目が覚めるとあなたは今までの記憶を失っていた (92)

あなたは混乱しながらも周りの状況を確認した

薄暗い。そこは牢屋であるようだった

あなたは少し考えた後、>>3をすることにした

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1607083235

寝る

あなたは少し考えた後、寝ることにした

目が覚めてからというもの、何やら頭がぼうっとしていた

固く冷たい床に身を丸めて少し、あなたは寝息を立て始めた…

「おい! 起きろ!」


乱暴な男の声に、あなたは目覚めた

あなたが目を擦りながら顔を上げると、そこには鍵束を腰に付けた大柄な男が立っていた

どうやらこの牢獄の看守のようだった


看守「検査の時間だ! こっちに来い!」


看守は寝ぼけ眼のあなたを無理やり立たせると、尻を蹴飛ばして牢の外へ連れ出した

あなたは初めて牢の外に出た

あなたの目覚めた牢の他にも無数の牢が並んでいて、あなたと同じく収容された人間が多くいるようだった


看守「キョロキョロするな! 早く歩け!」


あなたはまた尻を蹴飛ばされるのは嫌だったので素直に看守の言う通りに歩くことにした

あなたが連れて行かれた場所は、真っ白で何もない部屋だった。わずかに薬品の匂いを感じられる

あなたの背後から、ガチャン、と扉が閉められる音が聞こえた

あなたが部屋に気を取られている隙に、あなたを連れて来た看守は退出してしまったらしい

あなたが取り残されてしまった部屋には、何ひとつ物が置かれていなかった

辺りを見回すと、壁の内、1面だけ曇りガラスのようになった壁が確認できた

残りの3面は真っ白な壁だった


何もすることが無い

退屈になったあなたは>>10をすることにした

曇りガラスに何かしら影が映っていないか確認する

あなたは曇りガラスに顔を近づけて目を見開いた

しかしガラスは変わらず曇ったままだった


何かが映らないかと、あなたは更にガラスに顔を近づけた

ガラスはあなたの顔を反射することさえしなかった


あなたは思い切って、ガラスに顔を押し付けてみた

ひんやりとしたガラスの温度があなたの顔中に広がった

もしこのガラスが透明だったならば、ガラスの向こうから見たあなたの顔はとても面白いことになっていただろう

あなたが曇りガラスと格闘していると、あなたの頭の上の方から気が抜けたようなプシューという音が聞こえてきた

あなたが慌てて上を見ると、白色の煙のような物が天井から吐き出されていた

あなたは煙から逃げようとしたが、そこは密室。逃げ道など無かった

あなたは煙を吸い、意識が遠のいていくのを感じていた…

あなたが目を覚ますと、そこは薄暗い牢屋だった

あなたが最初に目覚めた牢屋だった

どうやらあの煙を吸った後、意識を失ったあなたはまたしてもこの牢屋に運び戻されたらしかった

あなたは自分の身に何が起きているのか、何をされているのか、何のために閉じ込められているのか、考えてみても何も思い当たらなかった

何せ、ここで目覚めるまでの記憶すら無いのだ

少し考え込んだ後、あなたは>>15をしてみることにした

おむつ少女の津島善子を見つけたのでおしっこを漏らすくらい驚かしてみた

あなたはおむつ少女を見つけたのでおしっこを漏らすくらい驚かしてみることにした

あなたはのそのそと起き上がり、見つけた少女に息を潜めて近づいていく…



わぁお!!!!!



あなたは渾身の変顔と叫びを持っておむつ少女を驚かせに行った!

