神「異能力者七人のバトルロワイヤルが見たいな・・・」 2【安価】 (265)

前作
神「異能力者七人のバトルロワイヤルが見たいな・・・」【安価】
神「異能力者七人のバトルロワイヤルが見たいな・・・」【安価】 - SSまとめ速報
(https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1522944180/)

前作を読んでいなくても理解できるように書きますが、よろしければ前作もお読みください。


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1542794366

天界



天使「どうしました神様」

神「暇じゃん」

天使「そうすか」

神「という訳でまた異能力者七人のバトルロワイヤルを企画したよ。これがルールだよ」パサッ

天使「またかよ」



【ルール】

・参加者は七人。全員、異能力を一つだけ持っている。
・参加者の持ち物は普段の衣服と、特殊レーダー(後述)のみ。
・フィールドは参加者以外の人間が存在しない無人の街。
・普通の街に有る物であれば、道具の調達が可能である。
・毎日午前十一時に、参加者は街にランダムに転送される。
・毎日午前十一時に、死んでいる参加者は生き返る。
・毎日午後零時に二つの宝石が、参加者七人の内二人に、ランダムに配布される。
・特殊レーダーには、宝石の位置、登録した参加者の位置が表示される。また、登録された参加者との通話も可能。
・特殊レーダーと宝石は、どんな能力を用いても、破壊、消失させる事はできない。
・午後四時に宝石を持っていた参加者は、宝石と引き換えに同じ個数のポイントを得る。
・最初に2ポイント獲得した参加者が勝者。願い事を一つ叶えられる。



天使「前回とは試合時間が変わってますね。6~19時から、11~16時に」

神様「ここからさらにルールを追加するぞ」



・能力には消費MPが設定されている。
・参加者は開始時にMPを100持っている。
・毎日午前十一時に、参加者はMPを50回復する。
・参加者はMPを最高150までしか保持できない。
・毎日午後二時に、何らかのイベントが発生する。



天使「……そして、これを私に見せたという事は?」

神「後は頼んだ」

天使「はぁーめんどくさ」


・・・・・・

・・・・・・


天使「ふぅ……フィールド、小道具、諸々の準備が終わったな。後は参加者とそいつの能力だけど……」

天使「こいつら(下1~下7)でいっか」



【キャラシート】

名前:

能力:
説明:
発動条件:
消費MP:
効果範囲:
持続時間:

性別:
年齢:
誕生日:/
職業:
性格:
外見:
特技:
身体能力:
一人称と口調:
好きな物:
嫌いな物:
生い立ち:
願い事:


キャラクターを安価してくださる時は上記のキャラシートを使っていただけると助かります。
(安価してくださったオリキャラについては極力キャラ崩壊しないように尽力しますが、能力などに不明瞭な箇所があった場合、>>1の解釈、もしくは安価による判断で進行します。ご了承ください)
また、【ルール】で分からない所があれば、いつでも質問してくださって構いません。

エムジーハゲ
能力無し 身体能力が高い身体エネルギーを貯め 光線を放てる

説明 スピード光速を超える 兵器では傷つかない防御力

消費MP無し

効果範囲 見えるところすべて

持続時間 体力の許す限り

職業ニート兼警備員

年齢50歳

口癖 てめえで考えやがれ クソッタレ

好きなもの戦闘

願い事無し

外見エムジ型の額と天を衝く髪の毛 ゴリゴリのマッチョ

生い立ちとある惑星からやってきた。

名前: 番井 蝶 (つがい ちょう) 

能力: どこでもドア
説明: どこでもドアを作り出す
発動条件:移動先を宣言する
消費MP: 20
効果範囲: ドアの出現場所・移動先共に視界の範囲内
持続時間: 3分あるいは誰かが通るまで

性別:女
年齢: 30
誕生日:12/7
職業:介護士
性格:普段はダウナーだがパニックになるとハイテンションになる
外見:整っているけど疲れている
特技:手先が器用
身体能力:体力と腕力が高め
一人称と口調:私 丁寧語
好きな物:酒・漫画・自由な時間
嫌いな物:老害
生い立ち:普通
願い事:金と時間

名前: ディーヴァ・ラムダ

能力: 空間湾曲
説明: 空間を捻じ曲げてワープしたり、攻撃を無効化するが、生体には影響を及ぼさない(胴体を千切ったりとかは出来ない)
発動条件: 能力を発動する場所の状態を理解していること(どんな地形かを知っているだけで良い)
別空間にストックした道具を発射することも出来る
消費MP: 距離や規模によって変動(最低5、最大で50)
効果範囲: MP×2M
持続時間: 任意に調節可能(5秒まで継続)

性別: 男性
年齢: 20代前半
誕生日:4/22
職業: 警官
性格: 聡明だが巻き込まれ体質
外見: 金髪ロングで、女性のようにも見える整った顔立ち
特技: パルクール
身体能力: 凡人とそう変わらないが、動体視力だけはずば抜けている
一人称と口調: 僕。誰にでも敬語を使う
好きな物: スイーツ
嫌いな物: 辛いもの
生い立ち: 幼少期から色々なことに巻き込まれてきたため、一歩離れたところから見るようになってしまった
嘗て自分を助けてくれた人のようになりたいと思い、警官になった
願い事:平和に過ごしたい

名前:リカ
能力:スタンボム
説明:破裂すると強烈な光と音を発する爆弾を作れる。攻撃能力はない(自身は眩しくないし、うるさくもない)
発動条件:投擲した後、接触すること
消費MP:15
効果範囲:20m
持続時間:2秒

性別:女の子
年齢:14
誕生日:1/23
職業:学生
性格:臆病
外見:茶色のポニーテール
特技:気配を消す
身体能力:逃げ足は早い
一人称と口調:わたし、女の子っぽい口調
好きな物:甘いもの
嫌いな物:暗闇
生い立ち:特に変わったことのない平穏な家庭で育った
願い事:妹の病気を治したい

>>4は除外させていただきます。

オリジナルでない既存のキャラクターや、能力があまりに強すぎてゲームバランスを著しく崩壊させるキャラクターであれば、>>1の判断で再安価とさせていただきます。

後出しの要項ですみません。ご了承ください。

残り四人のキャラクターを、引き続き下1~4に安価を取ります。

名前:犬木 心(いぬき こころ)

能力:衝動のピストル
説明:玩具のピストルの弾丸に当たった物を好きな方向へ1~8mの範囲で吹き飛ばせる
発動条件:ピストルで撃たれた弾丸に触れる(地面に落ちたものには効果がない)
消費MP:MPを25使う事で弾が6発入った玩具のピストルを出せる
効果範囲:ピストルの射程は30m
持続時間:ピストルは弾を撃ち切ると消滅し、弾が有る限りは消滅しない

性別:女
年齢:10
誕生日:11/22
職業:学生
性格:勝ち気な元気っ娘
外見:肩程で切り揃えられた黒髪 日焼けした年相応の体つき 服装は短パンタンクトップ
特技:足の早さ、石の水切り
身体能力:腕力はないが非常にすばしっこい
一人称と口調:オレ 口調は攻撃的
好きな物:スポーツ、いちご、カッコいいもの
嫌いな物:勉強、辛いもの、女の子らしくしろと言われること、名前で呼ばれる事
生い立ち:三人の兄がいる家庭で育ったので男勝りに
願い事:男の子になりたい、あと名前をカッコいいのにしたい

おけすまんなエムジーハゲの代わり

田中星児

能力時を操る

自分の心臓を止め、相手の時間を止める 自分の時間を早め高速で移動できる
時間を戻すことはできない

条件は特に無し

消費MPは15

持続時間は五分
範囲は三十メートル

性別は女

年齢は14歳

学生

勝ちにこだわる性格

特技瞬間記憶能力

病弱 心臓病 あと三年の命

俺 っ子


願い事自分の病を治す

だが能力せいで日に日に弱っていく









名前:アッシュ(本名 灰島太郎)

能力:サウンドスケープ
説明:音楽を演奏し、その曲に合った効果を周囲に及ぼす(例えば悲しげな曲なら相手の戦意を喪失させるなど)
発動条件:ギターを弾いて歌う
消費MP:20
効果範囲:演奏が聴こえる範囲
持続時間:演奏が終わるまで

性別:男
年齢:21
誕生日:6/ 9
職業:ヴィジュアル系アーティスト
性格:中二病(実際は純朴な青年)
外見:ヴィジュアル系らしい派手なメイクをしている
特技:作詞、作曲
身体能力:運動音痴だが意外と打たれ強い
一人称と口調:俺(オラ)、中二病的な口調
好きな物:漆黒、ポエム、自分たちのファン
嫌いな物:同郷の奴
生い立ち:ヴィジュアル系バンドでボーカル兼ギターを担当している青年。だが悲しいほど売れていない
常に中二病全開の口調で話すが実はド田舎の生まれで、焦ったりすると故郷の訛りが出てしまう
願い事:有名になりたい

【キャラシート】

名前: 加賀 七音 ( かが なおと )

能力: 燃えやすいインクで異能を塗布する

説明:
自分の周りに七色のインクが湧いて出てきて水溜りのようにインクが広がっていく。
1:インク溜まりから大人の身長ほど伸びるインクの塊でできた腕が複数体出てきて相手を襲う
2:このインクは非常に燃えやすく、インク溜まりに火の着いたマッチ一本投げれば瞬く間に燃え広がる。

※このインクは特殊で相手の自然放出系、異空間系を除く異能にだけ塗布することができる。
空気の壁、変身、ドッペルゲンガー、光学迷彩、影縫いなどの物体を認識できれば視野攪乱系だろうとインクの色を塗ってしまえばごまかせない。

発動条件:床、地面であるとこからインクが湧く 常に水が浸かってたり、次元空間が歪んである場所には発動不可
消費MP:30×インクの水溜りを追加  +5指定のインクの水溜りを増大
効果範囲: 3m(水溜り一個発動分)
持続時間: 7分(インク増大の場合2分追加)

性別: 男
年齢: 30
誕生日:11/ 9
職業: 大手企業の傘下にあたる商事会社の営業事務
性格:小心者で敵だろうと相手を気遣うほど穏やかさがある人。苦労系社会人と漂わせる言動が際立つ
外見: 着痩せ系スーツ姿で標準的な成人男性
特技: 目、息遣い 嘘を見抜く(中学の時そんな本を読んでよく遊んでた)
身体能力: おっさんだけどある程度は もう一度言うある程度は
一人称と口調:
好きな物: モンブラン
嫌いな物: 青系スムージー
生い立ち: 底辺の高校を出て Fラン大学卒して 一般の企業に就職 とゆうよくあるパティーン
願い事: 中学時代からやり直したい

>>17

一人称と口調は思いつかないので主さんの自由で

>>7  『番井 蝶』【どこでもドア】

>>9  『ディーヴァ・ラムダ』【空間湾曲】

>>10 『リカ』【スタンボム】

>>12 『犬木 心』【衝動のピストル】

>>13 『田中星児』【時間操作】

>>16 『アッシュ(灰島太郎)』【サウンドスケープ】

>>17 『加賀七音』【虹色インク】


安価ありがとうございました。上記の七名で進行します。

病気の妹が居るキャラクターが好きなので『リカ』の視点から物語を始めます。


・・・


天使「どうも天使です。『リカ』お前は選ばれた」

リカ「……えっ?」

リカ(気が付くと私はビル(?)の一室で座っていた)

リカ「ど、どこですか、ここ」

天使「お前。いや、お前達には今から殺し合いをしてもらう」

リカ「こ、殺し合いぃ!?」

天使「これがルールの紙、お前の能力について書かれた紙。そして特殊レーダーだ」

リカ「……っ!」

リカ(どうやら危ないことに巻き込まれている。それを悟った私はそこから一目散に逃げようとした)

天使「待て」スッ

リカ(……んだけど、それは失敗に終わった。天使を名乗る人が手をかざした瞬間、私の体は走り出そうとした態勢で硬直してしまった)

リカ(頭からつま先まで全く動かない。何これ。超能力……!?)

天使「全く……前回も思ったが、人間っていうのは本当に話が通じないな。まぁいいや。一回しか説明しないから、よく聞いとけよ」

天使「とある天界に、暇を持て余した一柱の神が居た。そしてあんまりに暇だったもんで、こんな催しを企画なされたのさ」ピラッ

リカ(さっき持ってた紙……。そこには『異能力者七人のバトルロワイヤル』という題の下に、細かいルールが箇条書きになっていた)

天使「これの『参加者』にお前は選ばれたのさ。リカ。そしてここは『参加者』と案内役の私しかいない無人の街だ」

天使「つまりお前はコロッセオの中の剣闘士。リングの中のプロレスラー。切り株の上の昆虫って事だ。ここまでに何か質問は?」スッ

リカ「あ、あの……私、辞退します!喧嘩とか、得意じゃないし……。だから、お家に帰して……」

天使「駄目だ。それはできない」

リカ「ど、どうして!」

天使「代わりの参加者を探すのがめんどくさい」

リカ「えぇ……」

天使「まぁ、そういうものだと思って受け入れろ。何、案ずるな。ルールを見れば分かると思うが、このバトルロワイヤルで死亡する人間は出ない。最終的には全員生き返るんだからな」

リカ「最終的には。って、一旦死ぬことはあるってこと……?」ペラッ

リカ(ルールを読んでみると、『・毎日午前十一時に、死んでいる参加者は生き返る。』と書いてあった)

リカ「……ん!?」ピクッ

天使「どうした?」

リカ「こっ、ここの『・勝者は願い事を一つ叶えられる。』……って、本当!?」

天使「あぁ。神と天使は嘘をつかない」

リカ「じゃあ、私の妹の病気を治すって……できる?」

天使「もちろん」

リカ「……!」

天使「……どうやら、やる気になってくれたみたいで嬉しいよ」

リカ(負けられない理由ができちゃった……。なんとしても、このバトルロワイヤルで優勝しなきゃ!)グッ

天使「そいじゃ、自分の異能力の詳細をちゃんと読んどけよ」ピラッ

リカ「あっ、はい!」

リカ(戦うのはあんまり得意じゃないけど、神様がくれた能力次第では、私でも……)


能力:スタンボム
説明:破裂すると強烈な光と音を発する爆弾を作れる。攻撃能力はない(自身は眩しくないし、うるさくもない)


リカ「よ、弱くないですか……?」

天使「あ?」

リカ「だって、眩しくてうるさいだけでしょ!?こんなの……」

天使「じゃあなんだ?『念じた相手を内側から爆発させる能力』とかの方が良かったか?」

リカ「いっ!?いや、そこまでの物じゃなくても、その、相手を眠らせちゃうとか、そういうの……」

天使「ま、何にせよ能力の変更は認められない。それで頑張るこったな」

リカ「そんなぁ……」

天使「……ん。他の参加者への説明を終わったみたいだ。はい、それじゃスタート!」パンッ

リカ「え」

天使「また何か質問があれば呼んでくれ。それまでは私は消える」スウゥ

リカ「え、えー!?」

リカ(配られたレーダーを開くと、そこには時刻が表示されていた。『11:00:19』……は、始まってしまった)

リカ「どうしよう……このまま隠れててもどうにもならないだろうし……でも、私の能力じゃ……」

リカ「……そうだ。協力してくれる人を探そう。私の能力は誰かのサポートに向いてる」

リカ「誰か優しい人を見つけて、事情を話して、その人に宝石を譲って貰おう!」

リカ「そうと決まれば……っ!」タッタッ


ビル街


リカ「誰か……、誰か居ないかな……」

リカ「あっ、居た!すいませーん!ちょっといいですかー!?」ブンブン

下1「……」



1.くたびれ三十代『番井蝶』
2.中性金髪ロング『ディーヴァ・ラムダ』
4.男勝女子小学生『犬木心』
5.余命三年心臓病『田中星児』
6.ボーカル中二病『アッシュ』
7.くたびれ三十代『加賀七音』

『リカ』が出会ったのは誰!?1~7番の中から選んでね!(リカの3番は除外)下1だよ!

リカ「すいませーん!」ブンブン

ラムダ「!」

ラムダ(他の『参加者』!)バッ

リカ「ちょっといいですかー!?」

ラムダ「そこで止まってください!」

リカ「っ!?」ピタッ

ラムダ「……」

リカ「えっと……え……?」

リカ(警戒、されてる?)

ラムダ(今、彼女との距離は大体20mといった所でしょうか……ならばMP10消費の『空間湾曲』で、一瞬で彼女の眼前まで瞬間移動できる)

ラムダ(虚を突けば、一方的に彼女を殺せるでしょう……しかし、彼女もまた異能を持つ者。こうしてのこのこ僕に姿を見せたからには、何らかの策があるはず)

ラムダ(……ここは、距離を保ったまま少し様子を見ますか)

ラムダ「……何か用ですかー!?」

リカ「わっ、私と!協力しませんかー!」

ラムダ(……協力……?)

リカ「あの、私の能力、『スタンボム』って言って、あんまり強くなくて、それでそのー……ああもう、この紙見せちゃった方が早いか。天使さん」

天使「んー……?なんだ。早速御用か」

リカ「あの人の所に、この紙持って行ってくれませんか?私は警戒されてるので……」

天使「あまり天使である私が介入するのは好ましくないんだが……まぁ、これぐらいはいいか」フヨフヨ

天使「ほいよ。ディーヴァ・ラムダ。これがリカの能力だ」

ラムダ「『スタンボム』……これは本物ですか?」

天使「ああ。神と天使は嘘をつかない」

ラムダ(『スタンボム』……爆発の持続時間は2秒。その間、自分だけが自由に動けると考えればかなり強い能力ですね)

ラムダ(しかし。僕の不意打ちに対応できる能力ではなさそうですね)

ラムダ(これを弱いと言い、更に僕にバラしたということは……彼女)

ラムダ(……バカでは?)

リカ「私一人じゃ勝てないので、協力しましょー!」

ラムダ(バトルロワイヤルなんですよ?もし僕が好戦的な人間だったらどうするつもりだったんでしょう。情報の重要さを全く分かっていない)

ラムダ(……彼女を一人にするのは、僕が憧れた警官の姿に反しますね)

ラムダ「ディーヴァ・ラムダ!」

リカ「え?」

ラムダ「僕の名前です。こっちに来てください。あなたの提案に乗ることにしました」

リカ「は、はい!」タッタッ

リカ(優しい人で良かった!)

ラムダ(こういう人を見過ごせないから、巻き込まれ体質なんですよね……)トホホ



一方その頃、『下1』と『下2』が出会っていた!

1.くたびれ三十代『番井蝶』
4.男勝女子小学生『犬木心』
5.余命三年心臓病『田中星児』
6.ボーカル中二病『アッシュ』
7.くたびれ三十代『加賀七音』

誰と誰が出会った!?1番、もしくは4~7番から選んでね!下1と下2の二人に安価を取るよ!
(安価が被った場合、誰も出会わなかった事にするよ!)

商店街


七音「よし、マッチ確保……」スッ

七音「さぁ、他に必要な物は……」ガサゴソ

蝶「……あ」バッタリ

七音「あっ」バッタリ

七音(ほ、他の参加者!出会ってしまった……!)

七音(どうする?どうする……いや、殺す……しかないだろう。バトルロワイヤルなのだから)

七音(おそらく、私の能力の効果範囲にあれば『燃焼インク』の腕で相手を絞め殺すことはできる。ましてや目の前の参加者は女性だ)

七音(とはいえ……気は乗らないな。生き返るとはいえ、人を殺すなんて、どうにも)

七音(更に言えば、彼女の能力によって返り討ちに合わないとも限らない……ここは、距離を保ったまま様子を見るとするか)

蝶(……相手は、近付いてこない。様子を見ているのか、戦闘向きの能力じゃないのか、既に能力が発動しているのか……)

蝶(まぁ、なんでもいいわ。私のやることは変わらない)

蝶(殺してしまいましょう)

蝶「10m前方!」ボワン

七音「!?」

七音(彼女が何かの距離を宣言すると、横にピンク色の扉が現れた。……あの形状。もしかして『どこでもドア』)

七音(ならば、さっきの宣言は移動先かっ……!)

蝶「よっ」ゴッ

七音「かはっ……!」

七音(真後ろから拳が!まずい、倒れてしまう……!)ヨロッ

蝶「100m上空」ボワン

七音(次は、私の目の前に扉が現れた。……100m上空、だと?駄目だ!この扉だけはくぐってはならない!どうにか態勢を直して……)

蝶「もう、一発!」ゴスッ

七音(能力を使う隙が、ない……!)ガチャッ

蝶「さようなら」バタンッ

七音(遥か上空に『閉め出される』)

七音(豆粒のような建物、薄ら寒い浮遊感。そこで、私の意識は途切れた)

ベシャアッ



蝶「わっ、すごい音……」

蝶(目の前で、放射線状に血が広がる。念を入れて100mにしてみたけれど、もう少し低い位置でも大丈夫そうね)

蝶「……あのジジババ共も、こんな風に殺せたらいいのに……」

蝶(いや、こういう考えはもうやめましょう。あの忌々しい時間はもう忘れて、私だけの時間を手に入れるのよ。このバトルロワイヤルで)

蝶「天使さん。死体にも宝石は配られるのよね?」

天使「あぁ、もう原型は保ってないが……この血溜まりも、抽選対象だ」

蝶「良かったわ」

蝶(ここに居れば、宝石配りで私が当選する確率は実質2/7……他の参加者の二倍)

蝶(一個でも手に入れば能力を使って逃げてればいいし、手に入らなくても、さっきみたいに殺して奪えばいいでしょう)

蝶「あぁー……ジジババの参加者とか居ないかなぁ……」



加賀七音:死亡

現状



1.番井蝶

ポイント:0
M  P:60
登  録:なし
持 ち 物:なし

商店街で宝石配りを待っている。



2.ディーヴァ・ラムダ

ポイント:0
M  P:100
登  録:『リカ』
持 ち 物:なし



3.リカ

ポイント:0
M  P:100
登  録:『ラムダ』
持 ち 物:なし



4.犬木心

ポイント:0
M  P:100
登  録:なし
持 ち 物:なし



5.田中星児

ポイント:0
M  P:100
登  録:なし
持 ち 物:なし



6.アッシュ

ポイント:0
M  P:100
登  録:なし
持 ち 物:なし



7.加賀七音(死亡)

ポイント:0
M  P:100
登  録:なし
持 ち 物:マッチ



そんなこんなでついに午前七時!『宝石配り』の時間に!宝石を受け取ったのは『下1』と『下2』だった!

誰と誰だった!?1~7番から選んでね!下1と下2の二人に安価を取るよ!
(安価が被った場合、一人が二つの宝石を受け取った事にするよ!)

安価
1と5だったら
番井蝶と田中星児じゃ……

>>41

間違えました。本当にすいません……。

>>35の時点からやり直します。展開が遅くてすいません。
↓から訂正分を投下します。

商店街



蝶「あっ」バッタリ

星児「あっ」バッタリ

星児(俺以外の参加者!殺す!)

星児「『時間操作・加速』!」ビュンッ

蝶(……向かって来たわね。しかもかなりのスピード)

蝶「見るなり襲いかかって来るなんて……野蛮ねぇ」

蝶(私も同じようなこと考えてたから、何も言えないけど)

蝶(さて、あの高スピードが相手じゃ『あの手』は使えないわね。となると……)

蝶「前方、ビル屋上!」ボワン

星児(っ!ピンクの扉!?あの形状、もしかしてドラえもんの……!?)

