勇者「異世界転移ガチャ?」女神「はい」 (26)
勇者「俺が勇者に選ばれたのが3年ほど前」
勇者「長い冒険と戦いの末、伝説の剣を手に入れ、魔王と相見えたまではよかった」
勇者「しかしここで唯一にして最大最悪の誤算が生じた」
勇者「俺の攻撃が一切通用しなかった……!」
勇者「伝説の剣による一撃がマトモに入ったと思っても、謎の障壁で跳ね返されてしまう」
勇者「ダメージを与えられない俺は為す術もなくやられてしまった」
勇者「禁忌の魔法『リセット&ロード』を使って復活したのがついさっきの話だ」
勇者「そして今女神様と会議中」
女神「うーん……正直、予想外でした」
女神「まさか魔王がここまでの力を得ていたなんて」
勇者「どうすればいいのさ」
女神「正直に言って……勇者様では魔王に対抗することが出来ないでしょう」
勇者「えっ、マジで? 何のための伝説の剣なんだよ」
女神「……対策が無いという訳ではありません」
勇者「と言うと?」
女神「私の推測では……魔王はこの世界のあらゆる事象に対する耐性を得ています」
女神「伝説の剣が通用しないのもそのせいでしょう」
勇者「どうしようもなくね?」
女神「ええ、私たちではどうしようもありません」
女神「しかし、この世界のものがダメならば別世界のものを利用すればいいのです」
勇者「別世界?」
女神「他の世界から戦える者をこの世界に召喚し、戦ってもらうのです」
女神「いくら魔王と言えども、異世界の未知なる事象に対しては耐性は無いでしょう」
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勇者「理屈はわかった。それでどうやって異世界から人を連れてくるんだ?」
女神「こんなものを用意してみました」スッ
勇者「……えーと、なに、これ」
女神「異世界転移ガチャです」
勇者「異世界転移ガチャ?」
女神「はい」
女神「ここにツマミがありますね? これを回していただきますと」
勇者「回すと?」
女神「異世界から人が召喚されます」
勇者「この手のひらサイズのおもちゃから召喚? 原理がさっぱりわからん」
女神「原理なんてどうでもいいでしょう、大事なのはこれで魔王に対抗できる人を呼び出せるということです」
女神「とりあえず使ってみてください」
勇者「お、おう……」
女神「今回は初回特典ということで、Sレア以上確定にしておきますね」
勇者「え、Sレア?」
女神「強い人が出てくる確率が高いということです」
勇者「強さに確率とかあんの? それじゃあ魔王を倒せない人とかも出てくる可能性あるってこと?」
女神「まあ、そうですけど」
勇者「えぇ……」
女神「そんな顔されても困りますよ! 確実に召喚に成功するだけマシな方です! これでも精一杯頑張ったんです!」
勇者「あーうんわかった、もういいや、回すね、回すよ」ガチャガチャ
↓1 召喚された人
コンマ
01~95 Sレア
96~00 SSレア
[Sレア]名無しの傭兵
パァーッ
傭兵「……ん? ここは……」
勇者「うお、本当に召喚された」
傭兵「誰だ? お前ら」
勇者「なあ、これいちいち事情を説明しないといけないのかな」
女神「あーそうですね、それくらいなら私がやりますよ」
傭兵「おい、聞いてるのか」
女神「えっとですね、かくかくしかじかです」
傭兵「異世界? 魔王を倒す? ふーん……」
勇者「あ、納得するんだ」
傭兵「ヘンテコな魔法を使う奴らは何度か相手にしたことがあるからな」
傭兵「で、いくらだ?」
勇者「ん?」
傭兵「こちとら傭兵だ、戦えってんなら金を貰わねえとな」
勇者「ああ、そりゃそうだわな」
女神「ええ!? 世界を守るための戦いなのに、金を要求するんですか!」
傭兵「当たり前だろうが、そっちの都合で召喚しておいて報酬無しで戦えってのは虫が良すぎるぜ」
女神「えーと、じゃあこれくらいで……」ジャラ
勇者「(やべえ、女神様の手のひらから大量の金貨が出てきた)」
傭兵「? なんだこれは」
女神「あ! 世界が違うから通貨も違うじゃないですか! 面倒臭いなあ」
傭兵「払えないなら協力できないな」
女神「もういいや、勇者様、実力で従わせてください」
勇者「えぇー? いいのそれ?」
傭兵「ほう力試しか、それも面白い」
勇者「お前もそれでいいのか」
傭兵「魔王にダメージを当たえられなかったって話だろ? 魔王の実力は知らんが、お前はそうでもなさそうだな」
勇者「お、言ったな? 仕方ない女神様の言う通り実力で従わせてやろうか」
傭兵「へっ、後悔するなよ!」
数分後
傭兵「はあ、はあ……!」
勇者「終わりか?」
傭兵「クソがっ!」
勇者「ほらよ」バキッ
傭兵「ぐあっ!」ドサッ
勇者「もういいだろ?」
傭兵「くっ……よりによってひのきの棒に負けるとは……」
勇者「確かに魔王にはダメージを与えられなかった。だがそれだけの話だ」
勇者「ダメージが無いだけで攻撃は何度も当てたさ」
勇者「そもそも魔王と対峙する前に手下共を軒並み薙ぎ倒してきたわけだしな」
勇者「つまり俺はお前より数段強い。わかった?」
傭兵「……ちぇ、約束だからな、一緒に戦ってやる」
女神「よかったですね、仲間になってもらえて」
勇者「うーん……」
女神「どうしました?」
勇者「いや、さ……なあ?」
女神「あー言いたいことはなんとなくわかりました」
女神「こんな実力で魔王と戦えるのか? ということですよね」
傭兵「なんだと?」
勇者「そ、そんなはっきり言わなくても……」
女神「これは仕方ないんですよ」
女神「召喚された人はみんなレベル1で召喚されちゃうんです」
傭兵「ああ、道理で普段の実力が出せないと思ったぜ」
傭兵「いつもの調子だったらお前に負けるわけが……」
勇者「ん?」←レベル99
傭兵「(いや、勝てねえわこれ)」
女神「そういうわけですので、しばらくは修行するのがいいかと」
勇者「さっきのガチャは回せないのか?」
女神「ああそれね、一日一回だけ無料なんです」
女神「だから今日もう一回回すならお金いただきます」
勇者「金取るんかい! 世界を守るための戦いとか言っておきながら!」
女神「だって異世界から召喚するんですよ? 普通に考えて消費魔力が半端ないんですよ! 再チャージに時間がかかるんです!」
勇者「あーはい、それで回すとしたらいくら?」
女神「一回100000000ゼニーです」
勇者「明日を待ちます」
女神「はい。では修行頑張ってください」
傭兵「で、修行って何するんだ?」
傭兵「お前とのサシってのは遠慮しとくぜ、身体が持たねえ」
勇者「そうだなあ、まずはこの世界の魔物を知ってもらうためにその辺にいる魔物を倒してもらうか」
勇者「レベル1にはきついかもしれないけど、装備も整ってるし経験もあるし大丈夫だろ」
傭兵「魔物ねえ、俺の知ってる魔物がいればいいんだがな」
勇者「そっちの世界にも魔物はいるのか」
傭兵「ああ、やってた仕事は大体街から街へ移動する時の護衛でな」
傭兵「ゴブリンやコボルト程度なら慣れたもんだぜ」
勇者「え、 ゴブリンにコボルト……低級魔物だな」
傭兵「確かに低級魔物だが、奴らが徒党を組んだ時の団結力は侮れないもんがあるぜ」
勇者「それは群れを統率する指揮官がいてこそじゃないか、そいつを叩けばあとはもう楽勝だろ」
傭兵「……普通の人間には指揮官をいち早く見つけて潰す芸当は難しいんだがな」
勇者「あ、そうなの?」
傭兵「(……勇者になるだけの戦闘センスはあるってことか)」
傭兵「無駄話が過ぎた。さっさと修行を始めようぜ」
勇者「そうだな、この辺の魔物は……」
↓1コンマの1の位だけ傭兵がレベルアップ
傭兵
レベル1→2
傭兵「ぜえ、ぜえ……」
勇者「えぇ……思ったよりはかどってないな」
傭兵「おい、この辺の魔物、強すぎねえか?」
傭兵「数匹倒すのがやっとだぞ……」
勇者「いやそんなことは無いはずだけど……」
魔物「シャアアアアア!!」バッ
勇者「ふん!」バキッ
魔物「ハゴォッ!?」グチャッ
勇者「一発で倒せるし」
傭兵「お前を基準にするな」
勇者「まあ、まだまだ先は長いからなあ、ガチャももう何回か回したいところだし」
勇者「今日はこれくらいで切り上げようか」
傭兵「仕方ねえ……」
傭兵「ところで寝床は用意してあるんだろうな?」
勇者「女神様が色々と手配してくれてるはずだけど」
傭兵「だといいけどな」
傭兵「俺は1人で寝たいんでな」
勇者「確かに一緒に寝るのは抵抗あるよな」
勇者「だってお前……」
↓1コンマが奇数なら傭兵は男、偶数なら女
勇者「だってお前男だもんな。男同士で一緒のベッドに寝たら気持ち悪いったらありゃしない」
傭兵「そういうこった。傭兵やってる奴らの中にはそういう趣味に走るヤツも少なくねえからな」
傭兵「俺もこの前襲われそうになったことがあってな、それ以来誰かと一緒の寝床につくことはしてねえ」
傭兵「どうしてもって場合の時、俺は野宿を選ぶ」
勇者「ああ、そりゃご愁傷様だねえ」
勇者「まあ大丈夫だと思うよ、あの女神様金ならたくさん持ってるし、ていうか生み出せるし」
傭兵「ちなみに……俺が金を要求した時に女神が出した金、あれはどれくらいのもんなんだ?」
勇者「一般市民が一生で稼ぐ賃金の軽く3倍」