しかしあなたが少女だと思い込んでいたものは壁のシミだった


わぁお…わぁお…わぁぉ…ゎぁぉ…ゎ……

あなたの叫びが、静かな廊下に響き渡る…

あなたが変顔で固まっていると、廊下の奥からガチャガチャと不機嫌そうな足音が近付いてきた


看守「こんな夜中にデケェ声で騒ぎやがって!!!」


看守はすごく怒っているように見えた

あなたはさっと目を逸らして「どいつのことだ…?」と困惑しているフリを始めようとした

しかしあなたの健闘は虚しく、すぐにあなたを特定した看守によって襟首を掴まれそのままどこかへ引きずられていった


あなたは拷問を受けた…

あなたが目を覚ますと、もはや見慣れた牢屋の天井が見えた

拷問を受けた後、あなたは気を失ってしまったらしい

鞭を受けた全身がヒリヒリと痛んだ

どうやらあなたのことを閉じ込めている連中は、あなたのことをある程度雑に扱って良いと思っているようだった

??「おいおい、大丈夫かアンタ」


あなたが痛みに悶えていると牢の外から男の声が聞こえてきた


男「急に壁に向かって変顔で叫び出すんだもんよ……びっくりしたぜ。気でも触れたか?」


やっとの思いで身を起こしたあなたが声の方を見やると、あなたの向かい側の牢に若い男の姿を確認することができた

男「しかし入って一日目でさっそく拷問受けちまう奴は初めて見たよ。いや、俺も別にここが長いって訳じゃないんだがな」


男はしげしげと面白がるような視線をあなたに向けていた


あなたは……

>>23

お前はここが何なのか知っているのか、と尋ねる

てす

あなたは男に尋ねてみることにした

ここは何をする場所なのか、何故あなたはこんな所に閉じ込められているのか

あなたにとって、この状況はわからないことだらけだったからだ


男「そんなもんこっちが聞きてえくらいだよ。訳のわからない連中に捕まったと思ったらいきなりこんなカビ臭い牢屋に放り込まれてよ。毎日実験だの検査だの胡散臭いことばっかしてきやがる」


実験? 検査?

男の話を聞いて、あなたは寝ていたあなたを最初に連れ出した看守が検査と言う単語を発していたのを思い出していた

あなたは最初に連れて行かれた部屋で妙な煙を吸い込み、そこで意識を失っていた筈だった

もしかしたらその時に検査とやらをされていたのかも知れないと思い、あなたは少しゾッとした


男「こんな妙な連中に捕まるくらいだったら、あの時大人しく普通の兵隊達に捕まっといた方が良かったかもなぁ」


男の話に、あなたは違和感を感じた

男「ん? ああ、普通の兵隊に捕まっといた方がってのはな。……俺、盗賊なんだよ」

盗賊「そんな大した悪党って訳でもねえが、ちょうど国の騎士やらに追い回されててな。やっとの思いで逃げ切ったと思ったら、疲れ切った所をここの奴らに捕まっちまってよ……」


あなたが眉を寄せるのを見て、盗賊の男は補足の説明を始めたらしい

しかし先ほどの話であなたが気になったのは、盗賊が捕まるまでの経緯などではなかった

盗賊の男は、あなたと違って記憶を失っていないということだった

盗賊「まあ俺の話はこんなもんだがよ。アンタは何でこんなところに来ちまったんだ?」


盗賊の質問に、あなたは頭を悩ませた


盗賊「おいおい、聞くだけ聞いて自分のことは言わないってのはナシだぜ。俺だってこんな訳のわからい状況で少しでも情報が欲しいんだ」


あなたは盗賊の望むような話を、応えたくても応えることが出来ないからだ

あなたはここで目覚めるまでの記憶が全く無くなってしまっているということを話した


盗賊「……記憶喪失ってヤツか? 自分の名前もわからないのか」


あなたは頷いた


盗賊「そりゃまた……奴らの“実験”の影響か? ……でも、アンタがここに運び込まれて来たのは今日の話だしな……」


盗賊はブツブツと、腕を組んで何やら考え込み始めているようだった


あなたは……

>>31

あなたは自分が運び込まれた時の様子を聞いてみることにした

あなたはそのとき意識を失っていたし、記憶も失っているため、少しでも自分に関する手掛かりが欲しかったのだ


盗賊「うーむ。まあ、取り立てて特別なことは無かったと思うぜ? 男二人に足と肩掴まれてそのまま牢屋にドーンよ。ありゃあ頭打ってたな」


あなたはどおりで目覚めた時に頭がぼんやりしていたわけだと得心した

もう少し丁重に扱って欲しいと思った

盗賊「それと……そいつら、アンタのことを『ナントカのサンプル』っつってたかな。俺もよく聞き取れなかったが」


サンプル……?