蝶「さようなら」ガチャッバタンッ

星児「待てぇっ!」スカッ

星児(奴がドアをくぐったら消えた!)

星児「くそっ……確か、ドア出す前に『ビル屋上』って宣言してたな……もしかして移動先か?」

星児(それなら『加速』の効果が切れる前に……)バッ

星児「……どこのビルだよ!いっぱいあるぞ!」

星児(このまま効果が切れるまでしらみ潰しにビルを回るか……?いや、俺がこうしてる間にまた別の所へ女が移動してる場合もある……)

星児(そうなれば、ただ俺の心臓に負担がかかるだけ……)

星児「……『加速終了』」シュウウ

星児「……うっ、はぁっはぁっ、はっ」ガクッ

星児(ちょっと走っただけでこれか……やっぱ、そう何回も使える能力じゃねぇな……ただでさえ、一回分無駄にしちまったわけだし)

ビル屋上



蝶「あの子……普通に歩きだしたわね。能力が解除された……?」

蝶(一度の発動の持続時間は十数秒……って考えるのが自然かしら)

蝶「あっ、路地裏の方に……」

蝶(私の能力は、私の視界が効果範囲。見えないところには行けない。もう少し商店街でうろちょろしてくれるなら『あの手』で殺すことも考えたけど……まぁ、いいわ)

蝶「宝石配りの時間まで、この場所で街を眺めてましょう」

現状



1.番井蝶

ポイント:0
M  P:80
登  録:なし
持 ち 物:なし



2.ディーヴァ・ラムダ

ポイント:0
M  P:100
登  録:『リカ』
持 ち 物:なし



3.リカ

ポイント:0
M  P:100
登  録:『ラムダ』
持 ち 物:なし



4.犬木心

ポイント:0
M  P:100
登  録:なし
持 ち 物:なし



5.田中星児

ポイント:0
M  P:85
登  録:なし
持 ち 物:なし



6.アッシュ

ポイント:0
M  P:100
登  録:なし
持 ち 物:なし



7.加賀七音

ポイント:0
M  P:100
登  録:なし
持 ち 物:なし



そんなこんなでついに午前七時!『宝石配り』の時間に!宝石を受け取ったのは『下1』と『下2』だった!

誰と誰だった!?1~7番から選んでね!下1と下2の二人に安価を取るよ!
(安価が被った場合、一人が二つの宝石を受け取った事にするよ!)

神が見放した楽園(公園)



天使「アッシュ。これを受け取れ」スッ

アッシュ「……ふっ、この輝き。『気まぐれな闇の雨(宝石配り)』にて『魔黒晶(宝石)』が選んだのはこの俺であったか……!」シュバッ

天使「お前はダントツで話が通じないな」

アッシュ「……ふっ、これで輝きに導かれ、他の『漆黒の宴に呼ばれた堕天使(参加者)』もこの『神が見放した楽園(公園)』に集まることだろう……」シュバッ

アッシュ「……ふっ、だがそれでいい。俺の『終焉が刻む詩(サウンドスケープ)』で返り討ちにしてくれる……!」シュバッ

アッシュ「……ふっ、この『漆黒の宴(バトルロワイヤル)』に勝ち、願いを叶えるのはこの俺だ……!きっと『詩紡ぎが交わる特異点(バンド)』の『星々の福音(人気)』を増やしてみせる!」シュバッ

アッシュ「……ふっ、ふふふっ、ふははははは!」シュバババババ

天使「うるっせぇ」

ビル街



天使「ほい、リカ」ポイッ

リカ「わっ、これって……」パシッ

天使「ああ、宝石だ。それを保持したまま4時を迎えればポイントに換算される」

リカ「や、やった……!」

ラムダ「僕が持っておきましょう」

リカ「あ、はい。分かりました」スッ

ラムダ「……理由は聞かないのですか?」

リカ「え?……だってラムダさんの方が強いし、ラムダさんが持ってた方がいいんじゃないかなって」

ラムダ(……不用心にも程がある)

ラムダ「リカさん……あなたに言いたいことが三つあります。一つは、あなたは油断をし過ぎです」

ラムダ「これはバトルロワイヤル。自分以外の全員が敵なんですよ?なのにタダで自分の能力の詳細を明かしたり、最も重要な宝石をあまり考えもせず渡したり……」

リカ「で、でも、ラムダさんは味方だし……」

ラムダ「僕があなたを一方的に利用するつもりだったら、どうするんです?」

リカ「わざわざ注意してくれるってことは、そうじゃないってことですよね?」

ラムダ「最初に出会ったのが僕じゃなかったらあなた死んでますよ」

リカ「……出会ったのがラムダさんで良かったぁ」

ラムダ(調子狂いますね……)

ラムダ「二つ目は、チームを組んだからには、僕もあなたを戦力として当てにするということです」

リカ「えっ、でも、私の能力は……」

ラムダ「『スタンボム』。周囲の人間の視覚と聴覚を2秒間封じ、あなただけがその2秒間を自由に動ける……」

ラムダ「あなたは僕の方が強いと言いましたが、僕に言わせれば、あなたのそれも中々の強能力です」

リカ「で、でも私がいくら自由に動けても、私のパンチなんかじゃ、誰も倒せないだろうし……」

ラムダ「……ナイフでも使えば、致命傷を与えるくらいはできるでしょう」

リカ「ナ、ナイフって、それで刺す。ってことですか?」

ラムダ「……それ以外に何か?」

リカ「私、そんなこと……」

ラムダ「もちろん。体格的にも僕が攻撃した方が確実でしょうが、能力的にはあなたが攻撃する機会の方が多いはずです。あなたの能力が発動する時、同時に僕も無力化されてしまうのですから」

リカ「うぅ……でも……」

ラムダ「確かに、気は乗らないでしょうが……あなたにも叶えたい願いがあるのでしょう?」

リカ「願い……!」

リカ「そうですよね。病気の妹のためにも、私が頑張らなきゃ!」

ラムダ(病気の妹……ベタな境遇ですね。まぁ、覚悟が決まったのならそれでいいですけど)

リカ「そういえば、ラムダさんの願いはなんなんですか?」

ラムダ「僕は……平和に過ごしたいんです」

リカ「平和?」

ラムダ「僕はどうやら、いわゆる『巻き込まれ体質』という奴らしくて……今まで、色んな事件に巻き込まれて来ました。それで、少し疲れちゃったんです」

リカ(ラムダさんの中性的な横顔に、似つかわしくない厳しい相貌が浮かぶ。きっと私では想像もできない苦難に見舞われて来たのでしょう……)

リカ「その、すいません。巻き込んでしまって……」

ラムダ「……いいんですよ。これが最後になる予定ですから」

ラムダ「話がズレましたね。三つ目は、心構えの話ではなく、僕らの作戦です」

ラムダ「『スタンボム』を2つ出して、僕に1つください」

リカ「はい」ポンッポンッスッ

ラムダ(また理由も聞かずに従順に……まぁ、それはいいとして……)スッ

ラムダ「お互い『スタンボム』を一つずつ常備するようにしましょう。いざという時は、私もこれを使います」

リカ「はい……えへへ」

ラムダ「……どうしました?」

リカ「いや、最初はもっと強い能力が良かったなぁと思ってましたけど、こうやって誰かと分け合える能力で良かったなぁ。って思って」

ラムダ「……確かに、そうですね」

ラムダ(他にもアイテムを具現化する能力者が居たら……同じことをしてるかもしれない。用心しましょう)

交差点



心「『衝動のピストル』!『衝動のピストル』!『衝動のピストル』!『衝動のピストル』!」ズギャンズギャンズギャンズギャン

天使(ピストルを四つ具現化させたか……)

天使「……おい。お前もうMP0だぞ。いいのか」

心「いーんだよ。先に出しといた方がいざって時に役立つだろ?」

心「それに、他の奴らに『敵のMPを奪う』って能力の奴が居るかもしれねーし、そん時にMPが余ってたら損じゃん」

天使「ほーん。意外と考えてんだな」

天使(まぁ、そんな能力の奴は居ないんだが)

心「それにさぁ!腰に二丁!両手に二丁!ガンマン!カッコいい!」キラキラ

天使(やっぱバカかな)

心「さぁ!もっとカッコいい俺になるために、他の奴ぶっ倒して、宝石ゲットだ!えっと、どっちの宝石が近いかな」レーダーパカッ

現状



1.番井蝶

ポイント:0
M  P:80
登  録:なし
持 ち 物:なし

ビル屋上で様子見。



2.ディーヴァ・ラムダ

ポイント:0
M  P:100
登  録:『リカ』
持 ち 物:スタンボム、ナイフ、宝石

リカと作戦会議中。



3.リカ

ポイント:0
M  P:70
登  録:『ラムダ』
持 ち 物:スタンボム、ナイフ

ラムダと作戦会議中。



4.犬木心

ポイント:0
M  P:0
登  録:なし
持 ち 物:衝動のピストル×4(弾丸6×4発)

宝石を求め『下1』の所へ。



5.田中星児

ポイント:0
M  P:85
登  録:なし
持 ち 物:なし

路地裏をうろうろ。



6.アッシュ

ポイント:0
M  P:100
登  録:なし
持 ち 物:宝石

公園でうるさい。



7.加賀七音

ポイント:0
M  P:100
登  録:なし
持 ち 物:なし

どこかでうろうろ。



そして犬木心は宝石を求め『下1』の所へ!

2、6番のどっちかから選んでね!
(2番のラムダを選ぶと、一緒に居るリカとも遭遇するよ!)

公園



心「宝石持ってんのはお前だな!」ザッ

アッシュ「……ふっ、来たか」シュバッ

心「お前を倒して宝石を奪って、もう一個の宝石も取りに行く!」チャッ

アッシュ「……ふっ、その構えた二丁のピストル。詳細は分からないが、どうやら本気で俺を倒すつもりらしいな……?」

アッシュ「……ふっ、ならばいいだろう!俺の名はアッシュ!『詩紡ぎが交わる特異点』のギターボーカルのアッシュだ!俺の『終焉が……」

心「ちょっと待った」

アッシュ「ん?」

心「お前の名前……『アッシュ』っていうのか?」

アッシュ「あ、ああ。そうだが?」

アッシュ(本名は灰島太郎だけど)

心「カッコイイ……!」キラキラ

アッシュ「!?」

心「いいなー!カッコイイなー!」

アッシュ「……ふっ、ふふふっ、そうだろうそうだろう」ドヤァ

アッシュ(名前褒められたのなんていつぶりだろうか。気分良いわぁ)

心「なぁなぁ、アッシュさん!俺の名前も考えてくれよ!」

アッシュ「え?」

心「俺、犬木心って言うんだけどさー。『心』って名前女みてーでダセーじゃん!だからこのバトルロワイヤルに勝って、名前と性別を変えようと思うんだ!」

アッシュ(性別変えるって、すごいこと思いつくなこの女の子)

心「なぁなぁ!考えてくれよ!」ピョコピョコ

アッシュ「うーん……」

アッシュ(俺の『アッシュ』は苗字の『灰』から取ったから……この子は『犬』……)

アッシュ「……『ケルベロス』とか?」

心「いいな!カッコイイ!それいただき!」

アッシュ「……ふっ、俺のセンスを舐めるなよ……!」

心「よーし、じゃあアッシュさんはもう用済みだ!ぶっ倒す!」チャッ

アッシュ「切り替え早っ!」

アッシュ「……くっ、発動!『終焉が刻む詩』!」ジャカジャンッ

アッシュ「『Ah~悲しい~悲しいよ~Oh~♪』」ジャカジャカジャーンッ

心「悲じい~」ガクッ

アッシュ(よし!戦意を喪失させることに成功したぞ!)

心「悲じいよ~」ポロポロ

アッシュ(……!観客が(一人だけど)涙を流している!俺の演奏で!)

アッシュ(試しに熱い曲にしてみると……?)ギュイーンッ

心「うおおおおっ!何か元気出てきたぁ!」ガバッ

アッシュ(観客も最高に燃える!)

心「ぶっ倒す!」シャキッ

アッシュ(おっと)ジャカジャンッ

心「悲じい~」ガクッ

アッシュ(……観客の魂が揺さぶられている!俺の演奏で!俺の歌で!これこそが俺の望んだ理想のライブ!)

アッシュ(……ふっ!気分が乗ってきた!このままぶっ通しで歌い続けてやるぜ!)

アッシュ「『めちゃくちゃ悲しい~♪』」ジャカジャカジャーンッ

心「めぢゃぐぢゃ悲じい~」ポロポロ

ビル街



リカ「もう一個の宝石の反応は、動きませんね……」

ラムダ「ふむ……そこから動くつもりがないのか、交戦中で動けないのか」

リカ「どうしますか?」

ラムダ「この段階で奪いに行くのはリスクが多いでしょう。宝石持ち同士が同じ場所に行けば他の参加者もそこに行く」

ラムダ「まだバトルロワイヤルは始まったばかり。多くの人数が残った状態でそうなるのは避けたいですね。情報がないまま乱戦になると、何がどうなるか分からないですから」

リカ「なるほど」

ラムダ「宝石を持っている僕らは追われる身。今はここで待機して、敵襲に備えましょう」

リカ「分かりました!」



下1「……見つけた」



1.『番井蝶』
5.『田中星児』
7.『加賀七音』

ラムダ・リカチームの前に現れた参加者は!?1、5、7番の中から選んでね!下1だよ!
(公園でライブ中の『アッシュ』『犬木心』は除外)

これが終わったら数ヵ月後に

アルティメット寿司じゃんけん【安価】
アルティメット寿司じゃんけん【安価】 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1492523010/)

↑のシリーズの4をやろうと思っています。
それが終わったらこの異能七人バトロワの3をやろうと思っています。
二つのシリーズを三、四ヶ月ごとに交互にやって行く予定です。
また見かけたら気軽に安価していってくださいね。

↓から本編を再開します。

ビル街



七音「見つけた……が」コソコソ



ラムダ「そっちはどうですか」

リカ「い、異常ナシです!」キョロキョロ



七音「二人居る……!?」

七音(何らかの事情でああするしかないって感じじゃない……協力し合ってるのか……)

七音(まずいな……私の能力は、相手が範囲に居る状態で発動しなければ意味がない。つまり半径3m)

七音(そこまで近付ければ勝てるのだが……二人でチームを組んでる奴ら相手に、そんなことができるか……?)

七音(いや、相手の能力次第では近付いても勝てないということすらあり得る。『燃焼インク』の腕以上のパワーを持つ能力とか)

七音(私の能力が小回りが効かない。少なくとも二つの能力を同時に相手取れるような万能ではない)

七音(どうする?ここは一旦退いて、私も協力相手を探してみるか?2対2なら……)

七音(駄目だ。これはバトルロワイヤル。おそらく彼女らのようにチームが成立している方が稀有だろう)

七音(……それに、私のような人間を信用してくれる人間が居るとは思えない)

七音(ここは物陰から、彼女らの様子を見るとしよう。宝石を持っているのは彼女らなのだし、他の参加者もここに来るはず)

七音(そこで他の参加者とのバトルが始まれば、その参加者も含めた彼女らの能力が分かるかもしれない)

七音(そして彼女らのMPが削れて、私が有利に立てると確信するまで……待機だ)コソコソ



リカ「……ん?」チラッ

ラムダ「どうかしましたか?」

リカ「何か、そこに人影が見えたような気が……あ、いや、やっぱり気のせいかも」

ラムダ「……どちらにせよ、警戒を怠らないように」

リカ「はい!」

公園



アッシュ「『Ah~悲しい~悲しいよ~Oh~♪』」ジャカジャカジャーンッ

心「悲じい~」ポロポロ

アッシュ「はぁっ……はぁっ……」ジャカ…ジャンッ

アッシュ(……疲れた!)

アッシュ(あれから何時間連続で弾いてるんだ!?こんな長くぶっ通しで弾いたことなんてないぞ!?っていうかライブでこんだけ弾かせてもらえたことないわクソが!)

アッシュ(あぁっ、もう駄目だ!手首がっ……!)ジャン…

心「悲……おお?悲しくない!」シャキッ

アッシュ(能力が切れた!)

心「よーし!ぶっ倒す!」チャッ

アッシュ「まっ、待ってけろ!」バッ

心「……けろ?」

アッシュ「あっ、いや、待ってくれ!その、俺と協力しないか!」

心「協力ぅ?」

アッシュ「俺の能力『サウンドスケープ』は、曲に応じて相手の感情を操る最強の能力!実際に、お前は俺に演奏され続けていたら悲しさで身動きが取れなかったはずだ!」

心「確かに……ん?じゃあ何でギター弾くのやめたんだよ」

アッシュ「そう!実はこの『サウンドスケープ』には弱点がある!それは演奏する時間に比例してMPを消費すること!」

アッシュ(本当は時間じゃなくて、回数ごとにMPを消費するんだが……隙があるとバレてはいけない)

心「じゃあ、俺はお前のMPが切れるまで待ってれば……」

アッシュ「否!それはあり得ない!ここから4時までフルで歌っても、俺のMPは尽きない!しかし、大幅に消費してしまうことは確か!」

アッシュ「俺の能力は防衛に向いてはいても、誰かの宝石を奪うのには向いてない!宝石を取る時は必然的に演奏を止めねばならず、その隙を至近距離で見せることになるからだ!」

アッシュ「つまり、このバトルロワイヤルは明日まで続く!俺は明日までMPを残していたい!」

アッシュ「そこで俺は提案する!少女よ!俺と協力しないか!」

心「協力ぅ~?お前の能力じゃ俺も巻き込んじまうだろうが」

アッシュ「いや……俺の演奏テクなら音量を調整して、状況に応じて効果範囲を変えることができる」ジャン

心「!」

アッシュ「そして君のピストル!どういう能力かは知らないが、おそらく遠距離からの攻撃が可能なのだろう!?」

アッシュ「俺の能力で敵を無力化し、その範囲外から君が撃ち抜く!俺はMPの消費を最小限に抑え、君はより確実に敵を制する!」

アッシュ「どうだ!?ここでさっきまでのように時間を浪費しているより、よっぽど良いと思うのだが!?」

心「んー……」ポクポク

アッシュ(頼む……!)

心「良いぜ!乗った!チーム結成だ!」ビシッ

アッシュ「……ふっ、ふふふっ、ふぅ……」

アッシュ(良かったぁ……)ホッ

心「よし!そうと決まったらもう一個の宝石ん所行こうぜ!」

アッシュ「えっ、いやいきなり行くのはリスクが……」

心「あぁ?なんだよ、協力してくれるんじゃねーのかよ」ギロッ

アッシュ「い、いや!良かろう。行くぞ!」シュバッ

アッシュ(なるようになれ!)

ビル街



リカ「ラ、ラムダさん!もう一個の宝石の反応が、すぐそこまで……!」

ラムダ「……そのままレーダーから目を離さないで、動きがあったらすぐに教えてください」

リカ「は、はい……!」

ラムダ(向こうから来るとは……さっきまで微動だにしなかったのに……何があったか気になりますが、とにかく備えなければ)

ラムダ(二つの宝石が同じ場所に集まっている……おそらく他の参加者も何人かここの近くまで来ているだろう。危惧していた乱戦が始まる……)



アッシュ「この先に敵が……」

犬木「よし。やってくれ」

アッシュ「いや、もう少し様子を見てからでも……」

犬木「は?」

アッシュ「いや、なんでもない」

アッシュ「じゃあ、行くぞ!『終焉が刻む詩(サウンドスケープ)』!」ジャカジャンッ

アッシュ「『Ah~悲しい~悲しいよ~Oh~♪』」ジャカジャカジャーンッ

犬木「悲じい~」ポロポロ

アッシュ(まずは音量MAX!そこから演奏しながら歩いて、敵との距離を縮める)スタスタ

リカ「悲じい~」ポロポロ

ラムダ「死にたい……」ズーン

アッシュ(二人居る!?……まぁ、問題ない。俺の能力がきちんと作用していれば、何人居ようが!)

アッシュ(そして敵の数m前まで来た所で、音量を下げる!効果範囲10m!)ジャン……

アッシュ(さぁ少女よ!お前のピストルの射程は30mなんだろう!?条件は揃った!姿を現し、この無抵抗の二人を撃ち抜くのだ!)



心「悲……しくない!アッシュが音量を下げた!自由に動ける!」

心「後は、敵を狙える位置に移動して……」スッ

下1「やっと一人になった……」

心「!」



1.『番井蝶』
5.『田中星児』
7.『加賀七音』

一人になった犬木心の前に現れた参加者は!?1、5、7番の中から選んでね!下1だよ!

蝶「やっと一人になった……」ボワン

心(……っ後ろ!)バッ

蝶「遅い」バシッ

心(腕が弾かれた!衝撃で両手のピストルが……っ!)カランカラン

蝶「ふっ」グイッ

心「かはっ」ドサッ

心(……まずい!マウントを取られた!腕の力が強くて、腰のピストルまで手が動かせない……!)

蝶「よーし……これで抵抗できないわね」

心「くっそ、離せ!」ジタバタ

蝶「……この銃は何?普通の銃?それとも特別な異能力の銃?」

心「……言わない!」

蝶「ふーん……じゃあ、あなたで試してみましょうかしら」カチッ

心「やっ、やめっ」

蝶「ばーん」ドンッ

心「……なーんてなっ!」ドフッ

蝶「なっ……!?」

蝶(弾丸が少女の頭に着弾した瞬間、少女の体が私の拘束から『吹き飛ばされた』)

蝶「……なるほど。そういう能力。ね」スッ

心「へへっ!俺の演技にまんまと騙されやがって!間抜けなおばさんだぜ!」チャッ

蝶「おばさっ……まぁ、何とでも言うがいいわ。次は使い方を間違えない」チャッ

心(さぁ、おばさんの拘束から抜け出したはいいけど『衝動のピストル』を二丁奪われちまった。こんなことなら必要な分だけ作っときゃよかった)

心(しかもおばさんの能力はまだよく分かってねぇ。いきなり後ろに出てきたから、ワープ系かとは思うんだが……)

心(どうする……!?ピストルを奪われたからには、俺がおばさんを倒すのは厳しい……!)

蝶「……ねぇ。あなた、名前は?」

心「……犬木」

蝶「そう。犬木ちゃん。私のお願い、聞いてくれない?」

心「ちゃんは付けんな……お願いって、何だよ」

蝶「あのさっきまでなたと一緒に居たV系の男。あいつを裏切って欲しいの」

心「……はぁ!?」

蝶「あいつの能力……喰らって見て分かったけど『演奏を聞いている人間の自由を奪う能力』でしょう?倒すとしたら、音量を下げている今しかない。違う?」

心「……あんたがやりゃあいいだろ。俺から奪ったピストルで」

蝶「それもいいんだけど、そのためにはあなたを殺して、しかも自分で弾丸を使わないといけないしね……MPもこの銃も、どっちも温存したいのよ」

心(元はあたしのピストルだろーが!)

蝶「それで、お願い聞いてくれる?聞いてくれないなら、あなたを殺すわ」

心「……嫌だね。一度組んだからには、俺はあいつを裏切らない。そんなダセーこと、絶対しない!」

蝶「OK。殺すわ」チャッ

蝶「上空100m!」ボワン

心(後ろにさっきと同じ音!)クルッ

心(何だこれ……『どこでもドア』!?)

蝶「さよなら」ドンッ

心「うわぁっ!」ドフッ

心(今のは俺のピストルだ!ドアの方向に『吹き飛ばされる』!)ガチャッ

心(ドアの先は、空だった。『上空100m』……これがあのおばさんの能力か!)バタンッ

心(駄目だ!ドアが閉まって消えた!私の能力じゃ戻れない!無事に着地できない!)

心(……っ)



ベシャアッ



蝶「……よし。上手くいったわね」

蝶「さて、この子が持ってたピストルを回収して……あら?」ベチャベチャ

蝶(ピストルがない……私に利用されまいと、空中で全部撃ち尽くしたのかしら?)

蝶「まぁ、いいわ。まだ10発あるし」チャッ



犬木心:死亡

アッシュ「『Ah~悲しい~悲しいよ~Oh~♪』」ジャカジャカジャーンッ

リカ「悲じい~」ポロポロ

ラムダ「死にたい……」ズーン

アッシュ(……遅い!弾丸はまだか!?もしかして、標的が二人居るからどっちに撃つか決めあぐねてるのか!?)

アッシュ(さっきまでぶっ通しで演奏してたから手首が……!もうそろそろヤバい!早くしてくれ!)


ドンッ


アッシュ(銃声!やっと来たか……)

アッシュ「えっ」ドフッ

アッシュ(衝撃と共に、俺の体が空中に浮かぶ。おそらく、地上から8m)

アッシュ「えっ、ええっ!?何でオラなん!?」

蝶「……よし」

アッシュ(あの女!犬木心じゃない!どうして!?いや、それより!)

蝶「もう一発!」ドンッ

アッシュ「うおわああっ!」ドフッ

アッシュ(8m移動させる弾丸が2発!地上から16m!……え?オラ死んだ?)

蝶「まぁ、あの高さでも十分死ぬわよね」

アッシュ「うっ、うおおおおっ!まだだぁ!」チャッ

アッシュ「『衝動のピストル』!」ドンッドンッ

蝶「!?」

蝶(あれはさっきの少女の……!チームを組んで、一丁渡していたのね!)

アッシュ(一発!隣のビルの窓ガラスへ!ガラスを窓枠から外す!もう一発!俺自身へ!空いた窓に自分を吹き飛ばす!)

アッシュ「うおらっしゃあああ!」ゴロゴロゴロ

アッシュ(な、何とか落下死は免れた……)ズサァァ

アッシュ(そして、俺の演奏が切れたということは!)

リカ「えっ、えっ?今の……は?」ムクッ

ラムダ「……っ!」ガバッ

ラムダ(状況確認!まずV系の男がギターを引きながら僕らの前に現れた!おそらく『演奏を聞いている人間の自由を奪う能力』!)

ラムダ(そいつはあの女の銃の能力により空中に打ち上げられたが、また何かの能力で生還!横のビルの中に!)

ラムダ(あの男は演奏中、両手が使えなくなる!しかも今はビルの中!緊急性はなし!今僕らが優先すべき対象は……)

蝶「……っ!」

ラムダ(男を打ち上げる銃を持つ、あの女への対処!)ガバッ

蝶(あの二人の拘束が解けた!何かされる前に、あの二人もさっきの要領で打ち上げる!)チャッ

ラムダ「『スタンボム』」ガッ


ゴォッ


蝶「眩しっ……!」

蝶(眼を閉じても瞼の裏が真っ白になるほどの閃光!狙いが付けられない!)クラッ

ラムダ(大丈夫!目を開けられなくても、あの女がどこに居たか、そこがどんな地形だったか!覚えている!)

ラムダ「後は頼みましたよ、リカさん……!『空間湾曲・30m』!」グニャアッ

リカ「うわわわっ!?」グニャアッ

リカ(あの女の人の目の前に!ラムダさんがここに私をワープさせたってことは、そういうことだよね!?)

リカ(この閃光と爆音の中、自由に動けるのは私だけ!……やるんだ!妹のために!)グッ

蝶(まずい!相手は二人居た!この爆発が金髪の能力だとして、隣の奴の能力は未知!何をされるか分からない!何も見えない状態でこれはまずい!)

蝶「後方300m!」ボワン

蝶(なるべく遠くに逃げなくては!)

リカ「!?」

リカ(ど、どこでもドア!?さっきのピストルが能力じゃないの!?この人能力が二つあるの!?)

リカ(っていうか!このままじゃ逃げられちゃう!)ダッ

蝶「くっ……」ガチャッ

リカ(間に合って……!)シャッ



1.間に合った!(番井蝶は死ぬ)
2.間に合わなかった!(番井蝶は生き残る)

間に合った!?1、2番のどっちかから選んでね!下1だよ!

ビル街



ラムダ(……!閃光が消えた!スタンボムが切れた!)

ラムダ「リカさん!『空間湾曲』は5秒持続します!その間に早く戻って来てください!」

リカ「あっ、はい!」グニャア

ラムダ「……あの女は、どうなりましたか?」

リカ「それが……『どこでもドア』で逃げて行って……私の攻撃は間に合いませんでした」

ラムダ「『どこでもドア』……?」

リカ「あ、あの、本当なんです!信じてください!」

ラムダ「……いえ、信じますよ。けど、あの女はもう一つ、銃のような異能力も持っていた……しかし、異能力は一人につき一つ」

ラムダ「となると、あの銃は他の参加者の異能力である可能性が高い……」

リカ「な、なるほど」

ラムダ「……とにかく。宝石もあなたも無事で良かった」

ラムダ「リカさん。スタンボムをもう一つ作ってください」

リカ「は、はい!」ポンッ

交差点



蝶「くっ……はぁっ」バタンッ

蝶(何とか間に合った……けど)

蝶「MPを消費し過ぎた……残り40、後二回しか能力を発動できない」

蝶(なのに、宝石は獲得できなかった)

蝶「……このピストルの使い方が大事ね」

蝶(残り少ないMPと、奪ったピストルで、どうにか……!)

ビル街・物陰



七音(光と音が止んだ……一体どうなったんだ?)ヒョッコリ

七音(あの女が居ない……のと、何だあのグニャアっとした物は)

七音(少女があれを使って金髪の男の所へワープした。なるほど。そういう能力か)

七音(あの女はどこかに逃げたのか……それとも、あのワープ能力でどこかに飛ばされたか?)

七音(とにかく。ここで傍観していて得られた情報は多いぞ。四人の能力が分かった)

七音(V系の男:『演奏を聞いている人間の自由を奪う能力』)

七音(女:『着弾した物を吹き飛ばす弾丸』……同じ能力をV系の男も使っていたから、おそらく何個も出して人に与えることができるんだろう。与えた相手を狙っていたのは謎だが)

七音(金髪の男:『光と音の爆弾』)

七音(少女:『ワープ』)

七音(……のはず。少なくとも、傍から見ている分にはそう見えた)

七音(しかし……私の『燃焼インク』と『ワープ』は相性が悪い。能力が分かっても、結局行動はできないな)

七音(まぁ、警戒してここで傍観していた自分を褒めてやるべきか)

ビル内・五階



アッシュ(な、何とか助かった……が、一体どうなってるんだ!?何で犬木の銃をよく分からん女が持っているんだ!?)

アッシュ(レ、レーダーの反応は……!)パカッ

アッシュ(ない……。殺されたのか、あの女に)

アッシュ(……………………)

アッシュ(……い、いや、死んだ奴のことなんか気にしている暇なんかない。これからどうするか考えねば)

アッシュ(下のバトルがどうなったか分からんが……あそこに居た全員が俺の位置と能力を知っている)

アッシュ(俺の『サウンドスケープ』を知っているならそう易々と近付いては来ないはず……いや、知っているからこそ早めに倒そうと近付いてくるのか?)

アッシュ(逃げようにも、俺宝石持ってるし……いっそのこと、一旦宝石を捨てるか?いや、俺の能力じゃ奪い返すのは難しいだろうしなぁ……)

アッシュ「あーっ!どうしたらいいんだよ!」

アッシュ(……時刻は今、午後二時。今日が終わるまで後二時間。二時間ぶっ通しで演奏するのは無理だな……)

アッシュ「……ん?午後二時?」



『・毎日午後二時に、何らかのイベントが発生する。』

現状



1.番井蝶

ポイント:0
M  P:40
登  録:なし
持 ち 物:衝動のピストル×2(弾丸6+2発)

交差点付近へ逃亡。



2.ディーヴァ・ラムダ

ポイント:0
M  P:85
登  録:『リカ』
持 ち 物:スタンボム、ナイフ、宝石

ビル街でリカと作戦会議中。



3.リカ

ポイント:0
M  P:55
登  録:『ラムダ』
持 ち 物:スタンボム、ナイフ

ビル街でラムダと作戦会議中。



4.犬木心

ポイント:0
M  P:0
登  録:『アッシュ』
持 ち 物:衝動のピストル(弾丸6発)

ビル街付近にて死亡。



5.田中星児

ポイント:0
M  P:85
登  録:なし
持 ち 物:なし

路地裏をうろうろ。



6.アッシュ

ポイント:0
M  P:60
登  録:『犬木心』
持 ち 物:宝石、衝動のピストル(弾丸4発)

ラムダとリカの側のビルの5階で葛藤。



7.加賀七音

ポイント:0
M  P:100
登  録:なし
持 ち 物:なし

ビル街の物陰から戦闘を見ていた。

そんなこんなでついに午後二時!『イベント』の時間に!『下1』が起こった!

1.全員の残りMPを-50する。(0未満にはならない)
2.宝石をもう一個誰かに配る。
3.全員の位置をシャッフルする。

何が起こった!?1~3番から選んでね!下1だよ!

宝石がもう一つ配られることに!宝石を受け取ったのは『下1』だった!

1.くたびれ三十代『番井蝶』
2.中性金髪ロング『ディーヴァ・ラムダ』
4.男勝女子小学生『犬木心』
5.余命三年心臓病『田中星児』
6.ボーカル中二病『アッシュ』
7.くたびれ三十代『加賀七音』

誰だった!?1~7番から選んでね!下1だよ!

訂正



宝石がもう一つ配られることに!宝石を受け取ったのは『下1』だった!

1.くたびれ三十代『番井蝶』
2.中性金髪ロング『ディーヴァ・ラムダ』
3.臆病女子中学生『リカ』
4.男勝女子小学生『犬木心』
5.余命三年心臓病『田中星児』
6.ボーカル中二病『アッシュ』
7.くたびれ三十代『加賀七音』

誰だった!?1~7番から選んでね!下1だよ!

ビル街



天使「イベントターイム」フヨフヨ

リカ「あ、天使さん」

ラムダ「……イベント?……そうか、もう午後二時か……」

ラムダ(今まで最善を尽くしてきたつもりだが……この『イベント』は予測不能。このイベントの内容次第では、予定が大幅に変わることも……)

天使「ドゥルルルルル……ダンッ!『宝石一個追加』」

天使「ということで、はい。受け取れ」スッ

ラムダ「!」

リカ「え、あ、また私!?」

天使「運良いな、お前。宝石が追加されたことは他の参加者にも知らされるから、警戒しとけよ」

ラムダ「……リカさん。ビルの屋上に行きましょう。あのV系が居ない方です」グイッ

リカ「え?」

ラムダ「お互いに宝石が一つずつ……最良の状態です。『今日』はもうこれ以上の宝石は要らない」

ラムダ「よってあのV系の男から宝石を奪う必要はなくなりました。後はこの状態を維持することに専念しましょう防衛戦です」

ラムダ「ビルの屋上に行くことによって、敵襲の方向を限定させます。そして僕とリカさんで撃退するか、それが不可能な場合は他のビルの屋上へワープして時間を稼ぎます」

ラムダ「おそらく、これが一番良いはず……」

リカ「は、はい!了解しました!」タッタッ

路地裏



天使「『宝石一個追加』」

星児「ほーん……で?」

天使「残念ながら、お前はまたハズレだ。どこの誰が当選したのかは、レーダーで確かめてくれ」

星児「……ちっ。運悪いな……」パカッ

星児「って、二つ同じ所にあるじゃねえか!」

星児(位置が少ししか変わってない。最初の宝石配りに当たって、この宝石配りにも当たったのか。運の良い奴も居たもんだなおい)

星児「……まぁ、いいや。誰かが二つ持ってるってことは、そいつ倒すだけで二つ手に入るってことだもんな」

星児「よし……じゃあ、行くか」

ビル街・ビル屋上



リカ「着いた……屋上」ガチャッ

ラムダ「……ここへ来るには、移動系の能力を除けばそのドアを潜るしかない。そのドアに集中してください」

リカ「はい!」



星児(宝石の反応はこの扉の先……!)

星児「すぅーはぁーっ」

星児「うしっ……!『時間操作・加速』!」ドンッ

リカ「! 早速来た!」

ラムダ「!」

星児(!? 二人……!?交戦中だったって感じじゃない!協力してるのか!?このバトルロワイヤルで!)

星児(いや!関係ない!二人共殺せば!)

星児「俺に宝石を寄越せぇっ!」ビュンッ

ラムダ(人体ではあり得ないスピード!異能力か!)

ラムダ「スタンボム!」ガッ


ゴォッ


星児「……眼眩ましかっ!」

星児(二人が協力してるなら、もう片方がこの隙に何かしてくるはず!)

星児(当たんないように、動き回るっ!)ビュビュンッ

リカ(……っすごいスピード!とてもじゃないけどナイフなんか当たんない!)

リカ(ごめんなさい!無理ですラムダさん!)ギュッ

ラムダ(リカさんの手!攻撃不能の合図!)

ラムダ(……おそらく、相手の能力は『高速移動』!闇雲に動き回られるだけでも、こちらから相手を捉えるのは難しいか!)

ラムダ(ならば、打ち合わせ通り、スタンボムの効果が切れる前に別のビルへ逃げる!)

ラムダ「『空間湾曲・10m』!」グニャアッ

星児(……!光と音が止んだ!今だっ!)バッ

星児「って居ねぇ!」キョロキョロ

星児(あの女の時と同じだ!あいつらもワープが使えるのか!)

星児(いや、でもあの時とは違う!あいつらは宝石を持ってる!どこに居てもレーダーで追える!)パカッ

星児(隣のビルの屋上……!『時間操作・加速』が持続する限り、地の果てまで追いかける!)ダッ



リカ「ど、どうするんですかラムダさん!もしあの子がまだ追っかけて来たら、いずれラムダさんのMPが尽きちゃうんじゃ……」

ラムダ「いえ、相手もあの『高速移動』でMPを消費しているはず。その消費量によりますが……普通はMPを温存して深追いはして来ないと思われます」

ラムダ「それにもし、追いかけて来たとしても、『あそこ』で止まるはずです」

ビル街・ビル五階



星児「うおおおおっ!」ダダダッ

アッシュ「あっ」バッタリ

星児「おっ?」バッタリ

アッシュ(宝石二つの反応が真上に来たと思ったら、何か別の奴が上ってきた!)

星児(そうだ!ここにも宝石の反応が一つ有った!こいつか!)

星児(どうする!上の奴らは逃げる!あいつらは仕留めきれないかも知れないし、あっちからは攻撃してこない!)

星児(それなら上の奴らは放っといてこいつを殺すか!?上の奴らは二人で宝石を分け合うつもりだろう!なら明日もバトルロワイヤルは続く!なら今日は一個で構わない!)

星児(いや、だが、そう上手く行く保証もない!上の奴らのどっちかが裏切って、今日で終わるかも!そもそもこいつの能力が不明!勝てないかも知れない!)

星児(どっちを狙う!?上の奴らか!ここに居るこいつか!)



星児が狙ったのは『下1』だった!

1.宝石を二つ取って、今日で勝負を決める!ラムダ・リカチームの所へ!
2.今日は一個でいいや!このままアッシュを殺す!

どっちだった!?1、2番のどっちか答えてね!下1だよ!

星児(決めた!このままこいつを殺す!)キュッ

アッシュ(こ、こっち来たぁ!もっかいやるしかねぇ!)

アッシュ「くっ……『サウンドスケープ』!」ジャカジャンッ

星児(!?……なんだっ、こいつが歌い始めた瞬間、何か、頭が……!)

星児「うっ、うぅ……」ポロポロ

アッシュ「『Ah~悲しい~悲しいよ~Oh~♪』」ジャカジャカジャーンッ


~♪


リカ「あ、さっきの曲……」

ラムダ「……よし、上手く行きました」

ラムダ(これが目的。彼に彼女を足止めさせる。そして『演奏を聞いている人間の自由を奪う能力』を使ってもらう!)

ラムダ「こうすることでこのビル一棟を、誰も動けない安全地帯にあっもうどうでもいいや死にたい」ズーン

リカ「悲じい~」ポロポロ

アッシュ「『Ah~悲しい~悲しいよ~Oh~♪』」ジャカジャカジャーンッ

アッシュ(どうする……!?一度休んだから、そこそこ体力は回復したが、それでもこのまま四時まで弾き続けるのは不可能だ!)

アッシュ(どうにかしてこの子をどうにかせねば……)ジャカジャンッ

アッシュ(そうだ!犬木から貰った『衝動のピストル』!まだ4発弾丸が残っている!あれでこの子を窓から外へ『吹き飛ばす』のはどうだ!?ここは五階!ここから落下すればただでは済まないはず!)

アッシュ(いや、けどこの子がこの階まで上ってきたスピード。尋常じゃなかった。おそらくこの子の能力は『高速移動』)

アッシュ(あのスピードを相手に弾丸を当てれるか……?)

アッシュ(とにかく、体力が続く限り演奏を続けて、ギリギリまで策を……)

星児「うっ、うぅ……!何でだよぉ……!」ポロポロ

アッシュ「……」

星児「何だよ、心臓病って、余命三年ってぇ……!何で、俺が、そんなの……!くそぉ……!何でだよぉ……!」ポロポロ

アッシュ「え……?」ジャン…

星児(! 演奏が止まった!)ガバッ

アッシュ(しまった!つい!)

星児「……っ殺すっ!」ダッ

アッシュ「まっ、待ってけろ!」バッ

星児「……けろ?」

アッシュ「あっ、いや、待ってくれ!その、俺と協力しないか!」

星児「協力ぅ?」

アッシュ「上の奴は今宝石を二つ持っている!このままでは今日でバトルロワイヤルが終わってしまう!」

星児「いや、上の『奴ら』だ。多分チームで宝石を分け合うつもりなんだろう」

アッシュ「え?そうなの?」

アッシュ(じゃあ犬木を殺した女はあの二人にやられたのか?)

星児「……それで?」

アッシュ「ふ、二人だろうが関係ない!片方が裏切って宝石を独占するつもりかもしれないだろう!」

星児(……確かに。それは俺も危惧していたことだ)

アッシュ「このままではいけない!どうにかして奴らを倒さなくては!しかし、俺の能力は両手を使うから、一人じゃ勝てない!そこで君の力を借りたい!」

星児「借りるって、どうやるんだよ。お前の能力なら俺も巻き込んじまうだろ」

アッシュ「いや……俺の演奏テクなら音量を調整して、状況に応じて効果範囲を変えることができる」ジャン

星児「それがどうした。調整できるったって、精々m単位だろ?あいつらに近付けば、結局俺も巻き込まれる」

アッシュ「大丈夫だ。君があいつらに近付く必要はない。これを使ってくれれば、遠くからでも奴らを倒せる」チャッ

星児「ピストル……?」

アッシュ「このピストル自体には威力はないが、着弾した物を好きな方向に吹き飛ばすことができるという異能力が備わっている」

星児「ふーん……?」

アッシュ「し、信じられないというなら一発見本を見せてやってもいい。残り4発あるからな」

星児「いや、疑ってるわけじゃねぇ。けど、それあんたの能力じゃないだろ?誰の能力だ?」

アッシュ「……犬木心という少女の能力だ。先の戦いで既に死んだ」

星児「最初はそいつとチームを組んでたんだな?」

アッシュ「……ああ。そうだ」

星児「……それじゃお前は、その子を裏切るわけだ」

アッシュ「う、裏切りではない!今日で勝負が終わってしまうのはあいつにとっても不本意であるはずだ!」

星児「……どうしようかな。俺は別にあんたから宝石を分捕っちまってもいいんだが」

アッシュ「なっ!?そ、それならば試合終了までお前をひれ伏させるのみだぞ!いいのか!」

星児「どうだかね。演奏を辞めた理由も、どうせ体力が切れたからとかなんじゃないのか?それなら……」

アッシュ「違うぞ!俺はあのまま演奏し続けることができた!」

アッシュ(今度は本当だ)

アッシュ「聞こえたんだよ……君の願いは心臓病を治すこと。だろう?」

星児「……口走っちまってたか……」

アッシュ「そんな切実な願いを聞くと、その、どうにも……」

星児「……ちっ。同情かよ。飽き飽きだぜ、その目はよ」

アッシュ「いや、そんなつもりでは……」

星児「……まぁ、同情でも何でもいいや。なるべく危険因子は潰しておいた方がいいよな」パカッ

アッシュ「え?」

星児「ほら、レーダー登録だ。乗ってやるよ。あんたに」ピッ

アッシュ「……ふっ」ピッ

ビル街・ビルの屋上



ラムダ「演奏が止んだ……?」ガバッ

リカ「下で、何かあったんでしょうか……?」

ラムダ(どうする……大事を取ってここから移動しましょうか?)

ラムダ(いや、何かあった時のために、MPは温存しておきたいですね)

ラムダ(それに移動したところで、僕らは宝石を持ってる。結局はレーダーで位置がバレてしまう。ここはこのまま様子を見るのがベター)

ラムダ(けど……なんだ、この胸騒ぎは……)


~♪


リカ「あっ、また……」

ラムダ(……っ、思考が、感情が、体が……)ガクッ

アッシュ「『Ah~悲しい~悲しいよ~Oh~♪』」ジャカジャカジャーンッ

アッシュ(さっきと同じだ!まずは音量MAX!そこから演奏しながら歩いて、敵との距離を縮める)スタスタ

アッシュ(演奏しながらだと扉開けづらいな)ジャカッ…ジャンッ

リカ「悲じい~」ポロポロ

ラムダ「死にたい……」ズーン

アッシュ(そして敵の数m前まで来た所で、音量を下げる!効果範囲10m!)ジャン……

星児「……」ガチャッ

アッシュ(よし!今度は手はず通りだ!後は田中星児がこいつらを撃ち抜いて、屋上から空中へ吹き飛ばすだけ!)

星児(……さて、どっちから先に落とそうか)チャッ



星児が狙ったのは『下1』だった!

2.中性金髪ロング『ディーヴァ・ラムダ』
3.臆病女子中学生『リカ』

どっちだった!?2、3番のどっちか答えてね!下1だよ!