傭兵「んなっ……」
勇者「ま、寝床は期待していいってことさ」
傭兵「なるほど、女神だけのことはあるってことか……」
翌日
勇者「あー、おはよ」
女神「おはようございます」
傭兵「……お前ら一緒のベッドで寝てたのか?」
勇者「え、なんで?」
傭兵「一緒に部屋から出てきたから」
女神「まあ私たちがお似合いだなんて、ポッ」
勇者「んなわけないじゃん、この女神様いっつも変なイタズラしてくるんだよ」
勇者「今日は俺の股間に水を垂らしてやがった。ビビったよまさかこの歳でーって」
勇者「てか誰もお似合いとか言ってないよ?」
女神「ちぇー、釣れないですねえ」
傭兵「あー、だから女神が勇者の部屋に入る時、すげえニヤニヤしてたのか」
女神「なんだ、見てたんじゃないですか」
傭兵「……仲良いな」
女神「まあ私たちがお似合いだなんて、ポッ」
勇者「言ってないってば」
女神「で、今日はどうします? 回します?」
勇者「回すよ」
傭兵「そんなおもちゃで召喚できるのか?」
勇者「うん、できた」
傭兵「ふーん……」
女神「あっ、回す前にひとつ言っておくことが」
勇者「ん?」
女神「最初は初回特典ということでSレア以上確定でしたが」
女神「今回からはそれはありません、ノーマルとかただのレアとかも出ます」
勇者「つまり?」
女神「傭兵さんより弱い人も余裕で召喚されるということです」
勇者「マジかよ」
女神が「そこはもう勇者様の運だけが頼りですね」
勇者「とりあえず回すよ」ガチャガチャ
↓1 召喚された人
↓1コンマでレア度
01~50 ノーマル
51~80 レア
81~95 Sレア
96~00 SSレア
[Sレア]気弱な少女
パァーッ
少女「? こ、ここは……」
傭兵「へえ、こんな風に召喚されるんだな」
女神「おお! やりましたね勇者様」
勇者「ん?」
女神「この子、レアリティがSレアですよ」
女神「つまり傭兵さんと同等の実力を持っているってことです」
傭兵「俺と一緒だと? こんなやつが?」
少女「あ、あのお……」
女神「ああすみません、実はかくかくしかじかってことでして」
少女「…………?」
勇者「女神様、この子分かってないよ」
女神「うーん、きっと戦いとかファンタジーとかとは無縁の世界から召喚されたんでしょうね」
少女「う、うん……漫画や映画の話みたいだなーって思って、ちょっと実感湧かない……」
勇者「漫画? 映画?」
女神「小説とか絵本みたいなものですよ」
勇者「ふむ、つまり戦ったことは無いと」
少女「は、はい」
傭兵「もったいねえな、素質はあるってのに」
勇者「素質があっても戦えないんだったら意味無いよ」
傭兵「いっそなにかの職業に就かせるか?」
女神「あーそれはダメです、こっちの世界で職に就かせたら、その時点でこの世界の事象ってことになっちゃいますんで」
勇者「そうすれば魔王に対抗できないってことか」
傭兵「じゃあどうすんだよ?」
女神「そんな時のためにこんなものを用意しました」スッ
勇者「今度は何?」
女神「転職リセマラボタンです」
勇者「……何それ」
女神「このボタンを少女に押させます」
女神「すると少女はまた別の世界へ飛ばされます」
女神「そして何かしらの能力を身につけて、またここに戻ってきます」
勇者「なるほど、他の世界で才能を発揮させてからまた連れてくるってことだな」
女神「そういう事なので、このボタンを押してください」
少女「あ、あの……元の世界に帰りたいんですが」
女神「押してください」
少女「た、戦いたくは、ないんですけど……」
女神「押しましょう」
少女「だから……そのぉ……」
女神「はいかいいえの二択です! 押しますか?」
少女「……い、いいえ」
女神「押しますか?」
少女「……いいえ」
女神「押さないんですか?」
少女「いいえ……あっ! 待っ、違っ」
女神「押さないんですかという問いにいいえと答える、つまり押す!」
少女「あああ、手が勝手に」ポチッ
女神「いってらっしゃい」
少女「きゃあああ!!」
バシュンッ
傭兵「消えた……」
女神「すぐ戻ってきますよ」
勇者「いつもながら強引なやり方だなあ」
傭兵「女神って力ずくなところ多いよな、俺を実力で従わせようとする所とか、金で解決する所とか」
勇者「分かってくれるか、俺はそのせいでいつも苦労させられたんだ」
バシュンッ
勇者「あ、戻ってきた」
↓1~3
少女の開花した能力とか職業とか
コンマが1番高いものを採用
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