まゆ「チャックが開いてます……」 (24)


これはモバマスssです

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P「………………」カタカタカタ

ちひろ「………………」カタカタカタ

P「………………」カタカタカタ

ちひろ「………………」カタカタカタ

P「…………ッターンッ!」ッターンッ!

ちひろ「あ、終わりましたか?」

P「はい、まぁひと段落ですけど。ちひろさんは?」

ちひろ「私も丁度終わったところです。コーヒー淹れましょうか?」

P「ん、お願いしていいですか?」

ちひろ「一杯302円になりますっ!」

P「おかわり自由っぽい値段ですね」

ちひろ「……あら、切れてる……すみませんプロデューサーさん、缶コーヒーでいいですか?」

P「ん、なら俺が買って来ますよ」

ちひろ「いえ、ついでに書類も出してきちゃいたいので」

P「んじゃお願いします」

ちひろ「ブラックで良いですか?」

P「この事務所の話ですか?」

ちひろ「コーヒーの話ですけど……」

P「ま、ブラックでお願いします」

ちひろ「了解です!」

バタンッ



P「…………ふぅ……」

P(……一人になると突然お手洗いに行きたくなるこの感覚はなんだろう)

P(あと闇の力を解放したくなったりとか)

P(……………………)

P「……我が名は漆黒の†闇†……」

P「なーんつってな!」

P「…………ん?」

まゆ「………………」

P「………………」

まゆ「………………」

P「……お、おはようまゆ。机の下は暗くて目悪くするぞ」

まゆ「おはようございます、漆黒のや……プロデューサーさん」

P「やめて」




P「で、なんで机の下に居るんだ?」

まゆ「うふふ、此処が一番プロデューサーさんに近い場所なんです」

P「へー、取り敢えず出て来たら?」

まゆ「いえ、結構です。もう少しプロデューサーさんの足の温もりを感じていたいですから」

P「そこ暖房の風行かなくて寒くないのか?」

まゆ「……い、いえ……大丈夫ですよぉ」

P「寒そうだけど」

まゆ「腹筋しているので大丈夫です!」

P「机の下で」

まゆ「佐久マッスルですよぉ!」

P「語呂良いな」


P「まぁいいや、取り敢えず明日の予定を……」

まゆ(うふふ、頑張ってるプロデューサーさんをこんなに近くで眺められるなんて……幸せです)

P「ん、まずいな……12月のこの日は確かあのゲームの新作が……」

まゆ(はぁ……好き。暖房が暑くてシャツのボタンを開けてるところなんてとてもセクシー……)

P「あ、でも俺スイッチ持ってないな……」

まゆ(ネクタイも今は緩めてて……あら?あのネクタイ、プロデューサーさんのセンスで選んだ物ではありませんねぇ……誰?)

P「……うお、このキャラカッコいいな……忠誠を誓うか……」

まゆ(スラックスもピシッとアイロンが掛かってて、その上チャックも開いて……)

P「……夜は焼肉食べたいなぁ……」

まゆ(…………んん?んんん?……?っ?!っっ?!!?!)

P「よし!夜は焼肉っしょ!……ん?どうしたまゆ?」

まゆ「うぇっ?えっ?な、何でもありませんよぉ?!」

P「……?なんかテンション高いな……」


まゆ(言える訳ありませんよぉ!『プロデューサーさん、チャック開いてますよ』だなんて……)

まゆ(プロデューサーさん、きっとショックでしょうし……)

まゆ(それに、『おいおいまゆ……お前、ずっとそんな場所ばかり見てたんだな……悪い子だ。まゆの下のお口のチャックも俺のペニーワイズで閉じてやるよ……』だなんて事に……うふふ、うふふふふふっ!!)

P「……なんでクネクネしてるんだ?」

まゆ「うっふふふ、You'll float too……ごほんっ!失礼、大丈夫ですよぉ」

P「ふーん」

まゆ(まゆとした事が、妄想で暴走してしまうところでしたねぇ……)

まゆ(……さて、どうしたものでしょう。なんとかしてオブラートに包みつつプロデューサーさんに気付いて貰わないと……)

P「まぁいいや、俺ちょっと書類出してくるから」

まゆ「ストップストップストップ!うぇいうぇい!!」

P「おぉう……どうしたまゆ、いきなりテンション凄いぞ」



まゆ「……もう少しゆっくりしてからでも間に合うと思いませんかぁ?」

まゆ(なんとかして時間を稼いで、その間になんとかプロデューサーさんに気付いて貰わないと……)