星児(あいつらは『光と音の爆弾』と『ワープ』のコンビ!『ワープ』の方はここから落としても無意味だ。『サウンドスケープ』の範囲外に行った時点で、自分の能力で生存する)

星児(つまり、ここで先に狙うべきは『光と音の爆弾』の方!あの爆弾を投げてたのは……)

星児(あの金髪ロング!)ドンッ

ラムダ「……っ」ドフッ

アッシュ(よし!金髪が屋上から落ちた!これで……)



ラムダ(……!演奏が聞こえなくなった!『演奏を聞いている人間の自由を奪う能力』の範囲外!)ヒュオオオ

ラムダ(ならばいい!落下中でも構わない!さっきの位置に『戻れる』!)バッ

ラムダ「『空間湾曲・10m』!」グニャアッ

アッシュ「!?」

星児「!?」

星児(戻ってきた!?あっちが『ワープ』だったのか!)

アッシュ(だが、問題ない!俺の『サウンドスケープ』の範囲に戻ってくるなら、もう一度自由を奪ってやるのみ!)ジャカジャンッ

ラムダ(そうなる前に……っ!)

ラムダ「スタンボムっ!」ガッ

ラムダ「スタンボムっ!」ガッ


ゴォッ


アッシュ(これは、さっきビルの窓から見えた光!?)

アッシュ(まずい!『爆音』で俺の『サウンドスケープ』がかき消される!)

ラムダ(隙ができた!ここでリカさんにお任せしたいのですが……)

リカ「あっ、あれ?今、何がどうなって……」

ラムダ(……多分混乱してる!なら僕がこいつを落とす!見えないけど大体の位置は覚えている!)

ラムダ「『空間湾曲・10m』!」グニャアッ

アッシュ「うわぁっ!?」グニャアッ

アッシュ(この浮遊感……あ、俺落とされた……?)ヒュオオオッ


ベシャアッ



アッシュ:死亡

星児(……!光と音が止んだ!)バッ

星児(アッシュが居ない!『ワープ』で落とされたか!)

星児「くっ!」ギロッ

ラムダ「……リカさん!僕の後ろに下がってください!」バッ

リカ「は、はい!」バッ

ラムダ(敵は『高速移動』!しかもあの『ピストル』を持っている……さっきのようには行かない!)

ラムダ(二人が組んでいた以上、ああするしかなかったとはいえ、V系の男は死んだ!もうこいつを足止めしてくれる奴は居ない!)

ラムダ(そして、僕もリカさんもかなりMPを消費してしまった……このバトルロワイヤルは明日も続く!MP温存のためにももうこれ以上こいつとは戦いたくない!)

星児「……ちっ。『時間操作・加……」

ラムダ「待ってください!」

星児「……あぁ?」

ラムダ「もう今日の残り時間は30分を切りました!その時間であれば、僕らは君から逃げ切る自信があります!これ以上追いかけっこを続けるのは、お互い無駄にMPを消費するだけです!」

星児「……そんなの、やってみなくちゃ分かんねぇだろ」

ラムダ「……それに!君は今ならMPを消費せずとも宝石を獲得できます!下に落ちたV系の男から奪えばいい!」

ラムダ「さっき五階でV系の男の方を狙ったということは、君も一度は一個でいいと妥協したのでしょう!?」

星児「……お前らのどっちかが裏切って、今日でこのバトルロワイヤルを終わらせないっていう保証は?」

ラムダ「そ、それは……」

リカ「しょ、証拠はあります!」

星児「……あぁ?」

ラムダ「リカさん……?」

リカ「私が、ここでこうやって生き延びてるのが証拠です!」

リカ「ラムダさんは強くて、頭が良い人で、とっても優しい人です!今まで私は、ラムダさんにいっぱい助けてもらいました!」

リカ「もしラムダさんがひどい人なら、私今頃死んでます!でも生きてます!これが証拠です!」

ラムダ「……」

星児(いや……こいつバカか?)

星児(それはただ利害が一致してただけじゃねぇのか?っていうかお前が裏切らない証拠は?)

星児(でも……なんていうか、バカの言葉だからこそ……)

星児「……ちっ。まぁいいや。今日は引いてやるよ」スゴスゴ

星児(俺もあいつと組んだ以上、今日で終わらせちまうつもりはねーんだ。宝石を二個取ったって余るし、MPは明日のために温存しておきたい)

星児(特に俺の場合は、能力を使う代償が他の奴らより重てぇからな……)スタスタ

リカ「……っはぁ~良かったぁ~」ホッ

ラムダ「……リカさん。ありがとうございました」

リカ「いえいえ。これぐらい、ラムダさんがしてくれたことに比べれば……」

ラムダ「いや、その……」

ラムダ(今まで、全てから一歩引いた生き方をしてきたからでしょうか)

ラムダ(『優しい人だ』なんて言ってもらえたのは、随分と久しぶりの気がします……)

ラムダ「……とにかく。ありがとうございました。明日も頑張りましょう」

リカ「はい!頑張りましょう!」グッ



ラムダ「それにしても変な子でしたね。女の子なのに一人称が『俺』だなんて」

リカ「え?でもラムダさんも女の人なのに『僕』って言うじゃないですか」

ラムダ「え?」

リカ「え?」

ビル街・地上



星児「うおっ、グロッ」

アッシュ(だった物)

星児「……明日もここで殺し合いするんだし、こういうのには慣れとかないとな……」ゴソゴソ

星児「悪く思うなよ、アッシュ。死んだお前が宝石持っててもしょうがねぇんだ」

星児「俺がここで1ポイントゲットしときゃあ、明日はお前一人が1ポイントゲットするだけでいい。そっちの方が楽でいいだろ?」

星児「……」ゴソゴソ

星児「……おい待て、ないぞ。宝石どこ行った」

星児(落下の衝撃で砕け散ったか?いや、その破片すら見当たらない。そもそも『・特殊レーダーと宝石は、どんな能力を用いても、破壊、消失させる事はできない。 』)

星児(じゃあ一体どこに……?)レーダーパカッ

星児「……宝石の反応が動いてる!?」



リカ「あれ?宝石が動いてる……!?」

ラムダ「……他の参加者が奪いましたか……!」

リカ「ど、どうしよう。私達あの子に嘘ついたことに……」

ラムダ「……いえ、仕方ありません。気にしないでください」

ラムダ(とはいえ、一体誰が?リカさんが見たという『どこでもドア』の女か……?)

ラムダ(いや、それとも僕らがまだ把握していない『七人目の参加者』……?)

交差点



七音「……はぁっ、はぁっ」タッタッ

七音(やった!やったぞ!あそこでずっと気を窺ってた甲斐があった!労せず、能力すら使わず宝石をゲットできるとは!)

七音(後はこのまま、これを持って逃げていれば……)

星児「待てぇぇぇ!この薄汚いハイエナ野郎がァーッ!」ビュビュンッ

七音(やっぱり来たか……追手。しかもかなりのスピード。おそらく異能力に因るものだろう)

七音(しかし、問題はない。制限時間は残り十数分。防衛は可能!)

七音「『虹色インク』!」ズァッ

星児「!?」

星児(何だ!?おっさんの周りから虹色の腕が生えた!)

七音(さぁ、ここでこうしている限り、あの子にできることはないはずだ……)

星児(くっ……どうする!?まだ『加速』の効果は持続してるが……あの虹色の腕へ突っ込むのは危険すぎる!)

星児(ここでこうやってにらめっこしてるしかないのか……!?)

交差点の物陰



蝶「……何かしら、あれ。虹色の……何?」

蝶(とにかく、宝石を持ってるのはあの虹色使い。その向かいに居るのは……最初に会った『高速移動』の女の子)

蝶「ここからなら『ピストル』でどっちも狙えるけど……」

蝶(どっちを狙おうかしら……?)



蝶が撃ったのは『下1』だった!

5.余命三年心臓病『田中星児』
7.くたびれ三十代『加賀七音』

どっちだった!?5、7番のどっちか答えてね!下1だよ!

蝶(ここは……『高速移動』の子を狙いましょう)

蝶(あの子を倒すとしたら、警戒されてない今しかないものね……)

蝶(そして『虹色』の方向へ吹き飛ばして『虹色』の能力も確かめる……!)チャッ

蝶「えいっ」ドンッ



星児(……?今、何か銃声みたいな……)

星児「!?」ドフッ

星児(体が『吹き飛ぶ』!犬木心の銃!それを持ってるってことは、犬木心を殺した女!一体どこから!?)

七音(銃弾が当たった瞬間、こっちに吹き飛んで来た……?)

七音「まぁいい。『虹色インク』!」ズァッ

星児「ぐぁ……っ」ガシッ

星児(イ、インクでできた腕が、体を絞めてくる……っ)ギリギリ

星児(息がぁ……っ!)カクッ



田中星児:死亡

七音(死んだか……しかし、ここから動くことはできない)

七音(この少女を襲った弾丸、あれを防ぐにはここのインクの沼の範囲に居なければ……)

七音(だが、裏を返せばここに居さえすれば安全。どこから撃ってきたか、大体の位置も分かっている)

七音(弾丸は対処できる。そして能力は一人につき一つ。他の参加者が絡んで来なければこのまま)


ボワンッ


七音「……え」スウゥッ

七音(真後ろで音!)バッ

七音(何だこれ、まさか『どこでもドア』?いや、それより)

蝶「あら?何かあなたの能力消えてない?」

七音(『次元空間が歪んでいる場所には発動不可 』……こいつの『ドア』のせいで、私の能力が……っ!)

蝶「消すつもりではなかったんだけど……まぁ、安全なのはいいことよね。それじゃあ、さよなら」チャッ

七音(女が二回引き金を引く、私の体は二回衝撃を受け、空中へと吹き飛んだ)

七音(その高さ、優に10mを越えていただろう)

七音(空中……床や地面がない所では能力は使えない……!)



ドチャッ



加賀七音:死亡

蝶「うーん……やっぱり弾二発……20m弱じゃあ、結構原型が残るわね。あの女の子を100mから叩き落した時は、ほとんど血溜まりになってたし」ゴソゴソ

蝶「まぁ、どっちにしろ死んでるから問題ないわね。宝石、ありがとう」ヒョイッ

蝶「さて……あの子も何か持ってないか探ってみましょうか」ゴソゴソ

蝶「わっ、この子もあの銃持ってるじゃない。あのV系の男と組んだってことかしら……。弾は……残り3発。ちょうどさっき使った分が補充できたわね」ヒョイッ

蝶「やっぱり日頃の行いが良いと幸せになれるって本当ねー……」

蝶「ふふっ」

ビル街・ビルの屋上



リカ「終了五分前……もう誰も来ないですかね?」

ラムダ「……そうですね。もう一つの宝石の反応も、ここから離れた所で止まりましたし」

リカ「良かったぁー……」

リカ「ラムダさん。本当にありがとうございます」

ラムダ「どうしたんですか、急にあらたまって……」

リカ「だって私が今日ポイントを獲得できるのは、ラムダさんのおかげだから……ラムダさんは、私のヒーローです」

ラムダ「リカさん……」


シュンッ


ラムダ「!?」ボフッ

ラムダ(急に見知らぬ部屋に瞬間移動した。レーダーを確認すると、ちょうど午後四時と表示されていた)

天使「とりあえず、一日目お疲れ様。明日の朝六時になれば、また同じ街の、別の場所に配置される。それまでゆっくり体を休めとくんだな」

天使「それじゃ、私は街の修復作業に行ってくる。といっても、破損した箇所なんかほとんどないけどな。お前らは街をあんまり壊さないから助かるよ」フヨフヨ

ラムダ「は、はぁ……」

ラムダ(とにかく、バトルロワイヤルの一日目は無事に終わったようだ)


『ラムダさんは、私のヒーローです』


ラムダ(……『ヒーロー』か。昔、僕を助けてくれたあの人が、まるでヒーローみたいに見えた)

ラムダ(そして憧れのまま、警官になった。そして今も……僕は、憧れのヒーローにどれくらい近づけたんでしょう)

ラムダ「……寝ますか」



『番井蝶』『ディーヴァ・ラムダ』『リカ』が1ポイントずつ獲得!

異能力者七人のバトルロワイヤル!一日目が終了した!

一日目終了・現状



1.番井蝶

ポイント:1
M  P:20
登  録:なし
持 ち 物:衝動のピストル×2(弾丸5+3発)



2.ディーヴァ・ラムダ

ポイント:1
M  P:70
登  録:『リカ』
持 ち 物:スタンボム、ナイフ



3.リカ

ポイント:1
M  P:25
登  録:『ラムダ』
持 ち 物:スタンボム、ナイフ



4.犬木心

ポイント:0
M  P:0
登  録:『アッシュ』
持 ち 物:衝動のピストル(弾丸6発)



5.田中星児

ポイント:0
M  P:55
登  録:『アッシュ』
持 ち 物:なし



6.アッシュ

ポイント:0
M  P:20
登  録:『犬木心』 『田中星児』
持 ち 物:なし



7.加賀七音

ポイント:0
M  P:70
登  録:なし
持 ち 物:なし

天界・振り返り



神様「『番井蝶』『ディーヴァ・ラムダ』『リカ』が一日目の獲得者か……番号にすれば丁度123だね」

天使「やっぱ最初の方に組んだ『ラムダ・リカチーム』が強かったですね。バトルロワイヤルでチームは強い」

神様「能力にかまけていたかと言うとそうでもない。ラムダはMPを70も残しているし、リカもMP25と、具現化したスタンボムを2つ残している。実質MP55だ」

神様「二人共MPを半分以上残している。これは単純に立ち回りが上手かったと見るべきだろう」

天使「……まぁ、作戦や指示は全てラムダの物でしたが」

神様「今日の一番のファインプレーは、リカがラムダとチームを組んだことかも知れないね」

天使「逆に、一番ダメだった行動は、犬木心の無駄な具現化ですかね」

神様「あれさえなければ蝶にピストルを奪われることもなかったわけだし、そうなると犬木心が死ぬことも、田中星児が死ぬことも……」

天使「他にも色々変わってたでしょうね」



神様「いやぁ、それにしても殺傷能力のない異能ばっかりだから中々人が死なないなと思ってたけれど……」

天使「蓋を開けてみれば、宝石獲得者以外は全員死ぬという中々バイオレンスな幕引き」

神様「けど、死因の3/4が落下死っていうのは、なんとも」

天使「殺傷能力がない上に、戦闘のほとんどがビル街で行われましたからね。全体的に、極端な一日でした」

天使「明日は誰が勝つと思いますか?」

神様「うーん。明日も『ラムダ・リカチーム』が強いんじゃないかな」

神様「バトルロワイヤルでチームを組むっていうのは本当に強いし、強制的じゃない信頼関係がある」

神様「二人共応用が効く良い能力だし、それを使うMPを豊富に残している。順当に行けばこのまま二人で勝つんじゃない?」

神様「逆に厳しいのは『加賀七音』かな……っていうかこいつだけ他の奴らと相性悪すぎるよね?」

天使「彼の『虹色インク』は『近付いた状態で使わないといけないが、近付くまでの間は無防備』という特徴があります」

天使「『サウンドスケープ』『衝動のピストル』相手には近付けない。『時間操作』は近付くと時間止められて負け」

天使「『どこでもドア』『空間湾曲』が相手だと問答無用で次元空間を乱されて無効化されます」

天使「1対1で勝てるとしたら『スタンボム』と五分五分って所でしょうが……リカはラムダに保護されてますからね」

神様「今日の終盤が一番のチャンスだったんだなぁ……惜しい」

神様「でも、宝石配り次第では彼にも勝機はあるよ。終盤で見せた通り、防衛に強い能力だからね(『どこでもドア』『空間湾曲』には負けるけど)」

天使「いやぁ……MPの消費量に対して持続時間が短いので……終盤でもない限り制限時間まで発動させるのはちょっと……」

神様「今日の終盤が一番のチャンスだったんだなぁ……」

天使「まぁ、他の人間はわりとMPを消費してますし、複数人がMPを使い切るようなことがあればワンチャン……ありますかね」

神様「でも『ラムダ・リカチーム』はMP残してるしなぁ……」

神様「……明日の転送位置は、ラムダとリカを思いっ切り離しておこうかな」

天使「贔屓だなぁ……」

神様「ははは、冗談だよ。それじゃ、二日目開始!転送!」バッ

天使「・・・って神様。『下1』と『下2』の初期位置がもろ被りじゃないですか」

神様「転送はランダムなんだから、そういうこともある」



1.くたびれ三十代『番井蝶』
2.中性金髪ロング『ディーヴァ・ラムダ』
3.臆病女子中学生『リカ』
4.男勝女子小学生『犬木心』
5.余命三年心臓病『田中星児』
6.ボーカル中二病『アッシュ』
7.くたびれ三十代『加賀七音』

誰と誰の位置が被った!?1~7番から選んでね!下1と下2の二人に安価を取るよ!
(安価が被った場合、誰も出会わなかった事にするよ!)

訂正

『番井蝶』が『どこでもドア』の能力を使ったのは計五回
(田中星児から逃げる、犬木心の真後ろに移動する、犬木心を上空へワープさせる、リカから逃げる、加賀七音の真後ろに移動する)
ですので、一日目終了時点での残存MPは100-(20×5)=0です。
しかし、>>80の時点で一回分数え忘れていて、そこから間違いに気付かないまま>>118でMP:20と表記してしまいました。
正しくはMP:0です。脳内変換お願いします。

誠に申し訳ございませんでした。
恐縮ですが、他にミスが見当たればご報告お願いします。可能であれば訂正します。

↓から本編を再開します。

住宅街



星児「……はっ!」シュンッ

星児(目の前が真っ暗になったと思ったら、急にここに!……レーダー確認!)パカッ

星児(『11:00:05』……始まったのか、バトルロワイヤル二日目が!)

星児(そんで俺はあのおっさんに殺された所を生き返った……と。なんつーか、雑だなぁ。もうちょいインターバルとか用意してくれりゃいいのによ)

星児(まぁ、とにかく、二日目が無事始まったなら……)

蝶「あっ」バッタリ

星児「んっ?」バッタリ

星児(こいつ!昨日の『どこでもドア』の女!)

蝶(『高速移動』の子!)バッ

星児(昨日の最後……金髪ロングと隣の女子はビルの上、犬木心とアッシュは死んでる。目の前に居たおっさんは除外、俺自身も除外)ポクポク

星児(残るのはこいつだけじゃねぇか!じゃあ昨日最後に俺撃ったのこいつか!許せん!)

星児(ってことはこいつ、そのままおっさん倒して今リーチしてる可能性がある!MP温存は考えない方がいい!こいつに今日得点させないのが最優先!)

星児「『時間操作・加速』!」ビュンッ

蝶(……っ、この子また突っ込んできた!どうしましょう、銃で撃つ?いや、この子のスピードじゃ躱される!)

蝶(昨日と同じように逃げるしかない!)ボワンッ

蝶「……後方!ビル屋上!」ガチャッ



星児(……やっぱ逃げたか!)ザザザッ

星児「……『加速終了』」シュウウ

星児(私から逃げたり、犬木心を殺したり、昨日だけでもあいつは何回か能力を使ってるはず)

星児(一回にどれくらいのMPを消費するのか知らねぇが、削れるだけ削っといておくぜ)



蝶(……折角回復したMPがもう30に……今日はもう後一回しか使えない)

蝶(いくら奪ったピストルがあるとはいえ、今日で終わらせるのは難しいかしら……?)

蝶「……とりあえずは、昨日と同じようにここで宝石配りを待ちましょうか」スッ

星児「さて……と、アッシュに連絡するか」プルルル

星児「……出やがらねぇ。あいつまさか……」



路地裏



心『アッシュ!大丈夫だったか!?』

アッシュ「お、おう……いや、すまん。あの後死んだ」

心『そ、そうか……じゃあ今日こそ!二人で宝石ゲットだ!頑張ろうな!それじゃ、俺がそっち行くから!そこで待ってろよ!』プツッ

アッシュ「……さっき死んだばっかりだってのに、全く元気な奴だ……」

アッシュ「ん?また通話か。何か言い忘れたのか?……はいもしもし」プルルル

星児『お前……さっき何で出なかった』

アッシュ「あっ」

星児『あれか。犬木心って奴と通話でもしてたか。俺より先に』

アッシュ「お、おう……そうだが?」

星児『……俺とのチームはどうなるんだ?』

アッシュ「え?あ、いや、その……」

アッシュ(宝石が配られるのが一日に二個である以上、同時に願いを叶えられるのは二人までで……じゃあチームを組めるのも必然的に二人までになる)

アッシュ(昨日みたいに宝石が三つ配られれば話は別だが、同じイベントが何回も起こるとは考えにくいし……)

星児『……ちっ。いいよもう。チームは解消だ。元々偶然あの時、利害が一致しただけの成り行きのチームだったし。相方が生き返ったんなら、俺はもう要らないだろ?』

星児『……でも、忘れんなよ。登録は消さない。お前がどこに居るかはレーダーですぐに分かる』

星児『こっからは敵同士だ。精々、今度は相方を死なせないようにな』プツッ

アッシュ「……」

アッシュ(なるようになれ!)

駅前



リカ「……始まった!二日目!」

リカ(まず、最初は言われた通りレーダーを確認して……)パカッ

リカ「ラムダさん遠っ!」ガビーンッ

リカ(あ、通話。ラムダさんからだ)プルルル

ラムダ『リカさん。レーダーは確認しましたか?』

リカ「はい……あの、私達ほとんど端と端で、とっても遠いです……」

ラムダ『……そうですね。しかし、そうなったものは仕方がありません。予定は変えず、二人で合流を目指しましょう』

リカ「はい!」タッ

ビル街



七音「……はっ!」

七音(ここは……さっきの交差点の近くじゃない。位置はちょっと違うが、おそらく他の参加者が戦っていたビル街)

七音(レーダーは……『11:00:05』。二日目が始まり、私は生き返ったということか……)パカッ

七音(……昨日、宝石は獲得できなかった。しかし、後もう一歩だった)

七音(私のやり方は間違っていなかった。今日も昨日と同じようにどこかに潜伏し、同じように宝石を手に入れ、今日こそはそれを守り切る)

二日目開始・現状



1.番井蝶

ポイント:1
M  P:30
登  録:なし
持 ち 物:衝動のピストル×2(弾丸5+3発)

ビル屋上で宝石配りを待っている。



2.ディーヴァ・ラムダ

ポイント:1
M  P:120
登  録:『リカ』
持 ち 物:スタンボム、ナイフ

リカと合流を目指す。



3.リカ

ポイント:1
M  P:75
登  録:『ラムダ』
持 ち 物:スタンボム、ナイフ

ラムダと合流を目指す。



4.犬木心

ポイント:0
M  P:50
登  録:『アッシュ』
持 ち 物:衝動のピストル(弾丸6発)

アッシュの居る路地裏へ移動中。



5.田中星児

ポイント:0
M  P:90
登  録:『アッシュ』
持 ち 物:なし

住宅街をうろうろ。



6.アッシュ

ポイント:0
M  P:70
登  録:『犬木心』 『田中星児』
持 ち 物:なし

路地裏で犬木心を待っている。



7.加賀七音

ポイント:0
M  P:120
登  録:なし
持 ち 物:なし

ビル街で宝石配りを待っている。

駅前付近



リカ「早くラムダさんと合流しないと……私一人じゃなんにもできないし……」タッタッ

リカ「あ、あの人影はラムダさ……んじゃない!?」

下1「……」



4.男勝女子小学生『犬木心』
5.余命三年心臓病『田中星児』
6.ボーカル中二病『アッシュ』
7.くたびれ三十代『加賀七音』

『リカ』が出会ったのは誰!?4~7番の中から選んでね!下1だよ!
(ビル屋上に居る『番井蝶』と、別方向に居る『ラムダ』は除外)

住宅街



リカ「あれは……『高速移動』の子!」

星児「……『光と音の爆弾』!」

星児(よくもまぁこの始まったばっかの短ぇ時間に何度も遭遇するぜまったく)

星児(……けど、あの金髪ロングの『ワープ』が見当たらねぇ。まだ合流できてねぇってことか?)

