モバP「完璧なプロデューサーだからな」 (47)

11月23日。東〇ドーム控室


忍「やばい、やばすぎる……どうしよう……」

モバP「忍っ!!今更怖気づいてんじゃねぇぞ!お前らしくねーじゃねぇか!」

忍「だって、今までと全然規模が違うよ……5万5千人収容の東〇ドームが満員だよ……」ガクガク

忍「こんな大舞台で失敗しちゃったら……アタシ」ガクガク

モバP「………」


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1606292813


注意事項
・モバPのクズ度低し
・美城常務が出てきますがぼくアニメ見てないんでセリフ回し等がおかしかったらすみません







モバP(俺の名はモバP。超凄腕プロデューサーで、12人ものアイドルを一度にプロデュースしている)

モバP(今日は担当アイドルのひとり、工藤忍のSランク初ライブに付き添っている。そして、ライブ開始まであと10分を切った)

モバP(だが、今までと比べ物にならないレベルで大規模な会場を見て、忍が怖気づいちまった)

モバP(こんな時、完璧なプロデューサーがやる事と言えばひとつしかない!)



モバP「……忍」サワッ

忍「!!?」

忍「プロデューサーさんっ!?こんな時になにするの!?」

モバP「いいから、力抜けって……」クチュクチュ

忍「んっ……♡ちょっと、久しぶりで嬉しいけど、こんな所でっ!!」

モバP「やべぇくらい緊張した場合は一旦緊張を忘れるくらいハッスルするのがいいんだよ」クチュクチュ

忍「……そういう事か。あっ!プロデューサーさん、やめ……♡」

5分後

忍「あっ……あぅ……♡♡」ビクンビクン

モバP「スタートまであと5分しかない、忍っ!!行けるかっ!?」

忍「き、気持ちよすぎて……それどころじゃ……」ハァハァ

忍「あれ……でも……」

忍(緊張が消えた……?)

モバP「なあに、いつもと変わらねぇよ。トップに立ったお前にふさわしい会場になっただけ。会場がお前に着いてきたんだよ」

忍「会場が……アタシに……?」ハァハァ

忍(あ……本当だ……アタシ、一回気持ちよくなって、少しだけ落ち着いて……プロデューサーさんが言いたいこと、わかる……気がする)

モバP「……忍、行ってこい!」

忍「……うんっ!!」

ライブ終了後


モバP「忍!!よくやった、大成功だったぞ!!」

忍「うん、うん……」

忍「アタシ、トップになれたんだね……プロデューサーさんと一緒に、トップになれたんだね……」

モバP「ああ、お前はSランクアイドルだ」

忍「………」ポロポロ

モバP「当然のことをしたまでだ」



モバP「なんたって俺は……」


モバP「完璧なプロデューサーだからな」キリッ

11月24日、ミュージッ〇ステー〇ョン会場の女子トイレ


千秋「……まずい、これは本当にまずいわ」

千秋(まさか、トイレットペーパーが切れているなんて……)

千秋(どうしましょう……本番まであと10分。お尻の状態は最悪)

千秋(乾くのを待っていたらまず本番まで間に合わないわ。かといって、このまま会場へ向かえば、私のアイドルとしての生命が終わりかねない……)