盗賊「もしかしたらアンタがここに連れて来られた理由に関係してるのかもしれねえな」


盗賊の話を聞いて、あなたはますます自分のことがよくわからなくなってしまった

サンプルと言う話とあなたの記憶喪失には何か関係があるのだろうか


盗賊「さぁなぁ……」

盗賊「とにかく、ここで正気を保っていたいなら無駄な体力は使わないこった。……いざって時に動けねえんじゃ話にもならねえ」


いざと言う時、という言葉に、あなたは聞き返した


盗賊「そりゃあ、チャンスを見つけて逃げるんだよ、こんな所。実験だか何だか知らねえが人のことをモルモット扱いしやがって……」


確かに、あなたにとってもこの場所は居心地の良い空間とは言い難かった

先ほどの拷問と言い、よくわからない実験と言い、控えめに言っても健康に良さそうとは思えなかったからだ

盗賊「俺もなぁ……何かこう、丁度良い細長い物でもあればこんな鍵……」


盗賊はクルクルと自分の指を回すような動作をした


盗賊「これでもこう言う商売してたもんだからな、手先は器用なんだよ。このタイプの錠なら多分、モノさえあれば何とかなる」

盗賊「なあアンタ、服のポッケか何かに針金みたいなもん隠し持ってたりしねえかな?」


あなたは自分のポケットをひっくり返してみた

しかし何も見つからなかった

加藤純一(うんこちゃん) ニコ生

雑談枠『だs』
(22:20~放送開始)


https://live.nicovideo.jp/watch/lv329367467

盗賊「だよなぁ。まあ、わかっちゃいたが」


あなたは他にも何か無いか、自分の服をまさぐり続けてみた

チャリン、という音とともに何かが床に落ちる音がした


盗賊「……ん? 何だ今の音」

あなたが足下を確認すると、そこには細長い……針金のような物が落ちていた


盗賊「おいおい、マジかよ……そんな良いモンどこで拾った!?」


あなたはここに来てから自分がどこに行ったのかを思い出していた

もしかすると、先ほど拷問部屋に引き摺られて行った時にこの針金が服に引っかかっていたのかも知れなかった

あの部屋は床にいろいろな物が散乱していたため、こう言ったゴミが落ちていても不思議では無かった

盗賊は何やら期待の眼差しをあなたに向けている


あなたは……

>>41

自分だけ逃げる気はないだろうなと念を押す

まさか自分だけ逃げる気はないだろうな

あなたは針金を指でぶら下げながら、脅すように盗賊に確認した


盗賊「ンなことしねえよ! こう見えて義理堅いんだぜ?俺ァ」


盗賊は何やら必死になっているようだった

あなたは盗っ人にも義理なんてものがあるのだろうかと少し不思議に思った

盗賊「だいたい、牢を出た後の脱出だって仲間が居たら心強いだろ? 俺にとってもアンタにとっても悪い話じゃねえでしょ」


盗賊の必死な形相による説得に、あなたは嘘の気配を感じないと思った

あなたはひとまず盗賊を信用することにした

あなたは盗賊の牢の方へ向かって針金を放った


盗賊「へへ、ありがてぇ……後悔はさせねえよ」


盗賊は踊るような手捌きで自分の牢の解錠を始めた


盗賊「この針金……ちょっと錆が入ってんな……まあ文句は言ってられねえが、それでも……よっと」


カチャカチャと小気味良い音が鳴る

しばらくして、カチャン、と何かが床に落ちる音がした

盗賊「はぁー、ようやく狭っ苦しい牢から出れた!」


盗賊は大きな伸びをして手に入れた自由を謳歌しているようだった

あなたはトントン、とあなたの牢の錠を指で叩いた


盗賊「そう急かさなくてもわかってるよ、ちょっと待ってな」


盗賊はあなたの錠前に手を伸ばした


※ここで運試し!

※あなたの入手した針金は所々が錆び付いて傷んでいる!

※少し扱いを間違えるとポッキリ折れてしまいそうだ!

※盗賊の見事な解錠技術により、針金は折れることなくあなたの錠が綺麗に外れる公算は高い!

※しかし運が悪ければ針金は途中で使い物にならなくなってしまうかもしれない!


>>48のコンマ1桁目が0~7なら盗賊の解錠が成功!
8~9で解錠は失敗!

さあ、あなたの運を試す時だ!

