら困るから横になってなさい」

出てきた恋都は、申し訳無さそうに頭を下げる
ルゥナは事情を理解した。彼女もまた、聖杯戦争の被害を受けたのだから


「……ふぅ。まあ、これは後であいつらと話すとして」
「最後に聞きたいんだけど、この街の市長ってどんな奴なの?」
「市長……坂松、鳥仁……!」

「おかしい、おかしい、おかしい!奴はこの街に起きた事を知っていた、事件への対処が早すぎるんだ!」
「そもそも二年前もそうだ。どうして、あの年だけあんなに不可解な事件が……!」

市長について口に出すと、恋都はまたもや感情を爆発させる
これ以上は無理と判断したのか、メガネの女性と優しそうな女性が恋都を連れて部屋に戻る。残されたのは先程のうるさい女性


「あー……まあ、アレだ!あの市長、メッチャ怪しいよなって話だ!」
「アタシ達も調べてるけど……正直証拠の隠滅がやたら上手いんだよなー」

「じゃあ、何も掴めてないって事?」



【???】-3
【探偵事務所の執念】+3
総計:補正無し
1234:何にも
56789:情報アリ
↓1


9:決定的なやつ

【という訳で、本日はここまで】


【本日はお休み…】


【ゆっくりと再開します…】





「ふっふっふ……アタシを舐めんじゃねー!」
「あの二人と恋都には秘密だが、アタシは遂に決定的な証拠を掴んだのだー!」 

自信満々に両手を突き上げる。渾身の特ダネであるのは間違いない
ドヤ顔が鬱陶しいものの、それだけ自信のあるネタなのだろう

「ちょっ、それ教えなさいよ!」
「ヤだね!これを出版社に持ってけば情報提供費でガッポガッポ……」

「マキちゃん?それはどういう事かな?」
「げェー!?いつの間にィ!?」
「恋都ちゃんが横になったから、依頼人の子の所に来たら……マキちゃん?」

優しそうな女性が、うるさい女性へにっこりと微笑む
あまりにも優しいその表情は、逆に怖気立つ程に思えてきた

「あー……わかった、わかった!けどこれは誰にも秘密だかんな!」
「わかってるわよ。で、何が見つかったの?」

「へっへっへ……聞いて驚くなよ!なんと、密会の現場を押さえたんだぜ!」

「密会?」「そら、最近見ない胡散臭い神父がいただろ?」
「アタシの執念の張り込みによって、遂にその証拠写真を手に入れたんだぜ!?」


……最近見ない、胡散臭い神父?
その言葉を聞いた途端に、頭に思い浮かぶのはただ一人の人物しかいない

「その写真、見せて貰っても、いいかしら」
「応よ!これで、あの市長が教会と癒着してるスキャンダルの証拠にして……」

女性が何やら言っているが、それすらも耳には届かない
そこにいたのは、怨敵であり、そしてガイスロギヴァテスが追いやられた元凶……

「ロベルト……!」









『……何?ロベルトが、市長と?』
「そそそんなぁ!?確かあいつ行方不明って」

帰宅するや否や、直ぐにベルとコリーに連絡を入れる
集まったのを確認すると、手に入れた写真を皆に見せる。反応は驚愕するものばかりだった


「ずっとあの市長が匿っていた。ってのが真相でしょうね」
「見つからないはずよ……とにかく、あの市長とエーデルワイスはグルって事」
「監督役も怪しいわ。あいつら、裏で何をしてるかわかったものじゃない」

「なら、ルゥナはどうする?このまま討伐令を優先して動く?」
「……バーサーカーが最後に目撃されているのは一週間も前の話よ?それなのに討伐令を出すのは不自然過ぎるわ」
「あの監督役、一度話を聞いてみても……」

ふと、ランサーが此方を見て笑っている事に気がついた
そう言えば、まるでこの事を知っていたかの様な言動はいったい……

「オレはルゥナの指示に従うよ?サーヴァントだからね」
「もしかして、あんたは知ってたの?」「さぁね~」

とぼけるランサーの態度が癪に触る。まるで、全てを見越していたと言いたげに
しかし、夜では市長も役所にはいないだろう。今やるべき事は……



1:移動(場所併記)
2:会話(人物選択)
3:その他
↓1





「……失礼するわ」
「ごめんください。とは言わないわ、あんたには聞かなきゃいけない事があるの」

夜の教会は痛いくらいに静まり返り、ルゥナの声だけが虚しく響く
グレイトの鎧の輝きは見えず、ここに滞在しているはずのユーニスとキャスターも出てこない

こっちが来ている事は既に把握しているはず。それなのに、どうして顔を見せない?

「ちょっと……どうして出てこないの?聞こえているんでしょ!?」
「早く誰か出てこないと、ランサーをけしかけさせるわよ!」

叫ぶルゥナ。誰もいない空間に、少女の声が木霊する……



123:誰も出ず
45:キャスター
678:グレイト
9:???
↓1




叫び続ける事、およそ数分
そろそろ喉が痛くなってきた頃、扉から漏れる程の閃光で黙り込む

「おや、失礼した!恥ずかしい、手入れに集中していて気づかなんだ!」
「どうかしたのかな?監督役として出来る限りのサポートをしよう!」

「わ、わかったから少し離れて……」

直視すると目が焼ける程の目映さが、ルゥナの目へと襲い掛かる
すまない!と下がるグレイト。それでも真正面から見るには刺激が強すぎる

この監督役は苦手だ。性格もそうだが、眩しすぎて話続けるのは辛いのだ
それでもせっかく来たのだ。何を話すべきか……



1:ユーニスとキャスターはどうしたのか
2:鎧の手入れはそんなに熱中するものなのか
3:その他(迂闊な事を聞くと死にます)
↓1




「……その鎧の手入れ、そんなに難しいの?」
「あたしの声が聞こえなくなる程、熱中していたのかしら」


「む?ああすまない!気にしていたかな?」
「前にも言ったが、この鎧は我が信仰の具現であるからね!手入れは信心込めて行っている」
「ついつい熱中してしまった!この通り、謝罪しよう!」

とりあえず様子を見て、他愛ない話題を切り出す
頭を下げるグレイトに悪意は感じない。ルゥナの所感では嘘をついていなさそうだ

「待たせてしまった様で申し訳ない!どうも、二人とも手が離せない様で気づけなかった!」
「二人?ユーニスとキャスター?」「うむ、二人とも研究だ何だと部屋に籠っていてね!」

……どうやら、二人が来なかったのは単に集中のし過ぎであったかららしい
何とも言えない真相に肩ががっくりと落ちる。どんな反応をすればいいのか……

「ところで、私に何か用事かな?」
「何でも答えよう!それが監督役である、私の責務であるのだからね!」



21:25から
※以下のものに追記することも可能です
1:討伐令について
2:エーデルワイスについて
3:その他(迂闊な事を聞くと死にます)
↓1




「……エーデルワイスについて、聞きたいの」

「あんたの補佐役のアーディー。それに、前回の監督役だったロベルト」
「知っている限りの情報を、あたしに教えて」

考えに考えた。鎧の奥の瞳は前に見た時と変わらないはずなのに
今は何故か、とても寒い。ただの杞憂なのか。まるで周りに目がある様な錯覚に陥る

「ふむ……しかし、エーデルワイスについては私も詳しくはわからないのだ」
「この前の答えでは不満かね?良ければだが、今度彼女も交えて話してみるのはどうかな?」
「そうだ、それがいい!彼女と君はきっと良き友となる!私はそう感じている、この輝きに誓い、断言しよう!」

……ダメだ。恐らく、彼からではエーデルワイスの情報は引き出せない
とぼけているのか、それとも本当に詳しくないのかはわからないが……それだけは理解した

「すまないね……他に、まだ質問はあるかな?」
「何、君が満足するまで答えよう!夜は更けて来てはいるが、勤めを放棄する事はしない!」




1:討伐令について
2:前回の聖杯戦争について
3:その他(残り1回)
4:もういいです(コンマ判定)
↓1


【これも追記アリ。このレスは判定に含みません】

undefined

undefined





「……じゃあ、バーサーカー陣営については?」
「討伐令を出すくらいなら、情報を持っているんでしょう?」

「勿論だとも!情報は有志によって提供されているからね!」
「ステータスは以下の通り……スキルは、恐らくこの様なものを所有しているはずだ!」


「奴はついこの間も事件を起こしたらしい……!一介の、街を愛する者として!これ以上の凶行を見過ごす訳にはいかないのだ!」


鎧の懐からファイルを取り出す。無駄に便利な収納があるなと思わず感心した
手渡された中身をパラパラと捲る。ステータスは見た時と同じ。スキルにも目を通していった


『バーサーカーのスキルを開示します』
 ◆【恐怖の相貌】:A+    
  彼女の????????としての本質である、認識した物を恐慌状態へと陥れる悍ましき相貌。
  同ランク以上の対精神スキルを持たない者は強制的に恐慌状態へと陥り全ステータスが1ランクダウンする。  

 ◆【精神感染】:B    
  恐怖は感染する。    
  バーサーカーを語る????????の爆発的な拡散がスキルと化したもの。    
  ただそこにいるだけで、その地域に謎の怪物の噂が蔓延していく。        
  怪物態で戦闘を行う、もしくは怪物態のままで一日を終えることで聖杯戦争の開催地域で謎の化け物の噂が広まっていく。  

 ◆【追跡】:C    
  撤退した者に対し判定を行い、追撃が可能。その際一時的に俊敏のステータスが上昇する      


監督役は、鎧に手を当てて怒りに震えていた
……おかしい。今の話には不可解な点がある。それを追及するべく、ルゥナは口を開いて……



1:「有志って、誰の事よ?」
2:「バーサーカーは、一週間前から姿を見せていないのよ?」
3:「貴方、本当に監督役なの?」
↓1


【すみません。抜けが……以下の文も追加です】
※この質問に追記は出来ません
※↓1~3まで、コンマの一番高いものを





「……バーサーカーは、一週間も姿を見せていないはずよ」
「それなのに、なんであんたは『ついこの間』なんて断言したのよ」

「む?いや、しかしだね。確かに被害者は出ているそうなのだよ」
「それに凶器!鋏や包丁、メスといった刃物を扱う英霊はバーサーカーしかいないはず!」
「人を殺し続けるその所業、これ以上は見逃せない!それが我々の意思なのだ!」


「……あんた、さっきから又聞きの情報しか話してないじゃない」
「私も確かに死体を見た訳ではない。既に手配され、隠滅された後だった」
「だがそれに疑う理由はない!私よりも先んじて神秘の秘匿を護る者だっているのだから!」

間違いない。監督役は『実際にバーサーカーを見ていた訳じゃない』。全ては、情報を頼りに動いていただけに過ぎないのだ
問題はその情報源。それが何かを探る必要があるのだが

「では、君はどう思うのかな?ガイスロギヴァテスのお嬢さん!」
「バーサーカーは無実だと、そう感じているのかな?」「あたしは……」

「安心したまえ。正直に、君の心の思うままに答えなさい」
「約束しよう。私は絶対に秘密を漏らさない。この鎧に秘めし信仰と、グレイト・ガガルバートの名に誓って」



1:無実だと思う
2:犯人だと思う
3:その他
↓1





「……バーサーカーは、きっと無実よ」
「今すぐ討伐令を取り消して!貴方は、判断を誤ってるわ!」
「じゃないと……間違った罪で、冤罪で殺される英霊なんてあんまりじゃない……!」

「………………そうか」

ぽん。と肩に手を置くグレイト。ずしりと感じた鎧の重みで、少しだけ体勢が揺らいだ
そのまま手を離して、後ろに下がる。ステンドグラスから降り注ぐ月光が、グレイトの鎧を不規則に照らし上げた




「……君の、言う通りだ」
「私は情報を信じ、鵜呑みにし過ぎていた……どうかしていたのかもしれない」
「バーサーカーは本当に危険な英霊かもしれない。街に被害を多く出すかもしれない」

「だが!それでも!尊厳を踏み躙り!汚名を被せ!あまつさえ集団で抹殺させよう等あってはならない事!」
「ありがとう。そして申し訳ない、ガイスロギヴァテスのお嬢さん」
「この討伐令……暫しの間、停止とする!」

手を掲げ、光が夜に拡散する。恐らく彼の情報伝達なのだろう。急を要する為に、形式を無視した無作法は伝達


「これにて、討伐令は停止した。バーサーカーにはなんと謝罪すればよいか……!」
「それにしても……君はバーサーカーと出会った事があるのかな?」

「……一度だけよ」
「もう用は済んだわ。これからは、もっと慎重に考えて行動しなさいよね」
「そうか!これは痛い所を突かれてしまった!猛省し、次に活かすとしよう!」

教会から立ち去るルゥナ。背にはグレイトの手を振って見送る姿がくっきりと
……バーサーカーは無実。だとすれば、この討伐令を監督役に発令させた黒幕がいるはずだ

それは、いったい誰なんだろう……?











「……ルゥナ、キミは今、とても危うい道を進んでいるね」


「けど、それを否定する事はしない。いずれは歩く道なんだし」


「だから安心して。オレがキミの選択を護ってみせるからさ」


「……ただ、一つだけ今後のヒントをあげる」


「教会は安全な場所じゃない。そもそも、この街に安心出来る場所はどこにも無いんだ」


「……今はね」


「だけど約束するよ!オレはルゥナの選択を、絶対に最高、最善のものにする。ってね!」


【朝行動をキャンセルします】

【フラグを満たした為、自動で進行します】





朝、ルゥナは一人大きな扉の前に立つ
その先に待っているのは……意を決して、扉を開いた

「おや!おはようございます、お嬢さん!」

「若い子が私を訪ねに来るのは珍しくて、つい予定を開けてしまいましたよ!」

「このまま話をしていたい所ですが……私はまだ仕事があるのでね!手短にお願いしますよ!」
「学生と違って大人は忙しいんだ。話す時間は遠慮して貰いたいね」

思いの外、すんなりと市長室へ入室したルゥナ
高価そうな椅子に座り、笑顔を浮かべる市長の隣では隠れる事もせずにアサシンが立つ

その態度は明らかに此方を舐めている。小娘に対して警戒する必要は無いという事だろう
だが、最も疑わしいのはこの男だ。ロベルトとの関わり。市長としての権限
全ての証拠が、この市長に集約しているのだ


「……あたしはルゥナ。ガイスロギヴァテスの一員よ」

「これはこれはご丁寧に!私は坂松 鳥仁と申します。お見知りおきを!」
「そして、彼は私の信頼しているビジネスパートナー。浅見君です!」
「どうも。私の名前は忘れても構わないよ」

黒衣の男性が、軽く頭を下げる
嘘をつけ。こっちからはステータスが丸見えだ

キャスターの証言通り、アサシンのステータスは極めて低い。ランサーならば苦もなく倒せると断言出来る

とはいえここで争いは起こせない。令呪で逃亡を命じられる可能性もある
今は話し合いに終始しよう。この市長から、出来る限り情報を引き出さねばならないのだから



【市長へ聞きたい事、問い詰める事について】
23:10から
↓1~3


【恐らくこれ以上は増えないだろうと判断したので締め切り】

【そして本日はここまで。本当に、本当にお疲れ様でした……】


【本日はお休み】


【本日は描写のみ】



「……」

意気揚々と語る市長は、心の底から誇らしげ
だが街を守るその態度は疑いようは無い。問題は、それが此方と衝突しないか。だ

「じゃあ、あんた達は街を守る為なら……自分の為なら、手段は選ばないって言うの?」
「要点を得ない質問は止してくれ。何故、その発想に至ったのか教えてくれないかな?」

カチン。いけしゃあしゃあと話すアサシンの態度が、沸点を引き上げるほどに頭にくる

「あんた達が!裏で街に災害をもたらした奴と組んでいる事は知ってるのよ!」
「なのに、街を守る?ふざけんじゃないわよ!あんた達の発言は、明らかに矛盾してる!」

「………………おや、その話をどこで?」

一瞬。目の前の市長の顔から表情が抜ける。隣のアサシンもその眼光を鋭く光らせ

「……関係無いでしょ。そんな事」
「ええそうですね!これは失礼しました。私とした事がつい礼節を欠いてしまいましたよ!」
「お詫びにですが……先程の、お嬢さんの質問に答えさせていただきます」

「答えはケースバイケース!それが私の利益になるのであれば、話は別ですがね!」

答えると同時に、スーツ姿の女性が入室する。どうやら時間が来てしまったようだ

「おや!申し訳ありませんがこれでおしまいとさせていただきます!すみませんね!」
「では、私はお見送りを」「要らないわよ!」

馴れ馴れしく肩に触るアサシンの腕を払い、つかつかと市長室から出ていく
怪しいのは確かだが、それでも追及するにはまだ足りない

「覚えておきなさい。正しいのはどっちかを」
「あんた達が裏で何をしようが構わない。それで本当に守れるのなら、ね!」

不服そうな顔をするルゥナ。捨て台詞を吐いて退室した
その後ろでは、身支度を整えながら誰かに連絡を入れる市長とアサシン

その口元に笑みが浮かんでいた事を、ルゥナは知るよしもないのだった





意気揚々と語る市長は、心の底から誇らしげ
だが街を守るその態度は疑いようは無い。問題は、それが此方と衝突しないか。だ

「じゃあ、あんた達は街を守る為なら……自分の為なら、手段は選ばないって言うの?」
「要点を得ない質問は止してくれ。何故、その発想に至ったのか教えてくれないかな?」

カチン。いけしゃあしゃあと話すアサシンの態度が、沸点を引き上げるほどに頭にくる

「あんた達が!裏で街に災害をもたらした奴と組んでいる事は知ってるのよ!」
「なのに、街を守る?ふざけんじゃないわよ!あんた達の発言は、明らかに矛盾してる!」

「………………おや、その話をどこで?」

一瞬。目の前の市長の顔から表情が抜ける。隣のアサシンもその眼光を鋭く光らせ

「……関係無いでしょ。そんな事」
「ええそうですね!これは失礼しました。私とした事がつい礼節を欠いてしまいましたよ!」
「お詫びにですが……先程の、お嬢さんの質問に答えさせていただきます」

「答えはケースバイケース!それが私の利益になるのであれば、話は別ですがね!」

答えると同時に、スーツ姿の女性が入室する。どうやら時間が来てしまったようだ

「おや!申し訳ありませんがこれでおしまいとさせていただきます!すみませんね!」
「では、私はお見送りを」「要らないわよ!」

馴れ馴れしく肩に触るアサシンの腕を払い、つかつかと市長室から出ていく
怪しいのは確かだが、それでも追及するにはまだ足りない

「覚えておきなさい。正しいのはどっちかを」
「あんた達が裏で何をしようが構わない。それで本当に守れるのなら、ね!」

不服そうな顔をするルゥナ。捨て台詞を吐いて退室した
その後ろでは、身支度を整えながら誰かに連絡を入れる市長とアサシン

その口元に笑みが浮かんでいた事を、ルゥナは知るよしもないのだった



>>618の前に多分内容が何レス分か飛んでるように見えます




「あ!おかえりなさーい!」
「ルゥナさぁあん!!無事でしたかああ!?」

家に帰るや否や、抱きついてくる二人の少女
さきちゃんの年齢は不明だが、ベルは自分より年上のはずでは……

「いいじゃないですかあ。ベルは弱くて頼りにならないんですからいいじゃないですかあ」 
「情けない事言うんじゃないわよ。さきちゃんにすら負けて恥ずかしくないのかしら?」
「ルゥナさんが虐めるううううう!!!!!」

ベルが喚くと、さきちゃんは困ったようにおろおろと慌てふためく
見ると少々森は外をぼんやりと眺めている。星が出る時刻にしては、まだ早すぎるのに

「……あ。おかえ、り」
「どうしたのよ。何かあった?」
「ん……ん。何か、何か……」「相変わらず、訳のわかんない事言ってんわね」

「ほら、これ。お土産よ」

「…………あ、りがとう」「どういたしまして」

ぎこちなくお礼をいう少々森。帰り際に買ったジュースをちびちびと飲み始めた
今日は収穫が無かった。けどあの市長には何か裏がある

まだ夜がある。その時にも市長を監視して……





「皆っ!伏せてっ!」

そんな甘い考えは、迫り来る驚異の前には脆く崩れ去るしかなかったのに




>>620
【あっ本当だ……>>618の前にこれが入ります】


「………………」
「おや?どうかしましたかな?」

のし掛かる重圧が重苦しい。にこやかに笑う姿すら、ルゥナにとっては威圧になる
傍らに控えるアサシンにも気を配る。ここで手を下すまでも無いと、余裕綽々と笑っていた

このまま口を開かないなら、ここまで来た意味が無い。無理矢理にでも捻り出さないと……


「……まずは、ガイスロギヴァテスの人間としてお礼を言わせて貰うわ」
「我々が去った後、坂松の治安と復興を一手に引き受けてくれたそうじゃない」

「礼を言われる程でも無い。責任を投げ出した挙げ句、みっともなく戻ってきた連中の尻拭いをしただけだからね」
「全く、後始末すら出来ないとは行儀の悪い。そんな連中が街の治安維持とは面白くもない」

見え見えの挑発。思いっきり唇を噛んで耐える
この場で魔術をぶつければ、市長はともかくとして周囲にまで被害が及ぶのだから


「あっそ。……随分と手際よく動けたわね」
「市長として街に起こり得る災害は全てにおいて折り込み済みですからね!当然、聖杯戦争も知っていますよ!」
「……隠すつもりもない。って事かしら?」


「勿論ですとも!そしてこの街の復興はひとえに皆様の納める税金から賄われています!」

「清き、正しき資金でこの街を救ったのです!何を恥じる必要があるのでしょうか!」




>>621の続き】

「……まさか、避けられるとは思わないっての」
「そこのお前!中々の勘を持ってるようね!」

「勘じゃなくて、防犯だよ。一定の魔力を感知して知らせる様に張っておいたんだ」
「まあハッキングの応用なんだけどね。……奇襲なんてキャラに合ってなくない?セイバー!」


ボロ屋が大剣の一刀で両断される
ランサーが女性を押し留めている隙に一目散に外に出た
バラバラに倒壊し始める家の中、大剣を降ろしたセイバーが不敵に笑う
獰猛で好戦的な顔を隠そうともせず、ルゥナに禍々しい程の魔力を帯びた剣先を向けた

「あんたがガイスロギヴァテスのマスターね?なら、大人しくこのクソ剣の贄になりなさい」
「さもなくば、ここにいる全員を問答無用でたたっ切る!どうするの?」「なる訳ないでしょそんなの!!」

「ま、そう言うと思ったわ。だから、ここで皆死んで貰うからね!」
「させないよ!ルゥナも、皆も!」

「口先だけなら誰でも出来るのよ。どいつも、こいつも!」
「この剣を扱える、なんて妄言ほざいては死んでいく。私の身にもなれっての!」


剣を遮る様にして、ランサーが四人の前に立つ
舌打ちをしながらセイバーは剣を振りかぶって突っ込んできた

「精々、このクソ剣を満足させる程度の獲物であって欲しいわね……っと!」


【本日はここまで。続きは明日までには】


【今日は描写だけなので、早めに更新します】




振るう剣の一振りが、鈍い音を立てながら周囲を引き裂く
遠目から見ても背筋が逆立つ程の魔力を、セイバーは軽々と振り回す

ランサーは周囲を駆けて撹乱しつつ、隙あらば槍を突き刺さんと切り込むのだが……

「っちゃあ。またダメか!」
「甘い甘い!こちとら伊達に、切った張ったをこなしてないっての!」

神速の動きを以てしても、セイバーの懐に潜り込むのは至難の業。彼女の守備は、極めて硬い


 ◆盾持つ乙女:A
  仲間を守る勇敢なりし乙女。カリスマや勇猛、自陣防御などの複合スキル。
  自軍の士気を向上させて精神耐性を付与し、味方の防御限界値以上のダメージを削減する。


「何か、オレと相性が悪い気がする……!」
「そりゃラッキー。なら、さっくりと死んで欲しいわね。っと!」

厄介な理由はそれだけではない。セイバーの大剣も危険性に拍車をかけている
少し腕に掠っただけでも、紙の様に容易く裁断されてしまう。これでは迂闊に近付けない

異様なまでの切れ味を誇る剣。そして圧倒的な守備を可能とする強靭な精神力と体捌き
以上の理由から、ランサーはセイバーに対して決定打を放てず仕舞いとなってしまっていた