千秋「どうすればいいの……!」

千秋「助けて……プロデューサーさん……」






モバP「呼んだ?」ヒョコ

千秋「きゃぁああああああ!!!!?」

千秋「プ、プロデューサーさん!?どうして隣の個室にいるのよ!?」

モバP「千秋が遅いから様子を見に来たんだよ」

千秋「やめっ!!やめてちょうだい!!見ないでっ!!」シュババッ

モバP「バ、バカっ!その状態で立つなっ!!」

千秋「はっ!!?そうだったわ……」シュン

モバP「ほら、こっちの個室の紙を使えよ」

千秋「あ、ありがとう……」

モバP「千秋、本番前に集中して周りが見えなくなるのはお前の悪い癖だぞ」

千秋「うっ……」

モバP「気負いすぎるな。何も集中しすぎることだけが最高のパフォーマンスを生み出すんじゃない。適度に気を楽にすることだって大切だぜ」

千秋「……ええ、そうね。その通りよ……身に染みたわ……その言葉」

モバP「よしっ!お尻拭いたら行ってこい!何人ものお前のファンがミュージッ〇ステー〇ョンのお前の生コンサートを待ちわびてるぜ!」

千秋「ええ……行ってくるわ!」

本番終了後


モバP「千秋っ!!最高だった。素晴らしいライブだ!!」

千秋「ええ……ファンたちの激しい声援も、全てが静かに聞こえた」

千秋「彼らが奏でる二重奏も、きっと取り込むことができた。最高の気分よ」

モバP「さすが、シングルチャート週間1位のアイドルだ」

千秋「……私に大切な物と大切な言葉をくれた貴方も、黒川千秋には欠かせない存在よ」

モバP「当然さ」



モバP「なんたって俺は……」


モバP「完璧なプロデューサーだからな」キリッ

11月25日、事務所


モバP「おはようございます」ガチャッ

瑞樹「おはよう♪プロデューサー君♪」ニコニコ

モバP「おはようございます、川島さん。今日は早いですね」

瑞樹「ええ。何年か前までは今日は憂鬱だったけど、つい期待しちゃって、自然と心が躍るのよ」

瑞樹「さて、問題です。どうして川島瑞樹は上機嫌なんでしょうか?」キャピッ

モバP「完璧なプロデューサーの俺にそんな問題を出して大丈夫なんですか~?もう答えはわかってますよ!」

モバP「今日のロケ、楽しみにしてたんですよね」

瑞樹「……もぉー、違うわよ♡」

モバP「え?半分なんですか?」

瑞樹「もう半分のヒントをあげるわ。プロデューサー君、今日は何月何日?」

モバP「えっと、11月25日ですね」

瑞樹「正解よ。ふふっ、今日は何か大きなイベントがあったんじゃないかしら?」

モバP「イベント……?今日の仕事は杏ときらりの収録と、その後川島さんと現場で合流して、帰ってから書類整理と……」

瑞樹「………」


ガチャッ


きらり「にょっわー!!おつかれしゃーす☆」

モバP「お、元気がいいな。おはようきらり」

きらり「おっすおっすPちゃん瑞樹ちゃん!ふたりともラブラブでうらやますぃー☆きらりも入れてー☆」ダダダダッ

モバP「おわっ!!!突進しながら抱き着くなよ!!」

きらり「えへへ~PちゃんPちゃん~☆」ギュウウウウウ

モバP「痛いから、きらり、離れなさい」

きらり「……はーい☆」

瑞樹「……………………………………………」

モバP「さて、朝早いけど早速行くか。杏は……どーせ来ねぇな」

きらり「杏ちゃんを迎えに行くために、きらり早くきたにぃ☆」

モバP「きらりも完璧なプロデューサーになる素質があるようだな。あっ、川島さん、今日のスケジュールなんですが……」

瑞樹「……自分で確認しておくわ」

モバP(ん?川島さんどうしたんだ?急にテンションが低くなったぞ)

きらり「Pちゃーん、はやくはやくっ!瑞樹ちゃん!行ってきまー☆」

瑞樹「ええ、頑張ってね。きらりちゃん」ニコッ

モバP(さて、今日は昨日おとといと比べたら忙しくはないが、それでも手は抜かないぞ!)



モバP(なんたって俺は……)


モバP(完璧なプロデューサーだからな)キリッ

千代田線大手町駅


モバP「うっ、やっぱり朝早くだから混んでるな。くそっ、今日に限って社用車が全部他部署に取られてるとはな」


杏「プロデューサー、杏タクシーがいい~」

モバP「いや、タクシーだと混んだ場合遅刻しちまう。電車なら人が混もうが関係ねぇからな。今日は電車で行くぜ」

ネェネェ、アレアンズチャンとキラリチャン?