ベキッ

ベキッ


盗賊「あっ」


えっ


盗賊「……あ、いや大丈夫だ……折れたけど、何とかなった」


盗賊は安心したように手元を捻った

カチリと言う音がして、あなたの錠は外れた


驚かせないで欲しい。あなたは冷や汗を拭った

盗賊「ふぅ……大口叩いた手前、大恥かくとこだったぜ」

盗賊「しかし、これでこの針金も使い物にならねえな。……本当は他の牢の奴らも何人か連れて逃げられりゃと思ったんだが」


盗賊の手にある針金は元の大きさの半分にも満たない鉄屑となっていた

どうやら大部分があなたの錠の中に埋もれて抜けなくなってしまったようだった

盗賊「とにかく、牢を出られたんだ。他の牢の連中には気の毒だが大人しく待ってて貰うとしようぜ。俺らが出た後に王国の警備隊にでも通報すれば何とかなるだろ」


あなたには盗賊の案に特に瑕疵が無いように思えた


盗賊「とりあえず……見回りが来る前にこのしみったれた牢屋地帯を抜けようぜ。ここがどんな場所だかは知らねえけど、俺たちを閉じ込めるだけの監獄って訳じゃねえだろう」


あなたは頷いて、先導する盗賊の後についていくことにした

あなたと盗賊は、看守室の前を気付かれないように抜き足差し足で通過した

そこを過ぎると、あとは階段があるだけだった

あなたは一刻も早く看守室から遠ざかりたいと思っていた

騒音程度で拷問を受けたことから、牢を抜け出したとあらば彼らに何をされるかわからなかったからだ

あなたは背筋を伝う冷たい汗に気付かぬように、気持ち早足で階段を登って行った

盗賊「……どうにか抜けられたな」


階段を上がり切ったあなたと盗賊の前には、真っ白な廊下が広がっていた

あなたたちの閉じ込められていた牢屋と比べ、どこか清潔感すら感じられるようだった

廊下は、右手側と左手側に続いているようだった


盗賊「……俺も検査やら実験やらでここを通ったことはあるんだがな。連れてかれた実験室までの道しかわからねえ。アンタはどうだ?」


あなたにとっても、盗賊と同じ程度の経験しかなかった

と言っても、あなたは自分の検査に連れて行かれた部屋すらも覚えていないかも知れなかった

あの時のあなたに、そこまで精神的な余裕は無かったからだ

盗賊「俺が連れてかれたのは右側の通路だったな。ちょっと行った先にある実験室とやらに放り込まれて、後のことはほとんど覚えてねえ」

盗賊「左側の通路はわからねえな……行ったことねえし」

盗賊「どうしたもんかね。この廊下にも窓なんか付いちゃいねえから、どの方向が外に向かってるかもわからないからな」


つまり、右に行こうが左に行こうが、結局先は何もわからないと言うことだった

強いて言うなら、右側に実験室があると言うことは、そちらにはそれに関連した物がまとまっているのだろうか?という考察までが今のあなたの限界だった

盗賊「……しっ! 誰か来るぞ……」


盗賊が口元に指を当ててあなたへ注意を促した

あなたは慌てて姿勢を低くして耳を澄ませた


コツコツという足音は、背後の階段の方から聞こえていた

つまり、あなたたちの居た牢屋の方からだった

盗賊「看守か……? 休憩で上に上がろうとしてるのか、それとも誰か囚人を実験室に連れてくのか……」


あなたは、足音から急いだような雰囲気は感じられないのであなたたちの脱走がバレたという訳では無さそうだと思った


盗賊「何にせよ、このままここでじっとしてるのはマズイな」


あなたは決断をしなければならない

右側の通路へ逃げるか、左に逃げるか
失敗のリスクはあるが上ってくる足音の主を待ち伏せするのも手だろう
或いは、他にもっと良い方法もあるのかも知れない


あなたは数秒悩んだ末……

>>60

>>58

あなたは盗賊に判断を委ねることにした

盗賊の今まで培ってきた勘や経験がきっとあなたのピンチとかあと諸々を救ってくれることを信じて


盗賊「いや俺もこんな謎の施設からの脱出みたいなスリリングな経験なんてねえんだけど」


……救うと信じて


盗賊「丸投げじゃねーか……まあいいや、とりあえず逃げるぞ」

盗賊「確か右側に行きゃ実験室に着く前に何個か扉があった筈……そこが無人なら少しの間隠れてやり過ごすくらいできるだろ」


もし無人じゃなかったら?