P「いや、まぁゆっくりする時間はあるけどさ……」

まゆ「まゆ、もっとプロデューサーさんと二人っきりでお話ししてたいです」

P「大丈夫だって、書類出しに行くだけだから5分もかからないよ」

まゆ「でもその場で100周グルグル回ってからだと難しいですよねぇ?」

P「前提条件おかしくない?」

まゆ「急がば回れって言うじゃないですかぁ!!」

P「回れってそう言う意味じゃないし急いでないって」

まゆ「じゃあもう少しゆっくりしてて下さい」

P「お、おう……まぁいいけど」

まゆ(マズイ……非常にマズイですよぉ……次またプロデューサーさんが出ようとした時、自然な流れで引き留める方法が思いつきません)

まゆ(……であれば、それまでに……チャックに、意識を……)

まゆ(『さっき電車で、目の前に立ってる男性のチャックが開いてたんです』……却下、まゆの印象だだ落ちです)

まゆ(『ズボンのチャックって自重で落ちてくる事があるらしいですよぉ』……却下、前振りなしの豆知識は謎過ぎます)

まゆ(『あ、まゆのズボンのチャック開いてましたぁ!』……却下、捨て身過ぎるしそもそもまゆは今スカートです)

まゆ(……むむむ……難しい……助けて李衣菜ちゃん……)




P「あ、部長から来週の飲み会の店決めたいから喫煙所来てくれって連絡来たわ。ちょっと行ってくる」

まゆ(あぁぁぁぁぁっ!あの喫煙者!!待って!待って下さい!)

まゆ(……かくなる上は……!)

まゆ「ゔぅぅぅぅぅっ、待ってぇ!待って下さいプロデューサーさぁん!!まゆを置いていかないでくだざぁぁぁぁいっっっ!!!」

P「……えぇ……すぐ戻って来るって言ってるじゃん……」

まゆ「やぁぁぁぁだぁぁぁぁ!!行っちゃイヤですぅぅぅぅぅ!!びぇぇぇぇぇぇぇぇっっっ!!」

P「…………分かったよ……」

まゆ(よしっ!泣き落とし作戦、みっしょんこんぷりーとですよぉ!)