「おねえちゃん……」
「……………………………………」

「……ちょっと!この二人は関係無い。やるなら二人を安全に逃がしてからしてやるわよ!」
「ベルも逃がしてくださいよぉ!?」

「いや、私もそうしたいのは山々なんだけど。こっちもこっちの事情があるのよ」
「と、いう訳で!そこの二人には申し訳ありませんがその首叩き落とさせて貰うわ!」

ルゥナの懇願にも聞く耳を持たず、セイバーは大きく剣を振りかぶり、槍のように投擲した
投げた先には少々森とさきちゃんが。ルゥナは手を伸ばすも、間に合わず……




「ぐっ……!」

ザン。と嫌な音を立てて、剣が停止する
見るとランサーの交差した右と左の腕を貫き、あわや銅を貫かんとする勢いで串刺しとなっていた

血は流れないが、バチバチとショートするかの様に火花を立てる
それが危険な兆候であると理解するのに、そう時間はかからなかった

「ランサー、あんたどういう……!」
「だって……二人、は。ルゥナにとって、大切な存在だろ……?」
「それを、守るのが……オレだ!」


「そんなの……そんな訳無いじゃない!あんたの独断で敗退したら、それこそ無駄死によ!」
「けど!二人がいなくなったらルゥナもベルも凄く悲しむはずだ!」
「………………!」

激しい一喝に言葉が詰まる。そんな事ない。と否定しようとしても、どうしてか口が動かない
剣を引き抜き、投げ捨てる。すると、剣はまるで別の生き物かの様に蠢きセイバーの手元へと収まった


「最初は寂しいかもしれないけど……案外、慣れるとへっちゃらなものよ?」
「というか、死人に対して延々と粘着するのは性に合わない!すっぱり首を落として、クソ剣の餌になりなさい!」


剣を構え直し、刃を光らせランサーに迫る
傷の深い状況ではランサーの頼みの敏捷も機能しない。宣言通り、セイバーは頚を落とさんと振りかぶり



「あああああああああああああああっ!!!」







突如、小さな影が横から割り込んで入る
誰も予測していなかった攻撃は、セイバーの横腹に直撃し、振り落とす剣筋が僅かに逸れた
一瞬にも満たない隙。だが、ランサーにとっては充分以上の余裕となる

目の前に落とされた剣を突き飛ばし、瞬く間に距離を離す
セイバーとランサー。その二人の間に挟まっていたのは誰も予想しなかった人物



「フーッ、フーッ、フーッ……!」
「あ、あれ?押さえていたのに……?ベルのせいじゃないですよね!?ね!?」
「……さきちゃん?貴女、何して」

自分の身長にすら届かない小柄な少女。なのにセイバーの身体を弾き飛ばす程の力を見せる
体格の差や不意を突いた事を考慮してもあり得ない。そもそも、サーヴァントに対抗出来るのは同じく……

「……え?何、で」
「何、で……何で、さきちゃん、から」

目を見開く。驚きのあまり声すら掠れる。口を出るのは困惑の声ばかり
ふと、さきちゃんと目があった。その顔には罰の悪そうな、申し訳なさそうな……謝罪の表情を浮かべていた

「……ごめんなさい。おねーちゃん。ランサー」
「それはいいんだけど。良かったの?キミが望めば、聖杯戦争が終わるまで気付かれなかったのに」
「いいの、これで。わたしは、もう逃げるのはだめだから」



「なーるほどね……道理で見つからない訳だわ」

「まさか、人間に化けていたとはね!随分と上手く隠れたじゃない!『バーサーカー』!」



『バーサーカーのステータスを開示します』

┏━━━━━━━━━━━━━━━┓
  ≪クラス≫:バーサーカー
┣━━━━━━━━━━━━━━━╋━━━━━━━━━┓
  【真名】:???             【属性】:中立・中庸
┣━━━━━━━┳━━━━━━━╋━━━━━━━┳━┻━━━━━┳━━━━━━━┳━━━━━━━┓
 【筋力】:C      【耐久】:D     【敏捷】:C+     【魔力】:E      【幸運】:A      【宝具】:C+
┣━━━━━━━┻━━━━━━━┻━━━━━━━┻━━━━━━━┻━━━━━━━┻━━━━━━━┫




 ◆【在りし日のまほろば】:A    
  嘗ての少女の虚像である、見た者を和ませる暖かな相貌。    
  決して元に戻らない日常の象徴であるが故、見る者に警戒心を抱かせない。      
  同ランク以上の対精神スキルを持たない者はバーサーカーに対し必ず【好感】を得る。



「そ、んな……!」
「さささきちゃんがバーサーカー!?……うっ」
「………………………………」

ルゥナは驚きのあまり声が出ず、ベルは今まで下に見ていた相手が英霊だと知り気を失う
少々森は……変わらず、何を考えているのかわかり辛い目で、ただ静かに戦況を俯瞰している

セイバーとランサーの間で、さきちゃん……バーサーカーは唸り声を上げて庇う様に手を広げた


「やらせない……!みんなを、守る……!」
「あら、可愛らしい抵抗だけども貴女一人じゃ多分無理じゃないかしら?」
「オレを忘れてるよ、セイバー。……傷は深いけど、動けない程でもないからね!」

立ち上がるランサー。未だ傷は完治していないものの、戦闘には支障が無いという
反撃を開始する。そう宣言するかの様な加速。守る様に剣を構えるセイバーに向けて、渾身の一発を叩き込んだ


「っと!たった一人増えただけでこれだけ動きが変わるとはね!」
「けど私だって負けないわ!フェリシアの為にも、勝たないといけないんだから!」

仕切り直しと言わんばかりに、大きく剣を振り回すセイバー
ランサーとバーサーカーも迎え撃つ様に槍と爪を研ぎ澄ます

睨み合いの末、先んじて動いたのは


「ようやく見つけたわ。バーサーカー……!」






「……は?」
「うわあ、また乱入?……不味い気がする」

「言ったはずよ。私の邪魔をする存在は……」
「……誰であれ!この銃弾の元に倒れてもらう事になるわ!」

割り込んで来たアーチャーが、銃口をバーサーカーに突き付けた
火花が走り、バーサーカーの脳天に直撃する。その寸前。ランサーの蹴りが弾丸を蹴落とした

「あら、もしかして私の味方?……なんてね」
「冗談じゃないわ。そのバーサーカーは、私の倒すべき相手……悪霊の類」
「その為に利用するだけに過ぎないわ。貴女も邪魔をするなら容赦しないわ!」


バーサーカーを倒す為。と断言する。それは、庇う此方とも敵対するとも同然だ
セイバー、ランサー、アーチャー。三騎士の英霊が揃い踏む。その目的や思考はバラバラで

「……ランサー」
「なぁに?ルゥナ」

「あんた……何とか、出来る?」
「無理だね。令呪を使ったとしてもあの二騎を撃退するのは」
「ルゥナ一人なら何とか離脱させられるけど、どうする?」

ランサーはそれだけを伝えてくる。自分だけはこの場から逃げられる。と



「……ふざけんじゃないわよ!そんなの認める訳ないじゃない!」
「誰でもいいから、何とかしなさい!これは命令よ、命令なんだから!!」




「……るーなおねーちゃん」

「いままで、ありがとう。やさしく、頭をでてくれて、ありがとう」

「べるおねーちゃんも、ランサーも、わたしにやさしくしてくれて、ありがとう」

「ほんとうに、ありがとう」


バーサーカー……さきちゃんは、微笑んで感謝を伝えてくる
ありがとう。ただそれだけの言葉だが、ルゥナの目は何故かぼやけていく
それでは、まるで。そう言おうとしても、口が震えて声が出ない

「ランサー……おねがい、してもいい?」
「うん。……キミの事、きっとルゥナは無駄にしないよ」
「えへへ……」


「……ルゥナ!令呪を使って!」
「『全員をここから安全な場所へ』!それならオレが無事に運べる!」
「そ……れじゃ、さきちゃんは……」

「…………」
「何か言いなさいよ!あんた、さきちゃんを見捨てて逃げろって」
「これはさきちゃんからの願いなんだ!『もしもの時があれば、自分が囮になる』って!」
「ここでモタモタしていたら、それこそ無駄になるんだ!ルゥナ!」

急かすランサーだが、ルゥナも即決が出来ない
令呪の宿った手を見つめて震えるルゥナ。目を閉じ、息を深く吸い込んで……叫ぶ



「ふーっ……はーっ……ふーっ……」
「……っ!ああもうっ、わかったわよ!」

「“汝がマスター、ルゥナ・ガイスロギヴァテスが令呪を以て命ずる!”」
「“全員をこの場から離して、安全な場所へと連れていきなさい!”」







瞬間、迸るのは赤い魔力
奇跡すら起こす程の膨大な魔力がランサーへと届き渡る

だが、それでも二騎の相手は出来ない。だからこそ逃げねばならないのだ


「おねーちゃん。さいごに、おねがい」

「わたしは、令呪をぜんぶつかわれているの」

「宝具をつかえ。宝具ををやめろ。それと、わかこおねーちゃんのところにいけ、って」

「だから、わかこおねーちゃんをまもってあげて。ぜったいに、みすてないで」

「……さようなら。わたしの、大切なおねーちゃんたち…………」



『───口裂悪鬼』





ランサーに掴まれる。その一瞬の間で、かつてさきちゃんと呼ばれていたモノは怪物へと変生した
鋏を振り回す巨大な怪物。それは初めて会った時そのままの姿で

腕を伸ばす。喉が裂ける。もう届かないと知りつつも、剣と弾丸に貫かれるバーサーカーへと伝える為に

ランサーの神速によって、場を離れる寸前……

幻だろうか。頭を撫でた時の様に微笑むさきちゃんの姿が

光の粒になって消えていくのが目に焼き付いていた




【書き貯め分はここまで】

【続きは今日やるかもしれないしやらないかもしれない】


【とりあえず描写だけのパートは終わったので、そこまで投下します】




『“天は全てを知っているのだ。俺は嘘を吐く事はしない”』

『“何れ全てが白日に晒される。口を封じた所で変わる事はない───”』




「……ッチ」
「おや?どうしました!無事、バーサーカーは討伐されたらしいではありませんか!」
「どうも倒した者は乱入してきたアーチャーだそうですが!しかし今となっては、些細な問題でしょう!」

「なに、少し嫌なヤツの事を思い出してね」
「素直に認めれば良かったのに。無駄に頑固で頭の硬い、馬鹿で無能なヤツだよ」
「それはそれは!いやはやなんとも!」

普段の冷徹さは鳴りを潜めて、珍しく舌打ちを打つアサシン
全てはセイバーから説明された様に上手く進んだはずなのに、何故か無性に腹が立つ

あの小娘が去り際にほざいた捨て台詞。それが癪に触ったのかもしれない

「…………それで、次はどう動く?」
「あの監督役は単純だが馬鹿ではない。同じ手は動かせないと思うのだけど?」


「やり様など幾らでもありますよ!まあ任せてください」

「聖杯戦争に重要なのは、強いサーヴァントでもマスターの資質でもありません」

「それを貴方にも見せてあげましょう!はははははは……!」




薄暗い部屋の中、俯く様に座るフェリシア
その顔には後悔するかの様に影を落とし、唇を噛む
隣にはセイバーが慰める様に肩を撫でる。その姿はまるで姉の様が慈愛を含んでいて

「だから、バーサーカーはアーチャーが仕留めたの。フェリシアじゃないわ」
「そもそも私は貴女が手を汚さない為にいる訳だし?責任感を感じなくてもいいの」

「けど、バーサーカーは誰にも危害を……」
「失礼しますよ!おや、電源は故障してましたかな?後で修理を向かわせますので!」
「うっさいわね。消してあんのよタヌキ爺!」

空気を読んでかそれとも読まずか。ドアを開くと笑顔でフェリシアの両肩を叩く

「いやはや、君とセイバーの尽力のお陰で街を荒らすバーサーカーを消滅する事が出来ましたよ!ここに御礼申し上げます!」
「嘘つくんじゃないわよ、あのバーサーカー、放置しても何の問題も無いじゃない」

「それは楽観というものですよ。バーサーカーの危険性は放置して良しというものではありません」
「事実として、人々を襲うバーサーカーの目撃情報は後を絶ちません!いずれは討伐せねば、被害者は増すばかりだったでしょう!」

朗々と演説する市長にも、フェリシアは暗い顔を浮かべたまま
困惑きた様に笑いながらも市長は屈み込んで、目線をフェリシアにピタリと合わせ


「いいですか。あのサーヴァントはガイスロギヴァテスの一味の手先でもあるのです」

「富も、地位も!貴女のグロスキュリア家とは桁が違う。没落寸前の貴女達とは!」

「片や、新興の傭兵崩れ!片や、落ちぶれたかつての名門!これが憎くはありませんか?」



「待った!あのランサーのマスターについてはわかったわ」
「けど、それはそれ。バーサーカーと何が関係あるっていうの?」

「わかりませんか。彼女はバーサーカーの危険性を知りつつ味方に引き込んでいたのです」
「街を守るという大義名分すら放棄して、ですよ!それでも貴女は本当に許せるのですか?」
「貴女は自分の家すら守れぬと言うのに!彼女は悠々と家の力で……」

話している内容は出鱈目だ。しかしフェリシアには知るよしもない内容だ
だが、市長が言葉を紡ぐ前に場が凍りつく。部屋一面に広がる冷気によって


「……例え、そうだったとしても」
「貴方に我がグロスキュリアを侮蔑する資格は無いわ」
「これはこれは……失礼しました」

目に浮かぶのは、凍える程の冷気を孕んだ怒り
限界を超えて激昂したフェリシアは、燃え盛る憤怒を市長に向けていた

「ですが、忘れないでいただきたい!聖杯を手にする為には協力すべきであると!」
「また用があれば声をかけますので……!それではごゆっくり!戦いの傷を癒してください!」

立ち去っていく市長を、セイバーは睨み付ける
そして、フェリシアに近づいて、その細い体を抱きしめた


「……大丈夫。私がアンタを守ってあげる」
「セイバー……。……ありがとう。もういいわ」

「私は私の責務を果たす。必ずグロスキュリアを救ってみせる」
「…………見ていてください。お父様」





「………………」
「どうした?バーサーカーは倒しただろう」
「何を悩んでいる?何を不安に感じている?」


「……あのバーサーカーは、間違いなく私が救うべき存在だったはずなのに」
「なのに、どうして……あんなに、幸せそうに消滅したの!?」

アーチャーの手で改造された簡易基地。ストレングスは彼女に問いを重ねていく
問いに答えるアーチャーの顔は必死そのもの。まるで何かを間違え、しかもそれがわからないかの様に

「幸せでは駄目なのか?苦痛にまみれた顔で死んで欲しかったのか?」
「違う!私はただ、私達の一族の罪を償わなくてはならないの!沢山の人間が、私達のせいで苦痛に喘いでいるというのに!」

「貴様はこの国の生まれでは無いのにか?無関係な雑霊すら、救わないと駄目なのか?」
「どうして関係が無いと言い切れるの!?大量の人間を殺した、私達が本当に知らないと断言出来る訳がない!」
「一人も、一部も、一片も残してはいけない。残せない!私はそうしないといけないのッ!」


叫ぶアーチャー。普段の余裕もかなぐり捨ててストレングスに叩き付ける
目を閉じてそれを受け止める。そして、一言


「では、お前自身は誰が救うんだ?」





「………わ」
「私…………自身…………?」


初めて、言葉に詰まる。それが示す事実は

「お前は家の罪滅ぼしの為に戦っている事は理解した。だがそれはお前の真意か?」

「何を……言っているのッ!?私は、あの怨念の清算を果たす為にここにいる!銃を握ってここにいるのよ!?」

「他の!誰でもない……私が!私がやらなくてはならない事なのよッ!」


「それを、お前は一生涯……いや、英霊になっても続けているのか」
「なんとも、まあ。……必死な、女だ」

マスターからの簡潔な評価。普段であれば、何とも思わないであろうその言葉
しかし、今は。自分の責務を、ただの一言

『必死』と片付けられた事が、否応なしに沸き上がる、怒りを産み出していった


「……何のつもりだ?」
「取り消しなさい……!取り消してッ!私の、私を侮辱した事を!さもなくば……!」

「オレも同じだ」
「オレも、ただ、与えられた使命でしか動く事の出来ない」
「空っぽで、必死な……人形だ」

銃口をこめかみに突き付けられながらも、淡々とアーチャーに話しかける
自分もそうだと。ただの空っぽな人形なのだと

「話は終わりだ。増築は進んでいるんだろう」
「オレはこの拠点から動かない。街へ赴くのはお前の仕事だ」

「……わかっているわ」

踵を返して窓を開き、飛び出る様にして街へと向かう
ストレングスは手近なソファに座ると、停止するかの様に二つの瞼を落とした




【本日はここまで】


【ほんのちょっとだけ再開】




「……………………」
「……………………」
「…………っは!?バババーサーカーは!?セイバーはどうなったんですか!?」

ようやく目が覚めたベルを前に、ルゥナは沈黙を貫き続ける
助けられなかった。さきちゃんを捨て駒にする事で、ようやく生き延びる事が出来た

その事実が辛い、耐えられない。自分は何の力も持ってはいなかったというのに

「ルゥナ」

「……何よ。さきちゃん、あんたと仲良くしてたわね」
「恨むなら好きに恨んでいい。後悔しても構わないわ。あたしは守る事が……」

「でき……なかった……」

声が震える。自身のあまりの不甲斐なさに泣きそうになってきた
少々森はじっと此方を見つめる。相も変わらず感情は読み取れないけれど

「……よし、よし。いいこ、いいこ」

くしゃ、と頭を撫でてきた。いつもの少々森のしそうにない、以外な動作に驚くルゥナ
撫でながらたどたどしい言葉を語りかける。

「ルゥナは、頑張った……よ?ランサーも、ベルも……ベルも?」
「そこで言い淀むのは何でなんですか!?」

「だから、泣いたら、駄目。さきちゃんがした事が、駄目になっちゃうから」
「っ泣いてなんて無いってば!」

手を叩き落とすルゥナ。振り向くその両目にはしっかりと涙が溜まっていて
きょとんとしている少々森を睨む。が、すぐに目を閉じ、顔を緩ませた





「ま……あんたなりに、あたしを励ましてくれたのは伝わったわ」
「でも頭は撫でるんじゃないわよ。いつから、あたしはあんたより子供になったのかしら」

「…………?」

「……もう。けど、貴女も随分と喋る様になったじゃない」
「貴女の声。意外と可愛くてあたしは好きよ」


ぽかんとする少々森の肩を叩く。もう調子は元に戻っている様で
ニッと笑うと腕を回す。負けてたまるかと言いたそうに元気を出していた

「さて、まだ日はあるわ」
「立て直すわよ!このまま倒れてなんていられるかっての!」



1:移動(場所指定)
2:会話(人物指定)
3:その他
↓1




……そうと決まれば、話す相手は一つ
自分のサーヴァントであるランサー。今は霊体化しているのか周囲にいない

出てこいと軽く念じてみると、人目に付き辛い影に現れた


「あっ、どうかした?今夜の泊まる場所くらいなら調べておくよ」
「大丈夫大丈夫。安めのビジネスホテルなら、ここら辺に幾つもあるから!」

先の戦闘の事を気にしていない様子で、いつもの調子で話してくる
こちらを気遣っているのだろうか?それでも、態度に然したる差は感じない

「……ねえ、ランサー」
「どうかした?」



1:今後の行動について
2:先程の戦闘について
3:その他(自由安価)
↓1



「あんた……さっき、逃げるしかないって言ったわよね」
「うん。あの場はそれが最善の選択だって断言してもいいよ?」


「セイバーだけならともかく、アーチャーまで対処出来ない。流れ弾で死ぬかもしれないし」

「そもそも、セイバーだけでも結構キツイ戦いになってたと思うよ?何せ、彼女はかなり強力な英霊だし」

「ルゥナの補佐を考慮しても、五分五分の戦いに持ち込めればいい方。って所かな?」


淡々と戦況を分析し続けるランサー。事実だけを伝えているとばかりに無感情な言葉
その様子を、不服そうに見ていたルゥナ。態度で察したのか、ランサーはルゥナの正面に立つ

「そうだなあ……言いたい事、あったりする?」

「あるなら、取り敢えず言ってみてよ。オレはそれでルゥナに対してどうこうしない」

「それがキミの意思ならオレは尊重する。立ち止まろうとするより、そっちの方が何倍もいいからね!」

先の惨敗に責任を感じたのだろうか。ランサーは珍しく気前の良い事を言っている
それなら……


22:05から
【ランサーに質問や、言いたい事】
【無ければ無しで】
↓1、2



「……言いたい事?」
「ふ、ふふふ……そんなの幾つもあるわこのクソ時計がーーー!!!」

「ヒントも大してくれずにふわっとした印象だけで答えさせるわ!匂わせるだけで大して何もしてこないわ!」
「逆に結論ありきで答えてくるわ!いちいち面倒臭いのよ!そんなに!あたしに自力で考えて欲しいの!?!?」

ブチキレるルゥナ。ランサーの問答はやけに遠回りであり、答えを自力で考えさせてくる傾向にある
当のランサーは不思議そうにしているが、ああと相槌を打つと申し訳無さそうに

「あぁ……ゴメン。難しかった?ゴメンね」
「何よそれ!?あたしの頭が悪いとでも言いたいの!?」

「いや、そうじゃなくてさ。何でもかんでも与えていたら、もうそこからは進もうとしなくなるでしょ?」
「オレは停滞させる事はしたくない。考えながら行動して貰いたい。それだけだよ」

ランサーの発言の真意はわからない。それは、つまりひたすら考えて行動しろと?