盗賊「そん時考えるしかねえだろ」


つまり今はとくに考えていないということらしかった

あなたは盗賊のガバガバプランにため息をついた


盗賊「お前あとで覚えとけよ」


タタタッ

あなたは盗賊の先導に従い右の通路へと走った

緊張と急な運動により心音がやけに耳に響いた

後ろから看守と女性らしき声が言い合っているのが聞こえたが、聞こえなかったことにしてあなたは黙って足を動かした

あなたと盗賊は走ってる最中目についた小部屋に一目散に飛び込んだ

幸い無人の部屋のようであなたはホッと胸を撫で下ろした


盗賊「……」


盗賊がジェスチャーであなたに静かに伏せるように伝えてきた

あなたは静かに、盗賊の隣にしゃがみ込んで時が過ぎるのを待った

あなた達の潜んでいる部屋の傍にコツコツと足音が近づいてくる

それに伴い、何やら男女の言い争う声があなたの耳にも聞こえてきた


女の声「この施設はいったい何をしようとしているのですか」

看守の声「貴様に答えることなど何もない。黙って歩け」

女の声「……わたしは他国の騎士で────。正当な理由もなく────というのなら国際問題に────ますよ」

看守の声「黙って歩けと───筈だ」

「…………────、──」

「────……」


離れていく足音とともに二人の声も聞こえなくなっていった

あなたはもう少し話を聞こうと、扉に耳を近づけようと動こうとした

が、その肩を盗賊に掴まれた

盗賊は小声で話しかけてくる


盗賊「まさか助けに行こうなんて思っちゃいないよな」


あなたは首を振った

外の話を聞き取ろうと動いただけだったからだ

盗賊「そりゃ良かった。女の声だからってすぐに情に絆されたりするような奴じゃなくて安心したよ」

盗賊「どの道、今回俺に判断を任したのはアンタだからな。今の間だけは不服でも俺の指示に従ってもらうぜ」

盗賊「奴らの気配が完全に無くなるまで身を伏せて待機だ」


あなたは頷いた

※盗賊に判断を任せたため安価は発生しませんでした

盗賊「……そろそろ大丈夫そうだな」


身を伏せてしばらくして、盗賊はそう言って立ち上がった

あなたも倣って立ち上がり、緊張に強張った身体を解していく


盗賊「……にしても、なんだこの部屋は。人が居ねえのはいいんだが」


あなたは改めて、あなたたちが飛び込んだ部屋の中を見回した

部屋の中は大量の本が棚に、机にと所狭しと並んでいた

盗賊「資料室か何かか? うまく調べればこの施設が何をしようとしてる所なのか探れそうだが」


あなたは手元にある本を一冊手に取ってみた

相当な年季を感じさせる本だった

タイトルを見るに、何やら民間の伝承にまつわる本のようだった


盗賊「じっくり調べるのも良いが、この部屋もいつ誰かが入って来るかもわからねえ」

盗賊「俺としちゃあこの施設が何をしようとしてるかなんてのよりも脱出の方を優先させてぇと思うけど。アンタはどうだ?」


あなたは……

>>72

脱出しよう

あなたは盗賊に異論は無かった

兎にも角にも脱出を優先するべきだと思っていたからだ

あなたは賢い。好奇心は猫を[ピーーー]ということを知っている

余計なことに首を突っ込むことがどれほど自分の身を危険に晒すかを知っていた


盗賊「意見は一致したみたいだな。俺としてもその方がやりやすくて助かる」

盗賊「……じゃあ、行くぞ」


あなたは盗賊について行った

施設の警備は驚くほどに厳重な物だった

脱出を目指すあなたと盗賊の前には様々な障害、困難、試練が立ちはだかった

そのたびにあなたと盗賊は力を合わせ、知恵と勇気を振り絞り、何とかそれを乗り越えて行った

途中、気になる物や施設の謎に迫る物、或いは助けを求める声が聞こえて来た気がしたが、全て無視した

とにかく脱出のみを優先としたあなたたちは徹底したリスク管理により、危うきに近づかず、時には何かに気付いても目を逸らすということを第一とした

そして……

盗賊「おい、出口だ! 気付かれる前に走って突っ切るぞ!」


あなたは走った。ここまで何も触らず、とにかく目立たず、息を潜め、求めてきた出口に辿り着くことが出来たのだ


盗賊「気付かれてないみたいだな……外に出ちまえばこっちのモンだ! 近くの街まで急ぐぞ」


あなたは謎の施設からの脱出に成功した!