星児「『ワープ』が居ないなら……勝てる!『時間操作・加速』!」ビュンッ

リカ「うわぁっ!『スタンボム』!」ボンッ


ゴォッ


星児「くっ……!」

リカ(この隙に脇の家に隠れる!)ダッ

リカ(そしてどこかに行ってくれるのを待つ……)スンッ

星児(……っ、どこだ?居なくなった……)キョロキョロ

星児(いや『爆弾』の持続時間は2、3秒。『ワープ』が居なけりゃそんなに遠くまでは行けないはず!)

星児「『加速』が持続してる内にしらみつぶしに探す!」ビュンッ

リカ(どこかに行ってくれない!)ガクブル

星児「ここか!?ここか!?」ガサガサ

リカ(ど、どうしよう。このままじゃ見つかるのは時間の問題……)

リカ(それまでにラムダさんが来てくれれば……でもあんなに離れてたら多分、いや絶対無理だよね……)

リカ(……いや、何弱気なこと言ってるのリカ!昨日あれだけ助けてもらって、まだ助けてもらうつもりなの!?)

リカ(思い出すのよリカ!昨日のラムダさんの言葉を!)


『チームを組んだからには、僕もあなたを戦力として当てにするということです』


リカ(昨日はラムダさんにスタンボムを渡すくらいで、何も活躍できなかった……今こそ!ラムダさんの期待に応える時……!)

リカ(一人で、あの子を倒す……!そうと決まれば!)

リカ「『スタンボム』!」ガッ


ゴォッ


星児(……っ、また光!いや、落ち着け!陽動だ!俺が焦って動いて、自分から離れるのを待ってるんだ!)

星児(動かずに、光と音が止むのを待って……)

リカ(……やっぱりだ!私と距離が空くのを警戒してるのか、スタンボムの発動中は動かない!)

リカ(これなら、行ける!私の足音すら、あの子には今聞こえてない!このまま……刺す!)

リカ「やぁ……っ」ピタッ

星児(…………)

星児(……光と音で、見えないし聞こえない。そんな状況でも、敵がどこに居るか把握できる瞬間がある)

星児(それは『攻撃される瞬間』。その瞬間なら、痛覚で敵の存在を‌認識できる)

星児(攻撃を喰らってから敵の位置を知っても意味がない?いや、俺の『加速』のスピードなら、その攻撃が致命傷になる前に反応できる)

星児(そして俺が敵に指先でも触れた瞬間。俺のもう一つの能力の発動条件が達成される……『発動条件は相手に触れること』)

星児「『時間操作・停止』……!お前の時を止めた!」

星児「そんでもって……お前に返すぜ、このナイフ」ザスッ

星児「……『加速終了』『停止終了』」シュウウ

リカ「……ぁっ!……あっ……?」ブシュッ

リカ(刺そうとしたら、私が刺されてた……!?今……何が……?どうして……!?)クラッ

リカ(痛い……意識……が……)ドサッ



星児(……よし、勝った……けど)

星児「うぐっ、うぅっ……はぁっ、はぁー……」フラッ

星児(やっぱ『加速』と『停止』を同時に使うのは負担が大きいな……最初は五分くらい『加速』できるって話だったが、今はその半分も持たねぇかもな……)

星児(ナイフの傷も、致命傷ではないとはいえ、ダメージであることには間違いないしな)ズキッ

星児「あー……力入んねぇ。死体から離れるわけにはいかねぇし、宝石配りまでここで休むか……」スッ



リカ:死亡

商店街


ラムダ「……!?」

ラムダ(リカさんの反応が……レーダーから消えた……!?ということは……)

ラムダ(他の参加者に……そうか……なら)

ラムダ(今日は宝石を求めない。そしてなおかつ、今日でバトルロワイヤルを終わらせない。必ず明日に繋げる)

ラムダ(なるべくMPを温存し、他の参加者の獲得を妨害する!それが今日の私のなすべきこと……!)

路地裏



心「おーい!アッシュ!」ブンブン

アッシュ「……ふっ、来たか」

アッシュ(田中星児のレーダー反応は、離れたところで止まって動かない。今すぐ俺を狙ってくる気配はなさそうだ)

心「何見てんだよ」ニュッ

心「……レーダー反応?俺以外の誰かと登録したのかよ」

アッシュ「え?あ、あぁ……うん」

心「……裏切ったのか。俺を」ブスッ

アッシュ「ち、違うぞ!組んだ理由は昨日でバトルロワイヤルを終わらせないためだし……あの少女とはたまたま一時的に利害が一致しただけにすぎん、ただのインスタントチームよ!」

心「ふーん……それで、今日になったらオサラバか。そういうの、なーんかダセーなー」

アッシュ「し、仕方ないだろう!三人チームなんて無理なんだから!」

心「それもそうだけどさー」



そんなこんなでついに午前七時!『宝石配り』の時間に!宝石を受け取ったのは『下1』と『下2』だった!

1.くたびれ三十代『番井蝶』
2.中性金髪ロング『ディーヴァ・ラムダ』
3.臆病女子中学生『リカ』
4.男勝女子小学生『犬木心』
5.余命三年心臓病『田中星児』
6.ボーカル中二病『アッシュ』
7.くたびれ三十代『加賀七音』

誰と誰だった!?1~7番から選んでね!下1と下2の二人に安価を取るよ!
(安価が被った場合、一人が二つの宝石を受け取った事にするよ!)

路地裏



天使「アッシュ、これを受け取れ」ポイッ

アッシュ「おっ……宝石」パシッ

心「おー!二日連続か!運良いな!」

天使「ほら、お前にも」ポイッ

心「おっ!俺にも!?ラッキー!」パシッ

アッシュ(これで誰かから奪う必要はないわけだ……助かるぜ)

心「よっし!じゃあ他の奴ら倒しに行くか!」

アッシュ「えぇ!?いや、宝石を持ってるのは俺達だぞ!?ここは場所を一つに待ち構えていた方がよいのでは!?」

心「何ダセーこと言ってんだよ!こういうのは先手必勝だぜ!センテヒッショー!」ダッ

アッシュ「あっちょ、離れるな!」ダッ

心「……!アッシュ!止まれ!」ザザッ

アッシュ「ああ!?なんだよ、走らせたり、止まれっつったり……!?」

ラムダ「……こんにちは」ザッ

アッシュ(こいつ!『ワープ』使い!)バッ

アッシュ「気を付けろ!犬木心!そいつの能力は『ワープ』!あらゆる空間を繋げてあらゆる物を転移させる!奴の体はもちろん、俺達の体もだ!」

心「……っ!」チャッ

ラムダ「……!その銃、あの女が持っていた……」

心「そこから動くな!撃つぞ!」

ラムダ「待ってください。僕は今日、あなた達と敵対するつもりはない。むしろ協力したいと考えています」

心「……協力ぅ?」

アッシュ(俺は何人とチーム組めばいいんだ)

ラムダ「質問したいのですが……お嬢さん、あなたは昨日ある女に殺された。そして銃を奪われ、宝石も獲得できていない。そうですね?」

心「お嬢さんじゃねぇ!犬木だ!……その通りだけど、それがなんだよ!」

ラムダ「そして隣のあなたは私が殺した……あなた達は二人共、今0ポイント。そうですね?」

心「殺されたって……そうなのか?」

アッシュ「あ、ああ……」

心「じゃあこいつ仇じゃんか!殺す!」チャッ

アッシュ「ま、待て!もう少し話を聞くんだ!」ガバッ

ラムダ「……これはバトルロワイヤルです。感情抜きで物事を考えてください……僕は結論から言えば、今日はあなた達が宝石を獲得しても構わないと思っています」

ラムダ「V系のあなたは知っているでしょうが、僕は『リカ』という女の子とこのバトルロワイヤルでチームを組んでいました」

心(もう仲間が居るのに他の奴とも協力しようなんて軽い奴だぜ!)

ラムダ「しかし……今日、既に彼女のレーダー反応は消滅しました。おそらく、他の参加者から攻撃を受け、脱落したものと思われます」

ラムダ「僕は……彼女を差し置いて一人で優勝するつもりはありません。今日の僕の目的は、宝石を獲得することではなく、今日でバトルロワイヤルを終わらせないこと」

心「おっしゃ!協力するぜ!」ビシッ

ラムダ「えっ」

アッシュ「ちょっ、おい!勝手に決めるな!」

心「なんだよー。聞けっつったり聞くなっつったり……それにさ!死んだ仲間のために頑張るってカッコイイじゃん!」

ラムダ(感情抜きで物事を考えてと言ったのに……いえ、協力を了承してくれるのであればあえて口にはすまい)

アッシュ(まぁ……いいか。宝石が目的じゃないってんならチームを組んでも)

アッシュ(それにこれで3人チーム!しかも『ワープ』が味方!これなら負ける気がしないぜ!)

アッシュ「……ふっ、分かった。お前の懇願を受けてやろう」

ラムダ「……ありがとうございます」

住宅街



星児「……午後零時。天使が来なかったってことは、今日もハズレたってことか……当たったのはどこのどいつだ?」パカッ

星児(宝石の反応が『アッシュ』と重なってる……もう一つの宝石も、すぐ近くにあって、一緒に動いてる)

星児「よりにもよって、ペアで配られたのかよ、豪運だな……あーあー、カミサマは意地悪だねぇ、つくづく」

星児「それじゃあ……行きますか」ザッ

ビル屋上



蝶「天使さん。私に宝石は?」

天使「ないよ。今日もお前はハズレだ」

蝶「あらあら……残念」

蝶(けど、それはそれで良し。ね。宝石を持つと居場所がバレるし、MPがない今は逃げるのも難しい)

蝶「理想は昨日みたいに、終了寸前で宝石を奪う事」

蝶(そうなると、今すぐ何かする必要はないわね。無暗に動くのもよくないし、引き続きここでお休みしてましょう)

蝶「うふふ……暇ぁ」

路地裏・物陰



七音(宝石配りに外れたのはいい。私の狙いは昨日と同じ、誰かのお零れを掠めること。卑怯と言われても構わない)

七音(今宝石を持っている人間を尾行して、機を窺う……窺いたいのだが……)


心「誰も居ねーなー」テクテク

アッシュ「~~……いや、田中星児は違うな。登録しているから分かる。あいつも0ポイントだ」テクテク

ラムダ「~~……そうですか。ならばやはり、あの女か、僕らが把握していない参加者が、昨日のもう一人の獲得者……」スタスタ


七音(三人……!?)

七音(……バカな。理論上、チームを組めるのは二人までのはず。というかあの金髪ロングは昨日別の女の子と組んでなかったか?)

七音(とにかく……七人のバトルロワイヤルで三人のチーム。あれに勝てる参加者は存在するのか……!?)

路地裏・物陰



星児(着いた……あいつらだ。けど……)

星児(何で金髪ロングも一緒に居んだよ……!)

星児(なんとなく想像つくぜ……あいつ、あの女子とチーム組んでもんな……しかも、純粋な信頼関係で)

星児(大方、相方が死んだから今日は戦況を膠着させるのに徹することにした……そんでそのために0ポイントコンビのあいつらと協力することにしたって所か?)

星児(くそっ、あの女子殺したのが裏目に出たか……)

星児(『吹き飛ばすピストル』『サウンドスケープ』『ワープ』……とてもじぇねぇが、勝てるビジョンが思い浮かばねぇぞ……)

星児(こいつらが合流する前に戦えてたら……いや、そんなたらればは意味ねぇか。こうなった以上、もう『アレ』に賭けるしかねぇ……!)

路地裏



アッシュ「……本当に居ないな。敵」テクテク

心「みーんな、俺達にビビっちまってるのかもなー!」テクテク

アッシュ(まぁ、確かに……並大抵の能力じゃ、この三人態勢は崩せないだろう……)

ラムダ(路地裏では戦い辛い能力なのか……それとも、すぐ側に潜みながら『アレ』を待っているのか……)

ラムダ「……もうすぐ二時です。二人共、気を抜かないようにしましょう」

アッシュ「……ああ」

心「おう!」

現状



1.番井蝶

ポイント:1
M  P:30
登  録:なし
持 ち 物:衝動のピストル×2(弾丸5+3発)

ビル屋上で暇している。



2.ディーヴァ・ラムダ

ポイント:1
M  P:120
登  録:『リカ』 『犬木心』『アッシュ』
持 ち 物:スタンボム、ナイフ

路地裏で『犬木心』『アッシュ』と共にうろうろ。



3.リカ

ポイント:1
M  P:60
登  録:『ラムダ』
持 ち 物:なし

住宅街で死亡。



4.犬木心

ポイント:0
M  P:50
登  録:『ラムダ』『アッシュ』
持 ち 物:衝動のピストル(弾丸6発)

路地裏で『ラムダ』『アッシュ』と共にうろうろ。



5.田中星児

ポイント:0
M  P:60
登  録:『アッシュ』
持 ち 物:ナイフ

路地裏で『ラムダ』『犬木心』『アッシュ』を尾行。



6.アッシュ

ポイント:0
M  P:70
登  録:『ラムダ』『犬木心』 『田中星児』
持 ち 物:なし

路地裏で『ラムダ』『犬木心』と共にうろうろ。



7.加賀七音

ポイント:0
M  P:120
登  録:なし
持 ち 物:なし

路地裏で『ラムダ』『犬木心』『アッシュ』を尾行。

そんなこんなでついに午後二時!『イベント』の時間に!『下1~3』のどれかが起こった!
(起こるイベントを自由に考えてね!出揃ったらその内のどれが起こるかあらためてコンマで決めるよ!)
(描写が困難な物、ゲームに関係がない物、ゲームバランスを著しく崩壊させる物であれば、>>1の判断で再安価とさせていただきます。ご了承ください)

全員のポイント・MP・登録・持ち物が入れ替わる

>>148はゲームバランスが崩壊すると思うので、独断ですが除外させていただきます。ご了承ください。

もう一つイベントの安価を取ります。よろしければ安価ください

『下1』

吹雪が吹き始めた

>>152は描写が困難なので、独断ですが除外させていただきます。力量不足ですいません……ご了承ください。

もう一つイベントの安価を取ります。度々申し訳ございません。よろしければ安価ください

『下1』

天界・ルーレット



神様「もう二時か。天使くん。ルーレットとダーツを」

天使「はいはい」ガラガラガラ

天使「ほっ」ギュルンッ

神様「行くぞ~」



次のレスのコンマが

01~33で『レーダーで位置が解る宝箱が出現 』
34~66で『宝石が空を飛び、どこかに飛んでいく 』
67~99で『霧が立ち込めて視界不良になる 』
00はもっかい

神様「とぉっ!」トスッ

路地裏



天使「ぴんぽんぱんぽーん。ということで、イベントの時間だ」

ラムダ(来た……!)

天使「今日のイベントはこれに決まった。『宝石が空を飛び、どこかに飛んでいく 』」

ラムダ「……!?」

心「ん、おお?宝石が、勝手に空中に……っ」フワーッ

天使「ほっ」ピタッ

アッシュ「どこ行くねーん!」ドヒューンッ

天使「さぁね。レーダーで確認するといい。それじゃあ」スウゥッ

ラムダ「くっ……」

ラムダ(折角最高の状態だったのに……これで台無しになってしまった!)

ラムダ(宝石はどこに!?)パカッ



1.『路地裏』 (『ラムダ』『犬木心』『アッシュ』『加賀七音』が居る)
2.『ビル街』 (『番井蝶』が居る)
3.『住宅街』(『田中星児』が居る)
4.『駅前』 (誰も居ない)
5.『交差点』 (誰も居ない)
6.『商店街』(誰も居ない)
7.『公園』 (誰も居ない)

どことどこに行った!?1~7番から選んでね!下1と下2の二人に安価を取るよ!
(安価が被った場合、同じ場所に宝石が飛んでった事にするよ!)

これは田中星児は尾行してるんじゃないの?
住宅街にいるって事になってない?

>>161

>>144の最後に


星児(昨日の『アレ』は『宝石をもう一個追加する』だったな……もし同じタイプの『アレ』が起こって俺に配られたりするなら……こいつらの近くに居るのは危ない)

星児(……俺に有利な『アレ』が起きる確証もねぇし……一応、距離取っとくか)スッ


という二文をくっつけていたのですが、コピー抜けしてそのまま貼り付けちゃったみたいです……。ご指摘ありがとうございます。

色々グダグダして申し訳ございません。

↓から本編を再開します。

住宅街



星児(『宝石の再配置』……!なるべく近くに飛んできて欲しいが……いざとなったら『加速』で無理矢理拾いに行く!)パカッ

星児「うわあっ!?」ドヒューンッ

星児(何か飛んできた!敵襲!?いや、この反応は……)

星児「宝石か!」

星児(ドンピシャじゃねぇか……あいつらから距離取っといて良かった。俺にもようやくツキが回って来たかな)ヒョイッ

星児(さぁ……本当の戦いはこっからだ……守り切るぞ、この一個を)

路地裏



アッシュ「おおお……おっ?」

アッシュ「うわあっ!?」ドヒューンッ

アッシュ(と、飛んでったは飛んでったけど、すぐ近くに落ちたぞ?)

ラムダ「これは……宝石が戻ってきた?」

ラムダ(『どこかに飛んでいく』……それがランダムなら、同じ場所に戻ってくることもあり得るのか)

心「……けど、一個だけかー。もう一個はどこ行った?取り返しに行こうぜ」

アッシュ「……あっ」レーダーパカッ

アッシュ(『田中星児』の反応と被ってる……!?)

ラムダ「……その反応は、先程言っていた『田中星児』ですか?」

アッシュ「あ、ああ……そうだが?」

ラムダ(この人間も0ポイント……ならば、別に田中星児が宝石をこのまま獲得するのは問題ない)

ラムダ(……だが、まぁ一人が持っているより、僕を含めたチームで持っている方が安全でしょう)

心「よし!じゃあそこ行って取り返そうぜ!」

ラムダ「ええ……そうですね。そこの宝石を拾い直してから」

路地裏・物陰



七音(どうする!?宝石が一つ奴らの手から離れた今なら、出し抜いて私が先に拾うことができる……!)

七音(チャンスは今しかない!こっちから奪いに行くのではなく、あっちから奪いに来るのを撃退するなら!私の能力でも分がある!)

七音(大丈夫、策はあるんだ。『光と音の爆弾』は他の二人の能力を阻害する。自動防御の『インク腕』で撃退は容易だ)

七音(『演奏を聞いている人間の自由を奪う能力』も無効化する術がある)

七音(そして少女の『吹き飛ばす銃』……あれも、私の思い通りにことが進めば無効化できる……)

七音(だが……本当に、それでいいのか?そんなに上手くことが運ぶだろうか?)

七音(いや……ここで弱気になってどうする!私はいつもそうだ。過剰に心配する臆病者。そのせいで何の軌道にも乗れない、低空飛行の人生を続けて来た)

七音(私の願いは『人生をやり直すこと』……でも、それだけじゃ意味がない。今の私のままでは、もう一度同じ人生を繰り返すだけだ!)

七音(このバトルロワイヤルで変わるんだ!勝負に出れる人間にならなければ!)

七音(…………いや、でも…………)モンモン



加賀七音が取った行動は『下1』だった!

1.いけるはず!宝石を拾いに飛び出す!
2.いや無理無理無理!同じ場所でじっとしてる!

どっちだった!?1、2番のどっちか答えてね!下1だよ!

路地裏



ラムダ「……」ジーッ

心「よっと。よし、じゃあ行こうぜ」ヒョイッ

アッシュ「おう」

ラムダ(……他の参加者は現れなかった……僕の考えすぎか、それとも余程用心深い性格の人間なのか……)

ラムダ(感知系の能力者でも居れば便利だったんですけどね)

ラムダ「……そうですね。行きましょう」

路地裏・物陰



七音(結局、チャンスを見逃してしまった……)

七音(いや、しかしこれでいい。今の私の作戦には不確定要素がありすぎた。これは臆病などではない。戦略的沈黙だ)

七音(昨日だってそうだった。待つ。待つんだ……今からあいつらはもう一つの宝石の移動先へ行く。そこで私以外の参加者との衝突があるはず)

七音(それに乗じて横から……それができなくても、あいつらが消耗するのを待つ!)

七音(差し当たってはバレないように尾行を続ける!)コソコソ

ビル街・ビル屋上



蝶「『宝石が空を飛び、どこかに飛んでいく 』……ねぇ……」パカッ

蝶(一つはほぼ同じ場所に、もう一つは住宅街の方に……両方とも私の居ない所に飛んでっちゃったわね……)

蝶(まぁ、近くに来られても困るしね……まだ二時過ぎ、勝負をかけるには早い)

蝶(バラバラになって、他の参加者同士の接触が促進されたのはちょっと得かしら……それにしても、私にはあんまり関係ないイベントだったわね)

蝶「さぁ、引き続き勝負所までここで待機してましょう」

蝶(MPが残ってればもっと殺しに動いたんだけど……もどかしいわねぇ……)

住宅街・付近



アッシュ「さぁ……『田中星児』の反応はこの先なんだが……」

アッシュ(さっきから位置がほとんど動いてない……あいつも俺達の接近が分かっているはずなのに、だ)

アッシュ(何か罠でも仕掛けてあるのか……?いや、そんなことができるタイプの能力じゃないはず……)

心「おいアッシュ。どうしたんだよ、早く行こうぜ」

アッシュ「いや、待て。あいつが動かずに待ってるということはあいつにも勝算があるってことで、それが分からないうちに行動するのは危険……」

心「あー?」ジロッ

ラムダ「……そういうことなら、私が先に行って様子を見てきましょうか」

アッシュ「……お、おう!そうしてくれたまえ!」

ラムダ「それでは、脇のマンションに入って、そこから様子を報告します。レーダーを通話状態にしておきますので、何か動きがあれば連絡を」

アッシュ(助かるぅ~)

心「……」

ラムダ「はっ」パリンッ

ラムダ(バレないように扉を開けて……見えた。あれが『田中星児』……)チラッ

ラムダ(特に周りに罠らしき物は見えないが……腹部を怪我している?)

ラムダ(腹部の怪我……そしてこの住宅街という場所。リカさんの反応が消失した地点と一致する)

ラムダ(もしかして、こいつがリカさんを……?)