「……じゃあ、あんたもセイバーとアーチャーの真名を考えてよ」
「オレも?」



【そもそもランサーは二騎の真名を……】
【判定順はセイバー→アーチャーの順番で】

【ハッキング】+2
12345:わかんないよ
6789:わかってるよ
↓1、2


セイバー:わかってるよ
アーチャー:調べてあるよ


「もうわかってるんだけどな~」
「は?」

「いや、オレもさっきの戦闘で確信したんだけどね。だから考えるも何も」
「はぁあああああああああ!?!?」

ブチキレたルゥナ。さっくりと答えたその顔にグーを叩き込む
ガツンと金属を殴る音が響く。遠巻きに見ているベルと少々森も覗き込んできた

「痛たた……じゃあ何。これも自力で考えろと」
「そうだね。けど今回はヒントを出すよ」



「まずセイバー。彼女の持つ剣は、人の命を啜り喰らう……魔剣に類するものだ」
「女で魔剣を持つ?他には何か無いの?」

「う~~~ん。あの勇猛さ、きっと戦士として名を残す存在だと思うんだけどなあ」

……セイバーは魔剣を持つ女戦士。これなら候補は絞れるのではないだろうか


「アーチャーは銃を使うから近代の英霊だ。それも大量、無尽蔵と言ってもいい」
「オレは一度アーチャーに奪われた基地を見てみたんだけど……もう別物に改造されてたよ」
「あたし達の基地がそんな事に……」

「訂正するとしたら、あれは改造というよりは増築に近い印象を持ったかな?」
「後はさきちゃんに対して執着していたよね。悪霊って言ってさ」

……アーチャーは無数の銃を持ち、基地を増築していった
そしてバーサーカー……さきちゃんを、悪霊と呼び執拗に狙っていた。それは何故だろう


「ま、これで判らなければ答えを言うよ」
「二騎の女性の真名、ルゥナには判るかな?」


23:00からセイバー、及びアーチャーの真名
二つ同時でも、片方だけでも大丈夫。外した場合はランサーが回答します
ただし、明らかにわざと外した場合は持ち越しになります
↓1~3



「…………」
「思い付かない?」

【さすがにこのまま待つのも不毛なので……】
【ギブアップしますか?】
↓1から2票


セイバー:ヘルヴォール  正解
アーチャー:サラ・パーディ・ウィンチェスター  正解

【安価を確認して本日はここまで】

【本日は参加してくださり、ありがとうございました】



【それでは再開します】






……暫し、沈黙を重ねるルゥナ
セイバーとアーチャーの真名を問われ、黙考を重ねていく

ヒントは最低限。しかし、それで答えられなくては面子が丸潰れだ
神話に史実、ありとあらゆる英雄に怪物を調べている自分ならば……


「……セイバーの魔剣、命を啜り喰らう。幾つか心当たりはあるけれど」
「それを軽々と振るう女戦士は、一人だけしか思い浮かばないわ」

「ヴァイキングの娘、盾持つ乙女。ティルフィングという魔剣を巡るサガに登場する……」
「ヘルヴォール。それがセイバーの真名で間違い無いはずよ」


ヘルヴォール。『ヘルヴォルとヘイドレク王のサガ』に登場する女戦士
如何なる望みも叶えるが、所有者に破滅をもたらす魔剣『ティルフィング』の所有者で、唯一無事に扱う事の出来た者
彼女の父、及び息子もこの剣を握っていたが、全員が例外無く不幸な死を遂げたと言う


「うん、正解!オレもそう思うよ」
「けど魂を啜って願いを叶えるなんて物騒な剣もあったものね……あれ、どこかで聞いた様な」
「じゃあ次はアーチャーだね。この調子で真名を明かす事が出来るかな?」

どうやらセイバーは正解したようで、ランサーも頷いている
お次はアーチャー。無尽蔵の銃と、陣地を増築し続ける英雄は……





「銃って事は西部劇?でも、あんなに大量の銃を持つ奴は知らないわね」
「陣地を増築……?何かしら。建築系の逸話でもあるのかしら」

建築。その一言でふと思い当たる建物があった
数多の銃を産み出し、殺された人々の怨念から逃れる為に、無限の増築を行った屋敷

「ウィンチェスター・ミステリー・ハウス……」

それは、一族の罪科の象徴。無数の夥しい数の怨霊を呼び寄せ続ける人工異界
だとするなら、アーチャーの真名は一人だけ。たった一人の屋敷の中、悪霊と戦い続けた女性

「なら、アーチャーの真名はその建物の所有者で唯一ウィンチェスター家で生き残った」
「サラ・ウィンチェスターで間違い無いわ!」


自信満々に指を突きつける。どうだ、見たことかと笑みを浮かべながら
なお当のランサーは、感心した様に頷いている

「お見事!いや~ルゥナなら出来るって信じていたよ」
「信じていた、じゃないわよ。あんたも少しはストレートに物事を言いなさい」

「うーん……じゃあさ、今度ルゥナ達が本当の危機に陥った時」
「オレは宝具を使う。オレの真名が刻まれた、必勝必殺の宝具をね」
「……あんたの、どんな宝具なのよ」

それは秘密。と言い残し霊体化して消えていく
ランサーの宝具、ルゥナすらまだ教えて貰っていないのだ

「…………本当の、危機ねえ」



【他陣営の行動】
【今回は話の都合で出番の少ない陣営限定】

123:エーデルワイス達
456:ライダー
789:キャスター
↓1




「そう。バーサーカーが」
「せっかく令呪を獲得できるチャンスだったのに……残念ね」

学校の屋上、残念そうにため息をつくティファは街を俯瞰する
彼女自身は、討伐令に対しては前向きな姿勢を示していた
どの様な相手であれライダーは捩じ伏せられると確信している

しかし、それでも動かなかった理由は……

「ああ……やっと死んだのか、そいつ」
「清々するよ。あんな怪物がそこら辺にうろついているなんて怖気が走る」
「手を下して汚れずに済んだ。ああ良かった」

ライダーはバーサーカーを毛嫌いしていた。何となく文明の匂いがするらしい
そしてもう一人、ライダーの感に障る英霊が

「ランサー。あいつさえ消えてくれればね」
「理想国家『随』の建設には邪魔だ。適当な奴が潰してくれないものか」

「……もう、そっちに舵を切ったの?」
「ああ。うんざりだ、不愉快だ。自然を食い、荒らす害獣は駆逐する他はないだろう?」
「一度、この国を更地にする。その上に僕の国を建設した方が地球にとって何倍もいい」

……このライダーは我が強い。下手に逆らえば、制御すら不可能になるかもしれない
そうなれば聖杯を手にする事すら危うくなる。主導権は、完全にライダーに握られていた



123:「そろそろやるか」
456:情報収集に徹する
789:詩でも詠んでよう(まだ動かない)
↓1



1:積極的な殲滅



「おうおう、景気いいねえ大将!」
「俺も混ぜてくれよお。その理……ぐっ!?」

「うるさいな……今、僕は考えていたんだ」
「やっぱり魔術師とやらは邪魔だ。自然の理に反する存在。邪魔でしかない」
「聖杯も既に要らない。僕が受肉さえすれば、あんなものは踏み潰してやろう」

「なっ!?それは……!?」「文句ある?」

ライダーの一方的な宣言に、驚愕するしかないアダムスとティファ
それはダメだ。そもそもアダムス……正確にはガイスロギヴァテスの目的は聖杯の確保

壊されてしまえば元も子も無い。幸い、未だに脱落したサーヴァントは一騎だけだが……

「今夜から本腰を入れていこう。醜い英霊共を叩き潰しに」
「……わかったわ」

(オイオイオイ……雲行きが怪しくなってきたぞこいつは……)




【アダムスの今後の身の振り】
【命乞いした】-2
123:なすがまま
456:情報をリーク
789:ルゥナに泣きつく
↓1


6:リークする(誰にするかは後に)


「ふぅ……ここなら安心よね?」
「一般の人も泊まってるホテルですから、流石に壊そうとは思わないんじゃないですかぁ」
「……ジュース、美味しい」「良かったわね」

ランサーの検索で、近くにあったお手頃価格のホテルに転がり込んだルゥナ達
流石に未成年だけでは泊まれなかったので、従業員に魔術で暗示をかけて無理矢理突破した

まさか、ビルごと破壊してくる陣営がいるとは思えない。……が、何故か不安になってくる


「そんな事より、もう夜よね」
「今夜はどう動こうかしら。直近に脱落した陣営がいるから……」
「派手に動くヤツはいないでしょ!」



1:移動(場所指定)
2:会話(人物指定)
3:その他(自由安価)
↓1

散々になったガイスロキヴァテスについて


>>688
【人物指定が無いので、今回は一人で】


「……ま、急がなくてもいいわよね」
「ガイスロギヴァテスももうバラバラ。あんたしかいなくなっちゃった」

動こうとしても、先の戦闘で疲弊しているのもまた事実
今夜はガイスロギヴァテスのマスターとして、今後の事を考えよう

「さて……どうしましょうか。このまま散り散りにしておくか、一度全員集合させるか」
「それとも誰かに連絡するか……悩むわね」

コリーは縦島の家に居候しているらしい。動画編集はランサーがしているそうだから、連絡を取ることは比較的容易だ

アダムスはあれ以降の連絡はない。一度コリーが受け取ったらしいが、怪しいからと無視したそうだ

そして、ディールは今、何処で何をしているかもわからない。聖杯戦争から降りろとだけ伝えてからは音信不通だ


「あいつらも本当に……ドミトリイさんは本当に苦労していたのね」
「そう言えば、メリッサも前回聖杯戦争にいたのよね。話とか聞けるかしら」



【メリッサって今は何処にいるの?】
123:海外に
456:ちょっと県外に
789:街にいるよ
↓1


9:普通に街にいる

【メリッサですが、前回の貴方の彼女になったんですよね】
【貴方が来るかは未定ですが、そんな二人の関係は】

147:平常運転
258:ちょっとぎこちない
369:バカップル
↓1


【ついでに、この事をガイスロギヴァテスは】
123:(誰と付き合ってるか)知らないよ
456:(好きな人がいる事は)知ってるよ
789:(付き合ってる人も)知ってるよ
↓2


【ついでにアダムスのリーク先も】
123:市長
456:監督役
789:ルゥナ達
↓3


7:態度は変わらないよ

5:ルシフェル「好きな人はいるみたいだな……」

7:アダムス「持つべきものはやっぱり仲間だぜ!」


【という訳で本日はここまで】


【本日はお休み】

【……挙げられてみると本当に詰んでる!?】 



【本日もお休み】


【本日もお休み】

【盤面の動きに悩んでいるのと繋ぎが不自然な感じになってしまう…!】

【明日の夜には、必ずや更新してみせます】


【……ごめんなさい。寝落ちしてました】

【更新は明日に回します。本当に申し訳ありません】


【それではゆっくりと再開します】



『──ってな事があってよぉ』
「成る程、それは困るな。……で、何故それを君が知っている?アダムス」
『斯々然々。いやあ便利な言葉だぜえ!』

夜の雑踏の中で、無線を用いて連絡を取り合うガイスロギヴァテスの二人
コリーは縦島の部屋でパソコンを弄りつつアダムスを応対する。ちなみに縦島は風呂掃除中だ
何故、ライダー陣営の内情を知っているのか。という問いには笑ってはぐらかす事にした


『で、マジな話だが……どうすんだ?マスターはロシュフォール家の当主様だ』
『まともに交渉のテーブルに付くとは思えねえな。時計塔は俺達よりも相手を信用してるそうだしよお』

「……だが、聖杯を破壊されれば困るのは向こうも同じだろう」
「何せ、我々の代わりに聖杯を持ち帰る様命じられているのだからな。これは時計塔に報告すべきでは?」

コリーの発言は最もだ。これは、契約違反とも取られかねない重大な確執である
しかしアダムスの声色は渋い。少しの沈黙の後に開いた言葉は

『いやあ、それなんだが……』



123:時計塔的にはオールオッケー
456:ティファがライダーと交渉してる
786:???
↓1

ティファは次期当主で良いんだよね?


>>709
【そうですね。今は次期当主】
【けれども当主になるのはほぼ確実視されている為、当主扱いする場合もある感じです】


『今、ライダーのマスターが交渉してんだよ』
『聖杯だけは勘弁してくれってなぁ!ハッハハハハ!』
「……笑っている場合かね。君は裏切り者だ。身の振りを考えておくんだな」

豪快に笑うアダムスに釘を刺す。理由はどうあれガイスロギヴァテスを裏切ったのは事実だ
それをみすみす見逃せる程甘くはない。指摘を受けたアダムスは神妙な声で


『……ま、そりゃわかってるさ。いいぜ、何とか責任取ってやるよ』
「待て。それはどういう──」

それだけを言い残し、通話を切る。コリーは夜の闇を覗きながら、彼の言葉を考えていた



一方のティファは、ライダーに必死で嘆願する
聖杯だけは渡して欲しいとそう伝えると、ライダーは露骨に機嫌を損ねて

「……はぁ?聖杯は渡して欲しい。だって?」
「何を今更。僕は僕のやりたいようにする。確かにそう言ったはずだけど?」
「おまけにあのアダムスとかいう男、どうにも胡散臭い。ここに連れて来てくれない?」

「……消えていたわ。恐らく、奴は」
「奴は……何?言ってみてよ」

語気を強めるライダーに身体がすくむ。下手な事を言うと、ここで消されるかもしれないのだ



12345:絶対に許さない(次回行動固定、どの陣営でも敵対確定)
6789:まあいいや……
↓1


9:落ち着く


「……まあ、いいよ。今はね」
「今日はいい月だ。あの三日月に免じて収めてあげるよ」

ふふ、と軽く笑い外を見上げる。夜空には克明に輝く弓なりの月
それに負けずに口角を上げるライダーは、先程までの滾る怒りを霧散させていた

「……それで、聖杯なのだけど」
「ん?ああ、いいよ、ティファにやるよ。それでいいんだろ?」
「……感謝するわ」


「聖杯は誰にも渡さない……あれは、必ず我等の手に……」
「このロシュフォール家が、必ず手に入れてみせる……!」

手に刻まれた令呪をなぞり、決意を新たに言葉を吐く
その魔眼に燃える野望は何か。それを知る者は一人もいない

ティファニー・フォン・ロシュフォール。彼女もまた、聖杯を欲する一人なのだから





「……こっちこっち。席取ってあるから」
「まさか、あんたがこの街にいたとはね」

「ともかく……久しぶりね、メリッサ。あたしの事は覚えてる?」
「覚えているわよ、ルゥナ。……久しぶり」

ホテルの近くの喫茶店。朝食も兼ねた場所で、ルゥナは人を呼んでいた
席に着いた女性……メリッサ・ガイスロギヴァテスは、相も変わらずシックなスーツを身に纏う

彼女は前回の聖杯戦争に、僅かながらガイスロギヴァテスのメンバーとして参加していた
当時、現場の近くにいた人物である事には間違いない。情報源としてダメ元で連絡を入れてみたのだが


「にしても、あんたに彼氏が出来るとはね。筋トレとダンベルだけが友人だと思ってたのに」
「ねえ、今度あたしにも紹介しなさいよ。イケメン?何歳くらい離れてるの?」
「別にそんなんじゃ……格好いいとは思うけど。あと同い年だから」

今も、この街に滞在していた事は予想外だった
おまけに彼氏もいると聞いた。ルゥナもこの手の話題には胸が踊る

その様子を離れた場所で見守るランサーとベルは、ひそひそと

「ねえねえベル。あの二人って」
「従姉妹ですよぅ……ベルとは方向性が違うので詳しくは知りませぇん」

「……そうそう。本題に入るけど」
「あんた、聖杯戦争に参加していたでしょ?」
「前回の、詳しい情報を教えて欲しいの」



【メリッサはどのくらい話してくれるのか】
123:渋る
456:そこそこ
789:協力的
↓1


2:乗り気じゃない


「……その事なんだけど」
「私はもう関わりたくない。だから、話す事も正直したくない」
「はあ!?」

俯いたメリッサはそう切り出す。話したくないとガイスロギヴァテスにあるまじき態度
当然、期待していたルゥナは怒り詰め寄る。胸ぐらを掴むも、力の差によるものかびくともしなかった

「あんた、ガイスロギヴァテスの目的を忘れたの!?聖杯を持ち帰るのがあたし達の使命じゃない!」
「けど、私はもうその任務には関わってない」

「それでも!協力するのが筋ってものでしょ!?」
「それは貴女の勝手な考えじゃない!こっちにも事情が……!」



「なんか、喧嘩してる?」
「あぁあああ……ベルお腹が……」

遠巻きに眺める二人。険悪になっているのは目に見えている
どう転ぶか不安げな顔を浮かべる二人。ルゥナの様子を見守る事しかできなかった



123:決裂
456:日を改めて
789:折れてくれた
↓1


7:折れてくれた(少しだけ話してくれる)

【という訳で、短いですが本日はここまで】


【ゆっくり再開します…】



「はあ。もうわかったわ」
「……少しだけよ?あまり話したくは無いし」
「最初からそう言えば良かったのよ」

あまりの剣幕に押されたのか。はたまた従姉妹のよしみなのか
渋々といった体で、少しだけ話す事を了承した

「それにしても、随分とイキイキしてるわね。前の貴女はつまらなさそうな顔だったのに」
「そりゃあね。あたしは優秀なのに、まだ若いから~とか、実績が~とかで離されてたし」

「この聖杯戦争で勝ち進んで、聖杯を家に回収して、あたしの実力を見せつける」
「そうすれば、あたしを下に見る大人達を黙らせる事が出来るでしょ?次期当主様も、あたしに逆らえなくなる」
「だって、あんた達は敗退したんだから」

「……じゃあ、聖杯に懸ける願いは無いのね?」
「それ、必要なの?ランサーにも同じ事を聴かれたんだけど?」


「必要でしょ。誰かの願いを踏み潰してまでも奪うんだから」
「……って、彼は言ってたけど」
「彼氏の受け売りかい!」


【メリッサに聞きたい事。ただし一つだけ】
【内容によっては濁すかもしれない】
↓1

前回に遭遇したマスターとかその関係人物についてのスタンスや特徴をわかる範囲で
メリッサから前回の情報って聞いてもあんま意味無い気がするんだよなぁ…


>>723
【ドミトリイやルシフェルとの共有情報がありますし……(小声)】
【全員分書くと凄まじい量になるので、御三家周りだけ】


「あんた、前回でのマスターと何人か会ってるんでしょ?」
「そいつらの印象を、あんたの主観でいいから話して頂戴」

「……?それくらいなら。けれど、どうして?」
「そいつらの横槍が邪魔だからよ。妨害しそうな奴は仕留めるに限るわ」

維持の悪そうな笑みを浮かべるルゥナ。邪魔になりそうな相手は先んじて叩くべきだ
そんな彼女の思惑は他所にメリッサは、指折り数えつつ印象を語っていく


「ええと……御三家、エーデルワイスと禍門は、今のルゥナと同じくらいだったはず」
「現在のエーデルワイスは知らないけど……前はかなり勝ちに貪欲だったよ」
「けど、やり過ぎたせいで今回は不参加ね」

「禍門は……どちらかというと戦いを避けた専守防衛だったかな」
「街を守る為に戦っている……召喚したサーヴァントも、かなり強力だって聞いてる」
「成る程ね……なら、外来の方は?」


「ほとんどは街の外に出てるはずだよ。けど、一人だけまだ……」
「そいつはどうなの?邪魔してくるかしら?」



「……大丈夫だよ。きっと」
「あいつは絶対に……悪いようにはしないから」

「何よ、知り合いなの?そいつと」
「ま、まあ……うん。そうだけど」

言い淀むメリッサを睨むルゥナ。モゴモゴと口を動かしつつ、目線を逸らす
その様子に不審な顔を向けつつも、まあいいかと納得したのか水を含む


「とにかく、変な繋がりを持ってるな奴は知らないって事でいいのよね?」
「……うん」

「それじゃ、あたしは戻るわ。メリッサも簡単に死ぬんじゃないわよ」



「……戻ったわよ。ベル」
「うぇえええ良かったあああああ!!決裂したかと思いましたよぉ!」
「お疲れ様~。どうだった?」

「まあまあね。さっさと戻るわよ。少々森を一人で放置してんだから」

遠巻きに眺めていたベルとランサーに会釈すると、近くの自販機でジュースを購入する
一人で待たせている少々森へ向けて、足早に駆けていくのだった




「…………ルゥナ、遅い」

退屈そうに、ホテルのベッドに腰掛ける少々森
少しの間だけの外出と聞いていたが、時計の針はとうに過ぎていた

ちなみに、学校に関してはしばらく行かなくていいんじゃないかと判断して仮病で休んでいる

「甘いの、欲しい……確かここに……」
「………無い……ベルに盗られた」

最近、ルゥナから貰ったジュースがお気に入りになった少々森は、置いてあったバッグを漁る
しかし既に全てが飲み干されたのか缶が無い。ベルが前に飲んでいたのを思い出す


「むう。……確か、外の箱で、出てきたはず」
「ちょっとくらい……出てもいい、多分」

ルゥナは彼女に、外に出ない様に厳重に注意されていた
もしも外で好戦的なマスターやサーヴァントに遭遇した場合、守る事が出来ないから

しかし、今はジュースを飲みたくて仕方ない。少しくらいなら……外に出ると


「やあ、初めまして!こんにちは」
「キミが少々森さんだよね?よろしく、仲良くしようよ」

突如、見覚えの無い青年から声をかけられた



「ふ~~~ん……そっか、そういう事か」
「あはははは!成程ね、執着する訳だよ!」
「…………?」

青年はひとしきりジロジロと見るや否や、一人合点がいったとばかりに高笑いを
その様子を不思議そうに見つめる少々森に、青年はわざとらしい程に口元を歪めた笑みを


「うん。今はガイスロギヴァテスに任せようかな?どうにも、ここのランサーは優秀みたいだしね」
「奴らもキミの居場所を探すのに躍起になっている。頑張ってね!」

「あ、そうそうボクの名前は……」




「少々森!?あんた、外には絶対に出るなって言ったじゃない!」
「危なっかしいわね……流石にここまで来るとは思わないけど」
「ルゥナ。その、人は」「誰の事よ?」

振り向くと、そこには既に誰もいない。まるで幻の様に消え去っていた

「ほらこれ。お土産よ」「!」
「あうぅ……ベルも欲しいよぉ……」「今朝飲んでたじゃない。買ってきなさいよ」


ほわほわとした和やかな会話に、思わず先程の出来事は彼方に吹き飛んでいく
お昼頃には、もう頭の中から消し飛んでいた




【続いて昼行動する陣営】
1:エーデルワイス
23:ライダー
45:セイバー&アサシン
67:アーチャー
89:キャスター
↓1


8:キャスター


教会の地下の一室で、ユーニスとキャスターは向かい合う
パラパラと本を捲る音だけが響く物寂しい空間に、ユーニスの声が響き渡る

「バーサーカーが倒された様だね」
「そうだな」

「この国の都市伝説だそうじゃないか」
「知らん」

「君もこの国の出身だろう。やはり思うところの一つや二つ」
「があああああああ!!!知らん下らんどうでもいいわああああ!!!」

「第一、その都市伝説は俺の死後の話だッ!思うところも何もあるかッ!」


ユーニスからの質問責めに我慢ならず、キレて立ち上がり叫ぶキャスター
密室に大声がビリビリと響く。ユーニスも耳を塞いで目を回す

「さて、そろそろ我々も行動すべきではと僕は思うんだが」
「はぁ、はぁ……同感だ。生き残れるとは思えんが、やる事はやるべきだろう」

「という訳で、今後の僕達の方針なんだが」



123:現状維持
456:情報を集めてみよう
789:この街について
↓1


3:現状維持


「取りあえずこのまま引き籠っていようかと」
「いや待て今までの話の流れからどうしてその答えに行き着くんだ!?」

立ち上がり、すぐにストンと着席するユーニス
またペラペラと本を読み、視線をキャスターから下に落とす

「僕達が戦える訳無いだろう。どうせ木っ端微塵に吹き飛ばされるのがオチだ」
「だったらまだここにいて、研究に没頭する方がいいに決まってる」
「……お前、色々な英霊と話したいとか言ってたじゃないか」

「ああ。だって、そもそも聖杯戦争で呼ばれる英霊は七騎だろ?」
「キャスターとランサー。言葉の話さないバーサーカーが倒れたから、残りは四騎」
「戦争が終わりそうになったら出ていって、存分に話した後に自害して貰おうかと」
「ふざけるな!!!」

用が済んだら死ねと直球に言われて激怒する
だがユーニスは変わらず本の世界に没頭し続けていて


「はぁ、まあいいさ。俺も願いはそこまで無いからなぁ……はぁ……」



【ルゥナパートは動きが無いため夜行動】
【選択された陣営同士がぶつかり合います(未定)】
1:ランサー
23:ライダー
45:セイバー&アサシン
67:アーチャー
8:キャスター
9:エーデルワイス
↓1、2


0:???
2:ライダー

【特殊は処理がめんどいためシークレット】

【という訳で本日はここまで】


【本日はお休み…】


【それでは再開…】



日が落ちて、闇が街に染みていく
ここからが聖杯戦争の激戦の幕開け。その予感を肌で感じ取るティファ
街一番の高いビル。その上に陣取る二つの影は広がる街を見下ろしていた

「ライダー。どう?どの陣営を攻める?」
「決まってるだろう。僕を虚仮にしたランサーか陣地が固定されているアーチャー」

「なら、アーチャーからだ。潰してくださいと言っている様なものだからね……」

聖杯を破壊される憂いも今は昔。ライダーとの関係が拗れる危機を乗り越えたのだ
今ならばどの陣営とでも……否、全ての陣営が束になろうと殲滅出来る

比喩でも何でもない、ただの事実。マスターの実力すら他の陣営に劣っていない自負もある
傍らに控える龍も咆哮を放ち、闇を震わせる。強大な翼をはためかせて……




「へへへ……どうした?随分と忙しそうだな?」


飛び乗って空へと駆け出す寸前、暗闇から突如現れた存在がその手を掴んだ




「ッ……!?」

何の気配も感じなかった。英霊どころか、この場にいるもの全てが反応を示さない

「……お前、いつからそこにいた?」
「僕の星詠みは万能じゃないにせよ、範囲一帯は関知できるんだけど?」

怪訝な目を向けるライダー。その隣では唸る龍が爪を研ぐ
目の前のソレはフードを被り表情は読めない。それが否応なしに不信を煽る
くつくつと笑っているのか、肩を揺らしつつ陽気に話す


「よう。オレはサーヴァント。クラスはトップシークレットだ」
「あんたとは初めてだろ?丁寧に自己紹介したつもりなんだが、気に入らなかったか?」
「ま、仲良くやろうぜ。この世は全て輪廻の内の……」