翌日

騎士「ふむ……事情は把握した。前々から怪しいとは思っていたが、まさかあそこでそんなことが行われていたとは」

騎士「情報提供、感謝する。近いうちに国から監査官と兵士達が派遣されるだろう」

騎士「そして……確か、君は記憶を失っているのだったな。この街の病院で治療を受けると良い」

騎士「我々も君の治療に最大限の協力をさせてもらうとしよう」

数ヶ月後…

あなたは街のパン屋で住み込みで働いていた

結局、病院の治療ではあなたの記憶を取り戻すのはかなわなかったのだ

過去も、行くあてもないあなたに、街の住民はとても優しかった

右も左もわからないあなたの面倒を見てくれて、おかげで今のあなたは街の住民として溶け込むことができていた

盗賊はどこかへ行ってしまった

まあ彼ならばそこらで適当に元気にやっていることだろうとあなたは特に心配はしていなかった

あなたは時々、かつてあなたが囚われていた施設の方向をぼうっと眺めることがある

何かやり残したことがあったような、気になる事があるような、行かなきゃいけないような

何か、言い表し難い感覚だった

そう言えば、派遣された調査隊とやらは結局どうなんだろう……

しかしそんな疑問や感覚も、毎日の仕事をこなし、飯を食い、隣人と語らうことであなたの中から段々と薄れて行った

ある日の夜のこと

あなたは夕食を終え、明日の仕事に備えて眠りについていた

パン屋の朝は早い。まだ見習いだが、朝に遅れることだけは避けなければとあなたは早寝を心がけていたのだ


……あなたは、何か地鳴りのような物音で目を覚ます

目を擦り、窓の外にはまだ日が上っていないことを確認したあなたはもう一度ベッドに潜り込む


……轟音とともに、あなたの部屋の天井が崩れ落ちてくる

飛び起きたあなたは、自身を埋める瓦礫の隙間からどうにか外に出ようともがき続けた

どうにか瓦礫を押し退けて、あなたは外の空気を目一杯吸い込んだ

夜のひんやりとした空気が、汗と埃にまみれたあなたの肌を冷まして行く


……不意に、月明かりが陰る

あなたは何事かと空を見上げた

そこには大きな口があった

あなたを喰らわんとする大きな口と牙が、涎を垂らし、唸り声を上げながらあなたを捉えていたのだった

あなたの視界が真っ暗になる

どうやらあなたの上半身は喰い千切られてしまったらしかった

あなたはもう、自身が咀嚼される感覚に身を委ねることしかできなかった


あなたは死んでしまった……


※残念ながら、あなたの冒険はここで終わってしまった!

※もしかしたら何かの選択を間違えてしまったのかも知れないし、正しい選択をしたのに死んでしまったのかも知れない

※しかし、もしあなたにもう一度冒険をやり直す勇気があるのならば、>>87にて好きな安価を選んでその選択をやり直すことができる(例:>>3 うんこを漏らす)

※もしもあなたが冒険を続けるというのであれば、私もあなたの幸運を最大限、祈らせてもらうことにしよう

>>84

>>57より


あなたは数秒悩んだ末、足音の主を待ち伏せすることにした


盗賊「おいおい正気かよ……」


やや呆れたような目で見てくる盗賊を尻目に、あなたは壁に背を張り付けて息を潜める

足音の主が階段を上り切った所を陰から奇襲する作戦だった

盗賊「あのなぁ、看守の野郎は武装してんだぜ。丸腰でノせるほどアンタ腕っぷしに自信があるのかよ」


あなたはあなたのあんまり逞しくなさそうな二の腕を見つめて沈黙した

しばらく考えた後、あなたに天啓がひらめいた

腕に自信が無いから今から武器を奪うのだ


盗賊「……いや、あのさぁ」

そんなことより、足音がどんどん近づいてきていた

あなたは自分の張り付いている壁と向かい側の壁を指差した

盗賊に向けて、お前も早く位置に付けというジェスチャーだった

武器持ち相手に奇襲を掛けるのなら一人より二人の方が良いとあなたは考えた。これは名案だと思った


盗賊「…………」

中々位置につかない盗賊に、あなたは壁をトントンと指で叩き催促をする

あなたは若干イラついていた


盗賊「……ああくそっ、今さら逃げるのはもう遅えし……アンタが捕まっちまったら俺が抜け出してんのもバレて警備も強化されるだろうし……こういう冒険はあんましたくねえんだけどなぁ!」


盗賊は文句を言いながら渋々壁に張り付いた

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