ガチャ

加蓮「おっはよー…………何?修羅場?」

P「え、あぁいや……なんか急にまゆが……」

まゆ「泣いてませんが?」

加蓮「いや泣いてたよね?」

まゆ「嘘泣きです」

P「……嘘泣きだったのか」

まゆ「あっあっあっ、ガチ泣きですよぉ……」

加蓮「ガチで泣いてたんだ」

まゆ「……あぁもう……作戦タイム!!」



加蓮「なんで泣いてたの?」

まゆ「泣いてません」

加蓮「あーでも言うよね、涙の数だけ強くなれるよアスファルトって」

まゆ「そこでぶった切るとただのアスファルト応援歌ですねぇ」

加蓮「まゆアスファルトじゃん」

まゆ「誰の胸が真っ平らですかぁ?!言っときますけどこれでも結構」

加蓮「Masque:Radeで一番小さいのだーれだ」

まゆ「…………身長なら李衣菜ちゃんです」

加蓮「いやまぁ正直どっちも殆ど横並びだけどね」

まゆ「加蓮ちゃん、いつになく発言がオジサンですねぇ」

加蓮「……で、何?」

まゆ「加蓮ちゃん、プロデューサーさんの格好を見て下さい」

加蓮「かっこいいよね」

まゆ「分かります」

加蓮「……で?」

まゆ「……下の方を見て下さい」

加蓮「足元見ればいいの?」

まゆ「もう少し上です」

加蓮「あーあのネクタイ?私がプレゼントしてあげたんだけど……ふふ、使ってくれてるんだ」

まゆ「お?」

加蓮「ん?何?」

まゆ「……今は良いです。いえ、良くはありませんが……」



加蓮「……げっ、プロデューサーチャック開いてるじゃん……」

まゆ「そうなんですよぉ……」

加蓮「……あー、なるほどね」

まゆ「そうなんですよぉ……」

加蓮「誘ってるって事だよね」

まゆ「そうではないと思いますよぉ……」

加蓮「冗談だって……で、何か困るの?」

まゆ「……まゆ達が眺める分には問題ありませんが、あのままだと他の方に会いに行った時に恥をかいてしまうので……」

加蓮「……確かに。まゆ教えてあげなよ」

まゆ「それが出来ないから困ってるんですよぉ……」

加蓮「……なんとかして、気付かせてあげないとね」

まゆ「今だけは共同戦線です」


P「話は終わったかー?」

加蓮「うん。あ、ねえプロデューサー。私今日電車で来たんだけど、目の前に立ってるおっさんのチャックが開いてたんだよねー」

P「…………ふーん」

加蓮「…………うん、それだけ」

まゆ「…………」

加蓮「…………」

まゆ「…………」

加蓮「……これ私の株が落ちただけじゃない?」

まゆ「お気付きになられましたかぁ?」

加蓮「あんた私の事はめたんでしょ!」

まゆ「もう少しまともな方法を思いつきましょうよぉ!!」



P「んじゃ俺、喫煙所に」

加蓮「私タバコの臭い嫌い」

P「…………部長にはラインで済ますわ」

まゆ「よくやりました、加蓮ちゃん」

加蓮「お、なんか上手く時間稼げた感じ?」

まゆ「はい、これでしばらくプロデューサーさんは部屋から出る事は」

P「ん、美城専務から新作のポエムのチェックを頼みたいって連絡が」

まゆ「智絵里ちゃんの方が適役だと思うので、智絵里ちゃんに頼みましょう」

P「いや、でも俺が頼まれて」

加蓮「私ポエマーな男性嫌い」

P「智絵里に頼むか」

まゆ・加蓮「「よし」」



まゆ「……さて、加蓮ちゃん。時間稼ぎばかりではいつまで経っても解決しません」

加蓮「そろそろ何か手を打ちたいけど……どうする?」

まゆ「……お互い豆知識を言い合って、プロデューサーさんが会話に混ざって来たところで『ズボンのチャックは自重で落ちてくる事がある』と言えば……!」

加蓮「勝てる!」

まゆ「では加蓮ちゃんからどうぞ!!」

加蓮「…………えっと、豆知識豆知識……うーん……」

まゆ「役立たず……まゆから行きます。パセリの花言葉は『お祭り気分』らしいですよぉ」

加蓮「へー、まゆ詳しいね」

まゆ「えっへん、まゆですっ!」

加蓮「草」

まゆ「パセリですよぉ」



まゆ「次は加蓮ちゃんのターンですよぉ」

加蓮「あ、プロデューサーってバストサイズ83以下には見向きもしないらしいよ」

まゆ「は?」

P「おい加蓮」

加蓮「ほらまゆ、プロデューサー食い付いてきたよ」

まゆ「加蓮ちゃん、その話詳しく」

加蓮「本題本題、本題忘れてるって」

まゆ「しかも83以下だと加蓮ちゃんも含まれてませんよねぇ」

加蓮「はぁ?! プロデューサー最っっ低!!」

P「何も言ってないのに余りにも理不尽」



まゆ「……77まで引き下ろしませんかぁ?」

P「センターの足切りじゃないんだぞ……そもそもだから俺何も」

加蓮「プロデューサーってほんっと女子の事胸でしか見てないよね」

P「さっきから酷くないか?」

加蓮「まぁ私たちもプロデューサーの下半身見てたけど」

P「えぇ……」

加蓮「……まゆ、これ私たちの株が落ちただけじゃない?」

まゆ「勝手にまゆまで巻き込まないで下さい」

加蓮「あっ!本題忘れてた!」

まゆ「そうです、そうでしたよぉ!……プロデューサーさん、ご存知ですか?」

加蓮「えっと……株は自重で落ちてくる事がある、だっけ?」

まゆ「何か違いません?」

加蓮「あっれ、落ちてくるのバストだっけ?」

P「……書類出してくるから、そういうのは男性が居ない時に頼むぞ」



まゆ「待って!待って下さい!」

加蓮「タンマタンマ!急がば稀って言うじゃん!」

まゆ「加蓮ちゃんは何に希少価値を見出してるんですかぁ?!」

加蓮「自分の胸に手を当てて考えてみたら?」

まゆ「削ぎ落としますよぉ?!」

P「あの、マジで俺が居ないところで頼むから……よし、また後でな!」

まゆ・加蓮「「あーあーあーあー!!!!」」

ガチャ

李衣菜「おっはよーみんな……ん、プロデューサーさん、ズボンのチャック開いてますよ」

P「ん、マジか。さんきゅー李衣菜」ジッ

バタンッ




李衣菜「行っちゃった……あ、おはようまゆちゃん、加蓮ちゃん」

加蓮「私たちがどんだけ苦労したと思ってるの?」

まゆ「償って頂きますよぉ」

李衣菜「なんだか分からないけど多分理不尽」

ピロンッ

まゆ「むむ、智絵里ちゃんからラインが……」

智絵里『折角お休みだったのに美城専務のポエム推敲頼まれたんだけど、まゆちゃんと加蓮ちゃんは覚悟出来てるんだよね……?』

まゆ「助けて李衣菜ちゃん」

加蓮「助けて李衣菜」

李衣菜「一回ちゃんと考え方改めよ?」

以上です
お付き合い、ありがとうこざいました

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