フレデリカ「ハロウィン通販ごっこ」 (21)


これはモバマスssです

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杏「さっむ……最近寒くない?」

肇「ふふ、東京の子供は軟弱ですね。私の故郷は」

杏「杏北海道出身だしなんなら肇ちゃんより年上なんだけど」

肇「……昨夜の通販番組は何を見ましたか?」

杏「逸らし方雑過ぎるし選択肢狭過ぎるでしょ、フローリングクリーナー」

肇「勝ちました、私は家庭用肉切り包丁セットです」

杏「基準どこ」

肇「今なら陶芸セットが付いてくるらしいので」

杏「あまりにも分かりやすい」

肇「…………」

杏「…………」

肇「……部屋、入らないんですか?」

杏「肇ちゃんが先に入ったら?杏の方が年上だから先譲るよ」



肇「……今日って……」

杏「うん、ハロウィン」

肇「…………」

杏「…………」

肇「……きょ、今日はこのまま帰りませんか?」

杏「心から賛成したいとこなんだけど、部屋にスマホと財布置いてあるんだよね」

肇「貴重品は常に持ち歩いた方が良いと思いますが……」

杏「自分より他三人の誰かしらが居る空間の方が絶対防犯性能高いし」

肇「……スマホ、一日くらい我慢しませんか?」

杏「……背に腹はかえられないし、仕方ないかー……」




「あれー?なかなか入って来ないねー?」

「おかしいですね……普段であれば、そろそろ杏さんが『あぁぁ、今日も疲れたーもう早く帰って寝たい』と言いながら入ってくる筈なのですが……」

肇「…………」

杏「…………」

「何かあったのかなー?」

「心配……する必要はありませんね、肇さんと一緒ですから」

杏「肇ちゃんステイ」

肇「……ふふ、何を心配しているんですか?杏ちゃん」

杏「今一瞬ドアノブに手を伸ばしたでしょ」

肇「……かけぬけるーこーのーおーもーいはー」

杏「雑」



「あ、でも杏ちゃんって早く帰ってアメリカの下らない通販番組見てケチつけてそうじゃない?」

「こんなの誰が買うんだよW、なんて言いながら時間を無駄に浪費していそうですね……」

肇「杏ちゃん落ち着いて下さい」

杏「単芝は本気でイラッとくるよねなんて思ってないよ、杏はいつでもローテンションだよ」

肇「今ドア蹴り飛ばそうとしていませんでしか?」

杏「……でも実際海外の通販のテンション良いよね」

肇「HAHAHA~杏さん、そんな商品を欲しがるのはアンタかアナコンダくらいさ」

杏「おいおい肇ちゃん、うちのワイフと同じ事言わないでくれよ!yeah!」

「「……聞こえた……!」」

肇「…………」

杏「…………やっべ」




ガッ!!ガチャガチャガチャガチャ!!

「もしや!そこの声!そこにいるのは我が友ではないか?!」

「大丈夫ですよ杏さん、肇さん……何も企んでいませんから……!」

杏「肇ちゃん負けるな!マジで!」

肇「くっ……この程度で負ける筈が……!」

「だいじょぶだいじょぶ!絶対メルシーだから!!」

「怖いのですか……?私たちに負ける事が……!」

杏「挑発に負けるな肇ちゃん!」

肇「分かっています!このまま二人はこの部屋に閉じ込めて……!」

「肇ちゃん、先週の日曜に釣り堀行ったら雨で休みだったから一日中家で通販見てたってほんとー?」

肇「なんで知ってるんですか!!」

ガチャ

フレデリカ「ふふふ、ハァイ二人とも。元気してた~?」

文香「ふふ……さぁ、中へどうぞ」

杏「……くそ……」

肇「……通販、面白いんですから……」




杏(部屋の中に装飾はナシ……ハロウィンごっこの予定は無い?)

肇(いえ、早計な判断は危険です……この2人の事ですから、突然張りぼての壁が剥がれてハロウィンコーデになる可能性も……)

杏(部屋はいつも通り、2人の服装も中に何か着込んでる可能性は無さそう……どこから仕掛けてくるつもり?)

肇(何かを仕掛ける時間は十二分にあった筈です……冷蔵庫?窓の外?あるいは床下から何かせり上がってくる?)