「飽きた。話が長い。もっと有益な事を話せないのか?」
「……ああ、口は閉じなくていいよ?どうせここで終わるんだからね……ッ!」

サーヴァントが言うが早いか。龍の爪が周囲を引き裂き、空気が悲鳴を上げる
鋼鉄すらも容易く寸断する爪は、一度受ければ致命傷は免れない

当然、ライダーも手加減する理由は無い。突然目の前に現れたサーヴァントに向けて、渾身の一凪ぎを払ったはずだった

「……何?」
「ん?どうした?オレがただ突っ立ってるだけだと思ったか?」

「生憎だが、オレは……お前さんが思っているよりもやれるみたいだぜ?」





謎のサーヴァントは、その攻撃でも無傷だった
まるでその場の位相がズレたかの様に避け、龍の下ろした爪の上に立っている

激しい風圧によって、顔を覆っていたフードが飛ばされる。その下に隠されていたモノは……


「髑髏、いや……骨?」
「どうだい、中々無“コツ”な顔だろ?」

にんまりと笑うしゃれこうべ。骨という硬質な物体にも関わらず、豊かな表情を浮かべている
不快感を露にするライダーを前にしても、飄々とした態度を崩さずに前に出る

「お前……何者だ?目的は何なんだ」
「召喚されているサーヴァントじゃないな……何をしにここに来た」

「へっ。言った所で理解出来るものかよ」

「ただまあ……あんたの願いには興味あるな」

「言ってみてくれよ。もしかしたら、オレも気が変わるかもしれん」


問われ、口を歪める。そんなものは、最初から決まっているとばかりに



「知れた事を。僕の願いは『この地球の自然を守る事』さ」
「僕には耐えられない。この美しい芽吹きが、愚か者共に踏みにじられる事が」
「だからこそ、誰かが護らなくてはならない。当然だろ?」


「何も難しくはない。ただ、ありのままを愛でる為に、ありのままを受け入れる」
「僕の民は皆そうだった。風を、花を、月の光を受け入れ、幸せに生を全うしていったよ!」







「おはよう。久々かしら?」
「いえいえとんでもないっす!俺はもうずっと姫の事を考えてですね」
「それはキモいだろ!?……おっす、ルゥナ」

「………………おはよ?」
「そこは素直におはようでいいのよ」

いつもの顔ぶれに安心する教室。少々森も普段通りに挨拶できた
さきちゃんがいなくなり、精神的に錯乱するかと懸念していた時もあったが……杞憂だった


「けど少々森に妹いたんすね!オイ!何で言わなかったんだよ!」
「縦島。お前、中学の頃同級生だったって自慢してただろ……」
「じゃかあしい!チクショー、おれと姫の貴重な接点なんだぞ少々森は!」
「酷すぎるだろ幾らなんでも!なあ少々森?」

「…………?」「いや、何でもない……」

施経からの振りにも無関心そうに、上の空な態度を崩さない
とにもかくにも、朝は来た。やるべき事を進めていけばいい



【朝の行動】
1:行動(場所指定)
2:会話(人物指定)
3:その他
↓1



「姫ーっ!昼飯一緒に食いませんか!?」
「よっ、今日くらい俺達も混ぜてくれよ」
「まあいいけど……」

昼時、珍しく男二人がルゥナと少々森の席へと近付いてくる
普段の花村は自分達とは違う女子グループと、縦島はすぐに寝ている姿をよく見る

どうせ少々森はぼーっとしているだけ。こっちから断る理由も乏しいので軽く頷いた


「あら、なら私もいいかしら?」
「いいわ……っ!?」
「どうしたの?貴女と私の仲じゃない」

「こんにちは、私はティファ。ルゥナさんとはお友達なの」
「うおおおお!!そうだったんすか!ティファさんも可愛いっす!」
「いいっすよ。こっちどうぞ」

しれっと紛れ込んできた為に頷いてしまった
相手はライダーのマスターにして、ガイスロギヴァテスの宿敵でもあるティファ
三人に対して微笑み、紅茶を飲む姿からは敵意を一切感じないが……



1:どうしてここに来たのか
2:先輩だったんじゃなかったのか
3:その他
↓1



「あんた……先輩だったんじゃないの?」
「この前は三階で会ったじゃない。三年生だと思ってたんだけど」

ここで聖杯の話題は出せない。取りあえずは、思った疑問を口にする
先輩ではないか。という質問にティファは頬を膨らませる。珍しい表情だ

「失礼ね。年上に見えていた?」
「私は、偶然あそこにいただけ。心外よ」
「じゃあ同い年なの?」「ひ、み、つ」

指を手に当ててウインクを一つ。その仕草も、本来の年齢を判別させない
まあいいか。と手元のパンを口にする。相変わらずの味だった


「ティファさん、その、街に来たばかりなんですよね!?」
「なななら俺が街を案内しても!?!?」

「ルゥナはどうすんだよ、ルゥナは。姫が拗ねてんぞ」「拗ねてないんだけど?」
「ふふ。ありがとう。……縦島くん?」

手を握って、微笑むティファ。縦島も骨抜きになっている
昼休みが終わる頃には、すっかり二人共懐いたようだった



「……知らないのかしら?あれの事は」
「聖杯と、そこから外れた英霊ついて……」

去り際、ルゥナにも聞こえない様に小声で呟く
眼帯に隠れていない眼が、妖しい感情を込めて光っていた



【夜行動する陣営】
【しばらくは戦闘重視で進めていきます】
1:ランサー
2:エーデルワイス
3:キャスター
456:セイバー&アサシン
78:アーチャー
9:ライダー
↓1、2



「………………」
「………………」

「なあマスター。俺はどうしてこうなった?」
「確か……酒が無い、酒が欲しいと君が言うから買い出しにいこうという話だったな」
「そうだな。それは覚えてる」

「ゴチャゴチャうるさいんだよ……死ぬか、僕の民になるか。どっちを選ぶ?」

龍に睨まれ縮み上がるユーニスとキャスター
まさか外に出たらライダーとばったり会うとは予想もしていなかったのだろう

幸い、ライダーはこっちを見逃してくれる……


「今の僕は機嫌が悪いんだ……さっさと決めないとここで殺すよ?」
「だけど、僕の民になるというなら寛容に対応してやってもいい。死にたいなら殺してやる」

「「ヒーッ……」」

ここでライダーの軍門に下れば、少なくとも今の命だけは保障される……と思う
しかし今後の命は保障出来ない。下手をすれば使い潰されて終わるかもしれない

もう一つの案としては令呪を使用して逃亡する手もあるが……


【命の危機】-2
123:軍門に下る
456:令呪で逃亡
789:拒否する(命の危機)
↓1


7:だが断る

【入れておいてアレですが、普通に考えると死ねるので少し救済】

【キャスター達の今後の運命は】
147:賢いユーニスは打開策を思い付く
258:誰かが助けてくれる(さっきのアレ)
369:令呪を全部使いきる
00ゾロ目:救いはない
↓1


6:令呪全損

【……どうしましょう。描写します?】


【では、今回はカットで……】

【という訳で、本日はここまでです】




【本日はお休み……】


【本日もお休み……】


【ごめんなさい。本日もお休み……】

【明日には、絶対にやりたいです】


【20:30から開始します】



「…………あれ、ここって」

目を開くと、そこは薄暗い街の中
この感覚は覚えている。あれはランサーの心象の世界……即ち、夢の中

「また夢?……けど、何かおかしいわね」
「ランサーの生前?にしては……新しい?」

確かに、ランサーは近代的な側面もある英霊だ
しかし周りに伸びるビルの群れは、明らかに最近のものだと判断できる
……いや、そもそも見覚えがある。ここは

「ここ、通った事あるわね……夢、よね?」


ここは、坂松市の都心部。だが、ルゥナの記憶に無い建物や、逆に見覚えのある建物も無い
記憶違いだろうか?そう思ったのも束の間、街に置かれた電光掲示板に目をやると……


「……二年前の、冬?じゃあ、ここって」

言うが早いか。耳障りな、何かが擦れる様な不快な音が頭をつんざく
思わず耳を塞ごうとすると……突如、目の前の景色が黒い大粒で真っ暗に潰された





「…………はっ!?ゆゆ、夢!?」
「って重た……っ!少々森、またベッド間違えたわね……!」
「むにゅう…………」

目が覚めると、隣でのし掛かり、すやすやと寝惚けている少々森の姿が
よく見たらベルもベッドから落ちている。寝相がいいのは自分だけの様だ

「まだ夜明け前ね……二度寝しようにも、一緒に寝るワケにもいかないし」
「……少し、外に出てるわ。ランサーは二人を見ていて」
「あたし一人でも、自衛くらい出来るから」


虚空に話しかけても返事はない。二人は未だに夢の中で、ランサーは霊体化しているのだろう
返事がなくとも健在な事は理解できた。ルゥナはそっと扉を開けて、街へとくり出していったのだった


「…………………………」



人の消えた町並みを、独占するかの様に進む
薄明かりが射し込む街は、普段見る姿とはまた違う様相を見せていた

「やっぱり、この辺よね……何でかしら?」

「無意識の内に夢に出てた……けど、特に思い入れも何もないけど」

「たまたま偶然、記憶の中で近い場所を見ただけかしら……」

黙々と思案しつつ、周りをぐるりと確認する
やはり、先程の夢に出てきた場所はこの辺りで間違いない。電光掲示板もそのままだ

……だからこそ、余計に気になるのだが。どこか心に引っ掛かる感覚が気持ち悪い
モヤモヤしつつ歩いていく。その答えは悩んでも出てくるものではないのに

「……眩しっ、もうこんな時間?」
「さっさと帰らないとマズイわね。ベルに泣きわめかれると面倒だし」






いつの間にか、陽光が射し込んできた

朝が来たのだ。そろそろ戻らないと二人も目を覚ますだろう
駆け足でホテルに戻っていく。来た道を反対に進んでいく。人のいない街の中を走っていく



「……どこへ行かれるのですか?お嬢さん」
「なっ……」


「確かに人生は短い。急ぐのも無理はない……」
「しかし今一度胸に問うて見るといい。自らが何の為、何をするべきなのか」
「答えられぬままで良いのか?神の御前にて、恥ずべき行いをしてはいないか?」


「神に変わり私が問おう。……ガイスロギヴァテスの小娘。貴様に聖杯を巡る資格はあるか?」


突然、目の前に現れた男がルゥナに問いかける
紛れもなく初対面の人間だ。しかしその口調は此方をハッキリと認識している
それはルゥナも同じ事。その相手の名を、怒りと共に剣に乗せて叩き付けた

「よくも……!よくも、あたしの前にノコノコと出てこれたわね!」
「ロベルトォーーーーッ!!!」

炎を乗せた剣がロベルトに迫る。人気の無い今でなければ、街の真ん中で魔術は使えない
今こそが好機と一歩踏み込み、首を切り落とさんと剣を横凪ぎに振りかぶり……

「おっと……野蛮な女だ。躾が為っていない」
「だがそれでこそ良い!神の愛を理解し得ない低俗な小娘に!我が神への純粋な愛が負けるものかァーーーッ!」

「ぎっ……ッ!?」

ロベルトの拳が腹にめり込む。衝撃で胃の中が逆流する
喉まで迫った中身を気合いで堪える。ロベルトは満足した様に、目を閉じて感極まっていた






「ぐ、う……」


「ふぅ……今日も、神は私を愛している」
「おっと、危ない所だった……内蔵を破裂させては死んでしまう」
「いいか……君は『番人』だ。何人足りとも敵を近づけさせてはならない」

「それが君の『役割』だ、脳と心臓に刻み込んでおくんだ……それが君の人生の意味なのだからな……」

蹲るルゥナに、一方的な言葉をぶつけていく
髪を掴み、無理やりに顔を挙げさせる屈辱的な仕打ちに涙を流す

一通り言い終えて満足したのか、ロベルトは道路の脇に放り捨てて去っていく
聞きたい事も聞けず、言いたい事も言えずに、ゴミの様に道に打ち捨てられた惨めな姿

やがて、ゆっくりと立ち上がると、涙を拭って戻りだした




「あ、あの、ルゥナさぁん」
「なな、何かありました?その」

「うるさい!何でもないってさっきから言ってるでしょ!?」
「ぴぃぃごめんなさぁあい!!」

シャワーを浴びて、ベッドの中で丸まるルゥナ
その姿は普段の様子とはかけ離れていて、心配したベルはびーびーと泣く
その姿を遠巻きに眺めるランサーは、拳を握り体を震わせる

「…………ランサー」
「んっ?ああ、ゴメン。怖がらせちゃった?」

「オレがルゥナを守っていれば、彼女は傷つかなかったかな?今更だけどさ」
「遅かったなあ……」

独り呟く声は誰の耳にも届かない。今日という一日は、誰の意思も無視して進んでいった





【朝行動する陣営】
【今回はあくまで視点主なので、学生組も加えます】


12:ライダー
34:セイバー&アサシン
5:エーデルワイス
67:アーチャー
8:学生の皆々
9:キャスター
↓1





朝焼けの射す市役所の中、ラジオ体操に勤しむ市長
軽快な音楽を不思議そうに聞くフェリシアの隣で、セイバーは剣を弄くっていた

「で?私達はいつまでアンタ達に従っていればいいのかしら?」
「このクソ剣はアンタ達には扱えない。なら、ここら辺で契約を解除してもいいわよね?」

「契約書を読んでいなかったのかな?それとも難解すぎて理解が出来なかったかな」
「いつ契約を終えるかは我々が決定する。君達は従っていればそれだけでいい」

「けど約束破っても何も無いんでしょ?なら、今ここでアンタ達を斬ってもいい訳だ」
「と、言う訳で!ここで死ね、カラス野郎!」
「待って、セイバー!」

フェリシアの制止を無視して魔剣を振る。空気を裂く様な風圧が市長の突き抜けた
しかしそれでも余裕の表情を浮かべている。顔には張り付けた様な微笑みを崩さずに


「本当にいいのですか?聖杯の在処は我々のみが知っているのですよ?」
「ここで私を殺せば!聖杯は永久に見つからないでしょうね!」
「っ!」

市長の言葉に、対称的に顔を歪めるフェリシア
それに応じてセイバーも止まり、アサシンは小馬鹿にした様に鼻を鳴らす


「理解が早くて助かりますよ!それでは今後の方針を話しておきますね!」
「我々としては早期の決着を望んでいます。なので……」



123:「ランサー陣営に接触してください」
456:「各個撃破していきましょう」
789:「ライダーに対抗し、此方も人数を増やしましょう」
↓1



「……ランサーと接触しろ?」
「ええ!どうにも私の『お友達』が言うには、少し不安でしてね!」

「彼女と接触し、彼女の感想を教えてはくれませんか!」
「その結果によっては、我々の味方になってくれるやもしれませんからね!」
「ちょっと待ちなさいよ。アンタが行けば?」

ラジオ体操を終え、汗を拭う市長にセイバーが疑問を呈する

「いやはや、どうも市のデータベースにハッキングの跡が見られると報告されてましてね」
「少し警戒したいのですよ。何せ彼等は近代的な魔術師ですからね!」
「君と年も近いですし!話に花を咲かせてきてくださいな!」

要するに、リスクを負いたくない故にフェリシア達に行かせようという魂胆なのだろう
市長は自分からは動かない。動かすのは常に他人だ


「……わかったわ。セイバー、行きましょう」
「はいはいっと。マスターには従いますよーっと!」

下卑た笑いを視線から外し、市長室から外へと出る
フェリシアとしても、ランサーのマスター。ガイスロギヴァテスの事には興味がある

胸に決意を秘めたフェリシアは、市長から渡された住所へと向かうのだった



【こっちの昼行動はセイバー陣営との会話確定】

【なので、今回は別陣営からの視点でお送りします】


12:エーデルワイス
34:アーチャー
56:キャスター
7:ライダー
89:学生の面々
↓1



「……ふぅん。ロベルトがね」
「はい。私のスカイフィッシュが奴めの姿をやうやく捉えました」
「しかし、それ以降は……申し訳ございません」

「うんうんだいじょーぶ!それでロベルトどうしちゃったの!?」

恭しく頭を下げるアスカトル。彼の仮面の奥で悔しさを滲ませている事は、震える肩から判断できた
ポンポンと慰めるアルミだが、恐らく彼女は話を聞いていなかったのだろう


 ◆幻翅の残影(スカイフィッシュ)
  カメラにしか写らない、空中を超高速で飛行する棒状の未確認生物。フライング・ロッド。
  死の淵にある蜜蜂に“冥府ミクトランでケツァルコアトルが吹いた法螺貝の中の蜜蜂”の
  幻霊を降ろすことで低ランクの幻想種(魔獣)に変貌させ、ケツァルコアトル最新の眷属の一種
  “スカイフィッシュ”として肉眼で視認できない速度と気配遮断スキルを与える。
  召喚の触媒は穴の空いていない法螺貝に蜜蜂を入れたもの。
  アスカトルはこのスカイフィッシュの群れを使い魔として坂松市を監視しており、
  戦闘時には弾幕として用いる。


「うん。まあ仕方ないよ。どうもロベルトには後ろ楯があるみたいだし」
「けど……そろそろボク達も動こうかな?どうしようかな……」



12:じゃあロベルトがちょっかいかけた子の所に行こうか
3456:まだ高みの見物
789:後ろ楯を探そう
↓1


1:「じゃあその子の所に行こうか!」

【流石に総出では出ないだろうと思うので、判定】
【タイミングとしては分けてやるのは面倒なのでセイバー陣営と同時期にします】

【コンマが2以上の際、+1の判定】
1:全員だよ
23:イエス
45:アスカトル
6789:アルミ
↓1


3+1=4:アスカトル

【では、お昼はセイバー陣営とアスカトル。ルゥナと少々森(とランサーとベル)の多人数会談に決定】

【なので本日はここまで。何か聞きたい事や話したい題材があったりすれば】

【反映される……かもしれません。それでは】


【本日はお休み……】

【無ければ無しでなんとかします()】


【本日もお休み……】


【今日は書き上がった分だけ更新。安価はありません】



「あ、あのぅ。大丈夫ですかぁ?」
「ここコーヒー注いで来たので!良ければ……」
「苦いの、嫌?砂糖入れて、飲む?」
「うるさいってば……もう……!」

朝から、ベルは終始ルゥナの周りをうろうろとしている
時々、おまけで少々森とコーヒーが付いてくるが機嫌は直らない
心配されているのはわかる。だが、その態度が余計に癪に触るのだ

守るべき筈のベルと少々森が、自分と立場が逆転した様で
もう、既にルゥナのプライドはボロボロだった

「あっ、誰か来たみたいですよぅ。実はルームサービスを頼んでたんですぅ」
「えへへへ……ベルのお小遣いでケーキを買ったので、二人で一緒に……えへへへへ」

そうこうしているとチャイムが鳴る。嬉しそうにニヤけたベルは、いそいそと扉を開いた




「……失礼します。私、アスカトル・エーデルワイスという者です」
「突然の訪問失礼ですが……貴女がルゥナ・ガイスロギヴァテスで間違いありませんか?」


「ぴぃいやああぁあぁあああ!?!?」




「っ、ベル、少々森!下がって!」
「はひぃ!?」「……わかった」
「あたしがルゥナよ。仮面怪人!いきなり何の用!?」

唐突に現れた仮面の男。アスカトルに警戒心を最大限に高めて威圧する
背後ではランサーが控えて拳を構える。何か起これば直ぐ様行動出来る様に
その様子を見たアスカトルは、両手を振って口を開く

「これはこれは……失礼しました。危害を与えるつもりは毛頭ありません。ただ……」
「ウソつくんじゃないわよ!人を、人を……!」


「あら、先客?どうするフェリシア。日を改めてからもう一度来ようかしら」
「構わないわ。あくまでも会話を通じて、彼女の人となりを見るだけよ」
「……おやおや」

ガヤガヤと騒がしくなっていく周囲に困惑するしかないルゥナ
ベルと少々森はベッドの上で毛布を被っている


「私はフェリシア。北欧の魔術師、グロスキュリア家の末裔よ」
「これはご丁寧に。私はアスカトル・エーデルワイスと申します」
「……で、あんた達は何しに来たワケ?」



「何しに。っていうか……お喋り?」
「ここじゃ狭いから、ちょっと移動しない?私の剣も振りにくいし」

ケラケラと笑うセイバーは、ここから移動したいと発言する
セイバーの提案は釈然としないものの、どうやら従う他は無さそうだ

ぞろぞろと不思議な集団が並んでホテルを歩く姿はシュールそのもの
ルゥナは頭を抱えながら、セイバーの後をついていくのだった




……歩くこと数分。ホテルのレストランにずらりと着席する
明らかに目立つ集団なのだが、認識阻害の魔術でもかけたのだろうか

特に、誰かに咎められる事もなく普通に食事を頼んでいた


「私はチーズインハンバーグ頼むけど、フェリシアは?」
「そんな気分じゃないわ。貴女も控えて頂戴」

「おや、私はそんな事は気にしませんよ。お好きにして下さいな」
「あたしも……じゃあ、同じの貰うわ」

朝から何も食べていないルゥナに、空腹が襲う
思わず、ついセイバーの注文に便乗する。それくらい食べ物を欲していたのだ

「……ランサーは?いるんでしょう?」
「どうして姿を見せないのかしら。不意討ちを企んでいるつもり?」
「あっゴメンゴメン。ちゃんといるよ」


「オレがいると緊張するかなって思ってさ。皆は好きにしてよ」
「話があるんでしょ?二人とも、話しなよ」

「……では。私から宜しいですか?皆さん」


ランサーに促され、口を開いたのはアスカトル
仮面越しだがハッキリと流暢に話し始めた



「まず……私が、今から言う人物に心当たりはありますか?」
「ロベルト・エーデルワイス。かつて、この街で聖職者を勤めていた者です」


「っ……」「……知らないわ」「同じく!」


セイバー陣営が即答する横で、黙り込むルゥナ
アスカトルも反応を想定していたのか、頷くとルゥナに一杯の水を差し出した

「すみません、失礼な質問でしたね。我々は、君が彼と接触していた事を把握しています」
「彼の居場所や目的。それを聞こうとはしませんが……確認させて戴きました」

「……じゃあ、何であたしの所に来たのよ」
「エーデルワイスはあんた達じゃない。あんた達こそ知らないワケ?」

ルゥナからの質問は尤もな話だ。ロベルトは、元とはいえアスカトルと同じエーデルワイス
所属していた陣営ならば、多少の足は追えるのではないかと


「彼は、始めから我々を裏切るつもりだったのでしょう」
「これから話す事は、信用されないかもしれませんが……」

「貴女達は、この街で召喚された災害……『アバドン』をご存知でしょうか?」



【本日はここまで】

【次回はまた今度……もしかすると遅くなるかもしれません】


【ごめんなさい。連絡が遅れてしまいました……】

【来週のどこかしらで、必ず更新しますので!】




【お待たせしました。ちみちみ再開します】




「アバドン……?」

「知ってるわよ。坂松の街を食い荒らした怪物で、本来なら召喚すら出来ないイレギュラー」
「監督役であるロベルトが、意味のわからない理由で呼び出した正真正銘の悪魔よ……!」

きょとんとしたフェリシアとセイバーにルゥナが憎々しげに補足する
ガイスロギヴァテスの面子を潰した元凶。睨まれたアスカトルは、頷き説明を続ける

「エーデルワイスの扱う降霊術は、本来『天使を呼び寄せる』為の術式だそうです」
「故に、正常に聖杯が機能すれば有り得ざる存在……天使すらも呼び寄せる事が可能となる」
「机上の論を実現させる為に選ばれた聖杯は、かつて……。……いいえ。この話はまた別の機会にしましょうか」


「では、その聖杯は正常に機能していないという事かしら?」
「まさか。不完全な聖杯では、聖杯戦争を二度も、この様な短期間では行えません」
「召喚される英霊も、微弱な英霊未満……幻霊と称される者しか呼べぬでしょう」

ふむ。と顎に手を当て考え込むフェリシア。彼女も違和感を抱いてきたのだろう
その横ではセイバーがハンバーグを頬張る。むぐむぐと口を動かした後、思い出したかの様にこう口にした


「話は何となくわかったわ。けれどね……」
「そのアバドンってのと、聖杯。それのどこに何の関係があるの?」




その言葉に対して、深く頷くアスカトル
待っていたと言わんばかりの態度には、否が応でも興味をそそられる
エーデルワイスの二つの点がどう繋がるのか。ルゥナも興味があるのだから