ラムダ(……いや、感情抜きで物事を考えろと言ったのは私だ。忘れよう)

アッシュ『おい、様子はどうだ?』

ラムダ「腹部に怪我を負っています。それ以外に変わったことは確認できません」

アッシュ『そうか、じゃあ……』

ラムダ「では、どうぞ」

アッシュ「え?」

ラムダ『……?最低限の安全は確認できました。お二人で攻撃をどうぞ』

アッシュ「いや……お前は手伝ってくれないの?」

ラムダ『……一度、僕の立場を再確認しましょうか』

ラムダ『確かに、あなた達の協力をするとは言いましたが、それはバトルロワイヤルを終わらせないという目的の下です』

ラムダ『田中星児も、現時点では0ポイント。あなた達と変わらず、一個までなら獲得されても僕は構わない。僕が積極的に攻撃する理由はありません』

ラムダ『更に言うなら、明日もバトルロワイヤルが続くのだから、僕はできるだけMPを温存したい』

ラムダ『ですので、僕はここで待機しています。もしあなた達がピンチになればその時は僕も加勢しますので、あなた達で解決できることはあなた達でどうぞ』

アッシュ「くっ、この~!」

心「まぁ、仕方ないだろ。その代わりに俺らが宝石を独占するんだ。あんまり強いこと言えねぇよ」

心「ほら、行こうぜ」ザッ

アッシュ(……小学生に諭された……)

心「『衝動のピストル』!……ほい、渡しとく。今度はなくすなよ」ズギャンッ

アッシュ「おう……今日は予め具現化してないんだな」

心「昨日はそのせいであの女に盗られちまったからな……。今日は使う時に具現化する」

アッシュ「ふーん?でもお前、今日最初からピストル持ってなかったか?」

心「ああ、これは昨日出したやつだ」

アッシュ「それは奪われなかったのか?」

心「うん。空から落ちる前に飲み込んだからな」

アッシュ「えっ」

心「『持ち物』としてカウントされて、今日の初めには腰に戻ってた」

アッシュ「死ぬ直前によくそんな気持ち悪い事思いつくな……」

心「へへ。どうせ生き返るし、死ぬのなんて怖くねぇしな……まぁいいや。銃も渡したし、早く行こうぜ」

アッシュ「ん?お前も付いてくるのか?」

心「また昨日みたいに一人になった所狙われたらやだもん」

アッシュ(……やっぱ怖かったんじゃないのか?)

アッシュ「……」ザッ

心「……」ザッ

星児「……来たな」

アッシュ(……あいつの報告通りだ。腹の所に血が滲んでる)

アッシュ「……だ、大丈夫なのか?」

星児「ああ?」

アッシュ「あ、いや……」

アッシュ(あいつが心臓病だってこと知ってるからか……つい、心配するようなことを……)

星児「……ちっ。俺ぁ言ったよな?そういう目は飽き飽きだってよ」

心「ちょっと待った!」バッ

星児「ああ?」

アッシュ「え?」

心「今あんた……自分のこと『俺』って呼んだか?」

星児「……んだよ。オンナノコに『俺』は似合わねぇってか?」

心「一緒だ……」プルプル

星児「……?」

心「俺と一緒だ!」

星児「!?」

心「初めて見た!俺以外に自分のこと『俺』って呼ぶ女子!なぁ、このバトルロワイヤルが終わったらまたどっかで会おうぜ!友達になれるぜ俺達!」キラキラ

星児「……おい、これは何の作戦だ?」

アッシュ「俺が聞きたい」

心「しかもあんた名前『星児』なんだろ!?いいなー!名前も男みたいでカッコイイじゃん!」

星児「……ああ?」

心「俺は『心』でさー……いかにも女の子って感じでダセーじゃん!だからさ、このバトルロワイヤルで優勝して、名前を『ケルベロス』に変えてもらうんだ!」

星児(ダサッ)

心「そんで性別も変えてもらって、本物の男子になる!もう『女の子らしくしなさい』って言われない人生にするんだ!」

星児「……っはぁー……残念だけど、俺はお前と友達になれる気がしないぜ。心ちゃん」

心「……下の名前で呼ぶな。あとちゃん付けするな」ムッ

星児「お前『女の子らしく』って言われるのが嫌いなんだな。まぁ、俺も嫌いだけどよ……だからって、男になるって言っちまったらよぉ、それはもう認めてるようなもんじゃねぇか」

星児「女の子は、男の子らしくしちゃいけないって」

心「……いや、俺は……」

星児「それから、お前もう一つ思い違いしてるよ。名前の意味っていうのはな、字面で決まるんじゃねぇ。誰かに呼ばれる時に決まるんだ」

星児「お前がやるべき努力は名前を変えようと躍起になることじゃねぇ。お前の名前を呼ぶ時、誰もがカッコイイなって尊敬の念を込める。お前自身がそんな人間に成長することだ」

星児「お前が『心』って名前の意味を変えてやるんだ!そっちの方がカッコイイだろ!違うか!」

星児(あと『ケルベロス』って名前は普通にダセぇ)

心「……!」

アッシュ「おい、何か言い返せよ」

星児「……あと、お前もだアッシュ。昨日『けろ』とか言ってたよな。お前絶対純日本人だろ。アッシュってのは偽名か何かだな?」

アッシュ(灰島太郎)「ぎくっ」

心「……そうなのか?」

アッシュ「い、今は関係ないだろう!」

星児「……ついでだ。アッシュ、お前の願い事も聞いてやるよ」

アッシュ「……っはぁ!?お前、状況分かってるのか!?今、俺達は敵同士なんだぞ!?」

星児「先に無駄話始めたのはそっちのガキだろが……いいから言ってみろよ」

アッシュ「……俺の願い事は、有名になることだ。有名になって、俺達のバンドを世界一にする!」

星児「はぁーん。お前の願い事はもっとダセぇな。そんな裏技で集めた客で武道館か。それになんの意味があるんだよ」

アッシュ「……お前には分かんねぇだろうさ!夢を追い続ける苦しさも!報われない辛さも!」

星児「はっ、俺に不幸自慢するなら余命二年になってからにしやがれ!」

星児「……ったく、どいつもこいつもふざけた願い事しやがって……ムカつくぜ」

星児「お前らみたいな奴には、絶対負けてやらねぇ」ザッ

星児「『時間操作・加速』!」ビュンッ

アッシュ(……来た!ここは昨日と同じように……最初は音量MAXでかき鳴らす!)ギュイーンッ

アッシュ「『サウンドスケープ』!」ジャカジャンッ

星児(……耳を……っ!)グッ

アッシュ(耳を塞いだ所で効果などあるものか!この距離の音量MAXだぞ!いくら上手に塞いでも、必ず音は鼓膜まで伝わる!)ジャンジャカジャーンッ

星児「ぐっ……!」ドサッ

心「悲じい~」ポロポロ

アッシュ(よし……ちゃんと作用した。後はこのままあいつに近付いて……)スタスタ

アッシュ(間近で音量を小さくして犬木心が動けるように……)

星児「……」

アッシュ(……いや、ちょっと待て。なんでこいつ、涙を流していないんだ?)

星児「……聞こえねぇなぁ。お前のダセぇギターなんてよぉ……!」タラァ

アッシュ(耳から血が!こいつ、さっき自分で鼓膜を……!?)

アッシュ(まずい、ここから離れ……っ)

星児「……遅ぇ」ザスッ

アッシュ「かはっ……!」ブシュッ

星児「さぁ……後は」

心「アッシュ……!?」ガバッ

星児「来いよ……犬木心」

心「っ、あああっ!」ドンッ


ラムダ(……!犬木さんが『衝動のピストル』を撃った!けど、おそらく『高速移動』相手には当たらないはず!)

ラムダ(僕は……どうする!?)



ディーヴァ・ラムダが取った行動は『下1』だった!

1.『スタンボム』で目眩ましだ!
2.『空間湾曲』で田中星児の所へワープだ!

どっちだった!?1、2番のどっちか答えてね!下1だよ!

ラムダ(このままでは『田中星児』が宝石を二個獲得する!それは避けねば!)

ラムダ「……『空間湾曲・10m』!」グニャアッ


星児(来たな……『ワープ使い』!)

ラムダ(僕と銃弾の挟み撃ち!銃弾を避ける隙に、僕の『空間湾曲』で上空へワープさせて落下死させる!)

ラムダ(さぁ、避け……)


ドフッ


ラムダ「……避けない!?」ザッ

ラムダ(着弾し、彼女の体が8m真上に吹き飛んだ!)

星児(これでいい……これが俺の逃走経路……!)

ラムダ「……犬木さん!もう一発弾丸を!」

心「おう!」ドンッ

ラムダ(彼女の能力は『高速移動』!空中では身動きが取れないはず!この弾丸も当たる!二発合計で16m!即死の高さ!)

星児「……『時間操作・停止』!」ピタッ

心「!?」

ラムダ「何……っ」

ラムダ(空中で体が停止した!?落下しないで、銃弾が外れた!……何だあれは、何かの上に乗っている?)

星児(『光と音の爆弾』の女の手を切り取って、空中で停止させた!これを足場にして……!)

星児「だぁぁっ!」バッ

ラムダ(隣のマンションに飛び移った!)

星児「がっ、あぁっ……はぁっ、はぁっ……『加速終了』『停止終了』」シュウウ

星児(よし……無事マンションまで逃げ切れた……俺が『住宅街』で待ち受けていた理由がここにある)


ラムダ(……駄目だ!私が偵察していた階と田中星児が逃げた階は違う!地形を正確に把握しなければ『空間湾曲』は使えない!)

ラムダ(いや、だけどまだだ!敵が宝石を持っている以上、レーダーの反応を頼りに追跡が可能!『高速移動』も無限に使えるわけではないはず!)パカッ

ラムダ「なぁ……っ!?」

ラムダ(どういうことだ……!?アッシュの宝石が奪われていない!)


星児(俺が『住宅街』で待ち受けていた理由がもう一つある……)

星児(あの『どこでもドア』の女は、俺と会った二回ともビル屋上に逃げた)

星児(何故わざわざビル屋上なのか?行き先を宣言しなければいけないというデメリットがある以上、絞られやすい場所には行かないべきのはず……)

星児(俺は、一つの仮設を立てた。あのドアは『視界の範囲内』にしか出現させられないんじゃないか?)

星児(そしてここ『住宅街』から『ビル屋上』へ移動できたということは)

星児(また同じように『ビル屋上』から『住宅街』も……)

星児「見えてんだろ……!?おばさん……!」

ボワンッ


心「うおっ、おおおっ!?」ドフッ

ラムダ「っ犬木さん!?」バッ

心(体が真上に吹き飛んだ!この能力、俺の『衝動のピストル』!俺以外にピストルを持ってる奴!そしてこの不意打ち感!)

心「またあんたか!おばさん!」

心(くそっ……このままじゃ落ちる!自分で自分に撃って、別の場所に移動するしかねぇ!)ドンッドンッ

蝶「あら、流石チーム。逃げ方まで一緒なのね」

ラムダ(……リカさんが言っていた『どこでもドア』の人!リーチ候補の一人!)

蝶「ふふ。宝石と銃の追加ゲットぉー……」ヒョイッ

ラムダ(しまった!アッシュさんの持ち物を拾われた!)

蝶「いやー。果報は寝て待てって本当ね。待ってるだけでこんなチャンスが巡ってくるなんて」

ラムダ(彼女はリーチ候補!このまま宝石を獲得させるわけにはいかない!)ザッ

蝶「あら……向かってくるの?やめといた方がいいと思うわよ。私、あなたの弱点が分かっちゃったから」

ラムダ「弱点……?」ピクッ

蝶「あなたの能力は『ワープ』……でも、見たところ単純なテレポートじゃない。私みたいな区切られたゲートがあるわけでもない」

蝶「『空間を歪ませて移動してる』……曲がったガラスに映る虚像みたいにね」

蝶「そしてそれなら破るのは簡単なのよ。このピストルを使えばね。何故なら銃弾も一緒に歪んだ空間を動くから。あなたがどこに逃げようと、同じ動きで銃弾は追っていく」

蝶「あなたの弱点は『銃弾』などの『飛び道具』……でしょう!?」ドンッ

ラムダ「……残念。『飛び道具』こそ、僕が最も得意とする相手です……『空間湾曲・10m』!」グニャアッ

蝶「がっ……!?」ドフッ

蝶(この男……自分の体ではなく『銃弾』を私へワープさせた!?)

蝶(まずい!私の体が、自らあの男の方に吹き飛んでいく!)

ラムダ「『空間湾曲・上空50m』!」グニャアッ

蝶「……っ!」グニャアッ

ラムダ「20mや30mでは、犬木さんと同じようにマンションに逃げられてしまう……少し多めに50mにしてみましたが、どうでしょう」

蝶(私の持ってるピストルの残弾数は全部で12発!移動できる距離は96m!)ヒュオオオッ

蝶(駄目……っ!移動できる範囲内に、高度50m以上の建物が……ない!)


ベシャアッ

心「おーい!大丈夫だったか!?」タタッ

ラムダ「ええ……なんとか……」

心「俺のピストル!」バッ

ラムダ「……そっちですか」

心「ああ!良かった!やっと奪い返せた!……でも結構使われてるな……俺みたいに飲み込んで隠し持ってないかな」ゴソゴソ

ラムダ「……宝石も回収しておいてくださいね」

ラムダ(……ん?女の死体の横に何か……田中星児が空中で足場にしてた物か?)

ラムダ「これは……人間の手……!?」

ラムダ(しかもこの感触は覚えがある……これは、リカさんの……)

ラムダ「やはり、あいつがリカさんを……!」ガバッ

心「待てよ」クイッ

ラムダ「……犬木さん?」

心「感情抜きで物事を考えろっつったのはお前だろ……アッシュは死んだ。もう一つの宝石はここにあるし、俺もお前もこれ以上宝石は要らない」

心「あいつも一つしか獲得しないなら俺達が積極的に攻撃する理由はない……だろ?あいつも多分、こうなるのを見越してアッシュの宝石を奪わなかったんじゃねぇかな」

心「それに、空中で『停止』したあいつのもう一つの能力……それが何か分からん内は、あいつに無暗に近付くのは危険だろ」

ラムダ「……そう、ですね……」

住宅街・物陰



七音(……『ギター使い』と『どこでもドア』が死んだ……いや、それより)

七音(あの金髪ロング……あっちが『ワープ使い』だったのか!……爆弾はあいつが投げていただけで、隣の女の子の能力だったということか……)

七音(くっ……なら、私があいつらに勝てる方法はない……私の能力『虹色インク』は空間干渉に弱い……)

七音(ここまで待ったが……今日は宝石を手にすることすらできなさそうだな)

七音(しかし、この状況からでもできることはある。今尽くせる全てを!最後に私が勝つために!)ザッ


ラムダ「参加者はまだ残っているはず……もう一人のリーチ候補者。残り時間でそいつに……」ザッ

七音「それは……私のことかな」スッ

ラムダ「!」バッ

ラムダ(私が見たことのない能力者……!こいつが七人目!)

七音「……行くぞっ!」ダッ

ラムダ(突っ込んで来た!ならば、あの女と同じように上空へワープさせる!)

ラムダ「『空間湾曲・20m』!」グニャアッ

七音「……っ!」グニャアッ

七音(空中では能力が使えない……。私はこのまま落ちて死ぬだろう)

七音(だがそれでいい。奴に能力を、MPを使わせたことに価値がある!)

七音(私が勝つにはこいつとあの女のMPを切れさせるしかない!これはそのための布石!明日への楔!)


ベシャアッ



加賀七音:死亡

心「……あたしのピストルの出番はなかったな……なんだったんだ?こいつ」

ラムダ「……分かりません」

ラムダ(これで残りの参加者は僕と犬木さんと田中星児の三人。このまま二日目は終了。明日までバトルロワイヤルを終わらせないという当初の目的は、無事に達成できるでしょう)

ラムダ(だが、結局この男の能力は分からなかった。どの程度の情報を有しているかも……)

ラムダ(明日も、気を引き締めて行きましょう)

心「なぁ……ラムダさん」

ラムダ(……初めて名前で呼ばれましたね)

ラムダ「何ですか?」

心「あんたの願い事って……なんだ?」

ラムダ「『平和に過ごすこと』……です」

心「ふーん……まぁ、言いたくないならいいけどさ」

ラムダ「……え?」

心「だて、それ嘘だろ?」

ラムダ「いえ……そんなことは」

心「でも『平和に過ごしたい』なんて人が、誰かのために怒ったりするかなぁ」

ラムダ「……!……それは……」

心「……よく分かんないけどさ。もっと自分に正直に生きた方がいいと思うぜ。リカって奴のために戦うあんた、ヒーローみたいでちょっとカッコよかった」

ラムダ(……『ヒーロー』……昨日も聞いた言葉だ。僕は……)

心「田中星児の願い事は……何だったのかな」

ラムダ「……確か、あなた達と言い合っていた時に『俺に不幸自慢するなら余命二年になってからにしやがれ』……と言っていましたね」

心「……うん。俺も聞こえた」

ラムダ「おそらく、それに関係することだと思われます」

心(余命……)

心(…………)

天界・休憩室



シュンッ


星児「うおっ」ボフッ

星児(急に知らない部屋に……レーダーは午後四時。一日が終わっても生存してた奴はここに来るってことか?)

天使「二日目お疲れ様。今日は生き残れて良かったな。明日までここで休むといい」

星児「あ、ああ……ん?何で耳が聞こえるんだ?」

星児(アッシュの『サウンドスケープ』を無効化するために、鼓膜は破ったはず……)

天使「一日ごとに参加者の傷も修復される。じゃなきゃ殺さずダルマにするのが強すぎるからな。うちの神様はそんなつまらない展開は望んじゃいないんだ」

星児「ふーん……じゃあこの心臓病が治らねえのはなんでだ?これに参加する前より酷くなってるんだが」

星児(今日の終わりの方なんか、体力を消費し過ぎて一歩も動けなかった)

天使「その傷は能力の一部みたいなもんだからな……修復はできん。恨むならそんな能力を引いた自分を恨むんだな」

星児「……ちっ。そうかよ」



『犬木心』『田中星児』が1ポイントずつ獲得!

異能力者七人のバトルロワイヤル!二日目が終了した!

二日目終了・現状



1.番井蝶

ポイント:1
M  P:10
登  録:なし
持 ち 物:なし



2.ディーヴァ・ラムダ

ポイント:1
M  P:75
登  録:『リカ』『犬木心』『アッシュ』
持 ち 物:スタンボム、ナイフ



3.リカ

ポイント:1
M  P:60
登  録:『ラムダ』
持 ち 物:なし



4.犬木心

ポイント:1
M  P:25
登  録:『ラムダ』『アッシュ』
持 ち 物:衝動のピストル×3(弾丸2+3+3発)



5.田中星児

ポイント:0
M  P:30
登  録:『アッシュ』
持 ち 物:ナイフ



6.アッシュ

ポイント:0
M  P:50
登  録:『ラムダ』『犬木心』『田中星児』
持 ち 物:衝動のピストル(弾丸6発)



7.加賀七音

ポイント:0
M  P:120
登  録:なし
持 ち 物:なし

天界・振り返り



神様「『犬木心』『田中星児』が二日目の獲得者か……これでリーチが五人。番号にすれば丁度12345だね」

天使「神様の予想は外れましたね」

神様「やっぱり合流前に『リカ』と『田中星児』が当たったのがねー。痛かったね」

天使「『リカ』も健闘しましたが……『星児』の方が一枚上手でしたね」

神様「ああいう性格の子は殺し合いに向いてないよね」

天使「文句を言うならこれからは参加者を自分でお選びください」

神様「やだ。めんどくさいもん」

天使「はぁー」



天使「今日は全ての戦闘が住宅街で行われましたね」

神様「やっぱり殺傷能力のない異能ばっかりだから、チームプレイや膠着状態になりやすいのかな」

天使「文句を言うならこれからは異能力を自分でお考えください」

神様「やだ。めんどくさいもん」

天使「はぁー」

天使「明日は誰が勝つと思いますか?」

神様「うーん。やっぱ明日も『ラムダ・リカチーム』が強いんじゃない?今日の敗因は合流できなかったことだと思うしね」

神様「というかラムダくん強いよね。え強くない?」

天使「戦闘、逃走、サポート……なんでもござれって感じですよね」

天使「でもサポートなら他人にも渡せる『衝動のピストル』も強いですし、逃走ならより範囲の広い『どこでもドア』も強いですよ」

神様「なんで移動系の異能が三つもあるの?」

天使「さて、そろそろ転送の時間ですよ」

神様「三日目開始!転送!」

天使「・・・って神様。『下1』と『下2』の初期位置がもろ被りじゃないですか」

神様「我々はランダムな点描と言えば満遍なく広がった模様を思い浮かべるが『満遍なく』という状態こそ一種の偏りであり、真のランダムな点描ならばむしろ(以下略)」



1.くたびれ三十代『番井蝶』
2.中性金髪ロング『ディーヴァ・ラムダ』
3.臆病女子中学生『リカ』
4.男勝女子小学生『犬木心』
5.余命三年心臓病『田中星児』
6.ボーカル中二病『アッシュ』
7.くたびれ三十代『加賀七音』

誰と誰の位置が被った!?1~7番から選んでね!下1と下2の二人に安価を取るよ!
(安価が被った場合、誰も出会わなかった事にするよ!)

路地裏



七音「……っ」シュンッ

七音(昨日の初めと同じ感覚……また『生き返った』のか。二回目ともなれば、慣れた物だな)

七音(さて……昨日と同じく、宝石配りの時間までどこかに隠れるとするか……)

ラムダ「あっ」バッタリ

七音「あっ」バッタリ

ラムダ(この男……昨日の最後に突っ込んで来た奴!)ザッ

七音(この男……『ワープ使い』!私の能力が通用しない相手!)

七音(今日はリーチの参加者が五人も居る!おそらくバトルロワイヤルは今日で終了する!昨日のような明日のために特攻という作戦は取れない!)

七音(応戦は不可!ならばどうする!?ここから逃げるか!)

七音(いや、だがここで私が逃げたら相手はどう思うだろうか。昨日の特攻を含めて『自分には勝てない能力である』という確信を持つんじゃないか!?)

七音(そうなれば終わり!『ワープ使い』が相手では逃げ切れない!)

七音(応戦も逃走も不可!……ならば!)

七音「……っ『七色の魔法(セブンス・ギフト)』!」

ラムダ(! 相手の足元に虹色の水溜りが!そこから無数の腕が生えている……これがあの男の能力!)

ラムダ(おそらくあの腕で敵を攻撃する能力……それだけなら、昨日と同じように上空へワープさせれば……)

ラムダ「『空間湾……」

七音「何っ!?くっ、6番目の能力が発動してしまったか!」

ラムダ「……?」

ラムダ(何だ?『6番目の能力』?)

七音「あっ、ああ!今私を攻撃しては駄目だ!これは君のための忠告でもある!今君が攻撃すると、お互いにとって良くないことが起こる!」

ラムダ「……?」

七音(よし!動きが止まった!やっぱりこいつは私の能力を知らないんだ!この調子で、こいつを騙す!応戦も逃走もできないなら、ハッタリで押し通す!)

七音「私の能力は『七色の魔法』と言ってね。七つある能力の内、一つがランダムに発動するという能力なんだ」

七音「今発動したのは6番目の『道連れ』。誰かが攻撃して来たらそれに反応して、沼に沈めて殺す。ここに居る私ごとね」

七音「終盤に発動すれば牽制として使える能力だが……お願いだ。攻撃するのはやめてくれ。君もこんな序盤に脱落するのは嫌だろう?」

ラムダ「……何故そこから動かないんです?」

七音「6番目の能力は発動中、そこから動けなくなるという縛りがあるからだ」

ラムダ「……解除すればいいでしょう」

七音「三時間経たなきゃ解除できないんだ」

ラムダ(……三時間……今から三時間後にはもうイベントの時間。そこまでここに留まることは悪手だ。リカさんとの合流を優先させた方が良い)

ラムダ(だがそれは、この男が真実を語っていたらの話……!)