フレデリカ「……警戒しすぎなんじゃないかなー?」

文香「傷付きます……私達の事を、信頼してくれていないのですね……」

杏「当たり前でしょ」

肇「自分の胸に手を当てて思い返してみて下さい」

フレデリカ「あ、ねぇねぇ二人とも!なんだかテレビ見たくなってこないー?」

文香「yeah……!」

杏「ならない、帰る」

肇「お疲れ様でした」

フレデリカ「何chの通販見るー?」

文香「yeah……!」

杏「どうする肇ちゃん」

フレデリカ「おっけー、肇chねー?」

肇「そう言いながらテレビつけるのであれば、せめて1ch付けませんか?」





『ンテレビ~ッ、ショッピィィンッ!』

フレデリカ『ぼんじゅー視聴者のみんなー?テレビだよー?』

杏「知ってるよ」

文香『……こんにちは、皆さま……本日は……?』

肇「なんでそこ疑問形なんですか」

フレデリカ「これねー、さっき収録した生放送なんだー」

杏「一行で矛盾してるんだけど」

文香「静かに……私の声が聞こえなくなってしまいます……」

肇「もう少し大きな声で喋れば良かったじゃないですか……」

フレデリカ「ポップコーンとコーラで良い?」

杏「あ、杏はオレンジジュースで」

肇「お煎餅開けますね」

文香「し、静かに開けてください……!私の声が……」

フレデリカ「じゃあまた収録戻るねー?」

文香「30分後に戻ります……」

バタンッ

杏「……じゃあ画面のこいつら誰だよ」

肇「ハロウィンですから」




フレデリカ『HEY!文香ちゃん、今日ってなんの日?』

文香『この番組は……ハロウィンを迎える皆さまへ、そのイベントにピッタリでお得なアイテムをご紹介する番組です』

フレデリカ『ねーねー文香ちゃん、今日ってどんなイベントがある日だっけー?』

文香『元々は秋の収穫を祝い、悪霊などを追い出す宗教的な意味合いのある行事でしたが……』

フレデリカ『文香ちゃーん?』

文香『それでは早速ご紹介させて頂きます……先ずはコチラ』

フレデリカ『文香ちゃん!!』

~~ただ今お電話が大変混み合っております~~



杏「タイミングのせいで完全に文香ちゃんが商品みたいになってるんだけど」

肇「凄いですね……一気に連絡が殺到しているそうです。こんなのの何が欲しいんでしょうか……?」




フレデリカ『高品質ステンレス製高枝切り鋏!』

~~ただ今お電話がとても空いております。お電話して欲しいです~~



杏「なんで下のテロップあんなに正直なの?」

肇「クレームの連絡が入らないだけマシだと思います……」



文香『これは……実際に見て頂いた方が、この良さを分かって頂けると思います』

フレデリカ『これねー、すっごく切れるんだよー?最近の若者くらい!』

文香『ではフレデリカさん、早速こちらに用意した枝を……』

フレデリカ『手で折った方が早くない?』ボキッ

文香『ふむ……ご覧の通り、非常に折れやすい枝となっております』

フレデリカ『今ならこの枝に高品質ステンレス製高枝切り鋏が付いてくる!』



杏「そっちが本体かよ」





文香『ところで……この高枝切り鋏は、ハロウィンにどの様に活用すれば良いのでしょうか?』

~~ここからアドリブです、二人の即興モノボケをお楽しみ下さい~~



杏「これ番組のスタッフが悪いやつでしょ」

肇「通販ってそういう番組じゃ無かった様な……」



フレデリカ『やっぱり鉄板は庭師の仮装なんじゃないかなー?』

文香『渋谷駅前でこれを振り回すのは些か危険に思えますが……』

フレデリカ『大丈夫!なんとグリップの部分にグリップが着いてるから、持ってる本人は手を痛め辛い!』

文香『いえ、ですから周りの方々が……』

フレデリカ『今なら図書券3000円分が付いてくる!!!』

文香『最高では……?』

~~図書券は別売りとなっております~~


杏「……そう」

肇「あ、このお煎餅美味しい……」





文香『それで……気になるお値段の方は、いったいおいくらなのでしょうか……?』

フレデリカ『ちょっと待って、今アマゾンで調べてる』

文香『……ふむ……なるほど、月々16円の』

フレデリカ『720回払い!』

文香『終身刑ですか……?』

フレデリカ『今なら1440回払いも可能!』

文香『月々8円……!』

~~御一括でお支払いの場合、一括手数料が発生します~~


杏「こんなのの支払いに120年も付きまとわれるのかよ」

肇「生きてるんですか?」

杏「ハロウィンに帰って来て支払えば良いんじゃない?」

肇「お盆じゃないんですから……」





文香『11520円……枝と高枝切り鋏だけでは、些か高く感じるのですが……』