「ロベルトは、聖杯で天使を召喚出来るのかを確かめる事にしたのでしょう」

「結果としては不可能……当然ですね。聖杯の元を辿れば聖遺物。そして天使とは従属する者」

「しかし……聖杯に溢れる程の魔力。それをエーデルワイスの降霊術で利用すれば……」

「机上の論としては、不可能ではありません」


召喚する為の術式と、それを運用出来るだけの魔力があれば天使を呼べる。そういう事だろう
おかしな男の狂った妄想。実現するはずのない夢物語……だったはずだ

「シュヴァルツ様は聖杯を組み換え、天使の為の器としたのです」
「“天使を召喚出来たならば、それは天使の聖杯である”。彼はそう言っていましたよ」

「召喚出来た事で、逆説的に天使を呼べる事が証明出来た……?」
「けどアバドンは虫のバケモノじゃない。天使を呼ぶんじゃなかったのかしら?」



「いいえ。アバドンは『天使』ですよ」
「そうでなければ、エーデルワイスの所有する聖杯で呼べる訳がありませんからね」
「そうね……」 「ウソでしょ……」

屈託無く答えるアスカトル。フェリシアも納得したのか深く頷いていた
……ルゥナは全然、釈然としていないが



「では……そのロベルトという者が聖杯を持っていると」

「ええ。我々も奴を捜索しているのですが……」
「私のスカイフィッシュも、そこまで万能ではありません。他の者は頼りにならず……」
「ああ、それなら多分フェリシアの近くにいると思うよ?」

突如、横槍を入れたランサーの指摘に面食らうフェリシア
セイバーも怪訝そうに首をかしげ、ランサーの顔を不思議に見つめる

「…………何ですって?」
「いい加減な事を言わないで!私達が、そんな男と手を組む訳が!」

「けど、オレ達が市長の所に行った後、すぐにキミ達は少々森の家に来たよね」
「オレ達とキミ達は、あの時点が初対面。家の場所を伝えていた人もごく一部だけだ」
「なのに、どうしてあんなに速くきたの?」


ランサーからの指摘に目を泳がせる。隣に座るルゥナも、ヒリヒリと肌で感じていた
今のランサーは本気だ。ともすれば、ルゥナの制止よりも先にフェリシアの頭を砕くだろう

その気迫にフェリシアは口をつぐむ。代わりにとセイバーはゆっくりと話し始めた


「……アンタ達を追うように、市長から命令されたからよ」
「私達は市長……アサシンの奴と同盟を結んでるから、邪魔なアンタ達を始末する為にね」

「市長?……ちょっと、この写真には市長とロベルトが写っているのよ!?」
「なんですって……!?」

ルゥナの取り出した一枚の写真。それを横取りするかの様に奪い取ったアスカトル
小刻みに震えるその体から、内に秘める感情は手に取る様に明らかだった




「この様な輩が……しかし、何故……!」
「市長は私達への交渉材料として、聖杯の使用権を提示してきたわ」
「そして、自分達には禍門の家がバックについているとも……」

「禍門が……!?」

その返答にはルゥナも驚く。禍門と言えば、街を守護する土着の魔術師のはず
街を破壊し尽くした相手と手を組むとはとても思えない……


「とにかく、私達はそれ以外は知らないわ」
「これ以上フェリシアを責めたって意味なんかないわよ。いい?」

居心地悪そうに俯くフェリシアを、有無を言わせない迫力で立ち、守るセイバー
これ以上の話はさせない。そう如実に表されてはどうしようもない。こちらは引くしか無さそうだ


「……わかったわよ。もういいかしら?」
「ええ。貴重なお話、感謝します」「私達も……失礼するわ」

アスカトルとセイバー陣営は席を立つ。残されたルゥナはただぽつんと座るだけだった



【お次は昼行動。メンバーは以下の通り】

123:ライダー
456:アーチャー
789:キャスター
↓1



長閑な坂松市の昼下がり
心地よく囀ずる小鳥の声も、暖かな日の光も届かない様なビルの隙間にその男はいた

壁にもたれかかる様に伸びているのは、いかにもガラの悪い男達
それを見下ろしているのは、ボロボロの外套に身を包むストレングスだった

「貴方、また正義の味方ごっこかしら?」
「後始末をする私の気持ちを考えて頂戴。まだ陣地も改造途中なのよ?」
「そんなどうでもいい連中よりも、聖杯戦争のマスターなり……」


ストレングスの側に、ふわりと舞い降りるアーチャーは顔をしかめて小言を続ける
まるで、子供を叱るかの様な説教を軽く流す。ふと、空を見上げると爽やかな青い空が

「……ちょっと、聞いているの?」
「聞いている。だが、その行動こそ何の意味があるのいうのだ?」
「貴方ねぇ……!」

怒るアーチャーにも我関せず。ストレングスはただ思考を重ねていく
自信の存在意義を賭けた戦い。その必勝の方法を探るために


123:特に何も起こらず
456:とりあえず他陣営との接触を目標に
789:情報が手に入った
0:???
↓1



「……やはり、足りないか」
「当たり前でしょう?特に、ライダーに対抗するならもっと」
「俺達だけでは、恐らく勝ち進めない」

淡々と答えるストレングスに、アーチャーは目を丸くする
一瞬だけ体温が熱くなる。しかし、その指摘は自らも痛感していた事で

「……そうね。セイバーにライダー、私に不利な敵が多すぎる」
「少なくとも、その片方……或いは二陣営が退場するまで同盟を結ぶのはいいかもしれないわ」

アーチャーの取り柄はその手数にある。その為にセイバーの守りは突破できず
ライダーに至っては、全て避わされた上にその質量で叩き潰されてしまっていたのだから


「今後は手を組む相手を探す方針に変える。同盟を結べた場合、ある程度は陣地を共有する」
「……仕方ないわね。けど、少しだけよ?」

短く返答を切り上げ、二人は光の差す方へ
人の賑わいに紛れる様に、姿を消していくのだった




「……ん、ルゥナさぁん」
「ん、何よ……。……もう夜?」
「はひぃ……」

別れて数時間、あれからベッドに倒れ込むかの様に睡眠に落ちていた
ベルにつつかれてむくりと起き上がる。眠そうな目を擦りながら思考の整理を

「……やる事多すぎてこんがらがってきたわ」

エーデルワイス、禍門、それ以外にも考える事が山積みで


「……まあいいわ。動いてから考えましょう」
「そうだね、ルゥナが戦える様にオレも頑張るよ」

ランサーからの激励に顔をしかめるルゥナ
しかし、それ以外にも方法が無い訳で。とにもかくにも外に出る事にしたのだった


1:移動(場所選択)
2:会話(人物指定)
3:その他
↓1


【安価を確認して本日はここまで】 

【私事ですが、今月は時間がちょっと無い……】

【更新頻度が更に落ちるかもしれません……すみません】





【ゆっくりと再開します……】



「……ここね、禍門邸は」

街を歩いて数十分、郊外に入ってまた数分
閑静な森の中に、御三家が一つ。禍門の家が存在する
ひっそりとした場所とは裏腹に、豪奢な見た目の建物はいかにも重要そうなな雰囲気を醸し出していた

「周りに罠の類いは無し。場所が前と変わってなくて助かったわ」
「さて、早速突入するわよ……ランサー。……ランサー?」

意気揚々と進むルゥナ。だが、背後には付いてくるはずのランサーがいない
首を振って周囲を見渡す。すると、片手にパソコンを抱えて

「ゴメンゴメン。ちょっと確認したくてさ」
「近辺の監視カメラをハッキングして解析してみたんだけど、あの市長が来たのは本当に最近なんだよ」
「それ以前は全然見つからない。カメラの無い所から来てるのかもしれないけどね~」


両手を竦める動作から、ランサーは不審に感じているのだろう
禍門の魔術師ともあろう者が、その様な浅い間柄の人間と組むのだろうか?

不可解な状況と言っても過言ではない。だが、ルゥナが考えるよりも直接聞いた方が早い

この先は敵の本拠地、覚悟を決めろ。
己に言い聞かせるかの様に、ゆっくり門へと歩みを進めていった



「こんばんは~初めまして!」
「お先に広間へお通しするので、パパが来るまでごゆっくり~!」

「……どうしましょう。随分あっさり入れちゃったわ」
「魔術戦も想定して、一番お気に入りの礼装を持ってきたのに!」

予想よりも遥かにさっくりと門を通された。先の明るい女性は娘だろうか?
その対応に面食らう。ガイスロギヴァテスの人間である自分ならば、追い払うが道理だろう

もしかして、前回のドミトリイ達は仲良くしていたのだろうか……

「……失礼、君が我々に面会を申し出た」
「っと。来たわね……そうよ、あたしはルゥナ。ルゥナ・ガイスロギヴァテスよ」
「ガイスロギヴァテス……か。そうか、君が」

そうこうしている内に、奥から精悍な男性が姿を現す
ルゥナを視界に映すや否や。軽く会釈をし、真正面に立つ


「俺は憂午。一応の禍門当主として、この聖杯戦争に関与している者だ」
「かつては御三家が一つとして、この街にいた家が……俺達に何の用かな?」



1:ロベルトの存在を知っているのか
2:市長と手を組んでいるのは本当なのか
3:その他
↓1



「……単刀直入に聞くわ。あの市長との関係よ」
「坂松市の市長。あいつがアサシンのマスターである事は知ってるかしら?」

「知っているとも。それが何だと言うんだ?」
「その市長に、禍門の家が全面的にバックアップしてるそうね。どうしてかしら?」
「普通に考えたら、市長よりも禍門の魔術師の中からマスターが選出されるのが自然だと思うんだけど?」

ルゥナからの質問に、僅かに眉を潜める憂午
しかしすぐに毅然とした面持ちで、目の前の少女にハッキリと答える

「……その件については間違いない。我々禍門はアサシンのマスターである市長を支援する」
「彼はこの街を守り、穏便に聖杯戦争を終えると宣言した。それは禍門の悲願と一致する」
「誰であろうと街を守るなら問題は無い。これで納得いったかな?」


憂午の説明に頷くルゥナ。確かにそれに関しては同意する
問題は、その裏にいるロベルト……街を食い潰した巨悪が潜んでいる事だが……
その事をここで指摘して、果たして納得するだろうか?

本拠地の工房でもあるだろう。戦闘になる可能性も高い
サーヴァントであるランサーがいる以上、負ける事は無いとは思うが……



20:50から
1:ロベルトの事を指摘する
2:ロベルトの事を指摘しない(別の話題も併記)
3:その他
↓1



「………………」
「……? どうかしたのか、何か不都合が?」
「いや、いいわ……なら、禍門はこの事は知ってたのかしら」

口ごもるルゥナ。言うべきか言わぬべきか、頭の中で激しく葛藤する
うんうんと唸りながらも考えを止めず。やっと考えが纏まったのか口を開いた

「市長の裏には、エーデルワイスの裏切り者、ロベルト・エーデルワイスがついている」
「何だと!?」

憂午は激しく驚いて、目を見開いて面食らう
当然の事だが、知らなかったのだろう。畳み掛ける様に言葉をぶつけていく

「あいつは聖杯を所有し、市長と結託してこの街のどこかに隠しているはずよ」
「証拠だってあるわ!この写真に、ハッキリと二人が写っているんだから!」
「それなのに街を守る?禍門が支援する?どう考えてもおかしいじゃない!」

「あんた達は利用されてんのよ、偽善者の市長にね!」



【兄への不審】+2
【弱みを握られている】-2
123:禍門を愚弄したな!ここで消えろ!
456:ちょっと考える時間が欲しい
789:信用する
↓1



【特殊か……まあ面白そうなので】
123:「面白そうなお話ですね!私にもお聞かせ願います!」
456:娘達が乱入
789:???
↓1



「それ、は……いや、まさか……」
「ルゥナ。くんだったね……それは、本当か?」
「証拠まで出したのに嘘なんかつかないわよ」

わなわなと震える憂午。満ちている感情は怒りそのもの
御三家としての誇りすら投げ捨て、あろう事か街を汚す人間と手を組んだ相手への怒り
そして、それを気づけなかった自分への怒りが責めていた

「……情報、感謝する。当主代理として、速やかに行動するつもりだ」
「ガイスロギヴァテスの者と聞いた時は身構えたが……悪い事をしてしまった」
「別にいいわよ。最初から嫌われてるのは察してたもの」

「じゃあ、あたしはもう帰るわ。それじゃ……」
「お待たせしましたー!粗茶ですが……あれ?」
「お姉ちゃん。もう、お帰り……デス」

「あんた達は?」「千呼、アキラ。二人はもう戻りなさい」
「えーーっ!!ヤダヤダ、お話しした~い!」
「ねえねえねえ!貴女がガイスロギヴァテスのマスターなんだよね!」

「私は千呼!よろしくね~!」
「あ、アキラデス。どうも……」

黒髪のツインテール……お揃いの髪型の少女達がルゥナに近づく
千呼とアキラと名乗った二人は、雰囲気は全く違うが何処と無く似ている面持ちで

……この二人から、何か引き出せるかもしれないと感じたルゥナは千呼の提案に乗る事にした

「……じゃあせっかくだからお話ししましょう。あたしはルゥナ。よろしく」



【結局、成果は……】
千呼
1234:なんにも
5678:少しだけ
9:???
↓1

アキラ
1234:なんにも
5678:少しだけ
9:???
↓2


千呼:なんにも

アキラ:???

【特殊はこちらで処理します……】

【安価を確認して本日はここまで。お疲れ様でした】



【明日更新予定です。連絡が滞ってごめんなさい……】

【やりたい事はちゃんとあるのですが、それを上手く繋げられない……!】




【そろそろ再開します】



「……へー!ガイスロギヴァテスにも動画を配信してる人がいるんだ!」
「私も高校生の頃からやってるんだけど、最近ローカルの番組に出てて……」

結論から言うと、この二人との会話はあんまり実のあるものにはならなかった
姉の千呼は話好きなのか積極的に話題を振ってくるものの、それらは聖杯戦争どころかルゥナの好みにもかすらない

妹のアキラは対称的に口すら開かない。何かを話そうとしても、すぐにむぐむぐと口をつぐんでしまうのだ
これではルゥナから話を切り出す事が出来ず、結局は相づちを打つ事に注力する羽目になっていたのだった

「ああ、うん、はいはい……」
「ルゥナ。もうちょっと楽しそうにしたら?」
「しかたないでしょ楽しくないんだから!」

「しょうがないなあ……ねえ、千呼の収録しているスタジオを見せてくれない?」
「いいよ~!こっちこっち!」

ぐいぐいと手を引っぱってランサーを連れていく千呼。襲われるとは思わないのだろうか……?
残されたのはルゥナとアキラ。アキラは話好きではないので少しは楽になった……


「……あの」
「ひゃっ!?何よ急に!?」




先程からずっと黙っていたのに、突然口を開いたアキラ
予想外の出来事に面食らうルゥナ。相手も少し驚いている

「あ、あの。何か問題が」
「何でもないわよ。どうかしたの?」
「えっと……その、これを、渡しておきます」

「私の、お守りデス。けど……多分。貴女に預けておいた方がいいと思って」

手渡してきた小袋には、何らかの破片が。僅かに魔力を感じるが……
これだけで何が出来るとは思えない。しかし、突き返すのも酷い話だろう

「ありがと。……念の為に言うけど、罠だったら承知しないわよ」
「罠じゃ、ないデス……」

「私、三年生なんデス。けど、今は少し休学中で通っていなくって」
「その。……絶対、アサシンに勝ってください。お父さんの事、馬鹿にしてたから」



強い意思を秘めた瞳が、ルゥナを見据える
その顔は先の無口なものではなく。お礼にとばかりに微笑み返した

「上等よ。ちゃんとぶっ倒してやるから」
「あんた達は家でゆっくりしてなさい。ガイスロギヴァテスの力を教えてあげるわ!」

ルゥナの力強い宣言に、にこりと笑うアキラ
叶うかどうかもわからない口約束。だが、今の二人にはそれだけで充分な言葉だった



【別陣営の夜の行動】

【ここで今後の方向性が決まるかもしれない】
12:ライダー
345:アーチャー
67:キャスター
89:セイバー&アサシン
↓1



「………………」
「おいユーニス。もう怪我は治ったろう」

「いい加減に起きて貰わんと、俺が困る。聖杯戦争を降りるつもりか?」
「うるさいぞー……放っておけー……」

協会の地下の部屋の一角。キャスターは自らのマスターへと声をかける
それは、先の戦闘……ライダーの持つ暴虐とすら呼べる力を目の当たりにしてしまったが為

ユーニスが聖杯戦争に参加した理由は、英霊と話したいというある意味では温いモノだった
だが……どこかで失念していたのかもしれない。英霊とは、ヒトの理解の範疇にあるという事を

「僕はもう駄目だ……令呪ももう無い。僕の願い
がこんなに馬鹿な願いだったなんてね……」

打ちひしがれるユーニスの声はか細い。天才的な頭脳の持ち主である彼女の心は完全に折れていた
天才故に結末がわかる。自分が生存して帰れる可能性は、限り無く低いものなのだと

「確かにな、俺も願いなんざ無い……いや、もう満足する位には街を見回れたからなんだが」
「お前ももう少しは頑張れ。というか、頭の中で完結させるな」
「頭がいいのはわかった。だが計算よりも行動に勝るものは無いと俺は思うぞ」

「吉田君……」
「だからそう呼ぶのは止めろって何度も言っていたよな俺!?」

「ありがとう……うん。少しはやる気が出た」
「それでは、行動するとしようか。君の死を無駄にせす、僕が生きて帰る為にね」
「待て待て待て。俺は死ぬ前提なのか」


【やる気が出た】+1
123:礼装を造り溜めしておこう
456:情報を色々集めてみよう
789:ランサー陣営に連絡を入れよう
↓1


5:情報を集めるぞ


「では、僕はこれから監督役から資料を借りに行こうと思う」
「前回や他の聖杯戦争の情報から、僕が生き延びる術が見つかるかもしれない」
「えらく消極的だが……まあいいか」

自信満々に胸を張るユーニスを、呆れた顔で見つめるキャスター
だが、本職の魔術師ではないキャスターが軽率に動いても意味の無い事。ぐっと我慢する

「……ああそうだ、忘れていた」
「監督役に頼んで買って貰った酒だ。大吟醸?というらしいのだが」
「ヒャッハーーー!!!久々の酒だァ!なんでもっと早くに言わねえんだよマスタァーッ!」

部屋から持ってきた酒瓶をひったくる様に奪うキャスター
目にも止まらぬ速さは敏捷の数値を疑う程。瓶の蓋を力業でこじ開けると、ラッパ飲みで一気に飲み干した

「久々の酒だァ!傷と心にじんわり染みるゥ!いいモン持ってんじゃねーかオイ!」
「何本もあるぞー。それを呑んでいる間に、僕は調べているからな」

酒に浸るキャスターを、呆れた様に眺めるユーニス
いそいそと部屋に入ると鍵を閉める。外のどんちゃん騒ぎは既に耳に入ってこなかった



「ふぁあ……」
「あー眠い……やっぱり、昼に寝過ぎるのは止めた方がいいわね」

欠伸を噛み殺しつつ、机に突っ伏す。寝不足で視界もぼんやりしているが問題はない
眠たげな態度を心配したのか、普段の二人から近寄ってくる

「大丈夫か?ルゥナが寝不足なんて珍しいな」
「禍門の連中の話がね……あ、こっちの話だから気にしなくていいわよ」
「はい!忘れとくんで!」「…………そっか!」


ほんの一瞬だけ妙な間があったが、すぐに気を取り直す
一度、大きく伸びをする。朝はまだこれからなのだから


【朝~昼の行動】
1:移動(場所指定)
2:会話(人物指定)
3:その他(自由安価)
↓1



「……さて、ランサー。いるかしら?」
「ここにいるよ~。オレを呼んだって事は」
「探りを入れるわ。エーデルワイスにね」

校舎の裏。人気の無い場所で自らのサーヴァント、ランサーを呼び寄せる
アスカトルから聞き及んだ話や個人的な方針。様々な理由を含みながら、調査を命じた


「ところで、どうやって調べてみる?」
「オレが霊体化して調べる方法と、パソコンからインターネットをハッキングして調べる方法の二つがあるけど」

「それぞれのメリットとデメリットは?」
「霊体化した場合は安全だけど、行ける範囲でしか無理だね~」
「ハッキングする場合は精度が高いけど、方向を指定しないと難しいかな」


それぞれの方法を示され、悩むルゥナ
どちらにも利点がある以上、考えなくてはならないだろう

ランサーにどう調査させようか……


23:25から
1:霊体化(安全だが精度は低い)
2:ハッキング(精度は高いが運任せ。方法指定あり)
3:別の方法を提示(自由安価、判定は提示された方法に準じる)
↓1


2:ハッキング

【どの様な方針で調査を命じるか】
1:ロベルトと市長の関係
2:エーデルワイスの残党達
3:その他(自由安価)
↓1

【調査の結果】
コンマ判定。1ほど少なく、9ほど多い
↓2


1:ロベルトと市長について

4:正確な情報をまあまあな量獲得

【という訳で本日はここまで。次回は続きから始めます】


【今日は少しだけ早く再開】




「お待たせ~。調べてきたよ」
「本当に待たせたわね……もう放課後よ」

授業と終わった頃にふらりと現れたランサーをじろりと睨む
まだかまだかと待ちに待ったルゥナからしてみれば、酷く待ちくたびれていたのだ

「ゴメンゴメン。けど情報は掴んできたよ」
「本当でしょうね、大したものじゃなかったらその顔の針を今の時刻にするわよ」
「それは困るかな~。はい、ロベルトと市長について纏めてきたよ」

手元のスマホを取り出し見せる。見やすい様に箇条書きで、纏めたデータを示してきた

「なるほどね。……どういう事?」
「少なくとも、市長と手を組み始めたのは最近じゃない。もっと前……それこそ前回の終結直後だとオレは思う」
「幾ら計算しても復興の速度が妙なんだ。最初から想定していない限りはね」


ランサーの説明に、納得いった様に頷くルゥナ
前回の聖杯戦争からロベルトは姿を消していたと聞く。市長が匿っていたのだろうか
どうやらこの街は思った以上に深くまで市長やロベルトの手が及んでいるのかもしれない


「後、気になったのはスタジアムだね」
「スタジアム……?あ、もしかして駅前の近くにあったあの?」
「そう。あそこは本来ビルが立つ予定だったのを、市長が強引に建設する様に指示したんだ」

初めてこの坂松の地に降り立った時、真っ先に目に入った巨大な建物を思い返す
確かにベルはそんな風に言っていたが……

「けれど、何の目的があるかはわからないな。そこまでは調べられなかったよ」
「しょうがないわね。記憶の片隅に置いておく事にするわ」

ランサーからの情報はある意味では有益だった
この街に張り巡らされた蜘蛛の糸。それは少し昔から、あの市長とロベルトが手繰っていたのかもしれないのだから




【ちょっと場面が硬直気味なので、発破をかける意味も含めてイベント判定】

【起こったイベント次第で先に起こるルートが分岐します】

【あくまで一番始めに起こるルートなので、外れても後々繋がります】


147:市長とフェリシア、決裂
258:襲来、アーチャー陣営
369:ロベルトと???
0:???
↓1



6:ロベルトと少々森


「…………あ、あのう」
「何?」

ルゥナがランサーと話している頃。ベルは少々森と気まずい時間を過ごしていた
ちなみに少々森の本日はお休み。万が一学校で戦闘が起きたら守れる自信が無いからだ

「え、えっと……いつ、ルゥナさん帰ってくると思います?」
「ごくごく」

「そろそろ学校終わる頃ですよね……ですよね、そうですよね……?」
「むぐむぐ」

「どうして無視するんですかぁ!?ベルと話したくないって事なんですかどうなんですかあああああ!!!!」
「……ごくん。多分、そろそろ」「あ、そうなんですか」

マイペースな少々森に振り回されるベル。目にはうるうると涙を浮かべて泣きそうだ
だが、それももう終わる。何せルゥナが帰ってくるのだから

ずっと自分を守ってくれた……例え自分の方が年上だったとしても……大好きな人
彼女がいれば守ってくれる。いじめる奴もやっつけてくれる……そう信じていた

「……? 誰か、来た」
「あ、ルゥナさぁん!少々森さんがああ……」






「お迎えにあがったよ……少々森君……」



「……あ、あれ?」

「来るんだ……君の居場所はここじゃあない」
「今までは『バーサーカー』に監視させていたがそれも終わり」
「君さえいれば私の願いは……ああ……!」

扉を開けた先には、ルゥナではなく見知らぬ男
男はベルを無視すると、奥に座る少々森に向けて一直線に歩いていく
何やらブツブツと呟いていて正直怖い。だが、今は恐怖よりも、ルゥナとの約束が勝った