ウソ!?トップアイドルガナンデコンナエキニ!?

きらり「きらりたち、もしかして目立ってゆ?うっきゃー!きらりも杏ちゃんもアイドルだもーん☆」

キィーーガタンゴトン

モバP「お、電車が来たぞ。満員電車だが、女性専用車両なら多分空いてるな」

杏「ラッキー!じゃ、杏たちはそっちでゆっくり座ってるね」

モバP「何言ってんだ。俺も一緒に行くよ」

あんきら「え……?」

きらり「Pちゃん、女性専用車両に乗るの……?」

モバP「もちろんだ」

杏「プロデューサー、ついに変態に戻っちゃうの?」

モバP「おいおい勘弁してくれよ。これはお前たちのためなんだぜ?」

モバP「仮に女性専用車両に2人だけで乗ったら誰がお前らを守ってやるんだよ」

モバP「いるかもしれないだろ?女性専用車両へ乗っていったアイドルをストーカーして痴漢してくる輩がよ」

モバP「でも、男である俺がいりゃストーカーでも手は出せねぇだろ?」

きらり「にょ、にょわー」チラッ

駅員「お客様、失礼ですが、こちらは女性専用車両です」

モバP「あ?知ってるけど?」

駅員「ですので、男性のご乗車はご遠慮いただいております」

モバP「あ?てめぇふざけてんのか?」イラッ

杏「ぷ、プロデューサー……?」

モバP「いつから女性専用車両は男子禁制になったんだコラ、おい」

駅員「ですから、女性専用車両ですので……」

モバP「ふざけんじゃねぇ!!!女性専用車両は男子禁制じゃねぇだろうがッ!!!!」

ヒソヒソ

ウワ、ナニアレ…

きらり「ぴ、Pちゃん、やめて?みんな見てるゆ?」


駅員「ですから、お客様にお願いをですね……」

モバP「お願いだぁ?てめぇさっきはっきりご遠慮願いますっつってただろーがッ!!!」

モバP「いいか!?女性専用車両は男性の任意の元、痴漢防止のための協力の元成り立ってんだ!!」

モバP「そんなのよぉ、俺からしちゃ知ったこったねぇぜ!!」

モバP「俺は完璧なプロデューサーなんだよッ!!何があってもこの子だちアイドルを守る義務があるっ!!」

モバP「それに比べりゃそのへんの適当な女が不快に思おうが知ったこっちゃねーんだよッ!!!!」

モバP「てめぇもし俺が一般車両に乗って杏ときらりが女性専用車両で通り魔に遭ったら責任取れんのか!?あァ!!?」

杏「プロデューサー、わかったから!杏たちも一般車両乗るから!」

きらり「Pちゃん!お願い、落ち着いて……?」

モバP「バカ言うな!お前らアイドルを痴漢がうじゃうじゃいやがる一般車両なんかに乗せられるかっ!!」

杏(そんなこんなで、杏たちは女性専用車両へ無理やり乗り込んだ……)

きらり(うぅ、女の子たちからの視線が痛いにぃ……)

モバP「大丈夫だ、杏、きらり。お前らは俺がしっかりと目を離さず守ってやるからな」

モバP「なんたって俺は、完璧なプロデューサーだからな」キリッ

きらり(Pちゃん……かっこいいけど、おかしいにぃ……)

杏(てかこれ下手したら杏たち炎上するよね……?)