フレデリカ『皆まで言わなくていいって。文香ちゃんは今こう思ってるんだよね?『11520円で枝と高枝切り鋏だけでは些か高く感じる』って』

文香『思ってるも何も……いえ、思っている事に間違いはありませんが……』

フレデリカ『もちろんこれだけじゃぁ無いっ!今ならなんとお値段据え置きで『高枝切り鋏型貯金箱』が付いてくる!』

文香『高枝切り鋏型である必要は……』

フレデリカ『うーん、これもやっぱり実際に切れ味を見てもらった方が早いかなー?』

文香『ですから、高枝切り鋏型である必要は……』

フレデリカ『ほら見て見て?こーんなに細い枝がチョキンチョキンって簡単に切れちゃうっ!』

文香『……あぁ……成る程、チョキンと貯金……』

~~切る音のチョキンと貯金が掛かっています~~



杏「これスタッフクビにするべきでしょ」

肇「丁度高枝切り鋏もありますからね」

杏「いやクビ(物理)じゃなくて」

肇「ですね、ハロウィンに化けて出てきそうです」



フレデリカ『でも待って!もう一つ、みんなに見てもらいたい商品があるんだー』

文香『お次はどんなビックリアイテムが飛び出すんだいフレデリカ?』

フレデリカ『……お、おぉう……文香ちゃんの突然のボケは対応し辛い……』

文香『…………すみません、恥ずかしいので今のシーンはカットして下さい……』

フレデリカ『鋏だけに~?』

スタッフ『『『うぇーーいっ!!』』』

~~うぇーいww~~



杏「中学の修学旅行ってどこ行ったの?」

肇「私は東京でしたが……杏ちゃんは?」

杏「杏は京都。五月だったのにすっごく暑かったよほんと」

肇「そうでしょうね……京都は盆地で暑さも寒さも両極端ですから」




フレデリカ『そろそろ画面の前のみんなが飽きて『修学旅行どこ行った?』なーんて話し始めちゃってるんじゃないかなー?』

文香『ふふ……ピンポイントですね、フレデリカさん。そんな話をしているのは肇さんと杏さんくらいでしょう』

フレデリカ『そんな貴方にこれ!あの、えーっと……この、お弁当箱に入ってるギザギザした緑のやつ!』

文香『バラン……』

フレデリカ『もちろんこれも高品質なステンレス製!切れ味抜群、触れただけでお箸が切れちゃう!』

文香『お箸を切る必要は……』

フレデリカ『……お値段据え置き11520円!』

文香『ですから……』カタカタ

~~……お箸を切る必要は?~~



杏「下のテロップ文香ちゃんが入力してんのかよ」



フレデリカ『でもって更に!もっとお得な情報が!!』

文香『もう……十分です……』

フレデリカ『高枝切り鋏型防弾チョッキ!ハロウィンの暴動に巻き込まれても大丈夫!』

文香『チョッキ……チョキ……』

フレデリカ『更に更にー?高品質ステンレス製クリスマスツリー専用高枝切り鋏!』

文香『家にクリスマスツリーが無い方は盆栽やヤシの木でお楽しみ下さい……』

フレデリカ『そしてー?高品質ステンレス製高枝トラバサミ!』

文香『虎や泥棒を飼っている方は是非…………もう、いりません……』

フレデリカ『さらにー?!』

文香『もうやめて……』

フレデリカ『ステンレス製高枝切り鋏型江戸切子!』

文香『助けて……』

~~たすてけ……~~



杏「あと5分で番組終わるから頑張れ文香ちゃん」

肇「それでそれで……?気になるお値段は?!」

杏「助けて文香ちゃん」




フレデリカ『お値段据え置き!18円の740回払い!』

文香『微妙に値上がりしてますが……』

フレデリカ『今ならなんと送料別!更に消費税が付いてくる!』

文香『さもお得であるかのような……』

フレデリカ『お電話ー?』

フレデリカ・文香『『お待ちしております』』

~~やっと終わりました……~~


杏「漏れてる漏れてる」

肇「電話しないと……!」

杏「思い留まって肇ちゃん、確かに見てると欲しくなるけど絶対いらないから」




フレデリカ『これ欲しい?』

文香『結構です……』

フレデリカ『だよねー、誰が買うんだろ?』


杏「せめて放送終了してから言え!!!」



フレデリカ「ただいまー」

文香「ふぅ……疲れました……」

肇「お疲れ様です。お茶、淹れましょうか?」

文香「有難うございます……」

杏「……今思ったんだけどさ。今の通販ってハロウィンの仮装用だよね?」

フレデリカ「そーだよ?」

文香「今更、なにを当たり前の……」

杏「今放送しても遅くない?」

フレデリカ「…………」

肇「…………」

文香「…………」

杏「この話は切り上げよっか」

フレデリカ「高枝切り鋏だけに?」

肇・文香・杏「「「yeah!!!」」」



以上です
お付き合い、ありがとうございました

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