『いい?あんたが少々森を守ってあげて』
『あたしよりは弱くたって、魔術を使えるなら護身くらいは出来るでしょ?』


「あ、ああああの!そそそその人に」

「さあ早く立つんだッ!ランサーのマスターが戻ってくる前に!」
「嫌っ、やだ……!ルゥナと、約束……!」
「ふざけた事を言うんじゃあないぞッ!お前は私に従う責務がある事を忘れたかッ!」
「聞いてくださいよおおおお!!!」

男……ロベルトはベルの事など完全に眼中に無い
少々森を強引に引っ張り連れ去ろうとするが、彼女も必死に抵抗しているようだった

ああだこうだの問答は、すぐに終わりが訪れた

「が、はっ……!?」
「フン……大人しくすれば痛い目に合わずに済んだものを……」
「だがこれで目的は達成した……後は市長の息がかかった者に……」

「ま、待ってください……」
「そそ、その人は……ルゥナさんの、大切な友人な、なんです」
「だから……とととと通しませんぅ!ルゥナさんが来るまでぇえ!」

「……全く。神は、私に試練をお与えになるというのですか?」
「そう……これは祝福だ。プレゼントだ。神は私を愛してくれている……」

「調子に乗るなあああああああ小娘があああああああ!」



【ベルはどうなった?】
1ほど軽傷。9ほど死ぬ確率が高い
↓1

体術すげえ


>>862
【二年経ってますし、神父ですし(謎理論)】

5:一日安静にする程度


「……ベル!?いるの!?」
「ひゃ、ひゃい……でも、どうして」
「ランサーが察知したのよ。あんた、その傷」

慌ててホテルの部屋を空ける。そこには床に転がる無惨なベルの姿があった
帰り道、急にランサーがルゥナを担いで運んできた時は気が狂ったのかと思ったが……
どうやら二人の危機を感知したのだろう。結果としては後手になってしまったが

「……少々森、少々森は!?」
「つ、連れていかれて……神父みたいな、人に」
「神父……?それって」「間違いなく、ロベルトだろうね」


ロベルト・エーデルワイス。市長と手を組み、この街を裏から操る黒幕の一人
だが、何故彼が少々森を拐ったのか……?それはルゥナにはわからない

「……行くわよ。ランサー」
「それは、つまり……少々森を」
「取り戻しにいくに決まってるじゃない」

「……ルゥナさん、どうして」
「そんなに、少々森さんが大事なんですか。私は必死に頑張ったのに」
「私よりも、あいつの方が……」




卑屈そうに、ルゥナに問いかける
ずっと一緒にいた自分よりも、ほんの最近知り合ったばかりの相手が大切なのか。と

「バカ。そんな訳無いでしょ」
「あんたは戦ってくれた。頑張ってくれたじゃない」
「少々森は戦えない。相手は何をするかわからないから心配してるだけよ」

「じゃ、じゃあ!る、ルゥナさんの友達はベルただ一人……」
「いやそういう訳じゃないけど」
「きゅううう……」

あっさりと否定されて気が緩んだのか。口から空気が抜ける様に意識を失う
慌てるルゥナ。まさか息を引き取ってしまったのかと冷や汗が流れる


「あー大丈夫。疲れて気を失っただけだね」
「そう。……けれど、ロベルトが少々森を拐ったのは意味がわからないわ」
「あの子、普通の学生じゃない。さきちゃんはあの子と一緒にいたけど」

不可解な行動に首をかしげる。一般学生を拐うメリットがあるとは思えない
その様子を、ランサーは表情の伺えない。無機質な顔で見つめていた


「けれど、どうしましょう。どこに拐われたのか見当も……」
「って市長と組んでるんだから市長の所よね。なら早速突っ込むわよ!」

「う~ん……無策で突っ込むのはオススメし辛いなあ」
「もっと協力者を募るとか、情報を集めるとかした方がいいんじゃない?」
「何言ってんの!?少々森が殺されるかもしれないじゃない!」

取り戻そうと意気込むルゥナに対し、何故か消極的な態度のランサー
気絶したベルをベッドに寝かせつつ、話し合いを続けていく……


21:45から
1:移動(場所指定)
2:連絡(人物指定)
3:その他(自由安価)
↓1


2:キャスター陣営に連絡


【ちなみにキャスター陣営は監督役の元にいるのですが、監督役にも話しますか?】

【そしてユーニスの調査の結果もこっちで判定します】
↓1から監督役に話すかどうか

【まだ半日】-2 【賢者の蔵書】+2
123:全然
456:それなりに
789:割りと核心に
↓1のコンマ

話す


6:まあそれなり

【直下で答えがなかった為、下2の>>868を採用します】  

【という訳で本日はここまで。次回はキャスター陣営と監督役への相談から】



【明後日に少しやりたい……】


【それでは再開…】



「なんと!?ロベルト・エーデルワイスが無辜の少女を拐ったと!?」
「ロベルト……何でそんな事を。いや、それよりも今までどこに居たの……?」

連絡先に通話を入れると、五分と経たずに四人もの関係者がルゥナ達の前に現れた
監督役のグレイトとエーデルワイスの関係者、アーディー。そしてキャスター陣営の二名

手短にランサーが状況を伝えると、それぞれが驚愕、驚嘆の表情を浮かべていた

「ふむ、どうやら危機的状況の様だね。監督役を紹介した恩もある。協力しよう」
「無論我々も協力する!監督役の名において!無関係の人間を拐う行為は許しがたい!」
「私も手伝うよ。アイツはエーデルワイスの敵でもあるんだから……!」

怒りに燃える二人を余所に、ユーニスは問いかける
この中では何の因縁も無い彼女こそ、この場で最も冷静な人物であった


「どうするのかな。突撃するのか、戦略を練るのか」
「突撃するなら場所を。戦略を建てるなら時間が勝負になるか……」

「何か考えはあるのかな?」




【打倒ロベルト】+2
123:解散
456:聞き込み開始
789:アスカトルが本気だす
↓1


9:アスカトル…?


【今更ですが実はキャスターと間違えて書き込んでいました】

【アスカトルはこの場に……】



12345:いるわけない(本気だすキャスター)
6789:いつの間にか
↓1


9:「話は聞かせて貰いました」



「……その件、我々にお任せを」
「きゃっ!?あんた達いつの間に!?」

ふらりと後ろから現れた影が割り込む。その声は聞き覚えのあるくぐもったもの
アスカトル・エーデルワイス。後ろの一人は見覚えが無い。恐らくはアスカトルの仲間だろう

「アルミ!?来てたの!?」
「やっほ~!やーっと会えたーっ!」
「止めなさい。今は重要な局面なのですから」 
「……彼らは?」
「エーデルワイス。かつての御三家であり、前回ではこの街に多大な迷惑をかけた……」
「事実だけど!そういうの言わないで!」

ルゥナの棘のある説明を遮るアーディー。監督役は笑いながら受け流している
一方、キャスター陣営の二人は置いてけぼり。目をぱちくりと動かしていた


「……なんだかよくわからんが。手伝ってくれるという事でいいんだな?」
「はい。私のスカイフィッシュ、アルミの空中飛行でこの街を暫く監視していました」
「如何に姿を巧妙に隠そうと、痕跡までは完全に消す事は出来ないでしょう」


 ◆重量軽減
  オーソドックスな重量軽減の術式。
  アルミは自身に適用することで体重を軽くし、跳躍力・飛翔力を高めている。

  移動や逃走、追跡が容易となる。


「いっくよー!ぴゅーーーん!!」
「……大丈夫か?僕の方が正確に出来そうだぞ」
「言わないであげてください。彼女は真剣なのですよ」「嘘だろ!?」



【アスカトル&アルミ】+3
123:見つからず
456:見つけたぜ
789:↑丁度市長と会ってる
↓1



0:特殊


123:おはセイバー
456:悪党VS人形
789:「ん?このお嬢ちゃんが欲しいのか?」
↓1


9:??「やれやれ、ポーンと出てこれるキャラじゃないんだけどな」


【というわけで本日はここまで…】



【お久しぶりです、ご無沙汰しておりました】

【最近忙しかったりサーヴァントの案が浮かんでいたり、なかなか更新に着手出来なかったので】

【エタったな……と思っていた方も多いはず】

【明日から余裕が出来るので、こちらの更新をしていきたいと思います。よろしくお願いいたします】




【それでは再開します。少しだけ……】




「ふっふっふ~ふんふんふ~ん♪」
「どこかなどこかなー?ロベルトどこだー!」
『真剣に探してください。アルミ』「ふーん!わかってるもーん!」

未だに陽の落ちない坂松市の上空で、甲高い声とくぐもった声が交錯し合う
下からでは彼女の姿を目視する事が困難な高さにいるにも関わらず、アルミは平気そうに空を舞う

しかし、飽きてきたのかその動きは不規則に。瞼を擦りつつ町を見下ろしていた

「むにゅにゅ……もー!どこ行っちゃったの!」
「どーこだ!多分あそこ!えい!」

我慢の限界に達したのか、前触れもなく急降下を始めるアルミ
突然の行動に、アスカトルも反応できず。ただ呆然と声を挙げるのみ
追い掛けようにもその姿は点の様に。アルミを追跡するのを諦めたアスカトルは、溜め息を吐きながら頭を抱えた


『……全く、あの子は。前も飛び出していっては関係の無い土地で遊んでいたでしょうに』
『まあ、彼女の勘はアテになりますからね。私のスカイフィッシュもありますし』

すぐさま思考を切り替える。アルミの暴走には慣れたもの
二年前もマスターをサポートする!と言っていたのにも関わらずシーサー人形を手土産にする様な人物なのだ

最悪の事態が起きても……いや、これ以上は言えまい
気を取り直しつつ、スカイフィッシュを更に広く飛び立たせる。……周りは不思議そうに眺めていた


「どうしたの?アルミは?」
「いえいえ。アーディーはお気になさらず……」





「戻ったよ、我が盟友……」
「ええ!ご苦労様です、ロベルト君!」

アルミが暴走する一方、易々とエーデルワイスの追跡を逃れたロベルト
隠れ家で待ち受けていたこは市長とアサシン。彼等に少々森を託すと、一冊の本を手に取った

「しかし、理解できない。何故この様な普通の子供が必要なのかな?」
「君に話す事はない。誰が貴様を召喚する触媒を用意したのかよく考えるのだな」
「ああ……そういえば、君の召喚したサーヴァントは」

嫌味な口調で質問をぶつけるアサシンに、皮肉げな顔で返答する
だが……アサシンのその一言が切欠に、その額に青筋が浮かぶ


「口にするんじゃあないッ!あの様な雑魚が、私のサーヴァント等あってはならない!」
「撹乱に使うのが精一杯の、制御も効かぬ上に何の神秘も無い、役立たずのゴミクズが……!」

「さき、ちゃん……!」

非情なまでのロベルトの罵倒。それに反論するかの様に呻く少々森
小さいが、確かにかつての妹の名を呼んだ

「おや?聞こえていたのでしょうか、眠っているのに耳のいい事で!」
「そんな事よりも……いったい、彼女をどうするつもりなのかな?」
「一応、私達は街を守る為に君と協力している訳だ。話して貰わないと不公平だろう?」




「ふーん。なら、さっさと縁を切ったらいい」
「太陽と月が消せない様に、真実はいつかバレるモンだぜ。生臭坊主」
「な──」「っ、これは!?」

突如、ロベルトやアサシンの周囲や背後に大小様々の骨が顕現する
無数の骨が二人を突き刺す。呆然とする市長の前に姿を現したのは、これまた骸骨

眼窩の奥の妖しい光が市長を見つめる
唐突な出来事の渦中にあれど、その顔に笑みは絶やさない

「……?貴方は?ロベルトの友人ですか?」
「それなら話が早い!貴方も、この街を守る為に私に力を貸してくださいませんか!」

得体の知れない相手だというのに、その声には少しも怯えの色はない
堂々と勧誘する姿に少し驚きつつも、骨の英霊は丁重に断る事にした

「生憎、救いのデリバリーは品切だ」
「オレは個人に肩入れするのはマズい立場なんでな。すまんな」
「おや、それは残念!」

「ま、それはそれとして……こいつは貰うか」
「……っ」

アッサリとそう宣言する骨の英霊は、ひょいと少々森を担ぎ上げると隠れ家を後にする
当然、ロベルトは激昂するが……それすらも些事と言わんばかりに手をヒラヒラと……骨だが……降って消えていった


「待てッ!その娘に触るんじゃあないッ!!」
「それじゃあな。ま、良い子にしてたら考えてやるよ」

「鳥仁ォオオッ!何故黙って見ている!?」
「おや……すみません。何故か、身体が……」
「言い訳はいいッ!早く、速やかに彼女を奪還しろォーーーッ!!」

「……仕方がありませんね。アサシン君、少し手伝って貰えませんか?」
「構わないよ。私は君の下僕では無いが、決して嫌いではないからね」

ロベルトの要請に頷き、二人に刺さっていた骨を引っこ抜く
一通り抜き終わり、黒いスーツの襟を正すアサシン。埃を叩き、颯爽と外に歩いていく



「正義だ何だと言われようと、私は私。市長は市長のやり方で街を守ればいい」

「英雄でなくとも、正道でなくとも。正直者は馬鹿を見ると何故わからない?」

「これは証明だよ。あの男が如何に愚かな奴だと示す為のね……」

アサシンは一人、誰にも悟らせない様に回想する
過去に見た愚か者。頑なに真実を信じた馬鹿者に見た“何か”を思い出していた



【本日はここまで。やっぱり書く感覚を忘れてる……】

【本来は安価とか使いたかったのですが、絶望的に展開が硬直してしまっている痛恨のミス】

【なので、しばらくはセミオートで進みます。すみません】


【少しだけ……】




「……それで?逃げられたんだ?」
「はい……誠に、誠に申し訳ありません」

薄暗い部屋の中で、アスカトルはイエスに頭を下げる
仇敵であるロベルトを逃がした事。その責任を感じている為か、その声は重い

「仕方ないよ。他の人達はどうしたのかな?」
「ランサー、キャスターの両陣営は一時的な形の同盟を。アーディーは監督役と行動を共にするようです」
「ふぅん……まっいいか」


「それよりも、アルミは?さっきからいない様だけれど?」
「アルミは……その。張り切って探してくれているのですが」
「頑張ってるんだね、なんて素晴らしいんだ!ボクも少し本気を出そうかな?」

弾むように笑うイエス。怯えるアスカトルへと手を差し出した

「……それは」
「大丈夫大丈夫。聖杯が近くに無いからね」
「早く取り返したいなぁ……ボクもサーヴァントもバーサーカーだったんだよ」

「はあ……そのサーヴァントとは、良好な関係を築けていたのですか?」
「うーん、どうだったっけ……?もう忘れちゃったよ」


あははと声を挙げるイエスの目は淀んでいる。その底知れない雰囲気に戦く
目の前の人物は、かつて聖杯戦争に参加したと聞くが……結末は誰もわからない

それを知る者は既にいない。天使を求めた果てにあったモノは……




「……はあ、結局ロベルトはわからずじまい」
「おまけに手がかりもナシ。……大丈夫かしら」

「ふむ、その少々森という子は君にとって親友なのかな?」
「冗談じゃないわよ。ただのクラスメートよ」
「ででででも、あんなに探し回って」「やかましいっての!!」

ベッドで横たわるベルを睨み付けて眠らせる。あれからどれだけ探しても、少々森の痕跡は見つからない
現在、ランサーとキャスターが力を合わせて街を洗い出しているが……状況は芳しくないようだ


「うーん……キャスターの宝具の力を借りても、これだけかぁ」
「そもそもこの街の歴史が新し過ぎるんだッ!文献どころか記念碑すら一つしか無いぞ!?」
「あたしも詳しくは知らないわよ。興味無いから適当に聞き流してたわ」


坂松の街の謎は深い。恐らく詳しく語られる事は無いであろうくらいには
そんな中、ランサーの持つパソコンにメールが届く。差出人はコリーだった

「あっコリーからメールだ」
「何で君よりランサーの方に連絡が?」
「知らないわよそんなの!」

いつの間にか自分よりも信頼を勝ち取っているランサーに不服そうな視線を向けるルゥナ
暫し無言で文面を眺めると、不意に立ち上がりルゥナに声を

「……ルゥナ、今すぐ動ける?」
「動けるわよ。何、どこかに出掛けるの?」
「うん。少し歩くけどいい?」「いいけど、何よ、どこに行くの?」




「元ガイスロギヴァテス前線基地。アーチャー陣営に奪われたあそこだよ」




同時刻、コリーは縦島の銭湯にて湯浴みを行う……アバターの姿で
その隣で肩まで浸かるアダムスは、怪訝な顔をしながらタオルを頭に乗せる

「タオルをつけての入浴はルール違反だぞ?」
「よく言うぜ。アンタだってご丁寧に身体に巻いているじゃねえか。ニセモンの癖に」
「ああ、お触りのはNGだからね」「よくわかんねえなあ……」

駄弁りながらお湯に浸かる二人。徐にコリーが口を開く

「……あの情報、確かなんだろうね?」
「応ともよ。ガイスロギヴァテスの情報を洗いざらい調べ尽くして得たモンだ」
「なら、いい……後はルゥナとランサーが上手くやってくれるだろう」


「しっかし驚いたねぇ……ドミトリイさんも知らねえとの事だぜ?」
「どうやら、この街には我々にも知らないモノが数多くありそうだ」
「全くだ。俺もロシュフォールの嬢ちゃんから逃げる場所が無いモンかね?」

暢気に談笑する二人が湯船から上がる。そろそろルゥナ達も付いた頃だろう


「頑張ってくれよ、二人とも……」
「アーチャー陣営は、もしかしたら……我々の味方かもしれないのだから」



【本日ここまで。幾らなんでも牛歩更新ってレベルじゃねーぞ!】

【急募:文章を多く書く方法。年末の間に大規模戦闘の導入までいきたいなあ…】


【ちらっと再開】

【様々なアドバイス、ありがとうございました……】



「よし付いた。うわぁ、また増えてる」
「うげっ……ここがそうなの?本当に?」

……ガイスロギヴァテスの拠点、かつての基地は見るも無惨に変わり果てていた
増築に次ぐ増築。改造に次ぐ改造の結果、最早一つの塔かと見紛う程に積み上がる

ウィンチェスター夫人の幽霊屋敷。それは今、戦争の為。彼女の為の前線基地と化していた


「で、どうすんの?ここに何の用があんのよ」
「え~っと、説明するの後でいい?」「今しないと意味ないでしょうが!」
「まあいいや。おーい!アーチャー、オレなんだけどー!」

「……馴れ馴れしく呼ばれる筋合いは無いわ」
「よくも私の前に現れる事が出来たわね。あの時は横槍を入れて立ち去ったクセに」

「まあいいじゃん。それよりもライダーはあれからこっちに来た?」
「ライダーの性格を考えると、一度逃した獲物は叩き潰そうとしてもおかしくないからさ」
「……来てないわよ」「良かった」


「何なのよあんた達……」

気さくに話しかけるランサーを邪険に払うアーチャー。嫌そうな顔だがまだ銃は出していない
飛び道具が相手とはいえランサーの敏捷はそれを容易く上回るのが幸いか。それでも安心とは程遠いが……

「お喋りに付き合うつもりは無いわ。それとも決着をつけに来たのかしら?」
「ここは私の戦線よ。貴方が相手だろうと引くつもりは……!」

「いや、そうじゃなくてさ。アーチャー」
「オレに付き合ってくれないかな?」

「「はぁ?」」



 



ランサーの一言に、周囲がビシリと凍りつく
言われた当人も、言った本人のマスターも処理が追い付かないくらいの衝撃が走る

「……ふざけているの?」
「大真面目だよ。カフェにでも行ってさ、話し合おうと思ってさ」
「キミが楽しめそうなプランも考えたんだ。特にここのコーヒーは」

朗々と話すその先の言葉は銃の声で書き消され聞こえなかった
銃を取り出したアーチャーは、ランサーの脳天に向けて躊躇無く引き金を引く
弾丸はランサーに命中せず、掌の中で停止している。あれだけ近付いていたにも関わらず、一つも命中する事は無かった


「……世迷い言を聞いた私が愚かだったわ」
「この期に及んで貴方とデートしろと言うの?私が?」
「馬鹿にしているの……!?私には、夫も、子もいるのよ……!?」

「あっ、そういう風に捉えちゃった?ルゥナ、誤解を解いてくれない?」
「知らないわよ!あんたが言ったんだからあんたが何とかしなさい!」

急に話を振られても、ルゥナには困惑する事で精一杯
というよりも、ルゥナもそう受け取っていたのだから誤解も何もあるものか

困惑する相手を他所に、アーチャーの周囲には無数の銃が
一分の隙も潰す様に配置された銃が、全て一斉にランサーに向けられる

よもや、ここでどちらかが引くまで戦うつもりか?ルゥナの額に嫌な汗が流れる
ランサーは相変わらずの無抵抗。そのまま先と同じ様に銃弾が叩き込まれようとする




「……要件は何だ、ランサー」
「っ、マスター!?」

背後から無機質な音が響く。アーチャーはその声に従って腕を下げた
マスター、ストレングスは無表情のまま近付いてくる。そして、ランサーの前に立つと命じた

「下げろ。奴等は俺が目当てだ」
「そうそう、そういう事を言いたかったんだよね~」
「紛らわし過ぎるでしょうが!」


「だからルゥナ、ちょっと彼と『一人で』話しておいてくれない?」
「は?」

いったい何を言ってるんだこのサーヴァント?
頭の中ではその言葉が反響する。どこの世に英霊を連れずにマスターと話すバカがいるのか

「ああ大丈夫。アーチャーならオレが連れていくから襲われる必要は無いよ」
「それなら安心……なワケないでしょ!相手は得体の知れないマスターじゃない!?」

「えぇ~……もしかして、ルゥナって弱い?」
「強さの問題じゃなくて!安全の問題なんだってば!」

ぎゃあぎゃあと喧嘩を始めるルゥナ。ランサーは宥めすかそうと言葉巧みに説得する
その様子をイラついた風に眺めるアーチャーに対し、ストレングスは声をかける

「アーチャー」
「わかっているわ。この馬鹿を撃ち殺して……」
「暫くランサーを監視していろ。俺はこの女に用がある」

「えっ、あんたなに───」

言うが速いかストレングスは、ルゥナを掴んで屋敷の中へ
声を挙げる隙も無く、深い闇の中へと連れ去られるルゥナ。残されたサーヴァントはそれを見届けるだけだった


「マスター!?……どういうつもりなの?」
「あー……うん、まあきっと大丈夫!……な気がするんだけど」

手をヒラヒラと振るその姿からは真意は読み取れない
アーチャーは仕方なく、ランサーに着いていく他は無いのだった



【本日ここまで】

【やはりノリと勢いで書くには体力が無いなって思います(こなみかん)】


【ごめんなさい。本日はお休みです……】


【本当に、ほんの少しだけ更新…】



「痛たた……」
「飲め。アーチャーの買った紅茶だ」

拉致同然に、屋敷の奥へと連れ込まれたルゥナは何故か椅子に座らせられる
差し出されたのはどう見たって紅茶。一応、毒が入っていないか魔術で確かめてみる

「どうした、飲めないのか?」
「普通は飲む訳無いじゃない……」
「なら、今度は珈琲を持ってこよう」
「そういう意味じゃないっての!」

ストレングスの頓珍漢な行動に、思わずルゥナも大声を出してしまう
刺激してしまったか。と口を塞ぐも、どうやら特に気にしてはいない様だ


「待ちなさい。それ、飲むから下げないで」
「そうか」

端的な返答を繰り返し、ストレングスは目の前に着席した
どうやら、アーチャー陣営は此方の交渉の席に付いてくれるらしい

「あんたは我々、ガイスロギヴァテスと交渉の余地があると解釈して問題ないかしら」
「そうだ。あの槍の英霊の言葉を、俺は信じる事にした」
「まずは貴様の要求を聞かせろ。それに応じる事にしたからな」

ランサーがどうやってここまで漕ぎ着けたのかは知らないが……それでも、願ったり叶ったり
ここで上手く交渉すれば、味方になる可能性がグンと高くなるのだから……!