七音(怪しんでいる……それはそうだ。少し都合が良すぎる。でも……)

ラムダ「証……」

七音「証拠が欲しいなら、私の能力の紙を一部見せよう」

ラムダ「!」

七音(先に証拠を見せる意思を見せる……!実際はそんな証拠などないのだが、この姿勢が大事!『そこまで言うなら確認する必要はないだろう』と思わせるのだ!)

七音(とはいえ、あくまでこれはハッタリ!相手が『ならば言う通り見せてもらおう』と言えばその時点で瓦解!メッキが剥がれる!)

七音(お願いだ!騙されてくれ……っ!)

ラムダ(……ここは……)



『ディーヴァ・ラムダ』が取った行動は『下1』だった!

1.『加賀七音』を信じる!ここは退いてリカさんと合流だ!
2.『加賀七音』を信じない!ここは念のため証拠を見せてもらおう!

どっちだった!?1、2番のどっちか答えてね!下1だよ!

ラムダ(ここは一度退いて、リカさんとの合流を優先しましょう)

ラムダ「……分かりました。それでは」タッ

七音(離れて行った……)

七音「っはぁー……」ホッ

七音(MPを30消費してしまったのは痛いが、何とか切り抜けられた……)

七音(よし、このまま宝石配りまで待機だ。今日こそ、私が勝利してみせる……!)

路地裏・付近



ラムダ「……僕です。リカさん」プルルル

リカ『す、すいません!昨日私、すぐ死んじゃって……本当にすいません!』ペコペコ

ラムダ「いえ、気になさらなくて大丈夫です。今日頑張りましょう……それから、僕の下に向かうのはやめて、そこから右斜めに移動してくれますか」

リカ『え?どうしてですか?』

ラムダ「その方向には別の参加者の反応があります。合流する前にぶつかる可能性があるので、そこから離れた場所を合流地点にしましょう」

リカ『は、はい!了解しました!』

ラムダ(今度こそ……彼女を死なせたりしない……!)

商店街



心『そこ動くなよ!』

アッシュ「はいっ!」

アッシュ(犬木心の位置は……ちょっと遠いな。合流まで少し時間がかかるか……?)

アッシュ(ラムダさんの位置は、俺達を避けるように動いてる。偶然か、それともわざとか……とにかく、合流前にぶつかることはなさそうだ)

アッシュ(田中星児も……動く気配はない。このまま無事に合流できそうだな)

公園



星児「三日目が始まったか……」シュンッ

星児(さて、どうするかな)

星児(レーダーで位置の分かるアッシュを狙いに行くか?……いや、結構遠いな。俺が着く前に犬木心と合流するな)パカッ

星児(あの弾丸を避けるのは容易いが……あれを逃げの手段とされるとちょっときつい。俺の短くなった『加速』とあいつの『弾丸』。どっちが先に切れるか……)

星児(まぁ、アッシュの方は耳潰すだけでいつでも勝てるんだ。精々他の奴らと潰し合ってもらうか)

星児(でもそうなると、他の奴らの居場所は分かんねぇし、下手に動くのは危険だ。もし『ワープ』『爆弾』が揃ってる所に出くわしたら……)

星児(……今日は宝石配りまで、ここでおとなしくしてるか)

ビル街



リカ「あれは……ラムダさん!良かったぁ……今日はちゃんと合流できた」

ラムダ「はい。良かったです……」

ラムダ(アッシュさんと心さんは……あっちも合流できたみたいですね)パカッ

ラムダ(そして動かない……宝石配りまで待機するつもりでしょうか。ならばこちらから襲う必要性も、有効性もなさそうですね)

ラムダ「リカさん。宝石配りまでここで待機していましょう」

リカ「はい。了解です!」

商店街



心「おーい!」ブンブン

アッシュ「……ふっ、来たか……」

心「田中星児は今どこだ?」

アッシュ「ん?結構離れた所で……動いてないな。おそらく宝石配りまで待機しているつもりだろう」

心「ラムダさんは……俺らとは関係ない所に向かってってるな。その方向に相方が居るのか」

心(俺らが合流する暇があったってことは、向こうももうすぐに合流するはず。あのチームが揃った状態で戦ったら……勝てるかどうか分かんねぇな)

アッシュ「ふむ。ここは宝石配りまで待機するのが無難だろう」

心「……まぁ、たまにはお前の言う通りでもいっか」

駅前



蝶「MPは……60」

蝶(『どこでもドア』を使えるのは後3回。しかもピストルも奪われて手元にない)

蝶(こんなことならあそこで横槍入れるんじゃなかったわね……もしかしてあの女の子、こうなることまで予想してたのかしら?)

蝶(とりあえず、他の誰かと戦える余力はない。かといって私以外にリーチが四人。明日に期待ってのは無理よね)

蝶(宝石配りで私が当たるのを祈って、そこから逃げに徹するのが一番かしら)

蝶(そうと決まれば、宝石配りまでここで待機するとしましょう)

三日目開始・現状



1.番井蝶

ポイント:1
M  P:60
登  録:なし
持 ち 物:なし



2.ディーヴァ・ラムダ

ポイント:1
M  P:125
登  録:『リカ』『犬木心』『アッシュ』
持 ち 物:スタンボム、ナイフ



3.リカ

ポイント:1
M  P:110
登  録:『ラムダ』
持 ち 物:なし



4.犬木心

ポイント:1
M  P:75
登  録:『ラムダ』『アッシュ』
持 ち 物:衝動のピストル×3(弾丸2+3+3発)



5.田中星児

ポイント:0
M  P:80
登  録:『アッシュ』
持 ち 物:ナイフ



6.アッシュ

ポイント:0
M  P:100
登  録:『ラムダ』『犬木心』『田中星児』
持 ち 物:衝動のピストル(弾丸6発)



7.加賀七音

ポイント:0
M  P:140
登  録:なし
持 ち 物:なし



そんなこんなでついに午後零時!『宝石配り』の時間に!宝石を受け取ったのは『下1』と『下2』だった!

1.くたびれ三十代『番井蝶』
2.中性金髪ロング『ディーヴァ・ラムダ』
3.臆病女子中学生『リカ』
4.男勝女子小学生『犬木心』
5.余命三年心臓病『田中星児』
6.ボーカル中二病『アッシュ』
7.くたびれ三十代『加賀七音』

誰と誰だった!?1~7番から選んでね!下1と下2の二人に安価を取るよ!
(安価が被った場合、一人が二つの宝石を受け取った事にするよ!)

田中星児はポイントなし?宝石とったんじゃ

>>211

またミスです……すいません。田中星児のポイントは現在『1』です。脳内補完お願いします。

↓から本編を再開します。

ビル街



天使「ほい。またお前だ」ポイッ

リカ「わわっ、ありがとうございます!」パシッ

ラムダ「これで三度目……運良いですね」

リカ「えへへ……」

ラムダ(もう一つは……路地裏。『七色の魔法』の男が居た所ですね。あの男が言うには後二時間は『道連れ』が発動しているはず)

リカ「ってことは、奪いに行っても無駄ですね」

ラムダ「そうですね……イベント前に行動を起こすのも危険ですし、しばらくはここで宝石を奪われないように注意しながら待機です」

リカ「はい!」

駅前



蝶「ねぇねぇ天使さん」

天使「ハズレだよ」

蝶「はぁー……一日目から全部で七個も宝石が配られたのに、ついに一回も当たんなかったわね……」

蝶(誰かから奪うのは難しいし、奪えたとしても逃げるためのMPがなくなる……)

蝶「うーん……やっぱり都合のいいイベントを待つしかないかしら……それまではここで待機ね……」

商店街



アッシュ「おい天使!俺への宝石は!」

天使「ないよ。今日はハズレだ」

アッシュ「くっ……一日目も二日目も当たった」

心「それで運が尽きたんじゃねーの?まぁ、運がないなら無理矢理盗ろうぜ。二つあるけど、どっちにする?」

アッシュ「近いのはビル街の方だが……あっちにはおそらくラムダさんチームが居る」

アッシュ「そしてラムダさんの反応には今のところ動きがない。おそらく今は防衛に徹するつもりだろう」

心「そうなると崩すのはちょっと難しいな……じゃあ路地裏の方にするか」

アッシュ「おう。賛成だ。今日はラムダさんチームから宝石を奪う必要はないからな。俺達が欲しいのは宝石一個だけ。そして一個さえ持っていれば、チームの二人は上がれない」

心「……ああ、そうだな……」

公園



星児「アッシュの反応が路地裏の方に動いた……あそこからならビル街の宝石の方が近いのに」

星児(ってことは、ビル街の方は『ワープ』『爆弾』チームの方か。宝石が動いてないところを見ると、ありゃ合流も済ませてるな)

星児(となると、路地裏の方は『どこでもドア』か『インク腕』か……どっちも俺の能力じゃ倒せねぇ。ならここはアッシュ達に任せるか)

星児(あっちにも俺の場所がバレてる。変に動くと警戒させちまうかもしれねーし、ここで待機を続けるか……)

星児(これからのためにも、心臓をちょっとでも休ませねーとな)

路地裏



天使「ほい。今日はお前だ」ポイッ

七音「えっ……」パシッ

七音(わ、私か。私が当たる可能性を考慮していなかった……しかし、これで……)

七音(いや待て。これってまずいんじゃないのか?)

七音(宝石で位置がバレる……『ワープ』は騙したからしばらくは来ないだろうにしても『どこでもドア』に来られたら、それでおしまいだ)

七音(駄目だ!その危険性がある限り、宝石を保持し続けていることはできない!)

七音(くっ……宝石はここに捨てよう。そして物陰に隠れて、誰が拾うか見守る!)

アッシュ「この先に宝石が……あれ?」

心「人が居ない……?」

心(……宝石だけが路地の真ん中にポツンと置いてある)

心「なんだアレ?」

アッシュ「……怪しいな。罠かもしれん。近付いた瞬間に横から襲うとか」

心「それなら俺のピストルで……宝石をこっちに吹き飛ばす!」ドンッドンッドンッ

心「よし。無事ゲットだ」ヒョイッ

アッシュ「……ふっ、やるな」


七音(拾ったのは『ギター使い』か……これは悪くないぞ)

七音(私の勝ち筋は『ワープ』と『どこでもドア』が死ぬこと。両方倒せるのは『ギター使い』のこいつだけだ)

七音(是非とも宝石を拾って、あの二人と潰し合ってもらいたい)

アッシュ「よし。では宝石をこっちに」

心「……」

アッシュ「……おい、どうした。お前は既にポイントを得ているだろう。今日は俺に……」

心「あのさ、そのことなんだけど……この宝石は、田中星児にあげないか?」

アッシュ「なっ……!?」

七音(……!?)

心「俺、思ったんだよ……あいつの言う通りなんじゃないかって。名前を変えるよりも、俺がもっと努力すべきなんじゃないかって」

心「それに、あいつ余命がどうこう言ってた!やけにフラフラしてた気がするし……あいつ多分、何かの病気なんだよ!」

心「何か……そんな奴の願い事より、俺の願い事を優先してもいいのかって……思って……」

アッシュ「……お前……」

心「だからさ!この宝石はあいつに渡そうぜ!」

アッシュ「……駄目だ。俺にも俺の願い事がある」

心「……『バンドを有名にする』ってやつか!?あいつも言ってたじゃんか!そんな裏技に人気になったって、何も意味ないって!」

アッシュ「これはもう俺だけの願い事じゃないんだよ!バンドの仲間、そいつらの家族、そして今応援してくれているファンの皆……そいつらのためにも、俺は……!」

心「その人達だって、きっとこんなこと望んでない!」

アッシュ「……黙れ!お前に何が分かる!」

心「……っ、それなら……」

七音「……『虹色インク』」ズァッ

心「!?」

アッシュ(他の参加者!何だあいつ、足元に虹色の……水溜り?)

七音「『増大×8』!」ズズズッ

アッシュ(水溜りが広がって俺達の足元まで!)

心「ぐあっ……」

心(水溜りから腕が!俺を絞めて……!)ググッ

アッシュ(身動きが取れない!『サウンドスケープ』が使えない!)

心「くっ……ああっ、あっ……がっ……」カクッ

アッシュ(……え?)

アッシュ「お、おい!犬木!犬木心!」

心「…………」

アッシュ(へ、返事がない……死んだ……のか?)

七音「いやぁ……果報は寝て待て。というのは本当ですね。機を待ち続けて、ようやく私にもチャンスがやって来た」ザザザ

アッシュ(俺と犬木の体からピストルが……あのおっさんの方へ流れていく)

七音「私はラッキーだ。あなたの次のパートナーになれる」

アッシュ「は……?」

七音「少女は殺しました。あなたと揉めていたようでしたので」

アッシュ「なっ……」

七音「ですが、構わないでしょう?あなたが相方に求めているのはこの『ピストル』だ」

七音「さらに言えば、私達は丁度0ポイント同士。チームにピッタリでしょう?」

アッシュ(な、なんだ?こいついきなり現れて何を言っている!?)

七音「協力しましょう!アッシュさん。私達はいいチームになれる」

アッシュ「……っ」

七音「……拒否などしませんよね。あなたは一人では宝石を獲得できないし、あの少女が居なくなった現在。あなたとチームを組めるのは私だけだ」

七音「それとも……勝負しますか?私と」

アッシュ(……駄目だ!俺の能力じゃ、引き分けにはできても、勝利することはできない!)

アッシュ(いや、そもそも)

アッシュ「……いいだろう。今からお前がパートナーだ」

七音「……はい。よろしくお願いします」

アッシュ(断る理由がない。あの調子じゃ、どうせ犬木とは別れていた)

アッシュ(俺は俺の願いを優先する!それが当り前だろう!?)

アッシュ(だからこれでいい……これでいいはずだ……)



犬木心:死亡

アッシュ「なぁ、加賀さん。協力を誓ったんだから、俺にもピストルを分けてくれよ。いざという時、必要になるかもしれない」

七音「……はい。どうぞ」スッ

アッシュ(……弾が二発しかない。たしか犬木が持っていた中で最も残弾数が少ない一丁だ)

七音「彼女が死んだ以上、弾の補充はもうできないんです。それで我慢してください」

アッシュ(こいつ……)

七音「ここで、イベントの時間まで待ってますか」

公園



星児(アッシュと宝石の反応が重なって止まった……無事に敵を倒せたってことかな)

星児(あっちが止まってるなら……無理にこっちから行く必要はない。ここはMP温存だ。バトルロワイヤルはおそらく今日で最後)

星児(勝負をかけるのは最後の最後。確実に宝石を獲得する……!)

ビル街



ラムダ(……!?犬木さんの反応が消えた……!?)

ラムダ(アッシュさんの反応はそのまま……おそらく『道連れ』発動したのだろう。それで犬木さんもろとも……)

ラムダ(ということは、アッシュさんは宝石を手に入れはしたが、今は一人ということか……)

ラムダ(今なら楽に倒せるだろうが……位置が少し離れすぎていて、行くまでに時間がかかる。このままでは戦闘中にイベント発生。という展開になりかねない。それはあまりにリスクが高い)

ラムダ「このままイベントまで待ちましょう」

リカ「はい!」

現状



1.番井蝶

ポイント:1
M  P:60
登  録:なし
持 ち 物:なし



2.ディーヴァ・ラムダ

ポイント:1
M  P:125
登  録:『リカ』『犬木心』『アッシュ』
持 ち 物:スタンボム、ナイフ



3.リカ

ポイント:1
M  P:110
登  録:『ラムダ』
持 ち 物:なし



4.犬木心

ポイント:1
M  P:75
登  録:『ラムダ』『アッシュ』
持 ち 物:なし

死亡。



5.田中星児

ポイント:1
M  P:80
登  録:『アッシュ』
持 ち 物:ナイフ



6.アッシュ

ポイント:0
M  P:100
登  録:『ラムダ』『犬木心』『田中星児』『加賀七音』
持 ち 物:衝動のピストル(弾丸2発)



7.加賀七音

ポイント:0
M  P:70
登  録:『アッシュ』
持 ち 物:衝動のピストル×2(弾丸3+6発)



そんなこんなでついに午後二時!『イベント』の時間に!『下1~3』のどれかが起こった!
(起こるイベントを自由に考えてね!出揃ったらその内のどれが起こるかあらためてコンマで決めるよ!)
(描写が困難な物、ゲームに関係がない物、ゲームバランスを著しく崩壊させる物であれば、>>1の判断で再安価とさせていただきます。ご了承ください)

天界・ルーレット



神様「もう二時か。天使くん。ルーレットとダーツを」

天使「はいはい」ガラガラガラ

天使「ほっ」ギュルンッ

神様「行くぞ~」



次のレスのコンマが

01~33で『空から不定期にビームの狙撃』
34~66で『宝石を持ったものを襲うお邪魔する怪物が現れる』
67~99で『レーダーで位置が解る宝箱が出現』
00はもっかい

神様「てぇいっ!」トスッ

神様「決まったね……『宝石を持ったものを襲うお邪魔する怪物が現れる』か……じゃあ作って」

天使「うっわ一番めんどくさいの当たった……」

神様「ほらはよはよ」

天使「はぁ……えっと素材は……こいつでいっか」ヒョイッ

男「うわっどこだここ」シュンッ

天使「『知能操作・低下』『催眠・行動指定~宝石の奪取』『能力付与・宝石感知』『能力付与・体力強化』『能力付与・皮膚硬質化』『能力付与・爪肥大化』」キィィィィ

男「うわあああ」

怪物「グルルル……」

天使「名前のない怪物の一丁上がり……こんなもんでいいですかね?」

神様「いいんじゃない?」

天使「じゃあ落としますよ。おらっ」ドカッ

怪物「ゴアッ!?」ヒュオオオッ

ビル街



天使「ぴんぽんぱんぽーん。ということで、イベントの時間だ」

ラムダ(来た……!)

天使「今日のイベントはこれに決まった。『宝石を持ったものを襲うお邪魔する怪物が現れる』」

リカ「怪物……?」

天使「詳しいパラメータはこんな感じだな」


【怪物】

・頭が悪い(動物レベル)
・宝石を奪おうとしている
・宝石がどこにあるか分かる
・体力がすごい
・皮膚が硬い
・爪が大きい


天使「元はお前らと同じ人間をベースにしてるから、殺そうと思えば殺せるだろうが……それなりの策がないと返り討ちだぞ」

ラムダ「……その怪物は、レーダーには映らないんですか?」

天使「ん?ああ、映るようにしても良かったかな……まぁいいか、めんどくさいし。怪物はレーダーに映らない!これは決定事項だ」

リカ(な、何か適当……)

天使「それに……映っても映らなくてもお前らには一緒だろ」

リカ「? それって……」

怪物「グルルルァッ!」ダッ

ラムダ「!?」

ラムダ(もうすぐ側まで来ていたのか!)

リカ「きゃっ、きゃあああっ!」ダッ

リカ(で、でっかい爪!捕まったら死んじゃう!)

怪物「ガオーッ!」ダッ

ラムダ(怪物のスピードは人間並!今すぐ捕まるということはないだろう……しかし、天使からの情報では体力が僕らとは桁違い!)

ラムダ(あの怪物がこの全力疾走を何時間でも維持できるんだとしたら、捕まるのは時間の問題!)

ラムダ「……リカさん!手を!ビルの屋上へ逃げます!『空間湾曲・20m』!」グニャアッ

リカ「はっはい!」グニャアッ

怪物「ガッ……グルルッ」ダッ

リカ「あああ……まっすぐこのビル登ってきますよ……?」

ラムダ「いえ……いいんです。これで」

怪物「ガオーッ!」ガチャッ

リカ「うわあああ来ちゃった!」

ラムダ「行きますよ……っ!『空間湾曲・10m』!」グニャアッ

ラムダ(別の屋上へ瞬間移動した……あの怪物が私が思うほど頭の悪い生物なら……!)

怪物「グルァッ!」バッ

ラムダ(やはり!無謀にも跳んだ!そのまま落ちれば……)

怪物「ガウッ」ダンッ

リカ「着地……しましたね。ダンッて」

ラムダ(『皮膚が硬い』……あれ程とは。落下死させるのは難しそうですね)

ラムダ「……リカさん。これから能力を使いながら、長距離を逃走します。しっかり付いて来てくださいね」ザッ

リカ「はい……でも、逃走ってどこにですか?」

ラムダ「……もう一つの宝石保持者の所へ。あの怪物のターゲットを変更させます」

路地裏



アッシュ「ラムダさんがこっちに向かってる……」

アッシュ(時々、反応が飛び飛びになる。多分『ワープ』を使ってるのだろう)

七音「普通なら、怪物の様子を見るためにも、他の宝石持ちには近づかないはず……となると、あちらが怪物に追われている可能性が高いですね」

七音「大方、私達になすりつけるか、乱戦に持ち込むつもりなのでしょう」

七音「私達もここから移動しましょう。少しでも多く彼に『ワープ』を使わせてMPを消費させるのです」

アッシュ「……はい」

住宅街



リカ「はぁっ、はぁっ」タッタッ

ラムダ「よし……ここです!『空間湾曲・20m』!」グニャアッ

リカ「わっ、ここ……マンションですか?」

ラムダ(昨日偵察に出ておいて良かった……事前にここの地形を把握することができた)

ラムダ(そして!これで距離的にターゲットはそこに居るアッシュさんに切り替わったはず!)

ラムダ「彼には怪物を倒す力も逃げる術もない。『サウンドスケープ』で無力化するしかないはず」

ラムダ「そうなればここら一帯は安全地帯になる。そのままタイムアップまで待てばあなたが二点目を獲得。あなたの勝利です」

リカ「やったぁ……あれ?でもそれだとラムダさんは……」

ラムダ「僕は……いいんです」

ラムダ「やっと気が付きました。僕の本当の願い事は、ヒーローになることだ。あなたのような人を、守れるヒーロー」

ラムダ「あなたみたいな人にヒーローと呼んでもらえるなら、この先どんなことに巻き込まれたって構わない。……そう、思うんです」

リカ「ラムダさん……」

ラムダ(……おかしい。外からあの演奏が聞こえてこない……まさか!)バッ


怪物「グルルルッ」

アッシュ「……来たぞ!加賀さん!」

七音「……ええ、分かってます」


ラムダ「!?」

ラムダ(あの人は……!?そんな!『道連れ』は?それが発動しなかったんだとしても、何故犬木さんは?何故アッシュさんとチームを……)

ラムダ(……あれは、ハッタリだったのか……!?)

ラムダ(くそっ、油断し過ぎた!もっと用心深く立ち回るべきだった!リカさんに偉そうに言っておきながら……情けない!)

ラムダ「……すいません、リカさん。もしかすると、まだ勝ちは確定していないかもしれません」

リカ「え……?」

アッシュ「どうする!?加賀さん!俺の『サウンドスケープ』を使うか!?」

七音「いえ、その必要はありません……」

七音(私は今までの二日間で全員の能力を把握している。断言するが、この怪物を倒せるのは私だけだ)

七音(そしてだからこそ、今こいつを倒してはいけない!この怪物には、他の参加者を殺しまわってもらう!)

七音(その後私がこいつを殺す!これで完璧だ!そのためにはまず……)

七音「宝石をこいつに渡してしまえばいい!」ヒュッ

蝶「ありがとう」ボワンッ

七音「えっ?」

蝶「ずっとこの時を待ってたのよね……誰かが自分から宝石を手放す瞬間を」パシッ

七音(女が突然目の前に現れて、私が投げた宝石を掴み取る。いや違う。突然現れたのはドアだ。女はドアの向こうに居る)

怪物「ガオーッ!」バッ

七音(怪物がドアに回り込もうとするが、それより先にドアが消えてしまう。女と共に)

蝶「さようなら~」ボワンッ

怪物「ガウッ!?」スカッ

怪物「……」

怪物「ガオーッ!」バッ

七音(……少しイレギュラーがあったが、問題ない!ターゲットは再び入れ替わった!)

ラムダ(怪物が再びこっちに!)

ラムダ(倒す方法は元からない!逃げるにもMPを消費し過ぎた!)

ラムダ(……取れる選択は一つ!意地でも彼らと怪物を食い合わせる!)

ラムダ「宝石を投げてターゲットを変更します!リカさん!」

リカ「は、はい!」スッ

ラムダ「はっ!」


アッシュ(あっちも宝石を投げた!……それと……あれは『スタンボム』!)


ゴオッ


アッシュ(……何も見えない!聞こえない!俺の『サウンドスケープ』は使えない!)

ラムダ(それで怪物は宝石を能力で感知できる!正確に二人を襲うはず!)

七音(多分、宝石は私の周りに投げられた!しかし、この閃光では正確な位置は分からない!)

七音(くっ……怪物をここで倒すしかないか!)

七音「『虹色インク』!」ズアッ

アッシュ「……!」

アッシュ(『スタンボム』の光がなくなった後、加賀さんの方を見ると、あの虹色の腕が怪物を押さえ込んでいた)

七音「やはり……強化されているのは体力のみ、腕力は人並みのようですね」スッ

七音「そしていくら皮膚が硬かろうと『炎』には関係ない」ポイッ

アッシュ(加賀さんが水溜りから離れ、火の点いたマッチ棒を投げ入れた。するとその火は水溜まりの全てを一瞬で炎に変え)

アッシュ(怪物を灰にした)

怪物「ガ……ガ、グゥ……」シュウウ

七音「……アッシュさん!今ので私のMPは尽きました!警戒を!」

アッシュ「お、おう!」


星児「ふーん……MP切れねぇ……」


アッシュ「!」

星児「『時間操作・加速』!」ビュンッ

アッシュ(あの人影は……田中星児!まずい!)

星児「怪物はもう居ない!ラムダもMPを消費してもう追いかけっこはできない!後はお前から宝石を奪い取って、逃げまくって勝つ!」バッ

アッシュ「加賀さ……」

七音「『虹色インク』!」ズアッ

星児「なっ……!?」ガシッ

七音「MPが切れたというのはあなたをおびき寄せるための嘘ですよ……焦りましたね」

アッシュ(そ、そうだったのか)

星児「ぐっ……ああっ……」グググ

星児(くそっ……)チラッ

アッシュ「!?」

アッシュ(ど、どうしてここでこっち見るんだよ……)

アッシュ(俺はお前を助けない!助けないぞ!俺は俺の願い事を優先するんだ!俺は、俺の……!)


『そんな裏技で集めた客で武道館か。それになんの意味があるんだよ』

『そんな裏技で人気になったって、何も意味ない』


アッシュ(そんなの……俺だって……俺だって……!)

アッシュ「……っ!」ジャカジャンッ

七音「!?」ガクッ

七音(これは……アッシュさんの『サウンドスケープ』……!?何故……!?)

七音(まずい……!能力を維持できない……!)シュウウ

星児「……お前、これ……」

アッシュ「……ツイッターに上げろ」

星児「は?」

アッシュ「俺のおかげで心臓病が治りましたってツイッターに上げろ!そんでバズれ!俺のバンドのイメージアップに貢献しろ!」

アッシュ「勘違いするなよ!俺は有名になれるならどっちでもいいんだ!ただ、ついでにお前を助けてやった方が夢見もいいかなと!そう思っただけだ!」

星児「……はっ、そうかよ」

七音「くっ……」ズッ

アッシュ「……っていうわけだ。悪いな加賀さん……やり直したいと思える過去があるだけ、恵まれてると思ってくれ」

七音「まだだっ!私はやり直すんだ!もっと良い高校を卒業して……」

星児「俺はこのままじゃ高校を卒業すらできない。はい論破」ドスッ

七音「ぐふっ……」

アッシュ「お前……容赦ないな」

七音「あ?自分の願いを優先すんのは当り前だろ?」ヒョイッ

アッシュ「ああ……うん……」

ラムダ「僕も、その通りだと思います」ドスッ

アッシュ「……っ!がはっ……」

星児「……アッシュ!」

星児(しまった……!まだこいつらが残ってた!)

ラムダ「さぁ……宝石を返してもらいましょうか……」

星児「誰が返すかよ……」

星児(どうする……!?MPは残ってるが、この三日間で、心臓が、もう……)

星児(まだタイムアップまで一時間強の時間がある……さっきまでの参加者が多く残ってた時点ではまだしも、その間、逃げ切れるか……!?)

星児(なら殺すか……!いや、あいつもMPを消費してると言っても、俺一人殺す分くらいは残してあるだろうし……)

星児「おい!お前らの願い事はなんだよ……」

星児(……ここは時間稼ぎだ!残り三十分くらいになるまで粘れば、俺にも逃げ切りの目が出てくる!アッシュが作ってくれたチャンスだ!絶対に俺が勝つ!)

リカ「え?願い事、ですか?」

ラムダ「僕は……もう、特にないです」

リカ「私はその……病気の妹が居て……」

星児「…………病気の……?それは、重いのか?」

リカ「は、はい!もう現代の医療技術じゃ不可能だって言われて……そのためにも、私は!」

星児「……その子の歳と、余命は。その子は、何歳まで生きれるんだ?」

リカ「歳は13歳で、余命は長くて三年だって言われました……だから、16歳までしか……」

星児「……ははっ、それじゃあ。俺の方がちょうど一年多く生きれるわけだ……」

星児「……ほら、やるよ」ポイッ

リカ「えっ、ええっ!?」パシッ

リカ「どうして……」

星児「……今まで散々『俺より年上のくせに』って言ってきた……」


『俺に不幸自慢するなら余命二年になってからにしやがれ』

『このままじゃ高校を卒業すらできない』


星児「じゃあ……『年下』で死んじまう奴には、優しくしてやらねぇとな。病気が治ったら、こいつのおかげだって言ってやってくれ」スッ

リカ「え……」

リカ(この言い方……もしかして、この人の願い事も……)

ラムダ「リカさん!……迷ってはいけません」

リカ「ラムダさん……でも……」

リカ「あ、明日二人で頑張るっていうのはどうですか!そうすれば、同時に二人で願い事を……」

ラムダ「今日、既に『どこでもドア』の女が二個目の宝石を獲得しています。彼女の能力、僕の残りMP、制限時間……奪い返すのは不可能です」

ラムダ「あの女は、今日勝者になることが確定している。即ちバトルロワイヤルの終了も、既に決定事項なんです」

ラムダ「今ここにある宝石は一つだけ……願いを叶えられるのは、あなただけです」

リカ「うう……」

リカ(でも、そうしたら、この人が……)

ラムダ「リカさん!他の人間のことを考えないでください!気に病むことはない!あの人は元から死ぬ運命だった!」

ラムダ「あなたは自分を優先していいんだ!ただ、妹さんを救う事だけを考えてください……!」

星児「…………」

リカ(あの人に宝石を渡せば、あの人は助かる)

リカ(でも渡してしまうと……妹は……)

リカ「わ、私は……私は……!」



『リカ』が取った行動は『下1~5』だった。

1.宝石を渡さない。
2.宝石を渡す。

1、2番のどちらかで答えてください。下1~5の中で多かった選択の方で物語を進行します。

まだ五つ安価を取れていませんが、何か決まっちゃったので2番で進行します。

↓から本編を再開します。

星児「……」

星児(さぁ……どうすっかな……一か八かあの『どこでもドア』の女の所に行って見るか?)

星児(いや……無駄だろうな。あいつのMPがどんだけ残ってんのか分からねーけど、多分俺から逃げ切る分は残してるはず)

星児(今日も昨日も一昨日も、いっぱい走って疲れたし……このままのんびりするか)

リカ「…………」


星児(レーダーの時刻は『15:59:22』……終了まであと一分を切った)

星児(カウントダウン……38、37、36……)

星児(……俺が死ぬ時も、こんな感じなのかなぁ)

リカ「……っ!あ、あのっ!」

星児「ん……?」

リカ「こ、これ!」ブンッ

星児「おわっ……おまっ、これ……!」パシッ

ラムダ(宝石……!)

ラムダ「リ、リカさん!どうして!」

リカ「だって、目の前であんな、なのに、私に譲ってくれるくらい良い人で、でも、私の妹も、でも……」

リカ「わ、私にもよぐ分かんないでず……」ポロポロ

ラムダ「……っ」

星児「お、おい、待っ……」



『番井蝶』『田中星児』が1ポイントずつ獲得!

異能力者七人のバトルロワイヤル!三日目が終了した!

そして同時に、2ポイント獲得した者がいるため、ゲームセット!

その後、参加者は参加前の現実世界へと戻って行く!

異能力者七人のバトルロワイヤル!これにて終了となる!

天界



蝶「きゃっ」シュンッ

星児「うおっ」シュンッ

星児(なんだここ……何か、目がチカチカする……)

神様「いやぁ~おめでとう。君達が今回の優勝者だね。いいバトルロワイヤルをどうもありがとう」

蝶「……あなた誰?」

神様「神様」

星児「……神様!?」

神様「『勝者は願い事を一つ叶えられる』……紙に書いてあっただろう?そして神は嘘をつかない。これより、君達の願い事を叶えてあげよう」

神様「よし、番号の早い順にしようか。『1.番井蝶』。なんでも言いたまえ」

星児(そんな名前だったのかこのおばさん)

蝶「お金と時間をちょうだい」

神様「ダメ」

蝶「……どうして?」

神様「叶えてあげる願い事は一つだけだよ。同じ文でも二つのことを願ってはダメだ。お金か時間かどっちかにしなさい」

蝶「うーん……」

蝶(時間……若返った所で、同じ人生を繰り返すだけだろうし……)

蝶「お金!」

神様「OK。どのくらい欲しい?」

蝶「困らないくらい!」

神様「よし分かった。君の口座にどーんと振り込んでおこう。『奪われない』『怪しまれない』のサービスも付けておくよ」

蝶「気が利くわね」

天使「それじゃ、現世でも達者でな」

蝶「さようなら~」シュンッ

神様「……さぁ、次は君だ。『5.田中星児』」

星児「……違うだろ。俺が宝石をゲットしたのは、最後にあいつが血迷って、俺に投げたから……あんた、見てたんだろ!?ここに居るべきは、俺じゃなくて……」

神様「関係ないよ。午後4時になった時点で宝石を手にしていたのは君だった。それ以外に考慮すべきものはない」

星児「……じゃあ!」

神様「ちなみに、さっき言った通り叶える願い事は一つだ。たとえば『君とリカの妹の病気を治す』なんて願いは無効だからね」

星児「……!なら……!」

星児(これが最後のチャンスだ。俺だって生きたい!けど……)

星児「あの女子の妹の病気を治してやってくれ……」

神様「ふーん。そうやってあの子の想いを無駄にするんだねぇ。君は」

星児「は……?」

神様「リカは君に助かって欲しくて宝石を渡したのに……」

星児「なんだよ!じゃあ、俺を治してくれって言えばいいのかよ!」

神様「おや、結局は自分の身が可愛いんだな君は」

星児「……なんなんだよ!」

星児(なんだ、こいつ……何でこんなことを言う?俺を今更迷わせるようなことを……)

神様「ああ……迷っているねぇ。もちろん、私は二人共を治す能力を持っているが、約束は約束だからなー。いやー、僕も治してあげたいとは思うんだけどなー」

星児(白々しい奴だな……本当に、なんでこんなこと……)

星児「……あっ」

神様「お?」

星児「ああ……そうか!その手があったか!……おい神様!決まったぜ!願い事!」

星児(……もしかして、これを俺に気付かせるために、こいつ……)

神様「……なんだい。言ってごらん」

星児「『俺に……」



天使「……最後、甘くなかったですか?」

神様「んー?可愛い子には優しくすべきだろう?」

天使「可愛く生まれさせたのはあなたでは……?」

職場



部長「おい、加賀。次の会議の資料は?」

七音「えっ……?いや、あれは同僚の仕事じゃ……」

同僚「はぁ?俺ちゃんと言ったよな?代わりにやっといてくれって」

七音「え……?」

部長「はぁ……お前な。できないならちゃんとできないって言えよ。そうやってポンポン安請け合いされる方が困るんだよなー……」

七音「いや、私はそんなこと聞いてな……」

同僚「おまっ、じゃあ忘れてたのかよ!無責任だな……」

部長「……とにかく。この資料は明日までに絶対必要だから。残業でもなんでもして今日中に完成させろよ。あ、手当は出ないぞ。お前のミスなんだから」

七音「……はい」

同僚「お先失礼しまーす」



七音「あぁ……今日も終電ギリギリか……」ガタンゴトン

七音(……あのバトルロワイヤルで勝てていれば……こんな生活を続けることはなかったのに……)

七音(一応、何もできなかったわけじゃないんだ。ハッタリを二度も成功させて……)

七音(多分、昔にそういう本を読んでたからだな……『嘘を見抜く』って本。要はあれの逆をすれば良かった……実際、それで二人騙した。俺には嘘をつく才能があるんだ)

七音(でも……その後裏切られて……あれが敗因だ。じゃあ、その逆をやればよかったのか)

七音(そうだ……先に裏切った方が強いんだ。今度は、私が裏切る側になれば……)

七音(嘘をついて……裏切る……!)

七音「……もしもし。あ、いや、仕事の電話じゃないんだ。お前から受けた仕事はちゃんと終わらせたよ……」

七音「お前、確かもうすぐ結婚式だろ?友達にウェディング系の仕事やってる奴が居てさ。格安で……いや『詐欺じゃない』よ」

七音(そうだ……こっちの方が強い)

銀行



蝶(さて、一体いくら振り込まれたのかしら……?)スッ

蝶「……!?」

蝶(……いや、国の経済おかしくなるでしょ。この額は。その辺も神様がどうにかしてくれてるのかしら……?)

蝶(このお金全部私の物……っ!やった!やった!)

蝶(ん……電話……)プルルル

蝶「……あ、もしもし?うん。そうね。もう出勤の時間ね。私が居なくてあなたも施設のおじいちゃんも困ってるでしょうね」

蝶「…………死ねっ!」パリーンッ

蝶「はー、すっきりした。この後どうしようかしら。新しいスマホ買って、その後は……豪邸ってどこで買うのかしら?」

とある国の住宅街



少女「はぁっ、はぁっ」タッタッ

少女(くっ……追手の数が多過ぎるわ!一旦、どこかの家に隠れなきゃ!)ガチャッ

ラムダ「おや……。こんな時間に来客ですか。しかしおかしいですね。鍵はかけ直したはずなんですが……」

少女「うるさいわね!黙って私を匿いなさい!逆らったり、誰かを呼んだりしたら……」チャッ

少年「呼んだりしたら、なんだよ?」ズアッ

少女「……!?」ピタァッ

少女(何これ……動けない……超能力……!?)

ラムダ「……こら。離してやりなさい」

少年「……ったく、お人好しだよなぁ。また騒がしくなるぜ」スッ

幼女「ま、また誰か来たんですか……?」ヒョコッ

おっさん「あ、あいつらの手先じゃねえよなっ!?」ブルブル

少女「な、何?何人居るのこの家には!」

ラムダ「ついさっきまで私一人だったのですが……皆様、それぞれの事情で私の家に」

ラムダ「彼は自分を実験台にしていた研究室から逃げてきた超能力者です」

少年「ここで匿ってもらうことにした」

ラムダ「彼女は祖父の遺産を狙われてここに」

幼女「ここで匿ってもらうことになりました……」

ラムダ「そしてこちらは墜落していたUFOから出てきた宇宙人です」

おっさん「ここで匿ってもらうことにしたんだ」

少女「……巻き込まれすぎでしょあんた!」

少年「何言ってんだよ。お前も今まさに巻き込もうとしてんだろ?何かの事件によ」

少女「うぐっ……」

ラムダ「いいでしょう。きっとあなたの事件も解決してみせます。何故なら私は『ヒーロー』なんですから」

楽屋



アッシュ「あー……疲れたぁー……」

ベース「お疲れ。今日も良い歌声だったぜ」

アッシュ「ああ……ちょっとずつライブのお客も増えてきたし……このまま目指せメジャーデビューだ!」

ドラム「おーい、太郎。何かお客さんだぞー」

アッシュ「太郎って呼ぶな……お客さん?誰だ……?」

ドラム「何かちっちゃい女の子。名前は……心ちゃんって言ってたかな」

アッシュ「……犬木心……!」


心「よっ!久しぶりだな」

アッシュ「おお……久しぶり……!」

心「観てたぜ、ライブ。結構マシになってたじゃんか」

アッシュ「マシにって……」

心「ははっ。でもまだこんな小さいハコってことは、あの後願い事は叶えられなかったんだな……」

アッシュ「……いや、それはもういいんだ。俺の夢は、俺と、皆の力で叶える」

心「……ああ。そっちの方がいい。カッコイイ!」

心「それじゃ……あの後田中星児は願いを叶えられたのか?」

アッシュ「いや、決着が着く前に俺も死んだから、分からない……けど、あれから連絡がないってことは多分……」

心「……俺さ!ギター始めようかなって思うんだ!」

アッシュ「え?」

心「星児も言ってたじゃんか!もっと俺自身がカッコよくなれってさ!そんで、ギター弾くアッシュがカッコよかったから……」

心「そしたら俺もアッシュのバンドに入って、もっとこのバンドを有名にしてやるよ!」

心「それで知らない奴が居ないくらいのバンドになったらさ、きっと星児も気付くよ……きっと……そしたら、会えるだろ?」

アッシュ「ああ……そうだな」

ベース「……ふっ。『闇の囁き(話)』は聞かせてもらったぞ!」シュバッ

アッシュ「ベース!」

ドラム「……ふっ。『紅一点(レッド・ワンポイント)』のギターか……悪くない」シュバッ

アッシュ「ドラム!」

アッシュ「……ふっ。お前の『漆黒の導き(ギターの腕)』が上がり、我が『詩紡ぎが交わる特異点(バンド)』に『加入(デスティニー・ゲート・オーバー)』するのを待っているぞ!犬木心!」シュバッ

アッシュ「……ふっ、ふふふっ、ふははははは!」シュバババババ

心(やっぱやめとこうかな)

病院



妹「お姉ちゃん……今日は天気がいいね」

リカ「うん……そうだね」

リカ(妹が、白いベッドの上から空を見上げる)

リカ(バトルロワイヤルが終わった後、私の妹の病気は治っていなかった)

リカ(当り前……きっと、あの人は自分の病気を治すように願ったんだろうな)

リカ(本当に……これで良かったのかな……)

リカ「……ねぇ」

妹「どうしたの、お姉ちゃん」

リカ「もし……あなたの病気を治すお薬があって、私はそれを持っていたとして……私が他の誰かにその薬をあげちゃったら、怒る?」

妹「怒んないよ」

リカ「……どうして?そのせいで、あなたは今も……」

妹「だって、きっとその人も病気で苦しんでいたんでしょう?」

妹「だったら、仕方ないよ。目の前に苦しんでる人が居たら助けちゃう。それがお姉ちゃんだもん」

妹「あたし、そんなお姉ちゃんが好きだよ」

リカ「……うん。私も、あなたのことが大好き……!」ギュッ

妹「あ……もうすぐ新しい先生が来る時間だ……」

リカ「……うん!そうだね!」

リカ(まだ希望を捨てちゃダメ……!もしかしたら、次の先生なら、妹の病気を治してくれるかも……!)


ガラッ


リカ(来た!)

星児「どうもー。医者の田中星児です」

リカ「……んっ!?」

星児「……よう。久しぶりだな」

リカ「せ、星児さん!?」

星児「なんだよ?白衣なんざ似合わねーってか?まぁ、俺もそう思うけどよ……これ着なきゃ駄目だってうるせーんだこいつが」

先生「バッ……そもそも君が正式な医師免許をこの短期間で取得したこと自体、君の能力に免じた特例であって……!」プンスカ

星児「あーもー、わーかってるって」

妹「お姉ちゃんのお友達なの?」

リカ「うん……元気そう……良かった。ちゃんと自分のことを願ったんですね」

星児「会うなり俺の心配かよ。お前らしいな。けど残念……俺の願い事は『俺の心臓病を治すこと』じゃない」

リカ「えっ?じゃあなんて……」

星児「へへっ……こう願ったのさ」ナデナデ

妹「んむっ……あれ……?何か体が……」

星児「『俺に病気を治す異能力をください』……ってな」

妹「か、体が軽いっ!」ピョーンッ

リカ「そっ!そっか!そう願えば一つのお願いで、どっちも……」

先生「終わったか!?終わったな!さぁ早速他の病院に行くぞ!世界中に君の能力を必要としている人間がいるんだ!」ガシッ

星児「おーおー、人遣いが荒いねぇ。ったく、ちゃんとスケジュール管理してんだろうな?あいつのライブに間に合わなかったら承知しねぇぞ?」

リカ「あいつのライブ……って、もしかして」

星児「ああ。あんたも一緒に行くかい?俺でも治せない、中二病を見にさ」



    =終=

以上になります。

まずは、ここまで読んでくれてありがとうございました。

書いていてとても楽しかったです。読んでくれた皆様も、同じくらい楽しんでいただけていたなら幸いです。

もしよろしければ、ここが良かった、もしくは駄目だったという感想をください。次回への参考、励みになります。
というか私のダメだった所を全部治した安価異能力バトルロワイヤルを書いてください。
ハンタが休載、ワートリが月間に異動した今、バトルロワイヤル物の需要は高い。流行れ安価異能力バトルロワイヤル。



別シリーズ

アルティメット寿司じゃんけん【安価】
アルティメット寿司じゃんけん【安価】 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1492523010/)

アルティメット寿司じゃんけん 2【安価】
アルティメット寿司じゃんけん 2【安価】 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1512467358/)

アルティメット寿司じゃんけん 3【安価】
アルティメット寿司じゃんけん 3【安価】 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1531324990/)


↑こちらは同作者の別シリーズになります。ふざけた名前ですがどうかこちらもよろしくお願いいたします。

>>62でも書きましたが、こっちもあっちもどちらのシリーズもまたやりたいと思っています。(いつやるかは未定ですが……)
また見かけたら気軽に安価していってくださいね。

最後にもう一度、ここまで読んでくれてありがとうございました。

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