女性「あの」

モバP「はい、なんですか?」

女性「ここ女性専用車両なので降りてください」






モバP「あ?」

女性「みんな男性と一緒に乗るのが嫌だから女性専用車両に乗ってるんです」

女性「次の駅で降りてください!」

モバP「なんだぁてめぇコラァ!!!!」

女性「!!?」ビクッ

杏「ちょっと、やめなよ……!」

きらり「Pちゃん、やめてっ!」

モバP「何様だてめぇ!!女性専用車両は男も乗っていいって知らねぇのか!?ア”ァ!?」

女性「ひっ……」

モバP「女性専用車両は任意!!男も乗っていいんだよ!俺は完璧なプロデューサーだぞ!!」

モバP「男と一緒に乗りたくねぇだぁ?知らねーよッ!!!てめえらモブの虫ケラみてぇな気持ちよりうちのアイドルの方が大事なんだよ!!!」

杏「やめなって……降りよ?プロデューサー……」

きらり「ご、ごめんなさいっ!本当にごめんなさいっ!!」ペコペコ


アナウンス「次は~二重橋前~」


モバP「てゆーかよぉ、てめぇが降りろよ!!男と一緒に乗りたくねぇならよぉ!!」

モバP「オラッ駅着いたから降りろよッ!!ほら、降りて降りて!」

女性「嫌です!仕事遅れるんでっ!!」

モバP「俺らだってそうだよッ!!仕事遅れたらどー責任取るんだコラ!!!業務妨害かオイ!!!!」



女性「もぉおおおおおおおっ!!!!!!」

モバP「!?」ビクッ

あんきら「!!?」ビクッ

女性「業務妨害はそっちの3人だからッ!!!!!!さっさと降りるっ!!!!もうッ!!!!!」

きらり「そっちの3人って……きらりたちも含まれてゆ……?」

杏「ですよねー、あはは……」

女性「大手町からずっとそうでしょ!!!!?」

女性「いま出て!!!!降りれよそこの3人!!!!」

モバP「てめぇ……!!」ビキビキ

女性「いま降りれよ!!!!降りれっつ言ってんだろ!!!!!」

女性「大手町でも駅員さんにずっと捕まってるでしょ!!!?あなたがいたんで!!!!」

女性「それ自体がもう駅員さんの業務妨害になっているんだから!!!!!」

モバP「クソアマァ、てめぇいい気になってんじゃねーぞゴラッ!!!!!」

杏(その後、駅員総出でプロデューサーたちの喧嘩を止め、杏たち(女性含む)は駅事務室へ連れられ、事情を説明後なんとか帰してもらえた……)

きらり(お仕事は遅刻しちゃった……しょぼぼーん)

モバP「ただいま戻りましたー」

杏「どっと疲れたよ……もう次からは絶対車で行こう……」

きらり「きらりんもさんせー……」

美城常務「モバPくん、双葉くん、諸星くん、おつかれ」

モバP「あ、常務、おつかれさまです」

美城常務「モバPくん、帰ってきて早々悪いが話がある、来たまえ」

モバP「は、はい……」

杏「なんか嫌な予感が……」

きらり「さっきのことかな~?」

モバP「謹慎!!!?俺が!!?」

美城常務「見たまえ。千代田線での君と女性のやりとりがTwitterで拡散されているだろう。そこにばっちり双葉くんと諸星くんが写っている」

美城常務「Twitterだけじゃない。なんJもVIPもこの話題でもちきり、当然、悪い意味でだ。この落とし前、どうやってつけるつもりだ?」

モバP「俺は間違ったことは言ってないッ!!!!あのクソ女が悪いんですよッ!!!!」

美城常務「それはこの際どうでもいい。君の行動が双葉くん諸星くん等、アイドルたちの評価を下げたのは事実だ。処罰は妥当だと思うがね」

美城常務「それになぜか関係ない他部署の前川くんまで炎上しているのだ」

モバP「うっ……」

モバP(確かに……あの女と争っていなかったら、ずっと無視していりゃ……こんな事にはならなかった……)

モバP(いや、そもそも電車を使ったのが間違いだ。時間を遅く調整する、きらりと杏を現場へ直行させる。電車を使わずトラブルを回避する方法はあったはずだ……)

モバP「……申し訳ありません」

モバP「俺は……完璧なプロデューサーに、なれていなかったんでしょうか……」

美城常務「君の部署の活躍は他の追随を許さないくらいだ。業績は認めているよ」

美城常務「だが、それを差し引いても、君を完璧とは思えないな」

美城常務「いや……完璧じゃない方がよかった、というべきか……?」

モバP「完璧じゃない方が……?」

美城常務「ともかく、下がって結構。謹慎期間は処罰が決まるまでだ。また折り返しこちらから連絡するよ」

モバP「………」

モバPの自宅


モバP「………」

モバP「………………」

モバP「…………………………」

モバP(完璧じゃない方がよかった……か)

モバP(俺は、プロデューサーとして、精一杯やってきたつもりだ)

モバP(結果はついてきた。今じゃ担当12人全員Aランク以上、Sランクアイドルだって排出している)

モバP(みな俺をエリートとして扱ってくれていた。アイドルたちだって、他の社員や他部署のアイドルからも一目も二目も置かれている)

モバP(アイドル達も全員、俺を慕ってくれているはずだ……)

モバP「…………………………………」

モバP「なんか、ひっかかるな」

モバP「心の奥底に、モヤモヤしたものが引っかかってる」

モバP「……11月25日……最低最悪な日だ」

モバP「こんな気持ちになったのは、プロデューサーやっててはじめてかもな」


タッタッタッタッ

ピンポーン!!!ドンドンドンドン!!!

モバP「!!!?」

モバP「なんだ、誰か来たのか……?」

モバP(俺は身体を起こし、玄関へと向かった)

モバP(ドアアイを覗くと、息を切らしたきっちりとした服装の女性が明らかに息を切らせている)

モバP(誰かは一目みてすぐわかった)

モバP(川島さんだ)

ガチャッ

モバP「……川島さん」

瑞樹「はぁ……はぁ……プロデューサー君……は、走りすぎたわ……お願い、水をちょうだい……」

モバP「……どうぞ、中に入ってください」

瑞樹「……ありがとう」ハァハァ


リビング

瑞樹「……っぷはーぁっ!!生き返ったわ!!」

モバP「………」

瑞樹「……当然だろうけど、元気ないのね、プロデューサー君」

モバP「川島さんは、事の顛末は?」

瑞樹「全部聞いたわ」

モバP「……常務から、俺は完璧なプロデューサーじゃない、と言われた」

モバP「その後、すぐに「完璧じゃない方がよかった」って言い直されましたよ」

モバP「その意味を、ずっと考えていたところです」

瑞樹「……わかるわ」

モバP「……え?」

瑞樹「美城常務のその言葉の意味、私にもわかるわ」

モバP「!!?」

モバP「それは、それはどういう……!?」

瑞樹「待って、プロデューサー君」

モバP「………」

瑞樹「きっと、あなたが自分でわからないといけないことなのよ、これは」

モバP「そんな……わからない、わからないですよ……」

モバP「俺は、今までアイドルのために必死にやってきた。結果も出した」

モバP「アイドルたちにだって、信頼されているはずだ……」

モバP「……はずだ……」

モバP(はず……?)

瑞樹「………」

モバP「……川島さん、俺のこと、信頼してくれてますよね」

瑞樹「もちろんよ」

瑞樹「これ以上なく、信頼している。これは間違いないと断言できるわ」

モバP「だったら、なおさらわからないですよ……完璧じゃない方がいい理由……」

瑞樹「……ねえ、プロデューサー君、朝、私が出したクイズ、覚えている?」

モバP「クイズ……?」

瑞樹「あなたにクイズを出したじゃない。内容、忘れちゃった?」

モバP「………すみません」

瑞樹「……あと1回しか言わないし、ヒントも出さないわ。それを答えてちょうだい」



瑞樹「今日の朝、私が上機嫌だったのはどうして?」



モバP「………」

モバP(思い出した、朝、川島さんから出された問題……ヒントは確か、今日が11月25日だってこと)

モバP(11月25日は最低最悪な日……これはさっき自分が結論づけた答えだ)

モバP(でも、それは俺にとってだけ。川島さんにとっての答えは、違う)

モバP(なんでこの日なんだろう、去年は何があったかな)

モバP(日付まで指定されているんだ。そう考えるには時間はかからなかった)

モバP(目の前の彼女がまだ笑っていれているうちに、この考えに至れてよかった)

モバP(記憶を辿らなければ、きっと、彼女は悲しんでしまう。悲しんで帰ってしまう)

モバP(泣いて、泣いて、行き場のない悲しみをどこにもぶつけることが出来ずに、それこそ彼女にとっても、最低最悪な日になってしまう)

モバP(去年のあなたは、本当に嬉しそうだったのに)






モバP「……誕生日」

瑞樹「………」

モバP(ピースを1つでもはめることができれば、後は簡単だ)


モバP(どうして、大切なアイドルのひとりである川島さんの誕生日を忘れてた?答えは俺が完璧なプロデューサーになろうとしたからだ)


モバP(どうして完璧なプロデューサーになろうとした?結果がついてきたからだ。俺ならやれるって、ひとりでそう思っちまったからだ)


モバP(その結果、確かに俺は仕事に打ち込むようになった。その代わり、何を忘れた?)


モバP(アイドルたちの気持ち、一緒に進むその先、コミュニケーション、思い出、余裕、性欲、下心、日々のオナニー、童貞を捨てる野望……)


モバP「……全部、置き去りにしてたんだな……」


瑞樹「………」

モバP「おととい、忍を落ち着かせる時、俺はあいつのまんこをいじっているはずなのに勃起もせず、ライブが成功するようにとしか考えていなかった」

モバP「帰ってきたあいつに、ギューもしてやれない、頭も撫でてやれない。忍が泣いていたのは、ライブ成功が嬉しかったからだけじゃなかったんだ」

モバP「千秋に至ってはさ、口に出して気持ちを伝えてくれた。俺も自分にとってはかけがえのない存在だって」

モバP「それなのに、ライブの成功に目がくらんで、から返事だけして、言葉の意味に気付けなかった」

瑞樹「……うん」

モバP「きらりが今朝俺に抱き着いてきたとき、抱き返すこともせず、突っぱねるように離れてくれと言ってしまった」

モバP「杏ときらりが駅で揉める俺を見てどう思うかなんて、まるで考えもしなかった」

瑞樹「……うん」

モバP「完璧なプロデューサーだからって、仕事に打ち込みすぎて、目の前のことでいっぱいいっぱいになって」

モバP「アイドルたちの気持ちを考える余裕も、コミュニケーションに応じる余裕もなくなったんだ」

モバP「そして、去年、あんなに盛大に祝って、お酒が飲める川島さんと佐藤で朝まで飲み明かした、川島さんの誕生日のことまで忘れて……」

モバP「ごめん……ごめんなさい……」ポロポロ


瑞樹「……わかるわ、仕事が成功して、先へ先へと進んでしまう気持ち。私も、アナウンサー時代はそうだったもの」ギュッ

モバP「川島さん……」ポロポロ

瑞樹「きっとそれが、プロデューサーとしてもあるべき姿なんだと思う」

瑞樹「でも、私たち、私たちアイドルにとっては、きっとあるべき姿じゃなかったんだわ」

瑞樹「だって、アイドルでいる間、ずっとあなたから愛されセクハラされ、それでもみんなあなたが大好きだったんだから」

モバP「うぅ……」

瑞樹「プロデューサー君が仕事に打ち込むようになったのは、誰にも止められない。それだって正しいことなんだって、結果だってみんな出してるんだから」

瑞樹「でもやっぱり、寂しいのよ。あなたとの時間が減ってしまったようで、一緒に歩いているはずなのに、置き去りにされているようで」

モバP「うぅ、うううぅううううううううう!!!!!」ポロポロ

モバP「わぁあああああ!!!!ごめんなさいっ!!ごめんなさいっ!!!」ポロポロ

瑞樹「プロデューサー君……」ナデナデ


モバP(俺は、完璧なプロデューサーとしての立ち振る舞いなんて忘れ、川島さんの胸でワンワンと泣いた)

モバP(川島さんはこんな独りよがりなプロデューサーをも受け入れてくれる。そう感じるような温かさだった)


モバP「……川島さん、俺、一人で突っ走りすぎたみたいです」

瑞樹「ええ、そうね」ナデナデ

モバP「完璧完璧って、自分を追い込んで、俺がなんでプロデューサーになったのかすら忘れちまってた」

モバP「俺はアイドルたちの体目当てでプロデューサーになった。それは完璧にそぐわない不要なものだって、切り捨てたんだ」

モバP「でも、あなたたちは、逆にそんな俺だからこそついてきてくれたんだって、気付けなかった」

モバP「ごめんなさい……そして」

モバP「誕生日、おめでとうございます。川島さん」

瑞樹「……ええ」

モバP「そうだ!!川島さんに誕生日プレゼントを渡さなきゃな!」ガバッ

瑞樹「きゃっ!!」ドサッ

モバP「川島さんっ!俺もうっ!!」ビンビン

瑞樹「もぉ……、やっと、あなたらしくなってきたわね……」ギュッ

モバP「ああ、忘れてた性欲が蘇るようだ……川島さん、好きだっ!ヤらせてくれっ!!!」ガバッ

瑞樹「あんっ、待って、はじめてだから、優しくっ……♡」

モバP「川島瑞樹の誕生日プレゼントは、俺の精液だッ!!!!!」

こうして、プロデューサーは「完璧なプロデューサー」を引退した。
その代わり。アイドル全員の気持ちを考えて、昔のように自分の欲望に忠実となり。その実アイドル達と心と身体で繋がっていけるような、そんなプロデューサーを再び目指そうと決心した。
11月25日は川島瑞樹の誕生日。瑞樹はずっと射精していなかった数か月ぶりのたっぷり精液をプロデューサーからプレゼントされ、彼のためにこれからもがんばろうと決意したのであった。




数日後


美城常務「ふむ、今日はモバPくんの謹慎が明ける日だな」

美城常務(彼は不思議な人材だ。以前の彼はプロデューサーとして模範となれるような器ではないのに、アイドル達は彼についていき、彼が変わる前からすでにある程度の結果を出していた)

美城常務(彼が仕事に打ち込むようになって、アイドルもさらに有名になったが、彼女たちの表情は日を重ねるごとに寂しさが増しているような感じだった)

美城常務「長い謹慎が明けて、彼と彼女たちアイドルはどう変わっただろうか」

美城常務「少し第1アイドル課の様子を見に行ってみるか」

第1アイドル課のルーム(モバPたちの職場)



モバP「千秋っ!!!中に出すぞっ!!!」パンパンパンパン

千秋「あっ♡だめっ、中はらめぇええ!!!!」ビクンビクン

忍「すごい……千秋さん、こんな表情するんだ……♡」

きらり「Pちゃんのせーえき、あったかいにぃ……」トローン

杏「もう動けない……がくっ……」






美城常務「………」

美城常務「……結果は出してくれるのかもしれんが、漏れたらうちの会社は終わるな」



モバPは再びアイドルたちと心と身体を通わせ、全員をトップアイドルへと導いた。
数年後、モバPは担当のトップアイドルのうちひとりと結婚することになるが、誰だかわかるかしら?
今日が11月25日って考えれば、みんなもわかるわよね?私にはわかるわ。


終わりです。


あー間に合ってよかった。川島さんの誕生日を祝うSSでした。川島さん誕生日おめでとう!!!
結婚したら自由に金使えないからデレステに課金もできない、風俗にも倫理的に行けないで個人的には人生の墓場だと思ってますが、女共にとっては違うんでしょうかね。
結婚するなら川島さんみたいな女性がいいけどレベル高すぎて劣等感感じそう……
さて、次のフェスで多分茜が来て次の限定で多分きらりが来るのでSSのほうも大変そうです。読んでくれてありがとうございました。前川Pさんすみませんでした……


過去作直近5つです

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