↓1~2まで。同盟の要求やこちらの方針等


【安価だけ出して今年はここまで。このレスは安価に含まれません】

【開始は三が日のどこかを予定しています。良いお年を……】


【あけましておめでとうございます】

【22:40に再開します……】



「…………」
「…………」

「……どうした。話さないのか?」
「わかってるわよ。頭の中で整理してるだけ」
「こっちは色々と必死なの。考えさせて」

一口、紅茶に口を付ける。喉は潤ったが緊張で味は全然わからない
ガイスロギヴァテスとしても、そしルゥナ個人としても。今は人の手がどうしても欲しい

それは、拐われた少々森を助ける為?聖杯戦争を勝ち進む為?……どっちもだ



「まずは……うん。こっちの方針を話しておこうかしら」
「あたし達ガイスロギヴァテスは、今はもう御三家ではないけど街を守る意思は変わらない」
「聖杯戦争で起きる被害は、街や市民に向けさせるワケにはいかないもの」

最初に話すべきなのはこちらの意思。ガイスロギヴァテスの誇りを賭けて、街を守るべく奮闘すると誓う為
そしてその障害となりうる存在。街に暗躍する二つの影を討伐する為に

「だけど、この聖杯戦争を悪用しようとしてる連中がいる。……あんた、知ってた?」
「何かが蠢いているのは把握していた。だが、何者かまでは突き止めてはいない」

ストレングスの返答は、ある意味ではルゥナに都合のいいものだ
あちらもこの状況を快く思ってはいないなら……


「単刀直入に言うわ。あたしはそいつらを止める為に今ここに来ている」
「前回も街を破壊しようとした。聖杯戦争そのものすら破産しかねない事をしようとするかもしれない」

「あたし達に協力しなさい。ガイスロギヴァテス家、そしてランサー陣営はアーチャー陣営に同盟を申し込むわ」




時間を少し巻き戻し、ルゥナがストレングスと睨み合う頃
ランサーとアーチャーは閉店間際のカフェにて対面していた

ちなみに、ランサーは普段の時計姿では無く。青年風の……夢に出たあの姿で笑っている


「ね?ここの珈琲は美味いでしょ?」
「閉店まであと少しだけどさ。一口くらい飲んでいったら?」
「……貴方の指図に従う義理は無いわ」

「けど、マスターの指示には従った方がいいと思うけどな~。言っちゃおうかな~」
「ふざけた事を……!」「飲む?美味しいよ」

にっこりと笑い、テーブルの上の珈琲のカップを差し出される
挑発的な態度が気に入らなかったのか……ぐいっと一気に飲み干すと、途端に顔をしかめていた

「あ~あ、そんな一気に飲むから……ミルクも砂糖も入ってないのに」
「んぐっ……馬鹿にしないで!」


「それでさ。さっきの話だけど……アーチャー自身はどうなの?」
「先も言ったはずよ。私はマスターの指示だけに従うわけではないわ」
「双方に利益があるならば了承する。そうでないなら断るだけよ」




「う~ん、そっかぁ」


にべもないアーチャーの返答に、これまた気の抜けた相づちを打つ
その無関心そうな態度が気になったのか。アーチャーはランサーに問うてみた

「……貴方、何が目的なの?」
「同盟を組む事だけならば、わざわざ別行動を取る理由なんてないじゃない」
「私はアーチャーよ?単独行動のスキルを持つサーヴァントを分断するメリットは何?」

真正面から目を見据え、ストレートに言葉をぶつけていく
その様に何かを感じ取ったのか……ランサーはふふふと笑って理由を明かした

「ああ。オレって一応は聖人だからさ」
「だからか知らないけど、なんとなく雰囲気でわかっちゃうんだよね」


 ◆聖人:D
  聖人として認定された者であることを表す。
  サーヴァントとして召喚された時に“秘蹟の効果上昇”、“HP自動回復”、“カリスマを1ランクアップ”、“聖骸布の作成が可能”から、ひとつ選択される。
  ランサーは主に“秘蹟の効果上昇”を選択する。
  彼の場合正確には聖人として認定されてはいないため効果は薄い。


「聖人……貴方が?何をわかるというの?」
「どれだけ問題に苦しんでるか。今すぐに解決する事があるかどうか」
「オレってそういう聖人だからね~」

「私が……苦しんでると言うの?何に?」
「流石にそこまではわかんないよ。けれど、心当たりはあるんじゃない?」
「自分の事だからね。一番良く知ってるのは君自身しかあり得ないよ」

「………………」




指されたアーチャーは、沈黙する他ない
反論しようと思った。勘違いだと切り捨てようと思っていた

……しかし、どうしてか口は開かなかった


「ま、今すぐどうこうは無理だと思うけど」
「オレは迷える子羊は誰であれ手を差し伸べる主義だから。気軽に相談してよ」
「……自分のマスターに言ったらどうかしら」

「ルゥナね~……あの子は目的がふわふわしてるから、そこからだね」
「今は友達を助けたいって言ってるけど……最低でも聖杯戦争に向かっての願いが出来るといいんだけど」

ふいっと首を振るランサー。すると、何かを感じ取ったのか立ち上がる
アーチャーも気づいたのだろう。同じ様に立ち上がり、店を出た


「話し合い、終わったみたいだね……ってもういないや」
「んー……まあいっか!これ、ご馳走さまでした!」

置いてかれた事も気にせずに、ランサーは普段の時計人間へと変身する
そのまま去っていった方向を見やると……一瞬にも満たない速さでアーチャーの後を追っていた



「そうか。ならば了承しよう」
「この街の為。この力を貸す事を約束する」
「えぇ、即答……?」

アッサリと、ルゥナですらも困惑する様な速度で納得した
だが、これでハイそうですかと答えるのは早計過ぎる。向こうにも何か要求が……

「……?お前が頼んだのだろう」
「いやそうなんだけど……あんた、もっと要求とか無いのかしら」
「街を守るという共通の目的がある以上、何を要求する必要がある?」

心の底から不思議そうに答えるストレングスに目を丸くする
この男に損得の計算は出来ない。敵ながら若干不安になるルゥナだった


「あんた、変わってるわね……人の家を勝手に奪い取った癖に」
「元々はオレのものだ」「意味わからない事を言わないで頂戴」

「さて、それじゃあ無条件で同盟を組むという事でいいわね?……いいわね?」
「構わない」

頷いた事を確認すると、ランサーやガイスロギヴァテスのメンバーに連絡を入れる
当面はここを……元々は最初から……前線基地として活用できるだろう


「何にせよ……あいつらには落とし前をつけさせてやるわ」
「よくも、御三家の癖に無関係な少々森を拐ってくれたわね……!」

怒りに燃えるルゥナを余所に、ストレングスは自らの手を見つめている
とにもかくにも……槍と弓、そして魔術師。ここにガイスロギヴァテス連合が完成したのだった




【お次は夜イベント】

【有利になるか不利になるかは不明】
123:アサシンがライダーと交渉
456:少々森の行方
789:セイバー陣営が市長と離反
↓1




「……お初にお目にかかります」
「かの楊広様と言葉を交わせる喜び。身に余る光栄にてございます」

夜に聳えるビルの上。アサシンはある人物の前で平伏し頭を垂れる
慇懃無礼をそのままにした様な男である彼が、それ程までに敬う相手は煬帝、ライダー

その恭しい態度に満足したのか、気分よさげに星を見上げる


「お前……僕の国の政治家なんだってなぁ?僕は家臣に騙し討ちされて殺されたんだ」
「その態度は認めてやる。けどそれとこれとは話が別。しかもお前は売国奴じゃないか」
「何が望みか知らないけれど、そんな奴の言葉を信用するには相応の代価がいるよねえ?」

嫌らしげに嗤うその様を軽く流し、アサシンは本題を切り出した


「今回、我々は貴方様の偉大なるお力をお借りしたいと思い馳せ参じた次第にて御座います」
「我々には聖杯を欲する理由無く……また、謎の英霊も暗躍している様子にて」

「……それは骨の英霊か?」「はい。我々も詳細までは掴めていませんが」



【怪しい奴】+1 【謎の存在】-1
12345:了承
6789:断る
↓1


2:いいよ


「……そうか。アレが出たのか」
「ふ、くくく!はははは!この楊広も舐められたものだな!」

突如、高笑いを始めるライダー。だがその額に青筋が走っているのを見逃さない
今が好機とアサシンは畳み掛ける。ここでライダーを戦力に出来れば御の字だ

「では。我々が貴方様のお力になりましょう」
「この街には、私のマスターが張り巡らした情報網が存在します。それを利用すれば」
「いいよ、手を貸させてやる。僕の邪魔をする奴は誰であれ死んで貰わないとねえ……!」


不快感から怒りを隠そうともしないライダーをアサシンは静かに見つめている
国を売ったとして憎まれた事もあったが、そんなものはどうでもいい

本当に国を救う為に必要なものは何だったか…それを思い出そうとしていた



【本日はここまで】


【ちらっと再開】




「ここかね。ガイスロギヴァテスの基地は」
「やっと帰ってこれましたぁ……」

朝日の差し込む部屋の中で、三つの陣営が相対する
一人はくつろぎつつ周囲を観察するユーニス。もう一人はその間に立つルゥナ
そして最後の一人は……ただそこに存在するだけのアーチャーのマスター。ストレングス

共に手を取る状況となった今だが、依然として緊張感が張り詰めていた


「……まあ、あたしもすぐに打ち解けろとは言わないわよ」
「けれどこの場所はあたし達のものよ。それでいいわよね?」
「本当は嫌なのだけれど。……マスターの承諾があって、裏切らない限りは貸し出すわ」

「元々はガイスロギヴァテスのものよ!」

アーチャーの心底嫌そうな顔に食って掛かる
向こうが奪い取ったのに、何故所有権を主張するのか謎である


意気込んでもまだ日は昇ったばかり。さて、何をしようか……



1:移動(場所指定)
2:会話(人物指定)
3:その他(自由安価)
↓1



「さて、敵情視察といきますか」
「あの市長が一枚噛んでるのは間違いないし、動きを張っておくべきよね」

朝から打倒アサシン陣営を意気込むルゥナ
それを冷ややかな目でランサー見ていた

「え~?今はもっとやるべき事が」
「うるさいわね。あんたはあたしのサーヴァント。黙って働いてればいいの!」
「う~ん……じゃあどうしようか?」


「オレのハッキングなら、市役所やその周囲の建物の監視カメラを使って監視出来るよ?」
「本当に便利ねそのスキル……ならさっさとそうしなさいよ」

「実は短期間で何回もハッキングしてたから、流石に相手もセキュリティが強化されてて」
「突破に少し時間がかかりそうなんだよね」

ランサーはあははと笑っているが、ルゥナからしてみれば穏やかではない
相手が調べられているのを勘づかれているかもしれないのだ。流石に英霊のスキルとは思わないだろうが……

「だから、オレが霊体化して直接監視する方法もあるよ?ルゥナも一緒に来る事になるけど」「まあそうなるわね……あたしが近くにいた方が万全の状態でしょうし」

さて、どちらを選んでもメリット・デメリットは存在するが……
どうしたものかと考え込む。その末に出した結論は


1:ハッキング(結果は判定)
2:直接(次回行動固定)
3:その他
↓1 



2:直で行く

【安価を確認して本日はここまで】



【本来の想定ではこの後に自由時間設けて、他の人と話してキャラを動かして……】

【という段取りでしたが、止めました】

【次回は予定を大幅に蹴っ飛ばして、騎VS槍弓同盟withキャスターをお送りします!お楽しみに!】



【それでは再開します】



「……さて、来たわよ市役所の前」
「あの市長は今日も来てるそうね。仕事熱心でありがたいわ」

ランサーを引き連れ市役所の手前にあるファストフード店に陣取るルゥナ
ここならわざわざ建物の中に入らずとも、市長の動向を探る事が出来るだろう

勿論、あの建物に裏口の類いが無い事は調べがついている。前にランサーがハッキングした際に設計図もくすねていたのだ


「ねえねえ。ルゥナはそんなにさ、少々森の事を助けたいと思ってる訳?」
「オレが言うのもおかしいけどさ、そんなに仲良かったっけ?二人ともさ」

「あのねえ、少々森は一般人よ?魔術の世界に巻き込まれた以上は無視できない」
「口封じに殺すのはあたしのポリシーに反するの。だから生きて返して後で忘れて貰うわ」

得意気にポテトをつまみながら力説する。その姿を眺めるランサーはどこか微笑ましげだ

「……何よ、その『成長したなあ』って態度は」
「べっつに~」



「ところでルゥナ、一つ聞いていい?」
「いいわよ」

「もし少々森を殺した方がいいよって言ったら怒る?」
「令呪で土下座させてやるわよ」

自信満々に令呪を見せつけるものの、既に一画失った状態では些か威厳に欠けている
言わないけどね。と訂正すると、満足したようにシェイクを口に運んでいった





「……おや!本気ですかな!」
「我々との同盟を破棄するとは!聖杯が欲しくなくなったのですかな?」

市長室で向かい合うのは市長とフェリシア
大袈裟に驚いた風に聞くものの、目の前の少女の意志は固く


「貴方が何を言おうと……私は、私の家の誇りを傷つけた事を深く悔やんでいるわ」
「御三家である自らの家まで利用して……!貴方が何を企んでいるというの!?」
「私は貴方を……ロベルト・エーデルワイスと手を組んでいる貴方を信用出来ない!」

啖呵を切るフェリシアに、呆れた様に肩を竦めてみせる
その姿を冷笑するのはアサシンだ。彼はフェリシアの前に立ち、嘲笑う

「誇りで聖杯が手に入るなら、この街はとっくの昔に滅んでいるさ」
「君の様な馬鹿が子孫だと、君の家は滅ぶべくして滅ぶ一族だというのがよくわかる……」



「偉そうに!フェリシアの前で家族を語ってんじゃないわよ、カラス野郎!」
「アンタみたいな性根の腐ったクズ野郎が親なんて、アンタの子に同情するわ」
「どうせ皆から嫌われてたんでしょう、アンタは目的の為なら何でもやる人間だもの」

アサシンに食って掛かったのは、フェリシアのサーヴァントであるセイバー
その啖呵にも涼しげに……いや、よく見れば青筋が立っている


「よくもまあ、ぬけぬけと」
「父親も、息子すらも破滅させた女が言えたものだよ」





睨み合う両者の最中においても、フェリシアの目は揺るがない
毅然として見据える姿は、年不相応に落ち着き払って見えていた

「後悔するよ。絶対にね」
「構わない。例え聖杯を手に出来なくとも……」
「一族の誇りに泥を塗るよりはマシだわ」


「ちょっと!私はまだ諦めてないわよ」
「要するにアンタ達を倒せばそれで済む話なんだから。ここで殺してやっても……」

「それはそれは!いやはや全くその通り!」
「なので、人を呼ばせて貰います!セイバー、貴女はお巡りさん相手に剣を向けますか?」
「……やめとくわ。ちぇっ!」

受話器を手に取り、にこやかに応対する市長
この場で強引に切り捨てようものなら、二人は司法によって捕まるだろう
無論、そんなものに屈する英霊がいるとは思えないが……やはり、人目に付くのは避けるべきだ


「……さようなら。貴方とロベルトの事については監督役と相談する」
「本当にこの街を愛しているなら……縁を切る事を勧めるわ」

最後に言い残した言葉は彼女なりの良心だ。無関係な街とはいえ、それでも見捨てる事の出来ない甘い部分
そういう所が好きなんだよなあ。と、彼女の背に追従するセイバーは思うのだった





「おやおや……行ってしまいましたか」
「さて、どうしましょうか!これで矢面に立つサーヴァントが去ってしまいました!」
「アッサリと切ってしまいましたが!これは大問題ではありませんかな!ははははは……!」

口では大問題と言いつつも、顔に笑いは絶やさない
つい、やってしまった。といった風に笑い飛ばすその姿は、ある意味では頼もしい


「心配は要らないさ。我々で太刀打ち出来ないならば相討ちにもっていけばいい」
「聖杯戦争の勝者はただの一人。ならばいずれ衝突するは必然の理だからね」
「勝手に食い合えば儲けもの。そうでなければ食い合わせればいい」

「ですが、現在の他の陣営は動きがありませんね。バーサーカーは既にいません!」
「下手に動けば叩かれる危険性もありますね!いやはやどうしたものか!」

困った様に頭をかくものの、その態度から焦りは微塵も感じられない
そんな市長とは対称的に、アサシンは影になる様な、不穏な笑みを浮かべていた


「何。動かすアテは他にもあるさ……」





「……それで、市長からの動きは無し。と」
「アサシンはわからないけどね。市長は公務の間、ずっと市役所にいたよ」
「こっちもほとんど動きはナシだ。……それで、頼んでいた酒は」

「無茶言うんじゃ無いわよ!この国は未成年だとアルコール飲料は買えないの!」
「だから言ったろうに。そら、ノンアルコールビールならここにあるぞー」
「ふざけるな!俺にとってアルコールは頭を動かす燃料、エンジンなんだぞ!?」

「……アレと組んで、本当によかったのかしら」
「………………」
「マスター?……あっ!?貴方、キャスターの酒を呑んでるの!?」


基地の内部はどんちゃん騒ぎ。それぞれが思い思いにくつろぎ、叫んでいる
周りの賑やかさに顔をしかめるアーチャーを隣に、ストレングスは缶ビールをちみちみ呑んでいた

「ちょっと!?吐き出しなさい!ペッて!」
「オイオイオイ!ビールってのはなあ、グッと勢いよく呑むモンだぞ!?そら」
「………………」「ああーーー!!!」

「……フ、悪くない。アルコールの経口摂取も偶にはいいかもしれないな」
「だろぉ!?そら、もっと呑め呑め!俺の地元の酒もマスターが通販で……」




「……きゃっ!?」
「んお?何だ、酔って来たか。今地面が……」
「いや、これは……!」

突如、ドンと基地が揺れる。あまりの強さに皆は暫しその動きを停止させる
地震かと思ったその矢先、再度強い衝撃が基地を揺さぶった

「いったい何かな。確かにこの国は地震が多いと聞くが」
「違うよ。これは地震じゃなくて……」

ランサーの指摘よりも素早く行動したストレングスとアーチャー
それを追いかける様に複数の人物が外に出る。訳もわからぬまま走るメンバーに、ランサーが理由を手短に話す



「……これは、直接基地に攻撃を仕掛けてきているんだ。それも、一度ここに来ている奴がね」
「おい、まさか外にいるのって……」

「そう……ライダーだよ」
「ライダーが、本気でオレ達を潰しに来たんだ」





基地の外。先に出たアーチャーが銃を構える
その先で聳え立つのは強大な龍。大河と戦艦で構築された、一大国を築いた栄華の証
そしてその上に陣取るは、国を率いた偉大なる皇帝。余りにも壮大な自然を手中に収めた王の姿


「久々だね、虫けら共」
「今夜は本当にいい月だ。僕も少しだけ気分がいい」

「だからこそ今宵、お前達を皆殺しにする事にしたよ。この月を汚すお前達をね……!」

悠々とした殺害宣言。ただのそれだけで場の全てが震え上がる
この聖杯戦争で最強の英霊が、今ここで潰すと宣言を果たしたのだ

「ライダー……煬帝!」
「クソッ、よりによってお前が来たのか!」

「ん……?何だ、僕に負けた雑魚も付いていたのかい?」
「はははは!不様不様。不様も極まると笑えてくるよ」
「本っ当に度しがたいよ。僕の覇道に、土足で足を踏み入れるゴミクズが──!」




「……ねえルゥナ。覚えてる?」
「次に絶体絶命になったらオレは宝具を使うって話」
「今こそ、その時だって思うんだけど……どうかな?」






側に立つランサー。その声はいつもの軽いものではない

一人の英霊として、マスターを守ると誓う槍兵としての声

……ならば、それに答えるのがマスターの使命というものじゃない?



「……いいわ!やっちゃって、ランサー!」
「勝たないと、承知しないんだから!」

「オッケー!なんか、やれそうな気がする!」



意気込むランサーの魔力が高まる。先鋭化された槍となり、時を超えて敵を穿つ

その真名は“迅速な解決”。それを望まれた存在として、マスターの壁を打ち崩す──!


「“カラスが鳴いた。『クラース、クラース(明日、明日)』!もいちど鳴いた、『クラース!クラース!(明日にしよう)!』”」

「“いいや、今だ!今こそだ!最高、最善、最大の明日!それを叶えるチャンスはまさに……”」

「“───今だ!”」


光の如きランサーの槍が、矢の様に飛翔しライダーを貫く
それを号砲に射撃が舞う。今、最大の英霊に抗う幕が上がったのだ




【本日はここまで】


【それでは再開します……】




一筋。銀の閃光がライダーを射抜く
龍に乗る王を捉えた光の槍は、正確無比な一撃を叩き込んだ

咆哮を、大地に刻む龍の上。ライダーは自らに起きた状況に困惑する


「ガ、ッ……!なん、で……お前……!」
「僕は“わかっていた”んだ……!お前の宝具は、完全に読み切っていた!」
「なのに、なんで……!僕の星詠みが外れる事は一度も無かった!」

ライダーは叫ぶ。わかりきっていたはずの攻撃が、何故に自らを撃ち抜いたのか

「そりゃそうだよ。オレの一撃は“既に決まっている”からね」
「避けようと思った時点じゃ遅過ぎる。守ろうとした時点で貫いているのがオレの槍」
「オレの真名……“エクスペダイト”の名を冠する時の槍だよ!」


得意げに語るランサーは、どこか嬉しそうにも感じる程に腕を突き付ける
限定的な時間移動にして、局所的な因果固定。怠惰を打ち破り行動を起こす時間の聖人

それこそが『エクスペダイト』。最新にして最先端の英雄である



 ◆『今だ(エクスペダイト)!』
  ランク:B 種別:対人(自身)宝具 レンジ:0 最大補足:1人
  常時発動型の宝具。思考・行動の高速化。および発想の即決力。
  ランサーが「これを行う」と決定したとき、その行動は既に行われている。
  さらに真名解放を行うことでランサーという時の槍は時空を越え、擬似的な過去改変の域に突入する。
  これを防ぐには概念干渉やタイムパラドクスへの耐性ではなく、怠惰を捨て去る意志力や決断力が重要視される。

  足元でカラスが鳴いた。「明日(cras)!」「明日(cras)にしよう!」
  いいや、否。否だ。目標達成を決めたからには、未練も躊躇いも不要。
  明日では遅い、「すぐに」では手遅れだ。
  行動を起こすのは―――



「――今だ(Expedite)!」





「速い……!」
「何をやってるのか、僕にも見えないぞ……」
「避難しろマスター!ここは瓦礫が降ってくるぞ!?」


目にも止まらぬ光速の槍。今、この場を支配しているのはランサーだ
マスターであるルゥナですら目視では残像すら映らない。龍の上での攻防戦は完全にこちらが押している

ライダーの激しい抵抗の表れか。龍は雄叫びを放ちつつ、一層激しく暴れまわる

だが、それもアーチャーによって押さえ込まれていた
一つ一つは砂粒だろうと、束ねてしまえば砲弾となろう
大河を塞き止める程の大量の銃弾を叩き込む。それは人が自然と対峙した時の歩みの様に

ちっぽけでも、微かでも。確かに一歩刻まれる様に


「……やっぱり、この龍は生物というよりも機械に近い存在の様ね」
「脚の部分に銃弾を詰めたわ!これで、少しは動きが鈍くなるはずよ!」

「雑魚が……!舐めるなよ、これしきの事で!」
「僕の!偉大なる!この運河を止めようなんて百年は早いんだよォッ!」




激昂する主に呼応するかの様に、龍の翼が翻る
その身に流れる激流が、瀑布となって滝の様に周囲を襲う

完全に展開された大いなる翼。その重量を全く感じさせない動きで、主と槍兵を乗せて悠然と空に飛翔した

「うわっ、とと!?」
「おっ……落ちる~~~っ!?」
「ハッ!精々大地に落ちて、派手に花を咲かせてみせてよ!」

当然……闖入者である、ランサーを乗せる道理は無い。そのまま宙を反転し、振り落とす
聖人に空中を移動する術は無い。後は落下し、血の花を咲かせる事だろう


「まだまだ……!オレは止まらないよ!」
「そらっ、こっちに来い!オレと速さで勝負なんて百年は早いよ!」


しかし、槍を身体に突き刺して食らい付く。龍の悲鳴が天空を揺らす
光速の槍?がその肉体を削っていく。遂に耐えきれなくなったのか、堪らず龍は離れた場所に墜落した

ライダーは一人激怒する。たかだか一つの槍で我が象徴が失墜する等、ありえてはならないと
倒れ伏す龍に檄を飛ばす。こんな事を認めてはならぬと叫びながら


「この……!やれ!まだやれるだろう!?」
「僕の偉業だぞ、ここで倒れるワケが無い!こんな所で潰えるワケが無いだろうが!」
「早く起き上がれ……!その時計野郎を完膚無きまでに叩き潰せ──!」





激しく鳴り響く鉄の音。それを辿りやって来たのはルゥナとアーチャー
ガイスロギヴァテスの基地から少し離れた森の中で、武器のぶつかる音が反響していた

「……ここね、ランサーが堕ちた場所は」
「っ、貴女は下がってなさい!貴女が死ぬと、私まで迷惑するのよ!」
「うるさいわね。自分の身くらいなんとかするわよ!」

鳴り響く火花の中心地。ランサーと龍は互いの槍と爪を重ね合わせていた
ライダーも手に握る槌を振り落とし、重い一撃を叩き込む

だが、ランサーはそれを神速の動きで避わしていなす。爪も牙も当たりはすれど、大きな衝撃にはなり得ていない
的確に一突きを刺しては距離を取る。ライダーと龍は、共にランサーに翻弄されていた


「凄い……龍なんかよりも、ずっと速い……!」
「ランサーに集中している今なら……!私の援護射撃が通じるかもしれないわ!」

手に握る銃の標準がライダーを狙う。それにも直ぐ様気付くものの、目の前の槍を完全に回避する事も叶わず


「クッ……!龍よ、僕を……」
「させないよ!……それっ!」

翼を盾に、アーチャーの狙撃から身を守る
だか、そこに生まれた隙を見逃さない。指示を飛ばしたその先に、渾身の槍を投げ込んだ


「ガ……ッ!」
「やった!あのライダーに勝った!」
「お前、お前ぇえええッ!!」






「お前だけが、本気じゃないと思ってたの?」




身体に食い込んだ槍を放り捨て、ライダーは苛立ちを隠さずに吐き捨てる
流れ落ちる血を踏みにじり、目下の三人へ憎悪の視線で射抜き返す


「本当に苛々するね。潰しても潰しても沸き出てくる蛆みたいだよ」
「ああ。そんなに死にたいなら見せてやるよ。僕の本気ってやつをさぁ……!」

突然、背後にて伏した龍が崩れ出す。流水は天へと遡り、戦艦は静かに瓦解する
彼の最大の武器である、龍の姿が変わりゆく。それは、彼の最大の偉業を示すが如く

「“薩水、大捷──。河は悠久に揺蕩い、空は星を讃えて輝く”」
「“天は我が行く果てを照らし、我が障害を討ち滅ぼす。。……ひれ伏せ!愚民共!”」
「“これこそ真なる偉業である!万物、須らく地に伏せよ!”」


天へと登った龍が嘶く。……否、それは最早、龍と呼べるモノに非ず
その身は運河に、鱗は星に。空に輝くそれはまさしく……『天そのもの』

轟々と龍の唸りが鳴り響く。それは、雲の上で泣く雷鳴であると気がつく時には遅かった
空から襲い来る雨が、ランサー達を襲撃する。悲鳴すらかき消す雨音が、周囲に静かに木霊した



「“飲馬長城窟行・示従征群臣(あきのくれ、さいがいのくも、きりはくらしかんざんのつき”」
「“呑まれろ。天に抱かれて砕け散れ──!”」





天から降り注ぐ、無数の雨
それは、一つ一つが龍の爪であり龍の息。暴風雨が周囲を刻む
これこそが煬帝の真骨頂。天すら我が腕、我が意のまま。雨も、風も、雷も総てが彼の手足

上空を覆う、美しき大運河。その下では無慈悲な虐殺が繰り広げられていた



 ◆『飲馬長城窟行・示従征群臣(あきのくれ、さいがいのくも、きりはくらしかんざんのつき)』
  ランク:A+ 種別:対国宝具 レンジ:1~40 最大捕捉:1000人
  過去にライダーが繰り返した国外征伐の再演。
  人造龍神の最大出力でもって上空に大運河を形成する。
  これを雲とすれば地上からのあらゆる反攻を防ぐ変幻自在の防壁に。
  霧とすれば万物万象を迷わせる脱出不能の迷宮に。
  雨として降らせれば敵軍を一掃する大暴風雨を引き起こす。
  皇帝とは龍であり、天であり、世界である。その意思は天の意思、何人たりとも抗うことは叶わない。


「うわっ、マズイ……!ここまで範囲があると、避けられない!」
「ランサー!速くこっちに!銃を束ねて盾にしなさい。ある程度は守れるわ!」

幾ら速くとも、雨粒を避けて戦う事など不可能である。先程とは逆に、ランサーは追い詰められていた
アーチャーの機転で幾分か耐えられたものの、このままではライダーに近づく事すら出来ないまま

天に対しての反抗は、今まさに佳境を迎えていた




【本日はここまで……】

【次回は決着までいけたら……】




【ごめんなさい。決戦までは無理でした…】

【ずっと待たせてしまったお詫びとして、書き留めていた分を投稿します】





「こっちよ!早く!」
「わかってる!」


豪雨と暴風が支配する。叫び声は霧消する
まるで刃が降ってくる様な、空そのものが切り裂きにかかる様な錯覚に陥りそうだ

銃を重ねた簡易的な傘の中、ルゥナはゆっくりと肺に酸素を叩き込む
一つ呼吸をする度に、一つ銃身がへし折れる。柔な造りでは無い筈なのに、まるで割り箸の様に容易く両断されていく

雨宿りと言うには物騒な光景。さざめく雨音はどこかもの悲しい旋律を奏でている
それは正しく、寂寥感すら漂う程の殺戮だった


「どうだい?僕の世界、僕の帝国は」
「これこそ無敵、無類の宝具!龍は天であり、天は我にある!」
「日出る処は此処に非ず。雨と風で削り殺してやるよ……!」

邪悪な笑みを浮かべながら、じりじりと囲んで潰していく
まさに、現状は袋のネズミ。今いる場所を守り切る事で精一杯だった

「ランサー、あんたの速さでここから逃げられないの!?」
「オレとルゥナだけならともかく……アーチャーまで来るとなると難しいかな」
「っ。なら、私がこの場を耐えて……」



「その必要はない」
「よく耐えた。ここからはオレが先を進もう」




ごう。と風とは異なる音が鳴る
一つ限りではなく、次々と。魔力の砲撃が雨の中を通り抜ける
ライダーに殺到する無数の砲撃。しかし、どれも彼に当たる事なく有らぬ方向へ逸れていった


「新手か……?何だ、お前は」
「アーチャーのマスター、ストレングス。貴様を倒しこの街を守る者」
「ならば、お前も塵芥となるがいいさ!」

豪雨が更に勢い付き、闖入者であるストレングスを薙ぎ倒さんと舞い踊る
その渦中でストレングスは手短に話す。あちらでは何があったのかを

「突然の暴雨によって、キャスター陣営。及びガイスロギヴァテスは撤退を余儀なくされた」
「全員が基地の中に避難してはいる。が……主であるアーチャー。貴様がいなければ恐らくは数分も持たないだろう」

「どうして令呪を使わなかったの!?私だけは戻れたのに……!」


まるでなんて事も無い様に淡々と語るが、それは絶体絶命の危機である事を示していた
苛立つアーチャーは鋭く詰問する。その真剣な顔を見つめ、一言だけ呟いた

「ランサー陣営は、仲間だからだ」
「仲間を捨てる事だけは、オレは絶対にしたくない」






「へぇ~、オレもそう思ってるよ!」
「納得するんじゃないっての。本当は何か要求でもあるんでしょ?」
「信じたくなければそれでもいい」

「話してる暇なんて無いわ!早く基地に戻らないと全滅するのよ!?」
「ここで死にたくないのなら、何とかしてここを突破しないと……!」


こうして話している間にも、刻一刻と近づいてくるのは死の気配
雨の檻の中に入り込んだはいいものの、それを強行突破出来なければ意味が無い

「オレが魔力で雨に穴を開ける。そこを全力で駆け抜けるぞ」
「ああ、来た時も同じ手を使ったんだね?」

「……行かせるとでも思ったのかなあ?」
「強引にでも押し通る」

「じゃあやってみろよ!木瓜野郎が!」


ライダーの怒気が辺りに伝播する。すると、途端に白の靄が漂い始めた
怒れる熱気に反応するかの様に、落ちた雨粒が蒸発する。檻に加えて、霧の壁まで立ち塞がる
豪雨は何時しか霧雨となる。勢いは消えたものの、周囲の視界は完全に閉ざされた

「……マスター、この霧を払う事は」
「難しい。どれだけの魔力を込めようと、一瞬で霧が覆うだろうな」
「それって要は、一瞬だけなら払えるって事だよね?」


ああ。と返答するストレングス
怪訝そうな顔のアーチャーとルゥナを横目に、ランサーは自信ありげに腕を掲げた

「じゃあ、今からオレが合図をする度に、霧を払ってくれるかな?」
「はぁ?あんた何言って「それじゃあいくよ!……“今だ(エクスペダイト)!”」





聞くが早いか。首根っこをひっ掴まれたかと思いきや猛烈な重力が体を襲う
ランサーが宝具を使った。……そこまでは理解できた。がこの状況はまるで意味が……

「成る程、お前の宝具で切り開くという訳か」
「そういう事!オレが“行く”って思えば、必ず辿り着けるはずだ!」
「貴方のマスター気絶しているわよ?」「平気平気。ルゥナは少し鍛えた方がいいからね」

霧雨の中を光速で走る三人組、そして一名
ストレングスの光弾が風穴を開けると同時に、そこに目掛けてランサーが槍を振るい払う

十文字に道が開く。そこを切り抜けると、基地はもう目の前まで迫っていた


「見えたわ!……ライダーは!?」
「今の所は追ってきてはいないみたい」
「ううん……追う必要が無いって言った方が良さそうかな」

ランサーの指摘の通り、背後には誰の影も見えない
しかし、降り頻る豪雨がここまで影響を及ぼしている事実そのものが、ライダーの掌の上にいる事を証明していた

「……とにかく、今は基地に戻る」
「体勢を建て直し、ライダーを打倒する為の策を考えなくてはならない」


言い終わる前に基地へと入る。残された二人もその後に続く
ライダーは遥か遠方で、その様子を蛇の如き眼で眺めていた

「ははは……わざわざ巣に戻ってくれるとはね」
「これでいちいち一つ一つ潰す手間も省けるってもの。纏めて葬り去ってやるよ……!」

豪雨は更に増していく。暴風は空を駆け巡る
遂に、街を覆い尽くしたライダーの領域。民はこの災害を前に、戦く他は無かったのだった



【ここまで。また近日中に決着をつけたい…!】


【明日決着まで更新します】


【それでは更新。安価は無いですのでお気軽に…】


【アアアアア!データが!データが飛んでいる!?】

【ちょっとお待ちください思い出せる範囲で書いてきます】



「どうすんのよ!?このままだと本当に」
「う~ん。オレもちょっと考えてるんだよね」

「籠城して去るのを待ったとしても、またここに来るだろうし」
「かといって、ライダーを倒すには雨と風の壁が厚くて突破できないんだ」
「なら逃げましょうよぉ……ルゥナさんは令呪がまだありますしぃ……」

「それだと僕達が生き埋めになるんだが」
「オレもそれには反対かな。ほら」

ユーニスの発言に賛同する様に、ランサーが手元のタブレットに示される気象情報を見せる
坂松市には、“大雨特別警報”と掲示されていた

「……つまり、街全体がライダーの捕捉範囲?」
「多分ね。」

思考が堂々巡って回り、硬直した重苦しい空気が漂い始める
進むも退くも不可能な状況で、まさに、袋小路に陥っていた




「……吉田君」
「だからそう呼ぶなと!」
「君の宝具で、どうにか出来ないのか?」




ぽつりと、一言呟くユーニス
その発言に周囲の視線が集中する。発言者ではなく、彼女の差した……


「はぁ!?……いやいや、無理だからな!?」
「そもそも俺は単なる学者だぞ!あんな化け物相手にどうこう出来るか!」
「じゃあ、何でキャスターを召喚したのよ……」

「僕は考古学者でね。是非ともこの国の同業者の話を聞きたかったんだ」
「そんな理由で召喚したの!?あんた達勝つ気が無いワケ!?」
「「うん」」

あっさりと頷くキャスター陣営に頭が痛くなる
まさか、聖杯戦争で勝ち残る事が目的でない者がいるとはルゥナの目を以てしても見抜けなかった
とにかく、キャスターはほぼ戦力外だろう。しかし宝具の存在はどうしても気になった


「一応聞くけど、どんな宝具なのかしら?」
「それはだな……」




「あー……なるほどね」
「だろう?そもそもこの街の歴史が浅い!」
「これでは俺の宝具か全然役に立たないじゃないか!ここは日本じゃないのか!?」

宝具の概要を一通り聞いた。……確かに、これは使いにくい
キャスターは頭を抱えて踞る。こんな事になるなら来なければよかったと呻いていた

「どうするんですかぁ!?このまま全滅するのベルは嫌ですぅ!!ルゥナさぁん!」
「うっさい!あたしだって考えてるわよ!要はライダーを倒せばいいんでしょ!?」
「ちなみに、ただ令呪を使ってもあんまり意味は無いかな~。威力が相殺されて、また暴雨に呑まれるよ」

ランサーの指摘に若干イラつくが、冷静に状況を鑑みる
しかし、どれだけ思考を張り巡らせても頭の中に浮かぶ言葉は『チェックメイト』
……要するに、どうしようもなく詰んでいるのだ



「……キャスター、一つ聞く」
「ん、何だ?言っておくけどな。俺は戦闘には絶対に……」
「その宝具は、俺の言う通りに使えるか?」



「……ほ、本気ですかぁ?」
「まあこれしか手がないのも事実だしね」

ストレングスがキャスターに確認を取った内容
それに「多分出来る」と頷いたのを見やると、ランサーが一つの突破口を提示した
……あまりにも荒唐無稽過ぎて、ルゥナですらも正気を疑うような内容だったが


「それ、まさかあたしの令呪を使わないとダメな作戦じゃないわよね?」
「勿論切って貰うよ?大丈夫、アーチャー陣営も使ってくれるって言ってるし」
「そういう問題じゃないっての!」

「僕の計算によれば、成功確率は四割と言ったところだな」
「命が掛かってるんですよぉ!?そんなに低いと不安なんですけどおおおおお!」
「私だって反対したいわ。……けど、それしか方法は思い浮かばないのも事実よ」


アーチャーの苦悶の表情が、この作戦の無謀さを物語る
それしかない。その言葉が現在の状況を的確に示す様に、もうどうしようもないのだ

「キャスター」
「わかっている!……クソ、どうなっても知らないからな!?」

ストレングスの合図を皮切りに、キャスターの宝具が開帳される
それと同時に、ルゥナとストレングスは令呪を光らせて───


「「“──令呪を以て、命ずる”!」」



豪雨に襲われる坂松の街。俯瞰し笑うは、張本人であるライダーだ
街が慌てふためく様を見て笑う。追い込んだ鼠の絶望を想像して笑う

いい気味だ。僕に逆らった者、即ちそれは自然への反逆に他ならない
有象無象にわからせてやる。この世で真に守るべきは、人ではないと知らしめる

「……さて、そろそろ連中は死んだかなぁ?」
「まあ……生きていても、許すつもりなんて欠片も無いけどね……!」


悪意で口が弧を描く。まさに今、敵を殲滅せんと魔力が更に渦を巻く
持って数刻の命をへか折らんと、風が、雨が更に激しく……

「……?なんだ、勢いが弱く……?」
「何か小細工でも弄したか?だけど、この程度で僕が……」





『わかっているさ!ライダー!』
『だからこそ、これで絶対に決める!』

「は────」

声が飛んでくる。今、まさに叩き潰さんとしていたサーヴァント一騎が叫んでいる
それ自体は、いや、その“現象”だけならいい。どうせ出てきたところで雨に裂かれて消え失せるのみ

しかし……ライダーは仰天し、思わず目を丸くして“ソレ”を見ていた

空から光る、銀の弾丸。状況を打開せんと迸る時空の槍



───“超光速で空を駆ける、ランサー”を





「おおおどうだっ!?ちゃんと行ったか!?」
「うむ。視認する限りだが、ライダーへと一直線だ」
「そそ、そうか。なら俺は休む……!」

へたりこむキャスター。ご苦労と酒のビンを手渡すとらっぱ飲みして一気に飲み干す
宝具を、敢えて間違った使い方で使用したのだからその負担は計り知れない
横になるキャスターを尻目にユーニスは手元の蔵書の頁を開く。この先の結果を演算する為に




『まずは、キャスターの宝具で飛び交う暴風雨の勢いを制御する』
『それが可能なのはお前だけだ、“大地に宿る記憶を呼び覚ます”宝具を持つキャスター』

『……吉田君、大丈夫かね』
『大丈夫も何もやらんと死ぬだろうが……出来たら大吟醸を寄越せよ』
『勿論だとも。令呪は無いが応援はしている』



『ではいくぞ!……“地理、歴史。とりもなおさず未来に向けて、その名を紐解き幾星霜”』

『“土の記憶よ想起せよ。風の記憶よ再度覚めよ!その名、その地の想いよ起きろ!”』


『“開け、『大日本地名辞書』!この地の記憶を呼び覚ませ!”』


undefined

undefined

undefined


 ◆『大日本地名辞書』   
 ランク:A 種別:対地宝具 レンジ:1~100 最大捕捉:1000   
  見た目は当時刊行された状態の大日本地名辞書であるが、それをもとに行われた日本のすべての地名・地史研究の成果が詰まっている。   
  彼が生前執筆のために集めたり全国各地から送られた資料を基に構築された、日本全土の人々が持つ地名や地誌に関する思いの集合体である。   

  現在いる地点の地名の載ったページに魔力を走らせることで発動する。   
  その際はキャスターの心象世界に上手く風景を展開するイメージとして、短歌や漢詩にも造形の深かったキャスターが地名に関した短歌や漢詩を詠むこともある。  


undefined

    
  その能力は、現在いる地点に関する過去の風景や事件の再現を行う固有結解。   
  人々の持つその土地に関する歴史や想いといったすべての力を持っての再現を行う。  
  膨大な魔力があれば日本全土分の過去の風景を再現することも理論上は可能だが、通常は数百メートル~最大数キロメートルの地区1つ分くらいの範囲が精いっぱいである。   

  固有結解であるので自分と対象以外に影響を起こすことはなく、一般に被害を与えずに済むことにキャスターは安堵している。        
  もちろん制限もあり、地史の改訂・刊行に間に合わないようなあまりに最近の事柄や、地史に記録されないような微細な事柄は再現できない。   
  また再現できるのは基本的には過去に起こった事実だが、人々の記録として伝わる中でねじ曲がっていった場合は影響を受けるし、 記録されていない部分はどうなるかわからない。      



     
  例えば蛇川(蛇の字)など土砂災害に関する地名より、土砂災害を引き起こしたとしても起きるのは当時のままの事象であるが、微細な部分が記録されていなければ、   
  洪水なのか土石流なのか、どの地点から発生しどのような被害があったのか等は資料に記録された分だけしかわからない。   
  使い方を誤れば自死をも引き起こすが、崩沢、というように川に合流する細かい沢の名前が残ってたりすると土石流の発生点を少し特定できるし、   
  逃れの杉、といったように災害から逃れたことを示す地名があれば、その地点へ自陣営だけ避難するといったこともでき、キャスターの調査研究能力が大きく求められる。





『がああああ!後は任せたぞおおおお!!』
『アーチャー、オレをあそこに飛ばせる!?』
『無茶言わないで……!本来、この館は閉じ込める為のものよ!?それを無理に変えてるせいで時間が……!』

『ならば。“アーチャー、汝がマスターが令呪を以て命ずる”』
『“宝具の領域、構造を拡大。ランサーを射出可能となる発射口を作成せよ”』
『……っ!ああもう、仕方ないわねっ!』


『ランサー、絶対に倒しなさい。これは令呪を使うまでもない命令よ』
『ここまでの手を尽くした以上、あんたのヘマで失敗しました。なんて許さないからね!』
『わかってるよ……さあ、あの傲慢な皇帝様に、勝ちにいこう!』



『────“今だ(エクスペダイト)!”』





ライダーは混乱していた。空から襲来する槍の穂先は自らを貫かんと迫る
凶を示す彗星が降る。今日が命日と告げていた

「クソ……クソッ、クソッ!!僕は!こんな所で終わる人間じゃない!」
「何でだ……!?僕は、民が健やかに暮らせる国を造るんだ、なのに!」
「何で……こんな、取るに足らない凡夫共に押されているんだよ!?」


あり得ない。信じられない。これは何かの間違いだ
頭の中で叫ぶものの、ランサーの勢いは止まらない。雨も、風も、嵐すらも。最早誰の行く手を阻む壁にすらなっていない
豪雨の中でライダーは睨む。暴風を隔てたその先で、時空をしろ示す聖者の姿を

「ライダー……オレは皆が、仲間がいてくれたからこそ、こうして戦えるんだ!」
「一人一人が団結して……決断したから“今”がある!煬帝という偉大な存在に立ち向かえる!」
「過去を護る思いは素晴らしいと思う。けど」



「オレ達は……未来に、生きたいんだ!」

ランサーの蹴りが、嵐の中の煬帝を貫く。その顔にあるのは驚愕ではない
それは、どこか知っていたとばかりの諦めか。星の教えた未来を受け入れた故か

背後で魔力が爆散する。周囲一帯を轟かせて、王の敗北を哀しみながら





「……ふ、く、ハハハハハハ」
「アサシンの奴に乗せられてやったけど……僕の失策だったか」
「……だけど……覆したかったなあ……」

「“僕がどこかで敗北する”予見をさあ……」
「ライダー……」

ぽつぽつと呟くライダー。その身体は既に限度を超えている
それでも、未だに現界を果たせるのはそもそもの霊基の格が違うからだろう


「ああ……お前に一つ、面白い星が見えたんだ」
「何れ、重大な決断を迫られる……そんな、転機が訪れる」
「気を付けなよ。精々後悔しない様にね……」

「する訳ないよ。例え、どんな選択でもルゥナはしっかりと決断するはずだ」
「……オレが喚ばれたんだ。彼女はそれが出来る人間だよ」

一瞬。目を丸くするが、すぐにいつもの不敵な笑みを浮かべるライダー
悠久なる道程を歩みながらも、その最期は腹心に裏切られるという不遇の死

それと比べれば、戦場で華々しく散る事のなんと美しい事だろう



「……暮れに、江は決して動かず」

「春の花は満ち行き、満開に咲き誇る」

「流るる波は月を砕いて去り……」

「潮の水面は、星を、帯びて───」



最期の句は、自らの詩の中で没落を詠ったとされる『春江花月夜』
その真意は彼にしかわからない。だが、唯一わかるのは


その姿は晴れやかで、勇壮で……
天帝、楊広は粒子となって、天へと昇る龍の様に消えていった事だけだった



【本日はここまで。遅くなってすみませんでした】

【ちょっと次スレ建ててきます。予想以上に手間取ってしまった……】


【次スレです。今度ともよろしくお願いします】
【鯖鱒wiki】ふたたび坂松市で聖杯戦争が行われるようです【AA不使用】2スレ目 - SSまとめ速報
(https://ex14.vip2ch.com/i/read/news4ssr/1612707762/)


このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom