【安価】女子高生「夢から覚めたら見知らぬ場所にいた」 (15)

女子高生「もしかして……一昔前に流行った異世界転生!? 私、ひょっとして死んだの……?」

表参道を散歩していたら、時空が歪んで渦に吸い込まれた。

目が覚めたら、見知らぬ雑木林で寝転んでいたというわけだ。

頭はズキズキ痛むし、お腹もペコペコ。

女子高生「どこかで休まなきゃ……」

???「君、大丈夫かい?」

女子高生「ひゃっ!」

後ろからいきなり声をかけられた。

振り向くと、そこにはーーー

>>3がいた。



SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1533520121

喋るキノコ

女子高生「き……キノコがしゃべったーッ!?」

喋るキノコ「ははは、喋るキノコがそんなに珍しいカイ?」

そのキノコは……私が図鑑で見ていたずんぐりむっくりなヤツとは違った。

スラッとして、背が高くて、藤色の着流しが素敵で、何より信じられないほどイケメンで―――

喋るキノコ「見惚れちゃダメだよ、お嬢さん」

女子高生「はうッ! す、すみましぇん……」

喋るキノコ「さて、話を始める前に君の名前を聞いておこうか」

女子高生「私の、名前……?」

女子高生の名前>>5

相葉七海(あいば ななみ)

七海「相葉七海(あいば・ななみ)です」

喋るキノコ「ほぉ~、いいね。君のことは七海、と呼ぼう。いいね? 七海」ズイ

七海(ひゃん/// そんな近くに寄らないで……そんなに寄られたら私……///)ドキドキ

喋るキノコ「僕のキノコ、食べてみる?」

七海「す、少しだけなら……あううぅ」カアァ

???「おい! そこの女! キノコ様にちょっかい出してんじゃあねーぜ!」

七海「えッ、誰!?」

止めに入ったやつ
安価下

1 ナメクジ
2 なすび
3 梨
4 自由安価





なすび「このお方をどなたと心得る! ベジタブル・キングダムの第一皇子なのだぞ」

割り込んできたのは、ちょっぴり強引な色黒のイケメン。

喋るキノコ「よせ、なすび。無礼を働いたのは僕だ」

なすび「しかし、それでは護衛の意味が……!」

喋るキノコ「彼女に敵意は見られない。それに、か弱い女性を痛めつけるのは趣味ではないしね」

なすび「殿下が仰せならば。女、命拾いしたな。殿下の寛大な御心に感謝しろ」

ナスがキノコの護衛をしているなんて、不思議だなと私は思った。

そもそもキノコは菌類なわけで、どうして菌が野菜の国の皇子様なのかも―――

喋るキノコ「父上(粘菌)が陛下と意気投合して、勝手に決めたのだ。まったく、つくづく迷惑な話さ」

七海「あの、私……」

なすび「おい、貴様! 殿下に気安く話しかけるんじゃあないッ!」

喋るキノコ「七海、君の言いたいことは分かるよ」

七海「私、家に帰らなくちゃいけなくて。表参道を歩いていたらいきなり」

喋るキノコ「そうだな、まずは僕の家に招待しよう。ヤ・オヤという名の村なのだがね」

七海「え!?」

なすび「オラ、ついてこい。念のため、貴様の手首を蔓で拘束させてもらうぞ」シュルシュル

七海「つ、通じてな~い!」

こうして、不思議ながらも甘酸っぱい私の異世界ライフが始まりました。

あの時の私はまだ、自分が恐ろしい運命に巻き込まれたことなど、露も知らなかったのです……。






雑木林を抜け、灰色の荒地を越え、山を登り、谷を渡り、辿り着いた湖の孤島。

小さな修道院が建っていた。

七海「わぁ……!」

クリーム色の外壁に、蔦が絡みついている。

もう何百年も経っていそうな、年季の入った修道院だ。

遠くからだと煙突のように見えた物は、ステンドグラスの屋根だった。

喋るキノコ「ここが僕達の最後の砦。ヤ・オヤ修道院。昔は500玉のキャベツがアンティオキア神学を学んでいたけどね」

七海「学んで『いた』?」

なすび「殺されたんだよ、全員……!」

なすびさんが強く唇を噛みしめる。

キノコさんの瞳にも、翳が射した。

喋るキノコ「その話はやめるんだ、なすび。宴の席に、血はいらない」

なすび「クッ……!」

七海「あの、気に障ったのなら謝ります」

なすび「貴様の謝罪に何の価値があんだよ」

なすび「何も知らねぇくせに……ふざけんな」

七海「あ、なすびさん……!」

たかが野菜なのに、胸が締めつけられる。

なすびさんの表情が、とても寂しそうだったから。とても悲しそうだったから。

あの人は、ずっと孤独に生きてきたんだ。

キノコさんのように頼れる人はいても、真に心を開いて話せるパートナーが、いなかったんだ。

ー修道院の屋根・夜ー

なすび「殿下はあの女にお熱だし、肝心の野菜男子は思うように集まらなねぇし、気に食わないことばかりだ」

七海「なすびさん、そこにいるんですか?」

なすび「ああ? 女、貴様どうやってここまで登ってきたんだ。10mはあるぞ」

七海「気合い、ですよ! 気合いがあれば、大抵の困難は乗り越えられるんです!」

なすび「ハッ……イカれてるのか? ご苦労なことだ、そこは評価してやる。けどよ、貴様と仲良くやったりはしねぇぞ」

なすび「むしろ逆。貴様が俺らの大将に妙な真似しないか、監視させてもらうからな」

七海「昼間の件、本当に申し訳ございませんでした。配慮が足らなくて、不快な思いをさせてしまって……」

なすび「この修道院な、俺もいたんだよ」

七海「え?」

なすび「キャベツみたいに僧侶やってたわけじゃねぇけどよ。トマトと一緒に、朝も昼も夜も身を粉にして働いてた」

働かなきゃ、叩き出されるからな。

そう、なすびさんはつけ加えた。

なすび「孤児ってのは便利なモンでよ。どれだけ酷い扱いを受けても、我が子のため殴り込む親が誰もいねぇんだ」

なすび「味方はどこにもいなかった。レッドキャベツ司教も、権力に靡く最低な奴だった。それでも俺とトマトは、働き続けたんだ。いつか、2人で日の目を見るために」

七海(なすびさん……)

なすび「そんで『奴ら』が来た」

七海「奴ら?」

なすび「俺とトマトが支えてきた平和な生活は、『奴ら』の手で焼き尽くされた」

なすび「キャベツ達は死に、相棒だったトマトも崩落した天井の下敷きになって死んだ」

七海「……」

なすび「生きる場所も盟友も失い、俺は当て所なくさまよった。盗みも殺しもやった。生きるためだ」

なすび「そんな無様な俺に手を差し伸べてくれたのが、喋るキノコ殿下だったんだ」

なすび「貴様みたいな、どこの馬の骨とも知れぬ野菜が、関わっていい相手じゃあねぇのさ。分かったか」

七海「……分かるよ」

なすび「なら詫び入れて消えろ」

七海「なすびさんの気持ち、分かるよ。私も庭で栽培してたオクラが枯れちゃった時、同じ気持ちだったから……」

なすびさんの目の色が変わった。

なすび「何!? 貴様、野菜男子と一緒に暮らし、その死まで看取ったというのか!?」

七海(野菜男子? 勘違いしてるみたいだけど、え~い! このまま進めちゃえ)

七海「オクラさんは、死に際に笑って言ったんだ。お前と共に歩めて良かった。お前は最高のパートナーだって」

なすび「貴様、あのオクラと……」

七海「私も、オクラさんのことは大切に思ってた。だから……」

なすび「もういい」

七海「あ、あの、私……」

似た者同士だから、パートナーになろう。

そんなこと、言い出せる空気じゃなかった。

なすび「自分の部屋に戻って寝ろ。明日も早いんだ。お前の処遇についても、決めなくちゃならない」

七海「なすびさん、ありがとうございます! よろしくお願いします!」

そっけない答えだけど、なすびさんは私を受け入れてくれたのかな。ちょっとだけ、嬉しかった。






新たな野菜男子の提示!

野菜の種類
ランク
見た目
性格

安価下

翌朝、私は食堂に呼び出された。

喋るキノコ「おはよう、よく眠れたかい?」

七海「ええ、おかげさまで」

喋るキノコ「この修道院では、色々な味の液体肥料が楽しめる。一本どう? マカダミアナッツ味の肥料だけど」

七海「え、遠慮します……」

喋るキノコ「ふぅん。じゃ、いきなり本題に入るよ。君が持つ異能力についての話だ」

七海「異能力?」

喋るキノコ「うん。といっても夜明け前の話だし、寝ている間に発現したから知らないのも、無理もないよね」

喋るキノコ「実際に見てもらった方が早いかな」

キノコさんがパチンと指を鳴らすとーーー

赤銅色の甲冑を着込んだイケメンが、不機嫌そうな表情で入ってきた。

ゴボウ「……」

喋るキノコ「紹介しよう。彼はゴボウ。昨夜、君が産んだ新たな野菜男子(ベジタブル・ウォーリアー)だよ」

七海「私が産んだ? 野菜男子?」

喋るキノコ「僕も驚いたよ。新たな野菜男子を生み出す能力を持つのは君ひとりだけだ」

七海「どういうことですか?」

喋るキノコ「昨晩、君の全身が眩い光に包まれていてね。そのまま観察していたら、お腹からゴボウ君が出てきたのさ」

七海「え、ええぇ~!?」

なすび「よう女王蜂。お前の役目、どうやら決まったみたいだぜ」

喋るキノコ「七海、君には後方支援を頼みたい。自分のペースでいいから、質の高い野菜男子を産んでいってほしいんだ」

七海(つ、つまり……ソシャゲでいうガチャってこと!? 私自身がガチャになるなんて、聞いてないよ~!)

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom